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特許7032902固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/3728 20110101AFI20220302BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
H04N5/3728
H01L27/146 D
H01L27/146 F
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2017194827
(22)【出願日】2017-10-05
(65)【公開番号】P2019068373
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】521182560
【氏名又は名称】ブリルニクス シンガポール プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】特許業務法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】盛 一也
【審査官】大室 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-300614(JP,A)
【文献】特開2005-123538(JP,A)
【文献】国際公開第2016/009942(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/339
H01L27/14-27/148
H01L27/30
H01L29/762
H04N 5/30-5/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行列状に配置された複数の光電変換部および前記複数の光電変換部の信号電荷を列または行単位で転送する複数の電荷転送部を含む感光部を有し、
前記感光部は、
第1基板面側と、当該第1基板面側と対向する側の第2基板面側とを有する基板に形成され、分離層により分離された画素セルを含み、
前記画素セルは、
前記基板に対して埋め込むように形成された第1導電型半導体層を含み、受光した光の光電変換機能および電荷蓄積機能を有する前記光電変換部と、
前記光電変換部の前記第1導電型半導体層の側部に形成された第2導電型分離層と、
前記第2導電型分離層の前記第2基板面側に形成され、前記光電変換部に蓄積された信号電荷を転送可能な電荷転送ゲート部と、
前記第2導電型分離層の前記第2基板面側に形成され、前記電荷転送ゲート部により転送された信号電荷を行方向または列方向に転送可能な電荷転送路ゲート部と、
少なくとも前記第2導電型分離層に形成され、少なくとも前記電荷転送路ゲート部の素子領域への光の入射を阻止する遮光部と、を含み、
少なくとも一つの前記画素セルは、
前記第2導電型分離層の前記第2基板面側に形成され、前記光電変換部から溢れた信号電荷を排出する横型オーバーフロードレイン部を含み、
前記遮光部は、
前記横型オーバーフロードレイン部が形成されている素子領域幅内の前記第2導電型分離層において、深さ方向に埋め込まれた第4の埋め込み遮光部を含む
固体撮像装置。
【請求項2】
行列状に配置された複数の光電変換部および前記複数の光電変換部の信号電荷を列または行単位で転送する複数の電荷転送部を含む感光部を有し、
前記感光部は、
第1基板面側と、当該第1基板面側と対向する側の第2基板面側とを有する基板に形成され、分離層により分離された画素セルを含み、
前記画素セルは、
前記基板に対して埋め込むように形成された第1導電型半導体層を含み、受光した光の光電変換機能および電荷蓄積機能を有する前記光電変換部と、
前記光電変換部の前記第1導電型半導体層の側部に形成された第2導電型分離層と、
前記第2導電型分離層の前記第2基板面側に形成され、前記光電変換部に蓄積された信号電荷を転送可能な電荷転送ゲート部と、
前記第2導電型分離層の前記第2基板面側に形成され、前記電荷転送ゲート部により転送された信号電荷を行方向または列方向に転送可能な電荷転送路ゲート部と、
少なくとも前記第2導電型分離層に形成され、少なくとも前記電荷転送路ゲート部の素子領域への光の入射を阻止する遮光部と、を含み、
一の前記電荷転送部を挟んで隣接する列または行の第1の画素セルおよび第2の画素セルを含み、
前記第1の画素セルおよび前記第2の画素セルは、
前記一の電荷転送部を形成する一の前記第2導電型分離層を挟んで隣接し、
前記第1の画素セルは、
第1の前記光電変換部が第1の感度を有し、第1の前記電荷転送ゲート部および第1の前記電荷転送路ゲート部が、前記第1の光電変換部よりの前記一の第2導電型分離層の前記第2基板面側に形成され、
前記第2の画素セルは、
第2の前記光電変換部が前記第1の感度と異なる第2の感度を有し、第2の前記電荷転送ゲート部および第2の前記電荷転送路ゲート部が、前記第2の光電変換部よりの前記一の第2導電型分離層の前記第2基板面側に形成されている
固体撮像装置。
【請求項3】
前記遮光部は、
前記第1の電荷転送ゲート部および前記第2の電荷転送ゲート部がそれぞれ形成されている素子領域幅内の前記第2導電型分離層において、深さ方向に埋め込まれた2つの第5の埋め込遮光部と、
前記第1の電荷転送路ゲート部および前記第2の電荷転送路ゲート部がそれぞれ形成されている素子領域間の前記第2導電型分離層において、深さ方向に埋め込まれた第6の埋め込遮光部と、を含む
請求項2記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記遮光部は、
前記電荷転送ゲート部が形成されている素子領域幅内の前記第2導電型分離層において、深さ方向に埋め込まれた第1の埋め込遮光部と、
前記電荷転送路ゲート部が形成されている素子領域幅外で隣接の画素セル側の前記第2導電型分離層において、深さ方向に埋め込まれた第2の埋め込遮光部と、を含む
請求項1から3のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記遮光部は、
前記基板の前記第1基板面側の基板外において、少なくとも前記第1の埋め込み遮光部と前記第2の埋め込み遮光部に挟まれた電荷転送路ゲート部が形成されている素子領域内の前記第2導電型分離層に対向するように形成された第3の遮光部を含む
請求項記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記遮光部は、
前記基板の前記第1基板面側の基板外において、前記第1の埋め込み遮光部と前記第2の埋め込み遮光部が、前記基板の前記第1基板面側の基板外に延びるように形成されている
請求項記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記電荷転送部により転送された信号電荷を電気信号に変換して出力する変換出力部を有する
請求項1から6のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記変換出力部は、列または行数に応じて配置されている
請求項7記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記変換出力部は、一または複数の画素セルごとに配置されている
請求項記載の固体撮像装置。
【請求項10】
前記変換出力部による前記電気信号に対して所定の処理を行う周辺回路部と、
前記変換出力部による前記電気信号の前記周辺回路部への転送を中継する中継部と、
前記感光部および前記変換出力部が形成された第1の基板と、
前記周辺回路部が形成された第2の基板と、を有し、
少なくとも前記第1の基板と前記第2の基板は積層され、
前記中継部は、
前記第1の基板に形成された前記変換出力部と前記第2の基板に形成された前記周辺回路部とを、前記感光部の感光領域外で基板を通した接続部により電気的に接続している
請求項記載の固体撮像装置。
【請求項11】
前記変換出力部による前記電気信号に対して所定の処理を行う周辺回路部と、
前記変換出力部による前記電気信号の前記周辺回路部への転送を中継する中継部と、
前記感光部および前記変換出力部が形成された第1の基板と、
前記周辺回路部が形成された第2の基板と、を有し、
少なくとも前記第1の基板と前記第2の基板は積層され、
前記中継部は、
前記第1の基板に形成された前記変換出力部と前記第2の基板に形成された前記周辺回路部とを、基板を通した接続部により電気的に接続している
請求項9記載の固体撮像装置。
【請求項12】
前記中継部は、
前記第1の基板および前記第2の基板の少なくとも一方に、前記変換出力部による電気信号を増幅するソースフォロア部が形成されている
請求項10または11記載の固体撮像装置。
【請求項13】
前記ソースフォロア部は、
直列に接続される増幅部と電流源部とを含み、前記増幅部が前記第1の基板に形成され、前記電流源部が前記第2の基板に形成され、前記電流源部と接続される前記増幅部の出力端側から増幅した信号を前記周辺回路部に出力し、
前記中継部は、
前記第1の基板に形成された前記変換出力部と前記ソースフォロア部の前記増幅部の入力端を接続し、前記増幅部の出力端と前記第2の基板に形成された電流源部とを前記接続部を介して接続している
請求項12記載の固体撮像装置。
【請求項14】
行列状に配置された複数の光電変換部および前記複数の光電変換部の信号電荷を列または行単位で転送する複数の電荷転送部を含む感光部を形成する工程を有し、
前記感光部を形成する工程は、
第1基板面側と、当該第1基板面側と対向する側の第2基板面側とを有する基板に、分離層により分離された画素セルを形成する工程を含み、
前記画素セルを形成する工程は、
第1導電型半導体層を前記基板に対して埋め込むように形成し、受光した光の光電変換機能および電荷蓄積機能を有する前記光電変換部を形成する工程と、
前記光電変換部の前記第1導電型半導体層の側部に第2導電型分離層を形成する工程と、
前記第2導電型分離層の前記第2基板面側に、前記光電変換部に蓄積された信号電荷を転送可能な電荷転送ゲート部を形成する工程と、
前記第2導電型分離層の前記第2基板面側に、前記電荷転送ゲート部により転送された信号電荷を行方向または列方向に転送可能な電荷転送路ゲート部を形成する工程と、
少なくとも前記第2導電型分離層に、少なくとも前記電荷転送路ゲート部の素子領域への光の入射を阻止する遮光部を形成する工程と、を含み、
少なくとも一つの前記画素セルは、
前記第2導電型分離層の前記第2基板面側に形成され、前記光電変換部から溢れた信号電荷を排出する横型オーバーフロードレイン部を含んで形成し、
前記遮光部は、
前記横型オーバーフロードレイン部が形成されている素子領域幅内の前記第2導電型分離層において、深さ方向に埋め込まれた第4の埋め込み遮光部を含んで形成する
