(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】ロボットの教示方法
(51)【国際特許分類】
B25J 9/22 20060101AFI20220302BHJP
B25J 9/06 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
B25J9/22 A
B25J9/06 E
(21)【出願番号】P 2018556720
(86)(22)【出願日】2017-12-13
(86)【国際出願番号】 JP2017044740
(87)【国際公開番号】W WO2018110601
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-11-10
(32)【優先日】2016-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517340611
【氏名又は名称】カワサキロボティクス(ユーエスエー),インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芝田 武士
(72)【発明者】
【氏名】山田 幸政
(72)【発明者】
【氏名】山口 隆生
(72)【発明者】
【氏名】在田 智一
(72)【発明者】
【氏名】チェン エリック
(72)【発明者】
【氏名】デュラン フランシスコ ジェイ ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】中原 一
(72)【発明者】
【氏名】バロアニー アビッシュ アショック
(72)【発明者】
【氏名】ゼン ミン
【審査官】岩▲崎▼ 優
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-43424(JP,A)
【文献】特開2013-184236(JP,A)
【文献】特開2003-25264(JP,A)
【文献】特開2004-326252(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0102064(US,A1)
【文献】特開2014-233773(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0346930(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 -21/02
H01L 21/677-21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項5】
前記ロボットは、半導体製造現場であるクリーンルーム内で半導体ウェハを保持して搬送するための搬送用ロボットである、請求項1乃至4のいずれかに記載のロボットの教示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの教示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ロボットの教示方法が知られている。このようなロボットの教示方法が、例えば、特許文献1に記載された基板保持装置に対して行われている。
【0003】
特許文献1の基板保持装置は、上下に間隔を隔てて配置された第1ハンド及び第2ハンドと、第1ハンド及び第2ハンドの間隔を制御する間隔制御機構と、第1ハンド及び第2ハンドの間隔が制御された際にそれらの振動を減衰する振動減衰機構とを備える。第1ハンド及び第2ハンドは、それぞれ、基板を保持するための支持突起上面に設けられたU字状のプレート部材である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載された基板保持装置では、第1ハンド及び第2ハンド(以下、「第1エンドエフェクタ及び第2エンドエフェクタ」という。)が同一の回転軸周りに回転するように構成されている。したがって、第1エンドエフェクタと第2エンドエフェクタとの上下方向の距離が既知であれば、これを修正することで、第1エンドエフェクタの教示点を第2エンドエフェクタに流用することが可能である。そして、理論的には、第1エンドエフェクタの教示点に基づいて第1エンドエフェクタを動作させる場合と、第1エンドエフェクタの教示点を流用して第2エンドエフェクタを動作させる場合とで、第1エンドエフェクタと第2エンドエフェクタとの回転位置は互いに一致する。
【0006】
しかし、上記のように第1エンドエフェクタと第2エンドエフェクタとを動作させる場合、第1エンドエフェクタ及び第2エンドエフェクタそれぞれの駆動機構(例えば、減速機構など)におけるガタ付きなどに起因して、第1エンドエフェクタと第2エンドエフェクタとの回転位置が互いにずれてしまう場合があった。