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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】釘検査装置、遊技機の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220302BHJP
【FI】
A63F7/02 312C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017248768
(22)【出願日】2017-12-26
(65)【公開番号】P2019111260
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000144153
【氏名又は名称】株式会社三共
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100206656
【弁理士】
【氏名又は名称】林 修身
(74)【代理人】
【識別番号】100206911
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】小倉 敏男
(72)【発明者】
【氏名】小杉 誠
【審査官】鶴岡 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-357990(JP,A)
【文献】特開2004-160096(JP,A)
【文献】特開2017-176706(JP,A)
【文献】特開2003-047704(JP,A)
【文献】特開2017-176245(JP,A)
【文献】特開2010-082291(JP,A)
【文献】特開2008-167797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
G01B 21/00
G01B 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の盤面に設けられた釘を検査するための釘検査装置であって、
盤面に対して移動可能に設けられた可動アームと、
盤面に設けられた検査対象の1対の釘間の正規距離よりも短い許容下限距離の第1幅寸法部と、前記正規距離よりも長い許容上限距離の第2幅寸法部とを有し、前記第1幅寸法部が先端側に設けられた検査部を有し、前記可動アームに取り付けられる検査具と、
前記検査具に作用する作用力を検出可能な力覚センサと、
前記可動アームによって前記検査部を検査対象の1対の前記間に側方から移動させたときにおける移動距離と前記力覚センサにより検出される作用力とにより、前記第1幅寸法部と前記第2幅寸法部のいずれが該釘間に位置しているか或いはいずれも該釘間に位置していないことによって、該釘間の距離が許容範囲内となっているか否かを判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする釘検査装置。
【請求項2】
釘が設けられた盤面を有する遊技機の製造方法であって、
釘の検査を行う釘検査工程を少なくとも有し、
前記釘検査工程は、盤面に設けられた検査対象の1対の釘間の正規距離よりも短い許容下限距離の第1幅寸法部と、前記正規距離よりも長い許容上限距離の第2幅寸法部とを有し、前記第1幅寸法部が先端側に設けられた検査部を有する検査具を、検査対象の1対の前記釘間に側方から移動させ、該移動おける移動距離と前記検査具に作用する作用力とにより、前記第1幅寸法部と前記第2幅寸法部のいずれが該釘間に位置しているか或いはいずれも該釘間に位置していないことによって、該釘間の距離が許容範囲内となっているか否かを判定する工程を含む
ことを特徴とする遊技機の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機の盤面に設けられた釘を検査するための釘検査装置、遊技機の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の盤面に設けられた釘の検査を行う釘検査装置として、V字状の切欠部を有する検査具をロボットアームの先端に装着して、遊技機の遊技盤に設けられた釘の位置を1本毎に個別に検出して、その位置や釘間の距離が適切であるか否かを検査するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-123901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の釘検査装置では、釘の位置を1本毎に個別に検出するものであるため、入賞口に対応する1対の指定釘の釘間については、それぞれの指定釘の位置測定において生じる誤差が含まれることになるため、釘間の検査精度が低く、不適切な釘間であっても不良と判定されない場合や、適切な釘間であっても不良と判定される場合があるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、釘間の検査精度を高めることのできる釘検査装置、遊技機の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の請求項1の釘検査装置は、
遊技機の盤面に設けられた釘を検査するための釘検査装置であって、
盤面に対して移動可能に設けられた可動アームと、
盤面に設けられた検査対象の1対の釘間の正規距離よりも短い許容下限距離の第1幅寸法部と、前記正規距離よりも長い許容上限距離の第2幅寸法部とを有し、前記第1幅寸法部が先端側に設けられた検査部を有し、前記可動アームに取り付けられる検査具と、
前記検査具に作用する作用力を検出可能な力覚センサと、
前記可動アームによって前記検査部を検査対象の1対の前記釘間に側方から移動させたときにおける移動距離と前記力覚センサにより検出される作用力とにより、前記第1幅寸法部と前記第2幅寸法部のいずれが該釘間に位置しているか或いはいずれも該釘間に位置していないことによって、該釘間の距離が許容範囲内となっているか否かを判定する判定手段と、
を備えることを特徴としている。
また、手段1の釘検査装置は、
遊技機(例えば、パチンコ遊技機1)の盤面(例えば、遊技盤面2a)に設けられた釘(例えば、指定釘204~208)を検査するための釘検査装置(例えば、障害釘整備検査装置300)であって、
盤面に対して移動可能に設けられた可動アーム(例えば、整備用アーム301)と、
盤面に設けられた1対の釘間(例えば、指定釘204の釘間)に対応する所定寸法(例えば、第2領域の11.04mm、第3領域の11.90mmや第4領域の12.10mm)の検査部(例えば、検査部630b)を有し、前記可動アームに取り付けられる検査具(例えば、検査具630)と、
前記可動アームによって前記検査部を検査対象の1対の釘間の位置(例えば、指定釘204の釘中心を結ぶ線上)に移動(進入)させたときに、該検査部が該釘間に位置しているか否かを判定する判定手段(例えば、障害釘整備検査装置300の動作を制御する制御ユニット300’が、検査部630bの進入距離と検査具630に作用する力とから釘間の離間寸法が適正か否かをS8の第2検査において判定する部分)と、
を備えることを特徴としている。
れらの特徴によれば、釘間の検査精度を高めることができる。
【0007】
本発明の請求項2の製造方法は、
釘が設けられた盤面を有する遊技機の製造方法であって、
釘の検査を行う釘検査工程を少なくとも有し、
前記釘検査工程は、盤面に設けられた検査対象の1対の釘間の正規距離よりも短い許容下限距離の第1幅寸法部と、前記正規距離よりも長い許容上限距離の第2幅寸法部とを有し、前記第1幅寸法部が先端側に設けられた検査部を有する検査具を、検査対象の1対の前記釘間に側方から移動させ、該移動おける移動距離と前記検査具に作用する作用力とにより、前記第1幅寸法部と前記第2幅寸法部のいずれが該釘間に位置しているか或いはいずれも該釘間に位置していないことによって、該釘間の距離が許容範囲内となっているか否かを判定する工程を含む
ことを特徴としている。
また、手段2の遊技機の製造方法は、
釘(例えば、指定釘204~208)が設けられた盤面(例えば、遊技盤面2a)を有する遊技機(例えば、パチンコ遊技機1)の製造方法であって、
釘の検査を行う釘検査工程(例えば、第2検査)を少なくとも有し、
前記釘検査工程は、盤面に設けられた1対の釘間(例えば、指定釘204の釘間)に対応する所定寸法(例えば、第2領域の11.04mm、第3領域の11.90mmや第4領域の12.10mm)の検査部(例えば、検査部630b)を有する検査具(例えば、検査具630)を、検査対象の1対の釘間の位置(例えば、指定釘204の釘中心を結ぶ線上)に移動(進入)させて、前記検査部が該釘間に位置しているか否かを判定する工程(例えば、検査部630bの進入距離と検査具630に作用する力とから釘間の離間寸法が適正か否かを判定するS8の第2検査の工程)を含む
ことを特徴としている。
れらの特徴によれば、釘間の検査精度を高めることができる。
【0008】
本発明の手段3の検査具は、
遊技機(例えば、パチンコ遊技機1)の盤面(例えば、遊技盤面2a)に設けられた釘(例えば、指定釘204~208)を検査するための釘検査装置(例えば、障害釘整備検査装置300)に取り付け可能な検査具(例えば、検査具630)であって、
盤面(例えば、遊技盤面2a)に設けられた1対の釘間(例えば、指定釘204の釘間)に対応する所定寸法(例えば、第2領域の11.04mm、第3領域の11.90mmや第4領域の12.10mm)を有する検査部(例えば、検査部630b)と、
前記釘検査装置において盤面に対して移動可能に設けられた可動アーム(例えば、整備用アーム301)に取付可能な取付け部(例えば、取付部630a)と、
を有する
ことを特徴としている。
この特徴によれば、釘間の検査精度を高めることができる。
【0009】
本発明の手段4の釘検査装置または遊技機の製造方法または検査具は、手段1~手段3のいずれかに記載の釘検査装置または遊技機の製造方法または検査具であって、
前記釘検査装置(例えば、障害釘整備検査装置300)は、前記検査具に作用する作用力を検出可能な力覚センサ(例えば、力覚センサF)を有し、
前記判定手段は、前記検査部(例えば、検査部630b)を検査対象の釘間に対応する所定の検査位置(例えば、指定釘204の釘中心を結ぶ線上)に移動させたときに前記力覚センサにて検出した作用力にもとづいて判定する(例えば、力覚センサFで検出した力が閾値となったときに指定釘204の釘中心を結ぶ線上に位置している検査部630bの先端からの進入距離により判定する部分)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、判定の精度を向上できる。
【0010】
本発明の手段5の釘検査装置または遊技機の製造方法または検査具は、手段4に記載の釘検査装置または遊技機の製造方法または検査具であって、
前記検査具(例えば、検査具630)は、前記検査部として、第1所定寸法(例えば、11.90mm)を有する第1検査部(例えば、第3領域)と、該第1所定寸法よりも大きな第2所定寸法(例えば、12.10mm)を有する第2検査部(例えば、第4領域)とを含み、
前記第1検査部は、前記第2検査部よりも前記検査部の先端側に設けられている(例えば、11.90mmの幅寸法を有する第3領域は、12.10mmの幅寸法を有する第4領域よりも検査部630bの先端側に形成されている部分)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、検査具を、先端側から釘間の位置に移動させることで、第1検査部による判定と、第2検査部による判定とが可能となるため、検査精度を高めることができるとともに、これら精度の高い検査を行うための検査具の交換に要する時間を低減できるので、検査時間も短縮することができる。
【0011】
本発明の手段6の釘検査装置または遊技機の製造方法または検査具は、手段5に記載の釘検査装置または遊技機の製造方法または検査具であって、
前記検査具(例えば、検査具630)は、前記検査部として、前記第1所定寸法(例えば、11.90mm)よりも小さい特定寸法(例えば、第2位置に対応する11.04mm)を有する特定検査部(例えば、第2領域)をさらに含み、
前記特定検査部は、前記第1検査部よりも前記検査部の先端側に設けられており(例えば、11.04mmの幅寸法を有する第2領域は、11.90mmの幅寸法を有する第3領域よりも検査部630bの先端側に形成されている部分)、
前記特定検査部により検査される釘の盤面からの高さ位置と、前記第1検査部と前記第2検査部により検査される釘の盤面からの高さ位置とが異なる(例えば、ゲージ棒位置である第2位置の高さ5.5mmと、傘下位置である第1位置の高さ14.3mmとが異なる部分)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、異なる高さ位置における検査を1の検査具にて行うことが可能となるので、検査具の交換に要する時間を低減でき、検査時間を短縮することができる。
【0012】
本発明の手段7の釘検査装置または遊技機の製造方法または検査具は、手段6に記載の釘検査装置または遊技機の製造方法または検査具であって、
前記特定検査部による検査(例えば、第2位置における検査)によって該特定検査部が釘間に位置しないと判定された場合(例えば、検査具630に作用する力が閾値を超えた進入距離が、1.3mm以下である場合)には再検査することなく不良とする一方(例えば、S26bの判定においてYの場合には、S50に進んで不良とする部分)、前記第1検査部と前記第2検査部による検査によって前記第1検査部または前記第2検査部が釘間に位置しないと判定された場合には再検査を行う(例えば、第2位置の検査による不良がない場合(S26bでNの場合)には、S27において再検査を実行する部分)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、再検査の回数を低減でき、検査に要する時間を短縮できる。
【0013】
本発明の手段8の釘検査装置または遊技機の製造方法または検査具は、手段1~手段7のいずれかに記載の釘検査装置または遊技機の製造方法または検査具であって、
前記釘検査装置(例えば、障害釘整備検査装置300)は、前記可動アーム(例えば、整備用アーム301)に取り付けられている前記検査具(例えば、検査具630)を、釘整備用の整備具(例えば、工具種別Bの整備用工具400)に交換可能であって、前記検査具による検査にて不良と判定された釘を該交換した整備具を用いて整備可能である(例えば、交換した工具種別Bの整備用工具400を使用してS35で再整備を行う部分)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、別の装置に盤面を移動させることなく釘整備を行うことが可能となるので、不良と判定された釘の再整備に要する時間を短縮できる。
【0014】
本発明の手段9の釘検査装置または遊技機の製造方法または検査具は、手段1~手段8のいずれかに記載の釘検査装置または遊技機の製造方法または検査具であって、
前記検査具(例えば、検査具630)は、前記検査部となる第1面部(例えば、検査部630b)と、該第1面部に対して所定角度(例えば、直角)に屈曲する形状とされた第2面部(例えば、取付部630a)とを備え、前記第2面部を介して前記可動アーム(例えば、整備用アーム301)に取り付けられている
ことを特徴としている。
この特徴によれば、複数の釘が設けられている狭い領域にある釘間についても検査を行うことができる。
【0015】
本発明の手段10の釘検査装置または遊技機の製造方法または検査具は、手段1~手段9のいずれかに記載の釘検査装置または遊技機の製造方法または検査具であって、
前記検査具(例えば、検査具630)は、盤面(例えば、遊技盤面2a)に対する直交方向に沿う基準線を中心に揺動可能に前記可動アームに取り付けられている(例えば、図17に示すように、使用時において遊技盤面2aに直交する中心線CLを中心に揺動可能に、装着具621を介して整備用アーム301に取り付けられている部分)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、検査装置の違いによる検査位置の誤差があっても、検査位置の誤差を揺動によって補完することができるため、位置校正の手間を削減できる。
【0016】
本発明の手段11の釘検査装置または遊技機の製造方法または検査具は、手段10に記載の釘検査装置または遊技機の製造方法または検査具であって、
前記検査具の先端(例えば、検査部630bの先端)には、該先端を1対の釘間に案内するための案内部(例えば、切欠部635)が形成されている
ことを特徴としている。
この特徴によれば、検査具の先端が釘間に適切に案内されるようになるので、円滑な検査が可能となり、検査効率を向上できる。
【0017】
尚、本発明は、本発明の請求項に記載された発明特定事項のみを有するものであってよいし、本発明の請求項に記載された発明特定事項とともに該発明特定事項以外の構成を有するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】パチンコ遊技機を正面から見た正面図である。
図2】遊技盤を正面から見た正面図である。
図3】(A)は普通入賞球装置の周辺の釘配列を示す図、(B)は(A)のA-A断面図である。
