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特許7033222耐火壁構造体、及び耐火壁構造体の施工方法
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  • 特許-耐火壁構造体、及び耐火壁構造体の施工方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-01
(45)【発行日】2022-03-09
(54)【発明の名称】耐火壁構造体、及び耐火壁構造体の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/56 20060101AFI20220302BHJP
【FI】
E04B2/56 622H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021007407
(22)【出願日】2021-01-20
【審査請求日】2021-10-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】特許業務法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西岡 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】川邊 伸夫
(72)【発明者】
【氏名】石田 崇
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲瀬▼ 稔弘
【審査官】新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/256016(WO,A1)
【文献】特開平07-042716(JP,A)
【文献】特開2007-046417(JP,A)
【文献】特開平11-006227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/94
E04B 2/56
F16B 15/00 - 15/06
E04D 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄骨からなる胴縁材と、
前記胴縁材に沿って配置される下地材と、
前記下地材側から打ち込まれて前記胴縁材と前記下地材とを同時に貫通し、前記胴縁材に前記下地材を固定する釘と、
前記下地材において前記胴縁材側との反対側に固定される仕上げ材と
を備える耐火壁構造体であって、
前記下地材は、強化石膏ボードまたは、火山性ガラス質複層板からなり、
前記釘は、前記胴縁材からの脱落を防止する抜け止め部を有し、
前記抜け止め部は、前記釘の胴部であって、少なくとも前記胴縁材に埋没する領域に形成され
前記抜け止め部は、
前記釘の頭部の端部より前記釘の先端部に向かって、
10mm離間した第一位置から、45mm離間した第二位置までの間の範囲内に形成され、
前記胴縁材に埋没する領域に形成された抜け止め部と、前記胴縁材との間にのみ抜け止め作用が発揮される、
ことを特徴とする耐火壁構造体。
【請求項2】
前記抜け止め部は、
前記第一位置から、前記釘の頭部の端部より前記釘の先端部に向かって18mm離間した第三位置までの範囲に亘って形成される、
ことを特徴とする、請求項に記載の耐火壁構造体。
【請求項3】
前記抜け止め部は、
前記釘の頭部の端部より前記釘の先端部に向かって37mm離間した第四位置から、前記第二位置までの範囲に亘って形成される、
ことを特徴とする、請求項に記載の耐火壁構造体。
【請求項4】
前記釘において、
頭部の直径は、5.0mm以上6.5mm以下である、
ことを特徴とする、請求項1~請求項の何れか一項に記載の耐火壁構造体。
【請求項5】
前記下地材は、強化石膏ボードからなる第一下地材を有する、
ことを特徴とする、請求項1~請求項の何れか一項に記載の耐火壁構造体。
【請求項6】
前記下地材は、火山性ガラス質複層板からなる第二下地材を有する、
ことを特徴とする、請求項1、請求項3~請求項5の何れか一項に記載の耐火壁構造体。
【請求項7】
請求項1~請求項6の何れか一項に記載の耐火壁構造体を施工する施工方法であって、
前記下地材側から釘を打ち込み、前記胴縁材と前記下地材とに前記釘を同時に貫通させることにより、前記胴縁材に前記下地材を固定する、
ことを特徴とする耐火壁構造体の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐火壁構造体、及び耐火壁構造体の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば窯業系サインディング等からなる仕上げ材を備え、鉄骨造の住宅等において外壁として用いられる耐火壁構造体が知られている(例えば、「特許文献1」を参照)。
上記耐火壁構造体においては、所望の耐火性能を得るために、仕上げ材の内側にさらに板状の下地材を備えるのが一般的である。
【0003】
ここで、下地材を構成する部材としては、例えば強化石膏ボード、ケイ酸カルシウム板、セメント板、または火山性ガラス質複層板等が挙げられ、これらの部材は、耐火壁構造体に要求される耐火性能に応じて、単独で、或いは複数種類の部材を重畳させた状態で用いられる。
