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特許7033148積層ガラス用の太陽光線制御コーティング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】積層ガラス用の太陽光線制御コーティング
(51)【国際特許分類】
   C03C 17/36 20060101AFI20220302BHJP
   B32B 15/04 20060101ALI20220302BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20220302BHJP
   B32B 17/10 20060101ALI20220302BHJP
   B32B 27/06 20060101ALI20220302BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20220302BHJP
   G02B 5/26 20060101ALI20220302BHJP
   G02B 5/28 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
C03C17/36
B32B15/04 B
B32B15/08 D
B32B17/10
B32B27/06
G02B5/00 A
G02B5/26
G02B5/28
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019555888
(86)(22)【出願日】2018-04-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 US2018027275
(87)【国際公開番号】W WO2018191481
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2020-05-08
(31)【優先権主張番号】62/484,508
(32)【優先日】2017-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/951,079
(32)【優先日】2018-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518301590
【氏名又は名称】ビトロ フラット グラス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー、アンドリュー、ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】ブキャナン、マイケル、ジェイ.
【審査官】若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0059753(US,A1)
【文献】特表2010-536707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 15/00 - 23/00
C03C 27/00 - 29/00
B32B 1/00 - 43/00
G02B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー中間層130によって第2の層118に連結された第1の層112を備える積層ガラス110であって、前記第1の層112が第1の主面114及び第2の主面116を有し、前記第2の層118が第3の主面120及び第4の主面122を有し、積層ガラスがさらに、前記主面のうちの少なくとも1つに配置された太陽光線制御コーティング30を備え、前記太陽光線制御コーティング30が、
第1の位相調整層40と、前記第1の位相調整層40の上にある第1の金属層46と、前記第1の金属層46の上にある第1のプライマー層48と、前記第1のプライマー層48の上にある第2の位相調整層50と、前記第2の位相調整層50の上にある第2の金属層58と、前記第2の金属層58の上にある第2のプライマー層60と、前記第2のプライマー層60の上にある第3の位相調整層62と、前記第3の位相調整層62の上にある第3の金属層70と、前記第3の金属層70の上にある第3のプライマー層72と、前記第3のプライマー層72の上にある第4の位相調整層86と、前記第4の位相調整層86の上にある保護層92とを含み、
前記第1の位相調整層40が、53nm~74nmの範囲の光学的厚さを有し、
前記第2の位相調整層50が、118nm~136nmの範囲の光学的厚さを有し、
前記第3の位相調整層62が、147nm~156nmの範囲の光学的厚さを有し、及
記第4の位相調整層86が、60nm~73nmの範囲の光学的厚さを有する、積層ガラス110。
【請求項2】
前記位相調整層40、50、62、86が誘電体材料又は半導体材料を含む、請求項1に記載の積層ガラス110。
【請求項3】
前記位相調整層40、50、62、86が非金属材料を含む、請求項1又は2に記載の積層ガラス110。
【請求項4】
前記第1の位相調整層40が、22nm~45nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは25nm~41nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは26nm~37nmの範囲の幾何学的厚さを有し、
前記第2の位相調整層50が、33nm~88nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは33.5nm~78nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは59nm~68nmの範囲の幾何学的厚さを有し、
前記第3の位相調整層62が、56nm~85nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは63nm~80nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは73.5nm~78nmの範囲の幾何学的厚さを有し、及び/又は
前記第4の位相調整層86が、23nm~41nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは29nm~38nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは30nm~37nmの範囲の幾何学的厚さを有する、請求項1から3までのいずれかに記載の積層ガラス110。
【請求項5】
前記第1のプライマー層48が、6nm~14nmの範囲、好ましくは7nm~12nmの範囲、より好ましくは8nm~10nmの範囲の光学的厚さを有し、
前記第2のプライマー層60が、6nm~13nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは7nm~12nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは8nm~10nmの範囲の光学的厚さを有し、及び/又は
前記第3のプライマー層72が、2.5nm~10nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは3.5nm~8nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは5nm~6.5nmの範囲の光学的厚さを有する、請求項1から4のいずれかに記載の積層ガラス110。
【請求項6】
前記第1のプライマー層48が、2.5nm~5.5nmの範囲、好ましくは3nm~4.5nmの範囲、より好ましくは3.5nm~4nmの範囲の幾何学的厚さを有し、
前記第2のプライマー層60が、2.5nm~5nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは3nm~4.5nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは3.5nm~4nmの範囲の幾何学的厚さを有し、及び/又は
前記第3のプライマー層72が、1nm~4nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは1.5nm~3nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは2nm~2.5nmの範囲の幾何学的厚さを有する、請求項1から5のいずれかに記載の積層ガラス110。
【請求項7】
前記第1の金属層46が、8nm~15nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは8nm~13nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは9nm~11nmの範囲の幾何学的厚さを有し、
前記第2の金属層58が、8.5nm~15nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは10nm~13.5nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは10nm~13nmの範囲の幾何学的厚さを有し、及び/又は
前記第3の金属層70が、8.5nm~16nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは10nm~15nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは12nm~14nmの範囲の幾何学的厚さを有する、請求項1から6のいずれかに記載の積層ガラス110。
【請求項8】
前記保護層92が、60nm~200nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは100nm~180nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは120nm~160nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは130nm~150nmの範囲の光学的厚さを有する、請求項1から7のいずれかに記載の積層ガラス110。
【請求項9】
前記位相調整層40、50、62のうちの少なくとも1つが金属酸化物、ドープ金属酸化物、非ドープ金属酸化物、金属酸化物の混合物、又は金属合金酸化物を含み、
前記金属層46、58、70のうちの少なくとも1つが金属銀の連続膜を含み、
前記プライマー層48、60、72のうちの少なくとも1つがチタニアを含む、請求項1から8のいずれかに記載の積層ガラス110。
【請求項10】
前記第1の位相調整層40が、第1の膜42、及び前記第1の膜42の上にある第2の膜44を有する複数膜構造体を含み、
前記第1の膜42が、15nm~30nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは18nm~27nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは18nm~25nmの範囲の幾何学的厚さを有し、
前記第2の膜44が、7nm~15nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは7nm~14nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは8nm~13nmの範囲の幾何学的厚さを有し、
前記第1の膜42が亜鉛とスズの合金の酸化物を含み、
前記第2の膜44が酸化亜鉛又はスズ・ドープ酸化亜鉛を含む、請求項1から9のいずれかに記載の積層ガラス110。
【請求項11】
前記第2の位相調整層50が第1の膜52、第2の膜54、及び第3の膜56を含み、
前記第1の膜52及び/又は第3の膜56が、7nm~13nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは7nm~12nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは8nm~10nmの範囲の幾何学的厚さを有し、
前記第2の膜54が、35nm~65nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは40nm~56nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは42nm~49nmの範囲の幾何学的厚さを有し、
前記第1の膜52及び前記第3の膜56が、酸化亜鉛又はスズ・ドープ酸化亜鉛を含み、
前記第2の膜54がスズ酸亜鉛を含む、請求項1から10のいずれかに記載の積層ガラス110。
【請求項12】
前記第3の位相調整層62が第1の膜64、第2の膜66、及び第3の膜68を含み、
前記第1の膜64及び/又は第3の膜68が、7nm~16nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは8nm~14nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは10nm~14nmの範囲の幾何学的厚さを有し、
前記第2の膜66が、40nm~60nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは44nm~55nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは52nm~54nmの範囲の幾何学的厚さを有し、
