(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】バイポーラバッテリ組立体
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20220302BHJP
H01M 50/193 20210101ALI20220302BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20220302BHJP
H01M 4/04 20060101ALI20220302BHJP
H01M 10/0566 20100101ALI20220302BHJP
H01M 10/0585 20100101ALI20220302BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20220302BHJP
H01M 50/463 20210101ALI20220302BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M50/193
H01M50/184 C
H01M4/04 A
H01M10/0566
H01M10/0585
H01M10/052
H01M50/463 B
(21)【出願番号】P 2019056030
(22)【出願日】2019-03-25
(62)【分割の表示】P 2017103229の分割
【原出願日】2012-04-16
【審査請求日】2019-04-22
(32)【優先日】2011-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514105033
【氏名又は名称】アドバンスト バッテリー コンセプツ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】エドワード オー. シャッファー,ツー
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド ホブデイ
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-129456(JP,A)
【文献】特開2005-005163(JP,A)
【文献】特開2011-151016(JP,A)
【文献】特開2007-323901(JP,A)
【文献】特開2009-301825(JP,A)
【文献】特開2008-053102(JP,A)
【文献】特開2007-207510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 50/40
H01M 50/10
H01M 4/04
H01M 10/0566
H01M 10/0585
H01M 10/052
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイポーラバッテリであって、前記バイポーラバッテリは、
a)電気化学セルに組立てられるバッテリプレートの1つ以上のスタックであって、
- 一方の面にアノードをかつ他方の面にカソードを有する基板を備える1つ以上のバイポーラプレートと、
- 一方の面にカソードを有する基板を備えるモノポーラプレートと、
- 一方の面にアノードを有する基板を備えるモノポーラプレートと、を有し、
バッテリプレートは、表面にカソードを備えるバッテリプレートの面が、表面にアノードを備える他のバッテリプレートの面に対面するように配置され、モノポーラプレートはバッテリプレートの各スタックの対向端に配置される、バッテリプレートの1つ以上のスタックと、
b)バッテリプレートの各対の間に配置された液体電解質であって、アノードとカソードの対と協働して電気化学セルを形成すべく機能する、液体電解質と、
c)前記電気化学セルの前記アノードと前記カソードとの間に配置されるセパレータ
であって、シートの形態である、セパレータと、
d)バッテリプレートの前記1つ以上のスタックの縁部の全外周部の回りに配置され、バッテリプレートの縁部の外周部の回りのシールを形成する熱可塑性ポリマからなる膜であって、前記シールは前記液体電解質がバッテリプレートの前記1つ以上のスタックの外部に流れることを防止する、膜と、
を備え、
前記膜は、前記バッテリプレートの前記1つ以上のスタックの全ての前記バッテリプレートの前記縁部に接合されて、前記縁部をシールし、且つ前記電気化学セルを隔絶し、前記膜は、前記バッテリプレートの前記1つ以上のスタックの各側面に接合さ
れ、
前記膜は、シートであり、
i)前記シートは、前記スタックの外周部の回りに巻かれる単一の一枚シートである、または、
ii)前記膜は複数の膜を含み、各膜は、それが接合される前記スタックの側面と同サイズであり、前記膜は前記スタックの各側面に接合される、
バイポーラバッテリ。
【請求項2】
前記膜は前縁部と後縁部を有し、前記膜の前記前縁部と前記後縁部は、前記液体電解質が前記1つ以上のスタックの内部から前記膜の外部に流出しないように、前記膜がバッテリプレートの前記1つ以上のスタックの外周部の回りにシールを形成するように互いに融着される、請求項1に記載のバイポーラバッテリ。
【請求項3】
前記1つ以上のバイポーラプレートの前記基板はポリマ基板であり、前記ポリマ基板は前記ポリマ基板の両面と連通して前記ポリマ基板を貫通する複数の開口を有し、1つ以上の前記開口は、前記ポリマ基板の両面と接触する導電性材料で充填される、請求項2に記載のバイポーラバッテリ。
【請求項4】
前記1つ以上のバイポーラプレートの前記基板は、熱硬化性ポリマの外周部の回りに取付けられた1つ以上の熱可塑性ポリマを有する1つ以上の熱硬化性ポリマからなる、請求項1~3のいずれか1項に記載のバイポーラバッテリ。
【請求項5】
前記膜は、前記モノポーラプレートおよび前記バイポーラプレートの縁部をシールできると共に、前記液体電解質への露出に耐え、且つ前記バイポーラバッテリが内的および外的に露出される条件に耐えることができるポリマ材料のシートからなる、請求項1~4のいずれか1項に記載のバイポーラバッテリ。
【請求項6】
同じ熱可塑性ポリマが前記モノポーラプレートの前記基板、前記1つ以上のバイポーラプレートの基板、および前記膜に使用される、請求項1~5のいずれか1項に記載のバイポーラバッテリ。
【請求項7】
前記熱可塑性ポリマは、前記モノポーラプレートの前記基板および前記1つ以上のバイポーラプレートの前記基板の回りで融着、振動溶接またはモールディングされる、請求項1~6のいずれか1項に記載のバイポーラバッテリ。
【請求項8】
前記熱可塑性ポリマは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABSまたはポリエステルである、請求項1~7のいずれか1項に記載のバイポーラバッテリ。
【請求項9】
前記膜は、バッテリプレートの前記1つ以上のスタックの回りに成形される、請求項1~8のいずれか1項に記載のバイポーラバッテリ。
【請求項10】
前記1つ以上のスタックと接触する前記シートの第1の縁部である前記膜の前縁部と、前記シートの端部である前記膜の後縁部は、互いに接合されて前記シールを完成する、請求項1~
9のいずれか1項に記載のバイポーラバッテリ。
【請求項11】
前記バイポーラバッテリは、圧力が前記バイポーラバッテリへの損傷を引き起こす圧力より低い所定の圧力レベルに到達したときに、バイポーラプレートのシールされたスタック内の圧力を解放するように適合された1つ以上の弁を備える、請求項1~
10のいずれか1項に記載のバイポーラバッテリ。
【請求項12】
前記バッテリプレートと前記セパレータを貫通する1つ以上の孔は、整合してチャネルを形成する、請求項1~
11のいずれか1項に記載のバイポーラバッテリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2011年10月24日付米国仮特許出願第61/550,657号の出願日の利益を主張する。また、該米国仮特許出願の内容は、あらゆる目的で本願に援用する。
【0002】
本発明は、広くは、バイポーラバッテリ組立体、該バイポーラバッテリ組立体の製造方法および該バイポーラバッテリ組立体の使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
バイポーラバッテリは、当業界において知られている(下記特許文献1参照。該特許文献1はその全体を本願に援用する)。バイポーラバッテリは、他のバッテリ設計と比較して、スケーラビリティ、比較的高いエネルギ密度、高い出力密度および設計のフレキシビリティ等の長所が得られる。バイポーラバッテリは、多数のバイポーラプレートおよび2つのモノポーラエンドプレートを有している。バイポーラプレートは両面シートの形態をなす基板を有し、該基板は、その一方の面に、しばしば正極活物質(Positive Active Material:PAM)と呼ばれているカソード材料を備え、他方の面に、しばしば負極活物質(Negative Active Material:NAM)と呼ばれているアノード材料を備えている。基板と、アノード材料またはカソード材料との間には、導電性シートが配置される。バイポーラプレートは、1つのプレートのアノード材料が次のプレートのカソード材料に対面するように積み重ねられ、配置される。殆どの組立体では、隣接するプレート間にバッテリセパレータが配置され、該バッテリセパレータは、電解質がカソード材料からアノード材料に流れることを可能にする。プレート間の空間内には、アノード材料とカソード材料との間で電子およびイオンが流れることを可能にする電解質が配置されている。バイポーラプレートの隣接面は電気化学セルを形成し(プレート同士の間にはセパレータおよび電解質が配置されている)、該電気化学セル内では、アノード材料とカソード材料との間で電子およびイオンが交換される。バッテリの構造は、バイポーラプレートにより形成される各セルがシールされて、セルからの電解質の流出を防止するように構成されている。多くの設計では、これは、基板の全ての辺を、カソード材料およびアノード材料が配置される部分を超えて延長させることにより達成される。各電子-化学セルのシールに使用される構造は、基板上にアノード材料またはカソード材料が存在しないプレートの部分と接触している。また、バッテリセパレータは、アノード材料およびカソード材料が配置されていない基板の部分を超えて延長させることができる。各セルには、該セルから1つ以上のターミナルに電子を送る電流導体が接続されており、ターミナルからは、電子が、電気の形態で電子を用いる他のシステムでの負荷に送られる。或る実施形態では、セルの電流導体は、電子をバッテリのターミナルに送る他の電流導体と接触している導電性シートである。スタックの各端は、アノード材料またはカソード材料が一方の面に配置されたモノポーラプレートである。モノポーラプレートの面上の材料は、スタックの端でのバイポーラプレートの対向面と協働してセルを形成する材料が選択される。より詳しくは、モノポーラプレートに対面するバイポーラプレートがプレートの面上にカソード材料を有する場合には、モノポーラプレートがその面上にアノード材料を有し、また、これと逆のこともいえる。慣用の設計では、バッテリのスタックがケース内に配置される。このケースは、プレートのスタックの周囲でシールされかつバッテリの外部に配置された1対以上の正および負のターミナルを有し、各対のターミナルは電流導体に接続され、該導体は、本明細書で説明するように1つ以上のセルに更に接続されている。
【0004】
バイポーラバッテリ組立体は長所を有するにもかかわらず、欠点を有するため商業化が妨げられている。バイポーラバッテリは、作動中に、アノード材料およびカソード材料の膨張および収縮、電気化学プロセス中のガス発生および熱発生により高い内部圧力を発生する。バイポーラバッテリは対応性を有するため、セル内に高い圧力を発生できる。また、発生熱は発生圧力に悪い作用を与えかつバッテリを構成材料に損傷を与える熱レベルを発生する暴走反応を引き起こし、バッテリを作動不能にする。圧力は、電気化学セルの周囲のシールを破裂させて、セルおよびバッテリを機能しなくする。本出願人に係る下記特許文献2には、優れた縁部シーリング組立体およびバイポーラプレート設計によるこれらの問題の解決方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2009/0042099号明細書
【文献】米国特許出願公開第2010/0183920号明細書(名称「バイポーラバッテリ組立体(BIPOLAR BATTERY ASSEMBLY)」)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
