(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】アンカー用引張試験機及びその方法
(51)【国際特許分類】
G01N 3/08 20060101AFI20220302BHJP
G01N 3/00 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
G01N3/08
G01N3/00 M
(21)【出願番号】P 2018084793
(22)【出願日】2018-04-26
【審査請求日】2020-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】501267357
【氏名又は名称】国立研究開発法人建築研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】592182573
【氏名又は名称】オックスジャッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076255
【氏名又は名称】古澤 俊明
(72)【発明者】
【氏名】向井 智久
(72)【発明者】
【氏名】田沼 毅彦
(72)【発明者】
【氏名】山形 昭博
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第203688358(CN,U)
【文献】特開平11-248611(JP,A)
【文献】特開2002-267593(JP,A)
【文献】特開平08-327521(JP,A)
【文献】特開平11-303598(JP,A)
【文献】特開平11-108815(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0136135(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/00 - 3/62
G01M 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートに埋め込まれたあと施工アンカーにジャッキで引抜荷重をかけて行うアンカー用引張試験機において、
前記ジャッキは、シリンダ本体と、このシリンダ本体の内側に空隙部をもって設けられ、前記アンカーを貫通する支持筒と、この支持筒の上端に設けられ、前記アンカーを定着する円錐形ウエッジと、前記空隙部に進退自在に設けたラムと、このラムの進退により前記円錐形ウエッジによるアンカーの定着とその開放を行うチャックケースとからなり、
前記コンクリートから突出した前記アンカーの根元に臨ませて嵌着される計測点リングと、この計測点リングに一体に設けられ、前記ジャッキに設けた変位計の接触針と当接するアームとを有
し、
計測点リングは、すり割りをもって2つ割りし、外周に前記2つの計測点リングを締め付ける結合ばねを嵌め、前記2つ割りした計測点リングにそれぞれ前記アームを設けたことを特徴とするアンカー用引張試験機。
【請求項2】
コンクリートに埋め込まれたあと施工アンカーにジャッキで引抜荷重をかけて行うアンカー用引張試験機において、
前記ジャッキは、シリンダ本体と、このシリンダ本体の内側に空隙部をもって設けられ、前記アンカーを貫通する支持筒と、この支持筒の上端に設けられ、前記アンカーを定着する円錐形ウエッジと、前記空隙部に進退自在に設けたラムと、このラムの進退により前記円錐形ウエッジによるアンカーの定着とその開放を行うチャックケースとからなり、
前記コンクリートから突出した前記アンカーの根元に臨ませて嵌着される計測点リングと、この計測点リングに一体に設けられ、前記ジャッキに設けた変位計の接触針と当接するアームとを有
し、
計測点リングは、すり割りをもって2つ割りし、外周に前記2つの計測点リングを締め付ける結合ばねを嵌め、前記2つ割りした計測点リングにそれぞれ前記アームを設け、
前記シリンダ本体の底部に雌型球座を設け、この雌型球座に雄型球座を摺動自在に嵌合し、この雄型球座の下端に前記コンクリートと接する支圧板を設け、この支圧板の中心位置に前記計測点リングを前記コンクリートに臨ませるように遊嵌する逃げ孔を設けたことを特徴とするアンカー用引張試験機。
【請求項3】
前記アームに、
前記計測点リングに嵌められた結合ばねを伸ばして突起部に引っ掛ける係止凹部を設けたことを特徴とする請求
項1記載のアンカー用引張試験機。
【請求項4】
前記アームに、
前記計測点リングに嵌められた結合ばねを伸ばして突起部に引っ掛ける係止凹部を設けたことを特徴とする請求
項2記載のアンカー用引張試験機。
【請求項5】
前記シリンダ本体の底部にラムチェアを設け、このラムチェアの下端部に設けた雄型球座を、
前記コンクリートに載せ置かれる雌型球座に摺動可能に設け、この雌型球座に破壊試験孔を形成したことを特徴とする請求項1記載のアンカー用引張試験機。
【請求項6】
コンクリートに埋め込まれたあと施工アンカーにジャッキで引抜荷重をかけて行うアンカー用引張試験機において、
前記ジャッキは、シリンダ本体と、このシリンダ本体の内側に空隙部をもって設けられ、前記アンカーを貫通する支持筒と、この支持筒の上端に設けられ、前記アンカーを定着する円錐形ウエッジと、前記空隙部に進退自在に設けたラムと、このラムの進退により前記円錐形ウエッジによるアンカーの定着とその開放を行うチャックケースとからなり、
