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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】ミネラルウールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   D06M 15/03 20060101AFI20220302BHJP
   D06M 13/02 20060101ALI20220302BHJP
   D06M 13/192 20060101ALI20220302BHJP
   D06M 15/643 20060101ALI20220302BHJP
   D04H 1/4209 20120101ALI20220302BHJP
   F16L 59/02 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
D06M15/03
D06M13/02
D06M13/192
D06M15/643
D04H1/4209
F16L59/02
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019510415
(86)(22)【出願日】2017-05-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-31
(86)【国際出願番号】 FR2017051059
(87)【国際公開番号】W WO2018042085
(87)【国際公開日】2018-03-08
【審査請求日】2020-04-24
(31)【優先権主張番号】1658166
(32)【優先日】2016-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502425053
【氏名又は名称】サン-ゴバン イゾベール
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 和哉
(72)【発明者】
【氏名】リオネル キーフェル
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル アゼベド
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/132518(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/181458(WO,A1)
【文献】特開平03-183644(JP,A)
【文献】特開昭62-276086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06M 13/00-15/715
D04H 1/00-18/04
F16L 59/00-59/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミネラルウールをベースとする絶縁製品の製造方法であって、
-ミネラルウール繊維に結合組成物を適用すること、ここで、該組成物は以下を含む:
(a)還元糖、非還元糖、水素化糖及びそれらの混合物から選ばれる少なくとも1種の炭水化物、
(b)前記炭水化物を架橋するための少なくとも1種の架橋剤;
-前記結合組成物の溶媒相を蒸発させること;及び、
-前記組成物の不揮発性部分を熱硬化させること、
を含み、
前記方法は、ミネラルウール繊維上に結合組成物を適用する直前に、結合組成物に対して水中油型エマルジョンを添加し、該水中油型エマルジョンは、水、鉱油、100質量部の鉱油あたりに0.5~5.0質量部の少なくとも1種の非イオン性界面活性剤及び100質量部の鉱油あたりに0.1~2.0質量部の水溶性多糖類を含み、該水中油型エマルジョンのオイルドロップレットの平均直径がレーザ回折粒度分析によって決定して5μmより大きいことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記架橋剤が、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸の塩及び無水物、鉱酸の金属塩並びに鉱酸のアミン塩及びアンモニウム塩から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記架橋剤が、モノマーポリカルボン酸から選ばれることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記炭水化物中の水素化糖の割合が、25~100質量%の水素化糖であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記結合組成物が、成分(a)+(b)の100質量部に対して、0.1~3質量部のポリオルガノシロキサンをさらに含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリオルガノシロキサンが、前記結合組成物の成分(a)又は(b)と反応することができる官能基を有することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記鉱油が、20℃で100~6000mmsの動粘度を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
