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特許7033145心房血液体積を再分配するためのシャント
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】心房血液体積を再分配するためのシャント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/04 20130101AFI20220302BHJP
【FI】
A61F2/04
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019548060
(86)(22)【出願日】2018-03-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 IB2018051355
(87)【国際公開番号】W WO2018158747
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-03-01
(31)【優先権主張番号】15/449,834
(32)【優先日】2017-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518369682
【氏名又は名称】ブイ-ウェーブ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】アイグラー, ニール
(72)【発明者】
【氏名】ローセン, リオル
(72)【発明者】
【氏名】ハフェルフィンガー, ワーナー
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンフェルド, エレズ
(72)【発明者】
【氏名】ベン-デイビッド, タミール
(72)【発明者】
【氏名】ネイ, ニア
(72)【発明者】
【氏名】ヤコビー, メナシェ
(72)【発明者】
【氏名】ニッツァン, ヤーコブ
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0030521(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0165344(US,A1)
【文献】特表2012-525210(JP,A)
【文献】特表2007-527742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の左心房と患者の右心房との間の心房間中隔内への設置のために構成される、血液体積配分を調整するためのデバイスであって、
第1の領域と、第2の領域と、前記第1の領域を前記第2の領域に継合し、前記心房間中隔に係合するように構成される、縮径領域とを有する、アンカであって、前記アンカは、10~15mmの範囲内の長さを有し、収縮された送達状態から、前記第1の領域が前記患者の左心房の中に延在する、拡張された展開状態に遷移するように構成され、前記第2の領域は、前記第2の領域の出口が、下大静脈から前記患者の右心房の中に進入する血液の天然循環流路外に位置し、それによって、前記下大静脈からの流動内に同伴される塞栓が、前記第2の領域の出口の中に指向されないように、前記患者の右心房の中に少なくとも5mm延在する、アンカと、
前記アンカに添着され、管腔を画定する管腔壁を有する、導管であって、前記管腔壁は、貫壁性かつ移行性の組織成長を防ぎ、前記管腔は、前記縮径領域内に5mm~6.5mmの範囲内の最小直径を有し、前記導管は、前記縮径領域から少なくとも3mmの第1の距離だけ前記患者の左心房の中に延在する、第1の端部と、前記縮径領域から少なくとも3mmの第2の距離だけ前記患者の右心房の中に延在する、第2の端部とを有し、それによって、パンヌス形成が前記縮径領域内の管腔を狭窄させないように防止する、導管と
を備え、
前記管腔の直径および前記アンカの長さは、奇異性塞栓症のリスクを低減させるように選択される、デバイス。
【請求項2】
前記第2の端部は、埋め込まれると、前記縮径領域が、前記患者の心房間中隔の卵円窩に係合し、前記第2の端部が、5mm~15mmの距離だけ前記患者の右心房の中に突出するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
少なくとも前記第1の領域は、フレア状である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記導管は、前記アンカ上に配置される、生体適合性材料の層を備え、前記導管の外部表面は、貫壁性の組織成長を通さず、移行性の組織成長を防ぐ、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記アンカは、埋め込まれると、前記アンカが、前記導管を収容するために必要とされるより大きい前記心房間中隔内の開口部を充満するように、前記拡張された展開状態で前記導管の直径より大きい直径を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記アンカの長さは、前記導管の長さと異なる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記アンカは、前記拡張された展開状態では、塞栓が前記導管の第2の端部に進入しないように防止する、フィルタを形成する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記導管は、1つを上回る管腔を画定する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
患者の左心房と右心房との間の血液体積配分を調整するためのデバイスであって、
展開状態では、前記患者の左心房内に配置されるように構成される、第1の領域と、右心房内に配置されるように構成される、第2の領域と、前記第1の領域と第2の領域との間に配置される、縮径領域であって、心房中隔の卵円窩に係合するように構成される、縮径領域とを有する、アンカと、
前記アンカに添着され、前記第1の領域、前記第2の領域、および前記縮径領域を通して延在する、管腔を有する、導管であって、埋め込まれると、前記導管の端部が、前記端部を前記右心房内の天然循環流路外に設置するために十分な距離だけ前記右心房の中に突出し、それによって、前記天然循環流路内に同伴される血栓が前記管腔の中に指向されるリスクを低減させるように構成される、導管と
を備える、デバイス。
【請求項10】
前記距離は、5mmを上回るか、またはそれと等しい、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記導管の壁は、貫壁性かつ移行性の組織成長を防ぎ、前記導管は、前記第1の領域および前記第2の領域のそれぞれの中に、前記アンカと任意の心臓構造の接触の場所を少なくとも3mm越えて延在する、請求項9に記載のデバイス。
【請求項12】
前記第1の領域および前記第2の領域のうちの少なくとも1つは、フレア状である、請求項9に記載のデバイス。
【請求項13】
前記導管は、前記アンカを封入する、請求項9に記載のデバイス。
【請求項14】
前記アンカは、前記拡張された展開状態では、前記アンカが、前記導管を収容するために必要とされるより大きい前記心房間中隔内の開口部を充満するように構成されるように、前記導管の直径より大きい直径を有する、請求項9に記載のデバイス。
【請求項15】
導管は、前記アンカの長さと異なる長さを有する、請求項9に記載のデバイス。
【請求項16】
前記アンカは、前記拡張された展開状態では、塞栓が前記管腔に進入しないように除外する、フィルタを備える、請求項9に記載のデバイス。
【請求項17】
前記アンカは、複数の長手方向支柱を備え、前記長手方向支柱のサブセットは、送達デバイスに係合するように構成される、小穴を有する、請求項9に記載のデバイス。
【請求項18】
前記長手方向支柱のサブセットは、放射線不透過性マーカを含む、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記アンカはさらに、前記長手方向支柱を相互接続する、複数の円周方向正弦波支柱を備え、前記導管は、前記導管の端部に隣接するカットアウトを画定する部分を除き、前記アンカを封入する、請求項17に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本願は、概して、血液を1つの心室から別の心室に再分配し、心不全(HF)、心筋梗塞(MI)および肺動脈高血圧症(PAH)等の病態に対処するための経皮的に設置されたインプラントおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
心不全は、心拍出量が、身体の必要性を満たすために不十分であるか、またはより高い充満圧力においてのみそれを満たす、生理学的状態である。心筋梗塞、冠動脈疾患、弁膜疾患、高血圧症、および心筋炎を含む、HFの多くの根本原因が存在する。慢性心不全は、神経ホルモン活性化および自律神経調節における改変と関連付けられる。これらの補償神経ホルモン機構は、正常な生理学的状況下における、心臓のための大切な支援を提供するが、それらはまた、HFの発症および後続の進行において基礎的役割を果たす。
【0003】
例えば、HFにおける低減された血流のための身体の主要補償機構のうちの1つは、腎臓によって保持される塩分および水分の量を増加することである。塩分および水分の保持は、尿を介してそれを排泄する代わりに、血流内の血液の体積を増加させ、血圧を維持することに役立つ。しかしながら、より大きい血液の体積はまた、心筋、特に、心室を拡大させる。心室が拡大するにつれて、壁厚は、減少し、心臓の収縮は、弱化し、心臓機能に負のスパイラルを引き起こす。別の補償機構は、動脈系の血管収縮であって、これは、血圧を上昇させ、適正な潅流を維持することに役立ち、したがって、心臓が拍出しなければならない負荷を増加させる。
【0004】
低駆出率(EF)心不全では、心臓における高圧力が、適正な末梢潅流のために必要とされる高圧力を維持する身体の試みから生じる。しかしながら、心臓が、そのような高圧力の結果として弱化するにつれて、障害は、悪化される。左心房における圧力は、25mmHgを超え得、その段階で、肺循環系を通した血流からの流体は、肺毛細管から肺間質空間の中および肺胞の中に浸出または流出し、肺鬱血、処置されない場合、急性肺浮腫症候群および死亡を引き起こす。
【0005】
表1は、正常な心臓およびHFを患っている心臓に関する右心房圧(RAP)、右心室圧(RVP)、左心房圧(LAP)、左心室圧(LVP)、心拍出量(CO)、および1回拍出量(SV)の典型的範囲を列挙する。約70拍/分で拍動する正常な心臓では、正常な心拍出量を維持するために必要とされる1回拍出量は、約60~100ミリリットルである。心臓の前負荷、後負荷、および収縮性が、正常であるとき、正常心拍出量を達成するために要求される圧力は、表1に列挙される。HFを患っている心臓では、血行動態パラメータは、変化し(表1に示されるように)、末梢潅流を維持する。
【表1-1】
【0006】
HFは、概して、収縮期心不全(SHF)または拡張期心不全(DHF)のいずれかとして分類される。SHFでは、心臓の拍出作用は、低減または弱化される。一般的臨床測定は、拡張期または弛緩期の終了時における左心室内の最大体積によって除算される、左心室(1回拍出量)から駆出される血液の関数である、駆出率である。正常駆出率は、50%を上回る。収縮期心不全は、概して、40%未満の減少駆出率を引き起こす。そのような患者は、駆出率が低減された心不全(HFrEF)を有する。HFrEFを患う患者は、通常、より高い心室圧に続いて生じる、「心臓リモデリング」と呼ばれる現象のため、より大きい左心室を有し得る。
【0007】
DHFでは、心臓は、概して、正常駆出率を伴って、正常に収縮するが、弛緩し、血液で充満されるとき、健康な心臓より堅いか、またはあまり伸展性ではない。そのような患者は、駆出率が保たれた心不全(HFpEF)を有すると言われる。本堅さは、血液が心臓に充満しないように妨害し、鬱滞を肺の中にもたらし得、これは、肺静脈高血圧症および肺浮腫をもたらし得る。HFpEFは、75歳以上の患者、特に、高血圧を患う女性においてより一般的である。
【0008】
HFの両変種は、薬理学的アプローチを使用して処置されており、これは、典型的には、全身性血管抵抗を低減させることによって心臓の仕事量を低減させるための血管拡張剤と、流体蓄積および浮腫形成を阻止し、心臓充満圧を低減させる、利尿薬との使用を伴う。いずれの薬理学的療法も、HFpEFにおける罹患率または死亡率を改善することが示されていない一方、レニン-アンジオテンシンアンタゴニスト、β遮断薬、およびミネラロコルチコイドアンタゴニストを含む、いくつかの種類の薬物は、HFrEFを患う患者の管理に重要な影響を及ぼしている。なお、一般に、HFは、進行性疾患のままであって、大部分の患者は、心臓機能および症状を経時的に悪化させている。米国では、年間、百万人を超える人々が、HFを急激に悪化させ、入院し、死亡率は、大部分の形態の癌より高い。
【0009】
HFrEFのより深刻な症例では、機械的ポンプ等の補助デバイスが、通常心臓によって行われる拍出機能の全部または一部を実施することによって、心臓にかかる負荷を低減させるために使用される。慢性左心室補助デバイス(LVAD)および心臓移植は、多くの場合、最後の手段の措置として使用される。しかしながら、そのような補助デバイスは、典型的には、心臓の拍出容量を改善し、心拍出量を普段の生活に匹敵するレベルまで増加させ、移植のためのドナー心臓が利用可能になるまで、患者を持続させるように意図される。そのような機械的デバイスは、有意な体積の血液(リットル/分)の推進を可能にするが、電力供給源、比較的に大型のポンプの必要性によって限定され、溶血、血栓形成、および感染症のリスクを呈する。一時的補助デバイス、大動脈内バルーン、およびペーシングデバイスもまた、使用されている。
【0010】
種々のデバイスが、ステントを使用して、所与の脈管内または心室間の血圧および流動を修正するために開発されている。例えば、Ruizの米国特許第6,120,534号は、身体脈管または器官を通した流体の流動を調整するため、例えば、肺動脈を通した血流を調整し、先天性心臓欠陥を処置するための腔内ステントを対象とする。ステントは、ステントを通した流動を限定する狭窄領域によって継合される、掌状または円錐形部分を有する、拡張可能メッシュを含み得る。メッシュは、横方向正弦波または蛇行接続部材によって接続される、長手方向支柱を備え得る。Ruizは、HFの処置または左心房圧の低減については言及していない。
【0011】
Amplatz et al.の米国特許第6,468,303号は、選択された器官および脈管をシャントするための圧壊可能医療デバイスおよび関連付けられた方法を説明する。Amplatzは、本デバイスが、例えば、シャントを左心低形成症候群(HLHS)を患う新生児の心房中隔内に作成することによって、患者の心臓の中隔欠陥をシャントするために好適であり得ることを説明している。本特許はまた、肺および全身静脈血の混合の増加が、酸素飽和を改善し、シャントが、後に、閉塞デバイスで閉鎖され得ることを説明している。Amplatzは、HFの処置または左心房圧の低減ならびにデバイスを通した血流速度を調整するための手段については言及していない。
【0012】
埋込可能心房間シャントデバイスは、深刻な症候性心不全を患う患者における使用において成功している。左心房(LA)から右心房(RA)への血液を迂回またはシャントすることによって、左心房内の圧力は、そうでない場合と比較して高く上昇しないように低下または防止される(左心房減圧法)。そのような遂行は、肺鬱血と関連付けられた症状、兆候、および症候群を防止、緩和、または限定することが予期されるであろう。これらは、深刻な息切れ、肺浮腫、低酸素症、緊急入院の必要性、機械的換気、および死亡を含む。
【0013】
シャント流動は、概して、心房とシャントデバイスの流体の力学的性質との間の圧力勾配によって統制される。後者は、典型的には、シャントの幾何学形状および材料組成によって影響される。例えば、類似シャント設計の一般的流動性質は、平均心房間圧力勾配および有効オリフィス径に関連することが示されている。
【0014】