前記コンクリートから突出した前記アンカーの根元に臨ませて嵌着される計測点リングと、この計測点リングに一体に設けられ、前記ジャッキに設けた変位計の接触針と当接するアームとを有し、
前記シリンダ本体の底部にラムチェアを設け、このラムチェアの下端部に設けた雄型球座を、前記コンクリートに載せ置かれる雌型球座に摺動可能に設け、この雌型球座に破壊試験孔を形成し、
前記雌型球座における
前記破壊試験孔の内側に、
この破壊試験孔の孔径を変更するスペーサーを着脱自在に設けたことを特徴とするアンカー用引張試験機。
【請求項7】
請求項2記載のアンカー用引張試験機を用いて、コンクリートに埋め込まれたあと施工アンカーにジャッキで引抜荷重をかけて行うアンカー用引張試験方法において、
前記アンカーを、前記コンクリートに載置された
前記支圧板の逃げ孔を介して
前記計測点リングに通し、さらに、前記ジャッキの内部の
前記チャックケースを通り、
前記円錐形ウエッジの圧着面に挿通する第1の工程と、
前記計測点リングを、前記コンクリートから突出している前記アンカーの根元に臨ませて密着してこの計測点リングに設けられた前記アームの上に前記接触針を接触させる第2の工程と、
前記ジャッキに油圧をかけて前記チャックケースを上昇し、前記円錐形ウエッジで前記アンカーを固着し、さらに前記ジャッキに油圧をかけて前記アンカーが引き抜かれる方向に荷重をかけ、前記アンカーの前記コンクリートからの抜け量
を変位計で測定する第3の工程と
からな
り、
前記第2の工程において、前記計測点リングは、2つの半円筒からなり、外周にこの2つの半円筒を密着する前記結合ばねが嵌め込まれており、前記計測点リングの両側には、前記変位計の接触針を当接するための前記左右のアームが連結されているものが用いられ、前記計測点リングを、前記コンクリートから突出している前記アンカーの挿通時に、前記左右のアームの途中に設けた係止凹部を前記支圧板の突起部に係止して前記結合ばねに抗して前記計測点リングの2つの半円筒を開いた状態にすることを特徴とするアンカー用引張試験方法。
【請求項8】
前記第1の工程において、前記ジャッキの下端部の前記雌型球座と支圧板の上面の雄型球座を相互の摺動面で摺動させ、前記アンカーがコンクリートに垂直以外の角度で埋め込まれているときに対応させることを特徴とする請求
項7記載のアンカー用引張試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、あと施工アンカーの付着力試験、あと施工アンカーの周囲のコンクリートの非破壊試験・破壊試験等に使用されるアンカー用引張試験機及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
あと施工アンカーの引張試験機として、
図6に示すものが知られている(特許文献1)。
図6において、コンクリート17に施工されたアンカー1の突出ねじ部に、連結ねじ18とカップリング2を介してセンターシャフト3に連結し、引張荷重に対するアンカー1の抗力と変位量を測定するものである。センターシャフト3は、筒状の引張部材4に挿通され、上部にシャフト用ナット5が引張部材4の上端面に接して螺着されている。引張部材4は、基台6の中央を貫通して配設され、基台6は複数の支柱7により支持されている。引張部材4の外周ねじ部には、負荷ナット8が螺着されている。引張部材4と基台6とが接する箇所に、それぞれ対向して凹部が設けられ、この凹部に回転防止キー9が嵌合され、引張部材4と基台6間の相対回転は防止されている。
【0003】
さらに、負荷ナット8のフランジ部10の下面に接してスラスト用ベアリング11、例えば、ニードルベアリングを配し、さらに、負荷伝達リング12を介してロードセル13が基台6との間に設けられ、ロードセル13にかかる負荷荷重が測定される。負荷ナット8を締付けることにより、軸線に沿って変位する引張部材4の外周面に、アーム15を取り付け、このアーム15にポテンショメータ式変位計を取り付けることにより、アンカー1の変位量は測定されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図6に示す変位量の測定方法では、負荷ナット8を締付けると、筒状の引張部材4、センターシャフト3、カップリング2、さらに連結ねじ18を介してアンカー1を引っ張り、しかも、引張部材4の外周面に取り付けたアーム15に変位計16が取り付けられているため、引張部材4、センターシャフト3、カップリング2、連結ねじ18、アンカー1の全体の伸びが変位量として測定されてしまう。
測定したい変位量は、アンカー1がコンクリート17から抜け出る距離(抜け量)であって、引張部材4、センターシャフト3、カップリング2、連結ねじ18、アンカー1の弾性変形による伸び量は、不必要なデータであり、測定したい変位量とはいえない。また、基台6の支柱7とアンカー1とが離れているので、アンカー1の周りのコンクリート17が破壊してしまう恐れがあり、アンカー1の抜け量を正確に測定できなくなる。