固体撮像装置の製造方法。
【請求項15】
行列状に配置された複数の光電変換部および前記複数の光電変換部の信号電荷を列または行単位で転送する複数の電荷転送部を含む感光部を形成する工程を有し、
前記感光部を形成する工程は、
第1基板面側と、当該第1基板面側と対向する側の第2基板面側とを有する基板に、分離層により分離された画素セルを形成する工程を含み、
前記画素セルを形成する工程は、
第1導電型半導体層を前記基板に対して埋め込むように形成し、受光した光の光電変換機能および電荷蓄積機能を有する前記光電変換部を形成する工程と、
前記光電変換部の前記第1導電型半導体層の側部に第2導電型分離層を形成する工程と、
前記第2導電型分離層の前記第2基板面側に、前記光電変換部に蓄積された信号電荷を転送可能な電荷転送ゲート部を形成する工程と、
前記第2導電型分離層の前記第2基板面側に、前記電荷転送ゲート部により転送された信号電荷を行方向または列方向に転送可能な電荷転送路ゲート部を形成する工程と、
少なくとも前記第2導電型分離層に、少なくとも前記電荷転送路ゲート部の素子領域への光の入射を阻止する遮光部を形成する工程と、を含み、
一の前記電荷転送部を挟んで隣接する列または行の第1の画素セルおよび第2の画素セルを形成する工程を含み、
前記第1の画素セルおよび前記第2の画素セルは、
前記一の電荷転送部を形成する一の前記第2導電型分離層を挟んで隣接し、
前記第1の画素セルは、
第1の前記光電変換部が第1の感度を有し、第1の前記電荷転送ゲート部および第1の前記電荷転送路ゲート部が、前記第1の光電変換部よりの前記一の第2導電型分離層の前記第2基板面側に形成され、
前記第2の画素セルは、
第2の前記光電変換部が前記第1の感度と異なる第2の感度を有し、第2の前記電荷転送ゲート部および第2の前記電荷転送路ゲート部が、前記第2の光電変換部よりの前記一の第2導電型分離層の前記第2基板面側に形成される
固体撮像装置の製造方法。
【請求項16】
固体撮像装置と、
前記固体撮像装置の感光部に結像する光学系と、を有し、
前記固体撮像装置は、
行列状に配置された複数の光電変換部および前記複数の光電変換部の信号電荷を列または行単位で転送する複数の電荷転送部を含む前記感光部を有し、
前記感光部は、
第1基板面側と、当該第1基板面側と対向する側の第2基板面側とを有する基板に形成され、分離層により分離された画素セルを含み、
前記画素セルは、
前記基板に対して埋め込むように形成された第1導電型半導体層を含み、受光した光の光電変換機能および電荷蓄積機能を有する前記光電変換部と、
前記光電変換部の前記第1導電型半導体層の側部に形成された第2導電型分離層と、
前記第2導電型分離層の前記第2基板面側に形成され、前記光電変換部に蓄積された信号電荷を転送可能な電荷転送ゲート部と、
前記第2導電型分離層の前記第2基板面側に形成され、前記電荷転送ゲート部により転送された信号電荷を行方向または列方向に転送可能な電荷転送路ゲート部と、
少なくとも前記第2導電型分離層に形成され、少なくとも前記電荷転送路ゲート部の素子領域への光の入射を阻止する遮光部と、を含み、
少なくとも一つの前記画素セルは、
前記第2導電型分離層の前記第2基板面側に形成され、前記光電変換部から溢れた信号電荷を排出する横型オーバーフロードレイン部を含み、
前記遮光部は、
前記横型オーバーフロードレイン部が形成されている素子領域幅内の前記第2導電型分離層において、深さ方向に埋め込まれた第4の埋め込み遮光部を含む
電子機器。
【請求項17】
固体撮像装置と、
前記固体撮像装置の感光部に結像する光学系と、を有し、
前記固体撮像装置は、
行列状に配置された複数の光電変換部および前記複数の光電変換部の信号電荷を列または行単位で転送する複数の電荷転送部を含む前記感光部を有し、
前記感光部は、
第1基板面側と、当該第1基板面側と対向する側の第2基板面側とを有する基板に形成され、分離層により分離された画素セルを含み、
前記画素セルは、
前記基板に対して埋め込むように形成された第1導電型半導体層を含み、受光した光の光電変換機能および電荷蓄積機能を有する前記光電変換部と、
前記光電変換部の前記第1導電型半導体層の側部に形成された第2導電型分離層と、
前記第2導電型分離層の前記第2基板面側に形成され、前記光電変換部に蓄積された信号電荷を転送可能な電荷転送ゲート部と、
前記第2導電型分離層の前記第2基板面側に形成され、前記電荷転送ゲート部により転送された信号電荷を行方向または列方向に転送可能な電荷転送路ゲート部と、
少なくとも前記第2導電型分離層に形成され、少なくとも前記電荷転送路ゲート部の素子領域への光の入射を阻止する遮光部と、を含み、
一の前記電荷転送部を挟んで隣接する列または行の第1の画素セルおよび第2の画素セルを含み、
前記第1の画素セルおよび前記第2の画素セルは、
前記一の電荷転送部を形成する一の前記第2導電型分離層を挟んで隣接し、
前記第1の画素セルは、
第1の前記光電変換部が第1の感度を有し、第1の前記電荷転送ゲート部および第1の前記電荷転送路ゲート部が、前記第1の光電変換部よりの前記一の第2導電型分離層の前記第2基板面側に形成され、
前記第2の画素セルは、
第2の前記光電変換部が前記第1の感度と異なる第2の感度を有し、第2の前記電荷転送ゲート部および第2の前記電荷転送路ゲート部が、前記第2の光電変換部よりの前記一の第2導電型分離層の前記第2基板面側に形成されている
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を検出して電荷を発生させる光電変換素子を用いた固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光を検出して電荷を発生させる光電変換素子を用いた固体撮像装置(イメージセンサ)として、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが実用に供されている。
CCDイメージセンサおよびCMOSイメージセンサは、デジタルカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ、医療用内視鏡、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話等の携帯端末装置(モバイル機器)等の各種電子機器の一部として広く適用されている。
【0003】
CCDイメージセンサとCMOSイメージセンサは、フォトダイオードを光電変換素子に使用するが、光電変換された信号電荷の転送方式が異なる。
CCDイメージセンサでは、垂直転送部(垂直CCD、VCCD)と水平転送部(水平CCD、HCCD)により信号電荷を出力部に転送してから電気信号に変換して増幅する。
これに対して、CMOSイメージセンサでは、フォトダイオードを含む画素ごとに変換された電荷を増幅して読み出し信号として出力する。
【0004】
以下に、CCDイメージセンサの基本構成について説明する。
【0005】
図1は、インターライン転送(IT)型CCDイメージセンサの基本構成を示す図である。
【0006】
IT(Interline Transfer)型CCDイメージセンサ1は、基本的に感光部2、水平転送部(水平CCD)3、および出力部4を含んで構成されている。
感光部2は、行列状に配置され、入射光をその光量に応じた電荷量の信号電荷に変換する複数の画素部21、および複数の画素部21の各信号電荷を列単位で垂直転送する遮光された電荷転送部としての垂直転送部(垂直CCD)22を有する。
水平CCD3は、複数の垂直CCD22からシフトされた1ライン分の信号電荷を水平走査期間において順次水平に転送する。
出力部4は、転送された信号電荷を信号電圧に変換する、電荷検出用浮遊拡散層であるフローティングディフュージョン(FD:Floating Diffusion)を含み、FDで得られた信号を図示しない信号処理系に出力する。
【0007】
このIT型CCDイメージセンサ1では、垂直CCDがアナログメモリとして機能し、ラインシフトと水平CCD3の水平転送を繰り返して、出力部4から全画素の信号(フレーム信号)を順次出力する。
【0008】
このIT型CCDイメージセンサ1は、プログレッシブ読み出し(プログレッシブスキャン)が可能であるが、水平CCD3で信号電荷を転送するため、高速転送が困難な構造となっている。
【0009】
図2は、フレームインターライン転送(FIT)型CCDイメージセンサの基本構成を示す図である。
【0010】
FIT(Frame Interline Transfer)型CCDイメージセンサ1Aは、IT型CCDイメージセンサ1の感光部2の垂直CCD22の出力段と水平CCD3との間に、遮光された電荷蓄積部(ストレージ部)5が配置された構成を有する。
FIT型CCDイメージセンサ1Aでは、画素部21から信号電荷(束)を受け取った感光部2の垂直CCD22から、高速フレーム転送により全信号電荷が完全遮光されたストレージ部5に一斉に転送される。
【0011】
このように、FIT型CCDイメージセンサ1Aは、感光部2において画素部21から読み出された信号電荷は垂直CCD22によりストレージ部5に一斉に転送されるため、図1のIT型CCDイメージセンサ1に比べ、高速転送が可能である。
ただし、FIT型CCDイメージセンサ1Aは、ストレージ部5を形成するため、チップ面積がIT型CCDイメージセンサの約2倍程度大きくなる。
【0012】
以上、CCDイメージセンサの基本構成について説明した。
上述したCCDイメージセンサは、全画素同時に光電荷の蓄積を開始するグローバルシャッタ読み出しが可能であるという特徴を有する。
【0013】
しかしながら、IT型CCDイメージセンサ1は、プログレッシブ読み出しが可能であるが、水平CCD3で信号電荷を転送するため、高速転送が困難であるという不利益がある。
【0014】
FIT型CCDイメージセンサ1Aは、IT型CCDイメージセンサ1に比べ、高速転送が可能であるが、ストレージ部5を形成するため、チップ面積がIT型CCDイメージセンサの約2倍程度大きくなる。
【0015】
これに対して、通常のCMOSイメージセンサは、信号の高速転送が可能であるが、グローバルシャッタ読み出しができないという不利益がある。
【0016】
また、グローバルシャッタ読み出しができない欠点を改善しているCMOSイメージセンサは、非特許文献1に記載されているように、4画素を選択して読み出す構成のため、厳密な意味でのグローバルシャッタが実現できてはいない。
このように、CMOSイメージセンサは、厳密にはグローバルシャッタを実現できず、同時読み出しは実現できないため、動体撮影時の被写体ブレを完全になくすことは困難である。
また、CMOSイメージセンサは、画素を結合することで寄生容量が増大し、検出ゲインの低下を招く。
