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7033198光配向性共重合体、光配向膜および光学積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】光配向性共重合体、光配向膜および光学積層体
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/30 20060101AFI20220302BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220302BHJP
【FI】
C08F220/30
B32B27/00 B
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020521271
(86)(22)【出願日】2019-05-22
(86)【国際出願番号】 JP2019020213
(87)【国際公開番号】W WO2019225632
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2020-10-26
(31)【優先権主張番号】P 2018100688
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018124970
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018196909
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】野副 寛
(72)【発明者】
【氏名】飯泉 隆史
(72)【発明者】
【氏名】中川 一茂
(72)【発明者】
【氏名】加藤 考浩
(72)【発明者】
【氏名】朝日 美帆
(72)【発明者】
【氏名】大村 浩文
(72)【発明者】
【氏名】平井 友樹
【審査官】藤井 勲
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-038412(JP,A)
【文献】特表平06-509889(JP,A)
【文献】特開2008-083394(JP,A)
【文献】特開2012-107198(JP,A)
【文献】特開2015-031823(JP,A)
【文献】国際公開第2016/143860(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/069252(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/199986(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/216812(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/003682(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/117082(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/124439(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/131943(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 220/00 - 220/70
G02B 5/30
G02F 1/1337
B32B 1/00 - 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(A)で表される光配向性基を含む繰り返し単位Aと、下記式(B)で表される架橋性基を含む繰り返し単位Bのみからなる、光配向性共重合体。
【化1】
前記式(A)中、Rは、水素原子またはメチル基を表す。Lは、窒素原子とシクロアルカン環とを含む2価の連結基を表し、前記シクロアルカン環を構成する炭素原子の一部が、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよい。R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、R、R、R、RおよびRのうち、隣接する2つの基が結合して環を形成していてもよい。
前記式(B)中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、Lは、2価の連結基を表し、Xは、下記式(X1)~(X4)からなる群から選択される少なくとも1種の架橋性基を表す。
【化2】
前記式(X1)~(X4)中、*は、前記式(B)中のLとの結合位置を表し、Rは、水素原子、メチル基およびエチル基のいずれかを表し、前記式(X4)中、Sは、ビニル基、アリル基、スチリル基、アクリロイル基およびメタクリロイル基のいずれかを表す。
【請求項2】
前記繰り返し単位Bが、前記式(B)中のXが前記式(X1)~(X3)のいずれかで表される架橋性基である繰り返し単位と、前記式(B)中のXが前記式(X4)で表される架橋性基である繰り返し単位とを含む、請求項1に記載の光配向性共重合体。
【請求項3】
前記式(B)中のLが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~18の直鎖状、分岐状または環状のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~12のアリーレン基、エーテル基、カルボニル基、および、置換基を有していてもよいイミノ基からなる群から選択される少なくとも2以上の基を組み合わせた2価の連結基である、請求項1または2に記載の光配向性共重合体。
【請求項4】
前記式(A)中のLが、下記式(1)~(10)のいずれかで表される2価の連結基である、請求項1~3のいずれか1項に記載の光配向性共重合体。
【化3】
前記式(1)~(10)中、*1は、前記式(A)中の主鎖を構成する炭素原子との結合位置を表し、*2は、前記式(A)中のカルボニル基を構成する炭素原子との結合位置を表す。
【請求項5】
前記式(A)中のLが、前記式(2)、(3)、(7)および(8)のいずれかで表される2価の連結基である、請求項4に記載の光配向性共重合体。
【請求項6】
前記式(A)中のR、R、R、RおよびRのうち、少なくともRが置換基を表す、請求項1~5のいずれか1項に記載の光配向性共重合体。
【請求項7】
前記式(A)中のR、R、RおよびRがいずれも水素原子を表す、請求項6に記載の光配向性共重合体。
【請求項8】
前記式(A)中のRが、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、又は、アルコキシ基である、請求項6または7に記載の光配向性共重合体。
【請求項9】
前記式(A)中のRが、炭素数が6~16のアルコキシ基である、請求項8に記載の光配向性共重合体。
【請求項10】
前記式(A)中のR、R、R、RおよびRが表す置換基が、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数1~20の直鎖状のハロゲン化アルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数6~20のアリール基、炭素数6~20のアリールオキシ基、シアノ基、アミノ基、または、下記式(11)で表される基である、請求項1~6のいずれか1項に記載の光配向性共重合体。
【化4】
前記式(11)中、*は、前記式(A)中のベンゼン環との結合位置を表し、Rは、1価の有機基を表す。
【請求項11】
前記繰り返し単位Aの含有量aと、前記繰り返し単位Bの含有量bとが、質量比で下記式(12)を満たす、請求項1~10のいずれか1項に記載の光配向性共重合体。
0.03 ≦ a/(a+b) ≦ 0.5 ・・・(12)
【請求項12】
前記繰り返し単位Aの含有量aと、前記繰り返し単位Bの含有量bとが、質量比で下記式(13)を満たす、請求項11に記載の光配向性共重合体。
0.03 ≦ a/(a+b) ≦ 0.3 ・・・(13)
【請求項13】
前記繰り返し単位Aの含有量aと、前記繰り返し単位Bの含有量bとが、質量比で下記式(14)を満たす、請求項11に記載の光配向性共重合体。
0.03 ≦ a/(a+b) ≦ 0.2 ・・・(14)
【請求項14】
重量平均分子量が10000~500000である、請求項1~13のいずれか1項に記載の光配向性共重合体。
【請求項15】
重量平均分子量が30000~300000である、請求項14に記載の光配向性共重合体。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の光配向性共重合体を含有する光配向膜用組成物を用いて形成した、光配向膜。
【請求項17】
請求項16に記載の光配向膜と、液晶性化合物を含有する液晶組成物を用いて形成される光学異方性層とを有する、光学積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光配向性共重合体、光配向膜および光学積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
光学補償シートおよび位相差フィルムなどの光学フィルムは、画像着色解消および視野角拡大などの観点から、様々な画像表示装置で用いられている。
光学フィルムとしては延伸複屈折フィルムが使用されていたが、近年、延伸複屈折フィルムに代えて、液晶性化合物を用いた光学異方性層を使用することが提案されている。
【0003】
このような光学異方性層は、液晶性化合物を配向させるために、光学異方性層を形成する支持体上に配向膜を設けることが知られており、また、この配向膜として、ラビング処理に代えて光配向処理を施した光配向膜が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、シンナメート基を含む構成単位a1を有する重合体Aと、シンナメート基を有し、重合体Aよりも分子量が小さい低分子化合物Bと、を含有する光配向膜用組成物が記載されており([請求項1])、重合体Aが、エポキシ基、オキセタニル基などの架橋性基を含む構成単位a2を有している態様が記載されている([0024]~[0028])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2017/069252号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、特許文献1に記載された重合体Aとして、シンナメート基を含む構成単位a1とともに、架橋性基を含む構成単位a2を有する共重合体を検討したところ、得られる光配向膜上に光学異方性層を形成する際に、使用する溶剤の種類によっては光配向膜の配向性が乱れる場合があり、また、光学異方性層を形成するタイミングによっては液晶性化合物の配向性(以下、「液晶配向性」ともいう。)が劣る場合があることを明らかとした。
【0007】
そこで、本発明は、耐溶剤性および液晶配向性に優れる光配向膜を作製することができる光配向性共重合体、ならびに、それを用いて作製した光配向膜および光学積層体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、特定の光配向性基を含む繰り返し単位と、架橋性基を含む繰り返し単位とを有する共重合体を用いることにより、得られる光配向膜の耐溶剤性および液晶配向性が良好となることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
【0009】
[1] 下記式(A)で表される光配向性基を含む繰り返し単位Aと、下記式(B)で表される架橋性基を含む繰り返し単位Bとを有する、光配向性共重合体。
【化1】