そして、このような下地材を構成する部材は、鉄骨からなる胴縁材に対して、ビスを用いて各種類の部材毎に固定されるのが一般的であり、施工現場において広く採用されている。
【0004】
しかしながら、上記のようなビスを用いた固定構造では、例えば、複数種類の部材からなる下地材の場合、先に打ち込まれた、下地材を構成する第一の部材を胴縁材に固定するためのビスの頭部が、次に打ち込まれる、下地材を構成する第二の部材を胴縁材に固定するためのビスや、仕上げ材を固定する固定金具用のビスなどと干渉し易く、作業効率が悪いという問題があった。
また、施工現場において、施工者は、胴縁材に沿って配置された下地材に対して、1本ずつ手作業でビスを螺挿させる必要があり、作業に要する時間がかかり過ぎるという問題があった。
さらに、ビスを用いて胴縁材に下地材を固定する作業は、上記のように、施工者の手作業によって行われるため、完成した耐火壁構造体の品質については、施工者の熟練度によって左右され易く、施工品質が不安定となり易いという問題があった。
【0005】
そこで近年、このような問題点の解決策として、耐火壁構造体においては、ビスを用いることなく釘を用いて胴縁材に下地材を固定する構造が、広く採用されている。
即ち、釘の頭部の外径は、ビスの頭部の外径に比べて一般的に小さいことから、釘を用いた固定構造とすることにより、例えば、下地材が複数種類の部材からなる場合であっても、先に打ち込まれた上記第一の部材を胴縁材に固定するためのビスの頭部が、次に打ち込まれる上記第二の部材を胴縁材に固定するためのビスや、仕上げ材を固定する固定金具用のビスなどと干渉し難く、作業効率を改善することができる。
また、施工現場において、施工者は、シート状に連結された複数本の釘を釘打ち機に充填し、胴縁材に沿って配置された下地材に対して、連続的に釘を打設することができるため、作業に要する時間の短縮化を図ることができる。
さらに、釘を用いて胴縁材に下地材を固定する場合、施工者は、上記のように、釘打ち機を用いて連続的に釘を打設することができるため、1本ずつ手作業で螺挿させるビスとは異なり、完成した耐火壁構造体の品質について、施工者の熟練度によって左右され難く、安定した施工品質を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-102360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、このような耐火壁構造体に設けられる、胴縁材に下地材を固定するための釘には、当該胴縁材からの脱落を防止するための抜け止め部が形成されている。
上記抜け止め部は、例えば転造によって釘の外周面に形成され、胴縁部との摩擦力を向上させることが可能な、複数の凹凸形状によって構成することができる。
【0008】
ここで、釘の外周面において、首部から先端部に亘る全領域に抜け止め部が形成されている場合、当該釘を用いて胴縁材に下地材を固定した状態において、当該抜け止め部は、下地材に埋没する領域にも存在することとなる。
その結果、例えば、予期せぬ振動や衝撃等によって、耐火壁構造体が全体的にガタつく度に、抜け止め部によって下地材が欠損し、所定の耐火性能を維持できなくなる虞がある。
一方、釘の外周面において、首部と先端部との間の一部の領域にのみ抜け止め部が形成されている場合、当該釘を用いて胴縁材に下地材を固定した状態において、当該抜け止め部が、胴縁材に埋没する領域に存在しないこともあり、その結果、胴縁材から容易に釘が脱落し、完成した耐火壁構造体に対して、安定した施工品質を実現することができない虞があった。
【0009】
本発明は、以上に示した現状の問題点に鑑みてなされたものであり、鉄骨からなる胴縁材と、前記胴縁材に沿って配置される下地材と、前記胴縁材に前記下地材を固定する釘と、前記下地材において前記胴縁材側との反対側に固定される仕上げ材とを備える耐火壁構造体であって、所定の耐火性能を確実に維持し、且つ安定した施工品質を実現することができる耐火壁構造体、及び耐火壁構造体の施工方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0011】
即ち、本発明に係る耐火壁構造体は、鉄骨からなる胴縁材と、前記胴縁材に沿って配置される下地材と、前記下地材側から打ち込まれて前記胴縁材と前記下地材とを同時に貫通し、前記胴縁材に前記下地材を固定する釘と、前記下地材において前記胴縁材側との反対側に固定される仕上げ材とを備える耐火壁構造体であって、前記下地材は、強化石膏ボードまたは、火山性ガラス質複層板からなり、前記釘は、前記胴縁材からの脱落を防止する抜け止め部を有し、前記抜け止め部は、前記釘の胴部であって、少なくとも前記胴縁材に埋没する領域に形成され、前記抜け止め部は、前記釘の頭部の端部より前記釘の先端部に向かって、10mm離間した第一位置から、45mm離間した第二位置までの間の範囲内に形成され、前記胴縁材に埋没する領域に形成された抜け止め部と、前記胴縁材との間にのみ抜け止め作用が発揮されることを特徴とする。
