(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】ゲームコンソールによる表示要素の制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/038 20130101AFI20220302BHJP
G06F 3/0338 20130101ALI20220302BHJP
A63F 13/53 20140101ALI20220302BHJP
A63F 13/211 20140101ALI20220302BHJP
【FI】
G06F3/038 330
G06F3/0338 411
A63F13/53
A63F13/211
(21)【出願番号】P 2019509553
(86)(22)【出願日】2017-08-17
(86)【国際出願番号】 EP2017070812
(87)【国際公開番号】W WO2018033590
(87)【国際公開日】2018-02-22
【審査請求日】2020-06-15
(32)【優先日】2016-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517447091
【氏名又は名称】ビッグベン インタラクティブ
【住所又は居所原語表記】396-466, rue de la Voyette, CRT2, 59273 FRETIN, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファルク,アラン
(72)【発明者】
【氏名】アラルト,ヤニック
(72)【発明者】
【氏名】ノートバート,アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】デュドワイエ,スティーブン
【審査官】梅本 章子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第96/035985(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/038
G06F 3/0338
A63F 13/53
A63F 13/211
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の範囲の少なくとも2つの自由度によってユーザによって動かされるように構成された操作レバー(10)を含むゲームコントローラに結合されたビデオゲームコンソールによって表示画面上に生成される表示要素の位置および/または移動の制御方法であって、
i自由度毎に少なくとも1つの電気信号を出力する少なくとも1つのセンサ(12)を用いて、前記所定の範囲内の前記操作レバー(10)の位置を測定するステップ、
ii前記少なくとも1つのセンサ(12)で測定された前記操作レバー(10)の点(PL)の前記位置を基準面に投影して、投影位置の第1の座標セットを決定するステップ、
iii前記操作レバー(10)の静止位置を中心とし、前記基準面内で前記操作レバー(10)の点(PL)の前記投影位置を通る位置円(Cp)を決定するステップ、
iv前記位置円(Cp)上に外接方形(Ccp)を決定するステップ、
v前記第1の座標セットの少なくとも1つの座標を前記外接方形(Ccp)に投影するステップ、
vi前記第1の座標セットから推論された、デカルト座標系における第2の座標セットを前記コンソールに送ることができるように、前記第1の座標セットの前記少なくとも1つの座標の前記外接方形(Ccp)への前記投影に基づいて、前記デカルト座標系における投影交点の前記第2の座標セットを計算するステップ、を含む、制御方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの座標を前記外接方形(Ccp)上に投影するステップvは、前記投影交点を、前記操作レバーの点(PL)の前記投影位置を通る前記位置円(Cp)の半径線と前記外接方形(Ccp)との交点として決定するステップを含む、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記デカルト座標系における前記第2の座標セットの前記計算ステップは、
前記位置円(Cp)の中心と前記投影位置とを結ぶ線分の長さとして第1の長さを計算するステップ、
前記位置円(Cp)の中心と前記投影交点とを結ぶ線分の長さとして第2の長さを計算するステップ、
前記第1の座標セットの各座標に、前記第1の長さに対する前記第2の長さの比によっ
て定義される係数を乗じるステップを含む、請求項
2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの座標を前記外接方形(Ccp)上に投影するステップvは、正規直交
