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特許7032683熱交換器、特に水空気熱交換器又は油水熱交換器
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  • 特許-熱交換器、特に水空気熱交換器又は油水熱交換器 図1
  • 特許-熱交換器、特に水空気熱交換器又は油水熱交換器 図2
  • 特許-熱交換器、特に水空気熱交換器又は油水熱交換器 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】熱交換器、特に水空気熱交換器又は油水熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 13/18 20060101AFI20220302BHJP
   F28F 13/12 20060101ALI20220302BHJP
   F01M 5/00 20060101ALI20220302BHJP
   F01P 7/16 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
F28F13/18 Z
F28F13/12 Z
F01M5/00 C
F01P7/16 504A
F01P7/16 504C
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021028137
(22)【出願日】2021-02-25
(62)【分割の表示】P 2018542164の分割
【原出願日】2017-02-14
(65)【公開番号】P2021101143
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2021-03-24
(31)【優先権主張番号】102016102895.9
(32)【優先日】2016-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591018763
【氏名又は名称】ベバスト エスエー
【氏名又は名称原語表記】Webasto SE
【住所又は居所原語表記】Kraillinger Strasse 5,82131 Stockdorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ハインツルマイアー
(72)【発明者】
【氏名】マルフィン ラッペ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ カプ
(72)【発明者】
【氏名】カール ゲットル
(72)【発明者】
【氏名】ハンス レヒバーガー
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ヘントリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン リップ
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/206951(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0176913(US,A1)
【文献】特開平06-117212(JP,A)
【文献】特開2002-283835(JP,A)
【文献】特開2004-352057(JP,A)
【文献】特表2013-531563(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0093523(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0082538(KR,A)
【文献】特開2010-113803(JP,A)
【文献】特開平01-150096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 13/18
F28F 13/12
F01M 5/00
F01P 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の流体を導くための少なくとも一つの第1の流体流路と、第2の流体を導くための少なくとも一つの第2の流体流路と、を備えた熱交換器であって、
前記少なくとも一つの第1の流体流路が、電気加熱コーティング(13)を備えた流体受入容積に接続され、
前記流体受入容積が、前記熱交換器の他の構成部品に取り付け可能な又は取り付けられた別個のモジュールによって提供され、
前記流体受入容積が、出口パイプ(12)である、
熱交換器。
【請求項2】
前記熱交換器が、水空気熱交換器又は油水熱交換器であることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
