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特許7033093偏光測定装置、偏光測定方法及び光配向方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】偏光測定装置、偏光測定方法及び光配向方法
(51)【国際特許分類】
   G01J 4/04 20060101AFI20220302BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20220302BHJP
   G01N 21/21 20060101ALI20220302BHJP
   G01M 11/00 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
G01J4/04 A
G02B5/30
G01N21/21 Z
G01M11/00 T
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019017317
(22)【出願日】2019-02-01
(65)【公開番号】P2019144237
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2019-02-01
(31)【優先権主張番号】201810135372.3
(32)【優先日】2018-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】309012351
【氏名又は名称】シャンハイ マイクロ エレクトロニクス イクイプメント(グループ)カンパニー リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】張一志
(72)【発明者】
【氏名】王帆
(72)【発明者】
【氏名】李玉龍
【審査官】平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】特表平06-504845(JP,A)
【文献】特開2003-185569(JP,A)
【文献】特開2006-098087(JP,A)
【文献】特開平01-123135(JP,A)
【文献】特開平06-094515(JP,A)
【文献】特開2012-104586(JP,A)
【文献】特表2003-506697(JP,A)
【文献】国際公開第2009/139133(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 4/00- G01J 4/04
G01J 1/00- G01J 1/04
G01M 11/00
G01N 21/21- G01N 21/23
G01N 21/84- G01N 21/958
G01B 11/00- G01B 11/30
G02B 5/30
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一偏光子の偏光特性を測定するために使用され、
光源、第二偏光子、回転モジュール、画像センサー及び分析モジュールを含み、
前記光源から複数の異なる入射角を有する光線を発し、
前記複数の異なる入射角を有する光線は同時に前記第一偏光子に入射し、前記第一偏光子を経て偏光され、前記第二偏光子を経た後、前記画像センサーによって検出され、
前記回転モジュールは前記第二偏光子を駆動して前記第二偏光子の法線方向を回動軸として段階的に所定の角度で回転させ、
前記画像センサーは前記第二偏光子が一角度回転する度に前記第二偏光子を経て生成される前記複数の異なる入射角を有する光線に対応する複数の偏光の結像情報を取得し、
前記分析モジュールは前記結像情報及び前記第二偏光子の回転角度に基づいて前記第一偏光子の異なる入射角での偏光特性を計算するものであり、
前記画像センサーは複数の画素点で形成された画素アレイを含み、各前記画素点は相応する入射角と対応する偏光の結像情報の収集に用いられ、
前記複数の画素点は、複数の異なる入射角に対応する偏光の結像情報を同時に収集することに用いられ、
絞り及びコリメートレンズをさらに含み、前記光源から発する光線は順次前記第一偏光子を経て偏光され、前記絞りを経ることで前記第一偏光子を経た光線の出射角の角度が制限され、前記コリメートレンズを経てコリメートされた後、前記第二偏光子に入射される、
ことを特徴とする偏光測定装置。
【請求項2】
前記光源、前記第一偏光子、前記第二偏光子及び前記画像センサーの中心軸は互いに位置が合わせられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の偏光測定装置。