このような構成を有することにより、たとえ予期せぬ振動や衝撃等によって、耐火壁構造体が全体的にガタついたとしても、抜け止め部によって下地材が欠損するのを防止し易く、より確実に所定の耐火性能を維持することができる。
また、胴縁材から釘が脱落するのを防止し、完成した耐火壁構造体に対して、安定した施工品質を実現することができる。
また、このように、釘の胴部において、下地材を構成する部材の種類に応じて、上記のような、10mm離間した第一位置から、45mm離間した第二位置までの間の範囲内に抜け止め部を形成することにより、当該抜け止め部は、胴縁材に埋没する領域に確実に位置することとなり、胴縁材から釘が脱落するのを防止し、完成した耐火壁構造体に対して、より安定した施工品質を実現することができる。
【0013】
また、本発明に係る耐火物構造体において、前記抜け止め部は、前記第一位置から、前記釘の頭部の端部より前記釘の先端部に向かって18mm離間した第三位置までの範囲に亘って形成されることとしてもよい。
このような構成を有することにより、例えば、全体の厚み寸法が12.5mmからなる構成の下地材を用いる場合、釘の胴部において、抜け止め部は、胴縁材に埋没する領域に確実に位置することとなり、胴縁材から釘が脱落するのを防止し、完成した耐火壁構造体に対して、より安定した施工品質を実現することができる。
【0014】
また、本発明に係る耐火物構造体において、前記抜け止め部は、前記釘の頭部の端部より前記釘の先端部に向かって37mm離間した第四位置から、前記第二位置までの範囲に亘って形成されることとしてもよい。
このような構成を有することにより、例えば、全体の厚み寸法が40mmからなる構成の下地材を用いる場合、釘の胴部において、抜け止め部は、胴縁材に埋没する領域に確実に位置することとなり、胴縁材から釘が脱落するのを防止し、完成した耐火壁構造体に対して、より安定した施工品質を実現することができる。
【0015】
また、本発明に係る耐火壁構造体においては、前記釘において、頭部の直径は、5.0mm以上6.5mm以下であることが好ましい。
このような構成を有することにより、例えば、下地材が複数種類の部材からなる場合であっても、先に打ち込まれた、下地材を構成する第一の部材を胴縁材に固定するための釘の頭部が、次に打ち込まれる、下地材を構成する第二の部材を胴縁材に固定するための釘の先端部や、仕上げ材を固定する固定金具用のビスの先端部などと、より干渉し難くなり、作業効率を改善することができる。
【0016】
また、本発明に係る耐火壁構造体において、前記下地材は、強化石膏ボードからなる第一下地材を有することが好ましい。
このような構成からなる下地材を用いることにより、所定の耐火性能を有した耐火壁構造体を、確実に実現することができる。
【0017】
また、本発明に係る耐火壁構造体において、前記下地材は、火山性ガラス質複層板からなる第二下地材を有することが好ましい。
このような構成からなる下地材を用いることにより、所定の耐火性能を有した耐火壁構造体を、確実に実現することができる。
【0018】
さらに、本発明に係る耐火壁構造体の施工方法は、上述した何れかの耐火壁構造体を施工する施工方法であって、前記下地材側から釘を打ち込み、前記胴縁材と前記下地材とに前記釘を同時に貫通させることにより、前記胴縁材に前記下地材を固定することを特徴とする。
このような構成を有することにより、たとえ予期せぬ振動や衝撃等によって、耐火壁構造体が全体的にガタついたとしても、抜け止め部によって下地材が欠損するのを防止し易く、より確実に所定の耐火性能を維持することができる。
また、胴縁材から釘が脱落するのを防止し、完成した耐火壁構造体に対して、安定した施工品質を実現することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明に係る耐火壁構造体、及び耐火壁構造体の施工方法によれば、所定の耐火性能を確実に維持し、且つ安定した施工品質を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る耐火壁の全体的な構成を示した部分斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る耐火壁を構成する釘の、全体的な形状を示した図であって、(a)は傾斜した溝状の抜け止め部を有した形態を示した斜視図であり、(b)は螺旋状の抜け止め部を有した形態を示した斜視図であり、(c)はリング状の抜け止め部を有した形態を示した斜視図であり、(d)はくさび状の抜け止め部を有した形態を示した斜視図である。
図3】胴縁材と、当該胴縁材に取付けられる下地材と、これら両部材を固定する釘との関係を示した図であって、(a)は下地材全体の厚み寸法が最小値となる場合を示した拡大断面図であり、(b)は下地材全体の厚み寸法が最大値となる場合を示した拡大断面図である。
図4】耐火壁の施行手順を経時的に順に示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施形態について、図1乃至図4を用いて説明する。
なお、以下の説明に関しては便宜上、仕上げ材4が配置される側を前面側とし、図1に示される各矢印の方向によって、耐火壁構造体1の前後方向、左右方向、及び上下方向を各々規定して記述する。