バイポーラバッテリが商業化されかつこの技術の全可能性が達成される前に対処すべき必要性が依然として存在する。より詳しくは、作動時に発生される熱および圧力を優れた方法で取扱うバイポーラバッテリの設計が要望されている。バッテリの現在および将来のユーザは、しばしば、バッテリに利用できるパッケージングスペースが制限されており、利用できるパッケージングスペースに適合できるバッテリが要望されている。バッテリを用いる殆どのシステムは軽量バッテリを望んでおり、軽量のバイポーラバッテリが望まれている。電気セルおよびセパレータケースのシーリングに使用される特殊部品等の部品および複雑さを低減させるバイポーラバッテリが要望されている。簡単でかつ既知の製造技術を使用しかつ上記目的を達成できるバッテリ組立体の製造方法が要望されている。ユーザの要望に適合するようにシールできるバッテリが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の物品は1つ以上の上記要望を満たすものであり、
a)バッテリプレートの1つ以上のスタックを有し、該スタックが1つ以上のバイポーラプレートを有し、該バイポーラプレートは基板を有し、該基板は一方の面にアノードをかつ他方の面にカソードを備え、一方の面にカソードを備えるモノポーラプレートと一方の面にアノードを備えるモノポーラプレートを有し、プレートは、表面にカソードを備えるプレートの面が、表面にアノードを備える他のプレートの面に対面するように配置され、モノポーラプレートはバッテリプレートの各スタックの対向端に配置され、
b)各プレートの間にセパレータおよび液体電解質が配置され、下記1つ以上の特徴を更に有し、
1)c)バッテリプレートの1つ以上のスタックが、カソードおよび/またはアノードを備えるプレートの部分を通って横方向に延びる複数のチャネルを備え、および
d)i)チャネルの周囲の1つ以上のシールを有し、該シールはチャネル内への液体電解質の漏洩を防止し、1つ以上のチャネル内に配置されたポストを有し、該ポストの各端部にはオーバーラップ部分が設けられ、該オーバーラップ部分は、チャネルと、横方向チャネルの孔に隣接するモノポーラプレートの外部のシーリング面とをカバーし、かつモノポーラプレートのシーリング面に圧力を加え、該圧力は、バッテリプレートのスタックにより形成される電気化学セルの組立ておよび作動中に発生される圧力に充分耐えることができ、または
ii)1つ以上のチャネル内に配置されたポストを有し、該ポストの各端部は、チャネルと、横方向チャネルの孔に隣接するモノポーラプレートの外部のシーリング面とをカバーする部分を有し、かつモノポーラプレートのシーリング面に圧力を加え、該圧力は、バッテリプレートのスタックにより形成される電気化学セルの組立ておよび作動中に発生される圧力に充分耐えることができ、ポストは、電解質への露出に耐えることができかつ電解質がチャネルに流入することを防止する材料から製造され、
2)c)熱可塑性ポリマからなる膜が、プレートのスタックの縁部の全外周部の回りに配置されて、プレートの縁部の外周部の回りのシールを形成し、該シールは電解質がプレートのスタックの外部に流れることを防止し、
3)セパレータは、その外周部に接着されたシートの形態をなし、バッテリプレートの基板シートの外周部に隣接してフレームを配置でき、
4)c)電気化学セルと連通するベント孔と連通している一体チャネルを更に有する。或る実施形態では、膜は、プレートの周囲に熱可塑性材料のシートを融着、好ましくは振動融着または熱融着することにより形成される。或る実施形態では、膜は、好ましくは振動溶接または熱溶接により、プレートの縁部の周囲に熱可塑性材料のシート膜を溶接することにより形成される。或る実施形態では、膜は、好ましくは射出成形により、プレートの周囲にモールディング(成形)することにより形成される。
【0008】
或る実施形態では、本発明の物品は、
a)バッテリプレートの1つ以上のスタックを有し、該スタックが1つ以上のバイポーラプレートを有し、該バイポーラプレートはシートの形態をなす基板を有し、該基板はシートの一方の面にアノードをかつ他方の面にカソードを備え、一方の面にカソードを備えるモノポーラプレートと一方の面にアノードを備えるモノポーラプレートを有し、バイポーラプレートは、表面にカソードを備えるバイポーラプレートの面が、表面にアノードを備える他のプレートの面に対面するように、かつアノードを備えるバイポーラプレートの面がカソードを備える他のプレートの面に対面するように配置され、モノポーラプレートはバッテリプレートの各スタックの対向端に配置され、
b)各プレートの間に任意のセパレータが配置され、該セパレータは、液体電解質を透過しかつイオンを通すことができかつアノードとカソードとの電気的短絡を防止し、
c)バッテリプレートの1つ以上のスタックが、カソードおよび/またはアノードを備えるプレートの部分を通って横方向に延びる複数のチャネルを備え、
d)i)チャネルの周囲の1つ以上のシールを有し、該シールはチャネル内への液体の漏洩を防止し、各チャネル内に配置されたポストを有し、各ポストの各端部にはオーバーラップ部分が設けられ、該オーバーラップ部分は、チャネルと、モノポーラプレートの横方向チャネルの孔に隣接するモノポーラプレートの外部のシーリング面とをカバーし、かつモノポーラプレートのシーリング面に圧力を加え、該圧力は、バッテリプレートのスタックにより形成される電気化学セルの組立ておよび作動中に発生される圧力に充分耐えることができ、または
ii)各チャネル内に配置されたポストを有し、各ポストの各端部は、チャネルと、モノポーラプレートの横方向チャネルの孔に隣接するモノポーラプレートの外部のシーリング面とをカバーする部分を有し、かつモノポーラプレートのシーリング面に圧力を加え、該圧力は、バッテリプレートのスタックにより形成されるセルの組立ておよび作動中に発生される圧力に充分耐えることができ、ポストは、電解質への露出に耐えることができる材料から製造されかつ電解質がチャネルに流入することを防止し、
e)プレートの縁部は、電解質がプレートのスタックの外部に流出することを防止すべくシールされている。物品は更に、横方向チャネルの外周部の回りに1つ以上のシールを有し、該シールはチャネルの内面に配置された膜からなる。シールは、横方向チャネルに沿ってプレートの孔と孔との間に配置されたブシュにより形成される。物品は、好ましくは、横方向チャネルの外周部の回りにシールを有し、ポストは、モノポーラプレートのシーリング面に圧力を加えるべく、オーバーラップ部分を所定位置に保持する充分な構造的一体性を有する任意の材料からなる。シーリング面は、ポストのオーバーラップ部分と接触するプレートの部分である。本発明の一態様では、バイポーラプレートはポリマ基板からなり、該基板はこれを貫通する複数の開口を有し、各開口は基板の両面と連通しており、1つ以上の開口には、基板の両面と接触する導電性材料が充填される。
【0009】
他の態様では、本発明の物品は、
a)バッテリプレートの1つ以上のスタックを有し、該スタックが1つ以上のバイポーラプレートを有し、該バイポーラプレートは、一方の面にアノードをかつ他方の面にカソードを備えた基板からなり、一方の面にカソードを備えるモノポーラプレートと一方の面にアノードを備えるモノポーラプレートを有し、バイポーラプレートは、表面にカソードを備えるバイポーラプレートの面が、表面にアノードを備える他のプレートの面に対面するように、かつ表面にアノードを備えるバイポーラプレートの面が、表面にカソードを備える他のプレートの面に対面するように配置され、モノポーラプレートはバッテリプレートの各スタックの対向端に配置され、
b)各プレートの間にセパレータが配置され、該セパレータは、液体電解質を透過しかつイオンを通すことができかつアノードとカソードとの電気的短絡を防止し、
c)熱可塑性ポリマからなる膜がプレートのスタックの縁部の全外周部の回りに配置され、プレートの縁部の外周部の回りにシールを形成し、該シールは電解質がプレートのスタックの外部に流出することを防止し、
d)バッテリプレートの各対の間には液体電解質が配置されている。好ましい一実施形態では、膜が全てのプレートの縁部に融着され、プレートの外周部の回りにシールを形成している。本発明の他の態様では、膜の前縁部および後縁部が互いに融着され、膜がプレートの1つ以上のスタックの外周部の回りにシールを形成して、電解質がスタックの内部から膜の外部に流出しないようにする。他の実施形態では、膜はバッテリプレートのスタックの回りにモールディングされ、このモールディングは射出成形により行うのが好ましい。
【0010】
或る実施形態では、本発明の物品は、周囲にフレームが接着されたシートの形態をなすセパレータを有し、フレームは、バッテリプレートの基板シートの外周部に隣接して配置される。或る実施形態では、本発明の物品は、
a)バッテリプレートの1つ以上のスタックを有し、該スタックはシートの形態の基板を有し、該基板はシートの一方の面にアノードおよび他方の面にカソードを備え、一方の面にカソードを備えるモノポーラプレートと一方の面にアノードを備えるモノポーラプレートを有し、プレートは、表面にカソードを備えるプレートの面が、表面にアノードを備える他の面に対面するように配置され、モノポーラプレートは、バッテリプレートの各スタックの両端部に配置され、
b)シートの形態をなす1つ以上のセパレータの外周部にはフレームが接着され、フレームは、バッテリプレートの基板シートの外周部に隣接して配置される。本発明の物品は更に、逆止弁のような1つ以上の弁を有し、該弁は、圧力が、物品への損傷を引き起こす圧力に近くてこれより低い圧力レベルに到達したときに、バイポーラプレートのシールされたスタック内の圧力を解放することができる。
【0011】
本発明の物品は、電気を貯蔵するバッテリとして有効であり、種々の環境で使用する電気を発生する。本発明の物品は、物品の外表面に顕著な損傷を与えることなく、したがって液体電解質が物品内に収容されるようにして、作動中に発生した圧力および熱を取り扱うように設計されている。本発明の物品は、慣用の材料およびプロセスを用いて組立てることができる。本発明の物品は、複雑なシーリング構造を必要とすることなく、列挙した長所を達成できる。本発明の物品は、ユーザのパッケージングスペースに適合すべく、種々の形状のスペースに適合できる。本発明の物品の設計は、種々のエネルギ需要をユーザに供給するサイズに寸法を定めることを可能にする。本発明の物品の組立体は、従来技術の物品の組立体より効率的である。本発明の物品は、端プレートに損傷を与えることなく、構造の端プレートに加えられる約10psiまでの圧力、好ましくは約50psiまでの圧力、および最も好ましくは約100psiまでの圧力に耐えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】横方向チャネル内のボルト上の端プレートを備えた本発明の組立体を示す側面図である。
【
図3】バイポーラプレートのスタックの周囲に配置された膜を備えた組立体を示す斜視図である。
【
図4】マニホルドおよび逆止弁を備えた本発明の組立体を示す図面である。
【
図5】本発明のセパレータシートを示す図面である。
【
図6】ポストが横方向チャネル内に射出成形された本発明の組立体の他の実施形態を示す図面である。
【
図7】バッテリプレートおよびセパレータプレートのスタックを示す図面である。
【
図8】バッテリプレートおよびセパレータプレートのスタックを示す図面である。
【
図9】本発明の組立体の他の実施形態を示す図面である。
【
図10】
図9の組立体を、A-A平面に沿って切断した断面図である。
【
図11】スタックの端部を、
図9のB-B線に沿って切断した部分断面図である。
【
図12】
図9の組立体を、ベント孔通り電気化学セルまでC-C平面に沿って切断した断面図である。
【
図13】組立体の端プレートに弁を備えた本発明の組立体の他の実施形態を示す図面である。
【
図14】
図13の組立体を、ベント孔と連通する一体チャネルを通り電気化学セルまでE-E平面に沿って切断した断面図である。
【
図15】
図13の組立体を、ベント孔と連通する一体チャネルを通り電気化学セルまでF-F平面に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書での説明および例示は、本発明、その原理および実際の用途を当業者に開示することを意図したものである。当業者ならば、本発明をその種々の形態に適合させかつ特定用途の条件に適合させることができるであろう。したがって、以下に述べる本発明の特定実施形態は、本発明を限定しまたは制限するものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載および特許請求の範囲に包含される均等物の全範囲を参照して決定されるべきものである。特許出願および特許公報を含むあらゆる論文および参照文献の開示は、あらゆる目的で本明細書に援用する。
