(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】搬送システム及びそれを備えた合成システム
(51)【国際特許分類】
B29B 7/90 20060101AFI20220301BHJP
B29C 31/10 20060101ALI20220301BHJP
B29C 70/54 20060101ALI20220301BHJP
B29K 105/12 20060101ALN20220301BHJP
【FI】
B29B7/90
B29C31/10
B29C70/54
B29K105:12
(21)【出願番号】P 2020552756
(86)(22)【出願日】2018-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2018058351
(87)【国際公開番号】W WO2019185169
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】511312997
【氏名又は名称】トヨタ モーター ヨーロッパ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン タション
(72)【発明者】
【氏名】小野地 裕策
【審査官】▲来▼田 優来
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-203485(JP,A)
【文献】特表2015-505714(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第02529824(FR,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02939960(EP,A1)
【文献】特開2006-056188(JP,A)
【文献】独国特許発明第03600566(DE,C1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B7/90
B29C31/00-31/10,45/18,48/285,70/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送システム(10)と合成ユニット(102)とを具備する合成システムであって、
前記搬送システム(10)は、
搬送チャネル(12)と、
強化材供給開口部(32)で前記搬送チャネル(12)に接続され、強化材料を前記搬送チャネル(12)に供給するように構成される強化材供給ダクト(30)と、
前記強化材供給開口部(32)の上流側で前記強化材供給ダクト(30)に接続される第2のダクト(42)と、
前記強化材料を前記搬送チャネル(12)に向かって押し込むために前記強化材供給ダクト(30)内にブロー(B)を提供するように構成されるブロワー(40)と、
を備
え、
前記強化材料は、繊維であり、
前記ブロワー(40)は、前記第2のダクト(42)に前記ブロー(B)を提供するように配置され、
前記搬送システム(10)は、前記合成ユニット(102)において母材と合成するための前記強化材料を搬送するように構成され、
前記搬送チャネルは、前記強化材料の搬送を容易にするために、少なくとも1つの搬送要素(14)を備える、
合成システム。
【請求項2】
前記ブロー(B)は大気圧より高圧である、請求項1に記載の
合成システム。
【請求項3】
前記第2のダクト(42)は、前記強化材供給開口部(32)に方向づけられた出口部分(44)を有する、
請求項1または2に記載の合成システム。
【請求項4】
前記強化材供給ダクト(30)の少なくとも一部に延在するスクリューシャフト(34)を備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の合成システム。
【請求項5】
前記強化材供給ダクト(30)の一部に延在するスクリューシャフト(34)を備え、前記スクリューシャフト(34)の下流端(34a)は、前記第2のダクト(42)と前記強化材供給ダクト(30)との間の接続領域の上流に配置される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の合成システム。
【請求項6】
前記強化材供給ダクト(30)は、振動するように構成された振動部(36)を備える、
請求項1から5のいずれか1項に記載の合成システム。
【請求項7】
前記強化材供給ダクト(30)に前記強化材料を投入するための孔を封止するように構成されるカバー(38)をさらに備える、
請求項1から6のいずれか1項に記載の合成システム。
【請求項8】
前記強化材供給ダクト(30)は、狭窄部(36)を有する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の合成システム。
【請求項9】
ブロー流量を制御するように構成される制御部(46)を含む、
請求項1から8のいずれか1項に記載の合成システム。
【請求項10】
