(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-28
(45)【発行日】2022-03-08
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/211 20210101AFI20220301BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20220301BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20220301BHJP
H01M 10/653 20140101ALI20220301BHJP
H01M 10/6554 20140101ALI20220301BHJP
H01M 50/262 20210101ALI20220301BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20220301BHJP
H01M 50/293 20210101ALI20220301BHJP
【FI】
H01M50/211
H01M10/613
H01M10/647
H01M10/653
H01M10/6554
H01M50/262 Z
H01M50/291
H01M50/293
(21)【出願番号】P 2020560885
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(86)【国際出願番号】 CN2019120860
(87)【国際公開番号】W WO2020119441
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2020-10-30
(31)【優先権主張番号】201811526885.3
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼思恩
(72)【発明者】
【氏名】徐守江
(72)【発明者】
【氏名】▲フェング▼春▲ヤン▼
(72)【発明者】
【氏名】戴▲曉▼汕
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-203746(JP,A)
【文献】特開2012-212606(JP,A)
【文献】特開2014-138483(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0062782(US,A1)
【文献】英国特許出願公開第02543087(GB,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0145294(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0311486(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0214011(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/204-216
H01M 50/262-264
H01M 50/289-293
H01M 10/613
H01M 10/647
H01M 10/653
H01M 10/6554
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空室(11)と、前記中空室(11)に長手方向(X)に沿って連通する開口(12)とが設けられたケース(10)と、
前記中空室(11)内に設けられ、前記中空室(11)の幅方向(Y)に沿って互いに積層して設けられた2つ以上の二次電池(21)を含む二次電池パック(20)と、
前記二次電池パック(20)の前記長手方向(X)及び前記幅方向(Y)に垂直な高さ方向(Z)における少なくとも一方側に設けられた保護部材(40)と、を備え、
前記保護部材(40)は、前記二次電池パック(20)と前記ケース(10)との間に位置しており、前記二次電池パック(20)を覆って前記ケース(10)に摺動可能に接続され、前記保護部材(40)には、貫通孔(42)が設けられ、前記貫通孔(42)が前記保護部材(40)を前記高さ方向(Z)に沿って貫通している、電池モジュール(1)。
【請求項2】