タービュレータが設けられることを特徴とする、請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記タービュレータが、前記電気加熱コーティング(13)の近くに設けられることを特徴とする、請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記電気加熱コーティング(13)が、低電圧域で作動するように設計されることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項6】
第1の流体を導くための少なくとも一つの第1の流体流路と、第2の流体を導くための第2の流体流路と、を提供するステップを含む、熱交換器を製造するための方法であって、前記少なくとも一つの第1の流体流路が、電気加熱コーティング(13)を備えた流体受入容積に接続され、前記流体受入容積が、前記熱交換器の他の構成部品に取り付け可能な又は取り付けられた別個のモジュールによって提供され、前記流体受入容積が、出口パイプ(12)である、方法。
【請求項7】
水空気熱交換器又は油水熱交換器としての、請求項6に従って製造された熱交換器の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1による、熱交換器、特に水空気熱交換器又は油水熱交換器、及び請求項9による、熱交換器、特に水空気熱交換器又は油水熱交換器を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、EP2466241A1には、一方を他方の上に積み重ねて、互いに半田付けされた複数のトラフ要素を有する油水熱交換器が記載されている。このような油水熱交換器は一般に、内燃機関の冷却回路に一体化され、例えば、エンジンオイルを冷却するために使用することができる。
【0003】
米国特許出願公開第2015/0176913(A1)号には、更なる油水熱交換器が提示されている。特定の実施形態では、前記文書は、熱交換器で互いに相互作用する流体の一方を温めるために、熱交換器の内部空間の電気ヒータを提案している。
【0004】
知られている油水熱交換器の場合、これらの熱交換器では、予熱は全く不可能であるか、又は比較的大きな費用をかけて非効率な仕方でのみ可能となることが不都合であると基本的には認識されている。特に、エンジンオイルが運転温度でないときに形成する汚染物質の削減は、改善する必要があると考えられている。
【0005】
従来技術に関しては、基本的に、WO2013/186106A1及びWO2013/030048A1もまた参照される。前記文書には、電圧をかけたときに(又は、電流が流れたときに)温かくなる電気加熱層を有するヒータが記載されている。
【0006】
従来技術に関しては、DE102011006248A1もまた参照される。前記文書には、加熱装置の付いた家庭用冷凍装置が記載されている。加熱装置は、ラッカリングによって層ヒータとして製造され、家庭用冷凍装置の蒸発器の表面に施工される。詳細には、DE102011006248A1の層ヒータは、蒸発器の表面の範囲に直接施工されて、いかなる断熱作用もほとんど示さず、その結果、蒸発器の機能性への有害な影響は最小限しかない。しかしながら、前記従来技術によれば、生産プロセスは比較的やっかいであり、極めて特定された使用状況に合わせられているように思えることが不都合であると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
熱交換器を通って流れる流体を簡単であるが効果的な仕方で温めることができる熱交換器を提案することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的は、請求項1の特徴によって達成される。
【0009】
具体的には、この目的は、第1の流体(例えば、油水熱交換器のオイル又は水空気熱交換器の水)を導くための少なくとも一つの第1の流体流路と、第2の流体(例えば、油水熱交換器の水又は水空気熱交換器の空気)を導くための少なくとも一つの第2の流体流路とを備えた熱交換器、特に水空気熱交換器又は油水熱交換器によって達成される。ここで、少なくとも一つの第1の流体流路は、流体受入容積(特に、出口側)に接続され、流体受入容積は電気加熱コーティングを備えている。この熱交換器は一般に、液々熱交換器又は液ガス熱交換器又はガスガス熱交換器とすることができる。
【0010】
本発明の核心の概念は、例えば、WO2013/186106A1又はWO2013/030048A1からそれ自体知られている電気加熱コーティングを、流体流路の少なくとも一つに接続された流体受入容積に施工することにある。このようにして(特に、電気加熱コーティングが出口側に配置されている場合)、熱交換器によって温められる流体は、効果的に更に温めることができる、又は、温められる流体の温度を、更に上げることができる(特に、電気加熱コーティングが、温められる流体の流体流路に入口側で接続されている場合)。概して、流体、例えば、自動車の内燃機関用の油水熱交換器のオイルを効果的に温めることを実現することができる。熱交換器は、複数の第1の流体流路及び/又は複数の第2の流体流路を有することができる。例えば、流体受入容積は、複数の個々の流体流路の間で流体が分配される前(又は分配された後)の熱交換器の容積である(すなわち、例えば、流体集合装置又は流体分配装置である)。第1の流体はオイル又は水とすることができる。第2の流体は水又は空気とすることができる。概して、第1及び/又は第2の流体は液体又は気体とすることができる。