上記式(A)中、Rは、水素原子またはメチル基を表す。Lは、窒素原子とシクロアルカン環とを含む2価の連結基を表し、シクロアルカン環を構成する炭素原子の一部が、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよい。R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、R、R、R、RおよびRのうち、隣接する2つの基が結合して環を形成していてもよい。
上記式(B)中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、Lは、2価の連結基を表し、Xは、架橋性基を表す。
【0010】
[2] 上記式(B)中のXが、下記式(X1)~(X4)からなる群から選択される少なくとも1種の架橋性基である、[1]に記載の光配向性共重合体。
【化2】
上記式(X1)~(X4)中、*は、上記式(B)中のLとの結合位置を表し、Rは、水素原子、メチル基およびエチル基のいずれかを表し、上記式(X4)中、Sは、エチレン性不飽和二重結合を有する官能基を表す。
[3] 繰り返し単位Bが、上記式(B)中のXが上記式(X1)~(X3)のいずれかで表される架橋性基である繰り返し単位と、上記式(B)中のXが上記式(X4)で表される架橋性基である繰り返し単位とを含む、[2]に記載の光配向性共重合体。
【0011】
[4] 上記式(B)中のLが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~18の直鎖状、分岐状または環状のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~12のアリーレン基、エーテル基、カルボニル基、および、置換基を有していてもよいイミノ基からなる群から選択される少なくとも2以上の基を組み合わせた2価の連結基である、[1]~[3]のいずれかに記載の光配向性共重合体。
【0012】
[5] 上記式(A)中のLが、下記式(1)~(10)のいずれかで表される2価の連結基である、[1]~[4]のいずれかに記載の光配向性共重合体。
【化3】
上記式(1)~(10)中、*1は、上記式(A)中の主鎖を構成する炭素原子との結合位置を表し、*2は、上記式(A)中のカルボニル基を構成する炭素原子との結合位置を表す。
【0013】
[6] 上記式(A)中のLが、上記式(2)、(3)、(7)および(8)のいずれかで表される2価の連結基である、[5]に記載の光配向性共重合体。
【0014】
[7] 上記式(A)中のR、R、R、RおよびRのうち、少なくともRが置換基を表す、[1]~[6]のいずれかに記載の光配向性共重合体。
[8] 上記式(A)中のR、R、RおよびRがいずれも水素原子を表す、[7]に記載の光配向性共重合体。
[9] 上記式(A)中のRが、電子供与性の置換基である、[7]または[8]に記載の光配向性共重合体。
[10] 上記式(A)中のRが、炭素数が6~16のアルコキシ基である、[9]に記載の光配向性共重合体。
[11] 上記式(A)中のR、R、R、RおよびRが表す置換基が、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数1~20の直鎖状のハロゲン化アルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数6~20のアリール基、炭素数6~20のアリールオキシ基、シアノ基、アミノ基、または、下記式(11)で表される基である、[1]~[10]のいずれかに記載の光配向性共重合体。
【化4】
上記式(11)中、*は、上記式(A)中のベンゼン環との結合位置を表し、Rは、1価の有機基を表す。
【0015】
[12] 繰り返し単位Aの含有量aと、繰り返し単位Bの含有量bとが、質量比で下記式(12)を満たす、[1]~[11]のいずれかに記載の光配向性共重合体。
0.03 ≦ a/(a+b) ≦ 0.5 ・・・(12)
[13] 繰り返し単位Aの含有量aと、繰り返し単位Bの含有量bとが、質量比で下記式(13)を満たす、[12]に記載の光配向性共重合体。
0.03 ≦ a/(a+b) ≦ 0.3 ・・・(13)
[14] 繰り返し単位Aの含有量aと、繰り返し単位Bの含有量bとが、質量比で下記式(14)を満たす、[12]に記載の光配向性共重合体。
0.03 ≦ a/(a+b) ≦ 0.2 ・・・(14)
【0016】
[15] 重量平均分子量が10000~500000である、[1]~[14]のいずれかに記載の光配向性共重合体。
[16] 重量平均分子量が30000~300000である、[15]に記載の光配向性共重合体。
【0017】
[17] [1]~[16]のいずれかに記載の光配向性共重合体を含有する光配向膜用組成物を用いて形成した、光配向膜。
[18] [17]に記載の光配向膜と、液晶性化合物を含有する液晶組成物を用いて形成される光学異方性層とを有する、光学積層体。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、耐溶剤性および液晶配向性に優れる光配向膜を作製することができる光配向性共重合体、ならびに、それを用いて作製した光配向膜および光学積層体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本願明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0020】
[光配向性共重合体]
本発明の光配向性共重合体は、下記式(A)で表される光配向性基を含む繰り返し単位Aと、下記式(B)で表される架橋性基を含む繰り返し単位Bとを有する、光配向性の共重合体である。
【化5】
上記式(A)中、Rは、水素原子またはメチル基を表す。Lは、窒素原子とシクロアルカン環とを含む2価の連結基を表し、シクロアルカン環を構成する炭素原子の一部が、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよい。R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、R、R、R、RおよびRのうち、隣接する2つの基が結合して環を形成していてもよい。
上記式(B)中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、Lは、2価の連結基を表し、Xは、架橋性基を表す。
【0021】
本発明においては、上記式(A)で表される光配向性基を含む繰り返し単位Aと、上記式(B)で表される架橋性基を含む繰り返し単位Bとを有する光配向性共重合体を用いることにより、得られる光配向膜の耐溶剤性および液晶配向性が良好となる。
これは、詳細には明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。
すなわち、上記式(A)中のLで表される2価の連結基が、窒素原子とシクロアルカン環とを含むことにより、水素結合性および分子剛直性が高まることで分子運動が抑制され、その結果、耐溶剤性が向上したと考えられる。
同様に、上記式(A)中のLで表される2価の連結基が、窒素原子とシクロアルカン環とを含むことにより、共重合体のガラス転移温度が上昇し、得られる光配向膜の経時安定性が向上した結果、光学異方性層を形成するタイミングに寄らず、液晶配向性が良好になったと考えられる。
【0022】
次に、上記式(A)中のLが表す、窒素原子とシクロアルカン環とを含む2価の連結基について説明する。なお、本発明においては、上述した通り、シクロアルカン環を構成する炭素原子の一部は、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよい。また、シクロアルカン環を構成する炭素原子の一部が窒素原子で置換されている場合は、シクロアルカン環とは別に窒素原子を有していなくてもよい。
【0023】
また、上記式(A)中のLが表す2価の連結基に含まれるシクロアルカン環は、炭素数6以上のシクロアルカン環であることが好ましく、その具体例としては、シクロヘキサン環、シクロペプタン環、シクロオクタン環、シクロドデカン環、シクロドコサン環等が挙げられる。
【0024】
本発明においては、液晶配向性がより良好となる理由から、上記式(A)中のLが、下記式(1)~(10)のいずれかで表される2価の連結基であることが好ましい。
【化6】
上記式(1)~(10)中、*1は、上記式(A)中の主鎖を構成する炭素原子との結合位置を表し、*2は、上記式(A)中のカルボニル基を構成する炭素原子との結合位置を表す。
【0025】
上記式(1)~(10)のいずれかで表される2価の連結基のうち、光配向膜を形成する際に用いる溶媒に対する溶解性と、得られる光配向膜の耐溶剤性とのバランスが良好となる理由から、上記式(2)、(3)、(7)および(8)のいずれかで表される2価の連結基であることが好ましい。
【0026】
次に、上記記式(A)中のR、R、R、RおよびRの一態様が表す置換基について説明する。なお、上記式(A)中のR、R、R、RおよびRが、置換基ではなく水素原子であってもよいことは上述した通りである。
【0027】
上記式(A)中のR、R、R、RおよびRの一態様が表す置換基は、光配向性基が液晶性化合物と相互作用しやすくなり、液晶配向性がより良好となる理由から、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数1~20の直鎖状のハロゲン化アルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数6~20のアリール基、炭素数6~20のアリールオキシ基、シアノ基、アミノ基、または、下記式(11)で表される基であることが好ましい。
【化7】
ここで、上記式(11)中、*は、上記式(A)中のベンゼン環との結合位置を表し、Rは、1価の有機基を表す。
【0028】
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、中でも、フッ素原子、塩素原子であるのが好ましい。
【0029】
炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基について、直鎖状のアルキル基としては、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基などが挙げられる。
分岐状のアルキル基としては、炭素数3~6のアルキル基が好ましく、具体的には、例えば、イソプロピル基、tert-ブチル基などが挙げられる。
環状のアルキル基としては、炭素数3~6のアルキル基が好ましく、具体的には、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0030】
炭素数1~20の直鎖状のハロゲン化アルキル基としては、炭素数1~4のフルオロアルキル基が好ましく、具体的には、例えば、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基などが挙げられ、中でも、トリフルオロメチル基が好ましい。
【0031】
炭素数1~20のアルコキシ基としては、炭素数1~18のアルコキシ基が好ましく、炭素数6~18のアルコキシ基がより好ましく、炭素数6~14のアルコキシ基が更に好ましい。具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-ブトキシ基、メトキシエトキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-オクチルオキシ基、n-デシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基、n-テトラデシルオキシ基などが好適に挙げられ、中でも、n-ヘキシルオキシ基、n-オクチルオキシ基、n-デシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基、n-テトラデシルオキシ基がより好ましい。
【0032】
