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  • 特許-選択的触媒還元システムのための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】選択的触媒還元システムのための方法
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20220302BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
F01N3/08 B
F01N3/08 H ZAB
B01D53/94 222
B01D53/94 400
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019530829
(86)(22)【出願日】2017-12-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 EP2017082191
(87)【国際公開番号】W WO2018114424
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-09-18
(31)【優先権主張番号】16205950.5
(32)【優先日】2016-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516323231
【氏名又は名称】パーキンス エンジンズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PERKINS ENGINES COMPANY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】ロバート クレイトン
【審査官】二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-534291(JP,A)
【文献】特表2013-515897(JP,A)
【文献】特開2010-106718(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0151339(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00- 3/38
F01N 9/00-11/00
B01D 53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼル排出流体(DEF)が投与される加水分解触媒を備える選択的触媒還元システムのための方法であって:
加水分解触媒の表面の数値モデルを準備するステップであって,前記数値モデルは,モデル化すべき加水分解触媒の多相空間モデルを備え,該モデルは複数の離散的な空間ユニットに区分され,前記数値モデルは,複数の物質の各々についての複数の物質状態の特性をモデル化する,ステップと
複数の物質の各々についての複数の物質状態の各々に関連する複数の状態パラメータについての値を決定することにより前記数値モデルを評価して,前記加水分解触媒により生成されるアンモニアの予測濃度を導き出すステップであって,前記離散的な空間ユニットの各々における複数の物質の各々についての各物質状態の特性を評価する,ステップ;並びに,
前記予測濃度に基づいて,前記加水分解触媒に対するDEF投与を制御するステップ;を備える,方法。
【請求項2】
請求項に記載された方法であって,前記物質状態パラメータは:相変態;少なくとも1つの物質状態に関する化学反応パラメータ;複数の物質状態の間のエネルギバランス;及び,複数の物質状態の間の質量バランス;の少なくとも1つを代表するパラメータである,方法。
【請求項3】
排出通路内で排出ガスを処理するための選択的触媒還元システムであって:
加水分解触媒;
前記加水分解触媒にDEFを噴射するためのDEF投与ユニット
請求項1又は2に記載された方法を実施するためのコントローラ;並びに,
前記コントローラに接続された複数のセンサ;
を備える,選択的触媒還元システム。
【請求項4】
請求項に記載された選択的触媒還元であって,前記複数のセンサが:窒素酸化物センサ;入口温度センサ;出口温度センサ;及び,NOxセンサのうちの少なくとも1つを備える,選択的触媒還元システム。
【請求項5】
請求項1又は2に記載された方法を実施するためにエンジンにより読み取り可能な1つ又は複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム製品。