その結果、第2エンドエフェクタを精度良く動作させることができないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、第1エンドエフェクタの教示点を流用して第2エンドエフェクタを動作させる場合であっても、第2エンドエフェクタを精度良く動作させることが可能な、ロボットの教示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明に係るロボットの教示方法は、ロボットの教示方法であって、前記ロボットは、ロボットアームと、前記ロボットアームの手首部に取り付けられ、同一の回転軸周りに独立して回転可能に設けられた第1エンドエフェクタと第2エンドエフェクタと、前記第1エンドエフェクタを回転軸周りに回転させる第1駆動源と、前記第2エンドエフェクタを前記回転軸周りに回転させる第2駆動源と、前記第1エンドエフェクタの回転位置を検出する第1回転位置検出装置と、前記第2エンドエフェクタの回転位置を検出する第2回転位置検出装置と、前記第1回転位置検出装置の出力に基づく第1エンドエフェクタの回転位置情報と、前記第2回転位置検出装置の出力に基づく第2エンドエフェクタの回転位置情報とを記憶可能である記憶部と、前記ロボットアーム、前記第1エンドエフェクタ、前記第2エンドエフェクタ、前記第1駆動源、前記第2駆動源、及び前記記憶部を制御するロボット制御部と、を有し、前記回転軸周りにおける回転位置を互いに一致させた状態で相対動作を防止する相対動作防止装置を前記第1エンドエフェクタと前記第2エンドエフェクタとに取り付ける第1ステップと、前記第1ステップを行った後で、前記相対動作防止装置が前記第1エンドエフェクタと前記第2エンドエフェクタとに取り付けられた状態で、前記第1エンドエフェクタ及び前記2エンドエフェクタを回転動作させる第2ステップと、前記第2ステップを行っている間に、前記第1エンドエフェクタの複数の回転位置における回転位置情報と、前記複数の回転位置それぞれに対応した前記第2エンドエフェクタの回転位置における回転位置情報とを、前記複数の回転位置ごとに互いに関連付けて記憶部に記憶させる第3ステップと、前記第1エンドエフェクタに教示を与えることによって登録される前記第1エンドエフェクタの教示点と、前記第3ステップにおいて前記記憶部に関連付けられて記憶された前記第1エンドエフェクタの回転位置情報と前記第2エンドエフェクタの回転位置情報とに基づいて、前記第2エンドエフェクタの教示点を作成する第4ステップと、を備えることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、第1エンドエフェクタに教示を与えることによって登録される当該第1エンドエフェクタの教示点を流用して第2エンドエフェクタを動作させるとき、第1エンドエフェクタ及び第2エンドエフェクタそれぞれの駆動機構(例えば、減速機など)におけるガタ付きなどに起因して、第1エンドエフェクタと第2エンドエフェクタとの回転位置が互いにずれてしまうことを防止することができる。その結果、第1エンドエフェクタの教示点を流用して第2エンドエフェクタを動作させる場合であっても、第2エンドエフェクタを精度良く動作させることが可能な、ロボットの教示方法を提供することができる。
【0010】
前記第3ステップにおいて前記記憶部に関連付けられて記憶された前記第1エンドエフェクタの回転位置情報と前記第2エンドエフェクタの回転位置情報とに基づいて作成された、前記第1エンドエフェクタの回転位置から対応する前記第2エンドエフェクタの回転位置を導出するための近似式を用いて、前記第1エンドエフェクタの教示点から前記第2エンドエフェクタの教示点を作成してもよい。
【0011】
上記構成によれば、第3ステップにおいて複数の回転位置ごとに互いに関連付けて記憶部に記憶された第1エンドエフェクタの複数の回転位置情報と、第2エンドエフェクタの複数の回転位置情報と、の間に存する情報を補間することが可能となる。
【0012】
前記相対動作防止装置は、前記第1エンドエフェクタと前記第2エンドエフェクタとを前記回転軸周りにおける一方側と他方側とから挟持する構造であってもよい。
【0013】
上記構成によれば、第1エンドエフェクタと第2エンドエフェクタとの相対動作を簡単な構造で確実に防止することが可能となる。
【0014】
例えば、前記第1エンドエフェクタと前記第2エンドエフェクタとは平面視において互いに同じ外形を有してもよい。
【0015】
例えば、前記ロボットは、半導体製造現場であるクリーンルーム内で半導体ウェハを保持して搬送するための搬送用ロボットであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第1エンドエフェクタの教示点を流用して第2エンドエフェクタを動作させる場合であっても、第2エンドエフェクタを精度良く動作させることが可能な、ロボットの教示方法を提供することができる。
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る教示方法によって教示が行われるロボットの全体構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る教示方法によって教示が行われるロボットが、第1エンドエフェクタと第2エンドエフェクタとの上下間隔を最大にしたときの概略的な断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る教示方法によって教示が行われるロボットが、第1エンドエフェクタと第2エンドエフェクタとの上下間隔を最小にしたときの概略的な断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る教示方法によって教示が行われるロボットの第1エンドエフェクタの平面図である。
【
