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  • 特許-グリコペプチド組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】グリコペプチド組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/14 20060101AFI20220301BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220301BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20220301BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
A61K38/14
A61K9/08
A61K47/18
A61P31/04
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020123671
(22)【出願日】2020-07-20
(62)【分割の表示】P 2017523438の分割
【原出願日】2015-11-06
(65)【公開番号】P2020183424
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2020-07-31
(31)【優先権主張番号】62/076,400
(32)【優先日】2014-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/168,749
(32)【優先日】2015-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505371232
【氏名又は名称】クセリア ファーマシューティカルズ エーピーエス
【氏名又は名称原語表記】Xellia Pharmaceuticals ApS
【住所又は居所原語表記】11 Dalslandsgade,DK-2300 Copenhagen S,DENMARK
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】ヤスプリカ、イヴォナ
(72)【発明者】
【氏名】ケセル、サビナ
(72)【発明者】
【氏名】ピンドリッチ、カタリーナ
【審査官】菊池 美香
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-533218(JP,A)
【文献】特表2006-504404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/14
A61K 9/08
A61K 47/18
A61P 31/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンコマイシンと、添加剤としてのN-アセチル-グリシンとを含む、薬剤として使用するための水性の組成物であって、3~6のpHを有し、かつリジンをさらに含む、水性の組成物。
【請求項2】
バンコマイシンの濃度は重量体積比で0.1~1%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
バンコマイシン、リジン及びN-アセチル-グリシンは、1:5:5~1:40:40のモル比で存在している、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
バンコマイシンの濃度は重量体積比で1~10%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
バンコマイシン、リジン及びN-アセチル-グリシンは、1:1:1~1:10:10のモル比で存在している、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
リジンはL-リジンである、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
重量体積比で0.5~15%のバンコマイシンと、N-アセチル-グリシンと、リジンと、含み、重量体積比で0.5~15%のバンコマイシンとN-アセチル-グリシンとは1:1~1:40のモル比である、水性の医薬組成物。
【請求項8】
3~6のpHを有している、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
リジンはL-リジンである、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
N-アセチル-グリシンのバンコマイシンに対するモル比は、5:1~40:1であり、前記医薬組成物は、重量体積比で0.5%のバンコマイシンを含む、請求項7~のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
N-アセチル-グリシンのバンコマイシンに対するモル比は、0.5:1~10:1であり、前記医薬組成物は、重量体積比で5%のバンコマイシンを含む、請求項7~のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
リジンのバンコマイシンに対するモル比は、1:1~30:1である、請求項8に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリコペプチド組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
バンコマイシンは、アミコラトプシス・オリエンタリス(Amycolatopsis orientalis)(かつてのノカルディア・オリエンタリス(Nocardia orientalis))から得られた三環系グリコペプチド抗生物質である。
【0003】
薬学的な用途では、バンコマイシンは通常は塩酸塩である塩酸バンコマイシンとして投与される。この塩は、これまでは乾燥固体又は凍結した液体調製物として経口及び非経口用に供給されてきた。これまで、塩酸バンコマイシンの液体製剤は、非経口的使用に適した水溶液中では塩酸バンコマイシンの安定性に限界があるため医薬調製物としては非実用的であった。同様の限界は、バンコマイシンに類縁のグリコペプチド抗生物質から作製された溶液についても観察されている。
【0004】
塩酸バンコマイシンは、メチシリン耐性(β-ラクタム耐性)ブドウ球菌の感受性菌株によって引き起こされた、重篤又は重症の感染症の治療に適応とされている。塩酸バンコマイシンは、ペニシリンアレルギーの患者、ペニシリンやセファロスポリンを含む他の薬物を受け付けないか又は該薬物に対して応答しなかった患者、及び他の抗微生物薬に対して耐性のバンコマイシン感受性生物体によって引き起こされた感染症について適応とされる。テイコプラニン及びテラバンシンのような類縁のグリコペプチド抗生物質も、多剤耐性グラム陽性菌感染症の治療に使用される。
【0005】
液体調製物中のバンコマイシン及び類縁のグリコペプチド抗生物質を安定化するために、数多くの試みが実施されてきた。
特許文献1は、ある種のアセチル化されたジペプチド又はトリペプチドを、ペプチドとバンコマイシンとのモル比を1~2モルの狭いモル比で溶液中にてバンコマイシンと混合することによる、熱劣化からのバンコマイシンの保護について開示した。同様に誘導体化された単一アミノ酸の使用については示唆も調査もされなかった。この特許文献で研究されたアセチル化ペプチドは、in vivoでの標的物へのバンコマイシンの結合を模倣するように設計されており、発明者らは、このことがバンコマイシン骨格のアスパラギン残基からのイソアスパルタートの形成を阻止することによりバンコマイシンの不活性化を防止すると考えた。しかしながら、溶液中でのバンコマイシンの安定性は、室温及び摂氏80度で最大66時間まで測定されたにすぎない。
【0006】
特許文献2は、体積比(vol/vol)で0.5~30%のエタノールを含んでなる安定なバンコマイシンHCl溶液を開示した。これらの溶液は、安定性を維持するために凍結又は凍結乾燥を要求しない液体状態での保管に特に有用であると主張されている。
【0007】
特許文献3は、水、バンコマイシン及び0.1~10重量%のアミノ酸(すなわちグリシン)を含んでなる、着色を抑制する保管安定性を示すバンコマイシン注射溶液について言及した。
【0008】
特許文献4は、pH8.8でのセフトリアゾン(Ceftriazone)及びバンコマイシンの併用についての安定性の研究を開示している。L-アルギニン、L-リジン及びL-ヒスチジンが「相溶化/安定化剤」として主張されている。
【0009】
特許文献5は、D-AA混合物がリファンピン、クリンダマイシン及びバンコマイシンの効果を増強する結果としてバイオフィルム内の細菌CFUの著しい低減をもたらすことを開示した。
【0010】
特許文献6は、塩酸バンコマイシンと添加剤との混合溶液を得るために、安定化剤及び可溶化剤のうち少なくともいずれかが塩酸バンコマイシン溶液に添加されることについて言及した。安定化剤は、糖類及びポリオールのうち少なくともいずれかを含んでなることができる。トレハロース及びトゥイーン(tween(登録商標))を含む製剤が最も優れた製品安定性を有する。
【0011】
特許文献7は、アミノ酸又はその誘導体がバンコマイシンを安定化する、脂質をベースとする安定化バンコマイシン組成物を開示している。
いくつかのグループは、in vivoでの抗生物質分子と標的との相互作用をよりよく理解するために、バンコマイシン及び類縁のグリコペプチド抗生物質の、ある種のリガンドとの相互作用について研究してきた。
【0012】
例えば、非特許文献1では、ある範囲の条件にわたって、弱く結合するリガンド(酢酸、N-アセチル-D-Ala)及び強く結合するリガンド(Nα,Nε-ジアセチル-Lys-D-Ala-D-Ala)の存在下及び不在下でバンコマイシン及びリストセチンの二量体の解離の熱力学について比較がなされた。
【0013】
非特許文献2は、N-アセチル-D-アラニン(AcDA)との複合体におけるバンコマイシンの結晶構造を開示したが、該結晶構造は、バンコマイシンが、核磁気共鳴によって以前に観察されているリガンド非依存的な背中合わせ(back-to-back)型二量体だけでなくリガンドを介した向かい合わせ(face-to-face)型二量体をも形成することを実証している。
【0014】
非特許文献3は、N-アセチル-D-アラニン及びN-アセチル-グリシンがバンコマイシンにどのように結合するかを示した。
さらに他のグループは、ペプチド及び単一アミノ酸リガンドのバンコマイシンとの相互作用について、そのような結合相互作用によりバンコマイシンに引き起こされる分子の剛性及び立体配座の変化という観点で研究してきた。これらのグループは、ペプチドリガンドがバンコマイシン及び類縁のグリコペプチド抗生物質の分子骨格と複数の場所で相互作用し、一方N-アセチル-D-アラニンのような単一アミノ酸リガンドはより限定された様式で相互作用することを示した。例えば、非特許文献4~8を参照されたい。非特許文献5は、溶液中でジペプチド及びトリペプチドに結合すると同時にバンコマイシン分子に伝えられた相対的な構造剛性が、バンコマイシン骨格アスパラギンの環式イミド中間体を介したイソアスパルタートへの転位を阻止したことを示唆している。これは上記に議論された特許文献1における発明者らの観察と一致している。しかしながら、N-アセチル-D-アラニンのような単一アミノ酸リガンドはある種の条件下で溶液中のグリコペプチド抗生物質の二量体化に関与するかもしれないが、そのようなリガンドがバンコマイシンのような抗生物質との複合体においてジペプチド及びトリペプチドリガンドが為すのと同様の構造剛性を付与するということは明らかではない。さらに、これらの研究では、薬学的な用途のための溶液中でのバンコマイシン及び類縁のグリコペプチド抗生物質の長期安定性について、調査又は議論は行われなかった。
【0015】
ラバディ(Raverdy)ら(非特許文献9)は、5%グルコース中10g/Lのバンコマイシンの静脈用注射溶液について、患者への該溶液の送達をシミュレートした条件下で最大48時間、及び摂氏50度で最大72時間の安定性を観察した。該研究はさらに、該溶液について、Yコネクタを通して同時投与される様々な物質との相溶性を、室温で1時間の接触時間で検討した。著者らは、観察された条件及び時間においてはバンコマイシンは安定であること、並びに、N-アセチル-システイン(パラセタモール中毒の場合の抗酸化剤として使用)及びアミノ酸溶液(非経口的栄養補給に使用)は同時投与された場合にバンコマイシンの変質を引き起こさないこと、を結論付けた。しかしながら、バンコマイシン溶液の長期安定性に必要な条件及び構成要素については調査又は議論はなされなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】米国特許第4670258号明細書
【文献】国際公開第97/019690号
【文献】特開平11-080021号公報
【文献】米国特許第8778873号明細書
【文献】国際公開第2014/026052号
【文献】米国特許出願公開第2014/0260098A1号明細書
【文献】国際公開第2014/085526号
【非特許文献】
【0017】
【文献】マクフェイル(McPhail)及びクーパー(Cooper)、ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイエティ,ファラデー・トランザクションズ(J. Chem.Soc,Faraday Trans.)、1997年、第93巻、第13号
【文献】ロル(Loll)ら、ケミストリー・アンド・バイオロジー(Chemistry and Biology)、1998年、第5巻、第5号
【文献】ロル(Loll)ら、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry)、1999年、第42巻、第22号、p.4715
【文献】ブラウン・ジェイ・ピー(Brown JP)ら、モレキュラー・ファーマコロジー(Mol.Pharmacol.)、1975年、第11巻、p.126-132
【文献】ハリス・シー・エム(Harris CM)ら、ザ・ジャーナル・オブ・アンタイバイオティクス(J.Antibiotics)、1984年、第38巻、第1号、p.51-57
【文献】ウィリアムズ・ディー・エイチ(Williams DH)ら、米国科学アカデミー紀要(Proc.Nat.Acad.Sci.US)、1993年、第90巻、p.1172-1178
【文献】ピアス・シー・エム(Pearce CM)ら、ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサイエティ,パーキンス・トランザクションズ2(J.Chem.Sci.Perkins Trans.2)、1995年、p.159-162
【文献】ラオ・ジェイ(Rao J)ら、ケミストリー・アンド・バイオロジー(Chem.& Biol.)、1999年、第6巻、p.353-359
【文献】ラバディ(Raverdy)ら、ジャーナル・オブ・アンタイマイクロバイアル・ケモセラピー(J Antimicrob Chemother)、2013年、第68巻、p.1179-1182
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、通常の使用及び保管の条件下での長期安定性を有し、かつその安定期間を通じて対象者への投与に適した状態であり続ける、バンコマイシン及び類縁グリコペプチドの溶液が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、グリコペプチド抗生物質を含んでなる安定化された医薬組成物に関する。好ましい実施形態では、本発明は、バンコマイシンを含んでなる安定化された医薬組成物に関する。