図4】遊技盤の製造ラインの一部を示す平面図である。
図5】遊技盤の製造システムの構成を示すブロック図である。
図6】障害釘整備検査装置を示す右側面図である。
図7】障害釘整備検査装置を示す平面図である。
図8】(A)は、挟持部が釘の基端部側に配置された状態を示す右側面、(B)は、(A)の状態から釘整備を行った状態を示す縦断面図である。
図9】(A)は、障害釘整備検査装置におけるクランプ制御パターンAによる遊技盤の保持状態を示す図であり、(B)は、障害釘整備検査装置におけるクランプ制御パターンBによる遊技盤の保持状態を示す図である。
図10】整備内容とクランプ制御パターンとの関係を示す図である。
図11】障害釘整備検査装置における整備に使用する工具の一例を示す図である。
図12】障害釘整備検査装置における検査に使用する検査用工具の一例を示す図である。
図13】(A)は、第1検査に使用する検査用工具600を示す右側面図、(B)は、検査用工具600を示す正面図、(C)は、検査用工具600を示す底面図である。
図14】検査用工具600による釘の検査を示す概要図である。
図15】(A)は、検査用工具600の基点を検査開始位置に配置した状態を示す横断面図、(B)は、第2当接辺が障害釘に当接した状態を示す横断面図、(C)は、障害釘に当接する位置に検査用工具600の基点を配置した状態を示す横断面図である。
図16】第2検査に使用する検査用工具620を示す六面図である。
図17】(A)は、検査用工具620の取り付け状態を示す図であり、(B)は、(A)におけるA-A断面図であり、(C)は、(B)におけるC-C断面図である。
図18】(A)は、検査用工具620における各検査部の幅寸法を示す図であり、(B)は、各検査部間の段部に釘がかかった場合の先端部からの距離を示す図である。
図19】(A)は、検査を行う第1位置(傘下位置)の遊技盤面からの高さを示す図であり、(B)は、検査を行う第2位置(ゲージ棒位置)の遊技盤面からの高さを示す図である。
図20】(A)は、第1位置検査における進入距離と判定内容との関係を示す説明図であり、(B)は、第2位置検査における進入距離と判定内容との関係を示す説明図である。
図21】遊技盤の製造工程の大まかな流れを示すフローチャートである。
図22】第2検査の流れを示すフローチャートである。
図23】第2位置の検査にてNGと判定される釘の状態例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る釘検査装置または遊技機の製造方法または検査具を実施するための形態を実施例にもとづいて以下に説明する。
【実施例
【0020】
まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1は、パチンコ遊技機1を正面から見た正面図である。図2は、遊技盤を正面から見た正面図である。図3の(A)は普通入賞球装置の周辺の釘配列を示す図、(B)は(A)のA-A断面図である。尚、以下において、図1の手前側をパチンコ遊技機1の前方(前面、正面)側、奥側を背面(後方)側とし、パチンコ遊技機1を前面側から見たときの上下左右方向を基準として説明する。尚、本実施例におけるパチンコ遊技機1の前面とは、該パチンコ遊技機1にて遊技を行う遊技者と対向する対向面である。
【0021】
図1は、本実施例におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(以下、遊技機と略記する場合がある)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤2(ゲージ盤ともいう)と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレール2bによって囲まれた正面視略円形状の遊技領域10が形成されている。この遊技領域10には、遊技媒体としての遊技球が打球発射装置(図示略)から発射されて打ち込まれる。また、遊技機用枠3には、ガラス窓50aを有するガラス扉枠50が左側辺を中心として回動可能に設けられ、該ガラス扉枠50により遊技領域10を開閉できるようになっており、ガラス扉枠50を閉鎖したときにガラス窓50aを通して遊技領域10を透視できるようになっている。
【0022】
図1及び図2に示すように、遊技盤2は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂等の透明な合成樹脂板にて正面視略四角形状に形成され、前面である遊技盤面2aに障害釘200等が植設される盤面板2Aと、該盤面板2Aの背面側に一体的に取付けられるスペーサ部材2Bと、から構成されている。尚、本実施例では、遊技盤2は合成樹脂板から成る盤面板2Aにて構成されていたが、ベニヤ板等の非透光性部材にて構成され、前面である遊技盤面2aに複数の障害釘200やガイドレール2b等が設けられた盤面板にて構成されていてもよい。
【0023】
図1に示すように、遊技盤2の所定位置(図1に示す例では、遊技領域10の右側下部位置)には、第1特別図柄表示器4Aと、第2特別図柄表示器4Bとが設けられている。第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bはそれぞれ、変動表示ゲームの一例となる特図ゲームにおいて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(特別識別情報)である特別図柄(「特図」ともいう)が、変動可能に表示(変動表示または可変表示ともいう)される。以下では、第1特別図柄表示器4Aにおいて変動表示される特別図柄を「第1特図」ともいい、第2特別図柄表示器4Bにおいて変動表示される特別図柄を「第2特図」ともいう。
【0024】
遊技盤2における遊技領域10の中央付近には、演出表示装置5が設けられている。演出表示装置5は、例えばLCD(液晶表示装置)等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。演出表示装置5の表示領域では、特図ゲームにおける第1特別図柄表示器4Aによる第1特図の変動表示や第2特別図柄表示器4Bによる第2特図の変動表示のそれぞれに対応して、例えば3つといった複数の変動表示部となる演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(装飾識別情報)である演出図柄が変動表示される。この演出図柄の変動表示も、変動表示ゲームに含まれる。
【0025】
このように、演出表示装置5の表示領域では、第1特別図柄表示器4Aにおける第1特図を用いた特図ゲーム、または、第2特別図柄表示器4Bにおける第2特図を用いた特図ゲームと同期して、各々が識別可能な複数種類の演出図柄の変動表示を行い、変動表示結果となる確定演出図柄(最終停止図柄)を導出表示する。
【0026】
演出表示装置5は、遊技盤2よりも背面側に配設され、該遊技盤2に形成された開口2cを通して視認できるようになっている。尚、遊技盤2における開口2cには枠状のセンター飾り枠51が設けられている。演出表示装置5の表示領域の下部の左右2箇所には、第1保留記憶表示エリア5D、第2保留記憶表示エリア5Uが設定されている。第1保留記憶表示エリア5D、第2保留記憶表示エリア5Uでは、特図ゲームに対応した変動表示の保留記憶数(特図保留記憶数)を特定可能に表示する保留記憶表示が行われる。
【0027】
ここで、特図ゲームに対応した変動表示の保留は、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口や、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口を、遊技球が通過(進入)することによる始動入賞にもとづいて発生する。すなわち、特図ゲームや演出図柄の変動表示といった変動表示ゲームを実行するための始動条件(「実行条件」ともいう)は成立したが、先に成立した開始条件にもとづく変動表示ゲームが実行中であることやパチンコ遊技機1が大当り遊技状態に制御されていることなどにより、変動表示ゲームの開始を許容する開始条件が成立していないときに、成立した始動条件に対応する変動表示の保留が行われる。
【0028】
第1特別図柄表示器4A及び第2特別図柄表示器4Bの右方位置には、特図保留記憶数を特定可能に表示するための第1保留表示器25Aと第2保留表示器25Bとが設けられている。第1保留表示器25Aは、第1特図保留記憶数を特定可能に表示し、第2保留表示器25Bは、第2特図保留記憶数を特定可能に表示する。演出表示装置5の下方には、普通入賞球装置6Aと普通可変入賞球装置6Bとが設けられているとともに、下方及び右側方には一般入賞口60が設けられている。普通入賞球装置6Aは、例えば所定の球受部材によって常に一定の開放状態に保たれる始動領域(第1始動領域)としての第1始動入賞口を形成する。普通可変入賞球装置6Bは、ソレノイド(図示略)によって、垂直位置となる通常開放状態と傾動位置となる拡大開放状態とに変化する一対の可動翼片を有する電動チューリップ型役物(普通電動役物)を備え、始動領域(第2始動領域)としての第2始動入賞口を形成する。
【0029】
第1始動入賞口を通過(進入)した遊技球が第1始動口スイッチ(図示略)によって遊技球が検出されたことにもとづき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第1特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第1始動条件が成立する。また、第2始動入賞口を通過(進入)した遊技球が第2始動口スイッチ(図示略)によって遊技球が検出されたことにもとづき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第2特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第2始動条件が成立する。
【0030】
普通入賞球装置6Aと普通可変入賞球装置6Bの下方位置には、特別可変入賞球装置7が設けられている。特別可変入賞球装置7は、ソレノイド(図示略)によって開閉駆動される大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する特定領域としての大入賞口を形成する。このように、特定領域としての大入賞口は、遊技球が通過(進入)しやすく遊技者にとって有利な開放状態と、遊技球が通過(進入)できない(または通過(進入)しにくい)遊技者にとって不利な閉鎖状態とに変化する。
【0031】
大入賞口を通過(進入)した遊技球がカウントスイッチ(図示略)によって検出されたことにもとづき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。従って、特別可変入賞球装置7において大入賞口が開放状態となれば、その大入賞口に遊技球が進入可能となり、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置7において大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることが不可能または困難になり、遊技者にとって不利な第2状態となる。
【0032】
第2保留表示器25Bの右方位置には、普通図柄表示器20が設けられている。普通図柄表示器20の右方には、普図保留表示器25Cが設けられている。普図保留表示器25Cは、例えば4個のLEDを含んで構成され、通過ゲート41を通過した有効通過球数としての普図保留記憶数を表示する。
【0033】
遊技盤2の遊技盤面2aにおける遊技領域10には、遊技球の流下方向や速度を変化させる多数の障害釘200や風車61やセンター飾り枠51等の装飾物が設けられている。例えば、図2及び図3(A)に示すように、普通入賞球装置6Aの左右側方には、複数の障害釘200が互いに近接して並設されてなる誘導釘201L,201Rがそれぞれ設けられている。
【0034】
誘導釘201L,201Rは、左右側方から中央の普通入賞球装置6Aに向けてそれぞれ下方に傾斜するように並設され、普通入賞球装置6Aの第1始動入賞口に向けて遊技球を誘導する。尚、これら誘導釘201L,201Rのそれぞれの所定箇所には、遊技球が落下可能な渡り203が設けられているが、渡り203は設けられなくてもよい。
【0035】
また、遊技領域10に設けられた複数の障害釘のうち、普通入賞球装置6Aの第1始動入賞口の近傍上方位置に設けられる複数の障害釘200は、第1始動入賞口に向けて遊技球を誘導する指定釘204を構成している。各一般入賞口60の近傍上方位置に設けられる複数の障害釘200は、各一般入賞口60に向けて遊技球を誘導する指定釘205を構成している。通過ゲート41の上方近傍位置に設けられる複数の障害釘200は、通過ゲート41に向けて遊技球を誘導する指定釘206を構成している。風車61の上方近傍位置に設けられる複数の障害釘200は、風車61に向けて遊技球を誘導する指定釘207を構成している。ワープ通路62の上方近傍位置に設けられる複数の障害釘200は、ワープ通路62に向けて遊技球を誘導する指定釘208を構成している。これら各指定釘204~208は、後述するように、遊技盤面2aに設けられる複数の障害釘200のうちから予め指定される障害釘であり、これら指定釘以外の障害釘200とは内容が異なる整備が必要な障害釘とされている。
【0036】
これら障害釘200は、例えば、真鍮材からなり、図3(B)に示すように、直径D1が約1.85mm(D1=約1.85mm)の円柱状の胴部200a(本体部とも言う)と、該胴部200aの一端側に形成される直径D2が約4.2mm(D2=約4.2mm)の球面状の頭部200b(釘笠とも言う)と、から構成される。障害釘200は、遊技盤面2aに予め形成される孔部2dに後述する釘打ち機16により打設されることにより遊技盤面2aに立設され、立設された状態において、遊技盤面2aから頭部200bの先端までの長さL1が約17.8mm(L1=約17.8mm)とされている。また、胴部200aの他端側にはネジ溝200cが形成されている。このネジ溝200cによって、孔部2d内に挿入された胴部200aと孔部2dの内周面との間に生じる摩擦力により障害釘200が遊技盤2から抜け落ちることが防止されている。
【0037】
また、障害釘200を打設するための孔部2dは、図8(A)に示すように、遊技盤面2aに対して直交するZ軸(垂線)に対し上方に向けて所定角度θ1(θ1=約4度)傾斜して形成される。よって、障害釘200もZ軸(垂線)に対して頭部200b側が上方に向けて約4度傾斜して立設されるため、障害釘200に衝突した遊技球Pが極力遊技盤2側に跳ね返るようにしている。
【0038】
図3(B)に示すように、例えば、指定釘204を構成する左右の障害釘200の胴部200aにおける基部側の離間寸法L2は約10.5mm(L2=約10.5mm)とされ、先端部側の離間寸法L3は約12mm(L3=約12mm)とされているため、遊技盤面2aから頭部200bに向けて左右の胴部200aの離間寸法が漸次広くなっている。また、遊技球Pの直径PDは約11mmとされており(例えば、PD=約11mm)、遊技球Pが遊技盤面2aに接触した状態で左右の障害釘200の胴部200a間を通過することができるようになっている。
【0039】
尚、上記においては、第1始動入賞口に対応する指定釘204を例示しているが、その他の指定釘205~208は、異なる離間寸法L3とされている。具体的には、一般入賞口60に対応する指定釘205については離間寸法L3が11.4mm、ゲート41に対応する指定釘206については離間寸法L3が12.8mm、風車61対応する指定釘207については離間寸法L3が11.5mm、ワープ通路62に対応する指定釘208については離間寸法L3が11.1mmとなっている。尚、上記において例示した各指定釘204~208の離間寸法L3は、あくまでも一例であり、これらの離間寸法L3を、遊技盤2のゲージ構成(所謂、釘配列)等に応じて、上記において例示した離間寸法L3以外の寸法に変更可能である。例えば、指定釘204の離間寸法L3を、約12.0mmよりも大きい寸法としたり、或いは、約12.0mmよりも小さい寸法としてもよい。
【0040】
図1に戻って、遊技領域10の最下方には、いずれの入賞口にも進入しなかった遊技球が取り込まれるアウト口11が設けられている。遊技機用枠3の左右上部位置には、効果音等を再生出力するためのスピーカ8L,8Rが設けられており、さらに遊技領域10の周辺部には、演出用LED9が設けられている。遊技機用枠3の右下部位置には、遊技媒体としての遊技球を遊技領域10に向けて発射するために遊技者等によって操作される打球操作ハンドル(操作ノブ)が設けられている。
【0041】
遊技領域10の下方における遊技機用枠3の所定位置には、賞球として払い出された遊技球や所定の球貸機により貸し出された遊技球を、発射装置(図示略)へと供給可能に保持(貯留)する上皿90(打球供給皿)が設けられている。遊技機用枠3の下部には、上皿90から溢れた余剰球などを、パチンコ遊技機1の外部へと排出可能に保持(貯留)する下皿91が設けられている。下皿91を形成する部材に取付けられたスティックコントローラ31Aの傾倒操作はコントローラセンサユニット(図示略)にて検出され、上皿90を形成する部材に設けられたプッシュボタン31Bに対してなされた押下動作はプッシュセンサ(図示略)にて検出される。
