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特許7033134シート成形化合物-樹脂トランスファー成形アセンブリによって形成された、2ピースが接着した車両コンポーネント
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  • 特許-シート成形化合物-樹脂トランスファー成形アセンブリによって形成された、2ピースが接着した車両コンポーネント 図1A
  • 特許-シート成形化合物-樹脂トランスファー成形アセンブリによって形成された、2ピースが接着した車両コンポーネント 図1B
  • 特許-シート成形化合物-樹脂トランスファー成形アセンブリによって形成された、2ピースが接着した車両コンポーネント 図1C
  • 特許-シート成形化合物-樹脂トランスファー成形アセンブリによって形成された、2ピースが接着した車両コンポーネント 図2
  • 特許-シート成形化合物-樹脂トランスファー成形アセンブリによって形成された、2ピースが接着した車両コンポーネント 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】シート成形化合物-樹脂トランスファー成形アセンブリによって形成された、2ピースが接着した車両コンポーネント
(51)【国際特許分類】
   B62D 29/04 20060101AFI20220302BHJP
   B32B 5/28 20060101ALI20220302BHJP
   B29C 70/06 20060101ALI20220302BHJP
   B62D 25/10 20060101ALN20220302BHJP
【FI】
B62D29/04 A
B32B5/28 A
B29C70/06
B62D25/10 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019525805
(86)(22)【出願日】2017-11-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 US2017063723
(87)【国際公開番号】W WO2018102420
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-10-02
(31)【優先権主張番号】62/427,890
(32)【優先日】2016-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518153036
【氏名又は名称】テイジン オートモーティブ テクノロジーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100113376
【弁理士】
【氏名又は名称】南条 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100179394
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬田 あや子
(74)【代理人】
【識別番号】100185384
【弁理士】
【氏名又は名称】伊波 興一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100137811
【弁理士】
【氏名又は名称】原 秀貢人
(72)【発明者】
【氏名】グハ プロビール クマール
(72)【発明者】
【氏名】ボント フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】トワットガンズ マルク‐フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ボワイエ ドミニク
【審査官】米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0152283(US,A1)
【文献】特表2004-520452(JP,A)
【文献】特表2010-513572(JP,A)
【文献】特開2013-23184(JP,A)
【文献】特開平2-167727(JP,A)
【文献】特表2016-518694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 29/04
B32B 5/28
B29C 70/06
B62D 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両コンポーネントであって、
金型プラテンが25のDiffracto分析Dナンバーを有する場合、100未満のDiffracto分析Dナンバーを有し、中空のガラスマイクロスフェアおよび刻まれたガラス繊維の優勢な繊維フィラーを有する、SMCまたはBMC成形組成物の第一の硬化された外側層、ここで、シラン表面活性化剤が前記中空のガラスマイクロスフェアを前記SMCまたはBMC成形組成物に共有結合させる