図5A】
図5Aは、本発明の実施形態に係る教示方法によって教示が行われるロボットが、第1エンドエフェクタのみをウェハ収容装置に進入可能な状態としたときの平面図である。
【
図5B】
図5Bは、本発明の実施形態に係る教示方法によって教示が行われるロボットが、第2エンドエフェクタのみをウェハ収容装置に進入可能な状態としたときの平面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る教示方法のフローチャートである。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る教示方法の第1ステップにおいてエンドエフェクタに相対動作防止装置を取り付けた様子を示すエンドエフェクタ及びその近傍部分の斜視図である。
【
図8A】
図8Aは、本発明の実施形態に係る教示方法の第3ステップにおいて記憶部に記憶させる情報の一例を示す図である。
【
図8B】
図8Bは、本発明の実施形態に係る教示方法の第3ステップにおいて記憶部に記憶させる情報とそれに基づいて作成された近似式による直線を示す図である。
【
図8C】
図8Cは、本発明の実施形態に係る教示方法の第3ステップにおいて記憶部に記憶させる情報とそれに基づいて作成された近似式による曲線を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る教示方法の第1ステップにおいてエンドエフェクタに取り付ける相対動作防止装置の第1変形例を示すエンドエフェクタ及びその近傍部分の斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係る教示方法の第1ステップにおいてエンドエフェクタに取り付ける相対動作防止装置の第2変形例を示すエンドエフェクタ及びその近傍部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(全体構成)
以下、本発明の実施形態に係るロボットの教示方法について図面を参照して説明する。なお、本実施形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下では、全ての図を通じて、同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0019】
(ロボット10)
図1は、本実施形態に係る教示方法によって教示が行われるロボットの全体構成を示す斜視図である。本実施形態におけるロボット10は、半導体製造現場であるクリーンルーム内で半導体ウェハW(
図2及び
図3参照)を保持して搬送するための搬送用ロボットである。なお、半導体ウェハWは、半導体プロセスにおいて用いられる薄い板であり、半導体デバイスの材料であると定義される。
【0020】
図1に示すように、ロボット10は、いわゆる水平多関節型の3軸ロボットであり、基台30と、基台30の上面に設けられた昇降主軸32と、昇降主軸32の上端部に取り付けられたロボットアーム40と、ロボットアーム40の手首部に取り付けられたエンドエフェクタ50と、ロボット制御部38と、を備える。
【0021】
(昇降主軸32及びロボットアーム40)
昇降主軸32は、図示しないエアシリンダ等で上下方向に伸縮可能に構成されており、この昇降動作は、基台30の内部に設けられた昇降駆動源20によって行われる。また、昇降主軸32は、基台30に対して鉛直方向に延びる第1回転軸L1周りに回転可能に設けられており、この回転動作は、基台30の内部に設けられた第1旋回駆動源21によって行われる。昇降駆動源20及び第1旋回駆動源21、並びに後述する第2旋回駆動源22及び第3旋回駆動源23は、それぞれ、サーボモータで構成することができる。また、これらの駆動源は、それぞれ、ロボット制御部38によって制御され得る。
【0022】
ロボットアーム40は、水平方向に延びる長尺状の部材で構成される第1リンク41及び第2リンク42を有する。
【0023】
第1リンク41は、その長手方向の一端部が昇降主軸32の上端部に取り付けられている。第1リンク41は、昇降主軸32と一体的に昇降し、且つ昇降主軸32と一体的に第1回転軸周りに回転する。
【0024】
第2リンク42は、その長手方向の一端部が第1リンク41の長手方向の他端部に鉛直方向に延びる第2回転軸L2周りに回転可能に取り付けられている。第1リンク41に対する第2リンク42の回転動作は、第1リンク41の内部に設けられた第2旋回駆動源22によって行われる。
【0025】
(エンドエフェクタ50)
エンドエフェクタ50は、第2リンク42の長手方向の他端部(ロボットアームの手首部)に取り付けられている。エンドエフェクタ50は、鉛直方向に延びる同一の第3回転軸L3(回転軸)周りに独立して回転可能に設けられた第1エンドエフェクタ60と第2エンドエフェクタ80とを有する。本実施形態では、第1エンドエフェクタ60の下側に第2エンドエフェクタ80が配置されている。第1エンドエフェクタ60と第2エンドエフェクタ80とは平面視において互いに同じ外形を有する。
【0026】
図2は、本実施形態に係る教示方法によって教示が行われるロボットが、第1エンドエフェクタと第2エンドエフェクタとの上下間隔を最大にしたときの概略的な断面図である。
図3は、同第1エンドエフェクタと同第2エンドエフェクタとの上下間隔を最小にしたときの概略的な断面図である。