座標系の軸に平行な投影方向によって、前記外接方形(Ccp)上に前記投影位置を投影する少なくとも1つのステップを含む、請求項1に記載の制御方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの座標を前記外接方形(Ccp)上に投影するステップvは、
前記投影位置と前記外接方形(Ccp)との間の最短距離を定義する正規直交
座標系の軸に平行な第1の投影方向によって、前記外接方形(Ccp)に前記投影位置を投影して、単一の投影交点を定義するステップを含む、請求項1または
4に記載の制御方法。
【請求項6】
前記第2の座標セットは、前記単一の投影交点のデカルト座標によって定義される、請求項
5に記載の制御方法。
【請求項7】
前記位置円(Cp)を決定するステップと、前記位置円(Cp)上の前記外接方形(Ccp)を決定するステップと、前記少なくとも1つの座標を前記外接方形(Ccp)上に投影するステップと、デカルト座標系における前記第2の座標セットを計算するステップとは、前記第2の座標セットに対する前記第1の座標セットの事前定義変換テーブルを定義するために、前記基準面における前記操作レバー(10)のすべての前記可能な投影位置に対して予め実行される、請求項1から
6のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項8】
前記事前定義変換テーブルは、前記第1の座標セットを入力し、前記第1の座標セットの各座標に乗じるための係数を出力して、前記第2の座標セットを計算する、請求項
7に記載の制御方法。
【請求項9】
前記事前定義変換テーブルは、前記第1の座標セットを入力し、前記第2の座標セットを出力する、請求項
7に記載の制御方法。
【請求項10】
前記第2の座標セットを前記ゲームコンソールに送信するステップを含む、請求項1から
9のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項11】
請求項1に記載の前記操作レバー(10)の位置を基準面に投影して、前記第1の座標セットを決定するステップii、前記位置円(Cp)を決定するステップiii、前記位置円(Cp)上に前記外接方形(Ccp)を決定するステップiv、前記少なくとも1つの座標を前記外接方形(Ccp)上に投影するステップv、およびデカルト座標系における前記第2の座標セットを計算するステップvi、または請求項8に記載の前記操作レバー(10)の位置を基準面に投影して、前記第1の座標セットを決定するステップii、前記角度セクタを決定するステップiii、前記基準円上に前記外接基準方形を決定するステップiv、前記少なくとも1つの乗率を決定するステップv、および前記第2の座標セットを計算するステップviは第1の解像度で実行され、前記第1の解像度より小さい第2の解像度によって前記第2の座標セットを送信するための、前記第2の座標セットを送信する前記ステップの前に前記解像度を下げるステップが提供される、請求項
10に記載の制御方法。
【請求項12】
前記表示画面上に生成される前記表示要素の前記位置および/または前記移動は、前記第2の座標セットに基づいて修正される、請求項1から
11のいずれか一項に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ゲームコントローラに結合されたビデオゲームコンソールによって表示画面上に生成される表示要素の制御方法に関する。特に、本発明は、ゲームコントローラが表示要素の位置および/または移動を制御するためにユーザによって動かされるレバーまたはジョイスティックを含むときの表示要素の制御に関し、表示要素は、例えば、ゲーム内の位置または制御ステーションからユーザのアバターによって見られる表示カーソルまたは背景であり得る。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願公開第2450776(A1)号明細書に開示されているように、レバーの位置の測定を管理するために、デカルト座標系による座標系を極座標として使用することが従来技術において知られている。さらに、ゲームコンソール用の標準化された形式のために、デカルト座標系によってゲームコンソール座標を送ることが依然として必要であることが多い。
【0003】
測定された位置を基準面(例えばレバーが静止位置で垂直である場合は、例えばレバーに垂直方向)に投影するのが一般的な方法である。機械的停止部によって制限された移動範囲(円、六角形、その他の多角形、任意の形状、さらには楕円形など)でレバーが展開する可能性がある場合は、レバーが停止しているときに、基準面の対角線のうちの1つによって、フルスケールの信号をコンソールに送信し、レバーが機械的停止部の投影部分に内接する方形の縁を越えて四分円範囲に入ったときはこの信号を増加させないようにし、上記の対角線上に方形の頂点が来るようにするのが一般的である。
