(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】ベルト移動式のシート体及びロール体加工装置、ローラ本体部移動式のシート体及びロール体加工装置、並びに、シート体及びロール体加工装置セット
(51)【国際特許分類】
B26F 3/02 20060101AFI20220302BHJP
B26D 7/18 20060101ALI20220302BHJP
B31D 1/02 20060101ALI20220302BHJP
G09F 3/00 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
B26F3/02
B26D7/18 A
B26D7/18 C
B31D1/02 A
G09F3/00 E
(21)【出願番号】P 2018009169
(22)【出願日】2018-01-23
【審査請求日】2019-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】591241512
【氏名又は名称】寿精版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】野口 浩章
(72)【発明者】
【氏名】久保 拓也
(72)【発明者】
【氏名】大西 奈保
【審査官】石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0081928(US,A1)
【文献】実開昭49-064780(JP,U)
【文献】特開平04-279372(JP,A)
【文献】特開2004-212422(JP,A)
【文献】特開2018-004712(JP,A)
【文献】特開2008-272921(JP,A)
【文献】特開2011-051022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26F 3/02
B26D 7/18
B31D 1/02
G09F 3/00-3/02
B26D 7/14
B31D 1/02
B41J 11/70
B65H 45/28
B65H 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に且つ同軸に分離並設され、少なくとも第一ローラと第二ローラを含んでなる並設ローラ部と、前記並設ローラ部の流れ方向上流の上方に配置された前上方ローラと、前記並設ローラ部の流れ方向
上流の下方に配置された前下方ローラと、前記並設ローラ部の流れ方向下流の上方に配置された後上方ローラと、前記並設ローラ部の流れ方向下流の下方に配置された後下方ローラとを備え、前記前上方ローラと前記前下方ローラと前記後上方ローラと前記後下方ローラ
は軸方向に分離された第一部分及び第二部分を有するローラ本体部と、
前記第一ローラの下方と前記前上方ローラの第一部分と前記後上方ローラの第一部分とに掛けられ、所定の横幅及び所定の厚さを有する第一上方ベルトと、
前記前下方ローラの第一部分と前記後下方ローラの第一部分とに掛けられ、所定の横幅、所定の厚さを有する第一下方ベルトと、
前記第二ローラの上方と前記前下方ローラの第二部分と前記後下方ローラの第二部分とに掛けられ、所定の横幅及び所定の厚さを有する第二下方ベルトと、
前記前上方ローラの第二部分と前記後上方ローラの第二部分とに掛けられ、所定の横幅及び所定の厚さを有する第二上方ベルトと、を具備するベルト移動式のシート体及びロール体加工装置であって、
前記並設ローラ部では、隣り合うローラが互いに逆方向に回転することが可能となるように、前記第一ローラ及び前記第二ローラが同軸で軸着されており、
帯状のシート体又はロール体の一部分を第一上方ベルト及び第一下方ベルトで挟持して前記並設ローラ部の下方を通過させるとともに、前記シート体又はロール体の一部分と異なる一部分を第二上方ベルト及び第二下方ベルトで挟持しながら前記並設ローラ部の上方を通過させることで、前記シート体又はロール体を前記シート体の流れ方向と平行方向に裂断することを特徴とするベルト移動式のシート体及びロール体加工装置。
【請求項2】
前記前上方ローラ、前記後上方ローラ、前記前下方ローラ、及び/又は、前記後下方ローラを回転させる駆動手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のベルト移動式のシート体及びロール体加工装置。
【請求項3】
軸方向に且つ同軸に分離並設され、少なくとも第一ローラと第二ローラを含んでなる並設ローラ部と、前記並設ローラ部の流れ方向上流の上方に配置された前上方ローラと、前記並設ローラ部の流れ方向上流の下方に配置された前下方ローラと、前記並設ローラ部の流れ方向下流の上方に配置された後上方ローラと、前記並設ローラ部の流れ方向下流の下方に配置された後下方ローラとを備え、前記前上方ローラと前記前下方ローラと前記後上方ローラと前記後下方ローラ
は軸方向に分離された第一部分及び第二部分を有するローラ本体部と、
前記第一ローラの下方と、前記前下方ローラの第一部分の上方及び前記後下方ローラの第一部分の上方との間に配置され、所定の横幅及び所定の厚さを有する第一上方ベルトと、
