(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】防護服用の急速空気入れ・空気抜き装置及び該装置を備えたスマート多目的防護服
(51)【国際特許分類】
A41D 13/018 20060101AFI20220302BHJP
A41D 13/00 20060101ALI20220302BHJP
F04D 25/08 20060101ALI20220302BHJP
A62B 17/00 20060101ALN20220302BHJP
【FI】
A41D13/018
A41D13/00 107
F04D25/08 301Z
A62B17/00
(21)【出願番号】P 2020540661
(86)(22)【出願日】2017-10-09
(86)【国際出願番号】 CN2017105381
(87)【国際公開番号】W WO2019071387
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2020-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】520121751
【氏名又は名称】北京▲孫▼寅▲貴▼▲緑▼色科技研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 寅▲貴▼
(72)【発明者】
【氏名】周 ▲フイ▼
(72)【発明者】
【氏名】王 世国
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲賽▼
【審査官】津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0215780(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0099560(US,A1)
【文献】中国実用新案第201121600(CN,Y)
【文献】中国実用新案第205912926(CN,U)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0098083(KR,A)
【文献】特表昭57-501867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/00-13/018
F04D 25/06-25/08
B62J 27/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1孔が外筒の周壁に設けられる外筒と、
前記外筒内に設けられ、第2孔が内筒の周壁に設けられ、且つ第1位置と第2位置との間で摺動可能であり、前記第1位置では、前記第2孔が前記第1孔に位置合わせし、前記第2位置では、前記第2孔が第1孔からずれ且つ前記外筒の内壁によって閉鎖される内筒と、
前記内筒内に設けられるブレード及びブレードを駆動するモータと、
前記内筒を前記第1位置へ付勢する付勢装置と、を備える防護服用の空気入れ・空気抜き装置であって、
前記内筒は前記内筒の縦方向の一端に設けられる第3開口をさらに備え、前記内筒内における前記ブレードに加圧されたガスが、内筒内から第3開口を経由して外側へ排出することを許可し、加圧されたガスの逆方向流動を阻止するように、前記第3開口に逆止め弁が設けら
れており、それによって、前記第1位置において、前記内筒における前記プレードにより加圧されたガスは前記位置合わせされた第1孔、第2孔及び第3孔を経由して防護服へ排出され、かつ防護服における圧力が予定圧力に上昇されるに伴って、前記第1孔と前記第2孔との位置がずれ、かつ前記防護服への加圧ガスの排出を停止するように、前記内筒は前記防護服における圧力によって前記第2位置に移動される空気入れ・空気抜き装置。
【請求項2】
前記外筒内にガイドスリットが設けられ、且つ前記内筒にガイドピンが設けられ、前記ガイドピンが前記ガイドスリットと配合して、前記外筒内における前記内筒の摺動をガイドする請求項1に記載の空気入れ・空気抜き装置。
【請求項3】
前記ガイドスリットが前記外筒の縦方向に対して傾斜して、前記内筒の移動及び回転をガイドする請求項2に記載の空気入れ・空気抜き装置。
【請求項4】
