(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】排水羽根
(51)【国際特許分類】
E03C 1/22 20060101AFI20220302BHJP
【FI】
E03C1/22 Z
(21)【出願番号】P 2018091359
(22)【出願日】2018-05-10
【審査請求日】2018-05-14
【審判番号】
【審判請求日】2020-07-20
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】516068929
【氏名又は名称】合利美股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】蕭裕明
【合議体】
【審判長】小川 恭司
【審判官】木戸 優華
【審判官】窪田 治彦
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206449008(CN,U)
【文献】中国実用新案第201461425(CN,U)
【文献】特開2004-138075(JP,A)
【文献】特開2004-60463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 1/14
F04D 29/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹状円盤体およびシャフトを備え、
前記凹状円盤体は、円盤および環状壁面を有し、前記環状壁面は前記円盤の周縁部から上に伸びて形成され、
前記シャフトは、前記円盤と一定距離を保ちながら前記円盤を貫通し、軸上部および軸下部に分けられ、前記軸上部は前記円盤の上方に位置し、駆動軸に連結され、かつ複数の径方向に沿って外側へ伸びていく支持リブを有し、複数の前記支持リブは前記凹状円盤体に連結され、底部が前記円盤に連結され、外側端部が前記環状壁面に連結されるため、前記軸上部、複数の前記支持リブおよび前記円盤の間には複数の流路が形成され、
前記軸下部は、円盤の下方に位置する多辺形柱体であり、
前記多辺形柱体は前記円盤に対して前記底面から一定角度に至るまで捻じれ、
前記多辺形柱体は複数の側壁面と、前記多辺形柱体の断面に対応する底面とを有し、
複数の前記側壁面は前記底面の辺部に連結され、二つずつ隣り合う辺縁部が相互に連結されて細長い角面を有し、
前記側壁面は曲面であり、前記角面は湾曲して細長く伸びる形であり、
前記多辺形柱体は、複数の前記側壁面および複数の前記角面を傾斜させ、前記底面からの捩れ方向を前記駆動軸の駆動力による旋転方向と一致させることを特徴とする、
排水羽根。
【請求項2】
前記角面は先端部が一つの前記支持リブに対応することを特徴とする請求項1に記載の排水羽根。
【請求項3】
前記多辺形柱体は三つの側壁面を有することを特徴とする請求項1に記載の排水羽根。
【請求項4】
前記多辺形柱体の前記底面から捻じれる程度は、前記角面の末端部が別の前記角面の先端部に垂直の仮設垂直線を超えない範囲に維持されることを特徴とする請求項1に記載の排水羽根。
【請求項5】
前記軸下部は、複数の凸状リブを有し、複数の前記凸状リブは完全に前記角面に被さり、末端部に形成された円弧部を有し、それぞれの前記凸状リブの前記円弧部は前記多辺形柱体の前記底面のそれぞれの角部に連結されることを特徴とする請求項1に記載の排水羽根。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水モーターに関し、詳しくは排水羽根に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1により掲示された排水羽根において、円盤の下方に位置するシャフトは多辺形の柱体である。多辺形の柱体は複数の平面と、複数の平面が二つずつ相互に連結されて形成した角形の細長い面とを有する。円盤の下方に位置する支持リブは多辺形の柱体のそれぞれの平面および細長い面に連結される。上述した構造特徴により、多辺形の柱体は複数の平面によって渦巻きを生成し、撥水効果および排水効率を向上させ、複数の細長い面によって気泡を抑制し、騒音を低減することができる。
【0003】