炭素数6~20のアリール基としては、炭素数6~12のアリール基が好ましく、具体的には、例えば、フェニル基、α-メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられ、中でも、フェニル基が好ましい。
【0033】
炭素数6~20のアリールオキシ基としては、炭素数6~12のアリールオキシ基が好ましく、具体的には、例えば、フェニルオキシ基、2-ナフチルオキシ基などが挙げられ、中でも、フェニルオキシ基が好ましい。
【0034】
アミノ基としては、例えば、第1級アミノ基(-NH);メチルアミノ基などの第2級アミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、含窒素複素環化合物(例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンなど)の窒素原子を結合手とした基などの第3級アミノ基;が挙げられる。
【0035】
上記式(11)で表される基について、上記式(11)中のRが表す1価の有機基としては、例えば、炭素数1~20の直鎖状または環状のアルキル基が挙げられる。
直鎖状のアルキル基としては、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基などが挙げられ、中でも、メチル基またはエチル基が好ましい。
環状のアルキル基としては、炭素数3~6のアルキル基が好ましく、具体的には、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられ、中でも、シクロヘキシル基が好ましい。
なお、上記式(11)中のRが表す1価の有機基としては、上述した直鎖状のアルキル基および環状のアルキル基を直接または単結合を介して複数組み合わせたものであってもよい。
【0036】
本発明においては、光配向性基が液晶性化合物と相互作用しやすくなり、液晶配向性がより良好となる理由から、上記式(A)中のR、R、R、RおよびRのうち、少なくともRが上述した置換基を表していることが好ましく、更に、得られる光配向性共重合体の直線性が向上し、液晶性化合物と相互作用しやすくなり、液晶配向性が更に良好となる理由から、R、R、RおよびRがいずれも水素原子を表すことがより好ましい。
【0037】
本発明においては、得られる光配向膜に光照射した際に反応効率が向上する理由から、上記式(A)中のRが電子供与性の置換基であることが好ましい。
ここで、電子供与性の置換基(電子供与性基)とは、ハメット値(Hammett置換基定数σp)が0以下の置換基のことをいい、例えば、上述した置換基のうち、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基などが挙げられる。
これらのうち、アルコキシ基であることが好ましく、液晶配向性がより良好となる理由から、炭素数が6~16のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素数7~10のアルコキシ基であることが更に好ましい。
【0038】
次に、上記式(B)中のLが表す2価の連結基について説明する。
【0039】
2価の連結基としては、光配向性基が液晶性化合物と相互作用しやすくなり、液晶配向性がより良好となる理由から、置換基を有していてもよい炭素数1~18の直鎖状、分岐状または環状のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~12のアリーレン基、エーテル基(-O-)、カルボニル基(-C(=O)-)、および、置換基を有していてもよいイミノ基(-NH-)からなる群から選択される少なくとも2以上の基を組み合わせた2価の連結基であることが好ましい。
【0040】
ここで、アルキレン基、アリーレン基およびイミノ基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、シアノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基および水酸基などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、中でも、フッ素原子、塩素原子であるのが好ましい。
アルキル基としては、例えば、炭素数1~18の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基が好ましく、炭素数1~8のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、シクロヘキシル基等)がより好ましく、炭素数1~4のアルキル基であることが更に好ましく、メチル基またはエチル基であるのが特に好ましい。
アルコキシ基としては、例えば、炭素数1~18のアルコキシ基が好ましく、炭素数1~8のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-ブトキシ基、メトキシエトキシ基等)がより好ましく、炭素数1~4のアルコキシ基であることが更に好ましく、メトキシ基またはエトキシ基であるのが特に好ましい。
アリール基としては、例えば、炭素数6~12のアリール基が挙げられ、具体的には、例えば、フェニル基、α-メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられ、中でも、フェニル基が好ましい。
アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ、ナフトキシ、イミダゾイルオキシ、ベンゾイミダゾイルオキシ、ピリジン-4-イルオキシ、ピリミジニルオキシ、キナゾリニルオキシ、プリニルオキシ、チオフェン-3-イルオキシなどが挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。
【0041】
炭素数1~18の直鎖状、分岐状または環状のアルキレン基について、直鎖状のアルキレン基としては、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基などが挙げられる。
また、分岐状のアルキレン基としては、具体的には、例えば、ジメチルメチレン基、メチルエチレン基、2,2-ジメチルプロピレン基、2-エチル-2-メチルプロピレン基などが挙げられる。
また、環状のアルキレン基としては、具体的には、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロオクチレン基、シクロデシレン基、アダマンタン-ジイル基、ノルボルナン-ジイル基、exo-テトラヒドロジシクロペンタジエン-ジイル基などが挙げられ、中でも、シクロヘキシレン基が好ましい。
【0042】
炭素数6~12のアリーレン基としては、具体的には、例えば、フェニレン基、キシリレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、2,2’-メチレンビスフェニル基などが挙げられ、中でも、フェニレン基が好ましい。
【0043】
次に、上記式(B)中のXが表す架橋性基について説明する。
【0044】
上記式(B)中のX(架橋性基)としては、具体的には、例えば、エポキシ基、エポキシシクロヘキシル基、オキセタニル基、および、エチレン性不飽和二重結合を有する官能基などが挙げられ、中でも、下記式(X1)~(X4)からなる群から選択される少なくとも1種の架橋性基であることが好ましい。
【化8】
上記式(X1)~(X4)中、*は、上記式(B)中のLとの結合位置を表し、Rは、水素原子、メチル基およびエチル基のいずれかを表し、上記式(X4)中、Sは、エチレン性不飽和二重結合を有する官能基を表す。
ここで、エチレン性不飽和二重結合を有する官能基としては、具体的には、例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基が挙げられ、アクリロイル基またはメタクリロイル基であることが好ましい。
【0045】
本発明においては、後述する本発明の光学積層体の強度が高くなり、後述する本発明の光学積層体を用いて他の層を形成する際のハンドリング性が良好となる理由から、繰り返し単位Bが、上記式(B)中のXが上記式(X1)~(X3)のいずれかで表される架橋性基である繰り返し単位(以下、「繰り返し単位B1」とも略す。)と、上記式(B)中のXが上記式(X4)で表される架橋性基である繰り返し単位(以下、「繰り返し単位B2」とも略す。)とを含んでいることが好ましい。
【0046】
上記式(A)表される光配向性基を含む繰り返し単位Aとしては、具体的には、例えば、以下に示す繰り返し単位A-1~A-44が挙げられる。なお、下記式中、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。なお、以下の具体例中、繰り返し単位A-1~A-10の2価の連結基に含まれる「1,4-シクロヘキシル基」は、シス体およびトランス体のいずれであってもよいが、トランス体であることが好ましい。
【化9】



【化10】





【0047】
一方、上記式(B)表される架橋性基を含む繰り返し単位B(繰り返し単位B1)としては、具体的には、例えば、以下に示す繰り返し単位B-1~B-17が挙げられる。
【化11】


【0048】
また、上記式(B)表される架橋性基を含む繰り返し単位B(繰り返し単位B2)としては、具体的には、例えば、以下に示す繰り返し単位B-18~B-47が挙げられる。
【化12】



【0049】
本発明の光配向性共重合体は、上述した繰り返し単位Aの含有量aと、上述した繰り返し単位Bの含有量bとが、質量比で下記式(12)を満たしていることが好ましく、下記式(13)を満たしていることがより好ましく、下記式(14)を満たしていることが更に好ましく、下記式(15)を満たしていることが特に好ましい。
0.03 ≦ a/(a+b) ≦ 0.5 ・・・(12)
0.03 ≦ a/(a+b) ≦ 0.3 ・・・(13)
0.03 ≦ a/(a+b) ≦ 0.2 ・・・(14)
0.05 ≦ a/(a+b) ≦ 0.2 ・・・(15)
【0050】
また、本発明の光配向性共重合体は、上述した繰り返し単位B1とともに上述した繰り返し単位B2を有する場合、良好な液晶配向性、密着性を維持しつつ、光配向膜を含む光学異方性層の強度をより高められる理由から、上述した繰り返し単位Aの含有量aと、上述した繰り返し単位B1の含有量b1と、上述した繰り返し単位B2の含有量b2とが、質量比で下記式(16)を満たしていることが好ましく、下記式(17)を満たしていることがより好ましい。
0.05 ≦ b2/(a+b1+b2) ≦ 0.7 ・・・(16)
0.10 ≦ b2/(a+b1+b2) ≦ 0.5 ・・・(17)
【0051】
本発明の光配向性共重合体は、本発明の効果を阻害しない限り、上述した繰り返し単位Aおよび繰り返し単位B以外に、他の繰り返し単位を有していてもよい。
このような他の繰り返し単位を形成するモノマー(ラジカル重合性単量体)としては、例えば、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、マレイミド化合物、アクリルアミド化合物、アクリロニトリル、マレイン酸無水物、スチレン化合物、ビニル化合物等が挙げられる。
【0052】
本発明の光配向性共重合体の合成法は特に限定されず、例えば、上述した繰り返し単位Aを形成するモノマー、上述した繰り返し単位Bを形成するモノマー、および、任意の他の繰り返し単位を形成するモノマーを混合し、有機溶剤中で、ラジカル重合開始剤を用いて重合することにより合成することができる。
【0053】
本発明の光配向性共重合体の重量平均分子量(Mw)は、液晶配向性がより向上する理由から、10000~500000が好ましく、30000~300000がより好ましい。
ここで、本発明における重量平均分子量および数平均分子量は、以下に示す条件でゲル浸透クロマトグラフ(GPC)法により測定された値である。
・溶媒(溶離液):THF(テトラヒドロフラン)
・装置名:TOSOH HLC-8320GPC
・カラム:TOSOH TSKgel Super HZM-H(4.6mm×15cm
