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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220302BHJP
   H04B 1/3883 20150101ALI20220302BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
H02J7/00 Y
H04B1/3883
H01M10/48 P
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017243173
(22)【出願日】2017-12-19
(65)【公開番号】P2019110707
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000100746
【氏名又は名称】アイコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】関山 良男
【審査官】坂本 聡生
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-035053(JP,A)
【文献】特開2004-247322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00- 7/12
7/34- 7/36
H01M10/42-10/48
H04B 1/38- 1/58
H04M 1/00- 1/82
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
露出する充電端子を有する充電池と、
前記充電端子の電位が低電位になることによって電子機器が水没したことを検出する水没検出回路と、
前記水没検出回路による水没の検出を報知する報知部と、
前記充電池と通信する制御回路と、
を備え
前記充電端子は、前記充電池の正極端子に接続される第1端子と、前記充電池の負極端子に接続される第2端子と、前記充電池の電池状態を監視するための第3端子とを含み、
前記電子機器の水没が検出される前記充電端子が前記第3端子であり、
前記第3端子は、前記充電池と前記制御回路との通信を中継する中継端子と接続されており、
前記水没検出回路は、前記中継端子の電位が前記第3端子の電位に応じて低電位に変化し、前記中継端子の低電位の状態が、前記充電池と前記制御回路との通信において送受信されるデータ信号が低レベルとなる最長時間よりも長い所定時間維持されたときに、電子機器が水没したことを検出する電子機器。
【請求項2】
露出する充電端子を有する充電池と、
前記充電端子の電位が低電位になることによって電子機器が水没したことを検出する水没検出回路と、
前記水没検出回路による水没の検出を報知する報知部と、
前記充電池と通信する制御回路と、
を備え、
前記充電端子は、前記充電池と前記制御回路との通信を中継する中継端子と接続されており、
前記水没検出回路は、前記中継端子の電位が前記充電端子の電位に応じて低電位に変化したことによって電子機器が水没したことを検出し、
前記制御回路は、前記充電池が前記制御回路と通信可能であると判定したときのみ、前記水没検出回路の検出結果を有効にする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水没検出機能を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
水際や水上で電子機器を使用する場合、電子機器を水中に落とすなどして、電子機器が水没することがある。例えば、特許文献1には、外部に露出する一対の電極を設け、電子機器が水中に落下したことで電極間が導通すると、電子機器を発見しやすいようにLEDが点滅することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5521887号(2014年6月18日発行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の一対の電極は、電子機器の水没を検出するために専用に設けられている。このため、電極の費用、電極を配置するスペース、電極の組み立て加工に要する費用などが必要となる。
【0005】
本発明の一態様は、電子機器の水没検出を低コストで実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る電子機器は、露出する充電端子を有する充電池と、前記充電端子の電位が低電位になることによって電子機器が水没したことを検出する水没検出回路と、前記水没検出回路による水没の検出を報知する報知部と、を備えている。