【0014】
本発明はバッテリとして有効な物品に関し、該物品は、複数のバイポーラプレートの1つ以上のスタックと、バイポーラプレートのスタックの各端に配置される2つのモノポーラプレートとを有し、該モノポーラプレートはバイポーラプレート同士の間に配置された液体電解質を有し、物品は更に1つ以上の次の特徴を有する。すなわち、
1)c)バッテリプレートの1つ以上のスタックが、カソードおよび/またはアノードを備えるプレートの部分を通って横方向に延びる複数のチャネルを備え、および
d)i)チャネルの外周部の回りの1つ以上のシールを有し、該シールはチャネル内への液体電解質の漏洩を防止し、1つ以上のチャネル内に配置されたポストを有し、該ポストの各端部にはオーバーラップ部分が設けられ、該オーバーラップ部分は、チャネルと、横方向チャネルの孔に隣接するモノポーラプレートの外部のシーリング面とをカバーし、かつモノポーラプレートのシーリング面に圧力を加え、該圧力は、バッテリプレートのスタックにより形成される電気化学セルの組立ておよび作動中に発生される圧力に充分耐えることができ、または
ii)1つ以上のチャネル内に配置されたポストを有し、該ポストの各端部は、チャネルと、横方向チャネルの孔に隣接するモノポーラプレートの外部のシーリング面とをカバーする部分を有し、かつモノポーラプレートのシーリング面に圧力を加え、該圧力は、バッテリプレートのスタックにより形成される電気化学セルの組立ておよび作動中に発生される圧力に充分耐えることができ、ポストは、電解質への露出に耐えることができる材料から製造され、ポストは電解質がチャネルに流入することを防止し、
2)c)熱可塑性ポリマからなる膜が、プレートのスタックの縁部の全外周部の回りに配置されて、プレートの縁部の外周部の回りのシールを形成し、該シールは電解質がプレートのスタックの外部に流れることを防止し、
3)セパレータは、その外周部に接着されたシートの形態をなし、フレームはバッテリフレームの基板シートの外周部に隣接して配置され、および
4)c)一体弁および該弁と連通している一体チャネルを更に有している。或る実施形態では、膜は、プレートの縁部の回りで熱可塑性材料のシートを熱融着することにより形成される。或る実施形態では、膜は、プレートの回りの射出成形により形成される。横方向チャネルは、液体電解質がチャネルに流入することを防止するシールを更に有し、またはポストは、チャネルをシールして電解質がチャネルに流入することを防止するように選択される。本発明はバッテリとして有効な物品に関し、バイポーラプレート同士の間に配置された液体電解質を備えた複数のバイポーラプレートを有している。熱可塑性ポリマからなる膜は、プレートのスタックの縁部の全外周部の回りに配置され、プレートのスタックの外周部の回りにシールを形成し、該シールは電解質がプレートのスタックの外部に流出することを防止する。膜は、例えばプレートのスタックの縁部に融着するか、プレートのスタックの回りにモールディングする等の慣用技術を用いて固定される。本発明は、本明細書に開示する物品の製造について説明するプロセスを有している。
【0015】
本発明の物品およびプロセスは更に、本願に開示する選択および他の実施形態を含む任意の組合せの下記特徴の1つ以上を有している。すなわち、モノポーラプレートおよびバイポーラプレートの基板は熱可塑性ポリマからなり、熱可塑性ポリマからなる膜はプレートのスタックの全外周部の回りに配置され、これによりプレートの縁部の回りにシールを形成し、該シールは電解質がプレートのスタックの外部に流出することを防止し、膜は全てのプレートの縁部に融着されて、プレートの外周部の回りにシールを形成し、膜はプレートのスタックの回りにモールディングされ、膜はプレートのスタックの回りに射出成形され、膜の前縁部および後縁部は互いに融着され、膜は、電解質がスタックの内部から膜の外部に流出しないように、プレートの1つ以上のスタックの回りにシールを形成し、物品は横方向チャネルの外周部の回りのシールを有し、該シールは1つ以上の膜からなり、物品は横方向チャネルの外周部の回りのシールを有し、シールは横方向チャネルに沿って、プレートの孔同士の間に配置されたブシュにより形成され、物品は横方向チャネルの外周部の回りのシールを有し、ポストは、オーバーラップ部分を所定位置に保持して充分な構造的一体性を有し、モノポーラプレートのシーリング面に圧力を加えられる任意の材料からなり、物品は横方向チャネルの外周部の回りのシールを有し、ポストは、オーバーラップ部分を所定位置に保持して充分な構造的一体性を有し、モノポーラプレートのシーリング面に圧力を加えられる任意の金属からなり、物品は、横方向チャネルの外周部の回りのシールを備えておらず、ポストは、電解質に露出されたときにその構造的一体性を維持する材料からなり、導電性を有しかつ横方向チャネルをシールして、電解質がチャネルに流入することを防止し、ポストは、プレートのスタックにより形成される電気化学セルの作動温度より高いガラス転移温度または融点を呈するセラミックまたはポリマからなり、ポストはその外面にねじ山を備え、チャネルにはポストを受入れるねじ山が形成され、ポストはチャネルのねじ山内に嵌合され、オーバーラップ部分は、ナットおよび/またはポストの端部のボルトヘッドにより形成され、オーバーラップ部分を備えたポストは1つ以上の熱可塑性ポリマからなりかつ射出成形のようなモールディングにより形成され、ブシュは、各横方向チャネルがスタックを介してシールされるようにして各バッテリプレートの各孔に隣接して配置され、バイポーラプレートは、基板を貫通する複数の開口を備えたポリマ基板からなり、これにより各開口が基板の両面と連通し、1つ以上の開口には導電性材料が充填され、該導電性材料は基板の両面と接触しており、物品は更に逆止弁を有し、該逆止弁は、圧力が物品に損傷を生じさせる圧力より低い所定の圧力レベルに到達したときにバイポーラプレートのシールされたスタック内の圧力を解放でき、ポストは横方向チャネル内で射出成形され、基板は、この外周部の回りに取付けられた熱可塑性ポリマのリボンを備えた熱硬化性ポリマからなり、バッテリプレートの1つ以上のスタックは、
e)カソードペーストおよび/またはアノードペーストが塗布されたプレートの部分を横方向に通る1つ以上のチャネルを有し、および
f)i)チャネル内への液体の漏洩を防止するチャネルの外周部の回りのシールと、各チャネル内に配置されたポストとを有し、各ポストは各端部にオーバーラップ部分を有し、該オーバーラップ部分は、チャネルと、プレートを横方向に貫通する孔に隣接するモノポーラプレートの外部のシーリング面とをカバーしかつモノポーラプレートの外面に圧力を加え、該圧力は、バッテリプレートのスタックにより形成されるセルの組立ておよび作動中に発生される圧力に充分耐えることができ、または
ii)各チャネル内に配置されたポストを有し、各ポストの各端部には、チャネルをカバーしかつプレートを横方向に通る孔に隣接するモノポーラプレートのシーリング面に圧力を加える部分が設けられ、圧力は、バッテリプレートのスタックにより形成されるセルの組立ておよび作動中に発生される圧力に充分耐えることができ、ポストは、電解質への露出に耐えることができかつ電解質がチャネルに流入することを防止する材料から製造され、チャネルの外周部の回りのシールは射出成形により形成され、セパレータは、その外周部の回りに隆起面を備え、バッテリプレートの基板に隣接して配置でき、セパレータはこれを貫通する1つ以上の孔を有し、孔はこの中に配置されたインサートを収容し、該インサートはバッテリプレートの孔内のインサートと協働して、セパレータプレートおよびバッテリプレートのスタックを通るチャネルを形成し、セパレータフレームおよびインサートはセパレータにモールディングされ、セパレータフレームおよびインサートは射出成形され、セパレータフレームおよびインサートはワンピースに射出成形され、バッテリプレートの基板は、これらの外周部の回りに隆起面を有し、セパレータに接着されたフレームに隣接して配置でき、基板の隆起面およびセパレータの回りのフレームは互いに隣接して配置され、これにより外周部は流体が物品内に流入しまたは物品から流出しないようにシールされ、バッテリプレートおよびセパレータは、これらを貫通する1つ以上の孔を有し、該孔は整合して、バッテリプレートおよびセパレータのスタックを通る1つ以上のチャネルを形成し、バッテリプレートおよびセパレータの孔はこれらに配置されたインサートを有し、該インサートはバッテリプレートおよびセパレータのスタックを通る1つ以上のシールされたチャネルを形成し、バッテリプレートおよびセパレータ内のインサートはモールディングにより形成され、バッテリプレートおよびセパレータ内のインサートは射出成形により形成され、充填チャネルまたはベントチャネルはバッテリプレートおよびセパレータプレート内で一体化され、弁が充填チャネルおよびベントチャネル内に一体化されている。
【0016】
本発明の物品は、1つ以上のバイポーラ電極プレート、好ましくは複数のバイポーラプレートを有している。本明細書で使用する用語「複数」とは、プレートが2つ以上であることを意味する。バイポーラプレートは、2つの対向面を備えたシートの形態の基板からなる。対向面上にはカソードおよびアノードが配置されている。本発明の或る実施形態では、バイポーラプレートはスタックとして物品内に配置され、一方のバイポーラプレートのカソードは他方のバイポーラプレートのアノードに対面するか、アノードを備えたモノポーラプレートおよび各バイポーラプレートのアノードはバイポーラプレートまたはモノポーラプレートのカソードに対面する。物品内では、互いに隣接するアノードとカソードとの間にはスペースが形成され、該スペース内には、アノードおよびカソード対と協働して電気化学セルを形成すべく機能する電解質が収容される。物品の構造は、漏洩およびセルの回路短絡を防止すべく環境からシールされる閉セル構造である。プレートの数は、バッテリの所望電圧を得るべく選択できる。バイポーラバッテリのこの設計は、発生電圧にフレキシビリティを与える。バイポーラプレートは任意の所望断面形状にすることができ、断面形状は使用環境で利用できるパッケージングスペースに適合するように設計できる。断面形状とは、シートの面を遠近法で見た形状をいう。フレキシブルな断面形状およびサイズは、バッテリが使用されるシステムの電圧およびサイズの必要性に適合するように本発明の物品を製造することを可能にする。モノポーラプレートは、プレートのスタックの端セルを形成すべく、プレートのスタックの端部に配置される。モノポーラプレートは、バイポーラプレートに使用されるものと同じ基板、アノードおよびカソードから製造できる。アノードまたはカソードに対面するモノポーラプレートの側面は、別のケースが使用される場合またはスタックの保護に有効なカバーを収容できる場合には裸の基板とすることができる。或る実施形態では、モノポーラプレートに、端セルから外部までプレートを貫通する1つ以上のターミナルを設けることができる。ターミナルは、モノポーラプレートのアノードまたはカソードの極性と一致する。ターミナルは、電気化学セルで発生された電子を、発生された電子を電気の形態で利用するシステムに送る機能を有する。
【0017】
基板は、バッテリの外面となるバイポーラプレートの回りの電解質密封シールを形成する他のバッテリコンポーネンツと協働し、隣接セル間の電解質の流れを防止するセル隔室としてカソードおよび/またはアノードの支持構造を形成する機能を有し、或る実施形態では電子を一方の表面から他方の表面に伝える。基板は、バッテリの化学的機能に基づいて、種々の材料から形成できる。基板は、バッテリ構造に使用される任意の導電性材料の融点を超える温度に耐え、電解質(例えば硫酸溶液)との接触により基板が劣化しないように、電解質との接触中に高い化学的安定性を有し、所望のバイポーラ電極の背骨を形成する構造的に充分に頑丈な材料から形成される。基板は、適当な材料から形成できおよび/または電気を基板の一方の表面から対向基板の表面に伝えることを可能にする態様で構成されている。基板は、導電性材料例えば金属材料から形成でき、または非導電性材料から形成できる。非導電性材料の例として、熱硬化性ポリマ、弾性ポリマまたは熱可塑性ポリマまたはこれらの組合せのようなポリマがある。或る実施形態では、非導電性基板は、この中またはこの上に導電性の特徴をもたせることができる。採用できるポリマ材料の例として、ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレン、ポリエチレン(ポリエチレンナフタレート、高密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンを含む)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、バイオベースプラスチック/バイオポリマ(例えば、ポリ乳酸)、シリコーン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)または例えばPC/ABS(ポリカーボネートとアクリロニトリル-ブタジエン-スチレンとのブレンド)のようなこれらの任意の組合せがある。複合基板を使用することもでき、複合材には、当業界で知られたファイバまたは充填材のような強化材料、熱硬化性ポリマの外周部の回りの熱硬化性コアおよび熱可塑性シェルまたは熱可塑性縁部または非導電性ポリマ内に配置される導電性材料等の2つの異なるポリマ材料がある。好ましい実施形態では、基板は、プレートの縁部に、接着可能、好ましくは融着可能な熱可塑性材料を設けられる。一実施形態では、基板は、バイポーラプレートのスタッキングおよび電気化学セルの形成を容易にすべく、外周部の回りに隆起縁部を設けることができる。本明細書で使用される用語「隆起縁部」は、プレートの2つの対向表面のうちの少なくとも一方の表面の隆起縁部を意味する。隆起縁部は、他方の基板材料の周囲りに形成される熱可塑性縁部で形成できる。隆起縁部は、本明細書で説明するセパレータプレートとして機能できる。基板または基板の外周部は、好ましくは非導電性材料および熱可塑性材料で形成される。セパレータの回りのフレームまたはセパレータ上に一体化されるフレームは、好ましくは非導電性材料および熱可塑性材料で形成される。非導電性材料の使用により、バッテリスタックの外面のシーリングを高めることができる。
