(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】投射システム及び投射方法
(51)【国際特許分類】
H04N 5/74 20060101AFI20220302BHJP
E03D 9/00 20060101ALI20220302BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20220302BHJP
G09F 19/18 20060101ALI20220302BHJP
G09F 27/00 20060101ALI20220302BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
H04N5/74 D
E03D9/00 Z
G03B21/14 Z
G09F19/18 H
G09F27/00 G
G09G5/00 550C
G09G5/00 510B
G09G5/00 510H
(21)【出願番号】P 2017016104
(22)【出願日】2017-01-31
【審査請求日】2020-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000155333
【氏名又は名称】株式会社木村技研
(73)【特許権者】
【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
(74)【代理人】
【識別番号】100100549
【氏名又は名称】川口 嘉之
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100146330
【氏名又は名称】本間 博行
(72)【発明者】
【氏名】木村 朝映
(72)【発明者】
【氏名】橋本 直己
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/103560(WO,A1)
【文献】特開2011-221214(JP,A)
【文献】特開2007-128307(JP,A)
【文献】登録実用新案第3140152(JP,U)
【文献】特開2014-135981(JP,A)
【文献】特開2001-317110(JP,A)
【文献】特開2007-325906(JP,A)
【文献】国際公開第2007/132500(WO,A1)
【文献】特開2008-156066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/74
H04N 9/31
E03D 9/00
G03B 21/14
G09F 19/18
G09F 27/00
G09G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブースを利用するユーザの位置を検出する検出部と、
前記ブース毎に定められた被投射面に画像を投射する画像投射部と、
前記ユーザの位置に応じて、前記画像の歪み補正を行う補正部と、
を備え、
前記画像投射部が前記ブースの上部に設けられ、前記ユーザが前記ブースに入室し、当該ブースの出入口の扉を閉じた場合に、前記画像投射部が前記扉の内壁を前記被投射面として前記画像を投射し、前記扉を開いて前記ユーザが退出した場合に、前記画像投射部が前記ブースの上部から前記出入口を介して床面へ前記画像を投射し、当該床面を前記被投射面とする投射システム。
【請求項2】
前記ユーザの位置に基づいて、投射位置を移動させる移動制御部を備え、
前記補正部が、前記投射位置に投射される前記画像を当該投射位置に基づいて補正する請求項1に記載の投射システム。
【請求項3】
前記検出部が、前記ユーザの位置として、前記ユーザの視点位置を求め、当該視点位置に基づいて前記移動制御部が前記投射位置を移動させる請求項2に記載の投射システム。
【請求項4】
前記ブースに便器が設けられ、前記ユーザが前記便器に着座していない場合に、前記便器を前記被投射面とする請求項1~3の何れか1項に記載の投射システム。
【請求項5】
前記ユーザの操作を検出する動作検出部と、
前記ユーザの動作が所定のジェスチャに該当するか否かを判定するジェスチャ判定部と、
前記ユーザの動作が前記ジェスチャに該当した場合に、当該ジェスチャに応じて投射する前記画像を制御する画像制御部と、
を備える請求項1~4の何れかに記載の投射システム。
【請求項6】
ブースを利用するユーザの位置を検出部によって検出するステップと、
前記ブースの上部に設けられた画像投射部によって、前記ユーザが前記ブースに入室し、当該ブースの出入口の扉を閉じた場合に、前記扉の内壁を被投射面とし
て画像を投射し、前記扉を開いて前記ユーザが退出した場合に、前記画像投射部が前記ブースの上部から前記出入口を介して床面へ前記画像を投射し、前記床面を被投射面とするステップと、
前記ユーザの位置に応じて、前記画像の歪み補正を行うステップと、
をコンピュータが実行する投射方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投射システム及び投射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、平面ディスプレイやプロジェクタなどで映像等の情報を表示する広告媒体、所謂デジタルサイネージが、広く普及している(例えば特許文献1)。デジタルサイネージは、紙媒体と比べて表示内容の更新が容易であり、一つのディスプレイで多種類の表示内容を周期的に切り替えて表示することや、通信回線を通じてデータを配信して多数のディスプレイの表示を一斉に更新させることができるといった利点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
デジタルサイネージは、駅や空港、ショッピングモール等、多くの人の眼に触れる場所に設けられるのが一般的であるが、近年の普及に伴って多様な場所に配置されるようになってきており、トイレブース内に設けるものも提案されている。
【0005】
しかしトイレブース内の限られた空間にデジタルサイネージを設ける場合、大型の平面ディスプレイを設けるのは困難であった。また、ユーザの手が容易に届く位置にディスプレイを設置すると、破壊されたり、持ち去られたりする可能性があった。このため、天井等の高い位置にプロジェクタを設けて、このプロジェクタからトイレブースの内壁に投射する構成が考えられる。但し、プロジェクタを上方に設置し、被投射面であるブース内壁に対して斜めに投射すると投射画像が歪んでしまうので、この投射角度に応じて歪みを補正する必要がある。しかし、このとき必要な補正量は、画像を見るユーザの位置によっても異なるので、一律に補正を行っても適正な表示とならないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、ユーザの位置に応じて投射画像を補正する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る投射システムは、