【0022】
[耐火壁構造体1の構成]
先ず、本実施形態における耐火壁構造体1の構成について、図1乃至図3を用いて説明する。
耐火壁構造体1は、鉄骨造の住宅等に用いられ、当該住宅等の外壁を構成するものである。
耐火壁構造体1は、図1に示すように、主に後方から前方に向かって順に配置される胴縁材2、下地材3、仕上げ材4、及び胴縁材2に下地材3を固定する釘5等を備える。
【0023】
胴縁材2は、耐火壁構造体1の基部として設けられ、下地材3及び仕上げ材4等を支持する部材である。
胴縁材2は、例えば、2.3mmの厚み寸法を有するC形鋼や角型鋼等の鋼材からなる鉄骨により構成される。
また、胴縁材2は、1体の耐火壁構造体1に対して複数本設けられ、例えば、上下方向に延出し、且つ耐火壁構造体1の幅方向(本実施形態においては左右方向)に向かって、互いに等間隔で平行に配置されている。
【0024】
なお、胴縁部2の配置姿勢については、本実施形態に限定されることはなく、例えば、左右方向に延出し、且つ上下方向に向かって、互いに等間隔で平行に配置されていてもよい。
【0025】
下地材3は、耐火壁構造体1に耐火性能を付与するための部材である。
下地材3は、例えば本実施形態においては、JISA6901によって規定された強化石膏ボードからなる第一下地材31、及び火山性ガラス質複層板からなる第二下地材32によって構成される。
【0026】
第一下地材31は、矩形平板形状に形成され、前後方向に平面を向けた縦置き姿勢の状態で、胴縁材2の前側面に沿って配置される。
また、第二下地材32は、矩形平板形状に形成され、第一下地材31の幅方向(左右方向)の目地と目地の位置をずらして、当該第一下地材31の前側面に重畳させた状態で配置される。
【0027】
そして、これらの第一下地材31及び第二下地材32は、長さの異なる複数種類の釘5(例えば、第一下地材31に対して打ち込まれる第一釘5A、並びに第一下地材31及び第二下地材32に対して同時に打ち込まれる第二釘5B)を用いて、各々胴縁部2に固定される。
【0028】
なお、これらの第一下地材31及び第二下地材32を形成する部材については、何れも本実施形態に限定されるものではなく、例えば、矩形平板形状のケイ酸カルシウム板やセメント板等を用いることも可能であり、無機系の素材からなる矩形板状部材であって耐火性を有するものであればよく、種々の材料を用いることが可能である。
【0029】
ところで、下地材3の構成については、本実施形態に限定されるものではなく、耐火壁構造体1に要求される耐火性、耐水性、対候性、耐風圧性、及び軽量化による施工性改善等の種々の性能に応じて、構成する部材の種類及び枚数が適宜選定される。
【0030】
具体的には、例えば、耐火壁構造体1に要求される耐火時間(通常の火災時に耐えるべき時間数)が30分である場合、下地材3は、12.5mmの厚み寸法からなる強化石膏ボードによって形成された第一下地材31のみによって、構成することができる。
或いは、下地材3は、12.5mmの厚み寸法からなる強化石膏ボードによって形成された第一下地材31と、12.5mmの厚み寸法からなる火山性ガラス質複層板によって形成された第二下地材32とを重畳させた組合せによって、構成することができる。
【0031】
また、耐火壁構造体1に要求される耐火時間が60分である場合、下地材3は、15mmの厚み寸法からなる強化石膏ボードによって形成された第一下地材31のみによって、構成することができる。
或いは、下地材3は、21mmの厚み寸法からなる強化石膏ボードによって形成された第一下地材31のみによって、構成することができる。
或いは、下地材3は、15mmの厚み寸法からなる強化石膏ボードによって形成された第一下地材31と、12.5mmの厚み寸法からなる火山性ガラス質複層板によって形成された第二下地材32とを重畳させた組合せによって、構成することができる。
或いは、下地材3は、21mmの厚み寸法からなる強化石膏ボードによって形成された第一下地材31と、12.5mmの厚み寸法からなる火山性ガラス質複層板によって形成された第二下地材32とを重畳させた組合せによって、構成することができる。
或いは、下地材3は、15mmの厚み寸法からなる強化石膏ボードによって形成された第一下地材31と、12.5mmの厚み寸法からなる火山性ガラス質複層板によって形成された2枚の第二下地材32とを重畳させた組合せによって、構成することができる。
【0032】
本実施形態における耐火物構造体1においては、強化石膏ボードからなる第一下地材31とともに、第二下地材32として、火山性ガラス質複層板(商品名:ダイライト(登録商標)大建工業株式会社製)を基材とした耐火パネル(商品名:SD耐火パネル(登録商標)大建工業株式会社製)が用いられている。
そして、第二下地材32の前側面(即ち、第一下地材31側との反対側の側面)には、透湿防水シート6が貼着されている。
【0033】
仕上げ材4は、耐火壁構造体1における最外層(外側に面した層)を構成する部材である。
仕上げ材4は、矩形平板形状の窯業系サイディングによって形成され、例えば本実施形態においては、耐火性を有する繊維混入セメント珪酸カルシウム板等の外壁仕上げ材が用いられている。