特許文献1は構造を改良することによって渦巻きを生成できるが、下方から上方の円盤に接近する水流を生成できないため、排水モーターの排水効率は限定される。従って、上述した排水モーターの排水効率には改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、水を上に弾いて下方から上方の凹状円盤体に接近する水流を生成することによって、凹状円盤体を介して水を誘導して排水口から排出する際の利便性をはかり、排水モーターの排水効率を効果的に向上させることができる排水羽根を提供することを主な目的とする。
【0006】
本発明は、騒音を効果的に低減できる排水羽根を提供することをもう一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、排水羽根は凹状円盤体およびシャフトを備える。凹状円盤体は円盤および環状壁面を有する。環状壁面は円盤の周縁部から上に伸びて形成される。シャフトは円盤と一定距離を保ちながら円盤を貫通し、軸上部および軸下部に分けられる。軸上部は円盤の上方に位置し、駆動軸に連結され、かつ複数の径方向に沿って外側へ伸びていく支持リブを有する。複数の支持リブは凹状円盤体に連結され、底部が円盤に連結され、外側端部が環状壁面に連結されるため、軸上部、複数の支持リブおよび円盤の間には複数の流路が形成される。その特徴は次の通りである。軸下部は円盤の下方に位置する多辺形柱体である。多辺形柱体は複数の側壁面と、多辺形柱体の断面に対応する底面とを有する。複数の側壁面は底面の辺部に連結され、二つずつ隣り合う辺縁部が相互に連結されて形成した細長い角面を有する。多辺形柱体は円盤に対して底面から一定角度に至るまで捻じれ、複数の側壁面および複数の角面を傾斜させ、底面からの捩れ方向を駆動軸の駆動力による旋転方向と一致させる。
【0008】
上述した特徴により、本発明による排水羽根は水を上に弾いて下方から上方の円盤に接近する水流を生成することによって、凹状円盤体を介して水を誘導し、排水口から排出する際の利便性をはかり、排水モーターの排水効率を効果的に向上させることができる。
【0009】
上述した特徴により、本発明による排水羽根は騒音を効果的に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態による排水羽根を示す正面側斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による排水羽根を示す背面側斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態による排水羽根が使用される状態を示す断面図である。
【
図5】本発明の第2実施形態による排水羽根を示す背面側斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明による排水羽根を図面に基づいて説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1から
図4に示すように、本発明の第1実施形態による排水羽根10は凹状円盤体11およびシャフト21から構成される。
【0013】
凹状円盤体11は、円盤13および環状壁面15を有する。環状壁面15は円盤13の周縁部から上に伸びて形成される。
【0014】
シャフト21は、円盤13と一定距離を保ちながら円盤13を貫通し、軸上部23および軸下部25に分けられる。軸上部23は円盤13の上方に位置し、駆動軸100に連結され、かつ複数の径方向に沿って外側へ伸びていく支持リブ27を有する。複数の支持リブ27は凹状円盤体11に連結され、底部が円盤13に連結され、外側端部が環状壁面15に連結されるため、軸上部23、複数の支持リブ27および円盤13の間には複数の流路17が形成される。
軸下部25は円盤13の下方に位置し、多辺形柱体26から形成される。本実施形態において、多辺形柱体26は三角柱であり、三つの側壁面261と、多辺形柱体16の断面に対応する底面263とを有する。三つの側壁面261は底面263のそれぞれの辺部に連結され、二つずつ隣り合う辺縁部が相互に連結されて形成した細長い角面265を有する。それぞれの角面265は先端部が一つの支持リブ27に対応する。
多辺形柱体26は円盤13に対して底面263から一定角度に至るまで捻じれ、それぞれの側壁面261および角面265を傾斜させるため、それぞれの側壁面261は曲面になり、それぞれの角面265は傾斜かつ彎曲して細長く伸びる形になる。多辺形柱体26は底面263からの捩れ方向が駆動軸100の駆動力による旋転方向と一致する。多辺形柱体26の底面263から捻じれる程度は角面265の末端部が別の角面265の先端部に垂直の仮設垂直線L1を超えない範囲に維持される。側壁面261は傾斜した曲面に形成される。角面265は傾斜かつ湾曲して細長く伸びる形に形成される。
