(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】磁石の吸着力測定装置
(51)【国際特許分類】
G01L 5/00 20060101AFI20220302BHJP
E01D 22/00 20060101ALN20220302BHJP
【FI】
G01L5/00 104
E01D22/00 A
(21)【出願番号】P 2018039866
(22)【出願日】2018-03-06
【審査請求日】2021-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000227146
【氏名又は名称】日綜産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【氏名又は名称】石川 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100067367
【氏名又は名称】天野 泉
(72)【発明者】
【氏名】元吉 晋也
(72)【発明者】
【氏名】小峠 利信
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-002208(JP,A)
【文献】実開平05-059271(JP,U)
【文献】実開昭56-142339(JP,U)
【文献】特開2015-044645(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0036180(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00-5/28
E01D 22/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石を組み込んだマグネットユニッ
トと、上記マグネットユニッ
トに連結したロードセ
ルと、上記ロードセ
ルにケーブ
ルを介して接続した読取装
置と、上記ロードセ
ルを構築物の着磁性材料からなる外壁
外面に押圧する押圧手
段とを備えた磁石の吸着力測定装置において、
上記押圧手
段を上記ロードセ
ルの本
体に取付けたロッ
ドと、上記ロッ
ドの端部にスライド自在に圧接して
上記ロッ
ドを軸方向に押圧させる
楔と、上記
楔に回転自在に嵌合した駆動ボル
トとで構成させ、
上記マグネットユニッ
トを上記外壁外
面に吸着させた状態で上記ロードセ
ルを上記
楔と上記ロッ
ドとで上記外壁外
面に押圧させ、その時の上記外壁外
面からの反力を上記ロードセ
ルで検出し、検出した反力を上記マグネットユニッ
トを上記外壁外
面から離す方向の荷重として電気信号に変換して上記読取装
置で読みとる
ことを特徴とする磁石の吸着力測定装置。
【請求項2】
上記ロードセ
ルが上記本
体と、上記本
体の先端側と後端側にそれぞれ設けた
腕とからなり、
上記先端側腕に上記外壁外
面に対向させるプッシュロッ
ドを取付け、上記ロッ
ドを上記後端側
腕に上記
楔に対向して取付けている
ことを特徴とする請求項1に記載の磁石の吸着力測定装置。
【請求項3】
上記ロードセ
ルと上記押圧手
段とが同じハウジン
グ内に収容され、
上記マグネットユニッ
トがケー
スと上記ケー
ス内に組み込んだ一つ又は複数の磁石とからなり、
上記ハウジン
グをボル
トを介して上記ケー
スの端部に着脱自在に取付けている
ことを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項に記載の磁石の吸着力測定装置。
【請求項4】
上記ハウジン
グの内周に平滑面を備えた樹脂製の第1のガイ
ドを設け、
上記ロッ
ドの先端にテーパ
面を形成した樹脂製の第2のガイ
ドを取付け、
上記
楔の垂直
面を上記第1のガイ
ドにスライド自在に当接させ、上記
楔の傾斜
面を上記第2のガイ
ドのテーパ
面にスライド自在に当接させている
ことを特徴とする請求項3に記載の磁石の吸着力測定装置。
【請求項5】
上記駆動ボル
トが上記ハウジン
グを回転自在に貫通する軸
部と、上記
楔の本
体内に回転自在に嵌合する先端頭
部とからなり、
上記軸
部の後部外端にハンド
ルを取り付け、
上記
先端頭