前記保護部材(40)及び前記ケース(10)の一方にガイド溝(13)が設けられ、他方に前記ガイド溝(13)に摺動係合するスライダ(41)が設けられており、前記ガイド溝(13)及び前記スライダ(41)は、何れも前記長手方向(X)に沿って延びている、請求項1に記載の電池モジュール(1)。
【請求項3】
前記ガイド溝(13)は、前記ケース(10)の前記二次電池パック(20)に対向する面に設けられ、前記ケース(10)を前記長手方向(X)に沿って貫通し、前記スライダ(41)は、前記保護部材(40)の前記ケース(10)に対向する面に位置し、前記長手方向(X)において、前記スライダ(41)の長さは、前記保護部材(40)の長さと同じである、請求項2に記載の電池モジュール(1)。
【請求項4】
前記ケース(10)は、前記高さ方向(Z)において対向して設けられた第1のプレート(14)及び第2のプレート(15)を有し、前記保護部材(40)は、前記第1のプレート(14)と前記二次電池パック(20)との間に位置する、請求項3に記載の電池モジュール(1)。
【請求項5】
前記第2のプレート(15)と前記二次電池パック(20)との間に設けられ
、充放電時に前記二次電池パック(20)に発生する熱を前記第2のプレート(15)に導く接着剤を更に備える、請求項4に記載の電池モジュール(1)。
【請求項6】
前記第2のプレート(15)には、前記高さ方向(Z)に沿って貫通し、前記中空室(11)内に液状コロイドを注入するための接着剤注入孔(151)が設けられている、請求項5に記載の電池モジュール(1)。
【請求項7】
前記スライダ(41)の数は2つ以上であり、2つ以上の前記スライダ(41)は、前記幅方向(Y)に沿って互いに離間して設けられており、前記ガイド溝(13)の数は、前記スライダ(41)の数以上であり、各前記スライダ(41)は、前記ガイド溝(13)の1つと対向して設けられて摺動可能に接続されている、請求項2に記載の電池モジュール(1)。
【請求項8】
前記貫通孔(42)の数は1つであり、前記貫通孔(42)は、前記長手方向(X)に沿って延びるストリップホールであり、又は、
前記貫通孔(42)の数は2つ以上であり、2つ以上の前記貫通孔(42)は、前記長手方向(X)に沿って互いに離間して設けられている、請求項1に記載の電池モジュール(1)。
【請求項9】
前記保護部材(40)は、絶縁部材であり、及び/又は、全体として板状構造に形成されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の電池モジュール(1)。
【請求項10】
前記開口(12)に設けられ、前記保護部材(40)に着脱自在に接続されているハーネス仕切板(50)を更に備える、請求項1~9のいずれか1項に記載の電池モジュール(1)。
【請求項11】
係止部材(60)を更に備え、前記ハーネス仕切板(50)及び前記保護部材(40)は、前記係止部材(60)によって着脱自在に接続され、前記係止部材(60)は、互いに係合する第1の係止具(61)及び第2の係止具(62)を含み、前記第1の係止具(61)は、前記保護部材(40)及び前記ハーネス仕切板(50)の一方に接続され、前記第2の係止具(62)は、前記保護部材(40)及び前記ハーネス仕切板(50)の他方に接続されている、請求項10に記載の電池モジュール(1)。
【請求項12】
前記第1の係止具(61)は、前記幅方向(Y)に沿って延びる柱体(611)と、2つ以上の接続ブロック(612)とを備え、2つ以上の前記接続ブロック(612)は、前記幅方向(Y)に沿って間隔をおいて前記柱体(611)に設けられ、隣り合う2つの前記接続ブロック(612)の間には、係止溝(613)が形成され、
前記第2の係止具(62)は、前記係止溝(613)の数と同じ数の係止爪(621)を備え、前記係止爪(621)は、挟持口(621a)を有し、前記係止爪(621)は、部分的に前記係止溝(613)に入り込んで前記挟持口(621a)を囲むように形成された壁部によって前記柱体(611)が係止され固定されている、請求項11に記載の電池モジュール(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互引用
本出願は、2018年12月13日に提出された発明名称が「電池モジュール」の中国特許出願第201811526885.3号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、エネルギー貯蔵装置という技術分野に関し、特に、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