心房間シャントの経皮的埋込は、概して、シャントデバイス挿入直前の経中隔カテーテル留置を要求する。経中隔カテーテル留置システムは、大腿部静脈内の入口部位から、心房間中隔の中心かつ最薄領域である、卵円窩(FO)の領域内の心房間中隔を横断して設置される。成人におけるFOは、典型的には、主軸寸法15~20mmおよび厚さ≦3mmであるが、ある状況では、最大10mm厚であり得る。LA室アクセスは、限定ではないが、針穿刺、スタイレット穿刺、ねじ針穿刺、および高周波アブレーションを含む、当業者に公知の多くの異なる技法を使用して達成されてもよい。2つの心房間の通路は、所望のオリフィスサイズを有するシャントデバイスの通過を促進するように膨張される。拡張は、概して、テーパ状シース/拡張器カテーテルシステムを前進させること、またはFOを横断した血管形成術タイプバルーンの膨張によって遂行される。これは、先天性二次孔心房中隔欠損症(ASD)が位置するであろう、同一の一般的場所である。
【0015】
Dobak,IIIの米国特許公開第2005/0165344号は、塞栓フィルタまたは弁を有する管状導管を含む、心不全を処置するための装置を説明し、本デバイスは、心臓の心房中隔内の開口部内に位置付けられ、左心房から右心房の中への流動を可能にするように構成される。Dobakは、血液のシャントが、左心房圧を低減させ、それによって、肺浮腫および進行性左心室機能不全を防止し、LVEDPを低減させ得ることを開示している。Dobakは、本デバイスが、若干の力を心房中隔上に両側から付与し、本デバイスを中隔に挟持または咬持する、金属アーム等の展開可能保定支柱を含み得ることを説明している。
【0016】
2つのタイプの経皮的に埋込可能なシャントが、医療および特許文献に説明されている。短期小規模臨床試験では、両タイプとも、症状、生活の質測定、および運動能力の改善と関連付けられることが示されている。両シャントはまた、観察された理論的短所を有し、その有効性および使用を限定し得る。
【0017】
第1のタイプのシャントは、以降、オリフィス-プレートメッシュシャントと称される。オリフィス-プレートメッシュシャントは、中心に孔を伴って、中隔の両側の周囲に巻着し、小先天性二次孔型ASDの場所および幾何学的特性を解剖学的に模倣する、金属メッシュを備える。シャント幾何学形状は、概して、孔をその中に伴う、薄いプレートに類似する。大部分の実施形態では、「プレート」は、メッシュ材料とメッシュによって包囲される心房中隔組織の両方を含む。Corvia Medical, Inc.(Tewksbury MA)によって設計されたそのようなデバイスの一例は、開放オリフィスを中心に伴う、一対のディスク状フランジを形成する、自己拡張式ニチノールメッシュを含む。ディスクの最大直径は、19.4mmであって、オリフィス径は、8mmである。各ディスクフランジは、心房間中隔のLAおよびRA側の周囲に巻着し、咬持力を組織に印加する、事前に設定された構成に展開する、複数の束状脚部を有する。
【0018】
Occlutech International AB(Helsingborg, Sweden)によって開発されたそのようなメッシュタイプデバイスの別の例は、先天性二次孔型ASDを閉鎖するために使用される二重ディスク閉塞器に類似し、これは、加えて、2つのディスクを接続する、短開放バレルオリフィスを中心に含む。
【0019】
他のシャント設計に優る前述のオリフィス-プレートメッシュシャントの主な利点は、製造の簡略化である。理論および構造が比較的に単純であるが、オリフィス-プレートメッシュタイプシャントは、臨床上の安全性および有効性のためのその全体的潜在的を低減させることが予期される、いくつかの重要な短所を有する。
【0020】
オリフィス-プレートデバイスの第1の短所は、埋込後治癒期間の間、狭窄または閉鎖を被りやすいことである。例えば、パンヌスと称される、新生心内膜組織内部成長が、下層組織から成長し、メッシュを被覆し、シャントオリフィスを狭窄または部分的に閉塞させる。埋込後の期間の間、FOを交差および膨張させることによって生じる局所外傷に加え、中隔組織上のメッシュ材料によって印加される連続圧力の慢性的影響が、局所治癒応答を誘発させる。本応答は、炎症性プロセスの活性化を伴い、リンパ球および貪食細胞を組織傷害の面積に引き付ける。これらの炎症性細胞は、ひいては、創傷縁から線維芽細胞および平滑筋細胞に脱分化し、遊走し、増殖し、埋め込まれたデバイスの影響される部分を封入するように信号伝達する、種々のサイトカインを放出する。線維芽細胞および平滑筋細胞は、次いで、コラーゲンおよびプロテオグリカンを含む、細胞外マトリクス物質を分泌し、細胞外マトリクスは、パンヌスの塊を形成する。ヒトにおける本治癒相の持続時間は、典型的には、最大6~9ヶ月であるが、デバイス圧縮または隣接する組織の浸食等の組織傷害の慢性源が存在する場合、より長くなり得る。最終的に、本パンヌスは、新生内皮細胞で被覆され、パンヌス成長を停止または安定化させる。長期的に、パンヌスのコラーゲンが、再生するが、概して、その空間占有性質を留保する。そのような組織内部成長は、典型的には、インプラントの支柱、メッシュ、またはディスクの表面にわたって拡散し、オリフィス管腔を実質的に狭窄させる、またはさらにシャントを完全に閉塞させ得る。シャントの狭窄または閉塞は、LA減圧を妨害し、患者のための任意の好影響を限定する。
【0021】
管腔狭窄度は、局所傷害の重症度の差異に起因して、患者間で非常に可変であり得る。すなわち、傷害が多いほど、パンヌス形成がより悪化する。また、変動性は、宿主創傷治癒応答の差異からも生じる。例えば、細胞外マトリクスの量および特性は、治癒の持続時間および堆積される物質の量に影響を及ぼし得る。したがって、オリフィス-プレートメッシュシャントに関して、最終的オリフィス管腔サイズは、高度に可変となるであろう。これらのプロセスは、概して、露出金属ステントがアテローム硬化性狭窄を処置するために使用されるときに動脈内で生じる晩期管腔喪失のタイプに類似するため、当業者に公知であろう。
【0022】
Hasenfuss, et al.による刊行物「A Transcatheter Intracardiac Shunt Device for Heart Failuer with Preserved Ejection Fraction(REDUCE LAP-HF):Multicentre, Open-label, Single-arm, Phase1 Trial」に説明される試験では、オリフィス-プレートメッシュシャントデバイスを埋め込まれた64名の患者のうち14名が、埋込から6ヶ月後、経胸心エコードップラー撮像上で、シャントを横断して明白な流動を有していなかった。シャントが閉塞されていたかどうか、または撮像研究が単に技術的に確実に明らかにすることが困難であったかどうかは、報告されていない。付加的介入心臓学手技が、失われた管腔開存性を復元するために行われ得るが、そのような手技は、オリフィスに詰まった物質の塞栓からの死亡および脳卒中を含む、容認不可能なリスクを呈し得る。
【0023】
オリフィス-プレートメッシュシャントの第2の短所は、奇異性塞栓症の潜在性である。奇異性塞栓症は、塞栓が心臓シャントを通して全身性動脈循環の中に右から左に横断するように静脈血管系内で生じる、血栓性塞栓症(静脈血栓性塞栓症またはVTE)を指す。奇異性塞栓症の最も深刻な合併症は、塞栓が脳循環内で詰まり、脳梗塞(脳卒中)をもたらすときに生じる。同様に、奇異性塞栓が、冠動脈循環に進入する場合、心筋梗塞(MI)が、続いて起こり得る。他の塞栓性症候群は、腸間膜、腎臓、および四肢に供給する末梢動脈への塞栓症から生じる。これらは、それぞれ、虚血性腸症候群、腎機能悪化に伴う血尿、および切断を要求する壊疽を引き起こし得る。
【0024】
最も頻繁に、成人におけるVTEは、下肢または骨盤の深部静脈内の原位置血栓症(深在静脈血栓症またはDVT)の結果である。大部分に関して、臨床上関連する静脈塞栓は、膝窩静脈または上大腿部または骨盤のより大きい静脈内のより近位で発症する。膝窩静脈に関わるDVTを患う患者では、静脈径は、平均11.4mm(6.2mm~20.1mmの範囲)であった。多くの場合、塞栓は、起始静脈の直径と等しい幅を伴う、静脈の管腔の円柱物の形態を有するものとして説明される。これらの血栓はまた、伸長され、閉塞された静脈区画の長さに対応する傾向にある。
【0025】
血栓性塞栓症疾患と関連付けられたリスク要因は、種々の解剖学的、生理学的、レオロジー変形、および疾患状態を含む。心不全は、特に、低減された左心室収縮期機能を伴う患者における、DVTおよびVTEの広く認識されているリスク要因である。心不全患者における死亡の約3%は、通常、肺塞栓症と関連付けられる、VTEに起因する。経静脈心内膜ペーシング導線および心内シャントを伴う患者は、全身性血栓性塞栓症の3倍の増加リスクを有し、奇異性塞栓症が、寄与的根本原因であることを示唆する。奇異性塞栓症のリスクは、ASDおよび卵円窩開存症(PFO)等の自然発生心房レベルシャントのオリフィスサイズに直接関連するという証拠が存在する。心房中隔動脈瘤の存在は、付加的リスク要因である。例えば、Khositsth, et al.による刊行物「Transcatheter Amplatzer Device Closure of Atrial Septal Defect and Patent Foramen Ovale in Patients with Presumed Paradoxical Embolism」に説明されるように、奇異性塞栓症を患う一連の103名の成人患者では、ASDは、12%に存在した一方、PFOは、81%に存在した。閉鎖と称される、臨床上有意なASDを患う患者では、奇異性塞栓の発生率は、最大14%であると報告されている。
【0026】
VTEが全身循環に進入するために、特有のLAからRAへの圧力勾配は、血液が、シャントを横断してゆっくりと流動するか、シャントを横断した流動を停止するか、またはシャントを横断して逆流するかのいずれかとなるであろうように、一時的に、低減、排除、または逆転されなければならないことが確認されている。エコー/ドップラー撮像研究は、多くの場合、LAからRAへの流動が優勢であるときでも、先天性ASDを患う患者では、ある程度の量の両方向におけるシャント(双方向シャント)を明らかにしている。双方向シャントは、対象がバルサルバ法(閉鎖された声門に対する呼息によって生じる歪み)を実施するときに最良に実証され得る。バルサルバ法は、胸腔内圧を増加させ、これは、数秒後、RAおよびLA圧力を等しくさせ、次いで、RA圧力に関して、呼息時、LA圧力を一時的に超えさせる。断続双方向流動はまた、心房間圧力勾配が低い安静時に、またはLA収縮がRA収縮と比較して遅延される(心房間伝導遅延)心臓サイクルの間にも断続的に観察され得る。これは、特に、心房が、拡大される、または心不全等を患っているときに見られる。本設定では、心房間電気伝導遅延は、LA収縮の遅れをもたらす。双方向シャントはまた、RAへの静脈戻りが増加される吸気の間、腹部圧縮を伴う咳嗽の間、強制呼息の間、または深刻な三尖弁反流の存在下でも、一時的に見られ得る。深刻な肺高血圧症に見られるような慢性的に増加される肺動脈圧は、一次もしくは二次慢性肺疾患、再発性肺塞栓症、または慢性右心室容積過負荷に起因するかどうかにかかわらず、慢性かつより深刻なRAからLAへのシャントと関連付けられている。
【0027】
RAからLAへのシャントと関連付けられた付加的現象は、全身性静脈混合に起因する、低下された肺血流および減少された動脈酸素飽和である。これらの所見がまた、一時的であるとき、それらは、概して、大概、見過ごされる。したがって、逆シャント自体を防止するのではなく、有意なまたはより大きい奇異性塞栓の防止が、一次懸念である。奇異性塞栓症の結果は、致命的であり得るため、特に、高リスク患者では、埋込可能シャントが、奇異性塞栓症の機会を限定もしくは最小限にする、または大塞栓を輸送する機会を最小限にする、機構を装備することが望ましい。
【0028】
これらのデータから、オリフィス-プレートメッシュシャントが、先天性二次孔型ASDとのその解剖学的類似性によって、奇異性塞栓症の類似リスクを有するであろうことが予期されることは、合理的であると考えられる。薄いプレート-オリフィスメッシュタイプの人工シャントが、より長いオリフィス幾何学形状、例えば、ノズルを伴う他のタイプのシャントより奇異性塞栓症を受けやすくあり得ることは、容易に理解可能である。任意の所与の量のRA体積(血液または血栓)に関して、シャントを横断してLAの中に逆行横断する統計的尤度は、圧力勾配逆転の持続時間、RA内の流動パターン、流速流線の長さに影響を及ぼすシャントトンネル距離、ならびに流速およびオリフィスまたは管腔サイズの複雑な関数であると予期されるであろう。
【0029】
オリフィス-プレートメッシュシャントの第3の短所は、シャント本体からの経皮的除去が、埋込時のみに可能であることである。シャントが、感染症の病巣となる、その金属フレームワークの疲労または腐食亀裂を発生させる、または他の重要な心臓構造を浸食もしくはそれに別様に衝突する場合、経皮的回収/除去技法によって除去されることができない。これは、その大「占有面積」を心房間中隔上に伴うシャントがパンヌス組織内に包囲されるためである。経皮的除去における試みは、中隔の断裂、心膜タンポナーデ、および全身循環の中へのデバイス塞栓をもたらし、死亡または緊急外科手術の必要性をもたらし得る。安全な除去は、開心外科手術を実施することを要求するであろう。これは、心臓が体外膜ポンプ酸素供給器(心肺バイパス)を使用してバイパスされ、したがって、心臓が開放され、シャントが除去され、中隔が修復され得ることを伴う。そのような外科手術手技を、末梢、脳血管、および冠動脈疾患、腎臓機能不全、および糖尿病等のその頻繁に関連付けられる共存症状態を含む、すでに確立された深刻な心不全を患う患者において実施することは、死亡率または深刻な罹患率の実質的リスクを有することが予期されるであろう。
【0030】
オリフィス-プレートメッシュのタイプのシャントの第4の短所は、その幾何学形状がそれを高流動を支持する際に比較的に非効率的にすることである。シャントを横断した任意の所与の圧力勾配に関して、オリフィスプレートの幾何学形状は、ベンチュリ形状の管腔または円錐形形状のノズル等の他の幾何学形状と比較して低減された有効オリフィスサイズを有するため、より大きいオリフィスを要求する。これは、オリフィス-プレートを用いることで、プレートの縁における渦流と関連付けられたより多くのエネルギー喪失が存在するためである。オリフィス-プレート幾何学形状は、流動と実際のオリフィスサイズを関連させる、無次元流体-機械的パラメータである、比較的に低流出係数を有するものとしてカテゴリ化され得る。実践的目的のために、流出係数は、シャントオリフィスと比較して噴流の最狭部分である、退出噴流縮流部の面積の比率である。例えば、パイプ内に設置されたオリフィスプレートに関する流出係数は、約0.6となる傾向にあるが、稀に、0.65を超える。流出係数は、オリフィスおよびチャンバ寸法、圧力勾配、ならびに具体的流動条件の血液の粘度および/またはレイノルズ数によって影響される。これは、流出係数が、通常、0.9を超え、典型的には、0.94~0.98の範囲内である、古典的ベンチュリタイプの狭窄を通した流動のより効率的通過と異なる。結果として、より効率的シャント管腔幾何学形状と比較して、オリフィス-プレートメッシュシャントは、シャントを横断した任意の所与の圧力差に関して同一量の流動を収容するためにより大きいオリフィス径を要求する。
【0031】
オリフィス-プレートメッシュシャントの第5の短所は、大面積または占有面積を心房間中隔上に占有することである。シャントに係留する、デバイスのフランジは、典型的には、卵円窩の全体面積を占有し、心房間中隔の隣り合った筋肉部分に重複し得る。これらのフランジは、持続的圧力を中隔上に付与し、傷害を引き起こし、上記に説明されるように、悪化される治癒応答を刺激する。また、メッシュの剛性は、筋肉中隔の正常運動に干渉し得る。フランジは、加えて、左心房の天蓋部、肺静脈口、ならびに大動脈基部およびバルサルバ洞等の隣接する心臓構造に衝突し得、慢性擦過接触または狭着圧縮力に起因して、それらは、これらの重要な構造の中に浸食し得る。そのような浸食は、心臓タンポナーデおよび死亡を含む、深刻な合併症と関連付けられている。例えば、上記に説明される同様のサイズのAmplatzer ASDディスク閉塞デバイスは、時に、結果として生じる致命的転帰を伴う、隣り合った組織の中に浸食と関連付けられている。
【0032】
複雑な3次元幾何学形状を伴う比較的に大型のデバイスを設置することと関連付けられた付加的問題は、シャントをFO内に正確に設置し、十分な組織係留を取得して遊走を防止し、デバイスを心臓生体構造の不規則性に共形化させる際の潜在的困難である。例えば、Hasenfuss,etal.によって著された上記に引用される刊行物内の66名の患者におけるオリフィス-プレートメッシュシャントの埋込試行の報告では、デバイス設置は、2名の患者において不可能であった。また、64名の埋め込まれた患者のうち、最初の埋込試行の誤設置、遊走、または塞栓に起因して、別の3名の患者において、デバイスは、除去または再埋込されなければならなかった。