部の先端側と基端側とにそれぞれスライドメタ
ルを介在させている
ことを特徴とする請求
項3又は
4に記載の磁石の吸着力測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁石の吸着力測定装置に関し、特に構築物の着磁性材料からなる鋼板、例えば、石油タンクの壁面、橋梁の橋桁外面、法面補強用の鋼板の外面等に吸着させたマグネットユニットの吸着力を測定するのに適する磁石の吸着力測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、石油タンクの外周壁面、橋梁のH鋼からなる橋桁の外面、法面補強用の鋼板の外面、その他の構築物の着磁性材料からなる鋼板の外面を補修、或いは塗装する等のメンテナンスを行う場合、これらの構築物の前側に枠組み足場や単管足場を立掛け、この足場上でメンテナンス作業を行っている。
【0003】
この場合、足場の支柱に水平パイプやワイヤを介して磁石を組み込んだマグネットユニットを取付け、このマグネットユニットを構築物の外面に吸着させて足場を支えてその転倒、揺れ等の発生を防止している。
【0004】
しかしながら、例えば、石油タンク等の外壁壁面は長期間の使用中に錆が発生し、傷による凹凸が発生し、或いは汚れや塗装による被膜があるのでメンテナンスの対象となる石油タンクの外壁壁面の状態は均一ではなく、この壁面と磁石との間にエアギャップが発生するので、同じマグネットユニットを使用しても壁面の状態による磁場によって磁石の吸着力が異なる。
【0005】
又、仮に構築物の外壁壁面に錆等が発生していなくても鋼板の厚みによって磁石の吸着力が異なる。
【0006】
従って、例えば、石油タンクの前側に立掛けた足場をマグネットユニットで支える場合、予めその石油タンクの壁面の状態や壁の厚みに対応する磁石の吸着力を測定しておいて、足場からの引っ張り荷重に対してその吸着力がどの程度の荷重に耐えられるかを調べ、足場の安全性を確保しておく必要がある。
【0007】
そこで、この種の磁石の吸着力測定装置として、例えば、特許文献1に開示されているように壁構造物に取付ける携帯式の磁石の吸着力測定装置が開発されている。
【0008】
この磁石の吸着力測定装置は、壁構造物との間に磁場を発生して壁構造物に吸着するマグネットユニットと、マグネットユニットに連結していて壁構造物との間に試験荷重を発生させる油圧シリンダと、油圧シリンダに配管を介して接続した油圧計としての油圧ポンプとからなるものである。
【0009】
この磁石の吸着力測定装置によれば油圧ポンプから油圧シリンダに圧油を供給して壁構造物の外面を押圧し、その時の反力でマグネットユニットが壁構造物から離れた時の油圧をマグネットユニットを引き離す荷重として油圧ポンプで計測して各壁構造物の外面に対応する磁石の吸着力をその都度測定するものである。
【0010】
しかしながら、この磁石の吸着力測定装置は油圧シリンダと、配管と、油圧ポンプとを有しているので構造が複雑であり、製造コストが嵩み、重量も嵩むので持ち運びも不便である。
【0011】
そこで、近年、油圧シリンダに代えてロードセルを使用し、油圧ポンプに代えてロードセルを壁構造物に押圧させるハンドル付きのボルトを使用した磁石の吸着力測定装置が開発されている。
【0012】
この磁石の吸着力測定装置は、ボルトがロードセルと直列に配置され、ハンドルを介して手動でボルトを回動させながら軸方向に推進させてロードセルを壁構造物に押圧させ、その時の壁構造物からの反力をロードセルで検出し、検出した荷重を電気信号に変換して読取装置で読みとって磁石の吸着力を測定するものである。
【0013】
この磁石の吸着力測定装置は構造がコンパクトで、搬送、格納が容易であり、製造コストも安価にできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】ヨーロッパ特許公開2783730A2号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記の磁石の吸着力測定装置は手動でハンドルを回動されながら軸方向に推進するボルトでロードセルを直接押圧させて壁構造物からの反力を発生させるため、磁石が壁構造物の外面から離れるまでの反力を発生させる押圧力を付与するには相当大きな手動によるハンドルの回転操作力が必要であり、困難であるから操作性に劣る。
