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特許7032535キナーゼ阻害剤としてのアミノ-フルオロピペリジン誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】キナーゼ阻害剤としてのアミノ-フルオロピペリジン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20220301BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220301BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220301BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20220301BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220301BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20220301BHJP
   A61K 31/52 20060101ALI20220301BHJP
【FI】
C07D487/04 140
C07D487/04 CSP
A61P35/00
A61P29/00
A61P37/06
A61P43/00 107
A61P37/02
A61P43/00 111
A61K31/52
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020532550
(86)(22)【出願日】2018-12-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 KR2018016812
(87)【国際公開番号】W WO2019132560
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-06-12
(31)【優先権主張番号】10-2017-0183060
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508131716
【氏名又は名称】デウン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DAEWOONG PHARMACEUTICAL CO., LTD
【住所又は居所原語表記】35-14,Jeyakgongdan 4-gil,Hyangnam-eup,Hwaseong-si,Gyeonggi-do Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】キム,インウ
(72)【発明者】
【氏名】チョン,スンファン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ナムヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジュンヒ
【審査官】池上 佳菜子
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-526549(JP,A)
【文献】特表2012-526113(JP,A)
【文献】特表2016-539137(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105732637(CN,A)
【文献】特表2015-524468(JP,A)
【文献】特表2013-529630(JP,A)
【文献】特表2016-530335(JP,A)
【文献】国際公開第2017/106771(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/004306(WO,A1)
【文献】Simon Planken et al.,Discovery of N-((3R,4R)-4-Fluoro-1-(6-((3-methoxy-1-methyl-1H-pyrazol-4-yl)amino)-9-methyl-9H-purin-2-yl)pyrrolidine-3-yl)acrylamide(PF-06747775) through Structure-Based Drug Design: A High Affinity Irreversible Inhibitor Targeting Oncogenic EGFR Mutants with Selectivity over Wild-Type EGFR ,Journal of Medicinal Chemistry,2017年,vol.60, no.7,pp.3002-3019
【文献】Wenjun Zhou et al.,Discovery of selective irreversible inhibitors for EGFR-T790M,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2011年,vol.21, no.2,pp.638-643
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で表される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩:
[化学式1]
上記化学式1中、
は、炭素数1~5のアルキル、ハロゲン、またはシアノであり、
Xは、N-R、OまたはSであり、
は、炭素数1~5のアルキル、炭素数1~5のハロアルキル、または炭素数3~6のシクロアルキルである。
【請求項2】
は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、臭素、塩素、フッ素、またはシアノである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項4】
上記化学式1で表される化合物は、
1)1-((3S,4R)-3-(5-クロロ-2-(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)-4-フルオロピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、
2)1-((3S,4R)-3-(5-クロロ-2-(1-(2,2-ジフルオロエチル)-1H-ピラゾール-4-イルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)-4-フルオロピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、