【請求項3】
前記光線は自然光である、
ことを特徴とする請求項1に記載の偏光測定装置。
【請求項4】
前記回転モジュールは回転モータ及び装着ボックスを含み、前記第二偏光子は前記装着ボックスに装着され、前記回転モータは前記装着ボックスを駆動して回転させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の偏光測定装置。
【請求項5】
前記画像センサーはCCD画像センサーである、
ことを特徴とする請求項1に記載の偏光測定装置。
【請求項6】
前記画像センサーによって収集された結像情報は各前記画素点で収集した偏光の光強度情報及び各前記画素点が前記光源に対する位相情報を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の偏光測定装置。
【請求項7】
前記偏光測定装置はフレームをさらに含み、前記第一偏光子、前記絞り、前記コリメートレンズ、前記第二偏光子、前記装着ボックス及び前記回転モータは何れも前記フレーム上に設置される、
ことを特徴とする請求項4に記載の偏光測定装置。
【請求項8】
前記第一偏光子及び第二偏光子は何れも透過型偏光子である、
ことを特徴とする請求項1に記載の偏光測定装置。
【請求項9】
光源から発する複数の異なる入射角を有する光線が同時に前記第一偏光子に入射し、前記第一偏光子及び第二偏光子を経て前記複数の異なる入射角を有する光線に対応する複数の偏光を得るステップと、
前記第二偏光子を駆動して、所定の速度で段階的に一定の角度で前記第二偏光子の法線を回動軸として回転させるステップと、
画像センサーによって前記第二偏光子が一角度回転する度に前記第二偏光子を経た前記偏光の結像情報を得るステップと、
分析モジュールが前記結像情報及び前記第二偏光子の回転角度に基づいて前記第一偏光子の異なる入射角での偏光特性を計算するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の偏光測定装置を用いた偏光測定方法。
【請求項10】
前記絞りを通じて前記第一偏光子を経た前記光線の出射角の角度を制限するステップと、
コリメートレンズによって前記絞りを経た前記光線に対してコリメートするステップと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の偏光測定方法。
【請求項11】
前記画像センサーによって収集された結像情報が前記画像センサーにおける各画素点で収集した対応する入射角を有する光線に関する光強度情報、及び前記画像センサーで各画素点が前記光源に対する位相情報を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の偏光測定方法。
【請求項12】
前記第二偏光子の累積回転角が少なくとも180度である、
ことを特徴とする請求項9に記載の偏光測定方法。
【請求項13】
前記分析モジュールは前記結像情報及び前記第二偏光子の回転角度に基づいて前記第一偏光子の異なる入射角での偏光特性を計算するステップは、
前記画像センサーで各画素点が前記光源に対する位相情報によって各画素点に対応する光線の入射角を確定するステップと、
前記画像センサー上の各画素点が前記第二偏光子の異なる回転角で収集した光強度情報を抽出して画像グレースケール値を抽出し、マリュス法則によって三角関数のフィッティングを行ってフィッティング曲線を得るステップと、
前記フィッティング曲線によって各画素点に対応する偏光の偏光特性を取得し、さらに前記第一偏光子の異なる入射角での偏光特性を得るステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の偏光測定方法。
【請求項14】
前記フィッティング曲線によって各画素点に対応する偏光の偏光特性を得るステップは、
前記画像グレースケール値の最大値と前記画像グレースケール値の最小値の比によって各画素点に対応する偏光の消光比を確定し、さらに前記第一偏光子の各画素点に対応する異なる入射角での光線の消光比を得るステップと、
前記画像グレースケール値の最大値に対応する前記第二偏光子の回転角度に基づいて各画素点に対応する偏光の偏光角を確定し、さらに前記第一偏光子が各画素点に対応する異なる入射角での光線の偏光角を得るステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の偏光測定方法。
