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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   B60T 7/04 20060101AFI20220302BHJP
【FI】
B60T7/04 D
B60T7/04 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017250592
(22)【出願日】2017-12-27
(65)【公開番号】P2019116154
(43)【公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(74)【代理人】
【識別番号】100166659
【弁理士】
【氏名又は名称】楠 和也
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】前田 良雄
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-151662(JP,U)
【文献】特開2017-039339(JP,A)
【文献】特開平05-078053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 1/00-7/10
F16B 2/00-2/26
F16B 5/00-5/12
F16D 49/00-71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の走行部の一方のみに制動力を作用させる片ブレーキ操作が可能な作業車両であって、
フロアステップよりも下方位置に配置された左右方向のブレーキペダル軸と、
前記ブレーキペダル軸側から前方且つ上方に突出形成された左右一対のアーム部の基端部側が前記ブレーキペダル軸を支点として上下揺動可能に支持され且つ左右一対のアーム部の先端側のペダル本体部がフロアステップよりも上方位置に配置された左右一対のブレーキペダルと、
左右一方側のブレーキペダルの操作によって該左右一方側の走行部に制動力を作用させるとともに、左右他方側のブレーキペダルの操作によって該左右他方側の走行部に制動力を作用させる制動装置と、
前記左右のブレーキペダルを連結することによって該左右のブレーキペダルが一体的に操作される片ブレーキ防止状態と、前記左右のブレーキペダルの連結を解除することによって該左右のブレーキペダルが各別に操作可能な片ブレーキ可能状態との何れかへの切換えを行う切換機構とを備え、
前記切換機構は、前記ブレーキペダル軸上に設けられ、前記ブレーキペダル軸を支点として、一方のアーム部と一体的に揺動可能に設けられた連結部材と、他方のアーム部に一体的に設けられて前記連結部材と係止可能に構成された係止部材とを有し、
前記係止部材は、前記連結部材が係脱可能な凹部が形成され、
前記凹部は、入口となる開放端側よりも奥側が幅広となるように形成されるとともに、その開放端側の幅は前記連結部材と同程度で且つ前記連結部材が挿脱可能となるように形成され、
前記係止部材は、他方のアーム部の基端部後側から後方に向かって延設された板状部材で構成され、
前記連結部材は、前記ブレーキペダル軸の後方側で前後揺動されるように構成され、
前記切換機構は、前記連結部材が前記凹部内に揺動された場合は前記片ブレーキ防止状態に切換えられ、前記連結部材が前記凹部内から外れた位置に揺動操作された場合は前記片ブレーキ可能状態に切換えられるように構成された
作業車両。
【請求項2】
前記連結部材を左右一方側のブレーキペダル側に設け、前記係止部材を左右他方側のブレーキペダル側に設けた
請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記凹部は、係脱される前記連結部材の移動軌跡に対して略対称となるように形成された
請求項1又は2の何れかに記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右の走行部の一方のみに制動力を作用させる片ブレーキ操作が可能な作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
左右の走行部の一方のみに制動力を作用させる片ブレーキ操作が可能な作業車両であって、フロアステップよりも下方位置に配置された左右方向のブレーキペダル軸と、基端側が前記ブレーキペダル軸を支点として上下揺動可能に支持され、先端側がフロアステップよりも上方位置に配置されて踏込み操作可能に構成された左右一対のブレーキペダルと、前記左右のブレーキペダルを連結することによって該左右のブレーキペダルが一体的に操作される片ブレーキ防止状態と、前記左右のブレーキペダルの連結を解除することによって該左右のブレーキペダルが各別に操作可能な片ブレーキ可能状態との何れかへの切換えを行う切換機構とを備えた特許文献1に記載の作業車両が従来公知である。