技術の発展に伴い、二次電池の生産や生活分野への応用範囲が広がっており、二次電池がソフトパック電池の場合、良好な安全性能、高エネルギー密度、軽量、大容量、低内部抵抗、柔軟な設計などの利点があるため、広く使われている。
【0004】
従来の二次電池(ソフトパック)は、電池モジュールを形成する際に、積層して設けられた複数の二次電池を直接にケースに押し込むと、二次電池の外面が摩耗してしまう。二次電池の摩耗を効果的に避けるために、二次電池は、組立時に、通常、セパレート型の外枠とユニットフレームを合わせた構造を採用しており、このような構成では、二次電池を組み立てて電池モジュールを形成する際の摩耗率を低減することができるが、二次電池を組み立てる際に、作業工程が複雑で、それに応じて、組立効率を低下される。
【0005】
そのため、新しい電池モジュールが必要とされる。
【発明の概要】
【0006】
本出願の実施例は、二次電池が組立時に摩耗されることを効果的に避けるとともに、電池モジュールの組立効率を確保することができる電池モジュールを提供する。
【0007】
一側面において、本出願の実施例によれば、中空室と、中空室に長手方向に沿って連通する開口とが設けられたケースと、中空室内に設けられ、幅方向に沿って互いに積層して設けられた2つ以上の二次電池を含む二次電池パックと、二次電池パックの高さ方向における少なくとも一方側に設けられた保護部材と、を備え、保護部材は、二次電池パックとケースとの間に位置している。
本出願の一側面の実施形態によれば、保護部材は、二次電池パックを覆っている。
【0008】
本出願の一側面の実施形態によれば、保護部材は、ケースに摺動可能に接続されており
、保護部材及びケースの一方にガイド溝が設けられ、他方にガイド溝に摺動係合するスライダが設けられており、ガイド溝及びスライダは、何れも長手方向に沿って延びている。
【0009】
本出願の一側面の前記いずれかの実施形態によれば、ガイド溝は、ケースの二次電池パックに対向する面に設けられ、ケースを長手方向に沿って貫通し、スライダは、保護部材のケースに対向する面に位置し、長手方向において、スライダの長さは、保護部材の長さと同じである。
【0010】
本出願の一側面の前記いずれかの実施形態によれば、ケースは、高さ方向において対向して設けられた第1のプレート及び第2のプレートを有し、保護部材は、第1のプレートと二次電池パックとの間に位置する。
【0011】
本出願の一側面の前記いずれかの実施形態によれば、第2のプレートと二次電池パックとの間に設けられた熱伝導部材を更に備える。
【0012】
本出願の一側面の前記いずれかの実施形態によれば、熱伝導部材は、熱伝導接着剤であり、第2のプレートには、高さ方向に沿って貫通し、中空室内に液状コロイドを注入するための接着剤注入孔が設けられている。
【0013】
本出願の一側面の前記いずれかの実施形態によれば、スライダの数は2つ以上であり、2つ以上のスライダは、幅方向に沿って互いに離間して設けられており、ガイド溝の数は、スライダの数以上であり、各スライダは、ガイド溝の1つと対向して設けられて摺動可能に接続されている。
【0014】
本出願の一側面の前記いずれかの実施形態によれば、保護部材には、貫通孔が設けられ、貫通孔は、保護部材を高さ方向に沿って貫通している。
【0015】
本出願の一側面の前記いずれかの実施形態によれば、貫通孔の数は1つであり、貫通孔は、長手方向に沿って延びるストリップホールであり、又は、貫通孔の数は2つ以上であり、2つ以上の貫通孔は、長手方向に沿って互いに離間して設けられている。
本出願の一側面の前記いずれかの実施形態によれば、保護部材は、絶縁部材であり、及び/又は、全体として板状構造に形成されている。
【0016】
本出願の一側面の前記いずれかの実施形態によれば、開口に設けられ、保護部材に着脱自在に接続されているハーネス仕切板を更に備える。
【0017】
本出願の一側面の前記いずれかの実施形態によれば、係止部材を更に備え、ハーネス仕切板及び保護部材は、係止部材によって着脱自在に接続され、係止部材は、互いに係合する第1の係止具及び第2の係止具を含み、第1の係止具は、保護部材及びハーネス仕切板の一方に接続され、第2の係止具は、保護部材及びハーネス仕切板の他方に接続されている。