3)1-((3S,4R)-3-(5-クロロ-2-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)-4-フルオロピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、
4)1-((3S,4R)-3-(5-クロロ-2-(イソオキサゾール-4-イルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)-4-フルオロピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、
5)1-((3S,4R)-3-(5-クロロ-2-(イソチアゾール-4-イルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)-4-フルオロピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、
6)4-((3S,4R)-1-アクリロイル-4-フルオロピペリジン-3-イルアミノ)-2-(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボニトリル、
7)4-((3S,4R)-1-アクリロイル-4-フルオロピペリジン-3-イルアミノ)-2-(1-(2,2-ジフルオロエチル)-1H-ピラゾール-4-イルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボニトリル、
8)4-((3S,4R)-1-アクリロイル-4-フルオロピペリジン-3-イルアミノ)-2-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボニトリル、
9)4-((3S,4R)-1-アクリロイル-4-フルオロピペリジン-3-イルアミノ)-2-(イソオキサゾール-4-イルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボニトリル、
10)1-((3S,4R)-3-(2-(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イルアミノ)-5-メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)-4-フルオロピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、
11)1-((3S,4R)-4-フルオロ-3-(2-(イソオキサゾール-4-イルアミノ)-5-メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、および
12)1-((3S,4S)-3-((5-クロロ-2-((1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-4-フルオロピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オンで構成される群から選択されるいずれか一つであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を含む、炎症性疾患、自己免疫疾患、増殖性疾患、過剰増殖性疾患、免疫介在性疾患、癌、または腫瘍の予防または治療用薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キナーゼ阻害能を有するアミノ-フルオロピペリジン誘導体、その製造方法およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質キナーゼ(kinase)は、他のタンパク質の特定残基のリン酸化を触媒する酵素であって、細胞外シグナルを核に伝達(transduction)するシグナル伝達経路において核心的な役割を果たし、生体内の様々な疾患に関与する。炎症性疾患(inflammatory disease)、自己免疫疾患(autoimmune disease)、増殖性疾患または過剰増殖性疾患、および/または免疫介在性疾患(immunity mediated disease)の発病にあたって、T細胞(またはTリンパ球)およびB細胞(またはBリンパ球)が核心的な役割を果たすという様々な証拠がある。
【0003】
ヤヌスキナーゼ(Janus kinase、以下、‘JAK’という)は、リンパ造血系で細胞機能を調節するにあたって、中枢的役割を果たす細胞質タンパク質チロシンキナーゼである。サイトカインは、炎症と免疫、および正常的な細胞機能を調節するのに重要な役割を果たすことが知られており、JAKは、チロシンリン酸化反応によりSTAT(Signal Transducer and activator of Transcription、シグナル伝達兼転写活性化因子)タンパク質を活性化させてサイトカインに速やかにシグナル伝達経路を提供する。JAK/STATシグナル伝達が、アレルギー、喘息、自己免疫疾患(例えば、移植拒絶反応、関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症など)、固形癌、血液癌(例えば、白血病、リンパ腫など)に関連していることが知られている。
【0004】
JAKファミリーは、JAK1、JAK2、JAK3、およびTYK2の4種類に区分される。JAKファミリーのメンバーは、互いにペアになって互いに異なるサイトカインのシグナル伝達を媒介する。造血成長因子シグナル伝達に関連するJAK2およびJAK1を含み、JAK2と組み合わせるTYK2は、インターフェロンのシグナル伝達に重要で、宿主の耐性に寄与する。JAK2は、特に造血成長因子シグナルに関与して過度な阻害時に貧血(anemia)、血小板減少症(thrombocytopenia)、白血球減少症(leucopenia)を誘発させることができる。
【0005】
JAK1、JAK2、TYK2は発現が均一に分布して発見されるのに反して、JAK3の発現はリンパ細胞に制限され、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-15、IL-21受容体の構成体である共通ガンマ鎖(common gamma chain)のシグナル伝達、特にIL-2ファミリーの一般的なγ鎖と関連している。サイトカインが結合するやいなや受容体は近くに隣接したJAK3を運び、これはβ鎖のC末端の自己リン酸化(autophosphorylation)を誘発する。結果的に、これは核にシグナルを再転送する重要な段階であるSTATタンパク質の活性化を誘発する。JAK3は、このような過程を通して多様なサイトカインのシグナル経路を統制することになる。これは、JAK3を免疫抑制のための魅力的な標的に作る。
