(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】コーティング粉末を粉末塗布器へ搬送するための粉末搬送装置、粉末コーティング装置及び粉末搬送装置の操作方法
(51)【国際特許分類】
B05B 7/14 20060101AFI20220302BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20220302BHJP
B05C 19/06 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
B05B7/14
B05C11/00
B05C19/06
(21)【出願番号】P 2018554469
(86)(22)【出願日】2017-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2017025055
(87)【国際公開番号】W WO2017186355
(87)【国際公開日】2017-11-02
【審査請求日】2019-12-17
(32)【優先日】2016-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508046878
【氏名又は名称】ワグナー インターナショナル アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】WAGNER INTERNATIONAL AG
(74)【代理人】
【識別番号】100105393
【氏名又は名称】伏見 直哉
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ、ギルバート
(72)【発明者】
【氏名】シュトゥデルス、パトリック
【審査官】磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0028090(US,A1)
【文献】特開2004-268034(JP,A)
【文献】国際公開第2014/202342(WO,A1)
【文献】特開昭63-031939(JP,A)
【文献】特開2004-035913(JP,A)
【文献】特開平11-222318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 7/14
B05C 19/06
B05C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング粉末を粉末塗布器へ搬送するための粉末搬送装置であって、
圧力をかけることができるように形成され使用可能であり、粉末入口(50)と粉末出口(51.1)とを備える作動容器(1)を備え、
該粉末出口(51.1)は、粉末出口弁(13)と結合され、
入口側で該粉末出口弁(13)と結合され、かつ入口側で輸送空気(TL)の入口(17)を備える粉末配管(40)を備え、
該粉末配管(40)は、出口側で粉末塗布器(4;5)と結合可能であり、
該粉末出口弁(13)を繰り返し開閉することによって搬送すべき粉末量(Q)を制御するように形成され使用可能なコントローラ(80)を備え、
該作動容器(1)内の圧力を把握するために圧力センサ(28.1)を備え、
該コントローラ(80)が、該作動容器(1)内の該圧力を調節するように形成され使用可能である粉末搬送装置。
【請求項2】
該コントローラ(80)が、搬送すべき粉末量(Q)を制御するために、パルス幅変調またはパルス周波数変調によって該粉末出口弁(13)を制御するように形成され使用可能である請求項1に記載の粉末搬送装置。
【請求項3】
輸送空気(TL)の該入口(17)が該粉末出口弁(13)のすぐ下流に備わる請求項1または2に記載の粉末搬送装置。
【請求項4】
輸送空気(TL)の該入口(17)が環状隙間(94)として形成されている請求項1から3のいずれかに記載の粉末搬送装置。
【請求項5】
輸送空気(TL)の該入口(17)が、輸送空気(TL)を鋭角(α)で該粉末配管(40)へ吹き入れ可能なように形成された請求項1から4のいずれかに記載の粉末搬送装置。
【請求項6】
輸送空気(TL)用の調整装置(18)を備えた請求項1から5のいずれかに記載の粉末搬送装置。
【請求項7】
該作動容器(1)内に流動化装置(19)を備えた請求項1から6のいずれかに記載の粉末搬送装置。
【請求項8】
該作動容器(1)は、別の粉末出口(51.3;51.n)を備え、
入口側で別の粉末出口弁(13.2;13.n)及び別の輸送空気(TL)の入口(17)と結合され、出口側で別の粉末塗布器(5)と結合された別の粉末配管(40)を備えた請求項1から7のいずれかに記載の粉末搬送装置。
【請求項9】
該作動容器(1)は、空気抜き弁(12)を備え、
該コントローラ(80)が、パルス符号化制御信号によって該空気抜き弁(12)を制御することによって、該作動容器(1)内の所定の圧力以上で、該空気抜き弁(12)を所定の期間開くように形成され、使用可能である請求項1から8のいずれかに記載の粉末搬送装置。
【請求項10】
該作動容器(1)内に配置された超音波フィルタ(9)を備えた請求項1から9のいずれかに記載の粉末搬送装置。
【請求項11】
粉末入口及び粉末出口(2.2)を備えた中間容器(2)を備え、
該中間容器(2)の該粉末出口(2.2)は、弁(11)を経由して該作動容器(1)の該粉末入口(50)と結合され、
それによって、該中間容器(2)の該粉末入口を経由して粉末(FP;RP)を該中間容器(2)に吸引可能な負圧生成器(25)を備えた請求項1から10のいずれかに記載の粉末搬送装置。
【請求項12】
該中間容器(2)と結合され、それによって該中間容器(2)に圧力をかけることができる制御可能な圧縮空気源(24,34)を備えた請求項11に記載の粉末搬送装置。
【請求項13】
該中間容器(2)が該作動容器(1)よりも高い位置に配置されている請求項11または12に記載の粉末搬送装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の粉末搬送装置を備えた粉末コーティング装置であって、該粉末搬送装置(100)は、一方の側で粉末貯蔵容器(3;30)に結合され、他方の側で1台または複数台の粉末塗装器(4;5)に結合された粉末コーティング装置。
【請求項15】
請求項1から13のいずれかに記載の粉末搬送装置の操作方法であって、
該粉末配管(40)に輸送空気(TL)を導入し、
該コントローラ(80)によって、該粉末出口弁(13)が閉じている期間と該粉末出口弁(13)が開いている期間との比によって搬送すべき粉末量(Q)を調整しながら、該粉末出口弁(13)を繰り返し開閉することによって粉末搬送が実施される操作方法。
【請求項16】