【0020】
本発明は、N-アセチル-D-アミノ酸又はN-アセチル-グリシンを含んでなるグリコペプチド抗生物質組成物を提供する。
本発明は、薬剤として使用するための、N-アセチル-D-アミノ酸又はN-アセチル-グリシンを含んでなるグリコペプチド抗生物質組成物を提供する。
【0021】
本発明は、細菌感染症の治療に使用するための、N-アセチル-D-アミノ酸又はN-アセチル-グリシンを含んでなるグリコペプチド抗生物質組成物を提供する。
本発明は、N-アセチル-D-アラニン又はN-アセチル-グリシンを含んでなるグリコペプチド抗生物質組成物を提供する。
【0022】
本発明は、薬剤として使用するための、N-アセチル-D-アラニン又はN-アセチル-グリシンを含んでなるグリコペプチド抗生物質組成物を提供する。
本発明は、細菌感染症の治療に使用するための、N-アセチル-D-アラニン又はN-アセチル-グリシンを含んでなるグリコペプチド抗生物質組成物を提供する。
【0023】
本発明の1つの実施形態では、組成物は水性である。
本発明の1つの実施形態では、組成物は水性でありかつ約2~7のpHを有する。
本発明の1つの実施形態では、組成物は水性でありかつ約3~6のpHを有する。
【0024】
本発明の1つの実施形態では、組成物は水性でありかつ約4.0~5.5のpHを有する。
本発明の1つの実施形態では、組成物は水性でありかつ約4.5~5.5のpHを有する。
【0025】
本発明の1つの実施形態では、組成物はアミノ酸及び有機溶媒のうち少なくともいずれか一方をさらに含んでなる。
本発明の1つの実施形態では、組成物は、グリシン、アラニン、セリン、ロイシン、バリン、リジン、アルギニン及びオルニチンから選択されたアミノ酸をさらに含んでなる。
【0026】
本発明の1つの実施形態では、組成物は、D-アラニン、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-オルニチン、D-オルニチン又はL-アルギニンから選択されたアミノ酸をさらに含んでなる。
【0027】
本発明の1つの実施形態では、組成物は、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-オルニチン、D-オルニチン又はL-アルギニンから選択されたアミノ酸をさらに含んでなる。
【0028】
本発明による組成物は液体状態での保管に適しており、従って、安定化されたバンコマイシン組成物を含んでなるバイアル、シリンジ及び当分野で知られているような「使用準備済(ready to use)」IV用容器を提供する。これらを患者に投与する場合、凍結乾燥されたバンコマイシン粉末を再構成するステップは必要ないが;しかしバイアル及びシリンジの内容物が投与に先立って目的の濃度までさらに希釈されることは考えられる。本発明の溶液に適した希釈剤には、薬学的な用途(例えば静脈内投与)について許容可能な任意の既知の希釈剤、例えば水、生理食塩水、5%デキストロース溶液、乳酸加リンゲル溶液又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0029】
本発明は、グリコペプチド抗生物質を安定化する方法であって、グリコペプチド抗生物質を含んでなる溶液へのN-アセチル-D-アミノ酸の添加、又はN-アセチル-D-アミノ酸を含んでなる溶液へのグリコペプチド抗生物質の添加を伴う方法をさらに提供する。
【0030】
1つの実施形態では、少なくとも1つの追加のアミノ酸の添加、及び少なくとも1つの薬学的に許容可能な有機溶媒の添加、のうち少なくともいずれか一方がなされる。
本発明は、グリコペプチド抗生物質を安定化する方法であって、グリコペプチド抗生物質を含んでなる溶液へのN-アセチル-D-アラニンの添加、又はN-アセチル-D-アラニンを含んでなる溶液へのグリコペプチド抗生物質の添加を伴う方法を提供する。
【0031】
1つの実施形態では、少なくとも1つの追加のアミノ酸の添加、及び少なくとも1つの薬学的に許容可能な有機溶媒の添加、のうち少なくともいずれか一方がなされる。
本発明は、重量体積比(w/V)で約0.1~1%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを含んでなる溶液であって、約4~6のpHを有する溶液を提供する。
【0032】
1つの実施形態では、溶液は、D-アラニン、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-オルニチン、D-オルニチン又はL-アルギニンから選択されたアミノ酸をさらに含んでなる。
【0033】
別の実施形態では、溶液はさらにL-リジンを含んでなる。
別の実施形態では、溶液はさらにL-リジンを含んでなり、かつ約4.5~5.5のpHを有する。
【0034】
別の実施形態では、溶液はさらにL-リジンを含んでなり、かつ約4.5~5.5のpHを有し、グリコペプチド抗生物質とL-リジンのモル比は約1:5~1:30である。
別の実施形態では、溶液はさらにL-リジンを含んでなり、かつ約4.5~5.5のpHを有し、グリコペプチド抗生物質とN-アセチル-D-アラニンのモル比は約1:5~1:40、グリコペプチド抗生物質とL-リジンとのモル比は約1:5~1:30である。
【0035】
本発明は、重量体積比で約3~10%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを含んでなる溶液であって、約4~6のpHを有する溶液を提供する。
本発明は、重量体積比で約0.1~1%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを含んでなる溶液であって、約4~6のpHを有する溶液を提供する。
【0036】
本発明は、重量体積比で約1~10%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを含んでなる溶液であって、約4~6のpHを有する溶液を提供する。
1つの実施形態では、溶液は、D-アラニン、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-オルニチン、D-オルニチン又はL-アルギニンから選択されたアミノ酸をさらに含んでなる。
【0037】
別の実施形態では、溶液はさらにL-リジンを含んでなる。
別の実施形態では、溶液はさらにL-リジンを含んでなり、かつ約4.5~5.5のpHを有する。
【0038】
別の実施形態では、溶液はさらにL-リジンを含んでなり、かつ約4.5~5.5のpHを有し、グリコペプチド抗生物質とL-リジンとのモル比は約1:0.5~1:4である。
【0039】
別の実施形態では、溶液はさらにL-リジンを含んでなり、かつ約4.5~5.5のpHを有し、グリコペプチド抗生物質とN-アセチル-D-アラニンとのモル比は約1:1~1:4、グリコペプチド抗生物質とL-リジンとのモル比は約1:0.5~1:4である。
【0040】
本発明は、重量体積比で約0.5%のグリコペプチド抗生物質及びL-リジン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:20:30のモル比で含んでなる水性溶液であって、約4.5~5.5のpHを有する溶液を提供する。
【0041】
本発明は、重量体積比で約5%のグリコペプチド抗生物質及びL-リジン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:2:2のモル比で含んでなる水性溶液であって、約4.5~5.5のpHを有する溶液を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】バンコマイシン、テイコプラニン、テラバンシン、ダルババンシン及びオリタバンシンの分子構造であって、カン(Kang)及びパーク(Park)、ジャーナル・オブ・バクテリオロジー・アンド・ヴィロロジー(Journal of Bacteriology and Virology)、2015年、第45巻、第2号、p.67-78によって開示されたものを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0043】
バンコマイシンは三環系グリコペプチド抗生物質である。その構造は式1に示されている。製剤中におけるその純度は、バンコマイシンBの含有量によって評価することが可能である。
【0044】
【化1】
【0045】
本明細書中で使用されるような「バンコマイシン」は、式1で表わされる化合物を意味し、及びさらにはその薬学的に許容可能な塩、例えば塩酸バンコマイシンをも意味する。
「バンコマイシンHCl」を含んでなる水性組成物とは、バンコマイシンHClを溶解することにより、又はバンコマイシン基剤への等モル量のHClの添加により作製された溶液を対象とするように意図されているが、前記溶液に限定されるようには意図されていない。
【0046】
バンコマイシンは分解して次の主要な分解不純物となる:DAMS(デス-(アミド)-スクシンイミド-バンコマイシンB)、これは次いでデス-(アミド)-イソアスパルタート-バンコマイシンBのマイナー成分/メジャー成分(CDP1-m/M)に変換する。不純物であるデス-(アミド)-イソアスパルタート-バンコマイシンBのマイナー成分/メジャー成分は、CDP1という名の1つの不純物として定量される。
【0047】
上記の2つの不純物の構造は、式2、3a及び3bとして下に示される。
【0048】
【化2】
【0049】
バンコマイシンに類縁の他のグリコペプチド抗生物質も本発明の範囲内にある。本明細書中で使用されるように、「グリコペプチド抗生物質」とは、ペプチドグリカンペンタペプチドのD-アラニル-D-アラニン末端に対する特異的親和性を提供するヘプタペプチド構造を含有する分子、例えば、バンコマイシン、テラバンシン、オリタバンシン、テイコプラニン及びダルババンシンを意味する(パレンティ(Parenti)及びカヴァレリ(Cavalleri)、ジャーナル・オブ・アンタイバイオティクス(Journal of Antibiotics)、1989年12月、p.1882を参照のこと)。これらの分子のうちいくつかについての構造は図1に示されており、出典はカン(Kang)及びパーク(Park)、ジャーナル・オブ・バクテリオロジー・アンド・ヴィロロジー(Journal of Bacteriology and Virology)、2015年、第45巻、第2号、p.67-78である。
【0050】
「組成物」とは、2以上の化合物を含んでなる任意の混合物、例えば2つの有効成分の混合物又は医薬品活性成分と1以上の製薬用添加剤との混合物である。本発明による「組成物」には、限定するものではないが、バルク溶液、凍結乾燥粉末を溶解することにより作製された溶液、及び薬剤溶液が含まれる。
【0051】
「医薬組成物」とは、in vivoでの使用、例えば患者又は対象者のへの投与について、適切でありかつ前記使用が意図された任意の組成物である。本明細書中で使用されるように、用語「患者」及び「対象者」は互換的であり、本発明の組成物を与えられている任意のヒト又は動物個体を指す。
【0052】
「水性の医薬組成物」とは、直接の、又は適切な希釈剤を用いた希釈の後の、in vivoでの使用、例えば患者への投与について、適切でありかつ前記使用が意図された溶液である。
【0053】
用語「アミノ酸」とは、任意のアミノ酸、例えば、限定するものではないが、D型及びL型両方の、ペプチド中に天然に存在している20種のアミノ酸を意味し、かつこれらの任意の塩、特に薬学的に許容可能な塩を対象とするようにも意図されている。例えば、用語「アミノ酸」には、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン及びオルニチン、並びにこれらの任意の立体配座が含まれる。
【0054】
よって用語「アミノ酸」には、L-アラニン、L-アルギニン、L-アスパラギン、L-アスパラギン酸、L-システイン、L-グルタミン酸、L-グルタミン、L-ヒスチジン、L-イソロイシン、L-ロイシン、L-リジン、L-メチオニン、L-フェニルアラニン、L-プロリン、L-セリン、L-トレオニン、L-トリプトファン、L-チロシン、L-バリン及びL-オルニチンが含まれる。
【0055】
よってD-アラニン、D-アルギニン、D-アスパラギン、D-アスパラギン酸、D-システイン、D-グルタミン酸、D-グルタミン、D-ヒスチジン、D-イソロイシン、D-ロイシン、D-リジン、D-メチオニン、D-フェニルアラニン、D-プロリン、D-セリン、D-トレオニン、D-トリプトファン、D-チロシン、D-バリン及びD-オルニチンが含まれる。
【0056】
「N-アセチル-グリシン」は、次の構造:
【0057】
【化3】
【0058】
によって表わされる化合物、又はCAS登録番号543-24-8によって示されるような化合物である。該化合物は酸として、又は脱プロトン化された形態で存在することが可能である。用語「N-アセチル-グリシン」は、その任意の塩、特に薬学的に許容可能な塩を対象とするようにも意図されている。
【0059】
「N-アセチル-D-アラニン」は、次の構造:
【0060】
【化4】
【0061】
によって表わされることもあり得る化合物、又はCAS登録番号19436-52-3によって示されるような化合物である。該化合物は酸として、又は脱プロトン化された形態で存在することが可能である。用語「N-アセチル-D-アラニン」は、その任意の塩、特に薬学的に許容可能な塩を対象とするようにも意図されている。
【0062】
「N-アセチル-D-アミノ酸」は、次の構造
【0063】
【化5】
【0064】
によって表わされる化合物であり、前記式中、R1はα-アミノ酸の側鎖である。そのような側鎖の例には、それぞれアラニン、セリン及びバリンの側鎖である-CH、-CHOH及び-CH(CHが挙げられる。用語「N-アセチル-D-アミノ酸」は、その任意の塩、特に薬学的に許容可能な塩を対象とするようにも意図されている。
【0065】
「N-修飾型D-アミノ酸」は、次の構造
【0066】
【化6】
【0067】
によって表わされる化合物であり、前記式中、R1は-CH、-CHOH、-CH(CHから選択され、R2は-H、-CH、-CHCHから選択される。用語「N-修飾型D-アミノ酸」は、その塩(薬学的に許容可能な塩を含む)を対象とするように意図されている。
【0068】
「pH」は、別の温度が指定されないかぎり25℃の溶液中の、水素イオン活量の従来型の測定単位である。
「3~6のpH」とは、pH3を含みかつpH6を含む3~6由来の任意のpH値、及び3と6との間の任意のpH値を含むように意図されている。
【0069】
「4~5.5のpH」とは、pH4を含みかつpH5.5を含む4~5.5由来の任意のpH値、及び4と5.5との間の任意のpH値を含むように意図されている。
本発明によるバンコマイシン組成物のpHは、それぞれの成分の濃度によって影響を受ける。本発明によるバンコマイシン溶液のpHは、任意の適切な方法で、例えば水性の塩酸溶液又は水性の水酸化ナトリウム溶液の添加によって、調整可能である。そのような溶液は希釈溶液であってもよいし高濃度溶液であってもよい。よって、適切なpH調整剤には、限定するものではないが、0.01MのHCl、0.1MのHCl、1MのHCl、2MのHCl、3MのHCl、4MのHCl、5MのHCl、6MのHCl、0.01MのNaOH、0.1MのNaOH、1MのNaOH、2MのNaOH、3MのNaOH、4MのNaOH、5MのNaOH及び6MのNaOHが挙げられる。よって、適切なpH調整剤には、限定するものではないが、0.01~6MのHCl及び0.01~6MのNaOHが挙げられる。