【0006】
B細胞は、自己免疫および/または炎症性疾患の発病にあたり、核心的な役割を果たす。B細胞を減少させるタンパク質系治療剤、例えばリツキサン(Rituxan)は、自己抗体-誘導された炎症性疾患、例えば関節リウマチに効果的である。したがって、B細胞活性化において役割を果たすタンパク質キナーゼ抑制剤は、B細胞-媒介される疾患の病症、例えば、自己抗体産生に対する有用な治療剤である。
【0007】
B細胞受容体(BCR)を介したシグナル伝達は、増殖および成熟する抗体産生細胞への分化を含む多様なB細胞反応を制御する。BCRは、B細胞活性に対する核心調節要素であり、異常なシグナル伝達は、多数の自己免疫および/または炎症性疾患を引き起こす病原性自己抗体の形成および脱調節されたB細胞増殖を引き起こすことができる。
【0008】
ブルトン型チロシンキナーゼ(Bruton’s tyrosine kinase、以下、‘BTK’という)は、B-細胞発生、活性化、シグナル化および生存の核心な調節因子である。BTKは、多様な細胞外リガンドをこれらの細胞表面受容体に結合させることにより開始されるシグナル伝達経路に参加する。B細胞抗原受容体(BCR)の結紮に続き、タンパク質チロシンキナーゼLynおよびSykの一致した作用によるBTKの活性がホスホリパーゼC-γ2媒介によるカルシウム動員の誘導のために要求される。したがって、BTKの抑制は、B-細胞媒介疾患の発病過程を遮断するのに有用な治療的接近であり得る。
【0009】
上記のように、ヤヌスキナーゼおよびTEC系キナーゼは、炎症性疾患、自己免疫疾患、増殖性疾患または過剰増殖性疾患、および免疫介在性疾患の発病に関与するT-細胞および/またはB-細胞の活性化に重要な役割を果たしているので、これらを効果的に抑制する物質の開発は関連治療剤として有用である。治療および予防可能な疾患としては、具体的には、癌、移植拒絶反応、多発性硬化症、関節リウマチ、乾癬性関節炎、乾癬、喘息、アレルギー性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、湿疹、I型糖尿病、糖尿病の合併症、潰瘍性大膓炎、クローン病、自己免疫甲状腺障害、全身性脱毛、シェーグレン症候群などがある。
【0010】
現在、JAK3キナーゼ阻害剤として、ファイザー(Pfizer)社のトファシチニブ(tasocitinib、CP-690550)が関節リウマチに対して承認され市販されている。また、BTKキナーゼ阻害剤として、ファーマサイクリクス(Pharmacyclics)社のイブルチニブ(ibrutinib、PCI-32765)が臨床の段階にあるが、臨床で深刻な皮膚発疹および下痢などの副作用が報告されている。したがって、より安定的かつ効果的にJAKおよび/またはBTKを阻害する物質の開発が要求される状況にある(Nat Rev Rheumatol.2009 Jun 5(6)317-24;Expert Opin Investig Drugs.2014 Aug 23(8)1067-77;Drug Discov Today 2014 Aug 19(8)1200-4;WO 2002/096909;WO 2010-009342参照)。
【0011】
そこで、本発明は、キナーゼ阻害剤として優れた阻害能を有する新規なアミノ-フルオロピペリジン誘導体を確認して発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、キナーゼ、特にチロシンキナーゼに対する阻害能を有する化合物、その製造方法およびその用途を提供する。
【0013】
また、本発明は、前記アミノ-フルオロピペリジン誘導体を有効性分として含む薬学的組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するために、本発明は、下記化学式1で表される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を提供する:
[化学式1]
上記化学式1中、
は、炭素数1~5のアルキル、ハロゲン、またはシアノであり、
Xは、N-R、OまたはSであり、
は、炭素数1~5のアルキル、炭素数1~5のハロアルキル、または炭素数3~6のシクロアルキルである。
【0015】
好ましくは、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、臭素、塩素、フッ素、またはシアノである。
【0016】
好ましくは、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルである。
【0017】
上記化学式1で表される化合物の代表的な例は、下記の通りである:
1)1-((3S,4R)-3-(5-クロロ-2-(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)-4-フルオロピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、
2)1-((3S,4R)-3-(5-クロロ-2-(1-(2,2-ジフルオロエチル)-1H-ピラゾール-4-イルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)-4-フルオロピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、
3)1-((3S,4R)-3-(5-クロロ-2-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)-4-フルオロピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、
4)1-((3S,4R)-3-(5-クロロ-2-(イソオキサゾール-4-イルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)-4-フルオロピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、
5)1-((3S,4R)-3-(5-クロロ-2-(イソチアゾール-4-イルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)-4-フルオロピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、
6)4-((3S,4R)-1-アクリロイル-4-フルオロピペリジン-3-イルアミノ)-2-(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボニトリル、