【請求項15】
請求項9~14の何れか一項に記載の偏光測定方法によって光配向のための偏光板の偏光特性を測定する、
ことを特徴とする偏光板の偏光特性の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は偏光測定技術分野に関し、特に偏光測定装置、偏光測定方法及び光配向方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、偏光板はますます広く用いられ、一部の使用環境では、偏光板の互いに異なる入射角度での消光比及び偏光角について測定して研究する必要があり、偏光板には異方性があるため、光線が異なる角度で入射する時には、偏光板の消光比及び偏光角が変化する。偏光板の使用環境が非コリメート光源である場合には、偏光板の異なる入射角での消光比及び偏光角を測定して偏光板が当該光源での総合消光比及び偏光角度を分析することは非常に重要な意義がある。
【0003】
図1はワイヤーグリッド偏光板の複数の方向からの入射を示す図面であり、ワイヤーグリッド偏光板は、等間隔で平行に設置された不透光材料の遮断線aと透光基板bとからなり、透光基板bに遮断線aに平行する透光スリットを形成して入射光を偏光することができ、透光スリットの透過偏光方向は固定であり、ワイヤーグリッド偏光板は図1に示すようにZ方向(偏光板の法線方向)から入射される光とZ’方向から入射される光に対する偏光特性が異なる。一部の使用環境では、偏光板の異なる入射角での消光比及び偏光角に対して測定して研究する必要がある。
【0004】
図2は、従来の偏光板の消光比及び偏光角を測定するための測定装置を示すものであり、主に光源11、第1コリメートレンズ411、開口絞り31、第2コリメートレンズ412、偏光子21、検光子51及びエネルギー検出器6を含む。ここで、光の入射角は偏光子21の基板に対して完全に垂直するものである。
【0005】
図2に示すように、コリメートされた光は、偏光子21及び検光子51に垂直に入射し、測定過程で、検光子51は一定の角度で段階的に回転し、検光子51の回転中にエネルギー検出器6を利用してスポットエネルギーを記録し、測定が終ると、検光子51が一角度回転する度に対応するスポットエネルギー値に対してフィッティング計算して、光が垂直に入射する際の偏光子21の消光比及び偏光角が得られる。
【0006】
さらに、偏光子21の広角入射時(即ち、入射光は偏光子21の法線方向と一定の夾角を有する)の偏光特性を測定する必要がある場合には、図3に示すように、まず偏光子21を回転させてその法線と入射光との夾角を変え、さらに、入射光の入射角度を調整するものであり、以上の測定ステップを繰り返して測定する。ここで、偏光子21の異なる広角入射時の偏光特性を研究する時には、偏光子21の設置方向を頻繁に複数回調整して入射光の入射角を調整し、さらに、以上のステップを繰り返さなければならないため、測定過程が極めて煩雑であり、テストの効率が低下する。従って、偏光子の異なる入射角での消光比及び偏光角を測定するための簡単で、且つ効率的な方法を見つけることは、現在解決すべき技術的問題である。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、偏光子の異なる入射角での消光比及び偏光角のテスト効率を向上させ、そのテスト過程を簡略化するための偏光測定装置または方法を提供することにある。
【0008】
前述した目的を達するために、本発明は、光源、第一偏光子、第二偏光子、回転モジュール、画像センサー及び分析モジュールを含み、前記光源から発する複数の異なる入射角を有する光線は前記第一偏光子を経て偏光され、前記第二偏光子を経た後、前記画像センサーによって検出され、前記回転モジュールは前記第二偏光子を駆動して前記第二偏光子の法線方向を回動軸として段階的に所定の角度で回転させ、前記画像センサーは前記第二偏光子が一角度回転する度に前記第二偏光子を経て生成される前記複数の異なる入射角を有する光線に対応する複数の偏光の結像情報を取得し、前記分析モジュールは前記結像情報及び前記第二偏光子の回転角度に基づいて前記第一偏光子の異なる入射角での偏光特性を計算する偏光測定装置を提供する。
【0009】
選択的に、前記光源、前記第一偏光子、前記第二偏光子及び前記画像センサーの中心軸は互いに位置が合わせられる。
【0010】
選択的に、前記光線は自然光である。
【0011】
