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特許7033293情報処理システム、情報処理装置、及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-02
(45)【発行日】2022-03-10
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/155 20060101AFI20220303BHJP
【FI】
H04B7/155
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2017144242
(22)【出願日】2017-07-26
(65)【公開番号】P2019029711
(43)【公開日】2019-02-21
【審査請求日】2020-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】亀田 敏弘
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-160072(JP,A)
【文献】特開2004-140721(JP,A)
【文献】特開2012-112877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工衛星から送信された電波を受信可能な構造を有し、自装置の位置を変更可能な複数の受信装置と、
複数の前記受信装置それぞれの現在位置を示す受信装置位置情報と、受け付けた操作に応じた人工衛星である対象人工衛星の現在位置を示す人工衛星位置情報とに基づいて、複数の前記受信装置のうち予め決められた第1条件を満たす1以上の前記受信装置を特定し、特定した前記第1条件を満たす1以上の前記受信装置の中から、予め決められた第2条件を満たす1以上の前記受信装置を対象受信装置として特定する特定部を備える情報処理装置と、
を備え
前記第1条件は、複数の前記受信装置のうち、受信感度が低くなると考えられる外的な要因を有する前記受信装置を選択する条件であり、
前記第2条件は、複数の前記受信装置のうち、所定の品質以上の品質で前記対象人工衛星から電波を受信可能な状態であると推定される前記受信装置を選択する条件である、
情報処理システム。
【請求項2】
前記受信装置は、
前記電波を受信するアンテナと、
前記アンテナの電波送受信方向を変更可能な方向変更部と、
前記方向変更部を動作させ、前記電波を受信する対象となる前記対象人工衛星を示す対象人工衛星情報を取得した場合に前記アンテナの電波送受信方向を前記対象人工衛星に向かう向きに変更するアンテナ制御部と、
を備え、
前記情報処理装置は、
受け付けた操作に応じて、前記特定部が特定した前記対象受信装置に前記対象人工衛星情報を出力する受信装置制御部、
を備える、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記アンテナ制御部は、前記対象人工衛星情報を取得した場合、取得した前記対象人工衛星情報が示す前記対象人工衛星の現在位置を示す前記人工衛星位置情報を他の装置から取得し、取得した前記人工衛星位置情報に基づいて前記方向変更部を動作させ、前記アンテナの電波送受信方向を変更する、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記受信装置制御部は、受け付けた操作に応じて、前記受信装置の現在位置を示す受信装置位置情報の取得要求を、前記第2条件を満たす1以上の前記受信装置の少なくとも一部に出力し、
前記受信装置は、前記取得要求を前記情報処理装置から取得した場合、前記取得要求に対する応答として自装置の現在位置を示す受信装置位置情報を前記情報処理装置に出力する第2通信制御部を備える、
請求項2又は3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記第2条件は、前記第1条件を満たす1以上の前記受信装置のうち、前記アンテナの電波送受信方向を前記対象人工衛星に向かう向きに変更した場合において受信感度が高いと推定される前記受信装置であることである、
請求項2から4のうちいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記第2条件は、前記第1条件を満たす1以上の前記受信装置のうち、前記アンテナの電波送受信方向を前記対象人工衛星に向かう向きに変更した場合において搬送波/ノイズ電力比が高いと推定される前記受信装置であることである、