7)4-((3S,4R)-1-アクリロイル-4-フルオロピペリジン-3-イルアミノ)-2-(1-(2,2-ジフルオロエチル)-1H-ピラゾール-4-イルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボニトリル、
8)4-((3S,4R)-1-アクリロイル-4-フルオロピペリジン-3-イルアミノ)-2-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボニトリル、
9)4-((3S,4R)-1-アクリロイル-4-フルオロピペリジン-3-イルアミノ)-2-(イソオキサゾール-4-イルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボニトリル、
10)1-((3S,4R)-3-(2-(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イルアミノ)-5-メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)-4-フルオロピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、
11)1-((3S,4R)-4-フルオロ-3-(2-(イソオキサゾール-4-イルアミノ)-5-メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン、および
12)1-((3S,4S)-3-((5-クロロ-2-((1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-4-フルオロピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン。
【0018】
また、本発明の化合物は塩、特に薬学的に許容可能な塩の形態で存在可能である。塩としては、薬学的に許容可能な遊離酸(free acid)によって形成された酸付加塩のように、当業界で通常使用される塩を制限なしに使用することができる。本発明での用語「薬学的に許容可能な塩」とは、患者に比較的非毒性で無害の有効作用を有する濃度であって、該塩に起因した副作用が化学式1で表される化合物の有益な効能を低下させない前記化合物の任意のすべての有機または無機付加塩を意味する。
【0019】
無機酸または有機酸を使用して通常の方法で薬学的に許容可能な塩を得ることができる。例えば、上記化学式1で表される化合物を水混和性有機溶媒、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、またはアセトニトリルに溶解させ、有機酸または無機酸を加えて沈殿した結晶をろ過して製造、乾燥させて薬学的に許容可能な塩を得ることができる。または酸が付加した反応混合物で溶媒や過剰の酸を減圧して、残渣を乾燥させて製造したり、または他の有機溶媒を加えて析出した塩をろ過して製造することができる。このとき、好ましい塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、燐酸、硝酸、酢酸、グリコール酸、乳酸、ピルピン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、リンゴ酸、マンデル酸、タルタル酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、ケイ皮酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、またはトルエンスルホン酸などから誘導された塩が挙げられる。
【0020】
薬学的に許容可能でない、化学式1で表される化合物の塩または溶媒和物は、化学式1で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、または溶媒和物の製造において中間体として用いることができる。
【0021】
本発明の上記化学式1で表される化合物は、その薬学的に許容可能な塩だけでなく、これから製造できる、可能な溶媒和物および水和物を全て含み、可能なすべての立体異性体も含む。上記化学式1で表される化合物の溶媒和物、水和物および立体異性体は、通常の方法を用いて、化学式1で表される化合物から製造して使用することができる。
【0022】
また、本発明に係る化学式1で表される化合物は、結晶形態または非結晶形態で製造され得、化学式1で表される化合物が結晶形態で製造される場合、任意の水和または溶媒和され得る。本発明では、化学式1で表される化合物の化学量論的水和物だけでなく、多様な量の水を含む化合物が含まれ得る。本発明に係る化学式1で表される化合物の溶媒和物は、化学量論的溶媒和物および非化学量論的溶媒和物の両方を含む。
【0023】
さらに、本発明は、一例として、下記反応式1により上記化学式1で表される化合物を製造することができる。
[反応式1]
(上記反応式1中、RおよびXは先に定義した通りであり、Zはハロゲンであり、好ましくは、Zはクロロである。)
【0024】
前記段階iは、化学式1-1で表される化合物と化学式1-2で表される化合物を反応させて化学式1-3で表される化合物を製造する段階である。前記反応は、ジイソプロピルエチルアミンの存在下で常温~高温で反応させることが好ましく、溶媒はエタノールが好ましい。
【0025】
前記段階iiは、化学式1-3で表される化合物の保護基を除去する反応で化学式1-4で表される化合物を製造する段階である。前記反応は、塩酸条件(好ましくは、6N塩酸条件)下で反応させることが好ましく、溶媒としてはメタノールが好ましい。
【0026】
前記段階iiiは、化学式1-4で表される化合物を塩化アシルと反応させて化学式1-5で表される化合物を製造する段階である。前記反応は、トリエチルアミンまたは炭酸水素ナトリウム条件下で-20℃~0℃で反応させることが好ましい。また、溶媒としてはジクロロメタンまたはテトラヒドロフランと水の混合液が好ましい。
【0027】
前記段階ivは、上記化学式1-5で表される化合物をアミンと反応させて化学式1で表される化合物を製造する段階である。前記反応は、トリフルオロ酢酸の条件下で高温で反応させることが好ましく、溶媒としては2-ブタノールが好ましい。
【0028】
また、上記反応式1のように、化学式1-3で表される化合物から化学式1-6で表される化合物、化学式1-7で表される化合物および化学式1で表される化合物の順に製造することもでき、それぞれの段階iv、iiおよびiiiは反応物を除いては、先に説明した通りである。
【0029】
また、本発明は、上記化学式1で表される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物または異性体を有効性分として含むキナーゼ阻害作用が有益な疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0030】