鉱油ドロップレットの平均直径が、5.1μm~150μmであることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記水中油型エマルジョンが、100質量部の鉱油あたりに0.5~1質量部の水溶性多糖類を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記水中油型エマルジョンが、100質量部の鉱油あたりに1.2~3質量部の非イオン性界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記鉱物繊維上への結合組成物の適用が、複数のノズルを含むスプレーリングによって行われ、そして前記水中油型エマルジョンが、スプレーリングに供給する結合組成物の流れの中に水中油型エマルジョンの流れを注入することによって前記結合組成物に導入されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記水中油型エマルジョンを前記結合組成物を含有するタンクに添加し、そして得られた混合物を、オイルドロップレットが均一に分配するまで混合することを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ミネラルウール繊維に適用する鉱油の量が、鉱物繊維の質量に対して、0.1~2.0%であることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記水素化糖が、単糖類、二糖類、オリゴ糖類及び多糖類の水素化生成物並びにそれらの混合物から選ばれることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記水素化糖が、デンプン加水分解物の水素化生成物であることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は水中油型エマルジョンタイプの防塵剤を使用したミネラルウールをベースとする断熱性製品を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ミネラルウールをベースとする絶縁製品の製造は、一般に、遠心プロセスによってガラス繊維又は岩石繊維を製造する工程を含む。遠心デバイスと繊維収集ベルトとの間の移動時に、バインダとも呼ばれる水性結合組成物を、繊維上に熱いうちにスプレーし、次いでその結合組成物を約200℃の温度で熱硬化反応させる。
【0003】
バインダとして数十年間使用されてきたフェノール樹脂は、再生可能資源から誘導され、ヒトの健康に潜在的に有害であると考えられる化合物であるホルムアルデヒドをほとんど又は全く放出しない製品にますます置き換えられている。
【0004】
そして、例えば米国特許第8197587号明細書及び米国特許出願公開第2011/0223364号明細書から、熱架橋性試薬として炭水化物及びポリカルボン酸を含有するホルムアルデヒド不含水性結合組成物で鉱物繊維を結合することが知られている。
【0005】
さらに、ミネラル繊維用の水性結合組成物中に塵を低減させるための薬剤を配合することが知られている。最も一般的に使用されている防塵剤は鉱油である。鉱油と水性結合組成物との均一混合及び経時的に安定な適用量の防塵剤を保証するために、界面活性剤及び/又は水相の増粘剤によって安定化された水中油型エマルジョンの形態で鉱油をパッケージすることが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
できるだけ細かく安定したエマルジョンが一般的に求められている。本発明は、今日まで使用されてきた水中油型エマルジョンの高い安定性及び微細さが防塵剤の有効性を制限し得るという発見に基づいている。
【0007】
具体的には、ダストを保持するのに有効な鉱油の部分は、硬化工程の終わりに硬化しているバインダ層の表面上(すなわちバインダ/空気界面)に広がる部分であると一般に考えられている。したがって、鉱油は、バインダ層を被覆する表面層を形成するために、 -繊維上への適用工程の間又はその直後に -結合組成物の他の成分から分離しなければならない。具体的には、硬化したバインダ中に閉じ込められた鉱油ドロップレットは塵粒子を保持するのに有効でないだろう。
【0008】
したがって、本発明の背景にある技術的課題は二重の制約から生じる。すなわち、
-結合組成物が適用される時まで安定である、防塵剤の水中油型エマルジョンを提供する必要性。
