(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】無線ネットワークシステム
(51)【国際特許分類】
H04W 28/08 20090101AFI20220302BHJP
H04W 72/04 20090101ALI20220302BHJP
H04W 16/32 20090101ALI20220302BHJP
【FI】
H04W28/08
H04W72/04 111
H04W16/32
(21)【出願番号】P 2018173222
(22)【出願日】2018-09-18
【審査請求日】2020-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】植田 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】井戸上 彰
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 栄二
【審査官】▲高▼木 裕子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/025789(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/098615(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02988542(EP,A1)
【文献】NEC,5G RAN Architecture & Radio Technologies, Time Plan[online], 3GPP workshop 2015-09-17_18_RAN_5G RWS-150018,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/workshop/2015-09-17_18_RAN_5G/Docs/RWS-150018.zip>,2015年09月18日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末を収容する複数のスモールセルと、
無線端末およびスモールセルを収容する複数のミドルセルと、
無線端末、スモールセルおよびミドルセルを収容するマクロセルとを含み、
無線端末の制御信号を取り扱うC-Planeとユーザデータ信号を取り扱うU-Planeとが分離した無線ネットワークシステムであって、
前記マクロセルおよびミドルセルの各コントローラが、各無線端末の制御信号を分散処理することを特徴とする無線ネットワークシステム。
【請求項2】
前記ミドルセルに収容されているスモールセルに在圏する無線端末は、制御信号をマクロセルまたはミドルセルの各コントローラとC-Planeで通信することを特徴とする請求項1に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項3】
前記ミドルセルに在圏する無線端末は、制御信号をマクロセルのコントローラとC-Planeで通信することを特徴とする請求項1または2に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項4】
前記ミドルセルに在圏する無線端末は、ユーザデータ信号をミドルセルのコントローラとU-Planeで通信することを特徴とする請求項3に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項5】
前記マクロセルのコントローラは、当該マクロセル、当該マクロセルに収容される各ミドルセルおよび当該各ミドルセルに収容される各スモールセルによる通信処理を制御することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の無線ネットワークシステム。
【請求項6】
前記各ミドルセルのコントローラは、当該ミドルセルおよび当該ミドルセルに収容される各スモールセルによる通信処理を制御することを特徴とする請求項5に記載の無線ネットワークシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ネットワークシステムに係り、特に、ユーザデータ信号を取り扱うプロトコル階層のユーザプレーン(U-plane)と、制御信号を取り扱うプロトコル階層の制御プレーン(C-plane)とを分離(C/U分離)し、各プレーンが異なる周波数帯域で通信することが可能な無線ネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザ端末UEと無線基地局BSとは、接続を制御する「C-plane」(制御信号)および実際のデータが流れる「U-plane」(ユーザデータ信号)の各信号を送受する。C/U分離された無線ネットワークでは、スモールセルを収容するマクロセルはC-Planeを用いて接続や移動の管理を行うことにより接続性を維持し、スモールセルは、広帯域の周波数を用いたU-Planeを扱うことにより高スループットを提供する
【0003】
特許文献1には、C-planeとU-planeを分離したSoftware-Defined Network(SDN)におけるネットワーク構成方法として集中制御方式が開示されている。
【0004】
特許文献2には、マクロセルとスモールセルとで構成される無線ネットワークにおいて、C-planeの通信をマクロセルが行い、U-planeの通信をスモールセルが行う方式が開示されている。
【0005】
図4は、従来のC/U分離ネットワークの構成を示した図であり、ユーザ端末UEを収容する複数のスモールセルsと、ユーザ端末UEおよび複数のスモールセルsを収容するマクロセルmとから構成される。
【0006】
スモールセルsに在圏するユーザ端末UEは、ユーザデータ信号をスモールセル基地局BS3との間でU-planeにより通信する。U-planeの通信にはC-planeの通信よりも相対的に低い周波数帯(例えば、2GHz帯)が用いられる。
【0007】
ユーザ端末UEは、制御信号をC-planeによりマクロセル基地局BS1と直接通信する。C-planeの通信にはU-planeの通信よりも相対的に高い周波数帯(例えば、3.5GHz帯)が用いられる。スモールセルsから移動したユーザ端末UEは、ユーザデータ信号を他のスモールセル基地局BS1を経由して、またはマクロセル基地局BS1と直接、U-planeにより通信する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】A. Gudipati, D. Perry, L. E. Li, S. Katti, and B. Labs, "SoftRAN:Software Defined Radio Access Network," in ACM HotSDN, 2013.