輸送空気(TL)が、粉末搬送の間絶え間なく該粉末配管(40)に導入される請求項15に記載の操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング粉末を粉末塗布器へ搬送するための粉末搬送装置に関する。本発明は、さらに、粉末コーティング装置及び粉末搬送装置の操作方法に関する。粉末塗布器、または簡単に塗布器として、たとえば、手動または自動の粉末スプレイガンを利用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来技術EP1454675A2から粉末輸送装置が知られている。該装置は、流体化底部を備えた粉末タンク、及び粉末を流体化し、粉末タンクに正圧を発生させるように、その下に配置された圧縮空気接続部を含む。該正圧は、流体化された粉末が、粉末タンクの蓋を貫いて突出した粉末配管を通して、粉末タンクから供給ホースを経由して塗布器に輸送されるようにする。清掃操作の間に、輸送装置と塗布器との間の位置のトリガー弁によって、該供給ホースに圧縮空気を導入することができる。その場合に、導入された圧縮空気の圧力は、粉末タンクの圧力よりも高い。それによって、供給ホース中の粉末の流れは停止し、供給ホースから残りの粉末が取り除かれる。粉末搬送操作の間に該供給ホースを通って流れる粉末の量を制御するには、粉末タンクの圧力より低い圧力のトリガー空気を、トリガー弁を経由して供給ホースに導入することができる。それによって、粉末の流れは中断されず、減少され、供給ホースにおける全抵抗の増加に依存する。
【0003】
この解決策は、トリガー空気の最大限可能な圧力が、搬送中に該粉末タンクの圧力より低くなければならないという欠点を有する。そうでなければ、清掃操作が開始される。
【0004】
この解決策の他の欠点は、トリガー空気の圧力が、粉末量、及び粉末の流速に影響するということである。トリガー空気によって、粉末通過量が変化すると、このことは、必然的に流速の変化を伴う。したがって、トリガー空気によって、いつも、流速とともに粉末通過量が調整され得る。これに対して、塗布器によって生成された粉末の雲(Pulverwolke)がいかに速く拡散すべきかは、トリガー空気によって調整できないか、または非常に不十分にしか調整できない。粉末量に依存しない流速の別個の調整は可能ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、現在の技術水準に存在する欠点を回避する、コーティング粉末を粉末塗布器へ搬送するための粉末搬送装置、粉末コーティング装置及び操作方法を提供することである。
【0007】
本発明による粉末搬送装置の場合には、粉末配管を通って流れる粉末の流速または塗布器によって生成される粉末の雲の流速は、本質的に搬送される粉末量に無関係に調整可能であるので有利である。同じことが粉末コーティング装置及び操作方法に対しても当てはまる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題は、請求項1に示された特徴を備えた、コーティング粉末を粉末塗布器へ搬送するための粉末搬送装置によって解決される。
【0009】
本発明による、コーティング粉末を粉末塗布器へ搬送するための粉末搬送装置は、圧力をかけることができるように形成され使用可能である作動容器を含む。該作動容器は、粉末入口と粉末出口とをさらに含み、該粉末出口は、粉末出口弁と結合されている。さらに、入(13)を繰り返し開閉することによって搬送すべき粉末量を制御するように形成され使用可能なコントローラ(80)が備わる。
【0010】
さらに、上記の課題は、請求項15に示された特徴を備えた粉末コーティング装置によって解決される。
【0011】
本発明による粉末コーティング装置は、上述の粉末搬送装置を含み、粉末搬送装置は、一方の側で粉末貯蔵容器に結合され、他方の側で1台または複数台の粉末塗装器に結合されている。
【0012】
さらに、上記の課題は、請求項16に示された特徴を備えた上述の粉末搬送装置の操作方法によって解決される。
【0013】
本発明による上述の粉末搬送装置の操作方法においては、該粉末配管に輸送空気を導入し、該コントローラによって、弁を繰り返し開閉することによって粉末搬送が実施される。該粉末出口弁が閉じている期間と該粉末出口弁が開いている期間との比によって搬送すべき粉末量が調整される。
【0014】
本発明の有利な他の形態は、従属請求項に示された特徴から明らかである。
【0015】
本発明による粉末搬送装置の一実施形態において、該コントローラが、搬送すべき粉末量を制御するために、パルス幅変調またはパルス周波数変調によって該粉末出口弁を制御するように形成され使用可能である。
【0016】
本発明による粉末搬送装置の他の実施形態において、該作動容器内の圧力を把握するために圧力センサが備わる。該コントローラが、該作動容器内の該圧力を調節するように形成され使用可能である。
【0017】
本発明による粉末搬送装置の他の実施形態において、輸送空気の該入口が該粉末出口弁のすぐ後ろに備わる。
【0018】
本発明による粉末搬送装置の他の実施形態において、輸送空気の該入口が環状隙間として形成されている。環状隙間を使用して輸送空気が粉末配管へ流れ込むようにすることは、いろいろな利点を有する。輸送空気を、環状隙間を通して粉末配管へ流入させ、輸送空気は、本流と同じ方向を示すので、輸送空気を流入させる場所で、動圧よりもむしろ負圧が生成される(空気抵抗がなく、障害がない)。そのため、粉末配管において乱気流は少ししか生じない。さらに、粉末配管の内壁の摩耗は低減されるか完全に防止される。
【0019】
本発明による粉末搬送装置の他の実施形態において、輸送空気の該入口が、輸送空気を鋭角で該粉末配管へ吹き入れ可能なように形成されている。
【0020】
さらに、本発明による粉末搬送装置が輸送空気用の調整装置を備えてもよい。調整装置として、一例として、空気量調節弁が機能する。
【0021】
さらに、本発明による粉末搬送装置が流動化装置を備えてもよい。流動化装置は、作動容器の下側の領域に配置するのが有利である。
【0022】
本発明による粉末搬送装置において、該作動容器は、別の粉末出口を備え、別の粉末配管が備わると有利である。該別の粉末配管は、入口側で別の粉末出口弁及び別の輸送空気の入口と結合されている。出口側で該別の粉末配管は、別の粉末塗布器と結合されている。それによって、本発明による粉末搬送装置によって、複数台の粉末塗布器に粉末が供給される。さらに、個々の粉末塗布器に、互いに無関係に、かつ必要な場合には、それぞれ異なる量の粉末を供給することができる。
【0023】