これらのことに起因して、CMOSイメージセンサは、グローバルシャッタ読み出しと読み出しゲインがトレードオフとなってしまい、多くの画素を連結して読み出すことが困難である。換言すると、CMOSイメージセンサは、画素加算に制約がある。
CMOSイメージセンサは、積層構造を形成するためにピクセル・アレイ中にバンプ構造を形成する必要があり、レイアウト上の制約や、暗電流、白キズ等の画素特性の劣化を招くおそれがある。
また、CMOSイメージセンサは、kTCノイズが増加するという欠点がある。
【0017】
そこで、これらの課題を解消すべく、小さなチップ面積で、高速読み出しが可能となり、しかもレイアウト上の制約が少なく、白キズ等の画素特性の劣化を抑止することが可能な固体撮像装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0018】
この固体撮像装置は、特許文献1に示されているように、行列状に配置された複数の光電変換素子の信号電荷を列単位で転送する複数の電荷転送部を含む感光部と、電荷転送部を転送された信号電荷を電気信号に変換して出力する変換出力部と、変換出力部による電気信号に対して所定の処理を行う周辺回路部と、変換出力部による電気信号の周辺回路部への転送を中継する中継部と、感光部および変換出力部が形成された第1の基板と、周辺回路部が形成された第2の基板と、を有している。
そして、第1の基板と第2の基板は積層され、中継部は、第1の基板に形成された変換出力部と第2の基板に形成された周辺回路部とを、感光部の感光領域外で基板を通した接続部により電気的に接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【文献】特許第6144425号
【非特許文献】
【0020】
【文献】ISSCC 2013 / SESSION 27 / IMAGE SENSORS / 27.3 “A Rolling-Shutter Distortion-Free 3D Stacked Image Sensor with -160dB Parasitic Light Sensitivity In-Pixel Storage Node”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
ところが、特許文献1に記載の固体撮像装置においては、転送路が完全に遮光されていないことから、裏面照射化した場合には転送路が感度を有しているため、グローバルシャッタ機能を備えることが困難である。
また、表面照射構造で、積層化した場合は、貫通電極が受光部を通過するため、受光領域が減少することとなり、第2の基板に信号を送るための増幅部や、転送部を設けてブロック読み出しをすることは困難である。
また、横型オーバーフロー構造は表面照射の場合は、感度劣化を伴う。
【0022】
本発明は、小さなチップ面積で、高速読み出しが可能となり、しかもレイアウト上の制約が少なく、白キズ等の画素特性の劣化を抑止することが可能なことはもとより、裏面照射化した場合にグローバルシャッタ機能を備えることが可能な固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器を提供することにある。
【0023】
また、本発明は、小さなチップ面積で、高速読み出しが可能となり、しかもレイアウト上の制約が少なく、白キズ等の画素特性の劣化を抑止することが可能なことはもとより、表面照射構造で、積層化した場合であっても、ブロック読み出しをすることが可能な固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器を提供することにある。
【0024】
また、本発明は、小さなチップ面積で、高速読み出しが可能となり、しかもレイアウト上の制約が少なく、白キズ等の画素特性の劣化を抑止することが可能なことはもとより、横型オーバーフロー構造を採用した場合であっても、感度劣化を抑止することが可能な固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の第1の観点の固体撮像装置は、行列状に配置された複数の光電変換部および前記複数の光電変換部の信号電荷を列または行単位で転送する複数の電荷転送部を含む感光部を有し、前記感光部は、第1基板面側と、当該第1基板面側と対向する側の第2基板面側とを有する基板に形成され、分離層により分離された画素セルを含み、前記画素セルは、前記基板に対して埋め込むように形成された第1導電型半導体層を含み、受光した光の光電変換機能および電荷蓄積機能を有する前記光電変換部と、前記光電変換部の前記第1導電型半導体層の側部に形成された第2導電型分離層と、前記第2導電型分離層の前記第2基板面側に形成され、前記光電変換部に蓄積された信号電荷を転送可能な電荷転送ゲート部と、前記第2導電型分離層の前記第2基板面側に形成され、前記電荷転送ゲート部により転送された信号電荷を行方向または列方向に転送可能な電荷転送路ゲート部と、少なくとも前記第2導電型分離層に形成され、少なくとも前記電荷転送路ゲート部の素子領域への光の入射を阻止する遮光部と、を含む。
【0026】
本発明の第2の観点の固体撮像装置の製造方法は、行列状に配置された複数の光電変換部および前記複数の光電変換部の信号電荷を列または行単位で転送する複数の電荷転送部を含む感光部を形成する工程を有し、前記感光部を形成する工程は、第1基板面側と、当該第1基板面側と対向する側の第2基板面側とを有する基板に、分離層により11分離された画素セルを形成する工程を含み、前記画素セルを形成する工程は、第1導電型半導体層を前記基板に対して埋め込むように形成し、受光した光の光電変換機能および電荷蓄積機能を有する前記光電変換部を形成する工程と、前記光電変換部の前記第1導電型半導体層の側部に第2導電型分離層を形成する工程と、前記第2導電型分離層の前記第2基板面側に、前記光電変換部に蓄積された信号電荷を転送可能な電荷転送ゲート部を形成する工程と、前記第2導電型分離層の前記第2基板面側に、前記電荷転送ゲート部により転送された信号電荷を行方向または列方向に転送可能な電荷転送路ゲート部を形成する工程と、少なくとも前記第2導電型分離層に、少なくとも前記電荷転送路ゲート部の素子領域への光の入射を阻止する遮光部を形成する工程と、を含む。
【0027】
本発明の第3の観点の電子機器は、固体撮像装置と、前記固体撮像装置の感光部に結像する光学系と、を有し、前記固体撮像装置は、行列状に配置された複数の光電変換部および前記複数の光電変換部の信号電荷を列または行単位で転送する複数の電荷転送部を含む前記感光部を有し、前記感光部は、第1基板面側と、当該第1基板面側と対向する側の第2基板面側とを有する基板に形成され、分離層により分離された画素セルを含み、前記画素セルは、前記基板に対して埋め込むように形成された第1導電型半導体層を含み、受光した光の光電変換機能および電荷蓄積機能を有する前記光電変換部と、前記光電変換部の前記第1導電型半導体層の側部に形成された第2導電型分離層と、前記第2導電型分離層の前記第2基板面側に形成され、前記光電変換部に蓄積された信号電荷を転送可能な電荷転送ゲート部と、前記第2導電型分離層の前記第2基板面側に形成され、前記電荷転送ゲート部により転送された信号電荷を行方向または列方向に転送可能な電荷転送路ゲート部と、少なくとも前記第2導電型分離層に形成され、少なくとも前記電荷転送路ゲート部の素子領域への光の入射を阻止する遮光部と、を含む。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、裏面照射化した場合にグローバルシャッタ機能を備えることが可能となる。
また、本発明によれば、表面照射構造で、積層化した場合であっても、ブロック読み出しをすることが可能となる。
また、本発明によれば、横型オーバーフロー構造を採用した場合であっても、感度劣化を抑止することが可能となる。
また、本発明によれば、小さなチップ面積で、高速読み出しが可能となり、しかもレイアウト上の制約が少なく、白キズ等の画素特性の劣化を抑止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】IT型CCDイメージセンサの基本構成を示す図である。
図2】FIT型CCDイメージセンサの基本構成を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を平面に展開して示す図である。
図4】本実施形態に係る固体撮像装置の基板積層構造の第1例を模式的に示す図である。
図5】本実施形態に係る固体撮像装置の基板積層構造の第2例を模式的に示す図である。
図6】本第1の実施形態に係る固体撮像装置において積層される第1の基板の感光部と第2基板の周辺回路部の実際の配置関係を説明するための図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る画素セルアレイのレイアウトの一例を示す図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係る画素セルの主要部の構成例を示す簡略断面図およびポテンシャル図であって、図7のa-a線に沿った簡略断面図およびポテンシャル図である。
図9】本発明の第1の実施形態に係る画素セルの主要部の構成例を示す簡略断面図およびポテンシャル図であって、図7のb-b線に沿った簡略断面図およびポテンシャル図である。
図10】本発明の第1の実施形態に係る画素セルの主要部の構成例を示す簡略断面図およびポテンシャル図であって、図7のc-c線に沿った簡略断面図およびポテンシャル図である。
図11】本発明の第1の実施形態に係る画素セルアレイの電荷転送の一例を示す図である。
図12】本実施形態に係る変換出力部の基本的な構成例を示す図である。
図13】本発明の第1の実施形態に係る変換出力部を含む画素セルアレイのレイアウト図およびポテンシャル図の一例を示す図である。
図14】本実施形態に係る積層された第1の基板および第2の基板、並びに中継部の概略的な第1の構成例を説明するための簡略断面図である。
図15】本実施形態に係る積層された第1の基板および第2の基板、並びに中継部の概略的な第2の構成例を説明するための簡略断面図である。
図16】本実施形態に係る積層された第1の基板および第2の基板、並びに中継部の具体的な構成例を説明するための簡略断面図である。
図17】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を説明するための簡略断面図である。
図18】本発明の第3の実施形態に係る画素セルアレイのレイアウト図およびポテンシャル図の一例を示す図である。
図19】本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の一部の構成例を平面に展開して示す図である。
図20】本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を説明するための簡略断面図である。