【0016】
そこで、本発明は構造を簡単にすると共にロードセルに対する押圧力をボルトで直接押圧する場合に比べて小さくでき、押圧力の操作性を向上できる磁石の吸着力測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するため、本発明の手段は、磁石を組み込んだマグネットユニットと、上記マグネットユニットに連結したロードセルと、上記ロードセルにケーブルを介して接続した読取装置と、上記ロードセルを構築物の着磁性材料からなる外壁外面に押圧する押圧手段とを備えた磁石の吸着力測定装置において、上記押圧手段を上記ロードセルの本体に取付けたロッドと、上記ロッドの端部にスライド自在に圧接して上記ロッドを軸方向に押圧させる楔と、上記楔に回転自在に嵌合した駆動ボルトとで構成させ、上記マグネットユニットを上記外壁外面に吸着させた状態で上記ロードセルを上記楔と上記ロッドとで上記外壁外面に押圧させ、その時の上記外壁外面からの反力を上記ロードセルで検出し、検出した反力を上記マグネットユニットを上記外壁外面から離す方向の荷重として電気信号に変換して上記読取装置で読みとることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ロードセルを押圧する押圧手段として楔を利用しているので、ボルトで軸方向に沿ってロードセルを直接押圧する場合に比べて押圧操作力が小さくて済み、操作性を向上させ、作業のスピードアップを図れる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】(A)は石油タンクの外壁に吸着
させた状態の磁石の吸着力測定装置の平面図、(B)は
磁石の吸着力測定装置の側面図である。
【
図2】(A)は石油タンクの外壁からの反力を受けている磁石の吸着力測定装置の平面図、(B)は
磁石の吸着力測定装置の側面図である
【
図3】ハウジング内にロードセルと押圧手段とを組み込んだ状態の分解斜視図である。
【
図4】(A)は楔に駆動
ボルトを連結した状態の平面図、(B)は
楔に駆動ボルトを連
結した状態の側面図である。
【
図5】(A)は楔の平面図、(B)は
楔の側面図である。
【
図6】(A)は駆動
ボルトの
背面図、(B)は
駆動ボルトの平面図、(C)は
駆動ボル
トの正面図である。
【
図7】(A)はスライドメタルの
背面図、(B)は
スライドメタルの平面図、(C)は
スライドメタルの正面図である。
【
図8】(A)はハンドルの
背面図、(B)は
ハンドルの平面図である。
【
図10】枠組足場を石油タンクの壁面に磁石の吸着力測定装置を介して取付けている状態の斜視図である。
【
図11】法面工事用の単管足場を法面補強用の鋼板に磁石の吸着力測定装置を介して取付けている状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る磁石の吸着力測定装置は構築物の着磁性材料からなる鋼板の外面、例えば、石油タンクの外壁壁面、橋梁の橋桁外面、法面補強用の鋼板外面等に吸着させたマグネットユニットの吸着力を測定するものである。
【0021】
従来から、例えば、
図10に示すように、枠組み足場Qは石油タンクRの外壁外面Eの補修工事、汚れの清掃工事、塗装工事等を行うために予め石油タンクRの正面に対向して地上に起立させておき、風圧等の外力が作用した時、又は作業者の歩行時や工事用具の搬送時に振動が発生した時に倒れないように予めマグネットユニットAの吸引力を利用して石油タンクRの外壁外面Eに取り付けられている。
【0022】
同様に、
図11に示すように、傾斜地の地上Yに起立した法面工事用の単管足場SはワイヤWに接続したマグネットユニットAの吸引力を利用して法面補強用の鋼板Tの外壁外面Eに取り付けられ、単管足場Sの滑りや転倒を防止し、或いは風圧等の外力にも耐えるようにしている。
【0023】
