IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オリンパス株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/02253 20210101AFI20220302BHJP
【FI】
H01S5/02253
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018094815
(22)【出願日】2018-05-16
(65)【公開番号】P2019201108
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2020-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅見 桂一
(72)【発明者】
【氏名】大久保 純一
【審査官】小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-121921(JP,A)
【文献】特開平08-146257(JP,A)
【文献】特開2007-260743(JP,A)
【文献】特開2007-000888(JP,A)
【文献】特開2005-169395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
H01S 3/00 - 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に一つ以上の第一の光デバイスを拘持する第一の拘持部、および前記第一の拘持部から延設される第一の嵌合代部を有するスリーブ状の第一の光デバイス拘持体と、
内部に一つ以上の第二の光デバイスを拘持する第二の拘持部、および前記第二の拘持部から延設される第二の嵌合代部を有するスリーブ状の第二の光デバイス拘持体と、
を備え、前記第一の嵌合代部と前記第二の嵌合代部とを嵌合し、前記第一の嵌合代部と前記第二の嵌合代部との重ね部分で溶接して固定された光学ユニットにおいて、
前記第二の嵌合代部は、前記第二の拘持部から延設された延設部と、前記延設部の端部から反転して折り返し延伸する反転延伸部とからなり、
前記第一の拘持部を通過する前記光学ユニットの光軸と垂直な面であって、前記第一の拘持部が前記第一の光デバイスと接触している部分の前記光軸方向の中央を通過する面である第一面と、前記端部の前記光軸方向の中央部を通過し、前記光軸と垂直な面である第二面とに挟まれる領域外の前記重ね部分のみで、前記第一の嵌合代部と前記第二の嵌合代部の前記反転延伸部とに亘り溶融固化した溶接部を有し、
前記溶接部は、前記光学ユニットの光軸方向において、前記第一の嵌合代部の第一の溶接幅と、前記反転延伸部の第二の溶接幅とが、略同じに形成されている
ことを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
前記第一の溶接幅に対する前記第二の溶接幅の比が、0.75以上1.25以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項3】
前記第二の拘持部と前記反転延伸部との間には、隙間が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光デバイスと、光デバイスを拘持するホルダとを備えた光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、産業用に用いられる光学ユニットは、所望の光学特性を得るために、例えば光電変換素子の特性に応じてレンズの相対的な位置が調整され固定されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1には、レンズを拘持するレンズホルダと、半導体レーザを拘持するレーザホルダとの相対的な位置調整を行った後、レーザ溶接によりホルダ同士を固定した光学ユニットが開示されている。
【0003】
図25は、従来の光学ユニットの構成を示す模式図である。同図に示す光学ユニット200は、レンズ201と、レンズ201を拘持する略筒状のレンズホルダ202と、半導体レーザ203と、半導体レーザ203を拘持する筒状のレーザホルダ204とを備えている。レンズ201は、例えば半田付け、または接着剤を用いた接着によってレンズホルダ202に固定されている。半導体レーザ203は、例えばレーザ溶接によってレーザホルダ204に固定されている。なお、レンズホルダ202の中心軸と、レーザホルダ204の中心軸とは、光学ユニット200の光軸N200にそれぞれ一致している。
【0004】
また、レンズホルダ202とレーザホルダ204とは、レンズ201と半導体レーザ203との相対的な位置を決めた後、レーザ溶接によって固定される。具体的な固定方法を説明する。まず、レンズホルダ202にレーザホルダ204を収容後、レンズ201と半導体レーザ203と、が予め設定された光学条件を満たす位置となるように、レンズホルダ202に対するレーザホルダ204の位置を調整する。この際の光学条件は、光学ユニット200が所望の光学特性を満たすための条件である。レーザホルダ204の位置は、例えば、レンズ201と半導体レーザ203の光源203aとの間の距離d200が、予め設定されている距離となるように調整される。その後、レンズホルダ202の外周側からレーザ光を照射して、レンズホルダ202およびレーザホルダ204を溶接する。このレーザ溶接によって、レンズホルダ202およびレーザホルダ204には、互いに溶融した部分が混合して固化してなる溶接部205が形成される。このようにして、レンズホルダ202とレーザホルダ204とが固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-281062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ホルダをレーザ照射により溶融固化させる際、収縮によるホルダの寸法変化が生じる。ホルダの収縮量は、レーザ光を照射する範囲によって変わる。例えば、図25に示す光学ユニット200のように、レンズホルダ202に形成される溶接部205の寸法と、レーザホルダ204に形成される溶接部205の寸法とが異なると、各ホルダの収縮量が異なるために、光学条件を満たすように配置されたレンズ201と半導体レーザ203との位置関係が変化してしまう。具体的に、溶接部205のレンズホルダ202の厚さ方向の中央部の寸法(以下、溶接幅ともいう)をd201、溶接部205のレーザホルダ204の厚さ方向の中央部の溶接幅をd202としたとき、溶接幅d201と溶接幅d202との差が大きいと、溶融固化した際のレンズ201と半導体レーザ203との光軸N200方向の相対的な位置のずれも大きい。このような位置のずれが生じると、設定される光学条件を満たさなくなり、その結果、光学ユニット200において所望の光学特性を得ることができないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、光デバイスをそれぞれ拘持するホルダ同士が溶接によって接合された場合であっても、所望の光学特性を有する光学ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光学ユニットは、内部に一つ以上の第一の光デバイスを拘持する第一の拘持部、および前記第一の拘持部から延設される第一の嵌合代部を有するスリーブ状の第一の光デバイス拘持体と、内部に一つ以上の第二の光デバイスを拘持する第二の拘持部、および前記第二の拘持部から延設される第二の嵌合代部を有するスリーブ状の第二の光デバイス拘持体と、を備え、前記第一の嵌合代部と前記第二の嵌合代部とを嵌合し、前記第一の嵌合代部と前記第二の嵌合代部との重ね部分で溶接して固定された光学ユニットにおいて、前記第二の嵌合代部は、前記第二の拘持部から延設された延設部と、前記延設部の端部から反転して折り返し延伸する反転延伸部とからなり、前記第一の拘持部を通過する前記光学ユニットの光軸と垂直な面である第一面と、前記端部を通過する前記光軸と垂直な面である第二面とに挟まれる領域外の前記重ね部分で、前記第一の嵌合代部と前記第二の嵌合代部の前記反転延伸部とに亘り溶融固化した溶接部を有し、前記溶接部は、前記光学ユニットの光軸方向において、前記第一の嵌合代部の第一の溶接幅と、前記反転延伸部の第二の溶接幅とが、略同じに形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る光学ユニットは、上記発明において、前記第一の溶接幅に対する前記第二の溶接幅の比が、0.75以上1.25以下であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る光学ユニットは、上記発明において、前記第二の拘持部と前記反転延伸部との間には、隙間が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光デバイスをそれぞれ拘持するホルダ同士が溶接によって接合された場合であっても、所望の光学特性を有する光学ユニットを得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る光学ユニットの構成を模式的に示す断面図である。