【0004】
レバーの所定の移動範囲は、例えばゲームコントローラのケーシングで停止する前にレバーが動くことができる空間の範囲として定義される。知られているように、この停止部は、例えば、八角形または六角形、あるいはさらに楕円形などの円形または多角形であり得る。
【0005】
結果として、この管理モードは、移動範囲(円、六角形または他の多角形、任意の形状、さらには楕円形の形状で投影された形状を有する)を、有効な測定範囲(投影された円に内接する方形)に限定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許出願公開第2450776(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上述した従来技術の文書の不利な点に対処することであり、特に、ゲームコンソールにデカルト座標を送信しながら、操作レバーの完全な移動範囲を利用する所定の範囲の少なくとも2つの自由度によってユーザによって動かされるように構成された操作レバーを含むゲームコントローラに結合されたビデオゲームコンソールによって表示画面上に生成される表示要素の位置および/または移動の制御方法という第1の目的に対処することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このために、本発明の第1の態様は、所定の範囲の少なくとも2つの自由度によってユ
ーザによって動かされるように構成された操作レバーを含むゲームコントローラに結合されたビデオゲームコンソールによって表示画面上に生成される表示要素の位置および/または移動の制御方法に関し、
-自由度毎に少なくとも1つの電気信号を出力する少なくとも1つのセンサを用いて、所定の範囲内の操作レバーの位置を測定するステップ、
-前記少なくとも1つのセンサで測定された操作レバーの位置を基準面に投影して、第1の座標セットを決定するステップ、
-操作レバーの静止位置を中心とし、基準面内で操作レバーの投影位置を通る位置円を決定するステップ、
-位置円上に外接方形を決定するステップ、
-第1の座標セットの少なくとも1つの座標を外接方形に投影するステップ、
-第1の座標セットのイメージである第2のデカルト座標セットをコンソールに送ることができるように、第1の座標セットの前記少なくとも1つの座標の外接方形への投影に基づいて、デカルト座標系における第2の座標セットを計算するステップ、からなるステップを含む。
【0009】
上記の実行によるプロセスは、位置円に対する外接方形(すなわち、位置円を囲み、それぞれの辺が位置円の接線となる方形)を画定するステップを含み、基準面における投影位置の外接方形の一辺に投影を実行する可能性を提供する。この第2の投影は、位置円上にある投影位置から、その一部が外接方形上にある第2の投影位置(投影位置の座標のうちの少なくとも1つの座標の投影によって定義される)に移動する。これはデカルト座標を容易に画定し、操作レバーが円形、六角形または多角形、任意の形状、さらには楕円形の機械的停止部上の機械的停止部にある場合でさえも、可能な位置の最大円に対する外接方形上にある座標が自然に得られる(操作レバーが機械的停止部にある場合)。投影が位置円と外接方形とに属するレバーの位置では、変換により座標は変わらないが、他のすべての位置では、この方法は、(外接方形への投影により)位置ベクトルのノルムを拡張して、方形上の座標を取得することになる。
【0010】
結果として、外接方形への投影は第2の位置点(座標として第2の座標セットを有する)を画定し、これにより原点(静止位置)と第2の点との間に第2のベクトルが構成され、ここで第2のベクトルのノルムは、原点と基準面内の投影位置との間に構成された第1のベクトルのノルム以上である。ノルムは、操作レバーが基本方向に動かされた場合にのみ等しくなり、それ以外の場所では、第2のベクトルのノルムは第1のベクトルのノルムより大きくなる。
【0011】
操作レバーが基本軸によって(すなわち、垂直方向のみもしくは水平方向のみ、または横座標方向のみもしくは縦座標方向のみに)動かされるとき、位置円は外接方形に対して接線方向であるため、座標の変更はないことに留意されたい。結果として、操作レバーが、中心軸に沿った位置または投影位置が位置円および外接方形に属している点以外の場所に動かされると、外接方形への投影は、測定座標のうちの1つを増加または拡張して、第2のデカルト座標セットを定義することになる。