前記第一上方ベルトの下方となり、前記第一ローラの下方と、前記前下方ローラの第一部分の上方及び前記後下方ローラの第一部分の上方との間に配置され、所定の横幅及び所定の厚さを有する第一下方ベルトと、
前記第二ローラの上方と、前記前上方ローラの第二部分の下方及び前記後上方ローラの第二部分の下方との間に配置され、所定の横幅及び所定の厚さを有する第二上方ベルトと、
前記第二上方ベルトの下方となり、前記第二ローラの上方と、前記前上方ローラの第二部分の下方及び前記後上方ローラの第二部分の下方との間に配置され、所定の横幅及び所定の厚さを有する第二下方ベルトと、を具備するローラ本体部移動式のシート体及びロール体加工装置であって、
前記並設ローラ部では、隣り合うローラが互いに逆方向に回転することが可能となるように、前記第一ローラ及び前記第二ローラが同軸で軸着されており、
帯状のシート体又はロール体の一部分を第一上方ベルト及び第一下方ベルトで挟持して前記並設ローラ部の下方を通過させるとともに、前記シート体又はロール体の一部分と異なる一部分を第二上方ベルト及び第二下方ベルトで挟持しながら前記並設ローラ部の上方を通過させることで、前記シート体又はロール体を前記シート体の流れ方向と平行方向に裂断することを特徴とするローラ本体部移動式のシート体及びロール体加工装置。
【請求項4】
前記並設ローラ部の左端部は、前記前下方ローラの左端部及び前記後下方ローラの左端部と連結されずに、前記前上方ローラの左端部及び前記後上方ローラの左端部と連結されるとともに、
前記並設ローラ部の右端部は、前記前上方ローラの右端部及び前記後上方ローラの右端部と連結されずに、前記前下方ローラの右端部及び前記後下方ローラの右端部と連結されていることを特徴とする請求項3に記載のローラ本体部移動式のシート体及びロール体加工装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のベルト移動式のシート体及びロール体加工装置と、
請求項4に記載のローラ本体部移動式のシート体及びロール体加工装置とを具備し、
前記ベルト移動式のシート体及びロール体加工装置における流れ方向と、前記ローラ本体部移動式のシート体及びロール体加工装置における流れ方向とは、垂直となっていることを特徴とするシート体及びロール体加工装置セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刃物を用いずにローラ及びベルトを用いて、和紙等のシート体等を裂断するベルト移動式のシート体及びロール体加工装置、ローラ本体部移動式のシート体及びロール体加工装置及びシート体及びロール体加工装置セットに関し、特に周縁を毛羽立たせたラベルを作製するベルト移動式のシート体加工装置、ローラ本体部移動式のシート体加工装置及びシート体加工装置セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば日本酒やワイン等のビンには、他の商品と識別できるラベル等が貼り付けられている。このようなラベルは、商品の銘柄等の情報を紙に印刷した印刷物である。近年、例えば和紙等の繊維が長い紙に情報を印刷して、その紙の周縁を手作業でちぎることによって、周縁を毛羽立たせた印刷物がラベルとして用いられるようになってきている。このような周縁を毛羽立たせたラベルが貼り付けられた商品は、刃物等で裁断されることで周縁が直線となっているラベルが貼り付けられた商品と比べて、その商品が例えば限定商品等の付加価値の高い商品であるという印象をより強く消費者に与えることができる。
【0003】
そこで、印刷部の搬送経路の送り方向に並行な周縁を毛羽立たせたることができる連続印刷体ちぎり装置が開示されている(例えば特許文献1参照)。連続印刷体ちぎり装置は、連続印刷体が搬送経路に沿って送られている過程で、境界部に連続的に液体を浸透させる浸透手段と、連続印刷体が搬送経路に沿って送られている過程で、液体が浸透された境界部に沿って印刷部から余白部を連続的にちぎるちぎり手段とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したような連続印刷体ちぎり装置では、連続印刷体の境界部に液体を浸透させる浸透手段を備える必要がある。
しかしながら、連続印刷体に液体を浸透させることは好ましくなく、また、装置に浸透手段を設けることは、装置が複雑になり管理等が非常に手間であった。
【0006】