【0011】
特定の実施形態では、流体受入容積は、流体受入容器、特にオイル受入容器によって形成される。前記タイプの流体受入容器、特にオイル受入容器は、好ましくはオイルが中を流れる一つ又は複数の流体流路に出口側で接続されることが好ましい。このようにして、(例えば、自動車のエンジンの始動後に)効果的に更に温めることを実現することができる。
【0012】
特定の実施形態では、流体受入容積は、接続パイプ、特に出口パイプによって形成されることができ、油水熱交換器の出口パイプが好ましい。このようにして、(既存の構造を利用して)流体、特にオイルを簡単に更に温めることが可能となる。
【0013】
一実施形態では、タービュレータを設けることができる。これは、電気加熱コーティングの近くに(すなわち、特に、5cmより遠くない距離、特に、2cmより遠くない距離に)設けられることが好ましい。例えばタービュレータは、出口パイプ(これは電気加熱コーティングを備える)内に配置することができる。
【0014】
電気加熱コーティングは、基本的に、流体受入容積(例えば、出口パイプ)の外壁、又は流体受入容積(例えば、出口パイプ)の内壁に配置することができる。タービュレータを設ける場合、場合により、これ自体、電気加熱コーティングを備えることができる。
【0015】
流体受入容積は、集合箱又は集合パイプによって形成されることが好ましく、水空気熱交換器の集合箱又は集合パイプが好ましい。このようにして、熱交換によって他の流体(例えば、空気)も温めるために、流体(例えば、水)を簡単に温めることができる。
【0016】
一実施形態では、流体受入容積は、一体化した熱交換器の構成部品である。このようにして、熱交換器は、特に効果的に作動することができる。
【0017】
代替の実施形態では、流体受入容積は、熱交換器の他の構成部品に取り付け可能な、又は取り付けられた別個のモジュールによって提供される。したがって、この実施形態では、別個の流体受入容積が提案され、その結果、既存の熱交換器(特に、油水熱交換器)は、簡単なアップグレードによって更に改良することができる。第2に、流体受入容積がモジュラー形態であることはまた、例えば、異なる熱交換器のタイプ及び/又は大きさに同じ流体受入モジュールを使用することによって、場合により、製造コストを下げることができるという利点を有する。
【0018】
加熱コーティングは、低電圧域で作動するように設計されることが特に好ましく、12ボルト、24ボルト、又は48ボルト用に設計されることが好ましい。このとき、油水熱交換器の対応する電気構成部品及び/又は電子構成部品は、このような低電圧域(12ボルト、24ボルト、又は48ボルト)用に同様に設計されることが好ましい。低電圧域に適用する場合には特に、簡単な手段を使って、効果的な予熱を相乗的に実現することができる。「低電圧域」は、100Vより低い、特に60Vより低い作動電圧(直流)を意味することを理解されることが好ましい。
【0019】
一実施形態では、加熱コーティングは流体受入容積の上又は中に、特に絶縁層の上に間接的に施工される。前記タイプの絶縁層は、例えば、接着促進材層によって形成することができる、又は前記タイプの接着促進材層によって油水熱交換器に取り付けることができる。絶縁層に対しては、ポリマ材又はセラミック材(例えば、Al)を使用できることが好ましい。しかしながら、絶縁層は、不動態化、特に酸化、特に(アルミニウム又はアルミニウム合金の)陽極酸化によって設けられることが好ましく、流体受入容積の表面、例えば、外面及び/又は内面の不動態化が好ましい。概して(低電圧印加では特に)、簡単であるが十分な電気絶縁が得られる。或いは、加熱コーティングは、(例えば、低電圧印加、及び/又は、下地の表面が非導電性又は低導電性の場合)、流体受入容積の上に又は中に直接施工することさえできる。加熱コーティング及び/又は絶縁層は、(全)表面にわたって流体受入容積に施工されることが好ましい。加熱コーティング及び/又は絶縁層は更に、(少なくとも実質的に)一定の層厚さを有することができる。加熱コーティング及び/又は絶縁層は、本質的に、寸法的に不安定な(又は、非自立)設計のものとすることができる。基板は省略することができ、その結果、加熱コーティング(及び、任意の絶縁層)は、場合により、基板なしに形成される。必要となり得る担持構造体及び/又は支持構造体は、流体受入容積(又はその壁)によって提供することができる。加熱コーティングは、基本的に、流体受入容積の表面に、特に流体受入容積の外面及び/又は内面に密着して接続することができる。
【0020】