図21】本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用されるカメラシステムを搭載した電子機器の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
【0031】
[第1の実施形態]
図3は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を平面に展開して示す図である。
図4は、本実施形態に係る固体撮像装置の基板積層構造の第1例を模式的に示す図である。
図5は、本実施形態に係る固体撮像装置の基板積層構造の第2例を模式的に示す図である。
図6は、本第1の実施形態に係る固体撮像装置において積層される第1の基板の感光部と第2基板の周辺回路部の実際の配置関係を説明するための図である。
【0032】
本固体撮像装置100は、たとえばFIT(Frame Interline Transfer)型CCDイメージセンサに類似のイメージセンサが適用可能である。
ただし、本固体撮像装置100は、通常のFIT型CCDイメージセンサに設けられる電荷蓄積部(ストレージ部)、水平転送部(HCCD)を有していない。
【0033】
そして、本固体撮像装置100は、裏面照射化した場合にグローバルシャッタ機能を備えることが可能となるように、感光部のフォトダイオード部並びに電荷転送部としての垂直CCDをほぼ完全に遮光して寄生感度を抑制する遮光部を有している。
遮光部は、少なくとも第2導電型(たとえば本実施形態ではp型)分離層にDTI(Deep Trench Isolation)として形成され、少なくとも電荷転送路ゲート部の素子領域、特に、n-半導体領域への光の入射を阻止するように形成されている。
【0034】
固体撮像装置100は、第1の基板110、第2の基板120、および第3の基板130を積層した構造を有する。
固体撮像装置100は、たとえば、図4および図5に示すように、第3の基板130上に第2の基板120が積層され、第2の基板120上に第1の基板110が積層される。
なお、積層される基板は、たとえば図4に示すように貼りあわされ、あるいは、図5に示すように圧着やマイクロバンプにより接合される。
そして、各基板間の電気的な接続は接続部としての貫通ビア(Through Silicon Via:TSV)140やマイクロバンプ、圧着等の接合部150により実現される。
【0035】
図4の例では、積層された第1の基板110、第2の基板120、および第3の基板130を貫通する貫通ビア140を通して各基板間の電気的な接続が行われ、貫通ビア140の第3の基板130側の露出部にバンプBMPが接合されている。
【0036】
図5の例では、第1の基板110に貫通ビア140-1が形成され、第2の基板120に貫通ビア140-2が形成されている。第1の基板110の貫通ビア140-1と第2の基板120の貫通ビア140-2が圧着やマイクロバンプにより形成される接合部150により接合される。そして、第1の基板110の貫通ビア140-1の上面側の露出部にボンディングパッド160が接合されている。
【0037】
なお、本実施形態では、第1の基板110には、撮像して得られる信号電荷を蓄積転送および信号電荷を電気信号に変換し出力する機能を備えた撮像素子部200が形成される。
第2の基板120には、撮像素子部200により得られた電気信号に対して所定の処理を行う周辺回路部300が形成される。
【0038】
図3および図6においては、第2の基板120に形成される(搭載される)周辺回路部300として、第1の基板110側から出力され中継部230により中継されるアナログの電気信号(アナログデータ)をデジタル信号(デジタルデータ)に変換するアナログデジタル変換器(ADC)310、および変換後のデジタルデータを記憶するデジタルメモリ320が例示されている。
【0039】
本実施形態において、撮像素子部200として、第1の基板110には撮像機能を有する感光部210、および感光部210で列方向に転送された信号電荷を電気信号(電圧信号)に変換する変換出力部220が形成されている。
そして、本実施形態においては、第1の基板110と第2の基板120間で、変換出力部220による電気信号の周辺回路部300への転送を中継する中継部230が、基本的に両基板に亘って形成されている。
【0040】
固体撮像装置100は、感光部210、変換出力部220等の駆動を制御し、また、周辺回路部300から出力される電気信号に対して所定の処理を行う信号処理および電源部(以下、信号処理部という)400を有している。
図3の信号処理部400は、FPGA等により形成されるタイミングジェネレータ410、画像処理回路(画像処理IC)420、および電源回路(電源IC)430を含んで構成されている。
【0041】
なお、タイミングジェネレータ410、画像処理回路(画像処理IC)420、および電源回路(電源IC)430を含んで構成される信号処理部400は、別基板もしくは第2の基板120や第3の基板130に形成して積層して実装することも可能である。このように構成することにより、小型カメラシステムを単一パッケージに組み込むことも可能となる。
【0042】
第1の基板110に形成される感光部210は、行列(m行n列)状に配置された光電変換素子であるフォトダイオード(PD)を含む光電変換部(画素部)211、および複数の画素部211の光電変換素子の信号電荷を列(または行)単位で転送する複数の電荷転送部である垂直転送部(垂直CCD:VCCD)212(-1~-4)を含む。
感光部210において、垂直転送部212は図示しない遮光部により遮光されており、信号処理部400による2相あるいは4相等の転送パルスによって転送駆動され、画素部211による信号電荷を列方向に転送する。
【0043】
なお、図3および図6においては、図面の簡単化のため、光電変換部(画素部9211および垂直転送部212が6行4列の行列状(m=6、n=4のマトリクス状)に配置されている例が示されている。
図3および図6においては、4列の垂直転送部212-1~212-4が配列されている。
そして、垂直転送部212-1~212-4は、図3および図6中に示す直交座標系のY方向に信号電荷を転送する。
【0044】
(画素セルの構造例)
本第1の実施形態において、感光部210は、上述したように、行列状に配置された複数の光電変換部211および複数の電荷転送部である垂直CCD212を含んで構成されているが、より具体的には、光電変換部211と垂直CCD212の一部を含む画素セルPXLCが行列状に配置されて構成されている。
【0045】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る画素セルアレイのレイアウトの一例を示す図である。
【0046】
図8(A)~(D)は、本発明の第1の実施形態に係る画素セルの主要部の構成例を示す簡略断面図およびポテンシャル図であって、図7のa-a線に沿った簡略断面図およびポテンシャル図である。
図8(A)が簡略断面図を示している。
図8(B)は電荷転送ゲート部2140、電荷転送路ゲート部2120が非導通状態に制御された蓄積状態を示している。
図8(C)は電荷転送ゲート部2140、電荷転送路ゲート部2120が導通状態に制御された第1の読み出し状態を示している。
図8(D)は電荷転送ゲート部2140が非導通状態、電荷転送路ゲート部2120が導通状態に制御された第2の読み出し状態を示している。
【0047】
図9(A)~(D)は、本発明の第1の実施形態に係る画素セルの主要部の構成例を示す簡略断面図およびポテンシャル図であって、図7のb-b線に沿った簡略断面図およびポテンシャル図である。
図9(A)が簡略断面図を示している。
図9(B)は電荷転送路ゲート部2120のゲート2122,2124が非導通状態、ゲート2123が導通状態に制御された状態を示している。
図9(C)は電荷転送路ゲート部2120のゲート2122が非導通状態、ゲート2123,2124が導通状態に制御された第1の垂直転送状態を示している。
図9(D)は電荷転送路ゲート部2120のゲート2122,2123が非導通状態、ゲート2122,2124が導通状態に制御された第2の垂直転送状態を示している。
【0048】
図10(A)~(D)は、本発明の第1の実施形態に係る画素セルの主要部の構成例を示す簡略断面図およびポテンシャル図であって、図7のc-c線に沿った簡略断面図およびポテンシャル図である。
図10(A)が簡略断面図を示している。
図10(B)はラテラルオーバーフローゲート2181,2182が非導通状態に制御された蓄積状態を示している。
図10(C)はラテラルオーバーフローゲート2181,2182が導通状態に制御されたグローバルリセット状態を示している。
図10(D)はラテラルオーバーフローゲート2181が非導通状態,ラテラルオーバーフローゲート2182が導通状態に制御されたグローバルリセット状態を示している。
【0049】
図11(A)~(E)は、本発明の第1の実施形態に係る画素セルアレイの電荷転送の一例を示す図である。
図11(A)が蓄積状態を示し、図11(B)が第1の読み出し状態を示し、図11(C)が第2の読み出し状態を示し、図11(D)が第1の垂直転送状態を示し、図11(E)が第2の垂直転送状態をしめしている。
【0050】
なお、図7においては、図面の簡単化のため、8つの画素セルPXLC00,PXLC01,PXLC10,PXLC11,PXLC20,PXLC21,PXLC30,PXLC31が4行2列の行列状(m=4、n=2のマトリクス状)に配置されている例が示されている。
【0051】
感光部200を形成する各画素セルPXLCは、光Lが照射される第1基板面1101側(たとえば裏面側)と、この第1基板面1101側と対向する側の第2基板面1102側とを有する基板(本例では第1の基板110)に形成され、分離層2130により分離されている。
【0052】
そして、本例の画素セルPLXCは、光電変換部211を形成するフォトダイオード2110、垂直CCD212の一部を形成する電荷転送路ゲート部2120、分離層2130、電荷転送ゲート部2140、遮光部2150、カラーフィルタ部2160、およびマイクロレンズ(ML)2170を含んで構成されている。
【0053】
(フォトダイオードの構成)
フォトダイオード2110は、第1基板面1101側と、第1基板面1101側と対向する側の第2基板面1102側とを有する半導体基板に対して埋め込むように形成された第1導電型(本実施形態ではn型)半導体層(本実施形態ではn層)2111を含み、受光した光の光電変換機能および電荷蓄積機能を有するように形成されている。
フォトダイオード2110の基板の法線に直交する方向(X方向)における側部には第2の導電型(本実施形態ではp型)分離層2130が形成されている。
