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特許7033280エレベータの遠隔監視システム、及び、遠隔監視システムで用いられる汎用無線端末
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-02
(45)【発行日】2022-03-10
(54)【発明の名称】エレベータの遠隔監視システム、及び、遠隔監視システムで用いられる汎用無線端末
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20220303BHJP
【FI】
B66B5/00 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020217050
(22)【出願日】2020-12-25
(62)【分割の表示】P 2017098894の分割
【原出願日】2017-05-18
(65)【公開番号】P2021046327
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2020-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】宮川 行宏
(72)【発明者】
【氏名】若林 正一
(72)【発明者】
【氏名】赤坂 文隆
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-043436(JP,A)
【文献】特開2008-037629(JP,A)
【文献】特開2009-274845(JP,A)
【文献】特開2002-020049(JP,A)
【文献】特開2005-314083(JP,A)
【文献】特開2005-255310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00-5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
公衆回線に接続されている監視用端末と、
公衆回線に無線通信を介して接続可能で、且つ、エレベータの保守を担当する技術員又は保守対象のエレベータの管理者によって所持可能な汎用無線端末であって、技術員又は管理者が前記監視用端末からのエレベータの異常に関する報知に基づき出向したときにエレベータの制御マイコンに取り外し可能に接続できるように構成されるとともに、カメラ又はマイクを有する汎用無線端末にインストールされるアプリケーションと、を備え、
前記アプリケーションは、
該アプリケーションがインストールされた前記汎用無線端末が前記カメラで画像を取得し又は前記マイクで音声を取得したときに、前記画像に関する信号又は前記音声に関する信号を、前記監視端末に合わせた信号に変換し、この変換した信号を前記汎用無線端末から前記監視端末出力させ
該アプリケーションがインストールされた前記汎用無線端末が前記制御マイコン及び公衆回線に接続されているときに前記制御マイコンからの信号を前記監視用端末に合わせた信号に変換し、この変換した信号を前記汎用無線端末から公衆回線を通じて前記監視用端末へ出力させ一方、公衆回線を通じた前記監視用端末からの信号を前記制御マイコンに合わせた信号に変換し、この変換した信号を前記汎用無線端末から前記制御マイコンへ出力させる、ことを特徴とするエレベータの遠隔監視システム。
【請求項2】
前記アプリケーションは、前記汎用無線端末に、該汎用無線端末に接続された前記制御マイコンから該制御マイコンを有する前記エレベータの固有の識別番号を取得させると共に、該識別番号を前記監視用端末に送信する処理を行わせる、
前記監視用端末は、前記汎用無線端末から送信された前記識別番号と、許可リストに予め登録されている前記監視用端末との通信が許可された前記エレベータの前記識別番号とを比較し、前記汎用無線端末から送信された前記識別番号と、前記許可リストにおける識別番号とが一致する場合に、通信を許可する旨の通知を前記汎用無線端末に送信し、
前記アプリケーションは、前記汎用無線端末に、該汎用無線端末が前記監視用端末から前記通信を許可する旨の通知が送信された場合に、前記汎用無線端末を介しての前記制御マイコンと前記監視用端末との通信を開始させる処理を行わせる、請求項1に記載のエレベータの遠隔監視システム。
【請求項3】
前記許可リストは、自身に登録されている前記識別番号のうち任意の識別番号を、前記汎用無線端末から送信された前記識別番号との比較の対象から除外可能である、請求項2に記載のエレベータの遠隔監視システム。
