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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】光リール
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/46 20060101AFI20220302BHJP
【FI】
G02B6/46
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020127216
(22)【出願日】2020-07-28
(65)【公開番号】P2022024556
(43)【公開日】2022-02-09
【審査請求日】2020-07-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 東日本電信電話株式会社及び株式会社ツール・ディポは、公開日2020年1月15日、16日 第13回現場力向上フォーラム、NTT中央研修センタ構内にて、小野なつみ、吉井真理、赤沼美紗子、小椋弘樹、および石関明宏が発明した光リールを公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】399040405
【氏名又は名称】東日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504415223
【氏名又は名称】株式会社ツール・ディポ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】小野 なつみ
(72)【発明者】
【氏名】吉井 真理
(72)【発明者】
【氏名】赤沼 美紗子
(72)【発明者】
【氏名】小椋 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】石関 明宏
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-091864(JP,A)
【文献】特開2006-160465(JP,A)
【文献】実開昭56-132269(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0106524(KR,A)
【文献】ツール・ディポ 電気・通信設備機械器具 カタログ,[online],日本,株式会社ツール・ディポ,2013年07月,2013 VOL.3,4ページ,[令和3年8月4日検索],インターネット,<URL:http://www.tooldepot.co.jp/wp-content/uploads/2018/11/total.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/46
B65H 75/34 - 75/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、
前記枠体に回転可能に支持された、光ケーブルを巻くためのリールと、
前記リールの下方に配置され、前記枠体に支点を固定して前記支点を中心に回転可能に配置されたブレーキフレームと、
前記ブレーキフレームの一方の端に配置され、前記ブレーキフレームの重みによって前記リールの外周部を抑えて前記リールの回転を抑制する抑制部材と、
前記ブレーキフレームの他方の端に配置されて前記光ケーブルを通し、前記光ケーブルを取り出す際に前記光ケーブルによって持ち上げられて前記抑制部材を前記リールの外周部から離間させる取出し口と、
前記取出し口を持ち上げた際に前記ブレーキフレームが前記リールに干渉しないように前記ブレーキフレームの可動範囲を制限するリミッターを備える
ことを特徴とする光リール。
【請求項2】
前記リールの回転軸は、電動ドリルまたは回転ハンドルを取り付けるための取付口を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の光リール。
【請求項3】
前記取出し口の取り付け角度は可変である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の光リール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光リールに関する。
【背景技術】
【0002】
光通信方式の普及に伴い、光通信設備の修理が増加している。光ケーブルが断線した場合、光ケーブルを張り替えることもある。光ケーブルを張り替える場合、断線した光ケーブルを取り除き、新しい光ケーブルを接続する。
【0003】
非特許文献1には、700mの束巻き光ドロップケーブルを取り付け、束巻き光ドロップケーブルを回転させて光ケーブルを繰り出せる光ケーブルリールが開示されている。非特許文献1の光ケーブルリールは、光ケーブルの販売単位の一形態である700mの束巻き光ドロップケーブルをそのまま取り付けられるので非常に便利である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】“光ケーブルリール製品”、[online]、株式会社ツール・ディポ、[2020年6月15日検索]、インターネット〈 URL:http://www.tooldepot.co.jp/item01〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1の光ケーブルリールは大量の光ケーブルが巻かれた状態で重いという問題があった。束巻き光ドロップケーブルをそのまま取り付けられるので便利であるが、大量の光ケーブルを使わない現場にも重い状態の光ケーブルリールを運搬しなければならなかった。
【0006】