図2及び
図3に示すように、第2リンク42に対する第1エンドエフェクタ60の回転動作、及び第2リンク42に対する第2エンドエフェクタ80の回転動作は、それぞれ、第2リンク42の内部に設けられた第3旋回駆動源23によって行われる。
【0027】
(第1エンドエフェクタ60)
第1エンドエフェクタ60は、第3回転軸L3を中心として鉛直方向に延びる第1手首軸61と、第1手首軸61の上端部に接続された中空部材で形成される第1エンドエフェクタ基部62と、第1エンドエフェクタ基部62の天板の底面から垂下される第1昇降エアシリンダ63と、第1昇降エアシリンダ63の下端から突出するように設けられた第1昇降ピストン64と、第1昇降ピストン64の下端部に接続され、先端側に向けて水平方向に延びる第1昇降部材65と、第1昇降部材65の上面に設けられた第1押圧エアシリンダ66と、第1押圧エアシリンダ66の先端部から突出するように設けられた第1押圧ピストン67と、第1押圧ピストン67の先端部に設けられた第1可動挟持部68と、第1昇降部材65の先端部に接続され、先端側に向けて水平方向に延びる第1ブレード部材70と、を有する。
【0028】
第1エンドエフェクタ60は、サーボモータ等で構成される第1駆動源61aをさらに有する。第1駆動源61aが発生した動力は減速機構等を介して第1手首軸61に伝達される。これにより、第1エンドエフェクタ60は、鉛直方向に延びる第3回転軸L3周りに第2エンドエフェクタ80とは独立して回転可能である。第1駆動源61aにはエンコーダ等で構成される図示しない第1回転位置検出装置が設けられている。当該第1回転位置検出装置によって第1エンドエフェクタ60の回転位置を検出することができる。
【0029】
(第2エンドエフェクタ80)
第2エンドエフェクタ80は、第1手首軸61の外側に設けられ、第3回転軸L3を中心として鉛直方向に延びる第2手首軸81と、第2手首軸81の上端部に接続された中空部材で形成される第2エンドエフェクタ基部82と、第2エンドエフェクタ基部82の底板の上面から垂下される第2昇降エアシリンダ83と、第2昇降エアシリンダ83の上端から突出するように設けられた第2昇降ピストン84と、第2昇降ピストン84の上端部に接続され、先端側に向けて水平方向に延びる第2昇降部材85と、第2昇降部材85の底面に設けられた第2押圧エアシリンダ86と、第2押圧エアシリンダ86の先端部から突出するように設けられた第2押圧ピストン87と、第2押圧ピストン87の先端部に設けられた第2可動挟持部88と、第2昇降部材85の先端部に接続され、先端側に向けて水平方向に延びる第2ブレード部材90と、を有する。
【0030】
第2エンドエフェクタ80は、サーボモータ等で構成される第2駆動源81aをさらに有する。第2駆動源81aが発生した動力は減速機構等を介して第2手首軸81に伝達される。これにより、第2エンドエフェクタ80は、鉛直方向に延びる第3回転軸L3周りに第1エンドエフェクタ60とは独立して回転可能である。第2駆動源81aにはエンコーダ等で構成される図示しない第2回転位置検出装置が設けられている。当該第2回転位置検出装置によって第2エンドエフェクタ80の回転位置を検出することができる。
【0031】
(第1ブレード部材70と第2ブレード部材90との配置状態)
第1昇降エアシリンダ63及び第2昇降エアシリンダ83は、それぞれ、ロボット制御部38によって互いに独立して駆動可能である。これにより、第1ブレード部材70と第2ブレード部材90との上下方向の配置に関して、4つの状態を適宜切り替えることが可能である。
【0032】
すなわち、第1ブレード部材70がその可動範囲において最も下方に位置し、且つ、第2ブレード部材90がその可動範囲において最も上方に位置する配置状態(最小ピッチ)と、第1ブレード部材70がその可動範囲において最も上方に位置し、且つ、第2ブレード部材90がその可動範囲において最も下方に位置する配置状態(最大ピッチ)と、第1ブレード部材70がその可動範囲において最も下方に位置し、且つ、第2ブレード部材90がその可動範囲において最も下方に位置する配置状態(下側中間ピッチ)と、第1ブレード部材70がその可動範囲において最も上方に位置し、且つ、第2ブレード部材90がその可動範囲において最も上方に位置する配置状態(上側中間ピッチ)と、を適宜切り替えることが可能である。
【0033】
上記した通り、第1昇降ピストン64を下向きとし、且つ、第2昇降ピストン84を上向きとしたので、長尺状のエアシリンダを用いた場合でも、
図3に示したように、第1ブレード部材70と第2ブレード部材90との上下方向の最小間隔(最小ピッチ)を小さくすることが可能となる。
【0034】
(半導体ウェハWを挟持する構造)
図4は、本実施形態に係る教示方法によって教示が行われるロボットの第1エンドエフェクタの平面図である。
図4に示すように、第1ブレード部材70は、平面視において先端部が2股に分かれたY字状に形成されている。当該Y字状の基端部の上面には、半導体ウェハWの底面を支持する一対の第1底面支持部72が設けられる、また、当該Y字状の2つの先端部の上面には、半導体ウェハWの縁部に当接する一対の第1固定挟持部74a、74bが突設される。
【0035】