代替の実施形態では、加熱コーティングは、連続した(具体的には、非構造的及び/又は途切れない)層として形成される。加熱コーティングは、一般に、二つの相互に垂直な方向に、少なくとも1cmの距離にわたって加熱コーティングに途切れがない少なくとも一つのセクションを有することができる。この距離は、少なくとも2cmが好ましく、少なくとも4cmが更により好ましい。例えば、加熱コーティングは、その中に、加熱コーティングの途切れ、又は他の構造体がない、長さ及び幅がそれぞれ少なくとも1cmの少なくとも一つの矩形セクションを備えることができる。この長さ及び幅はそれぞれ、少なくとも2cmが好ましく、少なくとも4cmが更により好ましい。加熱コーティング内の「途切れ」は、電流が流れることができないセクションを意味することを理解されたい。これは、例えば、前記セクションに材料が(全く)ないままである、及び/又は絶縁体によって(少なくとも部分的に)満たされているためである。加熱コーティングは(最終状態で非構造的か構造的かにかかわらず)(溶射して)生成することができる。この状況で、このような簡単な形態の加熱コーティングでさえ、オイルを十分温めることを実現することができることを見出したことは驚くべきことである。
【0021】
更なる代替の実施形態では、加熱コーティングは構造化された層として形成される。加熱コーティングは、この場合、マスキングプロセスによって構造化されることが好ましい(スタンピング可能なシリコンを用いることが好ましい)。このような知られているマスキングプロセスによって、満足な構造化が可能になり、例えば、特に高電圧域で使用される構造化用のレーザ法ほどやっかいではない。したがって、概して、マスキングプロセスの利点は、本加熱コーティングに関して相乗的に利用される。
【0022】
上記の絶縁層の厚さは、少なくとも50μmとすることができ、それは、少なくとも200μm及び/又はせいぜい1000μmが好ましく、せいぜい500μmが好ましい。
【0023】
加熱コーティングの高さ(厚さ)は、少なくとも5μmが好ましく、少なくとも10μm及び/又はせいぜい1mmが好ましく、せいぜい500μmが好ましく、せいぜい30μmが更により好ましく、せいぜい20μmが更により好ましい。加熱コーティングによって形成された導電体のトラックの幅は、少なくとも1mmとすることができ、少なくとも3mmが好ましく、少なくとも5mmが更により好ましく、少なくとも10mmが更により好ましく、少なくとも30mmが更により好ましい。表現「幅」は、長手方向(通常、これはまた、電流の流れの方向を定める)に垂直な導電体のトラックの範囲を意味することを理解されたい。
【0024】
代替の実施形態では、保護カバー、例えば、シリコン保護層が、加熱コーティングを覆って施工される。しかしながら、これに代えて、(製造が特に容易な実施形態では)加熱コーティングが流体受入容積の外側又は内側を形成することもまた可能である。
【0025】
特定の実施形態では、油水熱交換器は、複数のモジュール、特にトラフ要素を有し、これらは、EP2466241A1に記載されているように設計することができることが更に好ましい。油水熱交換器は、基本的には、(本発明による流体受入容積は別として)EP2466241A1又は米国特許出願公開第2015/0176913(A1)号に記載されているように設計することができる。これらの文章の開示は、本明細書に参照によって明示的に援用する。複数のモジュールが設けられる場合、少なくとも一つの加熱コーティングは、二つのモジュールの間に配置することができる。油水熱交換器が複数のトラフ要素を備える場合、少なくとも一つの加熱コーティングは、場合により、これらのトラフ要素の二つの間に(トラフ要素の一方に)配置(施工)することができる。このようにして、予熱(補助加熱)は、簡単な手段を用いて更に改善することができる。概して、追加の加熱コーティングは、熱交換器の更なる表面に施工することができる。
【0026】
本目的は、第1の流体(例えば、油水熱交換器のオイル又は水空気熱交換器の水)を導くための少なくとも一つの第1の流体流路と、第2の流体(例えば、油水熱交換器の水又は水空気熱交換器の空気)を導くための少なくとも一つの第2の流体流路とを提供するステップを含む、熱交換器、特に、水空気熱交換器又は油水熱交換器、特に上記のタイプの熱交換器を製造するための方法によって更に達成される。ここで、少なくとも一つの第1の流体流路は、流体受入容積に、特に、出口側で接続され、流体受入容積は、電気加熱コーティングを備えている(又は、流体受入容積の表面は、電気加熱コーティングで直接又は間接的に被覆されている)。例えば、下地の表面、例えば、熱交換器のハウジングの下地の表面の不動態化、(酸化、特に陽極酸化)によって、上記の二つのステップの間で、流体受入容積の表面への絶縁層の施工を実施することができる(又は、絶縁層で流体受入容積の表面を直接又は間接的に被覆することができる)。電気加熱コーティングは、場合により、吹き付ける(溶射する)ことができる。油水熱交換器の製造にも少なくとも関係する特徴が(熱交換器と共に)上記で更に説明されている場合、これらの方法の特徴もまた、本方法の好ましい実施形態として提案される。
【0027】
上記の目的は、上記のタイプの熱交換器、又は特に自動車の内燃機関用の水空気熱交換器として、又は油水熱交換器として上記の方法で製造された熱交換器を使用することによって、更に達成される。
【0028】
更なる実施形態は従属請求項から明らかになる。
【0029】