そこで、本発明は、上述した如き課題に鑑みてなされたものであり、浸透手段等の特別な設備を必要とせず、周縁を毛羽立たせたラベルを作製することができるベルト移動式のシート体及びロール体加工装置、ローラ本体部移動式のシート体及びロール体加工装置及びシート体及びロール体加工装置セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上のような目的を達成するために、本発明に係るベルト移動式のシート体及びロール体加工装置は、軸方向に且つ同軸に分離並設され、少なくとも第一ローラと第二ローラを含んでなる並設ローラ部と、前記並設ローラ部の流れ方向上流の上方に配置された前上方ローラと、前記並設ローラ部の流れ方向上流の下方に配置された前下方ローラと、前記並設ローラ部の流れ方向下流の上方に配置された後上方ローラと、前記並設ローラ部の流れ方向下流の下方に配置された後下方ローラとを備え、前記前上方ローラと前記前下方ローラと前記後上方ローラと前記後下方ローラは軸方向に分離された第一部分及び第二部分を有するローラ本体部と、前記第一ローラの下方と前記前上方ローラの第一部分と前記後上方ローラの第一部分とに掛けられ、所定の横幅及び所定の厚さを有する第一上方ベルトと、前記前下方ローラの第一部分と前記後下方ローラの第一部分とに掛けられ、所定の横幅、所定の厚さを有する第一下方ベルトと、前記第二ローラの上方と前記前下方ローラの第二部分と前記後下方ローラの第二部分とに掛けられ、所定の横幅及び所定の厚さを有する第二下方ベルトと、前記前上方ローラの第二部分と前記後上方ローラの第二部分とに掛けられ、所定の横幅及び所定の厚さを有する第二上方ベルトと、を具備するベルト移動式のシート体及びロール体加工装置であって、前記並設ローラ部では、隣り合うローラが互いに逆方向に回転することが可能となるように、前記第一ローラ及び前記第二ローラが同軸で軸着されており、帯状のシート体又はロール体の一部分を第一上方ベルト及び第一下方ベルトで挟持して前記並設ローラ部の下方を通過させるとともに、前記シート体又はロール体の一部分と異なる一部分を第二上方ベルト及び第二下方ベルトで挟持しながら前記並設ローラ部の上方を通過させることで、前記シート体又はロール体を前記シート体の流れ方向と平行方向に裂断することを特徴とする。
【0008】
ここで、「所定の横幅」とは、シート体やロール体における一部分を挟持するために必要な距離であり、一定の横幅、すなわち平面視で直線形状の端部を有するものであってもよく、周期的に変化する横幅、すなわち平面視で波形状の端部を有するものであってもよい。
また、「所定の厚さ」とは、シート体やロール体を上方に位置するローラと下方に位置するローラとの間で挟持するために必要な距離である。
また、「裂断」とは、裂くことやちぎることをいい、その切り口が刃物等による直線と異なり、毛羽立たせたような切り口となる。
【0009】
このような構成によれば、少なくとも2個に軸方向に分離並設されたローラを有する並設ローラ部と、並設ローラ部の各ローラの所定箇所にそれぞれ掛けられたベルトとを備え、並設ローラ部では隣り合うローラを互いに逆方向に回転させながら、シート体等をベルトとともに移動させることで、シート体等の一部分(第一部分)の搬送経路とシート体等の他の一部分(第二部分)の搬送経路とが異なり、シート体等の第一部分とシート体等の第二部分との間が裂断されるので、周縁を毛羽立たせたラベル等の印刷物を作製することができる。つまり、刃物や、浸透手段等の特別な設備を備える必要がなくなる。
【0010】
また、本発明においては、前記前上方ローラ、前記後上方ローラ、前記前下方ローラ、及び/又は、前記後下方ローラを回転させる駆動手段を備えるようにしてもよい。
このような構成によれば、ローラが駆動手段によって回転するので、周縁を毛羽立たせたラベル等の印刷物を自動的に作製することができる。
【0011】
また、本発明に係るローラ本体部移動式のシート体及びロール体加工装置は、軸方向に且つ同軸に分離並設され、少なくとも第一ローラと第二ローラを含んでなる並設ローラ部と、前記並設ローラ部の流れ方向上流の上方に配置された前上方ローラと、前記並設ローラ部の流れ方向上流の下方に配置された前下方ローラと、前記並設ローラ部の流れ方向下流の上方に配置された後上方ローラと、前記並設ローラ部の流れ方向下流の下方に配置された後下方ローラとを備え、前記前上方ローラと前記前下方ローラと前記後上方ローラと前記後下方ローラは軸方向に分離された第一部分及び第二部分を有するローラ本体部と、前記第一ローラの下方と、前記前下方ローラの第一部分の上方及び前記後下方ローラの第一部分の上方との間に配置され、所定の横幅及び所定の厚さを有する第一上方ベルトと、前記第一上方ベルトの下方となり、前記第一ローラの下方と、前記前下方ローラの第一部分の上方及び前記後下方ローラの第一部分の上方との間に配置され、所定の横幅及び所定の厚さを有する第一下方ベルトと、前記第二ローラの上方と、前記前上方ローラの第二部分の下方及び前記後上方ローラの第二部分の下方との間に配置され、所定の横幅及び所定の厚さを有する第二上方ベルトと、前記第二上方ベルトの下方となり、前記第二ローラの上方と、前記前上方ローラの第二部分の下方及び前記後上方ローラの第二部分の下方との間に配置され、所定の横幅及び所定の厚さを有する第二下方ベルトと、を具備するローラ本体部移動式のシート体及びロール体加工装置であって、前記並設ローラ部では、隣り合うローラが互いに逆方向に回転することが可能となるように、前記第一ローラ及び前記第二ローラが同軸で軸着されており、帯状のシート体又はロール体の一部分を第一上方ベルト及び第一下方ベルトで挟持して前記並設ローラ部の下方を通過させるとともに、前記シート体又はロール体の一部分と異なる一部分を第二上方ベルト及び第二下方ベルトで挟持しながら前記並設ローラ部の上方を通過させることで、前記シート体又はロール体を前記シート体の流れ方向と平行方向に裂断することを特徴とする。