)を3本接続して使用
・カラム温度:40℃
・試料濃度:0.1質量%
・流速:1.0ml/min
・校正曲線:TOSOH製TSK標準ポリスチレン Mw=2800000~1050(Mw/Mn=1.03~1.06)までの7サンプルによる校正曲線を使用
【0054】
[光配向膜]
本発明の光配向膜は、上述した本発明の光配向性共重合体を含有する光配向膜用組成物(以下、形式的に「本発明の光配向膜用組成物」ともいう。)を用いて形成される光配向膜である。
光配向膜の膜厚としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10~1000nmが好ましく、10~700nmがより好ましい。
【0055】
本発明の光配向膜用組成物における本発明の光配向性共重合体の含有量は特に限定されないが、後述する有機溶媒を含有する場合、有機溶媒100質量部に対して0.1~50質量部であるのが好ましく、0.5~10質量部であるのがより好ましい。
【0056】
本発明の光配向膜用組成物は、光配向膜を作製する作業性等の観点から、有機溶媒を含有するのが好ましい。
有機溶媒としては、具体的には、例えば、ケトン類(例えば、アセトン、2-ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなど)、エーテル類(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサンなど)、脂環式炭化水素類(例えば、シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼンなど)、ハロゲン化炭素類(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、クロロトルエンなど)、エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、水、アルコール類(例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノールなど)、セロソルブ類(例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシドなど)、アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0057】
本発明の光配向膜用組成物は、上記以外の他の成分を含有してもよく、例えば、架橋触媒、密着改良剤、レベリング剤、界面活性剤、可塑剤などが挙げられる。
【0058】
〔光配向膜の製造方法〕
本発明の光配向膜は、上述した本発明の光配向膜用組成物を用いる以外は従来公知の製造方法により製造することができ、例えば、上述した本発明の光配向膜用組成物を支持体表面に塗布する塗布工程と、光配向膜用組成物の塗膜に対し、偏光または塗膜表面に対して斜め方向から非偏光を照射する光照射工程とを有する製造方法により作製することができる。
なお、支持体については、後述する本発明の光学積層体において説明する。
【0059】
<塗布工程>
塗布工程における塗布方法は特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、フレキソ印刷、インクジェット印刷などが挙げられる。
【0060】
<光照射工程>
光照射工程において、光配向膜用組成物の塗膜に対して照射する偏光は特に制限はなく、例えば、直線偏光、円偏光、楕円偏光などが挙げられ、中でも、直線偏光が好ましい。
また、非偏光を照射する「斜め方向」とは、塗膜表面の法線方向に対して極角θ(0<θ<90°)傾けた方向である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、θが20~80°であることが好ましい。
【0061】
偏光または非偏光における波長としては、光配向膜用組成物の塗膜に、液晶性分子に対する配向制御能を付与することができる限り、特に制限はないが、例えば、紫外線、近紫外線、可視光線などが挙げられる。中でも、250nm~450nmの近紫外線が特に好ましい。
また、偏光または非偏光を照射するための光源としては、例えば、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどが挙げられる。このような光源から得た紫外線や可視光線に対して、干渉フィルタや色フィルタなどを用いることで、照射する波長範囲を制限することができる。また、これらの光源からの光に対して、偏光フィルタや偏光プリズムを用いることで、直線偏光を得ることができる。
【0062】
偏光または非偏光の積算光量としては、光配向膜用組成物の塗膜に、液晶性分子に対する配向制御能を付与することができる限り、特に制限はなく、特に制限はないが、1~300mJ/cmが好ましく、5~100mJ/cmがより好ましい。
偏光または非偏光の照度としては、光配向膜用組成物の塗膜に、液晶性分子に対する配向制御能を付与することができる限り、特に制限はないが、0.1~300mW/cmが好ましく、1~100mW/cmがより好ましい。
【0063】
[光学積層体]
本発明の光学積層体は、上述した本発明の光配向膜と、液晶性化合物を含有する液晶組成物を用いて形成される光学異方性層とを有する、光学積層体である。
また、本発明の光学積層体は、更に支持体を有しているのが好ましく、具体的には、支持体と光配向膜と光学異方性層とをこの順に有しているのが好ましい。
【0064】
〔光学異方性層〕
本発明の光学積層体が有する光学異方性層は、液晶性化合物を含有する光学異方性層であれば特に限定されず、従来公知の光学異方性層を適宜採用して用いることができる。
このような光学異方性層は、重合性基を有する液晶性化合物を含有する組成物(以下、「光学異方性層形成用組成物」ともいう。)を硬化させて得られる層であるのが好ましく、単層構造であってもよく、複数層を積層した構造(積層体)であってもよい。
以下に、光学異方性層形成用組成物が含有している液晶性化合物および任意の添加剤について説明する。
【0065】
<液晶性化合物>
光学異方性層形成用組成物が含有する液晶性化合物は、重合性基を有する液晶性化合物である。
一般的に、液晶性化合物はその形状から、棒状タイプと円盤状タイプに分類できる。更にそれぞれ低分子と高分子タイプがある。高分子とは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。
本発明においては、いずれの液晶性化合物を用いることもできるが、棒状液晶性化合物またはディスコティック液晶性化合物を用いるのが好ましく、棒状液晶性化合物を用いるのがより好ましい。
【0066】
本発明においては、上述の液晶性化合物の固定化のために、重合性基を有する液晶性化合物を用いるが、液晶性化合物が1分子中に重合性基を2以上有することが更に好ましい。なお、液晶性化合物が2種類以上の混合物の場合には、少なくとも1種類の液晶性化合物が1分子中に2以上の重合性基を有していることが好ましい。なお、液晶性化合物が重合によって固定された後においては、もはや液晶性を示す必要はない。
【0067】
また、重合性基の種類は特に制限されず、付加重合反応が可能な官能基が好ましく、重合性エチレン性不飽和基または環重合性基が好ましい。より具体的には、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基などが好ましく挙げられ、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。なお、(メタ)アクリロイル基とは、メタアクリロイル基またはアクリロイル基を意味する表記である。
【0068】
棒状液晶性化合物としては、例えば、特表平11-513019号公報の請求項1や特開2005-289980号公報の段落[0026]~[0098]に記載のものを好ましく用いることができ、ディスコティック液晶性化合物としては、例えば、特開2007-108732号公報の段落[0020]~[0067]や特開2010-244038号公報の段落[0013]~[0108]に記載のものを好ましく用いることができるが、これらに限定されない。
【0069】
また、本発明においては、上記液晶性化合物として、逆波長分散性の液晶性化合物を用いることができる。
ここで、本明細書において「逆波長分散性」の液晶性化合物とは、これを用いて作製された位相差フィルムの特定波長(可視光範囲)における面内のレターデーション(Re)値を測定した際に、測定波長が大きくなるにつれてRe値が同等または高くなるものをいう。
また、逆波長分散性の液晶性化合物は、上記のように逆波長分散性のフィルムを形成できるものであれば特に限定されず、例えば、特開2008-297210号公報に記載の一般式(I)で表される化合物(特に、段落番号[0034]~[0039]に記載の化合物)、特開2010-084032号公報に記載の一般式(1)で表される化合物(特に、段落番号[0067]~[0073]に記載の化合物)、特開2016-053709号公報に記載の一般式(II)で表される化合物(特に、段落番号[0036]~[0043]に記載の化合物)、および、特開2016-081035公報に記載の一般式(1)で表される化合物(特に、段落番号[0043]~[0055]に記載の化合物)等を用いることができる。
【0070】
特に、逆波長分散性の液晶性化合物としては、例えば、下記式(21)~(32)で表される化合物が好適に挙げられ、具体的には、下記式(21)~(32)中のK(側鎖構造)として、下記表1および表2に示す側鎖構造を有する化合物がそれぞれ挙げられる。
なお、下記表1および表2中、Kの側鎖構造に示される「*」は、芳香環との結合位置を表す。
また、下記表1中の1-2および下記表2中の2-2で表される側鎖構造において、それぞれアクリロイルオキシ基およびメタクリロイル基に隣接する基は、プロピレン基(メチル基がエチレン基に置換した基)を表し、メチル基の位置が異なる位置異性体の混合物を表す。
【化13】
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
<添加剤>
光学異方性層形成用組成物には、上述した液晶性化合物以外の成分が含まれていてもよい。
例えば、光学異方性層形成用組成物には、重合開始剤が含まれていてもよい。使用される重合開始剤は、重合反応の形式に応じて選択され、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤が挙げられる。例えば、光重合開始剤の例には、α-カルボニル化合物、アシロインエーテル、α-炭化水素置換芳香族アシロイン化合物、多核キノン化合物、トリアリールイミダゾールダイマーとp-アミノフェニルケトンとの組み合わせなどが挙げられる。
重合開始剤の使用量は、組成物の全固形分に対して、0.01~20質量%であることが好ましく、0.5~5質量%であることがより好ましい。
【0074】
また、光学異方性層形成用組成物には、塗膜の均一性、膜の強度の点から、重合性モノマーが含まれていてもよい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性またはカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基含有の液晶性化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開2002-296423号公報中の段落[0018]~[0020]に記載のものが挙げられる。
重合性モノマーの含有量は、液晶性化合物の全質量に対して、1~50質量%であることが好ましく、2~30質量%であることがより好ましい。
【0075】
また、光学異方性層形成用組成物には、塗膜の均一性、膜の強度の点から、界面活性剤が含まれていてもよい。
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特にフッ素系化合物が好ましい。具体的には、例えば特開2001-330725号公報中の段落[0028]~[0056]に記載の化合物、特開2005-062673号公報の段落[0069]~[0126]に記載の化合物が挙げられる。