図2図2は、図1の領域Rを拡大した図である。
図3図3は、溶融固化した際の寸法変化を測定する方法を説明する図である。
図4図4は、溶融固化した際の寸法変化を測定する方法を説明する図である。
図5図5は、溶融固化した際の寸法変化の測定結果の一例を説明する図である。
図6図6は、本発明の実施の形態1に係る光学ユニットの作製を説明する模式図である。
図7図7は、レーザ溶接を行う際に用いるレーザ光の特性を説明する図である。
図8図8は、本発明の実施の形態1の変形例1に係る光学ユニットの構成を模式的に示す断面図である。
図9図9は、本発明の実施の形態1の変形例1に係る光学ユニットの要部の構成を模式的に示す断面図である。
図10図10は、本発明の実施の形態1の変形例1に係る光学ユニットの作製を説明する模式図である。
図11図11は、本発明の実施の形態1の変形例2に係る光学ユニットの構成を模式的に示す断面図である。
図12図12は、本発明の実施の形態2に係る光学ユニットの構成を模式的に示す断面図である。
図13図13は、本発明の実施の形態2に係る光学ユニットの作製を説明する模式図である。
図14図14は、本発明の実施の形態2の変形例に係る光学ユニットの構成を模式的に示す断面図である。
図15図15は、本発明の実施の形態2の変形例に係る光学ユニットの作製を説明する模式図である。
図16図16は、本発明の実施の形態2の変形例に係る光学ユニットの作製を説明する模式図である。
図17図17は、本発明の実施の形態3に係る光学ユニットの作製を説明する模式図である。
図18図18は、本発明の実施の形態3に係る光学ユニットの作製を説明する模式図である。
図19図19は、本発明の実施の形態3に係る光学ユニットの作製を説明する模式図である。
図20図20は、本発明の実施の形態3に係る光学ユニットの作製を説明する模式図である。
図21図21は、本発明の実施の形態3に係る光学ユニットの作製を説明する模式図である。
図22図22は、本発明の実施の形態3に係る光学ユニットの作製を説明する模式図である。
図23図23は、本発明の実施の形態の他の例に係る光学ユニットの要部の構成を模式的に示す断面図である。
図24図24は、本発明の実施の形態に係る光学ユニットにおいて、レーザ溶接により形成される溶接部の他の例を説明する模式図である。
図25図25は、従来の光学ユニットの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面は模式的なものであり、各部の寸法の関係や比率は、現実と異なる。また、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る光学ユニットの構成を模式的に示す部分断面図であり、当該光学ユニットの光軸を含む平面を切断面とする部分断面図である。同図に示す光学ユニット1は、第一の光デバイスであるレンズ2と、レンズ2を拘持する略筒状のレンズホルダ10と、入力された電気信号に応じたレーザ光を出射する光源3aを有する第二の光デバイスである半導体レーザ3と、半導体レーザ3を拘持する筒状のレーザホルダ20とを備えている。
【0015】
図1では、レンズホルダ10の中心軸と、第一のレーザホルダ20の中心軸とは、互いに一致しており、かつ光学ユニット1の光軸N1に一致しているものとして説明する。光学ユニット1は、光源3aが出射した光を、レンズ2を経由して外部に出射する。本実施の形態1において、レンズホルダ10は第一の光デバイス拘持体、レーザホルダ20は第二の光デバイス拘持体に相当する。
【0016】
レンズ2は、ガラスや樹脂を用いて形成されるコリメートレンズや集光レンズにより構成される。なお、本実施の形態1では、レンズホルダ10が一つのレンズ2を拘持しているものとして説明するが、レンズホルダ10が複数のレンズからなる光デバイスを拘持するものであってもよい。
【0017】
レンズホルダ10は、レンズ2を拘持する環状の第一拘持部10aと、第一拘持部10aの光軸N1方向の端部から半導体レーザ3に向けて光軸N1方向に沿って延在し、レーザホルダ20と嵌合する筒状の第一嵌合代部10bと、を有する。第一拘持部10aには、例えば半田付け、または接着剤を用いた接着によってレンズ2が固定される。なお、第一嵌合代部10bの内周面のなす径は、レーザホルダ20の最外周の外周面のなす径と同じであるが、レーザホルダ20が嵌入可能な径であればよい。
【0018】
レーザホルダ20は、レンズホルダ10の内部に配置され、レンズ2側を反転して折り返してなる二重の筒状構造をなす。レーザホルダ20は、光軸N1方向に沿って延在し、半導体レーザ3を拘持する第二拘持部20aと、光軸N1方向に沿って延在し、レンズホルダ10と嵌合する筒状の第二嵌合代部20bとを有する。第二嵌合代部20bは、第二拘持部20aから延設される延設部20cと、延設部20cの端部から反転して折り返し延伸する反転延伸部20dとを有する。第二拘持部20aは、レーザホルダ20の内部側に位置している。反転延伸部20dは、レーザホルダ20の外部側に位置している。第二拘持部20aと反転延伸部20dとの間には、隙間20eが形成される。第二拘持部20aには、例えば半田付け、接着剤を用いた接着、溶接、または圧入によって半導体レーザ3が固定される。
【0019】
レンズホルダ10およびレーザホルダ20は、レーザ光によって溶融固化した際に、同じ程度の収縮率を有する材料を用いて構成されていることが好ましい。この材料としては、ステンレス鋼(フェライト系、マルテンサイト系、オーステナイト系)、鉄鋼材料(機械構造用炭素鋼、一般構造用圧延鋼)、インバー材、樹脂(Acrylonitrile ButadieneStyrene:ABS、Poly Ether Ether Ketone:PEEK)が挙げられる。また、光学ユニット1の作製において、レンズホルダ10とレーザホルダ20とを嵌合させるときに、レンズホルダ10とレーザホルダ20との位置調整を容易に行えるように、第一嵌合代部10bおよび反転延伸部20dの表面粗さを小さくしてもよい。光学ユニット1において、レンズ2と半導体レーザ3の光源3aとの間の距離dは、予め設定されている光学条件を満たす距離である。
【0020】
また、レンズホルダ10とレーザホルダ20とは、第一嵌合代部10bおよび第二嵌合代部20b(反転延伸部20d)が径方向で重なる部分であって、光軸N1方向において第一拘持部10aがレンズ2を拘持する位置を通過する第一面P10、およびレーザホルダ20の折り返し部分を通過する第二面P20に挟まれる領域RAの外側の部分が、レーザ光による溶融固化によって接合されている。ここでいう「第一面P10」とは、第一拘持部10aがレンズ2と接触している部分の光軸N1方向の中央を通過し、かつ光軸N1に対して垂直な平面である。また、「第二面P20」とは、レーザホルダ20の折り返し部分(延設部20cの端部)の光軸N1方向の中央を通過し、かつ光軸N1に対して垂直な平面である。このレーザ溶接によって、レンズホルダ10およびレーザホルダ20には、互いに溶融した部分が混合して硬化してなる溶接部30が形成される。なお、各面は、光軸N1の方向の中央を通過するものとして説明したが、例えば、第一拘持部10aにおける、光デバイスと接触している部分の光軸N1の方向の一方の端部を通過する等、通過位置の設計変更が可能である。
【0021】
図2は、図1に示す光学ユニット1の溶接部30を含む領域Rを拡大した図である。上述したように、第一嵌合代部10bの一部と反転延伸部20dの一部とには、互いを接合する溶接部30が形成されている。各嵌合代部の光軸N1方向と直交する径方向の長さを厚さ、光軸N1方向の長さを幅としたとき、溶接部30は、第一嵌合代部10bの厚さ方向の中央部の溶接幅w1と、反転延伸部20dの厚さ方向の中央部の溶接幅w2とが、略同じである。