【0003】
上記特許文献1の作業車両によれば、ブレーキペダル軸がフロアステップの下方側に配置されたブレーキペダルにおいて、左右のブレーキペダルの連結、連結解除を行う切換機構を設けたことにより、ブレーキペダルの操作スペースを確保しつつ、左右のブレーキペダルを片ブレーキ防止状態と、片ブレーキ可能状態とに切換えることができるものである。
【0004】
しかし、前記切換機構は、手動操作を介して揺動可能に支持された連結部材に形成された凹部が、板状の係止部材に挿脱可能となるように構成されているため、前記凹部が形成された揺動操作可能な連結部材と、前記係止部材とを精度良く組付ける必要があるとともに、前記連結部材(凹部)と係止部材との間でガタが生じ易くなる場合があるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-230737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、左右のブレーキペダルを連結した片ブレーキ防止状態と、左右のブレーキペダルの連結を解除した片ブレーキ可能状態とに切換える切換機構を備えた作業車両において、前記切換機構による左右のブレーキペダルの連結・連結解除の切換操作をスムーズに行うことができるともに、前記切換機構の組付作業も容易になる作業車両を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、第1に、左右の走行部の一方のみに制動力を作用させる片ブレーキ操作が可能な作業車両であって、フロアステップよりも下方位置に配置された左右方向のブレーキペダル軸と、前記ブレーキペダル軸側から前方且つ上方に突出形成された左右一対のアーム部の基端部側が前記ブレーキペダル軸を支点として上下揺動可能に支持され且つ左右一対のアーム部の先端側のペダル本体部がフロアステップよりも上方位置に配置された左右一対のブレーキペダルと、左右一方側のブレーキペダルの操作によって該左右一方側の走行部に制動力を作用させるとともに、左右他方側のブレーキペダルの操作によって該左右他方側の走行部に制動力を作用させる制動装置と、前記左右のブレーキペダルを連結することによって該左右のブレーキペダルが一体的に操作される片ブレーキ防止状態と、前記左右のブレーキペダルの連結を解除することによって該左右のブレーキペダルが各別に操作可能な片ブレーキ可能状態との何れかへの切換えを行う切換機構とを備え、前記切換機構は、前記ブレーキペダル軸上に設けられ、前記ブレーキペダル軸を支点として、一方のアーム部と一体的に揺動可能に設けられた連結部材と、他方のアーム部に一体的に設けられて前記連結部材と係止可能に構成された係止部材とを有し、前記係止部材は、前記連結部材が係脱可能な凹部が形成され、前記凹部は、入口となる開放端側よりも奥側が幅広となるように形成されるとともに、その開放端側の幅は前記連結部材と同程度で且つ前記連結部材が挿脱可能となるように形成され、前記係止部材は、他方のアーム部の基端部後側から後方に向かって延設された板状部材で構成され、前記連結部材は、前記ブレーキペダル軸の後方側で前後揺動されるように構成され、前記切換機構は、前記連結部材が前記凹部内に揺動された場合は前記片ブレーキ防止状態に切換えられ、前記連結部材が前記凹部内から外れた位置に揺動操作された場合は前記片ブレーキ可能状態に切換えられるように構成されたことを特徴としている。
【0008】
第2に、前記連結部材を左右一方側のブレーキペダル側に設け、前記係止部材を左右他方側のブレーキペダル側に設けたことを特徴としている。
【0009】
第3に、前記凹部は、係脱される前記連結部材の移動軌跡に対して略対称となるように形成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
前記切換機構は、前記凹部が入口側より奥側が幅広となるように形成されたことにより、前記連結部材又は前記係止部材の前記凹部への挿脱がスムーズになるため、左右のブレーキペダルの連結・連結解除がスムーズになるとともに、前記切換機構の取付誤差も吸収されるため、組付作業もより容易になる。
【0011】
また、前記連結部材を左右一方側のブレーキペダル側に設け、前記係止部材を左右他方側のブレーキペダル側に設けたものによれば、部品点数を削減することができるため、コストを低く抑えることができる。
【0012】
前記凹部は、係脱される前記連結部材の移動軌跡に対して略対称となるように形成されたものによれば、前記凹部をより容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明を適用したトラクタの側面図である。
図2】操縦部を示した要部斜視図である。
図3】ブレーキ操作ユニットの構成を示した要部斜視図である。
図4】ブレーキ操作ユニットの配置を示した要部底面斜視図である。
図5】切換機構を示した右後方斜視図である。