【0034】
そして、仕上げ材4は、下地材3(より具体的には、第二下地材32)の前方側(即ち、下地材3において胴縁材2側との反対側)において、第二下地材32との間に僅かな隙間を有して、目地模様が施された平面を表側(本実施形態においては、前側)に向けた縦置き姿勢の状態で配置され、下地材3に取り付けられた固定金具7を介して、当該下地材3に固定される。
また、上記固定金具7は、複数のビス8を用いて、透湿防水シート6を間に挟み、下地材3に固定される。
なお、仕上げ材4と第二下地材32との間の隙間は、外壁通気層として機能する。
【0035】
釘5は、下地材3側(本実施形態においては、前側)から打ち込まれて胴縁材2と下地材3とを同時に貫通し、胴縁部2に下地材3を固定するためのものである。
釘5は、例えば、鋼製またはステンレス製の部材からなり、後述するエア式の釘打ち機10(図4を参照)を用いて施工がなされる。
また、釘5は、上記釘打ち機10を用いて連続打設することを可能にするために、連結部材(図示せず)によってシート状に連結された状態で(所謂シート釘として)供される。
【0036】
なお、釘5を形成する部材については、胴縁材2との電界腐食の防止を図り、当該胴縁材2と同種の材質からなる部材を用いることが望ましい。
【0037】
釘5は、図2に示すように、主に一直線上に順に配置される頭部5a、首部5b、胴部5c、及び先端部5dにより構成され、当該胴部5cには、抜け止め部51が形成されている。
【0038】
抜け止め部51は、釘5を用いて胴縁材2(図1を参照)に下地材3(同じく、図1を参照)を固定した状態において、当該釘5が胴縁材2から脱落するのを防止するための部位である。
抜け止め部51は、釘5の胴部5cの外周面において、下地材3に対する引き抜き強度(摩擦力)が増す形状に、転造によって形成されている。
【0039】
例えば、図2(a)に示すように、抜け止め部51は、釘5の軸心方向に対して若干傾斜した、複数の平行な溝からなる凹凸形状によって形成することができる。
また、図2(b)に示すように、抜け止め部51は、釘5と斜交する軸心を有する、螺旋状の溝からなる凹凸形状によって形成することができる。
また、図2(c)に示すように、抜け止め部51は、釘5と同軸上の複数のリング状の溝からなる凹凸形状によって形成することができる。
さらに、図2(d)に示すように、抜け止め部51は、釘5と同軸上に設けられ、先端部5dに向かって縮径する複数の傘状の突起からなる凹凸形状によって形成することができる。
【0040】
なお、抜け止め部51の構成については、上述した転造による形状に限定されるものではなく、下地材3に対する引き抜き強度(摩擦力)が増加する構成であれば、何れのような構成であってもよい。
例えば、図示はしないが、常温下にて固形状(或いは粘着状)の接着剤層を、抜け止め部51が設けられる領域に予め付与しておき、釘5が胴縁材2を打ち抜く際に発生する摩擦熱によって、当該接着剤層が溶解され、釘5と胴縁材2とが接着される構成としてもよい。
【0041】
以上のような形状からなる抜け止め部51は、釘5を用いて胴縁材2に下地材3を固定した状態において、胴部5cにおける、少なくとも当該胴縁材2に埋没する領域Sa(図3を参照)に形成される。
【0042】
即ち、上述したように、本実施形態における耐火壁構造体1においては、要求される耐火時間に応じて、下地材3の構成が適宜選定され、当該下地材3全体の厚み寸法が、その都度変更される。
【0043】
例えば、図3(a)に示すように、耐火壁構造体1に要求される耐火時間が30分であり、12.5mmの厚み寸法からなる強化石膏ボード(第一下地材31)のみによって下地材3が構成される場合、当該下地材3全体の厚み寸法は、最小値となる。
この場合、胴縁材2の厚み寸法(2.3mm)を考慮して、抜け止め部51は、釘5の頭部5aの端部より当該釘5の先端部5dに向かって、10mm離間した第一位置P1から、上記頭部5aの端部より上記先端部5dに向かって、18mm離間した第三位置P3までの範囲(領域Sa1)に亘って形成される。
【0044】
また、図3(b)に示すように、耐火壁構造体1に要求される耐火時間が60分であり、15mmの厚み寸法からなる強化石膏ボード(第一下地材31)と、12.5mmの厚み寸法からなる2枚の火山性ガラス質複層板(第二下地材32)とを重畳させた組合せによって、下地材3が構成される場合、当該下地材3全体の厚み寸法は、最大値となる。
この場合、胴縁材2の厚み寸法(2.3mm)を考慮して、抜け止め部51は、釘5の頭部5aの端部より当該釘5の先端部5dに向かって、37mm離間した第四位置P4から、上記頭部5aの端部より上記先端部5dに向かって、45mm離間した第四位置P4までの範囲(領域Sa2)に亘って形成される。
【0045】
このように、本実施形態における耐火壁構造体1においては、適宜選択される下地材3の構成に応じて、上記の第一位置P1から第二位置P2までの間の所定の範囲内(領域Sa)に、抜け止め部51が形成されており、釘5を用いて胴縁材2に下地材3を固定した状態において、当該抜け止め部51が、胴縁材2に埋没する領域Saに確実に位置するようになっている。