【0054】
このように、本実施形態では、各画素PXLCにおいて、フォトダイオード(PD)としては、埋め込み型フォトダイオード(PPD)が用いられる。
フォトダイオード(PD)を形成する基板表面にはダングリングボンドなどの欠陥による表面準位が存在するため、熱エネルギーによって多くの電荷(暗電流)が発生し、正しい信号が読み出せなくなってしまう。
埋め込み型フォトダイオード(PPD)では、フォトダイオード(PD)の電荷蓄積部を基板内に埋め込むことで、暗電流の信号への混入を低減することが可能となる。
【0055】
図8のフォトダイオード2110においては、n層(第1導電型半導体層)2111が、基板110の法線方向(図中の直交座標系のZ方向)に3層構造を持つように構成されている。
本例では、第1基板面1101側にn---層2112が形成され、このn---層2112の第2基板面1102側にn--層2113が形成され、このn--層2113の第2基板面1102側にn-層2114が形成され、このn-層2114の第2基板面212側にp+層2115が形成されている。
また、n---層2112の第1基板面1101側にp+層2116が形成されている。
p+層2116は、フォトダイオード2110のみならず分離層2120、さらには他の画素セルPXLCにわたって一様に形成されている。
【0056】
なお、このP+層2116の光入射側には、カラーフィルタ部2160が形成され、さらに、カラーフィルタ部2160の光入射射側であって、フォトダイオード2110および分離層2130の一部に対応するようにマイクロレンズ2170が形成されている。
【0057】
これらの構成は一例であり、単層構造であってもよく、また、2層、4層以上の積層構造であってもよい。
【0058】
(X方向(列方向)における分離層の構成)
図8のX方向(列方向)におけるp型分離層2130においては、フォトダイオード2110のn層2111と接する側であって基板の法線に直交する方向(図中の直交座標系のX方向)の右側部に、第1のp層(第2導電型半導体層)2131が形成されている。
さらに、p型分離層230においては、第1のp層2131のX方向の右側に、第2のp層(第2導電型半導体層)2132が、基板110の法線方向(図中の直交座標系のZ方向)に2層構造を持つように構成されている。
本例では、第2のp層2132において、第1基板面1101側にp層2133が形成され、このp層2133の第2基板面1102側にp-層2134が形成されている。
【0059】
これらの構成は一例であり、単層構造であってもよく、また、3層、4層以上の積層構造であってもよい。
【0060】
p型分離層2130の第1のp層2131および第2のp層2132の第1の基板面1101側にはフォトダイオード2110と同様のp+層2116が形成されている。
【0061】
p型分離層2130の第1のp層2131の第2の基板面1102側には電荷転送ゲート部2140が形成されている。
そして、p型分離層2130の第1のp層2131の第2の基板面1102側にはゲート絶縁膜を介してゲート2141が形成されている。
【0062】
電荷転送ゲート部2140は、ゲート2141に供給される制御信号TGに応じて導通状態(オン状態)と非導通状態(オフ状態)が制御され、導通状態時にフォトダイオード2110に蓄積された信号電荷を電荷転送路ゲート部2120に転送する。
【0063】
p型分離層2130の第2のp層2132の第2の基板面1102側には電荷転送路ゲート部2120が形成されている。
p型分離層2130の第2のp層2132の第2の基板面1102側には第1導電型半導体層であるn-層2121がY方向に延びるように形成されている。
そして、図8および図9に示すように、p型分離層2130の第2のp層2132の第2の基板面1102側にはゲート絶縁膜を介してゲート2122(V1)、2123(V2)、2124(V3)がY方向に形成されている。
【0064】
電荷転送路ゲート部2120は、ゲート2122,2123,2124に供給される制御信号V1、V2、V3に応じて導通状態(オン状態)と非導通状態(オフ状態)が制御され、導通状態時に垂直CCD212をY方向に転送される信号電荷を次段の電荷転送路ゲート部2120に転送する。
【0065】
(遮光部の構成)
遮光部2150は、各画素セルPXLCにおいて、少なくとも、電荷転送路ゲート部2120、特に素子領域としてのn-層2121への光の入射を阻止するように、少なくとも第2導電型分離層2130内に形成されている。
好適には、第2導電型分離層2130内の遮光部と連携するように、基板110の第1基板面1101側の基板外に形成される。
【0066】
図8に示す遮光部2150は、基本的に、第1の埋め込み遮光部2151、第2の埋め込み遮光部2152、および第3の非埋め込み遮光部2153により構成されている。
【0067】
第1の埋め込み遮光部2151は、電荷転送ゲート部2140が形成されている素子領域幅内の第2導電型分離層2130、具体的には、第2導電型分離層2130の第1のp層2131において、第1基板面1101側から第2基板面1102側に向かって深さ方向(Z方向)に埋め込まれたDTI(Deep Trench Isolation)として形成されている。
【0068】
第2の埋め込遮光部2152は、電荷転送路ゲート部2120が形成されている素子領域幅外で隣接の画素セル側の第2導電型分離層2130、具体的には、第2導電型分離層2130の第2のp層2132において、第1基板面1101側から第2基板面1102側に向かって深さ方向(Z方向)に埋め込まれたDTIとして形成されている。
【0069】
第1の埋め込み遮光部2151および第2の埋め込み遮光部2152は、遮光性のある材料、たとえば、W(タングステン)、Al(アルミニウム)、Cu(銅)などにより形成される。
【0070】
第3の非埋め込み遮光部2153は、基板110の第1基板面1101側の基板外において、第1の埋め込み遮光部2151と第2の埋め込み遮光部2152にX方向において挟まれた電荷転送路ゲート部2120が形成されている素子領域内の第2導電型分離層2130の第1基板面1101側における第1のp層2131および第2のp層2132に対向するように形成されている。
本実施形態において、第3の非埋め込み遮光部2153は、光照射側に配列され、隣接する画素セルPXLCのマイクロレンズ2170の境界部分のカラーフィルタ部2160にX方向に長くなるように埋め込まれるグリッド(Grid)と兼用されている。
【0071】
上記した構成を有する遮光部2150が設けられていることから、第1基板面1101側(たとえば裏面側)から照射された光Lのうち、マイクロレンズ2170で集光された光の大部分は画素セルPXLCのフォトダイオード2110に入射され、光電変換されて蓄積される。
また、マイクロレンズ2170により集光されたがある大きな角度をもって斜めに入射し、分離層2130側に入射した光は、図8において左側に隣接する画素セルPXLCの分離層2130の第2の埋め込み遮光部2152によって反射され、照射光の電荷転送路ゲート部2120の素子領域としてのn-層2121への入射が阻止される。そして、照射光は第2の埋め込み遮光部2152によってフォトダイオード2110に戻るように反射され、光電変換され、信号電荷として蓄積される。
同様に、マイクロレンズ2170により集光されたがある大きな角度をもって斜めに入射し、分離層2130側に入射した光は、図8において自画素セルPXLCの分離層2130の第1の埋め込み遮光部2151によって反射され、照射光の電荷転送路ゲート部1120の素子領域としてのn-層2121への入射が阻止される。そして、照射光は第1の埋め込み遮光部2151によってフォトダイオード2110に戻るように反射され、光電変換され、信号電荷として蓄積される。
また、分離層2130に向かって照射される光Lは、第3の非埋め込み遮光部2153により分離層2130、特に、電荷転送路ゲート部2120の素子領域としてのn-層2121への入射が阻止される。
【0072】
このように、照射される光は、分離層2130に形成された第1の埋め込み遮光部2151および第2の埋め込み遮光部2152によって、フォトダイオード2110に戻るように反射され、また、分離層2130に向かって照射される光Lは、第3の非埋め込み遮光部2153により反射され、照射光の電荷転送路ゲート部1120の素子領域としてのn-層2121への入射が阻止される。
これにより、電荷転送である垂直CCD212が感度を持つことが抑止され、グローバルシャッタ機能を持つことができるようになり、また、照射光は第1の埋め込み遮光部2151および第2の埋め込み遮光部2152によってフォトダイオード2110に戻るように反射され蓄積電荷として用いられることから、効率の良い光電変換機能を実現することが可能となる。
【0073】
(横型オーバーフロードレイン構造)
本第1の実施形態に係る固体撮像装置10は、裏面照射化が可能となっており、感度劣化を抑止することが可能であることから、光電変換部であるフォトダイオード2110から溢れた信号電荷を排出する横型オーバーフロードレイン(Lateral Overflow Drain)構造が採用されている。
【0074】
本第1の実施形態においては、図7および図10に示すように、Y方向(行方向)に隣接する2つの画素セルPXLCで一つの横型オーバーフロードレイン部2180を共有するように構成されている。
図7の例では、画素セルPXLC00とPXLC10、画素セルPXLC01とPXLC11、画素セルPXLC20とPXLC30、画素セルPXLC21とPXLC31が、それぞれ一つの横型(ラテラル)オーバーフロードレイン部2180を共有するように構成されている。
【0075】
本第1の実施形態のラテラル(横型)オーバーフロードレイン部2180は、Y方向に隣接する画素セルPXLC、図10の例では、画素セルPXLC00とPXLC10を分離するY方向の分離層2130Yに形成されている。
【0076】
(Y方向(列方向)における分離層の構成)
図10のY方向(列方向)におけるp型分離層2130Yにおいては、第2のp層(第2導電型半導体層)2132Yが、基板110の法線方向(図中の直交座標系のZ方向)に2層構造を持つように構成されている。
本例では、第2のp層2132Yにおいて、第1基板面1101側にp層2133Yが形成され、このp層2133の第2基板面1102側にp-層2134Yが形成されている。
【0077】
これらの構成は一例であり、単層構造であってもよく、また、3層、4層以上の積層構造であってもよい。
【0078】
Y方向のp型分離層2130Yの第2のp層2132の画素セルPXLC00側の第2の基板面1102側にはゲート絶縁膜を介して、画素セルPXLC00側のラテラルオーバーフローゲート部2180-00の一部を形成するラテラルオーバーフローゲート2181が形成されている。