ブースを利用するユーザの位置を検出する検出部と、
前記ブース毎に定められた被投射面に画像を投射する画像投射部と、
前記ユーザの位置に応じて、前記画像の歪み補正を行う補正部と、
を備える。
【0008】
前記投射システムは、前記ユーザの位置に基づいて、投射位置を移動させる移動制御部を備え、前記補正部が、前記投射位置に投射される前記画像を当該投射位置に基づいて補正してもよい。
【0009】
前記投射システムは、前記検出部が、前記ユーザの位置として、前記ユーザの視点位置を求め、当該視点位置に基づいて前記移動制御部が前記投射位置を移動させてもよい。
【0010】
前記投射システムは、前記画像投射部が前記ブースの上部に設けられ、前記ユーザが前
記ブースに入室し、当該ブースの出入口の扉を閉じた場合に、前記画像投射部が前記扉の内壁を前記被投射面として前記画像を投射し、前記扉を開いて前記ユーザが退出した場合に、前記画像投射部が前記ブースの上部から前記出入口を介して床面へ前記画像を投射し、当該床面を前記被投射面としてもよい。
【0011】
前記投射システムは、前記ブースに便器が設けられ、前記ユーザが前記便器に着座していない場合に、前記便器を前記被投射面としてもよい。
【0012】
前記投射システムは、前記ユーザの操作を検出する動作検出部と、
前記ユーザの動作が所定のジェスチャに該当するか否かを判定するジェスチャ判定部と、
前記ユーザの動作が前記ジェスチャに該当した場合に、当該ジェスチャに応じて投射する前記画像を制御する画像制御部と、を備えてもよい。
【0013】
上記課題を解決するため、本発明に係る投射方法は、
ブースを利用するユーザの位置を検出部によって検出するステップと、
前記ブース毎に定められた被投射面に画像投射部によって画像を投射させるステップと、
前記ユーザの位置に応じて、前記画像の歪み補正を行うステップとをコンピュータが実行する。
【0014】
前記投射方法は、前記ユーザの位置に基づいて、投射位置を移動させるステップを更に実行し、前記補正を行うステップにて、前記投射位置に投射される前記画像を当該投射位置に基づいて補正してもよい。
【0015】
前記投射方法は、前記検出部が、前記ユーザの位置として、前記ユーザの視点位置を求め、当該視点位置に基づいて前記投射位置を移動させてもよい。
【0016】
前記投射方法は、前記画像投射部が前記ブースの上部に設けられ、前記ユーザが前記ブースに入室し、当該ブースの出入口の扉を閉じた場合に、前記画像投射部が前記扉の内壁を前記被投射面として前記画像を投射し、前記扉を開いて前記ユーザが退出した場合に、前記画像投射部が前記ブースの上部から前記出入口を介して床面へ前記画像を投射し、当該床面を前記被投射面としてもよい。
【0017】
前記投射方法は、前記ブースに便器が設けられ、前記ユーザが前記便器に着座していない場合に、前記便器を前記被投射面としてもよい。
【0018】
前記投射方法は、前記ユーザの操作を検出するステップと、
前記ユーザの動作が所定のジェスチャに該当するか否かを判定するステップと、
前記ユーザの動作が前記ジェスチャに該当した場合に、当該ジェスチャに応じて投射する前記画像を制御するステップとを実行してもよい。
【0019】
また、本発明は、上記投射方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであっても良い。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ユーザの位置に応じて投射画像を補正する技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る投射システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、投射システムを備えた施設の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、トイレ施設に設けられたブースを示す斜視図である。
【
図7】
図7は、扉を開き戸としたブースを示す図である。
【
図8】
図8は、扉を引き戸としたブースを示す図である。
【
図9】
図9は、コントローラの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、コンピュータの一例を示す装置構成図である。
【
図12】
図12は、投射画像の歪みを補正する手法の説明図である。
【
図13】
図13は、実施形態1に係る投射方法の説明図である。
【
図15】
図15は、ユーザのジェスチャを検出するセンサの配置例を示す図である。
【
図16】
図16は、実施形態3における投射方法を示す図である。
【
図17】
図17は、便器上に投射する画像の例を示す図である。
【
図18】
図18は、実施形態3における投射方法を示す図である。
【
図19】
図19は、床面上に投射する画像の例を示す図である。
【
図20】
図20は、ブースに接近したユーザを検出するセンサの配置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〈実施形態1〉
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態は本発明の一例であり、本発明の構成は以下の例には限られない。
【0023】
図1は、本実施形態1に係る投射システムの構成を示す図、
図2は、投射システムを備えた施設の一例を示す図である。本実施の形態に係る投射システム100は、ユーザが主に単独で利用するブースの壁や床等の被投射面に画像を投射し、ユーザに対して広告等の画像を表示するシステムである。投射システム100は、検出部46や、プロジェクタ(画像投射部)1、制御装置3、中継装置6を有している。
図2の例では、建物の各階に複数のブース14が備えられ、この複数のブース14と接続された制御装置3が各階に設けられている。また、各階の制御装置3は中継装置6と接続され、中継装置6は、インターネット等のネットワーク5を介してコンテンツサーバ2と接続されている。
【0024】
コンテンツサーバ2は、定期的に投射システム100へコンテンツを送信する、或は投射システム100からの要求に応じてコンテンツを送信する。投射システム100の中継装置6は、コンテンツサーバ2から送信されたコンテンツを受信し、各階の制御装置3へ配信する。制御装置3は、各ブース14に設けられた検出部46及びプロジェクタ1と接続され、検出部46によって検出したユーザの位置に応じた投射位置へ、前記コンテンツに基づく画像をプロジェクタ1によって投射させる。