また、基台6は複数のねじ式の支柱7により支持されているが、アンカー1は、コンクリート17の面に対して垂直方向とは限らないので、複数のねじ式の支柱7でアンカー1と同一方向に調整するのが極めて困難である。しかも、ねじ式の支柱7のねじのガタがあると測定誤差が出やすい。
【0006】
また、
図6に示す試験機は、比較的小型であるが、これは、主に、所定の引張り力でアンカーがコンクリートから抜け出るかどうかを試験するものである。これに対し、アンカーの抜け量を正確に計測する装置は、高さが1.5m以上、重さが500kg以上と極めて大型で、搬送したり、計測のためにアンカーにセットしたりする作業が極めて面倒であった。
【0007】
本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、あと施工アンカーの付着力試験、コンクリートの非破壊試験、さらに、コンクリートの破壊試験をも可能にしたアンカー用引張試験機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
コンクリート52に埋め込まれた鉄筋等のアンカー53にジャッキ19で引抜荷重をかけて行うアンカー用引張試験機において、
前記ジャッキ19は、シリンダ本体20と、このシリンダ本体20の内側に空隙部23をもって設けられ、前記アンカー53を貫通する支持筒22と、この支持筒22の上端に設けられ、前記アンカー53を定着する円錐形ウエッジ27と、前記空隙部23に進退自在に設けたラム24と、このラム24の進退により前記円錐形ウエッジ27によるアンカー53の定着とその開放を行うチャックケース26とからなり、
前記コンクリート52から突出した前記アンカー53の根元に臨ませて嵌着される計測点リング42と、この計測点リング42に一体に設けられ、前記ジャッキ19に設けた変位計49の接触針48に当接するアーム45とを有することを特徴とする。
【0009】
シリンダ本体20の底部21に雌型球座34を設け、この雌型球座34に雄型球座35を摺動自在に嵌合し、この雄型球座35の下端にコンクリート52と接する支圧板37を設け、この支圧板37の中心位置に計測点リング42をコンクリート52に臨ませるように遊嵌する逃げ孔41を設けたことを特徴とする。
【0010】
計測点リング42は、すり割り43をもって2つ割りし、外周に前記2つの計測点リング42を締め付ける結合ばね44を嵌め、前記2つ割りした計測点リング42にそれぞれアーム45を設けたことを特徴とする。
【0011】
アーム45に、結合ばね44を伸ばして突起部46に引っ掛ける係止凹部47を設けたことを特徴とする。
【0012】
コンクリートの破壊試験機として使用するため、シリンダ本体20の底部21にラムチェア58を設け、このラムチェア58の下端部に設けた雄型球座35aを、コンクリート52に載せ置かれる雌型球座34aに摺動可能に設け、この雌型球座34aに破壊試験孔60を形成したことを特徴とする。
【0013】
雌型球座34aにおける破壊試験孔60の内側に、破壊試験孔60の孔径を変更するスペーサー61を着脱自在に設けたことを特徴とする。
【0014】
本発明は、
コンクリート52に埋め込まれたあと施工アンカー53にジャッキ19で引抜荷重をかけて行うアンカー用引張試験方法において、
前記アンカー53を、前記コンクリート52に載置された支圧板37の逃げ孔41を介して計測点リング42に通し、さらに、前記ジャッキ19の内部のチャックケース26を通り、円錐形ウエッジ27の圧着面28に挿通する第1の工程と、
前記計測点リング42を、前記コンクリート52から突出している前記アンカー53の根元に臨ませて密着してこの計測点リング42に設けられたアーム45の上に接触針48を接触させる第2の工程と、
前記ジャッキ19に油圧をかけて前記チャックケース26を上昇し、前記円錐形ウエッジ27で前記アンカー53を固着し、さらに前記ジャッキ19に油圧をかけて前記アンカー53が引き抜かれる方向に荷重をかけ、前記アンカー53の前記コンクリート52からの抜け量を前記変位計49で測定する第3の工程と
からなることを特徴とする。
【0015】
前記第2の工程において、計測点リング42は、2つの半円筒からなり、外周にこの2つの半円筒を密着する結合ばね44が嵌め込まれており、前記計測点リング42の両側には、変位計49の接触針48を当接するための左右のアーム45が連結されているものが用いられ、前記計測点リング42を、前記コンクリート52から突出している前記アンカー53の挿通時に、前記左右のアーム45の途中に設けた係止凹部47を支圧板37の突起部46に係止して前記結合ばね44に抗して計測点リング42の2つの半円筒を開いた状態にすることを特徴とする。
【0016】
前記第1の工程において、前記ジャッキ19の下端部の雌型球座34と支圧板37の上面の雄型球座35を相互の摺動面36で摺動させ、前記アンカー53がコンクリート52に垂直以外の角度で埋め込まれているときに対応させることを特徴とする。
【0017】
コンクリート52に埋め込まれたあと施工アンカー53にジャッキ19で引抜荷重をかけて前記アンカー53の周りの前記コンクリート52の破壊試験を行うアンカー用引張試験方法において、
