(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】綿、機能性材、綿の機能性材としての使用、綿を含む製品、機能を示す方法、及び綿の製造方法
(51)【国際特許分類】
D04H 1/425 20120101AFI20220302BHJP
D04H 1/4382 20120101ALI20220302BHJP
【FI】
D04H1/425
D04H1/4382
(21)【出願番号】P 2021131857
(22)【出願日】2021-08-13
【審査請求日】2021-09-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519381469
【氏名又は名称】青島紗支紡織科技有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】521358556
【氏名又は名称】青島新嘉程家紡有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中華人民共和国山東省青島市市南区銀都花園8号ビル1202室
【審査官】南 宏樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-232769(JP,A)
【文献】特開平04-161289(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103835054(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0283676(US,A1)
【文献】特開昭50-135329(JP,A)
【文献】特開平03-069648(JP,A)
【文献】中国特許第111155216(CN,B)
【文献】特開2007-077718(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1280354(KR,B1)
【文献】特開2020-90732(JP,A)
【文献】国際公開第2020/111940(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H 1/00-18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を噴霧しながらカポック繊維と合成繊維を混合する工程を含み、
前記カポック繊維と前記合成繊維の総量に占める前記カポック繊維の割合が40~60質量%、前記カポック繊維と前記合成繊維の総量に占める前記合成繊維の割合が60~40質量%である、綿の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、綿、機能性材、綿の機能性材としての使用、綿を含む製品、機能を示す方法、及び綿の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カポックは東南アジアを中心に生育しているアオイ科の落葉高木であり、農薬と化学肥料を使用しなくてもカポックを栽培できる。カポック繊維は樹木の伐採を伴わずに実から採取される、環境負荷の小さい素材として知られる。カポック繊維(繊維長3~20mm程度)の中空率は極めて大きく(約80%)、エアパック効果でその熱伝導率が小さいため、その断熱効果は高い。さらにカポック繊維は圧倒的に軽く(カポック繊維の密度は綿の密度の1/8)、天然の絹のような光沢、ヌメリ、柔らかさ、及び撥水性を備えている。加えてその弾性が大きく、毛玉に固まりにくく、洗濯後も復元力がある。カポック繊維は、これらの特徴を生かした天然素材として利用されてきた。
【0003】
カポック繊維と、綿、ポリエステル等の繊維素材とを混紡した織物は、柔らかで軽くしっとりとした風合を持つ着心地のよい快適素材とされ「自然に優しく心地よい天然素材」として商品化が行われている。
特許文献1には、カポック繊維、カポック繊維以外のセルロース繊維、及びポリエステル繊維等の疎水性繊維が混合されている綿が記載されている。特許文献2には、イオン交換繊維とカポック繊維等の天然繊維を含む混綿が記載されている。特許文献3には、ハロゲン含有難燃繊維とカポック繊維等の天然繊維を含む難燃繊維製品が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6873093号公報