Y方向のp型分離層2130Yの第2のp層2132の画素セルPXLC01側の第2の基板面1102側にはゲート絶縁膜を介して、画素セルPXLC01側のラテラルオーバーフローゲート部2180-10の一部を形成するラテラルオーバーフローゲート2182が形成されている。
そして、ラテラルオーバーフローゲート2181と2182との間の第2のp層2132の第2の基板面1102側には、ラテラルオーバーフロードレインとしての第1導電型半導体層であるn-層2183が形成されている。
ラテラル(横型)オーバーフロードレイン部2180は、ラテラルオーバーフローゲート2181と2182に供給される制御信号LOに応じて導通状態(オン状態)と非導通状態(オフ状態)が制御され、導通状態時にフォトダイオード2110から溢れた信号電荷を排出する。
【0079】
(Y方向の分離層2130Yに係る遮光部の構成)
Y方向の分離層2130Yに係る遮光部2150は、各画素セルPXLCにおいて、少なくとも、ラテラル(横型)オーバーフロードレイン部2180、特に素子領域としてのn-層2183への光の入射を阻止するように、少なくとも第2導電型分離層2130Y内に形成されている。
好適には、第2導電型分離層2130Y内の遮光部と連携するように、基板110の第1基板面1101側の基板外に形成される。
【0080】
図10に示す遮光部2150Yは、図8に示す遮光部2150と同様に、基本的に、第1の埋め込み遮光部2151、第2の埋め込み遮光部2152に相当する第4の埋め込み遮光部2154,2155、および第3の非埋め込み遮光部2156(図8の第3の非埋め込み遮光部2153に相当)により構成されている。
【0081】
第4の埋め込み遮光部2154は、画素セルPXLC00側のラテラルオーバーフローゲート部2180-00の一部を形成するラテラルオーバーフローゲート2181が形成されている素子領域幅内の第2導電型分離層2130Y、具体的には、第2導電型分離層2130Yの第2のp層2132において、第1基板面1101側から第2基板面1102側に向かって深さ方向(Z方向)に埋め込まれたDTIとして形成されている。
【0082】
第4の埋め込み遮光部2155は、画素セルPXLC01側のラテラルオーバーフローゲート部2180-10の一部を形成するラテラルオーバーフローゲート2182が形成されている素子領域幅内の第2導電型分離層2130Y、具体的には、第2導電型分離層2130Yの第2のp層2132において、第1基板面1101側から第2基板面1102側に向かって深さ方向(Z方向)に埋め込まれたDTIとして形成されている。
【0083】
第4の埋め込み遮光部2154、2154は、遮光性のある材料、たとえば、W(タングステン)、Al(アルミニウム)、Cu(銅)などにより形成される。
あるいは、ポリシリコン、もしくは高屈折率の材料、たとえばTaOなどの強誘電体膜でも同様な遮蔽効果が得られる。
【0084】
第3の非埋め込み遮光部2156は、基板110の第1基板面1101側の基板外において、第4の埋め込み遮光部2154、2155にY方向において挟まれたラテラルオーバーフロードレインとしてのn+層2183が形成されている素子領域内の第2導電型分離層2130の第1基板面1101側における第2のp層2132Yに対向するように形成されている。
本実施形態において、第3の非埋め込み遮光部2156は、光照射側に配列され、隣接する画素セルPXLCのマイクロレンズ2170の境界部分にカラーフィルタ部2160にY方向に長くなるように埋め込まれるグリッド(Grid)と兼用されている。
【0085】
上記した構成を有する遮光部2150Yが設けられていることから、第1基板面1101側(たとえば裏面側)から照射された光Lのうち、マイクロレンズ2170で集光された光の大部分は画素セルPXLCのフォトダイオード2110に入射され、光電変換されて蓄積される。
また、マイクロレンズ2170により集光されたがある大きな角度をもって斜めに入射し、分離層2130側に入射した光は、図10において左側に隣接する画素セルPXLCの分離層2130の第4の埋め込み遮光部2155によって反射され、照射光のラテラルオーバーフロードレイン部の素子領域としてのn+層2183への入射が阻止される。そして、照射光は第4の埋め込み遮光部2155によってフォトダイオード2110に戻るように反射され、光電変換され、信号電荷として蓄積される。
同様に、マイクロレンズ2170により集光されたがある大きな角度をもって斜めに入射し、分離層2130側に入射した光は、図10において自画素セルPXLCの分離層2130Yの第4の埋め込み遮光部2154によって反射され、照射光のラテラルオーバーフロードレイン部の素子領域としてのn+層2183への入射が阻止される。そして、照射光は第2の埋め込み遮光部2154によってフォトダイオード2110に戻るように反射され、光電変換され、信号電荷として蓄積される。
また、分離層2130Yに向かって照射される光Lは、第3の非埋め込み遮光部2156により分離層2130Y、特に、ラテラル(横型)オーバーフロードレイン部2180の素子領域としてのn+層2183への入射が阻止される。
【0086】
このように、照射される光は、分離層2130Yに形成された第4の埋め込み遮光部2154,2155によって、フォトダイオード2110に戻るように反射され、また、分離層2130に向かって照射される光Lは、第3の非埋め込み遮光部2156により反射され、照射光のラテラルオーバーフロードレイン部の素子領域としてのn+層2183への入射が阻止される。
これにより、ラテラルオーバーフロードレイン部2180の感度劣化が抑止され、グローバルシャッタ機能を持つことができるようになり、また、照射光は第4の埋め込み遮光部2154,2155によってフォトダイオード2110に戻るように反射され蓄積電荷として用いられることから、効率の良い光電変換機能を実現することが可能となる。
【0087】
(変換出力部の構成)
第1の基板110に形成される変換出力部220は、感光部210の複数の垂直転送部212-1~212-n(本例ではn=4)により転送された信号電荷を電気信号に変換して、中継部230に出力する。
変換出力部220は、第1の基板110に形成されたn(本例では4)列の垂直転送部212-1~212-4の各々に対応して4つの変換出力部220-1~220-4が配置されている。
【0088】
図12は、本実施形態に係る変換出力部の基本的な構成例を示す図である。
図12は、1列の変換出力部220-1の構成例を示しているが、他の列の変換出力部220-2~220-4も図12と同様の構成を有する。
【0089】
また、図13(A)~(D)は、本発明の第1の実施形態に係る変換出力部を含む画素セルアレイのレイアウト図およびポテンシャル図の一例を示す図である。
図13(A)がレイアウト図を示している。
図13(B)は電荷転送路ゲート部2120のゲート2122、出力ゲート213が非導通状態、ゲート2123、リセットゲート(RG)222が導通状態に制御されたFDリセット状態を示している。
図13(C)は電荷転送路ゲート部2120のゲート2122、出力ゲート213、リセットゲート(RG)222が非導通状態、ゲート2123が導通状態に制御されたFDリセット状態を示している。
図13(D)は電荷転送路ゲート部2120のゲート2122,2123、リセットゲート(RG)222が非導通状態、出力ゲート213が導通状態に制御された読み出し状態を示している。
【0090】
変換出力部220-1は、垂直転送部212-1の出力端部213-1における出力ゲートOG213-1に接続されている。
図12および図13(A)の変換出力部220-1は、フローティングディフュージョン(FD:浮遊拡散層)221、リセットゲート(RG)222、リセットドレイン223を含んで構成されている。
【0091】
変換出力部220-1においては、リセットドレイン223にリセットドレイン電圧VRD(VDD)が印加され、リセットゲート222には信号電荷の検出周期でリセットパルスPRGが印加される。
そして、フローティングディフュージョン221に蓄積された信号電荷は電気信号である信号電圧に変換され、CCD出力信号SOUTとして中継部230に送出される。
【0092】
中継部230は、第1の基板110に形成された感光部210の複数の垂直転送部212により転送され、各変換出力部220-1~220-4にとり変換された電気信号の、第2の基板120に形成された周辺回路部300への転送を中継する。
【0093】
本第1の実施形態の中継部230は、一例として、第1の基板110に形成された変換出力部220-1~220-4と第2の基板120に形成された周辺回路部300とを、感光部210の感光領域PARA外の領域EPARAで基板を通した接続部231(-1~-4)により電気的に接続している。
本第1の実施形態において、接続部231-1~231-4は、たとえばマイクロバンプや貫通ビア(TSV)により形成される。なお、以下の説明では、接続部を貫通ビアという場合もある。
【0094】
本実施形態においては、中継部230は、以下に説明するように、第1の基板110および第2の基板120の感光領域外に相当する領域の少なくとも一方に、変換出力部220-1~220-4による電気信号を増幅するソースフォロア回路が形成されている。
【0095】
[積層された第1の基板および第2の基板、並びに中継部の概略構成例]
ここで、積層された第1の基板および第2の基板、並びにソースフォロア回路を有する中継部の概略的な構成例について説明する。
【0096】
[第1の構成例]
図14は、本実施形態に係る積層された第1の基板および第2の基板、並びに中継部の概略的な第1の構成例を説明するための簡略断面図である。
【0097】
この第1の構成例では、ソースフォロア回路240が第1の基板110Aおよび第2の基板120Aに形成されている。
ソースフォロア回路240は、電源部ODと基準電位間に直列に接続された増幅部241と電流源部242とを含んで構成されている。
【0098】
増幅部241および電流源部242は、MOSFETにより形成され、増幅部241を形成するMOSFETのゲートによりソースフォロア回路240の入力端TI240が形成され、電流源部242との接続側(ソース側)によりソースフォロア回路240の出力端TO240が形成されている。
【0099】
第1の構成例では、ソースフォロア回路240の増幅部241が第1の基板110Aに形成され、電流源部242が第2の基板120Aに形成されている。
【0100】
中継部230Aにおいては、第1の基板110Aに形成された変換出力部220Aのフローティングディフュージョン(FD)221とソースフォロア回路240の増幅部241の入力端(ゲート)TI240が接続されている。そして、増幅部241の出力端TO240と第2の基板120Aに形成された電流源部242とが接続部231を介して接続されている。
