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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】情報処理装置及びレコーディング方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/433 20110101AFI20220302BHJP
   H04N 5/765 20060101ALI20220302BHJP
   H04N 7/15 20060101ALI20220302BHJP
   H04N 21/442 20110101ALI20220302BHJP
【FI】
H04N21/433
H04N5/765
H04N7/15 150
H04N21/442
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020198260
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2020-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】牧 耕太郎
【審査官】長谷川 素直
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-58014(JP,A)
【文献】特開2007-81507(JP,A)
【文献】特開2019-46047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00-21/858
H04N 5/765
H04N 7/14-7/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の情報処理装置とネットワークを介した通話を可能とするアプリケーションがマイクロフォン又はスピーカを占有したことを検知する検知部と、
前記アプリケーションによる前記マイクロフォン又は前記スピーカの占有が検知された場合に、前記スピーカに出力される音声データ及び前記マイクロフォンから入力された音声データの記録を開始するレコーディング部と
を具備する情報処理装置。
【請求項2】
前記検知部は、前記アプリケーションが前記マイクロフォン又は前記スピーカを開放したことを検知し、
前記レコーディング部は、前記マイクロフォン又は前記スピーカの開放が検知された場合に、前記音声データの記録を停止する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記レコーディング部は、前記マイクロフォン又は前記スピーカの占有が検知された場合に、表示部に出力される映像データの記録を開始し、前記マイクロフォン又は前記スピーカの開放が検知された場合に、前記映像データの記録を停止する請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記レコーディング部は、前記マイクロフォン又は前記スピーカを占有している前記アプリケーションのウィンドウに表示される映像データの記録を行う請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記マイクロフォン又は前記スピーカを占有している前記アプリケーションの名前を取得し、取得したアプリケーション名を前記レコーディング部によって記録されたデータのファイル名又はメタデータに含めるファイル作成部を備える請求項1から4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記マイクロフォン又は前記スピーカを占有している前記アプリケーションのウィンドウタイトルを取得し、取得した前記ウィンドウタイトルを前記レコーディング部によって記録されたデータのファイル名又はメタデータに含めるファイル作成部を備える請求項1から4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
他の情報処理装置とネットワークを介した通話を可能とするアプリケーションがマイクロフォン又はスピーカを占有したことを検知する工程と、
前記アプリケーションによる前記マイクロフォン又は前記スピーカの占有が検知された場合に、前記スピーカに出力される音声データ及び前記マイクロフォンから入力された音声データの記録を開始する工程と
をコンピュータが実行するレコーディング方法。
【請求項8】
前記アプリケーションが前記マイクロフォン又は前記スピーカを開放したことを検知する工程と、
前記マイクロフォン又は前記スピーカの開放が検知された場合に、前記音声データの記録を停止する工程と
