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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】ロープ駆動装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/00 20060101AFI20220302BHJP
   F16H 7/04 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
B60H1/00 103E
F16H7/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017091196
(22)【出願日】2017-05-01
(65)【公開番号】P2018187997
(43)【公開日】2018-11-29
【審査請求日】2020-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】507418692
【氏名又は名称】トヨフレックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076831
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 捷雄
(74)【代理人】
【識別番号】100194249
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】山口 政儀
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-210484(JP,A)
【文献】特開2014-160462(JP,A)
【文献】特開2013-113342(JP,A)
【文献】特開2008-032063(JP,A)
【文献】特開2003-193869(JP,A)
【文献】実開昭54-081035(JP,U)
【文献】特開平10-105265(JP,A)
【文献】実開昭62-011040(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00 ~ 3/06
F24C 15/00
F16H 7/04
G05G 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力ハウジング内に入力プーリを回転可能に収容する入力部と、出力ハウジング内に出力プーリを回転可能に収容する出力部と、前記入力ハウジングと前記出力ハウジングの間に設けられ、前記入力プーリと前記出力プーリとの間に掛け渡される第1ワイヤーロープと第2ワイヤーロープを緊張状態で保持するところのアウターチューブと、を有するロープ駆動装置であって、
前記アウターチューブの幅を前記入力ハウジングと前記出力ハウジングの幅より小さく形成し、前記入力ハウジングと前記出力ハウジングの前記アウターチューブの接続部に前記第1ワイヤーロープが圧接摺動する第1湾曲部及び第3湾曲部と、前記第2ワイヤーロープが圧接摺動する第2湾曲部及び第4湾曲部を設け、
前記第1ワイヤーロープの第1摺動抵抗と前記第2ワイヤーロープの第2摺動抵抗を異ならせるに当たり、
前記第1ワイヤーロープの撚り線に前記第2ワイヤーロープの撚り線より細いものを使用し、
前記第1ワイヤーロープの第1摺動抵抗を、前記第2ワイヤーロープの第2摺動抵抗よりも大きくすることにより、前記入力プーリの操作時にその駆動トルクが異なるように成したことを特徴とするロープ駆動装置。
【請求項2】
前記第1摺動抵抗と前記第2摺動抵抗との相違は、前記第1ワイヤーロープと前記第2ワイヤーロープの直径の大小で創生することを特徴とする請求項1に記載のロープ駆動装置。
【請求項3】
前記第1摺動抵抗と前記第2摺動抵抗との相違は、前記第1ワイヤーロープと前記第2ワイヤーロープを構成する撚り線の撚り構造の相違により創生することを特徴とする請求項1または2に記載のロープ駆動装置。
【請求項4】
前記第1摺動抵抗と前記第2摺動抵抗との相違は、前記第1ワイヤーロープと前記第2ワイヤーロープが摺動する湾曲部の湾曲半径の差により創生することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のロープ駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力プーリの時計回り方向回転と反時計回り方向回転とをそれぞれワイヤーロープを介して出力プーリに伝達し、被駆動体を駆動するロープ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤーロープを用いたロープ駆動装置は、例えば、入力プーリを備えた操作部と、出力プーリを備えた出力部と、操作部と出力部との間に配置されるアウターチューブと、入力プーリと出力プーリとの間にアウターチューブを介して緊張状態に固定された第1および第2のワイヤーロープとを有する(特許文献1-3)。入力プーリを時計回り方向に回転すると、第1ワイヤーロープが引っ張られて出力プーリを時計回り方向に回転して被駆動体を時計回り方向に駆動する。一方、入力プーリを反時計回り方向に回転すると、第2ワイヤーロープが引っ張られて出力プーリを反時計回り方向に回転して被駆動体を反時計回り方向に駆動する。