請求項2から4のうちいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記第2条件は、前記第1条件を満たす1以上の前記受信装置のうち、前記アンテナの電波送受信方向を前記対象人工衛星に向かう向きに変更した場合において信号/ノイズ電力比が高いと推定される前記受信装置であることである、
請求項2から4のうちいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記特定部は、予め決められた時間が経過する毎に前記対象受信装置の特定を繰り返し行う、
請求項1から7のうちいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記受信装置は、受信した前記電波であって復調を行う前の前記電波を示す復調前電波情報を前記情報処理装置に出力する第1通信制御部を備え、
前記情報処理装置は、前記特定部により特定された前記対象受信装置から前記復調前電波情報を取得する情報取得部を備える、
請求項1から8のうちいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記情報処理装置は、前記情報取得部が取得した前記復調前電波情報が示す前記電波の復調を行う復調制御部を備える、
請求項9に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記情報処理装置は、前記情報取得部が取得した前記復調前電波情報が示す前記電波であって前記復調制御部により復調された後の前記電波の復号を行う復号制御部を備える、
請求項10に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記特定部は、前記対象人工衛星の現在位置を示す前記人工衛星位置情報を他の装置から取得する、
請求項1から11のうちいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項13】
複数の前記受信装置には、移動体に設置された前記受信装置が含まれる、
請求項1から12のうちいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項14】
人工衛星から送信された電波を受信可能な構造を有する複数の受信装置それぞれの現在位置を示す受信装置位置情報と、受け付けた操作に応じた人工衛星である対象人工衛星の現在位置を示す人工衛星位置情報とに基づいて、複数の前記受信装置のうち予め決められた第1条件を満たす1以上の前記受信装置を特定し、特定した前記第1条件を満たす1以上の前記受信装置の中から、予め決められた第2条件を満たす1以上の前記受信装置を対象受信装置として特定する特定部、
を備え
複数の前記受信装置は、自装置の位置を変更可能であり、
前記第1条件は、複数の前記受信装置のうち、受信感度が低くなると考えられる外的な要因を有する前記受信装置を選択する条件であり、
前記第2条件は、複数の前記受信装置のうち、所定の品質以上の品質で前記対象人工衛星から電波を受信可能な状態であると推定される前記受信装置を選択する条件である、
情報処理装置。
【請求項15】
人工衛星から送信された電波を受信可能な構造を有する複数の受信装置それぞれの現在位置を示す受信装置位置情報と、受け付けた操作に応じた人工衛星である対象人工衛星の現在位置を示す人工衛星位置情報とを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された前記受信装置位置情報及び前記人工衛星位置情報に基づいて、複数の前記受信装置のうち予め決められた第1条件を満たす1以上の前記受信装置を特定し、特定した前記第1条件を満たす1以上の前記受信装置の中から、予め決められた第2条件を満たす1以上の前記受信装置を対象受信装置として特定する特定ステップと、
を有し、
複数の前記受信装置は、自装置の位置を変更可能であり、
前記第1条件は、複数の前記受信装置のうち、受信感度が低くなると考えられる外的な要因を有する前記受信装置を選択する条件であり、
前記第2条件は、複数の前記受信装置のうち、所定の品質以上の品質で前記対象人工衛星から電波を受信可能な状態であると推定される前記受信装置を選択する条件である、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報処理システム、情報処理装置、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人工衛星から送信された電波を受信する受信装置についての研究や開発が行われている。
【0003】