【0007】
上記の構成によれば、充電端子の電位が低電位になることで電子機器の水没が検出されるので、充電池の充電に用いられる充電端子を水没の検出に利用することができる。これにより、水没の検出のために専用の端子を設ける必要がなくなる。それゆえ、専用の端子そのもの、専用の端子を配置するためのスペース、専用の端子を電子機器に組み付ける加工費等が不要になる。したがって、電子機器のコストを低減することができる。
【0008】
前記電子機器は、前記充電池と通信する制御回路をさらに備え、前記充電端子は、前記充電池と前記制御回路との通信を中継する中継端子と接続されており、前記水没検出回路は、前記中継端子の電位が前記充電端子の電位に応じて低電位に変化したことによって電子機器が水没したことを検出してもよい。
【0009】
上記の構成によれば、充電池と制御回路との間で行われる通信を中継する中継端子が充電端子に接続されているので、充電端子の電位の状態が中継端子にも現れる。これにより、水没検出回路は、中継端子の電位を監視することによって、容易に水没を検出することができる。
【0010】
前記電子機器において、前記水没検出回路は、前記中継端子の電位が低電位となる状態が、前記通信において送受信される信号が低レベルとなる最長時間よりも長い所定時間維持されたときに水没を検出してもよい。
【0011】
上記の構成によれば、中継端子を、充電池と制御回路との間の通信と、水没検出とで共用しても、水没検出回路は、前記中継端子の電位が低電位となる状態が、信号の低レベル状態によるものか、充電端子の電位が低電位となることによるものかを区別できる。これにより、水没検出回路が誤検出することを回避できる。
【0012】
前記電子機器において、前記制御回路は、前記充電池が前記制御回路と通信可能であると判定したときのみ、前記水没検出回路の検出結果を有効にしてもよい。
【0013】
上記の構成によれば、充電池が制御回路との通信機能を備えていない場合、中継端子と接続される充電端子が不要であるために存在していないことが想定される。この場合、水没検出回路が検出した水没は、誤検出である可能性が高い。そこで、充電池が通信回路と通信可能であると判定したときのみ、水没検出回路の検出結果を有効にすることで、誤検出を回避することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、電子機器の水没検出を低コストで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態1に係る無線機の操作面側の外観構成を示す斜視図である。
図2】上記トランシーバの背面側の外観構成を示す斜視図である。
図3】上記トランシーバの構成を示すブロック図である。
図4】上記トランシーバにおける水没検出回路を含む回路の構成を示す回路図である。
図5】本発明の実施形態2に係る上記トランシーバの電池種類検出の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態1について、図1図4を参照して説明すれば、以下の通りである。
【0017】
図1は、本実施形態に係るトランシーバ1の操作面側の外観構成を示す斜視図である。図2は、トランシーバ1の背面側の外観構成を示す斜視図である。図3は、トランシーバ1の構成を示すブロック図である。
【0018】
図1および図2に示すように、トランシーバ1(電子機器)は、船舶通信用のハンディ機器であり、マリンVHFバンドの無線通信を行う。トランシーバ1は、機器本体2と、バッテリーパック3(充電池)とによって構成されている。
【0019】
図1に示すように、機器本体2は、トランシーバ1の主要部品を実装する本体部分である。機器本体2の前面には、スピーカ11(報知部)、液晶パネル12(報知部)、LED13(報知部)、操作部14などが設けられている。機器本体2の頂部には、アンテナ15、電源・音量ツマミ16などが設けられている。アンテナ15は、機器本体2に対して着脱可能である。
【0020】
スピーカ11の前面は、複数のスリットを有するスピーカグリル17によって保護されている。スピーカ11は、通信時に音声を出力する以外に、トランシーバ1の水没状態で警告音を出力する。液晶パネル12は、通話に関する情報、電波状況に関する情報、電池状態に関する情報などの各種の情報を表示する。LED13は、トランシーバ1の待ち受け状態では消灯し、受信状態では赤色に点灯し、送信状態では緑色に点灯し、水没状態では青色に点灯する。操作部14は各種の操作キーを備えている。
【0021】