RTMによって形成されるハイブリッド繊維エポキシ内側層を形成するために、刻まれた炭素繊維とガラス繊維の優勢な繊維フィラーを有する成形組成物の第二の硬化された内側層、ここで、前記ガラス繊維は、その上にエポキシ樹脂エマルションを含むサイジング組成物を含む
前記の第一の硬化された外側層および前記の第二の硬化された内側層の間の線熱膨張の微分係数に適応するように構成された伸長特性を有する接着剤;および
前記第一の硬化された外側層に接着する、高い光沢を有するペイントコーティング、
を備える、
車両コンポーネント。
【請求項2】
請求項1の車両コンポーネントであって、
前記の第二の硬化された内側層は、ガラス繊維を欠いている、
車両コンポーネント。
【請求項3】
請求項1の車両コンポーネントであって、
前記接着剤は、-40~205℃で作用可能である、
車両コンポーネント。
【請求項4】
請求項1の車両コンポーネントであって、
前記接着剤は、エラストマーの接着剤である、
車両コンポーネント。
【請求項5】
請求項1の車両コンポーネントであって、
2.54~3.81cmの接着フランジをさらに備える、
車両コンポーネント。
【請求項6】
請求項1の車両コンポーネントであって、
刻まれたガラス繊維の優勢な繊維フィラーを有する成形組成物の第三の硬化された層および刻まれた炭素繊維の優勢な繊維フィラーを有する成形組成物の第四の硬化された層;および、前記の少なくとも1つのさらなる層を前記の第一の外側層または前記の第二の内側層の1つに接合して積層を形成する接着剤の第二の層の、少なくとも1つのさらなる層をさらに備える、
車両コンポーネント。
【請求項7】
請求項1の車両コンポーネントであって、
前記の第一の硬化された外側層または前記の第二の硬化された内側層の少なくとも1つは、合計繊維重量によって少数パーセンテージの天然繊維を含む、
車両コンポーネント。
【請求項8】
請求項1の車両コンポーネントであって、
前記の第一の硬化された外側層は、車両外部パネル表面を規定する、
車両コンポーネント。
【請求項9】
請求項1の車両コンポーネントであって、
前記の第一の硬化された外側層は、車両外部パネルの外側スキン層表面を形成して、前記の第二の硬化された内側層は、前記車両外部パネルの内部層を形成する、
車両コンポーネント。
【請求項10】
請求項の車両コンポーネントであって、
前記外側スキン層表面は、自動車の外部パネルハイグロスを有する、
車両コンポーネント。
【請求項11】
請求項の車両コンポーネントであって、
前記内部層は、内側層の厚さを有し、前記の第一の硬化された外側層は、外側スキンの厚さを有し、外側スキンの厚さに対する前記の内側層の厚さの比は、1:1-10:1の間である、
車両コンポーネント。
【請求項12】
請求項の車両コンポーネントであって、
前記の第一の硬化された外側層は、刻まれた炭素繊維を実質的に欠いている、
車両コンポーネント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2016年11月30日に出願された米国仮出願番号62/427,890に対する優先権を主張するものであり、その内容は、あたかも明示的かつ完全に本明細書中に表されたかのように参照により本明細書中に援用される。
【0002】
[本発明の分野]
本発明は、概して車両構造に関し、特に、少なくとも2つの層によって形成された2ピース車両コンポーネントに関し:層の1つは、優勢に、刻まれて分散されたガラス繊維によって、ならびに他の繊維タイプによって補強されたシート成形化合物(SMC)で形成された、自動車の外部パネルハイグロス表面仕上げを有する外側パネルであり、さらなる重量減少のためにガラスマイクロスフェアを含み、第二の層は、優勢に、炭素繊維、または樹脂トランスファー成形(RTM)によって形成された、エポキシマトリックス内に保持された炭素、ガラス、および天然繊維の混合物によって補強されて、分離した層は、樹脂が硬化してコンポーネントを形成した後に加わる。
【背景技術】
【0003】
マトリックスを強化するために繊維の包含を用いることは、当該分野によく知られている。マトリックスの強化に関して十分に確立されたメカニズムは、マトリックスを通した亀裂伝播の通り道の遅延および延長、ならびに、周囲のマトリックス材料から自由に繊維を引っ張ることと関連するエネルギー分配を含む。シート成形組成物(SMC)製剤、バルク成形組成物(BMC)製剤、および、樹脂トランスファー成形(RTM)の関連において、繊維強化は、伝統的に、刻まれたガラス繊維の利用を伴っていた。成形組成物の分野において、成形組成物におけるガラス繊維の一部または全部を炭素繊維によって置き換えることは、改善されたコンポーネント特性を提供することができるという評価が増えているが;異種の層の接合、繊維の流れ、繊維表面エネルギー、および、生じたコンポーネントの表面の質を含む技術的問題が残る。
【0004】
