IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エムケー精工株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-洗車装置 図1
  • 特許-洗車装置 図2
  • 特許-洗車装置 図3
  • 特許-洗車装置 図4
  • 特許-洗車装置 図5
  • 特許-洗車装置 図6
  • 特許-洗車装置 図7
  • 特許-洗車装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】洗車装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/06 20060101AFI20220302BHJP
【FI】
B60S3/06
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018043563
(22)【出願日】2018-03-09
(65)【公開番号】P2019156074
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】伝田 健
(72)【発明者】
【氏名】中澤 優介
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-074938(JP,A)
【文献】特開2008-013077(JP,A)
【文献】特開平07-117638(JP,A)
【文献】特開平07-081531(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
停車した自動車を跨ぐように往復走行する門型の洗車装置本体に設けられた、自動車の車体形状を読み取る車形検出手段および自動車の端位置を検出する車体検出手段と、
自動車の形状に沿って変位し車体面を洗浄又は乾燥するよう作用する複数の処理装置と、
前記車形検出手段で検出した車体形状に基づいて前記処理装置を作用させる機能を有する制御手段と、
前記車形検出手段で与える車形データに基づく自動車の端位置と、前記車体検出手段で与える自動車の端位置とを比較して洗車動作中に自動車の位置が変動したことを検出する変位検出手段とを備え、
前記制御手段は、前記変位検出手段で自動車の停止位置が変動したことを検出すると、前記車形検出手段により自動車の車体形状を再度読み取らせ、前記処理装置の動作制御に反映させるよう制御する
ことを特徴とした洗車装置。
【請求項2】
洗車動作中に前記変位検出手段により自動車の停止位置が変動したことを検出すると、前記変動検出時に実行されていた洗車工程が実行されていた洗車コースの最終工程でなく、且つ、前記洗車コースの中で自動車の移動を検出した回数が所定回数以内の時、前記洗車コースを一時停止させ、前記洗車装置本体を洗車開始時の位置に移動させ、前記車形検出手段により自動車の車体形状を再度読み取らせ、前記洗車コースを一時停止させた洗車工程から再開することを特徴とする請求項1記載の洗車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、停車した自動車を跨ぐように往復走行する門型の洗車装置であって、自動車の車体形状を読み取る車形検出手段を備え、検出した車体形状に基づいて複数の処理装置を作用させるようにした洗車装置において、万一、洗車中に自動車が移動した場合であっても、洗車処理を中断することなく安全かつ正確に洗車できる装置を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として特許文献1に記載されるように、停車した自動車を跨ぐように往復走行する門型の洗車装置であって、自動車の車体形状を読み取る車形検出手段を備え、検出した車体形状に基づいて複数のブラシ等の処理装置を作用させるようにした洗車装置が知られている。
【0003】
また、特許文献2に記載されるように、停車した自動車を跨ぐように往復走行する門型の洗車装置であって、洗車の途中で一時停止して、手洗いによる補正作業等を可能にした洗車装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-74938号公報