そして、ソースフォロア回路240は、電流源部242と接続される増幅部241の出力端TO240側から増幅した信号を周辺回路部300に出力する。
【0101】
本例では、基本的に、画素部211は垂直転送部(垂直CCD)212が隣接しており、プログレッシブ読み出しが可能である。
また、垂直転送部(垂直CCD)212に対応してソースフォロア回路240が配置されており、第2の基板120A上にはADC310およびデジタルメモリ320を含む周辺回路部300が配置されているため、読み出した信号電荷は同時性を維持しつつ、高速にメモリへの転送が可能となる。
なお、図14の例では、第2の基板120Aにおいて、ADC310の入力段に、ソースフォロワ回路240の出力信号を増幅するアンプ(増幅器)330が接続されている。
【0102】
[第2の構成例]
図15は、本実施形態に係る積層された第1の基板および第2の基板、並びに中継部の概略的な第2の構成例を説明するための簡略断面図である。
【0103】
この第2の構成例が上述した第1の構成例と異なる点は、以下の通りである。
第2の構成例では、第2の基板120Bにおいて、アンプ330の出力側にADCに代えてサンプルホールド回路340が配置されている。
【0104】
本例においても、基本的に、画素部211は垂直転送部(垂直CCD)212が隣接しており、プログレッシブ読み出しが可能である。
なお、フローティングディフュージョン(FD)221とは別にラインバッファ部としてのアンプ330を設けることにより、FD部の容量低下による検出感度低下を抑制することがきる。
【0105】
[積層された第1の基板および第2の基板、並びに中継部の具体的な構成例]
ここで、上記に概要を示した第3の構成例における第1の基板110C、第2の基板120C、および中継部の具体的な構成例について説明する。
【0106】
図16は、本実施形態に係る積層された第1の基板および第2の基板、並びに中継部の具体的な構成例を説明するための簡略断面図である。
図16は、1列の垂直転送部212とそれに対応する変換出力部220および中継部230に相当する部分を示している。
本第1の実施形態に係る固体撮像装置10Cは、第1の基板110Cの第1基板面1101側(裏面側)から光Lが照射される裏面照射型イメージセンサとして構成され、第1の基板110Cの第2の基板面1102側(表面側)と第2の基板120Cの表面側を貼り合わせた積層構造を有する。
【0107】
本実施形態において、第1の基板110Cは第1導電型基板、たとえばn型基板111により形成され、第2の基板120Cは第2導電型基板、たとえばp型基板121により形成されている。
第1の基板110Cにおいて、n型基板(n-SUB)111にpウェル(p-WELL)112が形成され、pウェル112の表面部にn層113が形成されている。
このn型基板(n-SUB)111およびpウェル(p-WELL)112の領域に上述した画素セルPXLCのアレイが形成されている。
層113のY方向の一端部にはソースフォロア回路240の増幅部241用トランジスタのドレインとしてのn層114-1が形成されている。n層114-1は、中継部としての貫通ビア141-1と配線層WRを介して接続するように形成されている。
層113の上部にはゲート絶縁膜115を介して垂直転送部212の転送電極(転送ゲート)116-1、および増幅部241用のゲート電極116-2が、所定間隔をおいて形成されている。
そして、n型基板111、pウェル112、n層113、n層114-1、ゲート絶縁膜115、転送電極116-1,16-2上にはそれらを覆うように絶縁膜117が形成されている。
【0108】
絶縁膜117を貫通し、後で述べる第2の基板120C側の貫通ビア142-1と接合部151により接合される貫通ビア(貫通電極)141-1が形成されている(埋め込まれている)。
なお、貫通ビア141-1が形成されるpウェル112およびn型基板111の壁部には絶縁膜118が形成されている。
貫通ビア141-1の端部にはボンディングパッド161-1,161-2が接続されている。ボンディングパッド161-2は第1の基板110Cの第2の基板120Cと対向する面側外部に配置され、接合部151により第2の基板1120C側の貫通ビア242-1に接続されたボンディングパッド162-1と接合される。
【0109】
第2の基板120Cにおいて、p型基板(p-SUB)121にnウェル(n-WELL)122が形成され、nウェル122内にpウェル(p-WELL)123が形成されている。pウェル123の表面部にp層124-1、ソースフォロア回路240の電流源部242用トランジスタのドレイン、ソースであるn層125-1,125-2が形成されている。
図13の例では、n層125-2は、中継部としての貫通ビア141-2と配線層WRを介して接続するように形成されている。
図14の例では、n層125-2は、中継部としてのボンディングパッド162-1の直下で貫通ビア141-2または配線層WRで接続するように形成されている。
また、nウェル122の表面部に周辺回路を形成するためのp層124-2,142-3、n層126等が形成されている。
層125-1,125-2の上部およびp層124-2,142-3の上部にはゲート絶縁膜127を介してゲート電極128が形成されている。
そして、p型基板121、nウェル122、pウェル123、p層124-1,124-2,142-3,n層125-1,125-2、n層126、ゲート絶縁膜127,ゲート電極128等の上にはそれらを覆うように絶縁膜129が形成されている。
【0110】
また、図16の例では、第1の基板110Cと第2の基板120Cを貫通する貫通ビア142-1,142-2が形成されている。
【0111】
以上のように、本第1の実施形態によれば、第1の基板110には、行列状に配置された光電変換素子であるフォトダイオード(PD)を含む画素部211、および複数の画素部211の光電変換素子の信号電荷を列単位で転送する複数の電荷転送部である垂直転送部212を含む感光部210が形成される。
さらに、第1の基板110には、垂直転送部212の出力端部に、垂直転送部毎(または複数の垂直転送部毎)に、信号電荷を電気信号に変換して出力する変換出力部220が形成されている。
そして、本固体撮像装置100は、裏面照射化した場合にグローバルシャッタ機能を備えることが可能となるように、感光部のフォトダイオード部並びに電荷転送部としての垂直CCDをほぼ完全に遮光する遮光部2150を有している。
遮光部2150は、少なくとも第2導電型であるp型分離層にDTIとして形成され、少なくとも電荷転送路ゲート部の素子領域、特に、n-半導体領域への光の入射を阻止するように形成されている。
好適には、第2導電型分離層2130内の遮光部と連携するように、基板110の第1基板面1101側の基板外に形成される。
遮光部2150は、基本的に、第1の埋め込み遮光部2151、第2の埋め込み遮光部2152、および第3の非埋め込み遮光部2153により構成されている。
【0112】
したがって、本第1の実施形態によれば、照射される光は、分離層2130に形成された第1の埋め込み遮光部2151および第2の埋め込み遮光部2152によって、フォトダイオード2110に戻るように反射され、また、分離層2130に向かって照射される光は、第3の非埋め込み遮光部2153により反射され、照射光の電荷転送路ゲート部1120の素子領域としてのn-層2121への入射が阻止される。
これにより、電荷転送である垂直CCD212が感度を持つことが抑止され、グローバルシャッタ機能を持つことができるようになり、また、照射光は第1の埋め込み遮光部2151および第2の埋め込み遮光部2152によってフォトダイオード2110に戻るように反射され蓄積電荷として用いられることから、効率の良い光電変換機能を実現することが可能となる。
【0113】
また、本第1の実施形態によれば、裏面照射化が可能となっており、感度劣化を抑止することが可能であることから、光電変換部であるフォトダイオード2110から溢れた信号電荷を排出する横型オーバーフロードレイン(Lateral Overflow Drain)構造が採用されている。
そして、Y方向の分離層2130Yに係る遮光部2150は、各画素セルPXLCにおいて、少なくとも、ラテラル(横型)オーバーフロードレイン部2180、特に素子領域としてのn-層2183への光の入射を阻止するように、少なくとも第2導電型分離層2130Y内に形成されている。
好適には、第2導電型分離層2130Y内の遮光部と連携するように、基板110の第1基板面1101側の基板外に形成される。
遮光部2150Yは、基本的に、第1の埋め込み遮光部2151、第2の埋め込み遮光部2152に相当する第4の埋め込み遮光部2154,2155、および第3の非埋め込み遮光部2156により構成されている。
【0114】
したがって、本第1の実施形態によれば、照射される光は、分離層2130Yに形成された第4の埋め込み遮光部2154,2155によって、フォトダイオード2110に戻るように反射され、また、分離層2130に向かって照射される光Lは、第3の非埋め込み遮光部2156により反射され、照射光のラテラルオーバーフロードレイン部の素子領域としてのn+層2183への入射が阻止される。
これにより、ラテラルオーバーフロードレイン部2180の感度劣化が抑止され、グローバルシャッタ機能を持つことができるようになり、また、照射光は第4の埋め込み遮光部2154,2155によってフォトダイオード2110に戻るように反射され蓄積電荷として用いられることから、効率の良い光電変換機能を実現することが可能となる。
【0115】
また、本第1の実施形態によれば、変換出力部220の入力段には出力ゲートOG213が形成され、変換出力部220は、フローティングディフュージョン(FD)221、リセットゲート(RG)222、リセットドレイン(RG)223が形成されている。
第2の基板120には、撮像素子部200により得られた電気信号に対して所定の処理を行うADC310やデジタルメモリ320、アンプ330、サンプルホールド回路340等の周辺回路部300が形成されている。
第1の基板110と第2の基板120間で、変換出力部220による電気信号の周辺回路部300への転送を中継するソースフォロア回路240を含む中継部230が、基本的に両基板に亘ってあるいは一方の基板に形成されている。
そして、中継部230により、第1の基板110に形成された変換出力部220のフローティングディフュージョン(FD)221またはラインバッファ部がソースフォロア回路240の増幅部241の入力端に接続され、増幅部241の出力信号が周辺回路部300に供給される。
第1の基板110と第2の基板120間の接続は、感光部210の感光領域PARA外の領域EPARAで基板を通した接続部により電気的に接続されている。