図6】切換機構を示した左後方斜視図である。
図7】切換機構を示した底面後方斜視図である。
図8】切換機構を示した側面斜視図である。
図9】切換機構を示した側面斜視図である。
図10】凹部の形状を示した切換機構の側面図である。
図11】切換機構の分解図である。
図12】(A)乃至(D)は、左右のブレーキペダルの構成を示した平面図、斜視図、背面図、側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明を適用したトラクタの側面図であり、図2は、操縦部を示した要部斜視図であり、図3は、ブレーキ操作ユニットの構成を示した要部斜視図である。本トラクタは、左右一対の前輪1,1及び駆動輪である後輪2,2とによって支持される機体フレーム3と、該機体フレーム3の前側に設置されてエンジン(図示しない)の上面側をカバーするボンネット4と、該ボンネット4の後方に配置されてオペレータが操縦等を行う操縦部6とを備えた走行機体7が構成されており、該走行機体7の後方側には、昇降リンク8を介してロータリ耕運機等の作業機(図示しない)を昇降可能に連結することができる。
【0015】
前記操縦部6は、オペレータが着座する座席9と、該座席9の前方側に配置された操向操作具であるステアリングハンドル11と、該ステアリングハンドル11の下方側の床面となるフロアステップ12とを備え、該フロアステップ12側には、座席9に着座したオペレータが操作する複数のペダル操作具が設けられている。
【0016】
前記ペダル操作具は、左右一方側(図示する例では右側)に配置され、左右の駆動輪2,2の制動を操作するブレーキ操作ユニット15と、左右他方側(図示する例では左側)に配置されて、エンジン側から伝動される動力の断続を操作するクラッチペダル16とが設けられている。
【0017】
前記ブレーキ操作ユニット15は、左側の駆動輪2をブレーキ操作する左ブレーキペダル14Lと、右側の駆動輪2をブレーキ操作する右ブレーキペダル14Rとを有し、後述する切換機構20によって、左右のブレーキペダル14L,14Rが同時に踏込み操作されるように連結した片ブレーキ防止状態と、左右のブレーキペダル14L,14Rの連結を解除して別途に踏込み操作可能な片ブレーキ状態とに切換え可能に構成されている。
【0018】
また、前記クラッチペダル16の左右内側には、前記切換機構20を介して、前記片ブレーキ防止状態と、片ブレーキ可能状態との切換を操作する切換操作具17が設けられている。
【0019】
さらに、該切換操作具17の上方側には、上下揺動操作することにより、左右一方側のブレーキペダル14が踏込み操作された状態に切換えることのできる片ブレーキレバー18が設けられ、該片ブレーキレバー18の右方側には、左右のブレーキペダルが一体的に踏込み操作された状態に操作できる駐車ブレーキレバー19が設けられている。
【0020】
次に、図2乃至4に基づき、ブレーキ操作ユニットについて説明する。図4は、ブレーキ操作ユニットの配置を示した要部底面斜視図である。前記ブレーキ操作ユニット15は、左右一対の前記ブレーキペダル14L,14Rと、一対のブレーキペダル14L,14Rの連結・連結解除を行う前記切換機構20と、ブレーキペダル14の踏込み操作によって対応する側の駆動輪2を制動作動させるように連係する連係機構とを備えている。
【0021】
前記ブレーキペダル14は、左右方向に延設されたブレーキペダル軸21に挿通支持されるボス状の基端部22と、該基端部22から前方に延設されるとともに、中途部から上方側に延設されるように屈曲形成されたペダルアーム(アーム部)23と、該ペダルアーム23の先端側に一体的に設置されたペダル本体部24とから構成され、前記ブレーキペダル軸21の右端側に上下揺動可能に支持されている。
【0022】
各基端部22,22の上面側には、上方側に延設された揺動片22aが設けられており、各揺動片22a,22aには、後方側へ付勢する圧縮スプリング26,26の一端側が係止されている。これにより、左右のブレーキペダル14L,14Rは、上方揺動された非操作位置で保持される。
【0023】
該ブレーキペダル14は、前記圧縮スプリング26の付勢力に抗してペダル本体部24が踏込み操作されることにより、対応する駆動輪2がブレーキ作動されるように構成され、踏込み操作されるペダル本体部24とペダルアーム23の上端側以外がフロアステップ12の下方側に配置されるため、ペダル操作具側の操作スペースをより大きく確保することができる。
【0024】
前記連係機構は、左ブレーキペダル14Lの踏込み操作と、対応する左側の駆動輪2を制動作動させる左ブレーキ機構(図示しない)とを連係する左ブレーキ連係機構28と、右ブレーキペダルの踏込み操作と、対応する右側の駆動輪2を制動作動させる右ブレーキ機構(図示しない)とを連係する右ブレーキ連係機構27とから構成されている。
【0025】