さらに、非特許文献1の光ケーブルリールは大きく、光ケーブルリールの上部のみに持ち手がある。修理現場へは持ち出し物品が多いため、片手で光ケーブルリールを持ち、他方の手でその他の物品を保持する必要がある。重い光ケーブルリールを片手で運搬したり、車両に積載したりするときに不安定となっていた。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、軽量な光リールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の光リールは、枠体と、前記枠体に回転可能に支持された、光ケーブルを巻くためのリールと、前記リールの下方に配置され、前記枠体に支点を固定して前記支点を中心に回転可能に配置されたブレーキフレームと、前記ブレーキフレームの一方の端に配置され、前記ブレーキフレームの重みによって前記リールの外周部を抑えて前記リールの回転を抑制する抑制部材と、前記ブレーキフレームの他方の端に配置されて前記光ケーブルを通し、前記光ケーブルを取り出す際に前記光ケーブルによって持ち上げられて前記抑制部材を前記リールの外周部から離間させる取出し口と、前記取出し口を持ち上げた際に前記ブレーキフレームが前記リールに干渉しないように前記ブレーキフレームの可動範囲を制限するリミッターを備えることを特徴とする。
【0009】
上記光リールにおいて、前記リールの回転軸は、電動ドリルまたは回転ハンドルを取り付けるための取付口を備えることを特徴とする。
【0011】
上記光リールにおいて、前記取出し口の取り付け角度は可変であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、軽量な光リールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態の光リールの側面図である。
図2】本実施形態の光リールの上面図である。
図3】光リールに光ケーブルを巻き取る様子を示す図である。
図4】本実施形態の変形例の光リールの側面図である。
図5】本実施形態の変形例の光リールの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0015】
図1は、本実施形態の光リール1の側面図であり、図2は本実施形態の光リール1の上面図である。図1(a)は、光リール1のリール20の回転が抑止されていない状態であり、図1(b)は、光リール1のリール20の回転がブレーキ機構30によって抑止された状態である。
【0016】
本実施形態の光リール1は、本体フレーム11、光ケーブル100を巻くためのリール20、リール20の回転を抑止するためのブレーキ機構30、およびストラップ40を備える。
【0017】
リール20は、2つの外周部21と、中空で筒状の巻取り部22で構成される。
【0018】
巻取り部22は、両端面の円の中心を結ぶ軸23を中心として回転可能に本体フレーム11に保持される。巻取り部22の外周面に光ケーブル100を巻取る。巻取り部22の外周面の曲率は、光ケーブル100が折れない程度の大きさにする。巻取り部22の側面に開口を設けたり、巻取り部22の外周面をすのこ状に間隔を設けたりして、巻取り部22の部材を削減して軽量化を図ってもよい。
【0019】
外周部21のそれぞれは、巻取り部22の端面のそれぞれに、放射状に伸びる部材で固定された円形の部材である。外周部21は、巻取り部22の軸23を中心として、巻取り部22とともに回転する。巻取り部22が回転すると外周部21も回転し、外周部21の回転が停止すると巻取り部22の回転も停止する。リール20は、外周部21の近くまで光ケーブル100を巻き取ることができる。
【0020】
リール20の軸23は、例えば六角穴を備えて、リール20を回転させるためのハンドルや電動ドリルを取り付けられる構造とする。電動ドリルによる光ケーブル100の巻き取りについては後述する。
【0021】
本体フレーム11は、外周部21よりも一回り大きく、リール20の両側面においてリール20を回転可能に保持する一対の部材で構成される。本実施形態では、上部が半円形、下部が底面に直線部分を有する四角形となるように金属パイプを加工して本体フレーム11の一対の部材を構成した。上部の半円形の直径に相当する位置に、リール20の軸を回転可能に保持する支持部材12を取り付けた。本体フレーム11の両側面の各部材は、底面の2箇所で連結部材13により連結される。連結部材13に、後述のブレーキ機構30が配置される。
【0022】
本体フレーム11の上部には、ストラップ40の取付口14を備える。本実施形態の光リール1はストラップ40を取り付け可能とすることにより、光リール1を肩に掛けて運搬できる。
【0023】
ブレーキ機構30は、リール20の下方に配置され、支点37を連結部材13に固定し、支点37を中心に回転可能に配置される。ブレーキ機構30の一方の端にゴム34が配置され、他方の端に光ケーブル100の取出し口35が配置される。支点37は、両端の間に存在するので、一方の端が上昇すれば他方の端が下降し、一方の端が下降すれば他方の端が上昇する。つまり、取出し口35が下がればゴム34が上がり、取出し口35が上がればゴム34が下がる。支点37は、ブレーキ機構30のゴム34寄りに存在するので、ブレーキ機構30に力を加えていない状態では、図1(b)に示すように、ブレーキ機構30の重みにより取出し口35が下がり、ゴム34が上がる。その結果、ゴム34とリール20の外周部21が接触し、ゴム34の摩擦力によってリール20の回転が抑制される。なお、ゴム34に限らず、外周部21と接触することでリール20の回転を抑制する部材であればよい。
【0024】
取出し口35は、ローラー35Aと軸35Bを備える。光ケーブル100をローラー35Aと軸35Bの間に通す。リール20に巻き取られた光ケーブル100を繰り出すときは、取出し口35を上に持ち上げるように光ケーブル100を少し上に引っ張る。これにより、図1(a)に示すようにゴム34が外周部21から離れ、光ケーブル100の繰り出しに伴ってリール20が回転するようになる。つまり、取出し口35を上げることでブレーキが解除される。
【0025】