前記アンカー53の周りの前記コンクリート52の上に破壊試験孔60を有する雌型球座34aを、前記アンカー53を挿通して載せ置き、この雌型球座34aの上に、前記ジャッキ19のシリンダ本体20の底部に設けたラムチェア58の下端部の雄型球座35aを摺動可能に載せ、前記アンカー53を、計測点リング42に通し、さらに、前記ジャッキ19の内部のチャックケース26を通り、円錐形ウエッジ27の圧着面28に挿通する第1の工程と、
前記計測点リング42を、前記コンクリート52から突出している前記アンカー53の根元に臨ませ、この計測点リング42に設けられたアーム45aの上に接触針を接触させる第2の工程と、
前記ジャッキ19に圧力計62を介在して油圧をかけて前記チャックケース26を上昇し、前記円錐形ウエッジ27で前記アンカー53を固着し、さらに前記ジャッキ19に油圧をかけて前記アンカー53が引き抜かれる方向に荷重をかけ、前記コンクリート52が破壊したときの荷重を前記圧力計62で測定する第3の工程と
からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明によれば、
コンクリートに埋め込まれたアンカーにジャッキで引抜荷重をかけて行うアンカー用引張試験機において、
前記ジャッキは、シリンダ本体と、このシリンダ本体の内側に空隙部をもって設けられ、前記アンカーを貫通する支持筒と、この支持筒の上端に設けられ、前記アンカーを定着する円錐形ウエッジと、前記空隙部に進退自在に設けたラムと、このラムの進退により前記円錐形ウエッジによるアンカーの定着とその開放を行うチャックケースとからなり、
前記コンクリートから突出した前記アンカーの根元に嵌着される計測点リングと、この計測点リングに一体に設けられ、前記ジャッキに設けた変位計の接触針と当接するアームとを有し、
計測点リングは、すり割りをもって2つ割りし、外周に前記2つの計測点リングを締め付ける結合ばねを嵌め、前記2つ割りした計測点リングにそれぞれ前記アームを設けたので、次の効果を有する。
(1)アンカーが引張部材、センターシャフト、カップリング、連結ねじ等で連結されていても、アンカーのコンクリートに埋め込まれた部分だけの伸びが変位量として測定できる。
(2)アンカーの周りのコンクリートが破壊してしまう恐れがなく、アンカーの抜け量だけを正確に測定できる。
(3)本発明による試験機は、アンカーの伸び量測定する場合、高さが約260mmで、コンクリートの破壊測定の場合は、高さが500mm程度であり、重さはいずれの場合もが約10kgである。そのため、小型で、軽く、持ち運びや測定時の操作が容易で、しかもアンカーの正確な伸び量を測定できる。
(4)アンカーの直径の異なるもの、形状が円形以外のものでも装着することができる。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、
コンクリートに埋め込まれたあと施工アンカーにジャッキで引抜荷重をかけて行うアンカー用引張試験機において、
前記ジャッキは、シリンダ本体と、このシリンダ本体の内側に空隙部をもって設けられ、前記アンカーを貫通する支持筒と、この支持筒の上端に設けられ、前記アンカーを定着する円錐形ウエッジと、前記空隙部に進退自在に設けたラムと、このラムの進退により前記円錐形ウエッジによるアンカーの定着とその開放を行うチャックケースとからなり、
前記コンクリートから突出した前記アンカーの根元に臨ませて嵌着される計測点リングと、この計測点リングに一体に設けられ、前記ジャッキに設けた変位計の接触針と当接するアームとを有し、
計測点リングは、すり割りをもって2つ割りし、外周に前記2つの計測点リングを締め付ける結合ばねを嵌め、前記2つ割りした計測点リングにそれぞれ前記アームを設け、
前記シリンダ本体の底部に雌型球座を設け、この雌型球座に雄型球座を摺動自在に嵌合し、この雄型球座の下端に前記コンクリートと接する支圧板を設け、この支圧板の中心位置に前記計測点リングを前記コンクリートに臨ませるように遊嵌する逃げ孔を設けたので、アンカーがコンクリート面に直角の場合のみならず、角度をもって埋め込まれたものでも正確に試験データを得ることができる。
【0020】
請求項3記載の発明によれば、
前記アームに、前記計測点リングに嵌められた結合ばねを伸ばして突起部に引っ掛ける係止凹部を設けたので、変位測定の際の測定点の位置決めを容易に、かつ、正確に行うことができる。
【0021】
請求項4記載の発明によれば、
前記アームに、前記計測点リングに嵌められた結合ばねを伸ばして突起部に引っ掛ける係止凹部を設けたので、変位測定の際の測定点の位置決めを容易に、かつ、正確に行うことができる。
【0022】
請求項5記載の発明によれば、
前記シリンダ本体の底部にラムチェアを設け、このラムチェアの下端部に設けた雄型球座を、前記コンクリートに載せ置かれる雌型球座に摺動可能に設け、この雌型球座に破壊試験孔を形成したので、アンカーの引張試験だけでなく、コンクリートの破壊試験を行うことができる。
【0023】
請求項6記載の発明によれば、
コンクリートに埋め込まれたあと施工アンカーにジャッキで引抜荷重をかけて行うアンカー用引張試験機において、