【0018】
或る実施形態では、基板は、1つ以上の開口が形成されたほぼ非導電性の物質(例えば誘電物質)からなる。開口は、機械加工(例えばフライス加工)され、基板の製造中(例えばモールディングまたはシェーピングによる製造中)に形成されまたは他の方法により形成される。基板に形成される開口のサイズおよび密度は、バッテリの抵抗に影響を与える。開口は少なくとも約0.2mmの直径をもつように形成される。開口は、約5mm以下の直径に形成できる。開口は、約1.4mm~約1.8mmの直径に形成できる。開口は、少なくとも約0.02個/cm2の密度をもつように形成できる。開口は、約4個/cm2より小さい密度をもつように形成できる。開口は、約2.0個/cm2~約2.8個/cm2の密度をもつように形成できる。開口には、導電性材料、例えば金属含有材料を充填できる。導電性材料は、基板の熱劣化温度より低い温度で相変態を受け、したがって相変態温度より低いバッテリ組立体の作動温度で、誘電体基板が、基板の第1表面と第2表面との間の材料夾雑物による導電性経路を有するような材料である。また、相変態温度より高い温度では、導電性材料の夾雑物が、導電性経路を通る導電性を不能にする相変態を受ける。例えば、導電性材料として、鉛、錫、ニッケル、リチウム、アンチモニ、銅、ビスマス、インジウムまたは銀のうちの少なくとも1つまたは任意の2つ以上の混合物からなるソルダ材料がある。導電性材料は、鉛が実質的に全く存在しない(せいぜい微量の鉛を含有)もので構成するか、機能的に作動する両の鉛を含有するもので構成できる。材料には、鉛および錫の混合物を含めることができる。例えば、材料は、大部分が錫で小部分が鉛(例えば、約55~約65重量部の錫および約35~約45重量部の鉛)のもので構成できる。材料は、約240℃、230℃、220℃、210℃または約200℃より低い融点(例えば、約180℃~約190℃の範囲内の融点)を呈するものとすることができる。材料には、共晶混合物を含めることができる。開口を充填する導電性材料としてソルダを使用することの特徴は、ソルダが、バッテリの連続作動にとって安全でない温度で溶融すべく、使用されるソルダの種類に基づいた一定の適合融点を有することである。ひとたびソルダが溶融すると、溶融したソルダを収容する基板開口は、もはや導電性をもたず、電極プレート内に開回路が形成される。開回路はバイポーラバッテリ内の抵抗を劇的に増大させ、これにより、更に電流が流れることを停止し、バッテリ内の安全でない反応を遮断する。したがって、開口を充填すべく選択された導電性材料の種類は、バッテリ内部でのこのような内部遮断機構を設ける必要があるか否か、およびこの必要がある場合に、内部遮断を行う温度は何度を望むのかに基づいて変えることができる。基板は、所定条件を超える作動条件の場合には、基板が、これを通る導電性を破壊することによりバッテリの作動を不能にすべく機能するように構成されている。例えば、誘電体基板の孔を充填する導電性材料は相変態を受ける(例えば、溶融する)ため、基板の導電性が破壊される。破壊の程度は、基板の導電性機能を部分的に不能にするか、全体的に不能にすることもある。
【0019】
バイポーラプレート一方の面および幾つかのモノポーラプレートには1つ以上のカソードが配置される。カソードは、バッテリのカソードとして機能できかつバッテリに普通に使用される任意の形態で機能できる任意の材料で作られる。カソードは正極活物質とも呼ばれている。正極活物質は、リチウムイオン二次電池、ニッケル金属水素化物二次電池または鉛酸(lead acid)二次電池に一般的に使用される複合酸化物、スルフェート配合物、またはリチウム、鉛またはホスフェート配合物または遷移金属で形成できる。複合酸化物の例として、例えばLiCoO2のようなLi/Coベース複合酸化物、LiNiO2のようなLi/Niベース複合酸化物、LiMn2O4のようなLi/Mnベース複合酸化物、およびLiFeO2のようなLi/Feベース複合材料がある。遷移金属およびリチウムの例示ホスフェート配合物およびサルファ配合物として、LiFePO4、V2O5、MnO2、TiS2、MoS2、MoO3、PbO2、AgO、NiOOH等がある。カソード材料は、電気化学セルのカソードとして機能できる任意の形態にすることができる。例示の形態として、ペースト形態で成形された部品、プレハブ型シートまたはフィルムがある。鉛酸バッテリの好ましいカソード材料として二酸化鉛(PbO2)がある。アノードは、バイポーラプレートの両面および他のモノポーラプレート上に配置されている。アノードは負極活物質と呼ばれている。本発明の組立体には、任意のアノードおよびアノード材料を使用できる。アノード材料は、鉛酸、ニッケル金属水素化物およびリチウムイオンバッテリ二次電池に使用される任意の材料を含む。アノードの構成に有効な例示材料として、鉛、およびカーボンまたはリチウムの複合酸化物(例えば、酸化チタンまたはチタンおよびリチウムの複合酸化物)および遷移金属がある。好ましい鉛酸アノード材料はスポンジ状鉛である。カソード材料は、電気化学セルのカソードとして機能できる任意の形態にすることができる。例示の形態として、ペースト形態で成形された部品、プレハブ型シートまたはフィルムがある。ペースト組成物には、強化用フロックまたはガラス繊維、ペースト安定性増強用のリガノ有機化合物(ligano-organic compounds)、特に負極活物質用のカーボンのような導電性添加剤を含めることができる。鉛酸バッテリ用のアノード材料の好ましい形態はスポンジ状鉛である。アノードおよびカソードは、ひとたびセルを含む回路が形成されたときに、協働して電気化学セルとして機能するものが選択される。
【0020】
本発明の組立体は更にセパレータを有している。セパレータは、電気化学セルのアノードとカソードとの間に配置され、より詳しくは、バイポーラプレート同士の間またはバイポーラプレートとモノポーラプレートとの間に配置される。好ましくは、セパレータは、隣接するカソードおよびアノードの領域より大きい領域を有する。好ましくはセパレータは、セルのカソード部分とアノード部分とを完全に分離する。セルのカソード部分とアノード部分とを完全に分離するため、セパレータの縁部は、好ましくは、アノードまたはカソードが配置されていないバイポーラプレートおよびモノポーラプレートの外周縁部と接触する。バッテリセパレータは、電気化学セルを隔離し、樹脂状結晶の形成によるセルの短絡を防止し、かつ液体電解質、イオン、電子またはこれらの任意の組合せがセパレータを通過できるようにする機能を有している。列挙した機能の1つ以上を遂行する既知の任意のバッテリセパレータは、本発明の組立体に使用できる。セパレータは、多孔質ポリマフィルム、ガラスマット、多孔質ゴム、イオン伝導性ゲル等の非電導性材料、または木のような天然材料等から作るのが好ましい。セパレータは、電解質、イオン、電子またはこれらの組合せが通ることができる多孔または曲がりくねった経路を有することが好ましい。セパレータとして有効なより好ましい材料として、吸収剤ガラスマットおよび多孔質超高分子量ポリオレフィン膜等がある。
【0021】
或る実施形態では、本発明の物品は更に、金属シートまたは箔を有している。金属シートまたは箔は、電気化学セル内を流れる電子を分散させて、活性材料を基板に確実に電気的接続すべく機能し、或る実施形態では、集電体として機能する。或る実施形態では、バッテリは電子を正のバッテリターミナルに伝える電流導体を有し、これらの実施形態では、金属シートまたは箔が電子を電流導体に導く。金属シートまたは箔は任意の導電性金属から作ることができ、好ましい導電性金属として、銀、錫、銅および鉛がある。金属の選択は、アノードおよびカソードの材料により影響を受ける。鉛酸バッテリの場合には、鉛シートまたは鉛泊が好ましい。金属シートまたは箔は、アノードまたはカソードと基板との間に配置するのが好ましい。金属シートまたは箔は、基板に取付けられる。セルの環境内で金属シートまたは箔を基板に保持すべく基板に取付けるのに、溶接または接着剤による接合等の任意の方法を使用できる。金属シートまたは箔は、接着剤により基板に接合するのが好ましい。この接合に有効な好ましい接着剤として、エポキシ、ゴムセメント、フェノール樹脂、ニトリルゴム化合物またはシアノアクリレート接着剤がある。金属シートまたは箔は、アノードまたはカソードおよび基板の全面の間に配置されるのが好ましい。金属シートおよび箔は、基板の全面をカバーする。アノードまたはカソードがペースト状の形態をなす実施形態では、ペーストは金属箔またはシートに塗布される。金属シートまたは箔は1つ以上の電流導体に接触して、電子を電流導体に伝える。金属シートおよび箔は、セルを通って流れる電子を分散させるのに充分な厚さで、電子を収集して電子をセル内の電流導体に伝えるのに適した厚さに選択される。金属シートまたは箔は、好ましくは約0.75mm以下、より好ましくは約0.2mm以下、最も好ましくは約0.1mm以下の厚さを有する。好ましくは、金属シートまたは箔は、好ましくは約0.025mm以上、より好ましくは約0.050mm以上、最も好ましくは約0.075mm以上の厚さを有する。
【0022】
本発明の組立体におけるコンポーネンツのスタックには、コンポーネンツを通る横方向チャネルおよび液体電解質を収容する電気化学セル用に形成される領域を設けることができる。スタックは、バイポーラプレート、モノポーラプレート、セパレータ、アノード、カソード、任意の金属シートおよび使用されるスタックの他のコンポーネンツを有している。横方向チャネルはポストを収容する機能を有し、幾つかのチャネルは、横方向冷却チャネルまたはベント/充填チャネルとして機能すべく、非充填のまま残される。本発明の或る実施形態では、チャネルは、アノード、カソードおよび電解質を収容したセルを通る。チャネルは、電解質および作動中に発生されるガスがチャネルに流入することを防止すべくシールされる。この目的を達成できる任意のシーリング方法を使用できる。チャネルのサイズおよび形状は、端プレートおよび基板の縁部を支持するポストを収容して、電解質および作動中に発生されるガスがチャネルに流入することを防止しかつ作動中に生じる圧縮力によりコンポーネンツおよび個々の電気化学セルのシールが損傷を受けることを防止できる任意のサイズおよび形状にすることができる。チャネルの形状は、円形、楕円形、または正方形、長方形、六角形等の多角形にするのが好ましい。チャネルのサイズは、使用されるポストを収容できるように選択される。実用的なチャネルは、形成されたチャネルにポストを配置できるようにまたは冷却のためにチャネルを通して流体を流すことができるようにコンポーネンツに配置された一連の孔を有している。チャネルの数は、端プレートおよび基板の縁部を支持し、電解質および作動中に発生されるガスの漏洩を防止し、かつ作動中に生じる圧縮力がコンポーネンツおよび個々の電気化学セルのシールに損傷を与えることを防止するように選択される。作動中に生じる圧縮力を分散させるには、複数のチャネルを設けるのが好ましい。チャネルの数および設計により、シールの疲労強度を超える縁部応力を充分に最小にできる。チャネルの位置は、作動中に発生される圧縮力を分散させるように選択される。応力により良く対処するには、チャネルを幾分均一に分散させるのが好ましい。チャネルは、好ましくは約2mm以上、より好ましくは約4mm以上、最も好ましくは約6mm以上の横断面サイズを有する。チャネルの横断面サイズの上限は実用的に定められ、サイズが大き過ぎると組立体の効率が低下される。チャネルの好ましい横断面サイズは約12mm以下、最も好ましくは約10mm以下である。