一般に、絶縁層は、セラミック材又はポリマ材とすることができる、或いは、このような材料から構成することができる。ここで、セラミック材として、例えば、Alが使用される。
【0030】
加熱層は、例えば、プラズマコーティングプロセス、特にプラズマ溶射、又はスクリーン印刷プロセスで、又は抵抗ペーストとして、特に、絶縁層に施工することができる。プラズマコーティングプロセスでは、例えば、まず、導電層を、特に、絶縁層に施工することが可能である。その後、導電層から領域を切り取ることができ、その結果、一つの導電体のトラック又は複数の導電体のトラックがあとに残る。しかしながら、マスキング技法の使用が好ましい。次いで、導電体のトラックは、加熱抵抗体又は複数の加熱抵抗体を形成することができる。マスキング技法の代替として、例えば、レーザによって前記領域を導電層から切り取ることができる。加熱コーティングは、例えば、金属層とすることができ、場合により、ニッケル及び/又はクロムを含み、或いは、前記材料より構成することができる。例えば、70~90%のニッケルと10~30%のクロムとを使用することができる。ここでは、80%のニッケルと20%のクロムの比率が、非常に適していると考えられる。
【0031】
加熱コーティングは、例えば、少なくとも5cmの領域を覆うことができ、それは、少なくとも10cm及び/又はせいぜい200cmが好ましく、せいぜい100cmが好ましい。油水熱交換器は、少なくとも200cmの全体積を有することができることが好ましく、それは、少なくとも500cmが更により好ましく、少なくとも800cm及び/又はせいぜい5000cmが更により好ましく、せいぜい2000cmが好ましい。例えば、油水熱交換器は、15~25cmの長さ、及び/又は、8~12cmの幅、及び/又は、3~7cmの高さ(厚さ)とすることができる。
【0032】
油水熱交換器は、オイルを導くための一つ又は複数の第1の流体流路、及び、水を導くための一つ又は複数の第2の流体流路を有することが好ましい。
【0033】
電気加熱コーティングの制御、特に、閉ループ制御に対して、バイメタルスイッチ、場合により、二つの冗長スイッチ装置を有するバイメタルスイッチを設けることが可能である。
【0034】
図に基づいてより詳細に説明する例示的な実施形態に基づいて、本発明を下記で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の第1の実施形態による油水熱交換器の模式的な側面図である。
図2】本発明の代替の実施形態による油水熱交換器の図である。
図3】本発明の代替の実施形態による水空気熱交換器の図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下の説明では、同一の部品及び同一の作用の部品に対して同じ参照符号が使用される。
【0037】
図1は、オイルを熱交換器内に流すための、複数の(半田付けされた)トラフ要素10と、カバー19と、入口パイプ11と、出口パイプ12とを有する(例えば、EP2466241A1に詳細に記載されたような)油水熱交換器を模式図で示す。電気加熱コーティング13は、出口パイプ12(場合により、入口パイプ11)に少なくとも施工される。
【0038】
図2による代替の実施形態では、電気加熱コーティング13は、流体受入容器14に配置されている。流体受入容器14は、図1による出口パイプ12又は流体受入容器出口パイプ15に対して(かなり)大きな直径を有しており、その結果、流体(オイル)は流体受入容器14内に貯蔵することができる。流体受入容器14は、例えば、立方体又は円筒の本体とすることができる。図2による特定の実施形態では、流体受入容器14は、熱交換器本体21の出口20に接続された補助モジュールとして設けられる。流体受入容器14は、油水熱交換器の一体化した構成部品として形成され、その結果、出口20を省略することができることもまた考えられる。
【0039】
図3は、集合箱16と、熱交換器パイプ17とを有する水空気熱交換器を示す。ここで、水が、集合容器16及び熱交換器パイプ17の両方を通って、熱交換器パイプ17を通り過ぎる気体(特に、空気)を温める(又は、冷やす)ために供給される。電気加熱コーティング13は集合箱16に配置されている。複数の熱交換器パイプ17は、接続ピース18によって集合箱16に接続されている。3本、又は少なくとも5本、又は少なくとも20本の熱交換器パイプ17を同じ集合箱16に接続することが可能である。水は、入口(入口パイプ11)を通って入り、出口(出口パイプ12)を通って出ることができる。
【0040】
上記の部品のすべては、個々に、及び任意に組み合わされ、特に、図に詳細に示されて、本発明の本質として特許請求することができることをこの際指摘しておく。当業者には、これに関する修正はよく知られている。
【符号の説明】
【0041】
10 トラフ要素
11 入口パイプ
12 出口パイプ
13 電気加熱コーティング
14 流体受入容器
15 流体受入容器出口パイプ
16 集合箱
17 熱交換器パイプ
18 接続装置
19 カバー
20 出口
21 熱交換器本体
図1
図2
図3