【0012】
ここで、「所定の横幅」とは、シート体やロール体における一部分を挟持するために必要な距離であり、一定の横幅、すなわち平面視で直線形状の端部を有するものであってもよく、周期的に変化する横幅、すなわち平面視で波形状の端部を有するものであってもよい。
また、「所定の厚さ」とは、シート体やロール体を上方に位置するローラと下方に位置するローラとの間で挟持するために必要な距離である。
また、「裂断」とは、裂くことやちぎることをいい、その切り口が刃物等による直線とはならずに、毛羽立たせたような切り口となる。
【0013】
このような構成によれば、少なくとも2個に軸方向に分離並設されたローラを有する並設ローラ部と、並設ローラ部の各ローラの所定箇所にそれぞれ配置されたベルトとを備え、並設ローラ部では隣り合うローラを互いに逆方向に回転させながら、ローラ本体部を移動させることで、シート体等の一部分(第一部分)の搬送経路とシート体等の他の一部分(第二部分)の搬送経路とが異なり、シート体等の第一部分とシート体等の第二部分との間が裂断されるので、周縁を毛羽立たせたラベル等の印刷物を作製することができる。つまり、刃物や、浸透手段等の特別な設備を備える必要がなくなる。
【0014】
また、本発明においては、前記並設ローラ部の左端部は、前記前下方ローラの左端部及び前記後下方ローラの左端部と連結されずに、前記前上方ローラの左端部及び前記後上方ローラの左端部と連結されるとともに、前記並設ローラ部の右端部は、前記前上方ローラの右端部及び前記後上方ローラの右端部と連結されずに、前記前下方ローラの右端部及び前記後下方ローラの右端部と連結されているようにしてもよい。
【0015】
このような構成によれば、シート体等が縦方向に連続的に印刷された連続印刷体であり、シート体等が縦方向に長い場合にも、そのシート体等の縦方向と垂直な横方向に、毛羽立たせた切り口を形成することができる。
【0016】
そして、本発明に係るシート体及びロール体加工装置セットは、上述したようなベルト移動式のシート体及びロール体加工装置と、上述したようなローラ本体部移動式のシート体及びロール体加工装置とを具備し、前記ベルト移動式のシート体及びロール体加工装置における流れ方向と、前記ローラ本体部移動式のシート体及びロール体加工装置における流れ方向とは、垂直となっていることを特徴とする。
【0017】
このような構成によれば、シート体等の四方の周縁を毛羽立たせたラベル等の印刷物を作製することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のようなベルト移動式のシート体及びロール体加工装置、ローラ本体部移動式のシート体及びロール体加工装置、並びに、シート体及びロール体加工装置セットによれば、浸透手段等の特別な設備を必要とせずに、周縁を毛羽立たせたラベル等の印刷物を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2a】本実施形態に係るシート体加工装置セットの構成図である。
【
図2b】本実施形態に係るシート体加工装置セットの構成図である。
【
図3】ベルト移動式のシート体加工装置の斜視図である。
【
図6】ベルト移動式のシート体加工装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
【0021】
<シート体>
図1は、シート体の平面図である。以下では、縦方向にN個、横方向に3個の商品の銘柄等のラベル情報が上面に印刷されたシート体(10)を、後述するシート体加工装置セット(100)を用いて、周縁を毛羽立たせた(N×3)枚のラベル(1)を作製する例について説明する。このようなラベル(1)は、後に、酒類、化粧品、和菓子、日本茶の容器等に貼り付けられて用いられることになる。なお、シート体(10)において、N個のラベル情報が並んだ方向を縦方向(D1)、3個のラベル情報が並んだ方向(縦方向と直交する方向)を横方向(D2)として説明する。
【0022】
シート体(10)は、所定の厚さを有する帯状を呈したものであり、当該「所定の厚さ」は、後述するローラ間で挟持されるために必要な距離となっている。そして、このようなシート体(10)としては、紙、不織布、フェルト等の繊維を織ったり編んだりせずに、繊維を絡みあわせた素材等が挙げられる。特に和紙(日本紙)等の繊維が長い紙は、ちぎられることによって、周縁が毛羽立たせやすく、薄くても丈夫で、かつ、独特の風合いが高級感や美観を与えることができる。シート体(10)の上面には、縦方向(D1)にN個、横方向(D2)に3個のラベル情報が上面に印刷されている。なお、縦方向(D1)において一番上のラベル情報が印刷された領域を第一行領域とし、その下のラベル情報が印刷された領域を第二行領域とする。また、横方向(D2)において一番左のラベル情報が印刷された領域を第一列領域とし、その右のラベル情報が印刷された領域を第二列領域とする。
【0023】