【0033】
最後に、心房中隔上の大占有面積は、経中隔アクセスを要求する他の介入手技を実施することを妨害または不可能にし得る。大フランジ径および小メッシュ細孔サイズは、概して、心房中隔のカテーテル交差を中心シャントオリフィス自体のみを通して可能にする。心房細動RFアブレーション等の小径カテーテルを使用した経中隔手技は、パンヌスによって遮断されず、オリフィス場所が、全4つの肺静脈の中への進入を可能にする場合のみ、オリフィス-プレート管腔を通して行われ得る。大径送達システムを有し、および/または具体的場所においてFOを交差することを要求する、他の構造心臓病手技は、困難に遭遇する、または単に、不可能であり得る。これらの手技は、左心耳閉塞、僧帽弁縁間(「MitraClip」)修復、および経血管僧帽弁置換を含む。例えば、MitraClipを最適に設置することは、その後上象限においてFOを交差することを要求する。誘導カテーテルは、7.7mm(23Fr)の先端内径を有する。類似経中隔アクセスは、Valtechによって販売されているCardiobandデバイスを用いて、再構築僧帽弁形成術を実施するために必要とされる。これらの症例では、唯一の代替は、経左心室心尖アクセスまたは開心外科手術を伴うより高いリスクの療法アプローチとなり得る。
【0034】
第2のタイプのシャントは、弁付き一方向性シャントと称される。これらのシャントは、オリフィス-プレートデバイスの短所のうちのいくつかを克服しようと試みる。例えば、弁付き一方向性シャントは、逆シャントおよび奇異性塞栓症を限定するための一方向または逆止弁を含有する、実施形態を有する。弁構成のうちのいくつかは、LA-RA圧力勾配が所定の閾値を超えると開放するように設計される。他の弁構成は、RA圧力がLA圧力を超える(逆転勾配)ときのみ閉鎖する。
【0035】
Nitzanの米国特許第9,034,034号(その全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)は、上記に説明するプレート状オリフィスメッシュシャントの短所の多くを解決する。Nitzanタイプシャントの実施形態は、砂時計またはディアボロ外側形状を備え、中隔傷害を最小限にする小FO占有面積を有し、これは、パンヌス成長およびシャント管腔の消滅を最小限にすることが予期される。その一方向弁はまた、逆シャントおよび奇異性塞栓症の潜在性を低減させるように設計される。中隔と接触するシャントの比較的に小占有面積および封入された圧壊可能ニチノールフレームは、標準的S字形管スネアおよび大ボアシースを使用して、中隔からの経皮的抽出および身体からの回収を促進するように設計され、したがって、デバイスをより容易に回収させる。ディアボロ形状のベンチュリ管状内側管腔は、より良好なバルク流動特性を提供し、オリフィスプレートシャントと比較して同一量の流動のためのより小さいオリフィスを可能にする。また、最後に、FO上の小占有面積および砂時計形状は、埋込の間、正確な設置および保定を促進するように設計される。本幾何学形状はまた、心房間中隔の正常運動への干渉を最小限にし、小占有面積は、経中隔カテーテル留置を要求する他の潜在的介入手技のためのシャントを囲繞する空間を提供する。
【0036】
一方向性左/右流動を支持するように設計される、V-Wave,Ltd(Caesarea, Israel)によって製造されたNitzan設計の一実施形態は、レーザ切断されたニチノール管から構築された自己拡張式フレームを備える。フレームは、6つの長手方向バーによって相互接続される、5つの正弦波円周方向支柱を含む。フレームは、非対称砂時計形状またはディアボロ形状を有するように熱固化される。シャントは、縮径部(5.3mm外径)が、FOを横断して設置され、その外部表面幾何学形状によって定位置に固着されるように展開される。シャントの最広部分は、約14.3mm外径をシャントのLA端部に伴う、円錐形形状を有し、これは、入口漏斗の遠位端上の「入口」ポートとしての役割を果たす。入口漏斗は、左心房内で展開され、シャントの縮径部をFOの領域に位置合わせされる。第2の若干より狭いベル形状の部分が、シャントの出口部分を形成し、これは、シャントのRA端部において11.4mmの最大外径まで拡張する。シャントは、それを定位置に固着させるために、フランジ、ディスク、または組織アンカを要求しない。中隔保定は、持続的圧力、張力、または擦過接触をデバイス縮径部に隣り合った組織上に印加せずに達成される。
【0037】
V-Waveシャントは、単一内側管腔を有し、流動は、LA内の入口漏斗の中に同伴され、ベンチュリ-タイプオリフィスに類似する、5.1mm内径を有する狭窄された縮径部を通して通過し、次いで、シャントのRA端部の近傍に位置付けられる生体人工弁を通して退出する。入口漏斗および中心縮径領域は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(「ePTFE」)で封入され、スカートまたはカバーをフレームにわたって形成する。スカートは、デバイスによる治癒の間、層流を促進し、パンヌス内部成長を限定するように設計される。出口ベル形状の部分は、ePTFE封入の右心房範囲におけるフレームに縫合される3つのグルタルアルデヒド固定ブタ心膜弁尖を含有する。弁尖は、平滑出口チャネルを作成し、開放位置に留まり、RA圧力がLA圧力を1~2mmHg超えるときのみ閉鎖し、したがって、逆の右から左へのシャントを防止するように設計される。
【0038】
展開のために、V-Waveシャントは、それが三重ラッチケーブル送達カテーテルに取り付けられる、装填管内で圧縮される。装填管は、右大腿部静脈からFOを横断した経中隔カテーテル留置後、以前に設置された14F送達シースの中に挿入される。シャントは、次いで、入口漏斗がLA内に展開されるまで、シースを通して前進される。システム全体は、LA漏斗がFOの左側と接触するまで、ユニットとして抜去される。送達カテーテルラッチは、シャントから掛止解除され、送達カテーテルは、抜去され、したがって、シャントの右心房側は、その半径方向力のみによって送達シースに対して保持される。次いで、送達シースは、抜去され、それによって、FOのRA側上のシャントの出口ベル形状の部分を展開する。デバイス設置は、蛍光透視法および心エコー検査、例えば、心内エコーまたは経食道エコーによって誘導および確認されてもよい。
【0039】
V-Waveシャントに関する事前臨床試験が、虚血性心筋症形態の心不全を作成した、確立された若いヒツジ(羊)モデルにおいて実施された。羊は、Schmitto et al.による刊行物「Chronic Heart Failure Induced by Multiple Sequential Coronary Microembolization in Sheep」に説明されるように、シーケンシャル冠動脈マイクロ塞栓を用いて事前に処置された。数週間後、羊は、深刻な左心室収縮期機能不全の証拠を発現させ、LV、LA、および肺動脈圧の上昇を発症させた。12週の生存率研究では、本V-Waveシャントは、LA圧力および左心室駆出率における有意な改善と関連付けられた。全ての心不全悪化の発現は、改善され、ある場合には、心房間シャントを用いて逆転された。しかし、確立された心不全を患う同時対照動物は、V-Waveシャントを埋め込まれず、3ヶ月経過観察の間、LV駆出率および心内/肺圧の進行性の悪化を実証した。シャントされた動物における生理学的改善は、シャント体積がわずかであると査定された場合でも実質的であった。肺体血流比(Qp/Qs)は、オキシメトリによって測定されるように、1.1~1.2であって、これは、非常にわずかなシャントと一貫した。1.5未満のQp/Qsを伴う自然発生ASDは、概して、それらが、軽度の慢性容量過負荷にもかかわらず、右心室不全の悪化の証拠がなく、応従性右心および肺血管系によって、大概、数十年にわたって見過ごされるため、処置されないままにされる。これは、羊モデルにおいて、RAおよび肺動脈圧は、シャントを用いてベースラインレベルまで減少されたことが確認されたが、対照動物においては、徐々に悪化した。
【0040】
合計38名の患者が、2つの類似実行可能性研究において、弁尖を有するV-Wave砂時計形状のシャントを埋め込まれた。組み合わせられた研究母集団のベースライン特性は、下記の表1に要約される。
【表1-2】
NYHA=New York心臓協会による心不全分類
DM=糖尿病
HTN=高血圧症
AFIB=心房細動
ACEi-ARB=アンジオテンシン変換酵素阻害薬またはアンジオテンシン受容体遮断薬の受容
BB=β遮断薬の受容
MRA=ミネラロコルチコイドアンタゴニストの受容
DIUR=ループ利尿薬の受容
CRT-D=心臓再同期療法ペースメーカーとICDの組み合わせの埋込
ICD=埋込可能心臓除細動器/除細動器
CRT-P=組み合わせICDを伴わない、心臓再同期療法ペースメーカーの埋込
NT-proBNP=N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド
eGFR=推定される糸球体濾過量
6MWT=6分間の歩行試験距離
PCWP=肺毛細血管楔入圧
RAP=右心房圧
PAP=肺動脈圧
CI=心係数
PVR=肺血管抵抗
LVEF=左心室駆出率
HFrEF=駆出率が低減された心不全
HFpEF=駆出率が保たれた心不全
これらのパラメータおよび略語は、当業者に周知である。
【0041】
全ての患者は、研究登録時、New York心臓協会(NYHA)分類IIIまたは歩行可能分類IV心不全症状を有していた。左心室駆出率が低減されたか、または保たれているかのいずれかを患う患者が、含まれた。冠動脈疾患、糖尿病、心房細動、および慢性腎臓機能不全を含む、より悪化した予後と関連付けられることが知られる、併存症が、高頻度で認められた。全ての患者は、研究登録に先立って、適切なガイドライン準拠医療およびデバイス療法を受けた。患者は、ナトリウム利尿ペプチドレベルの上昇、運動量の低下、心内および肺動脈圧の上昇、肺血管抵抗の増加、ならびに心拍出量の低下の証拠を有していた。これらの要因はまた、不良な転帰とも関連付けられている。患者は、深刻な右心室機能不全または深刻な肺高血圧症を有する場合、除外された。
【0042】
V-Waveシャントの埋込は、全38名の患者において成功し、デバイス置換は、実施されなかった。シャントは、蛍光透視または心エコー撮像上で脱落、遊走、または正常中隔運動への明白な干渉なく、房中隔内に埋め込まれたままであった。いずれのシャントも、感染症または支柱亀裂に関して除去または置換を要求しなかった。経過観察撮像研究は、FO上に、経中隔手技を実施し、例えば、心房細動アブレーション、左心耳閉塞、および僧帽弁修復を含む、他の心臓状態を処置するために利用可能かつ適応可能な隣接する場所が存在することを示す。弁装置は、正常に機能すると、逆(右から左への)シャントを効果的に防止することが示されている。残りまたはバルサルバ法の間の心エコー造影およびドップラー研究は、ヒト埋込後の最初の数ヶ月、逆シャントが認められなかったことを示す。さらに、奇異性塞栓症を含む、血栓性塞栓症臨床事象は、経過観察の最初の年の間、観察されなかった。
【0043】
シャント開存性は、経食道エコー/ドップラー研究の間に観察されるように、シャントを通したLAからRAへの流動として定義される。V-Waveシャントの埋込から3ヶ月後、開存性が、全ての患者において確認された。心エコー検査によって測定されるような肺体血流比(Qp/Qs)は、埋込後間もなく、ベースラインにおける1.04±0.22から1.18±0.16まで増加した(p<0.03)。TCT2016(Washington DC)におけるDr. William Abraham, MDによって提示されるHFrEFを患う30名の患者の亜群では、臨床医査定症状、患者査定生活の質スコア、および埋込から3、6、および12ヶ月後の6分間歩行試験によって測定されるような運動量における統計的に有意な(p<0.05)改善が認められた。ナトリウム利尿ホルモンレベル、心エコー、または血行動態パラメータにおける悪化は、認められなかった。最も重要なこととして、シャントを患う年換算(Poisson)心不全入院率(年間患者あたり0.17心不全入院)は、同程度の既往歴対照群(CHAMPION試験対照および処置群(それぞれ、年間患者あたり0.90および0.67心不全入院))と比較して、実質的に低減された。これらのデータは、心房間シャントが深刻な症候性心不全を患う患者にとって利点であることの適正な概念実証を提供する。さらに、これらのデータは、無作為化臨床試験を含む、より大きい規模の臨床試験への前進を強く支持するものである。
【0044】
前述の試験において観察される初期成功にもかかわらず、デバイス閉塞、例えば、検出不可能なLAからRAへの流動を有するシャントが、長期埋込、例えば、1年後、いくつかの弁付き心房間シャントデバイスにおいて観察された。さらに、シャントは、初期段階で存在しなかった双方向シャントを発症し得る。双方向シャントは、無能弁、例えば、1つまたはそれを上回る弁尖が、閉鎖の間、完全に密着せず、逆流のための開放チャネルをもたらし、無能化の重症度に応じて、奇異性塞栓がRAからLAに横断する潜在的経路を作成し得る、弁を示す。
【0045】
弁付きシャントの有効オリフィスサイズを経時的に査定するために、シャントを通した左から右への流動噴流上で測定される、縮流部の直径の経食道エコー/ドップラー測定が、進行性シャント狭窄と一貫することが見出された。縮流部直径は、埋込直後の4.0±1.1mmから、3ヶ月時の3.6±1.0mm、および6~12ヶ月時の2.7±1.4mmまで、埋込後の時間に伴って単調に減少した(p<0.01)。これは、12ヶ月で平均して、そのオリフィス面積の半分を上回るシャント喪失に匹敵する。さらに、左から右への噴流の一部は、シャント本体の長軸と実質的に異なる角度でシャントから退出していると考えられた。噴流の本歪曲は、移動性が損なわれた弁尖等のシャントの内側の物質と一貫し、これは、噴流の方向を迂回させる。本観察は、シャントの臨床上の有効性の経時的減少についての懸念をもたらす。
【0046】
臨床上の有効性はまた、心不全悪化に関する入院率によっても測定され得る。38名の患者では、V-Waveシャントの埋込後の最初の6ヶ月の間、入院率は、年間患者あたり0.16であって、これは、6~12ヶ月の間、年間患者あたり0.40まで増加した。これらのデータは、シャント狭窄または閉塞と関連付けられた時間経過と一貫するシャント利点の喪失が存在し得ることを示唆する。
【0047】
単独で、または組み合わせて作用する、これらの観察を説明し得る、いくつかの可能性として考えられる機構が、存在する。
【0048】
シャント閉塞の最も可能性の低い原因は、中隔によって印加される外力に起因する、シャントの圧潰である。例えば、治癒の後の段階(リモデリング)の間に形成されるパンヌス組織の収縮は、シャントの外因性圧縮をもたらし得ることが可能性として考えられる。しかしながら、ヒトにおける事前臨床研究の間、および経過観察経食道心エコー検査(TEE)、CT、または蛍光透視撮像の間に認められる、フレーム幾何学形状の複数の観察に基づく、本シナリオを支持する証拠はない。全ての症例では、観察されるシャントフレームは、外因的に圧縮される、または任意の他の方法で、狭窄、変形、もしくは亀裂されることは、観察されていない。
【0049】
別の可能性として考えられる機構は、シャントの原位置血栓症である。しかしながら、全ての患者は、最初の3ヶ月にわたって、または最も一般には、心房細動の既往歴を患う患者において要求される、慢性抗凝固療法の他の適応症が認められた場合、無期限に、監視付き抗凝固療法で処置された。対象はまた、低用量アスピリンと同時に処置され、これは、無期限に継続された。属性として人工心臓弁の経験がある場合、弁血栓症は、早期に、典型的には、埋込後30~45日以内に、特に、療法用量以下の抗凝固療法の既往歴を伴う患者において、認められることが予期されるであろう。
【0050】
上記に説明されるV-Wave弁付き砂時計形状のシャントを埋め込まれた38名の患者では、血栓は、121回の連続埋込後心エコー図上で検出されなかった。これらの研究は、埋込から1日後、および埋込から1、3、6、および12ヶ月を含む時点で、独立したEchocardiographic Core Laboratoryによって、心内またはデバイス血栓を体系的に調べた。患者のいずれも、脳卒中または血栓性塞栓症事象他の臨床上の発現を呈さなかった。シャント閉塞または無能弁が疑われる9名の患者のうち、大部分は、シャント異常が発見された時点で、療法用量の抗凝固剤(ワルファリンまたは新しい経口抗凝固剤)を服用していた。血栓症の可能性が低い、別の理由は、6ヶ月またはそれを上回る時間経過にわたる、進行性縮流部狭窄の観察である。血栓症は、突然の管腔喪失をもたらし、数ヶ月の期間にわたってゆっくりと進行しないことが予期されるであろう。