【0070】
「超純水」とは、ほぼ純粋な水、例えば蒸留又は化学物質の除去において蒸留と同等以上の精製プロセスによって精製された水を意味する。
「水性組成物」とは、水が主要な溶媒である(体積比(V/V)で50%と同等以上である)任意の溶液を意味する。水性溶液には、限定するものではないが、体積比で約50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、98%又は99%の水を含んでなる溶液が挙げられる。水性溶液は、エタノール、ポリエチレングリコール(PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG4000など)のような薬学的に許容可能な有機溶媒を含んでなることが可能である。水性溶液は、体積比で約50%以下の、エタノール、PEG300、PEG400などのような薬学的に許容可能な有機溶媒を含んでなることが可能である。
【0071】
「バルク溶液」とは、凍結乾燥に適しているか、又はバイアル、シリンジ若しくは点滴容器(例えばボトル若しくはIVバッグ)に充填するのに適している任意の溶液である。
本発明によるグリコペプチド抗生物質組成物は、このように液体状態にあること;例えば、唯一の溶媒として水を備えた水性溶液、又は有機溶媒(例えば体積比で約2~50%の有機溶媒の添加、体積比で約2~40%の有機溶媒、体積比で約5~40%の有機溶媒、体積比で約10~30%の有機溶媒などの添加)をさらに含んでなる水性溶液、であることが可能である。
【0072】
本発明による安定化されたグリコペプチド抗生物質組成物に適した有機溶媒には、グリコペプチド抗生物質溶液中のアミノ酸の溶解度を増大させることが可能な任意の薬学的に許容可能な溶媒が挙げられる。それらには、限定するものではないが、エタノール及びポリエチレングリコール(PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG4000など)が挙げられる。
【0073】
本発明の好ましい実施形態によれば、グリコペプチド抗生物質溶液は体積比で約5~30%のエタノールを含んでなる。本発明の別の好ましい実施形態によれば、グリコペプチド抗生物質溶液は体積比で約10%のエタノールを含んでなる。
【0074】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、グリコペプチド抗生物質溶液は体積比で約50~60%のポリエチレングリコールを含んでなる。本発明の別の好ましい実施形態によれば、グリコペプチド抗生物質溶液は体積比で約50~60%のPEG400を含んでなる。本発明の別の好ましい実施形態によれば、グリコペプチド抗生物質溶液は体積比で約50~60%のPEG300を含んでなる。本発明の別の好ましい実施形態によれば、グリコペプチド抗生物質溶液は体積比で約55%のPEG400を含んでなる。
【0075】
好ましい実施形態では、本発明の溶液はバンコマイシンを含んでなる。
本発明はこのように、安定な又は安定化されたグリコペプチド抗生物質溶液、例えばバンコマイシン溶液を提供する。本発明によるグリコペプチド抗生物質溶液の安定性は、所定期間の後の本発明の溶液中に残存しているグリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシンの量であって、好ましくは百分率(%)として、例えば以下により詳細に説明されるようなクロマトグラムのピーク面積の百分率として表現される量を、測定することにより決定することが可能である。例えば、本発明による安定な又は安定化された溶液は、所定期間の後にグリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシンが少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%又は100%残存しているものであってよい。
【0076】
例えば、所定期間は製造日から18か月であることが考えられる。所定の抗生物質量又は所定の抗生物質純度は、欧州薬局方又はUSPに従って測定される有効成分の所与のクロマトグラフィー純度のような、製薬上のガイドライン又は薬事当局に準じて要求されるような任意の値であるということもあり得る。
【0077】
別例として、所定期間の後の溶液中における、グリコペプチド抗生物質がグリコペプチド抗生物質分解産物となる、例えばバンコマイシンがバンコマイシン分解産物となる量は、溶液の安定性を、好ましくは残存しているグリコペプチド抗生物質の割合(%)又は形成されたグリコペプチド抗生物質不純物の割合(%)として表現するために、相互に関連付けられることが可能である。例えば、本発明による安定な又は安定化された溶液は、所定期間の後にグリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシンが少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%又は100%残存している溶液であってよい。
【0078】
本発明の溶液の安定性は、所定期間の後に存在するグリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシンの、不純物の量として表現されることも可能である。例えば、本発明による安定な又は安定化された溶液は、所定期間の後にわずか約15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%又は0.5%の不純物しか存在しない溶液であってよい。
【0079】
存在するグリコペプチド抗生物質分解産物、例えば存在するバンコマイシン分解産物の全ての種類について測定する必要はない。したがって本発明によって企図されるのは、典型的な実施形態において、本発明の溶液の安定性が、所定期間の後の試料中のDAMS(式2)の量を測定することと、例えば残存しているバンコマイシン又は存在するDAMSの割合(%)としてその安定性を表現することとにより決定可能であるということである。同様に、本発明によって企図されるのは、本発明の溶液の安定性が、所定期間の後の試料中のCDP1-m/M(式3a及び3b)の量を測定することと、例えば残存しているバンコマイシン又は存在するDAMS及びCDP1-m/Mのうち少なくともいずれか一方の割合(%)としてその安定性を表現することとにより決定可能であるということである。本発明の溶液中のグリコペプチド抗生物質又はグリコペプチド抗生物質の不純物、例えばバンコマイシン又はバンコマイシン不純物の濃度は、任意の適切な技法によって測定されること、及び任意の好都合な単位(すなわちクロマトグラムのピーク面積百分率、ミリモーラーなど)で表現されることが可能である。当業者であれば、所定期間の後の本発明の溶液中の、グリコペプチドのグリコペプチド分解産物に対する、例えばバンコマイシンのバンコマイシン分解産物に対する割合(%)を決定するための他の方法もあることを容易に理解するであろう。
【0080】
本発明の溶液の安定性は、所定の時点(time point)の後の溶液中のグリコペプチド抗生物質又はグリコペプチド抗生物質分解産物、例えば残存しているバンコマイシン又はバンコマイシン分解産物の、割合(%)以外の観点で表現されることも可能である。安定性は、グリコペプチド抗生物質(例えばバンコマイシンBとして)の、又は任意のグリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシン、の分解産物若しくは分解産物の組み合わせの、いずれか一方の濃度又は絶対量の観点で表現されることも可能である。
【0081】
安定性は、本発明の溶液中の有効成分の純度として表わされることも可能である。例えば、溶液が最初にグリコペプチド抗生物質をある純度で含有している場合、該溶液の安定性は、経時的なグリコペプチド抗生物質のクロマトグラフ法による純度の減少によって反映されることになろう。安定な溶液は、所定期間の後にクロマトグラフ法による指定の純度でグリコペプチド抗生物質を含有するということになる。表1では、バンコマイシンの当初のクロマトグラフ法による純度はおよそ96%であり、安定化されていない溶液中では25℃で4週間の保管の間におよそ87%まで減少する。
【0082】
本発明の溶液中のグリコペプチド抗生物質、例えば、バンコマイシン(一般にバンコマイシンBとして測定される)の、又はグリコペプチド抗生物質(例えば、バンコマイシン)の分解産物の濃度を測定するために適した技法は当分野で良く知られており、該技法には、塩酸バンコマイシンについて米国薬局方-国民医薬品集(United States Pharmacopeia-National Formulary)(USP36-NF31)に開示されているようなHPLC及び他の液体クロマトグラフ法が挙げられる(前記文献の内容は参照により本願に援用される)。バンコマイシン及びバンコマイシン分解産物のうち少なくともいずれか一方など、グリコペプチド抗生物質及びグリコペプチド抗生物質分解産物の濃度を測定するための好ましい方法は実施例において以下に示され、かつ欧州薬局方8.0、第3525-3527ページに開示されている(前記文献の内容は参照により本願に援用される)。
【0083】
本発明の溶液の安定性は、所定期間の終了時に溶液中のグリコペプチド抗生物質の活性を試験することにより測定されることも可能である。例えば、溶液が細菌の増殖を阻害する能力が測定されてもよく、かつ例えば、所定期間の初めに溶液の一部について試験された活性と比較されてもよい。別例として、所定期間の後の本発明の溶液のグリコペプチド抗生物質の活性が、作製直後の同一の溶液又はグリコペプチド抗生物質の対照溶液の活性と比較されることも可能である。好ましい実施形態では、本発明の溶液はバンコマイシンを含んでなる。本発明の溶液中のバンコマイシン活性を決定するための適切な方法には、黄色ブドウ球菌のような標準的な試験生物体に対するものとしての本発明の溶液中のバンコマイシンの最小発育阻止濃度を決定するための試験が挙げられる。本発明の溶液中のバンコマイシン活性を決定するための好ましい方法は、以下の実施例5に示されている。
【0084】
本発明は、生産されてから2年までの間、製剤化されたものとして、特殊条件(すなわち冷凍)を伴わずに輸送、保管、及び使用されることが可能な、安定な又は安定化されたグリコペプチド抗生物質溶液を提供する。本明細書中で使用されるように、本発明の安定な又は安定化された溶液は、約1週間~24か月の間液体状態で(上記に議論されたとおりに)安定な又は安定化された溶液であることが可能である。例えば、本発明の安定な又は安定化された溶液は、少なくとも約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間又は12週間の間、液体状態で(上記に議論されたとおりに)安定な又は安定化された溶液であることが可能である。例えば、本発明の安定な又は安定化された溶液は、通常の出荷及び保管の条件下、すなわち摂氏約25度の温度で、少なくとも最大で約3、4、5、6、8、10、12、14、16、18、20、21、22、23又は24か月の間、液体状態で(上記に議論されたとおりに)安定な又は安定化されている溶液であることが可能である。1つの実施形態では、本発明の溶液は、摂氏約25度で約17、18、21又は24か月の間、安定であるか又は安定化されている。
【0085】
本発明の安定な又は安定化された溶液は、その安定期間の間(例えば、約1週間~24か月の間)のいかなる時点においても対象者への投与に適している。対象者への投与に適しているとは、本発明の安定な又は安定化された溶液が、十分なグリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシンを含有し、かつ、該溶液が対象者に対して所望の治療効果をもたらすのに十分である程度に不純物(グリコペプチド抗生物質の分解産物など)を含まないことを意味する。よって、本発明は、対象者の細菌感染症を治療する方法であって、治療上有効な量のグリコペプチド抗生物質が送達されるように、本発明の溶液を対象者に投与することを含んでなる方法を提供する。好ましい実施形態では、治療上有効な量のバンコマイシンが送達される。
【0086】
本明細書中で使用されるように、「治療上有効な量のグリコペプチド抗生物質」とは対象者の細菌感染症を治療するのに十分な量である。細菌感染症は、その感染症の1以上の症状がほぼ同じままであるか、任意の程度まで改善されるか、又は発症が予防される場合に、治療されている。細菌感染症の治療には、殺菌効果又は静菌効果の発揮も含まれる。熟練した医師は、細菌感染症が本発明の溶液の投与で治療されているかどうかを評価することができる。
【0087】
本発明による治療方法には、ある一定の薬物動態学的パラメータを満たすような対象者へのグリコペプチド抗生物質の送達も含まれる。例えば、本発明の溶液は、静脈内注入によって送達される場合、ファン・バンベック、エフ(Van Bambeke,F)、カレント・オピニオン・イン・インベスティゲイショナル・ドラッグ(Curr.Opin.Invest.Drugs)、2006年、第7巻、第8号、p.740-749の表2に記載された薬物動態学的パラメータを生じることが可能である(前記文献の開示内容は参照により本願に援用される)。好ましい実施形態では、バンコマイシンを含んでなる本発明の溶液は、静脈内注入によって送達される場合、ホスピーラ(Hospira)の注射用バンコマイシンHCl添付文書に記載された薬物動態学的パラメータを生じることが可能である(前記文書は参照により本願に援用される)。よって、対象者への本発明の溶液の静脈内送達は、60分間にわたる1グラムのバンコマイシン(15mg/kg)の注入の直後に63マイクログラム/mLの平均血漿中濃度を生じることができる。30分間にわたって注入される500mgのバンコマイシンの複数回投薬は、注入完了時に約49マイクログラム/mLの平均血漿中濃度、注入2時間後に約19マイクログラム/mLの平均血漿中濃度、及び注入6時間後に約10マイクログラム/mLの平均血漿中濃度を生じることができる。
【0088】
当然ながら、本発明の溶液は、当分野で良く知られているような任意の適切な方法で製剤化及び送達されることが可能である。例えば、本発明の溶液は非経口的に、例えば静脈内注入によって、投与されることが可能である。本発明の溶液は経腸的に、例えば経口的に投与されることも可能である。
【0089】
本発明による液体状態のグリコペプチド抗生物質組成物は、任意の薬学的に許容可能な濃度のグリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシンを含む。さらに含まれるのは、適切な希釈剤を用いて希釈されると薬学的に許容可能な濃度を提供する、任意の濃度のグリコペプチド抗生物質である。例えば、本発明による溶液中のグリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシンの濃度には、重量体積比で約0.1~20%、重量体積比で0.5~20%、重量体積比で3~15%、重量体積比で5~15%、又は重量体積比で3~10%が挙げられる。本発明による溶液中のグリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシンの好ましい濃度には、重量体積比で約0.5~15%が挙げられる。例えば本発明による溶液中のグリコペプチド抗生物質のさらにより好ましい濃度には、重量体積比で約0.5~10%が挙げられる。重量体積比で約0.5%、重量体積比で約5%又は重量体積比で約10%のグリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシンを含んでなる溶液も好ましい。