これに関し、人工衛星から送信された電波を受信するアンテナを有し、ユーザーが所望する人工衛星を当該アンテナに追尾させる(すなわち、当該アンテナの向きを当該人工衛星に向かう向きに変更する)受信装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-140721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、人工衛星の小型化及び低価格化に伴って、このようにユーザーが所望する人工衛星をアンテナに追尾させる受信装置の普及が進むと考えられている。当該受信装置の普及が進んだ場合、不特定多数の当該受信装置が不特定な位置に設置されることが想定される。また、当該場合、当該受信装置が自動車等の移動体に搭載され、当該受信装置の位置が移動体の移動とともに変化してしまうことが想定される。これらのような場合、これらの受信装置を使って所望の人工衛星から電波を受信しようとするユーザーは、当該人工衛星からの電波を受信可能な受信装置を、不特定多数の受信装置の中から特定しなければならない。しかしながら、不特定な位置に設置された不特定多数の受信装置の中から、当該人工衛星からの電波を受信可能な受信装置をユーザーが特定することは、困難である。
【0006】
そこで本発明は、上記従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、所望の人工衛星から送信された電波を受信可能な受信装置を容易に特定することができる情報処理システム、情報処理装置、及び情報処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一態様に係る情報処理システムは、人工衛星から送信された電波を受信可能な構造を有し、自装置の位置を変更可能な複数の受信装置と、複数の前記受信装置それぞれの現在位置を示す受信装置位置情報と、受け付けた操作に応じた人工衛星である対象人工衛星の現在位置を示す人工衛星位置情報とに基づいて、複数の前記受信装置のうち予め決められた第1条件を満たす1以上の前記受信装置を特定し、特定した前記第1条件を満たす1以上の前記受信装置の中から、予め決められた第2条件を満たす1以上の前記受信装置を対象受信装置として特定する特定部を備える情報処理装置と、を備え、前記第1条件は、複数の前記受信装置のうち、受信感度が低くなると考えられる外的な要因を有する前記受信装置を選択する条件であり、前記第2条件は、複数の前記受信装置のうち、所定の品質以上の品質で前記対象人工衛星から電波を受信可能な状態であると推定される前記受信装置を選択する条件である
【0008】
(2)上記(1)に記載の情報処理システムにおいて、前記受信装置は、前記電波を受信するアンテナと、前記アンテナの電波送受信方向を変更可能な方向変更部と、前記方向変更部を動作させ、前記電波を受信する対象となる前記対象人工衛星を示す対象人工衛星情報を取得した場合に前記アンテナの電波送受信方向を前記対象人工衛星に向かう向きに変更するアンテナ制御部と、を備え、前記情報処理装置は、受け付けた操作に応じて、前記特定部が特定した前記対象受信装置に前記対象人工衛星情報を出力する受信装置制御部、を備える、構成を有してもよい。
【0009】
(3)上記(2)に記載の情報処理システムにおいて、前記アンテナ制御部は、前記対象人工衛星情報を取得した場合、取得した前記対象人工衛星情報が示す前記対象人工衛星の現在位置を示す前記人工衛星位置情報を他の装置から取得し、取得した前記人工衛星位置情報に基づいて前記方向変更部を動作させ、前記アンテナの電波送受信方向を変更する、構成を有してもよい。
【0010】
(4)上記(2)又は(3)に記載の情報処理システムにおいて、前記受信装置制御部は、受け付けた操作に応じて、前記受信装置の現在位置を示す受信装置位置情報の取得要求を、前記第2条件を満たす1以上の前記受信装置の少なくとも一部に出力し、前記受信装置は、前記取得要求を前記情報処理装置から取得した場合、前記取得要求に対する応答として自装置の現在位置を示す受信装置位置情報を前記情報処理装置に出力する第2通信制御部を備える、構成を有してもよい。
【0011】
(5)上記(2)から(4)のうちいずれか一項に記載の情報処理システムにおいて、前記第2条件は、前記第1条件を満たす1以上の前記受信装置のうち、前記アンテナの電波送受信方向を前記対象人工衛星に向かう向きに変更した場合において受信感度が高いと推定される前記受信装置であることである、構成を有してもよい。
【0012】