【請求項4】
前記監視用端末は、前記通信を許可する旨の通知の対象となった前記識別番号と、実施リストに予め登録されている過去に遠隔監視が実施された前記エレベータの前記識別番号とを比較し、前記通信を許可する旨の通知の対象となった前記識別番号と、前記実施リストにおける識別番号とが一致しない場合は、前記通信を許可する旨の通知の対象となった前記識別番号に対応する前記エレベータを、新規の遠隔監視機器として登録する、請求項2又は3に記載のエレベータの遠隔監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータを遠隔監視する遠隔監視システム、及び、この遠隔監視システムで用いられる汎用無線端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エレベータの動作状況を監視する遠隔監視システムが提供されている。遠隔監視システムは、動作を制御するための制御マイコンを含むエレベータと、エレベータの制御マイコンに対し通信可能に接続され、エレベータの動作を遠隔で監視するための監視端末とを備える(特許文献1参照)。
【0003】
かかるシステムでは、監視端末は、エレベータ(制御マイコン)からの信号(いわゆる、イベントコード)を基に、監視センターの監視員に対してエレベータの動作状況(運転停止等)を報知する。これに伴い、監視員は、技術員に現場への出向を要請する。
【0004】
ところで、制御マイコンからの信号を監視端末に送信する機器や部品が故障すると、この機器等を交換するまでエレベータを遠隔監視できないが、この機器等をすぐに交換できない場合がある。このような場合において、制御マイコンからの信号を監視端末に送信する機器以外の機器等によって一時的に遠隔監視を行う必要が生じることがある。
【0005】
また、制御マイコンからの信号を、監視端末に送信する機器等を備えていないエレベータ、即ち、遠隔監視を行っていないエレベータにおいても、一時的に遠隔監視を行いたいとの要望がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-44054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、制御マイコンから出力される信号を外部の端末に送信できない状態のエレベータに対する遠隔監視を可能にする遠隔監視システム、及び、この遠隔監視システムで用いられる汎用無線端末を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のエレベータの遠隔監視システムは、公衆回線に接続されている監視用端末と、公衆回線に無線通信を介して接続可能で、且つエレベータの制御マイコンに接続可能に構成され、前記制御マイコンからの信号を監視用端末に合わせた信号に変換して出力すると共に監視用端末からの信号を前記制御マイコンに合わせた信号に変換して出力する汎用無線端末と、を備えることを特徴とする。
【0009】
上記エレベータの遠隔監視システムでは、汎用無線端末により監視用端末と制御マイコンとが接続できるため、エレベータを監視することが可能である。
【0010】
前記エレベータの遠隔監視システムでは、前記汎用無線端末は、自身に接続された前記制御マイコンから該制御マイコンを有する前記エレベータの固有の識別番号を取得すると共に、該識別番号を前記監視用端末に送信し、前記監視用端末は、前記汎用無線端末から送信された前記識別番号と、許可リストに予め登録されている前記監視用端末との通信が許可された前記エレベータの前記識別番号とを比較し、前記汎用無線端末から送信された前記識別番号と、前記許可リストにおける識別番号とが一致する場合に、通信を許可する旨の通知を前記汎用無線端末に送信し、前記汎用無線端末が前記監視用端末から前記通信を許可する旨の通知が送信された場合に、前記汎用無線端末を介しての前記制御マイコンと前記監視用端末との通信を開始させてもよい。
【0011】
かかる構成によれば、予め登録されたエレベータにおいて、制御マイコンと監視端末との通信が可能になる。言い換えると、監視端末との通信を許可するエレベータを適切に判断できる。
【0012】
前記エレベータの遠隔監視システムでは、前記許可リストは、自身に登録されている前記識別番号のうち任意の識別番号を、前記汎用無線端末から送信された前記識別番号との比較の対象から除外可能であってもよい。
【0013】
かかる構成によれば、任意のエレベータに対して、制御マイコンと監視端末との通信をブロックすることができる。