【文献】特開2014-69142号公報
【文献】国際公開第2014/046087号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カポック繊維が抗菌性を示すことは知られていたが、特定の細菌毎の抗菌性は調査されていなかった。本発明の発明者は、カポック繊維と合成繊維が特定範囲で混合されている綿が抗黄色ブドウ球菌性、抗肺炎桿菌性、抗モラクセラ菌性、及び抗ダニ性の少なくとも1つを示すことを見出した。本発明が解決しようとする課題は、抗黄色ブドウ球菌性、抗肺炎桿菌性、抗モラクセラ菌性、及び抗ダニ性の少なくとも1つを示す、カポック繊維と合成繊維が混合されている綿、及び当該綿を含む機能性材を提供することである。また、本発明が解決しようとする別の課題は、前記綿の前記機能性材としての使用、前記機能を示す前記綿を含む製品、前記綿を使用して前記機能を示す方法を提供することである。
【0006】
カポック繊維は短繊維であり、他の繊維と混合する際に舞い上がりやすいため、カポック繊維と他の繊維の混合比率の制御が困難であった。しかもカポック繊維は発火しやすい。本発明の発明者は、水を噴霧しながらカポック繊維と合成繊維の混綿時に当該合成繊維と別の合成繊維を混合すると、カポック繊維の舞い上がり及び発火を防止でき、他の繊維の混合比率を容易に制御できることを見出した。本発明が解決しようとする更に別の課題は、カポック繊維の舞い上がり及び発火を防止でき、合成繊維の混合比率を容易に制御できる前記綿の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はこれらの知見に基づき完成されるに至ったものである。
本発明は、水を噴霧しながらカポック繊維と合成繊維を混合する工程を含み、前記カポック繊維と前記合成繊維の総量に占める前記カポック繊維の割合が40~60質量%、前記カポック繊維と前記合成繊維の総量に占める前記合成繊維の割合が60~40質量%である、綿の製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、抗黄色ブドウ球菌性、抗肺炎桿菌性、抗モラクセラ菌性、及び抗ダニ性の少なくとも1つの機能を示す綿と、前記綿を含む機能性材を提供する。また、本発明は、前記綿の前記機能性材としての使用、前記機能を示す前記綿を含む製品、及び前記綿を使用して前記機能を示す方法を提供する。さらに、本発明は、カポック繊維と合成繊維の混綿時のカポック繊維の舞い上がり及び発火を防止できる綿の製造方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明について更に詳細に説明する。
[綿]
本発明の綿は、カポック繊維と合成繊維が混合されており、前記カポック繊維と前記合成繊維の総量に占める前記カポック繊維の割合が40~60質量%、前記カポック繊維と前記合成繊維の総量に占める前記合成繊維の割合が60~40質量%である。前記カポック繊維と前記合成繊維の総量に占める前記カポック繊維の割合が40質量%未満であると、綿の抗黄色ブドウ球菌性、抗肺炎桿菌性、抗モラクセラ菌性、及び抗ダニ性の少なくとも1つの機能が低下する。また、前記カポック繊維と前記合成繊維の総量に占める前記カポック繊維の割合が60質量%より大きいと、綿の強度が低下し、結果的に綿の形態が洗濯後に維持されず、綿を含む製品の洗濯耐久性が低下して、当該製品の洗濯後のへたりと綿の偏りが抑制されなくなる。
【0010】
<カポック繊維>
前記カポック繊維は通常使用される天然繊維である。前記カポック繊維の好ましい繊維長は7~28mmであり、その好ましい繊維繊度は0.15~30dtexである。
【0011】
<合成繊維>