【0022】
具体的に、溶接幅w1と溶接幅w2とが略同じとは、レーザ光が照射されるレンズホルダ10の溶接幅w1に対する、レーザホルダ20の溶接幅w2の比(w2/w1)が、0.75≦w2/w1≦1.25の関係を満たしていることをいう。この範囲において、例えば、溶接幅w1が0.4mmである場合、溶接幅w2は0.3mm以上0.5mm以下となる。
【0023】
次に、溶融固化によるホルダの収縮について、図3および図4を参照して説明する。図3および図4は、溶融固化した際の寸法変化を測定する方法を説明する図である。まず、測定用の筒状部材(以下、測定用部材という)40の外表面に二つのマーカM1、M2を付与する(図3参照)。マーカM1、M2は、インクによるものであってもよいし、シール材を用いたものであってもよい。マーカM1、M2は、測定用部材40の光軸N10方向に沿って設けられていることが好ましい。
【0024】
その後、マーカM1、M2の間の距離d11を測定する。距離d11は、マーカM1とマーカM2との間の光軸N10方向の距離である。溶融固化前のマーカM1、M2の間の距離d11を測定後、マーカM1とマーカM2との間の一部にレーザ光を照射して、測定用部材40の一部を溶融固化させる。この際、図4に示すように、測定用部材40の全周にわたってレーザ光を照射する。例えば、光軸N10を回転軸として測定用部材40を回転させるか、またはレーザ光を出射するレーザヘッドを測定用部材40の外周に沿って回転させながらレーザ光を照射する。これにより、測定用部材40に光軸N10を周回する溶接部41が形成される。溶接部41の形成により、測定用部材40は、該溶接部41を境界として両端部が互いに近づく方向(図4における矢印D1、D2)に収縮する。
【0025】
測定用部材40に溶接部41を形成した後、マーカM1とマーカM2との間の距離d12を測定する。この距離d12は、溶融固化による測定用部材40の収縮によって、上述した距離d11よりも小さくなる。この距離d11と距離d12との差を、寸法変化量(収縮量)として算出する。その後、レーザ光の強度を変えて、上述したように溶接幅w10を形成し、収縮による寸法変化量を測定する。レーザ光の強度を変えることにより、異なる溶接幅における寸法変化量が得られる。
【0026】
図5は、溶融固化した際の寸法変化の測定結果の一例を説明する図であって、溶接幅と寸法変化量との関係を示す図である。図5に示すように、溶接幅と寸法変化量とは、略比例している(図5中の近似直線S参照)。これにより、溶接部30において、レンズホルダ10における溶接幅と、レーザホルダ20の溶接幅との差が大きくなるほど、溶融固化前のレンズ2および半導体レーザ3の位置関係の変化が大きくなることが容易に予測できる。
【0027】
次に、上述した光学ユニット1を作製する方法について、図6を参照して説明する。図6は、本発明の実施の形態1に係る光学ユニットの作製を説明する模式図である。
【0028】
まず、レンズホルダ10にレンズ2を固定し、レーザホルダ20に半導体レーザを固定する。その後、レーザホルダ20を、レンズホルダ10の内部に挿入して、第一嵌合代部10bと第二嵌合代部20b(反転延伸部20d)を嵌合させる。その際、レンズ2と光源3aとの間の距離d1が、光学条件を満たす距離となるように、レンズホルダ10に対してレーザホルダ20を相対移動させてレンズ2と半導体レーザ3との間の光路長を調整する。
【0029】
その後、レーザヘッド100を配置して、レンズホルダ10の外表面にレーザ光Lを照射することにより、レンズホルダ10の一部、およびレーザホルダ20の一部を溶融固化させる。この際のレーザ光Lの照射位置は、第一嵌合代部10bと第二嵌合代部20b(反転延伸部20d)とが径方向で重なり合う位置であり、かつ光軸N1方向における領域RAの外側に位置している。また、レーザ光Lの強度分布、または、レーザヘッド100の移動によって、レンズホルダ10からレーザホルダ20にかけて均一な溶接幅となるように、レンズホルダ10およびレーザホルダ20を溶融固化させる。この際、レーザ光Lは、パルス光により間欠的に照射してもよいし、連続的に照射してもよい。溶接部30は、レーザ光が間欠的に照射される場合に、ホルダの周方向に沿って間欠的に溶接ビードが形成されるものであってもよいし、周方向の全周にわたって連続的に溶接ビードが連なっているものであってもよい。また、溶接部30は、レーザ光が連続的に照射される場合、周方向に延びる一つの溶接ビードからなる。
【0030】
また、レーザ光Lによりレンズホルダ10とレーザホルダ20の厚さ方向を溶融固化させる際に、反転延伸部20dと第二拘持部20aとの間に隙間20eが形成されているため、レーザホルダ20の第二拘持部20aが溶融しないようになっている。この隙間20eの大きさは、レーザ光Lの強度や強度分布などに基づいて設定される。
【0031】
図7は、レーザ溶接を行う際に用いるレーザ光の特性を説明する図である。図7は、レーザ光のビームウエストを通る断面におけるビーム強度の分布を示す図である。図7に示すように、本実施の形態1では、ホルダを溶融可能な下限強度ILにおけるビーム径WLと、ピーク強度IPにおけるビーム径WPの値が略同じで、ビームの縁から中心に向かってビーム強度が急峻に立ち上がってピーク強度IPに達するトップハット型の強度分布のレーザ光を用いてレーザ溶接を行う。これにより、照射領域の単位面積当たりの蓄積エネルギーが略均一なレーザ光がホルダに照射される。また、例えば、一般的に知られているガウシアン型の強度分布を有するレーザ光を、ビーム強度分布変換を行う光学系を通過させることによって、ビーム径WLとビーム径WPとが略同じでビーム断面の縁から内部に向かってビーム強度が急峻に立ち上がるトップハット型の強度分布に変換して照射するようにしてもよい。
【0032】
以上説明した本発明の実施の形態1では、第一嵌合代部10bと第二嵌合代部20b(反転延伸部20d)とが重なり合い、かつ第一面P10および第二面P20に挟まれる領域RAの外側に、レンズホルダ10における溶接幅w1と、レーザホルダ20の溶接幅w2とが略同じである溶接部30を形成して、レンズホルダ10とレーザホルダ20とを接合するようにした。これにより、レーザ溶接した際、各ホルダは同じ収縮量で収縮し、かつレンズ2および半導体レーザ3が収縮により同じ側に移動する。その結果、溶融固化により収縮が生じても、各ホルダが拘持する光デバイス間の相対的な位置のずれを抑制しつつ、レンズホルダ10およびレーザホルダ20を溶接することが可能となる。このように、本実施の形態1によれば、溶接によってホルダ同士を接合した場合であっても、所望の光学特性を有する光学ユニットを得ることができる。
【0033】
(実施の形態1の変形例1)
図8は、本発明の実施の形態1の変形例1に係る光学ユニットの構成を模式的に示す断面図である。図8は、当該光学ユニットの中心軸を含む平面を切断面とする部分断面図である。上述した実施の形態1では、レーザホルダ20が一つの部材からなるものとして説明したが、本変形例1では、レーザホルダ20Aが二つの部材からなる。本変形例1に係る光学ユニット1Aは、例えば、被検体内に挿入される挿入部を備えた内視鏡に設けられる。
【0034】
図8に示す光学ユニット1Aは、第一の光デバイスであるレンズ2と、レンズ2を拘持する略筒状のレンズホルダ10と、入力された電気信号に応じたレーザ光を出射する光源3aを有する第二の光デバイスである半導体レーザ3と、半導体レーザ3を拘持する筒状のレーザホルダ20Aと、を備えている。以下、上述した実施の形態1とは構成が異なるレーザホルダ20Aについて説明する。
【0035】
図8では、レンズホルダ10の中心軸と、レーザホルダ20Aの中心軸とは、互いに一致しており、かつ光学ユニット1Aの光軸N1に一致しているものとして説明する。光学ユニット1Aは、光源3aが出射した光を、レンズ2を経由して外部に出射する。本変形例1において、レーザホルダ20Aは第二の光デバイス拘持体に相当する。
【0036】
レーザホルダ20Aは、レンズホルダ10の内部に配置され、レンズ2側を反転して折り返してなる二重の筒状構造をなす。レーザホルダ20Aは、光軸N1方向に沿って延在し、半導体レーザ3を拘持する第二拘持部51と、レンズホルダ10と嵌合する筒状の第二嵌合代部52とを有する。
【0037】