【0014】
前記エレベータの遠隔監視システムでは、前記監視用端末は、前記通信を許可する旨の通知の対象となった前記識別番号と、実施リストに予め登録されている過去に遠隔監視が実施された前記エレベータの前記識別番号とを比較し、前記通信を許可する旨の通知の対象となった前記識別番号と、前記実施リストにおける識別番号とが一致しない場合は、前記通信を許可する旨の通知の対象となった前記識別番号に対応する前記エレベータを、新規の遠隔監視機器として登録してもよい。
【0015】
かかる構成によれば、新たに通信を許可したエレベータを、新規の遠隔監視機器として登録して、例えば、このエレベータを管理することができる。
【0016】
本発明のエレベータの汎用無線端末は、公衆回線に無線通信を介して接続可能であると共に、公衆回線を介した監視用端末及びエレベータの制御マイコンとの接続がそれぞれ可能に構成され、該制御マイコンからの信号を前記監視用端末に合わせた信号に変換して出力すると共に、前記監視用端末からの信号を前記制御マイコンに合わせた信号に変換して出力し、自身に接続された前記制御マイコンから該制御マイコンを有する前記エレベータの固有の識別番号を取得すると共に、該識別番号を前記監視用端末に送信し、前記監視用端末から、該監視用端末に送信した前記識別番号と、許可リストに予め登録されている前記監視用端末との通信が許可された前記エレベータの前記識別番号とが一致することにより、前記通信を許可する旨の通知を受けた場合に、自身を介しての前記制御マイコンと前記監視用端末との通信を開始させることを特徴とする。
【0017】
上記エレベータの汎用無線端末は、監視用端末と制御マイコンとを接続できるため、エレベータを監視することが可能である。
【発明の効果】
【0018】
以上より、本発明によれば、制御マイコンから出力される信号を外部の端末に送信できない状態のエレベータに対する遠隔監視を可能にする遠隔監視システム、及び、この遠隔監視システムで用いられる汎用無線端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るエレベータの遠隔監視システムのブロック図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係るエレベータの遠隔監視システムでの処理を示すフローチャート図である。
図3図3は、本発明の変形例に係るエレベータの遠隔監視システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るエレベータの遠隔監視システムについて説明する。遠隔監視システムは、エレベータの動作状況を遠隔で監視するシステムである。この遠隔監視システムでは、汎用無線端末が、エレベータの制御マイコンに接続可能であると共に、監視用端末に接続可能であり、制御マイコン及び監視用端末に接続された状態で、制御マイコンからの信号を制御マイコンに合わせて変換して出力するため、監視用端末からエレベータの動作状況を確認できる。具体的に、エレベータが、例えば、運転停止等の以上に基づき異常信号を出力すると、監視端末がエレベータの異常に関する報知を行うことができ、監視端末を監視している監視員が、必要に応じて、技術員を現場(異常が生じているエレベータ)に出向させる等の対応を行うことができる。
【0021】
遠隔監視システムは、図1に示すように、電話回線(公衆回線)に接続されている監視端末(監視用端末)2と、監視端末2に接続可能で、且つ、エレベータ4の制御マイコン40に接続可能な情報端末(汎用無線端末)3と、を備える。
【0022】
尚、図1では、一台の監視端末2が示されているが、本実施形態の遠隔監視システム1には、複数台の監視端末2が備えられている。また、図1では、一台のエレベータ4が示されているが、本実施形態の遠隔監視システム1には、複数台のエレベータ4が備えられている。
【0023】
情報端末3が監視端末2及びエレベータ4にそれぞれ接続された状態において、エレベータ4は監視端末2に通信系統R1を介して通信可能である。通信系統R1は、例えば、エレベータ4から順に情報端末3と無線通信と基地局と電話回線とを介して監視端末2に通信可能であり、且つ、監視端末2から逆に電話回線基地局と無線通信と情報端末3とを介してエレベータ4に通信可能な通信系統である。
【0024】