前記ジャッキは、シリンダ本体と、このシリンダ本体の内側に空隙部をもって設けられ、前記アンカーを貫通する支持筒と、この支持筒の上端に設けられ、前記アンカーを定着する円錐形ウエッジと、前記空隙部に進退自在に設けたラムと、このラムの進退により前記円錐形ウエッジによるアンカーの定着とその開放を行うチャックケースとからなり、
前記コンクリートから突出した前記アンカーの根元に臨ませて嵌着される計測点リングと、この計測点リングに一体に設けられ、前記ジャッキに設けた変位計の接触針と当接するアームとを有し、
前記シリンダ本体の底部にラムチェアを設け、このラムチェアの下端部に設けた雄型球座を、前記コンクリートに載せ置かれる雌型球座に摺動可能に設け、この雌型球座に破壊試験孔を形成し、
前記雌型球座における前記破壊試験孔の内側に、この破壊試験孔の孔径を変更するスペーサーを着脱自在に設けたので、アンカーの径の違いによる埋め込み深さを変えて破壊試験を行うことができる。
【0024】
請求項7記載の発明によれば、
請求項2記載のアンカー用引張試験機を用いて、コンクリートに埋め込まれたあと施工アンカーにジャッキで引抜荷重をかけて行うアンカー用引張試験方法において、
前記アンカーを、前記コンクリートに載置された前記支圧板の逃げ孔を介して前記計測点リングに通し、さらに、前記ジャッキの内部の前記チャックケースを通り、前記円錐形ウエッジの圧着面に挿通する第1の工程と、
前記計測点リングを、前記コンクリートから突出している前記アンカーの根元に臨ませて密着してこの計測点リングに設けられた前記アームの上に前記接触針を接触させる第2の工程と、
前記ジャッキに油圧をかけて前記チャックケースを上昇し、前記円錐形ウエッジで前記アンカーを固着し、さらに前記ジャッキに油圧をかけて前記アンカーが引き抜かれる方向に荷重をかけ、前記アンカーの前記コンクリートからの抜け量を変位計で測定する第3の工程と
からなり、
前記第2の工程において、前記計測点リングは、2つの半円筒からなり、外周にこの2つの半円筒を密着する前記結合ばねが嵌め込まれており、前記計測点リングの両側には、前記変位計の接触針を当接するための前記左右のアームが連結されているものが用いられ、前記計測点リングを、前記コンクリートから突出している前記アンカーの挿通時に、前記左右のアームの途中に設けた係止凹部を前記支圧板の突起部に係止して前記結合ばねに抗して前記計測点リングの2つの半円筒を開いた状態にするので、アンカーのコンクリートからの抜け量を簡単な手順で測定することができる。また、コンクリートから突出しているアンカーに、本装置を容易にかつ正確にセットすることができる。
【0026】
請求項8記載の発明によれば、
前記第1の工程において、前記ジャッキの下端部の雄型球座と支圧板の上面の雌型球座を相互の摺動面で摺動させ、前記アンカーがコンクリートに垂直以外の角度で埋め込まれているときに対応させるようにしたので、アンカーがコンクリートに斜めに突き出ているものでも、本装置を容易にかつ正確にセットすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明によるアンカー用引張試験機の実施例1を示す断面図である。
【
図3】本発明のアンカー用引張試験機に使用される変位計測冶具を示すもので、(a)は、平面図、(b)は、一部切り欠いた正面図である。
【
図4】本発明の実施例2を示す一部切り欠いた正面図である。
【
図5】実施例2に使用されるラムチェアと雌型球座の斜視図である。
【
図6】従来のアンカー用引張試験機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
コンクリート52に埋め込まれたあと施工アンカーとしての鉄筋53にジャッキ19で引抜荷重をかけて行うアンカー用引張試験機において、
前記ジャッキ19は、シリンダ本体20と、このシリンダ本体20の内側に空隙部23をもって設けられ、前記アンカーとしての鉄筋53を貫通する支持筒22と、この支持筒22の上端に設けられ、前記鉄筋53を定着する円錐形ウエッジ27と、前記空隙部23に進退自在に設けたラム24と、このラム24の進退により前記円錐形ウエッジ27による鉄筋53の定着とその開放を行うチャックケース26とからなり、
前記コンクリート52から突出した前記鉄筋53の根元に嵌着される計測点リング42と、この計測点リング42に一体に設けられ、前記ジャッキ19に設けた変位計49の接触針48と当接するアーム45とを有する。あと施工アンカーは、鉄筋53の例に限られず、接着剤で埋め込み固着されたアンカー、ハンマーで打設した機械的アンカーその他のアンカーに適用される。
【0030】
アンカー53は、コンクリート面に垂直に埋め込まれたもの以外の角度を有するものにも適用するため、シリンダ本体20の底部21に雌型球座34を設け、この雌型球座34に雄型球座35を摺動自在に嵌合し、この雄型球座35の下端にコンクリート52と接する支圧板37を設け、この支圧板37の中心位置に計測点リング42をコンクリート52の面と接するか、わずかな隙間(1.0mm以下)を持って臨ませるように遊嵌するための逃げ孔41を設ける。
【0031】
アンカー53の形状が断面円形のもの以外にも適用するため、計測点リング42は、すり割り43をもって2つ割りし、外周に前記2つの計測点リング42を締め付ける結合ばね44を嵌め、前記2つ割りした計測点リング42にそれぞれアーム45を設ける。