しかしながら、石油タンクRの外壁外面Eや法面補強用の鋼板Tの外壁外面Eの状態は石油タンクRごと、法面補強用の鋼板Tごとに錆びや汚れの発生、傷の発生、塗装の剥げ具合、或いは鋼板の厚さによって、磁力が変化するので、マグネットユニットAからの外壁外面Eに作用する時の吸着力が異なる。
【0024】
その為、本発明の磁石の吸着力測定装置Vは、石油タンクRの外壁外面Eや法面補強用の鋼板Tの外壁外面E等に対してマグネットユニットAがどの程度の引張荷重にまで耐えて吸引しているか工事が始まる前にその都度予め調べるようにし、足場の安定性、工事の安全性を図るものである。
【0025】
磁石の吸着力測定装置Vは、例えば、予め石油タンクRの外壁外面Eに単独で吸着させておいて地上で磁石の吸着力を測定しても良く、或いは、
図10に示すように枠組み足場Qに連結しておいてこの枠組み足場Qの足場板20上から測定しても良い。
【0026】
本発明の磁石の吸着力測定装置Vは、
図9、
図10の一部拡大図に示すように、磁石を組み込んだマグネットユニットAと、マグネットユニットAに連結したロードセルBと、ロードセルBにケーブルDを介して接続した読取装置Cと、ロードセルBを構築物の着磁性材料からなる外壁外面E側に押圧する押圧手段Fとを備えたものである。
【0027】
そして、マグネットユニットAを構築物の外壁外面Eに吸着させた状態でロードセルBを押圧手段Fでこの外壁外面Eに押圧させ、その時の外壁外面Eからの反力をロードセルBで検出し、検出した反力をマグネットユニットAを外壁外面Eから離す方向の荷重として電気信号に変換して読取装置Cで読みとるものである。
【0028】
構築物の外壁外面Eは
図10に示す石油タンクRの外壁外面E、
図11に示す法面補強用の鋼板Tの外壁外面E、或いは橋梁の橋桁の外壁側面、その他同様の鋼板側面であっても良い。
【0029】
石油タンクRの外壁外面Eのメンテナンス工事を行う場合は、図10に示すように枠組み足場Qを石油タンクRの正面に対して地上から起立させ、さらに建枠19に連結した水平支柱18にマグネットユニットAを取り付け、このマグネットユニットAを石油タンクRの外壁外面Eに吸着させて枠組み足場Qを支えるようにしている。
【0030】
同様に、法面の補修工事等を行う場合は、
図11に示すように、地上Yに単管足場Sを起立させ、ワイヤWに取り付けたマグネットユニットAを法面補強用の鋼板Tの
外壁外面Eに吸着させて単管足場Sを支えるようにしている。
【0031】
マグネットユニットAは、公知のように、ケース10とケース10内に収容した複数の永久磁石又は電磁磁石とからなり、磁石からの磁力が着磁性材料からなる鋼板に作用して鋼板を吸着するものである。
【0032】
また、マグネットユニットAは例えば回転式のスイッチ機構を介して磁石を回転させ、各磁石のN極とS極を対向させた時磁力を発生させて鋼板に吸着し、N極同士又はS極同士を対向させた時消磁されて鋼板から外すことができるようになっている。
【0033】
マグネットユニットAのケース10には取手21が設けられ、この取手21を介して持ち運びでき、鋼板に対して取り付け、取り外しができるようになっている。
【0034】
ロードセルBは、公知のように、構築物の外壁外面E側に向けて押圧力を加えた時この外壁外面Eからの反力を検出し、検出した反力を電気信号に変換しこの電気信号をケーブルDを介して読取装置Cに送る。
【0035】
読取装置Cでは公知のように検出された反力がマグネットユニットAを引き離す方向の荷重としてディスプレーで表示されるようになっている。
【0036】
押圧手段Fは、
図1、
図2に示すように、ロードセルBの本体5に取付けたロッド2と、ロッド2の端部にスライド自在に圧接させる楔1と、楔1に回転自在に嵌合した駆動ボルト11とで構成されている。
【0037】
そして、マグネットユニットAを外壁外面Eに吸着させた状態でロードセルBを楔1とロッド2とで外壁外面Eに押圧させ、その時の外壁外面Eからの反力をロードセルBで検出させるようになっている。
【0038】
ロードセルBは本体5と、本体5の先端側と後端側にそれぞれ設けた腕6、7とからなり、上記先端側腕6に外壁外面Eに対向させるプッシュロッド3を取付け、ロッド2を後端側腕7に楔1に対向して取付けている。
【0039】