【0018】
本出願の一側面の前記いずれかの実施形態によれば、第1の係止具は、幅方向に沿って延びる柱体と、2つ以上の接続ブロックとを備え、2つ以上の接続ブロックは、幅方向に沿って間隔をおいて柱体に設けられ、隣り合う2つの接続ブロックの間には、係止溝が形成され、第2の係止具は、係止溝の数と同じ数の係止爪を備え、係止爪は、挟持口を有し、係止爪は、部分的に係止溝に入り込んで挟持口を囲むように形成された壁部によって柱体が係止され固定されている。
【0019】
本出願の実施例に係る電池モジュールは、ケースと、二次電池パックと、保護部材とを備え、二次電池パックの各二次電池は、何れもケースの中空室内に設けられ、二次電池パックの高さ方向における少なくとも一方側には、二次電池パックとケースとの間に位置す
る保護部材が設けられていることにより、二次電池パックの組立時には、二次電池パックを保護部材で覆ってケースに接触させ、二次電池パックをケース内の中空室内に摺動させて取り込むことができ、各二次電池の摩耗を効果的に避けることができ、且つ操作が簡単であり、電池モジュールの組立効率を確実に確保することができる。
【0020】
以下、添付図面を参照して、本出願の例示的な実施例の特徴、利点及び技術的効果について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本出願の実施例に係る電池モジュールの全体構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本出願の実施例に係るケースの概略構成図である。
【
図3】
図3は、本出願の実施例に係る保護部材と二次電池パックとの嵌合状態を示す模式図である。
【
図4】
図4は、本出願の実施例に係る電池モジュールの組立模式図である。
【
図5】
図5は、本出願の実施例に係る保護部材の概略構成図である。
【
図6】
図6は、本出願の実施例に係る電池モジュールの底面図である。
【
図7】
図7は、
図6におけるA-A方向に沿った断面図である。
【
図8】
図8は、本出願の実施例に係る係止部材がハーネス仕切板及び保護部材に接続された構成を示す模式図である。
【
図10】
図10は、本出願の実施例に係るハーネス仕切板及び保護部材が係止部材を介して接続された模式図である。 図面において、同一の部材に同一の符号を付している。図面は、実際の縮尺で描かれていない。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本出願の様々な態様の特徴及び例示的な実施例を詳細に説明する。以下の詳細な説明では、本出願の完全な理解を提供するために、多くの特定の詳細が提示される。しかし、当業者には明らかなように、本出願は、これらの特定の詳細の一部がなくても実施することができる。以下の実施例の説明は、単に本出願の実施例を示すことによって本出願のより良い理解を提供するためのものである。図面及び以下の説明では、本明細書の不必要な曖昧性を避けるために、少なくとも公知の構造及び技術の一部が示されておらず、また、明確にするために、構造の一部の寸法が誇張されている場合がある。更に、以下に記載されている特徴、構造、又は特性は、1つ又は複数の実施例において、任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0023】
以下の説明に現れるポジション用語は、何れも図に示されている方向であり、本出願の電池モジュールの具体的な構造を限定するものではない。なお、本明細書において、「装着」、「接続」という用語は、特に明確に規定、限定しない限り、広義に理解されるべきであり、例えば、固定的に接続されてもよいし、着脱自在に接続されてもよいし、一体的に接続されてもよい。また、直接的に接続されてもよいし、間接的に接続されてもよい。当業者にとっては、本出願における上記用語の具体的な意味は、具体的な状況に応じて理解し得る。
【0024】
本出願をよりよく理解するために、本出願の実施例に係る電池モジュールについて、
図1~
図10を参照して以下に詳細に説明する。
【0025】
図1~
図4を参照すると、
図1は、本出願の実施例に係る電池モジュールの全体構成を示す模式図であり、
図2は、本出願の実施例に係るケースの概略構成図を示し、
図3は、本出願の実施例に係る保護部材と二次電池パックとの嵌合模式図を示し、