【文献】特開平8-142806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の洗車装置の多くは、自動車を洗車位置へ停止させ顧客は車外に待機した状態で洗車動作するが、特許文献1記載の洗車装置のようにドライブスルー式にレイアウトされ、顧客が運転席に乗ったまま洗車するタイプの装置も知られている。通常、洗車装置は自動車との相対位置を検知して洗車動作を行うが、前記のように顧客が乗車したまま洗車するタイプの装置では、顧客が洗車中に誤って自動車を動かしてしまうと、洗車装置で検知した相対位置に誤差が生じて適正な動作ができなくなり、最悪自動車を損傷させる危険があるため、自動車の移動を検知して洗車動作を停止させる等の措置が必要であった。
【0006】
ところで、特許文献1に記載されるような洗車装置には、洗車装置本体を複数回往復走行させて車体面のワックスがけやコーティング処理を行う洗車コースを設定したものが知られている。こうした洗車コースにおいて、本体の走行に伴う処理動作の途中で自動車が動かされ、以後の処理動作が安全に実施できないと判断された場合は、動作を中断して洗車コースの最初から再洗車する必要があり、経費と時間の大幅なロスが生じる問題があった。
【0007】
また、特許文献2記載の洗車装置のように、一連の洗車コースの途中で一時停止させて、係員等による手洗い補正が可能なようプログラム設定された洗車装置が知られている。この手洗い補正に際して、係員等は洗車装置の近くで係員等が手洗い補正を行うことになるが、作業スペースがない等の理由で自動車を動かして作業し易い場所で手洗い補正作業を行うケースが見られ、こうした場合には自動車を元に戻したつもりでも、車形検出手段で読み取った車形データと実際の自動車とで位置ずれが生じてしまい、一時停止後に再開する洗車動作を適切に行えない恐れがあった。
【0008】
この発明は、以上の問題点に対処して、洗車装置の洗車動作中に自動車が動いたことを検出すると、車形検出手段により自動車の車体形状を再度読み取らせて処理装置の動作制御に反映させるようにして、洗車中に自動車が誤って移動した場合でも、洗車を中止することなく、車体形状を再度読み取って適切な洗車処理が行える洗車装置を提供するものである。
【0009】
また、洗車装置が一時停止した手洗い工程の間に自動車が移動したのを検出すると、手洗い工程に引き続く工程においては、自動車の車体形状を再度読み取らせ適切な洗車処理が行える洗車装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、停車した自動車を跨ぐように往復走行する門型の洗車装置本体に、自動車の車体形状を読み取る車形検出手段と、自動車の形状に沿って変位し車体面を洗浄又は乾燥するよう作用する複数の処理装置と、車形検出手段で検出した相対位置と車体形状とに基づいて処理装置を作用させるよう制御する制御手段とを備えた洗車装置において、洗車装置の洗車動作中に自動車の停止位置が変動したことを検出する変位検出手段を備え、前記制御手段では、前記変位検出手段で自動車の停止位置が変動したことを検出すると、前記車形検出手段により自動車の車体形状を再度読み取らせ処理装置の動作制御に反映させるよう制御することで、上記課題の解決をはかったものである。
【0011】
また、停車した自動車を跨ぐように往復走行する門型の洗車装置本体に、自動車の車体形状を読み取る車形検出手段と、自動車の形状に沿って変位し車体面を洗浄又は乾燥するよう作用する複数の処理装置と、車形検出手段で検出した相対位置と車体形状とに基づいて処理装置を作用させるよう制御する制御手段とを備えた洗車装置であって、一連の洗車動作の途中で洗車動作を一時停止し、係員による補正作業等を行う手洗い工程を含む洗車コースを実行可能とされた洗車装置において、自動車が移動したのを検出する移動検出手段を備え、前記制御手段では、前記手洗い工程の間に移動検出手段において自動車が移動したのを検出すると、手洗い工程に引き続く工程においては、前記車形検出手段により自動車の車体形状を再度読み取らせ処理装置の動作制御に反映させるよう制御することで、上記課題の解決をはかったものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明は、以上のように構成されるもので、洗車装置の洗車動作中に誤って自動車が動いてしまっても、これを検出して自動車の車体形状を再度読み取って処理装置を動いた自動車の車体形状に沿って操作することができ、自動車を傷つけたり洗い残しを生じたりすることがない。