ロードセルBと押圧手段Fとは同じハウジング4内に収容され、駆動ボルト11とプッシュロッド3とはこのハウジング4の壁を移動自在に貫通している。
【0040】
マグネットユニットAはケース10とケース10内に組み込んだ一つ又は複数の永久磁石又は電磁磁石とから構成され、ロードセル側のハウジング4がボルト8、9を介してケース10の端部に着脱自在に取付けられている。
【0041】
ボルト8はハウジング4の下部に設けたブラケット22とケース10の正面上部に設けたブラケット23に螺合してブラケット22、23同士を結合し、他方ボルト9はハウジング4の下部に垂設されてケース10の上端に形成された孔に嵌合している。
【0042】
マグネットユニットAは単独で搬送され、
図10、
図11に示すように枠組み足場Qや単管足場Sを構築物の外壁外面Eに吸着して単独で支えるが、このマグネットユニットAの吸着力を測定する場合は上記のボルト8、9を介してロードセル側のハウジング4がマグネットユニットA側のケース10に結合される。
【0043】
ハウジング4には図3に示すようにボルト24、25を介して蓋28が着脱自在に取付けられている。
【0044】
また、
図1~
図3に示すように、ハウジング4の内周に平滑面を備えた樹脂製の第1のガイド12
を設け、ロッド2の先端にテーパ面13aを形成した樹脂製の第2のガイド13
を取付け、楔1の垂直面F3を第1のガイド12にスライド自在に当接させ、楔1の傾斜面F2を第2のガイド13のテーパ面13aにスライド自在に当接してロッド2を軸方向に押圧させている。
【0045】
テーパ面13aはロッド2の先端に直接形成しても良い。
【0046】
第2のガイド13の先端はテーパ面13aに代えて球面を使用しても良い。
【0047】
ロッド2はハウジング4の中央に設けた支持板26にスライド自在に貫通して支持させておくのが好ましい。
【0048】
駆動ボルト11は
図1、
図2、
図4、
図6に示すように、ハウジング4を回転自在に貫通する軸部11aと、楔1の本体F1内に回転自在に嵌合する先端頭部11bとから構成され、軸部11aの後部外端にナット14
aを介してハンドル14を取り付けている。
【0049】
この場合、駆動ボルト11はハウジング4とハウジング4に取り付けたナット17を回転自在に貫通し、ハンドル14を介して回転させると回転しながら軸方向に進退し、
図2に示すように、ハウジング4内に侵入した時楔1を押し込んでこの楔1をガイド12、13に沿って移動させる。
【0050】
この時、ロッド2が押されてロードセルBの本体5とプッシュロッド3が楔1の移動方向に対して直交する方向に移動する。
【0051】
すなわち、楔1はロッド2を介してロードセルBを押し込み、プッシュロッド3を構築物、例えば、石油タンクRの外壁外面Eに押圧させる。
【0052】
楔1は
図4、
図5に示すように、本体F1の後端部に空間27を有し、この空間27内に駆動ボルト11の
先端頭部11bを回転自在に嵌合し、またこの
先端頭部11bの先端側と基端側の両側にスライドメタル15、16を当接させている。
【0053】
この場合、
図7に示すように、駆動ボルト11の軸部11aを基端側のスライドメタル15の孔15
aに回転自在に貫通させることにより
先端頭部11bの先端側と基端側とにそれぞれスライドメタル15、16を介在させ、楔1内で
先端頭部11bを回転させた時
先端頭部11bをこのスライドメタル15、16に摺接させて直接楔1に接触させる場合に比べて摩擦抵抗を軽減させるようにしている。
【0054】
次に本発明の磁石の吸着力測定装置のVの作動について説明する。
【0055】
例えば、
図10に示すように、マグネットユニットAを石油タンクRの外壁外面Eに吸着させ、石油タンクRに対向して地上に起立した枠組み足場Qの建枠19を水平支柱18を介してマグネットユニットAに連結させ、マグネットユニットAで枠組み足場Qを
支えておく。
【0056】
この状態では、
図1に示すようにハウジング4の壁面とプッシュロッド3の頭部とを石油タンクRの外壁外面Eに当接させ、同時にマグネットユニットAのケース10の外面も石油タンクRの外壁外面Eに当接させている。
【0057】