【0042】
次に、パチンコ遊技機1の回路構成について説明する。パチンコ遊技機1の背面には、例えば図示しない主基板、演出制御基板、音声制御基板、LED制御基板、主基板と演出制御基板との間で伝送される各種の制御信号を中継するための中継基板、払出制御基板、情報端子基板、発射制御基板、インタフェース基板などといった、各種の基板が配置されている。
【0043】
主基板(図示略)は、メイン側の制御基板であり、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための各種回路が搭載されている。主基板は、主として、特図ゲームにおいて用いる乱数の設定機能、所定位置に配設されたスイッチ等からの信号の入力を行う機能、演出制御基板(図示略)などからなるサブ側の制御基板に宛てて、指令情報の一例となる制御コマンドを制御信号として出力して送信する機能、ホールの管理コンピュータに対して各種情報を出力する機能などを備えている。また、主基板は、第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bを構成する各LED(例えばセグメントLED)などの点灯/消灯制御を行って第1特図や第2特図の変動表示を制御することや、普通図柄表示器20の点灯/消灯/発色制御などを行って普通図柄表示器20による普通図柄の変動表示を制御することといった、所定の表示図柄の変動表示を制御する機能も備えている。また、主基板には、例えば遊技制御用マイクロコンピュータ(図示略)や、スイッチ回路(図示略)、ソレノイド回路などの各種回路が搭載されている。
【0044】
主基板には、通過ゲート41を通過した遊技球を検出するゲートスイッチ、第1始動口スイッチ、第2始動口スイッチ、カウントスイッチからの検出信号を伝送する配線が接続されている。また、第1特別図柄表示器4A、第2特別図柄表示器4B、普通図柄表示器20、第1保留表示器25A、第2保留表示器25B、普図保留表示器25Cなどの表示制御を行うための指令信号を伝送する配線が接続されている。
【0045】
主基板から中継基板を介して演出制御基板に対して伝送される制御コマンドは、例えば電気信号として送受信される演出制御コマンドである。演出制御コマンドには、例えば、演出図柄の変動時間及びリーチ演出の種類や擬似連の有無等の変動態様を示す変動パターンを示す変動パターン指定コマンド等が含まれている。
【0046】
主基板に搭載された遊技制御用マイクロコンピュータは、例えば1チップのマイクロコンピュータであり、遊技制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM(ReadOnlyMemory)と、遊技制御用のワークエリアを提供するRAM(RandomAccessMemory102)と、遊技制御用のプログラムを実行して制御動作を行うCPU(CentralProcessingUnit)と、CPUとは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路と、I/O(Input/Outputport)と、を備えて構成される。一例として、遊技制御用マイクロコンピュータでは、CPUがROMから読み出したプログラムを実行することにより、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための処理が実行される。
【0047】
演出制御基板(図示略)は、主基板とは独立したサブ側の制御基板であり、中継基板を介して主基板から伝送された制御信号を受信して、演出表示装置5、スピーカ8L,8R及び演出用LED9、その他の演出ユニット等に設けられる各種モータ、ソレノイド、センサ、発光ダイオード(LED)といった演出用の電気部品による演出動作を制御するための各種回路が搭載されている。
【0048】
演出制御基板(図示略)には、プログラムに従って制御動作を行う演出制御用CPUと、演出制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROMと、演出制御用CPUのワークエリアを提供するRAMと、演出表示装置5における表示動作の制御内容を決定するための処理などを実行する表示制御部と、演出制御用CPUとは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路と、I/Oとが搭載されている。一例として、演出制御基板では、演出制御用CPUがROMから読み出した演出制御用のプログラムを実行することにより、演出用の電気部品による演出動作を制御するための処理が実行される。また、ROMには、演出制御用のプログラムの他にも、演出動作を制御するために用いられる各種のデータテーブルなどが格納されている。
【0049】
次に、パチンコ遊技機1における遊技の進行を概略的に説明する。パチンコ遊技機1では、遊技領域10に設けられた通過ゲート41を遊技球が通過したことにもとづいて、普通図柄表示器20による普図ゲームが開始される。普通図柄の変動を開始させた後、普図変動時間となる所定時間が経過し、普図当り図柄以外の普通図柄が停止表示されれば、普通図柄の変動表示結果が「普図はずれ」となる。特定の普通図柄(普図当り図柄)が停止表示されれば、普通図柄の変動表示結果が「普図当り」となり、普通可変入賞球装置6Bの拡大開放制御(傾動制御)が行われ、所定時間が経過すると垂直位置に戻る通常開放制御が行われる。
【0050】
遊技球が第1始動入賞口に入賞したことなどにより第1始動条件が成立した後に、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどにより第1開始条件が成立したことにもとづいて、第1特別図柄表示器4Aによる特図ゲームが開始される。また、遊技球が第2始動入賞口に入賞したことなどにより第2始動条件が成立した後に、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどにより第2開始条件が成立したことにもとづいて、第2特別図柄表示器4Bによる特図ゲームが開始される。
【0051】
特図ゲームでは、特別図柄の変動表示を開始させた後、変動表示時間が経過すると確定特別図柄(特図表示結果)を導出表示する。このとき、特定の特別図柄(大当り図柄)が停止表示されれば、特定表示結果としての「大当り」となり、大当り図柄とは異なる特別図柄が停止表示されれば「はずれ」となる。特図ゲームでの変動表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。
【0052】
大当り遊技状態においては、特別可変入賞球装置7の大入賞口扉が、所定の上限時間(例えば29秒間や0.1秒間)が経過するまでの期間あるいは所定個数(例えば9個)の入賞球が発生するまでの期間にて、大入賞口を開放状態とする。これにより、特別可変入賞球装置7を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)とするラウンドが実行される。
【0053】
ラウンドの実行中に大入賞口を開放状態とした大入賞口扉は、遊技盤2の表面を落下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口を閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置7を遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。大入賞口の開放サイクルであるラウンドは、その実行回数が所定の上限回数(例えば「16」など)に達するまで、繰り返し実行可能となっている。
【0054】
演出表示装置5の演出図柄表示エリア5L,5C,5Rでは、特図ゲームが開始されることに対応して、演出図柄の変動表示が開始される。そして、演出図柄の変動表示が開始されてから変動表示が終了するまでの期間では、演出図柄の変動表示状態が所定のリーチ状態となることがある。リーチ状態とは、演出表示装置5の表示領域にて停止表示された演出図柄が大当り組合せの一部を構成しているときに未だ停止表示されていない演出図柄については変動が継続している表示状態、あるいは、全部または一部の演出図柄が大当り組合せの全部または一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。
【0055】
特図ゲームにおける確定特別図柄として、複数種類の大当り組合せのうち、所定の通常大当り組合せ(「非確変大当り組合せ」ともいう)となる確定演出図柄が停止表示され、変動表示結果が「非確変大当り」となった場合は大当り状態に制御され、その終了後には、時間短縮制御(時短制御)が行われる。時短制御が行われることにより、特図ゲームにおける特別図柄の変動表示時間(特図変動時間)は、通常状態に比べて短縮される。尚、時短制御では、普通図柄の当選頻度が高められて、普通可変入賞球装置6Bへの入賞頻度が高められる、いわゆる電チューサポートが実施される。時短制御は、大当り遊技状態の終了後に所定回数(例えば100回)の特図ゲームが実行されることと、変動表示結果が「大当り」となることのうち、いずれかの条件が先に成立したときに、終了すればよい。
【0056】
特図ゲームにおける確定特別図柄として、複数種類の大当り組合せのうち、所定の確変大当り組合せ(「確変大当り組合せ」ともいう)となる確定演出図柄が停止表示され、変動表示結果が「確変大当り」となった場合は大当り状態に制御され、その終了後には、時短制御とともに確率変動制御(確変制御)が行われる。この確変制御が行われることにより、各回の特図ゲームにおいて変動表示結果が「大当り」となる確率は、通常状態に比べて高くなるように向上する。確変制御は、大当り遊技状態の終了後に変動表示結果が「大当り」となって再び大当り遊技状態に制御されるという条件が成立したとき、大当り遊技状態の終了後に所定回数(例えば時短回数と同じ100回)の特図ゲームが実行されたとき、大当り遊技状態の終了後に特図ゲームが開始されるごとに実行される確変転落抽選にて確変制御を終了させる「確変転落あり」の決定がなされたとき、などに終了すればよい。
【0057】
時短制御が行われるときには、普図ゲームにおける普通図柄の変動時間(普図変動時間)を通常状態のときよりも短くする制御や、各回の普図ゲームで普通図柄の変動表示結果が「普図当り」となる確率を通常状態のときよりも向上させる制御、変動表示結果が「普図当り」となったことにもとづく普通可変入賞球装置6Bにおける可動翼片の傾動制御を行う傾動制御時間を通常状態のときよりも長くする制御、その傾動回数を通常状態のときよりも増加させる制御といった、遊技球が第2始動入賞口を通過(進入)しやすくして第2始動条件が成立する可能性を高めることで遊技者にとって有利となる制御(電チューサポート制御、高開放制御)が行われる。これにより、第2特図を用いた特図ゲームを実行するための第2始動条件が成立しやすくなり、特図ゲームが頻繁に実行可能となることで、次に変動表示結果が「大当り」となるまでの時間が短縮される。
【0058】
次に、本実施例におけるパチンコ遊技機1の動作(作用)を説明する。主基板(図示略)では、所定の電源基板からの電力供給が開始されると、遊技制御用マイクロコンピュータ(図示略)が起動し、CPU(図示略)によって遊技制御メイン処理となる所定の処理が実行される。遊技制御メイン処理において遊技制御用タイマ割込み処理を開始すると、スイッチ処理、メイン側エラー処理、情報出力処理、遊技用乱数更新処理、特別図柄プロセス処理、普通図柄プロセス処理、コマンド制御処理を実行する。
【0059】
特別図柄プロセス処理では、遊技制御フラグ設定部(図示略)に設けられた特図プロセスフラグの値をパチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて更新し、第1特別図柄表示器4Aや第2特別図柄表示器4Bにおける表示動作の制御や、特別可変入賞球装置7における大入賞口の開閉動作設定などを、所定の手順で行うために各種の処理が選択されて実行される。
【0060】
特別図柄プロセス処理において、CPUは、まず、第1始動入賞や第2始動入賞があったか否かを判定し、入賞があった場合には、特図表示結果判定用、大当り種別判定用、変動パターン判定用などの乱数値をそれぞれ抽出して、第1特図保留記憶装置や第2特図保留記憶装置における空きエントリの最上位に格納(記憶)する始動入賞処理を実行する。
【0061】
また、CPUは、第1特図保留記憶装置や第2特図保留記憶装置に記憶されている保留データの有無などにもとづいて特図ゲームを開始するか否かの判定や、特図表示結果判定用の乱数値を示す数値データにもとづき、特別図柄や演出図柄の変動表示結果を「大当り」とするか否かを、その変動表示結果が導出表示される前に決定(事前決定)する特別図柄通常処理を実行する。つまり、CPUは、特図ゲームの変動表示を開始するときに、始動入賞が発生したときに記憶した乱数値にもとづいて、当該変動表示の表示結果として大当り表示結果を導出表示するか否かを決定(抽選)する処理を実行する。
【0062】
次いで、変動パターンを複数種類のいずれかに決定する変動パターン設定処理、特別図柄を変動させるための設定や特別図柄が変動を開始してからの経過時間を計測する処理を行う特別図柄変動処理、特別図柄の変動を停止させて確定特別図柄を停止表示(導出)させるための設定を行う特別図柄停止処理を行う。また、変動表示結果が「大当り」となった場合は、大当り遊技状態において大入賞口を開閉させる処理を行う大当り開放前処理、大当り開放中処理、大当り開放後処理、大当り終了処理を行う。
【0063】
次に、演出制御基板(図示略)の動作を説明する。先ず、演出制御用CPUは、電源が投入されると、メイン処理の実行を開始する。メイン処理においてタイマ割込が発生すると、コマンド解析処理、演出制御プロセス処理、演出用乱数更新処理を実行する。
【0064】
演出制御プロセス処理では、演出表示装置5の第1保留記憶表示エリア5D及び第2保留記憶表示エリア5Uでの保留記憶表示を、保留記憶バッファの記憶内容に応じた表示に更新する保留表示更新処理を実行する。次いで、演出制御プロセスフラグの値に応じて、遊技制御用マイクロコンピュータから変動パターン指定コマンドを受信しているか否か確認する変動パターン指定コマンド受信待ち処理、演出図柄の変動が開始されるように制御する演出図柄変動開始処理、演出図柄変動開始処理にてセットされたプロセスデータに応じて変動パターンを構成する各変動状態(変動速度)の切替タイミング等の制御や変動時間の終了を監視するとともに、演出表示装置5の表示制御、スピーカ8L,8Rからの音出力、演出用LED9の発光及び演出ユニット(図示略)の駆動制御等を行う演出図柄変動中処理、演出図柄の変動を停止し表示結果(停止図柄)を導出表示する制御を行う演出図柄変動停止処理を行う。
【0065】
大当り表示処理においては、変動時間の終了後、演出表示装置5に大当りの発生を報知するための画面を表示する制御を行う。大当り遊技中処理においては、大当り遊技中の制御を行う。大当り終了演出処理においては、演出表示装置5において、大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を行う。
【0066】
次に、各パチンコ遊技機1に装着される遊技盤2の製造方法について、図面にもとづいて説明する。尚、遊技盤2の製造工程は、当然ながらパチンコ遊技機1の製造方法の一部を構成している。図4は、遊技盤の製造ラインの一部を示す平面図である。図5は、遊技盤の製造システムの構成を示すブロック図である。尚、本実施例では、製造ライン12にて製造可能な遊技盤2は、種別{例えば、材質(ベニヤはたはアクリル板)、搭載するパチンコ遊技機1の機種、バージョン(例えば、大当り確率などのスペック等)等}が異なる複数種類の遊技盤2を含む。
【0067】
図4に示す製造ライン12は、主に釘打ちと後述する釘整備と釘検査の工程を行う部分である。尚、図12に示す製造ライン12の上流側(図4中左側)には、ベニヤ板を切削や穴あけ加工を施して所定の形状とするための図示しないリュータ加工装置や、遊技盤2に下穴を加工する作業を行うための図示しない下穴加工装置等が配置されている。製造ライン12には、下穴加工がされたベニヤ板またはベニヤ板と同じとするためのスペーサ部材が背面に組付けられた合成樹脂板が、二次元コード15aが印刷されたシールが二次元コードマーキング装置14aや第2二次元コードマーキング装置14bによって貼着されて投入される。
【0068】
各製造ラインには、複数台の釘打ち機16、釘供給機19、第1釘検査装置17A、複数台の障害釘整備検査装置300、第2釘検査装置17Bが下流側に向けて順にそれぞれ配置されている。また、第2釘検査装置17Bの下流には、ガイドレール2bや風車の取付け工程、前述した各種の基板や演出表示装置5等の電子部品、演出役物等の取付け工程、パチンコ遊技機1の遊技機用枠3への組付け工程を行う図示しない作業ラインが配置されている。尚、各種装置には、前述した第1二次元コードマーキング装置14aや第2二次元コードマーキング装置14bにて貼着された二次元コード15aを読み取る図示しない読み取り用カメラが設けられている。
【0069】