第1固定挟持部74a、74bは、上記した第1可動挟持部68と協働して基端部と先端部を結ぶ方向に半導体ウェハWを挟持する。なお、第2ブレード部材90は、第1ブレード部材70と同様に構成され、第2底面支持部92a、92b及び第2固定挟持部94a、94bを有するが、ここではその説明を繰り返さない。
【0036】
第1押圧エアシリンダ66及び第2押圧エアシリンダ86は、それぞれ、ロボット制御部38によって互いに独立して駆動可能である。すなわち、第1エンドエフェクタ60及び第2エンドエフェクタ80は、それぞれ、互いに独立して半導体ウェハWを挟持する動作を行うことができる。また、上記構成によれば、第1昇降エアシリンダ63の昇降に連動して第1ブレード部材70及び第1可動挟持部68などが昇降し、これとは独立して、第2昇降エアシリンダ83の昇降に連動して第2ブレード部材90及び第2可動挟持部88などが昇降する。
【0037】
図5Aは、本実施形態に係る教示方法によって教示が行われるロボットが、第1エンドエフェクタのみをウェハ収容装置に進入可能な状態としたときの平面図である。
図5Bは、同ロボットが、第2エンドエフェクタのみをウェハ収容装置に進入可能な状態としたときの平面図である。エンドエフェクタ50は、
図1に示すように、第1エンドエフェクタ60と第2エンドエフェクタ80とが上下方向に重ねて配置された第1稼働状態と、
図5A及び
図5Bに示すように、第1エンドエフェクタ60と第2エンドエフェクタ80とが上下方向に重ならずに配置され、これらのいずれか一方のみがFOUPなどのウェハ収容装置に進入可能な状態である第2稼働状態と、を切り替え可能に構成されている。
【0038】
図5Aに示すように、第2稼働状態では、第1エンドエフェクタ60を稼働位置としたままで第2エンドエフェクタ80を非稼働位置まで退避させることができる。或いは、
図5Bに示すように、第2エンドエフェクタ80を稼働位置としたままで第1エンドエフェクタ60を非稼働位置まで退避させることができる。ここで「稼働位置」とは、第1エンドエフェクタ60及び第2エンドエフェクタ80のいずれか一方がFOUPなどのウェハ収容装置に進入可能に配置されたときの位置である。また、「非稼働位置」とは、稼働位置に配置された第1エンドエフェクタ60及び第2エンドエフェクタ80のいずれか一方によるウェハ収容装置からの半導体ウェハWの出し入れの妨げにならないようにいずれか他方が退避させられたときの位置である。なお、第1エンドエフェクタ60と第2エンドエフェクタ80とは、平面視において少なくともその一部(すなわち、少なくとも第3回転軸L3及びその近傍部分)が重なった状態となる。
【0039】
(ロボット制御部38)
ロボット制御部38は、ロボットアーム40、第1エンドエフェクタ60、第2エンドエフェクタ80、第1駆動源61a、第2駆動源81a、及び後述する記憶部を制御する。ロボット制御部38の構成は特に限定されないが、公知のプロセッサ(例えば、CPU等)が記憶部(例えば、メモリ等)に格納されるプログラムに従って動作することで実現される構成であってもよい。当該記憶部には、第1回転位置検出装置の出力に基づく第1エンドエフェクタ60の回転位置情報と、第2回転位置検出装置の出力に基づく第2エンドエフェクタ80の回転位置情報とが記憶される。
【0040】
なお、第1エンドエフェクタ60の回転位置情報及び第2エンドエフェクタ80の回転位置情報は、ロボット制御部38内に設けられるメモリ以外の記憶部に記憶されてもよいし、ロボット制御部38とは別個に設けられる記憶部に記憶されてもよい。
【0041】
(半導体ウェハWの出し入れの一例)
ロボット制御部38の制御によってロボットアーム40及びエンドエフェクタ50を動作させ、ウェハ収容装置の上段から処理済みの半導体ウェハWを受け取り、且つ、同下段に処理済みの半導体ウェハWを載置する際の動作の一例について説明する。
【0042】
まず、第1エンドエフェクタ60が半導体ウェハWを保持していない状態とし、且つ、第2エンドエフェクタ80が処理済みの半導体ウェハWを保持している状態とする。
【0043】
次に、ロボットアーム40を駆動して、ウェハ収容装置の上段と下段の間に第1ブレード部材70及び第2ブレード部材90を進入させる。このとき、第1ブレード部材70の先端部に突設された固定挟持部74がウェハ収容装置の上段に載置された処理済みの半導体ウェハWの遠位側(すなわち、ウェハ収容装置の奥側)の縁部の位置を僅かに超えるまで、第1ブレード部材70及び第2ブレード部材90をウェハ収容装置に進入させる。
【0044】
さらに、第1可動挟持部68を非挟持位置まで後退させた状態で第1ブレード部材70を上昇させることで、第1ブレード部材70によってウェハ収容装置の上段から処理済みの半導体ウェハWを受け取る。このとき、第1固定挟持部74は、ウェハ収容装置の上段に載置された半導体ウェハWの遠位側の縁部を僅かに超えた位置に配置されているため、その上端に半導体ウェハWが乗り上げることはない。
【0045】
そして、第1可動挟持部68を前進させることで、当該第1可動挟持部68と第1固定挟持部74とでウェハ収容装置の上段に収容された処理済みの半導体ウェハWを挟持して保持する。これにより、第1エンドエフェクタ60による半導体ウェハWの受け取り動作が完了する。
【0046】