【0012】
また、レバーは、ゲームコントローラに対してボールソケット結合として取り付けることができ、すなわち、2回転では可動であるが、並進または第3の回転(一般的にはレバーの周り)では可動ではない。しかしながら、このプロセスは、平面内での2つの並進運動によって可動であり、かつ3つの回転および並進運動によって阻止されるレバーにも適用される。示すように、本発明の主題を形成する方法が適用されるためには、レバーが2つの自由度によって可動であれば十分である。
【0013】
また、基準面内の投影は、基準面に対して直角投影であることが有利であるが、斜め投
影も可能である、すなわち、投影方向は、基準面に対して垂直ではなく、基準面に対して(例えば、少なくとも数度)傾斜している。言い換えれば、レバーが静止位置にあるとき、基準面はレバーに対して垂直であり得るが、これは本発明の主題を形成する方法を実行するために必要ではない。しかしながら、良好な解像度(精細度)は維持される必要があり、それによって投影方向は、例えば基準面に対して20°を超えて傾くことはないだろう。これは、静止位置にある操作レバーに対して垂直ではない基準面に投影することに等しい。
【0014】
有利には、外接方形上の第1の座標セットの前記少なくとも1つの座標の投影ステップは、投影位置点を、投影位置を通る位置円の半径を有する軸と外接方形との交点として決定するステップからなるステップを含む。言い換えれば、投影位置は、極座標系または円柱座標系の座標のうちの1つ(原点からの距離)を定義する半径方向によって再度投影される。
【0015】
好ましい方法によれば、外接方形上への第1の座標セットの前記少なくとも1つの座標の投影ステップは、投影位置を通る位置円の半径によって定義される投影方向によって外接方形上に投影位置を投影するステップからなるステップを含む。
【0016】
有利には、第2のデカルト座標セットの計算ステップは、
-位置円の中心と投影位置とを結ぶ線分の長さとして第1の長さを計算するステップからなるステップ、
-位置円の中心と(外接方形上に位置する)投影位置点とを結ぶ線分の長さとして第2の長さを計算するステップからなるステップ、
-第1の座標セットの各座標に、第1の長さに対する第2の長さの比によって定義される係数を乗じるステップからなるステップを含む。第1の座標セットはデカルト座標系によっており、この実行の最終ステップは、第1の座標セットの各座標について相似性を実行することになる。相似比は1以上であり、投影位置の原点(位置円に属する)からの距離に対する投影位置点の原点(外接方形に属する)からの距離の比に等しい。相似比は、操作レバーが基本方向によって、または投影位置が位置円および外接方形に同時に属する位置に動かされる場合にのみ1に等しい。他のすべての場合では、1より大きい。円形の機械的停止部の場合、この比は操作レバーが対角線上にあるときに最大になり、それは約2の平方根(約1.414)に等しくなる。
【0017】
第1の代替案によれば、外接方形上への第1の座標セットの前記少なくとも1つの座標の投影ステップは、正規直交座標系の軸によって定義される投影方向によって、外接方形上に投影位置を投影するステップからなる少なくとも1つのステップを含む。
【0018】
第1の代替案の特定の事例によれば、外接方形上への第1の座標セットの前記少なくとも1つの座標の投影ステップは、
-投影位置と外接方形との間の最短距離を定義する正規直交座標系の軸によって定義される第1の投影方向によって、外接方形上に投影位置を投影して、単一の投影点を定義するステップからなる単一ステップを含む。この方法では、変換係数の計算が回避され、第2の座標セットがすばやく送信される。
【0019】
有利には、第2のデカルト座標セットは、単一の投影点のデカルト座標によって定義される。
【0020】
第2の代替案として、本発明は所定の範囲の少なくとも2つの自由度によってユーザによって動かされるように構成された操作レバーを含むゲームコントローラに結合されたビデオゲームコンソールによって表示画面上に生成される表示要素の位置および/または移
動の制御方法に関し、
-自由度毎に少なくとも1つの電気信号を出力する少なくとも1つのセンサを用いて、所定の範囲内の操作レバーの位置を測定するステップ、
-前記少なくとも1つのセンサで測定された操作レバーの位置を基準面に投影して、第1の座標セットを決定するステップ、
-基準面の所定の複数の角度セクタから、操作レバーの投影位置を含む角度セクタを決定するステップであって、各角度セクタは、操作レバーの静止位置を中心とする基準円が通る少なくとも1つの基準点を含む、角度セクタを決定するステップ、