この時、前記キナーゼ阻害作用が有益な疾患は、炎症性疾患、自己免疫疾患、増殖性疾患、過剰増殖性疾患、免疫介在性疾患、癌、または腫瘍などを含む。
【0031】
本発明での用語「予防」は、本発明の組成物の投与で前記疾患の発生、拡散および再発を抑制または遅延させるすべての行為を意味し、本発明での用語「治療」は、本発明の組成物の投与で前記疾患の症状が好転または有益に変わる全ての行為を意味する。
【0032】
本発明に係る薬学的組成物は、標準薬学的実施により経口または非経口投与形態に剤形化することができる。これらの剤形は、有効成分のほか、薬学的に許容可能な担体、補助剤、または稀釈液などの添加物を含有することができる。
【0033】
適当な担体としては、例えば、生理食塩水、ポリエチレングリコール、エタノール、植物性オイル、およびイソプロピルミリステートなどがあり、稀釈液としては、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、および/またはグリシンなどがあるが、これらに限定されるものではない。また、本発明の化合物は、注射溶液の製造に通常使用されるオイル、プロピレングリコール、または他の溶媒に溶解させることができる。さらに、局所作用のために、本発明の化合物を軟膏やクリームに剤形化することができる。
【0034】
本発明に係る化合物の薬学的投与形態は、これらの薬学的に許容可能な塩または溶媒和物の形態に用いることもでき、また、単独でまたは他の薬学的活性化合物と結合だけでなく、適当な組み合わせで用いることができる。
【0035】
本発明に係る化合物は、通常の生理食塩水、5%デキストロースなどの水溶性溶媒、または合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸のエステルまたはプロピレングリコールなどの非水溶性溶媒に化合物を溶解、懸濁、または乳化させることで注射剤として剤形化することができる。本発明の剤形は、溶解剤、等張化剤(isotonic agents)、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤および防腐剤などの通常の添加剤を含むことができる。
【0036】
本発明に係る化合物の好ましい投与量は、患者の状態および体重、疾病の程度、薬物の形態、投与経路および期間に応じて異なるが、当業者によって適宜選択可能である。しかし、望ましい効果のために、本発明に係る化合物を、1日0.0001~100mg/kg(体重)、好ましくは0.001~100mg/kg(体重)で投与するのが良い。投与は、1日1回または分割して、経口または非経口的経路を通して投与される。投与方法により、組成物は、本発明に係る化合物を0.001~99重量%、好ましくは0.01~60重量%含有することができる。
【0037】
本発明の薬学的組成物は、ネズミ、ハツカネズミ、家畜、および人間などをはじめとする哺乳動物に多様な経路で投与される。投与のすべての方式は予想可能であるが、例えば、経口、直腸または静脈、筋肉、皮下、子宮内硬膜、または脳血管(intracerbroventricular)注射によって投与される。
【発明の効果】
【0038】
本発明の化学式1で表される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物または異性体は、キナーゼ阻害作用が有益な疾患の予防または治療に有用に使用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、下記の実施例によって本発明をより詳細に説明する。但し、下記の実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれらにのみ限定されるものではない。
【0040】
実施例1:1-((3S,4R)-3-((5-クロロ-2-((1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-4-フルオロピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オンの製造
段階1)tert-ブチル(3S,4R)-3-((2,5-ジクロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-4-フルオロピペリジン-1-カルボキシレートの製造
2,4,5-トリクロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン(2.0g、9.0mmol)をエタノール(10.0mL)に溶かした後、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(4.8mL、28.0mmol)とtert-ブチル(3S,4R)-3-アミノ-4-フルオロピペリジン-1-カルボキシレート(2.0g、9.0mmol)を加えた。反応物を110℃で24時間攪拌した。酢酸エチルを加えた後、蒸留水を加えて有機層を分離した。硫酸マグネシウムで処理してろ過した後、減圧濃縮した。残渣物をカラムクロマトグラフィーで分離して、表題化合物1.8g(収率:45.9%)を得た。
1H NMR(500MHz、CDOD)δ7.12(s、1H)、6.35-6.33(m、1H)、5.08-4.98(m、1H)、4.52-4.49(m、1H)、4.02-4.00(m、1H)、3.75-3.73(m、1H)、3.44-3.42(m、1H)、2.09-1.46(m、2H)、1.41(s、9H)
【0041】
段階2)2,5-ジクロロ-N-((3S,4R)-4-フルオロピペリジン-3-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミンの製造
tert-ブチル(3S,4R)-3-((2,5-ジクロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-4-フルオロピペリジン-1-カルボキシレート(1.8g、4.4mmol)に、メタノールに溶かしている6N塩酸溶液(180.0mL、過剰)を入れた。室温で30分間攪拌した後、反応物を濃縮した後、分離せず、次の反応を行った。
【0042】
段階3)1-((3S,4R)-3-((2,5-ジクロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-4-フルオロピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オンの製造