複合材料、シート成形組成物、および樹脂トランスファー成形(RTM)における炭素繊維の使用は、ガラス繊維によって補強された材料と比較して、より低い重量を有する形成されたコンポーネントをもたらす。炭素繊維補強によって達成される重量の節約は、炭素はガラスよりも低い密度を有し、所定の厚さでより強くてより硬いパーツを生産するという事実に由来する。
【0005】
自動車、輸送、および物流における重量節約に基づく産業は、陸上および航空輸送の両方のためのより燃料効率的な車両を作製するために、主な焦点となっている。車両パーツにおける炭素によって補強された複合材料を用いた重量節約は、これらの産業が有意義な重量節約を達成するのを助けている。しかしながら、高い表面光沢によって特徴付けられる、自動車産業における自動車の外部パネルハイグロス表面のような高品質の表面仕上げは、一般に、SMCまたはRTMにおいて用いられる、Continental Structural Plastics,Inc.から市販されるTCA(登録商標)およびTCA ULTRALITE(登録商標)樹脂のようなガラス繊維を含む高度にあつらえた樹脂製剤、または、アルミニウムおよびその合金などの金属によってのみ得られる。ハイグロス表面は、一般に、車両表面パネル:ドア、フード、クォータパネル、トランク、ルーフ構造、バンパーなどに必要であり、車両において重大な量の重量を構成する。
【0006】
さらに、車両本体パネルを軽くするプロセスの連続において、スチールの厚さが減少されて、それから、アルミニウムおよび樹脂系材料のような、より低い密度材料によって代替された。樹脂系の車両本体の物品を好むいくつかの制約をアルミニウムが有する証拠が発生している。今では、材料コスト、形成コスト、および、さらにより軽い本体パネルを達成するために必要とされる厚さでのアルミニウムの抗張力は、集合的な制限を作り出すと考えられる。対照的に、樹脂系の物品は、様々な要件に合うように樹脂化学および添加剤を変更することによってあつらえられ得る。加えて、複雑な形状の金属形成はいくつかのステップを必要とするが、十分に設計された金型は、単一のステップで複雑な形状を与えることができる。
【0007】
米国特許第7,465,764号(Adzima et al.)は、エポキシ樹脂エマルション、1つまたは複数の結合剤、カチオン性潤滑剤、および酸を含む、サイジング組成物を開示する。エポキシ樹脂エマルションは、低分子量エポキシおよび1つまたは複数の界面活性剤を含む。エポキシ樹脂は、175~225、好ましくは175~190のエポキシ等量を有する。任意選択で、サイジング組成物は、非イオン性潤滑剤、ポリウレタンフィルムポリマー、および/または、帯電防止剤を含んでもよい。サイジング組成物は、フィラメントワインディング適用において用いられるガラス繊維をサイズ化するために用いられ得て、改善された機械的特性、湿潤引張特性、亀裂に対する改善された耐性、および、改善された処理特徴を有する強化された混成物品を形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、車両表面パネルのための炭素強化パーツを利用するための処理および設計に関する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の車両コンポーネントが提供されて、中空のガラスマイクロスフェアおよび刻まれたガラス繊維の優勢な繊維フィラーを有する成形組成物の第一の硬化された外側層;エポキシマトリックス内の刻まれた炭素繊維の優勢な繊維フィラーを有する成形組成物の第二の硬化された内側層;および、第一の硬化された外側層および第二の硬化された内側層の間の線熱膨張の微分係数に適応するように構成された伸長特性を有する接着剤を含む。
【0010】
本発明は、以下の図面に関してさらに詳述されて、本発明の特定の態様を示すことが意図されるが、本発明の実施に対する制限と解釈されるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A-1C】本発明の実施態様に係る、ガラスマイクロスフェアを有する、ガラス繊維によって強化された自動車の外部パネルハイグロスシート材料の外側層、および、炭素繊維または繊維の組み合わせによって強化された樹脂トランスファー成形(RTM)によって形成されたエポキシマトリックスの内側層を有する、2ピースの車両フードの斜視図である。
図2】本発明の実施態様に係る、多数の点で炭素繊維またはハイブリッド繊維によって補強された構造上の内側パネルに接着された、ガラス繊維によって強化された仕上げ表面の外側パネル(シースルー表面)によって形成された、図1A~1Cの車両フードを示す。