従って、胴縁材2から釘5が脱落するのを確実に防止し、完成した耐火壁構造体1に対して、安定した施工品質を実現することができる。
【0046】
また、本実施形態における耐火壁構造体1においては、釘5に設けられる抜け止め部51が、胴部5c(図2を参照)、即ち首部5b(同じく、図2を参照)を除く領域であって、頭部5aに対して先端部5d側に離間した領域にのみ形成されることから、釘5を用いて胴縁材2に下地材3を固定した状態において、抜け止め部51が、下地材3に埋没する領域に存在するのを回避し易い。
従って、たとえ予期せぬ振動や衝撃等によって、耐火壁構造体1が全体的にガタついたとしても、抜け止め部51によって下地材3が欠損するのを防止し易く、より確実に所定の耐火性能を維持することができる。
【0047】
ところで、図2(a)に示すように、釘5において、頭部5aの直径φAは、5.0mm以上6.5mm以下とすることが好ましい。
このような構成を有することにより、例えば図1に示すように、施工現場において、胴縁材2に下地材3及び仕上げ材4を固定する際、先に打ち込まれた、第一下地材31を胴縁材2に固定するための釘5(より具体的には、第一釘5A)の頭部5aが、次に打ち込まれる、第二下地材32を胴縁材2に固定するための釘5(より具体的には、第二釘5B)や、仕上げ材4を固定する固定金具7用のビス8などと、より干渉し難くなり、作業効率を改善することができる。
【0048】
なお、釘5の頭部5aの端部は、円錐状(図2(b)を参照)、三角錐状(図2(c)を参照)、または半球状(図2(d)を参照)等に突出した形状としてもよい。
このような形状を有することにより、例えば施工現場において、先に打ち込まれた第一釘5Aの頭部5aが、次に打ち込まれる第二釘5Bの先端部5dや、固定金具7用のビス8の先端部と接触しても、これらの第二釘5Bやビス8は、第一釘5Aの頭部5aに沿ってズレるため、当該第一釘5Aとの干渉が避けられ、作業効率を改善することができる。
[耐火壁構造体1の施工方法]
【0049】
次に、本実施形態における耐火壁構造体1の施工方法について、図4を用いて説明する。
なお、以下の説明については、主に、強化石膏ボードからなる第一下地材31、及び火山性ガラス質複層板からなる第二下地材32からなる下地材3を用いた場合の、耐火壁構造体1の施工方法について記載する。
【0050】
先ず始めに、立設された複数の胴縁材2に沿って、第一下地材31を縦置き姿勢の状態で配置し、複数の釘5(より具体的には、第一釘5A)を用いて、当該第一下地材31を胴縁材2に固定する。
この際、第一釘5Aは、釘打ち機10を用いて、第一下地材31側から胴縁材2に向かって貫通するように打ち込まれる。
【0051】
釘打ち機10は、エアの圧力によって、釘5を対象物(本実施形態においては、下地材3及び胴縁材2)に打ち込むことができる工具である。
【0052】
釘5は、連結部材(図示せず)を使用してシート状に連結された状態で釘打ち機10に装填されており、施工者が釘打ち機10に設けられたトリガーを引くたびに、連結部材から外れた釘5を1本ずつ打設することができる。
つまり、釘打ち機10を使用することで、釘5を1本ずつ釘打ち機10に装填することなく連続的に、下地材3に対して釘5を打ち込むことができる。
このため、本実施形態における耐火壁構造体1の施工方法では、従来のようなビスを使用した場合と比べて、釘5を連続的且つ高速で打ち込むことができるため、施工性の向上が図られている。
【0053】
なお、ここでいう「連続的」とは、釘打ち機10において、釘5が自動的に連続的に装填され、施工者が釘5を装填する作業を、釘5を打ち込む度に行わなくてもよいことを意味している。
【0054】
胴縁材2に対する第一下地材31の固定が終了すると、続いて当該第一下地材31の前側面に沿って、第二下地材32を縦置き姿勢の状態で配置し、複数の釘5(より具体的には、第二釘5B)を用いて、第一下地材31とともに第二下地材32を胴縁材2に固定する。
この際においても、上述した第一下地材31を固定する場合と同様に、第二釘5Bは、釘打ち機10を用いて、第二下地材31側から胴縁材2に向かって貫通するように打ち込まれる。
【0055】
なお、第二下地材32を固定する第二釘5Bは、上述の第一釘5Aと同様に、連結部材(図示せず)を使用してシート状に連結されたものであるが、当該第一釘5Aと比べて胴部5Cの全長が長いものを使用する。
【0056】
ここで、釘5の頭部5a(図2を参照)は、従来のビスの頭部と比べて外径が小さいため、第二下地材32を固定する際に打ち込んだ第二釘5Bの先端部5d(同じく、図2を参照)が、第一下地材32を固定する第一釘5Aの頭部5aと干渉する確率が低減されている。
このため、本実施形態における耐火壁構造体1の施工方法では、第二下地材32を固定する工程において、従来と比べて第二釘5Bの打ち直しが減り、施工性の向上が図られている。
【0057】
また、第一下地材31を固定する第一釘5A、及び第二下地材32を固定する第二釘5Bには、それぞれ、少なくとも胴縁材2に埋没する領域Sa(Sa1またはSa2)に、抜け止め部51が形成されている。