<シート体加工装置セット>
図2は、本実施形態に係るシート体加工装置セットの構成図であり、
図2aは、シート体加工装置セットの平面図であり、
図2bは、シート体加工装置セットの側面図である。シート体加工装置セット(100)は、シート体(10)を縦方向(D1)に裂断するためのベルト移動式のシート体加工装置(30)と、シート体(10)を横方向(D2)に裂断するためのローラ本体部移動式のシート体加工装置(130)とを具備する。なお、シート体加工装置セット(100)において、シート体(10)を搬送する流れ方向(搬送方向)を前後方向(D3)とし、搬送方向と直交する方向を左右方向(D4)として説明する。
【0024】
シート体加工装置セット(100)では、シート体(10)は、縦方向(D1)と前後方向(D3)とが一致するように配置されると、ベルト移動式のシート体加工装置(30)により縦方向(D1)に3個に裂断された後、ローラ本体部移動式のシート体加工装置(130)により横方向(D2)に(N―1)回、裂断されることになる。
【0025】
<ベルト移動式のシート体加工装置>
図3は、ベルト移動式のシート体加工装置の斜視図である。また、
図4は、
図3に示すA―A線の断面図であり、
図5は、
図3に示すB―B線の断面図である。なお、
図3中ではベルトと駆動出段と壁部とを省略している。
ベルト移動式のシート体加工装置(30)は、複数のローラを備えるローラ本体部(21)と、第一上方ベルト(31)と、第一下方ベルト(32)と、第二上方ベルト(33)と、第二下方ベルト(34)と、第三上方ベルト(図示せず)と、第三下方ベルト(図示せず)と、ローラを回転させるための上方ローラ駆動手段(41)と、ローラを回転させるための下方ローラ駆動手段(42)とを具備する。
【0026】
ローラ本体部(21)は、左壁部(22L)と、右壁部(22R)とを備え、左壁部(22L)と右壁部(22R)との間に、並設ローラ部(23)と、前上方ローラ(24)と、前下方ローラ(25)と、後上方ローラ(26)と、後下方ローラ(27)とが配置されている。
【0027】
並設ローラ部(23)は、左右方向(D4)に中心軸を有する円柱形状の軸部(23a)と、円筒形状の第一ローラ(23b)と、円筒形状の第二ローラ(23c)と、円筒形状の第三ローラ(23d)とを有する。
【0028】
軸部(23a)の左端部は、左壁部(22L)の中央部に取り付けれ、軸部(23a)の右端部は、右壁部(22R)の中央部に取り付けられている。そして、第一ローラ(23b)は、軸部(23a)の左側部分(第一部分)に回転可能に取り付けられ(軸着され)、第二ローラ(23c)は、軸部(23a)の中央部分(第二部分)に回転可能に取り付けられ(軸着され)、第三ローラ(23d)は、軸部(23a)の右側部分(第三部分)に回転可能に取り付けられ(軸着され)ている。つまり、並設ローラ部(23)において、ローラは左右方向(D4)に同軸で3個に分離並設されるとともに、独立して回転可能となっている。なお、本実施形態では3個に分離並設されているが、任意の個数に分離並設されていてもよい。
【0029】
前上方ローラ(24)は、左右方向(D4)に中心軸を有する円柱形状のローラである。前上方ローラ(24)は、並設ローラ部(23)の流れ方向上流の上方(前上方)に配置されるように、前上方ローラ(24)の左端部は、左壁部(22L)に回転可能に取り付けれ、前上方ローラ(24)の右端部は、右壁部(22R)に回転可能に取り付けられている。
【0030】
前下方ローラ(25)は、左右方向(D4)に中心軸を有する円柱形状のローラである。前下方ローラ(25)は、並設ローラ部(23)の流れ方向上流の下方(前下方)に配置されるように、前下方ローラ(25)の左端部は、左壁部(22L)に回転可能に取り付けれ、前下方ローラ(25)の右端部は、右壁部(22R)に回転可能に取り付けられている。
【0031】
後上方ローラ(26)は、左右方向(D4)に中心軸を有する円柱形状のローラである。後上方ローラ(26)は、並設ローラ部(23)の流れ方向下流の上方(後上方)に配置されるように、後上方ローラ(26)の左端部は、左壁部(22L)に回転可能に取り付けれ、後上方ローラ(26)の右端部は、右壁部(22R)に回転可能に取り付けられている。
【0032】
後下方ローラ(27)は、左右方向(D4)に中心軸を有する円柱形状のローラである。後下方ローラ(27)は、並設ローラ部(23)の流れ方向下流の下方(後下方)に配置されるように、後下方ローラ(27)の左端部は、左壁部(22L)に回転可能に取り付けれ、後下方ローラ(27)の右端部は、右壁部(22R)に回転可能に取り付けられている。
【0033】
上方ローラ駆動手段(41)は、電動モータ等であり、その電源等が入れられると、
図4及び
図5に示すように、前上方ローラ(24)を反時計周りに回転させるようになっている。
下方ローラ駆動手段(42)は、電動モータ等であり、その電源等が入れられると、
図4及び
図5に示すように、前下方ローラ(25)を時計周りに回転させるようになっている。
【0034】