選択的に、前記偏光測定装置は絞り及びコリメートレンズをさらに含み、前記光源から発する光線は順次前記第一偏光子を経て偏光され、前記絞りを経て角度が制限され、前記コリメートレンズを経てコリメートされた後、前記第二偏光子に入射される。
【0012】
選択的に、前記回転モジュールは回転モータ及び装着ボックスを含み、前記第二偏光子は前記装着ボックスに装着され、前記回転モータは前記装着ボックスを駆動して回転させる。
【0013】
選択的に、前記画像センサーはCCD画像センサーである。
【0014】
選択的に、前記画像センサーは複数の画素点で形成された画素アレイを含み、各前記画素点は相応する入射角と対応する偏光の結像情報の収集に用いられる。
【0015】
選択的に、前記画像センサーによって収集された結像情報は各前記画素点で収集した偏光の光強度情報及び各前記画素点が前記光源に対する位相情報を含む。
【0016】
選択的に、前記偏光測定装置はフレームをさらに含み、前記第一偏光子、前記絞り、前記コリメートレンズ、前記第二偏光子、前記装着ボックス及び前記回転モータは何れも前記フレーム上に設置される。
【0017】
選択的に、前記第一偏光子及び第二偏光子は何れも透過型偏光子である。
【0018】
前述した目的を達するために、本発明は、光源から発する複数の異なる入射角を有する光線が第一偏光子及び第二偏光子を経て前記複数の異なる入射角を有する光線に対応する複数の偏光を得るステップと、
前記第二偏光子を駆動して、所定の速度で段階的に一定の角度で前記第二偏光子の法線を回動軸として回転させるステップと、
画像センサーによって前記第二偏光子が一角度回転する度に前記第二偏光子を経た前記偏光の結像情報を得るステップと、
分析モジュールが前記結像情報及び前記第二偏光子の回転角度に基づいて前記第一偏光子の異なる入射角での偏光特性を計算するステップと、を含む前述した何れか一項に記載の偏光測定装置を用いた偏光測定方法を提供するものである。
【0019】
選択的に、絞りを通じて前記第一偏光子を経た前記光線に対して角度を制限するステップと、
コリメートレンズによって前記絞りを経た前記光線に対してコリメートするステップと、をさらに含む。
【0020】
選択的に、前記画像センサーによって収集された結像情報が前記画像センサーにおける各画素点で収集した対応する入射角を有する光線に関する光強度情報、及び前記画像センサーで各画素点が前記光源に対する位相情報を含む。
【0021】
選択的に、前記第二偏光子の累積回転角が少なくとも180度である。
【0022】
選択的に、前記分析モジュールは前記結像情報及び前記第二偏光子の回転角度に基づいて前記第一偏光子の異なる入射角での偏光特性を計算するステップは、
前記画像センサーで各画素点が前記光源に対する位相情報によって各画素点に対応する光線の入射角を確定するステップと、
前記画像センサー上の各画素点が前記第二偏光子の異なる回転角で収集した光強度情報を抽出して画像グレースケール値を抽出し、マリュス法則によって三角関数のフィッティングを行ってフィッティング曲線を得るステップと、
前記フィッティング曲線によって各画素点に対応する偏光の偏光特性を取得し、さらに前記第一偏光子の異なる入射角での偏光特性を得るステップと、を含む。
【0023】
選択的に、前記フィッティング曲線によって各画素点に対応する偏光の偏光特性を得るステップは、
前記画像グレースケール値の最大値と前記画像グレースケール値の最小値の比によって各画素点に対応する偏光の消光比を確定し、さらに前記第一偏光子の各画素点に対応する異なる入射角での光線の消光比を得るステップと、
前記画像グレースケール値の最大値に対応する前記第二偏光子の回転角度に基づいて各画素点に対応する偏光の偏光角を確定し、さらに前記第一偏光子が各画素点に対応する異なる入射角での光線の偏光角を得るステップと、を含む。
【0024】
また、本発明は前述の何れか一項に記載の偏光測定方法によって光配向のための偏光板の偏光特性を測定する光配向方法をさらに提供する。
【0025】
従来技術と比較して、本発明は、画像センサを用いて偏光情報を収集し、画像センサー上の画素アレイ中の異なる画素点を用いて入射角の異なる光に対して偏光を測定し、偏光子の一定の入射角範囲内の複数の入射角の異なる光線に対応する複数の偏光に対して一サイクルの収集測定を行うだけで、異なる画素点上の入射光の強度情報及び入射角の位相情報(画素点の光源に対する位置情報)によって偏光子の異なる入射角での偏光特性を計算することができ、偏光テスト過程を簡略し、テストの効率を効果的に向上させるものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】ワイヤーグリッドの複数の方向からの入射を示す図面である。