該右ブレーキ連係機構27は、右ブレーキペダル14Rの基端部22の右端側に、前記揺動片22aと並べて上方に突出された連係片29と、該連係片29に前端側が連結されて前後方向に押引き操作される連係ロッドとを介して、前記右ブレーキ機構を操作するように構成されている。
【0026】
該左ブレーキ連係機構28は、前記ブレーキペダル軸21の左端側で上方に突出されて左ブレーキペダル14Lの基端部22と一体回転する連係片10と、該連係片10に前端側が連結されて前後方向に押引き操作される連係ロッド25とを介して、前記左ブレーキ機構を操作するように操作するように構成されている。
【0027】
また、前記ブレーキペダル14の基端部の後方側には、前記切換操作具によって左右のブレーキペダルを片ブレーキ防止状態と、片ブレーキ可能状態とに切換える切換機構が設けられている。以下、切換機構の具体的な構成について説明する。
【0028】
次に、図5乃至12に基づき、前記切換機構について説明する。図5乃至7は、切換機構を示した右後方斜視図、左後方斜視図、底面後方斜視図であり、図8及び図9は、切換機構を示した側面斜視図であり、図10は、凹部の形状を示した切換機構の側面図であり、図11は、切換機構の分解図であり、図12(A)乃至(D)は、左右のブレーキペダルの構成を示した平面図、斜視図、背面図、側面図である。
【0029】
前記切換機構20は、左ブレーキペダル14Lの基端部22後側から後方に向かって延設される支持プレート31と、該支持プレート31の左右外側(図示する例では右側)の面に一体的に固着されたキューブ状(立方体状)の支持体32と、該支持体32の上面側に前後揺動可能に支持される連結アーム33と、右ブレーキペダル14Rの基端部後側から後方に向かって延設された被連結片34と、連結アーム33の下方側をカバーするカバー体36とを備えている。
【0030】
前記被連結片34は、右ブレーキペダル14Rの基端部後側から後方に向かって延設された板状部材であって、その後端側には、前記連結アーム33が挿脱される溝である凹部が形成されている(図5図9図10等参照)。
【0031】
該凹部34aは、図10に示されるように、被連結片34の後端の入口近傍から奥(前方)に向かって溝の上下幅が徐々に広くなるように形成されている。具体的には、前記凹部34aは、揺動作動によって挿脱される連結アーム33の移動軌跡に対して対称となる台形状に形成されている。なお、該凹部34aは奥に向かって幅広となっていれば、移動軌跡に対して非対象であっても良い。
【0032】
これにより、該被連結片34は、左ブレーキペダル14L側の前記支持体32側に支持された連結アーム33と反対側のブレーキペダル(右ブレーキペダル14R)の基端部22側に設けられているため、被連結片34が前記連結アーム33と係合することにより、左右のブレーキペダル14L,14Rの基端部22同士を連結することができる。
【0033】
また、前記凹部34aの奥側が幅広に形成されたことにより、前記連結アーム33の水平揺動に伴う凹部34aへの挿脱作動をガタつきなくスムーズに行うことができるとともに、連結アーム33等の組付誤差もある程度は許容されるようになるため、組付け作業も容易になる。
【0034】
前記連結アーム33は、前後揺動する際の軸となる軸部と33a、該軸部33aの左右外側(右側)に延設されて前記被連結片34の凹部34aに挿脱される連結部33bと、軸部33aの左右内側(左側)に上方に向かって突出形成された棒状の操作片33cとを備え、前記支持体32に形成された挿通孔に前後揺動可能に取付けられている(図5参照)。これにより、該連結アーム33は、ブレーキペダル軸21の後方側で前後揺動されるように構成されている。
【0035】
該操作片33cの下部側には、圧縮スプリング37の一端側が係止され、該圧縮スプリング37の他端側は前記支持プレート31の後端側に設けた係止ピン38に係止されているため、前記連結アーム33は、圧縮スプリング37の付勢力により、連結部33b側が前記凹部34a内に位置する連結位置側に向けて付勢される。
【0036】
これにより、前記連結アーム33は、連結部33bが連結位置(凹部34a内)に揺動されると、ブレーキペダル14の踏込み操作時に連結アーム33と被連結片34とが当接(係合)するため、左右のブレーキペダル14L,14Rが必ず同時に踏込み操作される片ブレーキ防止状態となる。
【0037】
また、前記操作片33cの上部側には、前方に向かって配設される操作ワイヤ39が連結されている。該操作ワイヤ39は、前記切換操作具17により前記圧縮スプリング37の付勢力に抗して前方に引張操作されることにより、連結アーム33の連結部33b側が前記凹部34a内から外れた連結解除位置に操作できるように構成されている。
【0038】
これにより、前記連結アーム33は、該操作ワイヤ39を介して連結部33bが連結解除位置に操作されると、左右のブレーキペダル14L,14Rの連結が解除されて、各ブレーキペダルを各別に踏込み操作できる片ブレーキ可能状態となる。
【0039】