【0013】
更に、この発明によれば、洗車装置が一時停止した手洗い工程の間に自動車が移動した場合には、これを検知して手洗い工程に引き続く工程において、改めて自動車の車体形状を読み取らせ、処理装置を移動した自動車の車体形状に沿って操作することができ、自動車を傷つけたり洗い残しを生じたりすることがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例の正面説明図である。
図2】実施例の側面説明図である。
図3】実施例における制御系を示すブロック図である。
図4】実施例における制御手順を説明するフローチャート図である。
図5】第2の実施例の正面説明図である。
図6】第2の実施例の側面説明図である。
図7】第2の実施例における制御系を示すブロック図である。
図8】第2の実施例における制御手順を説明するフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、その実施例について図面を基に説明する。
図1は実施例の正面説明図、図2は同実施例の側面説明図である。1は門型に形成された洗車装置本体で、レール2・2上を往復走行し、レール2・2間に進入する自動車Aに洗車処理を施す。3・4・4・5・6・6は洗車装置本体1に設けられ処理装置で、3は自動車Aの上面に沿って昇降し同上面をブラッシングするトップブラシ、4・4は左右一対で設けられ相互に接離(開閉)動作し自動車Aの前後面および側面をブラッシングするサイドブラシ、5は自動車Aの上面に沿って昇降し洗浄後の車体面に空気を吹き付けて乾燥をはかるトップノズル、6・6は左右一対で設けられ車体側面に空気を吹き付けて乾燥をはかるサイドノズルである。洗車装置本体1は、特に図示しないが、上記以外に自動車Aに向けて洗浄水を放出する散水ノズル等を備え、自動車Aを跨ぐように往復走行して自動車Aの車体面のブラッシング洗浄し、この後に乾燥ノズルにより乾燥をはかるよう動作する。
【0016】
7は洗車装置本体1の前面に設けられる操作パネルで、希望の洗車コースの選択入力、洗車の開始入力等を行う。8・8は洗車装置本体1を走行させる走行駆動部で、減速機付きモーターからなり、本体1の走行距離を検知するためのロータリーエンコーダ8aが付設されている。9は洗車装置本体1の前端部に設けられ自動車Aの側面形状を検知する車形センサーで、上下に多数の受発光素子を配列し、本体1の走行に伴い素子間で授受される光信号が車体面で遮られる範囲を検知することにより、自動車Aの側面形状を読み取るものである。
【0017】
この実施例では、自動車Aは、後方の待機位置にある洗車装置本体1に対し、前方よりレール2・2間へ進入し、所定の洗車位置へ停止して洗車を受け、洗車後は洗車装置本体1後方へ退出するようレイアウトされている。10a・10bは洗車装置本体1の前面部に前後に所定距離をおいて設置され、進入してくる自動車を検出する光電スイッチで、後述する制御部20は、この光電スイッチ10a・10bからの検知信号に基づき、自動車Aの前端部が光電スイッチ10a・10bの間に入る位置で停車するよう音声等で案内する。11は洗車装置本体1の後方に設置される光電スイッチで、自動車Aの車体を検出するもので、主に洗車後に自動車Aが洗車装置本体1後方へ退出する際に、自動車Aの退場を検知するのに用いる。12は洗車装置本体1の後方に設置され自動車Aの運転者へ案内表示を行う表示機である。
【0018】
図3は実施例における制御系を示すブロック図である。20はマイクロコンピュータを含む制御ボードで、プログラムされた機能部として、走行位置検出部20a、車形検出部20b、車体位置検出部20c、車形異常検出部20d、車体変位検出部20e及び洗車動作制御部20fを設けている。21はサイドブラシ4・4の前後への傾動や相互の開閉を検出する作動検出部、22はトップブラシ3における回転負荷を検出する作動検出部である。23・24・25・26は処理装置3・4・4・5・6・6の駆動部で、駆動部23はトップブラシ3の回転と昇降操作、駆動部24はサイドブラシ4・4の回転と開閉操作、駆動部25はトップノズル5の送風と昇降操作、駆動部26はサイドノズル6・6の送風と出没操作をそれぞれ行う。