【0023】
少なくとも幾つかのチャネルには、次の機能、すなわち、コンポーネンツへの損傷またはスタックのコンポーネンツの縁部間のシールの破壊を防止する態様でコンポーネンツのスタックを一体に保持する機能、セパレータ材料を横切る均一な圧縮を確保する機能、およびセパレータ材料の均一な厚さを確保する機能の1つ以上を遂行するポストが配置されている。ポストの各端部には、モノポーラの端プレートの外表面と係合するオーバーラップ部分を設けるのが好ましい。このオーバーラップ部分は、コンポーネンツへの損傷またはスタックのコンポーネンツの縁部間のシールの破壊を防止し、かつバッテリ作動中のスタックの膨張または他の変位を防止する態様で、モノポーラ端プレートの外表面に圧力を加えるべく機能する。オーバーラップ部分はシール面と接触しており、端プレートの部分はオーバーラップ部分と接触している。或る実施形態では、スタックはモノポーラ端プレート上に別の構造的保護端ピースを有し、オーバーラップ部分は構造的保護端ピースの外表面と接触している。オーバーラップ部分は、ポストと協働して、コンポーネンツへの損傷またはスタックのコンポーネンツの縁部間のシールの破壊を防止する任意の構造とすることができる。例示のオーバーラップ部分は、ボルトヘッド、モールディングされたヘッド、貝折れ釘(brads)、コッタピン、シャフトカラー等を含む。ポストは、全スタックを貫通する長さを有し、このような長さはバッテリの所望のキャパシタンスに基づいて変えられる。ポストは、チャネルを充填する横断面形状およびサイズを有するのが好ましい。ポストの数は、端プレートおよび基板の縁部を支持すべく選択され、電解質および作動中に発生されるガスの漏洩を防止し、作動中に生じる圧縮力によってコンポーネンツおよび個々の電気化学セルのシールが損傷されることを防止し、シールの疲労強度を超える縁部応力を最小にする。作動中に発生される圧縮力を分散させるには、複数のポストが存在することが好ましい。1つ以上のチャネルが冷却チャネルまたはベント/充填チャネルとして使用される場合には、より少数のポストにすることができる。ポストは、必要な機能を遂行する任意の材料で構成できる。ポストがチャネルのシールに使用される場合には、使用される材料は、セルの作動条件に耐え、電解質に露出されたときに腐食せず、かつセルの作動中に発生される温度および圧力に耐えることができるものが選択される。ポストがシーリング機能を遂行する場合には、ポストは、列挙した条件に耐え得るポリマ材料またはセラミック材料で形成するのが好ましい。この実施形態では、セルの短絡を防止するため、材料は非導電性でなくてはならない。本明細書で説明するように、ポストは熱可塑性材料からなるのが好ましい。好ましい熱可塑性材料として、ABS、ポリプロピレン、ポリエステル、熱可塑性ポリウレタン、ポリオレフィン、配合熱可塑性樹脂、ポリカーボネート等がある。ABSが最も好ましい。チャネルが別々にシールされる場合には、ポストは、所望の機能を遂行する構造的一体性を有する任意の材料で構成できる。列挙した上記ポリマ材料、セラミックおよび金属を使用できる。適当な金属として、鋼、黄銅、アルミニウム、銅等がある。ポストには、モールディングされたポスト、ねじ山付きポストまたは1つ以上のアタッチメントを備えたポストがある。部品にねじ山が形成されている場合には、ねじ山付きポストを受入れるためのねじ山がスタックの構造部品に形成されている。ポストには、その一端にヘッド、ナット、他端に貝折れ釘またはコッタピン用の孔を設けるか、ヘッド、ナット、貝折れ釘またはコッタピン用の孔を両端に設けることができる。これは、モールド成形されないポストについては一般的にいえることである。ポストは、短縮できるが伸長できない一方ラチェッティングとなるように構成できる。このようなポストが所定位置に配置されると、スタックが圧縮されかつポストが短縮されて、ポストはスタックに圧力を維持する。この実施形態におけるポストには、ポストがジッパのような構造の一方部分として機能できるようにするラチェッティングを容易にする隆起部を設けることができる。所定位置において隣接するプレートを圧縮するため、マッチングナットおよび/またはワッシャをポストに使用することができる。ナットおよび/またはワッシャはポスト上で一方向に移動し、ナットおよび/またはワッシャがポストに沿って他方向に移動することを防止する。使用時に、列挙した機能を遂行するため、ポストには適当な貝折れ釘、コッタピン等を設けることができる。ポストがモールディング成形される場合には、別々にまたは所定位置でモールディングすることができる。本来の所定位置でモールディングする場合には、溶融プラスチックを所定位置に保持するため、チャネル内にシールを設ける必要がある。ねじ山が形成された非導電性ポストを使用して必要なシールを行うことができる。或いは、予成形非導電性ポリマポストは、チャネルをシールする態様でチャネル内に締り嵌めを形成するように設計できる。ポストは、射出成形のようなモールディングにより、所定位置で成形できる。
【0024】
組立てられたとき、バイポーラプレートおよびモノポーラプレートを含むコンポーネンツのスタックは、シールされた電気化学セルを形成する。シールされたセル内には液体電解質が配置される。電解質は、使用されるアノードおよびカソードとの電気化学的反応を行う任意の液体電解質で構成できる。電解質は、電子およびイオンがアノードとカソードとの間を流れることを可能にする。電解質は、水ベースまたは有機物ベースの電解質とすることができる。本発明で有効な有機物ベース電解質として、有機溶剤中に溶解された電解質塩がある。リチウムイオン二次電池においては、リチウムを電解質塩中に含める必要がある。例えば、リチウム含有電解質として、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiSO3CF3およびLiN(CF3SO2)2がある。これらの電解質塩は単独で使用するか、2つ以上の組合せで使用することもできる。有機溶剤は、セパレータ、カソード、アノードおよび電解質塩と相容性のあるものでなくてはならない。有機溶剤は、高電圧を印加しても分解されないものを使用するのが好ましい。例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネート等のカーボネート、テトラヒドロフラン(THF)および2-メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル、1,3-ジオキソランおよび4-メチルジオキソラン等の環状エステル、γ-ブチロラクトン、スルホラン、3-メチルスルホラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、エトキシメトキシメタンおよびエチルジグリム等のラクトンを使用するのが好ましい。これらの溶剤は単独で、または2つ以上を組合せて使用できる。液体電解質中の電解質の濃度は、0.3~5mol/lであるのが好ましい。通常、電解質は、1mol/lの近傍で最高の導電性を呈する。液体電解質は、電解質の30~70重量%、特に40~60重量%を占めるのが好ましい。水性電解質は、セルの機能を高める酸または塩を水中に有する。好ましい塩および酸として、硫酸、硫酸ナトリウムまたは硫酸カリウムの塩がある。塩または酸は、セルが作動を行うのに充分な量で存在する。濃度は、電解質の重量に基づいて、約0.5重量%以上、より好ましくは約1.0重量%以上、最も好ましくは約1.5重量%以上である。鉛酸バッテリの好ましい電解質は、硫酸水溶液である。
【0025】
本発明の物品は、横方向チャネルとポストとの間のシールを有している。シールは、チャネル内またはチャネルの外周部の回り、またはこれらの両方に配置できる。シールは、電解質および作動中に発生されるガスが電気化学セルから漏洩するのを防止できる任意の材料または形状にすることができる。シールは、膜、スリーブまたはプレートおよび/またはセパレータ内の一連のインサートまたはボスまたはチャネル内のインサートで形成できる。膜はエラストマで形成できる。チャネルは、プレートおよび/またはセパレータ内にインサートまたは一体化される一連のインサートまたはボスにより形成できる。インサートは、チャネルに沿う漏洩防止シールを形成すべく、圧縮可能または互いに相互ロックできように構成できる。インサートは、例えば所定位置でモールディングすることにより、バッテリプレートおよび/またはセパレータ内の所定位置で形成できる。インサートは、射出成形により所定位置で形成するのが好ましい。スリーブは、電解質、電気化学セルの作動条件への露出、およびチャネル内へのポストの挿入により加えられる力に耐えることができる任意の材料で作ることができ、好ましいポリマ材料は、ポストおよび基板にとって有効であると説明したものである。他の実施形態では、シールは、バイポーラとモノポーラプレートとの間に配置されるスリーブまたはブシュにより形成される。スリーブは比較的剛性が高い材料、ブシュは全体としてエラストマ材料で形成できる。スリーブおよび/またはブシュは、バイポーラプレートおよびモノポーラプレートの凹部内に嵌合できるように構成するか、横方向チャネルを形成するプレートの孔内に挿入できる端部を設けることができる。バイポーラプレートおよびモノポーラプレートには、スリーブおよび/またはブシュ用の凹部を成形するか機械加工することができる。プレートのスタックとスリーブまたはブシュとの組立体は、チャネルを有効にシールする締り嵌めを形成する。或いは、スリーブまたはブシュは、結合部にシールを形成すべく、プレートに融着または接着剤で接合できる。或いは、スリーブの内面は、チャネルをシールすべく機能するコーティングで被覆できる。前述のように、ポストはチャネルをシールすべく機能する。これらのシーリング解決法の組合せを単一チャネルまたは異なるチャネルに使用することも考えられる。モノポーラプレートおよびバイポーラプレートを含むプレートのスタックのコンポーネンツは、同じ形状および共通の縁部を有するのが好ましい。これにより、縁部のシーリングが容易になる。セパレータが存在するとき、セパレータは、一般に、横方向チャネルの形成に適合させるため、バッテリプレートと同様な構造を有している。他の実施形態では、シールは、ボルトと横方向チャネルとの間に射出されるエポキシ、ポリウレタンまたはアクリルポリマ等の熱硬化性ポリマにすることができる。ポストによる圧縮が加えられたときのシーリングを改善するため、プレートのシーリング面を変更できる。シーリング面は、円滑化、異型化、粗面化等の表面処理を行うことができる。円滑表面は大きい接触領域を有するため、液体の流れを許容する欠陥をもたらすことなく電解質を気密シールできる。同心状リング(単一または複数)、隆起部(単一または複数)または波型形状等の異型形状により、液体電解質の流れを妨げる高圧の接触領域すなわち「リング」が形成される。隆起部には、液体シーリングを行う変形可能な平シートまたはOリング等のガスケット材料を充填できる。変形可能材料からなる粗いシーリング面は、圧縮されて、信頼性ある液体電解質シールを形成する。液体電解質の濡れ性との相容性を無くすためのシーリング面の表面処理により、液体電解質がチャネルに流入することが防止される。親水性電解質が使用される場合には、シーリング面は疎水性にすることができる。同様に、疎水性電解質が使用される場合には、シーリング面を親水性にすべきである。
【0026】