【0003】
このようなロープ駆動装置は、入力部が例えば自動車の空調装置のヒートコントロール(いわゆるヒーコン)のパネルに取り付けられ、入力プーリに固定された入力軸に操作ダイアルが取り付けられる。また、ロープ駆動装置の出力部は空調装置の通風ダクトに取り付けられ、出力プーリの出力軸に通風ダクト中に配置される開閉扉の駆動軸が連結される。
【0004】
駆動軸の配置方向、駆動軸に対する開閉扉の取付け状態等により、開閉扉を開方向に動作させる際と閉じ方向に動作させる際において、駆動軸に加わるトルクが異なる場合と等しい場合がある。
【0005】
駆動軸に例えば一枚の開閉扉の一端を固定し、駆動軸を水平方向に配置した水平軸構成において、開閉扉が垂直位置の閉じ状態から水平方向の開方向に回転する際に駆動軸に加わる開作動の駆動トルクと、閉じ方向に回転する際に駆動軸に加わる閉作動の駆動トルクは異なる。すなわち、ロープ駆動装置の入力プーリを例えば時計回りに回転させて開閉扉を開方向に回転する際は、開閉扉の自重によって開閉扉が開方向に回転する。一方、入力プーリを例えば反時計回り方向に回転させて開閉扉を閉じ方向に回転する際は、開閉扉の自重に抗して開閉扉を閉じ方向に駆動するため、閉作動の駆動トルクが開作動の駆動トルクよりも大きくなる。
【0006】
また、駆動軸を垂直方向に配置した垂直軸構成においては、駆動軸を時計回り方向に回転させても、反時計回り方向に回転させても開閉扉の自重の影響がないことから駆動トルクは同じとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2004-210188号公報
【文献】特表2016-512961号公報
【文献】米国特許第5555769号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、水平軸構成の前記空調装置を従来のロープ駆動装置により開閉扉を開閉駆動する場合、操作ダイアルを時計回り方向に操作して第1ワイヤーロープを引く際の操作感は軽く、反時計回り方向に操作して第2ワイヤーロープを引く際の操作感は重い。このため、第1ワイヤーロープと第2ワイヤーロープをそれぞれ引く際に同じ操作感が得られ、スムーズに操作できることが望まれる。
【0009】
一方、垂直軸構成の前記空調装置を従来のロープ駆動装置により開閉扉を開閉駆動する場合、操作ダイアルを時計回り方向に操作して第1ワイヤーロープを引く際と反時計回り方向に操作して第2ワイヤーロープを引く際の操作感は等しい。このため、第1ワイヤーロープを引く際と第2ワイヤーロープを引く際の操作感に差を設け、例えば閉じ方向に操作しているのか否かが感覚的に判断できることが望まれる。
【0010】
本発明の目的は、被駆動体を両回転方向に駆動する際の操作感をそれぞれ任意に設定できるロープ駆動装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的を実現するロープ駆動装置の第1の構成は、入力ハウジング内に入力プーリを回転可能に収容する入力部と、出力ハウジング内に出力プーリを回転可能に収容する出力部と、前記入力ハウジングと前記出力ハウジングの間に設けられ、前記入力プーリと前記出力プーリとの間に掛け渡される第1ワイヤーロープと第2ワイヤーロープを緊張状態で保持するところのアウターチューブと、を有するロープ駆動装置であって、前記アウターチューブの幅を前記入力ハウジングと前記出力ハウジングの幅より小さく形成し、前記入力ハウジングと前記出力ハウジングの前記アウターチューブの接続部に前記第1ワイヤーロープが圧接摺動する第1湾曲部及び第3湾曲部と、前記第2ワイヤーロープが圧接摺動する第2湾曲部及び第4湾曲部を設け、前記第1ワイヤーロープの第1摺動抵抗と前記第2ワイヤーロープの第2摺動抵抗を異ならせるに当たり、前記第1ワイヤーロープの撚り線に前記第2ワイヤーロープの撚り線より細いものを使用し、前記第1ワイヤーロープの第1摺動抵抗を、前記第2ワイヤーロープの第2摺動抵抗よりも大きくすることにより、前記入力プーリの操作時にその駆動トルクが異なるように成したことを特徴とする。
【0012】
本発明の目的を実現するロープ駆動装置の第2の構成は、前記第1摺動抵抗と前記第2摺動抵抗との相違は、前記第1ワイヤーロープと前記第2ワイヤーロープの直径の大小で創生することを特徴とする。
【0013】