をコンピュータが実行する請求項7に記載のレコーディング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びレコーディング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、テレワークを行う機会が増加し、これに伴いビデオ会議も頻繁に行われている。このようなビデオ会議に関し、会議後に会議の内容を確認したり、会議に出席できなかった人に会議の内容を伝えるために、会議中の音声を録音したり、表示部に表示した映像データを録画するシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-216984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来提供されているビデオ会議における録音や録画のシステムは、ビデオ会議を設定した特定のユーザに録音等の権限があり、各参加者が任意に録音等を行うことができなかった。
【0005】
また、近年普及しているMicrosoft Teams(登録商標)、ZOOM(登録商標)等のコミュニケーションアプリの中には、録音機能を搭載しているアプリケーションも存在する。しかしながら、録音機能を開始する入力操作がアプリケーションによって異なるため、不慣れなアプリケーションを用いて会議等を行うときには、録音等の開始操作を円滑に行えない場合があった。また、このようなミーティングアプリケーションは、ユーザが録音等の開始や停止を入力操作する必要があるため、録音のし忘れが発生する可能性があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、レコーディングの利便性を向上させることのできる情報処理装置及びレコーディング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一態様は、他の情報処理装置とネットワークを介した通話を可能とするアプリケーションがマイクロフォン又はスピーカを占有したことを検知する検知部と、前記アプリケーションによる前記マイクロフォン又は前記スピーカの占有が検知された場合に、前記スピーカに出力される音声データ及び前記マイクロフォンから入力された音声データの記録を開始するレコーディング部とを具備する情報処理装置である。
【0008】
本発明の第二態様は、他の情報処理装置とネットワークを介した通話を可能とするアプリケーションがマイクロフォン又はスピーカを占有したことを検知する工程と、前記アプリケーションによる前記マイクロフォン又は前記スピーカの占有が検知された場合に、前記スピーカに出力される音声データ及び前記マイクロフォンから入力された音声データの記録を開始する工程とをコンピュータが実行するレコーディング方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、レコーディングの利便性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係る情報処理装置が備える各種機能のうち、レコーディング機能の一例を示した機能ブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る情報処理装置が備える各種機能のうち、レコーディング機能に関するソフトウェア構成の一例について示した図である。
図4】本発明の一実施形態におけるレコーディング方法の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る情報処理装置及びレコーディング方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。情報処理装置の一例として、ノートPC、デスクトップ型PC、タブレット端末、スマートフォン等が挙げられる。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。図1に示すように、情報処理装置10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)11、メインメモリ12、記憶部13、マイクロフォン(以下「マイク」という。)14、スピーカ15、外部インターフェース16、通信部17、入力部18、表示部19等を備えている。これら各部は直接的にまたはバスを介して間接的に相互に接続されており互いに連携して各種処理を実行する。また、情報処理装置10は、カメラ等を備えていてもよい。
【0013】
CPU11は、例えば、バスを介して接続された記憶部13に格納されたOS(Operating System)により情報処理装置10全体の制御を行うとともに、記憶部13に格納された各種プログラムを実行することにより各種処理を実行する。
【0014】
メインメモリ12は、キャッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の書き込み可能なメモリで構成され、CPU11の実行プログラムの読み出し、実行プログラムによる処理データの書き込み等を行う作業領域として利用される。
【0015】
記憶部13は、例えば、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等であり、例えば、Windows(登録商標)、iOS(登録商標)、Android(登録商標)等の情報処理装置10全体の制御を行うためのOS、周辺機器類をハードウェア操作するための各種デバイスドライバ、各種アプリケーションソフトウェア(以下、単に「アプリケーション」という。)、及び各種データやファイル等を格納する。また、記憶部13には、各種処理を実現するためのプログラムや、各種処理を実現するために必要とされる各種データが格納されている。