【0116】
したがって、本第1の実施形態によれば、さらに、以下の効果を得ることができる。
本第1の実施形態によれば、画素部211から垂直転送部(垂直CCD)212へのプログレッシブ読み出しが可能であり、プログレッシブ読み出しで読み出された信号電荷は変換出力部220で電気信号に変換された後、ソースフォロア回路240を経て、第2の基板上に形成されている周辺回路部300に転送される。
本実施形態では、本実施形態により高SNで高速転送可能な、プログレッシブ読み出しできるイメージセンサの提供が可能となる。
また、積層基板の接続部は画素アレイ外(感光部210の感光領域外)に形成されるため、レイアウト上の制約が少なく、白キズ等の画素特性の劣化がないイメージセンサの形成が可能となる。
換言すると、本第1の実施形態によれば、画素アレイ内に特別な構造を形成すること無く、すなわちSNの劣化を起こすことなくグローバル読み出しで高速駆動が可能なイメージセンサを実現することが可能となる。
また、画素アレイの外側に接続部を含む中継部230が形成されていることから、感度低下や暗電流増加の発生が起こらない画素の形成が可能となる。
【0117】
[第2の実施形態]
図17は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を説明するための簡略断面図である。
【0118】
本第2の実施形態に係る固体撮像装置100Dが上述した第1の実施形態の固体撮像装置100と異なる点は以下の通りである。
本第2の実施形態の固体撮像装置100Dは、隣接する画素セルPXLCを(左右)非対称化して、いわゆる位相差検出機能を持たせている。
【0119】
本第2の実施形態に係る固体撮像装置100Dは、一の電荷転送である垂直CCD212の一部を形成する電荷転送路ゲート部2120Dを挟んで隣接する第1の画素セルPXLC1および第2の画素セルPXLC2を有する。
【0120】
第1の画素セルPXLC1および第2の画素セルPXLC2は、一の電荷転送を形成する一の第2導電型分離層2130Dを挟んで隣接している。
【0121】
第1の画素セルPXLC1は、第1のフォトダイオード2110D1が第1の感度を有し、第1の電荷転送ゲート部2140D1および第1の電荷転送路ゲート部2120D1Dが、第1のフォトダイオード2110D1よりの一の第2導電型分離層2130D1,2130D3の第2基板面1102側に形成されている。
【0122】
第2の画素セルPXLC2は、第2のフォトダイオード2110D2が第1の感度と異なる第2の感度を有し、第2の電荷転送ゲート部2140D2および第2の電荷転送路ゲート部2120D2が、第2のフォトダイオード2110D2よりの一の第2導電型分離層2130D2,2130D3の第2基板面1102側に形成されている。
【0123】
遮光部2150Dは、第1の電荷転送ゲート部2140D1および第2の電荷転送ゲート部2140D2がそれぞれ形成されている素子領域幅内の第2導電型分離層2130D1,2130D2において、深さ方向に埋め込まれた2つの第5の埋め込遮光部2157.2158を含む。
遮光部2150Dは、第1の電荷転送路ゲート部2120D1および第2の電荷転送路ゲート部2120D2がそれぞれ形成されている素子領域間、具体的には、n-層2121D1,2121D2間の第2導電型分離層2130D3において、深さ方向に埋め込まれた第6の埋め込遮光部2159を含む。
さらに、遮光部2150Dは、第1の基板110Dの第1基板面1101側の基板外において、少なくとも第5の埋め込み遮光部2157と2158に挟まれた電荷転送路ゲート部2120D1.2120D2が形成されている素子領域内の第2導電型分離層2130Dに対向するように形成された第3の非埋め込み遮光部2159を含む。
【0124】
本第2の実施形態によれば、上述した第1の構成例と同様の効果を得ることができることはもとより、位相差検出機能を持つことができ、広ダイナミックレンジ化を実現しつつ、読み出しノイズの影響を防止でき、ひいては画質を向上させることが可能となる。
【0125】
[第2の実施形態]
図18(A)~(D)は、本発明の第3の実施形態に係る画素セルアレイのレイアウト図およびポテンシャル図の一例を示す図である。
図18(A)がレイアウト図を示している。
図18(B)は電荷転送路ゲート部2120のゲート2122、出力ゲート213が非導通状態、ゲート2123、リセットゲート(RG)222が導通状態に制御されたFDリセット状態を示している。
図18(C)は電荷転送路ゲート部2120のゲート2122、出力ゲート213、リセットゲート(RG)222が非導通状態、ゲート2123が導通状態に制御されたFDリセット状態を示している。
図18(D)は電荷転送路ゲート部2120のゲート2122,2123、リセットゲート(RG)222が非導通状態、出力ゲート213が導通状態に制御された読み出し状態を示している。
【0126】
図19は、本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の一部の構成例を平面に展開して示す図である。
【0127】
本第3の実施形態に係る固体撮像装置100Eが上述した第1の実施形態の固体撮像装置100と異なる点は以下の通りである。
本第3の実施形態の固体撮像装置100Eは、第1の基板110Eにおいて、変換出力部220Eが一または複数の画素セルPXLCごとに配置されている。図18の例では、3画素セルPXLCごとに変換出力部220Eが配置されている。
そして、各変換出力部220Eの出力が、接続部230Eを通して第2の基板120E側のADC等を含む周辺回路部300に接続されている。
【0128】
本第3の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができることはもとより、画素セル内に電荷-電圧変換部設けて、積層化して、第2の基板120Eに信号蓄積、読み出し部を設けることから。低ノイズ読み出し、超並列読み出しが可能になり、超高速読みだし、グローバルシャッタ動作時の寄生感度の低減が図れる。
その結果として、画素アレイ内で任意の領域での露光時間最適化が可能になり、広ダイナミックレンジレンジ撮像が可能になる。
また、画素毎に蓄積期間をコントロールすることが可能になり、たとえば、ホワイトバランス機能を有することもできる。
【0129】
[第4の実施形態]
図20は、本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を説明するための簡略断面図である。
【0130】
本第4の実施形態に係る固体撮像装置100Fが上述した第1の実施形態の固体撮像装置100と異なる点は以下の通りである。
本第4の実施形態の固体撮像装置100Fは、裏面照射型ではなく、表面照射型として構成されている。
【0131】
本第4の実施形態において、遮光部2150Fは、第1の基板110Fの第1基板面1101側の基板外において、第1の埋め込み遮光部2151Fと第2の埋め込み遮光部2152Fが、第1の基板110の第1基板面1101側の基板外に延びるように形成されている。
また、p+層2116の代わりに、n---層2117が形成されている。
【0132】
第4の実施形態によれば、上述した第1の実施形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0133】
以上説明した固体撮像装置100,100A~100Fは、デジタルカメラやビデオカメラ、携帯端末、あるいは監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器に、撮像デバイスとして適用することができる。
【0134】
[第5の実施形態]
図21は、本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用されるカメラシステムを搭載した電子機器の構成の一例を示す図である。
【0135】
本電子機器400は、図21に示すように、本実施形態に係る固体撮像装置100,100A~100Fが適用可能な本発明に係るCCD/CMOS積層型固体撮像装置410を有する。
さらに、電子機器400は、このCCD/CMOS積層型固体撮像装置410の画素領域に入射光を導く(被写体像を結像する)光学系(レンズ等)420を有する。
電子機器400は、CCD/CMOS積層型固体撮像装置410の出力信号を処理する信号処理回路(PRC)430を有する。
【0136】
信号処理回路430は、CCD/CMOS積層型固体撮像装置410の出力信号に対して所定の信号処理を施す。
信号処理回路430で処理された画像信号は、液晶ディスプレイ等からなるモニタに動画として映し出し、あるいはプリンタに出力することも可能であり、またメモリカード等の記録媒体に直接記録する等、種々の態様が可能である。
【0137】
上述したように、CCD/CMOS積層型固体撮像装置410として、前述した固体撮像装置100,100A~100Fを搭載することで、高性能、小型、低コストのカメラシステムを提供することが可能となる。
そして、カメラの設置の要件に実装サイズ、接続可能ケーブル本数、ケーブル長さ、設置高さなどの制約がある用途に使われる、たとえば、監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器を実現することができる。
【符号の説明】
【0138】
100,100A~100F・・・固体撮像装置、110,110A~110F・・・第1の基板、120,120A~120F・・・第2の基板、140・・・貫通ビア(TSV)、200・・・撮像素子部、210・・・感光部(撮像部)、211・・・画素部、212-1~212-4・・・電荷転送部(垂直転送部、VCCD)、213-1~213-4・・・出力端部、PXLC・・・画素セル、220,220-1~220-4・・・変換出力部、230,・・・中継部、231,231-1~231-4・・・接続部、240・・・ソースフォロア回路、241・・・増幅部、242・・・電流源部、TI240・・・入力端、TO240・・・出力端、2110・・・フォトダイオード、2120・・・電荷転送路ゲート部、2130・・・分離層、2140・・・電荷転送ゲート部、2150・・・遮光部、2160・・・カラーフィルタ部、2170・・・マイクロレンズ、2180・・・横型オーバーフロードレイン部、310・・・ADC、320・・・デジタルメモリ、330・・・アンプ(増幅器)、340・・・サンプルホールド回路、400・・・電子機器、410・・・CCD/CMOS積層型固体撮像装置、420・・・光学系、430・・・信号処理回路(PRC)。
図1
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