第二拘持部51は、光軸N1方向に延在し、半導体レーザ3を拘持するとともに、第二嵌合代部52と嵌合する。第二拘持部51には、例えば半田付け、接着剤を用いた接着、溶接、または圧入によって半導体レーザ3が固定される。
【0038】
第二嵌合代部52は、第二拘持部51を拘持することによって、第二拘持部51から延設する延設部52aと、延設部52aの端部から反転して折り返し延伸し、レンズホルダ10と嵌合する筒状の反転延伸部52bと、を有する。
【0039】
また、延設部52aの内周面のなす径は、第二拘持部51の外周面のなす径と同じであるが、第二嵌合代部52が嵌入可能な径であればよい。また、延設部52aの内周面と第二拘持部51の外周面とは、例えば半田付け、接着剤を用いた接着、または溶接によって固定され、接合面となる中間拘持部53を形成する。なお、第二拘持部51の外周面のなす径は、反転延伸部52bの内周面のなす径よりも小さい。これにより、第二拘持部51の外周面と反転延伸部52bの内周面との間には、隙間54が形成される。
【0040】
第二拘持部51および第二嵌合代部52は、レーザ光によって溶融固化した際に、レンズホルダ10と同じ程度の収縮率を有する材料を用いて構成されていることが好ましい。この材料としては、上述した、ステンレス鋼、鉄鋼材料、インバー材、樹脂が挙げられる。また、光学ユニット1Aの作製において、レンズホルダ10とレーザホルダ20Aとを嵌合させるときに、レンズホルダ10とレーザホルダ20Aとの位置調整を容易に行えるように、第二嵌合代部52bの表面粗さを小さくしてもよい。
【0041】
また、レンズホルダ10とレーザホルダ20Aとは、第一嵌合代部10bおよび反転延伸部52bが径方向で重なる部分であって、光軸N1方向において第一拘持部10aを通過する第一面P10と、レーザホルダ20Aの折り返し部分を通過する第二面P20とに挟まれる領域Rの外側の部分が、レーザ光による溶融固化によって接合されている。また、本変形例における「第二面P20」とは、第二嵌合代部52が第二拘持部51と嵌合している部分(延設部52aの端部)、すなわち中間拘持部53の光軸N1方向の中央を通過し、かつ光軸N1に対して垂直な平面である。このレーザ溶接によって、レンズホルダ10およびレーザホルダ20Aには、互いに溶融した部分が混合して硬化してなる溶接部30が形成される。
【0042】
次に、上述した光学ユニット1Aを作製する方法について、図9および図10を参照して説明する。図9および図10は、本発明の実施の形態1の変形例1に係る光学ユニットの作製を説明する模式図である。
【0043】
まず、第二嵌合代部52の内部に、半導体レーザ3が固定された第二拘持部51を挿入して、第二拘持部51と延設部52aとを嵌合させ、例えば半田付け、接着剤を用いた接着、または溶接によって、第二拘持部51が第二嵌合代部52における任意の位置に固定される(図9参照)。これにより、レーザホルダ20Aが形成される。
【0044】
次に、レンズホルダ10の内部に、第二拘持部51が固定された第二嵌合代部52を挿入して、第一嵌合代部10bと反転延伸部52bとを嵌合させる。その際、レンズ2と光源3aとの間の距離dが、光学条件を満たす距離となるように、レンズホルダ10に対してレーザホルダ20A(第二嵌合代部52)を相対移動させてレンズ2と半導体レーザ3との間の光路長を調整する。
【0045】
その後、レーザヘッド100を配置して、レンズホルダ10の外表面にレーザ光Lを照射することにより、レンズホルダ10の一部、およびレーザホルダ20Aの一部を溶融固化させる(図10参照)。この際のレーザ光Lの照射位置は、第一嵌合代部10bと反転延伸部52bとが径方向で重なり合う位置であり、かつ光軸N1方向における領域Rの外側に位置している。また、レーザ光Lの強度分布、または、レーザヘッド100の移動によって、レンズホルダ10からレーザホルダ20Aにかけて均一な溶接幅となるように、レンズホルダ10およびレーザホルダ20Aを溶融固化させる。この際、第二拘持部51と反転延伸部52bとの間に隙間54が形成されているため、第二拘持部51の溶融を防ぐことができる。レーザ溶接によって溶接部30が形成され、レンズホルダ10とレーザホルダ20Aとが接合される。
【0046】
以上説明した本変形例1では、第一嵌合代部10bと反転延伸部52bとが重なり合い、かつ第一面P10および第二面P20に挟まれる領域RAの外側に、レンズホルダ10における溶接幅と、レーザホルダ20A(第二嵌合代部52)における溶接幅とが略同じである溶接部30を形成して、レンズホルダ10とレーザホルダ20Aとを接合するようにした。これにより、レーザ溶接した際、各ホルダは同じ収縮量で収縮し、かつレンズ2および半導体レーザ3が収縮により同じ側に移動する。その結果、溶融固化により収縮が生じても、各ホルダが拘持する光デバイス間の相対的な位置のずれを抑制しつつ、レンズホルダ10およびレーザホルダ20Aを溶接することが可能となる。このように、本変形例1によれば、溶接によってホルダ同士を接合した場合であっても、所望の光学特性を有する光学ユニットを得ることができる。
【0047】
(実施の形態1の変形例2)
図11は、本発明の実施の形態1の変形例2に係る光学ユニットの構成を模式的に示す断面図である。図11は、当該光学ユニットの中心軸を含む平面を切断面とする部分断面図である。上述した実施の形態1では、第二の光デバイスが半導体レーザ3であるものとして説明したが、本変形例2では、第二の光デバイスとしてイメージセンサ4を用いる。本変形例2に係る光学ユニット1Bは、例えば、被検体内に挿入される挿入部を備えた内視鏡に設けられる。
【0048】
図11に示す光学ユニット1Bは、第一の光デバイスとしてのレンズ2と、レンズ2を拘持する略筒状のレンズホルダ11と、外部からの光を受光する受光面4aを有し、受光した光を電気信号に変換するイメージセンサ4と、イメージセンサ4を拘持する筒状のセンサホルダ21とを備えている。
【0049】
ここで、イメージセンサ4は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを用いて実現される。イメージセンサ4は、受光した観察光を光電変換して電気信号を生成する。
【0050】
図11では、レンズホルダ11の中心軸と、センサホルダ21の中心軸と、第二のセンサホルダ60の中心軸は、互いに一致しており、かつ光学ユニット1Aの光軸N2に一致しているものとして説明する。レンズ2は、外部からの光を受光面4aで結像させるためのレンズである。本変形例2において、レンズホルダ11は第一の光デバイス拘持体、第一のセンサホルダ21は第二の光デバイス拘持体に相当する。
【0051】
レンズホルダ11は、レンズ2を拘持する環状の第一拘持部11aと、第一拘持部11aの光軸N2方向の端部からイメージセンサ4に向けて光軸N2方向に沿って延在し、センサホルダ21と嵌合する筒状の第一嵌合代部11bと、を有する。第一拘持部11aには、例えば半田付け、または接着剤を用いた接着によってレンズ2が固定される。なお、第一嵌合代部11bの内周面のなす径は、センサホルダ21の最外周の外周面のなす径と同じであるが、センサホルダ21が嵌入可能な径であればよい。
【0052】
センサホルダ21は、レンズホルダ11の内部に配置され、レンズ2側を反転して折り返してなる二重の筒状構造をなす。センサホルダ21は、光軸N2方向に沿って延在し、イメージセンサ4を拘持する第二拘持部21aと、光軸N2方向に沿って延在し、レンズホルダ11と嵌合する筒状の第二嵌合代部21bとを有する。第二嵌合代部21bは、第二拘持部21aから延設される延設部21cと、延設部21cの端部から反転して折り返し延伸する反転延伸部21dとを有する。第二拘持部21aは、センサホルダ21の内部側に位置している。反転延伸部21bは、センサホルダ21の外部側に位置している。第二拘持部21aと反転延伸部21bとの間には、隙間21eが形成される。第二拘持部21aには、例えば半田付け、接着剤を用いた接着、溶接、または圧入によってイメージセンサ4が固定される。
【0053】