【0051】
閉塞の第3の潜在的原因は、砂時計形状のシャントの縮径部における管腔を狭窄させる、新生心内膜組織過成長またはパンヌス形成である。本出願人の初期のヒツジ研究は、別のことを示唆する。具体的には、砂時計の縮径部におけるシャント管腔表面は、微視的量のみの細胞材料を含有していた。総合的病理学的検査において、縮径領域における管腔面積の可視喪失は、認められなかった。ヒトシャント試料は、シャント埋込から2.5年後に心臓移植を受けた患者から外植された心臓において検査された。縮径部に管腔を含む、シャントのePTFE表面は、任意の種類のパンヌス形成または狭窄を含有していなかった。
【0052】
別の例では、経中隔カテーテル留置によってFOを横断して埋め込まれ、深刻な心不全を患う症候性患者における医療療法投薬を誘導するために使用される、左心房圧センサが、パンヌス形成を被ることが観察された。センサのオリジナル実施形態では、感知ダイヤフラムは、センサモジュール本体の遠位端に位置し、中隔の左心房側上に静置する、その3つの係留脚部を1mm越えて左心房の中に突出した。後の改良された幾何学形状バージョンでは、脚部は、感知ダイヤフラムがさらに1.5mmLAの中に突出するように、センサモジュール本体上のより近位に設置された。
【0053】
比較種間病理学研究では、新生心内膜組織(パンヌス)形成が、改良された幾何学形状センサを伴う40例の試料のうち3例のみと比較して、31例のオリジナルセンサのうち20例において、感知ダイヤフラムにわたって観察された。組織被覆を伴う20例のオリジナルセンサのうち、7例が、実証可能アーチファクトをLA圧力波形に有していた。アーチファクトを伴う各例では、感知ダイヤフラムにわたるパンヌス形成は、厚さ>0.3mmを有していた。これらのデータは、組織被覆が本厚さを超えるとき、組織が流体圧力測定に干渉することを示す。改良されたセンサのいずれも、波形アーチファクトまたは組織厚さ>0.3mmを有していなかった。
【0054】
波形アーチファクトを生産することに加え、感知ダイヤフラムの組織封入の時間経過は、アーチファクトの発生の有無にかかわらず、ベースラインドリフトに関してLA圧力波形を査定することによって推定され得る。新生心内膜組織が、感知ダイヤフラムにわたって成長するにつれて、測定されたLA圧力は、心房壁とのその連続的接続を通してダイヤフラムを被覆する組織カプセルから印加される張力によって生じるドリフトベースラインに起因して増加したと仮定された。本治癒現象は、動物では、埋込後数週間の早期に開始され得、ヒトでは、約3~4ヶ月後に生じる。ヒトにおける組織被覆を示すドリフトのタイミングを使用して、オリジナルセンサ設計幾何学形状を伴う46名の心不全患者群では、約25%が、埋込後最初の年の間、感知ダイヤフラムの組織被覆と関連付けられた特性ドリフトパターンを発生させたことが示された。改良された幾何学形状センサを埋め込まれた41名の類似患者のうち、いずれも、ドリフトを発生させなかった。
【0055】
心房間中隔を横断するデバイス上のパンヌス形成は、局所組織傷害の領域内の中隔と接触するデバイスの部分において開始することが観察された。組織成長は、連続的に進行し、各心房室の中に突出する、デバイスの外部表面に沿って移行的に延在する。本パンヌス成長は、本質的に、新生内皮細胞の単層となるまで、心臓接触の部位からの距離の関数として薄化する。本プロセスは、ヒトでは、約6~12ヶ月後に自然に停止する。その後、残りの組織は、再構築され得るが、パンヌスの活性成長は、完了される。これらのデータから、本出願人は、組織被覆が、典型的には、停止する、またはデバイス機能を妨害しないように十分に薄くなるまで、中隔壁上のその開始場所から約3mmの距離まで成長することを観察した。
【0056】
したがって、パンヌスが管腔の狭窄をシャント縮径部に引き起こすために、縮径部に到達するためのある距離にわたって中隔上の傷害の部位から連続的に延在する必要があるであろう。本出願人は、3ミリメートルまたはそれを上回る距離にわたる移行性の組織成長がはるかに可能性が低くなることを判定した。
【0057】
弁尖に影響を及ぼすパンヌス形成は、進行性シャント狭窄、双方向流動を伴う弁の無能化、および臨床上の有効性の関連付けられた喪失を伴うシャント流動の最終的喪失を含む、V-Waveシャントを埋め込まれたヒト対象に見られる予期しなかった観察の全てを説明する、最も可能性が高い独立型機構である。
【0058】
弁尖基部および交連に影響を及ぼす組織過成長は、上記に説明されるヒツジの事前臨床研究における主な組織病理学的所見であった。3ヶ月にわたって埋め込まれたシャントの総合的病理学的検査は、6つのシャントのうち5つにおいて、弁尖本体の肥厚化を伴う、隣接するFOから弁尖基部の中に延在する、パンヌス浸潤を示した。4つのシャントでは、弁尖縁がシャントフレームに縫合された3つの弁交連のうちの少なくとも2つの融合が認められた。全3つの交連の融合が、3つのシャントにおいて観察された。1つの症例は、狭窄デバイス縮径部における正常19.6mm管腔と比較して、管腔面積4mmまたは75%面積狭窄を伴う、深刻な狭窄を交連に示した。弁尖は、6つのシャントのうち4つにおいて、半柔軟性であるか、または堅化されたとして説明された。デバイスのうちの2つでは、交連融合および弁尖肥厚化は、完全な弁尖癒合が弁閉鎖の間に生じる可能性が高いほど顕著ではなかった。これらの症例のうちのいずれでも、パンヌス形成がシャント縮径部を狭窄させるように認められなかった。
【0059】
微視的区分の検査では、パンヌス厚は、ePTFE/弁尖合流点が隣り合った心房組織と連続的であったパンヌスで浸潤された心房中隔に面する弁尖の側上でより大きくなる傾向にある。パンヌスは、ePTFEスカートの右心房縁上およびその周囲の心房中隔から弁尖の基部および交連の中に延在した。3ヶ月の時点で、心膜弁尖は、軽度から顕著に及ぶ、可変程度のパンヌス被覆を示した。一般に、パンヌスは、弁尖基部および交連において最厚であって、遊離縁に向かってテーパ状になる。2匹の羊では、弁尖上のパンヌスは、弁尖の元の厚の2~3倍であった。
【0060】
パンヌスは、概して、3ヶ月目までに良好に治癒または編成された。これは、平滑筋細胞、線維芽細胞、ならびにリンパ球、貪食細胞、および偶発的多核(異物タイプ)巨大細胞を伴う、炎症の稀な限局性面積を囲繞する、コラーゲンおよびプロテオグリカンマトリクスから成った。パンヌス組織は、主に、ほぼ完全治癒と一貫する新生内皮で被覆された。弁尖石灰化または血栓は、観察されなかった。
【0061】
心血管デバイスの動物モデルは、ヒト組織治癒応答を表すその能力において限定されるが、主な差異は、応答の時間的持続時間に対して特徴的に限定される。例えば、心房間中隔上に埋め込まれた経皮的に埋込可能なチタン/ニチノール封入LA圧力センサのRoberts, et al.による刊行物「Comparative Pathology of an Implantable Left Atrial Pressure Sensor」に説明される比較病理学研究では、1.5~8ヶ月にわたって埋め込まれた羊および1~25ヶ月にわたって埋め込まれたイヌが、3~56ヶ月持続時間のヒトインプラントにおいて認められた病理学的所見に密接に近似したことが見出された。組織学は、ヒトおよび動物において類似外観を有しおり、デバイスを被覆する組織が新生内皮で覆われた新生心内膜を含むことが確認された。上記に説明されるセンサを被覆する新生心内膜組織の外観は、ASD閉鎖デバイスを用いて観察されるものと類似した。
【0062】
シャントのePTFE封入部分と比較して優先的に生体人工弁材料に影響を及ぼす、パンヌス形成の本機構は、上記で参照されたヒト外殖試料において観察された。心臓内における埋込から2.5年後、3つの心膜弁尖は、著しく肥厚化され、不動となり、その基部および交連において浸潤され、パンヌスは、非閉塞シャント縮径部に対して52%の流出面積の低減を伴う弁膜狭窄をもたらした。本シャントは、開存性であったが、無能となり、双方向流動を可能にし、任意の所与の圧力勾配にわたって予期される流動の半分未満をシャントすることになるであろう。
【0063】
本生体人工弁がパンヌスで浸潤される傾向をさらに評価するために、V-Waveシャントの弁付きおよび弁なし設計が、本出願人によって、非罹患若年ヒツジ(n=9)モデルに埋め込まれた。具体的には、本研究は、左/右心房間圧力勾配が小さいことが予期される健康な若年の羊において予期される高度に増殖性モデルを作成することによって、ヒトにおいて以前に使用された旧来の弁付きバージョン(n=3)に対する、パンヌス形成、狭窄、および閉塞に対する弁なしePTFE封入シャント(n=6)の抵抗をハイライトするように設計された。弁なし設計では、生体人工弁材料およびその取付ポリプロピレン縫合糸は、除去され、ePTFE封入は、シャントが展開のためのその送達システムに結合されるRA側上の最後の1.5mmを除き、シャントのニチノールフレーム全体を被覆するように延在された。使用されるePTFEは、最大30ミクロンの結節間距離を有していた。12週の時点で、羊は、安楽死された。総合的病理学所見は、3つの弁付きシャントが、パンヌス形成で著しく浸潤され、中隔から生体人工弁尖を含有する領域の中に延在したことを示した。弁尖は、融合され、不動となり、ピン孔開口部のみを残して、高度に狭窄性であった。パンヌス形成の程度は、ヒツジ心不全モデルにおける以前の実験に対してはるかに悪化した。厚いパンヌスが、弁尖基部からシャントの砂時計縮径部に向かって逆行して連続的に延在した。傷害の元の中隔部位から弁尖の先端までのパンヌス成長は、3mmの距離を超えた。パンヌスは、弁交連を通して、かつブタ心膜弁尖をフレームおよびePTFEスカートに取り付ける縫合糸孔を通して、成長すると考えられた。パンヌス形成は、単核炎症性細胞浸潤および多核巨大細胞と関連付けられた。
【0064】
全6つの弁なしePTFE封入シャントは、FO組織をデバイスの外部表面に取り付ける最小限のパンヌス形成のみを伴って、広く開存性であった。本出願人は、パンヌスが中隔からePTFEの外部表面に沿って3mmを上回って移行的に成長しないことを観察した。いずれの可視パンヌスも、中隔からデバイスの左心房入口円錐または右心房出口円錐のいずれかの管腔部分の中にまで到達しなかった。シャントの全ての縮径部における管腔は、総合的および微視的検査において広く開存性であった。ePTFE封入を通してシャント管腔の中に浸透するパンヌス形成の証拠は、認められなかった。
【0065】
これらの組み合わせられた観察から、本出願人は、治癒の部位からの移行性のパンヌス成長の長さが、生体材料表面のタイプに依存し得ることを判定した。ePTFE封入シャントの場合、デバイス機能に干渉するために十分に深刻なパンヌス形成は、傷害の部位から最大約3mm移行する傾向にある一方、試験される生体人工弁材料の場合、パンヌス形成量およびパンヌス組織成長の移行長は、悪化された。
【0066】
また、これらのデータから、若年ヒツジモデルにおいて3ヶ月後に見られたほぼ完全なシャント治癒がヒトにおける9~12ヶ月における組織病理学的所見の予測に役立つであろうと期待することは、合理的である。さらに、これらの総合的および微視的観察は、所見のその予期される種間保存を用いて、羊における治癒応答が、ヒトにおけるシャント閉鎖、弁膜不能化、および進行性狭窄を引き起こす機構を示す可能性が高いという結論につながる。したがって、長期間にわたって管腔開存性を維持する、より耐久性のあるシャント構成の必要性が存在する。
【0067】
さらに、右心房から左心房への塞栓移送によって生じる奇異性塞栓症のリスクを低減させる、心房血液体積を再配分させ、心房間圧力非平衡を低減させるためのシャントを提供することが望ましいであろう。
【0068】
また、パンヌス形成および組織内部成長の程度が、シャントがFO内に埋め込まれる様式または場所に著しく依存しない、長期間の後、パンヌス形成のリスクを低減させる、心房間シャント構成を提供することが望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】
【文献】米国特許第6,120,534号明細書
【文献】米国特許第6,468,303号明細書
【文献】米国特許出願公開第2005/0165344号明細書
【文献】米国特許第9,034,034号明細書
【非特許文献】
【0070】
【文献】A Transcatheter Intracardiac Shunt Device for Heart Failuer with Preserved Ejection Fraction(REDUCE LAP-HF):Multicentre, Open-label, Single-arm, Phase1 Trial
【文献】Transcatheter Amplatzer Device Closure of Atrial Septal Defect and Patent Foramen Ovale in Patients with Presumed Paradoxical Embolism
【文献】Comparative Pathology of an Implantable Left Atrial Pressure Sensor
【発明の概要】
【0071】
発明の要旨
以前に公知の心房間シャントの前述の短所に照らして、本発明の原理に従って構築されたシャントは、長期間にわたって、管腔開存性を維持する、より耐久性のある構成を提供する。本発明のシャントはさらに、心房間血液体積および圧力非平衡の再配分を可能にしながら、右心房から左心房へのシャントを通して移動する塞栓によって生じる、奇異性塞栓症のリスクを低減させる。
【0072】
本発明の原理に従って構築されたシャントはまた、長期開存性を向上させることによって、さらなる安全性を提供し、シャントが心房間中隔内に埋め込まれる様式の影響を低減させることによって、長期間埋込後のパンヌス形成のリスクを低減させる。
【0073】
本発明の原理によると、アンカおよび導管を有する、シャントが、心房血液体積を再配分させるために提供され、シャント寸法、輪郭、および材料が、長期開存性を維持しながら、奇異性塞栓症のリスクを低減させる。そのようなシャント設計は、他の利点の中でもとりわけ、左心房圧における低減を提供し、肺鬱血を緩和し、肺動脈圧を低下させるであろうと仮定される。本発明のデバイスは、心房中隔を通した、好ましくは、卵円窩を通した埋込のために構成される。
【0074】
特に、本発明の原理に従って設計されたシャントは、通常、左心房から左心室に流動する少量の血液を移送し、それを代わりに右心房に迂回させ、それによって、LV拡張終期充満体積をわずかに低減させることによって、LAPを制御するように設計される。LAPが上昇されると、LVは、その拡張期コンプライアンス曲線のより急峻な部分に作用する。故に、LV拡張終期体積におけるわずかな低減でさえ、LV拡張終期圧力における実質的降下につながる。そのような低減は、LAP、肺静脈圧、および肺動脈圧を含む、上流充満圧に相当する低減を引き起こす。これらの圧力低減の予期される臨床結果は、肺鬱血性症状を緩和またはさらに防止することが予期される。より少ないシャントを伴う、より小さい心房間勾配では、LV体積および充満圧に及ぼす影響は、無視可能となるまで、徐々により小さくなる。心房間シャントは、主に、LV充満に影響を及ぼし、後負荷には影響を及ぼさないため、拡張終期圧力を低下させることに及ぼす有益な効果が、LV収縮期機能にかかわらず、低減された駆出率と関連付けられた心不全(HFrEF)を患う患者および駆出率が保たれた心不全(HFpEF)を患う患者にとって予期される。
【0075】
本発明の一側面によると、本発明のデバイスは、心房間中隔、好ましくは、FO内に埋め込まれるように構成される、アンカと、アンカに添着される、導管とを含む。アンカは、第1の領域と、第2の領域と、第1の領域を第2の領域に継合し、心房間中隔に係合するように定寸および成形される、縮径領域とを含む。アンカは、10~15mmの範囲内の長さを有し、収縮された送達状態から、第1の領域が患者の左心房の中に延在する、拡張された展開状態に遷移し得、第2の領域は、第2の領域の出口が、下大静脈から患者の右心房の中に進入する血液の天然循環流路外に位置し、それによって、下大静脈からの流動内に同伴される塞栓が、第2の領域の出口の中に指向されないように、患者の右心房の中に少なくとも5mm延在する。
【0076】