電解質および発生ガスの漏洩を防止すべく縁部がシールされ、セルの短絡を防止すベく個々のセルが隔絶される。縁部は、既知の任意のバッテリシーリング方法を用いてシールできる。或る実施形態では、組立体の縁部は、共有に係る上記特許文献2(該特許文献2は、その全体を本願に援用する)に開示の内骨格または外骨格シーリングシステムを用いてシールされる。特許文献2に開示のシーリングシステムは、上記構造のようなバイポーラバッテリ積層構造のためのユニークな構造を考慮したものである。上記方法でシールするか否かを問わず、本発明の構造は、概略的に、第1セパレータフレームと、負のペースティングフレーム部材とを有し、該部材は、1つ以上の縁部および1つ以上の負のペースティングフレーム縁部の間に延びている支持格子構造を備え、負の集電体箔と、複数の開口が形成された基板と、正の集電体箔と、正のペースティングフレーム部材とを有し、該部材は、1つ以上の縁部および1つ以上の正のペースティングフレーム縁部の間に延びている支持格子構造を備え、第2セパレータフレームを更に有している。第1セパレータフレームには1つ以上の縁部を設けることができる。負のペースティングフレーム部材には、該負のペースティングフレーム部材の少なくとも1つの縁部が、セパレータフレームの少なくとも1つの縁部と平面接触するようにして1つ以上の縁部を設けることができる。また、基板には、該基板の少なくとも1つの縁部が、負のペースティングフレーム部材の少なくとも1つの縁部と平面接触するようにして1つ以上の縁部を設けることができる。正のペースティングフレーム部材には、該正のペースティングフレーム部材の少なくとも1つの縁部が、基板の少なくとも1つの縁部と平面接触するようにして1つ以上の縁部を設けることができ第2セパレータフレームには、該セパレータフレームの少なくとも1つの縁部が、正のペースティングフレーム部材の少なくとも1つの縁部と平面接触するようにして1つ以上の縁部を設けることができる。セパレータフレームの縁部と、負および正のペースティングフレーム部材の縁部と、基板の縁部との平面接触は、バッテリの外部シールを形成し、これにより、バッテリ内に導入された電解質がバッテリ内から漏洩することはない。ペースティングフレーム部材の縁部は更に、セパレータフレームの縁部上に配置された整合ピンまたは支持部材を受入れる開口を有している。ペースティングフレーム部材の開口内に整合ピンを配置することにより、外部シールの形成が更に容易になる。また、1つ以上のセパレータフレームおよび1つ以上のペースティングフレームの各々が、基板と組合わされて、隣接するフレームおよび/または基板と平面接触して配置されるようにフレーム構造を使用することを考えることもでき、これにより、バッテリセルの内部構造は、いかなる液体またはガス(空気)もバッテリから流出しないようにする外部シールが形成される。ペースティングフレーム部材の縁部には更に、セパレータフレームの縁部に配置された整合ピンまたは支持部材を受入れる開口を設けることができる。ペースティングフレーム部材の開口内への整合ピンの配置により、外部シールの形成が更に容易になる。これにより、バッテリ内に導入された電解質は、バッテリ漏洩およびその後のバッテリ故障の危険なくして確実にバッテリ内に維持される。また、バッテリを有効にシールするのに、重い端プレートまたは外部支持構造は全く不要である。前述のように、ペースティングフレーム部材には更に、ペースティングフレーム部材の縁部間に配置される支持部材(例えばピン)を設けることができる。支持部材の使用は、圧縮応力の発生およびこれによるバッテリ内の好ましくない縁部/剥離応力の発生に対処する唯一のアプローチである。これらの応力は、前述のように好ましくないバッテリ漏洩をもたらす。したがって、バッテリ内での支持ピンのこの使用およびこれによる上記内的アプローチは、内骨格を備えたバイポーラバッテリの製造と呼ばれる。バッテリ内での圧縮応力の好ましくない効果に対処するのに、(外骨格形成アプローチを用いることと比較して)内骨格形成すなわち構造的アプローチを用いることの特徴は、体積エネルギ密度の低下をもたらさないことである。また、これは、活性材料の損失が殆ど無い極めて軽量なピンを用いる軽量アプローチである。更に、内骨格形成アプローチは、縁部剥離により引き起こされる伝統的なバイポーラバッテリの故障の機会を大幅に低減させることが判明している。また、所望ならば、セパレーティングフレーム部材を整合させるべく、フレーム部材の周囲または縁部にピンを付加することにより、圧縮中にピンを上下または前後に滑動させることができる。所望ならば、内骨格形成アプローチと外骨格形成アプローチとの組合せを用いてバイポーラバッテリを構成できる。例えば、バイポーラバッテリは、前述のように、内部支持ピンを用いて構成できる。また、これに加え、フレームをモノポールのターミナル側に配置することもできる。この外部バッテリ構造は、美的ボックスの一部としての端カバーを用いて強化できる。このような構造での内骨格と外骨格とを組合せた特徴は、協働して最大縁部応力および変位を更に低減させることである。バイポーラバッテリはまた、実質的に外骨格構造を全く設けないものとすることもできる。一実施形態では、電解質を収容するキャビティのためのペースティングフレームとして機能するバッテリプレートの基板には、この周囲の隆起縁部と、任意であるが、使用するときに互いにシールしかつ外側膜をシールするためのセパレータとを設けることもできる。
【0027】
他の実施形態では、モノポーラプレートおよびバイポーラプレートのスタックの縁部に膜を接着することもできる。膜は、プレートの縁部をシールしかつ電気化学セルを隔絶する任意の手段により、プレートの縁部に接合できる。例示の接合方法として、接着剤による接合、融着、振動溶接、RF溶接、マイクロウェーブ溶接等がある。膜は、モノポーラプレートおよびバイポーラプレートの縁部をシールできかつ電解質への露出に耐えかつバッテリが内的および外的に露出される条件に耐えることができるポリマ材料のシートからなる。バイポーラプレートの基板に有効な同じ材料を膜に使用できる。膜は、好ましくは、モノポーラプレートおよびバイポーラプレートの回りで融着、振動溶接またはモールディングできる熱可塑性ポリマからなる。モノポーラ基板およびバイポーラ基板および膜に用いたのと同じ熱可塑性ポリマを使用するのが好ましい。特に好ましい材料として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABSおよびポリエステルがあるが、ABSが最も好ましい。膜は、該膜が接合されるスタックの側面と同サイズにして、スタックの両面に接合できる。この実施形態では、隣接膜の縁部はシールされるのが好ましい。縁部は、接着剤、融着またはモールディング方法を用いてシールできる。膜は、スタックの全外周部の回りに巻かれる単一の一枚シートで構成できる。膜の前縁部、スタックと接触する第1縁部、スタックの後縁部および膜シートの端部は、互いに接合されてシールを完全なものとするのが好ましい。これは、接着剤、融着またはモールディング方法を用いて行うことができる。融着方法では、膜の表面および/またはスタックの縁部は、これらの一方または両方の表面が溶融される条件に露出され、次に、表面が溶融している間に膜およびスタックの縁部が接合される。膜およびスタックの縁部は表面が冷えると接合され、コンポーネンツを一体にシールする接合を形成する。好ましい実施形態では、膜は、膜材料の連続シートが使用され、所望長さに切断される。膜の幅は、モノポーラプレートおよびバイポーラプレートの高さに一致するのが好ましい。膜は、モノポーラシートおよびバイポーラシートのスタックの縁部をシールしてセルを隔絶するのに充分な厚さを有している。好ましい実施形態では、膜は、スタックの縁部を包囲する保護ケースとしても機能する。膜は、好ましくは約1mm以上の厚さ、より好ましくは1.6mm以上の厚さ、最も好ましくは2mm以上の厚さを有している。膜は、好ましくは約5mm以下の厚さ、より好ましくは4mm以下の厚さ、最も好ましくは2.5mm以下の厚さを有している。膜がスタックの縁部に接合される実施形態では、電解質およびセルの作動条件への露出に耐えることができる任意の接着剤を使用できる。好ましい接着剤として、プラスチックセメント、エポキシ、シアノアクリレート接着剤またはアクリレート樹脂がある。或いは、膜は、バッテリプレートのスタックの一部または全部の周囲に熱可塑性材料または熱硬化性材料をモールディングすることにより形成できる。熱成形、反応射出成形、射出成形、回転成形、吹込み成形、圧縮成形等を含む既知の任意の成形方法を使用できる。膜は、バッテリプレートの一部または全部の回りに射出成形することにより形成するのが好ましい。膜がプレートのスタックの一部の回りに形成される場合には、バッテリプレート(単一または複数)およびセパレータの縁部の回りに形成するのが好ましい。
【0028】
成形されたバッテリを保護するため、シールされたスタックはケース内に置くことができる。或いは、膜は、スタックの端部でモノポーラプレート上の保護カバーと協働して、バッテリ用ケースとして使用できる。モノポーラプレートには、アノードまたはカソードとは反対側の表面に取付けられるか接合される適当な保護カバーを設けることができる。カバーは、膜と同じ材料または膜に接着または融着できる材料で形成でき、かつ膜について列挙した範囲内の厚さにすることができる。プレートの端部に取付けられる場合には、カバーは、オーバーラップ部分を備えたポストを含む任意の機械的取付け方法により取付けることができる。ケースは、バッテリプレートのスタックの回りおよび/またはモノポーラプレートの対向面の回りに膜をモールディングすることにより形成できる。
【0029】
或る実施形態では、セパレータは一体フレームを有している。フレームは、隣接するバッテリプレートの縁部と一致する機能および電気化学セルとバッテリの外面との間にシールを形成する機能を有している。フレームは、セパレータをフレームに接合する任意の手段であって、電解質溶液への露出に耐え得る手段、例えば接着剤による接合、融着またはセパレータの周囲でのフレームのモールディングを用いて、セパレータを形成するシートの周囲でセパレータに取付けることができる。フレームは、既知の任意のモールディング技術、例えば熱成形、射出成形、回転成形、吹込み成形、圧縮成形等により所定位置にモールディングすることができる。フレームは、射出成形によりセパレータシートの回りに形成するのが好ましい。フレームは、バッテリプレートの基板の周囲に配置された隆起縁部に一致できる隆起縁部を収容することができる。バッテリプレート基板およびセパレータフレームの一方または両方の隆起縁部は、バッテリスタックの共通縁部を形成するためおよび電気化学セルとバッテリの外面との間のシールを高めるために一致させることができる。前述のように、セパレータにはインサートを一体化させることができ、この場合には、インサートはスタックを通る横方向チャネルを形成すべく機能する。インサートは既知の任意の手段により形成でき、好ましくは射出成形により所定位置にモールディングされる。セパレータがインサートおよびフレームの両方を有する場合には、両者は例えば射出成形により一段階でモールディングできる。
【0030】
本発明の組立体には更に、電子を金属シートまたは箔(しばしば集電体とも呼ばれる)から正のターミナルに伝送する1つ以上の導電性導管を設けることができる。一般的なバイポーラバッテリでは、電子は、基板を通ってセルからセルへと流れる。基板はその少なくとも一部に導電性材料を有するか、基板を通る導電性経路を有している。セルを収容する回路が閉じられると、電子は基板を通ってセルからセルへと流れ、更に正のターミナルへと流れる。本発明の組立体において、電子が、基板およびセルを通って流れ、更に集電体を通って電流導電体または両者に流れるようにすることも考えられる。
【0031】
本発明の組立体は、好ましくは1対以上の導電性ターミナルを有し、各対の導電性ターミナルは正のターミナルおよび負のターミナルに接続されている。ターミナルは、各バッテリを負荷、本質的にはセルで発生された電気を利用するシステムに接続できる。ターミナルは、組立体内の導電性導管に接触している。組立体には、セルが危険な内部圧力に到達した場合に圧力を解放するための1つ以上のセルの減圧弁を設けることができる。減圧弁は、バッテリが使用されるシステムに損傷を与える態様の壊滅的故障を防止するように設計されている。ひとたび減圧弁が解放されると、バッテリはもはや機能しなくなる。或いは、本発明の組立体には、危険圧力に到達したときまたは到達する前に、全組立体から圧力を解放する単一の逆止弁を設けることもできる。
【0032】
本発明の組立体は負荷に取付けられ、セルを備えた回路が形成される。電子は、ターミナルおよび負荷すなわち電気を使用するシステムに流れる。この流れは、セルが電気を発生できる限り維持される。セルのスタックが完全に放電された場合には、バッテリは、更に使用する前に充電工程を受ける必要がある。バイポーラプレートの基板が導電性材料の添加剤を有する場合には、その相変態温度より低いバッテリ組立体の作動温度で、基板は、この第1表面と反対側の第2表面との間に、材料添加剤を介しての導電性経路を有し、かつ導電性材料の添加剤の相変態温度より高い温度で、導電性材料の添加剤は、導電性経路を介しての導電性を不能にする相変態を受ける。これにより、好ましくない事態が生じる前に、バッテリを作動不能にすることができる。ひとたびバッテリが放電されると、バッテリは、電子源を備えた回路を形成することにより再充電される。充電中は電極の機能が変化し、放電中のアノードはカソードとなり、放電中のカソードはアノードとなる。本質的に、電気化学セルは、放電と比較して、電子およびイオンを逆方向に流す。
【0033】