図3】本発明の実施態様に係る、ガラス繊維に基づくクラスA外側パネルが、炭素またはハイブリッド繊維に基づく構造上の内側パネルの接着フランジにおいて、接着される(接着剤、エポキシなど)、または、固定される、典型的な本体パネルシールフランジの横断面である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、重量を減少させるガラスマイクロスフェアを有する第一の硬化された外側層内の、刻まれて分散されたガラス繊維によって強化された2ピース車両コンポーネントの形成において有用性があり、樹脂トランスファー成形(RTM)によって形成されたエポキシマトリックス内の分散された炭素繊維または炭素、ガラス、および天然繊維の組み合わせによって強化された第二の硬化された層に、接着剤または機械的ファスナーによって接合される。本発明の実施態様は、共有して所有される米国特許公開2005/0182205に開示されるようにContinental Structural Plastics,Inc.から市販されるTCA ULTRALITE(登録商標)樹脂を例示的に含むクラスA仕上げSMCを用いて形成された外側層を有し、および、米国特許9,018,280に開示される中空のガラスマイクロスフェアを有し、両方とも、それらの全体で本明細書中に援用される。
【0013】
ガラス繊維は、第一の外側層内の繊維フィラーとして優勢であるが、より少ない量の炭素または天然繊維が存在してもよいことに注意する。
【0014】
TCA ULTRALITE(登録商標)SMCの外側、および、炭素繊維またはハイブリッド繊維エポキシRTMの内側によって形成される、2ピースの車両コンポーネントの実施態様は、以下:アルミニウムよりも10~15%軽いアセンブリ、以前の本体パーツ構造よりも費用効果的である、および、デッキリッドおよびリフトゲートを例示的に含む増大された設計柔軟性を含む、特性を提供する。
【0015】
本発明は、2ピースの構造に関して本明細書において詳述されるが、本明細書に記載される2ピースの構造は、多層の積層を作るために容易に繰り返されることが理解されるべきである。例として、優勢にガラス繊維が充填された外側スキン層は、コア、優勢に炭素繊維が充填されたコア層の反対の表面に接合されて;逆もまた同様であり;または、一連の交互の、優勢に繊維が充填された層が、A-B-A・・・Bのパターンで接合される。特定の発明の実施態様では、刻まれた炭素繊維によって優勢に強化された成形組成物の硬化された内側部分は、ガラス繊維によって優勢に強化された第二のシート成形組成物の硬化された外側スキンに接合されて、外側表面は、クラスA仕上げのような自動車の表面品質仕上げを有する。本明細書において用いられる、クラスA表面仕上げは、自動車の製造業者によって外部本体パネルに必要とされる表面光沢および反射性と関連する。一実施態様では、硬化された内側部分は、ガラス繊維を実質的に欠いているが、外側スキンは、刻まれた炭素繊維を実質的に欠いている。
【0016】
自動車の外部パネルハイグロスを有する表面は、金型プラテンが25のDiffracto分析Dナンバーを有する場合、100未満のDiffracto分析Dナンバーを有するパネルが定義されて、表面は、光沢計を用いて測定されるASTM D 523に従って、ハイグロスに研磨、プライミングおよび塗装仕上げに修正可能である。
【0017】
本明細書において用いられる「成形組成物」は、ガラスまたは炭素の刻まれた繊維によるローディングに適したSMC、BMCおよびRTM樹脂製剤を指す。
【0018】
特定の発明の実施態様では、成形組成物内の炭素繊維は、車両コンポーネントの内側層内に存在して、内側層の10~40重量%の炭素繊維を含み、市販されるTCA(登録商標)またはTCA ULTRALITE(登録商標)(Continental Structural Plastics,Inc.)に基づくSMCの外側スキン層は、米国特許第7,655,297号において具体化されるように、TCA(登録商標)部分の10~60重量%のガラス繊維を含むガラス繊維を含む。外側スキンに対する内側部分の厚さの比は01-10:1の範囲である。生じるSMC内側部分の層および外側スキン層は、設計されて、形成されて、別個に硬化されて、2つの層はその後に接合されてコンポーネントを形成する。炭素繊維を含む内側層を有するそのような2ピースのコンポーネントは、TCA(登録商標)または他のクラスA表面仕上げ樹脂から完全に形成された同等の物品よりも、10、20、30および実に40%低い密度を有することに注意する。このように、クラスA表面の高い表面光沢を維持する軽量の物品が形成される。所定の層は、炭素繊維およびガラス繊維を組み合わせた両方、ならびに、他のタイプの繊維のローディングはガラス繊維が優勢に第一の層内に存在して炭素繊維が優勢に第二の層内に存在するように制限されるという条件で、ココナッツ繊維を例示的に含む天然セルロース繊維のような他のタイプの繊維を含んでよいことが理解される。所定のタイプの繊維の優勢な存在は、本明細書において、繊維タイプが、層内に存在する繊維の合計重量の50重量%よりも多くを表わすことを意味するために用いられる。特定の実施態様では、それぞれの層は、100%が所定のタイプの繊維であるが、他の実施態様では、優勢な繊維が51~99%存在する。
【0019】