【0025】
ブース14は、例えば便器41を備え、百貨店等の商業施設や駅等において、公衆が使用するトイレブースである。
図3はトイレ施設10の一例を示す図、
図4はトイレ施設10に設けられたブース14を示す斜視図、
図5はブース14を示す平面図、
図6はブース14を示す正面図、
図7は、扉9を開き戸としたブース14を示す図、
図8は、扉9を引き戸としたブース14を示す図である。
【0026】
図3に示すように、トイレ施設10は、例えば、女性用トイレ施設101、男性用トイ
レ施設102及び多目的トイレ施設103に区分されている。女性用トイレ施設101及び男性用トイレ施設102には複数のブース14が設けられている。
図3の多目的トイレ施設103は、一つのブース14からなる例を示したが、多目的トイレ施設103が、複数のブース14を有しても良い。ここで、ブース14とは、ドアや壁等で囲まれた通常同時に一人だけが用を足すためのトイレ設備7が設けられた空間である。なお、ブース14は、一人で使用することに厳密に限定されるものではなく、介助者や乳幼児がユーザと同時に入室可能なものでも良い。
【0027】
ブース14は、三方を囲う左右一対の側壁14L,14R及び後壁14B並びにブース14の出入口4を開閉する扉9を有する。四方が側壁14L、14R及び後壁14B並びに扉9によって囲繞されたブース14の中に便器41が設置されている。ブース14を囲繞する壁14L,14R,14B及び扉9は、床面14Fから天井面14Cに達する高さとしても良いが、本実施形態では、
図6に示すように左右の側壁14L,14R及び扉9と天井面14Cとの間に空間を設けて空気の流通を可能にしている。
【0028】
ここで、左右とは、トイレの外から出入口4に正対した場合の左側及び右側をいい、前後とは便器41に着座したときの前方及び後方をいい、上下とは、天井面14C側及び便器41の設置面(床)14F側をいう。
【0029】
左右の側壁14L、14Rは、横断面Jの字形になるように、つまり、横断面の一方側が直線状で、他方側が湾曲線状を成すように、後部が平面状で、前部が二次曲面状の板材である(
図4、
図5参照)。また、隣接するブース14がある場合、左側壁14Lは、ブース14の左隣の別のブース14の右側壁14Rを兼ね、右側壁14Rはブース14の右隣の別のブース14の左側壁14Lを兼ねても良い。
【0030】
右側壁14Rには、その内側上部にガイドレール8が設置されている(
図4参照)。この右側壁14Rに一端部が保持されたガイドレール8は、出入口4の上部を通り、他端が左側壁14Lに固設されている。なお、
図4には省略したが左隣のブース14の右側壁を兼ねる左側壁14Lのブース14内側にもガイドレール8は設置される。また、右側壁14Rの前端上部のガイドレール8近傍には扉駆動ユニット63が設置されている。このガイドレール8に扉9が垂下された状態で設置され、扉駆動ユニット63によって扉9がガイドレール8に沿って移動されることで出入口4を開閉する。また、ガイドレール8には、錠91が設けられ、扉駆動ユニット63により、扉9の駆動に伴って錠91の施錠/開錠が制御される。
【0031】
扉9の左側端部の内面には扉9の開閉ボタンを有し、扉駆動ユニット63と電気的に接続された操作パネル61が設置されている。ユーザの操作によって、操作パネル61の閉ボタンが押されると、扉駆動ユニット63が扉9を閉じるように駆動し、扉9の左端が左側壁14Lに当接した状態で、錠91を扉9と係合させることで施錠し、開扉を抑止する。
【0032】
そして、操作パネル61の開ボタンが押されると、扉駆動ユニット63は、錠91を駆動して扉9との係合を解除することにより開錠し、扉9を開く方向へ駆動する。錠91は、ガイドレール8に設けられて扉9と係合する構成に限らず、この左側壁14Lや右側壁14R、床面14F等に設けられ、扉9と係合することで開扉を抑止する構成であっても良い。
【0033】
また、反対に、扉9に設けられ、ガイドレール8や、左側壁14L、右側壁14R、床面14F等と係合することで、開扉を抑止する構成であっても良い。なお、本例では、扉9を閉じた際、錠91を施錠して扉9が開かないようにしたが、閉じた扉9が外側から容
易に開けられない構成、例えば、他者が手動で扉9を開けるように力をかけても扉駆動ユニット63のギヤが回転せず、扉9が移動しない構成であれば錠91を省略しても良い。このように、扉9を開閉する操作パネル61が、ブース14内に設けられているため、扉9閉じられた状態では、操作パネル61を操作したユーザがブース14内に存在することになる。
【0034】
また、ユーザが使用後、扉9を開いてブース14から退出した後、次のユーザが入室して扉9を閉じるまでの間は、扉9が開いた状態となる。このため、扉9の開閉状態に基づき、扉9が閉じている場合には、ユーザがブース14内に位置していると検出し、扉9が開いている場合には、ユーザがブース14内に位置していないと検出してもよい。
【0035】
なお、扉9の開閉状態は、例えば扉駆動ユニット63が扉9の位置を検出するセンサ(開閉センサ)を備え、当該開閉センサによって扉9が閉じた位置にあるか開いた位置にあるかを検出しても良いし、扉駆動ユニット63による扉9の駆動履歴に基づいて扉9が閉じられているか開かれているかを検出してもよい。
【0036】
なお、
図4~
図6では、回転式の扉9を用いたトイレブースの例を示したが、これに限らず、
図7に示すように扉9を開き戸とした構成や、
図8に示すように扉9を引き戸とした構成であってもよい。
【0037】
図7に示すブース14は、左右一対の側壁14L,14R及び後壁14Bによって三方が囲まれ、この前面の左側に左前壁141L、前面の右側に右前壁141Rが設けられ、この左前壁141Lと右前壁141Rの間の開口が出入口4となっている。また、右前壁141Rの左端には、ヒンジ(不図示)を介して扉9が擺動可能に取り付けられている。扉9のヒンジ側上部には扉駆動ユニット63が設けられ、この扉駆動ユニット63によって扉9が開閉駆動される。例えば、扉駆動ユニット63が、ヒンジを中心軸として扉9の戸先9Aを内側へ回動させることで出入口4を開けた状態とし、反対に戸先9Aが左前壁141Lの右端に受け止められるまで回動させることで閉じた状態とする。
【0038】
左前壁141Lの内側には、扉駆動ユニット63による開閉を操作する操作パネル61が設けられている。
【0039】
