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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】移動装置及び移動式撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/222 20060101AFI20220302BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20220302BHJP
   G03B 17/00 20210101ALI20220302BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20220302BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
H04N5/222 100
G03B15/00 P
G03B17/00 B
G05D1/02 W
H04N5/232 030
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018040141
(22)【出願日】2018-03-06
(65)【公開番号】P2019154015
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】514065025
【氏名又は名称】株式会社フューチャースタンダード
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】230122390
【弁護士】
【氏名又は名称】石原 一樹
(72)【発明者】
【氏名】鳥海 哲史
【審査官】津幡 貴生
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-001860(JP,A)
【文献】特開平11-069544(JP,A)
【文献】青島 伸一 Shin-ichi Aoshima,姿勢バランス機構を持つ無線操縦型架線移動ロボットの開発 Development of Radio Control Wire-Mobile Robot with Balancer,日本ロボット学会誌 第17巻 第5号 Journal of the Robotics Society of Japan,日本,社団法人日本ロボット学会 The Robotics Society of Japan,第17巻
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222-257
G03B 15/00
G03B 17/00
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールに沿って移動可能な移動装置であって、
前記レールを保持した状態と、前記レールから離れた状態とをとり得る第1保持部と、
前記レールを保持した状態と、前記レールから離れた状態とをとり得る第2保持部と、
前記レールを保持した状態と、前記レールから離れた状態とをとり得る第3保持部と、
前記第1保持部と前記第2保持部との間の距離と角度を可変にするための第1可動機構と、
前記第2保持部と前記第3保持部との間の距離と角度を可変にするための第2可動機構と、を備える移動装置。
【請求項2】
前記移動装置は、前記第1保持部、前記第2保持部及び前記第3保持部のうちの少なくとも2つが常に前記レールを保持した状態で前記レールに沿って移動するよう構成されている、請求項1に記載の移動装置。
【請求項3】
外部装置からの指令を受ける無線通信装置をさらに有し、
前記第1保持部、前記第2保持部、前記第3保持部、前記第1可動機構及び前記第2可動機構は、前記無線通信装置を介して前記外部装置によって制御可能に構成される、請求項1又は2に記載の移動装置。
【請求項4】
前記レールの位置を認識可能なセンサを有し、
前記第1可動機構と前記第2の可動機構の少なくとも一方は、前記センサにより読み取られた前記レールの位置に基づいて制御されるよう構成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項5】
前記第1保持部、前記第2保持部、前記第3保持部、前記第1可動機構及び前記第2可動機構を可動させるための電力を蓄えるバッテリを備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項6】
前記レールは導電性のレールであり、
前記バッテリは、前記レールからの給電によって充電可能に構成されている、請求項5に記載の移動装置。
【請求項7】
前記バッテリの残量が所定値未満になったときに、充電器の位置まで自動的に移動するよう構成されている、請求項5に記載の移動装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の移動装置と、