前記第1の膜64及び/又は前記第3の膜68が、酸化亜鉛又はスズ・ドープ酸化亜鉛を含み、及び/又は
前記第2の膜66がスズ酸亜鉛を含む、請求項1から11のいずれかに記載の積層ガラス110。
【請求項13】
前記保護層92が、30nm~100nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは50nm~90nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは60nm~80nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは65nm~75nmの範囲の幾何学的厚さを有し、
前記保護層92がシリカとアルミナの混合物を含む、請求項1~12のいずれかに記載の積層ガラス110。
【請求項14】
前記第1の位相調整層40が、スズ酸亜鉛を含む第1の膜42と、酸化亜鉛又はスズ・ドープ酸化亜鉛を含む第2の膜44とを含み、前記第1の金属層46が金属銀の連続層を含み、前記第1のプライマー層48が、チタン金属として堆積されたチタニアを含み、前記第2の位相調整層50が、酸化亜鉛又はスズ・ドープ酸化亜鉛を含む第1の膜52と、スズ酸亜鉛を含む第2の膜54と、酸化亜鉛又はスズ・ドープ酸化亜鉛を含む第3の膜56とを含み、前記第2の金属層58が金属銀の連続層を含み、前記第2のプライマー層60が、チタン金属として堆積されたチタニアを含み、前記第3の位相調整層62が、酸化亜鉛又はスズ・ドープ酸化亜鉛を含む第1の膜64と、スズ酸亜鉛を含む第2の層66と、酸化亜鉛又はスズ・ドープ酸化亜鉛を含む第3の層68とを含み、前記第3の金属層70が金属銀の連続層を含み、前記第3のプライマー層72が、チタン金属として堆積されたチタニアを含み、前記第4の位相調整層86が、酸化亜鉛又はスズ・ドープ酸化亜鉛を含む第1の層88と、スズ酸亜鉛を含む第2の層90とを含み、前記保護層92がシリカとアルミナの混合物を含む、請求項1から13のいずれかに記載の積層ガラス110。
【請求項15】
前記太陽光線制御コーティング30が前記第2の主面116にあり、前記第1の層112が、前記第2の層118よりも高い可視光透過率を有する、請求項1から14のいずれかに記載の積層ガラス110。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層ガラス用の太陽光線制御コーティング、及び太陽光線制御コーティングを取り入れる積層ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光線制御コーティングは、選択された範囲の電磁放射線を阻止又はフィルタリングする。通常、阻止される放射線は、電磁放射線スペクトルの赤外領域及び/又は紫外領域内にある。太陽光線制御コーティングは、建物又は乗り物に入る選択された範囲の太陽光エネルギーの量を低減するために、建築用窓又は乗り物の窓などのガラスに使用される。このコーティングは、建物又は乗り物の内部に蓄積する熱を低減する。
【0003】
多くの建築用ガラスは、断熱ガラス・ユニット(IGU:insulating glass unit)の形をしている。これらの断熱ガラス・ユニットは、スペーサに嵌め込まれエアギャップで分離された2枚以上のガラス板を有する。ギャップのそれぞれにアルゴンなどのガスが充填される。多くの乗り物のガラスは積層ガラスである。積層ガラスは、ポリマー材料で連結された2枚以上のガラス板を有する。建物には、IGUではなく積層ガラスを使用することが好ましい場合がある。たとえば、積層ガラスは従来のIGUよりもさらに耐衝撃性にすることができる。加えて、IGUの一部として積層ガラスを使用することが望ましい場合もある。
【0004】
したがって、建築用積層ガラスとして使用される場合には、太陽光線制御の向上及び/又は美的性能をもたらす太陽光線制御コーティングを提供することが望ましいはずである。たとえば、建物内部の熱蓄積を防止するには、太陽熱利得係数(SHGC:solar heat gain coefficient)が低い積層建築用ガラスに太陽光線制御コーティングを施すことが望ましい。たとえば、可視光線透過率が高い積層建築用ガラスに太陽光線制御コーティングを施すことが望ましい。これにより建物内部の自然照明が改善される。たとえば、ガラスを建築用ガラス又は乗り物のガラスのどちらにも使用できるように、積層ガラスに太陽光線制御コーティングを施すことが望ましい。
【0005】
加えて、太陽光線制御コーティングをIGU又は積層ガラスに施す現在の商業的方法では、太陽光線制御コーティングの各層の厚さに製造公差によるいくらかの固有のばらつきが導入され、この固有のばらつきが製品の色、透過率、又は他の光学的特性に影響を及ぼし得ることが分かっている。製品の光学的特性に対するこの固有のばらつきの影響はコーティングの設計によって異なり、層厚のばらつきがあまりに大きいと、製造工程が商業的に存続できなくなる可能性がある。
【0006】
積層ガラスにポリマー中間層が存在することが、最終ガラス製品の光学的特性に対するこの固有のばらつきの影響を増大させ得ることも分かっている。さらに、最終製品の均一性は一般に、乗り物用途よりも建築用途における方が、同じ製品の複数のパネルが互いに横に並べて配置されることが多いので、より重要である。そのため、IGU又は乗り物の積層ガラスに受け入れられ得る特定のコーティング構成物は、建築用途に使用される積層ガラスには受け入れられないことがある。したがって、光学的特性のばらつきの許容可能なレベルが建築用途に使用する積層ガラスでも得られるように、完成品の光学的特性のばらつきに及ぼす製造ばらつきの影響を最小限にする太陽光線制御コーティング構成物を提供することが望ましいはずである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
上で言及した当技術分野における不完全性の一部又は全部に対処するために、本開示は積層ガラスを提示する。積層ガラスは、ポリマー中間層によって第2の層に連結された第1の層を備える。第1の層は第1の主面及び第2の主面を有し、第2の層は第3の主面及び第4の主面を有する。太陽光線制御コーティングが主面のうちの少なくとも1つに配置される。太陽光線制御コーティングは、第1の位相調整層と、第1の位相調整層の上にある第1の金属層と、第1の金属層の上にある第1のプライマー層と、第1のプライマー層の上にある第2の位相調整層と、第2の位相調整層の上にある第2の金属層と、第2の金属層の上にある第2のプライマー層と、第2のプライマー層の上にある第3の位相調整層と、第3の位相調整層の上にある第3の金属層と、第3の金属層の上にある第3のプライマー層と、第3のプライマー層の上にある第4の位相調整層と、第4の位相調整層の上にある保護層とを含む。第1の位相調整層は、44nm~90nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは51nm~81nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは53nm~74nmの範囲の光学的厚さを有する。第2の位相調整層は、97nm~176nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは99nm~156nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは118nm~136nmの範囲の光学的厚さを有する。第3の位相調整層は、112nm~169nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは126nm~160nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは147nm~156nmの範囲の光学的厚さを有し、及び/又は、第4の位相調整層は、47nm~82nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは58nm~75nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは60nm~73nmの範囲の光学的厚さを有する。
【0008】
本発明について添付の図を参照して説明する。図で同じ参照番号は、全体を通して同じ部分を特定する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の太陽光線制御コーティングを有するコーティング品の側面図(原寸に比例しない)である。
図2】本発明の例示的な太陽光線制御コーティングの多層構造を示す、図1のコーティング品の側面図(原寸に比例しない)である。
図3】積層ガラスに取り入れられた、図1又は図2の太陽光線制御コーティングの側面図(原寸に比例しない)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
空間又は方向の用語の「左側」、「右側」、「内側」、「外側」、「上」、「下」などは、本発明が図に示されている通りに本発明と合致する。しかし、本発明では様々な代替の向きを仮定することができ、したがって、このような用語は、限定するものとみなされるべきではない。
【0011】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される全ての数値は、全ての場合において用語「約」で修飾されていると理解されたい。「約」とは、提示された値のプラス又はマイナス10パーセントの範囲を意味する。
【0012】
本明細書で開示される全ての範囲が、開始及び終止範囲値と、その中に含まれるいずれか又は全てのサブ範囲とを包含する。本明細書で開示される範囲は、指定された範囲の平均値を表す。
【0013】
本明細書で説明されるコーティング層又はフィルムに関して、用語の「~の上に」とは、議論しているコーティング層又はフィルムがある基板(又はベース層)からさらに遠くに、を意味する。たとえば、第1の層の「上にある」第2の層とは、第2の層が第1の層よりも基板(又はベース層)からさらに遠くにあることを意味する。第2の層は、第1の層と直接接触することができる。或いは、1つ又は複数の別の層を第1と第2の層の間に配置することができる。
【0014】
用語の「膜」とは、化学的に別個及び/又は同種の構成物を有する領域を意味する。「層」は1つ又は複数の「膜」を含む。「コーティング」は1つ又は複数の「層」を含む。
【0015】
用語の「ポリマー」又は「ポリマーの」は、たとえば、2つ以上の種類のモノマー又はポリマーから形成されたポリマーである、オリゴマー、ホモポリマー、コポリマー、及びターポリマーを含む。
【0016】
用語の「紫外放射線」とは、100nm~380nm未満の範囲の波長を有する電磁放射線を意味する。用語の「可視放射線」又は「可視光」とは、380nm~780nmの範囲の波長を有する電磁放射線を意味する。用語の「赤外放射線」とは、780nm超~100000nmの範囲の波長を有する電磁放射線を意味する。用語の「太陽光赤外放射線」とは、1000nm~3000nmの範囲の波長を有する電磁放射線を意味する。用語の「熱赤外放射線」とは、3000nm超~100000nmの範囲の波長を有する電磁放射線を意味する。
【0017】
本明細書で参照される全ての文献は、その全体が「参照することにより組み込まれる」。
【0018】
用語の「光学的厚さ」とは、550nmの基準波長における材料の屈折率を乗じた材料の幾何学的厚さを意味する。たとえば、5nmの幾何学的厚さと、550nmの基準波長で2の屈折率とを有する材料は、10nmの光学的厚さを有することになる。
【0019】
用語の「焼き入れされた」又は「熱処理された」とは、議論している物品又はコーティングが、熱焼き戻し、熱曲げ、及び/又は熱強化を達成するのに十分な温度まで加熱されたことを意味する。この定義は、たとえば、物品をオーブン又は炉の中で、最低で600℃など、最低で620℃などの最低で580℃の温度で、熱焼き戻し、熱曲げ、及び/又は熱強化を達成するための期間、加熱することを含む。たとえば、加熱は、1~5分などの1~15分の範囲の期間とすることができる。
【0020】
用語の「非熱処理の」とは、最終使用のために焼き入れ若しくは熱処理されていない、又は焼き入れ若しくは熱処理されるように設計されていないことを意味する。
【0021】
用語の「金属」及び「金属酸化物」とは、それぞれケイ素及びシリカ、並びに伝統的に認められている金属及び金属酸化物を含むが、ケイ素は従来、金属とみなされないことがある。
【0022】
「少なくとも」とは、「~以上」を意味する。「~より大きくない」とは、「~以下」を意味する。
【0023】
量についてのいかなる言及も、特にことわらない限り、「重量パーセントで」(重量%)である。
【0024】
厚さの値は、反する表示がない限り、幾何学的厚さの値である。
【0025】
「ドーパント」は、5重量%未満など、4重量%未満など、2重量%未満などの、10重量%未満の量で存在する材料である。たとえば、1重量%未満である。たとえば、0.5重量%未満である。たとえば、0.1重量%未満である。
【0026】
用語の「含む」は「備える」と同義である。
【0027】
用語の「硬化性」は、重合又は架橋結合することができる材料を意味する。「硬化した」とは、材料が少なくとも部分的に重合又は架橋結合しており、好ましくは完全に重合又は架橋結合していることを意味する。
【0028】
「参照積層ユニット」が、0.76mmのポリビニル・ブチラールの中間層によって連結され第2面にコーティングがある2層の2mmの透明ガラスを有すると定義される。参照積層ユニット値は、コーティングが参照積層ユニットに第2面で取り入れられたときの報告値を表す。