第一上方ベルト(31)は、シート体(10)の第一列領域(第一部分)の上面に当接させるための所定の横幅、所定の厚さを有する帯状を呈したものであり、例えば合成樹脂や金属(ステンレス等)等からなる。そして、第一上方ベルト(31)は、第一ローラ(23b)の下方と前上方ローラ(24)の左側部分(第一部分)と後上方ローラ(26)の左側部分(第一部分)とに掛けられている。
これにより、前上方ローラ(24)が反時計周りに回転すると、第一上方ベルト(31)により第一ローラ(23b)と後上方ローラ(26)とも反時計周りに回転する。なお、第一ローラ(23b)と前上方ローラ(24)との間と、第一ローラ(23b)と後上方ローラ(26)との間とには、所定の隙間Δlが設けられており、お互いに回転が妨げられることはない。
【0035】
第一下方ベルト(32)は、シート体(10)の第一列領域(第一部分)の下面に当接させるための所定の横幅、所定の厚さを有する帯状を呈したものであり、例えば合成樹脂や金属(ステンレス等)等からなる。そして、第一下方ベルト(32)は、前下方ローラ(25)の左側部分(第一部分)と後下方ローラ(27)の左側部分(第一部分)とに掛けられている。
これにより、前下方ローラ(25)が時計周りに回転すると、第一下方ベルト(32)により後下方ローラ(27)も時計周りに回転する。
【0036】
その結果、シート体(10)の第一列領域(第一部分)が、第一上方ベルト(31)と第一下方ベルト(32)とに挟持されながら、第一ローラ(23b)の下方を搬送経路として通過することになる。
なお、第三上方ベルトと第三下方ベルトと第三ローラ(23d)とは、第一上方ベルト(31)と第一下方ベルト(32)と第一ローラ(23b)と同様な構成となっているので、説明を省略する。
【0037】
第二上方ベルト(33)は、シート体(10)の第二列領域(第二部分)の上面に当接させるための所定の横幅、所定の厚さを有する帯状を呈したものであり、例えば合成樹脂や金属(ステンレス等)等からなる。そして、第二上方ベルト(33)は、前上方ローラ(24)の中央部分(第二部分)と後上方ローラ(26)の中央部分(第二部分)とに掛けられている。
これにより、前上方ローラ(24)が反時計周りに回転すると、第二上方ベルト(33)により後上方ローラ(26)も反時計周りに回転する。
【0038】
第二下方ベルト(34)は、シート体(10)の第二列領域(第二部分)の下面に当接させるための所定の横幅、所定の厚さを有する帯状を呈したものであり、例えば合成樹脂や金属(ステンレス等)等からなる。そして、第二下方ベルト(34)は、第二ローラ(23c)の上方と前下方ローラ(25)の中央部分(第二部分)と後下方ローラ(27)の中央部分(第二部分)とに掛けられている。
これにより、前下方ローラ(25)が時計周りに回転すると、第二下方ベルト(34)により第二ローラ(23c)と後下方ローラ(27)とも時計周りに回転する。なお、第二ローラ(23c)と前下方ローラ(25)との間と、第二ローラ(23c)と後下方ローラ(27)との間とには、所定の隙間Δlが設けられており、お互いに回転が妨げられることはない。
【0039】
その結果、シート体(10)の第二列領域(第二部分)が、第二上方ベルト(33)と第二下方ベルト(34)とに挟持されながら、第二ローラ(23c)の上方を搬送経路として通過することになる。
【0040】
よって、シート体(10)の第一列領域(第一部分)は、第一ローラ(23b)の下方を搬送経路として通過し、シート体(10)の第二列領域(第二部分)は、第二ローラ(23c)の上方を搬送経路として通過し、シート体(10)の第三列領域(第三部分)は、第三ローラ(23d)の下方を搬送経路として通過する。つまり、シート体(10)の第一列領域(第一部分)の搬送経路とシート体(10)の第二列領域(第二部分)の搬送経路とが異なり、第一列領域(第一部分)と第二列領域(第二部分)との間がちぎられて毛羽立たせながら裂断される。また、シート体(10)の第二列領域(第二部分)の搬送経路とシート体(10)の第三列領域(第三部分)の搬送経路とが異なり、第二列領域(第二部分)と第三列領域(第三部分)との間がちぎられて毛羽立たせながら裂断される。その結果、縦方向(D1)に毛羽立たせた切り口が形成された3枚のシート体(10’)が得られる。
このとき、第一列領域(第一部分)と第二列領域(第二部分)との間が、裂断されるが、その切り口の毛羽立たせ方(破断面の風合い)を、第一上方ベルト(31)と第二上方ベルト(33)との間(第一下方ベルト(32)と第二下方ベルト(34)との間)の距離を調整することによって、変化させることができる。なお、第二列領域(第二部分)と第三列領域(第三部分)との間も同様である。
さらに、第一上方ベルト(31)等は、一定の横幅を有する、すなわち平面視で直線形状の端部を有するものとして説明したが、横幅が周期的に変化する、すなわち平面視で波形状(曲線形状)の端部を有するものであってもよい。これにより、その切り口の毛羽立たせ方(破断面の風合い)を変化させることができる。
【0041】
<ローラ本体部移動式のシート体加工装置>
図6は、ローラ本体移動式のシート体加工装置の斜視図である。また、