複合材料を製造する方法であって、
請求項1から9のいずれか1項に記載の合成システムによって、母材中に埋め込まれた強化材を含む複合材料を製造すること、
を含む、複合材料を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合材料の技術分野に関し、より詳細には、母材及び強化材を含む複合材料を製造するための改良された合成システム、及び同システムで使用することができる改良された搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、強化材料を、例えば搬送チャネルを介して合成ユニットに搬送する搬送システムは公知である。合成ユニットは、強化材料を母材と混合することにより、射出成形を含む多くの分野で使用可能な複合材料を得ることができる。しかしながら、繊維等の強化材料は、強化材料が搬送チャネルに供給される際に通過する強化材供給ダクト内でブリッジ(bridge)を形成しダクトを塞いでしまうことがよくある。これは、不規則な強化材の流れや、製造された複合材料の不均質な組成の原因となる。
【0003】
この問題に対処するためにいくつかのシステムが提案されてきたが、それらはかなり複雑さを増し、通常は保守及び/又は監視を要する追加の部品を必要とする。
【0004】
したがって、少なくとも実質的に上記の欠点に対処する単純な搬送システムが必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
この点に関し、本開示は、搬送チャネルと、強化材供給開口部において搬送チャネルに接続され、強化材料を搬送チャネルに供給するように構成された強化材供給ダクトと、強化材料を搬送チャネルに向かって押し込むために強化材供給ダクト内にブロー(blow)を提供するように構成されたブロワーと、を備える搬送システムに関する。
【0006】
本開示では特に明記しない限り、「上流」及び「下流」という用語は文脈に応じて、搬送システムにおける強化材料あるいはブローの通常の移動方向に対して使用される。
【0007】
ブローは、強化材料を搬送チャネルに向かって押しやるように構成される流体、望ましくは気体、の流れである。すなわち、強化材料は上流側から押しやられる。つまり、ブロワーは、ブローの上流に設けられる。従って、ブローと共に上流から下流に運ばれる強化材料の一部がブロワーに到達するリスクは大きく低減される。従って、ブロワーに強化材料が侵入しないようにする複雑な保護策は不要である。さらに、搬送システムを著しく複雑にすることなく、流動性能を改善し、強化材の割合をより均一にすることができる。
【0008】
ブローは、強化材料を搬送チャネルに押しやるように構成されてもよい。搬送システムは、合成システムのための強化材供給機、場合によってはサイドフィーダ、として使用してもよい。上記のように改良することで、合成物の品質が向上する。
【0009】
いくつかの実施形態では、ブローは大気圧よりも高圧である。すなわち、ブローは、吸引又は真空ポンプによるものではなく、強化材供給ダクトの少なくとも一部に過圧力を加えることにより生成される。
【0010】
いくつかの実施形態では、強化材料は繊維を含む。繊維は、不連続繊維、例えば、好ましくは5~25ミリメートル(mm)の最大寸法を有する短繊維又はチョップドファイバであってもよい。繊維は、カーボン又はガラスから作られてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、搬送システムは強化材供給開口部の上流で強化材供給ダクトに接続される第2のダクトを備え、ブロワーは第2のダクト内でブローを生成するように配置される。従って、ブローはまず第2のダクト内で生成され、第2のダクトに沿って流下し、強化材供給開口部の上流で強化材供給ダクト内に入り、強化材供給ダクトに沿って強化材料を強化材供給開口部及び搬送チャネルに向かって押し込むようになっている。
【0012】
いくつかの実施態様では、第2のダクトが強化材供給開口部に向けられた出口部分を有する。これらの実施形態では、ブロワーから送出されたブローは、第2のダクトに沿って流れ、出口部分を経由して強化材供給開口部に導くことで、強化材料をより効果的に搬送チャネルに向かって押し込めるようになっている。例えば、出口部分の中心軸は、強化材供給開口部を通過してもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、搬送システムは強化材供給ダクトの少なくとも一部に延在するスクリューシャフトを備える。スクリューシャフトは、強化材供給ダクトの閉塞防止及び/又は強化材料の搬送チャネルへの搬送に寄与してもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、搬送システムは強化材供給ダクトの一部に延在するスクリューシャフトを備え、スクリューシャフトの下流端は第2のダクトと強化材供給ダクトとの間の接続領域の上流に設置される。これらの実施形態では、スクリューシャフトはブローと干渉せず、強化材料はより規則的に押し込まれる。