本実施形態の遠隔監視システム1では、エレベータ4は、制御マイコン40に加えて、昇降路内を昇降するかご等を含む動作部(図示なし。)、かご内を撮影するカメラ(例えば、監視カメラ、図示なし。)、及び、かご内の音を集音するインターホン(図示なし。)等を有する。かごには、エレベータ4の動作状況を検知すると共に、この検知結果をエレベータ4の動作状況に関する信号として出力可能な各種センサ(図示なし。)と、が設けられている。
【0025】
また、本実施形態の遠隔監視システム1では、制御マイコン40は、常時、センサ(かごに設けられたセンサ)によるエレベータ4の動作状況に関する情報の出力を受け付けている。さらに、制御マイコン40は、センサから情報が出力されると、この出力された情報に基づく信号を出力する。制御マイコン40からの信号は、例えば、かごドアの開閉情報、かご内での釦操作、及び、かごの位置情報等を示すイベントコード、イベントコードの出力元のエレベータに関する情報(例えば、エレベータの識別番号)、及び、制御マイコン40の出力状態等である。イベントコードは、異常を示すイベントコード(かごドアや階層ドアの故障等のエレベータ4の異常を示すイベントコード)を含む。エレベータ4の識別番号は、例えば、7桁の数字で示されるエレベータ機番である。
【0026】
さらに、本実施形態の遠隔監視システム1では、制御マイコン40は、LAN、RS-232C等の通信ポート(図示なし。)を有する。また、制御マイコン40は、自身を有するエレベータ4に固有の識別番号を記憶している。
【0027】
情報端末3は、例えば、PDA(Personal Digital Assistant)やノートパソコン等の持ち運び可能な端末である。具体的に、情報端末3は、管理者等(エレベータの保守を担当する技術員やエレベータの管理者等)により所持される。また、情報端末3は、以下の一連の処理を行うためのアプリケーションを記憶している。尚、この情報端末3は、汎用性を有する端末であり、以下の一連の処理以外の処理も行うことができる。
【0028】
本実施形態の遠隔監視システム1では、情報端末3は、制御マイコン40からの信号を監視端末2に合わせた信号に変換して出力すると共に、後述する監視端末2からの信号を制御マイコン40に合わせた信号に変換して出力する第二処理部30と、周囲を撮像可能なカメラ31と、周囲の音を集音可能なマイク32と、技術員等により情報を入力可能な入力部33と、各種情報を表示可能な第二表示部34と、を有する。入力部33は、例えば、操作キーやキーボードである。第二表示部34は、例えば、ディスプレイである。尚、情報端末3がタッチパネル式のディスプレイを備える場合、このディスプレイが入力部33と第二表示部34とを兼ねることができる。
【0029】
さらに、情報端末3は、上述のように、エレベータ4の制御マイコン40に接続可能に構成されている。具体的に、情報端末3は、USB等の通信ポート(図示なし。)を有し、この通信ポートを介して制御マイコン40に接続可能である。また、情報端末3は、電話回線(公衆回線)に無線回線を介して接続することで、監視端末2に接続可能である。情報端末3は、例えば、エレベータ4の制御マイコン40に接続可能に構成されている。具体的に、この無線通信は、例えば、LTE、3G、4G、Wi-Fi等である。
【0030】
第二処理部30は、情報端末3が制御マイコン40に接続されると共に監視端末2に接続されると、制御マイコン40から識別番号を取得し、この識別番号を監視端末2に送信する。具体的に、第二処理部30は、エレベータ4に出向した技術員により、情報端末3が変換器(例えば、LAN/USB変換ケーブル)を介して制御マイコン40に接続されると、情報端末3を自動的に監視端末2に接続すると共に、第二表示部34にエレベータの遠隔監視を開始するか否かを質問する開始メッセージ(例えば、「遠隔でのエレベータ監視を開始しますか?「はい」または「いいえ」のいずれかを選択してください。」との開始メッセージ)を出力させる。第二処理部30は、開始メッセージに対して、技術員により入力部33を介して遠隔監視を開始する旨の回答(例えば、「はい」との回答)が入力されると、制御マイコン40から識別番号を取得し、この識別番号を監視端末2に送信する。尚、第二処理部30は、開始メッセージに対して、技術員により入力部33を介して遠隔監視を開始しない旨の回答(例えば、「いいえ」との回答)が入力されると、情報端末3と制御マイコン40との接続を切断する。
【0031】