(6)上記(2)から(4)のうちいずれか一項に記載の情報処理システムにおいて、前記第2条件は、前記第1条件を満たす1以上の前記受信装置のうち、前記アンテナの電波送受信方向を前記対象人工衛星に向かう向きに変更した場合において搬送波/ノイズ電力比が高いと推定される前記受信装置であることである、構成を有してもよい。
【0013】
(7)上記(2)から(4)のうちいずれか一項に記載の情報処理システムにおいて、前記第2条件は、前記第1条件を満たす1以上の前記受信装置のうち、前記アンテナの電波送受信方向を前記対象人工衛星に向かう向きに変更した場合において信号/ノイズ電力比が高いと推定される前記受信装置であることである、構成を有してもよい。
【0014】
(8)上記(1)から(7)のうちいずれか一項に記載の情報処理システムにおいて、前記特定部は、予め決められた時間が経過する毎に前記対象受信装置の特定を繰り返し行う、構成を有してもよい。
【0015】
(9)上記(1)から(8)のうちいずれか一項に記載の情報処理システムにおいて、前記受信装置は、受信した前記電波であって復調を行う前の前記電波を示す復調前電波情報を前記情報処理装置に出力する第1通信制御部を備え、前記情報処理装置は、前記特定部により特定された前記対象受信装置から前記復調前電波情報を取得する情報取得部を備える、構成を有してもよい。
【0016】
(10)上記(9)に記載の情報処理システムにおいて、前記情報処理装置は、前記情報取得部が取得した前記復調前電波情報が示す前記電波の復調を行う復調制御部を備える、構成を有してもよい。
【0017】
(11)上記(10)に記載の情報処理システムにおいて、前記情報処理装置は、前記情報取得部が取得した前記復調前電波情報が示す前記電波であって前記復調制御部により復調された後の前記電波の復号を行う復号制御部を備える、構成を有してもよい。
【0018】
(12)上記(1)から(11)のうちいずれか一項に記載の情報処理システムにおいて、前記特定部は、前記対象人工衛星の現在位置を示す前記人工衛星位置情報を他の装置から取得する、構成を有してもよい。
【0019】
(13)上記(1)から(12)のうちいずれか一項に記載の情報処理システムにおいて、複数の前記受信装置には、移動体に設置された前記受信装置が含まれる、構成を有してもよい。
【0020】
(14)本発明の一態様に係る情報処理装置は、人工衛星から送信された電波を受信可能な構造を有する複数の受信装置それぞれの現在位置を示す受信装置位置情報と、受け付けた操作に応じた人工衛星である対象人工衛星の現在位置を示す人工衛星位置情報とに基づいて、複数の前記受信装置のうち予め決められた第1条件を満たす1以上の前記受信装置を特定し、特定した前記第1条件を満たす1以上の前記受信装置の中から、予め決められた第2条件を満たす1以上の前記受信装置を対象受信装置として特定する特定部、を備え、複数の前記受信装置は、自装置の位置を変更可能であり、前記第1条件は、複数の前記受信装置のうち、受信感度が低くなると考えられる外的な要因を有する前記受信装置を選択する条件であり、前記第2条件は、複数の前記受信装置のうち、所定の品質以上の品質で前記対象人工衛星から電波を受信可能な状態であると推定される前記受信装置を選択する条件である
【0021】
(15)本発明の一態様に係る情報処理方法は、人工衛星から送信された電波を受信可能な構造を有する複数の受信装置それぞれの現在位置を示す受信装置位置情報と、受け付けた操作に応じた人工衛星である対象人工衛星の現在位置を示す人工衛星位置情報とを取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された前記受信装置位置情報及び前記人工衛星位置情報に基づいて、複数の前記受信装置のうち予め決められた第1条件を満たす1以上の前記受信装置を特定し、特定した前記第1条件を満たす1以上の前記受信装置の中から、予め決められた第2条件を満たす1以上の前記受信装置を対象受信装置として特定する特定ステップと、を有し、複数の前記受信装置は、自装置の位置を変更可能であり、前記第1条件は、複数の前記受信装置のうち、受信感度が低くなると考えられる外的な要因を有する前記受信装置を選択する条件であり、前記第2条件は、複数の前記受信装置のうち、所定の品質以上の品質で前記対象人工衛星から電波を受信可能な状態であると推定される前記受信装置を選択する条件である
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様に係る情報処理システム、情報処理装置、及び情報処理方法は、所望の人工衛星から送信された電波を受信可能な受信装置を容易に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】情報処理システム1の構成の一例を示す図である。