値の範囲が与えられる場合、その範囲は、明示的にその範囲内に含まれてその範囲の最後の有効数字が変化するように、その範囲のエンドポイント値だけでなく、その範囲の中間値も含むことを意図することが理解されるべきである。例として、1~4の挙げられた範囲は、1~2、1~3、2~4、3~4、および1~4を含むことが意図される。
【0020】
別の発明の実施態様では、炭素繊維は、メチルメタクリレートモノマーに基づく成形組成物内に分散される。成形組成物製剤が生産される他の適切なモノマーは、不飽和ポリエステル、エポキシ、およびそれらの組み合わせを例示的に含む。エポキシに基づく成形組成物製剤は、ビス-フェノール-Aおよびノボラックに基づく5エポキシ末端の樹脂を例示的に含む。そのようなエポキシに基づく成形組成物製剤のための適切な硬化剤は、無水物、例えば、無水トリメリット酸、メチルテトラヒドロフタル酸無水物(MTHPA)、メチルナジック酸無水物(NMA)、ジ-およびトリ-官能性アミン、およびそれらの組み合わせを例示的に含む。
【0021】
本発明の別の発明の実施態様では、炭素繊維は、成形組成物モノマー、または、0.26よりも大きな、特定の実施態様では0.5よりも大きな、さらに他の実施態様では0.5~0.8の相対的極性を有するモノマーを含む溶液内に分散される。相対的極性は、Christian Reichardt,「Solvents and Solvent Effects in Organic Chemistry」,Wiley-VCH,3rd edition,2003によって定義される。
【0022】
別の発明の実施態様では、炭素繊維は、硬化の前に成形組成物製剤内に分散されて、ガラス繊維補強によって形成された同様の層と比較して、全体的により低い密度、および繊維のより低いパーセント(重量)のローディングを有する、強化されたSMC、BMCまたはRTM硬化物品をもたらす。加えて、結合剤の使用を通して、優れた抗張力が達成される。
【0023】
特定の発明の実施態様では、硬化の際に炭素繊維を含むマトリックスを形成する成形組成物との接触の前に、炭素繊維の表面上の任意のサイジングまたは他の従来の表面コーティングを除去するために、適切な雰囲気条件下で熱が加えられる。さらに他の発明の実施態様では、コア炭素繊維からのサイジングの熱分解を促進するために、不活性または還元雰囲気下で熱が加えられる。再生炭素繊維が、本発明の2ピースの車両コンポーネントにおいて作用可能であることが理解される。
【0024】
線熱膨張(CLTE)のそれぞれの係数から知られるように、炭素はガラスよりもずっとよく熱を放散させるので、炭素繊維が優勢に充填された層は、ガラス繊維が優勢に充填された他の点は同様の層よりも迅速に冷える。硬化後のダイナミック冷却におけるこの違いは、より薄い炭素繊維が充填された層に配合されて、それらを特に焼結ひずみの傾向にさせる。したがって、ガラス繊維が優勢に充填された層および炭素が優勢に充填された層の間のCTLEおよび材料剛性における違いに起因して、接合接着剤は、-40~140華氏(-40~60摂氏)、および、層の熱接合(hot joinder)および硬化条件と関連する400華氏(205摂氏)もの高さの温度範囲にわたって、接合された層の示差的CTLEを補う並外れた伸長能力を有さなければならない。特定の発明の実施態様では、エラストマー接着剤は、内側層を外側層に接着させるために用いられ得る。エラストマー接着剤が本明細書において作用可能であり、ウレタン、エポキシ、およびそれらの組み合わせを例示的に含む本発明のコンポーネントの異なる層を接合する。特定の発明の実施態様では、接着フランジの厚さは、1/4~1/2インチ(0.63~1.27cm)(接合同様の繊維フィラー層を共に接合するため)から、1~1.5インチ(2.54~3.81cm)(本発明の2ピースの構造のため)まで増大する。
【0025】
好ましくは、外側の第一の層に用いられるマイクロスフェロイドは、12~45ミクロンの平均直径を有する。最も好ましくは、マイクロスフェロイドは、16~35ミクロンの外側寸法を有する。典型的に、マイクロスフェロイドは、ベースSMCまたはBMCクラスA製剤中に、生じる製剤の2~12合計重量%ロードされる。好ましくは、マイクロスフェロイドは、生じるSMCまたはBMC製剤の4~6合計重量%存在する。所定の成形組成物製剤中に加えられる特定の量のマイクロスフェロイドは、所望の物品の密度、マイクロスフェロイドのサイズ分布および平均粒子寸法、必要とされる物品強度、必要とされる物品収縮、および、必要とされる物品の表面平滑度を含む因子に依存する。
【0026】
本発明の特に好ましい実施態様では、マイクロスフェロイドは、マイクロスフェロイド表面に接着する表面コーティングによって事前処理される。
【0027】
マイクロスフェロイド表面は、硬化中に周辺の樹脂マトリックスに接着するように容易に誘導体化される。生じる物品は、改善された物理的特性を示す。
【0028】