【0019】
走行位置検出部20aは、走行駆動部8・8に付設されるロータリーエンコーダ8aからの信号をカウントして洗車装置本体1の走行位置を検出する。車形検出部20bは、洗車装置本体1が単位距離走行する毎に車形センサー9において自動車Aによる遮光範囲を読み取り、自動車Aの側面形状を検出する。車体検出部20cは、主に自動車Aの前後端の位置を検出するもので、光電スイッチ10a・10b・11からの信号に基づき、自動車Aの前後端を検出した時の本体1の走行位置を検知する。また、この車体検出部20cは、作動検出部21を介してサイドブラシ4・4の動作を検知し、相互に閉じたサイドブラシ4・4が自動車Aの前後端に接触して傾動した時、及びサイドブラシ4・4が自動車Aの側面から前後端へ回り込んで相互に閉じた時の本体1の走行位置を検知し、自動車Aの前後端位置を検出する。
【0020】
車形異常検出部20dは、作動検出部22を介してトップブラシ3の回転駆動部における負荷を監視して車形異常を検出するもので、トップブラシ3は車形検出部20bで与える車形データに沿って昇降され、通常は所定範囲の回転負荷で自動車Aの車体面に作用することになるが、車形データと実際の自動車Aとの位置に差異が生じると、所定範囲を超えた回転負荷となってしまうため、この所定範囲を超えた過負荷又は軽負荷の状態を検知して異常信号を出力する。
【0021】
車体変位検出部20eは、洗車中の自動車Aの変位を検出するもので、車形検出部20bで与える車形データに基づく自動車Aの前後端位置と、車体検出部20cで与える自動車Aの前後端位置とを比較して、両者の位置に所定以上の差異が生じると自動車Aの停車位置が変位したことを検出し、変位信号を出力する。また、車体変位検出部20eは、車形異常検出部20dからの異常信号により洗車中に自動車Aが移動したと推定し変位信号を出力する。
【0022】
洗車動作制御部20fは、操作パネル7で選択入力された洗車コースに応じ、各駆動部23・24・25・26を介して処理装置3・4・4・5・6・6等を作動させ、自動車Aに対する洗車動作を与えるもので、特に、走行位置検出部20aで与える走行位置と車形検出部20bで与える車形データとに基づいて、車体上面に対する処理装置3・5を最適な位置で作用するよう制御する。
【0023】
図4は洗車動作制御部20fにおいて、車体変位検出部20eからの変位信号があった場合の洗車処理を説明するフローチャート図である。洗車中に自動車Aが移動し、これに伴い車体変位検出部20eから変位信号が出力されると、表示機12において「停車してください」または「エンジンを止めてください」といった注意表示を行い、また、図示しない音声出力部からも停車するよう音声アナウンスする(1)。続いて、実行中の洗車工程が最終工程であるか否かを確認し(2)、最終工程すなわち処理装置5・6・6による車体の乾燥をはかる工程であれば、上面処理装置5を車体に接触しない位置すなわち自動車Aの天井高さに対応した位置に保持して洗車を継続し(3)、中断させることなく実行中の洗車コースを完了させる。
【0024】
ステップ(2)において、実行中の洗車が最終工程でなければ、自動車Aの移動を検知したのが何回目かを確認し(4)、同じ洗車コースの中で繰り返し移動を検知している場合は、正常な洗車動作が保障できないと判断して洗車を中断する。一方、ステップ(4)にて、自動車Aの移動の検知回数が所定以内であれば洗車動作を一旦停止し、洗車装置本体1を洗車スタート位置まで復帰させ(5)、車形検出部20bに対し車形再読込の指示を出力し(6)、中断した洗車コースを洗車スタート位置から再開させる。こうして再開される洗車は、車形検出部20bにより移動した自動車Aの形状を読み取りながら行われることになる。なお、再開される洗車は、当然ながら洗車コースの最初の工程から行う必要はなく、中断された洗車工程から行うように制御される。
【0025】
この実施例は以上のように構成され、洗車中に自動車Aが移動した場合は、当初に読み取った車形データに対し実際の自動車の位置にズレが生じ正常な洗車処理が困難になってしまうが、自動車が移動したのを検出して車形を再読込して洗車処理を安全に継続できるものである。
【0026】