前記合成繊維として、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリアミド繊維、ポリ乳酸繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリクラール繊維、ポリエチレン繊維、ポリウレタン繊維、ポリオキシメチレン繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、アラミド繊維、ベンゾエート繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリベンズアゾール繊維、ポリイミド繊維、ポリアミドイミド繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、メラミン繊維、アクリレート繊維、ポリベンズオキサイド繊維等が挙げられる。前記合成繊維は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。前記合成繊維の好ましい繊維長は30~60mmであり、その好ましい繊維繊度は1~10dtexである。
【0012】
前記合成繊維は、好ましくは融点が異なる少なくとも2種の合成繊維を含む。前記少なくとも2種の合成繊維とは、融点が異なる少なくとも2種の樹脂により構成される部分が含まれる形態を意味する。当該形態として、例えば以下の形態が挙げられる。
(a)芯鞘構造を有し、鞘を構成する樹脂の融点が、芯を構成する樹脂の融点より低い繊維、
(b)融点が異なる少なくとも2種の樹脂により構成される繊維同士の混合物。
より好ましい前記形態は(a)である。
【0013】
前記合成繊維を構成する樹脂の最も低い融点は、好ましくは100℃未満である。また、前記合成繊維を構成する樹脂の最も高い融点は、好ましくは100℃以上である。前記合成繊維を構成する樹脂の最も高い融点と最も低い融点の差は、好ましくは10℃以上であり、より好ましくは20℃以上であり、更に好ましくは30℃以上である。
【0014】
ところで、カポック繊維と合成繊維が混合されている綿であって、前記カポック繊維と前記合成繊維の総量に占める前記カポック繊維の割合が40~60質量%、前記カポック繊維と前記合成繊維の総量に占める前記合成繊維の割合が60~40質量%であり、前記合成繊維が、融点が異なる少なくとも2種の合成繊維を含み、融点の低い合成繊維の少なくとも一部が溶融し、前記カポック繊維と融点の高い合成繊維とに融着している綿も有用である。
【0015】
[綿の機能性]
さらに本発明の綿は抗黄色ブドウ球菌性、抗肺炎桿菌性、抗モラクセラ菌性、及び抗ダニ性の少なくとも1つの機能を示す。ここで、抗黄色ブドウ球菌性、抗肺炎桿菌性、及び抗モラクセラ菌性はJIS L 1902による活性値が3.0以上を示すことであり、抗ダニ性はJIS L 1920ガラスA管法による忌避率が55%以上を示すことである。
なお、モラクセラ菌は、いわゆる生乾き臭の原因とされる菌であり、洗濯物に付着すると水分、皮脂等を栄養源として増殖する。
【0016】
本発明の綿は、好ましくは2~8℃の吸湿発熱値、3~10%の吸放湿性、70~90%の保温性を示す。本発明の綿の好ましい目付は60~250g/m2である。
【0017】
[綿を含む製品]
本発明の綿を含む製品として、敷布団、掛布団、枕等の寝具、クッション、ぬいぐるみ、防寒着等が挙げられる。
【0018】
[綿の製造方法]
葉、小枝、種子等の夾雑物が、カポックの実から採取されたカポック繊維に多量に混入している。本発明の綿の製造方法は、好ましくは夾雑物を含むカポック繊維を攪拌手段により攪拌して夾雑物を除去し、送風機でより短いカポック繊維を吹き飛ばして、より短いカポック繊維とより長いカポック繊維に選別し、夾雑物とより短いカポック繊維をほとんど含まないカポック繊維を得る夾雑物除去工程を含む。前記攪拌手段としては、金属芯棒に螺旋状の金属羽根が一体化しているスクリュー状の攪拌手段が挙げられる。好ましくは、前記より短いカポック繊維の繊維長は7mm未満であり、前記より長いカポック繊維の繊維長は7mm以上である。
【0019】
本発明の綿の製造方法は、水を噴霧しながらカポック繊維と合成繊維を混合する工程を含む。水の噴霧により、カポック繊維の舞い上がりと発火が防止され、更にカポック繊維と合成繊維の混合比率がより正確に制御される。当該工程は、好ましくは窒素、二酸化炭素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等の不活性ガス密閉系中で行われる。
【0020】