次に、上記した第1ブレード部材70を上昇させる動作と同時に、或いは当該動作の完了後に、第1エンドエフェクタ60及び第2エンドエフェクタ80を僅かに後退させることで、第2ブレード部材90に保持させた処理済みの半導体ウェハWがウェハ収容装置の下段の載置位置の上方に位置した状態とする。
【0047】
さらに、第2可動挟持部88を非挟持位置まで後退させる。
【0048】
そして、第2ブレード部材90を下降させることで、ウェハ収容装置の下段に第2ブレード部材90で保持した処理済みの半導体ウェハWを載置する。これにより、第2エンドエフェクタ80による半導体ウェハWの載置動作が完了する。
【0049】
最後に、ロボットアーム40を駆動して、第1エンドエフェクタ60及び第2エンドエフェクタ80を後退させてウェハ収容装置から抜き出す。
【0050】
上記したように、ウェハ収容装置の上段から処理済みの半導体ウェハWを受け取るタイミングと、同下段に処理済みの半導体ウェハWを載置するタイミングとをずらすことで、第1固定挟持部74の上端に当該半導体ウェハWが乗り上げないように当該第1固定挟持部74をウェハ収容装置の上段に載置された半導体ウェハWの遠位側の縁部を僅かに超えた位置に配置することができる。これにより、エンドエフェクタによる半導体ウェハWの保持方式の種類にかかわらず、半導体ウェハW搬送時のタクトタイムを短縮することが可能となる。
【0051】
(ロボットの教示方法)
以下、上記構成を有するロボット10の教示方法の一例について説明する。ロボット10により半導体ウェハWの搬送作業を行うためには、搬送されるべき半導体ウェハWが存する位置や、エンドエフェクタ50で保持した半導体ウェハWを載置する位置などをロボット10の記憶部に記憶させる必要がある。このようにロボット10に位置を記憶させることを教示と呼ぶ。なお、ここでは教示された位置を教示点と呼ぶ。
【0052】
例えば、ロボット制御部38の記憶部(又は外付けの汎用コンピュータ等の記憶部)に複数の教示点を記憶させておき、当該複数の記憶部の間で予め記憶しておいたプログラムに基づいて半導体ウェハWを搬送するようにロボット10を制御することが可能である。
【0053】
なお、実際には、教示点は、第1エンドエフェクタ60又は第2エンドエフェクタ80が教示点に配置された状態での各駆動源(すなわち、第1旋回駆動源21、第2旋回駆動源22、第3旋回駆動源23、第1駆動源61a及び第2駆動源81a)の回転位置を検出する回転位置検出装置の出力に基づく回転位置情報としてロボット制御部38に記憶される。なお、回転位置情報は、例えば、エンコーダからの出力値であってもよいし、又はエンコーダからの出力値に関連する情報(例えば、上記各駆動源が駆動する関節軸それぞれの関節回転位置情報など)であってもよい。
【0054】
図6は、本実施形態に係る教示方法のフローチャートである。
図6に示すように、本実施形態に係る教示方法は、第1ステップS1~第4ステップS4で構成されている。
【0055】
まず、第3回転軸L3(回転軸)周りにおける回転位置を互いに一致させた状態で相対動作を防止する相対動作防止装置100aを第1エンドエフェクタ60と第2エンドエフェクタ80とに取り付ける第1ステップS1を行う。このときの状態を
図7に示す。
図7は、本実施形態に係る教示方法の第1ステップにおいてエンドエフェクタに相対動作防止装置を取り付けた様子を示すエンドエフェクタ及びその近傍部分の斜視図である。
【0056】
本実施形態では、第1エンドエフェクタ60と第2エンドエフェクタ80とが平面視において互いに同じ外形を有するため、上記のようにして相対動作防止装置100aを取り付けたとき、平面視において第1エンドエフェクタ60と第2エンドエフェクタ80とが重なることで第2エンドエフェクタ80が視認できなくなる。
【0057】
本実施形態で用いる相対動作防止装置100aは、第1エンドエフェクタ60と第2エンドエフェクタ80とを第3回転軸L3周りにおける一方側と他方側とから挟持する構造である。具体的には、相対動作防止装置100aは、回転位置を互いに一致させた状態の第1エンドエフェクタ60と第2エンドエフェクタ80とに対して、第1エンドエフェクタ基部62の基端と先端を結ぶ方向に延在する一方の側面(
図7において手前側の側面)に当接して上下方向に延びる第1部分と、同他方の側面(同図において奥側の側面)に当接して上下方向に延びる第2部分と、第1部分と第2部分とを接続するように第1エンドエフェクタ基部62の上面に当接して幅方向に延びる第3部分と、を有する構造である。
【0058】
次に、第1ステップS1を行った後で、相対動作防止装置100aが第1エンドエフェクタ60と第2エンドエフェクタ80とに取り付けられた状態で、ロボット制御部38によって第1エンドエフェクタ60及び2エンドエフェクタ80を回転動作させる第2ステップS2を行う。このとき、第1エンドエフェクタ60及び第2エンドエフェクタ80を第3回転軸L3周りにおける正方向の限界位置まで、及び負方向の限界位置まで(すなわち、平面視において時計回りの方向に回転可能な限界位置まで、及び反時計回りの方向に回転可能な限界位置まで)回転動作させることが好ましい。
【0059】
さらに、第2ステップS2を行っている間に、第1エンドエフェクタ60の複数の回転位置における回転位置情報と、当該複数の回転位置それぞれに対応した第2エンドエフェクタ80の回転位置における回転位置情報とを、当該複数の回転位置ごとに互いに関連付けて記憶部に記憶させる第3ステップS3を行う。