また、レンズホルダ11とセンサホルダ21とは、第一嵌合代部11bおよび第二嵌合代部21bが径方向で重なる部分であって、光軸N2方向において第一拘持部11aを通過する第一面P11、およびセンサホルダ21の折り返し部分を通過する第二面P21に挟まれる領域RBの外側の部分が、レーザ光による溶融固化によって接合されている。ここでいう「第一面P11」とは、第一拘持部11aがレンズ2と接触している部分の光軸N2方向の中央を通過し、かつ光軸N2に対して垂直な平面である。また、「第二面P21」とは、延設部21cの端部における光軸N2方向の中央を通過し、かつ光軸N2に対して垂直な平面である。このレーザ溶接によって、レンズホルダ11およびセンサホルダ21には、互いに溶融した部分が混合して硬化してなる溶接部31が形成される。なお、各面は、光軸N2方向の中央を通過するものとして説明したが、例えば、第一拘持部11aにおける、光デバイスと接触している部分の光軸N2の方向の一方の端部を通過する等、通過位置の設計変更が可能である。
【0054】
また、溶接部31は上述した溶接部30と同様に、レンズホルダ11の厚さ方向の中央部の溶接幅と、センサホルダ21(反転延伸部21d)の厚さ方向の中央部の溶接幅とが、ほぼ同じとなっている。
【0055】
光学ユニット1Bは、上述した光学ユニット1と同様にして作製される。具体的には、イメージセンサ4を内部に固定したセンサホルダ21を、レンズホルダ11の内部に挿入して、第一嵌合代部11bと第二嵌合代部21bとを嵌合させる。その際、レンズ2と受光面4aとの間の距離d2が、光学条件を満たす距離となるように、レンズホルダ11に対してセンサホルダ21を相対移動させてレンズ2とイメージセンサ4との間の光路長を調整する。
【0056】
その後、レンズホルダ11の外表面における上述した位置に対してレーザ光を照射することにより、第一嵌合代部11bの一部、および反転延伸部21dの一部を溶融固化させる。この際、第二拘持部21aと反転延伸部21dとの間に隙間21eが形成されているため、第二拘持部21aの溶融を防ぐことができる。レーザ溶接によって溶接部31が形成され、レンズホルダ11とレーザホルダ21とが接合される。
【0057】
以上説明した本変形例2では、実施の形態1と同様にして、第一嵌合代部11bと第二嵌合代部21bとが重なり合い、かつ第一面P11および第二面P21に挟まれる領域RBの外側に、レンズホルダ11における溶接幅と、センサホルダ21(反転延伸部21d)における溶接幅とが略同じである溶接部31を形成して、レンズホルダ11とセンサホルダ21とを接合するようにした。これにより、レーザ溶接した際の、レンズホルダ11およびセンサホルダ21の収縮量、ならびに各ホルダが拘持する光デバイスの移動方向が同じになり、その結果、溶融固化により収縮が生じても、各ホルダが拘持する光デバイス間の相対的な位置のずれを抑制しつつ、レンズホルダ11およびセンサホルダ21を溶接することが可能となる。このように、本変形例2によれば、溶接によってホルダ同士を接合した場合であっても、所望の光学特性を有する光学ユニットを得ることができる。
【0058】
なお、上述した変形例2では、第二の光デバイスがイメージセンサであるものとして説明したが、第二の光デバイスが、イメージセンサに加え、圧縮やフィルタリングを行うDSP(Digital Signal Processor)等、イメージセンサとは別に設けられ、該イメージセンサが取得した電気信号を処理する電子部品を含むものであってもよい。
【0059】
また、本変形例2において、上述した変形例1のように、センサホルダ21を二つの部材によって構成するようにしてもよい。
【0060】
(実施の形態2)
図12は、本発明の実施の形態2に係る光学ユニットの構成を模式的に示す断面図である。図12は、当該光学ユニットの中心軸を含む平面を切断面とする部分断面図である。上述した実施の形態1では、レーザホルダ20がレンズホルダ10の内部に収容される構成を説明したが、本実施の形態2では、レンズホルダ12がレーザホルダ22を内部に収容する構成である。
【0061】
図12に示す光学ユニット1Cは、レンズ2と、半導体レーザ3と、レンズ2を拘持する筒状のレンズホルダ12と、半導体レーザ3を拘持する略筒状のレーザホルダ22とを備えている。
【0062】
図12では、レーザホルダ22の中心軸と、レンズホルダ12の中心軸とは、互いに一致しており、かつ光学ユニット1Cの光軸N1に一致しているものとして説明する。本実施の形態2において、レーザホルダ22は第一の光デバイス拘持体、レンズホルダ12は第二の光デバイス拘持体に相当する。また、本実施の形態2では、半導体レーザ3は第一の光デバイス、レンズ2は第二の光デバイスに相当する。
【0063】
レーザホルダ22は、半導体レーザ3を拘持する環状の第一拘持部22aと、第一拘持部22aの光軸N1方向の端部からレンズ2に向けて光軸N1方向に沿って延在し、レンズホルダ22と嵌合する筒状の第一嵌合代部22bと、を有する。第一拘持部22aには、例えば半田付け、接着剤を用いた接着、溶接、または圧入によって半導体レーザ3が固定される。
【0064】
なお、第一嵌合代部22bの内部壁面のなす径は、レンズホルダ12の外周の径と同じであるが、レンズホルダ12が嵌入可能な径であればよい。
【0065】
レンズホルダ12は、レーザホルダ22の内部に配置され、半導体レーザ3側を反転して折り返してなる二重の筒状構造をなす。レンズホルダ12は、レンズ2を拘持する第二拘持部12aと、光軸N1方向に沿って延在し、レーザホルダ22と嵌合する筒状の第二嵌合代部12bとを有する。第二嵌合代部12bは、第二拘持部12aから延設される延設部12cと、延設部12cの端部から反転して折り返し延伸する反転延伸部12dとを有する。第二拘持部12aは、レンズホルダ12の内部側に位置している。第二嵌合代部12bは、レンズホルダ12の外部側に位置している。第二拘持部12aと反転延伸部12dとの間には、隙間12eが形成される。第二拘持部12aには、例えば半田付け、接着剤を用いた接着、溶接、または圧入によってレンズ2が固定される。
【0066】
光学ユニット1Cにおいて、レンズ2と半導体レーザ3の光源3aとの間の距離d1は、予め設定されている光学条件を満たす距離である。
【0067】
また、レンズホルダ12とレーザホルダ22とは、第二嵌合代部12bおよび第一嵌合代部22bが径方向で重なる部分であって、光軸N1方向において第一拘持部22aを通過する第一面P22、およびレンズホルダ12の折り返し部分を通過する第二面P12に挟まれる領域RAの外側の部分が、レーザ光による溶融固化によって接合されている。ここでいう「第一面P22」とは、第一拘持部22aが半導体レーザ3と接触している部分の光軸N1方向の中央を通過し、かつ光軸N1に対して垂直な平面である。また、第二面P12」とは、延設部12cの端部における光軸N1方向の中央を通過し、かつ光軸N1に対して垂直な平面である。このレーザ溶接によって、レーザホルダ22およびレンズホルダ12には、互いに溶融した部分が混合して硬化してなる溶接部32が形成される。なお、各面は、光軸N1の方向の中央を通過するものとして説明したが、例えば、第二拘持部22aにおける、光デバイスと接触している部分の光軸N1の方向の一方の端部を通過する等、通過位置の設計変更が可能である。
【0068】
次に、上述した光学ユニット1Cを作製する方法について、図13を参照して説明する。図13は、本発明の実施の形態2に係る光学ユニットの作製を説明する模式図である。
【0069】
まず、レンズホルダ12にレンズ2を固定し、レーザホルダ22に半導体レーザを固定する。その後、レンズホルダ12を、レーザホルダ22の内部に挿入して、第一嵌合代部22bと第二嵌合代部12bとを嵌合させる。その際、レンズ2と光源3aとの間の距離d1が、光学条件を満たす距離となるように、レーザホルダ20に対してレンズホルダ12を相対移動させてレンズ2と半導体レーザ3との間の光路長を調整する。
【0070】
その後、レーザヘッド100を配置して、レーザホルダ22の外表面にレーザ光Lを照射することにより、レーザホルダ22の一部、およびレンズホルダ12の一部を溶融固化させる。この際のレーザ光Lの照射位置は、第一嵌合代部22bと反転延伸部12dとが径方向で重なり合う位置であり、かつ光軸N1方向における領域RAの外側に位置している。また、レーザ光Lの強度分布、または、レーザヘッド100の移動によって、レーザホルダ22からレンズホルダ12にかけて均一な溶接幅となるように、レーザホルダ22およびレンズホルダ12を溶融固化させる。このレーザ溶接によって、レンズホルダ12およびレーザホルダ22には、互いに溶融した部分が混合して硬化してなる溶接部32が形成される。
【0071】
また、レーザ光Lによりレンズホルダ12とレーザホルダ22の厚さ方向を溶融固化させる際に、第二拘持部12aと反転延伸部12dとの間に隙間12eが形成されているため、レンズホルダ12の第二拘持部12aが溶融しないようになっている。この隙間12eの大きさは、レーザ光Lの強度や強度分布などに基づいて設定される。