前記移動装置に搭載された撮像装置と、を有する、移動式撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レールに沿って移動可能な移動装置と、当該移動装置を含む移動式撮像装置と、に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、カメラの移動装置を開示している。特許文献1に記載されたカメラの移動装置は、架設されたワイヤに沿って、カメラを搭載した移動台を安定良く移動させる機構を備える。具体的には、カメラの移動装置は、互いに平行に架設された3本以上のワイヤと、カメラを搭載可能な移動台と、中央位置のワイヤをその長さ方向に送ることによって移動台を移動させる駆動機構と、を備える。さらに、駆動機構は、中央位置のワイヤを挾持する回転自在の複数のローラと、複数のローラの少なくとも1つを回転駆動する駆動部と、有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-325335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたカメラの移動装置は、ワイヤ(レール)を挾持する回転自在の複数のローラを備えた駆動機構によって駆動される。しかしながら、このような移動装置では、ワイヤは、概ね直線的でなければならず、ワイヤが鋭く曲がっていたり複数のワイヤが交差したりしている場合、移動装置は、ワイヤに沿って移動できない、又は移動し難くなる。
【0005】
したがって、上記のような直線的ではないレールに沿って移動可能な移動装置、及び当該移動装置を含む移動式撮像装置が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係るレールに沿って移動可能な移動装置は、前記レールを保持した状態と、前記レールから離れた状態とをとり得る第1保持部と、前記レールを保持した状態と、前記レールから離れた状態とをとり得る第2保持部と、前記レールを保持した状態と、前記レールから離れた状態とをとり得る第3保持部と、前記第1保持部と前記第2保持部との間の距離と角度を可変にするための第1可動機構と、前記第2保持部と前記第3保持部との間の距離と角度を可変にするための第2可動機構と、を備える。
【0007】
好ましい一態様によれば、前記移動装置は、前記第1保持部、前記第2保持部及び前記第3保持部のうちの少なくとも2つが常に前記レールを保持した状態で前記レールに沿って移動するよう構成されている。
【0008】
好ましい一態様によれば、移動装置は、外部装置からの指令を受ける無線通信装置をさらに有し、前記第1保持部、前記第2保持部、前記第3保持部、前記第1可動機構及び前記第2可動機構は、前記無線通信装置を介して前記外部装置によって制御可能に構成される。
【0009】
好ましい一態様によれば、移動装置は、前記レールの位置を認識可能なセンサを有し、前記第1可動機構と前記第2の可動機構の少なくとも一方は、前記センサにより読み取られた前記レールの位置に基づいて制御されるよう構成されている。
【0010】
好ましい一態様によれば、移動装置は、前記第1保持部、前記第2保持部、前記第3保持部、前記第1可動機構及び前記第2可動機構を可動させるための電力を蓄えるバッテリを備える。
【0011】
好ましい一態様によれば、前記レールは導電性のレールであり、前記バッテリは、前記レールからの給電によって充電可能に構成されている。
【0012】
好ましい一態様によれば、移動装置は、前記バッテリの残量が所定値未満になったときに、充電装置の位置まで自動的に移動するよう構成されている。
【0013】
一態様に係る移動式撮像装置は、上記の移動装置と、前記移動装置に搭載された撮像装置と、を有する。
【発明の効果】
【0014】
上記態様によれば、直線的ではないレールに沿って移動可能な移動装置、及び当該移動装置を含む移動式撮像装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態に係る移動式撮像装置の斜視図である。
図2】別の方向から見た移動式撮像装置の斜視図である。
図3】移動式撮像装置の制御ブロック図である。
図4】移動式撮像装置の移動方法の一例を説明する図である。
図5】移動式撮像装置の移動方法の一例を説明する図である。
図6】移動式撮像装置の移動方法の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。以下の図面において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがあることに留意すべきである。
【0017】
図1は、一実施形態に係る移動式撮像装置の斜視図である。図2は、別の方向から見た移動式撮像装置の斜視図である。図3は、移動式撮像装置の制御ブロック図である。
【0018】