【0032】
アンカーへの装着を容易にするため、アーム45に、結合ばね44を伸ばして突起部46に引っ掛ける係止凹部47を設ける。
【0033】
コンクリートの破壊を試験するため、シリンダ本体20の底部21にラムチェア58を設け、このラムチェア58の下端部の雄型球座35aを、コンクリート52に載せ置かれる雌型球座34aを設け、この雌型球座34aに破壊試験孔60を形成する。
【0034】
アンカーの太さに応じてコンクリート破壊面を調整するため、雌型球座34aにおける破壊試験孔60の内側に、破壊試験孔60の孔径を変更するスペーサー61を着脱自在に設ける。
【0035】
本発明のアンカー用引張試験方法は、
コンクリート52に埋め込まれたあと施工アンカー53にジャッキ19で引抜荷重をかけて行うアンカー用引張試験方法において、
前記アンカー53を、前記コンクリート52に載置された支圧板37の逃げ孔41を介して計測点リング42に通し、さらに、前記ジャッキ19の内部のチャックケース26を通り、円錐形ウエッジ27の圧着面28に挿通する第1の工程と、
前記計測点リング42を、前記コンクリート52から突出している前記アンカー53の根元に臨ませて密着してこの計測点リング42に設けられたアーム15の上に接触針48を接触させる第2の工程と、
前記ジャッキ19に油圧をかけて前記チャックケース26を上昇し、前記円錐形ウエッジ27で前記アンカー53を固着し、さらに前記ジャッキ19に油圧をかけて前記アンカー53が引き抜かれる方向に荷重をかけ、前記アンカー53の前記コンクリート52からの抜け量を前記変位計49で測定する第3の工程と
からなる。
【0036】
前記第2の工程において、計測点リング42は、2つの半円筒からなり、外周にこの2つの半円筒を密着する結合ばね44が嵌め込まれており、前記計測点リング42の両側には、変位計49の接触針48を当接するための左右のアーム45が連結されているものが用いられ、前記計測点リング42を、前記コンクリート53から突出している前記アンカー53の挿通時に、前記左右のアーム45の途中に設けた係止凹部47を支圧板37の突起部46に係止して前記結合ばね44に抗して計測点リング42の2つの半円筒を開いた状態にする。
【0037】
前記第1の工程において、前記ジャッキ19の下端部の雌型球座34と支圧板37の上面の雄型球座35を相互の摺動面36で摺動させ、前記アンカー53がコンクリート52に垂直以外の角度で埋め込まれているときに対応させる。
【0038】
コンクリート52に埋め込まれたあと施工アンカー53にジャッキ19で引抜荷重をかけて前記アンカー53の周りの前記コンクリート52の破壊試験を行うアンカー用引張試験方法において、
前記アンカー53の周りの前記コンクリート52の上に破壊試験孔60を有する雌型球座34aを、前記アンカー53を挿通して載せ置き、この雌型球座34aの上に、前記ジャッキ19のシリンダ本体20の底部に設けたラムチェア58の下端部の雄型球座35aを摺動可能に載せ、前記アンカー53を、計測点リング42に通し、さらに、前記ジャッキ19の内部のチャックケース26を通り、円錐形ウエッジ27の圧着面28に挿通する第1の工程と、
前記計測点リング42を、前記コンクリート52から突出している前記アンカー53の根元に臨ませ、この計測点リング42に設けられたアーム45の上に接触針48を接触させる第2の工程と、
前記ジャッキ19に圧力計62を介在して油圧をかけて前記チャックケース26を上昇し、前記円錐形ウエッジ27で前記アンカー53を固着し、さらに前記ジャッキ19に油圧をかけて前記アンカー53が引き抜かれる方向に荷重をかけ、前記コンクリート52が破壊したときの荷重を前記圧力計62で測定する第3の工程と
からなる。
【実施例1】
【0039】
本発明によるアンカー用引張試験機の実施例1を
図1~
図3に基づき説明する。
前記アンカー用引張試験機は、センターホールジャッキ19を基本構成とするもので、このセンターホールジャッキ19の外筒を構成するシリンダ本体20の底部21には、このシリンダ本体20の内側に空隙部23をもって支持筒22が固定的に取り付けられ、前記シリンダ本体20の上端の内側にシリンダーカラー25が固着されている。前記空隙部23には、筒状のラム24が上下のOリング31により気密に上下動可能に嵌合されている。このラム24の上端部には、上向きに広がる円錐孔面29を有するチャックケース26が固定的に取り付けられている。
【0040】
この円錐孔面29の内側にわずかな隙間を有するように、前記支持筒22の上端に載せられて円錐形ウエッジ27が設けられており、この円錐形ウエッジ27は、3つ割であり、3個が合わさって中心に略円形となる圧着面28が形成される。この円錐形ウエッジ27には、前記チャックケース26に固着したカバー30が被せられ、このカバー30の上端中央には、あと施工アンカー53の突出する逃げ孔30aが設けられている。
以下の実施例では、あと施工アンカー53として鉄筋の場合について説明するが、あと施工アンカー53は、後述するように、鉄筋に限られるものではない。
【0041】