【0072】
以上説明した本発明の実施の形態2は、第一嵌合代部22bと第二嵌合代部12bとが重なり合い、かつ第一面P12および第二面P22に挟まれる領域RAの外側に、レンズホルダ12における溶接幅と、レーザホルダ22の溶接幅とが略同じである溶接部32を形成して、レンズホルダ12とレーザホルダ22とを接合するようにした。これにより、レーザ溶接した際、各ホルダは同じ収縮量で収縮し、かつレンズ2および半導体レーザ3が収縮により同じ側に移動する。その結果、溶融固化により収縮が生じても、各ホルダが拘持する光デバイス間の相対的な位置のずれを抑制しつつ、レンズホルダ12およびレーザホルダ22を溶接することが可能となる。このように、本実施の形態2によれば、溶接によってホルダ同士を接合した場合であっても、所望の光学特性を有する光学ユニットを得ることができる。
【0073】
(実施の形態2の変形例)
図14は、本発明の実施の形態2の変形例に係る光学ユニットの構成を模式的に示す断面図である。図14は、当該光学ユニットの中心軸を含む平面を切断面とする部分断面図である。上述した実施の形態2では、レンズホルダ12が一つの部材からなるものとして説明したが、本変形例では、レンズホルダ22が二つの部材からなる。
【0074】
図14に示す光学ユニット1Dは、レンズ2と、半導体レーザ3と、レンズ2を拘持する略筒状のレンズホルダ12Aと、半導体レーザ3を拘持する筒状のレーザホルダ22と、を備えている。以下、上述した実施の形態2とは構成が異なるレンズホルダ12Aについて説明する。
【0075】
図14では、レンズホルダ12Aの中心軸と、レーザホルダ22の中心軸とは、互いに一致しており、かつ光学ユニット1Dの光軸N1に一致しているものとして説明する。光学ユニット1Dは、光源3aが出射した光を、レンズ2を経由して外部に出射する。本変形例において、レンズホルダ12Aは第二の光デバイス拘持体に相当する。
【0076】
レンズホルダ12Aは、レーザホルダ22の内部に配置され、半導体レーザ3側を反転して折り返してなる二重の筒状構造をなす。レンズホルダ12Aは、光軸N1方向に沿って延在し、レンズ2を拘持する第二拘持部61と、レーザホルダ22と嵌合する筒状の第二嵌合代部62とを有する。
【0077】
第二拘持部61は、光軸N1方向に延在し、レンズ2を拘持するとともに、第二嵌合代部62と嵌合する。第二拘持部61には、例えば半田付け、接着剤を用いた接着、溶接、または圧入によってレンズ2が固定される。
【0078】
第二嵌合代部62は、第二拘持部61を拘持することによって、第二拘持部61から延設する延設部62aと、延設部62aの端部から反転して折り返し延伸し、レーザホルダ22と嵌合する筒状の反転延伸部62bと、を有する。
【0079】
また、延設部62aの内周面のなす径は、第二拘持部61の外周面のなす径と同じであるが、第二拘持部61が嵌入可能な径であればよい。また、延設部62aの内周面と第二拘持部61の外周面とは、例えば半田付け、接着剤を用いた接着、または溶接によって固定され、接合面となる中間拘持部63を形成する。なお、第二拘持部61の外周面のなす径は、反転延伸部62bの内周面のなす径よりも小さい。これにより、第二拘持部61aの外周面と反転延伸部62bの内周面との間には、隙間64が形成される。
【0080】
第二拘持部61および第二嵌合代部62は、レーザ光によって溶融固化した際に、レーザホルダ22と同じ程度の収縮率を有する材料を用いて構成されていることが好ましい。この材料としては、上述した、ステンレス鋼、鉄鋼材料、インバー材、樹脂が挙げられる。また、光学ユニット1Dの作製において、レンズホルダ12Aとレーザホルダ22とを嵌合させるときに、レンズホルダ12Aとレーザホルダ22との位置調整を容易に行えるように、第二嵌合代部62bの表面粗さを小さくしてもよい。
【0081】
また、レンズホルダ12Aとレーザホルダ22とは、第一嵌合代部22bおよび反転延伸部62bが径方向で重なる部分であって、光軸N1方向において第一拘持部22aを通過する第一面P12と、レーザホルダ22の折り返し部分を通過する第二面P22とに挟まれる領域Rの外側の部分が、レーザ光による溶融固化によって接合されている。また、本変形例における「第二面P22」とは、第二嵌合代部62が第二拘持部61と嵌合している部分(延設部62aの端部)、すなわち中間拘持部63の光軸N1方向の中央を通過し、かつ光軸N1に対して垂直な平面である。このレーザ溶接によって、レンズホルダ12Aおよびレーザホルダ22には、互いに溶融した部分が混合して硬化してなる溶接部30が形成される。
【0082】
次に、上述した光学ユニット1Dを作製する方法について、図15および図16を参照して説明する。図15および図16は、本発明の実施の形態2の変形例に係る光学ユニットの作製を説明する模式図である。
【0083】
まず、第二嵌合代部62の内部に、レンズ2が固定された第二拘持部61を挿入して、第二拘持部61と延設部62aとを嵌合させ、例えば半田付け、接着剤を用いた接着、または溶接によって、第二拘持部61が第二嵌合代部62における任意の位置に固定される(図15参照)。これにより、レンズホルダ12Aが形成される。
【0084】
次に、レーザホルダ22の内部に、第拘持部61が固定された第二嵌合代部62を挿入して、第一嵌合代部22bと反転延伸部62bを嵌合させる。その際、レンズ2と光源3aとの間の距離dが、光学条件を満たす距離となるように、レーザホルダ22に対してレンズホルダ12A(第二嵌合代部62)を相対移動させてレンズ2と半導体レーザ3との間の光路長を調整する。
【0085】
その後、レーザヘッド100を配置して、レーザホルダ22の外表面にレーザ光Lを照射することにより、レンズホルダ12Aの一部、およびレーザホルダ22の一部を溶融固化させる(図16参照)。この際のレーザ光Lの照射位置は、第一嵌合代部22bと反転延伸部62bとが径方向で重なり合う位置であり、かつ光軸N1方向における領域Rの外側に位置している。また、レーザ光Lの強度分布、または、レーザヘッド100の移動によって、レンズホルダ12Aからレーザホルダ22にかけて均一な溶接幅となるように、レンズホルダ12Aおよびレーザホルダ22を溶融固化させる。この際、第二拘持部61と反転延伸部62bとの間に隙間54が形成されているため、第二拘持部61の溶融を防ぐことができる。レーザ溶接によって溶接部32が形成され、レンズホルダ12Aとレーザホルダ22とが接合される。
【0086】
以上説明した本変形例では、第一嵌合代部22bと反転延伸部62bとが重なり合い、かつ第一面P12および第二面P22に挟まれる領域RAの外側に、レンズホルダ12A(第二嵌合代部62)における溶接幅と、レーザホルダ22における溶接幅とが略同じである溶接部32を形成して、レンズホルダ12Aとレーザホルダ22とを接合するようにした。これにより、レーザ溶接した際、各ホルダは同じ収縮量で収縮し、かつレンズ2および半導体レーザ3が収縮により同じ側に移動する。その結果、溶融固化により収縮が生じても、各ホルダが拘持する光デバイス間の相対的な位置のずれを抑制しつつ、レンズホルダ12Aおよびレーザホルダ22を溶接することが可能となる。このように、本変形例によれば、溶接によってホルダ同士を接合した場合であっても、所望の光学特性を有する光学ユニットを得ることができる。
【0087】
(実施の形態3)
図17は、本発明の実施の形態3に係る光学ユニットの構成を模式的に示す断面図である。図17は、当該光学ユニットの中心軸を含む平面を切断面とする部分断面図である。上述した実施の形態1では、レーザホルダ20が内部にレンズホルダ10に収容される構成を説明したが、本実施の形態3は、第一のレンズホルダに、複数のレンズホルダと、レーザホルダとが収容される構成である。
【0088】
図17に示す光学ユニット1Eは、レンズ2aと、レンズ2b、レンズ2c、レンズ2dおよびイメージセンサ4からなる複数の光デバイスとを備えている。レンズ2aは、第一の光デバイスに相当する。また、レンズ2b、レンズ2c、レンズ2dおよびイメージセンサ4は、各々が第二の光デバイスに相当する。イメージセンサ4は、外部からの光を受光する受光面4aを有し、受光した光を電気信号に変換する光デバイスである。
【0089】