【0076】
また、光学異方性層形成用組成物には、光学異方性層を偏光子として機能させる観点から、二色性物質が含まれていてもよい。
上記二色性物質は、特に限定されず、可視光吸収物質(二色性色素)、発光物質(蛍光物質、燐光物質)、紫外線線吸収物質、赤外線吸収物質、非線形光学物質、カーボンナノチューブ、無機物質(例えば量子ロッド)などが挙げられ、従来公知の二色性物質(二色性色素)を使用することができる。
具体的には、例えば、特開2013-228706号公報の[0067]~[0071]段落、特開2013-227532号公報の[0008]~[0026]段落、特開2013-209367号公報の[0008]~[0015]段落、特開2013-14883号公報の[0045]~[0058]段落、特開2013-109090号公報の[0012]~[0029]段落、特開2013-101328号公報の[0009]~[0017]段落、特開2013-37353号公報の[0051]~[0065]段落、特開2012-63387号公報の[0049]~[0073]段落、特開平11-305036号公報の[0016]~[0018]段落、特開2001-133630号公報の[0009]~[0011]段落、特開2011-215337号公報の[0030]~[0169]、特開2010-106242号公報の[0021]~[0075]段落、特開2010-215846号公報の[0011]~[0025]段落、特開2011-048311号公報の[0017]~[0069]段落、特開2011-213610号公報の[0013]~[0133]段落、特開2011-237513号公報の[0074]~[0246]段落、特開2016-006502号公報の[0005]~[0051]段落、国際公開第2016/060173号の[0005]~[0041]段落、国際公開第2016/136561号の[0008]~[0062]段落、国際公開第2017/154835号の[0014]~[0033]段落、国際公開第2017/154695号の[0014]~[0033]段落、国際公開第2017/195833号の[0013]~[0037]段落などに記載されたものが挙げられる。
本発明においては、2種以上の二色性物質を併用してもよく、例えば、光吸収異方性層を黒色に近づける観点から、波長370~550nmの範囲に極大吸収波長を有する少なくとも1種の二色性物質と、波長500~700nmの範囲に極大吸収波長を有する少なくとも1種の二色性物質とを併用することが好ましい。
【0077】
また、光学異方性層形成用組成物には有機溶媒が含まれていてもよい。有機溶媒としては、上述した本発明の光配向膜用組成物において説明したものと同様のものを挙げることができる。
【0078】
また、光学異方性層形成用組成物には、偏光子界面側垂直配向剤、および、空気界面側垂直配向剤などの垂直配向促進剤、ならびに、偏光子界面側水平配向剤、および、空気界面側水平配向剤などの水平配向促進剤などの各種配向剤が含まれていてもよい。
更に、光学異方性層形成用組成物には、上記成分以外に、密着改良剤、可塑剤、ポリマーなどが含まれていてもよい。
【0079】
このような成分を有する光学異方性層形成用組成物を用いた光学異方性層の形成方法は特に限定されず、例えば、上述した本発明の光配向膜上に、光学異方性層形成用組成物を塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜に対して硬化処理(紫外線の照射(光照射処理)または加熱処理)を施すことにより形成することができる。
光学異方性層形成用組成物の塗布は、公知の方法(例えば、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
【0080】
本発明においては、上記光学異方性層の厚みについては特に限定されないが、0.1~10μmであるのが好ましく、0.5~5μmであるのがより好ましい。
【0081】
〔支持体〕
本発明の光学積層体は、上述したように、光学異方性層を形成するための基材として支持体を有していてもよい。
このような支持体としては、例えば、偏光子、ポリマーフィルム等が挙げられ、これらが組み合わされたもの、例えば、偏光子とポリマーフィルムとの積層体、ポリマーフィルムと偏光子とポリマーフィルムとの積層体などであってもよい。
また、支持体は、光学異方性層を形成した後に、剥離可能な仮支持体(以下、単に「仮支持体」とのみ表記する場合もある。)であってもよい。具体的には、仮支持体として機能するポリマーフィルムを光学積層体から剥離して、光学異方性層を提供できるものであってもよい。例えば、光学異方性層と仮支持体を含む光学積層体を用意し、光学積層体の光学異方性層側を、偏光子を含む支持体に粘着剤または接着剤で貼り合わせた後、上記光学異方性層に含まれる仮支持体を剥離することで、偏光子を含む支持体と光学異方性層との積層体を提供できるものであってもよい。
【0082】
<偏光子>
本発明においては、本発明の光学積層体を画像表示装置に用いる場合は、支持体として少なくとも偏光子を用いるのが好ましい。
偏光子は、光を特定の直線偏光に変換する機能を有する部材であれば特に限定されず、従来公知の吸収型偏光子および反射型偏光子を利用することができる。
吸収型偏光子としては、ヨウ素系偏光子、二色性染料を利用した染料系偏光子、およびポリエン系偏光子などが用いられる。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子には、塗布型偏光子と延伸型偏光子があり、いずれも適用できるが、ポリビニルアルコールにヨウ素または二色性染料を吸着させ、延伸して作製される偏光子が好ましい。
また、基材上にポリビニルアルコール層を形成した積層フィルムの状態で延伸および染色を施すことで偏光子を得る方法として、特許第5048120号公報、特許第5143918号公報、特許第4691205号公報、特許第4751481号公報、特許第4751486号公報を挙げることができ、これらの偏光子に関する公知の技術も好ましく利用することができる。
反射型偏光子としては、複屈折の異なる薄膜を積層した偏光子、ワイヤーグリッド型偏光子、選択反射域を有するコレステリック液晶と1/4波長板とを組み合わせた偏光子などが用いられる。
なかでも、取り扱い性の点から、ポリビニルアルコール系樹脂(-CH-CHOH-を繰り返し単位として含むポリマーを意図する。特に、ポリビニルアルコールおよびエチレン-ビニルアルコール共重合体からなる群から選択される少なくとも1つが好ましい)を含む偏光子であることが好ましい。
【0083】
本発明の光学積層体が剥離可能な支持体を含む態様において、偏光板は、例えば、以下のように製造することができる。
上述の光学積層体中から支持体を剥離し、光学異方性層を含む層を、偏光子を含む支持体に積層する。または、上述の光学積層体を、偏光子を含む支持体に積層し、その後、光学積層体中に含まれる剥離可能な支持体を剥離する。積層の際は両層を接着剤等により接着してもよい。接着剤としては特に限定はないが、特開2004-245925号公報に示されるような、分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物の硬化性接着剤、特開2008-174667号公報記載の360~450nmの波長におけるモル吸光係数が400以上である光重合開始剤と紫外線硬化性化合物とを必須成分とする活性エネルギー線硬化型接着剤、特開2008-174667号公報記載の(メタ)アクリル系化合物の合計量100質量部中に(a)分子中に(メタ)アクリロイル基を2以上有する(メタ)アクリル系化合物と、(b)分子中に水酸基を有し、重合性二重結合をただ1個有する(メタ)アクリル系化合物と、(c)フェノールエチレンオキサイド変性アクリレートまたはノニルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレートとを含有する活性エネルギー線硬化型接着剤などがあげられる。
【0084】
偏光子の厚みは特に限定されないが、1~60μmであるのが好ましく、1~30μmであるのがより好ましく、2~20μmであるのが更に好ましい。
【0085】
<ポリマーフィルム>
ポリマーフィルムは、特に限定されず、通常用いるポリマーフィルム(例えば、偏光子保護フィルムなど)を用いることができる。
ポリマーフィルムを構成するポリマーとしては、具体的には、例えば、セルロース系ポリマー;ポリメチルメタクリレート、ラクトン環含有重合体等のアクリル酸エステル重合体を有するアクリル系ポリマー;熱可塑性ノルボルネン系ポリマー;ポリカーボネート系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー;ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系ポリマー;塩化ビニル系ポリマー;ナイロン、芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー;イミド系ポリマー;スルホン系ポリマー;ポリエーテルスルホン系ポリマー;ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー;ポリフェニレンスルフィド系ポリマー;塩化ビニリデン系ポリマー;ビニルアルコール系ポリマー;ビニルブチラール系ポリマー;アリレート系ポリマー;ポリオキシメチレン系ポリマー;エポキシ系ポリマー;またはこれらのポリマーを混合したポリマーが挙げられる。
【0086】
これらのうち、トリアセチルセルロースに代表される、セルロース系ポリマー(以下、「セルロースアシレート」ともいう。)を好ましく用いることができる。
また、加工性および光学性能の観点から、アクリル系ポリマーを用いるのも好ましい。
アクリル系ポリマーとしては、ポリメチルメタクリレートや、特開2009-98605号公報の段落[0017]~[0107]に記載されるラクトン環含有重合体等が挙げられる。
【0087】
偏光子保護フィルム等に用いるポリマーフィルムの厚さは特に限定されないが、光学積層体の厚みを薄くできる等の理由から40μm以下が好ましい。下限は特に限定されないが通常5μm以上である。
【0088】
また、本発明においては、上記支持体の厚みについては特に限定されないが、1~100μmであるのが好ましく、5~50μmであるのがより好ましく、5~20μmであるのが更に好ましい。なお、上記支持体の厚みとは、偏光子およびポリマーフィルムをいずれも有している場合は、これらの厚みの合計の厚みをいう。
【0089】
光学積層体から剥離可能な支持体としてポリマーフィルムを用いる態様では、セルロース系ポリマーまたはポリエステル系ポリマーを好ましく用いることができる。ポリマーフィルムの厚さは特に限定されないが、製造時のハンドリング等の理由から5μm~100μmが好ましく、20μm~90μmがより好ましい。なお、剥離する界面は、支持体と光配向膜との間でもよく、光配向膜と光学異方性層との間でもよく、他の界面であっても構わない。
【0090】
[画像表示装置]
本発明の光学積層体は、支持体を剥離して薄型化できるため、画像表示装置を作製する際に好適に使用できる。
画像表示装置に用いられる表示素子は特に限定されず、例えば、液晶セル、有機エレクトロルミネッセンス(以下、「EL」と略す。)表示パネル、プラズマディスプレイパネル等が挙げられる。
これらのうち、液晶セル、有機EL表示パネルであるのが好ましく、液晶セルであるのがより好ましい。すなわち、画像表示装置としては、表示素子として液晶セルを用いた液晶表示装置、表示素子として有機EL表示パネルを用いた有機EL表示装置であるのが好ましく、液晶表示装置であるのがより好ましい。
【0091】
〔液晶表示装置〕
画像表示装置の一例である液晶表示装置は、上述した本発明の光学積層体と、液晶セルとを有する液晶表示装置である。