本発明の目的を実現するロープ駆動装置の第3の構成は、前記第1摺動抵抗と前記第2摺動抵抗との相違は、前記第1ワイヤーロープと前記第2ワイヤーロープを構成する撚り線の撚り構造の相違により創生することを特徴とする。
【0014】
本発明の目的を実現するロープ駆動装置の第4の構成は、前記第1摺動抵抗と前記第2摺動抵抗との相違は、前記第1ワイヤーロープと前記第2ワイヤーロープが摺動する湾曲部の湾曲半径の差により創生することを特徴とする。
【0015】
本発明の目的を実現するロープ駆動装置の第5の構成は、上記した第2から第4のいずれかの構成において、前記第1ワイヤーロープと前記第2ワイヤーロープは、直径の小さい方のワイヤーロープを直径の大きい方のワイヤーロープよりも長さが短く、前記第1ワイヤーロープと前記第2ワイヤーロープの両端をそれぞれ固定具により固定し、各固定具を前記入力プーリと前記出力プーリに固定したことを特徴とする。
【0016】
本発明の目的を実現するロープ駆動装置の第6の構成は、上記したいずれかの構成において、前記出力プーリにより回転駆動される被駆動体が前記第1回転方向に駆動される際の第1駆動トルクよりも前記第2回転方向に駆動される際の第2駆動トルクが大きい場合、前記第2摺動抵抗が前記第1摺動抵抗よりも小さいことを特徴とする。
【0017】
本発明の目的を実現するロープ駆動装置の第7の構成は、上記した第1から第5のいずれかの構成において、前記出力プーリにより回転駆動される被駆動体が前記第1回転方向に駆動される際の第1駆動トルクと前記第2回転方向に駆動される際の第2駆動トルクが等しい場合、前記第2摺動抵抗が前記第1摺動抵抗よりも小さいことを特徴とする。
【0018】
本発明の目的を実現するロープ駆動装置の第8の構成は、上記した第1から第5のいずれかの構成において、前記出力プーリにより回転駆動される被駆動体において、前記第1回転方向への第1操作駆動トルクと前記第2回転方向への第2操作駆動トルクの違いを操作者に感覚的に認識させるに当たり、前記第2摺動抵抗前記第1摺動抵抗よりも小さくすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明によれば、第1ワイヤーロープの第1摺動抵抗と第2ワイヤーロープの第2摺動抵抗を異ならせることで、入力プーリを第1回転方向と第2回転方向に回転操作する際の操作トルクを任意に設定でき、出力プーリにより回転駆動される被駆動体の構成、機能等に応じて種々の操作感を得ることができる。
【0020】
請求項2に係る発明によれば、簡単な構成で前記第1摺動抵抗と前記第2摺動抵抗とを相違させることができる。
【0021】
請求項3に係る発明によれば、単純な撚り構成のワイヤーロープの方が摺動抵抗が小さいため、小さい操作トルクが得られる。
【0022】
請求項4に係る発明によれば、入力ハウジングや出力ハウジング側に摺動相手部として設けた台座の半径を調整することで第1摺動抵抗と第2摺動抵抗とを相違させることができ、特にの直径が相違する第1、第2ワイヤロープとの組み合わせでより一層第1摺動抵抗と第2摺動抵抗とを相違させることができる。
【0023】
請求項5に係る発明によれば、第1ワイヤーロープと第2ワイヤーロープの伸びを等しくすることができる。
【0024】
請求項6に係る発明によれば、第1回転方向と第2回転方向の操作感を等しくすることができる。
【0025】
請求項7に係る発明によれば、第1回転方向と第2回転方向の操作感を異ならせることができ、被駆動体をいずれの方向に回転駆動しているかを感覚的に認識させることができる。
【0026】
請求項8に係る発明によれば、前記出力プーリの前記第1回転方向への第1操作駆動トルクと前記第2回転方向への第2操作駆動トルクの違いを操作者に感覚的に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】(a)は本発明によるロープ駆動装置の第1実施形態を用いて自動車の空調装置をコントロールする概略正面図を示し、(b)は(a)のA-A矢視図を示す。
図2】本発明によるロープ駆動装置の第1実施形態を示し、図1(b)のB-B矢視図を示す。
図3】(a)は図2のロープ駆動装置における第1ワイヤーロープの横断面図を示し、(b)は図2のロープ駆動装置における第2ワイヤーロープの横断面図を示す。
図4】(a)は本発明によるロープ駆動装置の第2実施形態を用いて自動車の空調装置をコントロールする概略上面図を示し、(b)は(a)のC-C矢視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0029】
第1実施形態
図1(a)は本発明によるロープ駆動装置の第1実施形態を用いて自動車の空調装置をコントロールする概略正面図を示し、図1(b)は図1(a)のA-A矢視図を示し、図2は本発明によるロープ駆動装置の第1実施形態を示し、図1(b)のB-B矢視図を示す。図3(a)は図2のロープ駆動装置における第1ワイヤーロープの横断面図を示し、図3(b)は図2のロープ駆動装置における第2ワイヤーロープの横断面図を示す。