前記ガイドスリットの前記内筒の第2位置に対応する部分に止め部が設けられる請求項3に記載の空気入れ・空気抜き装置。
【請求項5】
前記ブレードは三段ブレードであり、第1直径ブレード、第2直径ブレード及び第3直径ブレードを備え、前記第1直径は前記第2直径よりも大きく、且つ前記第2直径は前記第3直径よりも大きい請求項1に記載の空気入れ・空気抜き装置。
【請求項6】
前記内筒はブレード収容部及びモータ収容部を備え、前記第2孔は前記モータ収容部の円周壁に形成される請求項5に記載の空気入れ・空気抜き装置。
【請求項7】
前記ブレード収容部は前記ブレードを収容するキャビティを備え、前記キャビティの形状は前記第2直径ブレード及び第3直径ブレードの直径にマッチングする請求項6に記載の空気入れ・空気抜き装置。
【請求項8】
防護服であって、チャンバー及び請求項1~7のいずれか一項に記載の空気入れ・空気抜き装置を備え、前記空気入れ・空気抜き装置が前記チャンバーと連通し、前記チャンバーに空気入れし又は前記チャンバーから空気抜きする防護服。
【請求項9】
外層及び内層を備え、チャンバーが前記内層と前記外層との間に形成される請求項8に記載の防護服。
【請求項10】
前記内層及び外層は非通気性材料からなる請求項9に記載の防護服。
【請求項11】
空気室をさらに備え、前記空気入れ・空気抜き装置が前記空気室内に設けられる請求項10に記載の防護服。
【請求項12】
複数の空気管をさらに備え、前記空気管が前記空気室と連通し且つ前記チャンバー内に
延伸する請求項11に記載の防護服。
【請求項13】
前記空気管の壁に複数の気孔が設けられる請求項12に記載の防護服。
【請求項14】
前記外層及び前記内層を貫通する通気孔をさらに備える請求項13に記載の防護服。
【請求項15】
前記防護服の着用者の速度、加速度、障害物との距離、防護服着用者に接近する外来物又は外来者のうちの少なくとも1つを検知するセンサをさらに備える請求項8に記載の防護服。
【請求項16】
前記センサからの信号を受信し、前記センサの信号が所定閾値に達すると、前記空気入れ・空気抜き装置をトリガーしてエアバッグに空気入れするコントローラをさらに備える請求項15に記載の防護服。
【請求項17】
前記防護服のチャンバー内の圧力を検知し、前記圧力が所定圧力に達すると、前記空気入れ・空気抜き装置への電力供給を遮断する圧力センサをさらに備える請求項8に記載の防護服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は防護服用の空気入れ・空気抜き装置及び該空気入れ・空気抜き装置を備えたスマート制御防護服に関し、該防護服は普通の衣服の保温耐寒、通気放熱特性を有するとともに、衣服内の気圧を迅速に調整することができる。
【背景技術】
【0002】
スキー、オートバイの運転、カーレースや空中作業等はその速度や高さのため危険性が随伴している。高速衝突又は空中転落による利用者の損傷を防止し又は少なくとも軽減させるために、衣服内の気圧を迅速に調整できる防護服は提案されている。
【0003】
該防護服は耐寒、作業の便利さのニーズに応じて衣服内の気圧膨張状況を調整でき、危険な場合、スマートに急速空気入れして加圧することで、利用者に緩衝保護を提供することができる。しかしながら、従来の防護服はいくつかの問題があり、例えば、空気入れ装置は通常爆発装置又は圧縮ガス装置からなり、従って、危険が発生すると、大量のガスを急速に放出し、防護服がガスで満たされて膨張して緩衝の役割を果たす。しかしながら、これらの空気入れ装置は通常使い捨てであり、すなわち、空気入れ膨張後、空気入れ装置が回復できないため、防護服が元の状態に回復できず、廃棄するしかできない。防護服を多用する必要がある者にとって、コストが膨大になってしまう。
【0004】
また、エアポンプを設置して空気入れする防護服はいくつか提案されているが、これらの防護服は通常、空気抜き弁によって、注入されたガスを放出するため、空気抜きが非常に遅く、且つ注入されたガスを完全に排出することが困難である。これによって、防護服の収納が面倒になる。
【0005】