導管は、管腔を画定する、管腔壁を含み、管腔壁が、貫壁性の組織成長を防ぐ、生体適合性材料含み、接触の部位から最近傍心臓構造までの3mmまたはそれ未満までの移行性の組織成長を限定する。例えば、導管の第1の端部は、縮径領域から少なくとも3mmの第1の距離だけ患者の左心房の中に延在し、導管の第2の端部は、縮径領域から少なくとも3mmの第2の距離だけ患者の右心房の中に延在し、それによって、パンヌス形成が縮径領域内の管腔を狭窄させないように防止する。
【0077】
1つの好ましい実施形態では、本アンカは、フレア状端部領域に隣り合った縮径領域を伴う、砂時計または「ディアボロ」形状のフレームを有してもよく、導管は、フレームを封入する、生体適合性材料を含んでもよい。例えば、縮径領域における最小直径は、5mm~6.5mmの範囲内であってもよい。したがって、管腔の直径およびアンカの長さは、奇異性塞栓症のリスクを低減させるように選択される。フレームは、生体適合性弾性的または塑性的に変形可能材料もしくは形状記憶材料から形成されてもよい。本デバイスは、縮径領域が穿刺口内に入り、第1の端部領域が左心房の中に延在し、第2の端部領域が右心房の中に延在するように、心房中隔を通して、特に、FOを通して、穿刺口を形成し、次いで、デバイスをそれを通して経皮的に挿入することによって、埋め込まれてもよい。
【0078】
生体適合性材料は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリウレタン、DACRON(テレフタル酸ポリエチレン)、シリコーン、ポリカーボネートウレタン、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、またはPTFE等のポリマーであってもよい。生体適合性材料はまた、金属、セラミック、カーボンナノチューブアレイ、またはシャントに以下の性質を提供する、当技術分野の当業者に公知の任意の他の好適な材料であってもよい。生体適合性被覆の1つの目的は、シャント管腔を導管の外部から隔離するための障壁としての役割を果たす生体適合性材料を用いて、導管を形成することである。加えて、生体適合性材料は、デバイス治癒と関連付けられたプロセスから生じる、中隔またはFOに接触する、管腔を導管の外部表面上に生じる細胞増殖(パンヌス形成)による穿通から隔離する。生体適合性材料はまた、任意の心臓構造との接触の部位から約3mmを上回る、導管の管腔壁に沿ったパンヌスの移行性の成長を妨害するはずである。
【0079】
組み合わせられると、シャントを構成する、形状を提供するための別個のアンカと、隔離を提供するための導管とを有する、概念は、実践的デバイス実施形態を開発する一般的利便性のためだけのものである。必要形状、拡張、および被覆特性を伴う、シャントデバイスは、アンカおよび導管の両方としての役割を果たす、単一一体型材料から構築され得ることが、当業者に明白となるであろう。例えば、1つのそのような実施形態は、単一部品を含む自己拡張式シャントを形成する、射出成型シリコーンゴムを含んでもよい。また、ニチノール合金に匹敵する機械的および生体適合性性質を有する、超弾性ポリマーも、開発中である。したがって、本明細書全体を通して同義的に使用される、アンカまたはフレームは、一般的意味において、展開前拘束状態から、組織と接触する拡張および展開された状態へのシャントの遷移を統制する、シャントデバイスの形状および他の物理的性質に実質的部分で寄与する、連結された物理的部材の任意の組成物を指すと見なされるべきである。本特許出願に説明されるシャントデバイス実施形態は全て、構成要素部分(アンカおよび導管)の観点から、または展開前および後状態における形状幾何学形状ならびに生体適合性表面性質を含む、ある規定された物理的性質を伴う一体型デバイスとして、理解され得る。
【0080】
その流動軸と垂直なシャント管腔の断面プロファイルは、丸形、卵形、長方形、または任意の他の規則的もしくは不規則的多角形形状であってもよい。断面プロファイルは、直線であり得る、または曲線であり得る、流動軸に沿って、1つの形状から別の形状に変動してもよい。断面プロファイルは、流動軸に沿って回転してもよい。シャントは、単一管腔を有してもよい、または複数の管腔が存在してもよい。
【0081】
本発明の一側面では、患者の左心房と右心房との間の血液配分を調整するためのデバイスは、第1および第2の端部領域を継合する、縮径領域であって、患者の心房中隔の卵円窩に係合するように構成される、縮径領域と、導管が奇異性塞栓症のリスクを低減させるように選択された距離だけ右心房の中に延在するように、アンカに添着される、導管とを有する、アンカを備える。導管は、好ましくは、導管の管腔の中への過剰な組織内部成長を限定(または阻止)する、生体適合性材料を含む。アンカおよび導管は、そのような材料を不活性にし、過形成を阻止し、デバイスを通した流路の妨害を実質的に阻止するように、最大約0.6mmまたはそれ未満の厚さまでの内皮または新内膜層成長を収容するように構成される。
【0082】
1つの好ましい実施形態では、アンカは、展開されると、縮径部によって接続される第1および第2のフレア状端部領域を形成する、長手方向支柱によって相互接続される、複数の円周方向支柱を有する、砂時計形状のフレームを備える。いくつかの実施形態では、シャントが、患者の心房中隔を横断して展開されると、第1のフレア状端部領域は、左心房の中に左中隔壁の表面を越えて3~10mm突出する。第2のフレア状端部領域は、右心房の中に右中隔壁の表面を越えて5~10mm突出してもよい。縮径部は、4~8mmの内径を有し、好ましくは、内径は、5~6.5mmの範囲内である。第1のフレア状端部領域は、好ましくは、10~20mmの範囲内であるように選択された直径を有し、第2のフレア状端部領域は、好ましくは、9~15mmの範囲内であるように選択された直径を有する。第1および第2のフレア状端部領域はそれぞれ、好ましくは、約25~60度であるように選択された量だけ、シャントの長手軸から外向きにフレア状であるが、そのような角度は、第1および第2のフレア状領域毎に異なってもよい。例えば、一実施形態では、第1のフレア状端部領域の外側表面の最急峻部分は、デバイスの長手軸に対して約40度の角度である一方、第2のフレア状端部領域の外側表面の最急峻部分は、デバイスの長手軸に対して約37.5度の角度であってもよい。
【0083】
好ましい実施形態では、シャントは、経皮的送達に好適な圧潰状態と、シャントが拡張状態において砂時計構成をとるように、患者の卵円窩を横断して展開されるときの拡張状態との間で遷移するように構成される。砂時計構成は、非対称であってもよい。シャントは、周囲縁郭、下大静脈、および心房壁から離れるように、卵円窩の一部を通した埋込のために構成されてもよい。
【0084】
心臓病状を患う対象を処置する方法もまた、提供され、第1および第2の端部領域と、その間に配置される縮径領域とを有する、シャントを提供するステップと、縮径領域が、第1の端部領域が左心房内に配置され、第2の端部領域が右心房内に配置された状態で、穿刺口内に位置付けられ、デバイスを通した流動が、左心房圧が右心房圧を超えると、デバイスを通して左心房と右心房との間の血液を再配分させるように、対象の心房間中隔を通した、好ましくは、FOを通した穿刺口を横断して、シャントを展開するステップとを含む。
【0085】
種々の心臓病状を患う対象は、本発明のデバイスを用いて処置され、そこから利益を享受し得る。例えば、心不全および肺鬱血を患う対象では、左心房圧および左心室端部拡張期圧力を低減させることは、限定ではないが、肺鬱血の減少、肺動脈圧の減少、駆出率の増加、短縮率の増加、および収縮期における左心室内径の減少を含む、種々の利点を提供し得る。処置され得る、他の心臓病状は、心筋梗塞を含み、これは、心筋梗塞直後の時間の間、例えば、心筋梗塞後6ヶ月以内または心筋梗塞後2週間以内において、デバイスを展開し、心筋リモデリングを低減させることによって処置され得る。
【0086】
特発性原因に起因する、または結合組織疾患、薬物もしくは毒素、HIV感染症、ポータル高血圧症、または先天性心臓病等の他の障害と関連付けられる、肺動脈高血圧症(PAH)を患う患者は、右心房から左心房への心房間シャント(右から左へのシャント)を引き起こす、心房中隔開口術手技から利益を享受することが示されている。これらの手技は、ブレードまたはバルーン中隔開口術もしくは被覆されていないディアボロステントまたは有窓心房中隔閉塞デバイス等のデバイスの設置を含む。すでに説明された実施形態および本特許明細書に説明される他の好ましい実施形態は、PAHを患う患者を処置するために適用可能であることが、当業者に明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0087】
図1A図1A-1Cは、それぞれ、本発明の原理に従って構築されたシャントの好ましい実施形態の斜視図、端面図、および側面図である。
図1B図1A-1Cは、それぞれ、本発明の原理に従って構築されたシャントの好ましい実施形態の斜視図、端面図、および側面図である。
図1C図1A-1Cは、それぞれ、本発明の原理に従って構築されたシャントの好ましい実施形態の斜視図、端面図、および側面図である。
【0088】
図2図2は、そのポリマー封入内にカットアウトを有し、シャントを送達システムに固着させる、本発明のシャントの代替実施形態の側面図である。
【0089】
図3図3は、代替カットアウトをその封入内に有する、本発明のシャントの別の代替実施形態の斜視図である。
【0090】
図4図4Aおよび4Bは、それぞれ、送達システムに係合する小穴を有する、本発明の原理に従って構築されたシャントのさらなる代替実施形態の端面図および側面図である。
【0091】
図5A図5Aおよび5Bは、線5A-5Aおよび5B-5Bに沿って切断され、平坦構成に展開された、本発明のシャントにおいて使用するために好適なアンカのさらなる代替実施形態の平面図である。
図5B図5Aおよび5Bは、線5A-5Aおよび5B-5Bに沿って切断され、平坦構成に展開された、本発明のシャントにおいて使用するために好適なアンカのさらなる代替実施形態の平面図である。
【0092】
図6図6は、オリフィスプレート-タイプデバイスを使用して取得される理論的流動と比較した、5mmおよび6mm直径オリフィスを伴うベンチュリ輪郭を有するシャント設計を通した理論的流動を比較する、グラフである。
【0093】
図7図7Aおよび7Bは、それぞれ、卵円窩の一部を通した図1A-1Cのシャントの埋込を図示する、心房中隔の右心房側の平面図と、心房中隔の卵円窩内に位置付けられる、シャントの実施形態の斜視図である。
【0094】
図8図8Aおよび8Bは、埋込直後およびパンヌス形成後の、心房中隔壁に直交する卵円窩内に位置付けられる本発明のシャントの砂時計形状の実施形態上のパンヌス形成を図式的に描写する。
【0095】
図9図9Aおよび9Bは、埋込直後およびパンヌス形成後の、心房中隔壁に直交しない卵円窩内に位置付けられる本発明のシャントの砂時計形状の実施形態上のパンヌス形成を図式的に描写する。
【0096】
図10図10-15は、本発明の原理に従って構築されたシャントの種々の代替実施形態を描写する。
図11図10-15は、本発明の原理に従って構築されたシャントの種々の代替実施形態を描写する。
図12図10-15は、本発明の原理に従って構築されたシャントの種々の代替実施形態を描写する。
図13図10-15は、本発明の原理に従って構築されたシャントの種々の代替実施形態を描写する。
図14図10-15は、本発明の原理に従って構築されたシャントの種々の代替実施形態を描写する。
図15図10-15は、本発明の原理に従って構築されたシャントの種々の代替実施形態を描写する。
【0097】
図16図16Aおよび16Bは、それぞれ、フィルタを導管の右心房側にわたって形成する自己拡張式可撓性アームを有する、さらなる代替シャント実施形態に好適なアンカの側面図および端面図である。
【0098】
図17図17は、以前に公知の弁付きシャント設計と比較した、本発明の原理に従って構築されたシャント設計を通した理論的流動を比較する、グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0099】
好ましい実施形態の詳細な説明
心房間血液体積を再配分させ、左心房圧を低減させるための心房間シャントが、提供され、これは、心不全(HF)または左心房圧の上昇と関連付けられた他の障害を患っている対象を治療する際に有利であり得る。本発明のデバイスの好ましい実施形態は、砂時計または「ディアボロ」形状のステントまたはフレームであり得る、アンカと、フレームを合成生体適合性材料内に封入することによって形成される、導管とを含む。シャントは、心房中隔、好ましくは、卵円窩内に形成される通路内に固着して入れられ、左心房内の血圧が右側の血圧を超えると、左心房から右心房への一方向血流を提供するように構成される。
【0100】
ここで図1A-1Cを参照すると、本発明のシャント10の例証的実施形態が、説明される。シャント10は、概して、3つの領域、すなわち、フレア状または漏斗形状の端部領域14と、フレア状または漏斗形状の端部領域18と、端部領域14と18との間に配置される、縮径領域16とを有する、アンカ12を備える。縮径領域16は、心房中隔、好ましくは、卵円窩内に形成される穿刺口内に入るように構成される。フレア状端部領域14および18は、それぞれ、埋め込まれると、心房中隔の右および左側に部分的に係合し、それを越えて突出するように構成される。シャント10はさらに、アンカ12を、アンカ12の全部または実質的に全部を被覆し、管腔または内部通路22を画定する導管を形成する、生体適合性材料20で封入することによって例証的に形成される、導管を備える。
【0101】
フレア状領域14は、右心房内に配置されるように構成される一方、フレア状領域18は、左心房内に配置されるように構成される。一実施形態では、アンカ12は、5つの円周方向支柱26a-26eによって相互接続される、6つの長手方向支柱24を含む。長手方向支柱24は、拡張の間、アンカの短縮を防止する一方、円周方向支柱26a-26eにおける正弦波または蛇行屈曲は、アンカが、図1A-1Cに図示されるように、半径方向に圧潰された実質的に円筒形送達状態と拡張されたフレア状の展開状態との間で遷移することを可能にする。図に描写されるように、導管は、縮径部16、フレア状端部領域18、およびフレア状端部領域14の全体を封入する、生体適合性材料20によって形成される。生体適合性材料20は、好ましくは、好適な生体適合性接着剤を使用して、または焼結技法を使用してアンカを生体適合性材料の内側層と外側層との間に狭入することによって、アンカ12に添着される。
【0102】
好ましい実施形態では、アンカ12は、形状記憶合金等の自己拡張式材料を含み、円周方向支柱26a-26eは、封入20とともに、管腔22が、フレア状端部区分18(左心房内)とフレア状端部区分14(右心房内)との間の実質的に層流を可能にする、輪郭を有するように、展開されると、所定の量を拡張させるように処理される。フレア状端部領域14上の円周方向支柱における正弦波または蛇行屈曲28は、正弦波または蛇行屈曲が、圧潰送達状態または展開状態のいずれかにおいて、長手方向支柱24の端部を越えて延在しないように、好ましくは、縮径領域16およびフレア状端部領域18における正弦波または蛇行屈曲28と180度位相がずれている。
【0103】
アンカ12は、ニチノール、チタン合金、コバルトクロム合金、MP35n、316ステンレス鋼、L605、Phynox/Elgiloy、白金クロム、または当業者に公知のような他の生体適合性金属から作製される、生体適合性金属フレームワークまたはレーザ切断された固体金属管を備えてもよい。好ましい実施形態は、形状記憶自己拡張式合金を採用するが、アンカ12は、代替として、弾性的もしくは塑性的に変形可能材料、例えば、バルーン拡張可能を備えてもよい、または温度変化に応答して、収縮送達状態と拡張展開状態との間で遷移する、形状記憶合金であってもよい。アンカの材料に適用される表面仕上は、パンヌス形成の距離、厚さ、組成、および/または成長パターンを制御するように選択されてもよく、例えば、アンカ12の外部表面は、電気研磨されてもよい。
【0104】
本発明の原理によると、縮径領域16ならびにフレア状端部領域14および18の半径方向寸法、軸方向長さ、および輪郭は、好ましくは、埋め込まれると、シャントの内部を通して層流を提供し、渦流の形成を低減させ、したがって、血栓形成を阻止し、縮径領域を妨害し得る、パンヌス形成を阻止し、縮径領域の外部の周囲の組織内部成長を助長し、シャントを遊走に対して固着させ、生理学的圧力差における左心房と右心房との間の所望の血流速度を提供し、逆行性奇異性塞栓症を防止するように選択される。
【0105】