【0030】
図1において、空調装置1はロープ駆動装置10により通風量が制御される。空調装置1は、通風ダクト2に設けた開口部3に被駆動体である開閉扉4が開閉可能に取り付けられている。開閉扉4は下端部が、水平方向に延びる駆動軸5に固定されている。図1において、の互いに直交する3軸をX軸、Y軸、Z軸とし、X軸とY軸は水平軸、Z軸は垂直軸である。駆動軸5はY軸方向に沿って延びている。開閉扉4は、駆動軸5の回転で開口部3を覆うZ軸方向に沿った垂直姿勢の全閉位置と、開口部3を全開するX軸方向に沿った水平姿勢の全開位置との間を移動可能となっている。図1(a)において、開閉扉4が閉じ位置から開位置に向けて時計回り方向に回転すると、通風ダクト2から車内に吹きだす送風量が増える。
【0031】
開閉扉4を図1(a)に示す垂直姿勢の全閉位置において、駆動軸5を時計回り方向に回して開方向に回転する場合、駆動軸5には、開閉扉4の自重による時計回り方向の回転トルクが加わる。したがって、開閉扉4を開方向に回転させるために駆動軸5に加える操作トルクは、前記回転トルクだけ少なくて済む。
【0032】
これに対し、開閉扉4を水平姿勢の全開位置から駆動軸5を反時計回り方向に回して閉じ方向に回転する場合、駆動軸5に加える操作トルクは、開閉扉4の自重に抗した反時計回り方向の回転トルクが増加する。
【0033】
図1(a)及び図2において、ロープ駆動装置10は、入力部11と、出力部12と、入力部11と出力部12との間に配置されて挿通されるワイヤーロープを緊張状態に保持するアウターチューブ13と、ワイヤーロープユニット14とを有する。入力部11が不図示のヒーコンのパネルに取り付けられ、出力部12が通風ダクト2に取り付けられる。
【0034】
ロープ駆動装置10の構成を図2に基づいて説明する。
【0035】
ワイヤーロープユニット14は、第1ワイヤーロープ15と、第2ワイヤーロープ16との各両端部を第1固定具17と第2固定具18により固定して構成される。
【0036】
ロープ駆動装置10の入力部11は、内部に円筒状で一端側が開放する入力プーリ収容部19が形成された入力ハウジング20と、入力プーリ収容部19内に回転可能に配置された入力プーリ21と、を有する。入力プーリ21の回転中心に入力軸22が固定されている。入力軸22は、入力ハウジング20の軸方向に沿った前壁部(不図示)と奥壁部23にそれぞれ形成した軸受孔(不図示)に軸支されている。入力軸22の先端部に、操作ダイアル24が取り付けられている。
【0037】
入力ハウジング20は、入力プーリ収容部19の開放部に連設して内幅W1のアウターチューブ差込用のアウターチューブ差込部25が形成されている。アウターチューブ差込部25の開放端部にアウターチューブ13の一端部が段部26まで差し込まれている。入力プーリ21の外径(D1)は、アウターチューブ差込部25の内幅W1よりも大きく形成され、入力ハウジング20の入力プーリ収容部19の内径D2は入力プーリ21の外径(D1)よりも大径に形成される。
【0038】
入力プーリ収容部19は、内径D2の内周の一方の開放端19aから内側に凸に形成される第1ワイヤーロープ15の摺動相手部をなす第1台座として半径R1の第1湾曲部27がアウターチューブ差込部25の一方の内端25aまで連設されている。第1ワイヤーロープ15は第1台座である第1湾曲部27に接触して屈撓される。また、入力プーリ収容部19の内径D2の内周の他方の開放端19bから内側に凸に形成される第2ワイヤーロープ16の摺動相手部をなす第2台座として半径R2の第2湾曲部28がアウターチューブ差込部25の他方の内端25bまで連設されている。第1湾曲部27と第2湾曲部28は対向する。第2ワイヤーロープ16は第2台座である第2湾曲部28に接触して屈撓される。
【0039】
入力プーリ21には、ワイヤーロープユニット14の第1固定具17が係合する第1係合部29が設けられている。第1係合部29に第1固定具17を係合して第1ワイヤーロープ15と第2ワイヤーロープ16を入力プーリ21に掛け渡す。本実施形態において、入力プーリ21を時計回り方向に回転すると引っ張られる側に第1ワイヤーロープ15を配置し、入力プーリ21を反時計回り方向に回転すると引っ張られる側に第2ワイヤーロープ16を配置している。ワイヤーロープユニット14を緊張した状態において、第1ワイヤーロープ15は第1湾曲部27に接触し、第2ワイヤーロープ16は第2湾曲部28に接触してそれぞれ屈撓され、入力プーリ21に向けて外側に拡がって掛け渡される。
【0040】
出力部12は、入力部11と同様に構成されており、内部に円筒状で一端側が開放する出力プーリ収容部30が形成された出力ハウジング31と、出力プーリ収容部30内に回転可能に配置された出力プーリ32とを有する。出力プーリ32の回転中心に出力軸をなす駆動軸5が固定されている。駆動軸5は、出力ハウジング31の軸方向に沿った前壁部33aと奥壁部33bにそれぞれ形成した軸受孔(不図示)に軸支されている。