また、従来の防護服の設計では、エアバッグが防護服内に不規則に並べられているため、防護服がぶかぶかして、エアバッグに空気入れをしていない場合でも、防護服を着用する者の動きが不器用である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は、防護服用の空気入れ・空気抜き装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の空気入れ・空気抜き装置は、防護服を急速に空気入れ・空気抜きすることができ、且つ再利用可能であり、また、防護服内のガスを完全に排出できることで、防護服の再利用が可能となり、且つ防護服の収納及び着用が容易になる。
【0008】
また、前記空気入れ・空気抜き装置を備えた防護服を提供し、該防護服は空気入れ状態では着用者の安全を保護でき、且つ空気抜きによる減圧状態では、防護服は普通の衣服と同様に、着用者の動きに支障を来すことがないとともに、真空抜き状態では収納しやすい。
また、本発明は真空排気機能を有するため、各空気室内にダウンのようなふわふわした断熱材を自由に充填することができ、気圧の調整により使用者が過度にぶかぶかして動きが不器用になることを回避するだけでなく、最小体積の収納を実現することができる。
【0009】
本発明の一態様によれば、空気入れ・空気抜き装置を提供し、第1孔が設けられる外筒と、前記外筒内に設けられ、第2孔が設けられ、且つ第1位置と第2位置との間で摺動可能であり、前記第1位置では、前記第2孔が前記第1孔に位置合わせし、前記第2位置では、前記第2孔が第1孔からずれ且つ前記外筒の内壁によって閉鎖される内筒と、前記内筒内に設けられるブレード及びブレードを駆動するモータと、前記内筒を前記第1位置へ付勢する付勢装置と、を備え、前記内筒は第3開口をさらに備え、加圧ガスが内筒から第3開口を経由して外側へ流動することを許可し、加圧ガスの逆方向流動を阻止するように、前記第3開口に逆止め弁が設けられる。
【0010】
本発明の別の態様によれば、前記空気入れ・空気抜き装置を備えた防護服を提供する。
【0011】
本発明の防護服によれば、急速に空気入れして防護目的を達成することができ、且つ使用終了後、急速に空気抜きして防護服を平らな状態に回復することができ、収納が容易になる。このような再利用可能な防護服は使用者のコストを削減させることができる。
【0012】
本発明の第2実施例によれば、本発明の中核である急速空気入れ・空気抜き装置は大空気量の急速空気入れ、空気抜きを実現でき、且つ体積が小さいため、衣服の重要な部位に予め複数設けておくとともに、その分より大きな気圧を得ることができ、また、ブレード加圧段数を増加させることで、より高い気圧を得ることができる。
【0013】
好ましくは、本発明は、防護服の使用者と障害物との距離を検知し、前記空気入れ・空気抜き装置と組み合わせて、使用者への能動的保護を実現するように、画像センサ又は距離センサのようなセンサをさらに備える。該画像センサ又は距離センサは、例えば、自動車の自動運転用のセンサと類似し、障害物への接近に対する迅速な早期警告応答を実現でき、それにより空気入れ・空気抜き装置をトリガーし、且つ多段ブレードによる急速高圧空気入れによって、高レベルの安全防護を実現し、リスクを回避する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の好適実施形態を詳細に説明することによって、本発明の上記及びほかの特徴、利点や技術的優位性が明らかになる。
【0015】
【
図1】
図1は本発明の好適実施例による空気入れ・空気抜き装置を示す分解斜視図である。
【
図2】
図2は
図1に示される空気入れ・空気抜き装置の初期空気入れ状態を示す図である。
【
図3】
図3は
図1に示される空気入れ・空気抜き装置の加圧状態を示す図である。
【
図4】
図4は
図1に示される空気入れ・空気抜き装置の空気入れ完了状態を示す図である。
【
図5】
図5は
図1に示される空気入れ・空気抜き装置の空気抜き状態を示す図である。
【
図6】
図6A及び6Bは
図1に示される空気入れ・空気抜き装置を装備した防護服を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の好適実施形態による空気入れ・空気抜き装置及び該空気入れ・空気抜き装置を備える防護服を詳細に説明する。なお、該説明は限定的ではなく例示的なものであり、且つ、当業者であれば、本発明は様々な形態で実施でき、ここで説明される好適実施形態に限定されるものではないと理解できる。