また、光学ユニット1Eは、レンズ2aを拘持する第一のレンズホルダ13と、レンズ2bおよびレンズ2cを拘持するとともに、第一のレンズホルダ13に収容される第二のレンズホルダ71と、レンズ2dを拘持するとともに、第一のレンズホルダ13に収容される第三のレンズホルダ72と、イメージセンサ4を拘持するとともに、第一のレンズホルダ13に収容されるセンサホルダ73とを備えている。
【0090】
図17では、第一のレンズホルダ13の中心軸と、第二のレンズホルダ71の中心軸と、第三のレンズホルダ72の中心軸と、センサホルダ73の中心軸とは、互いに一致しており、かつ光学ユニット1Eの光軸N2に一致しているものとして説明する。本実施の形態3において、第一のレンズホルダ13は第一の光デバイス拘持体、第二のレンズホルダ71、第三のレンズホルダ72、センサホルダ73が第二の光デバイス拘持体に相当する。
【0091】
第一のレンズホルダ13は、レンズ2aを拘持する環状の第一拘持部13aと、第一拘持部13aの光軸N2方向の端部からイメージセンサ4に向けて光軸N2方向に沿って延在し、第二のレンズホルダ71と第三のレンズホルダ72とセンサホルダ73とに嵌合する筒状の第一嵌合代部13bと、を有する。第一拘持部13aには、例えば半田付け、接着剤を用いた接着、溶接、によってレンズ2aが固定される。
【0092】
なお、第一嵌合代部13bの内周面のなす径は、第二のレンズホルダ71、第三のレンズホルダ72およびセンサホルダ73の外周面のなす径と同じであるが、夫々のホルダが嵌入可能な径であればよい。
【0093】
第二のレンズホルダ71は、レンズホルダ13の内部に配置され、レンズ2a側を反転して折り返してなる二重の筒状構造をなす。第二のレンズホルダ71は、レンズ2bとレンズ2cを拘持する第二拘持部71aと、光軸N2方向に沿って延在し、第一のレンズホルダ13と嵌合する筒状の第二嵌合代部71bとを有する。第二嵌合代部71bは、第二拘持部71aから延設される延設部71cと、延設部71cの端部から反転して折り返し延伸する反転延伸部71dとを有する。第二拘持部71aは、第二のレンズホルダ71の内部側に位置している。第二嵌合代部71bは、第二のレンズホルダ71の外部側に位置している。第二拘持部71aと反転延伸部71dとの間には、隙間71eが形成される。第二拘持部71aには、例えば半田付け、接着剤を用いた接着、溶接、または圧入によってレンズ2b、2cが固定される。
【0094】
同様に、第三のレンズホルダ72は、レンズ2dを拘持する第二拘持部72aと、光軸N2方向に沿って延在し、第一のレンズホルダ13と嵌合する筒状の第二嵌合代部72bとを有する。第二嵌合代部72bは、第二拘持部72aから延設される延設部72cと、延設部72cの端部から反転して折り返し延伸する反転延伸部72dとを有する。第二拘持部72aは、第三のレンズホルダ72の内部側に位置している。第二嵌合代部72bは、第三のレンズホルダ72の外部側に位置している。第二拘持部72aと反転円sン部72dとの間には、隙間72eが形成される。第二拘持部72aには、例えば半田付け、接着剤を用いた接着、溶接、または圧入によってレンズ2dが固定される。
【0095】
さらに、センサホルダ73は、イメージセンサ4を拘持する第二拘持部73aと、光軸N2方向に沿って延在し、第一のレンズホルダ13と嵌合する筒状の第二嵌合代部73bとを有する。第二嵌合代部73bは、第二拘持部73aから延設される延設部73cと、延設部73cの端部から反転して折り返し延伸する反転延伸部73dとを有する。第二拘持部73aは、センサホルダ73の内部側に位置している。第二嵌合代部73bは、センサホルダ73の外部側に位置している。第二拘持部73aと反転延伸部73dとの間には、隙間73eが形成される。第二拘持部73aには、例えば半田付け、接着剤を用いた接着、溶接、または圧入によってイメージセンサ4が固定される。
【0096】
光学ユニット1Cにおいて、レンズ2aとレンズ2b、レンズ2cや、レンズ2aとレンズ2dや、レンズ2aとイメージセンサ4との間の距離は、予め設定されている光学条件を満たす距離となっている。
【0097】
また、第一のレンズホルダ13と第二のレンズホルダ71とは、第一嵌合代部13bおよび第二嵌合代部71bが径方向で重なる部分であって、光軸N2方向において第一拘持部13aを通過する第一面P13、および第二のレンズホルダ71の折り返し部分を通過する第二面P23に挟まれる領域RC1の外側の部分が、レーザ光による溶融固化によって接合されている。ここでいう「第一面P13」とは、第一拘持部13aがレンズ2aと接触している部分の光軸N2方向の中央を通過し、かつ光軸N2に対して垂直な平面である。また、「第二面P23」とは、延設部71cの端部における光軸N2方向の中央を通過し、かつ光軸N2に対して垂直な平面である。このレーザ溶接によって、第一のレンズホルダ13および第二のレンズホルダ71には、互いに溶融した部分が混合して硬化してなる溶接部33aが形成される。
【0098】
同様に、第一のレンズホルダ13と第三のレンズホルダ72とは、第一嵌合代部13bおよび第二嵌合代部72bが径方向で重なる部分であって、光軸N2方向において第一拘持部13aを通過する第一面P13、および第三のレンズホルダ72の折り返し部分を通過する第二面P24に挟まれる領域RC2の外側の部分が、レーザ光による溶融固化によって接合されている。ここでいう「第二面P24」とは、延設部72cの端部における光軸N2方向の中央を通過し、かつ光軸N2に対して垂直な平面である。このレーザ溶接によって、第一のレンズホルダ13および第三のレンズホルダ72には、互いに溶融した部分が混合して硬化してなる溶接部33bが形成される。
【0099】
さらに、第一のレンズホルダ80とセンサホルダ73とは、第一嵌合代部13bおよび第二嵌合代部73bが径方向で重なる部分であって、光軸N2方向において第一拘持部13aを通過する第一面P13、およびセンサホルダ73の折り返し部分を通過する第二面P25に挟まれる領域RC3の外側の部分が、レーザ光による溶融固化によって接合されている。ここでいう「第二面P25」とは、延設部73cの端部における光軸N2方向の中央を通過し、かつ光軸N2に対して垂直な平面である。このレーザ溶接によって、第一のレンズホルダ13およびセンサホルダ73には、互いに溶融した部分が混合して硬化してなる溶接部33cが形成される。
【0100】
なお、各面は、光軸N2の方向の中央を通過するものとして説明したが、例えば、第一拘持部13aにおける、光デバイスと接触している部分の光軸N2の方向の一方の端部を通過する等、通過位置の設計変更が可能である。
【0101】
次に、上述した光学ユニット1Eを作製する方法について、図18図22を参照して説明する。図18図22は、本発明の実施の形態3に係る光学ユニットの作製を説明する模式図である。
【0102】
初めに、第一の光デバイス(レンズ2a)、および3つの第二の光デバイス(レンズ2b、レンズ2c、イメージセンサ4)を用意する。
まず、第一のレンズホルダ13の内部に、レンズ2aを固定する。そして、第二のレンズホルダ71の内部に、レンズ2b、レンズ2cを固定する。その後、第二のレンズホルダ71を、第一のレンズホルダ13の内部に挿入して、第一嵌合代部13bと第二嵌合代部71bを嵌合させる(図18参照)。その際、レンズ2aとレンズ2b、2cとの間の距離が光学条件を満たす距離となるように、第一のレンズホルダ13に対して第二のレンズホルダ71を移動させてレンズ2aとレンズ2b、2cとの間の光路長を調整する。
【0103】
その後、レーザヘッド100を配置して、第一のレンズホルダ13の外表面にレーザ光Lを照射することにより、第一のレンズホルダ13の一部、および第二のレンズホルダ71(第二嵌合代部71b)の一部を溶融固化させる(図19参照)。この際のレーザ光Lの照射位置は、第一嵌合代部13bと反転延伸部71dとが径方向で重なり合う位置であり、かつ光軸N2方向における領域RC1の外側に位置している。また、レーザ光Lの強度分布、または、レーザヘッド100の移動によって、第一のレンズホルダ13から第二のレンズホルダ71にかけて均一な溶接幅となるように、第一のレンズホルダ13および第二のレンズホルダ71を溶融固化させる。このレーザ溶接によって、第一のレンズホルダ13および第二のレンズホルダ71を接合する溶接部33aが形成される。
【0104】