【0041】
出力ハウジング31は、出力プーリ収容部30の開放部に連設して内幅W2のアウターチューブ差込用のアウターチューブ差込部34が形成されている。アウターチューブ差込部34の開放端部にアウターチューブ13の他端部が段部35まで差し込まれている。出力プーリ32の外径(D3)は、アウターチューブ差込部34の内幅W2よりも大きく形成され、出力ハウジング31の出力プーリ収容部30の内径D4は出力プーリ32の外径(D3)よりも大径に形成される。
【0042】
出力プーリ収容部30は、内径D4の内周の一方の開放端30aから内側に凸に形成される第1ワイヤーロープ15の摺動相手部をなす第3台座として半径R3の第3湾曲部36がアウターチューブ差込部34の一方の内端34aまで連設されている。第1ワイヤーロープ15は第3台座である第3湾曲部36に接触して屈撓される。また、出力プーリ収容部30の内径D4の内周の他方の開放端30bから内側に凸に形成される第2ワイヤーロープ16の摺動相手部をなす第4台座として半径R4の第4湾曲部37がアウターチューブ差込部34の他方の内端34bまで連設されている。第3湾曲部36と第4湾曲部37は対向する。第2ワイヤーロープ16は第4台座である第4湾曲部37に接触して屈撓される。
【0043】
出力プーリ32には、ワイヤーロープユニット14の第2固定具18が係合する第2係合部38が設けられている。第2係合部38に第2固定具18を係合して第1ワイヤーロープ15と第2ワイヤーロープ16を出力プーリ32に掛け渡す。本実施形態において、出力プーリ32を時計回り方向に回転すると引っ張られる側に第1ワイヤーロープ15を配置し、出力プーリ32を反時計回り方向に回転すると引っ張られる側に第2ワイヤーロープ16を配置している。ワイヤーロープユニット14を緊張した状態において、第1ワイヤーロープ15は第3湾曲部36に接触し、第2ワイヤーロープ16は第4湾曲部37に接触してそれぞれ屈撓され、出力プーリ32に向けて外側に拡がって掛け渡される。
【0044】
アウターチューブ13は、例えば鋼線がインサートされた樹脂製の本体13aに形成された第1チューブ部13b内にワイヤーロープユニット14の第1ワイヤーロープ15が摺動自在に挿通され、第2チューブ部13c内に第2ワイヤーロープ16が摺動自在に挿通される。アウターチューブ13は入力ハウジング11と出力ハウジング12との間で可撓可能に突っ張り、第1ワイヤーロープ15と第2ワイヤーロープ16の張力を保持する。
【0045】
なお、本実施形態において、アウターチューブ13は、第1ワイヤーロープ15と第2ワイヤーロープ16が挿通する第1チューブ部13bと第2チューブ部13cを本体13aに設けた構成としているが、第1ワイヤーロープ15が挿通する第1アウターチューブと、第2ワイヤーロープ16が挿通する第2アウターチューブとを別々に設けた構成としても良い。この場合、入力ハウジング20と出力ハウジング31との間で前記第1アウターチューブと前記第2アウターチューブとが突っ張るように装着される。なお、前記第1アウターチューブと前記第2アウターチューブは螺旋状に金属部材が入れられている。
【0046】
風量調整用の操作ダイアル24を矢印「強」で示す時計回り方向に回転すると、入力プーリ21の時計回り方向回転で第1ワイヤーロープ15が引っ張られ、出力プーリ32が時計回り方向に回転する。出力プーリ32の時計回り方向回転で、開閉扉4が時計回り方向に倒れながら回転する。一方、操作ダイアル24を矢印「弱」で示す反時計回り方向に回転すると、第2ワイヤーロープ16が引っ張られ、出力プーリ32が反時計回り方向に回転する。出力プーリ32の反時計回り方向回転で、開閉扉4が反時計回り方向に引き起こされながら回転する。
【0047】
したがって、第2ワイヤーロープ16に加わる引っ張り応力は第1ワイヤーロープ15に加わる引っ張り応力よりも大きい。
【0048】
すなわち、第1ワイヤーロープ15と第2ワイヤーロープ16の破断強度(引張強度)が同一のワイヤーロープを用いる必要がなく、第1ワイヤーロープ15の引張強度が第2ワイヤーロープ16の引張強度よりも小さくて済むことになる。このため、第1ワイヤーロープ15の選定について、必要最小限の引張強度を満たせば良いことになる。
【0049】
ワイヤーロープの引張強度は、例えばワイヤーの線材が同一材料であると、第1ワイヤーロープ15の直径(d1)は第2ワイヤーロープ16の直径(d2)よりも小さいことになる(d1<d2)。逆に言えば第2ワイヤーロープ16の直径(d2)は第1ワイヤーロープ15の直径(d1)よりも大きいことになる。
【0050】