図5に示すように、製造ライン12を構成する上記各種装置は、製造ライン12を制御する管理コンピュータ500とデータ通信可能に接続されている(図5参照)。管理コンピュータ500は、図5に示すように、データバス501に、制御プログラムにもとづいて各種の処理を行うCPU(中央演算処理回路)502、RAM503、時間情報等を出力可能なリアルタイムクロック(RTC)504、各遊技盤2毎に付与されたシリアル番号に対応付けて各遊技盤2の種別(ベニア板、合成樹脂板)、障害釘整備検査装置300により障害釘200を整備するための整備データ、整備履歴情報(遊技盤2が関わった釘打ち機16や障害釘整備検査装置300を特定可能な情報や整備内容を示す情報など)、標準整備による補正データ等が記憶される記憶装置505、キーボードやマウス等の入力装置506、ディスプレイ等の表示装置507、釘間測定書等の各種印刷物を出力可能なプリンタ508、各種装置とのデータ通信を行うための通信部509と、が接続されたコンピュータであり、接続される各種装置の動作制御を行うとともに、各遊技盤2に対応する整備データを各種装置へ送信する処理や、各遊技盤2毎の整備関連情報となる釘間測定書を出力可能とされている。
【0070】
管理コンピュータ500は、製造ラインに設置されている第1二次元コードマーキング装置14a、第2二次元コードマーキング装置14b、各釘打ち機16、各釘供給機19、各第1釘検査装置17A、各障害釘整備検査装置300、各第2釘検査装置17B等の各種装置がデータ通信可能に有線接続されている。
【0071】
釘打ち機16には、遊技盤2に実際に障害釘200を打設する打設装置だけではなく、図5に示すように、搬送装置13から遊技盤2を取り出すためのロボットアーム装置、二次元コード15aを読み取るための読み取り用カメラ、雰囲気の温湿度と遊技盤2の温度を測定可能な温湿度センサ、釘打ち機16の動作を、管理コンピュータ500からの指示(動作データ)によりコントロールする制御ユニット16’等が設けられており、ロボットアーム装置にて搬送装置13から取り出した遊技盤2に貼着されている二次元コード15aから読み取った読み取りデータを、当該装置を識別可能な装置識別情報である装置番号とともに管理コンピュータ500に送信可能とされているとともに、打設時において温湿度センサにて測定した雰囲気の温湿度と遊技盤2の温度等のデータを、装置番号とともに管理コンピュータ500に送信できる。
【0072】
また、同様に、障害釘整備検査装置300にも、遊技盤2に打設された障害釘200を整備・検査する釘矯正検査装置だけではなく、図5に示すように、搬送装置13からの遊技盤2を取り出し並びに搬送装置13への投入を専用に行うロボットアーム装置、二次元コード15aを読み取るための読み取り用カメラ、雰囲気の温湿度と遊技盤2の温度を測定可能な温湿度センサ、障害釘整備検査装置300の動作を、管理コンピュータ500からの指示(整備データ)によりコントロール(制御)する制御ユニット300’等が設けられており、ロボットアーム装置にて搬送装置13から取り出した遊技盤2に貼着されている二次元コード15aから読み取った読み取りデータを、当該装置の装置番号とともに管理コンピュータ500に送信可能とされているとともに、整備時において温湿度センサにて測定した雰囲気の温湿度と遊技盤2の温度等のデータを、装置番号とともに管理コンピュータ500に送信できるようになっている。
【0073】
尚、図5には示していないが、ベニヤ板や合成樹脂板は、温度や湿度により伸縮するので、各第1釘検査装置17A並びに各第2釘検査装置17Bにも、雰囲気の温湿度と遊技盤2の温度を測定可能な温湿度センサや二次元コード15aを読み取るための読み取り用カメラが設けられていて、測定対象の遊技盤2の二次元コード15aの読み取りデータや温湿度センサにて測定した検査時のデータを、装置番号とともに管理コンピュータ500に送信できるようになっている。
【0074】
次に、本実施例の障害釘整備検査装置300について、図6図10にもとづいて説明する。図6は、障害釘整備装置を示す右側面図である。図7は、障害釘整備装置を示す平面図である。図8(A)は、挟持部が釘の基端部側に配置された状態を示す右側面、図8(B)は、図8(A)の状態から釘整備を行った状態を示す縦断面図である。図9は、遊技盤2を保持、固定する昇降クランプ320のクランプ制御パターンを示す図である。図10は、整備内容とクランプパターンとの関係を示す図である。尚、以下においては、障害釘整備検査装置300について、説明の便宜上、パチンコ遊技機1の上下左右方向を基準とせず、図6及び図7の上下左右方向を基準として説明する。また、遊技盤2は、パチンコ遊技機1に組付けた状態における上側を、図6及び図7において前側に向けた状態で水平に載置したものとする。
【0075】
図6及び図7に示すように、本実施例における障害釘整備検査装置300は、障害釘200を整備する整備用アーム301と、整備の対象となる障害釘200が打設された遊技盤2を水平に載置するテーブル302と、から主に構成される。尚、障害釘整備検査装置300は、前述したように、搬送装置13からの遊技盤2の取り出しおよび投入を行うためのロボットアーム装置等を含むが、以下の説明においては、これらロボットアーム装置等を省いた釘矯正検査装置を障害釘整備検査装置300として説明する。
【0076】
整備用アーム301は、床面上に載置される基台310と、基台310に対し垂直方向を向く回動軸T1を中心として回動可能に設けられた回転台312と、回転台312に対し水平方向を向く回動軸T2を中心として回動可能に設けられた第1アーム313と、第1アーム313の先端に水平方向を向く回動軸T3を中心として回動可能に設けられた第2アーム314と、第2アーム314の前端に水平方向を向く回動軸T4を介して回動可能に設けられた第3アーム315と、第3アーム315の先端に水平方向を向く回動軸T5を中心として回動可能に設けられた第4アーム316と、第4アーム316の先端に設けられ後述する整備用工具400を取付け可能なヘッド317と、ヘッド317に取付けられる整備用工具400や検査用工具600,620と、を主に有する。
【0077】
このように、多関節アームにて構成される整備用アーム301は、前述した管理コンピュータ500に接続され、該管理コンピュータ500(CPU502)からの指令にもとづいて、基台310及び各アームに内蔵されたモータ等の駆動源(図示略)が駆動することにより、整備用工具400や検査用工具600,620を遊技盤面2aに沿う水平方向(前後左右方向、XY軸方向)や、遊技盤面2aに対し直交する垂直方向(上下方向、Z軸方向)に移動させたり、Z軸に対し傾倒させたりすることができるようになっている。
【0078】
尚、本実施例では、整備用工具400や検査用工具600,620を動作させる動作手段の一例である整備用アーム301は、多関節アームにて構成されるが、本発明はこれに限定されるものではなく、整備用工具400や検査用工具600,620をXY軸方向やZ軸方向へ移動させたり、Z軸に対し傾倒させたりすることができるものであれば、多関節アーム以外のマニピュレータにて構成されていてもよい。
【0079】
テーブル302の上面には、遊技盤2の所定箇所(本実施例では、遊技盤2の周囲の4カ所)に形成されている各ガイド孔に挿通可能なガイドピンが立設されており、該ガイド孔にガイドピンが挿通するように図示しないロボットアーム装置によって遊技盤2がテーブル302上に載置される。そして、テーブル302の一方の側方縁部には、テーブル302の左右方向に移動可能とされ、テーブル302に載置された遊技盤2を左方向に押すことが可能なスライドクランプ330が設けられており、図7に示すように、スライドクランプ330がテーブル302に載置された遊技盤2を左方向に押すことにより、ガイド孔に挿通されたガイドピンが、ガイド孔の右側の側面に当接するようになることで、ガイド孔とガイドピンとの間隙(あそび)による位置ずれの発生を抑えることができるようになっている。
【0080】
また、テーブル302の上面には、図7に示すように、前方右隅部位置に、位置ズレ検出用の検出用ピンGを装着する装着部が設けられている。該装着部に装着される検出用ピンGは、中央にくびれ部を有しており、上部を前後左右に移動させると容易に折れる構造とされており、該検出用ピンGよりも少し大径な挿通孔を有する位置ズレ確認工具400’に整備用工具400を交換して、整備用アーム301により検出用ピンGが装着されている装着部の位置に合わせて位置ズレ確認工具400’を垂直に降下させていくことにより、位置ズレが生じていない場合には、検出用ピンGは折れないが、位置ズレが生じている場合には、検出用ピンGが折れて、位置ずれが生じていることを容易に認識できるようになっている。尚、位置ずれが生じている場合には、所定の修正処理を行って位置ずれを修正する。
【0081】
また、テーブル302の上部両側縁部には、図7に示すように、スライド機構340によって前後方向に移動可能に設けられた1対の昇降クランプ320が設けられており、テーブル302の上面において、障害釘200が上方を向くように遊技盤面2aを上向きにした状態で、障害釘200の上方から遊技盤2を押さえることによりテーブル302との間に挟持して、テーブル302に遊技盤2を保持、固定できるようになっている。
【0082】
尚、本実施例の昇降クランプ320は、図7に示すように、中央部に間隙が形成された略コ字状とされた透明樹脂板により形成されており、整備対象の障害釘200が該間隙の直下に位置するように昇降クランプ320が逐次移動し、整備対象の障害釘200に近い釘を昇降クランプ320にて押さえて遊技盤2を固定することで、整備における位置ずれが生じることを防ぐとともに、これら整備対象の障害釘200の近くを押さえても、整備対象の障害釘200の整備状況を、透明な昇降クランプ320を通して視認できるようになっている。
【0083】
図6に示すように、整備用工具400は、直径が約6mmの金属製の棒状部材からなる棒状部401と、該棒状部401の下端側に取付けられ金属材からなる挟持部403と、から主に構成され、棒状部401の上端をヘッド317に交換可能に取付けることができるようになっており、挟持部403の形状が異なる複数種類のものがあり(図11参照)、図7に示すように、基台310の周囲に、所定数が交換可能に予め用意されている。
【0084】
本実施例の障害釘整備検査装置300において昇降クランプ320によって遊技盤2を保持、固定する形態としては、図9(A)に示すクランプ制御パターンAと、図9(B)に示すクランプ制御パターンBとが設定されており、制御ユニット300’が設定されたクランプ制御パターンにもとづいて昇降クランプ320の位置や押さえ圧力を制御する。
【0085】
クランプ制御パターンAは、図9(A)に示すように、整備する障害釘200を、一方の昇降クランプ320の略コ字状の間隙に位置させるとともに、他方の昇降クランプ320の位置を、前後方向の中心位置に対して対称位置に配置し、遊技盤2を、クランプ制御パターンBに比較して低い圧力(小さい力)にて押さえて保持、固定するように制御するクランプ制御パターンである。
【0086】
クランプ制御パターンBは、図9(B)に示すように、双方の昇降クランプ320を前後方向の中心位置に配置した状態で、遊技盤2を、クランプ制御パターンAに比較して高い圧力(大きい力)にて押さえて保持、固定するように制御するクランプ制御パターンである。尚、クランプ制御パターンBにおいて、前後方向の中心位置に昇降クランプ320を配置したときに、整備対象の障害釘200が、昇降クランプ320に覆われてしまう場合には、該整備対象の障害釘200が昇降クランプ320に覆われてしまわない位置まで昇降クランプ320の位置を移動させて、遊技盤2を保持、固定する。
【0087】
本実施例においては、これら各クランプ制御パターンは、図10に示すように、整備内容に応じて選択されるようになっている。具体的には、整備対象の障害釘200が指定釘204~208である場合には、クランプ制御パターンBが選択され(図9(B)参照)、整備対象の障害釘200が指定釘204~208以外の障害釘200である場合には、クランプ制御パターンAが選択される(図9(A)参照)。
【0088】
また、整備において使用する工具種別が、筒状形状で1本の障害釘200のみを整備するために使用される工具種別Aの整備用工具400である場合には、クランプ制御パターンAが選択され、複数の障害釘200を同時に整備するために使用される工具種別B、Cの整備用工具400である場合には、クランプ制御パターンBが選択される。
【0089】
また、整備における変動量(整備量)が予め設定された所定の閾値以上である場合には、クランプ制御パターンBが選択され、変動量(整備量)が閾値未満である場合には、クランプ制御パターンAが選択される。尚、これら整備内容とクランプ制御パターンとの関係は、原則であり、クランプ制御パターンBが優先される。つまり、整備内容に、クランプ制御パターンBに該当する整備内容が含まれている場合、例えば、整備内容が、指定釘204~208以外であって、工具種別Aによる整備であっても、変動量(整備量)が閾値以上である場合には、クランプ制御パターンBが選択される。
【0090】
このように、本実施例では、整備内容である、整備対象の障害釘200の種類の違いや、整備に使用する整備用工具400の種類の違いや、整備における変動量(整備量)の違いに応じて異なるクランプ制御を行うので、遊技盤2を好適に保持することができるようになり、これら整備内容が異なる複数種類の整備を適切に行うことができる。尚、検査用工具を用いた検査においては、直前の整備のクランプ制御パターンによる保持、固定が維持される。
【0091】
次に、障害釘整備検査装置300における整備に使用される整備用工具400について説明すると、図11に示すように、整備用工具400は、挟持部403の形状が異なる複数種類がある。具体的には、整備用工具400は、同時に整備する障害釘200の数に応じて、3つの種別に大別される。工具種別Aは、1本の障害釘200のみを整備するために使用される整備用工具400であり、工具種別Bは、2本の障害釘200を同時に整備するために使用される整備用工具400であり、工具種別Cは、3本の障害釘200を同時に整備するために使用される整備用工具400である。
【0092】
更に、工具種別Aの整備用工具400には、図11のA-1~A-4に例示するように、先端部の形状や開口の大きさ等により、複数種類のものがある。これら工具種別Aは、主に、連釘と称される誘導釘201L,201Rの整備に使用される。また、工具種別Bの整備用工具400にも、図11のB-1~B-4に例示するように、挟持部403に形成された障害釘200が挿通される溝の幅や形状、挟持部403の厚み等により複数種類のものがある。これら工具種別Bは、主に、指定釘204~208等の命釘と称される入賞口に臨む障害釘200等の整備に使用される。工具種別Cの整備用工具400は、主に、指定釘205の整備に使用される整備用工具400である。尚、本実施例では、工具種別Cを2種類とした形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、該工具種別Cについても、挟持部403に形成された障害釘200が挿通される溝の幅や形状、挟持部403の厚み等により、多種類のものを設けるようにしてもよい。
【0093】
本実施例の障害釘整備検査装置300は、整備用工具400を交換することにより、後述する遊技盤2の製造工程における工程S5において、整備用工具400を用いて遊技盤面2aに打設された複数の障害釘200のうち工程S4において異常が検知された障害釘200を第1整備データにもとづいて整備する第1整備、及び工程S7において第2整備データにもとづいて指定釘204~208を整備する第2整備のいずれの整備も実行可能とされている。
【0094】
ここで、障害釘整備検査装置300が行う指定釘204~208以外の障害釘200を整備対象とする第1整備について説明する。第1整備は、前述したように、工程S4で位置異常が検知された障害釘200を対象として実行される整備であり、上記した工具種別Aの整備用工具400を用いて、不良(NG)と判定された障害釘200を1本毎、単独にて実行される。具体的には、不良(NG)の内容が、障害釘200の頭部200bの配置位置座標が、胴部200aが適切な角度に傾いていないことにより適正範囲にない場合を例に説明すると、該不良(NG)の障害釘200の頭部200bの配置位置座標が適正範囲内となるように、例えば、工具種別Aで工具番号A-2の整備用工具400の筒状内に当該障害釘200を収納した状態で該整備用工具400を傾けることにより、障害釘200が適切な角度となるように整備したり、工具番号A-3の整備用工具400の下端部に頭部200bを嵌合させて該整備用工具400を移動させることにより、頭部200bの配置位置座標が適正範囲内となるようにする。
【0095】
次に、指定釘204~208を対象とする整備(第2整備;工程S7)の内容について、図8にもとづいて説明する。尚、以下においては、指定釘204の第2整備内容を一例として説明し、他の指定釘205~208の第2整備内容も同様である。但し、釘間の離間寸法は、指定釘204と指定釘205~208とで異なる寸法であってもよい。図8に示すように、指定釘204である左右の障害釘200は、釘打ち機16により打設された状態において、遊技盤面2aに対し直交するZ軸方向に対し上方に約4度傾斜している。また、設定位置において、左右の障害釘200それぞれの胴部200aにおける基端部側の離間寸法L2及び頭部200b側の離間寸法L3はそれぞれ同じ約10.5mm(L2=約10.5mm、L3=約10.5mm)とされている。つまり、左右の障害釘200は、互いの胴部200aは略平行をなすように打設されている。第2整備では、指定釘204の左右の障害釘200の間隔を基部側から頭部200b側に向けて漸次広げ、頭部200bを離間寸法L3が約11.5mmとなる指定位置へ配置する第2整備データにもとづいて行われる。