図2に示すように、バッテリーパック3は、トランシーバ1の背面側に設けられている。バッテリーパック3は、機器本体2に対して着脱可能となるように装着されている。
【0022】
図3に示すように、バッテリーパック3は、二次電池31と、電池残量検出IC32と、電池保護IC33と、保護回路34とを有している。
【0023】
二次電池31は、軽量かつ大容量のリチウムイオン電池であり、2個の二次電池セルが直列に接続されて構成されている。なお、二次電池31が含む二次電池セルの個数は2個に限定されない。また、各二次電池セルは並列に接続されていてもよい。
【0024】
電池残量検出IC32は、二次電池31の充電電力の残量(電池残量)を検出するIC(Integrated Circuit)である。電池残量検出IC32は、二次電池31の正極端子の電位に基づいて、電池残量を検出するだけでなく、充電回数、電池寿命などの電池状態も検出する。このように、電池残量検出IC32は、電池の状態を監視する機能を有する。また、電池残量検出IC32は、機器本体2に設けられた後述するCPU26の要求に応じて、検出した電池状態を電池状態データとしてCPU26に送信する。また、電池残量検出IC32は、図示しない充電器の要求に応じて、電池状態データを充電器に送信する。
【0025】
電池保護IC33は、後述する放電端子36A,36Bが何らかの理由で短絡したことによって二次電池31に過大な電流が流れた状態、二次電池31の過充電または過放電の状態などの異常な状態を検出して、保護回路34を動作させるICである。電池保護IC33は、二次電池31における2個の二次電池セルの接続点(中点)の電圧に基づいて、異常な状態を検出する。
【0026】
保護回路34は、上記の異常な状態から二次電池31を保護する回路であり、トランジスタなどを含むスイッチ回路によって構成されている。保護回路34は、電池保護IC33によって異常な状態が検出されたときに、二次電池31と放電端子36Bとの間の通電をスイッチ回路をオフすることで遮断する。
【0027】
また、バッテリーパック3は、充電器と接続される充電用の端子として、充電端子35A~35Cを有している。図2に示すように、充電端子35A~35Cは、バッテリーパック3におけるトランシーバ1の底部側の端部に露出するように設けられている。
【0028】
充電端子35Aは、二次電池31の正極端子に接続されている正極側の端子である。充電端子35Bは、保護回路34を介して二次電池31の負極端子に接続されている負極側の端子である。
【0029】
充電端子35Cは、電池状態を監視するために、電池残量検出IC32からの電池状態データを充電器に出力したり、充電器からのデータ送信要求を受けたりする端子である。充電端子35Cは、電池残量検出IC32の出力端子に接続されている。充電器は、電池状態データに基づいて満充電状態になるまで充電を行う。
【0030】
トランシーバ1が水没したことによって充電端子35Bと充電端子35Cとが短絡すると、充電端子35Cの電位がL(低電位)に変化する。充電端子35Aには、逆流防止用のダイオード(図示せず)が接続されている。このため、トランシーバ1が水没しても充電端子35Aの電位は変化しない。
【0031】
さらに、バッテリーパック3は、機器本体2と接続される放電側の端子として、放電端子36A~36Cを有している。放電端子36A~36Cは、図示はしないが、機器本体2の背面部と対向する内面側に設けられている。
【0032】
放電端子36Aは、二次電池31の正極端子に接続されている正極側の端子である。放電端子36Bは、保護回路34を介して二次電池31の負極端子に接続されている負極側の端子である。
【0033】
放電端子36Cは、電池状態を監視するために、電池残量検出IC32からの電池状態データを機器本体2に出力する端子である。放電端子36Cは、充電端子35Cと同じく、電池残量検出IC32の出力端子に接続されている。
【0034】
二次電池31は、正極側の充電端子35Aおよび負極側の充電端子35Bを介して充電器に接続され、充電が行われる。また、二次電池31は、正極側の放電端子36Aおよび負極側の放電端子36Bを介して機器本体2に接続され、機器本体2に電力を供給する。
【0035】
機器本体2は、バッテリーパック3からの電力供給を受ける端子として電源端子21A,21Bを有している。また、機器本体2は、バッテリーパック3との通信を中継する端子として中継端子21Cを有している。電源端子21A,21Bおよび中継端子21Cは、図示はしないが、機器本体2の背面部に設けられている。
【0036】