抜け止め部51が形成された、これらの第一釘5A及び第二釘5Bは、従来のビスを使用した場合と同等の引き抜き強度を得ることができるため、当該ビスに代えて釘5(第一釘5A及び第二釘5B)を使用することによって、耐火壁構造体1の構造的な強度が低下することもない。
【0058】
なお、金属製の胴縁材2と下地材3を貫通させて釘5を打ち込むことを可能にするために、釘打ち機10における釘5の打ち込みに係るエアの設定圧力を、1.2MPa以上2.3MPa以下とすることが好ましい。
エアの設定圧力が1.2MPaよりも低いと、釘5を確実に打ち込むことができない場合が生じ、エアの設定圧力が2.3MPaよりも高いと、釘5を打ち込んだ際に下地材3を損傷する場合が生じる。
このため、釘打ち機10における釘5の打ち込みに係るエアの設定圧力を1.2MPa以上2.3MPa以下とすることによって、釘5によって、下地材3を損傷させることなく胴縁材2に対して確実に固定することができる。
【0059】
胴縁材2及び第一下地材31に対する第二下地材32の固定が終了すると、続いて第二下地材5の表面(前面)に透湿防水シート6を貼り付ける。
透湿防水シート6の貼り付けは、例えば、タッカー(図示せず)によりコの字状の針を打ち込むことによって行うことができる。
【0060】
透湿防水シート6の貼り付けが終了すると、続いて当該透湿防水シート6が貼り付けられた第二下地材32の表面側(前面側)に、固定金具7を固定する。
固定金具7は、ビス8を使用して固定するが、釘打ち機10を使用して釘5を打ち込んで固定することとしてもよい。
【0061】
なお、本実施形態における耐火壁構造体1の施工方法においては、固定金具7を取り付けるビス8(或いは、釘5でもよい)が、第二下地材32を固定している第二釘5Bの頭部5aと干渉する確率についても、従来と比べて低減されている。
このため、固定金具7を固定する工程においても、従来と比べてビス8を螺挿し直す機会が減り、施工性の向上が図られている。
【0062】
固定金具7の固定が終了すると、乾式工法によって、当該固定金具7に仕上げ材4を留め付ける。
これにより、耐火壁構造体1が完成し、本実施形態における耐火壁構造体1の施工方法は終了する。
【0063】
[効果]
以上のように、本実施形態における耐火壁構造体1は、鉄骨からなる胴縁材2、胴縁材2に沿って配置される下地材3(本実施形態においては、第一下地材31及び第二下地材32)、下地材3側から打ち込まれて胴縁材2と下地材3とを同時に貫通し、胴縁材2に下地材3を固定する釘5(本実施形態においては、第一釘5A及び第二釘5B)、及び下地材3において胴縁材2側との反対側(本実施形態においては、前側)に固定される仕上げ材4とを備える耐火壁構造体である。
そして、釘5は、胴縁材2からの脱落を防止する抜け止め部51を有し、抜け止め部51は、釘5の胴部5cであって、少なくとも胴縁材2に埋没する領域Saに形成されることを特徴とする。
【0064】
このように、本実施形態においては、釘5の脱落を防止する防止する抜け止め部51が、当該釘5の胴部5c、即ち首部5bを除く領域であって、頭部5aに対して先端部5d側に離間した領域にのみ形成されることから、釘5を用いて胴縁材2に下地材3を固定した状態において、抜け止め部51が、下地材3に埋没する領域に存在するのを回避し易い。
従って、たとえ予期せぬ振動や衝撃等によって、耐火壁構造体1が全体的にガタついたとしても、抜け止め部51によって下地材3が欠損するのを防止し易く、より確実に所定の耐火性能を維持することができる。
【0065】
また、釘5を用いて胴縁材2に下地材3を固定した状態において、上記抜け止め部51は、少なくとも胴縁材2に埋没する領域Saに形成されることから、胴縁材2から釘5が脱落するのを防止し、完成した耐火壁構造体1に対して、安定した施工品質を実現することができる。
【0066】
また、本実施形態における耐火壁構造体1において、抜け止め部51は、釘5の頭部5aの端部より当該釘5の先端部5dに向かって、10mm離間した第一位置P1から、45mm離間した第二位置P2までの間の範囲内に形成されることが好ましい。
【0067】
ここで、本実施形態においては、主に、全体の厚み寸法が12.5mm~40mmからなる様々な構成の下地材3が用いられる。また、胴縁部2については、主に2.3mmの厚み寸法の鋼材からなる鉄骨が用いられる。
従って、釘5の胴部5cにおいて、下地材3の構成に応じて、上記のような、10mm離間した第一位置P1から、45mm離間した第二位置P2までの間の範囲内に抜け止め部51を形成することにより、当該抜け止め部51は、胴縁材2に埋没する領域Saに確実に位置することとなり、胴縁材2から釘5が脱落するのを防止し、完成した耐火壁構造体1に対して、より安定した施工品質を実現することができる。
【0068】
また、本実施形態における耐火物構造体1において、抜け止め部51は、第一位置P1から、釘5の頭部5aの端部より当該釘5の先端部5dに向かって18mm離間した第三位置P3までの範囲に亘って形成されることとしてもよい。
【0069】