【0015】
いくつかの実施形態では、強化材供給ダクトが振動するように構成された振動部を含む。振動部は、搬送チャネルに向けて強化材料をさらに搬送し易くし、強化材供給ダクトの閉塞を抑制することができる。適用可能な場合、振動部は、第2のダクトと強化材供給ダクトとの間の接続領域の上流側及び/又はスクリューシャフトの上流側に設けられてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、搬送システムはさらに、強化材供給ダクト内に強化材料を挿入するための孔を封止するように構成されたカバーを備える。従って、ブローが実行されても、強化材料が強化材供給ダクトから吹き出るのを防止することで、操作者の健康を守り、強化材料が導電性である場合に起こり得る短絡を回避する。カバーによって、強化材料の逆流を防ぐのに十分な気密性を確保してもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、強化材供給ダクトは狭窄部(narrowing)を有する。狭窄部の寸法によって、強化材供給速度を制御してもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、搬送システムがブロー流量を制御するように構成された制御部を備える。制御部は、ブロワーの吹き出し力を制御するように構成されてもよい。ブロー流量は、所望量の強化材料を搬送チャネル内に供給するために、強化材料の組成又は形状、強化材料の供給速度等のいずれかに適合させることができる。
【0019】
本開示はまた、先に記載したような搬送システムと合成ユニットとを含む合成システムに関し、搬送システムは、合成ユニットにおいて母材に合成するための強化材料を搬送するように構成される。合成システムは、射出成形機内に統合されてもよく、又は射出成形機の残余部分に動作可能に接続される付帯装置であってもよい。
【0020】
本開示はまた、母材に埋め込まれた強化材を含む、前述の合成システムによって製造される複合材料に関する。当該複合材料は、母材中に強化材が均一に配分されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明及びその利点は、非限定的な例として示される実施形態の以下の詳細な説明を読むことにより、より良く理解されるのであろう。以下の説明では添付の図面を参照する。
【0022】
【
図1】唯一の図は、一実施形態による搬送システムを備える合成システムの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
一実施形態による合成システム100を概略的に図に示す。合成システム100は、合成ユニット102と、搬送システム10とを備える。搬送システム10は、合成ユニット102において母材と合成するための強化材料を搬送するように構成される。この目的のために、図示されるように、搬送システム10の出口を合成ユニット102の少なくとも1つの供給ポートに接続することができる。
【0024】
合成ユニット102は、それ自体公知のタイプのものであってもよい。合成ユニット102では、母材と強化材料とが混合され、合成されて、上述の複合材料が形成される。合成ユニット102は、例えば押出機を介してペレット状の複合材料を提供するように構成されてもよい。母材は、例えばポリマー樹脂等のポリマーを含むことができる。樹脂は、熱可塑性又は熱硬化性であってもよい。例えば、母材はポリプロピレンであってもよい。
【0025】
搬送システム10は、搬送チャネル12を備える。搬送チャネル12は強化材料の搬送を容易にするために、少なくとも1つの搬送要素14を備えることができる。この実施形態では、少なくとも1つの搬送要素14がスクリューシャフト(以下、「スクリューシャフト14」)を備える。場合によっては逆回転する1つ以上のスクリューシャフト14を設けることができる。スクリューシャフト14は、強化材料を搬送チャネル12の出口に向かって搬送する。他の搬送要素14は、スクリューシャフトに加えて、又は代替として設けられてもよい。
【0026】
搬送システム10はさらに、強化材供給開口部32において搬送チャネル12に接続された強化材供給ダクト30を備える。強化材供給開口部32は、強化材供給ダクト30と搬送チャネル12との間の境界である。この実施形態では、搬送チャネル12及び強化材供給ダクト30が互いに屈曲するが、他の形状又は向き、例えば、直線形状としてもよい。
【0027】
強化材料は、繊維を含むことができる。この実施形態では、強化材料が炭素短繊維、場合によってはチョップドファイバを含む。
【0028】
搬送システム10は、強化材供給ダクト30の少なくとも一部内に延在するスクリューシャフト34を更に備えることができる。スクリューシャフト34は、強化材供給ダクト30に沿って強化材料を輸送するだけでなく、強化材供給ダクト30の対応する部分において繊維等の強化材料のブリッジが形成されるのを防止するのにも一役買っている。