また、左前壁141Lと右前壁141Rの上端には、上枠142が架けわたされ、この上枠142に錠91が設けられている。錠91は、扉駆動ユニット63により、扉9の開閉に伴って駆動され、扉9が閉じられた際に、扉9と係合することによって施錠され、開扉を抑止する。
【0040】
図8に示すブース14は、側壁14L,14R及び後壁14Bによって三方が囲まれ、この前面の左側に左前壁141Lが設けられ、この左前壁141Lと右側壁14Rの前端との間の開口が出入口4となっている。また、左前壁141Lと右側壁14Rの上部には、ガイドレール8が設けられ、このガイドレール8に沿って扉駆動ユニット63が設けられている。このガイドレール8に扉9が垂下された状態で設置され、扉駆動ユニット63によって扉9がガイドレール8に沿って移動されることで出入口4を開閉する。また、ガイドレール8には、錠91が設けられ、扉駆動ユニット63により、扉9の駆動に伴って錠91の施錠/開錠が制御される。例えば、扉9が閉じられた際に、扉9と係合することによって施錠され、開扉を抑止する。
【0041】
右側壁14Rの扉9近傍には、扉駆動ユニット63による開閉を操作する操作パネル61が設けられている。
【0042】
図1に戻り、ブース14には、便器41、便座装置42、コントローラ43、操作パネル61等のトイレ設備7や、検出部46、プロジェクタ1が備えられている。
【0043】
便座装置42は、洋式の便器41上に設けられ、ユーザが着座する座面を加温する機能や温水を吐出してユーザの肛門や局部を洗浄する洗浄機能を有している。また、便座装置42は、ユーザが着座しているか否かを検出する着座センサ421を備え、この着座センサ421の検出結果に基づき、ユーザの着座を検出して所定時間経過後に着座を検出しなくなった場合、即ちユーザが用を足して立ち上がったと判定した場合に便座を洗浄する洗浄水を放出する制御や、ユーザが着座していない場合には座面の温度を低くして省電力モードとする制御等を行う。なお、便器41は、洋式に限らず和式であっても良く、和式の便器41が設けられた場合には便座装置42は省略される。この場合、ユーザが和式の便器41に跨ってしゃがみ、用を足す姿勢になったことを人感センサ等によって検出し、これをユーザが着座したこととして検出してもよい。
【0044】
コントローラ43は、
図9に示すように、便座装置42の温度設定や洗浄位置の設定などの操作を行う操作部431を有している。また、コントローラ43は、表示部432や、スピーカ433を有している。
【0045】
表示部432は、便座の設定温度や洗浄用の温水の温度、洗浄位置の他、制御装置3から受信した情報等を表示する。
【0046】
スピーカ433は、操作部431を操作した際の操作音や、便器を洗浄する洗浄水が流れる音を模擬する擬音、被投射面に投射される画像と共にコンテンツを構成する音等を出力する。
【0047】
検出部46は、ブース14内のユーザの位置を検出するためのセンサである。検出部46は、例えば赤外線や電波、超音波等によってユーザの存在を検出するセンサである。検出部46は、ユーザの発する赤外線を感知してユーザの存在を検出するパッシブ型のセンサであっても良いし、送信器から赤外線や電波、超音波を送信し、この赤外線や電波、超音波がユーザによって遮られたり反射されたりして変化した場合に、この変化を受信器で捉えることでユーザの存在を検出するアクティブ型のセンサであっても良い。
【0048】
特に本実施形態では、各ブース14の上方に位置する天井面14Cに、アクティブ型の距離センサ460を設け、赤外線等の信号光を便器41に向けて送信し、ブース内の物体で反射した反射光を受信するまでの時間や、反射波をPSD(Position Sensitive Detector)によって受光した際の受光位置から三角測量によって前記物体までの距離を検出す
る。
【0049】
図6に示すように、ユーザがブース14内に存在しない状態では、センサ460と便器41との間に送信波を遮る物体が存在しないので、センサ460は、便器41までの距離を検出する。一方、ユーザが便器41に着座した状態では、送信波がユーザで反射することになるので、センサ460は、ユーザまでの距離を検出する。そして、床面14Fとセンサ460との距離(高さ)から、センサ460で検出したユーザまでの距離を減算することで、ユーザの高さ情報が求められる。通常、ユーザの最も高い部位は、頭部であるため、このユーザの高さ情報から所定距離(例えば10cm)下を視点位置として求める。なお、センサ460を複数設け、便器41の直上だけでなく、送信波を便器41の周囲に向けて送信し、便器41の周囲に対する距離を求め、このうち最もセンサ460に近い位置、即ちユーザの高さ情報のうち、最も高い位置をユーザの頭部の位置としても良い。
【0050】
なお、ユーザの高さ情報を検出する検出部は、距離センサに限らず、天井面14Cに投
光器を設け、赤外線による所定パターンをブース内へ投射して、ブース内の物体上に投射されたパターンをカメラによって撮影し、この所定パターンと物体上に投射されたパターンとを比較して、これらの差分から便器41上に存在する物体までの距離、即ち当該物体の高さ情報を求めてもよい。
【0051】
更に、ToF距離画像センサによって、便器41上に存在する物体までの距離、即ち当該物体の高さ情報を求めてもよい。この場合、人間の形状を標準パターンとして記憶しておき、パターンマッチングにより、この標準パターンと合致する物体をユーザとして特定し、このうち、標準パターンの頭部と合致する部位を認識して、頭部の高さや視点位置を求めるようにしてもよい。
【0052】
また、検出部46は、他の機器のセンサを用いても良い。例えば、便座装置42の着座センサ421や、ユーザがブース14に入室したことを検出して照明や空調、消臭器等を動作させるためのセンサ(不図示)が検出部46として用いられても良い。また、操作パネル61や扉駆動ユニット63を検出部46として用いてもよい。
【0053】
制御装置3は、コンテンツサーバ2からコンテンツを受信し、当該コンテンツの画像をプロジェクタ1によって投射させる制御を行う装置であり、コンテンツ受信部411や、画像制御部412、移動制御部413、補正部414を有している。
【0054】
コンテンツ受信部411は、中継装置6からコンテンツを受信する。コンテンツ受信部411は、中継装置6から受信したコンテンツを記憶装置に記憶することで、コンテンツを画像制御部412へ供する構成であっても良いし、画像を投射させる毎に中継装置6からコンテンツを取得して画像制御部412へ提供する構成であっても良い。
【0055】
画像制御部412は、コンテンツ受信部411で受信したコンテンツの画像情報をプロジェクタ1へ送信し、画像を投射させる。なお、画像制御部412は、検出部46によってユーザがブース14に入室したことを検出した時に画像の投射を開始させ、ユーザがブース14から退出した場合に投射を停止させてもよい。