【0090】
本発明によれば、N-アセチル化-D-アミノ酸とグリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシンとの適切なモル比は約0.5:1~40:1である。本発明によれば、N-アセチル化-D-アミノ酸とグリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシンとの好ましいモル比は約1:1~20:1である。本発明によれば、N-アセチル化-D-アミノ酸とグリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシンとの好ましいモル比は約1:1~30:1である。
【0091】
本発明によれば、N-アセチル-D-アラニンとグリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシンとの適切なモル比は約0.5:1~40:1である。本発明によれば、N-アセチル-D-アラニンとグリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシンとの好ましいモル比は約1:1~20:1である。本発明によれば、N-アセチル-D-アラニンとグリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシンとの好ましいモル比は約1:1~30:1である。
【0092】
本発明によれば、N-アセチル-D-アラニンとグリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシンとの適切なモル比は、重量体積比で約0.5%のグリコペプチド抗生物質を含んでなる溶液について約5:1~40:1である。本発明によれば、N-アセチル-D-アラニンとグリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシンとの好ましいモル比は、重量体積比で約0.5%のグリコペプチド抗生物質を含んでなる溶液について約30:1である。
【0093】
本発明によれば、N-アセチル-D-アラニンとグリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシンとの適切なモル比は、重量体積比で約5%のグリコペプチド抗生物質を含んでなる溶液について約0.1:1~10:1である。本発明によれば、N-アセチル-D-アラニンとグリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシンとの好ましいモル比は、重量体積比で約5%のグリコペプチド抗生物質を含んでなる溶液について約2:1である。
【0094】
本発明によれば、N-アセチル-グリシンとグリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシンとの適切なモル比は約0.5:1~40:1である。本発明によれば、N-アセチル-グリシンとグリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシンとの好ましいモル比は約1:1~30:1である。本発明によれば、N-アセチル-グリシンとグリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシンとの好ましいモル比は約1:1~20:1である。
【0095】
本発明によれば、アミノ酸とグリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシンとの適切なモル比は約0.5:1~40:1である。本発明によれば、アミノ酸とグリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシンとの好ましいモル比は約1:1~30:1である。本発明によれば、アミノ酸とグリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシンとの好ましいモル比は約1:1~20:1である。
【0096】
本明細書中で使用されるように、「適切なモル比」とは、本明細書中に定義されるような本発明の安定な又は安定化された溶液の形成を可能とする、本発明の溶液中の添加剤とグリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシンとのモル比であって、上記段落に記載されたモル比が挙げられる。
【0097】
本発明による安定な又は安定化されたグリコペプチド抗生物質組成物は、任意選択でアミノ酸を含む。好ましい実施形態では、本発明による安定な又は安定化されたグリコペプチド抗生物質組成物はバンコマイシンを含んでなり、かつ任意選択でアミノ酸を含んでいる。
【0098】
好ましいアミノ酸には、アラニン、セリン、ロイシン、バリン、リジン、アルギニン及びオルニチンが挙げられる。最も好ましいアミノ酸には、D-アラニン、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-オルニチン、D-オルニチン又はL-アルギニンが挙げられる。
【0099】
アミノ酸は、薬学的に許容可能な塩の形態で組成物に添加されることが可能である。例えば、L-リジンは塩化物;L-リジン塩酸塩の形態で組成物に添加されることが可能である。L-リジンはさらに、酢酸塩;L-リジン酢酸塩の形態で組成物に添加されることも可能である。
【0100】
最も好ましいN-アセチル化アミノ酸誘導体には、N-アセチル-グリシン及びN-アセチル-D-アラニンが挙げられる。
本発明によって提供される数多くの製剤の中には、下記も含まれる:
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:0.5~1:20のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、アミノ酸をさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0101】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:20のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、アミノ酸をさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0102】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:30のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、アミノ酸をさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0103】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、アミノ酸をさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0104】
* 重量体積比で0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:20のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、セリン、ロイシン、バリン、リジン、アルギニン及びオルニチンから選択されたアミノ酸をさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0105】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:30のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、セリン、ロイシン、バリン、リジン、アルギニン及びオルニチンから選択されたアミノ酸をさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0106】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、セリン、ロイシン、バリン、リジン、アルギニン及びオルニチンから選択されたアミノ酸をさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0107】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:20のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0108】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:30のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0109】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0110】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:20のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をグリコペプチド抗生物質に対して1:1~20:1のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0111】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:20のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をグリコペプチド抗生物質に対して約1:1~30:1のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0112】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:30のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をグリコペプチド抗生物質に対して約1:1~20:1のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0113】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:30のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をグリコペプチド抗生物質に対して約1:1~30:1のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0114】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をグリコペプチド抗生物質に対して約1:1~20:1のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0115】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をグリコペプチド抗生物質に対して約1:1~30:1のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0116】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をグリコペプチド抗生物質に対して約1:1~30:1のモル比でさらに含んでなり;体積比で約5~30%の薬学的に許容可能な有機溶媒をさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0117】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をグリコペプチド抗生物質に対して約1:1~30:1のモル比でさらに含んでなり;体積比で約5~50%の薬学的に許容可能な有機溶媒をさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0118】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をグリコペプチド抗生物質に対して1:1~30:1のモル比でさらに含んでなり;体積比で約10%のエタノールをさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0119】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを1:1~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をグリコペプチド抗生物質に対して約1:1~30:1のモル比でさらに含んでなり;体積比で約5~50%のポリエチレングリコールをさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0120】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:20のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、L-オルニチン又はD-オルニチンから選択されたアミノ酸をグリコペプチド抗生物質に対して約1:1~20:1のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0121】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:30のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、L-オルニチン又はD-オルニチンから選択されたアミノ酸をグリコペプチド抗生物質に対して約1:1~30:1のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0122】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、L-オルニチン又はD-オルニチンから選択されたアミノ酸をグリコペプチド抗生物質に対して約1:1~30:1のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0123】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:30のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、L-リジンをグリコペプチド抗生物質に対して約1:1~30:1のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0124】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、L-リジンをグリコペプチド抗生物質に対して約1:1~30:1のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0125】
* 重量体積比で約0.1~1%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:5~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、L-リジンをグリコペプチド抗生物質に対して約1:1~30:1のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0126】