図2】従来の偏光板の偏光特性テスト方法を示す図面である。
図3】従来の偏光板の広角入射時の偏光特性テスト方法を示す図面である。
図4】本発明の実施例における偏光測定装置の構造を示す図面である。
図5】本発明の実施例における測定光路を示す図面である。
図6】本発明の実施例における画像センサーによって撮影されたスポットを示す図面である。
図7】本発明の実施例における画像センサーによって撮影されたスポットの三次元図面である。
図8】本発明の実施例における測定方法のステップを示す図面である。
図9】本発明の実施例における測定方法の中のデータ処理のフローチャートである。
図10】本発明の実施例におけるスポットグレースケール値と検光子の回転角の三角関数関係を示す図面である。
【0027】
a-遮断線、b-透光基板、11-光源、12-光源、21-偏光子、22-偏光子、31-開口絞り、32-開口絞り、411-第一コリメートレンズ、412-第二コリメートレンズ、42-コリメートレンズ、51-検光子、52-検光子、6-エネルギー検出器、7-画像センサー、71-画素アレイ、711-画素点、8-回転モータ、9-検光子装着ボックス、10-フレーム、S-スポット。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面とともに本発明の具体的な実施形態について詳しく説明する。以下の説明及び請求項によって本発明の長所及び特徴はさらに明確になる。なお、本発明の図面は何れも非常に簡易化した形式を採用し、且つ正確ではない縮尺比率を使用しており、本発明の実施例を容易かつ明確に説明することを補助するために用いられることに留意すべきである。
【0029】
発明者は図3に示すような偏光板の消光比及び偏光角測定方法を利用して偏光板を測定することを試みたが、検光子21の異なる広角で入射時の偏光特性を研究する時には、検光子21を頻繁に複数回回転させて入射光の入射角度を調整し、さらに以上のステップを繰り返さなければならないため、測定過程が極めて煩雑となり、テストの効率が低下する。
【0030】
図7に示すように、画像センサーを用いて検光子によるスポット情報を収集する時には、スポットのエネルギー情報を収集することができるだけでなく、画像センサーで画素アレイ上の異なる画素点が光源に対する位置によってスポットの位相情報を確定することができる。
【0031】
本発明は偏光測定装置及び測定方法を提案するものであり、エネルギー検出器の代わりに画像センサーを用いて偏光を検出した後の偏光に対して収集して測定し、スポットエネルギー情報を収集するとともに、画素アレイ上の異なる画素点で前記画素点上に入射された光線の位相情報を収集し、偏光子の所定の入射角範囲(即ち、複数の異なる入射角を含む)を有する自然光での偏光に対してのみ測定して収集し、さらに、画像センサーによって撮影された画像光強度情報及び各画素点に対応する位相情報を結合してデータ処理をすれば、偏光子の前記異なる入射角(図7に示すような方位角θ、偏光角ψ)での消光比及び偏光角を効率的に計算して得ることができる。
【0032】
以下、図4図10とともに本発明の実施例の内容について詳しく説明する。
図4に示すように、本発明の実施例は偏光測定装置を提案するものである。前記偏光測定装置は、光源12、偏光子22、検光子52、画像センサー7、回転モジュール及び分析モジュール(図示しない)を含み、光源21から発する複数の異なる入射角を有する光は偏光子22を経て偏光され、検光子52を経た後、画像センサー7に入射され、前記回転モジュールは検光子52を駆動して検光子52の法線方向を回動軸として回転し、画像センサー7は偏光を検出した後の複数の異なる入射角の光線に対応する複数の偏光の結像情報をリアルタイムで取得し、前記分析モジュールは得られた結像情報及び検光子52の回転角度を受信して前記偏光子22の異なる入射角での偏光特性を計算して確定する。
【0033】
前記偏光測定装置は、開口絞り32及びコリメートレンズ42をさらに含み、前記回転モジュールは回転モータ8及び検光子装着ボックス9を含み、検光子52は検光子装着ボックス9に装着され、検光子装着ボックス9は高精度の回転モータ8に装着され、回転モータ8は検光子装着ボックス9を駆動して検光子52の法線方向を回動軸として回転させることによって、検光子52を駆動して法線方向を回動軸として回転させる。ここで、検光子52は検光子装着ボックス9上に水平に装着され、回転モータ8は検光子装着ボックス9を駆動して検光子52の法線方向を回動軸として回転させる。つまり、検光子装着ボックス9を駆動して自分の法線方向を回動軸として回転するようにする。