図2】受信装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】情報処理装置30のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】受信装置20の機能構成の一例を示す図である。
図5】情報処理装置30の機能構成の一例を示す図である。
図6】受信装置20が受信装置位置情報を情報処理装置30に出力する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】受信装置20が受信装置位置情報を情報処理装置30に出力する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8】情報処理装置30が不特定多数の受信装置20の中から対象受信装置を特定する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】情報処理装置30が対象受信装置から復調前電波情報を取得する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0025】
<情報処理システムの概要>
まず、実施形態に係る情報処理システム1の概要について説明する。
【0026】
情報処理システム1は、1以上の人工衛星の中からユーザーが所望する人工衛星である対象人工衛星から送信された電波を受信し、受信した電波に応じた処理を行う。このように受信した当該電波に応じた処理を行う情報処理システムのうち情報処理システム1と異なる情報処理システムX(例えば、従来の情報処理システム)は、人工衛星から送信された電波を受信するアンテナを有し、対象人工衛星を当該アンテナに追尾させる(すなわち、当該アンテナの電波送受信方向を対象人工衛星に向かう向きに変更する)受信装置を備えていることが少なくない。ここで、電波送受信方向は、当該アンテナから延伸する方向のうち当該アンテナの受信感度が最も高い方向のことである。
【0027】
人工衛星の小型化及び低価格化に伴って、このように対象人工衛星をアンテナに追尾させる受信装置の普及が更に進むと考えられている。当該受信装置の普及が進んだ場合、不特定多数の当該受信装置が不特定な位置に設置されることが想定される。また、当該場合、当該受信装置が自動車等の移動体に搭載され、当該受信装置の位置が移動体の移動とともに変化してしまうことが想定される。これらのような場合、これらの受信装置を使って対象人工衛星から電波を受信しようとするユーザーは、対象人工衛星からの電波を受信可能な受信装置を、不特定多数の受信装置の中から特定しなければならない。しかしながら、不特定な位置に設置された不特定多数の受信装置の中から、対象人工衛星からの電波を受信可能な受信装置をユーザーが特定することは、困難である。
【0028】
そこで、情報処理システム1は、人工衛星から送信された電波を受信可能であり、自装置の位置を変更可能な1以上の受信装置と、1以上の受信装置それぞれの現在位置を示す受信装置位置情報と、受け付けた操作に応じた人工衛星である対象人工衛星の現在位置を示す人工衛星位置情報とに基づいて、1以上の受信装置のうち予め決められた条件を満たす1以上の受信装置を対象受信装置として特定する特定部を備える情報処理装置と、を備える。これにより、情報処理システム1は、所望の人工衛星から送信された電波を受信可能な受信装置を容易に特定することができる。以下では、所望の人工衛星から送信された電波を受信可能な受信装置を情報処理システム1が特定する処理と、当該処理に付随する処理とについて詳しく説明する。また、以下では、一例として、当該情報処理装置が、当該受信装置位置情報と、当該人工衛星位置情報とに基づいて、1以上の受信装置のうち予め決められた条件を満たす1つの受信装置を対象受信装置として特定する特定部を備える場合について説明する。
【0029】
<情報処理システムの構成>
以下、実施形態に係る情報処理システム1の構成について説明する。図1は、情報処理システム1の構成の一例を示す図である。
【0030】
図1には、前述の1以上の人工衛星の一例として、人工衛星10-1、人工衛星10-2、人工衛星10-3の3つの人工衛星10が示されている。これら3つの人工衛星10は、互いに異なる構成を有する人工衛星であってもよく、互いに同じ構成を有する人工衛星であってもよい。また、各人工衛星10は、地上に設定された装置であって電波を受信する装置に電波を送信する人工衛星であれば、如何なる種類の人工衛星であってもよい。また、各人工衛星10から送信される電波の指向性は、高くてもよく、高くなくてもよい。なお、当該指向性が高くない場合、当該電波を受信するアンテナの利得を低くすることができる。