図7は、
図6に示すC―C線の断面図であり、
図8は、
図6に示すD―D線の断面図である。
ローラ本体移動式のシート体加工装置(130)は、複数のローラを備えるローラ本体部(121)と、第一上方ベルト(131)と、第一下方ベルト(132)と、第二上方ベルト(133)と、第二下方ベルト(134)と、ローラ本体部(121)を移動させるためのローラ本体部駆動手段(141)とを具備する。
なお、シート体加工装置(130)は、シート体加工装置(30)を90°回転させたような構成となっており、構成部材についてはシート体加工装置(30)と同じ前後左右の用語を用いて説明する。
【0042】
ローラ本体部(121)は、左部(122L)と、右部(122R)とを備え、左部(122L)に並設ローラ部(123)の左端部と、前上方ローラ(124)の左端部と、後上方ローラ(126)の左端部とが連結されており、右部(122R)に並設ローラ部(123)の右端部と、前下方ローラ(125)の右端部と、後下方ローラ(127)の右端部とが連結されている。なお、左部(122L)には、前下方ローラ(125)及び後下方ローラ(127)は連結されておらず、右部(122R)には、前上方ローラ(124)及び後上方ローラ(126)は連結されていない。
【0043】
これにより、並設ローラ部(123)の第二ローラ(123c)の上方に配置されたシート体(10’)が右部(122R)からはみ出ることが可能となり、並設ローラ部(123)の第一ローラ(123b)の下方に配置されたシート体(1)が左部(122L)からはみ出ることが可能となっている。
【0044】
並設ローラ部(123)は、前後方向(D3)に中心軸を有する円柱形状の軸部(123a)と、円筒形状の第一ローラ(123b)と、円筒形状の第二ローラ(123c)とを有する。
【0045】
軸部(123a)の左端部は、左部(122L)に取り付けられ、軸部(123a)の右端部は、右部(122R)に取り付けられている。そして、第一ローラ(123b)は、軸部(123a)の左側部分(第一部分)に回転可能に取り付けられ、第二ローラ(123c)は、軸部(123a)の右側部分(第二部分)に回転可能に取り付けられている。つまり、シート体加工装置セット(100)では、並設ローラ部(123)において、ローラは前後方向(D3)に同軸で2個に分離並設されるとともに、独立して回転可能となっている。
【0046】
前上方ローラ(124)は、前後方向(D3)に中心軸を有する円柱形状のローラである。前上方ローラ(124)は、並設ローラ部(123)の前上方に配置されるように、前上方ローラ(124)の左端部は、左部(122L)に回転可能に取り付けられている。
【0047】
前下方ローラ(125)は、前後方向(D3)に中心軸を有する円柱形状のローラである。前下方ローラ(125)は、並設ローラ部(123)の前下方に配置されるように、前下方ローラ(125)の右端部は、右部(122R)に回転可能に取り付けられている。
【0048】
後上方ローラ(126)は、前後方向(D3)に中心軸を有する円柱形状のローラである。後上方ローラ(126)は、並設ローラ部(123)の後上方に配置されるように、後上方ローラ(126)の左端部は、左部(122L)に回転可能に取り付けられている。
【0049】
後下方ローラ(127)は、前後方向(D3)に中心軸を有する円柱形状のローラである。後下方ローラ(127)は、並設ローラ部(123)の後下方に配置されるように、後下方ローラ(127)の右端部は、右部(122R)に回転可能に取り付けられている。
【0050】
第一上方ベルト(131)は、シート体(10’)の第n行領域(第一部分)の上面に当接されるための所定の厚さを有する帯状を呈したものであり、例えば合成樹脂や金属(ステンレス等)等からなる。そして、ローラ本体部(121)が配置されている箇所では、第一上方ベルト(131)は、第一ローラ(123b)の下方と、前下方ローラ(125)の左側部分(第一部分)の上方及び後下方ローラ(127)の左側部分(第一部分)の上方との間に配置されている。
【0051】
第一下方ベルト(132)は、シート体(10’)の第n行領域(第一部分)の下面に当接されるための所定の厚さを有する帯状を呈したものであり、例えば合成樹脂や金属(ステンレス等)等からなる。第一下方ベルト(132)は、第一上方ベルト(131)の下方に配置されている。これにより、第一上方ベルト(131)と第一下方ベルト(132)との間に、搬送されてきたシート体(10’)の第n行領域(第一部分)が挟持されるようになっている。
そして、ローラ本体部(121)が配置されている箇所では、第一下方ベルト(132)は、第一上方ベルト(131)の下方となり、第一ローラ(123b)の下方と、前下方ローラ(125)の左側部分(第一部分)の上方及び後下方ローラ(127)の左側部分(第一部分)の上方との間に配置されている。
【0052】