【0096】
障害釘整備検査装置300は、管理コンピュータ500から受信した第2整備データにもとづいて、図示しない駆動源により整備用アーム301の挟持部403を動作させて指定釘204の整備を行う。尚、第2整備データは、遊技盤2の指定釘204を整備する際に、管理コンピュータ500が前述した湿度計・温度計から得られた湿度・温度のデータにもとづき、例えば、遊技盤2の材質がベニヤ板である場合であれば、ベニヤ板の含水率を算出し、該含水率にもとづいて整備用アーム301の挟持部403を動作させるベニヤ板用動作パターンデータ等を含む。このように、工場内の室内環境(湿度・温度)の変化に合わせてベニヤ板の遊技盤2の指定釘204を整備できるため、指定釘204の整備作業時におけるベニヤ板の破損を防ぐことができるとともに、整備精度が高まる。
【0097】
また、整備用工具400は、遊技盤2の種別や対象となる障害釘200に応じた寸法や形状を有する複数種類の整備用工具400が用意されており、整備の対象となる障害釘200に応じて交換可能とされている。尚、このような整備用工具400の選択及び交換動作は第2整備データに含まれており、整備対象となる障害釘200に応じて整備用アーム301が自動で行うようにしているが、作業者が手作業で交換するようにしてもよい。
【0098】
障害釘整備検査装置300は、受信した第2整備データにもとづいて整備用アーム301を所定の動作パターンで駆動し、駆動初期位置から挟持部403を整備の対象となる指定釘204の配置位置まで、挟持部403が障害釘200に接触しないように遊技盤2の上方にて移動させる。尚、指定釘204の位置等は、該指定釘204の座標データから特定可能であり、第2整備データには、整備用工具400を配置する位置の座標データや移動方向や角度等のデータが含まれており、該第2整備データにもとづいて整備用アーム301が動作することで、正確な動作による整備を実行できる。
【0099】
次いで、図8(A)に示すように、凹溝411L,411Rの開口が指定釘204側を向くように挟持部403を指定釘204の前側に下降させる。そして、図8(A)中の白矢印方向で示すように挟持部403を後方に向けて移動させ、凹溝411L,411R内に左右の障害釘200の各胴部200aがそれぞれ嵌合する所定位置に配置する。これにより、左右の障害釘200の胴部200aが、凹溝411L,411Rにより挟持される。尚、挟持部403は、この所定位置において、図8(A)に示すように、棒状部401がZ軸(垂線)に対し上方に向けて所定角度(約4度)傾く。
【0100】
所定位置では、図8(A)に示すように、挟持部403の下面が遊技盤面2aから離間され、その離間寸法L4は約2.5mm(L10=2.5mm)とされる。つまり、挟持部403は、胴部200aにおける頭部200bよりも遊技盤面2aに近い基部側の位置に配置される。また、棒状部401は、障害釘200の胴部200aと平行をなすように、Z軸(垂線)に対し上方に向けて所定角度θ1(θ1=4度)傾けた状態で配置される。また、挟持部403の上下寸法L5は、障害釘200における遊技盤面2aから頭部200bまでの長さL1よりも短寸とされ(L5<L1)、挟持部403と各障害釘200の頭部200bとの間は離間しているため、挟持部403を頭部200b側に向けてスライド移動させることができるようになっている。
【0101】
次に、図8(B)に示すように、挟持部403を、挟持部403の下面における左右方向の中央位置CPを基準として、棒状部401を左右に所定角度振りながら複数回に分けて上方へ移動させる。具体的には、挟持部403を、挟持部403の下面における左右方向の中央位置CPを基準として、棒状部401を右側に向けて所定角度θ2(θ2=約13.15度)傾け、傾けた状態で所定期間(例えば、約0.6秒間)動作を停止する。次いで、挟持部403を第1位置からZ軸方向に対し上方に約4度傾斜する方向に向けて第1移動量(例えば、約0.35mm)移動させて第2位置に配置するとともに、図8(B)に示すように、挟持部403を、中央位置CPを基準として棒状部401を左側に向けて所定角度θ2(θ2=約13.15度)傾けてZ軸まで戻した後、さらに左側に向けて所定角度θ3(θ3=約12.25度)傾け、傾けた状態で所定期間(例えば、約0.6秒間)動作を停止する。
【0102】
このように、挟持部403が中央位置CPを基準として左右方向に傾くことで棒状部401を振る方向側の障害釘200の方が他方側の障害釘200に比べ折れ曲がり角度が大きくなり、これを複数回繰り返すことにより、指定釘204の障害釘200の間隔が基部側から頭部200b側に向けて漸次広がるように整備される。このような整備により、指定釘204を構成する障害釘200の離間寸法が所定寸法(約11.5mm)となる指定位置に配置される。
【0103】
次に、障害釘整備検査装置300が実行する第1検査と第2検査について以下に説明する。尚、本実施例では、障害釘整備検査装置300における検査に使用する検査用工具として、図12に示すように、工具番号D-1の検査用工具600と、工具番号D-2の検査用工具620の2つの検査用工具が使用可能とされており、検査用工具600が第1検査(工程S6)にて使用され、検査用工具620が第2検査(工程S8)にて使用される。
【0104】
まず、第1検査について説明すると、第1検査においては、第1整備が行われた障害釘200の頭部200bが指定位置の許容範囲内に配置されているか否かを判定する。この第1検査は、第1整備済みの障害釘200の頭部200bが指定位置の許容範囲内に配置されているか否かに加え、該障害釘200の胴部200aの曲がり具合が正常であるか否かも検査(判定)する。
【0105】
この第1検査において障害釘整備検査装置300は、先ず、整備用工具400を図13に示す検査用工具600に交換する。検査用工具600は、直径が約6mmの金属製の棒状部材からなる棒状部601と、該棒状部601の下端側に取付けられ金属材からなる測定部602と、から主に構成されている。測定部602は、棒状部601の下端側に固定的に設置される基部602aと、基部602aに対して相対移動可能に設けられた移動部602bと、を有する。移動部602bは、図15に示すように、棒状部601の下端から前方へ延設される板状片を有し、該板状片の先端には、第1接触辺602Lと、該第1接触辺602Lに対し交差するように形成された第2接触辺602Rと、を有する平面視略V字状の切欠部603が形成されている。このように構成される測定部602は、基部602aに対し移動部602bがXYZ軸方向に移動することで、基部602aに対するせん断力や該せん断力がかかる方向を力覚センサFにより計測可能である。尚、略V字状の切欠部603の谷部は基点RPとなっている。
【0106】
次に、図14に示すように、検査用工具600を用いて障害釘200における胴部200aのZ軸方向の複数箇所(本実施例では、検査点P1,P2の2箇所)におけるXY軸方向の位置(座標)を計測する。そして、基部602aに設けられた演算部(図示略)が位置データ(座標データ)にもとづき障害釘200の曲がり具合を検出する。詳しくは、図15(A)に示すように、検査点P1,P2それぞれに対応する検査開始位置に検査用工具600の基点RPを配置する。続いて、図15(B)に示すように、検査用工具600を、基点RPが指定位置に配置されるようにXY軸方向(水平方向)に移動させる。つまり、第1整備により障害釘200の頭部200bが指定位置の許容範囲内に配置されていれば、第1接触辺602Lや第2接触辺602Rが胴部200aに接触せずに基点RPを検査開始位置から指定位置へ移動させることができる。
【0107】
しかし、障害釘200が指定位置の許容範囲内にないことにより、第1接触辺602Lと第2接触辺602Rのうちいずれか一方(例えば、第2接触辺602R)に障害釘200が当接すると、図15(B)中の点線矢印方向に圧力が働き、これにより基部602aに対し移動部602bが移動するため、基部602aに対するせん断力や該せん断力がかかる方向が計測される。障害釘整備検査装置300は、前記せん断力やその方向が減少する方向に(最小値となる方向)へ検査用工具600を誘導する。上記のような動作を繰り返し、図15(C)に示すように、障害釘200に当接する位置に検査用工具600の基点RPを配置する。障害釘整備検査装置300は、基点RPが障害釘200に当接する位置までに検査用工具600の基点RPが移動した移動量及び移動方向等を含む前述した第1検査結果情報を管理コンピュータ500へ送信する。
【0108】
第2検査結果情報を受信した管理コンピュータ500(CPU502)は、該第2検査結果情報にもとづいて、指定位置に対する検査点P1,P2それぞれの位置のXY軸方向へのずれ量を特定する。つまり、管理コンピュータ500(CPU502)は、第1接触辺602Lと第2接触辺602Rとの基点RPを指定位置に向けて移動する途中で第1接触辺602Lまたは第2接触辺602Rに接触したときにかかる負荷により、各検査点P1,P2における指定位置からのずれ量にもとづいて胴部200aの曲がり具合を特定する。
【0109】
また、各検査点P1,P2における胴部200aの指定位置に対するXY軸方向のずれ量から障害釘200の曲がり具合を特定することで、障害釘200の頭部200bの遊技盤面2aからの長さ寸法を特定できる。つまり、頭部200bは設定位置からXY軸方向へずれていなくても、胴部200aが曲がっていたりする不具合を把握できるため、障害釘200の植設状態を高精度で検査することができる。そして、該第1検査で障害釘200が指定位置の許容範囲内にない場合や、曲がり具合等に問題があると判定された場合には、修正整備データ(再第1整備データ)が作成されて、該障害釘200について再整備が実行される(図21参照)。尚、本実施例では、第1検査において、管理コンピュータ500(CPU502)が、第1接触辺602Lと第2接触辺602Rとの基点RPを指定位置に向けて移動する途中で第1接触辺602Lまたは第2接触辺602Rに接触したときにかかる負荷により、各検査点P1,P2における指定位置からのずれ量にもとづいて胴部200aの曲がり具合を特定する形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、基点RPが検査開始位置から障害釘200に当接する位置までに移動した移動量及び移動方向(移動軌跡)にもとづいて各検査点P1,P2における指定位置からのずれ量を計測し、胴部200aの曲がり具合を特定するようにしてもよい。
【0110】
また、本実施例では、第1検査の判定を、管理コンピュータ500(CPU502)が第2検査結果情報にもとづいて実行する形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの判定を障害釘整備検査装置300の制御ユニット300’にて実行し、該検査について不良があった場合にのみ、第2検査結果情報を管理コンピュータ500(CPU502)に送信して、修正整備データ(再第1整備データ)を取得するようにしてもよい。また、本実施例では、検査用工具600を用いて第1検査を行う形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、障害釘整備検査装置300においてカメラによって第1検査を行うようにしてもよい。
【0111】
次に、第2検査について説明すると、第2検査においては、第2整備が行われた指定釘204~208の釘間の離間寸法が、遊技盤面2aからの高さ位置が異なる第1位置と第2位置(図19参照)において適正寸法であるか否かを判定(検査)する。この第2検査において障害釘整備検査装置300は、まず、第2整備に使用した整備用工具400を図17に示す検査用工具620に交換する。尚、本実施例において第2検査は、指定釘204~208のそれぞれにおいて、第1位置→第2位置の順に実行するが、第2位置→第1位置の順に実行してもよい。
【0112】
図16は、検査用工具620の先端に揺動可能に装着される検査具630を示す六面図である。本実施例の検査具630は、図16に示すように、所定厚みの金属板がL字状とされた形状とされており、縦長長方形状をなす金属板からなる取付部630aと、該取付部630aよりも左右幅が幅広の金属板からなる検査部630bと、から構成されており、検査部630bが第1面をなし、取付部630aが、検査部630bである第1面に対して直角に屈曲する形状とされた第2面をなしている。尚、本実施例では、取付部630aと検査部630bとが成す角度を直角とすることで、間隔が狭い盤面上の領域に検査部630bを配置できるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、検査部630b(第1面部)と取付部630a(第2面部)とがなす角度を、直角以外の角度、つまり、90度よりも小さい角度や、90度よりも大きい角度としても良く、これら角度は、検査対象の指定釘の状態に応じて決定するようにすればよい。
【0113】
取付部630aの検査部630b側とは反対側の部分である上部には、ネジ627の挿通孔631が長手方向の上下に2つ形成されているとともに、上下2つの挿通孔631の間には、挿通孔631よりも小径の孔であって、検査具630を揺動可能とするための揺動軸622を挿通可能な揺動軸孔632が形成されている。尚、揺動軸孔632は揺動軸622の径とほぼ同じ径寸法の孔とされているのに対し、挿通孔631は、挿通されるネジ627の径よりも若干大きな径寸法の孔とされていることにより、後述するように、該挿通孔631にネジ627が挿通された状態において、挿通されたネジ627によって検査具630の揺動が阻害されないようになっている(図17(C)参照)。
【0114】
検査部630bは、取付部630aの下端から前方に直角に屈曲して形成されており、これら取付部630aと検査部630bとで側面視略L字形の検査具630を構成している。また、検査部630bの後辺における取付部630aの左右側辺に近接する位置には、前方に向けて延びる溝状の切欠部634が互いに平行をなすように形成されている。尚、これら切欠部634は、検査具630の製造において、研磨加工等で予め外形寸法出しをした検査具630に、折曲げ加工によって取付部630aと検査部630bとを形成する際に、該折曲げ加工によって検査部630bが撓んで検査部630b(特には、第4領域)の幅寸法が変化してしまうことを防ぐために形成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら切欠部634を有しない形状としてもよい。
【0115】
検査部630bは、図16に示すように、左右幅寸法が、前方側(先端側)が小さく、後方側(取付部630a側)が大きな略台形状とされており、前方側(先端側)の角部が切欠部635とされていることで、後述するように、該検査部630bを釘間に進入させるときに該釘間に検査部630bが切欠部635により案内されるようになっている。また、検査部630bの左右側面には、後方に向けて外側に徐々に膨出する第1段部636と、第2段部637とが設けられており、切欠部635の後端から第1段部636までの左右幅寸法と、第1段部636から第2段部637までの左右幅寸法と、第2段部637から後端までの左右幅寸法とが異なる幅寸法とされている。
【0116】
具体的には、指定釘204に対応する検査部630bについては、図18に示すように、切欠部635の後端から第1段部636までの左右幅寸法は11.04mmとされている。また、第1段部636の後端から第2段部637までの左右幅寸法は11.90mmとされ、第2段部637の後端から検査部630bの後端までの左右幅寸法は12.10mmとされており、各段部における幅の変化は、第1段部636の方が第2段部637よりも大きくなっている。つまり、検査部630bの先端部から切欠部635の後端までの領域は11.04mm未満の幅寸法である第1領域、切欠部635の後端から第1段部636までの領域は11.04mmの幅寸法である第2領域、第1段部636の後端から第2段部637までの領域は11.90mmの幅寸法である第3領域、第2段部637の後端から検査部630bの後端までの領域は12.10mmの幅寸法である第4領域となっている。尚、本実施例では、図18に示すように、検査部630bを指定釘204~208の釘間に進入させて第2検査を行うことから、該第2検査において、検査部630bの全体が誤って釘間を通過してしまった場合に、検査部630bの後端角部が釘間に引っかかって抜けなくなってしまうことがないように、後端角部の形状を角丸の形状としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、後端角部の形状を角丸としないようにしてもよいし、或いは、先端側と同じく切欠状としてもよい。
【0117】