【文献】H. Ishii, Y. Kishiyama, and H. Takahashi, "A novel architecture for LTE-B :C-plane/U-plane split and phantom cell concept," in Proc. IEEE Globecom Workshops, 2012.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の構成方法では、集中制御方式を用いているためスケーラビリティに欠けるという問題点がある。特許文献2の構成方法では、C-planeの通信を全てマクロセルに委ねるため、マクロセルに通信負荷が集中し、特許文献1と同様にスケーラビリティに欠けるという問題点がある。
【0010】
本発明の目的は、上記の技術課題を解決し、C-planeの通信による処理負荷がマクロセルに集中することを防止し、スケーラビリティに優れた無線ネットワークを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明は、無線端末を収容する複数のスモールセルと、前記無線端末およびスモールセルを収容する複数のミドルセルと、前記無線端末、スモールセルおよびミドルセルを収容するマクロセルとを含み、制御信号を取り扱うC-Planeとユーザデータ信号を取り扱うU-Planeとが分離した無線ネットワーク装置であって、以下の構成を具備した点に特徴がある。
【0012】
(1) マクロセルおよびミドルセルの各コントローラが、各無線端末の制御信号を分散処理するようにした。
【0013】
(2) ミドルセルに収容されるスモールセルに在圏する無線端末は、制御信号をマクロセルまたはミドルセルの各コントローラとC-Planeで通信するようにした。
【0014】
(3) ミドルセルに在圏する無線端末は、制御信号をマクロセルのコントローラとC-Planeで通信するようにした。
【0015】
(4) ミドルセルに在圏する無線端末は、ユーザデータ信号をミドルセルのコントローラとU-Planeで通信するようにした。
【0016】
(5) マクロセルのコントローラは、当該マクロセル、当該マクロセルに収容される各ミドルセルおよび当該各ミドルセルに収容される各スモールセルによる通信処理を制御するようにした。
【0017】
(6) 各ミドルセルのコントローラは、当該ミドルセルおよび当該ミドルセルに収容される各スモールセルによる通信処理を制御するようにした。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、以下のような効果が達成される。
【0019】
(1) 無線端末およびスモールセルを収容する複数のミドルセルを設け、マクロセルが各ミドルセルを収容し、スモールセルに在圏する無線端末は、制御信号をマクロセルまたはミドルセルのコントローラとC-Planeで通信するので、C-Planeによる通信処理をマクロセルおよびミドルセルの各コントローラに分散させることができ、スケーラビリティを確保できるようになる。
【0020】
(2) マクロセルのコントローラの配下に各ミドルセルのコントローラが接続されて階層構造化されるので、C-Planeによる通信処理をマクロセルおよびミドルセルの各コントローラで分散処理できるようになる。
【0021】
(3) ミドルセルに在圏する無線端末は、制御信号をマクロセルのコントローラとC-Planeで通信するので、無線端末がミドルセル間を移動する場合でもハンドオーバの発生回数を減じることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係る無線ネットワークの構成を示した図である。
【
図2】C-planeに関して各セルを制御するコントローラ間の階層化された接続形態を示した図である。
【
図3】U-planeに関して各セルを制御するコントローラ間の階層化された接続形態を示した図である。
【
図4】従来のC/U分離ネットワークの構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る無線ネットワークの構成を示した図であり、無線端末としてのユーザ端末UEを収容する複数のスモールセルsと、ユーザ端末UEおよび複数のスモールセルsを収容できる複数のミドルセルMと、ユーザ端末UE、複数のスモールセルsおよび複数のミドルセルMを収容できるマクロセルmとから構成される。マクロセルmを管理するマクロセル基地局BS1は、ゲートウェイGWを中継してバックボーン(インターネット)に接続される。
【0024】
図2は、C-planeに関してマクロセルmおよびミドルセルMを制御するコントローラ間の階層化構造を示した図であり、ゲートウェイGWを制御するGWコントローラ1の配下にマクロセルmを制御するマクロセルコントローラ2が接続され、マクロセルコントローラ2の配下には、各ミドルセルMを制御するミドルセルコントローラ3が接続されている。
【0025】
前記GWコントローラ1は、配下のマクロセルコントローラ2およびミドルセルコントローラ3を制御する。マクロセルコントローラ2は、マクロセルおよび配下の各ミドルセルコントローラ3を制御する。各ミドルセルコントローラ3は、各ミドルセルMをそれぞれ制御する。
【0026】
図3は、U-planeに関して各セルm,M,sを制御するコントローラの階層化構造を示した図であり、GWコントローラ1の配下にマクロセルコントローラ2が接続され、マクロセルコントローラ2の配下にミドルセルコントローラ3が接続され、各ミドルセルコントローラ3の配下に各スモールセルsを制御するスモールセルコントローラ4が接続され、各スモールセルsに多数のユーザ端末UEが収容される。
【0027】
GWコントローラ1は、配下のマクロセルコントローラ2、ミドルセルコントローラ3およびスモールセルコントローラ4を制御する。マクロセルコントローラ2は、マクロセルm、配下の各ミドルセルコントローラ3および各スモールセルコントローラ4を制御する。各ミドルセルコントローラ3は、各ミドルセルおよび配下の各スモールセルコントローラ4を制御する。各スモールセルコントローラ4は、それぞれ各スモールセルを制御する。
【0028】
このような構成において、ミドルセルMに収容されるスモールセルsに在圏するユーザ端末UEは、
図1に示したように、制御信号をマクロセルmまたはミドルセルMの各コントローラとC-Planeで通信する。したがって、配下に多数のユーザ端末UEが収容されている場合でも、その制御信号に関する処理負荷をマクロセルmおよびミドルセルMに分散させることができ、処理負荷がマクロセルmに集中することを防止できるようになる。
【0029】
また、ミドルセルMに収容されるスモールセルsに在圏するユーザ端末UEは、ユーザデータ信号を、在圏するスモールセルsのコントローラBS3とU-Planeで通信するので、速度低下を抑えることができる。
【0030】
一方、ミドルセルMまたはマクロセルmに在圏するユーザ端末UEは、制御信号をマクロセルmのコントローラとC-Planeで通信することができるので、ハンドオーバを起こりにくくすることができる。また、ユーザデータ信号は、在圏するミドルセルMのコントローラBS2とU-Planeで通信するので、速度低下を抑えることができる。
【符号の説明】
【0031】
1…GWコントローラ,2…マクロセルコントローラ,3…ミドルセルコントローラ,4…スモールセルコントローラ