図4は、本出願の実施例に係る電池モジュールの組立模式図を示す。
【0026】
本出願の実施例は、電池モジュール1に係り、当該電池モジュール1は、主に、ケース10、二次電池パック20、エンドプレート30、及び保護部材40などの部品を含む。
【0027】
図2に示すように、ケース10には、中空室11と、中空室11と長手方向Xで連通する開口12とが設けられていてもよい。開口12の数は1つであってもよいし、2つであってもよい。また、具体的に実施するときに、ケース10は、一体型の枠状構造であってもよい。ケース10は、高さ方向Zにおいて対向して設けられた第1のプレート14及び第2のプレート15を有し、幅方向Yにおいて対向して設けられた2つのサイドプレート16を有し、両サイドプレート16は、高さ方向Zの両端において、それぞれ第1のプレート14及び第2のプレート15と互いに接続されている。
【0028】
二次電池パック20は、ケース10の内部の中空室11内に設けられてもよく、幅方向Yに沿って互いに積層して設けられた二次電池21を2つ以上備え、二次電池21の数は特に限定されず、電池モジュール1の電気的要求に応じて設定することができる。
【0029】
本出願の実施例に係る二次電池パック20に用いられる二次電池21は、筺体と、電極組立体と、電極リードとを備え、電極リードは、具体的には、反対の極性を持つ第1の電極リードと第2の電極リードとを含むことができる。電極組立体は、筺体の内部に取り付けられており、第1の電極シートと、セパレータと、第2の電極シートとが積層されてなる。第1の電極シートは、第1の電極リードに電気的に接続され、第2の電極シートは、第2の電極リードに電気的に接続される。第1の電極リードは、第1の電極シートの一端から離れて筺体の外に延在し、第2の電極リードは、第2の電極シートの一端から離れて筺体の外に延在する。第1の電極リード及び第2の電極リードの筺体に挟まれた部分は、シーラントによって筺体に密封接続されている。筺体は、熱溶接によって電極組立体を自体の内部空洞内に完全に密封する。第1の電極リードの筺体の外に延出した部分は、電池モジュール1のケース10の一方の開口12に対向して設けられてもよく、第2の電極リードの筺体の外に延出した部分は、ケース10の他方の開口12に対向して設けられてもよい。
【0030】
二次電池パック20の高さ方向Zにおける少なくとも一方側には、二次電池パック20とケース10との間に位置し、二次電池パック20を覆ってケース10に摺動可能に接続される保護部材40が設けられている。
【0031】
エンドプレート30の数は、開口12の数と同じであってもよく、各開口12には、対応する1つの開口12を覆ってケース10に接続された1つのエンドプレート30が設けられており、エンドプレート30には、出力極取付座70が設けられ、出力極取付座70には、電池モジュール1の出力極80が取り付けられ、各出力極80は、二次電池パック20に電気的に接続されている。
【0032】
本出願の実施例に係る電池モジュール1は、組立時に、二次電池パック20を保護部材40で覆い、二次電池パック20をケース10内の中空室11に摺動させて取り込む。保護部材40は、二次電池パック20とケース10との間に位置しているため、中空室11内に嵌合させるときに、二次電池パック20とケース10との間の接触を防止するとともに、二次電池21の摩耗を効果的に避けることができ、また、操作が簡単であり、確実に電池モジュール1の組立効率を保証することができる。
【0033】
好ましい例では、保護部材40は、全体として板状構造に形成されてもよく、二次電池パック20の保護を確実に行うために、保護部材40は、長方形の板状構造に形成されてもよい。二次電池パック20に対する保護要件を満たし、二次電池パック20とケース10との組立を容易にすることができれば、他の形状の板状構造を用いてもよい。
【0034】
具体的に実施するときに、保護部材40は、電池モジュール1の使用中の安全を確実に保証することができる絶縁部材であってもよい。勿論、絶縁部材は、全体が絶縁材で形成された構造物であってもよいし、一部又は全部の外面が絶縁材で被覆された構造物であってもよい。二次電池パック20とケース10との間の絶縁要件を満たすことができればよい。
【0035】
図5を併せて参照すると、