図5は第2の実施例の正面説明図、図6は同実施例の側面説明図である。31は門型に形成された洗車装置本体で、レール32・32上を往復走行し、レール32・32間に進入する自動車Aに洗車処理を施す。33・34・34・35・36・36は洗車装置本体1に設けられ処理装置で、33は自動車Aの上面に沿って昇降し同上面をブラッシングするトップブラシ、34・4は左右一対で設けられ相互に接離(開閉)動作し自動車Aの前後面および側面をブラッシングするサイドブラシ、35は自動車Aの上面に沿って昇降し洗浄後の車体面に空気を吹き付けて乾燥をはかるトップノズル、36・36は左右一対で設けられ車体側面に空気を吹き付けて乾燥をはかるサイドノズルである。洗車装置本体31は、特に図示しないが、上記以外に自動車Aに向けて洗浄水を放出する散水ノズル等を備え、自動車Aを跨ぐように往復走行して自動車Aの車体面のブラッシング洗浄し、この後に乾燥ノズルにより乾燥をはかるよう動作する。
【0027】
37は洗車装置本体31の前面に設けられる操作パネルで、希望の洗車コースの選択入力、洗車の開始入力等を行う。38・38は洗車装置本体31を走行させる走行駆動部で、減速機付きモーターからなり、本体31の走行距離を検知するためのロータリーエンコーダ38aが付設されている。39は洗車装置本体31の前端部に設けられ自動車Aの側面形状を検知する車形センサーで、上下に多数の受発光素子を配列し、本体31の走行に伴い素子間で授受される光信号が車体面で遮られる範囲を検知することにより、自動車Aの側面形状を読み取るものである。この車形センサー39には、特に図示しないが受発光素子部を覆うカバーが設けられ、車形読み取り時だけカバーを開いて受発光素子を露出させるように操作し、洗車に伴う洗浄水、液材等ができるだけ受発光素子に付着しないように構成されている。
【0028】
この実施例では、自動車Aは、後方の待機位置にある洗車装置本体31に対し、前方よりレール32・32間へ進入し、所定の洗車位置へ停止して洗車処理を受ける。40a・40bは洗車装置本体31の前面部に前後に所定距離をおいて設置され、進入してくる自動車を検出する光電スイッチで、後述する制御部50は、この光電スイッチ40a・40bからの検知信号に基づき、自動車Aの前端部が光電スイッチ40a・40bの間に入る所定位置で停車するよう音声等で案内する。ここで、自動車Aの運転者は、所定位置へ乗り入れた後、降車して操作パネル37を操作し、そのまま洗車中は車外で待機するよう運用される。
【0029】
図7は第2の実施例における制御系を示すブロック図である。50はマイクロコンピュータを含む制御ボードで、プログラムされた機能部として、走行位置検出部50a、車形検出部50b、車体検出部50c、移動検出部50d及び洗車動作制御部50eを設けている。51・52・53・54は処理装置33・34・34・35・36・36の駆動部で、駆動部51はトップブラシ33の回転と昇降操作、駆動部52はサイドブラシ34・34の回転と開閉操作、駆動部53はトップノズル35の送風と昇降操作、駆動部54はサイドノズル36・36の送風と出没操作をそれぞれ行う。
【0030】
走行位置検出部50aは、走行駆動部38・38に付設されるロータリーエンコーダ38aからの信号をカウントして洗車装置本体1の走行位置を検出する。車形検出部50bは、洗車装置本体1が単位距離走行する毎に車形センサー39において自動車Aによる遮光範囲を読み取り、自動車Aの側面形状を検出する。車体検出部50cは、光電スイッチ40a・40bからの信号に基づき、自動車Aの車体を検出する。
【0031】
移動検出部50dは、実行中の洗車コースの途中で自動車Aが移動したのを検出する。この実施例の洗車装置には、手洗い工程を含む洗車コースが設定されており、手洗い工程においては洗車装置を一旦停止し、作業員が洗い残し等をチェックしながら手洗い補正の作業を行っており、この手洗い作業にあたり自動車Aを作業し易い場所に移動することがある。ここのため、移動検出部50dでは、車体検出部50cからの車体検出信号に基づき、手洗い工程等において自動車Aが移動したか否かを検出するものである。
【0032】