【0016】
マイク14は、CPU11からの指令に基づいて動作し、取得した音を電気信号に変換して出力する。
スピーカ15は、CPU11からの指令に基づいて動作し、電気信号を音に変換して出力する。
マイク14及びスピーカ15は、情報処理装置10に搭載されるものであってもよいし、後述する外部インターフェース16や近距離通信等を介して接続/非接続が可能な構成とされていてもよい。
【0017】
外部インターフェース16は、外部機器と接続するためのインターフェースである。外部機器の一例として、外部モニタ、USBメモリ、外付けHDD等が挙げられる。なお、図1に示した例では、外部インターフェースは、1つしか図示されていないが、複数の外部インターフェースを備えていてもよい。
【0018】
通信部17は、ネットワークに接続して他の装置と通信を行い、情報の送受信を行うためのインターフェースとして機能する。
入力部18は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等、ユーザが情報処理装置10に対して指示を与えるためのユーザインタフェースである。
表示部19は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)等で構成される表示画面を有し、情報処理装置10によって実行されたアプリケーション等の結果等を表示するものである。
【0019】
図2は、本実施形態に係る情報処理装置10が備える各種機能のうち、レコーディング機能の一例を示した機能ブロック図である。後述する各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶部13に記憶されており、このプログラムをCPU11がメインメモリ12に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、記憶部13に予めインストールされている形態や、他のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0020】
図2に示すように情報処理装置10は、他の情報処理装置とネットワークを介した通話を可能とするアプリケーション(以下「コミュニケーションアプリ」という。)20と、レコーディングシステム30とを備えている。
コミュニケーションアプリ20は、例えば、音声と映像とを用いたコミュニケーションをWEB上で実現するためのアプリケーションであり、一例として、Microsoft Teams(登録商標)、ZOOM(登録商標)、LINE(登録商標)、SKYPE(登録商標)等が挙げられる。
【0021】
図2では、3つのコミュニケーションアプリ20a、20b、20cを有する場合を例示しているが、コミュニケーションアプリは少なくとも一つ備えられていればよい。また、このコミュニケーションアプリ20は、ウェブブラウザ等を介してクラウド上で動作するものでもよく、必ずしも情報処理装置10にインストールされている必要はない。
【0022】
レコーディングシステム30は、検知部31、レコーディング部32、及びファイル作成部33を備えている。
検知部31は、コミュニケーションアプリ20がマイク14(図1参照)又はスピーカ15(図1参照)を占有したことを検知する。
例えば、検知部31は、いずれかのアプリケーションによってマイク14又はスピーカ15が占有されたことを検知し、更に、そのアプリケーションが予め登録されているコミュニケーションアプリ20であった場合に、コミュニケーションアプリ20がマイク14又はスピーカ15を占有したことを検知してもよい。
【0023】
例えば、検知部31は、データを記録する対象となるコミュニケーションアプリ20のアプリケーション名が予め登録された登録リスト(いわゆる「ホワイトリスト」)を有している。そして、いずれかのアプリケーションによってマイク14又はスピーカ15が占有されたことを検知した場合に、そのアプリケーション名が登録リストに登録されているか否かを判定する。そして、登録リストに登録されている場合に、コミュニケーションアプリ20がマイク14又はスピーカ15を占有したことを検知する。
【0024】
また、検知部31は、上記ホワイトリストに代えて、データを記録する対象外のアプリケーションが登録された登録リスト(いわゆる「ブラックリスト」)を有していてもよい。この場合には、マイク14又はスピーカ15を占有したアプリケーションが登録リスト(ブラックリスト)に登録されていない場合に、データ記録の対象となるアプリケーションによってマイク14又はスピーカ15が占有されたことを検知する。例えば、ブラックリストには、マイクボリュームの設定アプリや音声アシスタントのアプリが登録される。登録リストをブラックリストとすることで、未知のコミュニケーションアプリでもデータ記録を開始させることが可能となる。
【0025】