図5は、本出願の実施例に係る保護部材40の概略構成図を示す。保護部材40が二次電池パック20をケース10内の中空室11により良く嵌合させるために、好ましい実施形態として、ケース10に案内溝13を設けることができる。具体的には、ケース10の第1のプレート14には、ガイド溝13が設けられ、保護部材40には、ガイド溝13に摺動係合するスライダ41が設けられ、ガイド溝13及びスライダ41は、長手方向であるX方向に延びている。ガイド溝13及びスライダ41を設けることにより、保護部材40がケース10内部の中空室11に嵌合する際にガイド溝13及びスライダ41によってガイドされるようにすることができ、保護部材40が長手方向Xに沿って進行する過程でケース10の内部に衝突したり、引っ掛かったりすることが防止される。
【0036】
スライダ41とガイド溝13との嵌合を良好にするために、ガイド溝13は、長手方向Xに沿ってケース10を貫通し、スライダ41は、保護部材40のケース10に対向する面に位置し、長手方向Xにおいて、スライダ41の長さは、保護部材40の長さと同じであることは好ましい。また、具体的に実施するときに、スライダ41は、スライダ41と対応するガイド溝13との間の位置決め及び摺動接続を容易にする等脚台形構造を採用することができる。
【0037】
具体的に実施するときに、スライダ41の数は2つ以上であり、2つ以上のスライダ41は、幅方向Yに沿って互いに離間して設けられ、ガイド溝13の数は、スライダ41の数以上であり、各スライダ41は、一方のガイド溝13に対向して設置され、摺動可能に接続される。スライダ41の数及びガイド溝13の数を2つ以上に制限することにより、保護部材40に対するガイド要件をより良く満たすことができ、保護部材40が二次電池パック20をケース10内の中空室11に確実に取り込むことを保証するとともに、二次電池パック20の各二次電池21に傷が付くことを防止することができる。
【0038】
好ましくは、スライダ41の数とガイド溝13の数は、同じであり、1対1に設定することができる。いくつかの例では、スライダ41の数は、2つであってもよく、それに応じて、ガイド溝13の数も2つであってもよい。勿論、スライダ41及びガイド溝13の数は2つに限らず、それぞれ3つ、4つ又はそれ以上であってもよい。具体的には、ケース10及び保護部材40の寸法仕様に応じて設定することができる。
【0039】
以上の各例では、スライダ41が保護部材40に設けられ、ガイド溝13がケース10に設けられていることを規定しているが、他の例では、ガイド溝13が保護部材40に設けられ、スライダ41がケース10に設けられてもよく、同様に保護部材40のガイド要件を満たすことができ、保護部材40と二次電池パック20の一体的な装着を容易にすることができる。
【0040】
好ましい実施形態として、保護部材40には、高さ方向Zで保護部材40を貫通する貫通孔42が設けられている。貫通孔42を設けることにより、ケース10と保護部材40との間の隙間を外部と連通させて、ケース10と保護部材40との間で圧縮されたガスを排除することができる。更に、保護部材40をケース10内部の中空室11に押し込む際に、圧縮ガスが存在することにより保護部材40とケース10の組立が困難になることを避ける。
【0041】
貫通孔42は、異なる構造形態をとることができ、その構造形態に応じて数を選択することができる。好ましい例として、貫通孔42の数は1つであり、その形状は長さ方向Xに延びるストリップホールであってもよく、当該ストリップホールは、長方形の孔、腰円形の孔、楕円形の孔、又はその他の形状の孔であってもよい。勿論、他の例では、貫通孔42の数は2つ以上であってもよく、2つ以上の貫通孔42は、長手方向Xに沿って互いに離間して設けられており、貫通孔42の数が2つ以上である場合には、排気要件を満たすことができれば、円形の孔、楕円形の孔、多角形の孔であってもよい。
【0042】
貫通孔42は、保護部材40の異なる位置に設けられていてもよく、保護部材40の強度の均一性を確保するために、貫通孔42は、保護部材40の幅方向Yの中央又は中央に近い位置に設けられることが好ましい。
【0043】
図6、
図7を併せて参照すると、
図6は、本出願の実施例に係る電池モジュール1の底面図を示し、
図7は、