* 重量体積比で約0.5%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:30のモル比で含んでなり、約4.5~6.5のpHを有し、L-リジンをグリコペプチド抗生物質に対して約1:20のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0127】
* 重量体積比で約0.5%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:30のモル比で含んでなり、約4~6のpHを有し、L-リジンをグリコペプチド抗生物質に対して約1:20のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0128】
* 重量体積比で約0.5%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:30のモル比で含んでなり、約4.5~5.5のpHを有し、L-リジンをグリコペプチド抗生物質に対して約1:20のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0129】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-修飾型D-アミノ酸を約1:1~1:20のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、任意選択でアミノ酸をさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0130】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-修飾型D-アミノ酸を約1:1~1:30のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、任意選択でアミノ酸をさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0131】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-修飾型D-アミノ酸を約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、任意選択でアミノ酸をさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0132】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-修飾型D-アミノ酸を約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、アミノ酸をさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0133】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:20のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をグリコペプチド抗生物質に対して約1:1~20:1のモル比でさらに含んでなり;体積比で約10%のエタノールをさらに含んでなる組成物。
【0134】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:30のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をグリコペプチド抗生物質に対して約1:1~20:1のモル比でさらに含んでなり;体積比で約10%のエタノールをさらに含んでなる組成物。
【0135】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をグリコペプチド抗生物質に対して約1:1~30:1のモル比でさらに含んでなり;体積比で約10%のエタノールをさらに含んでなる組成物。
【0136】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:20のモル比で含んでなり、さらにアミノ酸を含んでなる組成物。
【0137】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:30のモル比で含んでなり、さらにアミノ酸を含んでなる組成物。
【0138】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、さらにアミノ酸を含んでなる組成物。
【0139】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:20のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、さらにアミノ酸を含んでなる組成物。
【0140】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:30のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、さらにアミノ酸を含んでなる組成物。
【0141】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、さらにアミノ酸を含んでなる組成物。
【0142】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約4~6のpHを有し、約1:1~1:30のモル比のL-リジンと、さらに体積比で約50~60%のポリエチレングリコール及び適量の水とをさらに含んでなる組成物。
【0143】
* 重量体積比で約0.5~15%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約5~6のpHを有し、約1:1~1:30のモル比のL-リジンと、さらに体積比で約50~60%のPEG400又はPEG300及び適量の水とをさらに含んでなる組成物。
【0144】
* 重量体積比で約5%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:2のモル比で含んでなり、約4~6のpHを有し、約1:2のモル比のL-リジンと、さらに体積比で約55%のPEG400及び適量の水とをさらに含んでなる組成物。
【0145】
* 重量体積比で約5%のグリコペプチド抗生物質及びN-アセチル-D-アラニンを約1:2のモル比で含んでなり、約4.5~5.5のpHを有し、約1:2のモル比のL-リジンと、さらに体積比で約55%のPEG400及び適量の水とをさらに含んでなる組成物。
【0146】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:0.5~1:20のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、さらにアミノ酸を含んでなる水性医薬組成物。
【0147】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:20のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、さらにアミノ酸を含んでなる水性医薬組成物。
【0148】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:30のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、さらにアミノ酸を含んでなる水性医薬組成物。
【0149】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、さらにアミノ酸を含んでなる水性医薬組成物。
【0150】
* 重量体積比で0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:20のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、セリン、ロイシン、バリン、リジン、アルギニン及びオルニチンから選択されたアミノ酸をさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0151】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:30のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、セリン、ロイシン、バリン、リジン、アルギニン及びオルニチンから選択されたアミノ酸をさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0152】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、3~6のpHを有し、セリン、ロイシン、バリン、リジン、アルギニン及びオルニチンから選択されたアミノ酸をさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0153】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:20のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0154】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:30のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0155】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0156】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:20のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をバンコマイシンに対して1:1~20:1のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0157】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:20のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をバンコマイシンに対して約1:1~30:1のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0158】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:30のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をバンコマイシンに対して約1:1~20:1のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0159】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:30のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をバンコマイシンに対して約1:1~30:1のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0160】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をバンコマイシンに対して約1:1~20:1のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0161】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をバンコマイシンに対して約1:1~30:1のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0162】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をバンコマイシンに対して約1:1~30:1のモル比でさらに含んでなり;体積比で約5~30%の薬学的に許容可能な有機溶媒をさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0163】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をバンコマイシンに対して約1:1~30:1のモル比でさらに含んでなり;体積比で約5~50%の薬学的に許容可能な有機溶媒をさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0164】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をバンコマイシンに対して1:1~30:1のモル比でさらに含んでなり;体積比で約10%のエタノールをさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0165】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを1:1~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をバンコマイシンに対して約1:1~30:1のモル比でさらに含んでなり;体積比で約5~50%のポリエチレングリコールをさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0166】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:20のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、L-オルニチン又はD-オルニチンから選択されたアミノ酸をバンコマイシンに対して約1:1~20:1のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0167】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:30のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、L-オルニチン又はD-オルニチンから選択されたアミノ酸をバンコマイシンに対して約1:1~30:1のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0168】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、L-オルニチン又はD-オルニチンから選択されたアミノ酸をバンコマイシンに対して約1:1~30:1のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0169】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:30のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、L-リジンをバンコマイシンに対して約1:1~30:1のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0170】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、L-リジンをバンコマイシンに対して約1:1~30:1のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0171】