洗車動作制御部50eは、操作パネル37で選択入力された洗車コースに応じ、各駆動部51・52・53・54を介して処理装置33・34・34・35・36・36等を作動させ、自動車Aに対する洗車動作を与えるもので、特に、走行位置検出部50aで与える走行位置と車形検出部50bで与える車形データとに基づいて、車体上面に対する処理装置33・35を最適な位置で作用するよう制御する。また、移動検出部50dを介して洗車途中で自動車Aの移動を検知し、移動があった場合は車形検出部50bによる車形検出を再度行わせて、処理装置33・35を変わらず最適な位置で作用するよう制御する。
【0033】
図8は洗車動作制御部50eで与える洗車処理の一例を示すフローチャート図で、手洗い工程を含む洗車コースの動作を説明する。まず、自動車Aをその前端部が光電スイッチ40a・40bの間に入る位置(光電スイッチ40aが車体前端に遮光される一方、光電スイッチ40bが非遮光となる位置)で停車させ、続いて操作パネル37において洗車スタートの入力することで洗車スタートする。
【0034】
まず、洗車装置本体31を前方に走行させ、車形検出部50bにて車形を読み取り、洗剤水を散布するとともに、読み取った車形データに沿って処理装置33・34・34を位置制御して、車体面をブラッシング洗浄する洗浄工程を実施する(11)。車体後端までブラッシング洗浄して洗浄工程を終えると、続いて、洗車装置本体31を後方に走行させ、リンス水を散布するとともに、ステップ(11)で検出した車形データに沿って処理装置33・34・34を制御して、車体面の汚れや洗剤分を洗い流すすすぎ工程を実施する(12)。
【0035】
こうしてステップ(12)のすすぎ工程を終了すると、洗車装置本体31はコース開始時のスタート位置、すなわち光電スイッチ40aが車体前端に遮光される一方、光電スイッチ40bが非遮光となる位置に復帰し、本体31の走行を一旦停止する(13)。ここで、車体面を係員による手洗い工程を行い、手洗いを終えると操作パネル37でスタート入力して洗車処理を再開させることができる(14)。
【0036】
この手洗い工程の次の工程では車体にワックスがけを行うのであるが、ワックス剤を作用させる前に車体面の隅等に残った汚れを手洗いする。ところで、この手洗い作業は、自動車Aがその前端を洗車装置本体31内に突っ込んだ状態にあるため、暗く狭く濡れた装置内に入る必要があるなど作業環境が良くなかった。このため、場合によっては自動車を洗車装置から離れた位置まで移動させて作業することがあり、当初の自動車Aの停止位置と手洗い工程後の停止位置とに差異が生じる可能性があった。このため、手洗い工程の間に自動車Aの移動があったか否かを車体検出部50cで検知し、自動車Aの停止位置について変動の可能性がないか確認する(15)。
【0037】
ステップ(15)で、移動したことが検知されなければステップ(11)で読み取った車形データに基づいて次のワックス工程を行い(16)、移動が確認されれば車形検出部50bにより再度車形を読み込みながら次のワックス工程を行う(17)。ワックス工程においては、洗車装置本体31を前方に走行させ、ワックス剤を散布するとともに、読み取った車形データに沿って処理装置33・34・34を作用させて、ブラッシングにより車体面にワックス剤を塗布する。こうして、ワックス工程が修了すると、洗車装置本体31を後方に走行させ、処理装置35・36・36より空気を吹き付けて車体面の乾燥をはかるブロー工程を行う(18)。ここで、処理装置35は、ステップ(11)またはステップ(17)のうち直近に検出した車形データに基づいて昇降操作されることになる。
【0038】
第2の実施例は以上のように構成され、手洗い工程中に自動車Aが移動した事実があった場合は、自動車の停止位置が変わっていると推定し、再開される工程においては、自動車の車形を再読込して正確な車形データに基づいて洗車処理を継続できるものである。
【符号の説明】
【0039】
1 洗車装置本体
3・4・4・5・6・6 処理装置
9 車形検出手段たる車形センサー
20 制御ボード
20e 変位検出手段たる車体変位検出部
20f 制御手段たる洗車動作制御部
31 洗車装置本体
33・34・34・35・36・36 処理装置
39 車形検出手段たる車形センサー
50 制御ボード
50d 移動検出手段たる移動検出部
50e 制御手段たる洗車動作制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8