図2に示すように、ブレーキ機構30は、ゴム34を取り付けたコの字型のフレーム31、シャフト32、取出し口35を取り付けたフレーム33を備える。シャフト32は、本体フレーム11間に、支点37で回転可能に取り付けられる。フレーム31は、シャフト32の両端部分に外周部21間の幅で取り付けられる。フレーム33は、シャフト32の内側部分に取り付けられる。シャフト32の回転に合わせてフレーム31,33が一体となって移動する。ブレーキ機構30のフレーム33は、図1,2に示すように、2本の金属板をリール20の外周部21の形状に沿って折り曲げた形状であり、ブレーキ機構30をリール20の下方に配置してもブレーキ機構30のフレーム33はリール20の回転に干渉しない。
【0026】
さらに、連結部材13にコの字型のストッパ36を取り付けて、フレーム33の上昇範囲を制限してもよい。これにより、取出し口35を持ち上げすぎて、フレーム33がリール20に巻き取られた光ケーブル100に干渉することを防ぐことができる。なお、フレーム33の上昇範囲を制限するストッパ36は上記のものに限らない。例えば、フレーム33と連結部材13とを鎖、針金、またはバネなどで連結してもよいし、シャフト32の回転範囲を制限するものでもよい。
【0027】
ブレーキ機構30のブレーキ性能を確保するためには、ゴム34が外周部21を押さえる力を大きくする必要がある。本実施形態では、フレーム33と取出し口35の重量を大きくすることで、ブレーキ性能を確保した。ブレーキ機構30のフレーム33を本体フレーム11の間のリール20の真下を通すことで、光リール1を地面に置いたときの安定性を増すことができる。
【0028】
光リール1の重さは約3kgである。光リール1の横幅は約150mmであり、光ケーブル100を最大300mまで巻取り可能である。光ケーブル100を最大まで巻取ったときの重量は、従来品の約半分程度になる。
【0029】
次に、図3を参照し、本実施形態の光リール1に光ケーブル100を巻き取らせる方法について説明する。
【0030】
故障対応のために現場へ向かう際、束巻き光ドロップケーブルから必要な長さの光ケーブル100を光リール1へ巻き取らせて、光リール1を現場に持っていく。
【0031】
図3に示すように、光ケーブル100の先端を取出し口35から差し込んで光ケーブル100をリール20に巻き付け、電動ドリル200をリール20の軸23に取り付けて、電動ドリル200を回転させる。図3では、リール20を反時計回りに回転させるとリール20に光ケーブル100が巻き取られる。回転ハンドルを軸23に取り付けて、手動で回転ハンドルを回転させてもよい。
【0032】
光ケーブル100を光リール1に巻き取らせる際、束巻き光ドロップケーブルを従来の光ケーブルリールに取り付けると、本実施形態の光リール1の光ケーブル100の巻取りに応じて従来の光ケーブルリールから光ケーブル100が繰り出されて便利である。
【0033】
次に、図4,5を参照し、本実施形態の光リール1の変形例について説明する。図1,2で示した光リール1とは、主に、取出し口35の角度を調節できる点、およびストッパ36の位置と形状が異なる。以下、図1,2の光リール1と異なる点について説明する。
【0034】
フレーム33として、湾曲させた1本の金属パイプを用い、フレーム33の一端をシャフト32の中心付近に接続した。図1,2の光リール1と同様に、シャフト32の回転に合わせてフレーム31,33が一体となって移動する。フレーム33の他端に取出し口35を取り付けた。
【0035】
取出し口35は、ストッパーハンドル35Cによって、取出し口35の取り付け角度を任意の角度で固定できる。ストッパーハンドル35Cを緩めると取出し口35の取り付け角度が可動になり、取出し口35は光ケーブル100の繰り出し角度または引き込み角度に自動に対応できる。これにより、光ケーブル100をより自由な角度で繰り出したり引き込んだりできる。なお、図4,5の光リール1では、取出し口35は図5の左右方向を軸として自由に回転できる。取出し口35は、さらに、フレーム33を軸として回転できるようにしてもよい。
【0036】
ストッパ36は、本体フレーム11の両側面の各部材のリール側(以下、本体フレーム11の内側と称する)のフレーム31が干渉する位置に取り付けられる部材であり、フレーム31の可動範囲を制限する。ストッパ36は、例えば、本体フレーム11の内側に設けた突起でもよいし、本体フレーム11の内側を連結する軸でもよい。もしくは、ストッパ36は、本体フレーム11の内側に着脱可能な突起物(例えばピン)であってもよい。ストッパ36の着脱位置は可変であってもよい。
【0037】
巻取り部22を、軸23を中心として配置され、リール20の両側面の部材を連結する6つの板(図4では支持部材12に2つの板が隠れている)で構成した。巻取り部22を構成する板の数は6枚に限らない。
【0038】
図4,5では、リール20の軸23に手回しハンドル300を取り付けている。手回しハンドル300は着脱可能である。手回しハンドル300を回すことで、光リール1に光ケーブル100を巻き取らせることができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態の光リール1は、本体フレーム11と、本体フレーム11に回転可能に支持された、光ケーブル100を巻くためのリール20と、リール20の下方で本体フレーム11に支点37を固定して支点37を中心に回転可能に配置されたブレーキ機構30と、ブレーキ機構30の一方の端に配置され、ブレーキ機構30の重みによってリール20の外周部21を抑えてリール20の回転を抑制するゴム34と、ブレーキ機構30の他方の端に配置されて光ケーブル100を通し、光ケーブル100を取り出す際に光ケーブル100によって持ち上げられてゴム34をリール20の外周部21から離間させる取出し口35を備える。これにより、軽量な光リールを提供できる。
【符号の説明】
【0040】
1…光リール
11…本体フレーム
12…支持部材
13…連結部材
14…取付口
20…リール
21…外周部
22…巻取り部
23…軸
30…ブレーキ機構
31,33…フレーム
32…シャフト
34…ゴム
35…取出し口
35A…ローラー
35B…軸
35C…ストッパーハンドル
36…ストッパ
37…支点
40…ストラップ
100…光ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5