【0017】
また、以下の説明及び添付特許請求の範囲では、「上流又は上流方向」とは、空気入れ・空気抜き装置の空気入れの動作状態でガスが発生する方向であり、「下流又は下流方向」とは、空気入れ・空気抜き装置の空気入れの動作状態でガスが流れる方向である。
【0018】
まず、
図1を参照し、
図1は本発明の好適実施例による空気入れ・空気抜き装置を示す分解斜視図である。
図1に示すように、該空気入れ・空気抜き装置100は外筒1、及び外筒1内に摺動可能に取り付けられる内筒2を備え、内筒2はブレード収容部21及びモータ収容部22の2つの部分に分けられ、且つ内筒のブレード収容部21の下流端部に弁23が設けられる。前記内筒のブレード収容部21内にブレード3が回転可能に設けられ、該ブレード3は、注入された空気をより高い圧力に加圧するように、好適には多段ブレードであり、前記モータ収容部22内にモータ4が設けられ、該モータ4は好適には双方向回転可能な可逆モータである。前記外筒1の上流端部にエンドカバー6がさらに設けられ、エンドカバーが例えば外筒6に螺接され、エンドカバー6には、モータ4のワイヤを通し、且つ空気を吸入するとともに大きな異物を阻止する孔が設けられる。内筒2において、具体的には、内筒2のモータ収容部22の上流端部とエンドカバー6との間に付勢ばね5が設けられ、該付勢ばね5が内筒2を下流方向へ付勢する。
【0019】
外筒1の下流端部が開放し、且つ内筒2の上流端部の端面に複数の孔24が設けられ、それによってガスが通過可能である。外筒1の円周に複数の孔11が設けられ、該孔11は例えば方形孔である。外筒1の孔11に対応して、内筒1の円周にも複数の孔25が設けられ、前記孔25の形状は例えば外筒1の孔11の形状と同じであり、且つ前記孔11及び25は同じ間隔で設けられ、好ましくは、孔11及び孔25はいずれも円周方向に沿って等間隔に設けられる。
【0020】
内筒2の下流端部に弁23が設けられ、
図1に示すように、該弁23はダイヤフラム状であり、弁体232、及び弁体232の円周位置から延伸する脚部231を備え、且つ弁23が該脚部231によって内筒2の下流端部の端面に固定される。好適には、円周方向に複数の脚部(図中、3つ)が設けられる。
【0021】
図1に示すように、外筒1の略中間位置にガイドスリット12が設けられ、該ガイドスリット12は好適には、1つより多く、例えば、2つ、3つ以上設けられ、且つ円周方向に沿って等間隔に並べられる。内筒2の対応する位置に、ガイドピン(図示せず)を受けるように、対応するピン孔26が設けられる。
【0022】
組み立てる際に、内筒2を外筒1内に挿入し、且つガイドピンをガイドスリット12を通過させてピン孔26内に挿入して内筒2に固定する。それによって、内筒2がガイドスリット12のガイドで外筒1内を摺動可能である。
【0023】
図1に示すように、該ガイドスリット12は好適には、外筒1の縦軸線に対して傾斜するように設けられ、且つ一定の曲率を有し、それによって、内筒2がガイドスリット12に沿って摺動中、内筒2が外筒1の縦軸線に沿う並進運動を行うだけでなく、且つ縦軸線周りの回転運動を行う。
【0024】
ガイドスリット12の両端は内筒2の2つのストップ位置を構成する。具体的には、ガイドピンがガイドスリット12の下流端部にある時、内筒2が下流位置にあり、その円周方向の孔25が外筒1の円周方向の孔11に位置合わせし、一方、ガイドピンがガイドスリット12の上流端部にあると、内筒2が上流位置にあり、内筒2の孔25が外筒1の孔11に位置合わせせず、且つ内筒2の孔25が外筒1の筒壁によって閉鎖される。
【0025】
内筒2の上流端部と外筒1の上流端部のエンドカバー6の間にばね5が設けられ、該ばねは内筒2を下流方向へ付勢し、すなわち、下流位置へ付勢する。
【0026】
図1~5に示すように、ブレード3は三段ブレードを採用し、すなわち、上流から下流への方向に沿って、第1直径ブレード31、第2直径ブレード32及び第3直径ブレード33を備え、第1直径が第2直径よりも大きく、且つ第2直径が第3直径よりも大きく、それによって、ガスを段階的に加圧することができる。また、上記三段ブレードは例示的であり、様々なニーズに応じて、所要のより高い気圧を供給するように、より多い又はより少ないブレードが設けられる。