-結合組成物を噴霧するときに、バインダ層の表面上に油層を形成するためにエマルジョンを急速に不安定化させる必要性。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者らは、バイオベースのバインダによって結合されたミネラルウール用の防塵性エマルジョンを最適化することを目的とした調査研究の関係において、考慮されるべき重要なパラメータがオイルドロップレットのサイズであることを発見した。数ミクロンから数十ミクロンのオーダーのサイズを有する比較的に大きなドロップレットを含有するエマルジョンは、1ミクロン又はサブミクロンのオーダーのドロップレットを有するより微細なエマルジョンよりも効果的であった。
【0010】
いずれか1つの理論に拘束されることを望むものではないが、本発明の発明者は、この効果がエマルジョンの不安定化を加速させることによるものであると考える。ミネラルウール製造プロセスにおいて、速度論的側面は特に重要である:好ましくは貯蔵中に安定である防塵性エマルジョンは、接着リングに水性結合組成物を供給するラインに注入される。数秒後に、結合組成物/防塵性エマルジョン混合物はスプレーノズルによって空気中に分散され、なおも熱い鉱物繊維と接触する。適用された結合組成物の粘度は、水相の蒸発に続いて非常に急速に増加し、そしてバインダは数十秒後に乾燥オーブン中で加熱することにより永久的に硬化される。それゆえ、防塵性鉱油ドロップレットが合体しそしてバインダ層の表面上にフィルムを形成しなければならないのは、繊維上への適用後のごく最初の数秒である。オイルドロップレットが小さすぎると、エマルジョンの不安定化が遅すぎ、大きすぎると、油分が硬化したバインダの塊中に細かいドロップレットの形で閉じ込められたままになる危険性がある。
【0011】
それゆえ、本発明で使用される水中油型エマルジョンは、より容易に合体しそしてバインダ/空気界面へとより迅速に移行するより大きなオイルドロップレットを含有するので、先行技術のものよりも有効である。エマルジョンの促進された破裂は、バインダ/空気界面への油の移動を促進し、硬化したバインダの塊中に閉じ込められている油の量を減少させるか、又はさらには排除する。その結果、防塵性効果が向上する。
【0012】
したがって、本発明は、ミネラルウールをベースとする絶縁製品の製造方法であって、
-ミネラルウール繊維に結合組成物を適用すること、ここで、該結合組成物は
(a)還元糖、非還元糖、水素化糖及びそれらの混合物から選ばれる少なくとも1種の炭水化物、
(b)前記炭水化物を架橋するための少なくとも1種の架橋剤、
を含む、
-前記結合組成物の溶媒相を蒸発させること、及び、
-前記結合組成物の不揮発性部分を熱硬化させること、
を含み、
前記方法は、好ましくはミネラルウール繊維上に結合組成物を適用する直前に、結合組成物に対して、好ましくは安定である水中油型エマルジョンを添加し、該水中油型エマルジョンは水、鉱油、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤及び水溶性多糖類を含み、該水中油型エマルジョンのオイルドロップレットの平均直径がレーザ回折粒度分析によって決定して5μmより大きいことを特徴とする、方法に関する。
【0013】
表現「炭水化物を架橋するための架橋剤」は、場合により触媒の存在下で、炭水化物と反応しそしてそれとともに少なくとも部分的に不溶性である三次元ネットワークを形成することができる化合物を意味するものと本出願において理解される。
【0014】
したがって、本発明による方法は以下の4つの工程:
(1)結合組成物を水中油型エマルジョン(以下、防塵性エマルジョンと呼ぶ)と混合すること、
(2)得られた混合物を、好ましくは噴霧(結合組成物の空気中への分散)によってミネラルウール繊維に適用すること、
(3)結合組成物と防塵性エマルジョンとの混合物の揮発性相を蒸発させること、及び、
(4)一般に少なくとも200℃に等しい高温で不揮発性画分を熱硬化させること、
を含む。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に用いられる水中油型エマルジョンは、好ましくは安定なエマルジョンである。これは、含有するオイルドロップレットの平均直径が有意に増大することなく、20℃~50℃の温度で数週間、撹拌なしに貯蔵されうることを意味する。
【0016】
本発明の防塵性エマルジョンの油含有量は、有利には30~70質量%、好ましくは40~65質量%、特に45~60質量%である。
【0017】
本発明で使用される防塵性エマルジョンは、防塵剤として、流動パラフィンとも呼ばれる鉱油を含有する。それは、有利には、20℃で100~6000mm/sの動粘度を有する。
【0018】
本発明者らは、20℃における動粘度(ISO 3104)が1000~5000mm /sである「高粘度」鉱油で特に有利な結果を得た。鉱油のこの動粘度範囲は、結果として特に好ましい。
【0019】
鉱油は、例えば、Novadex C304又はCatenex S579(高粘度油)又はNovadex B110(低粘度油)の名称で市販されている。
【0020】