* 重量体積比で約0.1~1%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:5~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、L-リジンをバンコマイシンに対して約1:1~30:1のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0172】
* 重量体積比で約0.5%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:30のモル比で含んでなり、約4.5~6.5のpHを有し、L-リジンをバンコマイシンに対して約1:20のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0173】
* 重量体積比で約0.5%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:30のモル比で含んでなり、約4~6のpHを有し、L-リジンをバンコマイシンに対して約1:20のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0174】
* 重量体積比で約0.5%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:30のモル比で含んでなり、約4.5~5.5のpHを有し、L-リジンをバンコマイシンに対して約1:20のモル比でさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0175】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-修飾型D-アミノ酸を約1:1~1:20のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、任意選択でアミノ酸をさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0176】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-修飾型D-アミノ酸を約1:1~1:30のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、任意選択でアミノ酸をさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0177】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-修飾型D-アミノ酸を約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、任意選択でアミノ酸をさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0178】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-修飾型D-アミノ酸を約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、アミノ酸をさらに含んでなる水性医薬組成物。
【0179】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:20のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をバンコマイシンに対して約1:1~20:1のモル比でさらに含んでなり;体積比で約10%のエタノールをさらに含んでなる組成物。
【0180】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:30のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をバンコマイシンに対して約1:1~20:1のモル比でさらに含んでなり;体積比で約10%のエタノールをさらに含んでなる組成物。
【0181】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-アルギニン、D-オルニチン又はL-オルニチンから選択されたアミノ酸をバンコマイシンに対して約1:1~30:1のモル比でさらに含んでなり;体積比で約10%のエタノールをさらに含んでなる組成物。
【0182】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:20のモル比で含んでなり、さらにアミノ酸を含んでなる組成物。
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:30のモル比で含んでなり、さらにアミノ酸を含んでなる組成物。
【0183】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、さらにアミノ酸を含んでなる組成物。
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:20のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、さらにアミノ酸を含んでなる組成物。
【0184】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:30のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、さらにアミノ酸を含んでなる組成物。
【0185】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約3~6のpHを有し、さらにアミノ酸を含んでなる組成物。
【0186】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約4~6のpHを有し、約1:1~1:30のモル比のL-リジンと、さらに体積比で約50~60%のポリエチレングリコール及び適量の水とをさらに含んでなる組成物。
【0187】
* 重量体積比で約0.5~15%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:1~1:40のモル比で含んでなり、約5~6のpHを有し、約1:1~1:30のモル比のL-リジンと、さらに体積比で約50~60%のPEG400又はPEG300及び適量の水とをさらに含んでなる組成物。
【0188】
* 重量体積比で約5%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:2のモル比で含んでなり、約4~6のpHを有し、約1:2のモル比のL-リジンと、さらに体積比で約55%のPEG400及び適量の水とをさらに含んでなる組成物。
【0189】
* 重量体積比で約5%のバンコマイシン及びN-アセチル-D-アラニンを約1:2のモル比で含んでなり、約4.5~5.5のpHを有し、約1:2のモル比のL-リジンと、さらに体積比で約55%のPEG400及び適量の水とをさらに含んでなる組成物。
【0190】
本発明はさらに、本発明の薬剤溶液中のグリコペプチド抗生物質、例えばバンコマイシンを安定化する方法であって、N-アセチル-D-アラニン又はN-アセチルグリシンとバンコマイシンとを混合することを含んでなる方法を提供する。これらの構成要素が混合される順序に重要な意味はない。よって、N-アセチル-D-アラニン又はN-アセチルグリシンがグリコペプチド抗生物質を含んでなる溶液に添加されてもよいし、グリコペプチド抗生物質がN-アセチル-D-アラニン又はN-アセチル-グリシンを含んでなる溶液に添加されてもよい。好ましい実施形態では、N-アセチル-D-アラニンがグリコペプチド抗生物質を含んでなる溶液に添加されるか、又はグリコペプチド抗生物質がN-アセチル-D-アラニンを含んでなる溶液に添加される。本発明はさらに、安定な水性のグリコペプチド抗生物質(例えばバンコマイシン)薬剤溶液を製造する方法であって、グリコペプチド抗生物質と、N-アセチル-D-アラニン又はN-アセチル-グリシンから選択された添加剤とを混合するステップを含んでなる方法を提供する。この場合も、これらの構成要素が混合される順序に重要な意味はない。好ましい実施形態では、構成要素はバンコマイシン基剤+化学量論量の希HCl+N-アセチル-D-アラニンの順序で混合されるが、これはその順序がバンコマイシン基剤の塩酸バンコマイシンへの完全な変換をもたらすからである。バンコマイシンを安定化するか又は本発明による溶液を製造する、非限定的な実例となる方法は、以下の実施例に示されている。
【0191】
本発明の方法によって安定化又は製造された溶液は、当分野で既知の技法により、例えば任意の適切な手段により該溶液を滅菌し、かつ該溶液を、密封容器であって後に該容器から溶液が対象者に投薬されることが可能な容器中に包装することにより、ヒト又は動物の対象者と共に使用するのに適切であるようになされることが可能である。
【0192】
本発明は、本発明の溶液を含んでなるキットをさらに提供する。キットは、好ましくは対象者の細菌感染症の治療に使用準備済である、本発明の溶液が入っている1以上の容器を含んでなることが可能である。しかしながら、キットはさらに、1以上の容器中の溶液が対象者への投与の前に薬学的に許容可能な希釈剤で希釈可能であることも企図されている。キットはさらに、本発明の溶液を対象者に投薬若しくは送達するための、又は本発明の溶液を希釈するための、材料、1以上のデバイス又は1以上の装置を含んでなることができる。キットは、本発明の溶液の保管及び使用のうち少なくともいずれか一方のための指示書をさらに含んでなる場合もある。
【0193】
本発明は以下の非限定的な実施例によって例証される。
【実施例
【0194】
水性のバンコマイシン組成物中でのアミノ酸の使用、該水性医薬組成物のバンコマイシン濃度及びpH、バンコマイシンのアミノ酸に対するモル比、並びに標準化された安定性試験条件下での有機溶媒(エタノール、PEG300及びPEG400など)の使用のような、様々な要素の安定化効果について評価がなされた。
【0195】
一般的な技法
以下の実施例において提示された製剤はすべて、最終バッチ体積の約50%~80%に相当する体積の超純水を出発時に用いて調製された。提示された水性バンコマイシン組成物は0.5%~10%(重量体積比)のバンコマイシンを含んでなるものであった。
【0196】
ある種の水性医薬組成物はpH調整剤を含んでなるものであった。必要とされる場合は、pHは希HCl溶液及び希NaOH溶液のうち少なくともいずれかを使用して調整された。
【0197】
「基本の(basic)バンコマイシン」製剤(重量体積比で5%及び10%バンコマイシン)並びにN-アセチル-D-アラニン又はN-アセチル-グリシンを含まない製剤は、比較の目的で示される。溶液はすべて、バンコマイシン純度(バンコマイシンB含有量)並びに2つの主要な分解不純物DAMS及びCDP1を定量することが可能なバリデーション済HPLC法を使用して試験された。溶液は、調製直後に分析され(開始時分析)、バイアル中に充填され、装栓されて25±2℃/60±5%RH又は30±2℃で4週間保管され、所定期間が終了した後に再試験された。
【0198】
使用されたHPLC条件は欧州薬局方8.0、第3525-3527ページに開示された条件であったが、ある種の試料については該条件に対して、次の条件を用いながら、当業者には理解されるような許容可能な変更が行われた:
バンコマイシンBの液体クロマトグラフィー(2.2.29)。溶液は調製4時間以内に使用された。
【0199】
試験溶液(a):検査されるべき物質10.0mgが移動相Aに溶解され、かつ移動相Aを用いて5.0mLとなるように希釈された。
試験溶液(b):2.0mLの試験溶液(a)が移動相Aを用いて50.0mLとなるように希釈された。
【0200】
試験溶液(c):0.5mLの試験溶液(b)が移動相Aを用いて20.0mLとなるように希釈された。
基準溶液.1バイアルの塩酸バンコマイシン(CRS)の内容物が水(water R)に溶解され、同溶媒で希釈されて0.5mg/mLを含有する溶液が得られた。65℃で24時間加熱された。放置冷却された。
【0201】
カラム:
サイズ:l=0.25m、直径=4.6mm
固定相:クロマトグラフィー用オクタデシルシリルシリカゲル(octadecylsilyl silica gel for chromatography R)(5pm)。
【0202】
移動相:
移動相A:4mLのトリエチルアミン(triethylamine R)に1996mLの水(water R)が添加され、リン酸(phosphoric acid R)を用いてpH3.2に調整され;この溶液920mLに10mLのテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran R)及び70mLのアセトニトリル(acetonitrile R)が添加された;
移動相B:4mLのトリエチルアミン(triethylamine R)に1996mLの水(water R)が添加され、リン酸(phosphoric acid R)を用いてpH3.2に調整され;この溶液700mLに10mLのテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran R)及び290mLのアセトニトリル(acetonitrile R)が添加された;
【0203】
【表1】
【0204】
システム適合性:
分離度:基準溶液を用いて得られたクロマトグラム中の2つの主要ピーク間で最小5.0;
シグナル対ノイズ比:試験溶液(c)を用いて得られたクロマトグラム中の主要なピークについて最小5;
シンメトリー係数:試験溶液(b)を用いて得られたクロマトグラム中のバンコマイシンによるピークについて最大1.6。
【0205】
下記式:
(Ab×100)/(Ab+(At/25))
を使用してバンコマイシンB塩酸塩の含有率(%)が計算された。
【0206】
Ab=試験溶液(b)を用いて得られたクロマトグラム中のバンコマイシンBによるピークの面積;
At=試験溶液(a)を用いて得られたクロマトグラム中の不純物によるピークの面積の合計。
【0207】
関連物質:液体クロマトグラフィー(2.2.29)は、バンコマイシンBについての試験に記載されているようにして、以下の改変を加えて実施された:
注入物:試験溶液(a)、(b)及び(c)。
【0208】
下記式:
((Ai/25)×100)/(Ab+(At/25))
を使用して各不純物の含有率(%)を計算した。
【0209】
Ai=試験溶液(a)を用いて得られたクロマトグラム中の1つの不純物によるピークの面積;
Ab=試験溶液(b)を用いて得られたクロマトグラム中のバンコマイシンBによるピークの面積;
At=試験溶液(a)を用いて得られたクロマトグラム中の不純物によるピークの面積の合計。
【0210】
実施例1-アミノ酸の安定化効果:
バンコマイシン基剤及び塩酸バンコマイシンの水性医薬組成物が所定の濃度及び特定の組成物(以下に示される)として調製された。溶液のpHは、希HCl溶液又は希NaOH溶液を使用してさらに調整された。バンコマイシン及びアミノ酸が以下の表1に指定されたモル比で溶液中に添加された後、該溶液は物質が溶解するまで混合された。