【0056】
移動制御部413は、検出部46によって検出したユーザの位置に基づいて、画像投射部による投射位置を移動させる。例えば、着座センサがONとなった場合、ユーザが便器41に着座していること、即ちユーザが便器41上に位置していることが特定できるので、便器41に着座しているユーザから見やすい位置に画像を投射させるように投射位置を制御する。ここで便器41は位置が固定されているため、ユーザが便器41に着座した場合、水平面内における視点位置は、全てのユーザについてほぼ同じとなるが、高さ方向における視点位置は、ユーザの身長によって異なる。このため、移動制御部413は、検出部46によってユーザの高さ情報を検出し、ユーザ毎の視点の高さに合わせて投射位置を決定し、当該投射位置に画像を投射させる。なお、投射位置の高さは、例えば視点位置と同じ高さや、視点位置より所定距離高く或は低くなるようにオフセット値を加えた高さとしてもよい。また、投射位置の高さとは、画像の中心等、基準となる位置の高さである。本例において、この投射位置の高さは、床面14Fからの絶対的な値で示したが、視点位置等からの相対的な値で示してもよい。
【0057】
補正部414は、投射位置に応じて、当該投射位置に投射される画像の歪み補正を行う。被投射面に投射される画像の歪みは、投射位置における被投射面の角度や形状によって異なるため、この歪みを補正するための補正値を投射位置に応じて予め求めてメモリ(後述の補助記憶装置等)に記憶しておき、移動制御部413によって決められた投射位置に応じてメモリから補正値を読出し、当該補正値のとおり画像を補正する。また、このように画像を補正する場合、投射された画像を観察する視点位置によって補正の効果が異なる
ため、補正部414は、投射位置と視点位置に応じて、当該投射位置に投射される画像の歪み補正を行ってもよい。例えば、この歪みを補正するための補正値を投射位置及び視点位置に応じて予め求めてメモリに記憶しておき、移動制御部413によって決められた投射位置及び検出部46の検出結果に基づく視点位置に応じてメモリから補正値を読出し、当該補正値のとおり画像を補正する。
【0058】
中継装置6は、コンテンツサーバ2から受信したコンテンツを制御装置3へコンテンツを提供する装置であり、コンテンツ受信部611や、コンテンツ配信部612を有している。
【0059】
コンテンツ受信部611は、インターネット等のネットワーク5を介してコンテンツサーバ2からコンテンツを受信する。コンテンツ配信部612は、中継装置6から受信したコンテンツを記憶装置に記憶し、制御装置3からコンテンツの要求を受けた場合にコンテンツを読み出して制御装置3へ送信する。また、制御装置3から、コンテンツの要求を受ける毎にコンテンツ受信部611がコンテンツサーバ2からコンテンツを取得し、コンテンツサーバ2からコンテンツを取得する毎に、コンテンツ配信部612が制御装置3へコンテンツを配信する構成としてもよい。
【0060】
図10は、コンピュータの一例を示す装置構成図である。コンテンツサーバ2や中継装置6、制御装置3は、例えば
図10に示すようなコンピュータである。コンピュータ200は、CPU21やメモリ22、入出力IF(Interface)23、通信バス26を有する
。CPU21はプロセッサとも呼ばれる。ただし、CPU21は、単一のプロセッサに限定される訳ではなく、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、単一のソケットで接続される単一のCPU21がマルチコア構成であってもよい。
【0061】
メモリ22は、主記憶装置と補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、CPU21の作業領域,プログラムやデータの記憶領域,通信データのバッファ領域として使用される。主記憶装置は、例えば、Random Access Memory(RAM),或いはRAMとRead Only Memory(ROM)との組み合わせで形成される。主記憶装置は、CPU21がプログラムやデータをキャッシュしたり、作業領域を展開したりする記憶媒体である。主記憶装置は、例えば、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含む。補助記憶部は、CPU21により実行されるプログラムや、動作の設定情報などを記憶する記憶媒体である。補助記憶装置は、例えば、HDD(Hard-disk Drive)や
SSD(Solid State Drive)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ、USBメモリ、メモリカード等である。
【0062】
入出力IF23は、コンテンツサーバ2、中継装置6、又は制御装置3に接続するセンサや操作部、通信モジュール等の機器との間でデータの入出力を行うインターフェースである。なお、上記の構成要素はそれぞれ複数に設けられてもよいし、一部の構成要素を設けないようにしてもよい。
【0063】
コンテンツサーバ2では、CPU21が、プログラムを実行することにより、メモリ22からコンテンツを読み出して、中継装置6へ送信する処理を行う処理部として機能する。また、中継装置6では、CPU21が、プログラムを実行することにより、
図1に示すコンテンツ受信部611や、コンテンツ配信部612の各処理部として機能する。また、制御装置3では、CPU21が、プログラムを実行することにより、
図1に示すコンテンツ受信部411や、画像制御部412、移動制御部413、補正部414の各処理部として機能する。但し、上記各処理部の少なくとも一部の処理がDSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によって提供され
てもよい。また、上記各処理部の少なくとも一部が、FPGA(Field-Programmable Gat
e Array)等の専用LSI(large scale integration)、その他のデジタル回路であってもよい。また、上記各処理部の少なくとも一部にアナログ回路を含む構成としてもよい。
【0064】
図11は、プロジェクタ1の概略構成図である。プロジェクタ1は、投射レンズ11や、液晶表示部(表示素子)12、光源13、プリズム19、レンズ駆動部15、投射位置変更部16、基台17、筐体18を備えている。
【0065】