このような構成を有することにより、例えば、全体の厚み寸法が12.5mmからなる構成の下地材3を用いる場合、釘5の胴部5cにおいて、抜け止め部51は、胴縁材2に埋没する領域Sa1に確実に位置することとなり、胴縁材2から釘5が脱落するのを防止し、完成した耐火壁構造体1に対して、より安定した施工品質を実現することができる。
【0070】
また、本実施形態における耐火物構造体1において、抜け止め部51は、釘5の頭部5aの端部より当該釘5の先端部5dに向かって37mm離間した第四位置P4から、第二位置P2までの範囲に亘って形成されることとしてもよい。
【0071】
このような構成を有することにより、例えば例えば、全体の厚み寸法が40mmからなる構成の下地材3を用いる場合、釘5の胴部5cにおいて、抜け止め部51は、胴縁材2に埋没する領域Sa2に確実に位置することとなり、胴縁材2から釘5が脱落するのを防止し、完成した耐火壁構造体1に対して、より安定した施工品質を実現することができる。
【0072】
また、本実施形態における耐火壁構造体1においては、釘5において、頭部5aの直径が、5.0mm以上6.5mm以下であることが好ましい。
【0073】
このような構成を有することにより、例えば、下地材3が複数種類の部材からなる場合であっても、先に打ち込まれた、下地材を構成する第一の部材(例えば、本実施形態においては第一下地材31)を胴縁材2に固定するための第一釘5Aの頭部5aが、次に打ち込まれる、下地材を構成する第二の部材(例えば、本実施形態においては第二下地材32)を胴縁材2に固定するための第二釘5Bの先端部5dや、仕上げ材4を固定する固定金具7用のビス8の先端部などと、より干渉し難くなり、作業効率を改善することができる。
【0074】
また、本実施形態における耐火壁構造体1において、下地材3は、強化石膏ボードからなる第一下地材31を有することが好ましい。
【0075】
このような構成からなる下地材3を用いることにより、所定の耐火性能を有した耐火壁構造体1を、確実に実現することができる。
【0076】
また、本実施形態における耐火壁構造体1において、下地材3は、火山性ガラス質複層板からなる第二下地材32を有することが好ましい。
【0077】
このような構成からなる下地材3を用いることにより、所定の耐火性能を有した耐火壁構造体1を、確実に実現することができる。
【0078】
さらに、本実施形態における耐火壁構造体1の施工方法は、上述した何れかの耐火壁構造体1を施工する施工方法であって、下地材3側から釘5を打ち込み、胴縁材2と下地材3とに釘5を同時に貫通させることにより、胴縁材2に下地材3を固定することを特徴とする。
【0079】
このように、本実施形態においては、釘5の脱落を防止する防止する抜け止め部51が、当該釘5の胴部5c、即ち首部5bを除く領域であって、頭部5aに対して先端部5d側に離間した領域にのみ形成されることから、釘5を用いて胴縁材2に下地材3を固定した状態において、抜け止め部51が、下地材3に埋没する領域に存在するのを回避し易い。
従って、たとえ予期せぬ振動や衝撃等によって、耐火壁構造体1が全体的にガタついたとしても、抜け止め部51によって下地材3が欠損するのを防止し易く、より確実に所定の耐火性能を維持することができる。
【0080】
なお、本実施形態における耐火壁構造体1の施工方法において、釘5は、連結部材(図示せず)によって複数連結されて釘打ち機10に装填可能であり、釘打ち機10によって、釘5を下地材3に対して連続的に打ち込むこととするのが好ましい。
【0081】
このような構成からなる耐火壁構造体1の施工方法によれば、胴縁材2及び下地材3に対して釘5を打設する際の作業に要する時間が短縮し、作業効率の改善を図ることができる。
【0082】
また、本実施形態における耐火壁構造体1の施工方法において、釘打ち機10は、エアの圧力で釘5を打ち込むエア式であり、釘打ち機10の釘5を打ち込むためのエアの設定圧が、1.2MPa以上2.3MPa以下であることが好ましい。
【0083】
このような構成からなる耐火壁構造体1の施工方法によれば、胴縁材2及び下地材3に対して、確実に釘5を打設することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 耐火壁構造体
2 胴縁材
3 下地材
4 仕上げ材
5 釘
5a 頭部
5c 胴部
5d 先端部
5A 第一釘
5B 第二釘
10 釘打ち機
31 第一下地材
32 第二下地材
51 抜け止め部
P1 第一位置
P2 第二位置
P3 第三位置
P4 第四位置
Sa 領域
【要約】
【課題】鉄骨からなる胴縁材と、前記胴縁材に沿って配置される下地材と、前記胴縁材に前記下地材を固定する釘と、前記下地材において前記胴縁材側との反対側に固定される仕上げ材とを備える耐火壁構造体であって、所定の耐火性能を確実に維持し、且つ安定した施工品質を実現することができる耐火壁構造体、及び耐火壁構造体の施工方法を提供することを課題とする。
【解決手段】釘5は、胴縁材2からの脱落を防止する抜け止め部51を有し、抜け止め部51は、釘5の胴部5cであって、少なくとも胴縁材2に埋没する領域Saに形成される。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4