さらに、本発明による粉末搬送装置において、該作動容器が、空気抜き弁を備えると有利である。該空気抜き弁は、該作動容器内の圧力を制御することができる制御装置の主要な部分である。該空気抜き弁は安全弁としても機能する。故障の場合には、それによって、該作動容器の内部の圧力が許容しうる限界値を超えるのを回避することができる。
【0024】
本発明による粉末搬送装置は、該作動容器内に配置された超音波フィルタを備えることができる。
【0025】
本発明による粉末搬送装置が、弁を経由して該作動容器の該粉末入口と結合された中間容器を備えることも可能である。負圧生成器によって、粉末を該中間容器に吸引することができる。それによって、必要な場合に、永続的に該中間容器によって該作動容器に粉末を供給することができる。このようにして、持続的かつ中断することのない粉末塗布器への供給が可能となる。
【0026】
本発明による粉末搬送装置は、該中間容器と結合され、それによって該中間容器に圧力をかけることができる圧縮空気源を備えることができる。それによって、該中間容器を、該作動容器の圧力レベルと対応する圧力レベルとし、該作動容器と該中間容器との間に圧力差が生じないようにすることができる。それによって、該作動容器内の圧力変動の一つの原因を除去することができる。上記の構成は、該作動容器内の圧力変動、及びそれに伴う塗布器における圧力変動、及び塗布器に搬送される粉末量の変動を低減することができるという利点をさらに有する。粉末塗布の品質は、このようにしてさらに最適化される。
【0027】
本発明による粉末搬送装置の一実施形態において、該中間容器が該作動容器よりも高い位置に配置されている。この構成は、粉末を作動容器に輸送するのに重力を利用することができるという利点を有する。
【0028】
粉末搬送装置の操作方法において、輸送空気が、粉末搬送の間絶え間なく該粉末配管に導入されるのが有利である。
【0029】
以下において、複数の実施例により、七つの図面を基にして本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明による粉末搬送装置を備えた粉末コーティング装置の可能な実施形態をブロック図で示す図である。
【
図2】本発明による粉末搬送装置の可能な実施形態の原理的な構成を示す図である。
【
図3】
図3aは、粉末出口弁用の制御信号の時間経過をダイアグラムで示す。
図3bは、供給される輸送空気圧力の時間経過をダイアグラムで示す。
図3cは、時間あたりに搬送される粉末量をダイアグラムで示す。
【
図4】本発明による粉末搬送装置の他の可能な実施形態を3次元の図で示す。
【
図5】本発明による粉末搬送装置を縦断面で示す図である。
【
図7】本発明による粉末搬送装置におけるごみ処理のための覆いの可能な配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明による粉末搬送装置100を伴う粉末塗布装置の可能な実施形態をブロック図で示す。
図2には、本発明による粉末搬送装置100の可能な実施形態の原理的な構成が描かれている。粉末塗布器4へのコーティング粉末の搬送用の粉末搬送装置100は作動容器1を含む。この作動容器1は耐圧に形成されており、圧力を加えることができる。作動容器1における最大作動圧力は、0.5バールより低いのが好ましい。その理由は、欧州圧力機器要綱97/23/EG、すなわち、Pressure Equipment Directive 97/23/EGが適用される必要がなく、したがって、作動容器1の構造に対してより少ない技術的な要求しか課されないからである。
【0032】
一実施形態において、作動容器1は、手短に入口とも記載される粉末入口50と、手短に出口とも記載される粉末出口51.1とを含む。粉末出口51.1は、粉末出口弁13と結合されている。さらに、その入口側の端部領域40.1において、粉末出口弁13と結合されている粉末配管40が備わる。以下において、入口側という概念は、粉末配管40の上流側に位置する、粉末配管40の入口側の端部領域40.1を指す。
【0033】
粉末配管40は、入口側において、さらに粉末出口弁13の出口への接続される、輸送空気TL用の入口17を備える。
図1において、粉末配管40は、出口側において、粉末塗装器4と結合されている。以下において、出口側という概念は、粉末配管40の下流側に存在する、粉末配管40の出口側の端部領域40.2を指す。
【0034】
粉末出口51.1は、作動容器1の下部の領域に位置するのが有利である。このことは、全ての粉末を、簡単に作動容器1から外部に輸送することができるという利点を有する。作動容器1の下部の領域には、作動容器1内に存在する粉末を流動化することができる、流動化装置19も存在する。流動化装置19は、水平方向に延長する、多孔性の材料からなる分離壁を備えるのが有利である。該材料は、一例として、半透過性の、空気を透過させる材料であってもよい。多孔性の分離壁の上方に存在する粉末は、下から多孔性の分離壁を通して導入される流動化空気FLとともに吹き上げられ、不安定な状態に置かれる。この事象を流動化と呼称する。流動化装置19の上方に存在する流動化された粉末は、作動容器1から粉末出口51.1を通して外部に輸送される。流動化空気FLを制御することができるように、弁15が備わる。弁15は、一例として、空気量調節弁として形成してもよい。さらに、均一な粉末・空気混合物の発生を助けるように、一例として、振動モーターである振動装置20を作動容器1に取り付けてもよい。
【0035】
同様に、作動容器1の下部の領域に他の弁14への接続部を備えてもよい。該弁14を経由して、まだ、該粉末出口51.1を経由して搬出されていない残りの粉末を作動容器1から取り出すことができる。
【0036】
さらに、作動容器1内には、好ましくは超音波フィルタとして形成されるフィルタ9を配置してもよい。フィルタ9は、作動容器1の内部を上部の部屋と下部の部屋に分離する。粉末入口50を経由して作動容器1の上部の部屋に到達した粉末は、フィルタ9によって、ふるいにかけられる。その際、粉末の塊及び不純物は引き留められる。ふるいにかけられ、搬出の準備ができた粉末は、作動容器1の下部の部屋に存在する。フィルタ9を清掃することができるように、フィルタ9は水平状態から旋回させ、斜めの状態にすることができ、
その結果、フィルタ9上の残りの粉末及び/または引き留められた物質は滑り落ちる。
【0037】
代替的に、