また、本実施例では、前述したように、第1始動入賞口に対応する指定釘204については第1位置の適正寸法(離間寸法L3)が12.0mm、一般入賞口60に対応する指定釘205については第1位置の適正寸法(離間寸法L3)が11.4mm、ゲート41に対応する指定釘206については第1位置の適正寸法(離間寸法L3)が12.8mm、風車61対応する指定釘207については第1位置の適正寸法(離間寸法L3)が11.5mm、ワープ通路62に対応する指定釘208については第1位置の適正寸法(離間寸法L3)が11.1mmとされているので、図18において例示した12.0mmの適正寸法に対応した検査具630以外に、11.1mm、11.4mm、11.5mm、12.8mmのそれぞれに対応した検査具を製作し、該製作した検査具を、以下に示すように揺動可能に装着した4種類の検査用工具を含む、合計5種類の検査用工具が予め交換可能に用意されている。
【0118】
検査具630は、図17に示すように、整備用アーム301に着脱可能なヘッド317に連結された装着具621に、該装着具621と固定板625とに挟持された状態で取り付けられる。装着具621は、図17(B)に示すように、検査具630の揺動軸孔632に挿通される揺動軸622が突出形成されているとともに、ネジ627を挿通可能なネジ孔612が形成されている装着面を有している。尚、本実施例では、装着具621に揺動軸622を突出形成した形態を例示しているが、例えば、揺動軸622を単体の別部材とし、該単体の揺動軸を挿入可能な軸孔を装着面に設けておき、該軸孔に単体の揺動軸を挿入して揺動軸を形成するようにしてもよい。
【0119】
また、固定板625は、その1面に、検査具630の幅寸法よりも0.2mmだけ大きい寸法を有することで、検査具630の上端部を収納可能とされた凹部628を有するとともに、該凹部628には、揺動軸622を挿通可能な挿通孔629aと、ネジ627の受け部となるようにネジ山が形成されたネジ受孔629bbが形成されている。検査具630の装着具621への取り付けは、まず、装着面の揺動軸622に検査具630の揺動軸孔632を挿通して配置し、その後方から、固定板625を、該固定板625の凹部628内に検査具630が収納されるように、挿通孔629aに揺動軸622を挿通する。
【0120】
そして、装着具621の前面側からネジ627を挿通してねじ止めする。この際、装着具621の装着面と固定板625との間に挟持される検査具630が、揺動不能とならない程度の力でねじ止めすることで、図17(C)に示すように、検査具630の側面と、固定板625の凹部628の側壁626の内面との間に、約0.1mmの間隙が形成されるようになり、検査具630の側面が側壁626の内面に当接する範囲、具体的には、図17(A)に示すように、検査部630bの先端位置において±1.21mmの範囲にて、検査具630が揺動可能となる。尚、これら検査具630が揺動する範囲の大きさは、検査具630の側面と、固定板625の凹部628の側壁626の内面との間隙を大きくすることで揺動する範囲も大きくなり、該間隙を小さくすることで揺動する範囲も小さくなる。つまり、間隙の寸法を変化させることによって検査具630が揺動する範囲を変化させる(調整する)ことができる。これら検査具630は、本実施例においては、後述するように、検査部630bが盤面に対して平行な状態で検査を行う必要があることから、取付部630aが遊技盤面2aに対して直交方向に立設した状態で使用されるため、これら検査具630は、使用状態である検査において、遊技盤面2aに対する直交方向に沿う基準線CLを中心に揺動可能に取り付けられていることになる。
【0121】
このように、検査具630を遊技盤面2aに対する直交方向に沿う基準線CLを中心に揺動可能とすることで、複数の障害釘整備検査装置300を用いる場合の障害釘整備検査装置300の個体差により検査位置に多少の誤差があっても、検査具630が揺動することによって、検査位置の誤差の影響を受けることなく円滑に検査を行うことできることから好ましい。尚、本発明はこれに限定されるものではなく、これら検査具630が揺動しないものであってもよい。
【0122】
ここで、上述した検査具630を使用した本実施例の第2検査についてより詳しく説明する。上述したように、検査部630bには、幅寸法が異なる4つの領域が設けられ、これらの領域間に第1段部636や第2段部637が後方側に向けて幅寸法が漸増するように形成されていることから、該検査部630bを障害釘200の釘間(釘中心を結ぶ線上)に進入させた場合において、進入距離(検査部630bの先端から釘中心を結ぶ線上までの距離)が図17(B)に示す距離となった場合に、第1段部636や第2段部637等に障害釘200が位置することになる。具体的には、例えば、釘間が11.04mmである1対の障害釘200間に検査部630bを進入させた場合には、進入距離が1.3mmとなったところで障害釘200の胴部200aと検査部630bの側面とが当接する。よって、釘間が11.04mm未満である場合には、進入距離が1.3mmとなる前に検査部630bの側面が障害釘200の胴部200aに当接して、検査具630に力(抵抗力)が作用することになる。
【0123】
釘間が11.04mmである1対の障害釘200は、第2領域の幅寸法も同じ11.04mmであるので、障害釘200の胴部200aと検査部630bの側面とが当接はするものの、大きな力(抵抗力)が作用しないため第1段部636まで進入し、該第1段部636にて大きな(抵抗力)が作用する。このように、障害釘200が第1段部636にまで到達した場合の進入距離は、図17(B)に示すように、2.6mmとなるように第1段部636が設計されている。
【0124】
また、釘間が11.90mmである1対の障害釘200間に検査部630bを進入させた場合には、第1段部636を過ぎた第3領域の幅寸法も同じ11.90mmであるので、障害釘200の胴部200aと検査部630bの側面とが当接はするものの、大きな力(抵抗力)が作用しないため第2段部637まで進入し、該第2段部637にて大きな力(抵抗力)が作用する。このように、障害釘200が第2段部637にまで到達した場合の進入距離は、図17(B)に示すように、5.1mmとなるように第2段部637が設計されている。よって、釘間が11.04mm以上であって11.90未満である場合には、進入距離が2.6mmとなるか、または2.6mmとなる前に検査部630bの側面と障害釘200の胴部200aとの接触による抵抗力が増大することになる。
【0125】
また、釘間が12.10mmである1対の障害釘200間に検査部630bを進入させた場合には、第2段部637を過ぎた第4領域の幅寸法も同じ12.10mmであるので、障害釘200の胴部200aと検査部630bの側面とが当接はするものの、大きな力(抵抗力)が作用しないため第2段部637を超えて第4領域まで進入することになる。よって、釘間が11.90mm以上であって12.10未満である場合には、進入距離が5.1mmとなるか、または5.1mmとなる前に検査部630bの側面と障害釘200の胴部200aとの接触による抵抗力が増大することになる。
【0126】
また、釘間が12.10mmまたは12.10mmよりも大きい1対の障害釘200間に検査部630bを進入させた場合には、第2段部637を過ぎた第4領域の幅寸法は12.10mmであるので、障害釘200の胴部200aと検査部630bの側面との間に大きな摩擦や抵抗を生じることはなく、第4領域まで検査部630bが進入するようになる。
【0127】
以上のように、釘間の離間寸法によって、検査具630に大きな力が作用することになる進入距離が異なることから、検査対象の釘間に検査部630bを先端から進入させていきながら、検査具630に作用する力を力覚センサFによって検出し、該検出した力が予め設定された閾値となったときの進入距離にもとづいて、釘間の離間寸法の適否を検査(判定)することができる。尚、閾値は、測定誤差やノイズ等を考慮して、検査具630に作用する力(抵抗力)から適宜に設定すればよい。具体的には、第2検査においては、図19(A)に示すように、遊技盤面2aからの高さが14.3mmと高い第1位置(傘下位置ともいう)と、遊技盤面2aからの高さが5.5mmと低い第2位置(ゲージ棒位置ともいう)について検査(判定)を行う。尚、第2検査を行う指定釘204~208は、前述したように、第2整備によって、頭部200bに向かって釘間が漸次広がるように整備されるため、第1位置の適正寸法と第2位置の適正寸法とが異なる。
【0128】
本実施例では、例えば、指定釘204については、第1位置の適正寸法である離間寸法L3は、前述したように12.0mmとされているため、第1位置における合格(OK)判定条件としては、図19(A)に示すように、11.90mmの幅寸法を有する第3領域を釘間に進入でき、且つ、12.10mmの幅寸法を有する第4領域を釘間に進入できなければよいことになる。この第1位置の合格(OK)判定条件に適合するように、上記した進入距離と力覚センサFによって検出した力とにもとづく検査(判定)を行う判定例を図20(A)に示す。尚、第1位置の適正寸法は12.0mmであるが、0.1mm程度の誤差は適正としてよいので、11.90mm以上、12.10mm未満を、本実施例では合格(OK)とする。
【0129】
図20(A)において示した2.6mmは、前述したように、第1段部636に対応する進入距離であり、5.1mmは第2段部637に対応する進入距離である。よって、力覚センサFによって検出した力が閾値を超えた進入距離が、図20(A)のグラフBに示すように、2.6mmよりも大きく、且つ5.1mm以下である場合には、合格(OK)と判定すればよい。また、グラフAに示すように、閾値を超えた進入距離が2.6mm以下である場合には、11.90mmよりも小さい釘間であるため、適正寸法よりも小さいスモールNGと判定すればよく、グラフCに示すように、閾値を超えた進入距離が5.1mmよりも大きい場合並びに5.1mmを超えても閾値を超えない場合には、12.10mmよりも大きい釘間であるため、適正寸法よりも大きいビッグNGと判定すればよい。
【0130】
また、本実施例では、第2位置の適正寸法は、直径11.00mmの遊技球が挟まって釘間に停止することがない寸法として、遊技球の直径よりも0.04mmだけ大きい11.04mmよりも大きい寸法とされているため、第2位置における合格(OK)判定条件としては、図19(B)に示すように、11.04mmの幅寸法を有する第2領域を釘間に進入できればよいことになる。
【0131】
この第2位置の合格(OK)判定条件に適合するように、上記した進入距離と力覚センサFによって検出した力とにもとづく検査(判定)を行う判定例を図20(B)に示す。図20(B)において示した1.3mmは、前述したように、第2領域の先端に対応する進入距離であり、2.0mmは、第2領域のほぼ中央位置に対応する進入距離である。よって、力覚センサFによって検出した力が閾値を超えた進入距離が、図20(B)のグラフaに示すように、1.3mm以下である場合には、釘間の離間寸法が11.04mmよりも小さいこととなるため、NGと判定すればよい。また、力覚センサFによって検出した力が閾値を超えた進入距離が、1.3mmよりも大きい場合、並びに図20(B)のグラフbに示すように、2.0mmまで閾値を超えない場合には、合格(OK)と判定すればよい。尚、本実施例では、第2位置では、第1位置のように、ビッグNGを判定しない形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、第1段部636に対応する2.6mmの進入距離までにおいて閾値を超えない場合には、ビッグNGと判定するようにしてもよい。また、本実施例では、第2検査における適正寸法であるか否かの上記した各判定を、障害釘整備検査装置300の制御ユニット300’が実行するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの判定を、管理コンピュータ500が実行するようにしてもよい。
【0132】
尚、本実施例では、上記したように、適正寸法の±0.1mmを適正範囲としていることから、指定釘205の適正寸法11.1mmに対応する検査具としては、第3領域の幅寸法が11.00mmであり、第4領域の幅寸法が11.20mmであればよく、指定釘206の適正寸法11.4mmに対応する検査具としては、第3領域の幅寸法が11.30mmであり、第4領域の幅寸法が11.50mmであればよく、指定釘207の適正寸法11.5mmに対応する検査具としては、第3領域の幅寸法が11.40mmであり、第4領域の幅寸法が11.60mmであればよく、指定釘208の適正寸法12.8mmに対応する検査具としては、第3領域の幅寸法が12.70mmであり、第4領域の幅寸法が12.90mmであればよい。
【0133】
次に、パチンコ遊技機1の製造工程の流れについて遊技盤2の製造工程を中心に説明する。図21は、遊技盤2の製造工程の大まかな流れを示すフローチャートである。まず、遊技盤2を構成する所定の大きさの合成樹脂板(例えば、アクリル板等)やベニヤ板に、リュータ加工装置などにより切削や穴あけ加工を施して所定の形状とした後、遊技盤面2aにセルシートを貼付する。次いで、障害釘200や風車などの打ち込み作業時の位置ずれを減らすために、遊技盤2の種別に対応するゲージデータ(釘配列データ)に応じて成形された金属製のゲージ板(図示略)により、遊技盤面2aに下穴を加工する作業を行う(工程S1)。尚、本実施例では、投入口Bから投入される合成樹脂板(例えば、アクリル板等)は、予め合成樹脂板のメーカー側において切削や穴あけ加工並びに下穴加工が施されたものとされている。
【0134】
遊技盤面2aに下穴が形成された遊技盤2は、第1二次元コードマーキング装置14aまたは第2二次元コードマーキング装置14bにて、ゲージデータ(釘配列データ)や整備動作(後述する整備データ)等を特定可能なゲージ番号、遊技盤2の材質を示す材質コード、遊技盤2の機種を示す機種コード、同一機種のバリエーション等の機種補助情報を示すサブコード、遊技盤2の製造番号(固有のID)を示すシリアル番号、生産会社区分コード、従来から使用されているバーコードとのデータを利用可能とするためのバーコード情報、遊技盤2の背面に貼着されるセルシートの種別を特定可能なセル番号、印刷された日時を示す印刷日付コード等をシンボル化した個別の二次元コード15aを含む各種コードを印刷したシール15を貼付する作業を行う(工程S2)。
【0135】
尚、本実施例の製造ライン12では、種別が異なる遊技盤2を製造できるようになっており、遊技盤2の種別によって釘配列や障害釘200の整備内容が異なっている。よって、製造ライン12に設けられた各種装置は、シール15に印刷された二次元コード15aを読み取り用カメラ(図示略)により読み取り、この読み取ったシリアル番号と装置番号とを管理コンピュータ500に送信する。シリアル番号を受信した管理コンピュータ500では、該シリアル番号に対応する整備データ、つまり、シリアル番号から特定される遊技盤2に対応する整備データを記憶装置505から抽出し、受信した装置番号から特定される送信元の装置に対して該抽出した整備データを送信する。そして各種装置では、管理コンピュータ500から受信した整備データにもとづいて釘打ちや整備が行なわれる。尚、製造ライン12では、釘打ち(工程S3)、第1整備(工程S5)、第2整備(工程S7)等において、釘打ち機16による釘打ちや障害釘整備検査装置300による整備に不良が生じることがある。
【0136】
製造ライン12では、図4に示すように、供給側の搬送装置13と、排出側の搬送装置13とが並行して配置されており、各釘打ち機16や各障害釘整備検査装置300は、前述したロボットアーム装置によって供給側の搬送装置13から遊技盤2を任意に取り出して打設または整備・検査し、その後、打設または整備・検査済みの遊技盤2を排出側の搬送装置13に戻す仕様とされており、複数のうちいずれの装置で釘打ちや釘整備が行われるかを予め決定していないため、記憶装置505に各遊技盤2の整備履歴を記憶することで、各遊技盤2の製造に関わった装置を特定できるようにしている。この整備履歴情報が蓄積されていくと、各種装置のうちいずれで整備不備が多く発生しているかを特定することができるようになるため、製造ライン12に設置された複数の装置のメンテナンス作業を簡便に行うことが可能とされている。
【0137】
また、記憶装置505に各遊技盤2の整備履歴を記憶することで、製造工程の最終段階や納品後に障害釘の不具合が見つかった場合、当該遊技盤2の整備履歴を参照し、当該遊技盤2の製造に関わった装置、つまり、不具合の可能性がある装置を特定することができるため、この不具合の可能性がある装置により新たな遊技盤2の整備等が行われてしまうことがないように、装置の駆動を直ちに停止してメンテナンス作業を行うなど、早期のうちに対処することが可能となる。
【0138】