【0029】
スクリューシャフト34は、搬送チャネル12のスクリューシャフト14と同様であっても、異なるものであってもよい。スクリューシャフト34は、搬送システム10の不動部分、例えば強化材供給ダクト30の上流部分、に固定された支持体等によって、強化材供給ダクト30内に保持されてもよい。スクリューシャフト14、34のいずれか1つは、その回転速度を規制することができる。
【0030】
加えて、又は代替的に、強化材供給ダクト30は、振動するように構成された振動部36を含んでもよい。振動部36は、環状ジョイント36a等の軟質及び/又は弾性材料によって、強化材供給ダクト30の残りの部分に接続することができる。本実施形態では、振動部36はホッパとして設けられている。
【0031】
振動部36は、それ自体公知の図示しないアクチュエータによって振動するように作動されてもよい。アクチュエータは、強化材供給ダクト30の外側に配置することが望ましく、それにより強化材料から守られ、保守が容易になる。
【0032】
振動することによって、振動部36は、重力により、強化材供給ダクト30に沿った強化材料の流動を促進するだけでなく、振動部36における繊維等の強化材料のブリッジ形成防止に寄与することが出来る。
【0033】
この実施形態では、図に示すように、強化材供給ダクト30は狭窄部を有する。すなわち、強化材供給ダクト30の断面は、上流から下流、すなわち搬送チャネル12に向かって減少する。この実施形態では、狭窄部は振動部36を含む。この点で、振動部36は、実質的に円錐台形状を有してもよい。加えて又は代替的に、狭窄部は、強化材供給ダクト30の別の部分、例えば、図示されるような振動部36の上流の強化材供給ダクト30の一部、を含むことができる。
【0034】
狭窄部の下流、及び/又は振動部36の下流では、強化材供給ダクト30が、例えば実質的に円形の断面を有する実質的に円筒形状であってもよい。
【0035】
強化材供給ダクト30の最も上流側の部分は、強化材供給ダクト30内に強化材料を投入するために使用し得る孔を形成する。他の実施形態では、孔は強化材供給ダクト30の側面に設けられてもよい。搬送システム10の動作中に、特に後述するブローによって強化材料が吹き飛ばされないように、強化材料を投入するための孔をカバー38によって封止してもよい。
【0036】
カバー38は、その周囲に例えばゴム製の弾性シールを有してもよいし、振動部36に取り付けるためのいくつかのクランプを有してもよい。
【0037】
カバー38は、強化材供給ダクト30に強化材料を充填することができるように、取り外し可能であってもよい。例えば、充填はバッチ毎に行ってもよく、カバー38は2つの連続する装填又はバッチ(batches)の間で投入孔を封止するように再び取り付けられる。連続的にバッチ式充填を行う場合でも、スクリューシャフト34、振動部36及び/又は他の適切な構成要素によって、強化材料の搬送チャネル12への継続的な供給が可能となる。
【0038】
図に示すように、この実施形態では、スクリューシャフト34の下流端34aは強化材供給開口部32の上流に配置される。その結果、強化材供給開口部32を通して十分な強化材供給速度が得られる。端部34aと強化材供給開口部32との間に強化材のブリッジが形成されるのを防止するために、より一般的には、強化材供給ダクト30内にブリッジが形成されるのを防止するために、搬送システム10はブロワー40を備えている。ブロワー40は、強化材料を搬送チャネル12に向かって押しやるために、強化材供給ダクト30内にブローBを提供するように構成される。
【0039】
ブロワー40は、圧縮機やポンプ等であってもよく、流体、典型的には空気等の気体、を加圧して強化材供給ダクト30内に噴出させることにより、強化材料に圧力を加え、形成され得るブリッジを破壊するように構成される。換言すれば、ブロワー40は大気圧よりも大きな圧力でブローBを提供するように構成され、それによって、強化材供給ダクト30内の流体の流れを誘発し、強化材料の滞留を減少させる。その結果、強化材供給ダクト30の閉塞が抑制される。
【0040】
ブロワー40によって生じる過圧を抑制するために、搬送システム10に通気孔を設けてもよい。例えば、カバー38の中央部分等に孔を設けてもよい。通気口には、搬送システム10から繊維が吹き飛ばされないように濾過装置を設けることができる。
【0041】
前述したように、搬送システム10は、強化材供給開口部32の上流側で強化材供給ダクト30に接続された第2のダクト42を備えることができ、ブロワー40は、第2のダクト42内にブローBを提供するように配置される。図に示すように、ブロワー40は、第2のダクト42に接続される出口部分44を有してもよい。ブローBは第2のダクト40に沿って流れ、強化材供給開口部32の上流の強化材供給ダクト30に入る。
【0042】