導管を形成する生体適合性材料20は、好ましくは、0.6mmを上回る組織厚を有する、パンヌス物質の貫壁性かつ移行性の内部成長を防ぐ。例えば、実験ePTFE血管グラフトでは、60ミクロン結節間距離を伴うものは、増殖する平滑筋細胞および肉芽組織による高速貫壁性浸潤を示した一方、30ミクロン結節間距離を伴うePTFEグラフトは、グラフト管腔の中に隣接する動脈から数ミリメートルのみ前進した、ゆっくりとのみ成長する内皮の薄層を発生させることが観察された。いくつかの心房中隔欠損症(「ASD」)閉塞デバイス上で採用される、多孔性ポリエステル布地被覆は、そのような材料が穿通する線維組織で完全にメッシュ状にされた状態になるため、本発明のシャントにおいて使用するための不良な選択肢となるであろう。シャント10が、例えば、電気研磨されたニチノールから作製される、アンカ12を備え、生体適合性材料20が、30ミクロンまたはそれ未満の結節間距離を伴うePTFE等の不活性ポリマーであり得る、またはPTFEであるとき、パンヌスが、卵円窩(「FO」)組織との接触の部位から3mmの距離だけ移行的に延在した後、厚さわずか約0.6mmまで成長するであろうと予期される。そのような場合、導管の内部管腔は、その元の直径および縮径から合計1.2mmを越えて狭窄しないことが予期される。本特許の目的のために、用語「管腔狭窄」は、25%を上回る最小限のシャント管腔径の喪失として定義されるものとし、用語「管腔閉塞」は、血流に対する管腔の全体的(管腔径の100%喪失)遮断として定義される。
【0106】
図1A-1Cに描写される、好ましい実施形態では、アンカ12は、形状記憶金属、例えば、ニチノール、または当技術分野において公知の任意の他の好適な材料から形成される、砂時計形状を有する。円周方向支柱26a-26eおよび長手方向支柱24は、好ましくは、一体型構造を備える、すなわち、全体アンカ12は、形状記憶金属の管からレーザ切断される。生体適合性材料20は、例えば、延伸ポリテトラフルオロエチレン(「ePTFE」)、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)、シリコーン、ポリカーボネートウレタン、DACRON(テレフタル酸ポリエチレン)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、またはポリウレタン等のポリマーのシートを含んでもよい。生体適合性材料はまた、金属、セラミック、カーボンナノチューブアレイ、または任意の他の好適な生体適合性材料であってもよい。例えば、生体適合性材料20は、最大30ミクロン結節間距離を伴う、ePTFEを含んでもよく、ともに焼結され、一体型導管を形成する、内側および外側層として適用されてもよい。代替として、生体適合性材料20は、電界紡糸技法を使用して、内側管腔およびアンカの外側に適用されてもよい。パンヌス組織の貫壁性内部成長を防止する、封入の他の方法および他の好適なポリマーも、当業者によって理解されるであろうように、代替として、使用されてもよい。アンカ12の露出金属領域およびアンカの任意の他の領域は、随意に、公知の方法を使用して血栓形成を阻止するために、電気研磨または別様に処理されてもよい。
【0107】
上記に述べられたように、シャント10の縮径部16は、好ましくは、心房中隔の卵円窩を通した、より好ましくは、卵円窩の中心部分の近傍またはそこへの埋込のために構成される。当業者に公知のように、卵円窩は、心臓の胎児発達の間に形成される、心房中隔の薄化部分であって、これは、心房中隔の右側における湾入として現れ、心房中隔のより厚い部分によって囲繞される。心房中隔自体は、数ミリメートル厚であって、筋肉質であり得るが、卵円窩は、わずか約1ミリメートル厚であり得、主に、線維組織から形成される。
【0108】
本発明のいくつかの実施形態では、シャント10は、非対称的に成形され、卵円窩の近傍の心房中隔の天然特徴を利用し、好適な流動特性を提供してもよい。例えば、好ましい実施形態では、アンカは、砂時計またはディアボロ形状を備え、LA入口漏斗は、円錐形形状のノズルに類似し、RA出口漏斗は、「ベル」形状であって、ベルの広口管腔をRA内のRA出口ポートに伴う。縮径領域のオリフィスに接続される、ベル形状の出口漏斗への狭入口は、放物線の湾曲表面に近似するように構成されてもよい。本タイプの収束-発散ノズルは、ロケットエンジンにおいて使用される、古典的de Lavalノズルの形状に類似する。左から右への流動は、主として、入口円錐における流線の平滑収束およびベルから退出する流線の発散によって統制される。そのようなノズル構成は、古典的ベンチュリ管に類似する流出係数、例えば、0.95~0.98を有する、順方向流動方向では、非常に効率的である。加えて、逆行性流動が存在する事象では、例えば、右心房圧が左心房圧を超えるとき、ベルに進入する流線は、急激な指向性変化を行い、オリフィス内で収束させなければならず、これは、渦を縮径領域のオリフィス部分への入口に作成する。これは、総逆行性流動が、シャントを横断した圧力差の同一絶対値に関して、順行性流動に対して低減されるため、奇異性塞栓症の尤度を低減させる。
【0109】
ここで図1Cを参照すると、点BおよびCは、LA入口ポートを画定する、最左円周方向支柱26e上に位置する。点AおよびDは、支柱26eの近位のLA入口漏斗に沿って、円周方向支柱26d上に位置する。点HおよびEは、RA出口漏斗に沿って、円周方向支柱26b上に位置し、点GおよびFは、RA出口ポートを画定する、円周方向支柱26a上に位置する。好ましい実施形態では、シャントオリフィスの縮径領域内の管腔22の直径は、5~6.5mmに及ぶ。点ADEHによって境界される、FOを交差するシャントの部分は、軸方向長3mmであり得るが、より厚いFOを伴う患者では、最大10mm延在されてもよい。点AB、CD、EF、および/またはGH間の対角線長は、好ましくは、パンヌスが、シャントの端部から内向きに移行的に成長し、したがって、縮径領域16を妨害し得ないように、≧3mmである。加えて、点AB、CD、EF、および/またはGH間の水平構成要素長は、好ましくは、≦15mmであって、埋め込まれると、既存の心臓構造への干渉を回避する。本発明の別の側面によると、概して、5mmを上回る区画EFおよびGHの長さを提供することは、右心房の中に延在する端部領域が、概して、奇異性塞栓症を引き起こし得る同伴される塞栓を有する可能性が最も高い、下大静脈から戻る血液の流路外に配置されることを確実にすることが予期されると判定されている。ABCDおよび/またはEFGHによって境界される、切頭漏斗円錐は、体積≦2mlを有してもよい。
【0110】
本発明のシャントの他の実施形態は、円周方向リングと軸方向支柱要素の異なる組み合わせおよび構成を伴う、アンカを含んでもよい。具体的には、そのような実施形態は、6つより多いまたはより少ない長手方向支柱24と、5つより多いまたはより少ない円周方向支柱26a-26eとを有してもよい。これらの構成は、他のシャント管腔幾何学形状をもたらし得る。別の実施形態では、アンカ12は、自己拡張式ポリマーから作製されてもよい。代替として、アンカは、自己拡張式である必要はなく、316Lステンレス鋼、コバルトクロム合金、または当業者に公知の任意の他のそのような好適な材料等の塑性的に変形可能生体適合性金属から作製されてもよい。そのような変形可能シャントアンカは、所望の管腔幾何学形状を達成するように構成される、バルーン等の拡張部材によって送達されてもよい。変形可能アンカは、Shanleyの米国特許第6,242,762号(その内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)によって教示されるように、角柱状に、またはある局所部位において拡張するように設計されてもよく、延性ヒンジは、より選択された拡張のために構成される。
【0111】
ここで図2を参照すると、本発明の原理に従って構築されたシャントの代替実施形態が、説明される。シャント30は、図1A-1Cの実施形態に関して説明されたものと構造が類似する、アンカ31を含み、フレア状端部領域32および33と、縮径領域34とを有する。患者の心房間中隔内に埋め込まれると、フレア状端部領域32は、患者の右心房内に配置される一方、フレア状端部領域33は、患者の左心房内に配置され、縮径領域34は、心房間中隔内に形成される通路内に据え付けられる。アンカ31は、長手方向支柱35と、円周方向支柱36a-36eとを含み、生体適合性材料37によって封入される。アンカ31は、本明細書の上記に説明されるように、自己拡張式または塑性的に変形可能材料を含んでもよい。
【0112】
図2のシャント30は、生体適合性材料37、例えば、ePTFEが、円周方向支柱36aに隣接してカットアウト38を含むという点で、前の実施形態と異なる。カットアウト38は、米国特許公開第2014/0350565号においてYacobyによって説明されるように、円周方向支柱36aから、0.5mm~2mm、より好ましくは、約1mmの距離にわたって、近位に延在し、円周方向支柱36eが、展開の間、例えば、フックによって送達システムと解放可能に係合されることを可能にしてもよい。生体適合性材料37は、カットアウト38を作成するために、円周方向支柱36aから、手動でまたは機械的にもしくはレーザ切断によって、トリミングされてもよい。このように、シャント30は、解放される前に、臨床医がデバイス設置に満足するまで、心房間中隔内に形成される通路内に位置付けられ、再位置付けされてもよい。好ましい実施形態では、生体適合性材料37によって形成される導管は、縮径領域34を越えてフレア状端部領域32の中に少なくとも3mmの距離だけ延在し、パンヌスが、縮径領域34の流動面積を部分的に閉塞するために十分に遠くまで、管腔壁に沿って移行的に成長し得ないことを確実にする。加えて、フレア状端部領域32は、心房間中隔内に埋め込まれると、少なくとも5mmの距離だけ右心房の中に延在し、フレア状端部領域34の入口が、概して、下大静脈から右心房に進入する血液によって発生される天然循環流路と整合されないことを確実にし、それによって、下肢から右心房の中に搬送される塞栓が、シャント30を通して通過することによって奇異性塞栓症を引き起こすであろうリスクを低減させる。したがって、下大静脈からの流動中に同伴される塞栓は、フレア状端部領域34の入口の中に指向されない。
【0113】
図3に関して、本発明のシャントの別の代替実施形態が、説明される。シャント40は、前述の実施形態に関して説明されるように、縮径領域44によって継合されるフレア状端部領域42および43を有する、アンカ41を含む。アンカ41は、上記に説明されるように、円周方向支柱46a-46eによって継合される、長手方向支柱45と、生体適合性材料47、例えば、ePTFEまたは他の好適な材料の薄層とを含む。シャント40は、ポリマー封入が、送達デバイスがシャント40に解放可能に係合することを可能にする、円周方向支柱46aによって形成される正弦波屈曲の交互頂点上にカットアウト48を含むという点で、図1A-1Cの実施形態と異なる。シャント40はまた、円周方向支柱46eを越えて延在する、生体適合性材料のスカート49を含む。好ましい実施形態では、カットアウト48は、ポリマー封入の縁と円周方向支柱46aとの間の最大距離が、0.5~2mmの範囲内、より好ましくは、1mmであるように、60°~180°の範囲内、より好ましくは、120°の角度を有する、扇形を含む。レーザ切断され得る、シャント40のカットアウト48の構成は、有利には、シャントの封入された面積を最大限にしながら、依然として、送達システムフック機構への適切な係合を可能にする。当業者に明白となるであろうように、他の可能性として考えられる切断パターンまたは方法も、採用されてもよい。
【0114】
ここで図4Aおよび4Bを参照すると、本発明の原理に従って構築された完全に封入された砂時計シャントの別の実施形態が、説明される。シャント50は、縮径領域54によって継合される端部領域52および53を有する、アンカ51を含む。アンカ51は、前述の実施形態に説明されるように、円周方向支柱56a-56eに結合される、長手方向支柱55を有し、同様に本明細書の上記に説明されるように、生体適合性材料57から形成される、導管を含む。シャント50は、交互長手方向支柱55が、右心房端部領域52から延在する送達システムとの係合のための小穴59を有する、伸長部分58を含むという点で、図1A-1Cの実施形態と異なる。シャント50は、2~6、好ましくは、3つの伸長部分58と、露出金属のままである、すなわち、ポリマー封入を伴わない、小穴59とを有してもよい。伸長部分58は、好ましくは、短く、最小の付加的距離だけ右心房の中に突出する、または代替として、送達システムからの解放に応じて、右心房RA出口ポートの中に屈曲し、フィルタとしての役割を果たし、奇異性塞栓が端部領域52において導管の管腔の中に通過しないように遮断するように構築される。また、塞栓のサイズを濾過する、代替アプローチは、通路の全ての総断面積が、適正なシャントが所望に応じて心房間の血液の再配分を達成するために必要とされる流動特性を保存するように、血液を並行して移送する、複数の通路または管腔を伴うシャントを構築するものである。
【0115】
図5Aおよび5Bに関して、本発明の一側面による、シャントを構築するために好適なアンカのさらなる代替実施形態が、説明される。アンカ60は、図4Aおよび4Bの実施形態のアンカ51と設計上類似し、正弦波屈曲を含む、円周方向支柱62a-62eに継合される、長手方向支柱61を含む。故に、アンカ60は、拡張されると、縮径領域によって継合され、略砂時計形状を形成する、フレア状端部領域を含む一方、長手方向支柱61は、展開の間、短縮、すなわち、軸方向収縮を防止する。例証目的のために、図5Aに描写されるようなアンカ60は、長手方向支柱61のうちの1つに沿って(線5A-5Aに沿って)切断され、平坦化されるように示されるが、アンカは、好ましくは、管状材料から切断される。前述の実施形態に関するように、アンカ61は、明確にするために図5Aから省略される、円周方向支柱62aと62eとの間のアンカを被覆する、導管を形成する、ポリマー封入を含む。アンカ60は、シャントが採用されると、右心房の中に延在する、伸長部分63と、小穴64とを含む。本発明の一側面によると、交互小穴64は、例えば、白金イリジウム、金、タンタル、または任意の他の類似好適な材料から作製される、放射線不透過性マーカ65を含み、これは、蛍光透視法下、シャントの可視化を向上させる。放射線不透過性マーカ65を収容しない、小穴64は、シャントが経皮的経管腔送達のための送達システムによって解放可能に係合されることを可能にする。
【0116】
図5Bでは、アンカ66は、図5Aの実施形態のアンカ60と設計上類似するが、本実施形態では、長手方向支柱68間に延在する正弦波屈曲を有する、円周方向支柱67a-67eは全て、同一方向に面する。アンカ66は、加えて、シャントを経皮的経管腔送達システムに解放可能に結合する際に使用するために交互長手方向支柱68から延在する、小穴69を含む。本設計の1つの利点は、半分展開または完全に展開されるとき、その送達システムによる、アンカ66を使用した自己拡張式シャントの回収が、シャントを圧潰させるために、図5Aの実施形態より少ない引き戻し力を要求することである。前述の実施形態におけるように、アンカ66は、拡張されると、縮径領域によって継合され、略砂時計形状を形成する、フレア状端部領域を含む一方、長手方向支柱68は、展開の間、短縮を防止する。例証目的のために、図5Bに描写されるようなアンカ66は、長手方向支柱68のうちの1つに沿って(線5B-5Bに沿って)切断および平坦化されるように示されるが、アンカは、好ましくは、管状材料から切断される。アンカ66はさらに、アンカを、明確にするために図5Bから省略される、支柱67aと67eとの間のアンカを被覆する、生体適合性材料で封入することによって形成される、導管を含む。
【0117】
本発明の一側面によると、ベンチュリ管に類似する流動特性および約0.96~0.97の流出係数を伴う、心房間砂時計形状のシャントは、5mm~約6.5mmに及ぶ、最小限の縮径オリフィス内径を有してもよい。本範囲内の幾分より大きいオリフィス径、例えば、6.0mmを有することは、図6に示されるように、5.1mmシャントと比較して、任意の所与の圧力勾配に関して約35%を上回る流動を支持するであろう。これは、改善された血行動態状態のみを作成するだけではなく、パンヌス内部成長に起因するある程度のシャント狭窄が、デバイス治癒の間に生じる場合、シャント流動を維持する際に付加的利点を提供し得る。
【0118】