水中油型防塵性エマルジョンは2つの成分の組み合わせによって安定化される。すなわち、
-1種の非イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤の混合物、及び、
-水相を増粘するための増粘性ポリマー。
【0021】
原則として、乳化特性について知られているいかなる非イオン性界面活性剤を使用してもよい。それは一般に10より大きいHLB(親水性親油性バランス)を有する。
【0022】
本発明に使用できる非イオン性界面活性剤の例としては、
-脂肪酸のエステル、特に脂肪酸のポリアルコキシル化誘導体、
-脂肪族アルコールのエーテル、特に脂肪族アルコールのポリアルコキシル化誘導体、
-グリセロール又はトリメチロールプロパンのポリアルコキシル化誘導体などのポリオールのポリアルコキシル化誘導体、
-ポリ(エチレンオキシド)及びポリ(プロピレンオキシド)のブロックコポリマー、特に、中央ポリ(プロピレンオキシド)ブロック及び2つのポリ(エチレンオキシド)ブロックを含むトリブロックコポリマーであるポロキサマー、
を挙げることができる。
【0023】
非イオン性界面活性剤の合計量は、鉱油100質量部当たり、有利には0.5~5質量部、好ましくは1.2~3質量部、特に1.5~2.8質量部である。
【0024】
水相を増粘するための増粘性ポリマーは公知である。それらは周囲温度で水に可溶性である多糖類である。そのような多糖類の例として、セルロースの誘導体、特に、親水性セルロースエーテル、例えばヒドロキシアルキルセルロース及びカルボキシアルキルセルロース、マルトデキストリン、天然ガム、例えばキサンタンガム、グアーガム及びスクレログルカンを挙げることができる。もちろん、これらの増粘剤を組み合わせて使用することができる。
【0025】
鉱油の量に対して表現すると、水溶性多糖類の量は、鉱油100質量部当たり0.1~2質量部、好ましくは0.5~1質量部である。
【0026】
本発明の水中油型エマルジョンを調製するために、有利には、最初に、1種の界面活性剤又は複数種の界面活性剤及び水相を増粘するための増粘性ポリマーの水溶液を調製する。これらの2つの水溶性成分の溶解は、例えば30~80℃の温度での水相の穏やかな加熱、及び、約1時間~20時間の比較的長い撹拌時間を必要としうる。しかしながら、周囲温度に戻した後に2つの成分が水中に可溶性のままであることが好ましい。
【0027】
次に、鉱油を、溶解状態で界面活性剤及び水溶性多糖類を含有する水相に添加する。次いで、安定なエマルジョンが得られるまで混合物を剪断応力又は超音波を供する。
【0028】
本発明者らは、5μmを超える平均サイズを有するドロップレットを有する水中油型エマルジョンを得るために、S50N-G45G分散ツールを備えたUltra-Turrax IKA T50分散機を使用し、分散機を最高速度(10000rpm)で約1~5分間操作した。
【0029】
ドロップレットのサイズは、使用される剪断応力(すなわち分散機の剪断速度)又は使用される鉱油の粘度のいずれかを変更することによって調整することができる。
-所与の鉱油について、剪断応力が高いほど、ドロップレットは小さい。それらの直径を大きくすることが望まれる場合には、分散ツールの回転速度を遅くすることが必要である。
-所与の剪断応力について、油が粘性であるほど、ドロップレットの直径は大きくなる。直径を小さくすることが望まれる場合には、そのため、それほど粘性でないオイルを選択することが奨励される。
【0030】
非イオン性界面活性剤及び/又は増粘剤の量はドロップレットの直径にはほとんど影響を与えないが、得られるエマルジョンの安定性には影響を与える。
【0031】
次いで、得られたエマルジョンのオイルドロップレットの体積平均直径を、20℃の温度でレーザ回折粒度分析器(Metasizer 2000又はMetasizer 3000)を用いてレーザ粒度分析により決定する。このためには、エマルジョンを大量の水で希釈しなければならない(約1/1000~1/100000の希釈)。しかしながら、平均直径の値は行われた希釈とは無関係である。
【0032】
導入部で既に説明したように、本発明者らは、適用された所与の量の油に対して、5μmより大きい平均直径を有する粒度分布を有する本発明の水中油型エマルジョンは、より小さいサイズのドロップレットを含有する先行技術からのエマルジョンよりも良好な防塵性効果を有することを観察した。
【0033】
この平均直径は、有利には5.1~150μm、好ましくは6.0~100μm、より優先的には6.5~60μm、さらに優先的には7~40μm、好ましくは8~35μm、特に10~30μmである。
【0034】
本発明で使用される、炭水化物及び架橋剤、好ましくはポリカルボン酸をベースとする結合組成物は公知であり、そして例えば米国特許第8197587号明細書、国際公開第2010/029266号、国際公開第2013/014399号、国際公開第2015/181458号、国際公開第2012/168619号、国際公開第2012/168621号、国際公開第2012/072938号に記載されている。