【0211】
【表2-1】
【0212】
【表2-2】
【0213】
実施例2-調製物のバンコマイシン濃度及びpHの安定化効果:
バンコマイシンの水性医薬組成物が様々な濃度で調製され、ある製剤については希HCl溶液及び希NaOH溶液のうち少なくともいずれか一方を使用してさらにpHが調整された。バンコマイシン及びアミノ酸が以下の表2に指定されたモル比で溶液中に添加された後、該溶液は物質が溶解するまで混合された。
【0214】
【表3】
【0215】
実施例3-水性医薬組成物中に存在するバンコマイシン及びアミノ酸のモル比の安定化効果。
塩酸バンコマイシンの水性医薬組成物が様々な濃度で調製され、ある製剤については希HCl溶液及び希NaOH溶液のうち少なくともいずれか一方を使用してさらにpHが調整された。バンコマイシン及びアミノ酸が以下の表3に指定されたモル比で溶液中に添加された後、該溶液は物質が溶解されるまで混合された。
【0216】
【表4-1】
【0217】
【表4-2】
【0218】
実施例4-有機溶媒の安定化効果。
有機溶媒(エタノール、PEG300又はPEG400)を含有する塩酸バンコマイシンの医薬組成物が様々な濃度で調製され、ある製剤については希HCl溶液及び希NaOH溶液のうち少なくともいずれか一方を使用してさらにpHが調整された。バンコマイシン及びアミノ酸が以下の表4に指定されたモル比で溶液中に添加された後、該溶液は物質が溶解するまで混合された。
【0219】
【表5-1】
【0220】
【表5-2】
【0221】
実施例5
抗菌物質感受性試験
試験は、臨床・検査標準協会(Clinical and Laboratory Standards Institute)(CLSI)ガイドラインM100-S23/S24;M07-A9(その開示内容は参照により本願に組み込まれる)による液体希釈法(broth dilution method)を使用して実施された。
【0222】
8種の水性医薬組成物の抗生物質活性が決定され、フリン・ファーマ社(Flynn Pharma Ltd)により製造された注射用の基準最終製品であるVancocin(登録商標)の活性と比較された。抗生物質活性は品質管理株すなわち:黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ATCC29213、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)ATCC29212及び肺炎球菌(Streptococcus pnemoniae)ATCC49619に対して決定された。これらの溶液は摂氏25度で表示の期間にわたって保管され、その結果は以下の表5に示されている。
【0223】
さらなる13種の溶液が表5に示されたのと同じ条件下で表示の期間にわたって保管され、2つの異なるバンコマイシン溶液標準品及びアモキシシリン標準品を対照として同じCLSIプロトコールを使用して試験された。結果は、以下の表6に示されている。表7は、CLSIプロトコールに従った試験済み品質管理株に対するバンコマイシン溶液の活性の評価について最小発育阻止濃度(MIC)範囲を示す。表5及び6に示されるように、試験された本発明の溶液は全て、対照の基準溶液に匹敵する抗生物質活性を実証し、かつ測定されたMICは全てCLSIが参照対象とするMIC範囲内にあり、試験された溶液が安定であったことが実証された。
【0224】
【表6】
【0225】
【表7-1】
【0226】
【表7-2】
【0227】
【表8】
【0228】
実施例6-バンコマイシン及びペプチドを含有する溶液の安定性の不足。
N-アセチル-アミノ酸の代わりにN-アセチル化ジペプチド及びトリペプチドを含有する溶液が作製された。N-アセチル化ジペプチド及びトリペプチドを用いて作製された製剤のpHは、約pH3よりも上に大きくは上げられないことが分かった、というのも該溶液がそのpH値で既に濁ったように見え始めたからである。また、N-アセチル-D-アラニン-D-アラニン及びL-リジンを含有する溶液は、バンコマイシン濃度が約0.5%に近づくにつれて溶液が濁ったようになることが観察されたので、約0.2%を上回るバンコマイシン濃度では作製することはできなかった。さらに、N-アセチル-アミノ酸の代わりにN-アセチル化ジペプチド及びトリペプチドを含有する溶液中でバンコマイシンの溶解度を維持するのに必要な低いpH値は、バンコマイシンの急速な分解を引き起こすであろう。よって、これらの溶液は、臨床状況において薬剤溶液として使用するために安定又は適切であるとは考えられなかった。この実験の結果は以下の表8に示されている。
【0229】
溶液は、N-アセチル-D-アラニン-D-アラニン又はジアセチル-L-リジン-D-アラニン-D-アラニンのいずれかを水又は0.9%塩化ナトリウムに溶解することにより作製された。1つの製剤では、その後L-リジンが添加された。次いでバンコマイシンが添加され、いくつかの製剤では、pHが希塩酸を使用しておよそpH3に調整された。バンコマイシンHCl塩が使用された場合、pH調整は行われなかった。L-リジンを含有する製剤については、該製剤は重量体積比で0.5%のバンコマイシン濃度を有するように意図されたが、pHをおよそ2.5に調整した後、該溶液はなおも濁っていた。この溶液はその後、濁りを少なくするためにさらに希釈され、重量体積比で0.2%のバンコマイシン濃度となった。バンコマイシンB、DAMS及びCDP1の濃度は実施例:一般的な技法において上記に記載されているようにHPLCによって測定された。溶液はガラスバイアル中に保管されて摂氏25度に4週間保たれたが、例外はジアセチル-L-リジン-D-アラニン-D-アラニン+バンコマイシンHCl+4M HClを含有する溶液であり、これについては2週間の安定性データしか利用できなかった。
【0230】
【表9】
【0231】
実施例7-安定なバンコマイシン溶液。
バンコマイシンの水性医薬組成物は上記の実施例1~3に記載されているように調製及び試験され、その結果は表9に示されている。表9に示されるように、本発明の溶液は、試験された条件下において3か月及び6か月の間安定であった。これらの結果、特に摂氏25度で3か月及び6か月後のバンコマイシン純度、DAMS及びCDP1についてのデータは、外挿されて、該溶液が最大約21か月~>24か月まで安定であるか又は安定化されることを示すことが可能である。
【0232】
【表10】
【0233】
実施例8-安定なグリコペプチド抗生物質溶液。
テイコプラニン、テラバンシン、ダルババンシン及びオリタバンシンの水性医薬組成物が、上記の実施例1~3及び7に記載されているようにして調製及び試験される。溶液は摂氏25度で3か月及び6か月の間安定であること、並びにこのことが、外挿されて、該溶液が最大で約24か月まで安定であるか又は安定化されていることを示すことが可能であること、が予想される。
以下に、上記実施形態から把握できる技術思想を付記として記載する。
[付記1]
グリコペプチド抗生物質と、N-アセチル-D-アラニン又はN-アセチル-グリシンから選択された添加剤とを含んでなる、薬剤として使用するための組成物。
[付記2]
付記1に記載の液体組成物。
[付記3]
付記2に記載の水性組成物。
[付記4]
約3~6のpHを有し、かつアミノ酸をさらに含んでなる、付記3に記載の組成物。
[付記5]
グリコペプチド抗生物質の濃度は重量体積比で約0.1~20%である、付記4に記載の組成物。
[付記6]
グリコペプチド抗生物質の濃度は重量体積比で約0.1~1%であり;アミノ酸は、グリシン、アラニン、セリン、ロイシン、バリン、リジン、アルギニン又はオルニチンから選択され;添加剤はN-アセチル-D-アラニンである、付記5に記載の組成物。
[付記7]
グリコペプチド抗生物質の濃度は重量体積比で約0.1~1%であり;アミノ酸は、リジン、アルギニン又はオルニチンから選択され;添加剤はN-アセチル-D-アラニンである、付記5に記載の組成物。
[付記8]
グリコペプチド抗生物質の濃度は重量体積比で約0.1~1%であり;アミノ酸は、グリシン、アラニン、セリン、ロイシン、バリン、リジン、アルギニン又はオルニチンから選択され;添加剤はN-アセチル-D-アラニンであって、グリコペプチド抗生物質、アミノ酸及びN-アセチル-D-アラニンは、約1:5:5~1:40:40のモル比で存在している、付記5に記載の組成物。
[付記9]
グリコペプチド抗生物質の濃度は重量体積比で約0.1~1%であり;アミノ酸は、L-リジン、D-リジン、L-オルニチン、D-オルニチン又はL-アルギニンから選択され;添加剤はN-アセチル-D-アラニンであって、グリコペプチド抗生物質、アミノ酸及びN-アセチル-D-アラニンは、約1:5:5~1:40:40のモル比で存在している、付記5に記載の組成物。
[付記10]
グリコペプチド抗生物質は、バンコマイシン、テイコプラニン、テラバンシン、ダルババンシン又はオリタバンシンである、付記1に記載の組成物。
[付記11]
グリコペプチド抗生物質はバンコマイシンである、付記10に記載の組成物。
[付記12]
グリコペプチド抗生物質の濃度は重量体積比で約0.5%であり;アミノ酸はL-リジンであり;添加剤はN-アセチル-D-アラニンであって、グリコペプチド抗生物質、アミノ酸及びN-アセチル-D-アラニンは、約1:20:30のモル比で存在しており、かつ組成物は約4.5~5.5のpHを有する、付記5に記載の組成物。
[付記13]
グリコペプチド抗生物質はバンコマイシンである、付記5に記載の組成物。
[付記14]
グリコペプチド抗生物質の濃度は重量体積比で約1~10%であり;アミノ酸は、グリシン、アラニン、セリン、ロイシン、バリン、リジン、アルギニン又はオルニチンから選択され;添加剤はN-アセチル-D-アラニンである、付記5に記載の組成物。
[付記15]
グリコペプチド抗生物質の濃度は重量体積比で約1~10%であり;アミノ酸は、リジン、アルギニン又はオルニチンから選択され;添加剤はN-アセチル-D-アラニンである、付記5に記載の組成物。
[付記16]
グリコペプチド抗生物質の濃度は重量体積比で約1~10%であり;アミノ酸は、グリシン、アラニン、セリン、ロイシン、バリン、リジン、アルギニン又はオルニチンから選択され;添加剤はN-アセチル-D-アラニンであって、グリコペプチド抗生物質、アミノ酸及びN-アセチル-D-アラニンは、約1:1:1~1:10:10のモル比で存在している、付記5に記載の組成物。
[付記17]
グリコペプチド抗生物質の濃度は重量体積比で約1~10%であり;アミノ酸は、L-リジン、D-リジン、L-オルニチン、D-オルニチン又はL-アルギニンから選択され;添加剤はN-アセチル-D-アラニンであって、グリコペプチド抗生物質、アミノ酸及びN-アセチル-D-アラニンは、約1:1:1~1:10:10のモル比で存在している、付記5に記載の組成物。
[付記18]
グリコペプチド抗生物質の濃度は重量体積比で約5%であり;アミノ酸はL-リジンであり;添加剤はN-アセチル-D-アラニンであって、グリコペプチド抗生物質、アミノ酸及びN-アセチル-D-アラニンは、約1:2:2のモル比で存在し、かつ組成物は約4.5~5.5のpHを有する、付記5に記載の組成物。
[付記19]
グリコペプチド抗生物質はバンコマイシンである、付記18に記載の組成物。
[付記20]
薬剤溶液は所定期間の間安定である、付記5に記載の組成物。
[付記21]
薬剤溶液は、所定期間の後に薬剤溶液中に残存しているグリコペプチド抗生物質の量を決定することにより実証されるように、所定期間の間安定であり、薬剤溶液中に残存しているグリコペプチド抗生物質の量は、所定のグリコペプチド抗生物質の量と同等又はそれ以上である、付記5に記載の組成物。
[付記22]
所定のグリコペプチド抗生物質の量は約85%~100%である、付記21に記載の組成物。
[付記23]
所定期間は摂氏約25度で少なくとも約4週間である、付記5に記載の組成物。
[付記24]
所定期間は摂氏約25度で最大約24か月である、付記5に記載の組成物。
[付記25]
残存しているグリコペプチド抗生物質の量はグリコペプチド抗生物質の検出によって決定される、付記22に記載の組成物。
[付記26]
グリコペプチド抗生物質はバンコマイシンである、付記25に記載の組成物。
[付記27]
残存しているバンコマイシンの量は、1以上のバンコマイシン分解産物の検出によって決定される、付記26に記載の組成物。
[付記28]
1以上のバンコマイシン分解産物はDAMSである、付記27に記載の組成物。
[付記29]
薬剤溶液は、所定期間の後の薬剤溶液の抗生物質活性レベルを決定することにより実証されるように、所定期間の間安定であり、抗生物質活性レベルは、所定の抗生物質活性レベルと同等又はそれ以上である、付記5に記載の組成物。
[付記30]
グリコペプチド抗生物質はバンコマイシンであり、所定の抗生物質活性レベルは、黄色ブドウ球菌のATCC29213、エンテロコッカス・フェカーリスのATCC29212又は肺炎球菌のATCC49619に対する最小発育阻止濃度として表現される、付記29に記載の組成物。
[付記31]
抗生物質活性レベルは、臨床・検査標準協会(CLSI)ガイドラインM100-S23/S24;M07-A9に従って決定される、付記30に記載の組成物。
[付記32]
所定期間は摂氏約25度で少なくとも約4週間である、付記29に記載の組成物。
[付記33]
所定期間は摂氏約25度で最大約24か月である、付記29に記載の組成物。
[付記34]
グリコペプチド抗生物質と;N-アセチル-D-アラニン又はN-アセチル-グリシンから選択された添加剤とを含んでなる医薬組成物。
[付記35]
医薬組成物は非経口投与のために調製されている、付記34に記載の医薬組成物。
[付記36]
アミノ酸をさらに含んでなる、付記34に記載の医薬組成物。
[付記37]
付記34に記載の液体医薬組成物。
[付記38]
付記37に記載の水性医薬組成物。
[付記39]
アミノ酸は、グリシン、アラニン、セリン、ロイシン、バリン、リジン、アルギニン又はオルニチンから選択される、付記38に記載の医薬組成物。
[付記40]
アミノ酸は、D-アラニン、D-セリン、D-ロイシン、D-バリン、L-リジン、D-リジン、L-オルニチン、D-オルニチン又はL-アルギニンから選択される、付記38に記載の医薬組成物。
[付記41]
アミノ酸は、L-リジン、D-リジン、L-オルニチン、D-オルニチン又はL-アルギニンから選択される、付記40に記載の医薬組成物。
[付記42]
アミノ酸はL-リジン又はD-リジンから選択される、付記41に記載の医薬組成物。
[付記43]
約3~6のpHを有している、付記38~42のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[付記44]
グリコペプチド抗生物質の濃度は重量体積比で0.1~1%であり;N-アセチル-D-アラニンは適切なモル比で存在している、付記38~42のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[付記45]
グリコペプチド抗生物質の濃度は重量体積比で約1~10%であり;N-アセチル-D-アラニンは適切なモル比で存在している、付記38~42のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[付記46]
グリコペプチド抗生物質は、バンコマイシン、テイコプラニン、テラバンシン、ダルババンシン又はオリタバンシンである、付記34に記載の医薬組成物。
[付記47]
グリコペプチド抗生物質はバンコマイシンである、付記46に記載の組成物。
[付記48]
グリコペプチド抗生物質の濃度は重量体積比で約0.5%であり;アミノ酸はL-リジンであり;添加剤はN-アセチル-D-アラニンであって;グリコペプチド抗生物質、アミノ酸及びN-アセチル-D-アラニンは、約1:20:30のモル比で存在しており;かつ組成物は約4.5~5.5のpHを有する、付記38に記載の医薬組成物。