電源端子21Aは、バッテリーパック3の放電端子36Aと接続される正極側の端子である。電源端子21Bは、バッテリーパック3の放電端子36Bと接続される負極側の端子である。
【0037】
中継端子21Cは、バッテリーパック3の電池残量検出IC32と、機器本体2のCPU26との通信を中継するために、バッテリーパック3の放電端子36Cと接続される。また、中継端子21Cは、放電端子36Cを介して充電端子35Cの電位の状態を監視するための端子としても利用される。
【0038】
また、機器本体2は、データ受信回路22と、データ送信回路23と、水没検出回路24と、水没検出スイッチ25と、CPU(Central Processing Unit)26(制御回路)とを有している。
【0039】
データ受信回路22は、放電端子36Cおよび中継端子21Cを介して入力される電池残量検出IC32からの電池状態データを受信データBATRXDとしてCPU26に伝送する回路である。
【0040】
データ送信回路23は、CPU26から出力される送信データBATTXDを中継端子21Cに送出する回路である。送信データBATTXDは、電池残量検出IC32に対するデータ送信要求などのデータである。
【0041】
水没検出回路24は、放電端子36Cを介して中継端子21Cに現れる充電端子35Cの電位がL(低電位)であるとき、トランシーバ1の水没状態を検出して、H(高電位)の検出信号を出力する。また、水没検出回路24は、中継端子21Cに現れる充電端子35Cの電位がHであるとき、トランシーバ1の非水没状態を検出して、Lの検出信号を出力する。
【0042】
水没検出スイッチ25は、水没検出回路24によって検出された水没状態(H)を受けてCPU26に検出信号WETINを出力する。
【0043】
CPU26は、電池残量検出IC32から供給される電池状態データに基づいて、電池残量をピクトグラムなどの形態で液晶パネル12に表示させる。また、CPU26は、上記の送信データBATTXDを出力する。また、CPU26は、水没検出スイッチ25から入力される検出信号WETINに基づいて、水没検出回路24によって検出されたトランシーバ1の水没状態を認識すると、スピーカ11、液晶パネル12およびLED13に水没状態を報知する情報を出力させる。
【0044】
ここで、中継端子21C、水没検出回路24および水没検出スイッチ25について詳細に説明する。図4は、水没検出回路24などを含む回路の構成を示す回路図である。
【0045】
まず、端子台21について説明する。
【0046】
図4に示すように、端子台21は、番号“1”~“6”が付与された6個のピンを有している。番号“1”および“2”が付与された一対の第1ピンは、電源端子21Aを構成している。第1ピンは、機器本体2の電力供給先の各部に接続されるとともに、コンデンサC3を介してグランドに接続されている。番号“3”および“4”が付与された一対の第2ピンは、中継端子21Cを構成している。番号“5”および“6”が付与された一対の第3ピンは、電源端子21Bを構成しており、グランドに接続されている。
【0047】
水没検出回路24は、FET(Field Effect Transistor)により構成されるトランジスタQ1と、抵抗R1~R3と、コンデンサC1とを有している。
【0048】
抵抗R1,R2は、直列に接続されており、抵抗R1の一端は電源ライン(電源電圧VCC)に接続され、抵抗R2の一端は端子台21の第2ピンに接続されている。トランジスタQ1のゲートは抵抗R1,R2の接続点に接続され、トランジスタQ1のソースは電源ラインに接続され、トランジスタQ1のドレインはコンデンサC1を介してグランドに接続されるとともに、抵抗R3の一端に接続されている。水没検出回路24は、抵抗R3の他端に水没検出の結果を出力する。
【0049】
水没検出スイッチ25は、デジタルトランジスタであるトランジスタQ2と、抵抗R4とを有している。
【0050】
トランジスタQ2は、入力信号と反転したレベルの信号を出力する。トランジスタQ2の入力端子は、上記の抵抗R3の他端に接続され、トランジスタQ2のグランド端子はグランドに接続されている。トランジスタQ2は、出力端子にスイッチングの結果として検出信号WETINを出力する。
【0051】
上記のように構成される水没検出回路24は、端子台21の第2ピンの電位がLであるとき、抵抗R1,R2の両端に電位差が生じるので、トランジスタQ1がオンして、抵抗R3からHの信号を出力する。すると、水没検出スイッチ25は、Hの信号が入力されることで、Lの検出信号WETINを出力する。
【0052】