第1ワイヤーロープ15を引いたときの第1摺動抵抗をR1、第2ワイヤーロープ16を引いたときの第2摺動抵抗をR2とする。第1ワイヤーロープ15と第2ワイヤーロープ16が同一構造のワイヤーロープと仮定した場合、直径の大きい第2ワイヤーロープ16の第2摺動抵抗R2は、直径の小さい第1ワイヤーロープ15の第1摺動抵抗R2よりも小さい。
【0051】
すなわち、第1ワイヤーロープ15の引き動作において、第1ワイヤーロープ15は第1台座である第1湾曲部27と第3台座である第3湾曲部36の表面に接触して摺動する。第2ワイヤーロープ16の引き動作において、第2ワイヤーロープ16は第2台座である第2湾曲部28と第4台座である第4湾曲部37の表面に接触して摺動する。ワイヤーロープの直径が大きいと、台座との接触面積も大きくなって面圧が低下する。したがって、第1ワイヤーロープ15を引く際の第1摺動抵抗R1よりも第2ワイヤーロープ16を引く際の第2摺動抵抗R2が小さくなる。逆に言えば、第1ワイヤーロープ15の第1摺動抵抗R1は直径を小さくするほど大きくなる。
【0052】
第2ワイヤーロープ16を引く閉じ動作の場合、開閉扉4の自重が加わるため、駆動軸5を反時計回り方向に回転駆動する駆動トルク(第2軸駆動トルクA2と称す)は、第1ワイヤーロープ15を引いて駆動軸5を時計回り方向に回転駆動する駆動トルク(第1軸駆動トルクA1と称す)よりも大きい。
【0053】
また、操作ダイアル24を時計回り方向に回転操作する駆動トルク(第1操作駆動トルクT1と称す)には、第1軸駆動トルクA1に第1摺動抵抗R1に応じた第1摺動トルクS1が加わる(T1=A1+S1)。同様に、操作ダイアル24を反時計回り方向に回転操作する駆動トルク(第2操作駆動トルクT2と称す)には、第2軸駆動トルクA2に第2摺動抵抗R2に応じた第2摺動トルクS2が加わる(T2=A2+S2)。
【0054】
本実施形態では、A1(第1軸駆動トルク)<A2(第2軸駆動トルク)であるが、S1(第1摺動トルク)>S2(第2摺動トルク)としているので、第1ワイヤーロープ15の直径d1と第2ワイヤーロープ16の直径d2を適宜設定することにより、第1操作駆動トルクT1と第2操作駆動トルクT2をできるだけ等しくすることが可能となる。
【0055】
このため、操作ダイアル24を時計回り方向に回して開閉扉4を開方向に回転駆動する場合と、逆に操作ダイアル24を反時計回り方向に回して開閉扉4を閉方向に回転駆動する場合の操作感に差をなくすことが可能となった。
【0056】
第1摺動トルクS1と第2摺動トルクS2に差を設けるためには、ワイヤーロープの直径の大小だけではなく、ワイヤーロープの撚り構造の相違によっても設定することができる。さらには、ワイヤーロープが摺動する入出力ハウジングの台座の半径の大小によっても設定することができる。
【0057】
本実施形態において、第1ワイヤーロープ15は図3(a)に示す撚り構成のワイヤーロープ(TB-54:トヨフレックス株式会社製)を使用し、第2ワイヤーロープ16は図3(b)に示す撚り構成のワイヤーロープ(TG-60:トヨフレックス株式会社製)を使用している。第1ワイヤーロープ15に使用されるワイヤーロープ(TB-54)は、ワイヤーロープの直径(d1)が0.54mm、ワイヤーの直径が0.06mm、破壊荷重が245.3N、ワイヤーの線材がSUS304である。第2ワイヤーロープ16に使用されるワイヤーロープ(TG-60)は、ワイヤーロープの直径(d2)が0.60mm、ワイヤーの直径が0.12mm、破壊荷重が419.9N、ワイヤーの線材がSUS304である。
【0058】
第1ワイヤーロープ15は、7本のワイヤー41を撚った一束のワイヤーロープ42を7束撚った構成(7×7)である。第2ワイヤーロープ16は、1本のワイヤー43を19本撚った単純な構成(1×19)である。
【0059】
第1ワイヤーロープ15と第2ワイヤーロープ16が同一外径の場合、撚り構造を単純とする方のロープがワイヤー本数が少なく、一本のワイヤーの断面直径(半径)も大きいことから、摺動抵抗が小さい(高摺動性)特徴がある。第2ワイヤーロープ16は第1ワイヤーロープ15と比較し、ワイヤーロープの直径が大きく、一本のワイヤーの直径が大きく、撚り構造がより単純である。したがって、第1ワイヤーロープ15の第1摺動トルクS1と第2ワイヤーロープ16の第2摺動トルクS2の差を大きく、また高精度に設定することが可能となる。
【0060】
入力プーリ21の外径(D1)はアウターチューブ差込部25の内幅W1よりも大きいため、入力プーリ21の時計回り方向及び反時計回り方向の回転で台座をなす第1湾曲部27で第1ワイヤーロープ15は屈撓状態で摺接する。同様に、台座をなす第2湾曲部28で第2ワイヤーロープ16は屈撓状態で摺接する。
【0061】
同様に、出力プーリ32の外径(D3)はアウターチューブ差込部34の内幅W2よりも大きいため、出力プーリ32の時計回り方向及び反時計回り方向の回転で台座をなす第3湾曲部36で第1ワイヤーロープ15は屈撓状態で摺接する。同様に、台座をなす第4湾曲部37で第2ワイヤーロープ16は屈撓状態で摺接する。