【請求項6】
請求項又はに記載された選択的触媒還元システムを備える,エンジン用の排出装置。
【請求項7】
請求項又はに記載された選択的触媒還元システムを備えるエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ディーゼルエンジンの排出ガスを処理するための選択的触媒還元(SCR)システムに関する。特に,本発明は,SCRシステムの効率及び機能を改善させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
選択的触媒還元(SCR)システムは既知であり,一般的にディーゼルエンジンの排出系に含まれて該エンジンの排出ガス処理に供されている。このようなシステムは,エンジンの排出通路内を流れる排出ガスにディーゼル排出流体(DEF)を導入するものである。DEFは尿素を含み,その尿素は排出通路内で加水分解及び熱分解することによりアンモニアを生成する。アンモニアはSCR触媒を通過し,その間に排出ガスと反応する。この場合,排出ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)は,排出系から大気中に放出される前に窒素に変換される。
【0003】
排出通路内にDEFを投与する多くのSCRシステムが提案されている。このようなシステムは,ときには「ウェット・スプレー」とも称されており,水性尿素のスプレーを排出ガス中に噴射して分解させることによりアンモニアを生成するものである。かかるシステムの一例は,特許文献1:米国特許出願公開第2008/307967号明細書に開示されている。特許文献1は,DEFが主排出通路の外側に配置された供給通路内で加水分解される配置を記載している。特に,DEFは加水分解触媒に投与され,アンモニアに加水分解される。そのアンモニアはSCR触媒の入口まで下流側に流れ,ここで反応してNOxを還元させる。一般的に,SCRシステムにより行われる既知の制御プロセス,例えば特許文献1に開示されるプロセスは,NOxをアンモニアにより還元させるべき場合に,DEFを加水分解リアクタに投与するものである。
【0004】
現在のDEF投与システムは,後処理システムの表面上にDEFの堆積を生じさせずに放出することのできるDEFの量により制約されている。このような堆積物は,SCRシステムの効率を大幅に低下させる。従って,DEF投与量は,典型的には最大理論投与率よりも低い値に保たれる。しかしながら,エンジンの効率向上によってエンジン出口におけるNOxレベルが増加しているため,より高いNOx変換が必要となり,その延長線上で,より高いDEF投与レベルが必要となっている。とは言え,一部には加水分解触媒におけるアンモニア生成の過渡特性に起因して,NHは必ずしもDEF投与率の増加に比例して増加するものではない。
【0005】
本発明の課題は,少なくとも,上述した欠点の幾つかに対処することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2008/307967号明細書
【発明の概要】
【0007】
第1の態様において,本発明は,ディーゼル排出流体(DEF)が投与される加水分解触媒を備える選択的触媒還元システムのための方法を提供する。この方法は:
加水分解触媒の数値モデルを準備するステップ;
前記数値モデルを評価して,前記加水分解触媒により生成されるアンモニアの予測濃度を導き出すステップ;並びに,
前記予測濃度に基づいて,前記加水分解触媒に対するDEF投与を制御するステップ;を備える。
【0008】
ある実施例において,前記数値モデルは,複数の物質の各々についての複数の物質状態の特性をモデル化した多相モデルを備える。
【0009】
ある実施例において,前記評価ステップは,複数の物質の各々についての複数の物質状態の各々に関連する複数の状態パラメータについての値を決定するステップを備える。
【0010】
前記物質状態パラメータは:相変態;少なくとも1つの物質状態に関する化学反応パラメータ;複数の物質状態の間のエネルギバランス;及び,複数の物質状態の間の質量バランス;の少なくとも1つを代表するパラメータとすることができる。
【0011】
ある実施例において,前記数値モデルは,モデル化すべき加水分解触媒の空間モデルを備え,該モデルは複数の離散的な空間ユニットに区分され,更に,前記評価ステップは,前記離散的な空間ユニットの各々における複数の物質の各々についての各物質状態の特性を評価するステップを備える。
【0012】
第2の態様において,本発明は,排出通路内で排出ガスを処理するための選択的触媒還元システムを提供する。このシステムは:
加水分解触媒;
前記加水分解触媒にDEFを噴射するためのDEF投与ユニット;;
前述した方法を実施するためのコントローラ;並びに,
前記コントローラに接続された複数のセンサ;を備える。
【0013】
ある実施例において,前記複数のセンサが:窒素酸化物センサ;入口温度センサ;出口温度センサ;及び,NOxセンサのうちの少なくとも1つを備える。
【0014】
第3の態様において。本発明は,前述した方法を実施するためにエンジンにより読み取り可能な1つ又は複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム製品を提供する。
【0015】
第4の態様において,本発明は,前述した選択的触媒還元システムを備える,エンジン用の排出装置を提供する。
【0016】
第5の態様において,本発明は,前述した選択的触媒還元システムを備えるエンジンを提供する。
【0017】
本発明の更なる態様,特徴及び利点,並びに本発明の各種実施形態の構造及び機能は,添付図面を参照して以下に詳述する通りである。本発明が本明細書に記載する特定の実施形態に限定されるものでないことに留意されたい。そのような実施形態は,あくまでも例示にために開示されるものである。追加的な実施形態は,本明細書の教示に基づいて当業者にとって自明である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下,本発明の実施形態を,単なる例示として,添付図面を参照しながら記載する。なお,対応する参照符号は,対応する構成要素を表している。
図1】選択的触媒還元システムを示す概略図である。
図2】例示的な数値モデルの一態様を示す線図である。
図3】選択的触媒還元システムのための例示的な方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の特定の実施形態について詳細に説明するに先立ち,本発明を適用し得る環境を例示しておくことが有益である。
【0020】
図1は,例示的な選択的触媒還元(SCR)システム10を示す。このシステムは,エンジン(図示せず)からの排出ガスを搬出する排出通路12内に配置される。初めに,排出ガスは既知形式のディーゼル酸化触媒(DOC,図示せず)を通過し,この触媒は,その触媒作用により排出ガス中の炭化水素,窒素酸化物及び一酸化炭素の酸化反応を生じさせて二酸化炭素,二酸化窒素及び水を生成する。
【0021】
DOCの下流側にはディーゼル排出流体(DEF)投与ユニット16が配置され,これは,排出通路12内で加水分解触媒18にDEFを投与するように構成されている。DEF)投与ユニット及び加水分解触媒は,いずれも既知形式のものである。加水分解触媒の下流側にはSCR触媒20が配置され,これも既知形式のものである。システムは付加的な構成要素,例えばアンモニア・スリップ触媒又はディーゼル粒状物質フィルタを備えることができる。
【0022】
システムはコントローラ26を備え,このコントローラは,DEF投与ユニットがDEFを加水分解触媒に投与する投与率を制御するように構成されている。
【0023】
システムは,コントローラに接続される複数のセンサを更に含む。特に,加水分解触媒の上流側には窒素酸化物(NOx)センサ28及び入口温度センサ30が配置されている。加水分解触媒及びSCR触媒の間に加水分解触媒温度センサ32が配置され,NOxセンサ34がSCR触媒の下流側に配置されている。上記のセンサは,もっぱら例示として列挙したものであり,システムは付加的又は代替的なセンサを備えることもできる。これら各種のセンサは,コントローラに設けられている1つ以上の入力及び/又は出力に接続することができる。作動の間,コントローラは,部分的にはシステムにおける種々のセンサから受信した測定データに基づいてDEF投与率を調整する。
【0024】
触媒システムを単一のコントローラ26のみを有するものとして記載したが,原則的には複数の相互接続されたコントローラを使用することも可能である。代替的に,コントローラは,複数の個別的なサブコントローラ26a,26bを備えることができる。各サブコントローラは,特定の操作を行うことができる。例えば,第1のサブコントローラ26aはSCR触媒20の性能に関連する操作を行うことができ,第2のサブコントローラ26bは,加水分解触媒18の性能に関連する操作を行うことができる。
【0025】
前述したように,NH生成は,既存のモデルでは予測が困難である。これに対処するため,本発明は,加水分解触媒の表面上における各種成分の挙動を正確にモデル化した数値モデルを提供することにより,特定の状況セットについてのNH生成を予測するものである。