また、第二処理部30は、監視端末2から後述のように通信を許可する旨の通知が送信されると、制御マイコン40と監視端末2との通信を開始させる。具体的に、第二処理部30は、制御マイコン40と監視端末2との通信中において、制御マイコン40からの信号(例えば、イベントコードやイベントコードの出力元のエレベータに関する情報(例えば、エレベータ4の識別番号))の出力を常時受け付けており、制御マイコン40から信号が出力されると、この信号を監視端末2に合わせた信号に変換して監視端末2に出力する。また、第二処理部30は、制御マイコン40と監視端末2との通信中において、監視端末2からの信号(例えば、エレベータ操作コマンドや、状態情報の要求)の出力を常時受け付けており、監視端末2から信号が出力されると、この信号を制御マイコン40に合わせた信号に変換して出力する。尚、制御マイコン40に合わせた信号とは制御マイコン40の通信インターフェースが受信し得る形式の信号であり、監視端末2に合わせた信号とは監視端末2の通信インターフェースが受信し得る形式の信号である。
【0032】
本実施形態の遠隔監視システム1では、第二処理部30は、制御マイコン40と監視端末2との通信中には、技術員がカメラ31を用いて撮像した画像(例えば、エレベータ4のかご内の画像)に関する信号や、技術員がマイク32により集音した音(例えば、エレベータ4のかごを駆動するモーターの駆動音)に関する信号を、監視端末2に合わせた信号に変換して監視端末2に出力する。
【0033】
本実施形態の遠隔監視システム1では、監視端末2は、例えば、複数の地域に設置された多数のエレベータの監視を行うと共に、対象となるエレベータと離れた建物である監視センター等に設置されている。また、本実施形態の遠隔監視システム1では、監視センターに、オペレータ(監視員)が常駐している。
【0034】
監視端末2は、自身と制御マイコン40との通信を許可可能な第一処理部20と、第一処理部20により用いられる許可リスト等を記憶する記憶部21と、制御マイコン40からの信号を出力可能な第一表示部22及びスピーカー23と、を有する。第一表示部22は、例えば、ディスプレイである。
【0035】
記憶部21は、監視端末2との通信が許可されたエレベータの識別番号が予め登録されている許可リストを記憶している。監視端末2との通信が許可されたエレベータは、例えば、現在遠隔監視を行っているエレベータや、現在遠隔監視を行っておらず且つ保守契約が結ばれているエレベータである。尚、許可リストは、書き換え可能である。本実施形態の遠隔監視システム1では、記憶部21は、許可リストにおいて、除外項目を、識別番号に関連付けて記憶している。この除外項目としてフラグ「1」が記憶されている場合、対応する識別番号を有するエレベータは通信許可対象に該当しないものとする。
【0036】
また、本実施形態の遠隔監視システム1では、記憶部21は、許可リストに加えて、過去に遠隔監視が実施されたエレベータの識別番号が予め登録された実施リストも記憶している。過去に遠隔監視が実施されたエレベータは、例えば、過去に監視端末2により遠隔監視を実施したエレベータの識別番号である。また、記憶部21は、新規の遠隔監視機器に関する情報として、新規の遠隔監視機器の識別番号が予め登録された新規リストも記憶している。尚、実施リスト及び新規リストは、いずれも書き換え可能である。
【0037】
第一処理部20は、情報端末3から送信されたエレベータ4の識別番号と、許可リスト(例えば、記憶部21に記憶された許可リスト)に登録されたエレベータ4の識別番号とを比較し、送信された識別番号と許可リストにおける識別番号とが一致すれば、通信を許可する旨の通知を情報端末3に送信する。
【0038】
本実施形態の遠隔監視システム1では、第一処理部20は、情報端末3から送信された識別番号と許可リストにおける識別番号とが一致すれば、一致した識別番号と実施リストにおける識別番号とを比較する。また、本実施形態の遠隔監視システム1では、第一処理部20は、この比較の結果、送信された識別番号と実施リストにおける識別番号とが一致しなければ、この識別番号に対応するエレベータ4を新規の遠隔監視機器として登録する。具体的に、第一処理部20は、送信された識別番号と実施リストにおける識別番号とが一致しなければ、この識別番号を新規リストに登録する。
【0039】
新規の遠隔監視機器は、従来、情報端末3と異なる既存の端末(例えば、遠隔監視ユニット)を用いて遠隔監視を行っており、且つ、この既存の端末との通信を行う機器等が故障したエレベータ、この既存の端末との通信が不安定なエレベータ、この既存の端末との通信を行う機器等を備えていないが一時的に遠隔監視を行いたいエレベータ等である。既存の端末との通信を行う機器等を備えていないエレベータは、例えば、保守契約外であるため遠隔監視を行わないため、このような機器を備えていないエレベータである。尚、新規リストは、新規の遠隔監視機器の情報として、エレベータの識別番号に関連付けて、例えば、遠隔監視の開始日時や、情報端末3を用いて遠隔監視を行った理由(通信機器の故障、通信が不安定である、保守契約外等)を記憶してもよい。