なお、本発明においては、液晶セルの両側に設けられる偏光板のうち、フロント側の偏光板として本発明の光学積層体を用いるのが好ましい。
以下に、液晶表示装置を構成する液晶セルについて詳述する。
【0092】
<液晶セル>
液晶表示装置に利用される液晶セルは、VA(Vertical Alignment)モード、OCB(Optically Compensated Bend)モード、IPS(In-Plane-Switching)モード、またはTN(Twisted Nematic)であることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子(棒状液晶性化合物)が実質的に水平配向し、更に60~120゜にねじれ配向している。TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2-176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVA(Multi-domain Vertical Alignment)モードの)液晶セル(SID97、Digest of tech.Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n-ASMモード(Axially symmetric aligned microcell))の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58~59(1998)記載)および(4)SURVIVAL(Super Ranged Viewing by Vertical Alignment)モードの液晶セル(LCD(liquid crystal display)インターナショナル98で発表)が含まれる。また、PVA(Patterned Vertical Alignment)型、光配向型(Optical Alignment)、およびPSA(Polymer-Sustained Alignment)のいずれであってもよい。これらのモードの詳細については、特開2006-215326号公報、および特表2008-538819号公報に詳細な記載がある。
IPSモードの液晶セルは、棒状液晶性分子が基板に対して実質的に平行に配向しており、基板面に平行な電界が印加することで液晶性分子が平面的に応答する。IPSモードは電界無印加時で黒表示となり、上下一対の偏光板の吸収軸は直交している。光学補償シートを用いて、斜め方向での黒表示時の漏れ光を低減させ、視野角を改良する方法が、特開平10-54982号公報、特開平11-202323号公報、特開平9-292522号公報、特開平11-133408号公報、特開平11-305217号公報、特開平10-307291号公報などに開示されている。
【実施例
【0093】
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0094】
〔モノマーmA-7の合成〕
撹拌羽、温度計、滴下ロートおよび還流管を備えた2L三口フラスコに、4-アミノシクロヘキサノール50.0g、トリエチルアミン48.3g、および、N,N-ジメチルアセトアミド800gを量りとり、氷冷下で撹拌した。
次いで、メタクリル酸クロリド47.5gを滴下ロートを用いて40分かけて滴下し、滴下終了後、40℃で2時間撹拌した。
反応液を室温(23℃)まで冷却した後、析出した塩を吸引ろ過で除去した。得られた有機層を撹拌羽、温度計、滴下ロートおよび還流管を備えた2L三口フラスコに移し、水冷下で撹拌した。
次いで、N,N-ジメチルアミノピリジン10.6g、トリエチルアミン65.9gを添加し、あらかじめ125gのテトラヒドロフランに溶解させた4-メトキシ桂皮酸クロリド127.9gを滴下ロートを用いて30分かけて滴下し、滴下終了後、50℃で6時間撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、水で分液洗浄し、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮することにより黄白色固体を得た。
得られた黄白色固体をメチルエチルケトン400gに加熱溶解させ、再結晶を行うことで、以下に示すモノマーmA-7を白色固体として76g得た(収率40%)。
なお、以下のモノマーmA-7は、上述した繰り返し単位A-7を形成するモノマーに該当するものである。
【化14】
【0095】
〔モノマーmA-8などの合成〕
原料の4-アミノシクロヘキサノールを、対応するアミノアルコールおよび対応する桂皮酸クロリドに変えた以外は、モノマーmA-7と同様の方法で、以下に示すモノマーmA-8、mA-9、mA-10、mA-12、mA-14、mA-20、mA-21、mA-43、および、mA-44を合成した。
なお、以下のモノマーmA-8などは、それぞれ、上述した繰り返し単位A-8などを形成するモノマーに該当するものである。
【化15】

【0096】
〔モノマーmA-2の合成〕
<mA-2中間体の合成>
撹拌羽、温度計、滴下ロートおよび還流管を備えた300mL三口フラスコに、1,4-シクロヘキサンジアミン12.3g、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩24.7g、トリエチルアミン5.4g、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン6.57g、および、塩化メチレン140mLを添加し、室温(23℃)で撹拌した。
次いで、室温下で、メタクリル酸11.1gを滴下ロートを用いて30分かけて滴下し、滴下終了後、50℃で5時間撹拌した。
反応液を室温まで冷却した後、水で分液洗浄し、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮することにより淡黄色固体を得た。
得られた淡黄色固体をシリカゲルカラム(展開溶媒ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製することで、目的のmA-2中間体である4-メタクリルアミノシクロヘキサシルアミンをアモルファス固体として14.0g得た(収率70%)。
【0097】
<モノマーmA-2の合成>
原料の2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を、mA-2中間体(4-メタクリルアミノシクロヘキサシルアミン)に変更し、桂皮酸クロリドを対応する桂皮酸クロリド誘導体に変えた以外は、モノマーmA-7と同様の方法で、以下に示すモノマーmA-2を合成した。
なお、以下のモノマーmA-2は、上述した繰り返し単位A-2を形成するモノマーに該当するものである。
【化16】
【0098】
〔モノマーmA-16などの合成〕
原料の1,4-シクロヘキサンジアミンを、対応するジアミンおよび対応する桂皮酸クロリドに変えた以外は、モノマーmA-2と同様の方法で、以下に示すモノマーmA-16、mA-18、および、mA-19を合成した。
なお、以下のモノマーmA-16などは、それぞれ、上述した繰り返し単位A-16などを形成するモノマーに該当するものである。
【化17】
【0099】
〔モノマーmA-38の合成〕
撹拌羽、温度計、滴下ロートおよび還流管を備えた2L三口フラスコに、4-ヒドロキシピペリジン43.9g、トリエチルアミン48.3g、および、N,N-ジメチルアセトアミド800gを量りとり、氷冷下で撹拌した。
次いで、あらかじめ150gのテトラヒドロフランに溶解させた4-オクチルオキシ桂皮酸クロリド134.4gを滴下ロートを用いて30分かけて滴下し、滴下終了後、40℃で1時間撹拌した。
反応液を室温(23℃)まで冷却した後、析出した塩を吸引ろ過で除去した。得られた有機層を撹拌羽、温度計、滴下ロートおよび還流管を備えた2L三口フラスコに移し、水冷下で撹拌した。
次いで、N,N-ジメチルアミノピリジン10.6g、トリエチルアミン65.9gを添加し、メタクリル酸クロリド47.5を滴下ロートを用いて30分かけて滴下し、滴下終了後、40℃で1時間撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、水で分液洗浄し、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮することにより黄白色固体を得た。
得られた黄白色固体をメタノール400gに加熱溶解させ、再結晶を行うことで、以下に示すモノマーmA-8を白色固体として92g得た(収率50%)。
なお、以下のモノマーmA-38は、上述した繰り返し単位A-38を形成するモノマーに該当するものである。
【化18】
【0100】
〔モノマーmH-1の合成〕
Langmuir,32(36),9245-9253,(2016年)に記載された方法に従い、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)(東京化成試薬)と桂皮酸クロリド(東京化成試薬)を用いて、以下に示すモノマーmH-1を合成した。
なお、以下のモノマーmH-1は、以下に示す繰り返し単位H-1を形成するモノマーに該当するものである。
【化19】
【0101】
〔モノマーmH-2の合成〕
原料の2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を2-ヒドロキシエチルアクリルアミド(東京化成試薬)に変更し、対応する桂皮酸クロリド誘導体に変えた以外は、モノマーmH-1と同様の方法で、以下に示すモノマーmH-2を合成した。
なお、以下のモノマーmH-2は、以下に示す繰り返し単位H-2を形成するモノマーに該当するものである。
【化20】
【0102】
〔モノマーmB-18の合成〕
原料の桂皮酸クロリドを3-クロロプロピオニルクロリド(東京化成試薬)に変えた以外は、モノマーmH-1と同様の方法で、以下に示すモノマーmB-18を合成した。なお、以下のモノマーmB-18は、上述した繰り返し単位B-18の前駆体(すなわち、脱保護によってアクリロイル基に変更する前の単位)を形成するモノマーに該当するものである。
【化21】
【0103】
〔他のモノマー〕
上述した繰り返し単位B-1を形成する下記モノマーmB-1は市販のグリシジルメタクリレート(東京化成試薬)を用い、上述した繰り返し単位B-2を形成する下記モノマーmB-2はサイクロマーM-100(ダイセル社製)を用い、上述した繰り返し単位B-3を形成する下記モノマーmB-3はOXE-30(大阪有機工業社製)を用いた。
【化22】
【0104】
[実施例1]
冷却管、温度計、および撹拌機を備えたフラスコに、溶媒として2-ブタノン5質量部を仕込み、フラスコ内に窒素を5mL/min流しながら、水浴加熱により還流させた。ここに、モノマーmA-2を5質量部、モノマーmB-15を5質量部、重合開始剤として2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)を1質量部と、溶媒として2-ブタノン5質量部を混合した溶液を、3時間かけて滴下し、さらに3時間還流状態を維持したまま撹拌した。反応終了後、室温まで放冷し、2-ブタノン30質量部を加えて希釈することで約20質量%の重合体溶液を得た。得られた重合体溶液を大過剰のメタノール中へ投入して重合体を沈殿させ、回収した沈殿物をろ別し、大量のメタノールで洗浄した後、50℃において12時間送風乾燥することにより、光配向性基を有する重合体P-1を得た。
【0105】
[実施例2~34および比較例1~4]
下記表3に示す繰り返し単位を形成するモノマーとして、合成した各モノマーを用い、下記表3に示す重量平均分子量となるように重合開始剤の添加量を変更した以外は、実施例1で合成した重合体P-1と同様の方法で、重合体を合成した。
【0106】
[実施例35]