【0026】
このような数値モデルを選択的触媒勧化(SCR)システムのコントローラに組み込めば,NH生成の予測が可能となり,SCRシステムにおけるNOx変換の最適化が可能となる。
【0027】
数値モデルは,多くのパラメータ及び/又は多くのメカニズムを考慮に入れて実現することができる。以下,多くの例示的なパラメータ及びメカニズムについて説明する。これらは,もっぱら例示を目的として列記するものであり,限定的であることを意図するものではない。また,付加的又は代替的なパラメータ及びメカニズムを考慮に入れた実施例も当業者が想起し得るところであり,そのような実施例は本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0028】
実際問題として,加水分解触媒の表面上では複数の特定の化学反応が生じることがある。数値モデルの精度を確保するため,モデルは,これら反応の少なくともいくつかを考慮したものとすべきである。加水分解触媒の表面上で生じ得る化学反応は,次に列挙するとおりである。以下の化学反応リストは,あくまでも例示に過ぎず,限定的なものではない。
【化1】
【0029】
上述した各化学反応は,数値モデルに設定された適当な表示により評価することができる。幾つかの化学反応は互いにリンクしており,又は相互従属性を有する場合がある。
【0030】
数値モデルは,複数の物質状態間での物質状態遷移及び関連効果を考慮に入れることができる。触媒システムにおける化学反応には,複数の物質状態を関与させることができる。例えば,(図1に関連して上述したように)排出システムに噴射されるDEFは,典型的には液体状態で加水分解触媒に噴射される。加水分解触媒の表面上で,DEFは,蒸発し(気相への遷移),堆積物を形成し(固相への遷移),又はフィルム形態で集積する。
【0031】
物質状態遷移は,排出システムの作動条件に直接的な影響を及ぼす場合がある。例えば,液体から気体状態に遷移する場合,相当量のエネルギが消費されて物質がその体積を増加させ,その結果として,例えば排出システム内における圧力又は温度に影響を及ぼすことがある。
【0032】
発明者らは,数値モデルの精度を確保するために,そのような物質状態遷移をモデル化すると共に,これに関連する効果を考慮に入れる必要があることを見出した。ある実施例において,数値モデルは,少なくとも幾つかの物質状態について,触媒システムにおける種の質量バランスのモデル化を含むことができる。好適な実施例においては,物質の3状態(すなわち,固体,液体及び気体)について,複数の種の質量バランスがモデル化される。付加的又は代替的に,数値モデルは,少なくとも幾つかの物質状態について,触媒システムにおける種のエネルギバランスのモデル化を含むことができ,更に,フィルム運動量方程式を含むことができる。
【0033】
図2は,加水分解触媒の表面の例示的な数値モデル200を示す。この数値モデルは,複数の種の各々につき,複数の物質状態の特性をモデル化した多相モデルを含むことができる。本例においては,物質の3状態,すなわち気相204,液相206(例えば,DEF)及び固相208(基体壁,ウォッシュコート又は堆積物)の特性がモデル化される。
【0034】
図面は物質の3状態間でのエネルギバランス及びエネルギ伝達を示しているが,これは単なる例示であって,限定的なものではない。
【0035】
加水分解触媒は,本例では,それぞれ加水分解触媒の有限セクションをモデル化した多数のモデル化ユニット210に区分されている。これにより,加水分解触媒の長さに沿う状態の変化をモデル化して考慮に入れ,モデル結果の精度を向上することができる。以下は加水分解触媒に関連して記載するものであるが,原理的には,後処理システムの任意の適当な構成要素についても適用可能である。
【0036】
エネルギが物質の3状態間で伝達されるフィルムにおけるエネルギバランスは,例えば,次式で表すことができる。
【数1】
【0037】
気相及び固相(例えば,ウォッシュコート又は堆積物)における付加的なエネルギバランスは,ある実施例では,有利又は必要であり得る。更に,システムの特定の作動状態下では,上式における1つ以上の項が支配的となり,1つ以上の項が無視し得るものとなる場合がある。そのような状況下では,無視し得る項を無視して計算の複雑性を軽減し,モデルの速度を高めることができる。同様に,特定のパラメータを擬似定常状態と仮定して計算を単純化し,モデルの速度を高めることができる。