なお、マイク14占有の場合と、スピーカ15占有の場合とで、参照する登録リストを異ならせてもよい。例えば、マイク14の占有が検知された場合には、データ記録の対象外であるアプリケーションが登録されたブラックリストを用い、スピーカ15の占有が検知された場合には、データ記録の対象であるアプリケーションが登録されたホワイトリストを用いてデータ記録の対象であるか否かを判定することとしてもよい。これは、一般的にマイク14よりもスピーカ15の占有を行うアプリケーションの数が多いためである。また、これらの登録リストに登録されるアプリケーション名は、ユーザによるカスタマイズが可能な構成とされていてもよい。
【0026】
上記「マイク14を占有した状態」とは、コミュニケーションアプリ20がマイク14の使用を許可されている状態をいい、より具体的には、OSによってアプリケーションにマイク14の使用権(占有権)が与えられている状態をいう。例えば、マイク14を占有した状態とは、コミュニケーションアプリ20を用いたウェブ会議が行われているときに、ユーザによるミュート及びミュート解除の入力操作が行われることによって、アプリケーション上でマイク14の機能がオフからオンに一時的に切り替えられた状態を意味するものではない。
【0027】
また、コミュニケーションアプリ20がスピーカ15を占有した状態とは、コミュニケーションアプリ20がスピーカ15の使用を許可されている状態をいい、より具体的には、OSによってコミュニケーションアプリ20にスピーカ15の使用権(占有権)が与えられている状態をいう。
【0028】
また、検知部31は、マイク14又はスピーカ15を占有していたコミュニケーションアプリ20がマイク14又はスピーカ15を開放したことを検知する。
【0029】
ここで、マイク14の開放とは、コミュニケーションアプリ20がマイク14の使用権を開放した状態をいい、より具体的には、OSによってコミュニケーションアプリ20に与えられていたマイク14の使用権が開放された状態をいう。例えば、マイク14を開放した状態とは、コミュニケーションアプリ20を用いたウェブ会議が行われているときに、ユーザによるミュート及びミュート解除の入力操作が行われることによって、アプリケーション上でマイク14の機能がオンからオフに一時的に切り替えられた状態を意味するものではない。
【0030】
また、スピーカ15の開放とは、コミュニケーションアプリ20がスピーカ15の使用権を開放した状態をいい、より具体的には、OSによってコミュニケーションアプリ20に与えられていたスピーカ15の使用権が開放された状態をいう。
【0031】
レコーディング部32は、検知部31によってコミュニケーションアプリ20によるマイク14又はスピーカ15の占有が検知された場合に、スピーカ15に出力される音声データ及びマイク14から入力された音声データの記録を開始する。なお、レコーディング部32は、例えば、コミュニケーションアプリ20によってスピーカ15が占有されていることが検知された場合であって、マイク14がオフ状態とされていた場合には、スピーカ15から出力される音声データのみを記録する。
【0032】
更に、レコーディング部32は、表示部19(図1参照)に出力される映像データの記録を開始してもよい。映像データは、例えば、マイク14又はスピーカ15を占有しているアプリケーションのウィンドウに表示される映像データの記録を行うこととしてもよい。これにより、ユーザが複数のウィンドウを立ち上げている場合に、ビデオ会議とは関係のない映像データまで記録することを回避することができる。
【0033】
また、レコーディング部32は、コミュニケーションアプリ20によって占有されていたマイク14又はスピーカ15の開放が検知された場合に、音声データの記録を停止する。また、レコーディング部32は、映像データの記録を行っていた場合には、映像データの記録も停止する。
【0034】
ファイル作成部33は、レコーディング部32によって記録されたデータをデータファイルとして記憶部13に格納する。このとき、データファイルは、スピーカ15に出力される音声データ及びマイク14から入力された音声データがマージされたデータファイルであってもよい。更に、映像データについても記録されていた場合には、音声データと映像データとをマージしたデータファイルであってもよい。なお、音声データと映像データとをマージする他、これらを単独ファイルとしてそれぞれ記憶部13に格納することしてもよい。このように、データの格納態様については特に限定されない。
なお、データのマージ技術については、各種公知技術を適宜適用することが可能である。
【0035】
ファイル作成部33は、マイク14又はスピーカ15を占有しているコミュニケーションアプリ20のアプリケーション名を取得し、取得したアプリケーション名を記憶部13に格納するデータファイルのタイトル又はメタデータに含める。また、記録が行われた日時に関する情報を更に含めることとしてもよい。
【0036】
また、ファイル作成部33は、アプリケーション名に代えて、又は加えて、マイク14又はスピーカ15を占有しているコミュニケーションアプリ20のウィンドウタイトル(例えば、ミーティング名)を取得し、取得したウィンドウタイトルを記憶部13に格納するデータファイルのタイトル又はメタデータに含めることとしてもよい。
上記アプリケーション名及びウィンドウタイトルは、例えば、OSやカレンダー情報等から取得することが可能である。
【0037】