本発明の綿の製造方法は、好ましくはカポック繊維と合成繊維が均一に混合された混合物がカード機によりシート状の綿に加工されるカーディング工程を含む。さらに、本発明の綿の製造方法は、前記シート状の綿が、好ましくは100℃未満で加熱される乾燥工程を含む。前記合成繊維が、融点が異なる少なくとも2種の合成繊維を含む場合、当該乾燥工程において、合成繊維の加熱温度より低い融点を有する樹脂により構成される部分が溶融し、カポック繊維と、合成繊維の加熱温度より高い融点を有する樹脂により構成される部分が接着され、綿の洗濯耐久性が向上し、カポック繊維の抜け落ちが防止される。当該乾燥工程において、より好ましくは加熱温度より低い融点を有する接着剤が前記シート状の綿上に置かれる。当該接着剤は溶融し、前記シート状の綿中でカポック繊維と合成繊維を接着する結果、綿の洗濯耐久性がより向上し、カポック繊維の抜け落ちが更に防止される。また、カポック繊維の抜け落ち防止は、カポック繊維と合成繊維の混合比率の正確な制御に寄与する。
【0021】
本発明の綿の製造方法は、好ましくは前記シート状の綿の側面を加熱して当該側面に光沢を付与する光沢仕上げ工程を含む。光沢仕上げ手段として、加熱された金属板、赤外線照射が挙げられる。前記光沢仕上げ工程により、カポック繊維の抜け落ちが防止される。
【0022】
好ましくはカーディング工程、乾燥工程、及び光沢仕上げ工程の少なくとも1つの工程に付されたシート状の綿は、好ましくは積層される。積層されるシート状の綿は同一の工程に付されていても、異なる工程に付されていてもよい。より好ましくは、積層されるシート状の綿は同一の工程に付されている。
【0023】
ところで、水を噴霧しながらカポック繊維と合成繊維を混合する工程を含み、前記カポック繊維と前記合成繊維の総量に占める前記カポック繊維の割合が40~60質量%、前記カポック繊維と前記合成繊維の総量に占める前記合成繊維の割合が60~40質量%であり、前記合成繊維が、融点が異なる少なくとも2種の合成繊維を含み、融点の低い合成繊維の少なくとも一部が溶融し、前記カポック繊維と融点の高い合成繊維とに融着している綿の製造方法も有用である。
【実施例】
【0024】
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0025】
実施例及び比較例において、各種物性は以下のとおりに測定ないし算出された。
<抗黄色ブドウ球菌性、抗肺炎桿菌性、及び抗モラクセラ菌性>
JIS L 1902に基づく上記の各菌に対する抗菌性は以下の活性値として算出された。
綿の試料0.4gをバイヤル瓶に入れ、試験菌液0.2mlを前記試料に接種し、その直後、非イオン界面活性剤(富士フイルム和光純薬株式会社製Polysorbate 80, from Plants)0.2質量%を含む生理食塩水20mlを前記バイヤル瓶に加えて前記試料から菌を洗い出し、洗液中の菌数を、発光測定装置(METTLER TOLEDO社製)を使用してATP量として測定した。また、前記綿の別の試料0.4gを別のバイヤル瓶に入れ、前記試験菌液0.2mlをこの試料に接種し、37±1℃で18±1時間培養した。その後、上記と同様にして、洗液中の菌数を測定した。活性値を下記式(1)により算出した。
活性値=log(菌液接種直後の菌数)-log(培養後の菌数)・・・(1)
【0026】
<抗ダニ性>
JIS L 1920ガラスA管法に基づく抗ダニ性は以下の忌避率として算出された。
ガラス管(内径2cm、長さ10cm)の一端を粘着テープで塞ぎ、誘引用飼料0.01gを当該ガラス管に入れ、当該粘着テープに均一に付着させた。次に、綿の試料0.4gが2cmの厚さになるように詰められ、当該ガラス管の他端から2cmの厚さのダニ用培地を詰め、ガラス管の他端を高密度織物で塞ぎ、25±2℃、75±5%RHの条件で暗所に静置した。48±1時間後、誘引されたダニの数(粘着テープ、誘引用飼料、及び綿の試料中のダニの数)を計数し、下記式(2)により忌避率を算出した。
忌避率=(カポック繊維が混合されていない綿の試料に誘引されたダニの数-カポック繊維が混合された綿の試料に誘引されたダニの数)/カポック繊維が混合されていない綿の試料に誘引されたダニの数×100・・・(2)
【0027】