本発明の組立体は、次の工程により製造される。バイポーラプレートおよびモノポーラプレートの基板が、一定形状に形成すなわち切断される。基板が非導電性材料からなりかつ伝統的なバイポーラバッテリが組立てられる場合には、基板を複合基板に変換する必要がある。これを達成する手段は、既知の任意の手段により基板に貫通孔を形成することであり、例えば基板をモールディングまたは機械加工することにより開口を形成する。開口には、好ましくは前述のように一定温度で溶融する導電性材料が充填される。金属を使用する場合には、シートまたは箔が基板の一面または両面に接着される。金属シートまたは箔が前述のような接着剤を用いて基板に接着される場合には、ニトリルベースのゴムセメントを用いるのが好ましい。基板すなわち金属シートまたは箔には、カソードおよびアノードが取付けられる。取付けは、任意の標準のカソードまたはアノード取付け方法を用いて行われる。カソードおよびアノードがペースト状で使用される場合には、基板または金属シートまたは箔にペーストが塗布される。この実施形態では、ペーストが乾燥される。好ましくは、基板、金属シートまたは箔、セパレータ、アノード、カソードおよび存在する他のコンポーネンツには、横方向チャネル用の孔を予形成または機械加工しておく。スリーブ、インサートまたはボス等を用いてチャネルが形成される場合には、これらはバッテリプレートおよび/またはセパレータ内に挿入される。インサートが所定位置にモールディングされる場合には、インサートは既知の成形方法を用いて所定位置にモールディングされる。次に、各プレートのアノードが他のカソードに対面するようにコンポーネンツが積層(スタック)される。シートは、基板の縁部が他の任意のフレームのコンポーネンツに整合するようにして積層されるのが好ましい。一実施形態では、スタックを支持するのに、2つ以上のガイドピンまたはボルトを備えたプレートが使用される。コンポーネンツは、本明細書での開示と矛盾することなく、ガイドピンを用いて適当な順序でプレート上に積層される。整合ピンまたはボルトのための2つ以上の横方向チャネルを使用できる。ひとたびスタックが完成すると、エラストマ膜またはプラスチックスリーブが横方向チャネル内に挿入される。チャネルが、プレートの孔と孔との間に配置されるブシュまたはプラスチックスリーブによりシールされる場合には、チャネルの内面、孔、スリーブおよび/またはブシュの内面にコーティングが塗布される。プレートの孔の内面にねじ山を形成する必要があるときは、既知の技術を用いて、組立ての前または後にねじ山が形成される。次に、ポストがスタック内に挿入されかつオーバーラップ部分により、モノポーラプレートの反対側のシーリング面に固定される。オーバーラップ部分が機械的取付け構造であるときは、このような取付け構造がポストに固定される。ポストが所定位置で射出成形される場合には、溶融熱可塑性材料がチャネル内に挿入され、溶融材料のオーバーラップ部分がシーリング面の両端部に形成される。チャネルの内面は加熱して溶融させるのが好ましく、この実施形態では、射出された熱可塑性材料が首尾よくチャネルの内面に接合する。熱可塑性材料は冷却できる。他の実施形態では、チャネルはチャネル内に挿入された形態および各端部に形成されたオーバーラップ部分の形態にすることができる。次に、ツーパート熱硬化性材料がチャネルに付加され、ポストを形成すべく硬化される。ポストが締り嵌めによりチャネル内に嵌合されるように設計されている場合には、ポストは適当な力で挿入される。ひとたびポストが固定されかつ安定化されると、スタックがガイドピンから取外され、かつポストはチャネル内に挿入されてガイドピンとして使用される。
【0034】
膜がスタックの縁部表面に取付けられる実施形態では、接着剤が膜またはスタックの縁部の一方または両方に塗布され、膜およびスタックの縁部が接触されて一体に接合される。膜は所定位置に保持され、一方、接着剤は既知の機械的手段を用いて硬化される。膜の縁部は、モノポーラプレートの反対側表面で、他の膜シートまたは膜または端プレートのシールされていない縁部にシールされる。シーリングは、接着剤または融着により行われる。或いは、膜は融着により取付けることができる。融着では、スタックの縁部および縁部に接合される膜の表面の両方が、膜またはスタックの構造的一体性に負のインパクトを与えることなく表面が溶融する条件に曝される。これは、各々を高温表面、プラテン、高温流体、空気、輻射熱、振動等に接触させ、次に溶融表面に沿って膜とスタックの縁部とを接触させて、溶融面が冷却されかつ一体接合できるようにする。膜は、特定縁部に適合するように切断するか、スタックの縁部の周囲に巻かれる連続シートとすることができる。この実施形態では、膜の前縁部および後方縁部は、これらが出合う箇所で、融着により一体に接合される。膜は、膜または存在するモノポーラプレートの外面上の端プレートにシールされる。膜はケースとして機能するのが好ましい。融着の実施形態では、膜およびスタックの縁部が、各々の表面を溶融させるのに充分な時間、各々の表面が溶融される温度または条件に露出される。選択される温度は、膜および/または基板および他の任意の構成コンポーネンツに使用される材料の融点より高いことが好ましい。使用される温度は、好ましくは約200℃以上、より好ましくは約220℃以上、最も好ましくは約230℃以上である。使用される温度は、好ましくは約300℃以下、より好ましくは約270℃以下、最も好ましくは約240℃以下である。
【0035】
フレームおよび/またはインサートは、次の工程を用いて、セパレータまたはバッテリプレートの中または上にモールディングされる。セパレータシートは、一定サイズに切断される(ダイパンチ、スリット、スタンピング等により行う)。所要厚さに一致するように、1枚以上のシートが積層される。シートは金型内に置かれ、該金型はシートを固定位置に置く。金型は、必要に応じて、セパレータの周囲の外周フレームおよび横方向チャネルの周囲の内部形状(例えばブシュ)を形成する。また、金型は、セパレータ材料を過度に圧縮しないようにかつプラスチックがセパレータ材料に損傷を与えないように設計される。プラスチックは金型内に射出され、プラスチックが冷却されると、部品が放出される。
【0036】
膜は、次の工程を用いてバッテリスタックの一部または全部の周囲にモールディングされる。バッテリのコンポーネンツは適当な順序(例えば、端プレート、モノポーラプレート、セパレータ、バイポーラプレート等の順序)で積層される。積層される各コンポーネントの横方向孔を通るガイドロッドを用いることにより、スタックの整合が確保される。次に、積層された組立体が金型内に搬送される。金型は、正の金型キャビティ、負の金型キャビティ、バッテリのボディ用のインサート成形キャビティ(或いは、射出成形に一般的であるように、スライドドアを使用することもできる)、および負の金型キャビティまたは正の金型キャビティ内に配置される引っ込み可能なガイドピンを有している。積層された組立体は、整合を確保しかつ維持するため、引っ込み可能なガイドピン上に搬送される。次にプラスチックが射出され、コンポーネンツおよび端プレートをシールするバッテリの外側膜を形成する。次にガイドピンが引っ込められ、プラスチックの第2回目のショットが射出されて横方向チャネルを充填しかつ射出されたプラスチックを端プレートに固定する。ひとたび冷却されたならば、バッテリが金型から放出される。
【0037】
組立体には更に、1つ以上の電気化学セルに通じる1つ以上のベント孔が設けられる。ベント孔は、各電気化学セルと接触していることが好ましい。ベント孔は、各セルのバッテリセパレータに配置されるのが好ましい。他の実施形態では、本発明の組立体はマニホルドを有している。好ましくは、1つ以上のベント孔がマニホルドと接触しており、かつマニホルドが全てのベント孔の共通ヘッドスペースを形成する。マニホルドには1つ以上のポートが形成され、該ポートには逆止弁のような1つ以上の弁を配置するのが好ましい。バッテリには更に充填弁を設けることができる。充填弁はマニホルドに配置するのが好ましい。本発明の物品には更に、1つ以上の一体化された充填チャネルおよび/またはベントチャネルを設けることができる。このようなチャネルはバッテリスタックの縁部の近くに形成され、かつセパレータが配置されるカソードとアノードとの間の領域(この領域は、電解質が添加されたときに電気化学セルを形成する)に連通している。チャネルは、組立て前に、セパレータおよびバッテリプレートに孔を形成し、かつこれらの孔を整合させることにより形成される。電気化学セルとして使用される領域にチャネルが連通する限り、インサート、スリーブまたはボスが、横方向チャネルに関連して述べたように使用される。チャネルは、バッテリスタックの外側と2箇所で連通するのが好ましい。これにより、バッテリに電解質を充填するのが容易になる。電気化学セルに電解質を充填した後、開口の1つを充填すなわち閉じることができる。他の開口は、バッテリおよび電気化学セルのベントに使用される。充填中に外部孔から真空引きされ、他の孔から電解質が吸引される。或いは、単一の孔を使用し、後述するようにして電気化学セルに充填することもできる。充填後に、逆止弁、ポップ弁、減圧弁等の弁を残余の孔に挿入できる。スタックの組立て後に、チャネルに予めねじ山を形成すなわちタッピングしておくことができる。
【0038】
組立て後、必要ならば、シールされた膜を通り、吸収剤ガラスマットの厚さの中央に位置する各セル内に、ベント孔をドリル穿孔できる。次に、マニホルドが、ベント孔の上方に共通ヘッドスペースを形成するバッテリ組立体の頂部に取付けられる。マニホルドには単一ポートを設けることができる。単一のマニホルドポートは、真空パージポートおよび電解質充填ポートとして使用できる。真空は、真空ポンプを介してマニホルドポートから約29インチHgのような低圧に真空引きされ、次に真空源の弁が遮断される。また、電解質の源に連結された充填弁が開かれ、電解質がバッテリの全てのセルを同時に充填できるようにする。或る実施形態では、フレームが製造すなわちモールディングされるときに、セパレータの回りでフレームにベント孔が形成される。或る実施形態では、バッテリプレートに使用されるセパレータフレームおよび基板に孔を予めドリリングすなわち形成することにより、一体化されたベントチャネルが形成される。これらの孔は整合されてチャネルを形成する。このチャネルは、電気化学セルと連通しているベント孔と連通している。或る実施形態では、一体化されたベントチャネルは横方向チャネルの1つで構成でき、この場合、横方向チャネルは各電気化学セルと連通するベントを有している。これは、各電気化学セルのベント孔を備えた横方向チャネルに膜またはインサートを設けることにより達成される。他の実施形態では、チャネルは、ベント孔を有するか、電気化学セルと連通するベント孔を形成するインサートまたはボスから形成できる。一体化されたチャネルは、電解質の逆流を防止するため加圧することができる。使用前に、チャネルは、電気化学セルに電解質を充填するのに使用できる。好ましい一実施形態では、弁は端プレートの1つに配置される。チャネルには、弁を挿入するためのねじ山を組立て後に形成するか、組立て前に予めねじ山を形成しておくことができる。弁は、挿入および保持のための既知の任意の手段を用いて挿入および保持することができる。本明細書に開示する物品に使用される幾つかのコンポーネンツは、他のコンポーネンツに隣接して配置できる。他のコンポーネンツに隣接して配置されるように設計されたコンポーネンツには、互いに適当な関係をなして部品を保持するための当業界で知られたコンポーネンツまたは技術を用いることができる。互いに適当な関係をなしてコンポーネンツを保持するのに使用される特定のコンポーネンツまたは技術は、本発明の組立体を設計しまたは組立てる当業者の好みのコンポーネンツ、関係および設計に基づいて選択される。
【0039】
本発明の組立体は、内部圧力による漏洩または歪みを生じることなく、100psi以上、好ましくは約50psi以上、より好ましくは約20psi以上、最も好ましくは約10psi以下の内部圧力に耐えることができる。好ましくは、本発明の組立体は、約6~約10psiの内部圧力に耐えることができる。本発明の組立体は、好ましくは約38Wh/kg、より好ましくは約40Wh/kg、最も好ましくは約50Wh/kgのエネルギ密度を提供する。本発明の組立体は、例えば6V、12V、24V、48Vおよび96V等の任意の電圧を発生できる。約200Vが実用的上限であるが、電圧は前記電圧より高くすることができる。
【実施例】
【0040】
図面には、本発明の幾つかの実施形態が示されている。
図1は、バイポーラプレート10のスタックを示す側面図である。多数のモノポーラおよびバイポーラ基板プレート11が示されている。各バイポーラ基板プレートに隣接して、アノード12およびカソード13が配置されている。各セルのアノード12とカソード13との間には、電解質が吸収された吸収剤ガラスマットを備えたセパレータ14が配置されている。横方向チャネル16内に配置されたゴムチューブからなるシール15も示されている。ゴムチューブ15内の横方向チャネル内にはねじボルトの形態をなすポスト17が配置されている。ポスト17の端部は、ボルトヘッド18およびナット19の形態をなすオーバーラップ部分である。モノポーラプレート43およびバイポーラプレート44の基板の縁部の周囲にはフレーム20が配置されている。