また、工程S2では、二次元コード15aが印刷されたシール15を盤面板2Aの下部(例えば、パチンコ遊技機1に装着されたときに外部から露見しない位置。本実施例では、右側下部位置)に貼付する作業が行われる(図2参照)。また、シール15には、製造ライン12の所定位置(例えば、各釘打ち機16、各障害釘整備検査装置300、第1釘検査装置17A、第2釘検査装置17B)に設けられた読み取り用カメラにより読み取られる二次元コード15aの他に、作業者が目視にて確認できるように、印刷日付、機種コード、シリアル番号、ゲージ番号、セル番号、バーコード情報等がアルファベットや数字、記号等にて表記されている。尚、本実施例では、二次元コード15aが印刷されたシール15が盤面板2Aに貼付され、二次元コード15aを読み取り用カメラ(読取装置)により読み取るようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記した各種情報が記憶されたICチップを含むシールを貼付し、ICチップに記憶された情報を所定の読取装置にて読取可能とてもよい。
【0139】
盤面板2Aに二次元コード15aのマーキング作業が終了したら、釘打ち機16にて下穴に複数の障害釘200を工程S1にて加工された各下穴に打ち込む作業を行う(工程S3)。尚、釘打ち機16は、障害釘200の打ち込み作業が終了したら、当該釘打ち機16の装置番号とともに、読み取り用カメラにより読み取った二次元コード15aの読み取りデータと当該作業時の温湿度等の情報を釘打ち作業完了データとして管理コンピュータ500に送信する。そして、第1釘検査装置17Aにて遊技盤面2aに打ち込まれた障害釘200を、第1釘検査装置17Aに設けられている複数のカメラ44により撮影し、該撮影した画像データにもとづいて、各障害釘200が遊技盤面2aに対し直交するZ軸方向に対する傾き(頭部200bの配置位置座標など)、障害釘200の有無、釘曲り、錆、変色などを検査する釘画像検査を行う(工程S4)。第1釘検査装置17Aは、検査が終了したら、一次検査結果データを、第1釘検査装置17Aの装置番号と、該遊技盤2の二次元コード15aの読み取りデータとともに管理コンピュータ500へ送信する。
【0140】
一次検査結果データを受信した管理コンピュータ500(CPU502)は、受信した一次検査結果データにもとづいて、各障害釘200が遊技盤面2aに対し直交するZ軸方向に対し上方に約4度傾斜しているか否かを、遊技盤2に対応するゲージデータから特定される各障害釘200の頭部200bの設定位置に対するXY軸方向への位置ずれ方向及び位置ずれ量から判定する。各障害釘200の頭部200bの設定位置(座標位置)は、障害釘200が下穴に正確に打ち込まれたときに頭部200bが配置される位置であり、遊技盤2の種別に応じたゲージデータとして管理コンピュータ500の記憶装置505に記憶されている。
【0141】
また、各設定位置に対しては、XY軸方向の誤差を考慮した許容範囲(精度)が設定されており、頭部200bがこの許容範囲外に配置されている場合に異常(不良)と判定するとともに、設定位置からのずれ方向やずれ量が特定されるようになっている。尚、この許容範囲は、管理コンピュータ500において各障害釘200毎に所望の値に設定できるようになっている。
【0142】
一次検査結果データを受信した管理コンピュータ500(CPU502)は、工程S3にて打ち込まれた障害釘200のうち、工程S4の検査により頭部200bの設定位置に対するXY軸方向へずれが許容範囲外にあると判定された障害釘200を対象として、該障害釘200の頭部200bを設定位置の許容範囲内に配置するための第1整備データを作成し、該第1整備データを、受信した一次検査結果データに含まれる二次元コード15aの読み取りデータ中のシリアル番号に対応付けて記憶する。尚、該第1整備データは、当該シリアル番号の二次元コード15aのシールが貼着された遊技盤2を搬送装置13から取り出した障害釘整備検査装置300から、当該シリアル番号15cを含む読み取りデータが送信されてきたときに、該障害釘整備検査装置300へ送信(返信)されて、該第1整備データにもとづいた整備(第1整備)が指示される。
【0143】
障害釘整備検査装置300では、管理コンピュータ500から受信した第1整備データにもとづき、工程S4で異常が検知された障害釘200を対象とした第1整備を、前述したように行う(工程S5)。該第1整備が完了したときには、該障害釘整備検査装置300の装置番号とともに、二次元コード15aの読み取りデータと第1整備の実行時の温湿度情報等を含む第1整備完了データが管理コンピュータ500に送信されることで、管理コンピュータ500に第1整備が完了したことが通知されるとともに該第1整備を実行した障害釘整備検査装置300の装置番号や温湿度情報等の第1整備に関する情報が通知されて記憶される。
【0144】
そして、これら第1整備後の障害釘200について、各障害釘200が遊技盤面2aに対し直交するZ軸方向に対し上方に約4度傾斜しているか否かを、頭部200bの設定位置に対するXY軸方向への位置ずれ方向及び位置ずれ量などにもとづいて判定する第1検査を前述したように行い、該第1検査の検査結果が、該障害釘整備検査装置300の装置番号と、二次元コード15aの読み取りデータとともに第1検査完了データとして管理コンピュータ500に送信される。尚、これら第1検査は、本実施例においては、前述したように、工具番号D-1の検査用工具600を用いて、第1整備を実行した障害釘整備検査装置300にて行われるが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら第1検査を他の障害釘整備検査装置300や第2釘検査装置17Bにて行うようにしてもよい。
【0145】
この第1整備(S5)と第1検査(S6)とは、第1整備後の障害釘200の頭部200bが全て設定位置の許容範囲内に配置されるまで繰返し行われる(S6+;Y)。但し、第1整備によって許容範囲内に配置された障害釘200は、再度の第1整備の対象から除外されていくため、第1整備が繰返し実行されていくに従って、整備対象の障害釘200の数は徐々に減少していくことになる。
【0146】
これら再整備の際には、第1検査の検査結果にもとづいて、再度、第1整備データが管理コンピュータ500において作成され、該作成された第1整備データにもとづいて釘整備が実行される。尚、第1整備完了データも、第1整備が繰り返し行われる毎に管理コンピュータ500に送信される。尚、これら管理コンピュータ500において作成される第1整備データによる整備内容は、第1検査において許容範囲内にないと判定された回数(検査NG回数)に応じて、順次異なる整備内容となるように設定されている。具体的には、検査NG回数が1回目の場合には、原則として、検査NGと判定された障害釘200の整備量(変形量)を、該検査NGと判定される前の第1整備における整備量(変形量)とは異なる整備量(変形量)に変更した整備内容とされる。また、検査NG回数が2回目の場合には、原則として、検査NGと判定された障害釘200の整備に使用した工具とは異なる工具に変更した整備内容とされる。また、検査NG回数が3回目の場合には、原則として、検査NGと判定された障害釘200の整備に使用した障害釘整備検査装置300とは異なる障害釘整備検査装置300に変更した整備内容とされる。つまり、検査NG回数が2回目に対応する工具を変更した第1整備が実行された場合には、該第1整備を実行した障害釘整備検査装置300は、該第1整備を実行した障害釘200を有する遊技盤2をロボットアーム装置にて搬送装置13に投入し、該投入された遊技盤2をロボットアーム装置にて搬送装置13から取り出した他の障害釘整備検査装置300によって第1整備が実行される。そして、このように他の障害釘整備検査装置300によって第1整備が実行された後の第1検査において検査NGと判定された場合には、該遊技盤2は製造ラインからの排出対象に設定される。具体的には、該検査NGと判定した障害釘整備検査装置300においてロボットアーム装置にて製造ライン外に排出される。
【0147】
尚、本実施例では、第1整備においては、工程S4の釘画像検査において異常が検知された障害釘200のみを対象として整備を行うようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、異常の有無に関係なく、全ての障害釘200を対象として第1整備を行うようにしてもよい。また、本実施例では、第1整備と第1検査とを実行する形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、工程S4の釘画像検査によって位置ずれ等の障害釘200がない場合や、第1整備を必要としない種類の遊技盤2にあっては、工程S5の第1整備並びに工程S6の第1検査を省略してもよい。
【0148】
第1検査において検査NGの障害釘200が無い(S6+;N)と判定された場合には、該遊技盤2は、ロボットアーム装置によって搬送装置13に戻される。そして、搬送装置13に戻された該遊技盤2は、他の障害釘整備検査装置300のロボットアーム装置によって搬送装置13から取り出され、複数の障害釘のうち遊技盤2の種別に応じて予め指定された障害釘200である指定釘204~208を対象として、該指定釘204~208の釘間の離間寸法を適正寸法とするための第2整備が実施される。つまり、第1検査が終了した遊技盤2を搬送装置13から取り出した障害釘整備検査装置300に対して管理コンピュータ500は、複数の障害釘のうち遊技盤2の種別に応じて予め指定された指定釘204~208を対象として、該指定釘204~208の離間寸法を適正寸法とするための第2整備データを送信して第2整備の実行を指示する。該第2整備データを受信した障害釘整備検査装置300は、受信した第2整備データにもとづいて指定釘204~208を対象とした第2整備を行う(工程S7)。
【0149】
このように、本実施例では、第1整備を行った障害釘整備検査装置300とは異なる障害釘整備検査装置300において第2整備を行うことで、障害釘整備検査装置300の違いよる整備精度の偏りを防ぐことができるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら第1整備と第2整備とを同一の障害釘整備検査装置300が行うようにしてもよい。
【0150】
第2整備においては、前述したように、指定釘204~208それぞれにおける一対の障害釘200の間隔が所望の適正寸法となるように基部側から頭部200b側に向けて漸次広げるように指定釘204~208を整備するとともに、各障害釘200の傾斜角度、傾斜方向、他の障害釘200との配置態様などを変えるための整備等も含まれており、工程S5の第1整備にて整備されたか否かに関わらず行われる。これら指定釘204~208は、遊技盤面2aに打ち込まれる複数の障害釘200のうち、特に、遊技価値の付与に関連する各入賞口や通過ゲート41への遊技球の進入確率に関わるものであり、僅かな誤差やずれなどによってパチンコ遊技機1のベース値などにも影響を及ぼす可能性が高い障害釘である。また、遊技盤2の種別に応じて各障害釘200の傾斜角度、傾斜方向、他の障害釘200との配置態様が変わるものである。尚、この指定釘は、管理コンピュータ500において、各遊技盤2毎に所望の障害釘200を指定できるようになっている。
【0151】
前述したように、第1整備は、工程S3において遊技盤面2aに打ち込まれた複数の障害釘200のうち、工程S4で異常が検知された障害釘200を対象とし、該異常があった障害釘200の頭部200bを設定位置の許容範囲内に配置する作業を含むのに対し、第2整備は、予め指定された障害釘200である、例えば、指定釘204~208を対象とし、該指定された障害釘200の釘間の離間寸法を適正寸法とする作業を含む。つまり、第2整備(工程S7)では、第1整備(工程S5)とは内容が異なる整備が行われる。また、第2整備は、釘打ち機16による釘打ち工程において一様にはできないまたは困難な整備であって、第1整備よりも精度が高い繊細な作業を必要とするため、他の障害釘200を対象とする第1整備とは別個に行うことで、障害釘200の整備作業を効率よく行える。また、指定釘204~208を対象とする第2整備が必要のない種類の遊技盤2にあっては、工程S7の第2整備を省略してもよい。
【0152】
そして、これら指定釘204~208の障害釘200を対象とした第2整備を行った後に、前述したように、指定釘204~208の障害釘200に対応する検査用工具を用いて第1位置と第2位置について、第1位置→第2位置の順に釘間の離間寸法が適正であるか否かを検査する第2検査(工程S8)を行う。尚、第2検査においては、後述するように、不適正寸法であると判定(NG判定)された指定釘に対する再整備も実行される。図22は、S8の第2検査の内容を示すフロー図である。第2検査では、まず、各指定釘の数にもとづいて検査順序を決定する。つまり、指定釘204~208には、指摘釘205のように3対ある場合があるので、これら指定釘の数の多い順、つまり、指摘釘205(3対)→指摘釘204(1対)→指摘釘206(1対)→指摘釘207(1対)→指摘釘208(1対)の順に検査順序を決定する。このように、指定釘の数の多い順に検査順序を決定することで、これら数の多い指定釘の第2位置の検査で不適正寸法であると判定(NG判定)された場合には、即不良と判定されてその他の指定釘の検査等を実行しないので、無駄な検査や検査用工具の無駄な交換等を省くことができるが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの検査順序は、検査用工具の交換する回数を低減や検査時間の省略等を考慮して、適宜に決定すればよい。尚、指摘釘205(3対)についての検査順序は、例えば、位置等に応じて任意に決定すればよい。
【0153】
S20において検査順序を決定した後には、最初に検査する指摘釘205に対応する検査用工具に交換する(S21)。そして、まず、第1位置について上述したように、検査部630bを先端から釘間に進入させて検査を行い(S22)、検査結果(OK、スモールNG、ビッグNG)を記憶する。その後、第2位置について上述したように、検査部630bを先端から釘間に進入させて検査を行い(S24)、検査結果(OK、NG)を記憶する(S25)。そして、検査結果がNG(不適正寸法であるとの判定)されたか否かを判定する(S26a)。検査結果が第1位置と第2位置のいずれもOKである場合(S26a;N)には、S29に進む。検査結果がNGであるものがある場合(S26a;Y)には、さらに、第2位置の検査結果がNG(不適正寸法であるとの判定)であるか否かを判定する(S26b)。第2位置の検査結果がNGである場合(S26b;Y)には、例えば、図23に示すように、先に検査される第1位置では、偶発的に適正寸法であると判定されはしたものの、胴部200aが大きく湾曲していて、整備をしても適正な離間寸法に矯正できない可能性が高いことから、第1位置が適正寸法であっても再検査や再整備を行うことなく不良とする(S50)。これら不良とされた遊技盤2は、不良であることが障害釘整備検査装置300にて報知されて、該障害釘整備検査装置300から取り出される。
【0154】
尚、本実施例のように指定釘205→指定釘204→指定釘206→指定釘207→指定釘208の順に第2検査を行う場合において、例えば、指定釘205の第2検査において、第2位置が適正寸法でない場合には、指定釘204→指定釘206→指定釘207→指定釘208の第2検査をすることなく不良と判定して報知することで、無用な検査や無用な検査用工具の交換等を省いて、第2検査の検査効率を向上できるようにすることが好ましい。尚、本発明はこれに限定されるものではなく、第2位置の不良と判定しても、即不良とするのではなく、指定釘205→指定釘206→指定釘207→指定釘208の第2検査を全て行った後に、不良と判定して報知するようにしてもよい。
【0155】
一方、S26bの判定において第2位置の検査結果がNGではない(S26b;N)場合には、第1位置のみの検査結果がNGである場合であるので、検査用工具を交換することなく、第1位置を再検査し(S27)、再検査の結果を記憶する(S28)。尚、本実施例では、第2位置については、再検査(1)を実行することなく不良としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2位置についても再検査(1)を実行し、該再検査において再度NGと判定された場合に不良とするようにしてもよい。
【0156】
そして、同一寸法に指定釘である指定釘205を全て検査済であるか否かを判定する(S29)。全ての同一寸法の指定釘を検査済ではない場合(S29;N)、例えば、未検査の指定釘205が存在する場合には、次に検査する指定釘205を検査順序から特定した後(S30)、S22に戻り、特定した別の指定釘205について検査を実行する。一方、全ての同一寸法の指定釘を検査済である場合(S29;Y)には、全ての指定釘を検査済であるかを判定する(S31)。全ての指定釘を検査済ではない場合(S31;N)には、S20で決定した検査順序にもとづいて、次に検査する指定釘、例えば、指定釘205の次であれば、指定釘204を、次に検査する指定釘であると特定し(S32)。該特定した指定釘204に対応する検査用工具に交換して(S33)、S22へ戻る。また、全ての指定釘を検査済である場合(S31;Y)には、S34に進む。
【0157】