【0060】
図8Aは、本実施形態に係る教示方法の第3ステップにおいて記憶部に記憶させる情報の一例を示す図である。
図8Aでは、縦軸が第1エンドエフェクタの回転位置情報を示し、横軸が第2エンドエフェクタの回転位置情報を示す。
図8Aに示すように、本実施形態では6組の回転位置情報を記憶部に記憶させている。このとき、第1エンドエフェクタ60及び第2エンドエフェクタ80を第3回転軸L3周りに回転させるごとに上記回転位置情報の組を記憶部に記憶させてもよいし、ロボット制御部38の信号処理サイクルタイムごとに上記回転位置情報の組を記憶部に記憶させてもよい。
【0061】
或いは、
図8B及び
図8Cに示すように、第3ステップS3において記憶部に関連付けられて記憶された第1エンドエフェクタ60の回転位置情報と第2エンドエフェクタ80の回転位置情報とに基づいて作成された、第1エンドエフェクタ60の回転位置から対応する第2エンドエフェクタ80の回転位置を導出するための近似式(又は関数)を記憶部に記憶させてもよい。
図8Bは、同第3ステップにおいて記憶部に記憶させる情報とそれに基づいて作成された近似式による直線を示す図である。
図8Cは、同第3ステップにおいて記憶部に記憶させる情報とそれに基づいて作成された近似式による曲線を示す図である。
【0062】
最後に、第1エンドエフェクタ60に教示を与えることによって登録される第1エンドエフェクタ60の教示点と、第3ステップS3において記憶部に関連付けられて記憶された第1エンドエフェクタ60の回転位置情報と第2エンドエフェクタ80の回転位置情報とに基づいて、第2エンドエフェクタ80の教示点を作成する第4ステップS4を行う。
【0063】
例えば、上記第3ステップS3で記憶部に記憶させた第1エンドエフェクタ60の回転位置情報と、それに対応する第2エンドエフェクタ80の回転位置情報との組が
図8Aのようにプロットできたとする。
【0064】
さらに、第1エンドエフェクタ60に関してある教示が与えられたとする。そして、当該教示のうち、第3回転軸L3周りの第1エンドエフェクタ60の回転位置(又は上記した回転位置情報)がBだったとすると、第1エンドエフェクタ60の教示点に第2エンドエフェクタ80を位置付けるためには、上下方向の距離を修正する他に第3回転軸L3周りの第2エンドエフェクタ80の回転位置を
図8Aに基づきAに修正する必要がある(なお、AとBが一致する場合も考えられる)。
【0065】
(効果)
本実施形態に係る教示方法は、第1エンドエフェクタ60の教示点を流用して第2エンドエフェクタ80を動作させるとき、上記した第3ステップS3で記憶部に記憶させた情報に基づき第2エンドエフェクタ80の回転位置情報を修正することで、第1エンドエフェクタ60と第2エンドエフェクタ80との回転位置が互いにずれてしまうことを防止することができる。その結果、第1エンドエフェクタ60の教示点を流用して第2エンドエフェクタ80を動作させる場合であっても、第2エンドエフェクタ80を精度良く動作させることが可能となる。
【0066】
本実施形態では、第1エンドエフェクタ60の回転位置から対応する第2エンドエフェクタ80の回転位置を導出するための近似式を用いて、第1エンドエフェクタ60の教示点から第2エンドエフェクタ80の教示点を作成してこれを記憶部に記憶することで、第3ステップS3において複数の回転位置ごとに互いに関連付けて記憶部に記憶された第1エンドエフェクタ60の複数の回転位置情報と、第2エンドエフェクタ80の複数の回転位置情報と、の間に存する情報を補間することが可能となる。
【0067】
本実施形態に係る相対動作防止装置100aは、前記第1エンドエフェクタ60と第2エンドエフェクタ80とを第3回転軸L3周りにおける一方側と他方側とから挟持する構造であることで、第1エンドエフェクタ60と第2エンドエフェクタ80との相対動作を簡単な構造で確実に防止することが可能となる。
【0068】
(変形例)
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。したがって、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【0069】
上記実施形態では、第1ステップS1において用いる相対動作防止装置100が
図7に示す構造である場合について説明したが、これに限定されず、例えば、
図9及び
図10に示すような構造であってもよい。
図9は、本実施形態に係る教示方法の第1ステップにおいてエンドエフェクタに取り付ける相対動作防止装置の第1変形例を示すエンドエフェクタ及びその近傍部分の斜視図である。
図10は、同第2変形例を示すエンドエフェクタ及びその近傍部分の斜視図である。
【0070】
図9に示すように、第1変形例に係る相対動作防止装置100bは、第1エンドエフェクタ60と第2エンドエフェクタ80とを第3回転軸L3周りにおける一方側と他方側とから挟持する構造であることに関しては、上記実施形態に係る相対動作防止装置100aと同様である。
【0071】
しかし、第1変形例に係る相対動作防止装置100bは、上記実施形態に係る相対動作防止装置100aと異なり、回転位置を互いに一致させた状態の第1エンドエフェクタ60と第2エンドエフェクタ80とに対して、第1ブレード部材70の基端と先端を結ぶ方向に延在する一方の端面(