液晶表示部12は、前記コンテンツに基づく画像を表示する素子であり、本例では、当該画像を光の三原色に分解し、分解したR(赤)、G(緑)、B(青)の画像を三つの液晶表示部に一つずつ割り当てて表示している。光源13は、三つの液晶表示部12を夫々照明している。プリズム19は、三つの液晶表示部12を透過した三原色の光束を合成している。投射レンズ11は、プリズム19で合成された光束を被投射面に投射し、各液晶表示部12に表示された画像の拡大像(カラー画像)を形成する。レンズ駆動部15は、投射レンズ11の少なくとも一部を駆動し、投射レンズ11のフォーカスや、チルト、シフトの調整を行う。
【0066】
基台17は、天井面14Cに固定され、投射レンズ11や、液晶表示部12、光源13、プリズム19、レンズ駆動部15を収容する筐体18を回転可能に保持している。投射位置変更部16は、筐体18を基台17に対して回転させることで、画像の投射位置を変更する。即ち、プロジェクタ1は、天井面14Cに対して被投射面に向かう投射レンズ11の光軸110が、俯角を有するように設置されており、投射位置変更部16が、この俯角を変えることで、被投射面に投射される画像の位置が上下に変更される。
【0067】
〈補正方法〉
図11に示すように、本実施形態のプロジェクタ1は、天井面14Cに設置され、投射レンズ11の光軸110を斜め下方に向け、垂直な壁面を被投射面とするため、被投射面に投射された画像が歪みを有する。例えば、
図12(A)に示すように、格子状のキャリブレーション用パターン1Aをプロジェクタ1の液晶表示部12に表示させ、補正無しで扉9の内壁に投射させた場合、
図12(B)に示すように、投射されたキャリブレーション用パターン1Bは扇状に歪むことになる。この歪みは、天井面14Cから斜め下へ向けて垂直な壁面に投射したことによる台形歪みと、円弧を母線とする柱面状の扉9に投射したことによる円弧状の歪みを合わせたものとなっている。
【0068】
図12(A)では、矩形を直線で縦横に分割し、各直線の交点をA1~A20として示している。これに対し、
図12(B)では、
図12(A)のA1~A20と対応する交点をa1~a20として示している。このように
図12(A)において水平方向の直線A1~A5、A16~A20は、
図12(B)において下向きに湾曲した曲線a1~a5、a16~a20となっている。また、
図12(B)において、下辺a16~a20はa1~a5よりも大きく歪んでいる。
【0069】
ここで、
図12(B)のように被投射面上に投射されたキャリブレーション用パターン1Bをカメラで撮影し、
図12(C)のように元のキャリブレーション用パターン1Aと比較することで、矢印で示したように、各点a1~a20における歪みの方向と量を求める。
【0070】
そして、液晶表示部12に表示させる画像を
図12(D)に示すように、この歪と反対方向に同量の変形を施すことで、投射した際の歪みを相殺して、矩形状に画像を投射できる。なお、この歪みを相殺するための変形量と方向は、投射位置や視点位置によって異なるため、投射位置や視点位置毎に、この歪みを相殺するための変形量と方向と求め、補正値としてメモリに記憶しておく。また、補正方法は、上記に限定されるものではなく、格
子状のパターンの代わりに、グレイコードなどの構造化パターンを使用したり、位相シフト法によるサブピクセルレベルでの歪み計測を使用したりすることもできる。
【0071】
そして、制御装置3の補正部414は、投射位置や視点位置に応じて、メモリから補正値を読み出し、この補正値に基づいて画像処理し、コンテンツの画像を変形させることで、補正を行う。
【0072】
なお、投射時の歪みのうち、天井面14Cから斜め下へ向けて垂直な壁面に投射したことによる台形歪みは、プロジェクタ1のレンズ駆動部15によって、投射レンズ11をシフトさせることで、光学的に補正することもできる。例えば、所定の高さに投射した画像の台形歪みを補正するように、投射レンズ11をシフトさせ、この状態で被投射面に投射したキャリブレーション用パターン1Bをカメラで撮影し、
図12(C)のように元のキャリブレーションパターンと比較し、キャリブレーション用パターン1Bの歪みを相殺するように補正値を決定する。これにより台形歪みを光学的に補正でき、画像処理による変形量(補正量)を抑えることができる。なお、投射レンズ11の補正量は投射位置に応じて変更しても良いし、所定の投射位置に固定してもよい。例えば、床面14Fから800mm~1400mmの範囲で投射位置を調整する場合に、中間の高さ1100mmに投射した画像を補正するように投射レンズ11のシフト量を固定し、実際にユーザが着座した際の視点位置に応じて投射位置を変更した場合の歪み補正を画像処理によって行ってもよい。この場合、投射レンズ11のシフト量は、所定期間内に検出した視点位置の平均を求めて、この視点位置に応じて投射位置を変更した場合の台形歪みを補正するシフト量としてもよい。
【0073】
また、
図7、
図8のように、扉9を平面とした場合には、画像処理による補正を行わずに、投射位置に応じて投射レンズ11のシフト量を調整して歪み補正を行ってもよい。
【0074】
〈投射方法〉
次に本実施形態の投射システム100における投射方法について説明する。
図13は、制御装置3がプログラムに従って実行する投射方法の説明図である。
【0075】
まず、ブース14内に設置した人感センサ等の検出部46が、ユーザの入室を検出すると、制御装置3が、
図13の処理を開始する。先ず、制御装置3は、コンテンツサーバ2或はメモリからコンテンツを取得する(ステップS10)。そして、所定の投射位置に画像を投射させると共に、コンテンツの音情報をスピーカ433から出力させて、コンテンツの出力(再生)を開始させる(ステップS20)。このときユーザは、ブース14に入室し、且つ便器41に着座する前であり、立っていると推定できるので、画像を高い位置、例えば調整範囲の最大高さ(例えば1400mm)に投射する。なお、これに限らず調整範囲のうち中間の位置や、所定期間内に検出した視点位置の平均を求めて、この視点位置に応じた投射位置としてもよい。
【0076】
また、制御装置3は、ユーザがブース14から退出したか否かを判定し(ステップS30)、ユーザが退出した場合には(ステップS30、Yes)、
図13の処理を終了する。なお、退出したか否かの検出は、ブース14内に設置した人感センサ等の検出部46が、ユーザの存在を検出しなくなった場合に退出したと判定してもよいし、錠91が開錠されたことや扉9が開状態となったことを検出した場合にユーザが退出したと判定してもよい。
ユーザが退出していないと判定した場合(ステップS30、No)、制御装置3は、ユーザが便器41に着座したか否か、即ち着座センサがユーザの存在を検出したか否かを判定する(ステップS40)。ここでユーザが着座していない場合には(ステップS40、No)、ステップS30へ戻る。