【0035】
本願において、用語「炭水化物」は、厳密な意味での炭水化物、すなわち少なくとも1つのアルデヒド又はケトン基(還元性基)を有する式C(HO)の還元糖又は炭水化物だけでなく、アルデヒド又はケトン基がアルコールに還元されているこれらの炭水化物の水素化生成物も包含するので、通常よりも広い意味を有する。この用語は、いくつかの炭水化物単位からなる非還元糖も包含し、そのうちのヘミアセタールヒドロキシルを有する炭素は単位を一緒に連結するグリコシド結合に関与している。
【0036】
本発明による結合組成物の炭水化物成分(成分(a))は、水素化糖のみからなり、還元糖又は非還元糖を含まなくてもよい。この実施形態は、それが特に控えめに着色された絶縁製品をもたらすので有利である。
【0037】
特定の含有量の還元糖を有する結合組成物を用いて得られるミネラルウールをベースとする絶縁製品は比較的により着色されているが、還元糖又は不完全に水素化された糖の混合物の低コストに関連する実際の経済的利点を有する。
【0038】
本発明において、用語「水素化糖」は、単糖類、二糖類、オリゴ糖類及び多糖類並びにこれらの製品の混合物から選ばれる糖類の還元から生じる全ての生成物を意味する。
【0039】
水素化糖は、好ましくはデンプン加水分解物の水素化生成物である。
【0040】
デンプン加水分解物は、デンプンの酵素的及び/又は酸加水分解によって得られる生成物である。加水分解度は一般に、以下の関係式によって定義されるデキストロース当量(DE)によって特性化される。
【0041】
【数1】
【0042】
好ましいデンプン加水分解物は、水素化工程の前に、5~99、有利には10~80のDEを有する。
【0043】
糖類の水素化は、元素の周期律表の第IB、IIB、IVB、VI、VII及びVIII族からの元素から選ばれる触媒の存在下で、高水素圧及び高温条件下で作用する公知の方法によって実施することができ、該元素は、好ましくはニッケル、白金、パラジウム、コバルト及びモリブデンを含む群からの元素、並びにそれらの混合物から選ばれる。好ましい触媒はラネーニッケルである。水素化は1種の糖又は糖混合物(デンプン加水分解物)をポリオール又は糖アルコールに転化させる。
【0044】
挙げることができる水素化糖の例には、エリトリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール、セロビトール、パラチニトール、マルトトリトール及びデンプン加水分解物の水素化生成物が含まれる。
【0045】
デンプン加水分解物の水素化生成物は好ましくは使用される。
【0046】
好ましくは、1種の水素化糖又は水素化糖の混合物は、主に、すなわち50質量%を超えるマルチトール(マルトースの水素化生成物で、デンプンの酵素加水分解から生じるグルコース二量体)からなる。
【0047】
炭水化物成分(成分(a))は還元糖のみからなってもよい。しかしながら、上記の理由のために、それは好ましくはかなりの割合の水素化糖を含む。炭水化物中の水素化糖の割合は有利には25~100質量%であり、それで、成分(a)は水素化糖に加えて75質量%以下の1種以上の還元糖又は非還元糖を含む。
【0048】
炭水化物(成分(a))中の水素化糖の含有量は、好ましくは少なくとも30質量%、特に少なくとも50質量%、そして理想的には少なくとも70質量%である。
【0049】
還元糖は単糖類及び多糖類(二糖類、オリゴ糖類及び多糖類)を包含する。
【0050】
挙げることができる単糖類の例には、3~8個の炭素原子を含むもの、好ましくはアルドース、有利には5~7個の炭素原子を含むアルドースが含まれる。特に好ましいアルドースは天然アルドース(Dシリーズに属する)、特にグルコース、マンノース及びガラクトースなどのヘキソースである。
【0051】
ラクトース又はマルトースは還元糖として使用できる二糖類の例である。
【0052】
本発明に使用することができる多糖類は、好ましくは100000未満、好ましくは50000未満、そして有利には10000未満の重量平均モル質量を有する。
【0053】
好ましくは、多糖類は上記のアルドースから選ばれる少なくとも1種の単位、有利にはグルコースを含有する。主に(50質量%を超える)グルコース単位からなる還元多糖類は特に好ましい。
【0054】
還元糖は、特に単糖類、オリゴ糖類及び多糖類の混合物、特にデキストリンでありうる。
【0055】
デキストリンは、一般式(C10に対応する化合物である。それらはデンプンの部分加水分解によって得られる。それらのデキストロース当量(DE)は、有利には5~99、そして好ましくは10~80である。
【0056】
非還元糖は、好ましくは、10個以下の炭水化物単位を含有する非還元オリゴホロシドである。
【0057】
そのような非還元糖の例としては、トレハロース、イソトレハロース、スクロース及びイソスクロースなどのジホロシド、メレジトース、ゲンチアノース、ラフィノース、エルロース及びウンベリフェロースなどのトリホロシド、スタキオースなどのテトラホロシド、及び、ベルバスコースなどのペンタホロシドを挙げることができる。