図7に示すように、フィルタ9を持続的にやや斜めに配置してもよい。角度は、水平状態に対して1°と5°の間が好ましく、3°であるのが最もよい。それによって、粉末の塊及び不純物は、フィルタ9の下部の斜めの領域に集まる。この領域の上に覆い110を備え、覆い110の下において作動容器1の側壁に清掃接続部1.3を備えてもよい。覆い110は、やや斜めに延伸してもよい。覆い110は、フィルタ9とともに隙間を形成し、該隙間を経由して空気が覆い110の下へ到達し、そこから清掃接続部1.3を経由して作動容器1から吸い出される。空気の流れによって、フィルタ9の上にたまっている不純物が作動容器1から吸い出され、または吹き飛ばされる。清掃接続部1.3は、弁26及び配管42を経由して、後部フィルタ8に結合している。フィルタ9を清掃するために、弁26を開ける。作動容器1内の正圧を維持するために、その際、作動容器1には、引き続き圧縮空気が供給されている。集まったごみは、引き続き作動容器1内に行き渡っている正圧によって、フィルタ9から配管42を通って後部フィルタ8へ吹き飛ばされる。弁26が開いている時間に、作動容器1内は低い圧力となり得る。したがって、フィルタ9の清掃は、コーティング休止の間、すなわち、粉末が搬送されていない時間に実施するのが好ましい。弁26及び配管42はごみ処理に役立つ。
【0038】
作動容器1は、さらに、弁16を経由して圧縮空気源と結合された圧縮空気接続部を備えてもよい。弁16が開いていると、圧縮空気DLは作動容器1に流れ込む。それによって作動容器1に圧力をかけることができ、作動容器1内の所望の作動圧力に調整される。代替的に、所望の作動圧力は、供給される流動化空気FL及び圧縮空気DLによって生成されてもよい。通常、所望の作動圧力を生成するために、流動化空気FLは十分である。しかし、非常に多くの粉末出口弁13が開いていると、流動化空気FLだけでは、作動圧力を維持するのに十分ではないこともあり得る。この場合に、さらに圧縮空気DLが、作動圧力を維持し、必要ならば作動容器1内の圧力変動を補償するために利用される。圧縮空気DLは、流動化空気FLから独立して供給してもよい。良好な流動化粉末-空気混合物を維持するためには、流動化空気FLが所定の値に調整されると有利である。圧縮空気DL用の圧縮空気接続部は、一例として、
図1に示すように、作動容器1の上部の領域に配置してもよい。圧縮空気接続部は、圧縮空気DLによって付着している粉末を除き窓92(
図4)から吹き払うことを可能とする、作動容器1の場所に配置してもよい。圧縮空気DLは、小さな漏れによって生じる圧縮空気の損失を補うために使用してもよい。
【0039】
さらに、作動容器1は、空気抜き弁として機能する弁12に結合されている、空気抜き接続部1.2を備えてもよい。弁12を経由して空気抜き接続部1.2は、一例として、後方フィルタ8に結合されていてもよい。空気抜き接続部1.2及び弁12は、さらに、作動容器1内の圧力が所定の最大圧力を超えないことを確実にするように機能する。さらに、空気抜き接続部1.2及び弁12は、作動容器1内の作動圧力を一定に保持するために利用してもよい。
【0040】
以下に空気抜きのための可能な方法を記載する。所定の最大圧力Pmaxを超えた際には、制御装置80は、空気抜き弁12が所定の短い期間T1(開期間)開き、期間T2(閉期間)閉じるようにする。作動容器1内の圧力は、圧力センサ28.1によって測定され、圧力が依然として高すぎると確認されると、弁12は、再び短時間開かれる。その際、開期間T1及び閉期間T2をいくらか大きくなるように選択するようにしてもよい。この過程は、作動容器1内の圧力が再び最大圧力Pmaxよりも小さくなるまで繰り返される。繰り返しごとに、開期間T1及び閉期間T2をいくらか大きくなるように選択し、開期間T1及び閉期間T2が所定の値Tsoll=T1+T2に達するまでそうしてもよい。その後、さらなる繰り返しが生じた場合には、開期間T1及び閉期間T2はさらに大きくせず維持する。値Tsollは、一例として、300msである。
【0041】
したがって、作動容器1内の圧力低下は小さいままである。さらに反応期間は短い。作動容器1内の圧力が最大圧力Pmaxよりも小さければ、空気抜き弁12は閉じたままである。さらに、空気抜き弁12は不必要な頻度で操作されないので、空気抜き弁12の摩耗は減少し得る。
【0042】
空気抜きのための代替の方法は、以下のようであってもよい。制御装置80は、パルス符号化された制御信号によって空気抜き弁12を制御する。パルス符号化された制御信号は、一例として、パルス幅またはパルス周波数変調されていてもよい。パルス符号化された制御信号のデューティ比は、空気抜き弁12が開いているべき期間Tに対応する。
【0043】
粉末搬送装置100が多数台の粉末塗布器4の供給のために機能する場合には、作動容器1に作動圧力の維持のために多量の圧縮空気が供給される可能性がある。複数台の粉末塗布器のかなりの部分、またはすべてのスイッチを同時に切り、流動化空気FLの供給を中断しない場合に、十分な圧力調整を可能にするには、単独の空気抜き弁12は十分ではない可能性がある。いくつかの空気抜き弁12を備えるのが有利かもしれない。いくつかの空気抜き弁は、単独の空気抜き弁12のように形成され、単独の空気抜き弁12と同様の仕方で接続される。
【0044】
粉末入口50は、作動容器1の上部の領域に存在するのが好ましい。粉末入口50は、一例として、作動容器1の蓋に配置されている。粉末入口50は、たとえば、ピンチ弁として形成された粉末弁11を経由して、中間容器2の粉末出口2.2と結合されている。中間容器2は、通常、作動容器1より高い位置に配置される。このようにして、中間容器2に存在する粉末を下に向けて作動容器1に輸送するのに重力を利用することができる。
【0045】
作動容器1の実施形態において、粉末入口50は、
図2に示すように、作動容器1の蓋の中央に存在する。この構成は、粉末がフィルタ9の中央に落下し、フィルタ9全体によりよく分散するという利点を有する。代替的に、粉末入口50は、作動容器1の側面においてフィルタ9より高い位置に存在してもよい。
【0046】
中間容器2は、作動容器1に隣接して配置し、中間容器2の粉末出口2.2及び作動容器1の粉末入口50がフィルタ9より高い位置に位置するようにしてもよい。この場合も、中間容器2に存在する粉末を下に向けて作動容器1に輸送するのに重力を利用することができる。
【0047】
図1に示す実施形態において、中間容器2は、入口側に粉末入口と粉末入口弁21を備える。粉末入口弁21を経由して新たな粉末FPを吸い込みまたはポンプで送り込むことができる。さらに、中間容器2は、入口側に別の粉末入口と粉末入口弁22を備える。粉末入口弁22を経由してリサイクルされた粉末RPを吸い込むことができる。両方の粉末入口弁21及び22は、ピンチ弁として形成してもよい。しかし、中間容器2に1個だけの粉末入口と1台の粉末入口弁を備え、該粉末入口弁を経由して新たな粉末FPまたはリサイクルされた粉末RPを吸い込みまたはポンプで送り込むことも可能である。
【0048】