[付記49]
グリコペプチド抗生物質の濃度は重量体積比で約5%であり、アミノ酸はL-リジンであり、添加剤はN-アセチル-D-アラニンであって;グリコペプチド抗生物質、アミノ酸及びN-アセチル-D-アラニンは、約1:2:2のモル比で存在しており;かつ組成物は約4.5~5.5のpHを有する、付記38に記載の医薬組成物。
[付記50]
グリコペプチド抗生物質はバンコマイシンである、付記48又は49に記載の医薬組成物。
[付記51]
薬剤溶液は所定期間の間安定である、付記38に記載の医薬組成物。
[付記52]
薬剤溶液は、所定期間の後に薬剤溶液中に残存しているグリコペプチド抗生物質の量を決定することにより実証されるように、所定期間の間安定であり、薬剤溶液中に残存しているグリコペプチド抗生物質の量は、所定のグリコペプチド抗生物質の量と同等又はそれ以上である、付記38に記載の医薬組成物。
[付記53]
所定のグリコペプチド抗生物質の量は約85%~100%である、付記52に記載の医薬組成物。
[付記54]
所定期間は摂氏約25度で少なくとも約4週間である、付記52に記載の医薬組成物。
[付記55]
所定期間は摂氏約25度で最大約24か月である、付記52に記載の医薬組成物。
[付記56]
残存しているグリコペプチド抗生物質の量はグリコペプチド抗生物質の検出によって決定される、付記52に記載の医薬組成物。
[付記57]
グリコペプチド抗生物質はバンコマイシンである、付記56に記載の医薬組成物。
[付記58]
残存しているバンコマイシンの量は1以上のバンコマイシン分解産物の検出によって決定される、付記57に記載の医薬組成物。
[付記59]
1以上のバンコマイシン分解産物はDAMSである、付記58に記載の医薬組成物。
[付記60]
薬剤溶液は、所定期間の後の薬剤溶液の抗生物質活性レベルを決定することにより実証されるように、所定期間の間安定であり、抗生物質活性レベルは、所定の抗生物質活性レベルと同等又はそれ以上である、付記38に記載の医薬組成物。
[付記61]
グリコペプチド抗生物質はバンコマイシンであり、所定の抗生物質活性レベルは、黄色ブドウ球菌のATCC29213、エンテロコッカス・フェカーリスのATCC29212又は肺炎球菌のATCC49619に対する最小発育阻止濃度として表現される、付記60に記載の医薬組成物。
[付記62]
抗生物質活性レベルは、臨床・検査標準協会(CLSI)ガイドラインM100-S23/S24;M07-A9に従って決定される、付記61に記載の医薬組成物。
[付記63]
所定期間は摂氏約25度で少なくとも約4週間である、付記60に記載の医薬組成物。
[付記64]
所定期間は摂氏約25度で最大約24か月である、付記60に記載の医薬組成物。
[付記65]
対象者の細菌感染症を治療する方法であって、グリコペプチド抗生物質と、N-アセチル-D-アラニン又はN-アセチル-グリシンから選択された添加剤とを含んでなる水性医薬組成物を投与することによる方法。
[付記66]
アミノ酸をさらに含んでなる、付記65に記載の方法。
[付記67]
グリコペプチド抗生物質の濃度は重量体積比で約0.5%であり;アミノ酸はL-リジンであり;添加剤はN-アセチル-D-アラニンであって、グリコペプチド抗生物質、アミノ酸及びN-アセチル-D-アラニンは、約1:20:30のモル比で存在しており;かつ組成物は約4.5~5.5のpHを有する、付記66に記載の方法。
[付記68]
グリコペプチド抗生物質の濃度は重量体積比で約5%であり、アミノ酸はL-リジンであり、添加剤はN-アセチル-D-アラニンであって;グリコペプチド抗生物質、アミノ酸及びN-アセチル-D-アラニンは、約1:2:2のモル比で存在しており;かつ組成物は約4.5~5.5のpHを有する、付記66に記載の方法。
[付記69]
グリコペプチド抗生物質はバンコマイシンである、付記67又は68に記載の方法。
[付記70]
薬剤溶液は所定期間の間安定である、付記65に記載の方法。
[付記71]
所定期間は摂氏約25度で少なくとも約4週間である、付記70に記載の方法。
[付記72]
所定期間は摂氏約25度で最大約24か月である、付記70に記載の方法。
[付記73]
医薬組成物は非経口的に投与される、付記70に記載の方法。
[付記74]
対象者に投与される医薬組成物中のグリコペプチド抗生物質は、細菌感染症を治療するのに十分な量で存在している、付記73に記載の方法。
[付記75]
グリコペプチド抗生物質はバンコマイシンであり、薬剤溶液の投与は、対象者において投与後60分以内に約63マイクログラム/mLの平均血漿中バンコマイシン濃度を生じる、付記73に記載の方法。
[付記76]
グリコペプチド抗生物質はバンコマイシンであり、薬剤溶液の投与は、対象者において投与後約2時間で約19マイクログラム/mLの平均血漿中バンコマイシン濃度を生じる、付記73に記載の方法。
[付記77]
グリコペプチド抗生物質はバンコマイシンであり、薬剤溶液の投与は、対象者において投与後約6時間で約10マイクログラム/mLの平均血漿中バンコマイシン濃度を生じる、付記73に記載の方法。
[付記78]
薬剤溶液中のグリコペプチド抗生物質を安定化するための方法であって、N-アセチル-D-アラニン又はN-アセチル-グリシンとグリコペプチド抗生物質とを混合することによる方法。
[付記79]
N-アセチル-D-アラニン若しくはN-アセチル-グリシンがグリコペプチド抗生物質を含んでなる溶液に添加されるか、又はグリコペプチド抗生物質がN-アセチル-D-アラニン若しくはN-アセチル-グリシンを含んでなる溶液に添加される、付記78に記載の方法。
[付記80]
N-アセチル-D-アラニンがグリコペプチド抗生物質を含んでなる溶液に添加されるか、又はグリコペプチド抗生物質がN-アセチル-D-アラニンを含んでなる溶液に添加される、付記78に記載の方法。
[付記81]
グリコペプチド抗生物質はバンコマイシンである、付記79又は80に記載の方法。
[付記82]
薬剤溶液は非経口投与のために調製されている、付記78に記載の方法。
[付記83]
薬剤溶液は所定期間の間安定である、付記78に記載の方法。
[付記84]
薬剤溶液は、所定期間の後に薬剤溶液中に残存しているグリコペプチド抗生物質の量を決定することにより実証されるように、所定期間の間安定であり、薬剤溶液中に残存しているグリコペプチド抗生物質の量は、所定のグリコペプチド抗生物質の量と同等又はそれ以上である、付記83に記載の方法。
[付記85]
所定のグリコペプチド抗生物質の量は約85%~100%である、付記84に記載の方法。
[付記86]
所定期間は摂氏約25度で少なくとも約4週間である、付記83に記載の方法。
[付記87]
所定期間は摂氏約25度で最大約24か月である、付記83に記載の方法。
[付記88]
残存しているグリコペプチド抗生物質の量はグリコペプチド抗生物質の検出によって決定される、付記83に記載の方法。
[付記89]
グリコペプチド抗生物質はバンコマイシンである、付記88に記載の方法。
[付記90]
残存しているバンコマイシンの量は1以上のバンコマイシン分解産物の検出によって決定される、付記89に記載の方法。
[付記91]
1以上のバンコマイシン分解産物はDAMSである、付記89に記載の方法。
[付記92]
薬剤溶液は、所定期間の後の薬剤溶液の抗生物質活性レベルを決定することにより実証されるように、所定期間の間安定であり、抗生物質活性レベルは、所定の抗生物質活性レベルと同等又はそれ以上である、付記78に記載の方法。
[付記93]
グリコペプチド抗生物質はバンコマイシンであり、所定の抗生物質活性レベルは、黄色ブドウ球菌のATCC29213、エンテロコッカス・フェカーリスのATCC29212又は肺炎球菌のATCC49619に対する最小発育阻止濃度として表現される、付記92に記載の方法。
[付記94]
抗生物質活性レベルは、臨床・検査標準協会(CLSI)ガイドラインM100-S23/S24;M07-A9に従って決定される、付記93に記載の方法。
[付記95]
所定期間は摂氏約25度で少なくとも約4週間である、付記92に記載の方法。
[付記96]
所定期間は摂氏約25度で最大約24か月である、付記92に記載の方法。
[付記97]
グリコペプチド抗生物質を含んでなる薬剤溶液を安定化するための、N-アセチル-D-アラニン又はN-アセチル-グリシンから選択された添加剤の使用。
[付記98]
添加剤はN-アセチル-D-アラニンである、付記97に記載の使用。
[付記99]
薬剤溶液は非経口投与のために調製されている、付記97に記載の使用。
[付記100]
薬剤溶液は所定期間の間安定である、付記97に記載の使用。
[付記101]
薬剤溶液は、所定期間の後に薬剤溶液中に残存しているグリコペプチド抗生物質の量を決定することにより実証されるように、所定期間の間安定であり、薬剤溶液中に残存しているグリコペプチド抗生物質の量は、所定のグリコペプチド抗生物質の量と同等又はそれ以上である、付記100に記載の使用。
[付記102]
所定のグリコペプチド抗生物質の量は約85%~100%である、付記101に記載の使用。
[付記103]
所定期間は摂氏約25度で少なくとも約4週間である、付記100に記載の使用。
[付記104]
所定期間は摂氏約25度で最大約24か月である、付記100に記載の使用。
[付記105]
残存しているグリコペプチド抗生物質の量はグリコペプチド抗生物質の検出によって決定される、付記101に記載の使用。
[付記106]
グリコペプチド抗生物質はバンコマイシンである、付記105に記載の使用。
[付記107]
残存しているバンコマイシンの量は1以上のバンコマイシン分解産物の検出によって決定される、付記106に記載の使用。
[付記108]
1以上のバンコマイシン分解産物はDAMSである、付記107に記載の使用。
[付記109]
薬剤溶液は、所定期間の後の薬剤溶液の抗生物質活性レベルを決定することにより実証されるように、所定期間の間安定であり、抗生物質活性レベルは、所定の抗生物質活性レベルと同等又はそれ以上である、付記100に記載の使用。
[付記110]
グリコペプチド抗生物質はバンコマイシンであり、所定の抗生物質活性レベルは、黄色ブドウ球菌のATCC29213、エンテロコッカス・フェカーリスのATCC29212又は肺炎球菌のATCC49619に対する最小発育阻止濃度として表現される、付記109に記載の使用。
[付記111]
抗生物質活性レベルは、臨床・検査標準協会(CLSI)ガイドラインM100-S23/S24;M07-A9に従って決定される、付記110に記載の使用。
[付記112]
所定期間は摂氏約25度で少なくとも約4週間である、付記109に記載の使用。
[付記113]
所定期間は摂氏約25度で最大約24か月である、付記109に記載の使用。
[付記114]
安定な水性のバンコマイシン薬剤溶液を製造する方法であって、グリコペプチド抗生物質と、N-アセチル-D-アラニン又はN-アセチル-グリシンから選択された添加剤とを混合するステップを含んでなる方法。
[付記115]
N-アセチル-D-アラニン若しくはN-アセチル-グリシンがグリコペプチド抗生物質を含んでなる溶液に添加されるか、又はグリコペプチド抗生物質がN-アセチル-D-アラニン若しくはN-アセチル-グリシンを含んでなる溶液に添加される、付記114に記載の方法。
[付記116]
N-アセチル-D-アラニンがグリコペプチド抗生物質を含んでなる溶液に添加されるか、又はグリコペプチド抗生物質がN-アセチル-D-アラニンを含んでなる溶液に添加される、付記114に記載の方法。
[付記117]
グリコペプチド抗生物質はバンコマイシンである、付記115又は116に記載の方法。
[付記118]
グリコペプチド抗生物質の濃度は重量体積比で約0.1~20%である、付記114に記載の方法。
[付記119]
アミノ酸を添加するステップをさらに含んでなる、付記114に記載の方法。
[付記120]
アミノ酸は、グリシン、アラニン、セリン、ロイシン、バリン、リジン、アルギニン又はオルニチンから選択される、付記119に記載の方法。
[付記121]
添加剤はN-アセチル-D-アラニンである、付記114に記載の方法。
[付記122]
溶液のpHを約pH3~6に調整するステップをさらに含んでなる、付記114に記載の方法。
[付記123]
溶液のpHは約pH4~5.5に調整される、付記122に記載の方法。
[付記124]
グリコペプチド抗生物質の濃度は重量体積比で約0.5%であり;アミノ酸はL-リジンであり;添加剤はN-アセチル-D-アラニンであって、グリコペプチド抗生物質、アミノ酸及びN-アセチル-D-アラニンは約1:20:30のモル比で存在しており;かつ組成物は約4.5~5.5のpHを有する、付記114に記載の方法。
[付記125]
グリコペプチド抗生物質の濃度は重量体積比で約5%であり;アミノ酸はL-リジンであり;添加剤はN-アセチル-D-アラニンであって、グリコペプチド抗生物質、アミノ酸及びN-アセチル-D-アラニンは約1:2:2のモル比で存在しており;かつ組成物は約4.5~5.5のpHを有する、付記114に記載の方法。
[付記126]
グリコペプチド抗生物質はバンコマイシンである、付記124又は125に記載の方法。
[付記127]
薬剤溶液は非経口投与のために調製される、付記114に記載の方法。
[付記128]
薬剤溶液は所定期間の間安定である、付記114に記載の方法。
[付記129]
薬剤溶液は、所定期間の後に薬剤溶液中に残存しているグリコペプチド抗生物質の量を決定することにより実証されるように、所定期間の間安定であり、薬剤溶液中に残存しているグリコペプチド抗生物質の量は、所定のグリコペプチド抗生物質の量と同等又はそれ以上である、付記128に記載の方法。
[付記130]
所定のグリコペプチド抗生物質の量は約85%~100%である、付記129に記載の方法。
[付記131]
所定期間は摂氏約25度で少なくとも約4週間である、付記128に記載の方法。
[付記132]
所定期間は摂氏約25度で最大約24か月である、付記128に記載の方法。
[付記133]
残存しているグリコペプチド抗生物質の量はグリコペプチド抗生物質の検出によって決定される、付記129に記載の方法。
[付記134]
グリコペプチド抗生物質はバンコマイシンである、付記133に記載の方法。
[付記135]
残存しているバンコマイシンの量は1以上のバンコマイシン分解産物の検出によって決定される、付記134に記載の方法。
[付記136]
1以上のバンコマイシン分解産物はDAMSである、付記135に記載の方法。
[付記137]
薬剤溶液は、所定期間の後の薬剤溶液の抗生物質活性レベルを決定することにより実証されるように、所定期間の間安定であり、抗生物質活性レベルは、所定の抗生物質活性レベルと同等又はそれ以上である、付記114に記載の方法。
[付記138]
グリコペプチド抗生物質はバンコマイシンであり、所定の抗生物質活性レベルは、黄色ブドウ球菌のATCC29213、エンテロコッカス・フェカーリスのATCC29212又は肺炎球菌のATCC49619に対する最小発育阻止濃度として表現される、付記137に記載の方法。
[付記139]
抗生物質活性レベルは、臨床・検査標準協会(CLSI)ガイドラインM100-S23/S24;M07-A9に従って決定される、付記138に記載の方法。
[付記140]
所定期間は摂氏約25度で少なくとも約4週間である、付記137に記載の方法。
[付記141]
所定期間は摂氏約25度で最大約24か月である、付記137に記載の方法。
[付記142]
付記38~42、48又は49のいずれか1項に記載の薬剤溶液を含んでなるキット。
[付記143]
薬剤溶液の保管及び使用のための指示書をさらに含んでなる、付記142に記載のキット。
図1