【0029】
用語の「太陽光線制御コーティング」とは、コーティングで反射される、吸収される、又はコーティングを透過する太陽放射線の量などの、コーティングされた物品の太陽光線特性に影響を及ぼす1つ又は複数の層又は膜から成るコーティングを指す。
【0030】
光学的な太陽光線制御の性能値(たとえば、可視光透過率及び/又は曇り)は、反する表示がない限り、Perkin Elmer1050分光光度計を使用して決定されたものである。参照積層ユニット値は、反する表示がない限り、Lawrence Berkeley National Laboratoryから入手できるOPTICS(v6.0)ソフトウェア及びWINDOWS(登録商標)(v7.3.4.0)ソフトウェアによって決定され、ガラスの中心(COG:center of glazing)で測定され、NFRC2010(NFRC100-2010を含む)標準デフォルト設定によって計算されている。
【0031】
シート抵抗値は、反する表示がない限り、4点プローブ(たとえば、Nagy Instruments SD-600測定デバイス、又はAlessi4点プローブ)を使用して決定されたものである。表面粗さの値は、Instrument Dimension 3100原子間力顕微鏡を使用して決定されたものである。
【0032】
色値(たとえば、L、a、b、C、及び色相)は、国際照明委員会によって指定された1976 CIELAB表色系に従っている。
【0033】
本明細書及び特許請求の範囲のL、a、及びbは、色中心点値を表す。
【0034】
本発明についての議論では、いくつかの特徴を特定の制限内で「特に」又は「好ましくは」のように説明することがある(たとえば、特定の制限内で「好ましくは」、「より好ましくは」、又は「さらに好ましくは」)。本発明は、これらの特定の、又は好ましい制限に限定されずに本開示の全範囲を包含することを理解されたい。
【0035】
本発明は、任意の組み合わせの以下の本発明の態様を含み、これらから成り、又は本質的にこれらから成る。本発明のそれぞれ異なる態様が別々の図に示されている。しかし、このことはただ単に、図示及び議論を容易にするためであることを理解されたい。本発明の実施においては、1つの図に示された本発明の1つ又は複数の態様を、1つ又は複数の他の図に示された本発明の1つ又は複数の態様と組み合わせることができる。
【0036】
本発明は、建築用ガラスに関して議論される。「建築用ガラス」とは、建物の表面又は中にあるあらゆるガラスを意味する。建築用ガラスの実例には、窓、天窓、及び間仕切りパネルが含まれる。しかし、本発明は、建築用ガラスに使用することに限定されずに、任意の所望の分野のガラスにも実施できることを理解されたい。実例には、積層又は非積層の住宅用及び/又は商業用の窓、並びに/或いは陸上、空中、宇宙、水上及び/又は水中の乗り物用のガラスが含まれる。したがって、特に開示された実例は、本発明の一般的な概念を単に説明するために提示されていること、及び本発明はこれらの特定の実例に限定されないことを理解されたい。加えて、典型的な「ガラス」は、ガラスを通して物が見えるように十分な可視光透過率を有し得るが、本発明の実施においては、「ガラス」は可視光に対して透明である必要がなく、半透明又は不透明でもよい。
【0037】
本発明の特徴を取り入れているコーティングされた物品10が、図1及び図2に示されている。コーティングされた物品10は、少なくとも1つの主面を有する基板11を含む。本発明の太陽光線制御コーティング30は、主面の1つの少なくとも一部分の上にある。
【0038】
図1に示されるように、太陽光線制御コーティング30は、第1の位相調整層40を含む。第1の金属層46が第1の位相調整層40の上にある。第1のプライマー層48が第1の金属層46の上にある。第2の位相調整層50が第1のプライマー層48の上にある。第2の金属層58が第2の位相調整層50の上にある。第2のプライマー層60が第2の金属層58の上にある。第3の位相調整層62が第2のプライマー層60の上にある。第3の金属層70が第3の位相調整層62の上にある。第3のプライマー層72が第3の金属層70の上にある。第4の位相調整層86が第3のプライマー層72の上にある。保護層92が第4の位相調整層86の上にある。
【0039】
基板11は、可視放射線に対して透明又は半透明にすることができる。「透明」とは、0%超から100%までの可視放射線透過率を意味する。或いは、基板11は半透明とすることができる。「半透明」とは、見る人の反対側の物体が明確に見えないように可視放射線を散乱させることを意味する。或いは、基板11は不透明にすることができる。「不透明」とは、0%の可視光透過率を意味する。基板11は、透明であることも、着色される、又は色合いがつけられることもある。
【0040】
基板11の適切な材料の実例には、プラスチック基板(ポリアクリレートなどのアクリル系ポリマー;ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレートなどのポリアルキルメタクリレート;ポリウレタン;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート(PET:polyethyleneterephthalate)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキルテレフタレート;ポリシロキサン含有ポリマー;若しくはこれらを調製するための任意のモノマーのコポリマー、又はこれらの任意の混合物など)、セラミック基板、ガラス基板、又は上記の任意の混合物若しくは組み合わせが含まれる。たとえば、基板11は、従来のソーダ石灰シリカガラス、ホウケイ酸ガラス、又は鉛入りガラスを含み得る。ガラスは透明ガラスとすることができる。「透明ガラス」とは、色合いのない、又は無着色のガラスを意味する。或いは、ガラスは、ティント・ガラス又は別に着色ガラスとすることができる。ガラスは非加熱処理又は加熱処理のガラスとすることができる。ガラスは、従来のフロート・ガラスなどの任意の種類とすることができ、任意の光学的特性、たとえば、可視放射線透過率、紫外放射線透過率、赤外放射線透過率、及び/又は全太陽光エネルギー透過率のいずれかの値、を有する任意の組成のものとすることができる。「フロート・ガラス」とは、溶融ガラスが溶融金属槽の上に堆積され、制御可能に冷却されてフロート・ガラス・リボンが生成する、従来のフロート処理によって形成されたガラスを意味する。
【0041】
基板11は、透明のフロート・ガラスとすること、又はティント・ガラス若しくは着色ガラスとすることができる。基板11は、任意の所望の寸法、たとえば、長さ、幅、形状、又は厚さとすることができる。本発明を実施するのに使用できるガラスの実例には、透明ガラス、Starphire(登録商標)、Solargreen(登録商標)、Solextra(登録商標)、GL-20(登録商標)、GL-35(商標)、Solarbronze(登録商標)、Solargray(登録商標)ガラス、Pacifica(登録商標)ガラス、SolarBlue(登録商標)ガラス、及びOptiblue(登録商標)ガラスが含まれ、すべてがVitro Architectural Glass of Cheswick、Pennsylvaniaから市販されている。
【0042】
位相調整層40、50、62、86は非金属材料を含む。たとえば、位相調整層40、50、62、86は、誘電体材料又は半導体材料を含むことができる。たとえば、位相調整層40、50、62、86は、酸化物、窒化物、オキシ窒化物、ホウ化物、炭化物、オキシ炭化物、ホウ炭化物、ホウ窒化物、炭窒化物、及び/又はこれらの混合物、組み合わせ、ブレンド、若しくは合金を含むことができる。位相調整層40、50、62、86の適切な材料の実例には、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオビウム、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、ケイ素、アルミニウム、ホウ素、の酸化物、窒化物又はオキシ窒化物、及びこれらの混合物、組み合わせ、ブレンド又は合金が含まれる。これらは、少量の別の材料を有することができる。実例には、酸化ビスマス中のマンガン、酸化インジウム中のスズなどが含まれる。加えて、金属合金又は金属混合物の酸化物を使用することができる。実例には、亜鉛及びスズを含む酸化物(たとえば、スズ酸亜鉛)、インジウム-スズ合金の酸化物、シリコン窒化物、シリコン・アルミニウム窒化物、又はアルミニウム窒化物が含まれる。さらに、ドープされた金属酸化物、亜酸化物、窒化物、亜窒化物又はオキシ窒化物を使用することができる。実例には、アンチモン若しくはインジウムがドープされたスズ酸化物、又はニッケル若しくはホウ素がドープされたシリコン酸化物が含まれる。材料の具体的な実例には、亜鉛酸化物、スズ酸化物、シリコン酸化物、シリコン-アルミニウム窒化物、シリコン-ニッケル窒化物、シリコン-クロム窒化物、アンチモンドープ酸化スズ、スズ・ドープ酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、酸化チタン、及び/又はこれらの混合物、組み合わせ、ブレンド若しくは合金が含まれる。
【0043】
位相調整層40、50、62、86のうちの1つ以上が、単一の材料及び/又は単一の膜を含むことができる。或いは位相調整層40、50、62、86のうちの1つ以上が、複数の材料及び/又は複数の膜を含むことができる。位相調整層40、50、62、86は、化学的に別個の材料若しくは相の一連の層状膜を含むことができ、且つ/又は1つ又は複数の化学的に別個の材料若しくは相の1つ又は複数の構成物を含むことができる。異なる位相調整層40、50、62、86は、同じ材料又は別々の材料を含むことができる。位相調整層40、50、62、86は、同じ厚さ又は別々の厚さを有することができる。
【0044】
位相調整層40、50、62、86は、太陽光線制御コーティング30の各層の様々な界面境界で部分的に反射される、及び/又は部分的に透過される、電磁放射線の強め合う光学干渉及び弱め合う光学干渉の調整を可能にする。位相調整層40、50、62、86の厚さ及び/又は構成物を変えることにより、太陽光線制御コーティング30の全体の反射率、透過率、及び/又は吸収率を変化させることができ、これにより、太陽光線制御コーティング30の太陽光線制御性能、熱赤外線絶縁性能、色、及び/又は美観を変えることができる。加えて、位相調整層40、50、62、86は、金属層46、58、70のうちの1つ以上など、太陽光線制御コーティング30の他の1つ又は複数の層を化学的及び/又は機械的に保護することができる。
【0045】
高い可視光透過率が望まれる場合、位相調整層40、50、62、86は反射防止層として機能して、太陽光線制御コーティング30の全体の可視光反射率を低減させる、且つ/又は可視光透過率を増加させるように金属層46、58、70の反射防止をすることができる。約2の屈折率を有する材料が、多くの金属層の反射防止に特に有用である。
【0046】
1つ又は複数の位相調整層を基板11と最下金属層46の間に配置することができる。1つ又は複数の位相調整層を最上金属層70と周囲環境(たとえば、空気)との間に配置することができる。
【0047】
図示の例示的なコーティング30では、第1の位相調整層40は、基板11の主面の少なくとも一部分の上にある。たとえば、第1の位相調整層40は、基板11と直接接触することができる。第1の位相調整層40は単一の層にすること、或いは上記の反射防止材料及び/又は誘電体材料からなる1つ又は複数の膜を含むことができる。第1の位相調整層40は、可視光に対し透明にすることができる。第1の位相調整層40は、電磁スペクトルの1つ又は複数の領域、たとえば可視光において、最小の吸収率を示すことも示さないこともある。
【0048】
第1の位相調整層40は、上述の位相調整材料のいずれでも含むことができる。たとえば、第1の位相調整層40は、金属酸化物、ドープ金属酸化物、金属酸化物の混合物、又は金属合金酸化物を含むことができる。たとえば、第1の位相調整層40は、亜鉛及びスズのドープ又は非ドープ酸化物を含むことができる。
【0049】
第1の位相調整層40は、44nm~90nmの範囲の光学的厚さを有することができる。たとえば、51nm~81nmの範囲の光学的厚さ。たとえば、53nm~74nmの範囲の光学的厚さ。
【0050】
第1の位相調整層40は、22nm~45nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、25nm~41nmの範囲の幾何学的厚さ。たとえば、26nm~37nmの範囲の幾何学的厚さ。
【0051】
図2に示されるように、第1の位相調整層40は、第1の膜42及び第2の膜44を有する複数膜構造体を含むことができる。第2の膜44は第1の膜42の上に配置することができる。
【0052】
第1の膜42は、たとえば、金属合金の酸化物又は金属酸化物の混合物を含むことができる。たとえば、第1の膜42は、亜鉛とスズの合金の酸化物とすることができる。「亜鉛とスズの合金」とは、真の合金及びまた混合物の両方を意味する。亜鉛とスズの合金の酸化物は、亜鉛とスズのカソードからのマグネトロン・スパッタリング真空堆積(MSVD:magnetron sputtering vacuum deposition)により得ることができる。カソードは亜鉛とスズを10重量%~90重量%亜鉛と90重量%~10重量%スズなど、5重量%~95重量%亜鉛と95重量%~5重量%スズの比率で含むことができる。しかし、亜鉛とスズの他の比もまた用いることができる。第1の膜42の金属合金の例示的な酸化物はZnSn1-X2-X(式1)と書くことができ、ここで「x」は0超~1未満の範囲で変化する。たとえば、「x」は0よりも大きくすることができ、0よりも大きく1よりも小さい分数又は小数とすることができる。式1の化学量論の形は「ZnSnO」であり、一般にスズ酸亜鉛と呼ばれる。スズ酸亜鉛層は、52重量%亜鉛及び48重量%スズを有するカソードから酸素の存在下でスパッタ堆積することができる。たとえば、第1の膜42はスズ酸亜鉛を含むことができる。