中間容器2への供給は、一例として、粉末貯蔵容器3及び粉末配管46を経由して行われる。代替的に、中間容器2へ粉末貯蔵容器30及び粉末配管47を経由して新たな粉末FPを供給してもよい。
【0049】
多くの場合、粉末貯蔵容器30は、フレキシブル中間容積コンテナ(Flexible Intermediate Bulk Container)または手短にFIBCと呼称される、いわゆるビッグバッグ(Bigbag)である。粉末貯蔵容器30は、通常、粉末貯蔵容器3よりも多くの粉末量を含む。粉末貯蔵容器30は、通常、中間容器2から粉末貯蔵容器3よりもさらに離れて設置される。したがって、粉末貯蔵容器30を、一例として、中間容器2へ30mの距離に設置し、これに対して、粉末貯蔵容器3を、一例として、中間容器2へ5mの距離に設置してもよい。
【0050】
粉末貯蔵容器3の場合には、粉末は中間容器2内で支配的な負圧によって中間容器2へ搬送される。その場合に別の粉末搬送装置は必要ではなく、したがってコスト面から有利である。
【0051】
粉末貯蔵容器30が、一例として、ビッグバッグの形で使用される場合には、通常、より多くの粉末量が搬送される。このためには、一例として粉末ポンプのような追加の粉末搬送装置が使用されると有利である。ここで、支配的な負圧は、空気を中間容器2から取り除くのに役立つ。中間容器2内の余剰の空気は、開口2.1を経由して排出することができる。したがって、中間容器2内に動圧は生じない。
【0052】
作動容器1に粉末を供給するいくつかの中間容器2が存在すれば有利な場合もある。いくつかの中間容器2は、作動容器1よりも高い位置に取り付けてもよい。2個の中間容器2を使用する場合には、これらを、段階を変えながら操作してもよい。一方が粉末を吸い込む間に、すなわち、吸引段階で機能する間に、排出段階で機能する他方は、粉末を作動容器1へ輸送する。このようにして、作動容器1は、連続的に粉末で満たされる。それと同時に、多くの粉末量が作動容器1へ搬送される。
【0053】
中間容器2は、接続部2.1を備え、接続部2.1によって中間容器2は圧縮空気を受けてもよい。接続部2.1は、さらに弁24を経由して圧縮空気源と結合可能である。弁24は、圧縮空気源とともに制御可能な圧縮空気源を形成する。圧縮空気源と弁24との間に配置されてもよい圧力調節弁34は、制御可能な圧縮空気源の一部であってもよい。
【0054】
同じ接続部2.1を経由して圧縮空気を中間容器2から排出させてもよい。そのために、接続部2.1は弁23を経由して周囲の環境と結合可能である。接続部2.1を経由して圧縮空気を中間容器2から吸引し、負圧を生成することができる。さらに、弁23が開いているときに接続部2.1に負圧を生成する真空弁25が備わる。真空弁25は、負圧生成器として機能する。
【0055】
基本的に、
図1によるブロック図に描かれている圧縮空気源は、一定の圧力または一定の空気量を生成する制御された空気源であってもよい。
【0056】
以下においてコントローラとも呼称する制御装置80によって、弁11から16、18、21から26の全てが制御可能である。必要な場合には、制御装置80によって、弁71及び72を制御してもよい。制御装置80は、制御にも調節にも使用される。
【0057】
以下において、中間容器2の操作方法をさらに説明する。中間容器2には最初粉末が存在しないと仮定する。第一のステップとして、弁11、21、22、24及び27を閉じ、その結果、粉末は中間容器2に到達することはなく、中間容器2から輸送されることもない。ここで、中間容器2内に負圧を生成するために真空弁25を開く。新たな粉末FP用の弁21もしくは27、またはリサイクルされた粉末RP用の弁22を開くと、中間容器2内に粉末が吸引される。中間容器2内に負圧が確立するまで待つ必要はなく、弁21、22または27はそれ以前に開いてもよい。中間容器2内に十分に粉末が集まったら、新たな粉末FP用の弁21もしくは27、またはリサイクルされた粉末RP用の弁22を再び閉じる。このために、弁21、22または27は所定の期間、一例として6秒間開けてもよい。その後、出口弁11を開き、その結果粉末は中間容器2から外へ出ることができる。これは重力を利用して行ってもよい。中間容器2からの粉末輸送を援助するために、接続部2.1を経由して圧縮空気を中間容器2へ吹き込んでもよい。そのために弁24を開く。作動容器1には搬送操作中に継続的に圧力がかかっているので、中間容器2内の圧力が、作動容器1内の圧力よりも大きいか、または少なくとも、ちょうど同じであるのが有利である。圧力の調整には圧力調整弁34を使用してもよい。粉末が中間容器2から外へ出ると、弁11及び24を再び閉じる。その後、上述の方法によって、中間容器2を新たに粉末で満たす。
【0058】
中間容器2内の圧力を直接中間容器2内で測定してもよい。それによって、実際に中間容器2内に存在している現実の圧力を把握する。一例としてコントローラ80において実施される適切な圧力調節によって、中間容器2内の現実の圧力が実際に所望の目標圧力に対応することが保証される。中間容器2内の圧力が作動容器1内の圧力と同じ大きさであれば、弁11を開けた際に、作動容器1内の圧力低下は生じない。それによって、作動容器1を粉末で満たす間も、1台の粉末塗布器4または複数台の粉末塗布器への均一な粉末搬送が継続実施される。
【0059】
以下において、作動容器1の操作方法をさらに説明する。粉末弁11を開くと、粉末は中間容器2から出て作動容器1へ到達する。粉末はフィルタ9上に落下し、ふるいにかけられそこから流動化装置19へゆっくりと落下する。粉末を作動容器1から粉末塗布器4へ輸送するために、弁18を開き、その結果、輸送空気TLが粉末配管40に流れ込む。その際、弁18が継続的に開いており、その結果、輸送空気TLが連続的に粉末配管40に流れ込むことができると有利である。粉末出口弁13を開くと、作動容器1を支配している正圧は、粉末が作動容器1から粉末配管40を経由して粉末塗布器4へ搬送されるようにする。この状態は、作動容器1における粉末排出段階Aとも呼称する。粉末が作動容器1から搬出される間、弁14は閉じている。ただし、粉末排出段階Aの間に障害が生じた場合、たとえば、作動容器1内の圧力が所定の限度を超えて上昇した場合に、弁12及び/または弁11及び22を開いてもよい。
【0060】
時間単位あたりに搬送すべき粉末量Qを調整するために、粉末出口弁13を一時的に閉じるか、または所定の期間開けることが計画される。どれほどの期間出口弁13を開けているか、または閉じているかは、コントローラ80によって設定してもよい。
【0061】
コントローラ80は、そのために、たとえば、パルスの形の制御信号Sを出口弁13の制御入力部へ設定してもよい。制御信号Sは電気信号または圧縮空気信号であってもよい。爆発の危険のある環境では、制御信号Sとして圧縮空気信号を利用するのが有利である。