2,5-ジクロロ-N-((3S,4R)-4-フルオロピペリジン-3-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン(1.3g、4.0mmol)と、重炭酸ナトリウム(1.8g、22.0mmol)にテトラヒドロフラン/蒸留水(5.0mL/1.0mL)に溶解した後、0℃でアクリロイルクロリド(355.0uL、4.0mmol)を加えた。反応物を0℃で1時間攪拌した。酢酸エチルを加えた後、蒸留水を加えて有機層を分離した。硫酸マグネシウムで処理してろ過した後、減圧濃縮した。残渣物をカラムクロマトグラフィーで分離して、表題化合物1.1g(収率:67.5%)を得た。
1H NMR(500MHz、CDOD)δ7.14(s、1H)、6.92-6.87(m、1H)、6.25-6.22(m、1H)、5.78-5.76(m、1H)、5.17-5.03(m、1H)、4.60-4.28(m、3H)、3.49-3.44(m、1H)、3.23-3.20(m、1H)、2.17-2.15(m、1H)、2.01-1.94(m、1H)
【0043】
段階4)1-((3S,4R)-3-((5-クロロ-2-((1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-4-フルオロピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オンの製造
1-((3S,4R)-3-((2,5-ジクロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-4-フルオロピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン(1.0g、2.8mmol)と1-エチル-1H-ピラゾール-4-アミン(238.7mg、2.1mmol)を2-ブタノール(10.0mL)に溶かした。前記反応物にトリフルオロ酢酸(197.3mL、2.6mmol)を加えた後、110℃で12時間反応させた後、溶媒を濃縮した。前記反応物をメタノールに溶かしている7Nアンモニア溶液を加えて中和させた後、残渣物をカラムクロマトグラフィーで分離して、表題化合物179.0mg(収率:19.3%)を得た。
1H NMR(500MHz、CDOD)δ7.96-7.91(m、1H)、7.53-7.48(m、1H)、6.84-6.62(m、2H)、6.30-6.14(m、1H)、5.81-5.61(m、1H)、5.12-5.02(m、1H)、4.55-4.41(m、1H)、4.24-4.01(m、4H)、3.53-3.41(m、1H)、3.25-2.95(m、1H)、2.20-2.17(m、1H)、1.99-1.84(m、1H)、1.44-1.39(m、3H)
【0044】
実施例2:1-((3S,4R)-3-(5-クロロ-2-(1-(2,2-ジフルオロエチル)-1H-ピラゾール-4-イルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)-4-フルオロピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オンの製造
前記実施例1で1-エチル-1H-ピラゾール-4-アミンの代わりに1-(2,2-ジフルオロエチル)-1H-ピラゾール-4-アミンを使用したことを除いて、前記実施例1と同様の工程で、表題化合物29.3mg(収率:57.1%)を得た。
1H NMR(500MHz、CDOD)δ8.10-7.99(m、1H)、7.62-7.51(m、1H)、6.84-6.61(m、2H)、6.29-6.13(m、1H)、5.82-5.60(m、1H)、5.12-5.02(m、1H)、4.55-4.41(m、3H)、4.23-4.02(m、1H)、3.52-3.40(m、1H)、3.26-2.95(m、1H)、2.22-2.11(m、1H)、1.99-1.86(m、1H)、1.32-1.28(m、2H)
【0045】
実施例3:1-((3S,4R)-3-(5-クロロ-2-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)-4-フルオロピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オンの製造
前記実施例1で1-エチル-1H-ピラゾール-4-アミンの代わりに1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-アミンを使用したことを除いて、前記実施例1と同様の工程で、表題化合物7.3mg(収率:13.3%)を得た。
1H NMR(500MHz、CDOD)δ7.99-7.96(m、1H)、7.50-7.48(m、1H)、6.85-6.61(m、2H)、6.29-6.15(m、1H)、5.81-5.63(m、1H)、5.14-5.04(m、1H)、4.58-4.42(m、1H)、4.27-4.01(m、1H)、3.57-3.46(m、2H)、3.26-2.97(m、1H)、2.20-2.17(m、1H)、2.01-1.98(m、1H)、1.94-1.60(m、1H)、1.04-0.89(m、4H)
【0046】
実施例4:1-((3S,4R)-3-(5-クロロ-2-(イソオキサゾール-4-イルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)-4-フルオロピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オンの製造
前記実施例1で1-エチル-1H-ピラゾール-4-アミンの代わりにイソオキサゾール-4-アミンを使用したことを除いて、前記実施例1と同様の工程で、表題化合物18.7mg(収率:24.1%)を得た。
1H NMR(500MHz、CDOD)δ9.08-8.99(m、1H)、8.51-8.40(m、1H)、6.89-6.66(m、2H)、6.33-6.09(m、1H)、5.85-5.60(m、1H)、5.15-4.98(m、1H)、4.62-4.28(m、1H)、4.27-3.96(m、2H)、3.58-3.38(m、1H)、3.09-2.65(m、1H)、2.25-2.08(m、1H)、1.97-1.78(m、1H)
【0047】
実施例5:1-((3S,4R)-3-(5-クロロ-2-(イソチアゾール-4-イルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)-4-フルオロピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オンの製造
前記実施例1で1-エチル-1H-ピラゾール-4-アミンの代わりにイソチアゾール-4-アミンを使用したことを除いて、前記実施例1と同様の工程で、表題化合物7.3mg(収率:40.3%)を得た。