【0031】
また、図1には、前述の1以上の受信装置として、受信装置20-1、受信装置20-2、受信装置20-3、受信装置20-4の4つの受信装置20が示されている。これら4つの受信装置20は、以下において説明する受信装置20の構成を有している。しかし、当該4つの受信装置20の一部又は全部は、以下において説明する受信装置20の構成と異なる構成である他の構成を有していてもよい。また、当該他の構成は、当該4つの受信装置20の一部又は全部において互いに異なる構成であってもよく、当該4つの受信装置20の一部又は全部において互いに同じ構成であってもよい。
【0032】
すなわち、この一例における情報処理システム1は、3つの人工衛星10と、4つの受信装置20と、情報処理装置30と、サーバー40と、情報処理端末50を備える。なお、情報処理システム1は、3つの人工衛星10の一部又は全部と、サーバー40と、情報処理端末50とのうちの一部又は全部を備えない構成であってもよい。
【0033】
情報処理システム1では、4つの受信装置20はそれぞれ、ネットワークNを介して情報処理装置30と通信可能に接続されている。ネットワークNは、無線又は有線によって構成される通信網であり、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、携帯電話通信網等である。なお、情報処理システム1では、4つの受信装置20の一部又は全部は、ネットワークNを介して互いに通信可能に接続されない構成であってもよく、ネットワークNを介して互いに通信可能に接続される構成であってもよい。以下では、一例として、4つの受信装置20の全部が、ネットワークNを介して互いに通信可能に接続されない場合について説明する。また、4つの受信装置20の一部又は全部は、ネットワークNを介さずに情報処理装置30と直接通信可能に接続される構成であってもよい。
【0034】
また、情報処理システム1では、4つの受信装置20はそれぞれ、ネットワークNを介してサーバー40と通信可能に接続されている。なお、4つの受信装置20の一部又は全部は、ネットワークNを介さずにサーバー40と直接通信可能に接続される構成であってもよい。
【0035】
また、情報処理システム1では、情報処理装置30は、ネットワークNを介して情報処理端末50と通信可能に接続されている。なお、情報処理装置30は、ネットワークNを介さずに情報処理端末50と直接通信可能に接続される構成であってもよい。
【0036】
受信装置20は、電波を受信するアンテナAを備える。図1に示した例では、受信装置20-1に備えられたアンテナAをアンテナA-1、受信装置20-2に備えられたアンテナAをアンテナA-2、受信装置20-3に備えられたアンテナAをアンテナA-3、受信装置20-4に備えられたアンテナAをアンテナA-4として示されている。受信装置20は、アンテナAの電波送受信方向を変更可能である。受信装置20は、アンテナAが設置されている位置に対してアンテナAを相対的に動かすことによってアンテナAの向きを変更することにより電波送受信方向を変更する構成であってもよく、当該位置に対してアンテナAを相対的に動かすことなく電気的な制御によって電波送受信方向を変更する構成であってもよい。以下では、一例として、受信装置20が、当該位置に対してアンテナAを相対的に動かすことによってアンテナAの向きを変更することにより電波送受信方向を変更する場合について説明する。受信装置20は、電波を受信する対象となる人工衛星10(すなわち、ユーザーが所望する人工衛星10)である対象人工衛星を示す対象人工衛星情報を情報処理装置30から取得した場合、対象人工衛星の現在位置を示す人工衛星位置情報を取得する。受信装置20は、当該場合、サーバー40から当該人工衛星位置情報を取得する構成であってもよく、情報処理装置30から当該人工衛星位置情報を取得する構成であってもよい。以下では、一例として、当該場合、受信装置20がサーバー40から当該人工衛星位置情報を取得する場合について説明する。受信装置20は、取得した当該人工衛星位置情報に基づいて、アンテナAの電波送受信方向を対象人工衛星に向かう向きに変更する。なお、受信装置20が情報処理装置30から当該人工衛星位置情報を取得する場合、受信装置20は、当該人工衛星位置情報の取得要求を情報処理装置30に出力する。情報処理装置30は、受信した当該取得要求に応じてサーバー40から当該人工衛星位置情報を取得し、取得した当該人工衛星位置情報を受信装置20に出力する。なお、当該場合、各受信装置20は、ネットワークNを介してサーバー40と通信可能に接続されていない構成であってもよい。