記憶部13には、レコーディング部32によって記録されたデータが格納されるとともに、そのデータファイル名又はメタデータには、記録を行ったコミュニケーションアプリのタイトルやウィンドウタイトルが含まれることとなる。これにより、ユーザは、いつ、どのミーティングに対応するデータであるかを容易に確認することができる。
【0038】
次に、上述した情報処理装置10のレコーディング方法を実現するためのソフトウェア構成の一例について図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係る情報処理装置10が備える各種機能のうち、レコーディング機能に関するソフトウェア構成の一例について示した図である。
【0039】
図3に示すように、情報処理装置10は、コミュニケーションアプリ20(20a~20c)、レコーディングアプリケーション(以下「レコーディングアプリ」という。)40、及びメディアシステム50を備えている。
【0040】
コミュニケーションアプリ20は、OS上で動作するアプリケーションソフトウェアであり、上述したように、他の情報処理装置とネットワークを介した通話を可能とするアプリケーションである。
【0041】
レコーディングアプリ40は、OS上で動作するアプリケーションソフトウェアであり、図2に示したレコーディングシステム30の機能を実現するためのアプリケーションである。例えば、レコーディングアプリ40は、図2に示した検知部31、レコーディング部32、及びファイル作成部33の機能を実現するためのプログラムである。
【0042】
メディアシステム50は、音声を司るOSのコンポーネントであり、例えば、各種アプリケーションからの音声に関するリクエストに応じて音声出力を制御する。
【0043】
次に、レコーディングアプリ40によって実現される処理について、図4を参照して説明する。図4は、本実施形態におけるレコーディング方法の処理手順の一例を示したフローチャートである。以下の処理手順では、録音を行うアプリケーションが登録された登録リスト(いわゆる「ホワイトリスト」)を用いる場合を例示して説明する。
【0044】
まず、情報処理装置10が起動されると、レコーディングアプリ40が起動され、メディアシステム50に対してイベントのサブスクライブを出力する(SA1)。これは、例えば、いずれかのアプリケーションからマイク14(図3参照)又はスピーカ15(図3参照)の占有リクエストがメディアシステム50に入力された場合に、その旨の通知をリクエストするものである。
【0045】
メディアシステム50は、OS上で動作しているいずれかのアプリケーションからマイク14又はスピーカ15の占有リクエストが入力されると、レコーディングアプリ40に対して、マイク14又はスピーカ15の占有通知を行う(SA2)。また、このとき、メディアシステム50は、マイク14又はスピーカ15の占有リクエストを発行したアプリケーション名も占有通知とともに出力する。
【0046】
レコーディングアプリ40は、マイク14又はスピーカ15の占有通知を受けると、占有通知と共にメディアシステム50から通知されたアプリケーション名が登録リスト(「ホワイトリスト」)に登録されているコミュニケーションアプリ20であるか否かを判定する(SA3)。この結果、登録リストに登録されていない場合には(SA3:NO)、レコーディングは行わずに、マイク14又はスピーカ15の占有通知を再度受け付けるまで待機状態となる。一方、登録リストに登録されている場合には(SA3:YES)、コミュニケーションアプリ20によるマイク14又はスピーカ15の占有を検知し、レコーディングを開始する(SA4)。
【0047】
レコーディングアプリ40は、レコーディングを開始すると、レコーディング開始の通知をメディアシステム50に行う(SA5)。この際、レコーディングアプリ40は、「レコーディングを開始します」等のメッセージを表示部19に表示させて、ユーザに対して録音開始を通知することとしてもよい。
【0048】
続いて、会議や通話が終了する等して、マイク14又はスピーカ15を占有していたアプリケーションからメディアシステム50にマイク14又はスピーカ15の開放リクエストが入力されると、メディアシステム50は、レコーディングアプリ40に対してマイク14又はスピーカ15の開放通知を行う(SA6)。また、メディアシステム50は、この開放通知とともに、マイク14又はスピーカ15の開放リクエストの発行元であるアプリケーションの情報(例えば、アプリケーション名)をレコーディングアプリ40に出力する。
【0049】
レコーディングアプリ40は、マイク14又はスピーカ15の開放通知を受けると、レコーディングの対象としていたコミュニケーションアプリ20によるマイク14又はスピーカ15の占有が開放されたか否かを判定する(SA7)。この結果、否定判定であった場合には(SA7:NO)、そのまま録音を継続して行う。一方、肯定判定であった場合には(SA7:YES)、コミュニケーションアプリ20のマイク14又はスピーカ15の開放を検知し、レコーディングを停止する(SA8)。レコーディングアプリ40は、レコーディングを停止すると、レコーディング停止の通知をメディアシステム50に行う(SA9)。この際、レコーディングアプリ40は、「レコーディングを終了します」等のメッセージを表示部19に表示させて、ユーザに対して録音終了を通知することとしてもよい。