1H NMR(500MHz、CDOD)δ9.00-8.85(m、1H)、8.65-8.55(m、1H)、7.15-6.65(m、2H)、6.35-6.10(m、1H)、5.85-5.60(m、1H)、5.20-5.05(m、1H)、4.65-4.00(m、3H)、3.60-3.40(m、1H)、3.10-3.00(m、1H)、2.10-1.90(m、1H)、1.65-1.55(m、1H)
【0048】
実施例6:4-((3S,4R)-1-アクリロイル-4-フルオロピペリジン-3-イルアミノ)-2-(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボニトリルの製造
前記実施例1で2,4,5-トリクロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジンの代わりに2,4-ジクロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボニトリルを使用したことを除いて、前記実施例1と同様の工程で、表題化合物2.8mg(収率:23.1%)を得た。
1H NMR(500MHz、CDOD)δ8.00-7.90(m、1H)、7.60-7.50(m、2H)、6.90-6.60(m、1H)、6.30-6.10(m、1H)、5.82-5.60(m、1H)、5.20-5.00(m、1H)、4.60-4.45(m、1H)、4.30-4.00(m、3H)、3.60-3.40(m、1H)、2.25-2.10(m、1H)、2.08-1.85(m、2H)、1.63-1.52(m、1H)、1.45-1.38(m、3H)
【0049】
実施例7:4-((3S,4R)-1-アクリロイル-4-フルオロピペリジン-3-イルアミノ)-2-(1-(2,2-ジフルオロエチル)-1H-ピラゾール-4-イルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボニトリルの製造
前記実施例1で2,4,5-トリクロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジンの代わりに2,4-ジクロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボニトリルを使用し、1-エチル-1H-ピラゾール-4-アミンの代わりに1-(2,2-ジフルオロエチル)-1H-ピラゾール-4-アミンを使用したことを除いて、前記実施例1と同様の工程で、表題化合物5.6mg(収率:42.4%)を得た。
1H NMR(500MHz、CDOD)δ8.17-7.97(m、1H)、7.70-7.50(m、2H)、6.90-6.60(m、1H)、6.33-5.98(m、2H)、5.82-5.60(m、1H)、5.20-5.00(m、1H)、4.60-4.40(m、3H)、4.30-3.00(m、3H)、2.25-2.10(m、1H)、2.02-1.85(m、1H)、1.65-1.50(m、1H)
【0050】
実施例8:4-((3S,4R)-1-アクリロイル-4-フルオロピペリジン-3-イルアミノ)-2-(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-イルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボニトリルの製造
前記実施例1で2,4,5-トリクロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジンの代わりに2,4-ジクロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボニトリルを使用し、1-エチル-1H-ピラゾール-4-アミンの代わりに1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-4-アミンを使用したことを除いて、前記実施例1と同様の工程で、表題化合物4.1mg(収率:32.8%)を得た。
1H NMR(500MHz、CDOD)δ8.05-7.97(m、1H)、7.60-7.50(m、2H)、6.90-6.60(m、1H)、6.30-6.10(m、1H)、5.82-5.60(m、1H)、5.20-5.00(m、1H)、4.62-4.40(m、1H)、4.30-4.00(m、1H)、3.60-3.30(m、2H)、3.10-3.00(m、1H)、2.30-2.10(m、1H)、2.05-1.95(m、1H)、1.65-1.55(m、1H)、1.08-0.93(m、4H)
【0051】
実施例9:4-((3S,4R)-1-アクリロイル-4-フルオロピペリジン-3-イルアミノ)-2-(イソオキサゾール-4-イルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボニトリルの製造
前記実施例1で2,4,5-トリクロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジンの代わりに2,4-ジクロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボニトリルを使用し、1-エチル-1H-ピラゾール-4-アミンの代わりにイソオキサゾール-4-アミンを使用したことを除いて、前記実施例1と同様の工程で、表題化合物11.5mg(収率:12.2%)を得た。
1H NMR(500MHz、CDOD)δ9.10-9.00(m、1H)、8.50-8.40(m、1H)、7.63-7.55(m、1H)、6.90-6.65(m、1H)、6.30-6.10(m、1H)、5.85-5.60(m、1H)、5.20-5.05(m、1H)、4.65-4.00(m、3H)、3.65-3.00(m、2H)、2.10-1.90(m、1H)、1.65-1.50(m、1H)
【0052】
実施例10:1-((3S,4R)-3-(2-(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イルアミノ)-5-メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)-4-フルオロピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オンの製造
前記実施例1で2,4,5-トリクロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジンの代わりに2,4-ジクロロ-5-メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジンを使用したことを除いて、前記実施例1と同様の工程で、表題化合物13.8mg(収率:41.4%)を得た。