そして、マグネットユニットAが吸着している石油タンクRの外壁部位においては、枠組み足場Q側からの引張荷重に対してどの程度の荷重までマグネットユニットAの吸着力が耐えられるか調べておいて枠組み足場Qの転倒防止等の安全性を図る必要がある。
【0058】
そこで、
図1に示すように、マグネットユニットAが外壁外面Eに吸着している状態で枠組み足場Qの足場板20上又は地上でハンドル14を回転し、押圧手段Fを駆動する。
【0059】
この時、
図2に示すように、ハンドル14を回動すると駆動ボルト11が回転しながらハウジング4内に侵入し、同時に
先端頭部11bが楔1の空間27で回転しながらこの楔1を押し込む。
【0060】
楔1が押し込まれるとこの楔1はガイド12、13に沿って侵入し、同時に一方のガイド13は楔1の傾斜面F2に沿って押されて水平方向に移動しながらロッド2を水平方向に押し込む。
【0061】
このため、ロッド2で押されたロードセルBの本体5とプッシュロッド3が石油タンクRの外壁外面E側に押され、プッシュロッド3の頭部が外壁外面Eを押圧する。
【0062】
この時のロードセルBの本体5とプッシュロッド3からの外壁外面Eに対する押圧力はマグネットユニットAの吸着力に抗し、マグネットユニットAを外壁外面Eから引き剥がす方向の荷重である。
【0063】
そして、プッシュロッド3が外壁外面Eを押圧した時この外壁外面Eに反力が生じ、この反力が逆にロードセルBの本体5に作用し、検出した反力はマグネットユニットAを外壁外面Eから離す方向の荷重として電気信号に変換されて読取装置Cで読みとられる。
【0064】
この場合、楔1の侵入量に応じてロードセルBに対する押圧力が増加し、
図2に示すように、外壁外面Eからの反力がマグネットユニットAにおける吸着力を超えるとマグネットユニットAの端部が梃の原理で外壁外面Eから離れる。
【0065】
この離れた状態を目視し、その時の荷重を読取装置Cのディスプレーで読み取って確認することで、どのくらいの荷重に耐えられるかマグネットユニットAにおける磁石の吸着力を測定できる。
【0066】
ところで、マグネットユニットAの吸着力を正確に測定する場合、マグネットユニットAの中央を押圧するのが好ましいが、この場合はマグネットユニットAを引き剥がすハンドル14からの回転操作力が過大となり、困難である。
【0067】
そこで、本発明の実施の形態では、
図1から分かるように、ロードセル側のハウジング4、言い換えれば、楔1等からなる押圧手段FがマグネットユニットAにおけるケース10の端部に取り付けられているので、押圧手段Fから押圧力を作用させた時
図2に示すようにマグネットユニットAの端部が引き離されるようにしているので、マグネットユニットAの中央から全体を引き剥がす操作力に比べてその操作力を低減でき、操作性の向上が図られている。
【0068】
さらに、本発明では、押圧手段Fとして楔1を使用しているので、ロードセルBと同一直線上に取り付けられて軸方向に推進するボルトでロードセルBを直接押圧させる場合に比べて操作力を低減できる。
【0069】
例えば、マグネットユニットAを引き剥がすのに必要な荷重が500KGとする時、従来のように、同一直線上に取り付けたボルトで直接ロードセルBを押圧させる押圧力NはN=500KGとなる。
【0070】
しかしながら、本発明の実施では、例えば、楔1の傾斜面F2の角度Αを7度と仮定したとき、その時の押圧力Nは、N=500×tanΑ=500×0.12=60KGとなり、ボルトで直接押圧する操作力に比べて操作力が軽減され、操作性の向上とスピードアップが図れる。
【0071】
上記の作動は図11に示す単管足場SのマグネットユニットAのみならずその他同様の磁石の吸着力測定装置の場合も同じである。
【符号の説明】
【0072】
A マグネットユニット
B ロードセル
C 読取装置
D ケーブル
E 外壁外面
F 押圧手段
F1 楔本体
F2 傾斜面
F3 垂直面
1 楔
2 ロッド
3 プッシュロッド
4 ハウジング
5 ロードセルの本体
6、7 腕
8、9 ボルト
10 ケース
11 駆動ボルト
11a 軸部
11b 先端頭部
12 第1のガイド
13 第2のガイド
13a テーパ面
14 ハンドル
15、16 スライドメタル