【0034】
選択的に、図4に示すように、前記偏光測定装置はフレーム10をさらに含み、偏光子22、開口絞り32、コリメートレンズ42、検光子52、検光子装着ボックス9及び回転モータ8は何れも前記フレーム10上に設置される。
【0035】
図4及び図5に示すように、光源12、偏光子22、開口絞り32、コリメートレンズ42、検光子52及び画像センサー7の中心は互いに位置が合わせられ、偏光子22、コリメートレンズ42、検光子52及び画像センサー7の四つは偏光子22の法線方向に沿って平行に設置される。つまり、前記一連の素子の中心軸は互いに位置が合わせられる。
【0036】
選択的に、光源12は非コリメート光源であり、発出する光は自然光である。
【0037】
選択的に、コリメートレンズ42の開口数はテストの需要に応じて適切に選択することができ、コリメートレンズ42の開口数(NA)が0.7より大きい場合には、受け入れられる入射光の角度(レンズの主光軸との夾角)は45°より大きい。
【0038】
選択的に、偏光子22及び検光子52は図1に示すようなワイヤーグリッド偏光板を用いることができ、偏光子22及び検光子52は何れも透過型偏光子であり、両者は光を透過して偏光する。
【0039】
選択的に、画像センサー6はCCD画像センサーである。もちろん、画像センサー6はCMOS画像センサーを選択することもでき、テストの精度に対する要求及びコストによって適切に選択することができる。前記画像センサー6は複数の画素点で形成された画素アレイを含み、各画素点は入射角の異なる光の光強度情報を収集するために用いられる。
【0040】
図5に示すように、光源2から発する自然光は偏光子22を経て偏光され、さらに開口絞り32によって角度が制限され、開口絞り32を透過した光はコリメートレンズ42によってコリメートされた後検光子52に入射され、コリメートされた偏光は検光子52を透過して偏光を検出し、偏光検出後の偏光は画像センサー7に入射され、画像センサー7上に結像されてスポットが形成される。
【0041】
図6に示すように、偏光検出後の偏光は画像センサー7の画素アレイ71上にスポットSを形成し、画像センサー7上の画像アレイ71にスポットSの形状及びグレースケールを記録する。
【0042】
また、画像センサー7の画素アレイ71中の各画素点711は、入射光線の光強度情報を収集して記録することができるとともに、光線の位相情報、つまり画素点711の光源12に対する位置情報を確定することができ、図7に示すように、現在の画素点の光源12に対する位置情報によって現在の画素点上に入射された光線の入射角(θ,ψ)を確定することができる。ここで、θは方位角を示し、0~90°の値を取り、ψは偏光角を示し、0~360°の値を取る。
【0043】
前記測定装置を用いてテストをする場合、高精度の回転モータ8を利用して検光子52が所定の速度で段階的に一定の角度で回転するように制御し、同時に検光子5が一角度回転する度に、画像センサー7を用いてこの時のスポットSの形状とグレースケールを収集して記録し、また対応する検光子52の回転角値を記録する。
【0044】
前記分析モジュールは画像センサー7の画素アレイ71中の各画素点711で収集した入射光線の光強度情報及び位相情報を受信して取得し、この情報によって偏光子22の偏光特性を計算して確定する。
【0045】
同時に、本発明の実施例は前記測定装置を用いて検光子の偏光特性を測定する方法をさらに提供する。
図8に示すように、この測定方法は、
S1、偏光子22を用いて、光源12から発する複数の入射角の異なる自然光を偏光して、偏光を得るステップと、
S2、検光子52を通じて前記偏光に対して偏光を検出するステップと、
S3、検光子52を駆動して所定の速度で段階的に所定の角度で検光子52の法線方向を回動軸として回転させ、画像センサー7によって検光子52が一角度回転度の偏光検出後の偏光の結像情報をリアルタイムで取得するステップと、
S4、分析モジュールを用いて前記結像情報及び前記検光子52の回転角度に基づいて偏光子22の異なる入射角での偏光特性を計算するステップと、
を含む。
【0046】
選択的に、偏光子22で偏光された後、検光子52で検出する前、即ちステップS1とS2との間において、前記測定方法は、
(1)開口絞り32によって前記偏光に対して角度を制限するステップと、