-(投影位置を含む)決定された角度セクタの基準円上に外接基準方形を決定するステップ、
-外接基準方形上への基準点の投影に基づいて、決定された角度セクタの関数として定義された少なくとも1つの乗率を決定するステップ、
-第1の座標セットのイメージである第2のデカルト座標セットをコンソールに送ることができるように、第1の座標セットの各座標に前記少なくとも1つの乗率を乗じることによって第2の座標セットを計算するステップ、からなるステップを含む。この実行によるプロセスは、外接方形への基準円の投影を常に使用するが、同じ角度セクタ内で組み合わされた1セットの点に対して有効な乗率を決定する。言い換えれば、変換は点のバッチ毎に行われる。しかし、第1の態様と同様に、円の一部を形成する基準点の投影を通過させて、円に対する外接方形の一部を形成する第2の投影点を定義する。
【0021】
ここでもまた、プロセスは、原点(静止位置)と第2の位置点との間に第2のベクトルを構成する第2の位置点(座標として第2の座標セットを有する)を画定し、ここで第2のベクトルのノルムは、原点と基準面内の投影位置との間に構成された第1のベクトルのノルム以上である。ノルムは、操作レバーが、基本方向に動かされる場合または投影位置が位置円および外接方形に同時に属する位置に動かされる場合にのみ等しくなり、それ以外の場所では、第2のベクトルのノルムは第1のベクトルのノルムより大きくなる。
【0022】
有利には、複数の所定の角度セクタの各角度セクタは、基準面における操作レバーの位置の可能な投影の全表面を切断して覆うために、静止位置を通る2つの直線と静止位置を中心とする2つの円との交点によって画定される。言い換えれば、各角セクタは最高部(クラウン)またはクォーターディスクの一部である。静止位置から離れた範囲内の区画または区分をさらに分割して、同じ計算精度を維持することが可能である。
【0023】
有利には、位置円を決定するステップと、位置円上の外接方形を決定するステップと、前記少なくとも1つの座標を外接方形上に投影するステップと、(好ましい実行、第1の代替案または第2の代替案によって)デカルト座標系における第2の座標セットを計算するステップと、からなるステップは、第2の座標セットに対する第1の座標セットの事前定義変換テーブルを定義するために、基準面における操作レバーのすべての可能な投影位置に対して予め実行される。言い換えれば、投影に関連するステップは、ゲームコントローラを使用する前に実行されて、ゲームコントローラのコンピュータ記憶手段に記憶される事前定義変換テーブルを作成する。結果として、ゲームコントローラの使用中の計算は制限される。
【0024】
有利には、前記事前定義変換テーブルは、第1の座標セットを入力し、第1の座標セットの各座標に乗じるための係数を出力して、第2の座標セットを計算する。計算は、第1の座標セットに係数を乗じることに限定されている。
【0025】
有利には、前記事前定義変換テーブルは、第1の座標セットを入力し、第2の座標セットを出力する。
【0026】
言い換えれば、位置円を決定するステップと、位置円上の外接方形を決定するステップと、前記少なくとも1つの座標を外接方形上に投影するステップと、デカルト座標系における第2の座標セットを計算するステップと、からなるステップは、事前定義変換テーブルを使用して実行され、前記事前定義変換テーブルは、第1の座標セットを入力し、前記第1の座標セットの各座標に乗じるための係数を出力して、第2の座標セットを計算する。
【0027】
有利には、制御方法は、第2のデカルト座標セットをゲームコンソールに送信するステップからなるステップを含む。
【0028】
有利には、表示画面上に生成される表示要素の位置および/または移動は、第2のデカルト座標セットに基づいて修正される。
【0029】
有利には、第2の座標セットの計算ステップまでステップは第1の解像度で実行され、第1の解像度より小さいか低い第2の解像度によって第2の座標セットを送信するための、第2の座標セットを送信するステップの前に解像度を下げるステップからなるステップが提供される。この実行は計算中に良好な精度を維持し、ゲームコンソールのための計算時間またはコントローラとコンソールとの間の伝送時間をあまり必要としないフォーマットによって第2の座標セットを送信する。
【0030】
本発明の他の特徴および利点は、非限定的な例として示され、添付の図面によって示される本発明の3つの実施形態の以下の詳細な説明からより明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本発明による方法によって、ゲームコントローラに結合されたビデオゲームコンソールによって表示画面上に生成される表示要素の位置および/または移動を制御するためのゲームコントローラビデオの操作レバーの断面図である。