図6におけるA-A方向の断面図を示す。電池モジュール1の性能をより良く最適化し、電池モジュール1の使用中の安全性を確保するために、電池モジュール1は、熱伝導部材90を更に含み、熱伝導部材90は、第2のプレート15と二次電池パック20との間に設けられていることが好ましい。熱伝導部材90を設けることにより、二次電池パック20における各二次電池21の充放電時に発生する熱を熱伝導部材90を介してケース10の第2のプレート15にタイムリーに導き、各二次電池21の放熱ニーズを満たし、二次電池21の過熱による二次電池21の焼損や電池モジュール1の爆発等のリスクを避けることができる。
【0044】
熱伝導部材90は、様々な構造形態をとることができる。いくつかの好ましい例では、熱伝導部材90は、熱伝導接着剤であってもよい。熱伝導部材90の配置を容易にするために、好ましくは、第2のプレート15には、高さ方向Zで第2のプレート15を貫通する接着剤注入孔151が設けられ、中空室11内に液状コロイドを注入し、接着剤注入孔151を通って中空室11内に入った液体コロイドが固化した後に熱伝導部材90を形成する。
【0045】
好ましい実施形態として、本出願の実施例に係る電池モジュール1は、開口12に設けられ、保護部材40に着脱自在に接続されたハーネス仕切板50を更に備えている。ハーネス仕切板50は、二次電池パック20とエンドプレート30との間に位置し、ハーネス仕切板50と保護部材40とを着脱自在に接続させることにより、ハーネス仕切板50と保護部材40及び二次電池パック20との一体的な装着が可能となり、電池モジュール1の組立効率を更に向上させることができる。
【0046】
図8、
図9及び
図10を併せて参照すると、
図8は、本出願の実施例に係る係止部材60がハーネス仕切板50及び保護部材40に接続されたた構成を示す模式図であり、
図9は
図8におけるBの拡大図を示し、
図10は、本出願の実施例に係るハーネス仕切板50及び保護部材40が係止部材60を介して接続された模式図を示す。また、ハーネス仕切板50と保護部材40との間の着脱自在な接続の要件をよりよく満たすとともに、両者間の接続強度を確保するために、好ましくは、電池モジュール1は、係止部材60を更に備える。ハーネス仕切板50及び保護部材40は、互いに係合する第1の係止具61及び第2の係止具62を含む係止部材60によって着脱自在に接続されており、第1の係止具61は、保護部材40に接続され、第2の係止具62は、
ハーネス仕切板50に接続されている。
【0047】
好ましい実施形態として、第1の係止具61は、幅方向Yに沿って延びる柱体611と、幅方向Yに沿って間隔を置いて柱体611に設けられた2つ以上の接続ブロック612とを備えてもよい。隣接する2つの接続ブロック612の間には、係止溝613が形成されている。第2の係止具62は、挟持口621aを有する係止溝613の数と同じ数の係止爪621を備えており、係止爪621は、部分的に係止溝613に入り込んで挟持口621aを囲むように形成された壁部によって柱体611が係止されて固定される。第1の係止具61及び第2の係止具62は、上述した構成形態を採用することにより、ハーネス仕切板50と保護部材40との間の接続強度を確保するとともに、両者間の接続を一層容易にすることができる。
【0048】
具体的に実施するときに、第1の係止具61の数は、接続要件に応じて設定することができ、1つであってもよいし、2つ以上であってもよいが、2つ以上である場合には、2つ以上の第1の係止具61は、幅方向Yに沿って互いに離間して設けられている。同様に、第2の係止具62の数は、第1の係止具61の数と同じであることが好ましい。
【0049】
また、各第1の係止具61に含まれる接続ブロック612は、2つ、3つ、又はそれ以上であってもよく、各第2の係止具62に含まれる係止爪621の数は、それに対応する第1の係止具61の係止溝613の数と同じであることが確保されればよい。
【0050】
なお、第1の係止具61は、保護部材40に設けられたものに限定されず、第2の係止具62は、ハーネス仕切板50に設けられたものに限定されない。いくつの他の例では、第1の係止具61をハーネス仕切板50に設け、第2の係止具62を保護部材40に設けてもよい。これにより、同様に、保護部材40とハーネス仕切板50の接続要件を満たすことができる。
【0051】