前記シリンダ本体20の上端部に、前記空隙部23と連通する戻し側オイル口32が設けられ、また、前記シリンダ本体20の下端部に前記ラム24の下面と連通する押し込み側オイル口33が設けられている。
前記シリンダ本体20の底部21の下面には、中央に穴の開いた雌型球座34が下向きに固定的に取り付けられ、この雌型球座34の球面に上向きの球面で中央に中空部39を有する雄型球座35が接触して設けられ、相互の球面が摺動面36となって全方向に摺動するようになっている。これらの雌型球座34と雄型球座35は、全方向に摺動しても、分離しないように、
図2に示すような複数個所の球座保持ばね57にて保持されている。
【0042】
前記雄型球座35には、
図1及び
図2に示すように、前記中空部39から左右に連通して所定幅の連通孔40が形成されている。この雄型球座35の下面には、円形の支圧板37が固定的に取り付けられ、この支圧板37の中心部には、後述する計測点リング42がセットされる逃げ孔41が穿設されている。これらの連通孔40の途中の前記支圧板37には、左右両側に
図3(a)に示すように2個の突起部46が立設されている。
前記逃げ孔41には、計測しようとする鉄筋53が貫通し、この鉄筋53に着脱自在にセットされる計測点リング42が前記逃げ孔41内で嵌合する。この計測点リング42は、2つの半円筒を合わせると円筒形になるようにすり割り43で2つ割にされたもので、この計測点リング42の外周の2個所に結合ばね44が嵌め込まれている。前記計測点リング42の両側には、変位計49の接触針48を当接するための左右のアーム45が連結されており、これらのアーム45の途中に係止凹部47が形成されている。これらのアーム45は、前記計測点リング42の下端部が前記鉄筋53の根元に位置している状態で前記支圧板37の上にわずかな隙間63をもって配置される。そして、
図3(a)に示すように、左右のアーム45の端部のつまみを結合ばね44に抗して引っ張り、左右のアーム45の係止凹部47を突起部46に引っ掛けることで、計測点リング42が開いたままとなり、鉄筋53に嵌着しているのを外す。前記変位計49は、取り付け金具50によりシリンダ本体20に固着されている。
56は、運搬用の取手である。
このようにして構成された本発明のアンカー用引張試験機は、高さが約260mmであり、コンクリート52から突出した鉄筋53を鋼棒などを連結することなくチャッキングできる高さとなっている。重量も10kg以下にして持ち運びを容易にしている。
【0043】
次に、コンクリート52の穿孔55に接着剤54注入して固着されたあと施工鉄筋53の引張試験方法を説明する。
(1)本発明によるアンカー用引張試験機の下端部に設けられた左右のアーム45を結合ばね44に抗して両側に引くことにより計測点リング42を開いて、アーム45の係止凹部47を突起部46に引っ掛ける。この状態で、試験しようとする鉄筋53の先端から支圧板37の逃げ孔41と、開いた計測点リング42に通す。すると、鉄筋53の先端部は、雄型球座35の中空部39から芯出し筒38に案内されて支持筒22の内部を通り、円錐形ウエッジ27の圧着面28を経てカバー30の逃げ孔30aから突出する。この時、円錐形ウエッジ27は、3つのすり割りが開いており、鉄筋53は圧着面28に圧着されない。
(2)鉄筋53が支圧板37の逃げ孔41を貫通した状態で支圧板37をコンクリート52の上に置き、2つのアーム45の係止凹部47と突起部46の係合を外すと、結合ばね44によって計測点リング42のすり割り43が狭められ、鉄筋53に密着する。このとき、計測点リング42の下端部は、コンクリート52から突出した鉄筋53の根元のコンクリート52に接するか、またはわずかな隙間(0.5~1.0mm程度)をもって臨ませられる。アーム45は、支圧板37の上に隙間63をもって配置され、このアーム45の上に接触針48を接触させることで正確な計測ができる。
【0044】
(3)この状態で、押し込み側オイル口33からジャッキ19に油圧をかけると、ラム24とともにチャックケース26が上昇し、円錐形ウエッジ27の圧着面28で鉄筋53を密着し固着する。さらに押し込み側オイル口33からジャッキ19に油圧をかけて圧力計62で荷重を測定しつつ、鉄筋53がコンクリート52から引き抜かれる方向に荷重をかけると、鉄筋53が弾性変形する。このときの鉄筋53の抜け量を変位計49で測定する。この時、鉄筋53とコンクリート52の接している根元が計測点リング42の測定点となっているので、変位計49による鉄筋53が穿孔55に埋め込まれている部分の抜け量となり、計測点リング42より上方の鉄筋53の伸び量は変位計49の抜け量に影響を与えることはない。変位計49は、180度離れて2個設けられているので、2個の変位計49の測定値が一致すれば、鉄筋53を垂直に引いていることがわかる。もし、一致しなければ平均値をとればよい。変位計49で検出された測定値は、リード線51でデータ表示装置等に送られる。
【0045】
(4)鉄筋53が穿孔55から引き抜かれるまで荷重をかけて圧力計62で測定すれば、接着剤54によるアンカーとしての鉄筋53の付着力を測定することができる。