【
図2】
図2は、本発明による方法によって実行される
図1の操作レバーの測定位置の処理の第1の実行を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明による方法によって実行される
図1の操作レバーの測定位置の処理の第2の実行を示す図である。
【
図4a】
図4aは、本発明による方法によって実行される
図1の操作レバーの測定位置の処理の第3の実行を示す図である。
【
図4b】
図4bは、本発明による方法によって実行される
図1の操作レバーの測定位置の処理の第3の実行を示す図である。
【
図5】
図5は、六角形状の機械的停止部によって制限された範囲内で動かすことができる操作レバーの場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、ゲームコントローラの操作レバー10を示す。このような操作レバー10は、「ジョイスティック」または「スティック」とも呼ばれる。典型的には、そのような操作レバー10は、例えば人物の移動、標的視野の移動、またさらにはビデオゲームの仮想カメラの移動を引き起こすためにビデオゲームコンソールのユーザによって作動および動かすことができるように、ゲームコントローラの上面に配置される。
【0033】
したがって、一般に、操作レバー10は、ゲームコントローラビデオのケーシング20に対して可動であり、
図1に示すように、ボールソケット結合によってケーシング20に対して連結することができる。操作レバー10とケーシング20との間の他の結合、例えば、操作レバー10の1回の水平移動を可能にする結合機構が可能である。
【0034】
しかしながら、操作レバー10は所定の移動範囲内でのみ移動可能であり、円形停止部20aによって制限されている。図示の場合、停止部20aはケーシング20の隆起部であり、操作レバー10がケーシング20を貫通する穴を形成している。したがって、以下の説明は円形の機械的停止部に関連しており、他の停止部形状も可能であり、この特定の実施形態の説明の後に言及する。操作レバー10の動きを検出するために、操作レバーはポテンショメータのような少なくとも1つの位置センサ12に接続されている。このような位置センサ12は、操作レバー10の動きを検出することで、例えば操作レバー10の点PLの位置を計算する。
【0035】
この場合、2つの自由度によって操作レバー10を動かすことができるので、もちろん2つの位置センサを設けることができ、あるいは操作レバー10が占めることができるすべての位置を正確に測定するための2つの測定トラックを有する単一の位置センサを設けることができる。
【0036】
停止部20aは円であり(もちろん上述したように、他の停止部形状、すなわち多角形、八角形、六角形、楕円形も可能である)、操作レバーが(
図1に実線で示すように)静止位置にあるときに点PLの位置が制御レバーに垂直な基準面に投影されると、投影位置はすべて、
図2または
図3に示す停止円Cm内に含まれる。操作レバーが静止位置にあるとき、基準面は操作レバーに垂直な平面から数度だけ傾斜することができ、そして機械的停止円形の投影は、この傾斜した平面において楕円形である。
【0037】
実際、
図2および
図3は、操作レバー10の移動限界である停止円Cmを示している。従来の用語では、操作レバー10が停止されると、ゲームコントローラは、操作レバー10の停止時に移動の強度が最大であることを示す情報をゲームコンソールに送信しなければならないことが理解される。
【0038】
しかしながら、操作レバー10の動きは円によって制限されるが、ゲームコンソールはデカルト座標のセットの形で操作レバー10からの位置を受け取らなければならず、デカルト座標系の原点と基準面内の投影位置との間のベクトルのノルムは最大でなければならない。
【0039】
図2および
図3に示すデカルト座標系(x-x’;y-y’)において、45°の対角線によって操作レバー10が上向きに停止されると、コンソールに送信される信号はフルスケールでなければならず、したがってデカルト座標は例えば(1、1)である。しかし、内接方形Cimが円Cm内をたどり、操作レバー10が内接方形Cimから外れて上向きに動かされ、停止されずに依然として円Cm内にある場合、軸y’-yによる座標はさらに増加させなければならないであろうが、これはコンソールによる解釈を歪めるであろう、なぜなら、原点と基準面における投影位置との間のベクトルのノルムは、操作レバー10が対角線上で停止したときのベクトルのノルムよりも大きいからである。
【0040】