(2)コリメートレンズ42を通じて前記開口絞り32によって角度が制限された前記偏光をコリメートするステップと、をさらに含む。
【0047】
検光子52の回転速度及びステッピング角度パラメータは、テストに必要なデータサンプリングレート及び画像センサー7の収集速率などのパラメータによって決められ、異なるパラメータ及び需要によって適切に調節することができる。
【0048】
ステップS3において、収集して得られた結像情報は、収集した光強度情報(及び前記光強度情報によって画像グレースケール値Hが得られる)及び各画素点に対応する位相情報を含む。
【0049】
偏光検出後の結像情報に対しては、透過偏光強度の公式のマリュス法則:
により知ることができるように、画像センサー7で得られる画像グレースケール値Hと検光子52の回転角度α’は同様に三角関数の関係
を呈する。式において、Iは透過光の光強度を表し、Iは透過光の最大光強度を表し、
は偏光子22の偏光方向と検光子52の偏光方向との間の夾角であり、Hは収集した画像のグレースケール値を表し、Hは画像グレースケール値の最大値を表し、α’は検光子の回転角度であり、定数Cは検光子52の初期偏光方向と偏光子22の偏光方向との間の夾角である。
【0050】
図10に示すように、画像センサー7から得られた画像グレースケール値Hと検光子52の回転角度α’が三角関数関係
を呈するので、テストの過程で、検光子52は少なくとも半周回転(即ち180°回転)して、データーサンプリングの完全性を保証する必要がある。つまり少なくとも1サイクル以内のデータを収集して得られる。選択的に、検光子52は1回に10度回転し、毎回回転した後、5秒間停止して、画像センサー7が結像情報を収集するようにし、さらに回転し続けて合計18~36回回転する。
【0051】
ステップS4において、前記分析モジュールによって一連の結像情報(光強度情報(及び対応する画像グレースケール値H)、画素点の位相情報)、及び検光子52の回転角α’を取得する。それによって、偏光子22の異なる入射角度(θ、ψ)での消光比及び偏光角を含む偏光特性を計算する。
【0052】
具体的には、図9も合わせて参照して説明すると、
分析モジュールを用いて前記結像情報に基づいて偏光子22の異なる入射角での偏光特性を計算するステップS4は、
S41、画像センサー7上で各画素点711と光源12の相対位置によって現在の画素点上の自然光の入射角(θ、ψ)を確定し、画像センサー7の入射角の雲図(nephogram:ネフログラム)を得るステップと、
S42、画像センサー7上の各画素点711が検光子52の異なる回転角α’で収集した光強度情報及び得られた対応する画像グレースケール値Hを抽出し、マリュス法則によって三角関数フィッティングを行ってフィッティング曲線を得るステップ;
S43、フィッティングにより得られたフィッティング曲線によって各画素点に対応する偏光の偏光特性を算出して画像センサー7に対応する偏光特性の雲図(nephogram:ネフログラム)が得られ、入射角の雲図(nephogram:ネフログラム)と偏光特性の雲図(nephogram:ネフログラム)を結合して偏光子22の異なる入射角(θ、ψ)での偏光特性が得られるステップと、を含む。
【0053】
選択的に、ステップS41において、図7に示すように、前記分析モジュールにおいて、測定装置の構造によって光の入射角を計算し、画素アレイ71における各画素点711に対して現在の画素点711と光源12の相対位置によって前記画素点711に入射される入射光線の入射角(θ、ψ)を確定し、それにより、異なる画素点711上の入射光線の入射角の雲図(nephogram:ネフログラム)を得ることができる。
【0054】
ステップS42において、図9によれば、画素アレイ71における各画素点711に対して、検光子52を少なくとも半周回転させ、一角度回転する度の光強度情報を収集して対応する画像グレースケール値Hを得る。得られた画像グレースケール値Hと対応する偏光検出偏光子52の回転角度α’を抽出し、マリュス法則によって三角関数フィッティングを行って、図10に示すようなフィッティング三角関数曲線を得る。
【0055】
ステップS43において、現在の画素点の結像情報のデータによって得られた三角関数曲線をフィッティングした後、さらに前記フィッティング三角関数曲線によって現在の画素点の消光比及び偏光角を求め、さらに画素アレイ71の消光比の雲図(nephogram:ネフログラム)と偏光角の雲図(nephogram:ネフログラム)を求めて画像センサー7の対応する偏光特性の雲図(nephogram:ネフログラム)を得ることで、偏光子22の異なる入射角(θ、ψ)での偏光特性を得ることができる。選択的に、フィッティングして得られた三角関数によって各画素点に対応する偏光の偏光特性を計算して確定するステップS43は、