【0050】
このようにして、レコーディングが終了すると、例えば、ビデオ会議等の音声データ及び映像データがマージされたデータがデータファイルとして記憶部13に格納される。また、例えば、このデータファイルのファイル名やメタデータには、マイク14又はスピーカ15を占有していたコミュニケーションアプリ20のアプリケーション名、ウィンドウタイトル、ミーティング日時等の属性情報が含まれる。
【0051】
そして、上述したSA2~SA9の処理が情報処理装置10のシャットダウンまで繰り返し行われることにより、ビデオ会議等が行われる度に、自動的にその会議の音声データや映像データが記憶部13に格納されることとなる。
【0052】
以上、説明してきたように、本実施形態に係る情報処理装置10及びレコーディング方法によれば、コミュニケーションアプリ20がマイク14又はスピーカ15を占有したことを検知した場合に、マイク14に入力された音声データ及びスピーカ15へ出力される音声データ等の記録を開始し、コミュニケーションアプリ20がマイク14又はスピーカ15を開放したことを検知した場合に、音声データ等の記録を停止する。これにより、ユーザが録音や録画のための入力操作を行うことなく、自動的に会議等の音声データが記録されることとなる。これにより、利便性を高めることが可能となる。更に、音声データ等の録音はローカルで行うことができるので、ユーザは他の参加者を気にする必要もない。
【0053】
また、スピーカ15が占有されたか否かに応じて音声データ等の記録を開始することにより、例えば、複数の参加者に対してウェブを介してセミナーを提供する場合等のように、マイク14を用いずに会議に参加する場合のレコーディングにも対応することができる。
【0054】
また、記録される音声データは、図3に示すように、マイク14から出力されたデジタル音声データ及びメディアシステム50からスピーカ15へ出力されるデジタル音声データとなるので、アナログデータを録音する場合に比べて、高い音質で記録することが可能となるとともに、データ容量を削減することができる。
【0055】
また、音声データと同時に映像データも記録する場合には、マイク14又はスピーカ15を占有しているコミュニケーションアプリ20のウィンドウに表示されている映像データを記録する。これにより、例えば、他のウィンドウを表示して作業を行っている場合に、会議以外の映像データについても録画されることを回避することが可能となる。
また、記憶部13に格納されるデータファイルのタイトル又はメタデータには、会議等を行ったコミュニケーションアプリ20のアプリケーション名やウィンドウタイトル(例えば、ミーティング名)が含まれるので、ユーザは容易に所望のデータファイルを検索したり見つけたりすることができる。
【0056】
なお、本実施形態に係る情報処理装置10及びレコーディング方法では、上述したように自動的に音声データや映像データが記録されることから、記憶部13のデータ空き容量を圧迫する可能性がある。このため、例えば、所定のデータ容量を超えた場合に、ユーザに対してアラームを発生したり、あるいは、古いデータから自動的に削除するような機能を設けることとしてもよい。例えば、映像データは音声データに比べて容量が大きいため、映像データの容量が所定値を超えた場合には、古い映像データから所定の時間間隔で画像フレームを抽出し、抽出した画像フレームのみを記録することとしてもよい。すなわち、映像データの圧縮レベルを古い映像データ程、高くするように調整する。
【0057】
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、上記実施形態で説明したレコーディング方法の手順も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10 :情報処理装置
11 :CPU
12 :メインメモリ
13 :記憶部
14 :マイク
15 :スピーカ
16 :外部インターフェース
17 :通信部
18 :入力部
19 :表示部
20 :コミュニケーションアプリ
20a :コミュニケーションアプリ
20b :コミュニケーションアプリ
20c :コミュニケーションアプリ
30 :レコーディングシステム
31 :検知部
32 :レコーディング部
33 :ファイル作成部
40 :レコーディングアプリケーション
50 :メディアシステム
【要約】
【課題】レコーディングの利便性を向上させることのできる情報処理装置及びレコーディング方法を提供することを目的とする。
【解決手段】情報処理装置10は、他の情報処理装置とネットワークを介した通話を可能とするアプリケーションがマイクロフォン又はスピーカを占有したことを検知する検知部31と、アプリケーションによるマイクロフォン又はスピーカの占有が検知された場合に、スピーカに出力される音声データ及びマイクロフォンから入力された音声データの記録を開始するレコーディング部32とを備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4