【0040】
さらに、本実施形態の遠隔監視システム1では、第一処理部20は、許可リストに記録されている識別番号から、任意の識別番号を、情報端末3から送信された識別番号との比較の対象から除外可能である。具体的に、第一処理部20は、許可リストに記録されている識別番号から、例えば、除外すべきエレベータの識別番号に関連付けて、除外項目にフラグ「1」を記憶させることで、この識別番号を有するエレベータを前記比較の対象から除外可能である。除外するエレベータは、例えば、監視端末2による保守契約外のエレベータである。
【0041】
第一処理部20は、制御マイコン40からの信号(例えば、イベントコードやイベントコードの出力元のエレベータに関する情報(具体的には、エレベータ4の識別番号))が出力されると、第一表示部22で出力元のエレベータ4の情報(例えば、エレベータ機番)及び異常信号の内容(例えば、異常を示すイベントコード等)を表示することで、エレベータ4に関する異常をオペレータに報知する。オペレータは、この表示を確認することで、エレベータ4の異常を把握することができ、必要に応じて技術員に出向を要請することができる。
【0042】
本実施形態の遠隔監視システム1では、第一処理部20は、情報端末3からカメラ31による撮像画像(例えば、かご内の画像)が出力されると、第一表示部22でこの画像を表示させる。また、第一処理部20は、情報端末3からマイク32により集音された音(例えば、かごを駆動するモーターの駆動音)が出力されると、スピーカー23からこの駆動音を流す。これにより、オペレータは、エレベータ4の状況(例えば、イベントコードの出力の原因等)を把握することができる。
【0043】
また、本実施形態の遠隔監視システム1では、第一処理部20は、情報端末3から送信された識別番号を新規リストに登録した場合、この識別番号、遠隔監視の開始日時、及び、情報端末3を用いて遠隔監視を行った理由を第一表示部22に表示させてもよい。
【0044】
以下、図2のフローチャート図を用いて、遠隔監視システム1における処理の流れを説明する。
【0045】
情報端末3が制御マイコン40に接続されると共に、監視端末2に接続されると(S01)、情報端末3が制御マイコン40から識別番号を取得し(S02)、取得した識別番号を監視端末2に送信する。具体的に、情報端末3は、S03において、これを所持する技術員により物理的に(例えば、ケーブルを用いて)制御マイコン40に接続されると、自動的に監視端末2に接続される。
【0046】
監視端末2は、情報端末3から送信された識別番号と許可リストにおける識別番号とを比較し(S04)、これらの識別番号が一致すると(S05においてYes)、監視端末2は、通信を許可する旨の通知を情報端末3に送信する(S06)。これにより、情報端末3が、制御マイコン40と監視端末2との通信を開始する(S07)。尚、監視端末2は、送信された識別番号と許可リストにおける識別番号との比較(S04)の結果、これらの識別番号に一致するものが無い場合(S05においてNo)、一連の処理を終了する。
【0047】
さらに、監視端末2は、送信された識別番号と実施リストにおける識別番号とを比較し(S08)、これらの識別番号が一致すると(S09においてYes)、一連の処理を終了する。尚、監視端末2は、送信された識別番号と実施リストにおける識別番号との比較(S08)の結果、これらの識別番号が一致しない場合に(S09においてNo)、この識別番号を新規リストに登録する。
【0048】
以上の遠隔監視システム1では、情報端末3が、制御マイコン40及び監視端末2からの信号を出力先に合わせた信号に変換して出力する。そのため、制御マイコン40が信号を外部の端末に出力しなくても(制御マイコン40から信号を出力する機器や部品が故障したエレベータや、このような機器等を備えていないエレベータ(即ち、遠隔監視を行っていないエレベータ)においても)、監視端末2を用いて制御マイコン40からの信号を確認することで、エレベータ4を監視することができる。
【0049】
また、情報端末3は、制御マイコン40及び監視端末2からの信号を出力先に合わせた信号に変換して出力するため、制御マイコン40が信号を外部の端末に出力しなくても、監視端末2を用いて制御マイコン40からの信号を確認することで、エレベータ4を監視することができる。