【0053】
ドープ酸化亜鉛は、カソードのスパッタリング特性を改善するために別の材料を含む亜鉛カソードから堆積させることができる。たとえば、亜鉛カソードは、スパッタリングを改善するために少量のスズ(5重量%までなど、たとえば、20重量%まで、15重量%まで、10重量%まで)を含むことができる。この場合、結果として得られる酸化亜鉛膜は、たとえば、20重量%まで、15重量%まで、10重量%までの酸化スズ、たとえば、5重量%までの酸化スズ(酸素を除く)である、少ないパーセンテージの酸化スズを含むことになる。他の材料の実例には、アルミニウム、インジウム、及びこれらの組み合わせが含まれる。好ましくは、他の材料にはスズが含まれる。
【0054】
第2の膜44は、金属酸化物、ドープ金属酸化物、又は混合酸化物を含むことができる。第2の膜44は、金属酸化物又はドープ金属酸化物を含むことができる。たとえば、第2の膜44は、酸化亜鉛又はドープ酸化亜鉛を含むことができる。たとえば、第2の膜44はドープ酸化亜鉛を含むことができる。
【0055】
第1の膜42は、30nm~60nmの範囲の光学的厚さを有することができる。たとえば、36nm~54nmの範囲の光学的厚さ。たとえば、37nm~50nmの範囲の光学的厚さ。
【0056】
第1の膜42は、15nm~30nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、18nm~27nmの範囲の幾何学的厚さ。たとえば、18nm~25nmの範囲の幾何学的厚さ。
【0057】
第2の膜44は、14nm~30nmの範囲の光学的厚さを有することができる。たとえば、14nm~28nmの範囲の光学的厚さ。たとえば、16nm~25nmの範囲の光学的厚さ。
【0058】
第2の膜44は、7nm~15nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、7nm~14nmの範囲の幾何学的厚さ。たとえば、8nm~13nmの範囲の幾何学的厚さ。
【0059】
金属層46、58、70は、単一の膜とすることができる。たとえば、金属層46、58、70は、連続金属膜を含むことができる。「連続」金属膜とは、均一膜などの、破断されていない、又は切断されていない膜を意味する。或いは、金属層46、58、70のうちの1つ以上は、複数の膜層とすることができる。金属層46、58、70は、好ましくは少なくとも1つの赤外線反射膜を含む。
【0060】
赤外線反射膜の実例には、連続金属膜が含まれる。赤外線反射膜にとって有用な赤外線反射金属の実例には、貴金属又は準貴金属が含まれる。このような金属の実例には、銀、金、プラチナ、パラジウム、オスミウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、銅、水銀、レニウム、アルミニウム、及びこれらの組み合わせ、混合物、ブレンド、又は合金が含まれる。たとえば、金属の膜のうちの1つ以上が、連続金属銀膜を含むことができる。
【0061】
第1の金属層46は、上記の赤外線反射金属のうちのいずれかを含む単一の赤外線反射膜を備えることができる。たとえば、第1の金属層46は、金属銀の連続膜を備えることができる。
【0062】
第1の金属層46は、8nm~15nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、8nm~13nmの範囲の幾何学的厚さ。たとえば、9nm~11nmの範囲の幾何学的厚さ。
【0063】
プライマー層48、60、72は、下にある結合された金属層に直接接触して配置される。プライマー層48、60、72は、コーティング処理、及び/又は熱焼き戻しなどの後続の処理の間、結合された金属層を保護する。プライマー材料は、金属のように堆積される。重なり合う位相調整層の堆積及び/又は熱焼き戻しなどの後続の処理の間、金属プライマーの一部又は全部が酸化する。酸化物又は窒化物材料が位相調整層に使用される場合、プライマー層48、60、72はそれぞれ、オキソフィリック材料又はニトロフィリック材料を含むことができる。プライマー層48、60、72は、すべて同じ材料である必要はない、プライマー層48、60、72は、同じ厚さである必要はない。
【0064】
プライマー層48、60、72は、完全に酸化されたときに、2~3の範囲の屈折率を有する。
【0065】
プライマー層48、60、72に対して有用な材料の実例には、チタン、ニオビウム、タングステン、ニッケル、クロム、鉄、タンタル、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素、インジウム、スズ、亜鉛、モリブデン、ハフニウム、ビスマス、バナジウム、マンガン、及びこれらの組み合わせ、混合物、ブレンド、又は合金が含まれる。
【0066】
第1のプライマー層48は、第1の金属層46の上にある。第1のプライマー層48は、単一の膜又は複数の膜層とすることができる。第1のプライマー層48は、上述のプライマー材料のいずれでも含むことができる。たとえば、第1のプライマー層48はチタンを含むことができる。たとえば、第1のプライマー層48は、チタン金属として堆積することができる。堆積したチタンは、さらなる処理、たとえば加熱、又はさらなるコーティング層の追加などによって酸化してチタニアになる。
【0067】
第1のプライマー層48は、完全に酸化したとき、6nm~14nmの範囲の光学的厚さを有することができる。たとえば、7nm~12nmの範囲内。たとえば、8nm~10nmの範囲内。
【0068】
第1のプライマー層48は、2.5nm~5.5nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、3nm~4.5nmの範囲内。たとえば、3.5nm~4nmの範囲内。
【0069】
第2の位相調整層50は、第1のプライマー層48の上にある。第2の位相調整層50は、位相調整材料及び/又は位相調整層について上述した膜のうちの1つ以上を含むことができる。
【0070】
第2の位相調整層50は、97nm~176nmの範囲の光学的厚さを有することができる。たとえば、99nm~156nmの範囲の光学的厚さ。たとえば、118nm~136nmの範囲の光学的厚さ。
【0071】
第2の位相調整層50は、33nm~88nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、33.5nm~78nmの範囲の幾何学的厚さ。たとえば、59nm~68nmの範囲の幾何学的厚さ。
【0072】
第2の位相調整層50は、単一の膜又は複数膜構造体とすることができる。たとえば、第2の位相調整層50は、第1の膜52、第2の膜54、及び第3の膜56を含むことができる。
【0073】
第1の膜52と第3の膜56は、同じ材料又は異なる材料を含むことができ、且つ/又は同じ厚さ又は異なる厚さとすることができる。第1の膜52及び/又は第3の膜56は、金属酸化物又はドープ金属酸化物を含むことができる。たとえば、第1の膜52及び/又は第3の膜56は、酸化亜鉛又はドープ酸化亜鉛を含むことができる。たとえば、第1の膜52及び/又は第3の膜56は、スズ・ドープ酸化亜鉛を含むことができる。たとえば、第1の膜52及び/又は第3の膜56は、ZnO90/10を含むことができる。
【0074】
第2の膜54は、金属合金の酸化物を含むことができる。たとえば、亜鉛及びスズを含む酸化物。たとえば、第2の膜54はスズ酸亜鉛を含むことができる。
【0075】
第1の膜52(及び/又は第3の膜56)は、17nm~33nmの範囲の光学的厚さを有することができる。たとえば、17nm~30nmの範囲の光学的厚さ。たとえば、20nm~25nmの範囲の光学的厚さ。
【0076】
第1の膜52(及び/又は第3の膜56)は、7nm~13nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、7nm~12nmの範囲の幾何学的厚さ。たとえば、8nm~10nmの範囲の幾何学的厚さ。
【0077】
第2の膜54は、70nm~130nmの範囲の光学的厚さを有することができる。たとえば、第2の膜54は、80nm~112nmの範囲の光学的厚さを有することができる。たとえば、第2の膜54は、84nm~98nmの範囲の光学的厚さを有することができる。
【0078】
第2の膜54は、35nm~65nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、第2の膜54は、40nm~56nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、第2の膜54は、42nm~49nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。
【0079】
第2の金属層58は、第2の位相調整層50の上にある。第2の金属層58は、赤外線反射膜を含む単一の膜とすることができる。或いは、第2の金属層58は複数の膜層を含むことができる。
【0080】
第2の金属層58は、上述の赤外線反射材料のうちのいずれかを含む。たとえば、第2の金属層58は連続金属膜とすることができる。たとえば、第2の金属層58は、連続銀膜とすることができる。
【0081】
第2の金属層58は、8.5nm~15nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、第2の金属層58は、10nm~13.5nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、第2の金属層58は、10nm~13nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。
【0082】
第2のプライマー層60は、第2の金属層58の上にある。第2のプライマー層60は、プライマー材料のいずれでも含むことができ、任意選択の第1のプライマー層48に関して上述した厚さのいずれかとすることができる。たとえば、第2のプライマー層60はチタンを含むことができる。
【0083】
第2のプライマー層60は、6nm~13nmの範囲の光学的厚さを有することができる。たとえば、第2のプライマー層60は、7nm~12nmの範囲の光学的厚さを有することができる。たとえば、第2のプライマー層60は、8nm~10nmの範囲の光学的厚さを有することができる。
【0084】
第2のプライマー層60は、2.5nm~5nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、第2のプライマー層60は、3nm~4.5nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、第2のプライマー層60は、3.5nm~4nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。
【0085】
第3の位相調整層62は、第2のプライマー層60の上にある。第3の位相調整層62は、第1及び第2の位相調整層40、50に関して上で論じた位相調整材料及び/又は膜のいずれでも含むことができる。たとえば、第3の位相調整層62は、複数膜構造体とすることができる。たとえば、第3の位相調整層62は、第1の膜64、第2の膜66、及び第3の膜68を含むことができる。
【0086】
第3の位相調整層62は、112nm~169nmの範囲の光学的厚さを有することができる。たとえば、第3の位相調整層62は、126nm~160nmの範囲の光学的厚さを有することができる。たとえば、第3の位相調整層62は、147nm~156nmの範囲の光学的厚さを有することができる。
【0087】
第3の位相調整層62は、56nm~85nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、第3の位相調整層62は、63nm~80nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、第3の位相調整層62は、73.5nm~78nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。
【0088】
第1の膜64及び/又は第3の膜68は、金属酸化物又はドープ金属酸化物を含むことができる。たとえば、第1の膜64及び/又は第3の膜68は、酸化亜鉛、ドープ酸化亜鉛、スズ・ドープ酸化亜鉛を含むことができる。第2の膜66は、金属合金の酸化物、たとえば、亜鉛及びスズ又はスズ酸亜鉛を含む酸化物を含むことができる。
【0089】
第1の膜64及び/又は第3の膜68は、17nm~40nmの範囲の光学的厚さを有することができる。たとえば、第1の膜64及び/又は第3の膜68は、20nm~35nmの範囲の光学的厚さを有することができる。たとえば、第1の膜64及び/又は第3の膜68は、25nm~35nmの範囲の光学的厚さを有することができる。第1の膜64及び/又は第3の膜68は、同じ厚さ又は異なる厚さとすることができる。
【0090】