ここで、端子台21の第2ピンを介して入力された電池状態データは、ダイオードDおよび抵抗R5からなるデータ受信回路22を介して受信データBATRXDとしてCPU26に送出される。抵抗R5の一端は電源ラインに接続され、抵抗R5の他端はCPU26につながるデータバス27に接続されている。ダイオードDのカソードは端子台21の第2ピンに接続され、ダイオードDのアノードはデータバス27に接続されている。
【0053】
また、CPU26から出力された送信データBATTXDは、インバータINVおよびトランジスタQ3からなるデータ送信回路23を介して端子台21の第2ピンに送出される。インバータINVの入力端子は、データバス27に接続され、インバータINVの出力端子はトランジスタQ3のゲートに接続されている。トランジスタQ3のドレインは端子台21の第2ピンに接続され、トランジスタQ3のソースはグランドに接続されている。
【0054】
続いて、以上のように構成されるトランシーバ1の動作について説明する。
【0055】
トランシーバ1が通常に動作しているとき、CPU26は、電池状態データの送信要求として送信データBATTXDを出力する。この送信データBATTXDは、データ送信回路23および中継端子21Cを介して機器本体2から出力され、バッテリーパック3の放電端子36Cに入力される。
【0056】
電池残量検出IC32は、放電端子36Cに入力されたデータを受けて、電池状態データを出力する。電池状態データは、放電端子36Cを介してバッテリーパック3から出力され、中継端子21Cを介してデータ受信回路22に入力される。すると、データ受信回路22は、入力された電池状態データを受信データBATRXDとしてCPU26に出力する。
【0057】
CPU26は、受信データBATRXDを受けると、受信データBATRXDに含まれる情報に基づいて、液晶パネル12に電池状態を表示させる。
【0058】
トランシーバ1が水没すると、充電端子35B,35Cが短絡することで、充電端子35Cの電位がLに変化する。これにより、放電端子36Cの電位もLに変化する。
【0059】
放電端子36Cの電位がLに変化することにより、中継端子21Cの電位もLに変化する。水没検出回路24は、中継端子21Cの電位がLに変化してからL状態が所定時間維持されるとHを出力して水没を検出する。上記の所定時間は、機器本体2とバッテリーパック3との間で送受信されるデータのL(低レベル)となる期間の最長時間よりも長く設定されている。また、当該所定時間は、抵抗R3およびコンデンサC1からなる回路で定まる上述した応答時間である。
【0060】
これにより、水没検出回路24は、中継端子21Cの電位がLとなる状態が、データのLとなる期間によるものか、充電端子35Cの電位がLとなることによるものかを区別できる。したがって、中継端子21Cを、機器本体2とバッテリーパック3との間の通信と、水没検出とで共用しても、水没検出回路24がデータのL期間を水没として誤検出することを回避できる。
【0061】
水没検出スイッチ25は、水没検出回路24からのHの出力信号を受けて、Lの検出信号WETINを出力する。CPU26は、Lの検出信号WETINが入力されると、トランシーバ1が水没状態であることをスピーカ11、液晶パネル12およびLED13に出力させる。
【0062】
以上のように、本実施形態のトランシーバ1は、露出した充電端子35B,35Cを備えている。これにより、充電端子35B,35Cが短絡すると、充電端子35Cの電位が低電位になることでトランシーバ1の水没が検出される。それゆえ、バッテリーパック3の充電に用いられる充電端子35Cを水没の検出に利用することができる。したがって、水没の検出のために専用の端子を設ける必要がなくなる。このため、専用の端子そのもの、専用の端子を配置するためのスペース、専用の端子を電子機器に組み付ける加工費等が不要になる。よって、電子機器のコストを低減することができる。
【0063】
また、バッテリーパック3とCPU26との間で行われる通信を中継する中継端子21Cが、放電端子36Cを介して充電端子35Cに接続されている。これにより、充電端子35Cの電位の状態が中継端子21Cにも現れる。それゆえ、水没検出回路24は、中継端子21Cの電位を監視することによって、容易に水没を検出することができる。
【0064】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について図3および図5に基づいて説明すると、以下の通りである。なお、本実施形態において、実施形態1における構成要素と同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付記して、その説明を省略する。
【0065】