【0058】
スクロース及びトレハロースが好ましく、そしてさらに好ましくはスクロースである。
【0059】
成分(a)、すなわち水素化糖及び/又は還元及び/又は非還元糖からなる炭水化物は、有利には、結合組成物の固形分の30~70質量%、好ましくは40~60質量%を示す。これらの値は、防塵性エマルジョンの添加前であると理解される。
【0060】
本発明において使用される架橋剤は、好ましくは、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸の塩及び無水物、鉱酸の金属塩並びに鉱酸のアミン塩及びアンモニウム塩から選ばれる。
【0061】
鉱酸は、例えば、硫酸、リン酸、硝酸及び塩酸である。金属塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属の塩であることができる。
【0062】
本発明において架橋剤として使用することができる鉱酸及びそれらの塩は、例えば国際公開第2012/168619号、国際公開第2012/168621号及び国際公開第2012/072938号に記載されている。
【0063】
1つの好ましい実施形態において、架橋剤はポリカルボン酸を含むか、又は、ポリカルボン酸である。ポリカルボン酸は、ポリマー酸(すなわち、カルボキシル化モノマーの重合によって得られる)又はモノマー酸でありうる。
【0064】
結合組成物の粘度を制限するために、このポリカルボン酸は、有利には50000以下、有利には10000以下、有利には5000以下の数平均モル質量を有する。
【0065】
ポリマーポリカルボン酸の例として、少なくとも1つのカルボン酸基を有するモノマーから得られるホモポリマー及びコポリマーを挙げることができ、該カルボン酸は、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、ケイ皮酸、2-メチルマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、2-メチルイタコン酸、α,β-メチレングルタル酸及び不飽和ジカルボン酸モノエステル、例えばC-C10アルキルマレエート及びフマレートである。コポリマーは、酢酸ビニル、非置換であるか又はアルキル、ヒドロキシルもしくはスルホニル基又はハロゲン原子で置換されているスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、C-C10アルキル(メタ)アクリレート、特にメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート及びイソブチル(メタ)アクリレートなどの1種以上のビニル又はアクリルモノマーをさらに含むことができる。
【0066】
1つの特に好ましい実施形態において、成分(b)はモノマーポリカルボン酸であるか又はそれを含む。モノマーポリカルボン酸は、カルボキシル化モノマーの重合から生じるものでないポリカルボン酸である。それゆえ、モノマーポリカルボン酸は反復単位の鎖を含まない。
【0067】
それはジカルボン酸、トリカルボン酸又はテトラカルボン酸であることができる。
【0068】
ジカルボン酸は、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、リンゴ酸、酒石酸、タルトロン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、トラウマチン酸、樟脳酸、フタル酸及びそれらの誘導体、特に少なくとも1個のホウ素又は塩素原子を含有するもの、テトラヒドロフタル酸及びそれらの誘導体、特にクロレンド酸などの少なくとも1個の塩素原子を含有するもの、イソフタル酸、テレフタル酸、メサコン酸及びシトラコン酸を包含する。
【0069】
トリカルボン酸は、例えば、クエン酸、トリカルバリル酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、アコニット酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸及びトリメシン酸を包含する。
【0070】
挙げることができるテトラカルボン酸の例には、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸及びピロメリット酸が含まれる。
【0071】
好ましくはクエン酸を使用する。
【0072】
成分(b)は、有利には、本発明の結合組成物の固形分の30~70質量%、好ましくは40~60質量%を示す。これらの値は、防塵性エマルジョンの添加前であることが理解される。
【0073】
成分(a)/成分(b)の質量比は、好ましくは70/30~30/70、特に60/40~40/60である。
【0074】
結合組成物はさらに好ましくは、例えば粘土、コロイド又は非コロイドシリカ、金属酸化物、尿素硫酸塩、尿素塩化物及びケイ酸塩系触媒などのルイス酸及び塩基から選ばれることができるエステル化触媒を含む。