【0077】
そして、ユーザが便器41に着座したと判定した場合(ステップS40、Yes)、制御装置3は、センサ460によってユーザの高さ情報を取得し、視点位置を求める(ステップS50)。
【0078】
次に制御装置3は、視点位置に基づいて投射位置を定め、当該位置に画像を投射させるようにプロジェクタ1を制御する(ステップS60)。
【0079】
また、制御装置3は、当該投射位置に応じた補正値に基づいてコンテンツの画像を補正し(ステップS70)、補正後の画像をプロジェクタ1に投射させる(ステップS80)。そして、制御装置3は、ステップS30へ戻り、ユーザが退出するまで、これらの処理を繰り返す。
【0080】
このように、本実施形態1の投射システム100は、ユーザの位置に応じて、画像の歪み補正を行うことにより、精度良く歪みを補正した画像を投射することができる。特に、本実施形態1の投射システム100は、ユーザの位置に基づいて、投射位置を移動させることにより、各ユーザにとって、それぞれ見やすい位置に画像を表示させることができる。
【0081】
なお、本例では、ユーザがブース14に入室した際に画像の投射を開始したが、これに限らず、ステップS20を省略し、ユーザが便器41に着座してから、ユーザの視点位置に合わせて投射位置を決定して投射を開始するようにしてもよい。
【0082】
〈実施形態2〉
実施形態2は、前述の実施形態1と比べて、ユーザのジェスチャに応じて投射画像を制御する構成を加えたものである。なお、その他の構成は、同じであるため、同一の要素に同符号を付す等して再度の説明を省略している。
図14は、実施形態2の構成を示す図、
図15は、ユーザのジェスチャを検出するセンサの配置例を示す図である。
【0083】
図14に示すように、本実施形態2の投射システム100では、制御装置3が、ジェスチャ判定部415を備えている。また、本実施形態2では、
図15に示すように、ブース14内に、ユーザのジェスチャを検出するためのセンサ468,469を備えている。
【0084】
センサ468は、便器41よりも扉9側の天井面14Cに設けられており、この扉9側に存在する物体の天井面14Cからの距離、即ち当該物体の高さ方向(鉛直方向)の位置を求めている。また、センサ468は、便器41よりも扉9側の左側壁14Lに設けられており、この扉9側に存在する物体の左側壁14Lからの距離、即ち当該物体の水平方向の位置を求めている。
【0085】
これらセンサ468,469により、扉9側(即ち被投射面側)に伸ばしたユーザの腕等の部位の高さ方向及び垂直方向の2次元的な位置を周期的に検出することで、当該部位の動きを検出することができる。なお、ユーザの動きを検出する検出部は、距離センサに限らず、天井面14Cに投光器を設け、赤外線による所定パターンをブース内へ投射して、ブース内の物体上に投射されたパターンをカメラによって撮影し、この所定パターンと物体上に投射されたパターンとを比較して、これらの差分から便器41上に存在する物体の位置を周期的に求めることにより、当該ユーザの動作を検出してもよい。
【0086】
更に、ToF距離画像センサによって、便器41上に存在する物体の位置を周期的に求めて、当該物体(ユーザ)の動作を求めてもよい。この場合、人間の形状を標準パターンとして記憶しておき、パターンマッチングにより、この標準パターンと合致する物体をユ
ーザとして特定し、このうち、標準パターンの腕部と合致する部位を認識して、腕部の動作を求めるようにしてもよい。
【0087】
ジェスチャ判定部415は、センサ468,469によって検出したユーザの動作が所定のジェスチャに該当するか否かを判定する。所定のジェスチャとは、例えば被投射面側に伸ばした部位を左右に振る或は上下に振る、投射画像に表示させた選択肢に向けて所定時間以上停止させる等である。
【0088】
そして、画像制御部412は、ジェスチャ判定部415により、所定のジェスチャが行われたと判定された場合、当該ジェスチャに割り当てられた処理を実行する。例えば、水平方向に振るジェスチャの場合、画像の早送りや早戻しを行い、高さ方向に振るジェスチャの場合、音量の調整を行う。また、選択肢に向けて所定時間以上停止させるジェスチャ(選択操作)であった場合、当該選択肢が選択された場合の処理を実行する。
【0089】
このように本実施形態2によれば、ユーザが操作部等に触れずに、ジェスチャだけで画像に対する操作を行うことができ、排便中であっても容易且つ衛生的に操作を行うことができる。
【0090】
〈実施形態3〉
実施形態3は、前述の実施形態1又は2と比べて、ユーザが便器41に着座するまで便器41上に画像を投射する構成を加えたものである。なお、その他の構成は、同じであるため、同一の要素に同符号を付す等して再度の説明を省略している。
図16は、実施形態3における投射方法を示す図、
図17は、便器上に投射する画像の例を示す図である。
【0091】
まず、ブース14内に設置した人感センサ等の検出部46が、ユーザの入室を検出すると、制御装置3が、
図16の処理を開始する。先ず、制御装置3は、コンテンツサーバ2或はメモリからコンテンツを取得する(ステップS10)。このとき制御装置3は、前述の扉9の内壁に投射する画像に加えて、便器41に投射する画像も取得する。そして、投射位置を便器41上とし、便器41上に画像を投射させると共に、コンテンツの音情報をスピーカ433から出力させて、コンテンツの再生を開始させる(ステップS20A)。このときユーザは、ブース14に入室し、且つ便器41に着座する前であり、出入り口側から便器41に向かって立っていると推定できるので、視点位置を出入口4側として画像の歪み補正を行い、便器41上に画像を投射させる。例えば、
図17に示すように便器41のボール部内に金魚を表示し、便座上に金魚鉢のような模様を表示する。なお、投射する画像は、金魚に限らず、海底やサンゴ礁等、任意の画像でよい。
【0092】
次に、制御装置3は、前述と同様にユーザがブース14から退出したか否か(ステップS30)、及びユーザが便器41に着座したか否か(ステップS40)を判定する。ここでユーザが着座していない場合には(ステップS40、No)、ステップS30へ戻る。
【0093】
そして、ユーザが便器41に着座したと判定した場合(ステップS40、Yes)、制御装置3は、便器41上への画像の投射を停止し、以降の処理(ステップS50~S80)は前述の
図13と同様にユーザの視点位置に応じた投射位置に画像を投射させる。なお、本実施形態3では、一つのプロジェクタ1で、便器41上への画像の投射と、扉9の内壁への画像の投射を行う例を示したが、複数のプロジェクタを設けて、便器41上への画像の投射と、扉9の内壁への画像の投射を別のプロジェクタで行ってもよい。