一実施形態に係る移動式撮像装置1は、レール90に沿って移動可能に構成された移動装置10を含んでいてよい。移動装置10は、各種の構成要素を収納する収納部60と、移動装置10に搭載された撮像装置70と、電力を蓄えるバッテリ72と、を備えていてよい。
【0019】
レール90は、移動装置10の後述する保持部32,42,52が保持可能なものであれば、特に限定されるものではない。レール90は、例えば、ワイヤ、ロープ又は金属棒などであってよい。
【0020】
バッテリ72は、少なくとも、後述する第1保持部32、第2保持部42、第3保持部52、第1可動機構及び第2可動機構を可動させるための電力を蓄える。また、バッテリ72は、撮像装置70のように移動式撮像装置1及び/又は移動装置10に搭載される各種の電子部品を可動させるために用いられてもよい。
【0021】
移動装置10は、レール90を保持可能な第1保持部32と、レール90を保持する第2保持部42と、レール90を保持する第3保持部52と、を備えている。第2保持部42は、第1保持部32と第3保持部52との間に配置されていてよい。第1保持部32、第2保持部42及び第3保持部52は、レール90を保持した状態と、レール90から離れた状態とをとり得る。
【0022】
本実施形態では、第1保持部32、第2保持部42及び第3保持部52は、一対の回転ギア33,43,53によって開閉可能に構成されており、これによってレール90を掴んだ状態とレール90を離した状態とを取り得る。移動装置10は、第1保持部32、第2保持部42及び/又は第3保持部52によってレール90を保持することによって、移動装置10の自重を支えることができる。
【0023】
第1保持部32、第2保持部42及び/又は第3保持部52は、レール90を保持可能であれば上記構成に限定されない。例えば、第1保持部32、第2保持部42及び/又は第3保持部52は、移動装置10の荷重を支えるようレール90の上方からレール90に引っかけられる鉤爪のような構造を有していてもよい。
【0024】
移動装置10は、第1アーム30、第2アーム40及び第3アーム50を備えていてよい。第1保持部32、第2保持部42及び第3保持部52は、それぞれ、第1アーム30、第2アーム40及び第3アーム50の一端部付近に設けられている。第1アーム30、第2アーム40及び第3アーム50は、それぞれ、移動装置10がレール90に釣り下がった状態で、レール90の下方に向かって延びていてよい。
【0025】
移動装置10は、第1保持部32と第2保持部42との間の距離と角度を可変にするための第1可動機構と、第2保持部42と第3保持部52との間の距離と角度を可変にするための第2可動機構と、を備えている。本実施形態では、第1可動機構は、収納部60から上方に延びる円筒軸に保持された一対の腕部34a,34bを備えていてよい。同様に、第2可動機構は、収納部60から上方に延びる円筒軸に保持された一対の腕部54a,54bを備えていてよい。
【0026】
第2可動機構を構成する一対の腕部54a,54bの一端部は、上記円筒軸のところで回動軸56a,56bまわりに回動可能に構成されている。また、一対の腕部54a,54bのもう一方の一端部は、回動軸58a,58bまわりに回動可能に構成されている。第3アーム50は、この回動軸58a,58bのところから上方に向かって延びている。これらの回動軸56a,56b,58a,58bにより、第3アーム50と第2アーム40との間の角度が可変に構成されている。
【0027】
より具体的には、上記形態では、第1アーム30と第2アーム40とを結ぶ仮想線と、第2アーム40と第3アーム50とを結ぶ仮想線との間の角度が可変となっている。
【0028】
さらに、一対の腕部54a,54bのそれぞれは、腕部54a,54bの途中、例えば中央付近で、回動軸57a,57bまわりに回動可能に構成されている。すなわち、一対の腕部54a,54bは、伸ばしたり縮めたりすることができる。これにより、第3アーム50と第2アーム40との間の距離は可変に構成されている。なお、第1可動機構を構成する一対の腕部34a,34bの構成は、第2可動機構と同様であるため、その説明を省略する。
【0029】
上記例に限定されず、第1可動機構の構造は、第1保持部32と第2保持部42との間の距離と角度を可変にすることができれば、任意である。同様に、第2可動機構の構造は、第2保持部42と第3保持部52との間の距離と角度を可変にすることができれば、任意である。第2可動機構の構造は、第1可動機構の構造と同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0030】
さらに、各保持部32,42,52は、例えばアーム30,40,50が延びている方向に沿った軸周りに回転可能に構成されていてよい。この場合、レール90の角度に応じて、各保持部32,42,52の角度を変えることができる。
【0031】