【0027】
図2~5に示すように、内筒2のブレード収容部21は直径が可変のキャビティを備え、前記ブレード3の第2直径ブレード32及び第3直径ブレード33が該キャビティ内に収容され、且つキャビティのサイズが第2直径及び第3直径ブレードのサイズに略対応し、それによってキャビティがこれら2段のブレードを包む。ガスをより高い圧力に加圧することに寄与する。
【0028】
内筒2のモータ収容部22内にブレードを駆動するモータ4が設けられ、該モータ4は可逆モータであり、且つ、そのワイヤがエンドカバー6から引き出されて制御回路(図示せず)に接続される。孔25はモータ収容部22の円周に形成され、且つ第1直径ブレード31に略対応する縦方向位置にある。
【0029】
以下、
図2~5を参照して、本発明の好適実施形態による空気入れ・空気抜き装置の動作方式を簡単に説明する。以下、該空気入れ・空気抜き装置が防護服にある場合を説明するが、該空気入れ・空気抜き装置は空気入れ・空気抜きを必要とする様々な対象物に適用でき、本発明はこれに限定されるものではないと理解すべきである。
【0030】
図2~5に示すように、ばね4の作用下で、内筒2が下流位置に付勢され、内筒2の孔25が外筒1の孔12に位置合わせし、この時、ファン4が電力供給され、それによって空気がエンドカバー6から吸入され、三段ブレード3によって加圧されて対象物内に注入される。具体的には、第1直径ブレード31によって加圧された空気の一部は位置合わせした孔25及び12によって対象物、例えば防護服のキャビティに注入され、残りの加圧空気は第2直径ブレード32及び第3直径ブレード33によって継続的に加圧されて弁23を開け、内筒2の下流端部から防護服内に注入される。防護服内の空気の圧力が増大するにつれて、該空気の作用力がその分増大し、それによって弁23の弁体232を内筒2の下流端部の端面に押圧するとともに、ばね5の付勢力に抗して内筒2を上流方向へ移動させる。それによって、ガイドピンがガイドスリット12の上流端部に当接されるまで、内筒2がガイドスリット12のガイドで移動しながら回転し、この時、内筒2の孔25が外筒1の筒壁によって遮蔽され、空気を孔25及び孔11によって対象物内に供給できない。この時、
図3に示されるように、空気がさらに第2直径ブレード32及び第3直径ブレード33によって加圧され、空気の圧力が防護服内の圧力より大きくなると、弁23を開け、内筒2の下流端部を経由して防護服に空気を継続的に注入する。
【0031】
防護服内の空気の圧力が増大するにつれて、防護服内の空気圧力がブレード3によって加圧された空気圧力に対して平衡になると、弁23の弁体232が内筒2の下流端部の端面に押圧され、この時、保圧状態になる。好ましくは、センサ(図示せず)、例えば、圧力センサが設けられ、該状態に達すると、モータ4への電力供給を遮断する。
【0032】
好ましくは、ガイドスリット12の上流端部に、円周方向に沿って延伸する止め部121が設けられ、内筒2が防護服内の空気圧力によって上流方向へ上流位置に移動すると、内筒2が傾斜したガイドスリット12に沿って回転する慣性によって、ガイドピンが該止め部121内に落ちる。
【0033】
空気抜きを必要とする場合、ファン3が空気入れ時の方向とは反対の方向に回転し、ブレード3が回転を開始する瞬時トルクによって駆動されて内筒2がブレード3とともに回転し、それによってガイドピンが止め部121から回転出し、且つブレード3の空気抜き作用及びばね5の弾性作用で、内筒2が下流方向へ移動するとともに、ガイドピンがガイドスリット12に沿って摺動し、孔12及び25が徐々に重なり、最終的に
図5に示される空気抜き位置に到達し、該位置では、孔12及び25が完全に重なり、それによって、防護服からすべてのガスを急速に吸引する。
【0034】
好ましくは、ガスを吸引した後、モータ4の操作を自動で停止するように、別のセンサがさらに設けられる。又は、モータ4を手動でオフにするように、手動操作してもよい。
【0035】