第1の膜64及び/又は第3の膜68は、7nm~16nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、第1の膜64及び/又は第3の膜68は、8nm~14nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、第1の膜64及び/又は第3の膜68は、10nm~14nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。
【0091】
第2の膜66は、80nm~120nmの範囲の光学的厚さを有することができる。たとえば、第2の膜66は、88nm~110nmの範囲の光学的厚さを有することができる。たとえば、第2の膜66は、104nm~108nmの範囲の光学的厚さを有することができる。
【0092】
第2の膜66は、40nm~60nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、第2の膜66は、44nm~55nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、第2の膜66は、52nm~54nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。
【0093】
第3の金属層70は、単一の膜又は複数膜構造体とすることができる。第3の金属層70は、連続金属膜とすることができる。たとえば、第3の金属層70は、連続金属の膜とすることができる。たとえば、第3の金属層70は、金属銀膜とすることができる。
【0094】
第3の金属層70は、8.5nm~16nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、第3の金属層70は、10nm~15nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、第3の金属層70は、12nm~14nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。
【0095】
第3のプライマー層72は、上述のプライマー材料のいずれでも含むことができる。たとえば、第3のプライマー層72はチタンを含むことができる。チタンは、上述のように、さらなる処理によって酸化させてチタニアにすることができる。
【0096】
第3のプライマー層72は、2.5nm~10nmの範囲の光学的厚さを有することができる。たとえば、第3のプライマー層72は、3.5nm~8nmの範囲の光学的厚さを有することができる。たとえば、第3のプライマー層72は、5nm~6.5nmの範囲の光学的厚さを有することができる。
【0097】
第3のプライマー層72は、1nm~4nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、第3のプライマー層72は、1.5nm~3nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、第3のプライマー層72は、2nm~2.5nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。
【0098】
第4の位相調整層86は、第1、第2、又は第3の位相調整層40、50、62に関して上で論じた位相調整材料及び/又は膜のうちの1つ以上を含むことができる。
【0099】
第4の位相調整層86は、47nm~82nmの範囲の光学的厚さを有することができる。たとえば、第4の位相調整層86は、58nm~75nmの範囲の光学的厚さを有することができる。たとえば、第4の位相調整層86は、60nm~73nmの範囲の光学的厚さを有することができる。
【0100】
第4の位相調整層86は、23nm~41nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、第4の位相調整層86は、29nm~38nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、第4の位相調整層86は、30nm~37nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。
【0101】
第4の位相調整層86は、第1の膜88及び第2の膜90を含むことができる。
【0102】
第1の膜88は、金属酸化物又はドープ金属酸化物を含むことができる。たとえば、酸化亜鉛又はドープ酸化亜鉛。たとえば、第1の膜88は、スズ・ドープ酸化亜鉛を含むことができる。たとえば、ZnO90/10。第2の膜90は、金属合金の酸化物、たとえば、亜鉛及びスズ又はスズ酸亜鉛を含む酸化物を含むことができる。
【0103】
第1の膜88は、17nm~30nmの範囲の光学的厚さを有することができる。たとえば、第1の膜88は、20nm~27nmの範囲の光学的厚さを有することができる。たとえば、第1の膜88は、20nm~26nmの範囲の光学的厚さを有することができる。
【0104】
第1の膜88は、8nm~15nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、第1の膜88は、10nm~14nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、第1の膜88は、10nm~13nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。
【0105】
第2の膜90は、30nm~52nmの範囲の光学的厚さを有することができる。たとえば、第2の膜90は、36nm~50nmの範囲の光学的厚さを有することができる。たとえば、第2の膜90は、38nm~48nmの範囲の光学的厚さを有することができる。
【0106】
第2の膜90は、15nm~26nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、第2の膜90は、18nm~25nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、第2の膜90は、19nm~24nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。
【0107】
保護層92は、太陽光線制御コーティング30の終端層とすることができる。保護層92は、位相調整層に関して上述したものなどの1つ又は複数の非金属材料を含むことができる。或いは、保護層92は金属材料を含むことができる。保護層92は、下にあるコーティング層を化学的及び/又は機械的に保護することができる。保護層92は、位相調整及び/又は吸収を行うことができる。保護層92は、単一の膜とすること、又は複数膜構造体を有することができる。
【0108】
保護層92は、1つ又は複数の金属酸化物、シリコン酸化物、アルミニウム酸化物、アルミノケイ酸塩、シリコン窒化物、ケイ素炭化物、及びケイ素オキシ炭化物を含むことができる。保護層92に適している材料の実例には、ジルコニウム、亜鉛、スズ、アルミニウム、ケイ素、チタン、並びにこれらの混合物及び/又は合金の内の1つ又は複数の酸化物が含まれる。たとえば、保護層92は金属酸化物を含むことができる。たとえば、保護層は二酸化チタン(すなわち、チタニア)を含むことができる。
【0109】
例示的な金属酸化物保護層92は、12.5nm~20nmの範囲の光学的厚さを有することができる。たとえば、金属酸化物保護層92は、13nm~18nmの範囲の光学的厚さを有することができる。たとえば、金属酸化物保護層92は、14nm~16.5nmの範囲の光学的厚さを有することができる。
【0110】
例示的な金属酸化物保護層92は、5nm~8nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、金属酸化物保護層92は、5.5nm~7nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。たとえば、金属酸化物保護層92は、5.7nm~6.5nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。
【0111】
或いは、保護層92は金属酸化物の混合物、たとえばシリカとアルミナの混合物を含むことができる。
【0112】
保護層92は、少なくとも40重量%シリカと60重量%以下のアルミナなど、少なくとも70重量%シリカと30重量%以下のアルミナなど、少なくとも75重量%のシリカなど、少なくとも80重量%のシリカなど、少なくとも85重量%シリカなど、1重量%~99重量%シリカと99重量%~1重量%アルミナを含む混合金属酸化物を含むことができる。たとえば、保護層92は、85重量%シリカと15重量%アルミナを含むことができる。
【0113】
例示的な混合金属酸化物保護層92は、100nm~180nmの範囲、好ましくは120nm~160nmの範囲、より好ましくは130~150nmの範囲の光学的厚さを有することができる。
【0114】
例示的な混合金属酸化物保護層92は、50nm~90nmの範囲、好ましくは60nm~80nmの範囲、より好ましくは65~75nmの範囲の幾何学的厚さを有することができる。
【0115】
例示的なコーティング30では、第1の位相調整層40は、スズ酸亜鉛を含む第1の層42と、酸化亜鉛、ドープ酸化亜鉛又はスズ・ドープ酸化亜鉛を含む第2の層44とを含む。第1の金属層46は、金属銀の連続層を含む。第1のプライマー層48はチタニア(チタン金属として堆積)を含む。第2の位相調整層50は、酸化亜鉛、ドープ酸化亜鉛又はスズ・ドープ酸化亜鉛を含む第1の層52と、スズ酸亜鉛を含む第2の層54と、酸化亜鉛、ドープ酸化亜鉛又はスズ・ドープ酸化亜鉛を含む第3の層56とを含む。第2の金属層58は金属銀の連続層を含む。第2のプライマー層60は、チタニア(チタン金属として堆積)を含む。第3の位相調整層62は、酸化亜鉛、ドープ酸化亜鉛又はスズ・ドープ酸化亜鉛を含む第1の層64と、スズ酸亜鉛を含む第2の層66と、酸化亜鉛、ドープ酸化亜鉛又はスズ・ドープ酸化亜鉛を含む第3の層68とを含む。第3の金属層70は、金属銀の連続層を含む。第3のプライマー層72は、チタニア(チタン金属として堆積)を含む。第4の位相調整層86は、酸化亜鉛、ドープ酸化亜鉛又はスズ・ドープ酸化亜鉛を含む第1の層88と、スズ酸亜鉛を含む第2の層90とを含む。保護層92は、シリカとアルミナの混合物を含む。或いは、保護層92はチタニアを含むことができる。
【0116】
太陽光線制御コーティング30の層及び/又は膜は、任意の従来の方法によって形成することができる。このような方法の実例には、従来の化学気相堆積(CVD:chemical vapor deposition)及び/又は物理的気相堆積(PVD:physical vapor deposition)方法が含まれる。CVDプロセスの実例には、噴霧熱分解が含まれる。PVDプロセスの実例には、電子ビーム蒸着、及びマグネトロン・スパッタ蒸着(MSVD)などの真空スパッタリングが含まれる。それだけには限らないが、ゾル-ゲル堆積などの他のコーティング方法もまた使用することができる。1つ又は複数の層又は膜は、1つの方法によって形成することができ、1つ又は複数の別の層又は膜は、異なる方法で形成することができる。たとえば、コーティング30はMSVDによって形成することができる。
【0117】
図3は、積層ガラス110に取り入れられた図1又は図2のコーティング30を示す。積層ガラス110は、第2の層118に連結された第1の層112を含む。第1の層112は、第1の主面114及び第2の主面116を有する。第1の主面114(第1面)は建物外部に面し、すなわち外側主面であり、第2の主面116(第2面)は建物の内部に面する。第2の層118は、外側に面する主面120(第3面)、及び内側に面する主面122(第4面)を有する。この層面の番号付けは、開窓術における従来の慣習と合っている。
【0118】
図示の実例では、太陽光線制御コーティング30は第2面116にある。しかし、太陽光線制御コーティング30は、他の面のいずれかに配置することもできる。たとえば、太陽光線制御コーティング30は、第3面120に配置することもできる。たとえば、太陽光線制御コーティング30は、第1面114又は第4面122に配置することもできる。
【0119】
第1の層112は、中間層130によって第2の層118に連結される。中間層130は、任意の従来の中間層材料とすることができる。たとえば、中間層はポリビニル・ブチラール(PVB:polyvinyl butyral)とすることができる。
【0120】
第1の層112及び第2の層118は、基板11について上述した材料のいずれにすることもできる。第2の層118は第1の層112と同じものとすることができ、或いは第2の層118は第1の層112とは別のものとすることができる。第1の層112及び第2の層118はそれぞれ、たとえば、透明なフロート・ガラスとすること、又はティント・ガラス若しくは着色ガラスとすることができ、或いは層112、118の一方を透明ガラスとし、層112、118の他方をティント・ガラス若しくは着色ガラスとすることができる。
【0121】
第1の層112及び第2の層118は、任意の所望の寸法とすることができる。
【0122】
第1の層112及び第2の層118は、異なるレベルの可視光透過率を有することができる。たとえば、第1の層112は、第2の層118よりも高い可視光透過率を有することができる。たとえば、第1の層112は透明なガラスとし、第2の層118はティント・ガラスとすることができる。
【0123】
太陽光線制御コーティング30は、参照積層ユニットSHGCを0.3以下に、たとえば、0.29以下、0.28以下、0.27以下、0.26以下、又は0.25以下にすることができる。
【0124】