【0062】
コントローラ80は、一例として、二値(開もしくは閉、または0もしくは1)の間で変化するパルス幅変調制御信号Sを生成する。その際、一定周波数F=1/TPWMの場合に、制御パルスのデューティ比Tein/TPWMが変調される。ここで、TPWMは制御信号Sの周期であり、Teinは制御パルスの幅である。デューティ比、たとえば、制御パルスの幅Teinによって、時間単位あたりに搬送すべき粉末量Qを調整することができる。その際、デューティ比が小さいほど、時間単位あたりに搬送すべき粉末量Qは少なくなるということになる。デューティ比Tein/TPWM=0であれば、粉末は搬送されない。デューティ比Tein/TPWM=1の場合には、最大の搬送すべき粉末量Qが達成される。
【0063】
図3aには、例として、パルス幅変調信号Sが時間tにわたり描かれている。ここで、S=1は、出口弁13における弁位置「開」に対応する。出口弁13は、期間Teinの間、開いており、その結果、期間Teinの間、粉末は出口弁13を通って流れることができる。
図3bは、輸送空気TLの空気圧力p(TL)の時間経過を示す。上記の例において空気圧力p(TL)は一定である。最後に
図3cは、例示図として、粉末配管40の出口40.2において時間あたりに搬送される粉末量Qを示す。その際、出口弁13が一時的に閉じていても、粉末は搬送されることがわかる。その理由は、出口弁13が閉じている時間が十分に短く、輸送空気TLが粉末配管40内で時間の経過によって粉末と混合するからである。粉末の流れが、粉末配管40の入口側領域40.1において出口弁13によって繰り返し中断されることは、出口40.2においてもはや確認できない。粉末配管40の、出口40.2において、均一な粉末空気混合物が得られる。
【0064】
好ましい、テストされた実施形態の場合に、搬送すべき粉末量は30から2000g/minの間で調節することができる。しかし、粉末搬送装置100は、10から5000g/minの粉末量を搬送することができるように適合させることもできる。
【0065】
テストされた実施形態の場合に、粉末は5から30mの距離にわたり搬送することができた。しかし、粉末搬送装置100は、粉末が1から50mの距離にわたり搬送することができるように適合させることもできる。
【0066】
そのために、3から30mmの内径の粉末配管40を使用することができる。テストされた実施形態において、8から12mmの内径の種々のホースが使用された。しかし、6から14mmの内径の標準ホースを使用してもよい。
【0067】
粉末配管40の内径は、搬送すべき粉末量をもとにして選択される。少ない粉末量の場合には、通常、小さな内径の粉末配管で十分である。輸送空気TLは、0.1から50Nm3/h(毎時標準立方メートル)または0.5から6Nm3/hの範囲において調整することができる。輸送空気TLは、0.1から10バールの圧力範囲において調整してもよい。ピンチ弁の内径は、3から10mmの範囲であるのが有利であり、3から5mmの間がよりよい。全サイクル時間は、100から300msの範囲であるのが有利である。パルス幅は、好ましくは5から90または290msの範囲において調整してもよい。
【0068】
輸送空気TLの圧力p(TL)によって粉末の流れの流速を調整することができる。輸送空気圧力p(TL)が高いほど、粉末は粉末管40を経由してより速く流れ、粉末塗布器4によって生成された粉末の雲がより速く広がる。速い粉末の雲は、粉末の雲が広く加工品を覆うべきである場合には有利である。速い粉末の雲は、一例として、深いくぼみを有する加工品に対して有益である。これに対して加工品が比較的平らである場合には、むしろ、やわらかでそのためゆっくりした粉末の雲が使用される。その結果、粉末の流速によって、コーティングすべき加工品の形状に粉末の雲を理想的に適合させることができる。さらに、流速は、その時その時に使用される粉末の種類(粒の大きさ、粘着性など)に適合させることができる。それによって、全体として、最適な、コーティングされた粉末の作用効率がもたらされる。長期間にわたり、変わりなく、すなわち、プロセスが安定しており、再現可能であり、摩耗が少ないように、粉末を搬送できることを保証することができる。有機の粉末であっても無機の粉末であっても、一例として、Eメールのように搬送することができる。
【0069】
パルス幅変調制御信号Sの代わりに、パルス周波数またはパルス密度変調制御信号Sを利用することもできる。パルス周波数変調制御信号Sの場合には、個々のパルスのパルス幅Teinは時間的に一定である。パルス密度が低くなるほど、時間単位あたりに搬送される粉末量Qはより少なくなる。パルス密度が1であれば、最大の搬送すべき粉末量Qが達成される。
【0070】
原理的に搬送すべき粉末量Qを調整するために、他のパルス符号変調を使用することもできる。パルス符号化の概念は、ここでは、任意の数値の2値のパルス列への変換として解釈すべきである。
【0071】
図4は、本発明による粉末搬送装置100の他の可能な実施形態を3次元の図で示す。
図5は本発明による粉末搬送装置100の上記の他の実施形態を縦断面で示す。上記の実施形態の場合に、作動容器1は、n個の粉末出口51.1-51.nを備え、粉末出口51.1-51.nの各々は、それぞれ粉末出口弁13.1-13.nに結合している。粉末出口弁13.1-13.nの各々は、それぞれ1本の粉末配管40及び1台の粉末塗布器へ接続することができる。コントローラ80は、粉末出口弁13.1-13.nの各々を個別に制御することができるように構成することができる。それによって、より高度の柔軟性が達成される。したがって、一例として、粉末出口弁13.1を継続的に閉じた状態として、粉末出口弁13.1と結合している塗布器のスイッチを切り、粉末出口弁13.2に適切に制御しながら、粉末出口弁13.2と結合している塗布器のスイッチを入れることができる。さらに、各々の粉末出口弁を、適切に異なった仕方で制御することによって、個々の塗布器に異なった多数の粉末を供給する可能性も存在する。さらに、輸送空気TL用の弁18を、適切に異なった輸送空気量に調整することによって、個々の塗布器は、それぞれ異なった速度で粉末の雲を生成することができる。異なった長さの粉末配管40を使用することも可能であり、その場合、粉末配管の間の長さの差は、粉末出口弁13の適切な、個別の制御によって補償することができる。
【0072】
フィルタ9を清掃することができるようにするために、水平な作動位置(