三段ブレード3を採用することで、空気をより高い圧力に加圧でき、また、空気抜き時、空気を急速に放出することができる。
【0036】
以上からわかるように、本発明では、簡単な構造によって、急速空気入れ・空気抜き操作を実現し、且つ空気入れ・空気抜き操作が自動で実行可能であり、人間の介入がほとんど不要である。
【0037】
以下、
図6A及び
図6Bを参照して、上記実施例における空気入れ・空気抜き装置を用いた防護服200を説明する。
【0038】
図6Aに示すように、防護服200は非通気性材料からなり、外層及び内層を備え、外層と内層との間に閉鎖されたチャンバーが形成され、空気が該チャンバーに注入されて、防護服に空気入れ膨張状態にすることができる。防護服200の肩部に空気室230が形成され、空気入れ・空気抜き装置100が該空気室230内に設けられてもよく、図中、防護服の左右肩部に2つの空気室230が形成され、且つ各空気室230に1つの空気入れ・空気抜き装置100が収容されているが、本発明はこれに限定されず、1つの空気室230及び1つの空気入れ・空気抜き装置100のみが設けられてもよく、複数の空気室及び空気入れ・空気抜き装置が設けられてもよい。
【0039】
前記空気室230が複数の空気管210に接続され、前記複数の空気管210が前記防護服のチャンバー内に延伸し、且つ空気管の壁に複数の気孔240が形成され、空気入れ・空気抜き装置100が空気入れする時、加圧されたガスが空気室230から空気管210に沿って防護服のチャンバー内に排出され、それによって該チャンバーに空気を入れ、特に、空気抜きの場合、同様に空気管210の複数の気孔240によってガスを防護服から円滑に吸引する。
【0040】
防護服のいくつかの位置に、通気構造、例えば、中空リベット220が設けられ、該中空リベット220が防護服の外層及び内層を貫通して設けられ、それによって防護服の気密性を確保するとともに、防護服の通気性を提供し、防護服を着用する者の不快感を回避する。
【0041】
防護服のチャンバー内に、ダックダウン等のような保温材料がさらに充填されてもよく、この場合、中空リベット220の設置は、チャンバー内における該保温材料の変位防止に寄与する。また、空気入れ・空気抜き装置100を制御するコントローラ及び/又はスイッチは、操作しやすいように、例えば袖口等の位置に設けられてもよい。
【0042】
以上、上着である防護服を示したが、ズボンのような防護服を採用してもよく、この場合、空気入れ・空気抜き装置100がズボンのすそ等の位置に設けられてもよい。
【0043】
本発明による防護服に検知機構が設けられ、該検知機構は、例えば加速度センサ、近接センサ、ジャイロスコープ、画像センサ等を備え、防護服の着用者の速度、加速度及び最寄り障害物との距離を検知し、又は防護服着用者に迅速に接近する外来物や外来者等を検知し、且つ速度、加速度及び距離のうちの少なくとも1つ又は複数が、着用者と障害物との衝突の可能性に応じて設定可能な所定閾値に達すると、空気入れ・空気抜き装置をトリガーして防護服を急速に空気入れし、着用者の安全性を確保する。危険な状況が解消された後、防護服を手動で空気抜きし、防護服を普通の衣服のように着用でき、着用者の動きに支障を来すことを回避する。
【0044】
また、危険な作業を行う前、防護服の着用者は危険から守るように、主動的に防護服に空気入れし又は部分的に空気入れするようにしてもよい。
【0045】
防護服を脱いだ後、防護服を簡単に空気入れ・空気抜きすることができ、従って、防護服を普通の衣服のように折り畳んで収納することができ、収納の利便性を高める。また、本発明による防護服は再利用可能であり、使用コストを削減させる。
【0046】
例示的な実施形態を参照して本開示を説明したが、当業者であれば、本開示の精神及び範囲を逸脱せずに様々な変形や変更を行うことができると理解できる。従って、上記実施形態は制限的ではなく、例示的なものである。
【符号の説明】
【0047】
100 装置
200 防護服
210 空気管
220 中空リベット
230 空気室
231 脚部
232 弁体
240 気孔
12 ガイドスリット
121 止め部
2 内筒
21 収容部
22 モータ収容部
23 弁
24 孔
25 孔
31 第1直径ブレード
32 第2直径ブレード
33 第3直径ブレード