S431、画像グレースケール値Hの最大値Hと画像グレースケール値Hの最小値Hとの比によって各画素点に対応する偏光の消光比を確定し、さらに偏光子22の各画素点に対応する異なる入射角での入射角の消光比を得るステップと、
S432、画像グレースケール値Hの最大値Hに対応する検光子52の回転角α’によって各画素点に対応する偏光の偏光角を確定し、さらに、偏光子22の各画素点に対応する異なる入射角での入射光の偏光角を得るステップと、を含む。
【0056】
ここで、図10に示すように、各画素点に対して、フィッティング三角関数曲線によって現在の画素点の画像グレースケール値の最大値Hと画像グレースケール値の最小値Hを求めることができる。画像グレースケール値の最大値Hと画像グレースケール値の最小値Hによって消光比を計算し、画像グレースケール値の最大値Hと画像グレースケール値の最小値Hとの比が偏光子22の入射角(θ、ψ)での消光比であり、画像グレースケール値の最大値Hによって偏光角を確定し、画像グレースケール値の最大値Hに対応する回転角値α’は偏光子22の入射角(θ、ψ)での偏光角である。
【0057】
最後に、画素アレイ71上の画素711の一対一の対応により、ステップS41で得られた入射角の雲図(nephogram:ネフログラム)とステップS43における消光比の雲図(nephogram:ネフログラム)または偏光角の雲図(nephogram:ネフログラム)とを組み合わせて、偏光子22の異なる入射角(θ、ψ)での消光比及び偏光角を得る。
【0058】
図10に示すように、フィッティングされた三角関数曲線上で、ある一サイクル(180°)内で、画像グレースケール値の最大値HがA点にあり、画像グレースケール値の最小値HがB点にあり、フィッティング曲線上の点AとBに対応する画像グレースケール値HとHを収集し、両者の比は現在の画素点の消光比であり、フィッティング曲線上の点Aに対応する回転角の値α’を収集し、回転角α’は現在の画素点における偏光子22の偏光角であり、さらに現在の画素点と光源12との相対位置によって光線の入射角(θ、ψ)を算出して、最終的に画素アレイ71上の異なる画素711によって偏光子22の異なる入射角(θ、ψ)での消光比及び偏光角が得られ、さらに、偏光子22の異なる入射角(θ、ψ)での偏光特性が得られる。
【0059】
また、本発明の実施例は光配向方向をさらに提供するものであり、前記いずれかに記載の偏光測定方法を用いて光配向のための偏光板の偏光特性を測定する。画像センサーを通じてある一入射角範囲内(即ち、複数の異なる角度を有する光線)の偏光結像情報に対して一次的に周期的に収集するだけでよく、偏光子を複数回回転して入射角を調整し、且つ偏光結像情報に対して繰り返し複数回周期的に収集する必要がなく、偏光子の異なる入射角での偏光特性を計算することができる。
【0060】
上述したように、偏光子を複数回回転して入射角度を調整し、繰り返し収集測定して異なる入射角での消光比及び偏光角を計算する必要がある従来の測定方法に比べて、本発明の実施例による偏光測定装置及び測定方法は、エネルギー検出器の代わりに画像センサを用いて偏光を測定し、画像センサー上の画素アレイ中の異なる位置の画素点を用いて入射角の異なる光に対して偏光を測定し、偏光子の一定の入射角範囲内(複数の異なる角度を有する)の自然光での偏光結像情報に対して一サイクルの収集測定を行うだけで、画像センサーの画素アレイ中の異なる位置における画素点の入射光の位相情報と結合して偏光子が前記入射角の範囲内の異なる入射角での偏光特性を計算して得られることができて、テスト過程を簡略し、テストの効率を向上させた。
【0061】
以上は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明に対して何らの制限作用をするのではない。本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者は本発明の技術方案の範囲内で、本発明で開示した技術方案及び技術内容に対して何れの形式の同等な取り替えまたは修正などの変動を行うことができ、これらは全部本発明の技術方案を逸脱しない内容に属し、本発明の保護範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10