図5参照)から傾斜状態へ旋回させることができる(図示せず)。このために、作業容器1には傾斜機構91が備わる。作業容器1の蓋を開けることができるようにするために、クロージング装置90が備わる。クロージング装置は、一例として、ネジ機構、またはくさび機構として形成することができる。作業容器1の下部の領域には、1個または複数個の覗き窓92を配置することができる。作業容器1において、覗き窓92の対面側に別の覗き窓及び光源が存在するようにすることができる。それによって、作業容器1を開く必要なく、操業中に作業容器1内の粉末の状態を視覚的に把握することができる。視覚的な把握は、センサによって、または操作員によって実施される。
【0073】
一実施形態において、作業容器1の上部の部屋の領域に静電容量センサ28.2が配置されている。静電容量センサ28.2は、一例として、作業容器1の蓋93に配置することができる。上記のセンサによって、作業容器1の上部の部屋の充填状態を検出し、コントローラ80へ伝達し、そこで評価することができる。コントローラ80は、粉末がフィルタ9を通して十分に落下しているか、またはフィルタ9が詰まっているかを確かめることができる。場合によっては、コントローラ80は、一例として、操作員用の警告によって、上記の状態に適切に反応することができる。
【0074】
他の実施形態の場合には、フィルタより低い位置に別の静電容量センサ28.3が配置されている。上記のセンサによって、作業容器1の上部の部屋の充填状態を検出し、コントローラ80へ伝達することができる。コントローラ80は、センサ信号を評価し、上部の部屋に多すぎる量の粉末または少なすぎる量の粉末が存在するかの状態を確認し、一例として、操作員用の警告を発することによって反応することができる。
【0075】
他の実施形態の場合には、作業容器1の下部の部屋の領域に静電容量センサ28.4が配置されている。
【0076】
充填状態の測定に適していれば、静電容量センサ28.3及び28.4の代わりに、他のセンサを使用することができる。
【0077】
他の実施形態の場合には、センサ28.3から作業容器1の蓋93までの領域、すなわち、非流動化領域に接続部35.1が備わる。作業容器1の底とセンサ28.4との間に接続部35.2が備わり、その結果、接続部35.2は常に流動化領域に存在する。両方の接続部35.1及び35.2に、上部の部屋の圧力及び下部の部屋の圧力の差を把握するための差圧センサ35を接続することができる。差圧センサ35によって生成された差圧信号は、コントローラ80へ伝達することができる。上記の差圧から、コントローラ80は、正確な充填状態の程度を確定することができる。
【0078】
両方の静電容量センサ28.3及び28.4によって、作業容器1の下部の部屋における充填状態の程度を測定することができる。それぞれの粉末出口弁13.1-13.nに対して、様々な設定における複数の標準測定によって、粉末排出量を確定することができる。それによって、作業中であっても、充填状態の測定を実施することができる。それに加えて、粉末が中間容器2から作業容器1へ到達することが、所定の期間阻止される。その時、使用される粉末出口弁13.1-13.xから、所定の時間に搬送される全粉末量が確定される。その後、コントローラ80によって、全粉末量が所定の範囲内であるかどうか点検される。そうでない場合には、コントローラ80は警告を出してもよい。これについて、特許EP1092958B1によって知られた、容器における粉末量または粉末量変化の算定方法が参照される。その内容は、本出願に組み込まれる。
【0079】
図5は、中間容器2の可能な実施形態を縦断面で示す。中間容器2の内部には、空気に対して透過性で、粉末に対して非透過性の半透過性の壁95が存在する。すでに記載したように、接続部2.1及びそこに接続された弁24を経由して、中間容器2から空気が吸い出され、負圧が生成される。半透過性の壁95は、中間容器2に吸い込まれた粉末が、接続部2.1を経由して吸引されることがないようにする。弁24及び接続部2.1によって中間容器2に圧縮空気をかければ、圧縮空気は半透過性の壁95を経由して流れ込み、中間容器2に正圧が生成される。弁11を開けば、半透過性の壁95にたまった粉末を取り除くためにも、圧縮空気を使用することができる。
【0080】
図6は、粉末出口弁13の可能な実施形態を断面図で示す。粉末出口弁13は、弁本体96及び入口本体101を含む。両者は、ねじ機構102によって作業容器1に固定されていてもよい。
図6に示す実施形態において、弁本体96は、作業容器1の、対応して形成された差し込み部位1.1に組み入れられている。粉末出口51.1用の、作業容器1の経路をできるだけ短くするように、差し込み部位1.1は、
図6に示すように、作業容器1に沈み込み、めくら孔として形成される。しかし、必ずしも上記の構成でなくともよい。ピンチ弁97の上流側の端部97.1は、同様に差し込み部位1.1に配置してもよい。この構成は、それによってピンチ弁97が適切に配置されるという利点を有する。しかし、必ずしも上記の構成でなくともよい。
【0081】
弁13は、一例として、電空式高速パイロット弁として形成してもよい弁制御接続ブロック99をさらに含む。この構成は、短い切り替え時間及び短い反応時間を有し有利である。弁制御接続ブロック99は、図示しない電気制御ケーブルを経由して、コントローラ80の対応する制御出力と接続されている。コントローラ80は、それを使用して、制御信号Sによって、弁13を開きまたは閉じる。弁本体96の内部にはホースピンチ弁97が存在する。その通路は、圧縮空気-制御信号Sにしたがって、開いているかまたは閉じている。圧縮空気がない状態では、ホースピンチ弁97は休止状態で、その通路は開いている。ホースピンチ弁97の外側は、その時、環状体98の内側に隣接している。環状体98は、作業容器1内がどのような圧力であるかにかかわりなく、ホースピンチ弁97の開口径が、圧縮空気がない状態で同じであり、定まっているようにする。それによって、弁13の再現可能な開口径が持続される。環状体98は、一例として、プラスチックから製造することができる。上記の構成は、作業容器1内の圧力が、ホースピンチ弁97を開くのに役立つという利点を有する。負圧の場合にもピンチ弁を開く必要がある粉末搬送装置の場合には、このことは、やがて問題となる。
【0082】
弁13を制御するために、弁制御接続ブロック99に配置された制御弁が備わる。制御弁として、弁制御接続ブロック99に、いわゆる常時開(normally open)弁を組み入れるのが有利である。コントローラ80の故障の場合に、制御弁に制御信号Sがなければ、常時開弁は開いており、弁13のピンチ弁97は閉じている。
【0083】
入口17が直接弁13に接続している場合には、供給された輸送空気TLが、ほぼ粉末配管40の全長にわたり、搬送される粉末と混合され得る利点がある。しかし、そのような配置は必須ではない。入口17は、粉末配管40のさらに下流に存在してもよい。