第二上方ベルト(133)は、シート体(10’)の第(n+1)行領域(第二部分)の上面に当接されるための所定の厚さを有する帯状を呈したものであり、例えば合成樹脂や金属(ステンレス等)等からなる。そして、第二上方ベルト(133)は、ローラ本体部(121)が配置されている箇所では、第二ローラ(123c)の上方と、前上方ローラ(124)の右側部分(第二部分)の下方及び前下方ローラ(125)の右側部分(第二部分)の下方との間に配置されている。
【0053】
第二下方ベルト(134)は、シート体(10’)の第(n+1)行領域(第二部分)の下面に当接されるための所定の厚さを有する帯状を呈したものであり、例えば合成樹脂や金属(ステンレス等)等からなる。第二下方ベルト(134)は、第二上方ベルト(133)の下方に配置されている。これにより、第二上方ベルト(133)と第二下方ベルト(134)との間に、搬送されてきたシート体(10’)の第(n+1)行領域(第二部分)が挟持されるようになっている。なお、後述する第n行領域(第一部分)と第(n+1)行領域(第二部分)との間が裂断された後は、シート体(10’)が搬送されて、第(n+1)行領域が第一部分となり、第(n+2)行領域が第二部分となり、次々と裂断されていくことになる。
【0054】
そして、第二下方ベルト(134)は、ローラ本体部(121)が配置されている箇所では、第二上方ベルト(133)の下方となり、第二ローラ(123c)の上方と、前上方ローラ(124)の右側部分(第二部分)の上方及び前下方ローラ(125)の右側部分(第二部分)の上方との間に配置されている。
【0055】
ローラ本体部駆動手段(141)は、電動モータ等であり、シート体(10’)が所定位置に搬送されてきたときには、ローラ本体部(121)が左右方向(D4)に移動するようになっている。
このとき、
図7に示すように、ローラ本体部(121)が、
図6に示す方向(D4)に移動する際に、第一上方ベルト(131)とシート体(10’)の第n行領域(第一部分)と第一下方ベルト(132)とが、第一ローラ(123b)と前下方ローラ(125)及び後下方ローラ(127)との間に配置され、第一ローラ(123b)が反時計周りに回転し、前下方ローラ(125)は時計周りに回転し、後下方ローラ(127)は時計周りに回転する。なお、第一ローラ(123b)と前上方ローラ(124)との間と、第一ローラ(123b)と後上方ローラ(126)との間とには、所定の隙間Δlが設けられており、お互いに回転が妨げられることはない。
【0056】
また、
図8に示すように、ローラ本体部(121)が、
図6に示す方向(D4)に移動する際に、第二上方ベルト(133)とシート体(10’)の第(n+1)行領域(第二部分)と第二下方ベルト(134)とが、第二ローラ(123c)と前上方ローラ(124)及び後上方ローラ(126)との間に配置され、第二ローラ(123c)が時計周りに回転し、前上方ローラ(124)は反時計周りに回転し、前下方ローラ(125)は反時計周りに回転する。なお、第二ローラ(123
c)と前下方ローラ(125)との間と、第二ローラ(123
c)と後下方ローラ(127)との間とには、所定の隙間Δlが設けられており、お互いに回転が妨げられることはない。
【0057】
よって、シート体(10’)の第n行領域(第一部分)は、第一ローラ(123b)の下方を搬送経路として通過し、シート体(10’)の第(n+1)行領域(第二部分)は、第二ローラ(123c)の上方を搬送経路として通過する。つまり、シート体(10’)の第n行領域(第一部分)の搬送経路とシート体(10’)の第(n+1)行領域(第二部分)の搬送経路とが異なり、第n行領域(第一部分)と第(n+1)行領域(第二部分)との間がちぎられて毛羽立たせながら裂断される。その結果、横方向(D2)に毛羽立たせた切り口が形成されたシート体(1)が得られる。
なお、シート体(10’)が所定位置に搬送されてきたと判定する手段としては、例えばセンサ、カメラ、シート体(10)の送り量を測定するロータリエンコーダ等が挙げられる。
【0058】
以上のようなシート体加工装置セット(100)によれば、浸透手段等の特別な設備を必要とせずに、周縁を毛羽立たせたラベル等の印刷物を作製することができる。
<他の実施形態>
上述した実施形態では、縦方向にN個、横方向に3個の商品の銘柄等のラベル情報が上面に印刷されたシート体(10)を用いる例について説明したが、これに限定されるものではなく、トイレットペーパのようなロール体を用いるように構成してもよい。すなわち、ロール体加工装置中を通過する前には、巻き取られており、ロール体加工装置中を通過した後にも巻き取られているようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、周縁を毛羽立たせたラベルを作製するシート体及びロール体加工装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0060】
21 ローラ本体部
23 並設ローラ部
23b 第一ローラ
23c 第二ローラ
24 前上方ローラ
25 前下方ローラ
26 後上方ローラ
27 後下方ローラ
30 シート体加工装置
31 第一上方ベルト
32 第一下方ベルト
33 第二上方ベルト
34 第二下方ベルト