結果として、操作レバーの投影位置が45°で対角線上にあり、および円Cm上にあるときの強度1(操作レバー10は45°で停止)と、操作レバーの投影位置が内接方形Cimよりも外であるが、円Cm上にない(操作レバー10は停止)ときのより大きな強度という、コンソールによって回復された移動の強度の不一致があるかもしれない。
【0041】
この不一致を回避するために、操作レバー10の投影位置が内接方形Cimを出ると、デカルト座標の1つに1が課され、これは内接方形Cimの外にある停止円Cmの範囲によって画定されるクォーターディスクである4つの移動範囲を無視することになる。
【0042】
基本方向(したがって投影位置は軸yy’またはxx’のうちの1つにある)による操
作レバー10の移動の間、投影位置が内接方形Cim上にあるかそれを超えると、フルスケールに達することが理解される。
【0043】
この欠点を修正し、停止円Cmの全移動範囲を考慮するために、本発明は、基準面における操作レバーの投影位置から相似性を作り出すことによってゲームコンソールに送信される座標のセットを計算することを提案する。
【0044】
図2は、2つの具体例における、この計算の最初の実行を示す。
【0045】
第1の具体例では、操作レバーは位置Aにあり、基準面内の投影位置は座標(a1、a2)となる。最初に、座標の投影位置(a1、a2)を通り、操作レバーの静止位置(基準フレームの原点(xx’、yy’))を中心とする位置円Cpが決定される。
【0046】
次に、位置円Cp上に外接方形Ccpが決定され、座標(a1、a2)の投影位置を通る半径と座標(a’1、a’2)を有する外接方形Ccpとの交点が求められる。
【0047】
ゲームコンソールに送信されるのは、座標(a’1、a’2)である。それらを計算するために、点(a1、a2)を通る位置円の半径R1の長さが、ピタゴラスの定理(方程式1)によって決定される。次に、その終点に座標系の原点と座標(a’1、a’2)を有する線分の長さR2が、タレスの定理(方程式2)によって決定される。
方程式1
【数1】
方程式2
【数2】
【0048】
ここで、第2の座標セット(a’1、a’2)の座標を得るために、第1の座標セット(a1、a2)の各座標に比R2/R1を乗じることが残っている。
【0049】
したがって、位置円Cpとその外接方形Ccpとの間の寸法の差に基づいて相似性が実行される。投影位置は、第2の座標セットを得るために外接方形Ccpに向けて人為的に「拡大」または「変位」される。これは径方向に合わせた投影である。
【0050】
操作レバーが(軸xx’またはyy’に沿って)基本方向にのみ動かされるとき、第2の座標セットは第1の座標セットに等しいことに留意されたい、そしてその場合、相似性は1の比を有する。また、相似比は、操作レバー10が対角線に沿って動かされたときに最大となり、その場合、比は約1.414、すなわち2の平方根である。
【0051】
結果として、コンソールは操作レバーが停止しているときにのみフルスケールで第2のデカルト座標セットを受け取り、これは測定範囲を無視することなく行われる。
【0052】
図2の位置Bは、操作レバー10が停止したことを正確に示しており、投影位置の座標は、停止円Cm上に位置する(b1、b2)である。変換は、コンソールに送られる第2の座標セット(b’1、b’2)を計算するために、投影位置を通る半径方向によって外接方形Ccm上への投影位置の投影を計算することになる。
【0053】
本発明によるプロセスは、外接方形Ccpおよび位置円Cpを決定するためのステップ、および相似比を有する第2の座標セットを計算するために、操作レバー10の位置を各測定値へ投影するためのステップを実行することができ、あるいはすべての可能な位置について相似比を計算することによって事前定義テーブルを構築することができ、この事前定義テーブルはゲームコントローラに記憶され、測定された位置の関数として適切な比が単に検索され、測定された座標に適切な比率が乗じられて第2の座標セットが得られる。代替として、第2の座標セットは、事前定義テーブルに直接記憶することができる。
【0054】
図3は第1の代替案を示す。この代替案では、位置円Cpおよび外接方形Ccpの決定は同一である。しかしながら、半径方向によって投影位置を投影する代わりに、プロセスでは、軸xx’またはyy’のうちの1つに平行に、特に最も近い外接方形の辺に向けて単一の投影が実行され、ゲームコンソールに送信される第2のデカルト座標セットが得られる。
【0055】
特に、操作レバー10が位置Aにある具体例では、投影位置の第1の座標セットは(a1、a2)である。外接方形Ccpの最も近い辺は水平方向の上辺であるので、第2の座標セットの座標は(a’1、a’2)となり、