【0037】
また、受信装置20は、情報処理装置30からの要求に応じて、アンテナAが受信した電波であって復調(検波)を行う前の電波を示す復調前電波情報を情報処理装置30に出力する。
【0038】
また、受信装置20は、自装置の位置を変更可能である。受信装置20は、例えば、ユーザーの手によって当該位置を変更可能であってもよい。この場合、受信装置20は、ユーザーが運べる程度の重さであり、例えば、数十キログラム程度の重さであるが、これに代えて、数十キログラムより軽い重さであってもよく、数十キログラムより重い重さであってもよい。なお、当該場合、受信装置20は、バッテリーから供給される電力により駆動する構成であってもよく、太陽光パネルにより発電された電力により駆動する構成であってもよく、電線から電源コードを介して供給される電力により駆動する構成であってもよい。また、受信装置20は、移動体に設置されることにより、当該位置を変更可能であってもよい。当該移動体は、例えば、自動車、鉄道車両、船舶、ドローン等である。図1に示した例では、受信装置20-1~受信装置20-3の3つの受信装置20はそれぞれ、互いに異なる設置面に設置されている。当該設置面は、例えば、地面であってもよく、建物等の床面であってもよく、建物等の壁面であってもよく、受信装置20を設置可能な他の面であってもよい。また、当該例では、受信装置20-4は、自動車Cに設置されている。なお、受信装置20は、自装置の位置を変更不可能であってもよい。
【0039】
また、受信装置20は、情報処理装置30からの要求に応じて、自装置の現在位置を検出する。受信装置20は、検出した現在位置を示す受信装置位置情報を情報処理装置30に出力する。
【0040】
情報処理装置30は、例えば、ワークステーション、デスクトップPC(Personal Computer)、ノートPC等である。なお、情報処理装置30は、タブレットPC、多機能携帯電話端末(スマートフォン)、PDA(Personal Digital Assistant)等であってもよい。
【0041】
情報処理装置30は、情報処理端末50からの要求に応じて、4つの受信装置20それぞれの現在位置を示す受信装置位置情報と、受け付けた操作に応じた人工衛星10である対象人工衛星の現在位置を示す人工衛星位置情報とに基づいて、4つの受信装置20のうち予め決められた条件を満たす1以上の受信装置20(この一例において、1つの受信装置20)を対象受信装置として特定する。当該条件については、後述する。情報処理装置30は、特定した対象受信装置に、対象人工衛星を示す対象人工衛星情報を出力する。これにより、情報処理装置30は、対象受信装置が備えるアンテナAの電波送受信方向を対象人工衛星に向かう向きに変更させる。
【0042】
また、情報処理装置30は、対象受信装置から前述の復調前電波情報を受信する。情報処理装置30は、受信した復調前電波情報が示す電波の復調を行う。そして、情報処理装置30は、復調が行われた当該電波である復調後電波の復号を行う。情報処理装置30は、復号が行われた当該電波である復号後電波を示す情報を記憶する。そして、情報処理装置30は、情報処理端末50からの要求に応じて、当該情報を含む復調後電波情報を情報処理端末50に出力する。
【0043】
サーバー40は、例えば、人工衛星の追跡機関が提供する情報が格納(記憶)されたサーバーである。サーバー40は、この一例において、3つの人工衛星10それぞれの現在位置を示す人工衛星位置情報を記憶する。サーバー40に記憶された各人工衛星位置情報は、予め決められた時間である更新時間が経過する毎に更新される。サーバー40に記憶された各人工衛星位置情報の更新は、既知の方法によって行われてもよく、これから開発される方法によって行われてもよい。このため、当該更新の方法については、説明を省略する。
【0044】
情報処理端末50は、例えば、ワークステーション、デスクトップPC、ノートPC等である。なお、情報処理端末50は、タブレットPC、多機能携帯電話端末(スマートフォン)、PDA等であってもよい。
【0045】
情報処理端末50は、ユーザーから受け付けた操作に応じて、情報処理装置30に各種の要求を出力する。情報処理端末50は、当該要求の応答を情報処理装置30から取得する。情報処理端末50は、取得した当該応答に応じた処理を行う。
【0046】
<受信装置のハードウェア構成>
以下、図2を参照し、受信装置20のハードウェア構成について説明する。図2は、受信装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0047】