【0038】
次に,上記のエネルギバランス方程式の個別的な熱流束について説明する。
【0039】
方程式の左辺は,リルムの離散的モデル化ユニットにおける,時間従属性を有するエネルギ蓄積である。
【0040】
エネルギバランス方程式の右辺のおける初めの2項,qconv 212及びqcond 214は,フィルム内における特定の離散的モデル化ユニットと,フィルム内における隣接する1つ又は複数の離散的モデル化ユニットとの間の対流及び伝導によるエネルギ移動を記述する。
【0041】
方程式の右辺における第5項は,固体とフィルムとの間の熱流束を記述する。フィルムの沸点に達したら,熱流束は対流(qhfcond 216a)から沸騰(qhfboil 216b)に変化し,これは余剰温度に依存するものである。
【0042】
rxn 218は,フィルム内で生じ得る反応により吸収又は放出される熱を記述する。典型的に,大部分のエネルギは固相(例えば,熱分解及び堆積層内における尿素堆積種の形成や,ウォッシュコートにおける加水分解又は吸着)の間に吸収又は放出される。
【0043】
vap 220は,液相から気相への化合物の蒸発(すなわち,フィルムからの水)により生じるエネルギ伝達を記述する。
【0044】
drop 222は,噴射されたDEF液滴のフィルムへの衝突によるエネルギ伝達を記述する。
【0045】
extconv 224は,気相及び液相の間における外的対流熱伝達によるエネルギ伝達を記述する。
【0046】
エネルギバランス方程式には,付加的又は代替的な項を含めることもできる。更に,上記の方程式はフィルムにおけるエネルギバランスを決定するために使用されるものであるが,この方程式は,原理的には,他の相におけるエネルギバランス,並びに各相における対応する質量バランスをモデル化するために使用することもできる。
【0047】
明確性を期するため,図2は,単一の離散的モデル化ユニットのみを示す。しかしながら,実際には,システムのおける正面の少なくとも一部をモデル化するために,複数の離散的モデル化ユニットを使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
次に,上述したモデルを使用することのできる例示的な方法につき,図3を参照して説明する。
【0049】
第1ステップ301において,加水分解触媒の数値モデルを準備する。一実施例において,数値モデルは図2に関連して前述した例示的モデルと同一である。一実施例において,数値モデルは,モデル化すべき加水分解触媒,特に,複数の離散的空間ユニットに区分されている加水分解触媒の空間モデルを含み,更に,各離散的空間ユニットにおける複数の物質の各々につき,複数の物質状態の各々の評価特性を含む。他の実施例において,数値モデルは,代替的又は付加的な特性及びパラメータを含むことができる。
【0050】
第2ステップ302において,数値モデルを評価して加水分解触媒により生成されるアンモニアの予測濃度を導き出す。数値モデルは,任意の適当な様式により評価することができる。ある実施例において,評価ステップは,複数の物質の各々につき,複数の物質の各々における複数の物質状態の各々に関連する複数の物質状態パラメータの値を決定するステップを含む。物質状態パラメータは,複数の適当な,又は関連する物理的性質又は効果を代表するパラメータとすることができる。一実施例において,物質状態パラメータは:物質状態の間の状態遷移;少なくとも1つの物質状態についての化学反応パラメータ;複数の物質状態の間のエネルギバランス;及び複数の物質状態の間の質量バランス;の少なくとも1つを代表するパラメータである。
【0051】
ある実施例において,数値モデルは,SCRシステムの一部を構成する適当なプロセッサユニットに組み込み,かつ同ユニットにより評価する。他の実施例において,数値モデルは,SCRシステムから離隔させたプロセッサユニットにより評価する。
【0052】
数値モデルは,任意の適当な様式により評価することができる。一実施例において,数値モデルは,SCRシステム(例えば,図1に示すシステム)の一部を構成するプロセッサユニットに組み込み,かつ同ユニットにより評価する。
【0053】
第3ステップ303において,アンモニアの予測濃度を使用して加水分解触媒に対するDEF投与を制御する。このステップは,任意の適当な様式により実行することができる。
【0054】
以上の記載は単なる例示を目的としており,限定的なものではない。すなわち,以下に記載する本発明の技術的範囲を逸脱することなく,本発明に修正を加え得ることは,当業者には明白である。
図1
図2
図3