a’1=a1
a’2=√(a12+a22)
である。
【0056】
操作レバー10が位置Bにある(停止している)場合、投影位置(したがって円Cm上)の第1の座標セットは(b1、b2)であり、外接方形Ccmの最も近い辺は垂直方向の右辺であるので、外接方形Ccm上への投影位置の投影は、第2の座標セットとして(b’1、b’2)を有することになり、
b’1=√(b12+b22)
b’2=b2
である。
【0057】
図4aおよび
図4bは、ゲームコンソールに送信される第2のデカルト座標セットを決定するための第3の可能な実行を示す。
【0058】
この実施では、図が乱雑にならないように、停止円Cmおよびその外接方形は示されていない。実際には、停止円Cmの全表面は、角度セクタSiに切断されている。これらのうちの単一のものが
図4aに見られ、それは位置Aにおける操作レバー10の投影位置を含むものである。問題の角度セクタSiは、座標系の中心(操作レバー10の静止位置)を通る2本の直線によって横方向に(または角度をつけて)区切られた最高部の一部である。停止円Cmの全表面は角度セクタによって切断され、それによって操作レバーの各投影位置に対して投影位置を含む特定の角度セクタを識別することが可能になる。
【0059】
各角度セクタについて、この角度セクタに含まれる基準点、この基準点を通る位置円Cp、およびこの基準円に対する外接方形Ccpを定義することが可能である。半径方向によって外接方形Ccp上の基準点の投影を決定し、(外接方形Ccp上の)基準点の投影と原点とを結ぶ線分の長さと位置円の半径との比である乗率を決定することが可能である。これは各角度セクタSiについてである。
【0060】
結果として、特定の角度セクタSiの要素を形成する各点について、第1の座標セットの座標にこのセクタに特有の乗率を乗じて第2の座標セットを計算することが可能である。
図4bが示すように、角度セクタSiのすべての点は、実質的に方形である角度セクタ
S’iに向けて同じ乗率で投影される。
【0061】
言い換えれば、プロセスでは、ゲームコントローラに記憶されている乗算係数テーブルによって、実行される計算を制限するためにバッチ単位または角度セクタ単位で処理が実行され、投影位置を含む角度セクタSiの関数として使用される乗算係数の値が得られる。
【0062】
もちろん、2つの次元がある場合、乗率は各次元に1つずつ、2つの値を含む。
【0063】
添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される本発明の異なる実施形態に対して、当業者に明らかな様々な修正および/または改良がなされ得ることが理解されよう。特に、第1の座標セットが参照され、この第1の座標セットにどのフォーマットが使用されるかは規定されていない。本発明は、第1のセットの円柱座標、球座標、さらにはデカルト座標で機能することができる。
【0064】
上述したように、円形の機械的停止部の場合は詳細に処理されているが、例えば
図5に示すように、六角形の機械的停止部の場合も可能である。この方法は、レバーの位置を基準面に投影し、次に操作レバーの投影位置を通る位置円を決定し、次に、投影位置を位置円の外接方形上に投影するという点では同じである。
【0065】
しかしながら、操作レバーがケーシング上で機械的に停止しているとき、操作レバーは
図5に示す六角形の形状を超えて進むことはできない。操作レバーが軸xx’上でのみ動かされる場合、操作レバーはすぐにケーシングによって迅速に停止され、第1の外接方形Ccm1と共に第1の位置円Cm1が決定され得る。操作レバーが軸yy’上でのみ動かされる場合、操作レバーはケーシング(六角形の頂点の範囲)で停止されるまでさらに動かすことができ、第2の位置円Cm2および第2の外接方形Ccm2が決定され得る。
【0066】
第2の外接方形Ccm2は第1の外接方形Ccm1よりも大きいサイズを有するので、得られる第2の座標セットに歪みがあり、レバーが辺の中央(第1の外接方形Ccm1)ではなく頂点の範囲(第2の外接方形Ccm2)で機械的に停止するとき、自然により大きいノルムを有する。しかしながら、この歪みは、機械的停止部の形態によってもたらされるものであり、本発明の方法によってもたらされるものではない。
【0067】
また、操作レバーは、機械的停止部の多角形形状の頂部までは移動できず(操作レバーは交差部によって頂点を形成する2つの側面で停止される直径を有するので)、停止した操作レバーの可能な位置を得るために示された六角形の頂点を「丸める」だけになることも分かる。基準面への投影、位置円および外接方形の決定、そして投影の方法は同じである。