本発明の別の側面によると、オリフィス-プレート幾何学形状に対して高流出係数を伴う、種々のノズル幾何学形状が、有利には、シャントを通した層流を提供するために使用されてもよい。これらは、限定ではないが、ベンチュリ管、円錐形収束ノズル(収束角度20~80度を伴う)、円筒形収束ノズル、およびオリフィス径に匹敵する直径を有する円筒形管類の長さにつながる収束湾曲入口壁を伴うAddyタイプノズルの種々の変形例を含む。後者の2つは、トランペットのホーンに外観が類似して見える。別の好ましい実施形態では、シャント管腔は、入口または出口ポートに拡張を全く伴わない、または最小限のみ伴う、円筒形管であってもよい。
【0119】
管腔22の断面(図1B参照)は、円形である必要はない、および/または管腔は、長手方向に視認されるとき、直線水平線軸と同軸である必要はない。これらの後者の幾何学形状は、円形管腔断面を伴うカテーテルを通して送達することが困難であり得るが、それらは、そのようなカテーテル管腔に拘束され、展開に応じて、非円形断面または湾曲長手方向幾何学形状に拡張してもよい。他の好ましい実施形態は、出口噴流縮流部断面積が、生理学的心房間圧力勾配の範囲にわたって、最小限のオリフィス面積と比較して、70%またはそれを上回り、それによって、オリフィス-プレートより高い流出係数を有する、入口、オリフィス、および出口幾何学形状の任意の組み合わせを含む。
【0120】
単一LA円錐形入口漏斗、砂時計形状の管腔、または管状管腔を伴い、0.70またはより大きい流出係数を有する、シャントは、概して、FO自体の厚さによって画定され得、典型的には、6mmより短い、例えば、3mmまたはそれ未満である、オリフィス-プレートメッシュタイプシャントと比較して、そのより長い長さ、典型的には、6~30mmの長さの性質上、同伴される流動のより長いトンネルを有する。奇異性塞栓症が生じる、すなわち、奇異性塞栓が心臓から全身動脈循環の中に塞栓するために、奇異性塞栓は、シャントを通して完全または略完全に通過しなければならない。塞栓は、左から右への勾配に対して、もしくは勾配が存在しないとき、その残留運動エネルギーによって、伝搬され得る、または逆転圧力勾配が右から左への総流動を作成するとき、それに沿って搬送され得る。塞栓の運動エネルギーおよび総流動指向性ステータスの相対的大きさに応じて、より長い管腔シャントは、より短い管腔を伴うオリフィス-プレートシャントと比較して、より少ない塞栓を通過させる傾向にあるであろう。これは、正常な左から右への総流動の存在下、またはゼロ正味流動が存在するときに当てはまる可能性が高い。これはまた、咳嗽の間等の非常に一時的圧力勾配逆転の間にも当てはまる可能性が高い。したがって、別の好ましい実施形態では、6~30mm、より典型的には、10~15mmの流動管腔長を伴うシャントは、その増加された管腔長によって、オリフィス-プレートメッシュシャントより奇異性塞栓症の傾向が少ないであろう。したがって、アンカの流動管腔の長さは、奇異性塞栓症のリスクを低減させるように選択される。
【0121】
ここで図7Aを参照すると、本発明の図1A-1Cのシャント10を埋め込むための好ましい場所が、説明される。図7Aは、卵円窩72の中心位置に位置する埋込部位71を含む、心房中隔70の右心房側の平面図である。好ましくは、埋込部位71は、シャントが、周囲縁部73、下大静脈(IVC)74、および心房中隔75から離間されて埋め込まれ得るように選択される。例えば、図7Bに示されるように、フレア状端部領域14は、右心房76内に埋め込まれるように構成され、左心房77内に埋め込まれるように構成される、フレア状端部領域18より円筒形形状を有するようにテーパ状であってもよい。フレア状端部領域14のより円筒形形状は、卵円窩72のフレア状端部領域14と縁部73との間、すなわち、フレア状端部領域14と卵円窩の突出辺縁との間の接触を低減または阻止し得る一方、依然として、デバイス10を心房中隔75を横断して係留する。フレア状端部領域14のより円筒形形状はさらに、フレア状端部領域14、心房中隔70の右側、ならびに冠状静脈洞をIVC74(図7Aに示されるが、図7Bには示されない)から分離する隆起77間の接触を低減または阻止し得る。
【0122】
依然として図7Aに関して、シャント埋込のための好ましい場所は、卵円窩の長軸の中心線の若干前方、すなわち、卵円窩の右手側上に位置し得る。本場所は、潜在的空間を卵円窩の左上象限(後上)に残し、これは、Abbott(AbbottPark, IL)によって供給される、MitraClip(R)経カテーテル僧帽弁修復システムを用いた縁間修復、およびValtech Cardio(Or Yehuda, Israel)によって供給されるCardiobandを用いた僧帽弁弁形成術を含む、卵円窩を交差し、構造心臓病手技を僧帽弁上で実施するために最適であることが見出されている。本好ましい場所はまた、潜在的空間を卵円窩の左下象限(後下)に残し、これは、卵円窩を交差し、構造心臓病手技を実施し、左心耳を閉塞させるために最適であることが見出されている。本明細書に説明されるように、卵円窩上の最小可能場所を占有する、砂時計形状を伴うシャントは、これらの他の手技を促進する。
【0123】
再び、図7Bを参照すると、シャント10は、好ましくは、有意な機械的力を心房中隔75に課すことを回避し、したがって、中隔が、心臓が拍動するにつれて自然に変形することを可能にするように構成される。例えば、中隔75の筋肉面積の厚さは、収縮期と拡張期との間で20%を上回って変化し得る。そのような面積内の心房中隔75の運動上の任意の有意な機械的拘束は、シャント10に接触する中隔および/または心房組織に作用する、比較的に大きな力の発生につながるであろうと考えられる。そのような力は、炎症性応答および/または過形成を心房中隔組織内に誘発し、可能性として、シャント10に、最終的に、開存性を喪失させ得る。しかしながら、縮径領域16が、完全にまたは大部分が、小占有面積を伴う卵円窩72の線維組織内に埋め込まれ得るように、シャント10を構成することによって、シャント10の砂時計形状は、中隔内に保定される一方、周囲心房中隔75上の機械的負荷を低減させるように、十分に安定することが予期される。領域78内の心房中隔75からの組織内部成長はさらに、シャント10と中隔の接合を向上させ得る。好ましくは、図7Bに描写されるように、埋込後、例えば、1~2mmの厚さにわたって、卵円窩の実質的周縁部がシャントの周囲に存在するはずである。
【0124】
また、シャント10の縮径領域16は、フレア状端部領域14および18より有意に狭いため、シャント10は、特に、卵円窩を通して埋め込まれると、その長手軸がFOに実質的に直交する配向をとる傾向を伴って、心房中隔75を通した穿刺口内に「自己位置決め」するであろう。いくつかの実施形態では、縮径領域16は、例えば、卵円窩より小さく、また、所定の閾値を超える血流速度を阻止するように選択される、卵円窩内への埋込に好適な直径を有してもよい。縮径領域16は、好ましくは、直径約4~約7mm、より好ましくは、約5mm~約6.5mmを有する、通路を提供する。例えば、約4mm未満の直径は、いくつかの状況では、シャントを通した十分な血流が左心房を減圧することを可能にし得ず、シャントの長期開存性を低減させ得る。逆に言えば、約7mmを上回る直径は、あまりに多くの血液が流動することを可能にし、右心室体積過負荷および肺高血圧症をもたらし得る。好ましくは、シャント10内の最狭い点における有効径は、約5mm~6.5mmである。加えて、縮径領域におけるそのより小さいオリフィス径によって、シャントは、オリフィス-プレートメッシュシャントより奇異性塞栓症の傾向が低いであろう。したがって、アンカの縮径領域におけるオリフィス径は、奇異性塞栓症のリスクを低減させるように選択される。
【0125】
フレア状端部領域14および18の直径はさらに、シャント10を心房中隔45を通した穿刺口内に、例えば、卵円窩72を通した穿刺口内に安定化させるように選択されてもよい。例えば、フレア状端部領域18は、10~20mmの直径、例えば、約13~15mmをその最広点に有してもよく、フレア状端部領域14は、9~15mm、例えば、約9~13mmの直径をその最広点に有してもよい。フレア状端部領域14の最大直径は、卵円窩72の縁部に機械的に負荷をかけることを回避するように選択されてもよく、これは、そうでなければ、炎症を引き起こし得る。フレア状端部領域18の最大直径は、フレア状端部領域14と18との間の十分な角度を提供し、シャント10を心房中隔内に安定化させる一方、フレア状端部領域18が左心房の中に突出する範囲を限定し(例えば、肺静脈からの流動への干渉を阻止する)、縮径領域16を通した左心房からの十分な血流を提供するように選択されてもよい。
【0126】
本発明の原理によると、端部領域14の長さは、そうでなければ、シャント10の動作に干渉し得る、組織内部成長を阻止するために十分な距離だけ、右心房の中に突出するように選択される。本出願人は、組織に接触する端部からの規定された生体材料の不浸透性膜に沿った内向き組織内部成長が、概して、約3mm後に停止することを観察した。故に、導管の端部からの組織内部成長が、縮径領域16の流動面積の中に延在し、それを部分的に閉塞しないことを確実にするために、縮径領域16の最狭部分と領域14の端部との間の距離Rは、少なくとも3mmに、シャント10の外部に接触する、中隔領域、すなわち、卵円窩の厚さの半分加えたものであるべきである。卵円窩が、約3.0mmの厚さを有すると仮定すると、最小距離Rは、本出願人の観察に基づいて、約4.5mmであるべきである。同様に、端部領域18は、好ましくは、距離Lがまた、好ましくは、少なくとも4.5mmであるように、心房中隔75の左側に有意に係合しない。例えば、患者の一般的健康および年齢に起因したFOの厚さにおける患者間変動性に起因して、および縮径領域16がFOの中間点と精密に整合され得ないため、各距離RおよびLは、好ましくは、3~6mmの範囲内である。故に、いくつかの実施形態に関して、シャント10の全体的寸法は、約9~12mmの長さであって(図7Bでは、L+R)、導管の端部、すなわち、端部領域14および18からの組織内部成長が、縮径領域16を部分的に閉塞しないように防止し得る。
【0127】
別の好ましい実施形態では、導管の幾何学的形状にかかわらず、組織成長がオリフィス(図1Bに示される管腔22のシャント管腔または断面積の最小限の直径の部位)に到達し得ないように、移行性の組織成長を防ぐ、すなわち、端部領域の端部から内向きに延在し、心房中隔と接触する場所から開始するシャント表面にわたる新生心内膜組織成長を収容するために、最低でも3mmの材料が存在すべきである。本好ましい実施形態を用いることで、心房間シャントデバイスの最小限のオリフィス径は、パンヌス形成によって著しく影響されないものにされるであろう。別の好ましい実施形態では、新生心内膜組織が、シャント管腔の入口または出口ポート部位に到達する前に、心房中隔と接触する場所から開始するシャント表面にわたって成長するために、最低でも3mmの導管長が存在すべきである。そのような実施形態を用いることで、パンヌスがシャント管腔に侵入する潜在性がさらに低くなる。
【0128】
ここで図8Aおよび8Bを参照すると、図1A-1Cのシャント10をFOを横断して直交に埋め込むことによって誘発される、予期される治癒応答が、説明される一方、図9Aおよび9Bは、LA入口円錐の外側表面が心房中隔組織に接触するようなシャントの非直交埋込に対応する。図8Aおよび9Aは、埋込直後のシャントの位置付けを描写する一方、図8Bおよび9Bは、治癒相の完了後のシャントの位置付けを描写する。
【0129】
図8Aおよび8Bのそれぞれでは、FOは、RAに向かって反らされ、LAに向かって凹まされて示される。左心室不全を患う大部分の患者を含む、膨張心筋症または制限的生理学を患う患者では、病因にかかわらず、心房間中隔のFO部分は、概して、右心房に向かって反らされる。これは、LAに、FOを中心とする領域において略凹面または略半球状形状を与える。逆に言えば、FOのRA側は、略凸面形状である。FOの本配向は、本明細書の本発明の背景部分に議論されるV-WaveNitzanタイプ弁付きシャントを埋め込まれた38名の患者における心エコー検査(n=178検査)によって確認された。駆出率が保たれた心不全(HFpEF)を呈する、100名を上回る患者の測定では、LA体積は、概して、平均85mlであって、最小体積は、54mlであった一方、駆出率が低減された心不全(HFrEF)を呈する、同数の患者に関して、LA体積は、概して、平均104mlであって、最小体積は、71mlであった。LAは、多くの場合、球形または楕円形によって近似されるが、これに対する例外が頻繁に存在し、例えば、LAは、その前後寸法において視認されるとき、潰れた状態で見える。具体的に定量化されないが、RAは、LAとサイズ上類似すると考えられた。
【0130】
中隔生体構造のRAの反りに対する例外が、生じるが、それらは、概して、例えば、肺動脈高血圧症(PAH)において生じるように、左心室機能不全または僧帽弁疾患の不在下、孤発性右心室不全または深刻な肺高血圧症の存在下で生じる。それらの事例では、RA圧力は、LA圧力を超え、FOをLAに向かって反対方向に反らせる傾向にある。そのような患者は、概して、臨床利点を左から右への心房間シャントから導出しないであろう。しかしながら、左側心不全の不在下、深刻な肺高血圧症を患う患者は、低全身性心拍出量を改善するための手段として、右から左へのシャントから利益を享受し得る。本開示に説明される実施形態のうちのいくつかは、患者のその母集団に現在利用可能な右から左へのシャントと比較して、改善された性能を提供するであろう。
【0131】
別の幾何学的拘束が、経静脈心内膜電気ペーシングまたは除細動導線を心不全患者のRA内またはそれを通して設置するために、頻繁に存在する、またはその必要性がある。V-Wave Nitzanタイプシャントを用いて行われた38名の患者実行可能性研究では、患者の74%は、心房間シャントに先立って、心律管理デバイスをすでに埋め込まれていた。これらの患者の大部分は、2または3つのそのような電気導線が設置されていた。導線は、最も多くの場合、上大静脈(SVC)からRAに進入する。右心房ページング導線は、通常、RA付属器内で上方に束ねられ、前外側で終端するが、いくつかの状況では、それらは、心房間中隔の筋肉部分に取り付けられる。RVページングおよび除細動導線は、通常、RAの側方壁に沿って辿り、次いで、三尖弁を交差し、心室間中隔、RV心尖、または肺流出路内で終端する。LV導線は、FOの直下かつ前方にある、冠状静脈洞に進入する。随時、導線は、通常と異なる起始部位から設置されなければならず、下大静脈(「IVC」)からRAに進入し得る。導線は、通常、心臓が移動する、または位置を変化させるとき、その終端端部に張力をかけないように、十分な緩みが残される。本緩みの多くは、多くの場合、RA内に集中される、過剰な導線本体材料網をもたらす。
【0132】
中隔の反りの観察、観察されるチャンバ寸法の範囲、および複数の経静脈心内膜導線設置の結果は、心房間シャントデバイス設計に関する重要な含意を有する。シャントが、LA室の中に突出する場合、好ましくは、概して、図8Aに示されるように、FOに対して直交して突出するように設置される。直交設置は、大動脈根、僧帽弁輪、LAの根部および後壁、ならびに肺静脈等の他の隣接するか、またはその近傍の重要な心臓構造への衝突を最小限にすることが予期される。代替として、図9Aに示されるように、実質的に直交して設置されない場合、シャント幾何学形状は、シャントがこれらの構造と相互作用しないように防止するように選択されるべきである。そのような設計考慮点の適切な考慮は、重要な心臓構造の中へのシャントの浸食を防止し、隣接する心臓構造による管腔衝突によるシャントを通した流動の遮断を防止するであろう。理想的には、シャントはまた、LA内の最小限の空間を占有し、その正常流動パターンを最小限にのみ妨害すべきである。LAは、心室収縮期の間、肺静脈から充満され、拡張期の間、僧帽弁が開放すると、左心室の中に排出される。右上肺静脈から生じる血液は、心房間中隔に沿って辿り、それを抱持し、FOの近傍の停滞を防止する傾向にある。
【0133】
シャント10の好ましい実施形態では、LAの中に突出するシャントの部分によって変位される血液の体積、すなわち、LAの中に突出するシャント管腔の部分内の血液の体積は、患者母集団内で予期されるLA拡張期体積の5%未満またはそれと等しくあるべきである。これは、典型的には、心不全を患う成人患者では、2.0mlまたはそれ未満である。さらに、シャントは、15mmを上回って、より典型的には、3~10mmもLAの中に突出すべきではない。これらの寸法考慮点はまた、LA入口漏斗等の略直交配向を促進する、他のシャント特徴と併せて遂行されてもよい。
【0134】