ブローBの少なくとも大部分を効率的に強化材供給開口部32へと誘導するために、第2のダクト40の出口部分44を強化材供給開口部32の方に方向づけてもよい。出口部分44は、強化材供給ダクト30に直接接続される第2のダクト40の部分であってもよい。例えば、出口部分44の中心軸線Xは、強化材供給開口部32を通過してもよい。この場合、第2のダクト42は実質的に直線状であるが、そうでなくてもよいことに留意されたい。中心軸線Xは、直線状でなくてもよく、第2のダクト42の形状に従って湾曲していてもよい。より一般的には、出口部分44の中心軸線Xを延伸した想像上の直線が強化材供給開口部32を通ることが望ましい。図示のように、第2のダクト42及び強化材供給ダクト30は、90°未満の角度を形成してもよい。
【0043】
本実施形態では、出口部分44から強化材供給ダクト30に流入するブローBを妨げないように、スクリューシャフト34の下流端34aを、図に例示するように、強化材供給方向において第2のダクト42と強化材供給ダクト30の間の接続領域の上流に配置してもよい。他の実施形態では、第2のダクト42と強化材供給ダクト30の間の接続領域を、振動部36の上流領域があれば同領域を含む、さらに上流側に設けることができるが、その場合にはより強力なブローBを必要とする。
【0044】
搬送システム10は、ブローBの流速、すなわちブロワー40の吹き出し力、を制御するように構成された制御部46を更に備えてもよい。例えば、強化材の密度、サイズ、組成等に応じて、ブローBの流速はブリッジを防止又は破壊できる程度に強力でありながら、規則的な強化材供給流を乱さない程度に穏やかな流れを提供するように調整してもよい。
【0045】
上述のとおり、搬送システム10を用いて合成システム100に強化材料を供給し、その結果母材に埋め込まれた強化材を含む複合材料を製造することができる。
【0046】
本開示は特定の例示的な実施形態に言及しているが、特許請求の範囲に定義される本発明の全体的な範囲から逸脱することなく、これらの実施例に修正を加えることができる。特に、図示又は言及された様々な実施形態の個々の特性は、追加の実施形態において組み合わせることができる。したがって、説明及び図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で考慮されるべきである。
本明細書に開示される発明は以下の態様を含む。
〔態様1〕
搬送チャネル(12)と、強化材供給開口部(32)で前記搬送チャネル(12)に接続され、強化材料を前記搬送チャネル(12)に供給するように構成される強化材供給ダクト(30)と、前記強化材料を前記搬送チャネル(12)に向かって押し込むために前記強化材供給ダクト(30)内にブロー(B)を提供するように構成されるブロワー(40)とを備える、搬送システム(10)。
〔態様2〕
前記ブロー(B)は大気圧より高圧である、態様1に記載の搬送システム(10)。
〔態様3〕
前記強化材料は繊維を含む、態様1又は2に記載の搬送システム(10)。
〔態様4〕
前記強化材供給開口部(32)の上流側で前記強化材供給ダクト(30)に接続される第2のダクト(42)を備え、前記ブロワー(40)が前記第2のダクト(42)に前記ブロー(B)を提供するように配置される、態様1から3のいずれか一態様に記載の搬送システム(10)。
〔態様5〕
前記第2のダクト(42)は、前記強化材供給開口部(32)に方向づけられた出口部分(44)を有する、態様4に記載の搬送システム(10)。
〔態様6〕
前記強化材供給ダクト(30)の少なくとも一部に延在するスクリューシャフト(34)を備える、態様1から5のいずれか一態様に記載の搬送システム(10)。
〔態様7〕
前記強化材供給ダクト(30)の一部に延在するスクリューシャフト(34)を備え、前記スクリューシャフト(34)の下流端(34a)は、前記第2のダクト(42)と前記強化材供給ダクト(30)との間の接続領域の上流に配置される、態様4又は5に記載の搬送システム(10)。
〔態様8〕
前記強化材供給ダクト(30)は、振動するように構成された振動部(36)を備える、態様1から7のいずれか一態様に記載の搬送システム(10)。
〔態様9〕
前記強化材供給ダクト(30)に前記強化材料を投入するための孔を封止するように構成されるカバー(38)をさらに備える、態様1から8のいずれか一態様に記載の搬送システム(10)。
〔態様10〕
前記強化材供給ダクト(30)は、狭窄部(36)を有する、態様1から9のいずれか一態様に記載の搬送システム(10)。
〔態様11〕
ブロー流量を制御するように構成される制御部(46)を含む、態様1から10のいずれか一態様に記載の搬送システム(10)。
〔態様12〕
態様1から11のいずれか一態様に記載の前記搬送システム(10)と、合成ユニット(102)とを備え、前記搬送システムは、前記合成ユニット(102)において母材と合成するための前記強化材料を搬送するように構成される、合成システム。
〔態様13〕
母材中に埋め込まれた強化材を含む、態様12に記載の前記合成システム(100)によって製造される複合材料。