本出願の前記各実施例で提供される電池モジュール1は、何れも二次電池21とケース10の第1のプレート14との間、即ち、二次電池パック20の高さ方向Zの一方側に保護部材40を設けたものである。このような構成形態により、電池モジュール1は、組立時に、ケース10の第1のプレート14を下方に位置させ、保護部材40が二次電池パック20の下方に位置するように保護部材40と二次電池パック20とを高さ方向Zに積層させて設けるとともに、係止部材60によってハーネス仕切板50と保護部材40とを一体的に接続させる。そして、保護部材40と二次電池パック20とハーネス仕切板50とからなる全体を長手方向Xに沿ってケース10内部の中空室11内に押し込む。保護部材40と二次電池パック20とハーネス仕切板50とからなる全体をケース10の内部に押し込むと、二次電池パック20と第2のプレート15との間に所定の距離があり、接着剤注入孔151を介して中空室11内に接着剤を注入し、中空室11内に入り込んだ接着剤液は、二次電池パック20によって遮断され、二次電池パック20と第2のプレート15との間の隙間に集められ、硬化によって熱伝導部材90を形成する。
【0052】
保護部材40、二次電池パック20及びハーネス仕切板50からなる全体をケース10の内部に取り込む際に、保護部材40を介してケース10の内壁面に接触するため、その二次電池パック20の他端は、第2のプレート15との間に所定の距離をおいており、各二次電池21を傷つけることがなく、二次電池21が組立時に摩耗することを効果的に避けるとともに、この組立形態により電池モジュールの組立をより簡単にし、電池モジュール1の組立効率を効果的に向上させることができる。
【0053】
なお、第1のプレート14と二次電池パック20との間に保護部材40を設けることは、好ましい実施形態に過ぎない。いくつかの他の例では、第2のプレート15と二次電池パック20との間にも保護部材40が設けられていてもよく、即ち、二次電池パック20は、高さ方向Zの両側に何れも保護部材40が設けられている。この場合には、第2のプレート15にも、同様に、保護部材40と摺動係合するガイド溝13を設けることができ、これにより、電池モジュール1の組立時に、各二次電池21をより良好に保護し、その摩耗を避けることができる。
【0054】
また、二次電池パック20の高さ方向Zの両側に何れも保護部材40が設けられている場合には、保護部材40の貫通孔42は、組立時の排気に限定されるものではなく、接着剤注入孔151から入り込んだ液状接着剤を通過させることができ、更に、保護部材40と二次電池パック20との間の隙間に液状接着剤を入り込ませて熱伝導部材90を形成し、二次電池パック20の熱伝導要件を満たすことができる。
【0055】
以上のように、本出願の実施例に係る電池モジュール1は、ケース10と、二次電池パック20と、保護部材40とを備えており、二次電池パック20の各二次電池が何れもケース10の中空室11内に設けられ、二次電池パック20の高さ方向Zにおける少なくとも一方側には、二次電池パック20とケース10との間に位置し、二次電池パック20を覆ってケース10に摺動可能に接続される保護部材40が設けられていることにより、二次電池パック20の組立時には、二次電池パック20を保護部材40で覆ってケース10に接触させ、二次電池パック20をケース10内の中空室11に摺動させて取り込むことができ、各二次電池21の摩耗を効果的に避けることができ、且つ操作が簡単であり、電池モジュール1の組立効率を確実に保証することができるため、普及しやすい。
【0056】
以上、好ましい実施例を参照して本出願を説明したが、本出願の範囲から逸脱しない範囲で、様々な改良が可能であり、同等のものを使用して、本出願の構成要素を置き換えることができる。特に、各実施例で言及されたすべての技術的特徴は、構造的な矛盾がない限り、任意の方式で組み合わせることができる。本出願は、明細書に開示された特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲に含まれるすべての技術案を含む。
【符号の説明】
【0057】
1電池モジュール、X長手方向、Y幅方向、Z高さ方向、
10ケース、11中空室、12開口、13ガイド溝、14第1のプレート、15第2のプレート、151接着剤注入孔、16サイドプレート、
20二次電池パック、21二次電池、
30エンドプレート、
40保護部材、41スライダ、42貫通孔、
50ハーネス仕切板、
60係止部材、61第1の係止具、611柱体、612接続ブロック、613係止溝、62第2の係止具、621係止爪、621a挟持口、
70出力極取付座、
80出力極、
90熱伝導部材。