移動装置10は、移動装置10の姿勢を安定化するため重心制御器80を有していて良い。本実施形態では、重心制御器80は、収納部60から下方に延びたロッドを有する。本実施形態では、重心制御器80は、鉛直方向に対するロッドの角度を調整することによって、移動装置10の重心の位置を調整する。
【0032】
移動装置10は、移動装置10の姿勢(傾き)を検知するセンサを有していても良い。このようなセンサとして、例えば加速度センサを挙げることができる。この場合、センサで検知した移動装置10の姿勢に応じて、前述した重心制御器80が制御されても良い。これにより、移動装置10の姿勢を安定的に保つことができる。特に、移動装置10が撮像装置70を含む場合、移動装置10の姿勢を安定的に保つことにより、撮像装置70が安定的な画像又は映像を取得することができる。
【0033】
なお、移動装置10が十分に安定するのであれば、移動装置10は、重心制御器80を有していなくてもよい。
【0034】
移動装置10は、第1保持部32、第2保持部42、第3保持部52、並びに前述した第1可動機構及び第2可動機構などの可動部の制御を司る制御部100と、外部装置200からの指令を受ける無線通信装置110と、をさらに有していてもよい。この場合、制御部100は、無線通信装置110を介して外部装置200から送られた指令に基づき、第1保持部32、第2保持部42、第3保持部52、並びに前述した第1可動機構及び第2可動機構を制御可能に構成されている。これにより、ユーザは、移動装置10から離れた場所から移動装置10を遠隔操作することができる。
【0035】
次に、移動装置10の移動の態様の一例について、図4図5及び図6を用いて説明する。移動装置10は、静止中においては、図1に示すように、第1保持部32、第2保持部42及び第3保持部52によってレール90に保持されている。
【0036】
移動装置10は、移動の指令を受けると、図4に示すように、第1保持部32をレール90から離し、第1可動機構34a,34bを伸ばす。ここで、レール90が直線的ではなく、曲がっている場合には、第1可動機構34a,34bを直線的に伸ばすだけでなく、第1可動機構34a,34bの角度も変えればよい。すなわち、移動先のレール90の角度に応じて、第1可動機構34a,34bの角度を任意に調整することができる。
【0037】
第1保持部32がレール90から離れている間、重心制御器80は、移動装置10の重心の位置を第3保持部52側へ偏らせるよう可動することが好ましい。本実施形態では、重心制御器80は、図4に示すように第3保持部52の方に向かって傾けられる。これにより、第1保持部32がレール90から離れた状態であっても、移動装置10の姿勢が安定し易い。
【0038】
次に、図5に示すように、第1保持部32は、再びレール90を保持する。これにより、第1保持部32は、第2保持部42から、前に保持していたレール90よりもより遠くの位置でレール90を保持することができる。また、前述したように、レール90が直線的ではなくても、移動先のレール90の角度に応じて第1可動機構34a,34bの角度を調整することで、移動先のレール90の角度にかかわらずレール90を保持できる。例えば、レール90が直角に曲がっていたり、複数のレール90が交差していたりしても、第1保持部32は、移動先のレール90を再び保持することができる。
【0039】
次に、図5に示すように、第2保持部42をレール90から離す。次に、図6に示すように、第1可動機構34a,34bを縮めるとともに、第2可動機構54a,54bを伸ばす。この際、必要に応じて、第1保持部32と第2保持部42との間の角度と、第2保持部42と第3保持部52との間の角度も調節する。これらの角度の調節は、第2保持部42が再びレール90を保持可能な位置又は角度に配置させるよう行われる。これにより、第1保持部32と第3保持部52とによってレール90を掴んだ状態で、第2保持部42を第1保持部32に近づけることができる。
【0040】
なお、第2保持部42がレール90から離れている間、重心制御器80は、図5に示すように鉛直方向下方に向かって延びてよればよい。
【0041】
次に、第2保持部42によって再びレール90を保持し、それから、第3保持部52をレール90から離し、第2可動機構54a,54bを縮める。そして、第3保持部52によって再びレール90を保持する。これにより、第1保持部32と第2保持部42とによってレール90を掴んだ状態で、第3保持部52を第2保持部42に近づけることができる。これによって、移動装置90は、再び図1に示すような状態になる。
【0042】
なお、第3保持部52が再びレール80を保持しようとする際、必要に応じて、第2保持部42と第3保持部52との間の角度も調節する。この角度の調節は、第3保持部52が再びレール90を保持可能な位置又は角度に配置させるよう行われる。
【0043】