上述した技術特徴により、本発明の第1実施形態による排水羽根10と駆動軸100とを連結し、使用すれば、水を上に弾いて下方から上方の凹状円盤体11に接近する水流を生成することによって、凹状円盤体11を介して水を誘導し、排水口98から排出する際の利便性をはかり、排水モーターの排水効率を効果的に向上させ、騒音を低減することができる。
【0015】
別の実施形態において、側壁面261および角面265が水を上に弾くことさえできれば、本発明の別の実施形態に適用できる。多辺形柱体26は四角柱、五角柱などになってもよい。つまり、多辺形柱体26は上述した実施形態に限定されず、形だけが変化するため、図面に表示されない。側壁面261は傾斜した平面になってもよい。角面265は傾斜して細長く伸びる平面になってもよい。
上述した構造変化により、同様に水を上に弾いて下方から上方の凹状円盤体11に接近する水流を生成することによって、凹状円盤体11を介して水を誘導し、排水口98から排出する際の利便性をはかり、排水モーターの排水効率を効果的に向上させ、騒音を低減することができる。つまり、側壁面261および角面265の形は上述した実施形態に限定されない。一方、角面265は必ずしも先端部が一つの支持リブ27に対応するとは限らず、一部分が一つの支持リブ27に対応するか、全部が支持リブ27に対応しないように配置されてもよい。つまり、角面265と支持リブ27との配置関係は上述した実施形態に限定されない。
【0016】
上述したとおり、本発明の第1実施形態による排水羽根10は、水を上に弾いて下方から上方の凹状円盤体11に接近する水流を生成することによって、凹状円盤体11を介して水を誘導し、排水口98から排出する際の利便性をはかり、排水モーターの排水効率を効果的に向上させることができる。
【0017】
上述したとおり、本発明の第1実施形態による排水羽根10は騒音を低減する効果を果たすことができる。
【0018】
以上は本発明の第1実施形態の構造についての説明である。続いて、第1実施形態の作動状態について説明を進める。
【0019】
図2から
図4に示すように、本発明による排水羽根10が排水モーターの集水槽99に装着される際、シャフト21は先端部が駆動軸100に連結され、底部263からの捩れ方向が駆動軸100の駆動力による旋転方向と一致する。複数の側壁面261は二つずつ隣り合う辺縁部が相互に連結されて形成した細長い角面265を有する。それぞれの側壁面261は傾斜した曲面である。それぞれの角面265は傾斜かつ彎曲して細長く伸びる形である。
駆動軸100が駆動力によって回転する際、
図4に示すように、複数の側壁面261および角面265は集水槽99内の水(矢印表示)の流動を促す。集水槽99内の水は複数の側壁面261および角面265に沿って上へ流動し、複数の流路17を通過し、排水口98から流出する。上述した複数の側壁面261および角面265の構造により、撥水する際に生じた水の抵抗を低下させ、気泡発生を抑制し、騒音を低減する効果を果たすことができる。
【0020】
上述したとおり、本発明の第1実施形態は複数の側壁面および角面の構造により、水を上に弾いて下方から上方の凹状円盤体に接近する水流を生成することによって、凹状円盤体を介して水を誘導し、排水口から排出する際の利便性をはかり、排水モーターの排水効率を効果的に向上させることができる。
【0021】
上述したとおり、本発明は側壁面および角面の構造により、騒音を低減する効果を果たすことができる。
【0022】
(第2実施形態)
図5に示したのは本発明の第2実施形態による排水羽根10’である。第1実施形態との違いは下記のとおりである。
【0023】
第2実施形態において、軸下部25’は複数の凸状リブ29’を有する。複数の凸状リブ29’は完全に角面265’に被さり、末端部に形成された円弧部291’を有する。それぞれの凸状リブ29’の円弧部291’は底面263’のそれぞれの角部に連結される。
【0024】
第2実施形態の構造および達成した効果は第1実施形態とほぼ同じであるため、説明を省略する。
【符号の説明】
【0025】
10、10’ 排水羽根
11 凹状円盤体
13 円盤
15 環状壁面
17 流路
21 シャフト
23 軸上部
25、25’ 軸下部
26 多辺形柱体
261 側壁面
263、263’ 底面
265、265’ 角面
27 支持リブ
29’ 凸状リブ
291’ 円弧部
98 排水口
99 水槽
100 駆動軸
L1 仮説垂直線