【0075】
触媒は、リンを含有する化合物、例えばアルカリ金属次亜リン酸塩、アルカリ金属亜リン酸塩、アルカリ金属ポリリン酸塩、アルカリ金属リン酸水素塩、リン酸又はアルキルホスホン酸であることができる。好ましくは、アルカリ金属はナトリウム又はカリウムである。
【0076】
触媒は、フッ素及びホウ素を含有する化合物、例えばテトラフルオロホウ酸又はこの酸の塩、特にテトラフルオロホウ酸ナトリウム又はテトラフルオロホウ酸カリウムなどのアルカリ金属テトラフルオロホウ酸塩、テトラフルオロホウ酸カルシウム又はテトラフルオロホウ酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属テトラフルオロホウ酸塩、テトラフルオロホウ酸亜鉛及びテトラフルオロホウ酸アンモニウムであることができる。
【0077】
好ましくは、触媒は次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム又はこれらの化合物の混合物である。
【0078】
結合組成物中に導入される触媒の量は、一般に、成分(a)及び(b)の合計質量に対して20質量%以下、有利には1質量%~10質量%を示す。
【0079】
本発明による結合組成物は、100質量部の成分(a)+(b)に基づいて計算される下記の割合で下記の慣用の添加剤をさらに含むことができる。
0~2部のシラン、特にアミノシラン、
0.1~3質量部のポリオルガノシロキサン、好ましくはポリジメチルシロキサン(PDMS)、
0~20部の、水素化糖とは異なるポリオール、
0~30部、好ましくは0~20部の尿素、
0~30部の、リグノスルホン酸アンモニウム(LSA)又はリグノスルホン酸ナトリウムなどのリグニンの誘導体、並びに動物性又は植物性タンパク質から選ばれる増量充填剤(増量剤)。
【0080】
これらの添加剤の役割は知られており、簡単に確認する。
【0081】
シランは、繊維の表面とバインダの成分との両方と反応することができるカップリング剤である。
【0082】
ポリオルガノシロキサンは、好ましくは、結合組成物の成分(a)又は(b)及び/又はガラス表面のシラノール基と反応することができる官能基を有するポリジオルガノシロキサンである。これらの官能基は、例えばシラノール、カルボキシル、無水物、アミン、エポキシ又はビニル官能基、特にシラノール及びカルボキシル官能基である。
【0083】
このポリオルガノシロキサンの役割は、硬化したバインダ及び得られる最終製品の親水性を低下させることである。
【0084】
反応性シリコーンは、好ましくは、周囲温度で液体である。その平均モル質量は、一般に、50000以下、好ましくは10000以下である。
【0085】
好ましくは、反応性シリコーンはその各鎖末端に反応性官能基、有利にはシラノール官能基を含む。
【0086】
反応性シリコーンの反応性官能基は、熱の効果下に前記反応性官能基を解放する保護基によってブロックされていてよい。結合組成物中の反応性シリコーンの割合は、一般に、成分(a)及び(b)の合計100質量部当たり、0.1~3質量部、好ましくは0.3~2.5質量部、有利には0.5~2.0質量部、なおもより良好には0.7~1.8質量部である。
【0087】
結合組成物は、前述の成分を水と単純に混合することによって調製される。
【0088】
本発明の方法において、防塵性添加剤、すなわち水中油型エマルジョンを結合組成物に、好ましくはそれをミネラルウール繊維に適用する直前に添加する。鉱物繊維への結合組成物の適用は、好ましくは複数のノズルを含むスプレーリングによって行われる。
【0089】
1つの実施形態において、水中油型エマルジョンを結合組成物のタンクに添加し、得られた混合物を、スプレーされる組成物中にオイルドロップレットが均一に分配されるまで従来の混合システムによって混合することができる。
【0090】
別の実施形態において、安定な水中油型エマルジョンは、スプレーリングに供給する結合組成物の流れに水中油型エマルジョンの流れを注入することによって結合組成物中に導入される。次いで、2つの液体組成物の混合は装置のライン内の混合物の乱流によって行われる。
【0091】
この第二の実施形態において、結合組成物への水中油型エマルジョンの導入は、スプレーリングのノズルを通して混合物をスプレーする最大で数十秒前に行われるであろう。
【0092】
結合組成物中に導入されるときに防塵性エマルジョンが受ける希釈は、約1/10~1/500、特に1/20~1/200である。
【0093】
防塵性エマルジョンを含有する結合組成物は、溶媒相の蒸発及び乾燥オーブン中での硬化後の有機バインダの最終含有量が鉱物繊維の質量に対して約3%~7%、特に3.5~6.5質量%、特に好ましくは4~6質量%になるような量で鉱物繊維に好ましくは適用される。
【0094】
ミネラルウール繊維に適用されそして最終製品中に存在する鉱油の量は、鉱物繊維の質量に対して0.1%~2.0%、好ましくは0.2%~1.0%、特に0.3%~0.8%である。