第3保持部52がレール90から離れている間、重心制御器80は、移動装置10の重心の位置を第1保持部32側へ偏らせるよう可動することが好ましい。本実施形態では、重心制御器80は、第3保持部52がレール90から離れている間、第1保持部32の方に向かって傾けられていてよい。これにより、第3保持部52がレール90から離れた状態であっても、移動装置10の姿勢が安定し易い。
【0044】
上述した一例の動作によって、移動装置10は、再び図1に示すように、第1保持部32、第2保持部42及び第3保持部52によってレール90に保持された状態になる。上述した一例の動作を繰り返すことによって、移動装置10は、レール90に沿って移動することができる。
【0045】
前述した一連の移動動作中において、移動装置10は、第1保持部32、第2保持部42及び第3保持部52のうちの少なくとも2つが常にレール90を保持した状態になっていることが好ましい。これにより、移動装置10は、移動中であっても、レール90に吊り下がった状態で安定する。
【0046】
さらに、第1保持部32、第2保持部42及び第3保持部52は、レール90を離してから再び保持するよう構成されているため、移動装置10は、レール90が連続的につながっていなくても移動可能である。すなわち、2つのレールが間隔をあけて配置されていても、移動装置10は、一方のレールから他方のレールに移ることができる。また、移動装置10は、レール90が複数に分岐していたとしても、目的地の場所に応じて、一方のレール90を選択して移動することもできる。もっとも、移動装置10は、1本のレール90に沿って移動することも可能である。
【0047】
移動装置10は、レール90の位置を認識可能なセンサを有していてよい。このセンサは、例えばレール90の位置を認識可能なカメラであってよい。このカメラは、例えば前述した撮像装置70によって構成されていてもよく、前述した撮像装置とは異なる撮像装置によって構成されていてもよい。
【0048】
カメラによって取得した画像を画像解析することによって、制御部100は、移動装置10と移動先のレール90の位置及びレール90の角度を認識することができる。この場合、第1可動機構34a,34bと第2の可動機構54a,54bの少なくとも一方、好ましくは両方は、センサにより読み取られたレール90の位置及び角度に基づいて制御されることが好ましい。すなわち、移動装置10は、レール90の位置と角度を自動的に認識することによって、移動中に、第1保持部32、第2保持部42及び第3保持部52の位置及び角度で自動で調整することがきる。
【0049】
なお、レール90の位置と角度の自動的な認識は、機械学習によって制御されていてもよい。機械学習によってレール90の位置と角度を自動的に認識することによって、移動装置10は、自動でより確実にレール90を保持することができるようになる。
【0050】
したがって、例えばユーザが最終的な到着地点を指定するだけで、移動装置10は自動的に最終的な到着地点までレール90に沿って移動可能となる。この代わりに、1つ又は複数の移動地点を予めプログラムしておけば、移動装置10はプログラムで指定された移動地点の順に自動的にレール90に沿って移動可能となる。
【0051】
前述した移動装置10を含む移動式撮像装置1は、レール90に沿って移動しつつ、画像又は映像を取得することができる。レール90が網目状に張り巡らされていれば、移動式撮像装置1は、レール90が存在する領域全体を移動することができる。撮像装置70によって取得された画像又は映像は、無線通信装置110によって外部装置200に送信されてもよい。
【0052】
また、前述した移動式撮像装置1は、監視カメラや異常発見用のカメラ等として用いることができる。移動式撮像装置1は、例えば、駐車場や店舗の天井にレール90を張り巡らせていれば、駐車場や店舗内を監視する監視カメラとして用いることができる。また、トンネルの上部にレール90を張っていれば、移動式撮像装置1は、トンネル内を監視するメンテナンス用の監視カメラとして用いることもできる。
【0053】
また、移動式撮像装置1は、例えば電線のような既存のレールに沿って移動することもできる。この場合、移動式撮像装置1は、撮像装置70によって電線を監視しつつ電線に沿って移動することで、自動的に電線の異常などを監視する装置として用いることができる。
【0054】
さらに、移動式撮像装置1が、作業ツールを備えていれば、自動作業装置として用いることもできる。例えば、農作物を収容するビニールハウス内の上部にレール90を張り、移動式撮像装置1に農作物収穫可能なカッターを搭載することによって、撮像装置70によって農作物を検知しつつ自動で農作物収穫することも可能である。
【0055】
さらに、移動式撮像装置1が、作業ツールを備えていれば、自動作業装置として用いることもできる。例えば、農作物を収容するビニールハウス内の上部にレール90を張り、移動式撮像装置1に農作物収穫可能なカッターを搭載することによって、撮像装置70によって農作物を検知しつつ自動で農作物収穫することも可能である。