トランシーバ1は、実施形態1で説明したように、CPU26との通信機能を有するバッテリーパック3(以降適宜、「インテリジェント電池」と称する)が装着可能である。トランシーバ1は、バッテリーパック3だけでなく、乾電池を内蔵したバッテリーパックおよびCPU26との通信機能を有しないバッテリーパック3(以降、「非インテリジェント電池」と称する)も装着可能である。
【0066】
本実施形態に係るトランシーバ1は、装着されたバッテリーパックの種類を検出する機能を有している。以下に、トランシーバ1によるバッテリーパックの種類を検出する動作について説明する。図5は、トランシーバ1の電池種類検出の手順を示すフローチャートである。
【0067】
図5に示すように、トランシーバ1は、まず、電源投入時に通信系統の初期化を行い(ステップS1)、中継端子21Cの電位がHであるかLであるかを判定する(ステップS2)。トランシーバ1は、ステップS2において、中継端子21Cの電位がHであると判定すると、さらに通信系統の初期化を行って(ステップS3)、CPU26からバッテリーパックへのコマンド送信を行う(ステップS4)。
【0068】
次に、トランシーバ1は、送信コマンドに対してバッテリーパックから返信があったか否かを判定する(ステップS5)。
【0069】
トランシーバ1は、ステップS5において、バッテリーパックから返信があったと判定すると(ステップS5のYES)、当該バッテリーパックがインテリジェント電池であることを検出する(ステップS6)。そして、トランシーバ1は、図3に示す液晶パネル12にインテリジェント電池の使用を表示させて(ステップS7)、処理を終える。
【0070】
また、トランシーバ1は、ステップS5において、バッテリーパックから返信がなかったと判定すると(ステップS5のNO)、当該バッテリーパックが非インテリジェント電池であることを検出する(ステップS8)。そして、トランシーバ1は、液晶パネル12にインテリジェント電池の使用を表示させずに(ステップS9)、処理を終える。
【0071】
また、トランシーバ1は、ステップS2において、中継端子21Cの電位がLであると判定すると、当該バッテリーパックが乾電池であることを検出する(ステップS10)。そして、トランシーバ1は、液晶パネル12にインテリジェント電池の使用を表示させずに(ステップS11)、処理を終える。
【0072】
トランシーバ1は、インテリジェント電池を検出した場合のみ、機器本体2(CPU26)とバッテリーパック3との間の通信および水没検出を行う。
【0073】
このように、本実施形態では、バッテリーパックがCPU26との通信機能を備えていない場合、充電端子35Cおよび放電端子36Cが不要であるために存在していないことが想定される。この場合、水没検出回路24が検出した水没は、誤検出である可能性が高い。そこで、バッテリーパックがCPU26と通信可能であると判定したときのみ、水没検出回路24の検出結果を有効にすることで、誤検出を回避することができる。
【0074】
〔ソフトウェアによる実現例〕
トランシーバ1の実施形態1におけるバッテリーパックとの通信機能および水没検出機能と、トランシーバ1の実施形態2における電池検出機能とを、集積回路(ICチップ)などに形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよい。あるいは、これらの機能をソフトウェアによって実現してもよい。
【0075】
後者の場合、トランシーバ1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサとしてCPU26を備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。
【0076】
上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0077】
〔付記事項〕
また、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0078】
実施形態1および2では、例えば、電子機器としてのトランシーバ1について説明した。本発明は、トランシーバ1に限らず、露出する充電端子を有する充電池を備えた電子機器に適用が可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 トランシーバ(電子機器)
3 バッテリーパック(充電池)
11 スピーカ(報知部)
12 液晶パネル(報知部)
13 LED(報知部)
21C 中継端子
24 水没検出回路
26 CPU(制御回路)
35C 充電端子

図1
図2
図3
図4
図5