【0062】
本実施形態において、台座をなす第1湾曲部27の半径R1と第3湾曲部36の半径R3を同径とし、台座をなす第2湾曲部28の半径R2と第4湾曲部37の半径R4を同径とし、半径R2(R4)を半径R1(R3)よりも大きくしている(R2(R4)>R1(R3))。
【0063】
各台座をなす第1湾曲部27、第2湾曲部28、第3湾曲部36、第4湾曲部37の表面に屈撓状態で摺接するワイヤーロープは、半径が小さな台座よりも半径の大きい台座に対して緩やかに摺接する。したがって、第1ワイヤーロープ15の第1摺動トルクS1と第2ワイヤーロープ16の第2摺動トルクS2の差を大きく、また高精度に設定することが可能となる。
【0064】
入力ハウジング20において、第1ワイヤーロープ15が屈撓する第1湾曲部27の半径R1が第1ワイヤーロープ15に対して耐久性が保持できる最小半径とする。また、第2ワイヤーロープ16が屈撓する第2湾曲部28の半径R2が第2ワイヤーロープ16に対して耐久性が保持できる最小半径とすると、半径R2は半径R1よりも大きい。すなわち、第2湾曲部28の半径R2を第1湾曲部27の半径R1と同径した場合、第2ワイヤーロープ16の直径(d2)が第1ワイヤーロープの直径(d1)よりも大きいため、屈撓する際の半径が小さいことから屈撓部に大きな応力が加わり、屈撓状態での摺接が繰り返されると耐久性が低下する。しかし、第2湾曲部28の半径R2を第1湾曲部27の半径R1よりも大きく設定しているので、第2ワイヤーロープ16が屈撓する際の半径が大きくなり、入力部11において第2ワイヤーロープ16の耐久性が保持される。
【0065】
出力ハウジング31において、入力ハウジング20と同様に、第3湾曲部36の半径R3は第1ワイヤーロープ15に対して耐久性が保持できる最小半径とし、第4湾曲部37の半径R4は第2ワイヤーロープ16に対して耐久性が保持できる最小半径としている。したがって、第2ワイヤーロープ16が屈撓する第4湾曲部37の半径R4は第1ワイヤーロープ15が屈撓する第3湾曲部36の半径R3よりも大きく設定している。したがって、出力部12において第2ワイヤーロープ16の耐久性が保持される。
【0066】
また、第2ワイヤーロープ16は単純な撚り構成としているので、第2湾曲部28および第4湾曲部37での屈撓による耐久性が良い。
【0067】
本実施形態において、入力プーリ21の外径(D1)と、出力プーリ32の外径(D3)を同径とし、アウターチューブ差込部25の幅(W1)とアウターチューブ差込部34の幅(W2)を同幅としているが、これに限定されものではない。また、第1湾曲部27の半径(R1)と第3湾曲部36の半径(R3)を同径とし、第2湾曲部28の半径(R2)と第4湾曲部37の半径(R4)を同径としているが、これに限定されるものではない。
【0068】
ワイヤーロープユニット14の第1ワイヤーロープ15と第2ワイヤーロープ16は、破壊荷重が異なるため、第1ワイヤーロープ15の伸び量が第2ワイヤーロープ16の伸び量よりも大きい。このため、第1ワイヤーロープ15の長さを第2ワイヤーロープ16の長さよりも短くして第1固定具17と第2固
定具18によりそれぞれの両端同士を固定している。
【0069】
したがって、ワイヤーロープユニット14の第1固定具17を入力プーリ21の第1固定具29に係合して固定し、第2固定具18を出力プーリ32の第2固定具38に係合して固定し、第1ワイヤーロープ15と第2ワイヤーロープ16を入力プーリ21と出力プーリ32に掛けると、第1ワイヤーロープ15と第2ワイヤーロープ16の張力が等しくなる。このため、操作ダイアル24を時計回り方向に回転して開閉扉4を開方向に回転する場合と、操作ダイアル24を反時計回り方向に回転して開閉扉4を閉じ方向に回転する場合の操作感を均等にすることができる。
【0070】
第2実施形態
図4は本発明の第2実施形態を示す。
【0071】
図4(a)は本発明によるロープ駆動装置の第2実施形態を用いて自動車の空調装置をコントロールする概略上面図を示し、(b)は(a)のC-C矢視図を示す。図4において、図1と同じ部材には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0072】
上記した第1実施形態では、空調装置1の水平方向に配置された駆動軸5に設けた開閉扉4を被駆動体としてロープ駆動装置10により開閉操作する際、第2ワイヤーロープ16を引いて駆動軸5を反時計回り方向に回転駆動する第1軸駆動トルクA1と、第1ワイヤーロープ15を引いて駆動軸5を反時計回り方向に回転駆動する第2軸駆動トルクA2が相違する場合を例にしている。そして、第1摺動トルクS1と第2摺動トルクS2に差を設けることで、操作ダイアル24を時計回り方向に回転操作する第1操作駆動トルクT1と、操作ダイアル24を反時計回り方向に回転操作する第2操作駆動トルクT2との差を生じないようにしている。