図9において手前側の端面)に当接して上下方向に延びる板状に形成された第1部分と、同他方の端面(同図において奥側の端面)に当接して上下方向に延びる板状に形成された第2部分と、第1部分と第2部分とを接続するように第1ブレード部材70の上面に当接して幅方向に延びる板状に形成された第3部分と、を有する構造である。このような構造で第1エンドエフェクタ60と第2エンドエフェクタ80との相対動作を防止してもよい。
【0072】
なお、第1変形例に係る相対動作防止装置100bは、上記実施形態に係る相対動作防止装置100aよりも第3回転軸L3から離間した位置で第1エンドエフェクタ60と第2エンドエフェクタ80とを挟持している。このように挟持することで、第1エンドエフェクタ60と第2エンドエフェクタ80との基端と先端を結ぶ方向を一層正確に一致させることが可能となる。
【0073】
図10に示すように、第2変形例に掛かる相対動作防止装置100cは、回転位置を互いに一致させた状態の第1ブレード部材70及び第2ブレード部材90に平面視において一致する位置に上下方向に貫通するように穿設された孔に挿通される棒状の部材である。このような構造で第1エンドエフェクタ60と第2エンドエフェクタ80との相対動作を防止してもよい。
【0074】
上記実施形態では、第1エンドエフェクタ60と第2エンドエフェクタ80とが平面視において互いに同じ外形を有する場合について説明したが、これに限定されず、互いに異なる外形であってもよい。このような場合、例えば、第1エンドエフェクタ60と第2エンドエフェクタ80との外形を考慮して、第1エンドエフェクタ60及び第2エンドエフェクタ80それぞれの基端と先端を結ぶ方向が互いに一致するように相対動作防止装置100aの形状を決定してもよい。
【0075】
上記実施形態では、第1エンドエフェクタ60が上側に配置され、第2エンドエフェクタ80が下側に配置される場合について説明したが、その逆であってもよい。
【0076】
上記実施形態では、第2ステップS2において、ロボット制御部38によって第1エンドエフェクタ60及び2エンドエフェクタ80を回転動作させる場合について説明したが、これに限定されない。すなわち、第2ステップS2において、第1エンドエフェクタ60を回転駆動するための第1駆動源61a及び第2エンドエフェクタ80を回転駆動するための第2駆動源81aで駆動力を発生させず、且つ、それらに対してブレーキが作用していない状態で、作業者が手作業によって第1エンドエフェクタ60及び2エンドエフェクタ80を回転動作させてもよい。
【0077】
或いは、第2ステップS2において、第2駆動源81aで駆動力は発生させず、且つ、第2エンドエフェクタ80にブレーキが作用していない状態で、第1駆動源61aのみによる駆動力で第1エンドエフェクタ60を回転駆動することで第2エンドエフェクタ80を回転させてもよい。又は、第1駆動源61aで駆動力は発生させず、且つ、第1エンドエフェクタ60にブレーキが作用していない状態で、第2駆動源81aのみによる駆動力で第2エンドエフェクタ80を回転駆動することで第1エンドエフェクタ60を回転させてもよい。
【0078】
上記実施形態では、第3ステップS3において、第1エンドエフェクタ60の回転位置情報と第2エンドエフェクタ80の回転位置情報とを記憶部に6組記憶させている場合について説明したが、これに限定されない。例えば、第2ステップS2において第1エンドエフェクタ60及び第2エンドエフェクタ80を下限位置、上限位置、及び下限位置と上限位置の中間位置の3点に移動させることで、3組の回転位置情報を記憶部に記憶させてもよいし、1組、2組、4組、5組、又は7組以上の回転位置情報を記憶部に記憶させてもよい。
【0079】
上記実施形態では、ロボット10は、半導体製造現場であるクリーンルーム内で半導体ウェハWを保持して搬送するための搬送用ロボットである場合について説明したが、これに限定されない。すなわち、ロボット10は、同一の第3回転軸L3周りに独立して回転可能に設けられた第1エンドエフェクタ60と第2エンドエフェクタ80などを有する構造であれば、食品製造現場や自動車製造現場などで作業を行う他のロボットであってもよい。
【符号の説明】
【0080】
10 ロボット
20 昇降駆動源
21 第1旋回駆動源
22 第2旋回駆動源
23 第3旋回駆動源
30 基台
32 昇降軸
38 ロボット制御部
40 ロボットアーム
41 第1リンク
42 第2リンク
50 エンドエフェクタ
60 第1エンドエフェクタ
61 第1手首軸
61a 第1駆動源
62 第1エンドエフェクタ基部
63 第1昇降エアシリンダ
64 第1昇降ピストン
65 第1昇降部材
66 第1押圧エアシリンダ
67 第1押圧ピストン
68 第1可動挟持部
70 第1ブレード部材
72 第1底面支持部
74 第1固定挟持部
80 第2エンドエフェクタ
81 第2手首軸
81a 第2駆動源
82 第2エンドエフェクタ基部
83 第2昇降エアシリンダ
84 第2昇降ピストン
85 第2昇降部材
86 第2押圧エアシリンダ
87 第2押圧ピストン
88 第2可動挟持部
90 第2ブレード部材
92 第2底面支持部
94 第2固定挟持部
100 相対動作防止装置
L 回転軸
W 半導体ウェハ