冷却管、温度計、および撹拌機を備えたフラスコに、溶媒として2-ブタノン5質量部を仕込み、フラスコ内に窒素を5mL/min流しながら、水浴加熱により還流させた。ここに、モノマーmA-9を10質量部、モノマーmB-2を75質量部、モノマーmB-18を15質量部、重合開始剤として2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)を0.8質量部と、溶媒として2-ブタノン5質量部を混合した溶液を、3時間かけて滴下し、さらに12時間還流状態を維持したまま撹拌した。次いで、60℃まで冷却し、4-メトキシフェノール0.01質量部、ジアザビシクロウンデセン15質量部を加え、さらに60℃で6時間反応させた。反応終了後、室温まで放冷し、2-ブタノン30質量部を加えて希釈することで約20質量%の重合体溶液を得た。得られた重合体溶液を大過剰のメタノール中へ投入して重合体を沈殿させ、回収した沈殿物をろ別し、大量のメタノールで洗浄した後、50℃において12時間送風乾燥することにより、重合体P-35を得た。
【0107】
[実施例36]
冷却管、温度計、および撹拌機を備えたフラスコに、溶媒として2-ブタノン5質量部を仕込み、フラスコ内に窒素を5mL/min流しながら、水浴加熱により還流させた。ここに、モノマーmA-9を10質量部、モノマーmB-2を75質量部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)(東京化成試薬)を15質量部、重合開始剤として2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)を0.8質量部と、溶媒として2-ブタノン5質量部を混合した溶液を、3時間かけて滴下し、さらに3時間還流状態を維持したまま撹拌した。次いで、室温まで冷却し、カレンズMOI(昭和電工社製)20質量部、ネオスタンU-830(日東化成社製)0.1質量部を加え、さらに室温℃で4時間反応させた。反応終了後、室温まで放冷し、2-ブタノン30質量部を加えて希釈することで約20質量%の重合体溶液を得た。得られた重合体溶液を大過剰のメタノール中へ投入して重合体を沈殿させ、回収した沈殿物をろ別し、大量のメタノールで洗浄した後、50℃において12時間送風乾燥することにより、重合体P-36を得た。
【0108】
[実施例37~47]
原料のモノマーmB-18をメタクリル酸2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)エチルに変更し、下記表3に示す繰返し単位B2の含有量に対応する仕込み量に変更した以外は、実施例35に記載の重合体P-35と同様の方法で、重合体P-37~47を合成した。
【0109】
合成した各重合体について、上述した方法で重量平均分子量を測定した。結果を下記表3に示す。
【0110】
【表3】
【0111】
次に、実施例1~4、6、8、10、13、14、16、19~42および47、ならびに、比較例1~4で合成した重合体については、以下に示す評価を行った。
【0112】
〔光配向膜用組成物の調製〕
酢酸ブチル/メチルエチルケトン(80質量部/20質量部)に対して、実施例1で合成した共重合体P-1を8.8質量部と、下記構造式で表される熱酸発生剤を0.07質量部添加し、光配向膜用組成物を調製した。
同様の方法で、他の実施例および比較例で合成した各共重合体についても、酢酸ブチル/メチルエチルケトン(80質量部/20質量部)に対して8.8質量部添加した光配向膜用組成物を調製した。
【化23】
【0113】
〔光学積層体の作製〕
セルロースアシレートフィルムとして、特開2014-164169号公報の比較例1と同じものを用いた。
このフィルムの片側の面に、先に調製した各光配向膜用組成物をバーコーターで塗布した。塗布後、80℃のホットプレート上で5分間乾燥して溶剤を除去し、厚さ0.2μmの光異性化組成物層を形成した。得られた光異性化組成物層を偏光紫外線照射(10mJ/cm、超高圧水銀ランプ使用)することで、光配向膜を形成した。
次いで、光配向膜上に、ネマチック液晶性化合物(ZLI-4792、メルク社製)をバーコーターで塗布し、組成物層を形成した。形成した組成物層をホットプレート上でいったん90℃まで加熱した後、60℃に冷却させて配向を安定化させた。
その後、60℃に保ち、窒素雰囲気下(酸素濃度100ppm)で紫外線照射(500mJ/cm、超高圧水銀ランプ使用)によって配向を固定化し、厚さ2.0μmの光学異方性層を形成し、光学積層体を作製した。
【0114】
[実施例48]
光配向膜上に塗布したネマチック液晶性化合物に代えて、以下に示す光学異方性層用塗布液(液晶101)を用いた以外は、実施例24と同様の方法により、光学積層体を作製した。この光学積層体を実施例48の光学積層体とした。
【0115】
─────────────────────────────────
光学異方性層用塗布液(液晶101)
─────────────────────────────────
・下記液晶性化合物L-1 80.00質量部
・下記液晶性化合物L-2 20.00質量部
・重合開始剤(IRGACURE 184、BASF社製)
3.00質量部
・重合開始剤(IRGACURE OXE-01、BASF社製)
3.00質量部
・レベリング剤(下記化合物G-1) 0.20質量部
・メチルエチルケトン 424.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【化24】


【0116】
[実施例49]
光配向膜上に塗布したネマチック液晶性化合物に代えて、以下に示す光学異方性層用塗布液(液晶102)を用い、以下に示す作製方法で液晶性化合物の配向を固定化した以外は、実施例24と同様の方法により、光学積層体を作製した。この光学積層体を実施例49の光学積層体とした。
【0117】
―――――――――――――――――――――――――――――――――
光学異方性層用塗布液(液晶102)
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記液晶性化合物L-3 42.00質量部
・下記液晶性化合物L-4 42.00質量部
・下記重合性化合物A-1 16.00質量部
・下記重合開始剤S-1(オキシム型) 0.50質量部
・レベリング剤(上記化合物G-1) 0.20質量部
・ハイソルブMTEM(東邦化学工業社製) 2.00質量部
・NKエステルA-200(新中村化学工業社製) 1.00質量部
・メチルエチルケトン 424.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
なお、下記液晶性化合物L-3およびL-4のアクリロイルオキシ基に隣接する基は、プロピレン基(メチル基がエチレン基に置換した基)を表し、下記液晶性化合物L-3およびL-4は、メチル基の位置が異なる位置異性体の混合物を表す。
【化25】


【0118】
〔作製方法〕
光配向面上に液晶102を、バーコーターを用いて塗布した。配向膜上に形成された塗膜を温風にて120℃に加熱し、その後60℃に冷却した後に窒素雰囲気下で高圧水銀灯を用いて波長365nmにて10mJ/cmの紫外線を塗膜に照射し、続いて120℃に加熱しながら500mJ/cmの紫外線を塗膜に照射することで、液晶性化合物の配向を固定化し、実施例49の光学積層体を作製した。
【0119】
[実施例50]
光配向膜上に塗布したネマチック液晶性化合物に代えて、以下に示す光学異方性層用塗布液(液晶103)を用いた以外は、実施例24と同様の方法により、光学積層体を作製した。この光学積層体を実施例50の光学積層体とした。
【0120】
―――――――――――――――――――――――――――――――――
光学異方性層用塗布液(液晶103)
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記液晶性化合物L-5 42.00質量部
・下記液晶性化合物L-6 42.00質量部
・上記重合性化合物A-1 16.00質量部
・上記重合開始剤S-1(オキシム型) 0.50質量部
・レベリング剤(上記化合物G-1) 0.20質量部
・ハイソルブMTEM(東邦化学工業社製) 2.00質量部
・NKエステルA-200(新中村化学工業社製) 1.00質量部
・メチルエチルケトン 424.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【化26】
【0121】
[実施例51]
光配向膜上に塗布したネマチック液晶性化合物に代えて、以下に示す光学異方性層用塗布液(液晶104)を用いた以外は、実施例39と同様の方法により、光学積層体を作製した。この光学積層体を実施例51の光学積層体とした。
【0122】
―――――――――――――――――――――――――――――――――
光学異方性層用塗布液(液晶104)
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記高分子液晶性化合物L-7 4.032質量部
・下記界面改良剤F1 0.039質量部
・重合開始剤IRGACURE819(BASF社製)0.043質量部
・シクロペンタノン 66.500質量部
・テトラヒドロフラン 28.500質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【0123】
【化27】

【0124】
[実施例52]
光配向膜用組成物の調製において、下記構造式で表わされる熱酸発生剤を0.26質量部添加した以外は、実施例50と同様の方法により、光学積層体を作製した。この光学積層体を実施例52の光学積層体とした。
【化28】
【0125】
[実施例53]
熱酸発生剤の添加量を0.53質量部に変更した以外は、実施例52と同様の方法により、光学積層体を作製した。この光学積層体を実施例53の光学積層体とした。
【0126】
[実施例54]
熱酸発生剤の添加量を0.79質量部に変更した以外は、実施例52と同様の方法により、光学積層体を作製した。この光学積層体を実施例54の光学積層体とした。
【0127】
[実施例55]
光配向膜用組成物の調製において、本発明の共重合体P-37を用いる以外は、実施例50と同様の方法により、光学積層体を作製した。この光学積層体を実施例55の光学積層体とした。
【0128】
[実施例56]
光配向膜用組成物の調製において、本発明の共重合体P-42を用い、熱酸発生剤の代わりに下記構造式で表される光開始剤を用いた以外は、実施例52と同様の方法により、光配向膜用組成物を作製した。
【化29】
【0129】
〔光学積層体の作製〕
セルロースアシレートフィルムとして、特開2014-164169号公報の比較例1と同じものを用いた。
このフィルムの片側の面に、先に調製した光配向膜用組成物をバーコーターで塗布した。塗布後、123℃のホットプレート上で62秒間乾燥して溶剤を除去し、紫外線照射(300mJ/cm、超高圧水銀ランプと365nmバンドパスフィルター使用)することで、厚さ0.3μmの光異性化組成物層を形成した。得られた光異性化組成物層を偏光紫外線照射(7.9mJ/cm、超高圧水銀ランプ使用)することで、光配向膜を形成した。
次いで、光配向膜上に、上記光学異方性層用塗布液(液晶103)を用いた以外は、実施例50と同様の方法により、光学積層体を作製した。この光学積層体を実施例56の光学積層体とした。
【0130】
[実施例57]
光配向膜用組成物の調製において、本発明の共重合体P-47を用いる以外は、実施例56と同様の方法により、光学積層体を作製した。この光学積層体を実施例57の光学積層体とした。
【0131】
〔溶解性〕
合成した各重合体について、塗布溶剤である酢酸ブチル/メチルエチルケトン(80/20)混合溶媒への溶解度を室温下で目視観察し、以下の基準で評価した。結果を下記表4に示す。
A:10wt%以上溶解する
B:5wt%以上10wt%未満溶解する
C:1wt%以上5wt%未満溶解する
D:1wt%未満しか溶解しない
【0132】
〔耐溶剤性〕
作製した光配向膜について、メチルエチルケトンを塗布した後、光配向膜自体の二色性比の評価を行い、以下の基準で評価した。結果を下記表4に示す。なお、上述した溶解性の評価がDである比較例1については、耐溶剤性の評価は行わなかったため、下記表4においては「-」と表記している。