1H NMR(500MHz、CDOD)δ8.00-7.85(m、1H)、7.50-7.40(m、1H)、6.90-6.60(m、1H)、6.52(s、1H)、6.33-6.13(m、1H)、5.85-5.60(m、1H)、5.20-5.02(m、1H)、4.55-4.40(m、1H)、4.15-4.00(m、3H)、3.55-3.40(m、1H)、3.30-2.98(m、1H)、2.40-2.30(m、3H)、2.25-1.55(m、3H)、1.45-1.32(m、3H)
【0053】
実施例11:1-((3S,4R)-4-フルオロ-3-(2-(イソオキサゾール-4-イルアミノ)-5-メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オンの製造
前記実施例1で2,4,5-トリクロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジンの代わりに2,4-ジクロロ-5-メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジンを使用し、1-エチル-1H-ピラゾール-4-アミンの代わりにイソオキサゾール-4-アミンを使用したことを除いて、前記実施例1と同様の工程で、表題化合物10.4mg(収率:13.5%)を得た。
1H NMR(500MHz、CDOD)δ9.10-9.00(m、1H)、8.50-8.40(m、1H)、6.95-6.68(m、1H)、6.60-6.52(m、1H)、6.33-6.13(m、1H)、5.85-5.60(m、1H)、5.20-5.02(m、1H)、4.55-4.40(m、1H)、4.35-4.00(m、2H)、3.60-3.40(m、1H)、3.10-3.00(m、1H)、2.36(s、3H)、2.10-1.95(m、2H)
【0054】
実施例12:1-((3S,4S)-3-((5-クロロ-2-((1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)アミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)-4-フルオロピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オンの製造
前記実施例1でtert-ブチル(3S,4R)-3-アミノ-4-フルオロピペリジン-1-カルボキシレートの代わりにtert-ブチル(3S,4S)-3-アミノ-4-フルオロピペリジン-1-カルボキシレートを使用したことを除いて、前記実施例1と同様の工程で、表題化合物14.4mg(収率:15.5%)を得た。
1H NMR(500MHz、CDOD)δ7.95-7.88(m、1H)、7.55-7.48(m、1H)、6.88-6.60(m、2H)、6.30-6.15(m、1H)、5.85-5.60(m、1H)、5.15-4.97(m、1H)、4.60-4.35(m、1H)、4.15-4.05(m、2H)、4.04-3.92(m、1H)、3.90-3.65(m、2H)、2.20-1.80(m、3H)、1.48-1.35(m、3H)
【0055】
実験例1:JAK3およびBTK酵素の活性阻害試験
前記実施例で製造した化合物に対し、ADPグロー(Glo)プラットフォーム上の試験管内分析によりJAK3およびBTKキナーゼに対する阻害活性を測定した。
【0056】
具体的には、JAK3およびBTKキナーゼに対する阻害活性の測定は、JAK3キナーゼアッセイキット(Promega社製、V9441)およびBTKキナーゼアッセイキット(Promega社製、V9071)を使用し、プロメガ(Promega)社から購入した。組換え精製ヒトJAK3およびBTKを1xキナーゼ反応緩衝液(JAK3:40mM Tris-Cl、pH7.5、20mM MgCl、0.1mg/mL BSAおよび50uM DTT/BTK:40mM Tris-Cl、pH7.5、20mM MgCl、0.1mg/mL BSA、2mM MnClおよび50uM DTT)で薄めて(JAK3:反応当たりの最終濃度4ng/BTK:反応当たりの最終濃度8ng)、96ウェルプレートで添加した。先に製造した実施例の化合物は、最終的に1%DMSO水溶液となるように処理し、総量25uLの反応物のうち、ATP(JAK3:最終濃度5uM/BTK:最終濃度10uM)および0.2ug/ulのPoly(Glu4、Tyr1)peptide(JAK3およびBTKの最終濃度)を含有する基質カクテルを96ウェルプレートで添加することによって、酵素的反応を開始させた。1時間の恒温処理(30℃)後、同等の体積(反応当たり25uL)のADPグロー(Glo)を添加し、室温で40分間恒温処理(30℃)した。次に、キナーゼ検出試薬(反応当たり50uL)を添加し、室温で30分間恒温処理(30℃)した。ADPグロー(Glo)キナーゼアッセイキット説明書で化学発光法によってキナーゼ活性を測定し、本発明に係る化合物の阻害活性を計算した。各化合物の結果分析はマイクロソフトアクセルを使用し、IC50値は、シグマプロット(SigmaPlot)ソフトウェアを使用して計算し、前記結果を下記表1に示す。また、比較のために、TofacitinibおよびIbrutinibも同様の方法で評価した。
【表1】
【0057】
実験例2:JAK3-Mediated Cell Assay(HT-2/IL-2 Assay)
前記実施例で得られた化合物に対し、HT-2細胞でIL-2刺激により誘導されるSTAT5リン酸化の試験管内分析により細胞水準でのJAK3キナーゼに対する阻害活性を測定した。具体的には、STAT5リン酸化分析は、HTRF(登録商標)phospho-STAT5(Tyr694)アッセイキット(Cisbio社製、64AT5PEG)を使用し、シスバイオ(Cisbio)社から購入した。HT-2細胞を成長因子のない培地で2時間培養した。培養されたHT-2細胞は、96ウェルプレートで2.5x10cells/wellの密度になるように50ulずつ分注した。先に製造した実施例の化合物は、最終的に0.3%DMSO水溶液になるように製造して、HT-2細胞で30分間処理した。化合物を処理した後、IL-2を最終的に20ng/mlの濃度になるように製造して、HT-2細胞で10分間処理した。次いで、lysisバッファーを30分間処理して細胞を破砕した。HTRF(登録商標)phospho-STAT5アッセイキット説明書によりSTAT5リン酸化程度を測定し、本発明に係る化合物の阻害活性を計算した。各化合物の結果分析はマイクロソフトアクセルを使用し、IC50値は、シグマプロット(SigmaPlot)ソフトウェアを使用して計算した。
【表2】