【0094】
このように本実施形態3では、ブース14に入室したユーザが必ず視認する便器41上に画像を投射することで、効果的に画像を呈示できる。例えば、便器41内に生き物が生息しているかのように表示することで、清浄な印象をユーザに与えることができる。また
、金魚等ののどかな画像を表示することで、ユーザをリラックスさせる効果が得られる。更に、水面下で泳ぐ金魚を俯瞰した画像のように、水面を含む画像を投射させる際、この画像中の水面と便器41内の封水とが一致するように投射することで、実際の封水の下で金魚が泳いでいるように、ユーザに拡張現実感(AR)を与え、投射画像に興味を持たせることで、次に扉9の内壁等へ投射する画像に対する期待度を高めることができる。
【0095】
〈実施形態4〉
実施形態4は、前述の実施形態1~3の何れかと比べて、扉9が開いている場合に、床面14F上へ画像を投射する構成を加えたものである。なお、その他の構成は、前述の実施形態1~3の何れかと同じであるため、同一の要素に同符号を付す等して再度の説明を省略している。
図18は、実施形態3における投射方法を示す図、
図19は、床面14F上に投射する画像の例を示す図、
図20は、ブース14に接近したユーザを検出するセンサの配置例を示す図である。
【0096】
本実施形態4では、ブース14の外に人感センサ466,467を設け、ブース14と近接する所定の領域にユーザが入ったこと、即ちブース14にユーザが接近したことを検出し、床面14Fへの画像70の投射を開始する。具体的には、女性用トイレ施設101、男性用トイレ施設102の出入り口付近にセンサ466,467を設け、センサ466がユーザの存在を検出した場合に、女性用トイレ施設101内のブース14にユーザが接近したことを検出し、センサ467がユーザの存在を検出した場合に、男性用トイレ施設102内のブース14にユーザが接近したことを検出する。また、人感センサに限らず、トイレ施設101,102内にカメラ51,52を設け、パターン認識によって、撮影画像中にユーザが写っていることを認識した場合にユーザがブース14に接近したと検出してもよい。また、このカメラ51,52の撮影画像によって、車いすに乗ったユーザを検出するようにしてもよい。
【0097】
制御装置3は、センサ466,467やカメラ51,52により、ユーザがブース14に接近したことを検出すると、
図18の処理を開始する。先ず、制御装置3は、コンテンツサーバ2或はメモリからコンテンツを取得する(ステップS10)。このとき制御装置3は、前述の扉9の内壁に投射する画像に加えて、床面14Fに投射する画像も取得する。そして、投射位置を床面14F上とし、床面14F上に画像70を投射させると共に、コンテンツの音情報をスピーカ433から出力させて、コンテンツの再生を開始させる(ステップS20B)。このときユーザは、トイレ施設101,102へ入り、且つブース14に入室する前であり、ブース14の出入口4に向かって立っていると推定できるので、視点位置をトイレ施設101,102の出入り口側として画像の歪み補正を行い、床面14F上に画像を投射させる。例えば、
図19に示すようにブースが空いていること、即ち利用可能であることを示す情報71や、車椅子で利用可能か否かを示す情報72等を表示する。これに限らず、投射する画像70は、洗浄ボタンの位置や、コントローラ43の使い方等を表示してもよい。また、車いすのユーザが接近した場合、車いすの進入方向や停車位置、車いすから便器41への移動の仕方等の説明を示す画像73を表示しても良い。更に、カメラ51,52で、車いすのユーザを検出した場合、トイレ施設内のブースのうち、車いすで利用可能なブース14を特定し、車いすで利用可能なブース14のみ、床面14Fへの投射を行い、利用可能であることを示してもよい。また、カメラ51,52で、車いすに乗っていないユーザを検出した場合に、制御装置3は、車いすで利用可能なブース14と車椅子で利用できないブース14の両方が空いている場合、車いすで利用できないブース14で床面14Fへの投射を行わせて、空いていることを示し、車いすで利用できるブースで空いている表示を行わないように制御してもよい。なお、車いすに乗っていないユーザを検出した場合に、車いすで利用可能なブース14しか空いていなければ、制御装置3は、この車いすで利用可能なブース14で床面14Fへの投射を行わせて、空いていることを示す。
【0098】
次に、制御装置3は、扉9の開閉センサ等により扉9が閉じられたか否かを検出する(ステップS25)。ここで扉9が閉じられていない場合(ステップS25、No)、制御装置3は、ステップS20Bで開始した画像の表示を継続する。
【0099】
そして、扉9が閉じられた場合(ステップS25、Yes)、制御装置3は、床面14F上への画像の投射を停止し、プロジェクタ1の投射位置変更部16を制御して被投射面を扉9の内壁面とし、画像を投射させる。このときユーザは、ブース14に入室し、且つ便器41に着座する前であり、立っていると推定できるので、画像を高い位置、例えば調整範囲の最大高さ(例えば1400mm)に投射する。なお、これに限らず調整範囲のうち中間の位置や、所定期間内に検出した視点位置(高さ)の平均を求めて、この視点位置に応じた投射位置としてもよい。そして、ステップS30以降は、前述の実施形態1~3と同様である。
【0100】
このように本実施形態4によれば、ブースの外に位置するユーザに利用可能か否か等の画像を呈示できる。特に、床面14F上に、洗浄ボタンの位置やコントローラ43の使い方等の画像を投射することで、これらをユーザが入室時に知ることができ、ユーザが着座した際には、壁面に表示される画像の視認に集中できる。また、車いすのユーザを認識して、車いすでの利用方法等を示すことにより、車いすに乗ったユーザの利便性が向上する。
【0101】
〈その他〉
本発明は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、上記実施形態では、ブース14として、便器を備えたトイレブースの例を主に示したが、これに限らず、ブース14は、シャワーブースや更衣室、フィッティングルーム、カプセルホテル等、通常、ユーザが単独で利用する場所であれば良い。
【符号の説明】
【0102】
1 プロジェクタ
2 コンテンツサーバ
3 制御装置
3 本実施形態
4 出入口
5 ネットワーク
6 中継装置
7 トイレ設備
8 ガイドレール
9 扉
41 便器
42 便座装置
46 検出部
61 操作パネル
63 扉駆動ユニット
91 錠
100 投射システム