同様にして、第三のレンズホルダ72の内部に、レンズ2dを固定する。その後、第三のレンズホルダ72を、第一のレンズホルダ13の内部に挿入して、第一嵌合代部13bと第二嵌合代部72bを嵌合させる(図20参照)。その際、レンズ2aとレンズ2dとの間の距離が光学条件を満たす距離となるように、第一のレンズホルダ13に対して第三のレンズホルダ72を移動させてレンズ2aとレンズ2dとの間の光路長を調整する。
【0105】
その後、レーザヘッド100を配置して、第一のレンズホルダ13の外表面にレーザ光Lを照射することにより、第一のレンズホルダ13の一部、および第三のレンズホルダ72(第二嵌合代部72b)の一部を溶融固化させる(図21参照)。この際のレーザ光Lの照射位置は、第一嵌合代部13bと反転延伸部72dとが径方向で重なり合う位置であり、かつ光軸N2方向における領域RC2の外側に位置している。また、この際も、第一のレンズホルダ13から第三のレンズホルダ72にかけて均一な溶接幅となるように、第一のレンズホルダ13および第三のレンズホルダ72を溶融固化させる。このレーザ溶接によって、第一のレンズホルダ13および第三のレンズホルダ72を接合する溶接部33bが形成される。
【0106】
さらに、センサホルダ73の内部に、イメージセンサ4を固定する。その後、センサホルダ73を、第一のレンズホルダ13の内部に挿入して、第一嵌合代部13bと第二嵌合代部73bを嵌合させる(図22参照)。その際、レンズ2aとレンズ2dとの間の距離が光学条件を満たす距離となるように、第一のレンズホルダ13に対して第三のレンズホルダ72を移動させてレンズ2aとレンズ2dとの間の光路長を調整する。
【0107】
その後、レーザヘッド100を配置して、第一のレンズホルダ13の外表面にレーザ光Lを照射することにより、第一のレンズホルダ13の一部、およびセンサホルダ73(第二嵌合代部73b)の一部を溶融固化させる(図18参照)。この際のレーザ光Lの照射位置は、第一嵌合代部13bと反転延伸部73dとが径方向で重なり合う位置であり、かつ光軸N2方向における領域RC3の外側に位置している。また、この際も、第一のレンズホルダ13からセンサホルダ73にかけて均一な溶接幅となるように、第一のレンズホルダ13およびセンサホルダ73を溶融固化させる。このレーザ溶接によって、第一のレンズホルダ13およびセンサホルダ73を接合する溶接部33cが形成される。
【0108】
各ホルダの接合時、第二拘持部と第二嵌合代部との間に隙間(隙間71d、72d、73d)が形成されているため、第二のレンズホルダ71、第三のレンズホルダ72およびセンサホルダ73の各拘持部の溶融を防ぐことができる。
【0109】
以上説明した本発明の実施の形態3は、第一嵌合代部13bと第二嵌合代部71bとが重なり合い、かつ第一面P13および第二面P23に挟まれる領域RC1の外側に、第一のレンズホルダ13における溶接幅と、第二のレンズホルダ71の溶接幅とが略同じである溶接部33aを形成して、第一のレンズホルダ13と第二のレンズホルダ71とを接合するようにした。同様に、第一嵌合代部13bと第二嵌合代部72bとが重なり合い、かつ第一面P13および第二面P24に挟まれる領域RC2の外側に、第一のレンズホルダ13における溶接幅と、第三のレンズホルダ72の溶接幅とが略同じである溶接部33bを形成して、第一のレンズホルダ13と第三のレンズホルダ72とを接合するようにした。さらに、第一嵌合代部13bと第二嵌合代部73bとが重なり合い、かつ第一面P13および第二面P25に挟まれる領域RC3の外側に、第一のレンズホルダ13における溶接幅と、センサホルダ73の溶接幅とが略同じである溶接部33cを形成して、第一のレンズホルダ13とセンサホルダ73とを接合するようにした。
【0110】
これにより、レーザ溶接した際の、第一のレンズホルダ13と、第二のレンズホルダ71、第三のレンズホルダ72、センサホルダ73との収縮量、ならびに各ホルダが拘持する光デバイスの移動方向が同じになり、その結果、溶融固化により収縮が生じても、各ホルダが拘持する光デバイス間の相対的な位置のずれを抑制しつつ、第一のレンズホルダ13および第二のレンズホルダ71、第三のレンズホルダ72、センサホルダ73を溶接することが可能となる。このように、本実施の形態3によれば、溶接によってホルダ同士を接合した場合であっても、所望の光学特性を有する光学ユニットを得ることができる。
【0111】
なお、本実施の形態3において、上述した実施の形態1の変形例1のように、第二のレンズホルダ71、第三のレンズホルダ72、センサホルダ73を二つの部材で構成してもよい。
【0112】
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、図23に示すレーザホルダ20Bのように、半導体レーザ3を拘持する第一部材81と、レンズホルダ10に嵌合する第二部材82とを、環状の中間部材83を用いて連結してもよい。この際、第一部材81および中間部材83、ならびに、第二部材82および中間部材83は、例えば半田付け、接着剤を用いた接着、または溶接によって接合される。また、中間部材83は、第一部材81や第二部材82とは異なる材料で形成してもよい。この材料としては、絶縁性の材料、例えばセラミックが挙げられる。レーザホルダ20Bの場合、第二面P20は、レーザホルダ20Bの折り返し部分(中間部材83)を通過する。レーザホルダ20Bでは、第1部材81が第二拘持部に相当し、第2部材82が反転延伸部に相当し、中間部材83が延設部に相当する。
【0113】
また、図24に示すように、溶接部30Aが、最も内周側のホルダの内周側の表面には達しないものであってもよい。
【0114】
また、上述した実施の形態1~3では、レーザ光によるレーザ溶接を行ってホルダ同士を接合するものとして説明したが、ホルダ同士を接合できるものであればこれに限らない。例えば、電子ビーム溶接や、抵抗溶接などの公知の溶接技術を用いることも可能である。ただし、接触式の溶接装置を用いる場合は、溶接する際にホルダ間に位置ずれが生じないように、被接触式の溶接を行う場合と比して、一段と強固にホルダを固定することが好ましい。
【0115】
また、上述した実施の形態1~3では、レーザホルダまたはセンサホルダが、半導体レーザまたはイメージセンサのみを保持しているものとして説明したが、レンズなどをさらに保持するようにしてもよい。
【0116】
また、上述した実施の形態1~3では、第二の光デバイス拘持体において、第二拘持部と第二嵌合代部との間に隙間が形成されているものとして説明したが、第二拘持部の溶融を防止できれば、隙間が形成されていない構成、すなわち第二拘持部と第二嵌合代部とが接する構成としてもよい。また、上述した実施の形態1~3において、隙間に樹脂等を充填してもよい。
【0117】
また、上述した実施の形態1~3では、各ホルダが、筒状をなすものとして説明したが、光軸方向からみた形状は、円をなすものであってもよいし、楕円をなすものであってもよいし、多角形をなすものであってもよい。また、接合対象の組をなすホルダは、溶接により接合可能であれば、光軸方向からみた形状が異なる形状をなすものであってもよいし、光軸と直交する方向で重なり合うすべての部分において嵌合する必要はなく、一部が嵌合していればよいし、レンズ同士、またはレンズとイメージセンサとにおける光軸と直交する方向の位置決めが可能であれば、重なり合う部分に隙間があってもよい。
【0118】
このように、本発明は、特許請求の範囲に記載した技術的思想を逸脱しない範囲内において、様々な実施の形態を含みうるものである。
【符号の説明】
【0119】
1、1A、1B、1C、1D、1E、200 光学ユニット
2、2a~2d、201 レンズ
3、203 半導体レーザ
4 イメージセンサ
10、11、12、12A、202 レンズホルダ
10a、11a、13a、22a 第一拘持部
10b、11b、13b、22b 第一嵌合代部
12a、20a、21a、51、61、71a、72a、73a 第二拘持部
12b、20b、21b、52、62、71b、72b、73b 第二嵌合代部
12c、20c、21c、52a、62a、71c、72c、73c 延設部
12d、20d、21d、52b、62b、71d、72d、73d 反転延伸部
13 第一のレンズホルダ
20、20A、22、204 レーザホルダ
21、73 センサホルダ
30、30A、31、32、33a~33c、205 溶接部
53、63 中間拘持部
71 第二のレンズホルダ
72 第三のレンズホルダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25