太陽光線制御コーティング30は、参照積層ユニット可視光透過率(LTA:visible light transmittance)を60%~80%の範囲内に、たとえば、65%~75%又は71%~73%にする。
【0125】
太陽光線制御コーティング30は、シート抵抗を5オーム毎スクウェア(Ω/□)未満に、たとえば、2Ω/□未満、1Ω/□未満、0.9Ω/□未満、0超~1.5Ω/□の範囲、又は0超~1Ω/□の範囲とする。
【0126】
太陽光線制御コーティング30は、参照積層ユニット透過Lを75~95の範囲、82~92の範囲、又は87~89の範囲とする。
【0127】
太陽光線制御コーティング30は、参照積層ユニット透過aを-6~1の範囲、-5~-1の範囲、又は-3~-2の範囲とする。
【0128】
太陽光線制御コーティング30は、参照積層ユニット透過bを2~6の範囲、2.5~5の範囲、又は3.8~4.4の範囲とする。
【0129】
太陽光線制御コーティング30は、参照積層ユニット反射(外面)Lを30~50の範囲、35~45の範囲、又は39~42の範囲とする。
【0130】
太陽光線制御コーティング30は、参照積層ユニット反射(外面)aを-9~1の範囲、-8~0の範囲、又は-7.4~-2の範囲とする。
【0131】
太陽光線制御コーティング30は、参照積層ユニット反射(外面)bを-7~3の範囲、-6~1.5の範囲、又は-5~0の範囲とする。
【0132】
太陽光線制御コーティング30は、参照積層ユニット反射(内面)Lを30~50の範囲、35~45の範囲、又は40~42の範囲とする。
【0133】
太陽光線制御コーティング30は、参照積層ユニット反射(内面)aを-9~0の範囲、-8~-1の範囲、又は-7.2~-3の範囲とする。
【0134】
太陽光線制御コーティング30は、参照積層ユニット反射(内面)bを-6.5~1の範囲、-5.5~0の範囲、又は-4.3~-1の範囲とする。
【0135】
本発明について、以下の番号が付けられた条項でさらに説明する。
【0136】
条項1 第1の位相調整層40と、第1の位相調整層40の上にある第1の金属層46と、第1の金属層46の上にある第1のプライマー層48と、第1のプライマー層48の上にある第2の位相調整層50と、第2の位相調整層50の上にある第2の金属層58と、第2の金属層58の上にある第2のプライマー層60と、第2のプライマー層60の上にある第3の位相調整層62と、第3の位相調整層62の上にある第3の金属層70と、第3の金属層70の上にある第3のプライマー層72と、第3のプライマー層72の上にある第4の位相調整層86と、第4の位相調整層86の上にある保護層92とを含む、太陽光線制御コーティング30。
【0137】
条項2 位相調整層40、50、62、86が非金属材料を含む、条項1の太陽光線制御コーティング30。
【0138】
条項3 位相調整層40、50、62、86が誘電体材料又は半導体材料を含む、条項1又は2の太陽光線制御コーティング30。
【0139】
条項4 第1の位相調整層40が金属酸化物、ドープ金属酸化物、金属酸化物の混合物、又は金属合金酸化物を含む、条項1から3のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0140】
条項5 第1の位相調整層40がドープ又は非ドープの亜鉛酸化物及びスズ酸化物を含む、条項1から4のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0141】
条項6 第1の位相調整層40が、44nm~90nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは51nm~81nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは53nm~74nmの範囲の光学的厚さを有する、条項1から5のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0142】
条項7 第1の位相調整層40が、22nm~45nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは25nm~41nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは26nm~37nmの範囲の幾何学的厚さを有する、条項1から5のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0143】
条項8 第1の位相調整層40が、第1の膜42、及び第1の膜42の上にある第2の膜44を有する複数膜構造体を含む、条項1から7のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0144】
条項9 第1の膜42が亜鉛とスズの合金の酸化物を含む、条項8の太陽光線制御コーティング30。
【0145】
条項10 第1の膜42がスズ酸亜鉛を含む、条項8又は9の太陽光線制御コーティング30。
【0146】
条項11 第2の膜44がドープ酸化亜鉛を含む、条項8から10のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0147】
条項12 第1の層42が、30nm~60nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは36nm~54nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは37nm~50nmの範囲の光学的厚さを有する、条項8から11のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0148】
条項13 第1の膜42が、15nm~30nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは18nm~27nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは18nm~25nmの範囲の幾何学的厚さを有する、条項8から12のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0149】
条項14 第2の膜44が、14nm~30nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは14nm~28nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは16nm~25nmの範囲の光学的厚さを有する、条項8から13のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0150】
条項15 第2の膜44が、7nm~15nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは7nm~14nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは8nm~13nmの範囲の幾何学的厚さを有する、条項8から14のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0151】
条項16 第1の金属層46が金属銀の連続膜を含む、条項1から15のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0152】
条項17 第1の金属層46が、8nm~15nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは8nm~13nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは9nm~11nmの範囲の幾何学的厚さを有する、条項1から16のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0153】
条項18 第1のプライマー層48がチタニアを含む、条項1から17のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0154】
条項19 第1のプライマー層48が、6nm~14nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは7nm~12nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは8nm~10nmの範囲の光学的厚さを有する、条項1から18のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0155】
条項20 第1のプライマー層48が、2.5nm~5.5nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは3nm~4.5nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは3.5nm~4nmの範囲の幾何学的厚さを有する、条項1から19のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0156】
条項21 第2の位相調整層50が、97nm~176nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは99nm~156nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは118nm~136nmの範囲の光学的厚さを有する、条項1から20のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0157】
条項22 第2の位相調整層50が、33nm~88nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは33.5nm~78nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは59nm~68nmの範囲の幾何学的厚さを有する、条項1から21のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0158】
条項23 第2の位相調整層50が、第1の膜52、第2の膜54、及び第3の膜56を含む、条項1から22のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0159】
条項24 第1の膜52及び第3の膜56が、酸化亜鉛又はスズ・ドープ酸化亜鉛を含む、条項23の太陽光線制御コーティング30。
【0160】
条項25 第2の膜54がスズ酸亜鉛を含む、条項23又は24の太陽光線制御コーティング30。
【0161】
条項26 第1の膜52及び/又は第3の膜56が、17nm~33nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは17nm~30nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは20nm~25nmの範囲の光学的厚さを有する、条項23から25のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0162】
条項27 第1の膜52及び/又は第3の膜56が、7nm~13nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは7nm~12nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは8nm~10nmの範囲の幾何学的厚さを有する、条項23から26のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0163】
条項28 第2の膜54が、70nm~130nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは80nm~112nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは84nm~98nmの範囲の光学的厚さを有する、条項23から27のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0164】
条項29 第2の膜54が、35nm~65nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは40nm~56nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは42nm~49nmの範囲の幾何学的厚さを有する、条項23から28のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0165】
条項30 第2の金属層58が連続銀膜を含む、条項1から29のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0166】
条項31 第2の金属層58が、8.5nm~15nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは10nm~13.5nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは10nm~13nmの範囲の幾何学的厚さを有する、条項1から30のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0167】