【0056】
また、近年、ドローンのような飛行体にカメラを搭載し、高い位置から画像や映像を取得するシステムが検討されている。しかしながら、ドローンのような飛行体は、操縦を誤ると墜落することもあり、また、トンネルのような閉所空間では使用し難いこともある。さらに、飛行体を飛行させることに電力が必要となるため、バッテリが長時間持たず、長時間の撮影に耐えられないことがある。
【0057】
上記実施形態に係る移動式撮像装置1は、レール90に吊り下がった状態で機械的に高所に維持可能であるため、ドローンのような飛行体と比較すると、バッテリ72に蓄積された電力の使用量が少ない。したがって、バッテリ72がより長時間もつため、長時間の撮影も可能となる。
【0058】
移動装置10に搭載されたバッテリ72は、再充電可能なバッテリであることが好ましい。一例として、バッテリ72は、レール90からの給電によって充電可能に構成されていてよい。この場合、レール90は導電性のワイヤによって構成されており、レール90とバッテリ72は、少なくとも充電中に電気的に接続された状態になる。
【0059】
具体的一例では、バッテリ72に充電電流を供給する充電ラインは、少なくとも2つのアーム30,40,50を通って少なくとも2つの保持部32,42,52に位置し、保持部32,42,52の位置でレール90と電気的に連結可能な電気端子を有していてよい。さらに、保持部32,42,52がレール90を保持した状態で、レール90と電気端子とが電気的に接続されればよい。この状態で、外部の充電器300からレール90を介してバッテリ72に充電電流を供給することで、バッテリ72を充電することができる。
【0060】
上記態様の代わりに、移動装置10の移動範囲内に充電器300を設置しておき、移動装置10は、バッテリ72の残量が所定値未満になったときに、充電器300の位置まで自動的に移動するよう構成されていてもよい。この場合、移動装置10は、充電器300の位置から移動装置の位置までの相対的な位置関係を認識可能に構成されている。また、移動装置10内の制御部100は、バッテリ72の残量を検知可能に構成されていればよい。バッテリ72の残量の検知方法は、公知の任意の方法により制御部100によって実施可能である。
【0061】
制御部100は、バッテリ72の充電中に充電制御を行ってもよい。例えば、制御部100は、バッテリ72の充電が完了したことを検知したときは、充電を終了し、充電の終了を無線通信装置110を介して外部装置200に通知してもよい。
【0062】
上述したように、実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替の実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0063】
例えば、上記実施形態では、移動装置及び移動式撮像装置1は、3つの保持部を備えている。本発明はこの実施形態に限定されず、移動装置及び移動式撮像装置は、少なくとも3つの保持部を備えていればよく、例えば4つ以上の保持部を備えていてもよい。この場合であっても、移動装置10は、一連の移動動作中において、少なくとも2つの保持部が常にレールを保持した状態になっていることが好ましい。
【0064】
また、レールを保持する保持部は、特許文献1に記載されたような回転駆動するローラを追加的に有していてもよい。この場合、レールが直線的に延びている区間においては、ローラの回転駆動によりレールに沿って移動することができる。
【0065】
また、移動装置10を構成する各アーム30,40,50は、それぞれ上下方向に伸縮可能に構成されていてもよい。この場合、保持部32,42,52がレール90を離したときに、アーム30,40,50を縮めることによって、アーム32,42,52及び保持部をレール90から退避させることができる。
【0066】
また、移動装置10を構成する各アーム30,40,50は、それぞれ上下方向に伸縮可能に構成されている場合、アーム32,42,52の伸長によって保持部32,42,52をレール90に向かって上方に移動させることで、保持部32,42,52によってレール90を保持し易くすることができる。
【0067】
なお、前述したように、アーム32,42,52が伸縮可能に構成されている場合、アームの伸縮動作は、前述した制御部100によって制御されていてよい。
【符号の説明】
【0068】
10 移動装置
30 第1アーム
32 第1保持部
33 ギア
34a,34b 第1可動機構
40 第2アーム
42 第2保持部
50 第3アーム
52 第3保持部
54a,54b 第2可動機構
56a,57a,58a,56b,57b,58b 回動軸
60 収納部
70 撮像装置
72 バッテリ
80 平衡器
90 レール
図1
図2
図3
図4
図5
図6