マイクロスフェロイドのための1つのタイプの表面誘導体は、ヘテロ原子によって官能的に末端化された熱可塑性コーティングである。末端を含むヘテロ原子は、第3級アミン-、ヒドロキシル-、イミン-またはシアノ-部分を例示的に含む。そのような部分は、当該分野で公知の適切な硬化条件下で、硬化された物品をさらに強くするために硬化中にマトリックス樹脂コンポーネントと反応することが可能であることが理解される。第3級アミン末端の熱可塑性物質は、容易に調製される。D.H.Richards,D.M.Service,and M.J.Stewart,Br.Polym.J.16,117(1984)。代表的な第3級アミン末端化熱可塑性物質は、Noveonから商品名ATBN 1300 X 21の下で市販される。
【0029】
ガラスマイクロスフェロイドに接着する表面活性化剤は、アルコキシシランであり、ここで、シランはマイクロスフェロイドのシリカ表面と反応性である。マイクロスフェロイドのための代表的なアルコキシシラン表面活性化剤は、例示的に以下を含む:
【0030】
3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、(3-グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリエトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルジメチルエトキシシラン、メタクリルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、エタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、メトキシメチルトリメチルシラン、3-メトキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルジメチルクロロシラン、メタクリルオキシプロピルメチルジクロロシラン、メタクリルオキシプロピルトリクロロシラン、3-イソシアネートプロピルジメチルクロロシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、およびそれらの組み合わせ。より好ましくは、シラン表面活性化剤は、中空のガラスマイクロスフェアとともに周囲のSMCまたはBMCハイグロスマトリックスに共有結合するように、フリーラジカル架橋条件下で反応性であるエチレン性(ethenically)不飽和部分を含む。
【0031】
ここで図1A~1Cを参照し、車両フード10として形成される本発明の2ピースのコンポーネントが、さらなる重量減少のために中空のガラスマイクロスフェアを有する、ガラス繊維によって優勢に補強されたクラスAシート材料の外側層12、および、炭素繊維によって優勢に補強されたシート成形組成物の内側層14によって示される。示されるように、外側層12は、車両の外側の仕上げられた表面として露出した上部12T、および内側層14に接着された底部12Bを有する。上部12Tは、研磨および塗装に適していて、自動車の外部パネルハイグロスまたは新しい車両外部と関連する同様の高光沢表面仕上げを達成する。図1A~1Cにおける層12および14の典型的な厚さは、それぞれ、2.5~2.7ミリメートル(mm)および1~2mmである。上述のとおり、層が接合されて、横断面の順序のより複雑な積層を形成して、それは、12-14-12、12-14-12-14、12-14-(12-14)・・・12および12-14-(12-14)を例示的に含み、ここでnは、n以上の整数であることが理解される。層12および14の厚さは、上記に提供された典型的な値を超える値を有するように、所望の強度および全体的な積層の厚さに応じて可変であることも理解されるべきである。
【0032】
図2は、本発明の実施態様に係る、炭素繊維によって優勢に強化された構造上の内側パネル14に多数の点で接着された、ガラス繊維によって優勢に強化された仕上げ表面外側層12(見た目の明確性のために透明で示される)によって形成された図1のコンポーネント10を示す。内側層14は、様々な接合部16において、または層周囲18に沿って接着される。加えて、マスチックドロップ20は、スポット接着結合を提供して、接合特性を改変し得る。
【0033】
図3は、典型的な本体パネルシールフランジの横断面であり、ここで、ガラス繊維に基づく自動車の外部パネルハイグロス外側層12は、本発明の実施態様に従って、炭素繊維に基づく構造上の内側層14の接着フランジ22において、16に接着され(接着剤、エポキシ)、または、固定される。車両は、一般にフレームの周りに構築されて、ここで車両は、フレームの不規則な表面に対する付着のために設計された、サブ構造に固定または接着されて本体パネルを形成する仕上げ表面パネルを有する。接着フランジ22は、対応するシールを保有する表面に従う。構造上の内側パネル14の「ハット」部分24は、フレームに到達して付着するまで伸長する(図示せず)。
【0034】
前述の説明は、本発明の特定の実施態様の例示であるが、その実施に対する制限を意味しない。以下の特許請求の範囲は、その全ての等価物を含み、本発明の範囲を定義することを目的とする。
図1A
図1B
図1C
図2
図3