類似考慮点は、FOのRA側に関しても存在する。シャントは、最小限の体積を占有し、正常流動パターンにわずかな影響のみを及ぼすべきである。好ましい実施形態では、同一占有体積および突出部距離考慮点が、シャントのRA側に適用される、すなわち、デバイスおよびその管腔は、RA拡張期体積の5%未満またはそれと等しい、例えば、心不全を患う成人患者では、2.0mlまたはそれ未満を占有し、わずかだけ、例えば、15mm、より典型的には、3~10mmだけRAの中に突出すべきである。これらの寸法考慮点はまた、RA出口漏斗等、略直交配向を促進する他のシャント特徴と併せて遂行されることができる。これらの同一基準は、シャントが、RAからLAへのシャントが望ましい用途、例えば、肺動脈高血圧症(PAH)において使用されるときに適用される。シャントは、ペーシング導線を絡ませない、またはその電気絶縁を損なわないように、必要最小量だけRA内に突出すべきである。
【0135】
前述で説明されるように、静脈血栓性塞栓症(「VTE」)がシャントを通して逆行性方向に交差する傾向は、RAからLAへの逆行性シャント流動の量および持続時間だけではなく、また、RA内の流動パターンの結果の関数であることが予期される。成人RA内の流動の経路は、血液が、下大静脈(IVC)、上大静脈(SVC)、冠状静脈洞を含む、複数の源から、およびシャントを通してLAから室内に進入するため、複雑である。これらの流路は、指向性変化および非対称性を含み、そのトポロジは、カラーフロードップラー撮像によって、より最近では、磁気共鳴速度マッピングから査定されている。
【0136】
成人患者におけるVTEの圧倒的多数は、下肢および骨盤静脈から生じるため、奇異性塞栓によって進行される経路は、IVCから生じる血液に関する流動ベクトルに類似する可能性が最も高い。下大静脈からの流動は、天蓋部の周囲で環流する前に、RA室の後壁に沿って辿り、そこで、心房間中隔に沿って辿ることによって、三尖弁に向かって指向される。空洞の残りは、概して、貯留された血液を含有する。したがって、IVCからRAに進入する血液は、正常生体構造を伴う大部分の患者では、時計回り渦を形成し、心房間中隔のRA側に沿って降下する。有利には、RAの天蓋部から心房間中隔に沿って下向きの血液の本流動パターンは、本発明のシャント10の縮径領域16の近傍における血液貯留のリスクを低減させ、したがって、血液停滞に起因する局所血栓形成のリスクを低減させる。さらに、これらの流路観察は、下大静脈から生じる血栓が、自然発生二次孔型タイプ心房中隔欠損症のRAオリフィスまたはオリフィス-プレートメッシュタイプシャントに非常に近接して通過する、軌道を有するであろうことを示唆する。この場合、血栓は、本質的に、オリフィスに対するRA内の流路によって提示されるため、シャント流動のわずかな逆転さえ、血栓をオリフィスを横断してLAの中に塞栓させ得る。
【0137】
本発明の別の側面によると、本発明のシャントの好ましい実施形態は、RAの中に、例えば、3~15mm、より典型的には、出口ポートのオリフィスをRA内の自然発生流路外に設置するために十分な5~10mmの距離だけ延在する、出口ポート(端部領域14)を含む。特に、出口ポートは、心房間中隔を横断して下方に環流する、IVCから生じる血液の流れを通して、部分的または完全に突出する。そのようなシャント幾何学形状は、したがって、出口ポートが通過する環流状のIVC流動の流れに指向される、オリフィス-プレートメッシュタイプシャントと比較して、より低い奇異性塞栓症のリスクを有することが予期されるであろう。
【0138】
ここで図10および11を参照すると、導管が、図1A-1Cの実施形態のアンカ12に類似する、外部の封入されていない露出金属アンカによって、心房間中隔の卵円窩に対して位置合わせされる、付加的代替実施形態が、説明される。具体的には、図10のシャント80は、導管82を心房間中隔内に位置合わせするために採用され得る、アンカ81を含む。導管82は、別個の封入された管状フレームを含んでもよく、または固体材料の管を備えてもよく、前述のような具体的特性を達成するための種々の幾何学形状を含んでもよい。アンカ81および導管82は、機械的干渉、溶接、接着剤、または他の周知の手段によって、身体内への挿入に先立って、相互に物理的に添着されてもよく、好ましくは、アンカ81と導管82との間のバイパス流動を防止する、スカートを含む。代替として、アンカ81は、展開される中隔を横断して送達されてもよく、次いで、導管82は、アンカ81を通して挿入され、アンカ81内に展開され、バルーンを用いた機械的干渉または拡張によって、定位置に保持される。そのような2部品を含む設計の利点は、2倍である。第1に、パンヌスは、導管82のLAおよびRA端部が、隣接する心臓構造からオフセットされ、したがって、それに接触しないため、アンカ81の外側表面上でのみ厚く成長するであろう。第2に、本設計は、高速流動のための最長直線チャネルを作成するが、奇異性塞栓が、一時的圧力勾配逆転の間、導管82を遷移する能力を限定する。上記の図1Cのシャント10の説明に関する上記の寸法側面は、シャント80に適用されてもよい。
【0139】
図11は、図10のシャントのものに類似する利点を伴う、別の好ましい実施形態を図示する。より具体的には、シャント90は、図1A-1Cの実施形態のフレーム12に関して上記に説明されるように、アンカ91を含んでもよい。導管92は、上記に説明されるように、フレア状端部領域を含み、例えば、展開状態で砂時計形状を形成してもよい。当業者は、フレア状端部領域の具体的形状が、円錐形、放物線、またはホーン形状であってもよく、所望の水圧性質に応じて、シャントデバイスの一端または両端に存在してもよいことを理解されるであろう。上記の図1Cのシャント10の説明に関する上記の寸法側面は、シャント90に適用されてもよい。
【0140】
図10および図11に描写されるシャントタイプまたは当業者に明白となるであろう類似特性を伴うシャントは、特に、あまりに大きな開口欠陥がFO内に作成され、心不全を処置するための心房間シャントが要求される、臨床状況に適用可能であり得る。僧帽弁上の修復手技を実施し、例えば、経皮的経中隔アプローチによる僧帽弁形成術のMitraClip(R)の後、心房間シャント設置が続くことが臨床上望ましいであろう、深刻な僧帽弁逆流症および不良な左心室機能を患う患者の症例を検討する。これらの僧帽弁手技は、現在、FOを交差するために、23FrI.D.(約8mmO.D.)誘導カテーテルを使用する。僧帽弁修復後、以前の手技によって生じたより大きい開口欠陥に合致する、外側最小径を伴うアンカが、埋め込まれてもよく、より小さい直径(例えば、5.0~6.5mm)の導管がシャントのために望ましい。同様に、そのようなシャントは、有利には、卵円窩が断裂されている、したがって、図1-5に関して説明される種々のシャント実施形態のために要求されるより大きい開口欠陥を作成する、経中隔手技の間に使用されてもよい。再び、図10または11に関して説明される種類のシャントは、そのような状況に対処するために使用され得る。
【0141】
図12-15は、それぞれ、アンカおよび係留タブと組み合わせて、異なるシャント幾何学形状を使用する、さらなる代替シャント実施形態95、100、110、および120を示す。これらのシャントの導管は、円筒形、円錐形であるか、または本明細書の上記で説明されるような他の管腔幾何学形状を有してもよい。より具体的には、図12では、本発明のシャントにおいて使用するために好適なアンカ95は、左心房内における展開のために構成される、フレア状領域96と、心房中隔を通して右心房の中に延在する、略円筒形領域97とを含む。可撓性支柱98は、アンカがその送達シースから解放されると、遠位に、すなわち、中隔に向かって屈曲し、好ましくは、図12に描写されるように、完全に展開された位置では、右心房壁に接触するが、それに穿通しない、U形状の反転端部を含む。好ましくは、アンカ95は、可撓性支柱98以外、組織内部成長が円筒形領域97の管腔を閉塞しないように防止する、ポリマー材料でアンカを封入することによって形成される導管を含み、前述の実施形態に説明されるように、生体適合性形状記憶合金から作製されてもよい。
【0142】
図13のシャント100は、円筒形シャントのRA領域上に配置される、複数の圧壊可能タブ状保定要素101を含んでもよい。保定要素101は、FOに係合し、LAの中へのまたはそれを越えるシャント100の遊走/塞栓を防止するように設計される。はるかに肥厚化されたFOでは、保定要素101は、FO壁自体内に埋設された状態になり得る。加えて、シャント100は、図1A-1Cの実施形態のフレーム12のフレア状端部領域18と構造上類似する、シャント100のLA側103からLAの中にある角度で延在する、円錐形アンカ102を含んでもよい。本構成の利点は、任意の壁厚(典型的には、最大10mm)を有するFO内で展開され得ることである。上記の図1Cのシャント10の説明に関する上記の他の寸法側面は、シャント100に適用されてもよい。
【0143】
図14では、シャント110は、シャント100と構造上類似し、保定要素111をRA側上に含むが、LA側上の円錐形アンカ102を省略する。代わりに、シャント110は、円筒形シャント110をFOまたは他の心臓構造からオフセットするように設計される、複数の圧壊可能タブ112をシャントのLA側113上に含んでもよい。本構成の利点は、LA内の自由空間を占有する構造が殆どないことである。上記の図1Cのシャント10の他の寸法側面が、シャント110に適用されてもよい。
【0144】
図15では、シャント120は、封入され、拡張されたLA側121と、複数の保定要素123を含む、RA側122上の単純円筒形とを備える。本構成の利点は、シャント120が、単数形管状フレームから構築され得ることである。上記の図1Cのシャント10の他の寸法側面が、シャント120に適用されてもよい。
【0145】
ここで図16Aおよび16Bを参照すると、本発明の原理に従って構築されたシャントの代替実施形態のアンカ130が、説明される。アンカ100は、図1A-1Cの実施形態のアンカ12に類似するが、さらに、右心房内の出口ポートの最近傍の円周方向支柱に取り付けられる、複数の可撓性アーム131を含む。可撓性アーム131は、シャントが、展開され、シャントの出口ポートを部分的に閉塞させる、メッシュ構造またはフィルタを形成すると、自己拡張する。特に、展開に応じて、可撓性アーム131は、RA出口ポートの管腔の近傍、理想的には、その最広開口部の場所の近傍において、管腔を横断して延在するように広がり、より大きい奇異性塞栓が左心房の中に通過しないように防止する、フィルタを形成する。可撓性アーム131は、最小限の抵抗を伴って、血液がいずれかの方向に通過することを可能にしながら、概して、メッシュサイズより大きい奇異性塞栓、例えば、奇異性軌道上にあり得る、あるサイズを上回る静脈血栓塞栓の通過を除外する。この場合、除外される塞栓のサイズは、メッシュの幾何学形状によって判定される。展開に先立って、これらのアームはまた、その送達システムへのシャントの取付場所としての役割を果たし得る。図16Aおよび16Bに描写される実施形態では、可撓性アーム131は、展開に応じて、アンカ130の出口ポートを横断して折畳される、支柱を備えるが、代替実施形態では、可撓性アーム130は、出口ポートを横断して折畳され、フィルタを作成する、複数のまたは多重バーまたはアーチを含む、いくつかの構成のうちのいずれかをとってもよい。代替実施形態では、すでに説明されたように、より大きい奇異性塞栓は、シャントデバイスを通して複数の通路または管腔を有することによって除外され得る。
【0146】
図17は、上記に組み込まれる出願に説明されるような2つのタイプのV-Wave Nitzanタイプシャントの流動特性に及ぼすオリフィスサイズの影響、例えば、ベンチテスト定量化流動対圧力関係を描写する、グラフである。測定は、摂氏37度における生理食塩水中において、左から右への圧力勾配の予期される範囲にわたって一定圧力勾配条件下で行われた。流動は、V-Wave5.1mm内径オリフィスNitzanタイプ砂時計形状の弁なしシャントに関してと、同一ニチノールフレーム上に構築されたシャントの6-mm内径オリフィス弁なしバージョンに関して測定された。図17に描写されるように、6-mmシャントは、5mm弁付きシャントより約35%上回る流動を有する。また、図17に示されるのは、それぞれ、0.97および0.96の流出係数を伴う、5.1および6mmのオリフィス内径を伴うベンチュリ管に関してシミュレートされた流動である。これらのデータは、弁なし砂時計シャントの性能が、古典的ベンチュリによって密接に近似されることを示唆する。それぞれ、5.1および6mmオリフィス内径に関して、収束角度37および36度ならびに流出係数0.92を伴う、円錐形収束ノズル(図示せず)のシミュレーションは、実際のシャントを用いた類似の予測正確度を示した。
【0147】
再び図6を参照すると、本図は、上記に説明されるように、5.1mmおよび6.0mmベンチュリ管(それぞれ、流出係数0.97および0.96)に関する理論的流動とともに、それぞれ、6.4mmおよび7.5mmオリフィスプレート(流出係数0.61)を通した流動を描写する。図6に示されるように、オリフィスプレートデバイスは、6mmベンチュリ管に類似する流動特性を有するために、7.5mmの内径を要求する。同様に、オリフィスプレートデバイスは、5.1mmベンチュリ管に類似する流動特性を有するために、約6.4mmの内径を要求する。これらの測定されたデータおよびシミュレーションは、砂時計形状のV-Wave Nitzanタイプシャントの弁なし管腔が、圧力勾配の予期される生理学的範囲にわたって総流動を支持する際、オリフィス-プレートシャントより効率的であることを示す。
【0148】
特に、砂時計形状のシャントは、類似総流動容量(直径7~8mm)を伴うオリフィス-プレートシャントより小さいオリフィスを可能にする。より小さいオリフィスは、ひいては、比例的により大きい血栓が、シャントを通して全身循環の中に逆行性に通過しないように防止する。塞栓の詰まりからの虚血性損傷は、閉塞された脈管によって供給される分水器官領域に限定されるため、より大きい塞栓は、特に、閉塞脈管が脳に供給するとき、より多くの損傷を引き起こし、より多くの関連付けられた危険な結果を有する傾向にある。したがって、より小さいオリフィスサイズを用いることで、奇異性塞栓性脳卒中は、それらが生じる場合、オリフィス-プレートメッシュタイプシャントを用いた場合より小さくなる可能性が高い。故に、好ましい実施形態では、0.70またはそれを上回る流出係数を有する、シャントは、そのより小さい直径または面積オリフィスによって、類似流動特性を伴うオリフィス-プレートメッシュシャントより奇異性塞栓症の傾向が低いであろう。
【0149】
Corvia Medical, Inc.(Tewksbury, MA)によって供給されたオリフィス-プレートメッシュシャントを使用して行われた臨床研究は、8-mm Corviaオリフィス-プレートメッシュシャントが、埋込直前の1.06±0.32と比較して、6ヶ月時点でQp/Qs=1.27±0.20を有していたことを示す。本比率は、6ヶ月までに予期されるであろうパンヌス形成の結果としてのある程度のシャント狭窄に起因して、埋込直後より高くなる可能性が高かった。比較として、5mmオリフィス内径を伴うV-Wave Nitzanタイプ弁付きシャントに関して、前述の患者コホートにおけるエコー/ドップラー分析から導出されるQp/Qsは、ベースライン(p<0.03)における1.04±0.22と比較して、埋込直後では、1.18±0.16と比較的に小さかった。Qp/Qsは、6~12ヶ月までに1.12±0.14(p=0.10)まで若干減少し、本同一期間にわたって観察されたシャントの狭窄と一貫する。これらのデータは、実質的早期臨床利点を有することが示されたV-Wave Nitzanタイプ弁付きシャントが、非常に小さいQp/Qs比と関連付けられ、右心不全または肺高血圧症悪化の証拠がないことを示唆する。データはまた、類似幾何学形状のシャントが、Qp/Qs比1.5:1を越えずに、より大きい内径、例えば、6.5mm内径を用いて作製されることができることを示唆する。
【0150】
明確にするために、別個の実施形態の文脈に説明される、本発明のある特徴はまた、単一実施形態において組み合わせて提供されてもよいことを理解されたい。逆に言えば、簡潔にするために、単一実施形態の文脈において説明される、本発明の種々の特徴もまた、別個にまたは任意の好適な副次的組み合わせにおいて提供されてもよい。
【0151】
本発明の種々の例証的実施形態が、上記に説明されたが、種々の変更および修正が、本発明から逸脱することなく、本明細書で行われてもよいことが、当業者に明白となるであろう。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17