【実施例
【0095】

1)結合組成物(ベースバインダ)の調製
48質量部のMaltilite(商標)5575(マルチトールシロップ)、52質量部のクエン酸及び5質量部の次亜リン酸ナトリウムを含む結合組成物を調製する。
結合組成物は、水(最終組成物の約80%)、水素化糖(マルチトールシロップ)、クエン酸及び次亜リン酸ナトリウム(触媒)を容器に導入することによって調製される。
【0096】
2)本発明による安定な防塵性水中油型エマルジョンの調製
150gのPluronic F-127(プロピレンオキシドとエチレンオキシドのトリブロックコポリマー)及び65gのRhodopol 23(キサンタンガム)を、界面活性剤及び増粘剤が完全に溶解するまで約50℃の温度に加熱しそして約20時間攪拌することにより10リットルの水に溶解する。この水溶液4.8kgに対して、20℃における動粘度が2300mm/s(ISO 3104)、40℃における動粘度が500mm/s(ISO 3104)及び引火点が300℃(ISO 2592)である鉱油5.5リットルを添加する。次に、S50N-G45G分散ツールを備えたUltra-Turrax(商標)T50分散機を混合物に導入し、次いでUltra-Turraxを10000rpmの速度で2分間運転する。
得られたエマルジョンのオイルドロップレットの平均直径は16μmである。この直径はエマルジョンを周囲温度で1週間貯蔵した後に変化しない。
【0097】
3)比較水中油型エマルジョン
SASOLによって販売されているHydroWax(商標)88エマルジョンは、比較防塵性エマルジョンとして使用される。このエマルジョンには、40℃における動粘度が500mm/s、引火点が280℃を超える高粘度鉱油が約52~53質量%で含まれている。製造業者によって提供された情報によれば、このエマルジョンはアニオン性界面活性剤によって安定化されている。Metasizer 2000デバイスでレーザ回折粒度分析により決定されたオイルドロップレットの平均直径は1.8μmである。
【0098】
4)ミネラルウールブランケットの製造
グラスウールは、溶融ガラス組成物を「遠心スピナー」として知られるツールにより繊維に転化させる内部遠心技術によって製造され、「遠心スピナー」は溶融組成物を受容するためのチャンバー及び多数の孔により穿孔された周縁バンドを備え、スピナーはその垂直対称軸を中心に回転し、組成物は遠心力の効果下で孔を通して吐出され、孔から逃げ出る材料は漸先化ガス流の助けを借りて繊維へと細くされる。
慣用的に、結合組成物スプレーリングは、結合組成物を形成されたばかりのグラスウール上に均一に分配するために、繊維化スピナーの下に配置されている。結合組成物は、スタティックミキサーにより、それぞれの防塵性水中油型エマルジョン(本発明及び比較例による)と混合される。
このようにして結合されたミネラルウールは、コンベアの表面上にフェルト又はウェブの形態でミネラルウールを保持する内部吸引ボックスを備えたベルトコンベア上に集められる。次にコンベアは270℃に維持された乾燥オーブンに入り、そこで結合組成物の成分が重合してバインダを形成する。得られた絶縁製品は、17.5kg/mに等しい公称密度、約75mmの公称厚さ及び約5%の強熱減量を有する。
【0099】
5)防塵性効果の評価
本発明による水中油型エマルジョンの防塵性効果は内部デバイスの補助を用いて評価される。ガラスウールの20cm×30cmサンプルをその主面の少なくとも一方が自由になるように枠に固定する。多関節アームに固定された、サンプルの寸法よりわずかに小さい寸法を有する多孔板をサンプルの自由面に当てる。光学デバイスは解放された粒子の数を計数する。
【0100】
6)結果
【表1】
【0101】
上記の表1は、マルチトール及びクエン酸をベースとし、同一量の高粘度鉱油を含有する同一の結合組成物で結合されたガラスウールのサンプルについて検出された塵粒子の数を示す。
【0102】
これらの結果は、同量の油(鉱物繊維の質量に対してそれぞれ0.2質量%、0.4質量%及び0.7質量%に等しい)に対して、16μmの平均直径を有するドロップレットを含有する本発明によるエマルジョンは、1.8μmの平均直径を有する粒子を含有する先行技術による組成物(HydroWax(商標)88)よりも粒子の数を効果的に減少させることを示している。
【0103】
【表2】
【0104】
上記表2の結果は、表1の2行目と同一の条件下(水中油型エマルジョンの形態で添加された鉱油0.4%)で得られたものであり、唯一の違いは反応性シリコーン油(Wackerにより販売されているSilres(商標)BS 5137)を結合組成物に添加したことである。このシリコーンはバインダ及び最終製品をより疎水性にする。
【0105】
塵の量は、シリコーン油が存在しない場合よりも全体的に多いことが観察されている。しかしながら、先行技術による油と比較したエマルジョンによる塵粒子の数の減少は、シリコーンが存在しない場合と同様に素晴らしい。