条項32 第2のプライマー層60がチタニアを含む、条項1から31のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0168】
条項33 第2のプライマー層60が、6nm~13nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは7nm~12nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは8nm~10nmの範囲の光学的厚さを有する、条項1から32のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0169】
条項34 第2のプライマー層60が、2.5nm~5nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは3nm~4.5nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは3.5nm~4nmの範囲の幾何学的厚さを有する、条項1から33のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0170】
条項35 第3の位相調整層62が、112nm~169nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは126nm~160nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは147nm~156nmの範囲の光学的厚さを有する、条項1から34のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0171】
条項36 第3の位相調整層62が、56nm~85nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは63nm~80nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは73.5nm~78nmの範囲の幾何学的厚さを有する、条項1から35のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0172】
条項37 第3の位相調整層62が、第1の層64、第2の層66、及び第3の層68を含む、条項1から36のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0173】
条項38 第1の膜64及び/又は第3の膜68が、酸化亜鉛又はスズ・ドープ酸化亜鉛を含む、条項37の太陽光線制御コーティング30。
【0174】
条項39 第2の膜66がスズ酸亜鉛を含む、条項37又は38の太陽光線制御コーティング30。
【0175】
条項40 第1の膜64及び/又は第3の膜68が、17nm~40nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは20nm~35nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは25nm~35nmの範囲の光学的厚さを有する、条項37から39のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0176】
条項41 第1の膜64及び/又は第3の膜68が、7nm~16nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは8nm~14nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは10nm~14nmの範囲の幾何学的厚さを有する、条項37から40のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0177】
条項42 第2の膜66が、80nm~120nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは88nm~110nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは104nm~108nmの範囲の光学的厚さを有する、条項37から41のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0178】
条項43 第2の膜66が、40nm~60nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは44nm~55nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは52nm~54nmの範囲の幾何学的厚さを有する、条項37から42のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0179】
条項44 第3の金属層70が金属銀膜を含む、条項1から43のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0180】
条項45 第3の金属層70が、8.5nm~16nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは10nm~15nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは12nm~14nmの範囲の幾何学的厚さを有する、条項1から44のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0181】
条項46 第3のプライマー層72がチタニアを含む、条項1から45のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0182】
条項47 第3のプライマー層72が、2.5nm~10nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは3.5nm~8nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは5nm~6.5nmの範囲の光学的厚さを有する、条項1から46のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0183】
条項48 第3のプライマー層72が、1nm~4nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは1.5nm~3nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは2nm~2.5nmの範囲の幾何学的厚さを有する、条項1から47のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0184】
条項49 第4の位相調整層86が、47nm~82nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは58nm~75nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは60nm~73nmの範囲の光学的厚さを有する、条項1から48のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0185】
条項50 第4の位相調整層86が、23nm~41nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは29nm~38nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは30nm~37nmの範囲の幾何学的厚さを有する、条項1から49のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0186】
条項51 第4の位相調整層86が第1の膜88及び第2の膜90を含む、条項1から50のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0187】
条項52 第1の膜88が酸化スズ又はスズ・ドープ酸化亜鉛を含む、条項51の太陽光線制御コーティング30。
【0188】
条項53 第2の膜90がスズ酸亜鉛を含む、条項51又は52の太陽光線制御コーティング30。
【0189】
条項54 第1の膜88が、17nm~30nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは20nm~27nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは20nm~26nmの範囲の光学的厚さを有する、条項51から53のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0190】
条項55 第1の膜88が、8nm~15nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは10nm~14nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは10nm~13nmの範囲の幾何学的厚さを有する、条項51から54のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0191】
条項56 第2の膜90が、30nm~52nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは36nm~50nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは38nm~48nmの範囲の光学的厚さを有する、条項51から55のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0192】
条項57 第2の膜90が、15nm~26nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは18nm~25nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは19nm~24nmの範囲の幾何学的厚さを有する、条項51から56のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0193】
条項58 保護層92がシリカとアルミナの混合物を含む、条項1から57のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0194】
条項59 保護層92が、100nm~180nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは120nm~160nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは130nm~150nmの範囲の光学的厚さを有する、条項1から58のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0195】
条項60 保護層92が、50nm~90nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは60nm~80nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは65nm~75nmの範囲の幾何学的厚さを有する、条項1から59のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0196】
条項61 第1の位相調整層40が、スズ酸亜鉛を含む第1の層42と、ZnO 90/10を含む第2の層44とを含み、第1の金属層46が金属銀の連続層を含み、第1のプライマー層48が、チタン金属として堆積されたチタニアを含み、第2の位相調整層50が、ZnO 90/10を含む第1の層52と、スズ酸亜鉛を含む第2の層54と、ZnO 90/10を含む第3の層56とを含み、第2の金属層58が金属銀の連続層を含み、第2のプライマー層60が、チタン金属として堆積されたチタニアを含み、第3の位相調整層62が、ZnO 90/10を含む第1の層64と、スズ酸亜鉛を含む第2の層66と、ZnO 90/10を含む第3の層68とを含み、第3の金属層70が金属銀の連続層を含み、第3のプライマー層72が、チタン金属として堆積されたチタニアを含み、第4の位相調整層86が、ZnO 90/10を含む第1の層88と、スズ酸亜鉛を含む第2の層90とを含み、保護層92がシリカとアルミナの混合物を含む、条項1から60のいずれかの太陽光線制御コーティング30。
【0197】
条項62 ポリマー中間層130によって第2の層118に連結された第1の層112を備える積層ガラス110であって、第1の層112が第1の主面114及び第2の主面116を有し、第2の層118が第3の主面120及び第4の主面122を有し、さらに、主面のうちの少なくとも1つに配置された、条項1から61のいずれかの太陽光線制御コーティング30を備える積層ガラス110。
【0198】
条項63 太陽光線制御コーティング30が第2の主面116にある、条項62の積層ガラス110。
【0199】
条項64 第1の層112と第2の層118が、異なるレベルの可視光透過率を有する、条項62又は63の積層ガラス110。
【0200】
条項65 第1の層112が、第2の層118よりも高い可視光透過率を有する、条項62から64のいずれかの積層ガラス110。