AA:塗布前後の二色性比の差が0%以上30%未満
A:塗布前後の二色性比の差が30%以上40%未満
B:塗布前後の二色性比の差が40%以上50%未満
C:塗布前後の二色性比の差が50%以上60%未満
D:塗布前後の二色性比の差が60%以上
【0133】
〔液晶配向性(Fr)〕
作製した光学積層体について、偏光顕微鏡を用いて消光位から2度ずらした状態で観察した。その結果、以下の基準で評価した。結果を下記表4に示す。なお、上述した溶解性の評価がDである比較例1については、耐溶剤性の評価は行わなかったため、下記表4においては「-」と表記している。
AAA:液晶ダイレクタが均一に整って配向し、面状および表示性能が極めて優れる
AA:液晶ダイレクタが均一に整って配向し、表示性能が優れる
A:液晶ダイレクタの乱れがなく、面状が安定している
B:液晶ダイレクタの乱れがごくわずかであり、面状が安定している
C:液晶ダイレクタの乱れが部分的であり、面状が安定している
D:液晶ダイレクタが大幅に乱れて面状が安定せず、表示性能が非常に劣る
なお、本願明細書において、安定した面状とは、クロスニコル配置した2枚の偏光板の間に光学積層体を設置して観察した際にムラや配向不良等の欠陥がない状態を意図する。
また、本願明細書において、液晶ダイレクタとは液晶性分子の長軸が配向している方向(配向主軸)のベクトルを意図する。
【0134】
〔液晶配向性(経時)〕
作製した光配向膜について、ネマチック液晶性化合物を塗布する前に、40℃60%相対湿度にて1.5時間経時した後、上述した光学積層体と同様の方法で光学積層体を作製し、上述した配向性の観察を行い、以下の基準で評価した。結果を下記表4に示す。なお、上述した溶解性の評価がDである比較例1、および、上述した液晶配向性(Fr)の評価がDである比較例2については、耐溶剤性の評価は行わなかったため、下記表4においては「-」と表記している。
AA:液晶ダイレクタが均一に整って配向し、表示性能が優れる
A:液晶ダイレクタの乱れがなく、面状が安定している
B:液晶ダイレクタの乱れがごくわずかであり、面状が安定している
C:液晶ダイレクタの乱れが部分的であり、面状が劣る
D:液晶ダイレクタが大幅に乱れて面状が安定せず、表示性能が非常に劣る
【0135】
【表4】
【0136】
表4に示す結果から、上記式(B)で表される架橋性基を含む繰り返し単位Bを有していない場合は、溶解性が劣るか、溶解性に問題がない場合でも光配向膜の耐溶剤性および液晶配向性が劣ることが分かった(比較例1および2)。
また、シンナメート基を含む繰り返し単位が、窒素原子とシクロアルカン環とを含む2価の連結基を含まない場合には、上記式(B)で表される架橋性基を含む繰り返し単位Bを有していても、光配向膜の液晶配向性(経時)が劣ることが分かった(比較例3および4)。
【0137】
これに対し、上記式(A)で表される光配向性基を含む繰り返し単位Aと、上記式(B)で表される架橋性基を含む繰り返し単位Bとを有する光配向性共重合体を用いた場合には、光配向膜の耐溶剤性が良好となり、また、光学異方性層を形成するタイミングに寄らず、液晶配向性に優れることが分かった(実施例1~4、6、8、10、13、14、16、19~41および48~57)。
特に、実施例同士の対比から、上記式(A)中のRが、炭素数が6~16のアルコキシ基であると、液晶配向性がより良好となることが分かった。
また、実施例同士の対比から、上記式(A)中のLが、上記式(2)~(4)のいずれかで表される2価の連結基であると、光配向膜を形成する際に用いる溶媒に対する溶解性と、得られる光配向膜の耐溶剤性とのバランスが良好となることが分かった。
【0138】
[実施例58]
〔塗布液の調製〕
配向膜上に塗布したネマチック液晶性化合物に代えて、以下に示す光学異方性層用塗布液(液晶105)を用い、以下に示す作製方法で液晶性化合物の配向を固定化した以外は、実施例24と同様の方法により、光学積層体を作製した。この光学積層体を実施例58の光学積層体とした。
【0139】
―――――――――――――――――――――――――――――――――
光学異方性層用塗布液(液晶105)
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記液晶性化合物L-8 39.00質量部
・下記液晶性化合物L-9 39.00質量部
・下記液晶性化合物L-10 17.00質量部
・上記重合性化合物A-1 5.00質量部
・上記重合開始剤S-1(オキシム型) 0.50質量部
・レベリング剤(上記化合物G-1) 0.20質量部
・シクロペンタノン 235.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【0140】
液晶性化合物L-8
【化30】
【0141】
液晶性化合物L-9
【化31】
【0142】
液晶性化合物L-10
【化32】
【0143】
〔作製方法〕
光配向面上に光学異方性層用塗布液(液晶105)を、バーコーターを用いて塗布した。配向膜上に形成された塗膜を温風にて120℃に加熱し、その後60℃に冷却した後に窒素雰囲気下で高圧水銀灯を用いて波長365nmにて100mJ/cmの紫外線を塗膜に照射し、続いて120℃に加熱しながら500mJ/cmの紫外線を塗膜に照射することで、液晶性化合物の配向を固定化し、実施例58の光学積層体を作製した。
【0144】
[実施例59]
配向膜上に塗布したネマチック液晶性化合物に代えて、以下に示す光学異方性層用塗布液(液晶106)を用い、以下に示す作製方法で液晶性化合物の配向を固定化した以外は、実施例24と同様の方法により、光学積層体を作製した。この光学積層体を実施例59の光学積層体とした。
【0145】
―――――――――――――――――――――――――――――――――
光学異方性層用塗布液(液晶106)
―――――――――――――――――――――――――――――――――
上記液晶性化合物L-3 40.00質量部
上記液晶性化合物L-4 40.00質量部
上記重合性化合物A-1 20.00質量部
上記重合開始剤S-1 0.60質量部
下記重合性化合物B-1 7.00質量部
レベリング剤(上記化合物G-1) 0.10質量部
メチルエチルケトン 200.00質量部
シクロペンタノン 200.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【0146】
【化33】
【0147】
〔作製方法〕
光配向面上に光学異方性層用塗布液(液晶106)を、バーコーターを用いて塗布した。膜面温度100℃で20秒間加熱熟成し、90℃まで冷却した後に、空気下にて空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて300mJ/cm2の紫外線を照射して、ネマチック配向状態を固定化することにより実施例59の光学積層体を形成した。
【0148】
[実施例60]
配向膜上に塗布したネマチック液晶性化合物に代えて、以下に示す光学異方性層用塗布液(液晶107)を用い、以下に示す作製方法で液晶性化合物の配向を固定化した以外は、実施例24と同様の方法により、光学積層体を作製した。この光学積層体を実施例60の光学積層体とした。
【0149】
―――――――――――――――――――――――――――――――――
光学異方性層用塗布液(液晶107)
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・上記液晶性化合物L-3 42.00質量部
・上記液晶性化合物L-4 42.00質量部
・上記重合性化合物A-1 8.00質量部
・下記重合性化合物A-2 8.00質量部
・上記重合開始剤S-1(オキシム型) 0.50質量部
・レベリング剤(上記化合物G-1) 0.20質量部
・ハイソルブMTEM(東邦化学工業社製) 2.00質量部
・NKエステルA-200(新中村化学工業社製) 1.00質量部
・メチルエチルケトン 424.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【0150】
【化34】
【0151】
〔作製方法〕
次いで、光配向面上に光学異方性層用塗布液(液晶107)を、バーコーターを用いて塗布した。配向膜上に形成された塗膜を温風にて120℃に加熱し、その後60℃に冷却した後に窒素雰囲気下で高圧水銀灯を用いて波長365nmにて10mJ/cmの紫外線を塗膜に照射し、続いて120℃に加熱しながら500mJ/cmの紫外線を塗膜に照射することで、液晶性化合物の配向を固定化し、実施例60の光学積層体を作製した。
【0152】
[実施例61および62]
実施例24において、特開2014-164169号公報の比較例1記載のセルロースアシレートフィルムに代えて、上記セルロースアシレートフィルム1あるいは2を用いた以外は実施例24と同様にしたサンプルをそれぞれ実施例61および62とした。
【0153】
〔セルロースアシレートフィルム1の作製〕
(コア層セルロースアシレートドープの調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して、各成分を溶解し、コア層セルロースアシレートドープとして用いるセルロースアセテート溶液を調製した。
─────────────────────────────────
コア層セルロースアシレートドープ
─────────────────────────────────
・アセチル置換度2.88のセルロースアセテート 100質量部
・特開2015-227955号公報の実施例に
記載されたポリエステル化合物B 12質量部
・下記化合物G 2質量部
・メチレンクロライド 430質量部
・メタノール 64質量部
─────────────────────────────────
【0154】
化合物G
【化35】
【0155】
(外層セルロースアシレートドープの調製)
上記のコア層セルロースアシレートドープ90質量部に下記のマット剤溶液を10質量部加え、外層セルロースアシレートドープとして用いるセルロースアセテート溶液を調製した。
─────────────────────────────────
マット剤溶液
─────────────────────────────────
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製) 2質量部
メチレンクロライド 76質量部
メタノール 11質量部
上記のコア層セルロースアシレートドープ 1質量部
─────────────────────────────────
【0156】
(セルロースアシレートフィルム1の流延)
上記コア層セルロースアシレートドープと上記外層セルロースアシレートドープを平均孔径34μmのろ紙および平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過した後、上記コア層セルロースアシレートドープとその両側に外層セルロースアシレートドープとを3層同時に流延口から20℃のドラム上に流延した(バンド流延機)。溶剤含有率略20質量%の状態で剥ぎ取り、フィルムの幅方向の両端をテンタークリップで固定し、横方向に延伸倍率1.1倍で延伸しつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み40μmの光学フィルムを作製し、これを実施例1の光学フィルムとした。実施例1の光学フィルムのコア層は厚み36μm、コア層の両側に配置された外層はそれぞれ厚み2μmであった。得られたセルロースアシレートフィルム1の面内レターデーションは0nmであった。
【0157】
〔セルロースアシレートフィルム2の作製〕
セルロースアシレートフィルムとして、特開2012-215689号公報の実施例6と同じものを用いた。
【0158】
実施例58~62において、表4の評価項目である液晶配向性(Fr、経時)について、実施例24と同等にそれぞれAAAおよびAAであり、良好な結果であった。