【0073】
第2実施形態は、第1軸駆動トルクT1と第2軸駆動トルクT2が等しい場合において、第1操作駆動トルクT1と第2操作駆動トルクT2に差を設けるようにしたものである。
【0074】
図4に示す空調装置1は、図1に示す空調装置1をX軸回りに90度回転させて配置したもので、図1に示す空調装置1と同じ構成である。駆動軸5は、垂直方向であるZ軸方向に沿って延びている。開閉扉4は、駆動軸5の時計回り方向回転で開き方向に駆動され、駆動軸5の反時計回り方向回転で閉じ方向に駆動される。駆動軸5を時計回り方向に回転駆動する第1軸駆動トルクA1と、反時計回り方向に回転駆動する第2軸駆動トルクA2は、第1実施形態とは異なり、開閉扉4の自重の影響を受けないので、等しい(A1=A2)。
【0075】
本実施形態のロープ駆動装置10は、図1図3に示すロープ駆動装置10を使用している。したがって、第1ワイヤーロープ15の第1摺動抵抗R1が第2ワイヤーロープ16の第2摺動抵抗R2よりも大きいので(R1>R2)、第1ワイヤーロープ15を引く際の第1摺動トルクS1が第2ワイヤーロープ16を引く際の第2摺動トルクS2よりも大きい(S1>S2)。
【0076】
このことから、操作ダイアル24を時計回り方向に回して開閉扉4を開方向に回転駆動する際の第1操作駆動トルクT1(T1=S1+A1)は、操作ダイアル24を反時計回り方向に回して開閉扉4を閉方向に回転駆動する際の第2操作駆動トルクT2(T2=S2+A2)よりも大きい。
【0077】
本実施形態において、操作ダイアル24を時計回り方向に回転操作する際の第1操作駆動トルクT1を反時計回り方向に回転操作する際の第2操作駆動トルクT2を作為的に大きくすることで、風量を増大する方向に操作ダイアル24を回転操作すると重いので、風量増大方向に操作ダイアル24を回していることを操作者に感覚的に認識させることができる。逆に、操作ダイアル24を反時計回り方向に回転操作すると軽いので、風量減少方向に操作ダイアル24を回していることを操作者に感覚的に認識させることができる。
【0078】
上記した各実施形態において、操作ダイアル24により空調装置1の風量を調整するようにしているが、温度調整をする場合に、例えば昇温側を重く降温側を軽くして温度調整方向を操作者に感覚的に認識できるようにしても良い。
【0079】
また、ガスの火加減調整つまみをロープ駆動装置10で遠隔操作することで、注意度が高い強火方向では重い操作感が得られ、注意度が低い弱火方向には軽い操作感が得られることもでき、操作時の注意喚起を促すことができる。
【0080】
なお、上記した各実施形態において、第1ワイヤーロープ15の第1摺動抵抗R1と第2ワイヤーロープ16の第2摺動抵抗R2の差は、ワイヤーロープの直径の大小の要素と、ワイヤーロープの撚り構造の相違の要素と、ワイヤーロープが接触する台座の半径の大小の要素の全てに基づいてそれぞれ設定しているが、いずれか一つの要素だけで設定しても良く、いずれか二つの要素に基づいて設定するようにしても良い。さらに、これら3つの要素に限定されるものではなく、摺動抵抗に影響を及ぼす他の要素を単独あるいは組み合わせて用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明によるロープ駆動装置は、実施形態に示した自動車の空調装置の開閉扉を遠隔操作により開閉駆動する装置、温度調節装置の他に、窓の開閉装置、マニピュレータ、スライドドアの駆動装置、ガスの火加減調節つまみの駆動等に利用することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 空調装置
2 通風ダクト 3 開口部 4 開閉扉 5 駆動軸
10 ロープ駆動装置
11 入力部
12 出力部
13 アウターチューブ
13a 本体 13b 第1チューブ部 13c 第2チューブ部
14 ワイヤーロープユニット
15 第1ワイヤーロープ 16 第2ワイヤーロープ
17 第1固定具 18 第2固定具
19 入力プーリ収容部
19a 一方の開放端 19b 他方の開放端
20 入力ハウジング
21 入力プーリ
22 入力軸 23 奥壁部 24 操作ダイアル
25 アウターチューブ差込部
25a 一方の内端 25b 他方の内端
26 段部
27 第1湾曲部
28 第2湾曲部
29 第1係合部
30 出力プーリ収容部
30a 一方の開放端 30b 他方の開放端
31 出力ハウジング
32 出力プーリ
33a 前壁部 33b 奥壁部
34 アウターチューブ差込部
34a 一方の内端 34b 他方の内端
35 段部 36 第3湾曲部
37 第4湾曲部
38 第2係合部
41、43 ワイヤー 42 一束のワイヤーロープ
図1
図2
図3
図4