【0201】
条項66 第1の層112が透明ガラスを含み、第2の層118がティント・ガラスを含む、条項62から65のいずれかの積層ガラス110。
【0202】
条項67 ポリマー中間層130によって第2の層118に連結された第1の層112を備える積層ガラス110であって、第1の層112が第1の主面114及び第2の主面116を有し、第2の層118が第3の主面120及び第4の主面122を有し、積層ガラスがさらに、主面のうちの少なくとも1つに配置された太陽光線制御コーティング30を備え、太陽光線制御コーティング30が、第1の位相調整層40と、第1の位相調整層40の上にある第1の金属層46と、第1の金属層46の上にある第1のプライマー層48と、第1のプライマー層48の上にある第2の位相調整層50と、第2の位相調整層50の上にある第2の金属層58と、第2の金属層58の上にある第2のプライマー層60と、第2のプライマー層60の上にある第3の位相調整層62と、第3の位相調整層62の上にある第3の金属層70と、第3の金属層70の上にある第3のプライマー層72と、第3のプライマー層72の上にある第4の位相調整層86と、第4の位相調整層86の上にある保護層92とを含み、第1の位相調整層40が、44nm~90nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは51nm~81nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは53nm~74nmの範囲の光学的厚さを有し、第2の位相調整層50が、97nm~176nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは99nm~156nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは118nm~136nmの範囲の光学的厚さを有し、第3の位相調整層62が、112nm~169nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは126nm~160nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは147nm~156nmの範囲の光学的厚さを有し、及び/又は第4の位相調整層86が、47nm~82nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは58nm~75nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは60nm~73nmの範囲の光学的厚さを有する、積層ガラス110。
【0203】
条項68 位相調整層40、50、62、86が誘電体材料又は半導体材料を含む、条項67の積層ガラス110。
【0204】
条項69 位相調整層40、50、62、86が非金属材料を含む、条項67~68のいずれか一項の積層ガラス110。
【0205】
条項70 第1の位相調整層40が、22nm~45nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは25nm~41nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは26nm~37nmの範囲の幾何学的厚さを有し、第2の位相調整層50が、33nm~88nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは33.5nm~78nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは59nm~68nmの範囲の幾何学的厚さを有し、第3の位相調整層62が、56nm~85nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは63nm~80nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは73.5nm~78nmの範囲の幾何学的厚さを有し、及び/又は第4の位相調整層86が、23nm~41nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは29nm~38nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは30nm~37nmの範囲の幾何学的厚さを有する、条項67~69のいずれか一項の積層ガラス110。
【0206】
条項71 第1のプライマー層48が、6nm~14nmの範囲、好ましくは7nm~12nmの範囲、より好ましくは8nm~10nmの範囲の光学的厚さを有し、第2のプライマー層60が、6nm~13nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは7nm~12nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは8nm~10nmの範囲の光学的厚さを有し、及び/又は第3のプライマー層72が、2.5nm~10nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは3.5nm~8nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは5nm~6.5nmの範囲の光学的厚さを有する、条項67~70のいずれか一項の積層ガラス110。
【0207】
条項72 第1のプライマー層48が、2.5nm~5.5nmの範囲、好ましくは3nm~4.5nmの範囲、より好ましくは3.5nm~4nmの範囲の幾何学的厚さを有し、第2のプライマー層60が、2.5nm~5nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは3nm~4.5nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは3.5nm~4nmの範囲の幾何学的厚さを有し、及び/又は第3のプライマー層72が、1nm~4nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは1.5nm~3nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは2nm~2.5nmの範囲の幾何学的厚さを有する、条項67~71のいずれか一項の積層ガラス110。
【0208】
条項73 第1の金属層46が、8nm~15nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは8nm~13nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは9nm~11nmの範囲の幾何学的厚さを有し、第2の金属層58が、8.5nm~15nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは10nm~13.5nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは10nm~13nmの範囲の幾何学的厚さを有し、及び/又は第3の金属層70が、8.5nm~16nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは10nm~15nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは12nm~14nmの範囲の幾何学的厚さを有する、条項67~72のいずれか一項の積層ガラス110。
【0209】
条項74 保護層92が60nm~200nmの範囲の光学的厚さ、好ましくは100nm~180nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは120nm~160nmの範囲の光学的厚さ、より好ましくは130nm~150nmの範囲の光学的厚さを有する、条項67~73のいずれか一項の積層ガラス110。
【0210】
条項75 位相調整層40、50、62のうちの少なくとも1つが金属酸化物、ドープ金属酸化物、非ドープ金属酸化物、金属酸化物の混合物、又は金属合金酸化物を含み、金属層46、58、70のうちの少なくとも1つが金属銀の連続膜を含み、プライマー層48、60、72のうちの少なくとも1つがチタニアを含む、条項67~74のいずれか一項の積層ガラス110。
【0211】
条項76 第1の位相調整層40が、第1の膜42と、第1の膜42の上にある第2の膜44とを有する複数膜構造体を含み、第1の膜42が15nm~30nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは18nm~27nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは18nm~25nmの範囲の幾何学的厚さを有し、第2の膜44が7nm~15nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは7nm~14nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは8nm~13nmの範囲の幾何学的厚さを有し、第1の膜42が亜鉛とスズの合金の酸化物を含み、及び/又は第2の膜44が酸化亜鉛又はスズ・ドープ酸化亜鉛を含む、条項67~75のいずれか一項の積層ガラス110。
【0212】
条項77 第2の位相調整層50が第1の膜52、第2の膜54、及び第3の膜56を含み、第1の膜52及び/又は第3の膜56が、7nm~13nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは7nm~12nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは8nm~10nmの範囲の幾何学的厚さを有し、第2の膜54が、35nm~65nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは40nm~56nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは42nm~49nmの範囲の幾何学的厚さを有し、第1の膜52及び第3の膜56が酸化亜鉛又はスズ・ドープ酸化亜鉛を含み、第2の膜54がスズ酸亜鉛を含む、条項67~76のいずれか一項の積層ガラス110。
【0213】
条項78 第3の位相調整層62が第1の膜64、第2の膜66、及び第3の膜68を含み、第1の膜64及び/又は第3の膜68が、7nm~16nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは8nm~14nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは10nm~14nmの範囲の幾何学的厚さを有し、第2の膜66が、40nm~60nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは44nm~55nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは52nm~54nmの範囲の幾何学的厚さを有し、第1の膜64及び/又は第3の膜68が酸化亜鉛又はスズ・ドープ酸化亜鉛を含み、及び/又は第2の膜66がスズ酸亜鉛を含む、条項67~77のいずれか一項の積層ガラス110。
【0214】
条項79 保護層92が、30nm~100nmの範囲の幾何学的厚さ、好ましくは50nm~90nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは60nm~80nmの範囲の幾何学的厚さ、より好ましくは65nm~75nmの範囲の幾何学的厚さを有し、保護層92がシリカとアルミナの混合物を含む、条項67~78のいずれか一項の積層ガラス110。
【0215】
条項80 第1の位相調整層40が、スズ酸亜鉛を含む第1の層42と、ZnO 90/10を含む第2の層44とを含み、第1の金属層46が金属銀の連続層を含み、第1のプライマー層48が、チタン金属として堆積されたチタニアを含み、第2の位相調整層50が、ZnO 90/10を含む第1の層52と、スズ酸亜鉛を含む第2の層54と、ZnO 90/10を含む第3の層56とを含み、第2の金属層58が金属銀の連続層を含み、第2のプライマー層60が、チタン金属として堆積されたチタニアを含み、第3の位相調整層62が、ZnO 90/10を含む第1の層64と、スズ酸亜鉛を含む第2の膜66と、ZnO 90/10を含む第3の膜68とを含み、第3の金属層70が金属銀の連続層を含み、第3のプライマー層72が、チタン金属として堆積されたチタニアを含み、第4の位相調整層86が、ZnO 90/10を含む第1の層88と、スズ酸亜鉛を含む第2の層90とを含み、保護層92がシリカとアルミナの混合物を含む、条項67~79のいずれか一項の積層ガラス110。
【0216】
条項81 太陽光線制御コーティング30が第2の主面116にあり、及び/又は第1の層112が、第2の層118よりも高い可視光透過率を有する、条項67~80のいずれか一項の積層ガラス110。
【0217】
上記に開示された概念から逸脱することなく本発明に修正が加えられ得ることが、当業者には容易に理解されよう。したがって、本明細書に詳細に説明された特定の実施例は例示的なものにすぎず、また、添付の特許請求の範囲及びそのあらゆる全ての等価物の全範囲が付与される本発明の範囲を限定するものではない。
図1
図2
図3