<繊維の公定水分率>
繊維の公定水分率は、JIS 0105に基づく繊維製品の物理試験法により測定された。
【0028】
<吸湿発熱性>
12cm×12cm×0.38cmのサイズの綿の試料を恒温乾燥機内に105℃で1時間放置した後、20℃、5%RHの環境下に6時間、更に20℃、65%RHの環境下に5分間放置し、綿の試料の表面温度の変化のピーク値を赤外線サーモグラフィー(FLIR Systems Inc.社製)で測定し、高湿度温度環境における温度上昇を算出した。
【0029】
<吸放湿性>
12cm×12cm×0.38cmのサイズの綿の試料を恒温乾燥機内に105℃で2時間放置して絶乾状態にした後、30℃、95%RHの環境下に5時間放置し、更に30℃、30%RHの環境下に5時間放置して試料の質量を経時的に測定し、下記式(3)により吸放湿性を算出した。
吸放湿性=(絶乾状態からの最大吸水量-最大吸水時から放湿された後の最小保水量)/絶乾状態からの最大吸水量×100・・・(3)
【0030】
<保温性>
外気温度21.8℃、発熱体表面温度36℃とし、JIS L 1096 A法(恒温法)に従って測定した。
【0031】
<洗濯耐久性>
30cm×30cm×2cmのサイズの綿の試料(目付100g/cm2)をポリエステル平織生地(繊度 経:56dtex、緯:84dtex、密度 経:48本/cm、緯:35本/cm)で布団状にして四方を本縫いして洗濯用サンプルを調製した。当該洗濯用サンプルを商業用ドライクリーニング機で10分間×3回洗濯し、ポリエステル平織生地を外して綿の試料の形状及び偏りを以下に示す基準に従って目視で評価した。
-綿の試料の形状及び偏りの評価基準-
A:形状及び偏りが確認されなかった。
B:若干の形状及び偏りが確認された。
C:損傷が確認された。
【0032】
[実施例1~4]
YICHANG JINGWEI TEXTILE MACHINERY CO., LTD社製夾雑物除去装置を使用してカポック繊維から夾雑物を除去した。次いで、得られたカポック繊維(繊度0.15~0.30dtex、繊維長9~15mm、公定水分率6%以上)と芯鞘構造を有するポリエステル繊維(SINOPEC YIZHENG CHEMICAL FIBRE CO., LTD社製YZK601、繊度1.5dtex、繊維長51mm、公定水分率0.4%、芯を構成するポリエステルの融点は300℃、鞘を構成するポリエステルの融点は80℃)を、水を噴霧しながら表1に示す割合で混合した。次に、カポック繊維と合成繊維が均一に混合された混合物をカード機(Qingdao Reiter Machinery Manufacturing Co., LTD社製)によりシート状の綿に加工し、4つのシート状の綿を積層し、レジンボンド法で平均目付100g/m2、220cm×600cm×2cmの綿を調製した。
【0033】
[比較例1及び2]
カポック繊維とポリエステル繊維に代えて、ポリエステル繊維(SINOPEC YIZHENG CHEMICAL FIBRE CO., LTD社製YZK610、繊度3.3dtex、繊維長51mm、公定水分率0.4%)又は別のポリエステル繊維(SINOPEC YIZHENG CHEMICAL FIBRE CO., LTD社製FD510、繊度6.6dtex、繊維長51mm、公定水分率0.8%)のみを使用する以外、実施例1~4と同様にして綿を調製した。
【0034】
【0035】
カポック繊維が混合されていない比較例1及び2の綿は抗黄色ブドウ球菌性、抗肺炎桿菌性、抗モラクセラ菌性、及び抗ダニ性を示さなかった。一方、実施例1~4の綿はこれらの機能性を示した。さらに、比較例1及び2の綿の吸湿発熱性、吸放湿性、及び保温性は低かった。
【要約】
【課題】抗黄色ブドウ球菌性、抗肺炎桿菌性、抗モラクセラ菌性、及び抗ダニ性の少なくとも1つを示す、カポック繊維と合成繊維が混合されている綿を提供する。
【解決手段】カポック繊維と合成繊維が混合されている綿が、カポック繊維と合成繊維の総量に占めるカポック繊維の割合が40~60質量%、カポック繊維と合成繊維の総量に占める合成繊維の割合が60~40質量%であり、抗黄色ブドウ球菌性、抗肺炎桿菌性、抗モラクセラ菌性、及び抗ダニ性の少なくとも1つの機能を示す。
【選択図】なし