【0084】
輸送空気TLが、浅い角度αで環状に粉末配管40に流れるとさらに有利である。
図6に示した実施形態においてこの構成は可能である。輸送空気TL用の入口17を備えた入口本体101は、軸方向に延伸する空気経路32を備え、該経路は、弁本体96の粉末経路96.2の下流の端部領域を環状に取り囲む。入口本体101は、下流の端部領域において、外側をホースニップル33として形成してもよい。粉末配管40または粉末管は、ホースニップル33に押し込み、固定することができる。ここで、たとえばスナップ結合の、ホース連結も考えられる(図示しない)。ホースニップル33の内側及び粉末経路96.2の外側は、環状の輸送空気経路32を形成する。ホースニップル33及び粉末経路96.2の下流端部は環状隙間94を形成し、環状隙間94は、輸送空気経路32の下流開口として機能する。輸送空気経路32への供給のために、入口本体101に横方向の孔が備わる。輸送空気TLは、輸送空気経路32を通って、その下流端部まで流れ、そこから環状に、浅い角度αで粉末配管40へ流れる。
【0085】
環状隙間94を使用して輸送空気TLが粉末配管40へ流れ込むようにすることは、いろいろな利点を有する。輸送空気TLは、環状隙間94を通って粉末配管40へ流入させられ、本流と同じ方向を示すので、入口17において動圧よりもむしろ負圧が生成される(空気抵抗がなく、障害がない)。そのため、粉末配管40において乱気流は少ししか生じない。さらに、粉末配管40の内壁の摩耗は低減されるか完全に防止される。
【0086】
入口本体101の他の実施形態も可能である。入口本体101は、一例として、そこを経由して輸送空気TLを0から89度の角度で粉末配管40へ流入させる、1個または複数個の経路を備えてもよい。該経路を通って流れる輸送空気TLは、より容易に粉末配管40における負圧を生成する。
【0087】
輸送空気TLが90度の角度または90度より大きな角度で粉末配管40へ流れ込むように入口本体101を形成することも可能である。
【0088】
輸送空気TLが微小多孔性材料からなるフィルタ管を経由して粉末配管40へ流れ込むように入口本体101を形成してもよい。
【0089】
輸送空気TL用の弁18を、排出段階Aの間に短時間閉じて、短時間輸送空気TLを粉末配管40へ流入させないようにしてもよい。それによって、搬送される粉末量Qに対する輸送空気TLの影響はさらに減少する。
【0090】
必要な場合には、弁本体96の粉末経路96.2を弁13の下流側に円錐状に形成することができる。
【0091】
粉末配管40は、全体的にまたは部分的にホースとして形成してもよい。
【0092】
粉末コーティング装置は、
図1に示すように、粉末搬送装置100及びコーティング室6に加えて、粉末の回収のためのサイクロン7及び後方フィルタ8を備えてもよい。
【0093】
過剰の塗布剤(overspray)をコーティング室6から除去するために、過剰の塗布剤をコーティング室6内に存在する空気と一緒に粉末―空気混合物としてコーティング室から吸引し、サイクロン7に供給する。サイクロン7は単一サイクロンとして形成されてもよい。粉末―空気混合物は、上部で接線方向にサイクロン7に流入し、サイクロン7内においてスパイラル状に下に流れる。粉末―空気流れの回転の際に生じる遠心力によって、粉末粒子は、外側へサイクロンの外壁に押し付けられる。続いて、粉末粒子は、サイクロンの粉末排出口の方向に下方に搬送され、そこで集められる。粉末粒子が除去された空気は、サイクロンに存在する中央管を経由して吸引される。このように清掃された空気の流れは、空気中にとどまっている残りの粉末をこすために、さらに後方フィルタ8に供給してもよい。弁71が開いている場合には、リサイクルされる粉末RPをサイクロン7から取り出し、ポンプ73及び配管41を経由して再び粉末搬送装置100へ供給することができる。弁72が開いている場合には、サイクロンでこされた粉末は、配管45及び44を経由して後方フィルタ8に供給することができる。
【0094】
後方フィルタ8は、残りの、空気中に残存する粉末粒子をこすフィルタカートリッジを備えてもよい。主として電気駆動のベンチレータまたは送風機が必要な空気輸送量をもたらす。
【0095】
サイクロン7を使用しない場合には、後方フィルタ8から粉末を取り出し、ポンプ73及び配管41を経由して再び粉末搬送装置100へ供給することができる。
【0096】
本発明による実施例の上記の記載は、説明の目的だけのものである。本発明の範囲において、様々な変形や変更が可能である。たとえば、様々な、
図1から6に示す搬送装置のコンポーネントは、図に示すものとは異なる仕方で互いに組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0097】
1 作業容器
1.1 差し込み部位
1.2 空気抜き接続部
1.3 清掃接続部
2 中間容器
2.1 中間容器の接続部
2.2 中間容器の粉末出口
3 貯蔵容器
4 塗布器
5 塗布器
6 コーティング室
7 サイクロン分離装置
8 後方フィルタ
9 超音波フィルタ
10 加工品
11 弁
12 空気抜き弁
13 出口弁
13.1-13.n 粉末出口弁
14 弁
15 弁
16 弁
17 輸送空気用の入口
17.1-17.n 輸送空気用の入口
18 輸送空気用の調整装置
19 流動化装置
20 振動装置
21 新たな粉末用の弁
22 弁
23 弁
24 弁
25 真空弁または負圧生成器
26 弁
27 新たな粉末用の弁
28 センサ
28.1 圧力センサ
28.2 センサ
28.3 センサ
28.4 センサ
29 センサ
30 貯蔵容器
31 ポンプ
32 輸送空気経路
33 ホースニップル
34 圧力調節弁
35 差圧センサ
35.1 差圧センサ用接続部
35.2 差圧センサ用接続部
40 粉末配管
40.1 粉末配管の第1の端部
40.2 粉末配管の第2の端部
41 配管
42 配管
43 配管
44 配管
45 配管
46 配管
47 配管
50 粉末入口
51.1-51.n 粉末出口
71 弁
72 弁
73 ポンプ
80 コントローラ
90 クロージング装置
91 傾斜機構
92 覗き窓
93 作業容器の蓋
94 環状隙間
95 半透過性の壁
96 弁本体
96.2 粉末経路
97 ホースピンチ弁
97.1 ホースピンチ弁の端部
98 環状体
99 弁制御接続ブロック
100 粉末搬送装置
101 入口本体
102 ねじ機構
A 排出段階
FL 流動化空気
F 搬送段階
FP 新たな粉末
H 水平状態
Q 時間単位あたりの粉末量
RP リサイクルされた粉末
S 制御信号
TL 輸送空気
t 時間
T 期間
α 角度