なお、上記構成の連結アーム33は、前記軸部33aが設けられる前記支持体32が、左ブレーキペダル14Lの基端部22と、右ブレーキペダル14Rの基端部22との間であって且つ後方近傍に配置されているため、連結アーム33が前後揺動する可動範囲を小さくすることができる。これにより、切換機構20全体をよりシンプル且つコンパクトに構成することができる(図4等参照)。
【0040】
ちなみに、左ブレーキペダル14L側の基端部22の後側には、連結アーム33の操作片側33bの前部(連結アーム33の左端前側)と当接することによって、連結アーム33(連結部33b)が後方揺動する側の可動範囲を規制する規制部22bが形成されている。また、前記支持プレート31の後部側には、連結アーム33の操作片33c側の後部と当接することによって、連結アーム33(連結部33b)が前方揺動する側の可動範囲を規制する規制部31aが形成されている。
【0041】
すなわち、前記連結アーム33の前後揺動が可能な範囲を設定する前後一対の規制部22b,31aを、左ブレーキペダル14Lの基端部22と、前記支持プレート31とに形成したことにより、規制部22b,31aを構成するための専用の部品を設ける必要がないため、部品点数が削減されてコストをより低く抑えることができる。
【0042】
前記操作ワイヤ39は、機体側に取付け固定されるアウタワイヤ41と、該アウタワイヤ41内に挿通されるインナワイヤ42とを備え、前記切換操作具17と前記連結アーム33とを連係させるように構成されている。該アウタワイヤ41の連結アーム33側の端部は、前記左ブレーキペダル14L側の基端部22の前部側から前方に向かって突出されたL字状の支持片43に取付け固定され(図5等参照)、該アウタワイヤ41の切換操作具側の端部は、切換操作具17の近傍で走行機体7側に取付固定されている(図示しない)。
【0043】
すなわち、前記切換操作具17は、上下揺動可能に構成されており、該切換操作具17が下方揺動操作された場合には、前記操作ワイヤ39が前方に引張操作されることにより、左右のブレーキペダル14L,14Rが各別に踏込み操作できる片ブレーキ可能状態に切換えられ、該切換操作具17が上方揺動操作された場合には、前記操作ワイヤ39が連結アーム33を引っ張らないため、左右のブレーキペダル14L,14Rが同時に踏込み操作される片ブレーキ防止状態に切換えられる。
【0044】
前記支持体32は、キューブ状に形成され、その上面側で前記連結アーム33が前後揺動されるように構成されるため、連結アーム33の前後揺動がより安定するとともに、支持体32側への連結アーム33の組付作業や、メンテナンス作業もスムーズにできる。
【0045】
また、該支持体32は、支持プレート31側に一体的に固着されることにより、左ブレーキペダル14Lの基端部22と、支持プレート31と、支持体32とが一体的に構成されているため、組付作業が容易になるとともに、組付精度及び組付強度も向上する。
【0046】
前記カバー体36は、板状部材の左右両端が上方に向かって折曲げられた左壁部36aと、右壁部36bとを有し、上方及び前後方向が開放されたコ字状に形成され、左壁部36a側が前記支持プレート31側にボルト固定可能に構成されている(図4等参照)。また、該左壁部36a側には、前記左ブレーキペダル14Lの基端部22側から支持プレート31の左面側に向けて後方傾斜するように形成された傾斜片35を避ける切欠部36cが形成されている。
【0047】
該構成によれば、前記切換機構20の左右両側及び下面側を、前記カバー体36で覆うとともに、前記切換機構20の前方を、左右のブレーキペダル14L,14Rの基端部22で覆うことにより、前記切換機構20が圃場の泥で汚れが付着することを防止し、泥汚れ等によって前記連結アームの動きが悪くなることを防ぐことができる。また、該カバー体36の前後が開放されたことにより、カバー体36の内側に泥が付着した場合であっても、カバー体36から泥を容易に掻き出すことができるため、掃除等のメンテナンス性も良好となる。
【0048】
さらに、該カバー体36は、上方に向かって立上げ形成された左壁部36aと右壁部36bの上部側が、左右のブレーキペダル14L,14Rの基端部側に付着した泥を掬い取るスクレーパとしても機能する。以上より、前記カバー体36は、簡素な構成で十分な泥避けの効果を得ることができるとともに、スクレーパとしても機能するため、部品点数も削減されてコストをより低く抑えることができる。
【符号の説明】
【0049】
2 後輪、駆動輪(走行部)
12 フロアステップ
14 ブレーキペダル
15 ブレーキ操作ユニット(制動装置)
20 切換機構
21 ブレーキペダル軸
22 基端部
23 ペダルアーム(アーム部)
24 ペダル本体部(ペダル本体)
33 連結アーム(連結部材)
34 被連結片(係止部材)
34a 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12