(5)鉄筋53がコンクリート52に垂直以外の角度で埋め込まれているときは、雄型球座35と支圧板37をコンクリート52面に接した状態で、雌型球座34を雄型球座35との摺動面36で摺動させ、ジャッキ19を鉄筋53の方向に一致させて測定する。
(6)測定が終了したら、押し込み側オイル口33の圧を除き、戻し側オイル口32から加圧しラム24を戻すことにより、円錐形ウエッジ27による鉄筋53のチャックを外し、かつ、左右のアーム45を引いて係止凹部47を突起部46に引っ掛けてジャッキ19を鉄筋53から外す。
【実施例2】
【0046】
図4及び
図5は、コンクリート52の破壊強度を測定する実施例2を示すものである。
この実施例2では、
図1における雌型球座34から下の部分をシリンダ本体20の底部21から切り離して、
図4に示すように、ラムチェア58をねじ込み連結したものである。
このラムチェア58は、円錐筒型をなし、上端部がジャッキ19を構成するシリンダ本体20の底部21にねじ込み固着される。このように、ジャッキ19は、実施例1と実施例2で共有として使用されるものである。
【0047】
前記ラムチェア58の中央から下方部にかけて空隙部59となり、下端部は、雄型球座35aとなっている。この雄型球座35aは、コンクリート52の上に置かれる雌型球座34aに載せられ、摺動面36aの摺動でラムチェア58を傾けて使用可能である。この雌型球座34aには、内側に破壊試験孔60を有し、例えば、この破壊試験孔60の半径と等しい長さだけ鉄筋53をコンクリート52に埋設してコンクリート破壊試験が行われる。
この実施例2では、
図1における前記雄型球座35に代えてラムチェア58を用いているので、全体の高さが約500mmとなるが、重さは、実施例1とほぼ同じある。
【0048】
前記鉄筋53のコンクリート52から突出した部分に、
図1と同様の計測点リング42を嵌め込み、結合ばね44で密接させる。この計測点リング42の左右に取り付けられたアーム45aは、
図3(b)の2点鎖線で示すように、雌型球座34aと雄型球座35aを跨ぐように、クランク状に折り曲げて、前記ラムチェア58の外側まで突出させ、変位計49の接触針48を当接させる。
前記破壊試験孔60は、鉄筋53の太さに応じてコンクリート破壊試験の際の破壊試験孔60の半径を異ならせる必要があるときには、破壊試験孔60の内側にスペーサー61を嵌め込み、直径を調整することができる。
なお、雌型球座34aのコンクリート52との接触面積は、余分なコンクリート52が破壊しないように所定の幅を持たせることが望ましい。
【0049】
このような構成において、鉄筋53がD13(直径13mm)の場合、埋め込み深さD3を5×13=65mm(コーン状破壊線破壊線60aが45度と想定すると、破壊直径2D3=130mm)と設定し、破壊試験孔60の内側にスペーサー61を嵌め込む。
そして、押し込み側オイル口33から圧油を送り、鉄筋53を引き抜き方向に荷重をかけてコンクリート52がコーン状に破壊したときの荷重を圧力計62で測定する。
また、鉄筋53がD16(直径16mm)の場合、埋め込み深さD2を5×16=80mm(コーン状破壊線破壊線61aが45度と想定すると、破壊直径2D2=160mm)と設定し、破壊試験孔60の内側のスペーサー61を取り外す。
そして、押し込み側オイル口33から圧油を送り、鉄筋53を引き抜き方向に荷重をかけてコンクリート52がコーン状に破壊したときの荷重を圧力計62で測定する。
圧力計62のデータは、変換器を介してデータ表示装置等に送られる。
【0050】
前記実施例では、あと施工アンカーとして接着剤54でコンクリート52に埋め込んだ鉄筋53を例示したが、コンクリート面からの突出量が短い機械的に圧入したアンカーを含むものとし、また、突出量の短いアンカーをジャッキ19で引っ張るのに長さが足りないときは、カップリングで金属の棒材を連結して行うものであってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…アンカー、2…カップリング、3…センターシャフト、4…引張部材、5…シャフト用ナット、6…基台、7…支柱、8…負荷ナット、9…回転防止キー、10…フランジ部、11…スラスト用ベアリング、12…負荷伝達リング、13…ロードセル、14…カバー、15…アーム、16…変位計、17…コンクリート、18…連結ねじ、19…ジャッキ、20…シリンダ本体、21…底部、22…支持筒、23…空隙部、24…ラム、25…シリンダーカラー、26…チャックケース、27…円錐形ウエッジ、28…圧着面、29…円錐孔面、30…カバー、30a…逃げ孔、31…Oリング、32…戻し側オイル口、33…押し込み側オイル口、34…雌型球座、34a…雌型球座、35…雄型球座、35a…雄型球座、36…摺動面、37…支圧板、38…芯出し筒、39…中空部、40…連通孔、41…逃げ孔、42…計測点リング、43…すり割り、44…結合ばね、45…アーム、46…突起部、47…係止凹部、48…接触針、49…変位計、50…取り付け金具、51…リード線、52…コンクリート、53…アンカーとしての鉄筋、54…接着剤、55…穿孔、56…取手、57…球座保持ばね、58…ラムチェア、59…空隙部、60…破壊試験孔、60a…破壊線、61…スペーサー、62…圧力計、63…隙間。