【0050】
本実施形態の遠隔監視システム1では、予め登録されたエレベータにおいて、制御マイコン40と監視端末2との通信が可能になるため、監視端末2との通信を許可するエレベータ4を適切に判断できる。
【0051】
また、本実施形態の遠隔監視システム1では、任意のエレベータに対して、制御マイコン40からの監視端末2への通信をブロックすることができる。
【0052】
さらに、本実施形態の遠隔監視システム1では、新たに通信を許可したエレベータ4を、新規の遠隔監視機器として管理することができる。特に、新規リストがエレベータの識別番号に関連付けて、遠隔監視の開始日時や、情報端末3を用いて遠隔監視を行った理由を記憶し、この理由等を監視端末2の第一表示部22に表示させる場合、この表示を確認したオペレータは、必要に応じて、技術員をエレベータに出向させて通信機器の保守を行わせたり、エレベータの管理者に対して保守契約の営業を行わせたりすることができる。
【0053】
以上の情報端末3は、公衆回線に無線通信を介して接続可能であると共に、公衆回線を介した監視端末2及びエレベータ4の制御マイコン40との接続がそれぞれ可能に構成され、該制御マイコン40からの信号を監視端末2に合わせた信号に変換して出力すると共に、監視端末2からの信号を制御マイコン40に合わせた信号に変換して出力する。また、情報端末3は、自身に接続された制御マイコン40から該制御マイコン40を有するエレベータ4の固有の識別番号を取得すると共に、該識別番号を監視端末2に送信し、監視端末2から、監視端末2に送信した前記識別番号と、許可リストに予め登録されている監視端末2との通信が許可されたエレベータ4の識別番号とが一致することにより、通信を許可する旨の通知を受けた場合に、自身を介しての制御マイコン40と監視端末2との通信を開始させる。
【0054】
尚、本発明の遠隔監視システムは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0055】
例えば、許可リスト、実施リスト、及び新規リストのうち少なくとも一つは、監視端末2とは別のサーバー等に記憶されていてもよい。また、遠隔監視システム1は、許可リスト、実施リスト、及び新規リストの少なくとも一つを備えていなくてもよい。遠隔監視システム1が許可リストを備えない場合、監視端末2は、監視端末2のオペレータの判断に基づいて、制御マイコン40と監視端末2との通信を許可する旨の通知を、情報端末3に送信してもよい。また、遠隔監視システム1が実施リストを備えない場合、通信を許可するエレベータ4に対して過去に遠隔監視を実施したか否かを、いずれかの端末に記録されている通信記録に基づいて判断してもよい。
【0056】
尚、許可リストは、登録されている任意の識別番号を、情報端末3から送信された識別番号との比較の対象から除外可能でなくてもよい。この場合、監視端末2が、自身又は他の端末に記憶された除外対象の任意の識別番号に基づいて、制御マイコン40と監視端末2との通信を許可するか否かを判断してもよい。
【0057】
監視端末2は、通信を許可する旨の通知の対象となったエレベータについて、過去に遠隔監視が実施されなかったエレベータを抽出しなくてもよいし、このようなエレベータを新規の遠隔監視機器として登録しなくてもよい。
【0058】
情報端末3は、カメラ31やマイク32等を備えていたが、これらを備えていなくてもよい。この場合、情報端末3に、例えば、USB端子を備えた別のカメラやマイク等を接続することで、このカメラやマイク等で取得できる情報(画像や音声)を監視端末2に出力してもよい。
【0059】
通信系統R1は、電話回線の代わりにインターネットを含んでもよい。通信系統R1は、例えば、図3に示すように、エレベータ4から順に情報端末3と無線通信と基地局とインターネットとを介して監視端末2に通信可能であり、且つ、監視端末2から逆にインターネットと基地局と無線通信と情報端末3とを介してエレベータ4に通信可能な通信系統であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…遠隔監視システム、2…監視端末、20…第一処理部、21…記憶部、22…第一表示部、23…スピーカー、3…情報端末、30…第二処理部、31…カメラ、32…マイク、33…入力部、34…第二表示部、4…エレベータ、40…制御マイコン、R1…通信系統
図1
図2
図3