図2には、モノポーラプレート43の基板11の対向面の端部上に配置された端プレート21が示されている。ボルト17のナット19と、モノポーラプレートの対向面24上のシーリング面23との間にはシール22が配置されている。
【0041】
図3には、バイポーラ基板のスタックの縁部の周囲に配置された膜が示されている。端プレート25には、ボルト17の端部の4つのボルトヘッド19が間隔を隔てて配置されているところが示されている。端プレート25はスタックの各端部に配置されている。基板11の周囲にはフレーム20が配置されている。基板フレーム20同士の間にはセパレータフレーム34が配置されている。基板フレーム20およびセパレータフレーム34には、熱源26および圧力源28を用いて膜27が設けられ、基板フレーム20およびセパレータフレーム34のスタックの縁部を膜27でシールする。
図4には、セパレータフレーム34が介在された基板フレーム20を備えたバッテリプレート10のスタックを有するバイポーラバッテリ29が示されている。端プレート25が示されており、1つの端プレート25には互いに間隔を隔てた4つのボルトヘッド19が示されている。また、セル内にドリル穿孔されたベント孔30も示されており、マニホルド31がベント孔30をカバーしてベント孔のための共通ヘッドスペースを形成する。また、マニホルド31に配置された逆止弁32も示されており、該逆止弁は共通ヘッドスペース(図示せず)と連通している。更に、バイポーラバッテリ29の負ターミナルおよび正ターミナルである2つのターミナルポスト33も示されている。
【0042】
図5には、セパレータ14、一体成形フレーム34および4つの成形インサート35が示されている。成形インサート35が、横方向チャネル16の一部を形成する孔37の周囲に配置されている。フレーム34は、吸収剤ガラスマット36の周囲に配置されている。
図6には、端ピース25に配置された成形ポスト38および成形ヘッド47が示されている。
図7および
図8には、バッテリプレートおよびセパレータプレート10のスタックが示されている。
図7は、バッテリプレートおよびセパレータの部分分解スタックを示すものである。孔42と、ボルトおよびナット19の形態をなすポスト17の孔39とを備えた端プレート25が示されている。隆起縁部を備えたフレーム20を有するモノポーラプレート43が、端ピースに隣接して配置される。モノポーラプレート43は隆起インサート41を有し、該隆起インサート41は横方向チャネル16およびポスト19を形成するのに使用される孔を包囲する。モノポーラプレート43にはセパレータ14が隣接しており、該セパレータ14は、中央部分を形成する吸収剤ガラスマット36の周囲のフレーム34を有している。横方向チャネルを形成する孔37を包囲する成形インサート35が示されている。セパレータ14に隣接してバイポーラプレート44が設けられ、該バイポーラプレート44は、隆起面を備えた周囲のフレーム20と、横方向チャネル16を形成すべく隆起した成形インサート41を有している。インサート41は、横方向チャネルの孔40を形成している。
図8には、バッテリプレートおよびセパレータのスタックが示されている。端プレート25、バッテリプレート基板フレーム20、セパレータフレーム34、ポスト17、ポストの回りのナット19が示されている。端プレート25内の孔42内にはバッテリターミナル33が配置されている。
【0043】
図9は、本発明の組立体の他の実施形態を示すものである。端プレート25上のポスト17およびナット19、端プレート25に配置された、ターミナル33を備えた孔42、マニホルド31および弁32が示されている。バッテリの周囲には膜27が設けられている。
図10は、横方向チャネルを通るA-A線に沿って切断した断面図である。基板11と、該基板11の端部のフレーム20を備えたカソード13とを有するモノポーラプレート43が示されている。モノポーラプレート43のカソード13に隣接してセパレータ14が設けられ、該セパレータ14の各端部34にはフレームが設けられている。第1セパレータ14に隣接してバイポーラプレート44が設けられ、該バイポーラプレート44は、第1セパレータ14に隣接するアノード12を有している。基板11にはアノード12が配置され、基板11の反対側表面にはカソード13が配置され、かつ
図9で見て端部にはフレーム20が配置されている。図示のように、多数のバイポーラプレート44が以下に述べるように配置されている。バイポーラプレート44同士の間にはセパレータ14が設けられている。スタックの反対側端部には、基板11を備えたモノポーラプレート43が設けられ、図面の両端部にはフレーム20が示され、アノード12は隣接するセパレータ14に対面している。1対のバッテリプレートが電気化学セルを形成し、セル内にはセパレータ14が配置されている。横方向チャネル16が示されており、該横方向チャネル16内にはポスト17が配置され、該ポスト17の端部にはナット19が設けられている。
図11は、
図9の組立体のスタックの端部のB-B線に沿う部分断面図であり、ベント孔45を示している。
図12は、
図9の組立体のC-C線に沿ってベント孔45を通り電気化学セルに至る断面図である。各電気化学セルのベント孔45が示されている。
【0044】
図13は、組立体の端プレート25内に弁32が設けられた本発明の組立体の他の実施形態を示すものである。弁32は一体チャネル46と連通し、一体チャネル46はベント孔と連通している。
図14は、
図13の組立体のE-E平面を通る断面図であり、一体チャネル46は、電気化学セルに通じるベント孔45と連通している。一体チャネル46は、スタックの端部で弁32と連通している。
図15は、ベント孔45と連通している一体チャネル46を通り電気化学セルに至る、
図13の組立体のF-F平面に沿う断面図である。
【0045】
次の例は本発明を例示するためのものであるが、本発明の範囲を限定するためのものではない。特に示さない限り、全ての部および百分率は重量部である。
【0046】
(例1)
12Vのバイポーラバッテリは、2つのモノポーラプレート(正および負)および5つのバイポーラプレートを用いて製造される。プレートは、本明細書および特許文献2に開示の方法を用いて製造される。この例では、プレートは197mm×173mmでありかつ4つの横方向チャネル孔を有している。プレートは、負極活物質および正極活物質として標準の鉛酸活性材料を用いてペースト化される。バッテリは、横方向チャネルを通して4つのロッド上にスタッキングすることにより組立てられる。これにより、プレートの整合が確保される。各プレートが配置された後、4つのブシュが整合ロッド上に降下される。これらのブシュは、セパレータの最終圧縮高さを確立する。次に、孔がセパレータに切り込まれてブシュに適合するように、吸収剤ガラスマットセパレータがスタッキングされる。このプロセスは全てのセルについて反復される。組立体は、横方向チャネルに仮止めボルトを通すことにより圧縮されかつ固定される。バッテリは、2mm厚のABSシートをバイポーラプレートの縁部に融着することにより縁部上にシールされる。これは、4つの辺の各々について反復される。縁部がシールされた後、仮止めボルトが横方向チャネルから取外される。ABSロッドが、端プレートを通して、横方向チャネルに挿通される。次に、ABSロッドが端プレート上にヒートステーク(heat-stake)され、チャネルをシールしかつ圧縮荷重を支持すべくバッテリを固定する。
【0047】
組立時に、ベント孔が、シール膜を通って、吸収剤ガラスマットセパレータの厚さの中央に位置する各セル内にドリル穿孔される。次に、マニホルドがバッテリ組立体の頂部に接着され、ベント孔の上方に共通ヘッドスペースを形成する。マニホルド内には単一ポートが形成されている。バッテリ組立体が水タンク内に置かれ、マニホルドポートからヘリウムガスを導入して4psiの圧力が加えられる。漏洩または気泡は全く観察されなかった。
【0048】
ポートを通して、約29inHgまで真空引きされる。真空が閉じられかつ充填弁が開かれて、酸がバッテリの全てのセルを同時に充填できるようにする。次に、標準鉛酸バッテリ形成手順を用いてバッテリを形成する。バッテリの形成後、バッテリは、開セル電圧、容量および抵抗が試験される。この例では、バッテリは、18Ahの20時間放電速度での容量および20ミリオームの抵抗で、12.95Vの開回路電圧(open circuit voltage:OCV)を有した。
【0049】
1組の実験では、圧力ゲージがマニホルドポートに取り付けられる。充電されたバッテリは水タンク内に置かれ、ターミナルに電圧が印加される。電圧は14Vから16Vまで変化される。圧力は、モニタリングされかつ電極に酸素ガスおよび水素ガスが生成するため印加電圧とともに増大する。16Vで、表示圧力は30psiである。気泡および漏洩は全く生じない。
【0050】
(例2)
例1と同様に第2バッテリが製造される。この例では、横方向チャネルがエポキシ樹脂で充填される。圧縮荷重を支持するため、端プレートの樹脂の端部にキャップが成形される。組立後、バッテリは、4psiのヘリウムで圧力試験されると同時に水タンク内に浸漬される。目に見える漏洩は全く観察されなかった。前例と同様に、バッテリに酸が充填されかつ成形される。バッテリは、12.93VのOCV、17.8アンペアアワー(Ah)の20時間放電容量および24ミリオームの抵抗を呈する。
【0051】
(例3)
例1で説明した方法と同じ方法を用いて96Vのバッテリが製造される。バッテリは、正のモノポーラ端組立体、負のモノポーラ端組立体および47個のバイポーラプレートを用いて製造される。この例では、横方向チャネルに注ぎ口が付けられかつチャネル内にねじ付きプラスチックロッドが挿入される。このねじ付きロッドはモノポーラ端プレートを通って延びる。例1と同様に、ねじ付きロッドは、ヒートステーキにより端シールを形成しかつ圧縮荷重を固定する。組立後、バッテリは、4psiのヘリウムで圧力試験され、漏洩は全く観察されない。前例と同様に、バッテリには酸が充填されかつ形成される。バッテリは103.5VのOCVおよび17Ahの20時間容量を呈する。
【0052】
本明細書で使用される重量部とは、特に言及する組成物の100重量部をいう。以上、本発明の例示実施形態を開示した。当業者ならば、例示実施形態の改変は本明細書の教示内に包含されることを認識されよう。本明細書に列挙する全ての数値は、下側値から上側値までの全ての値を、任意の下側値と任意の上側値との間が少なくとも2単位離れていることを条件に、1単位刻みで包含する。列挙した最低値と最高値との間の数値の全ての可能な組合せは、本明細書で特に述べられたと考えるべきである。述べられていないとするならば、全ての範囲は、両終端点および両終端点の間の全ての数を含む。範囲に関して「約(about)」または「ほぼ(approximately)」の使用は、範囲の両端点を含むものである。かくして、「約20~30」は、少なくとも特定端点を含み、「約20から約30」をカバーするものである。組合せを記述する用語「本質的に含む(consisting essentially)」は、関係する元素、配合剤、成分または工程を含み、このような他の元素、配合剤、成分または工程は、組合せの基本的特徴および新規な特徴に大きな影響を与えない。本明細書で、元素、配合剤、成分または工程の組合せを説明するのに、用語「有する(comprising)」または「含む(including)」を使用することは、本質的に元素、配合剤、成分または工程を有する実施形態をも考慮することである。単一の集合元素、配合剤、成分または工程により、複数の元素、配合剤、成分または工程を得ることができる。或いは、単一の集合元素、配合剤、成分または工程を、複数の別々の元素、配合剤、成分または工程に分割することもできる。元素、配合剤、成分または工程を表わすのに「a」または「one」を使用することは、付加の元素、配合剤、成分または工程を除外することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0053】
10 バイポーラプレートのスタック
11 モノポーラ基板およびバイポーラ基板のプレート
12 アノード
13 カソード
14 セパレータ
15 シール
16 横方向チャネル
17 ポスト
20 基板フレーム
21、25 端プレート
27 膜
29 バイポーラバッテリ
30 ベント孔
31 マニホルド
32 逆止弁
34 セパレータフレーム
36 吸収剤ガラスマット
38 成形ポスト
43 モノポーラプレート
44 バイポーラプレート
45 ベント孔
46 一体チャネル