このようにして検査を実行することにより、指摘釘205(3対)→指摘釘204(1対)→指摘釘206(1対)→指摘釘207(1対)→指摘釘208(1対)の順に、各指定釘毎に、各指定釘に対応した検査用工具を使用して第1位置と第2位置のそれぞれについて検査が実行されていき、第2位置の検査でNGであった場合には、再検査されることなく即不良と判定され、第1位置の検査でNGであった場合には、再検査される。具体的には、初めに、整備用工具400から、適正寸法11.4mmに対応する検査具を有する検査用工具に交換して指定釘205の第1位置、第2位置のそれぞれについて第2検査を実行し、次に、適正寸法12.0mmに対応する検査具を有する検査用工具に交換して指定釘204について第2検査を実行し、次に、適正寸法12.8mmに対応する検査具を有する検査用工具に交換して指定釘206の第1位置、第2位置のそれぞれについて第2検査を実行し、次に、適正寸法11.5mmに対応する検査具を有する検査用工具に交換して指定釘207の第1位置、第2位置のそれぞれについて第2検査を実行し、その後、最後に、適正寸法11.1mmに対応する検査具を有する検査用工具に交換して指定釘208の第1位置、第2位置のそれぞれについて第2検査を実行する。
【0158】
S34においては、記憶した検査結果にもとづいて、第1位置の再検査において再度NGと判定された指定釘が存在しているか否かを判定する。尚、再検査において再度NGと判定された指定釘が存在していない場合には、第1位置の検査においてOKであることにより、再検査を実行しなかった場合も含まれる。再検査において再度NGと判定された指定釘が存在していない場合(S34;N)には、全ての指摘釘205~208が適正寸法であることから、S9の釘最終検査に進む。一方、再検査において再度NGと判定された指定釘が存在している場合(S34;Y)には、検査用工具を工具種別Bの整備用工具400に交換し、再度NGと判定された指定釘について、該交換した工具種別Bの整備用工具400を使用した再整備を行う(S35)。尚、これら再整備(第2整備)の際には、先の再検査の検査結果にもとづいて、再度、第2整備データが管理コンピュータ500において作成され、該作成された第2整備データにもとづいて釘整備が実行されるが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら再整備(第2整備)として、前回の整備と同一の整備を繰り返す場合や、前回の整備と変形量だけを変更するだけの違いのように、前回の整備とほぼ同様の整備を行う場合等においては、障害釘整備検査装置300(制御ユニット300’)においてこれら第2整備データを作成するようにしてもよい。
【0159】
そして、再整備を実行した後、該再整備を行った指定釘について、再整備を行った指定釘に対応する検査用工具を使用した再検査(2)を行う(S36)。尚、この再検査についても、図22のS20からS33に示すように、再整備の指定釘が複数ある場合には、その順序を決定し、決定した順序に沿って、第1位置と第2位置の検査を順次実行すればよい。再整備の指定釘の全てについて、再検査(2)でOKと判定された場合(S37;N)には、S9の釘最終検査に進む。また、再整備の指定釘について、第2位置の検査でNGと判定された場合には、S37およびS38でYと判定されて不良とされる(S50)。また、再整備の指定釘について、再検査(2)でNGと判定されたが、第2位置の検査でNGと判定されなかった場合(S37でYと判定され、S38でNと判定された場合)、つまり、再検査(2)で、再整備された指定釘が、第1位置のみがNGと再度判定された場合には、第1位置のみがNGと再度判定された指定釘について、工具種別Bの整備用工具400を使用して再整備を行う(S39)。この場合、S35の再整備とは異なる再整備(変形量が異なる、工具種別Bであるが異なる整備用工具を使用等)が実行される。その後、該再整備を行った指定釘について、S35の再整備を実行した指定釘に対応した検査用工具を使用した再検査(3)を行う(S40)。
【0160】
この再検査(3)で、NGである指定釘がなかった場合には(S41;N)、S9の釘最終検査に進む。一方、再検査(3)において、NGである指定釘が存在している場合には(S41;Y)、第1位置における離間寸法のみが不適正であっても不良とする(S50)。尚、S20の決定や、S26a、S26b、S34、S37、S38、S41の判定は、障害釘整備検査装置300の制御ユニット300’で行ってもよいし、管理コンピュータ500にて行うようにしてもよい。
【0161】
第2検査において、指定釘204~208の全てについて釘間の離間寸法が適正であると判定された場合(S34でYの場合、S37でNの場合、S41でNの場合)には、第2整備並びに第2検査を行った障害釘整備検査装置300から、該障害釘整備検査装置300の装置番号とともに、読み取り用カメラにて読み取った二次元コード15aの読み取りデータと第2整備及び第2検査の実行時の温湿度情報と第2検査の検査結果情報(第2検査結果情報)とを含む第2整備完了データが管理コンピュータ500に送信されることで、管理コンピュータ500に第2整備及び第2検査が完了したこと、並びに該第2整備を実行した障害釘整備検査装置300の装置番号や温湿度情報や第2検査の検査結果情報等の第2整備に関する情報が通知される。
【0162】
そして、第2検査が終了した遊技盤2は、ロボットアーム装置によって、排出側の搬送装置13に投入されて第2釘検査装置17Bに搬送され、該第2釘検査装置17Bにおいて全ての障害釘200を対象として、各障害釘200の頭部200bが設定位置にあるか否かの釘最終検査を行う(工程S9)。尚、本実施例では、工程S9において、遊技盤2の全ての障害釘200の位置を検査するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、指定釘204~208のみを検査するようにしてもよい。また、工程S9にて異常が検知された遊技盤2は、製造ライン12から取り出され、製造ライン12とは別の障害釘整備検査装置300等により再度整備され、該再整備が完了した場合にも、該再整備を行った障害釘整備検査装置300から第2整備完了データが管理コンピュータ500に送信される。
【0163】
第2釘検査装置17Bにおける最終検査において異常がなければ、ガイドレール2bや風車61を遊技盤面2aに形成された下穴を利用して取付ける作業を行う(工程S10)。そして、センター飾り枠51、各種入賞装置、基板等の電子部品など他の遊技用部材を取付けた後、パチンコ遊技機1の遊技機用枠3に組付けられる(工程S11)。最後に、完成したパチンコ遊技機1は梱包されて出荷される(工程S12)。
【0164】
以上、本実施例によれば、検査具630を検査対象の1対の障害釘200の釘間に進入させて検査(第2検査)をするので、1対の障害釘200の位置をそれぞれ検査して釘間の離間寸法を検査する場合に比較して、検査精度を高めることができるとともに、検査時間も著しく短縮できる。また、検査(第2検査)を、検査具630を整備用アーム301に装着した障害釘整備検査装置300にて実施できるので、これらの検査を検査員が実行する場合に比較して、進入方向や進入角度を一定化(安定化)でき、高精度の検査が可能となるばかりか、これら検査精度が、検査員の疲労により低下してしまうことも防ぐことができるとともに、検査に要する人件費も削減できる。この結果、遊技機の釘間寸法の高精度化を図りつつ、遊技機の製造効率を向上でき、遊技機の製造コストを抑えることができる。遊技機の釘間寸法の高精度化に伴って、入賞口の入賞率等の遊技機の遊技性能の均一化を図ることができる。
【0165】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、前記実施例では、指定釘204~208の釘間の適正寸法が全て異なる形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、指定釘204~208の一部について、第1位置の適正寸法が同一寸法であってもよいし、指定釘204~208の全てについて、第1位置の適正寸法が同一寸法であってもよく、このように、適正寸法が同一寸法の指定釘が存在する場合には、これら同一の適正寸法である数が多い指定釘から先に第2検査を実行していき、第2位置について不良があった場合には、その時点で不良と判定するようにしてもよい。
【0166】
また、前記実施例では、力覚センサFを使用し、検査部630bを先端から釘間に進入させていき、該力覚センサFが検知した検査具630に作用する力が閾値となったときの進入距離によって釘間が適正寸法であるか否かを判定することで、判定の精度を向上できるとともに、効率の良い検査を実行できるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、検査部630bの第3領域が釘間に位置するべき進入距離である、3.5mmの進入距離だけ検査部630bを進入させた第1進入状態とし、該第1進入状態において力覚センサFが閾値以上の力を検出している場合には、第3領域が釘間に位置していない適正寸法ではないと判定(スモールNGと判定)し、力覚センサFが閾値以上の力を検出していない場合に、第3領域が釘間に位置している適正寸法であると判定(適正寸法と判定)するようにしてもよい。また、第1進入状態において力覚センサFが閾値以上の力を検出していない場合には、更に、第4領域に対応する6.0mmの進入距離だけ検査部630bを進入させた第2進入状態とし、該第2進入状態において力覚センサFが閾値以上の力を検出している場合には、第4領域が釘間に位置していない適正寸法であると判定し、力覚センサFが閾値以上の力を検出していない場合に、第4領域が釘間に位置していることで適正寸法ではないと判定(ビッグNG)するようにしてもよい。
【0167】
また、前記実施例では、力覚センサFを使用した検査(判定)を実行する形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、検査部630bを撮像するマイクロカメラ(撮像手段)と、該マイクロカメラにて撮像した画像を解析する画像解析手段とを設け、例えば、検査部630bの第3領域が釘間に位置するべき進入距離である、例えば、3.5mmの進入距離だけ検査部630bを進入させた第1進入状態とし、該第1進入状態においてマイクロカメラ(撮像手段)にて撮像した画像から、第3領域が釘間に位置しているか否かを画像解析手段にて判定し、第3領域が釘間に位置している場合には適正寸法(OK)と判定し、第3領域が釘間に位置していない場合、具体的には、第1領域や第2領域が釘間に位置している場合にはスモールNGと判定するようにしたり、更には、検査部630bの第4領域に対応する6.0mmの進入距離だけ検査部630bを進入させた第2進入状態とし、該第2進入状態において第4領域が釘間に位置していない場合には適正寸法(OK)と判定し、第4領域が釘間に位置している場合には、ビッグNGと判定するようにしてもよい。
【0168】
また、前記実施例では、第1位置の第2検査において適正寸法ではないと判定された場合には、必ず再検査(S27)を実行する形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら再検査を実行せずに、再整備(S35)を実行するようにしてもよい。
【0169】
また、前記実施例では、第2位置の第2検査で適正寸法ではないと判定された場合には、再検査や再整備を実行することなく不良とする形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1位置の場合と同様に再検査や再整備を実行して適正寸法ではないと再度判定された場合に、不良とするようにしてもよい。
【0170】
前記実施例では、1の検査具630で、第1位置と第2位置とを検査できるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1位置を検査するための専用の検査具と、第2位置を検査するための専用の検査具とを個別に設けて、これら第1位置と、第2位置とを個別の専用検査具にて検査するようにしてもよい。
【0171】
前記実施例では、第1位置の適正寸法に対応する第1所定寸法並びに第2所定寸法を、適正範囲を±0.1mmとした形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら適正範囲を±0.1m以外の値、例えば、0.05mmや0.15mmとしてもよいし、狭い側を0.05mmとし、広い側を0.1mmとするように、狭い側(マイナス側)と広い側(+側)とで、適正範囲を異なるようにしてもよい。また、指定釘204~208の一部または全部について、これら適正範囲が異なるようにしてもよい。
【0172】
また、前記実施例では、釘が設けられた盤面を有する遊技機の一例としてパチンコ遊技機1を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、釘が設けられた盤面を有するもの、例えば、アレンジボール等の遊技機や遊技球を使用するスロットマシンであってもよい。また、前記実施例では、遊技球を外部に排出するパチンコ遊技機1を例示しているが、遊技球が指触不能に内部に内封された封入式のパチンコ遊技機であってもよい。
【0173】
また、前記実施例では、釘検査装置として、再整備に要する時間短縮等を目的として、第2整備と第2検査との両方を実行可能な障害釘整備検査装置300において第2検査を実行する形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら第2検査のみを実行する障害釘検査装置を専用に設けるようにしてもよく、この場合には、検査用工具620が整備用アーム301に交換不能に設けられたものであってもよい。
【0174】
また、前記実施例では、検査具630の形状をL字状とした形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、L字状以外の形状、例えば、検査部630bを前後面の両面に有するT字状として、一方面の検査部が第1位置に対応し、他方面の検査部が第2位置に対応するものであってもよい。
【0175】
また、前記実施例では、第1検査を必ず実行する形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、遊技機の機種によっては、第1検査を実行しないようにしてもよい。
【0176】
また、前記実施例では、複数の釘を整備するための第1工具として、工具種別Bの整備用工具400を用いた第2整備(一次整備)を行うとともに、第2検査において釘間の離間寸法が適正寸法となっていないと判定されたときに、再度、工具種別Bの整備用工具400を用いた再整備を実行するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら再整備においては、適正寸法となっていないと判定された障害釘200に対して、単数の釘を整備するための第2工具、例えば、工具種別Aの整備用工具400を用いた再整備(2次整備)を行うことで、釘整備の効率化と整備不良対策とを両立することができるようにしてもよい。
【0177】
また、前記実施例では、第2検査において釘間の離間寸法が適正寸法となっていないと判定(第1次判定)されたときに、例えば、図22のS27の工程に示すように、再検査による判定(第2次判定)を実行し、該再検査による判定(第2次判定)において適正寸法となっていないと判定された障害釘200に対してのみ、S35の再整備の工程を実行することで、誤検出や誤判定により第2整備が無用に実行されてしまうことを防ぐことができるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら再検査を実行しないものであってもよい。
【0178】
また、前記実施例では、再整備(2次整備)を行った後に再び2次再検査(S36)を実行し、該2次再検査(S36)において適正寸法となっていないと判定された釘に対して、S39の再整備(2次整備)とは異なる内容の再々整備(3次整備)を行うことで、再整備(2次整備)によっても適正寸法となっていない釘を適正寸法とすることができるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら再々整備(3次整備)を再整備(2次整備)と同一の整備としてもよいし、これら再々整備(3次整備)を実行しない形態としてもよい。
【0179】
また、前記実施例では、再々整備(3次整備)を実行した障害釘200に対して3次再検査(S40)を実行し、該3次再検査(S40)で適正寸法となっていないと判定された場合(S41;Y)には、不良として報知することで、再々整備(3次整備)によっても適正寸法となっていない釘が存在することを認識することができるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、3次再検査(S40)を実行したが適正寸法となっていないと判定された障害釘200に対して、更に4次整備を実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0180】
2 遊技盤
2a 遊技盤面
200 障害釘
200a 胴部
200b 頭部
300 障害釘整備装置
301 整備用アーム
400 整備用工具
500 制御装置
501 制御部
502 記憶装置
600 検査用工具
620 検査用工具
630 検査具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12
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