受信装置20は、例えば、前述のアンテナAと、CPU(Central Processing Unit)21と、記憶部22と、通信部24と、方向変更部25と、位置検出部26を備える。これらの構成要素は、システムバスB1を介して相互に通信可能に接続されている。また、受信装置20は、通信部24を介して他の装置と通信を行う。
【0048】
CPU21は、記憶部22に格納された各種のプログラムを実行する。
記憶部22は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含む。なお、記憶部22は、受信装置20に内蔵されるものに代えて、USB(Universal Serial Bus)等のデジタル入出力ポート等によって接続された外付け型の記憶装置であってもよい。記憶部22は、受信装置20が処理する各種の情報、各種のプログラム等を格納(記憶)する。
【0049】
通信部24は、例えば、USB等のデジタル入出力ポートやイーサネット(登録商標)ポート等を含んで構成される。
方向変更部25は、アクチュエーターを備えており、当該アクチュエーターの駆動に伴って、アンテナAが設置されている位置に対してアンテナAを相対的に動かし、アンテナAの電波送受信方向を変更する。
位置検出部26は、自装置の現在位置を検出する。位置検出部26は、例えば、GPS受信機(Global Positioning System)である。位置検出部26は、検出した当該現在位置を示す位置情報を生成する。当該位置情報は、例えば、緯度及び経度によって表される情報である。なお、当該位置情報は、緯度及び経度に代えて、他の情報によって表される情報であってもよい。
<情報処理装置のハードウェア構成>
以下、図3を参照し、情報処理装置30のハードウェア構成について説明する。図3は、情報処理装置30のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0050】
情報処理装置30は、例えば、CPU31と、記憶部32と、通信部34を備える。これらの構成要素は、システムバスB2を介して相互に通信可能に接続されている。また、情報処理装置30は、通信部34を介して他の装置と通信を行う。
【0051】
CPU31は、記憶部32に格納された各種のプログラムを実行する。
記憶部32は、例えば、HDDやSSD、EEPROM、ROM、RAM等を含む。なお、記憶部32は、情報処理装置30に内蔵されるものに代えて、USB等のデジタル入出力ポート等によって接続された外付け型の記憶装置であってもよい。記憶部32は、情報処理装置30が処理する各種の情報、各種のプログラム等を格納(記憶)する。
通信部34は、例えば、USB等のデジタル入出力ポートやイーサネット(登録商標)ポート等を含んで構成される。
【0052】
<受信装置の機能構成>
以下、図4を参照し、受信装置20の機能構成について説明する。図4は、受信装置20の機能構成の一例を示す図である。
【0053】
受信装置20は、アンテナAと、記憶部22と、通信部24と、方向変更部25と、位置検出部26と、制御部27を備える。
【0054】
制御部27は、受信装置20の全体を制御する。制御部27は、アンテナ制御部271と、通信制御部273を備える。制御部27が備えるこれらの機能部は、例えば、CPU21が、記憶部22に記憶された各種のプログラムを実行することにより実現される。また、当該機能部のうちの一部又は全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。
【0055】
アンテナ制御部271は、方向変更部25(のアクチュエーター)を動作(駆動)させ、電波を受信する対象となる対象人工衛星を示す対象人工衛星情報を取得した場合に、アンテナAの電波送受信方向を対象人工衛星に向かう向きに変更する。
【0056】
通信制御部273は、第1通信制御部275と、第2通信制御部277を備える。
第1通信制御部275は、アンテナAが受信した電波であって復調を行う前の電波を示す復調前電波情報を生成する。第1通信制御部275は、生成した復調前電波情報を情報処理装置30に出力する。
第2通信制御部277は、自装置の現在位置を示す受信装置位置情報の取得要求を情報処理装置30から取得した場合、当該取得要求に対する応答として自装置の現在位置を示す受信装置位置情報を情報処理装置30に出力する。
【0057】
<情報処理装置の機能構成>
以下、図5を参照し、情報処理装置30の機能構成について説明する。図5は、情報処理装置30の機能構成の一例を示す図である。
【0058】
情報処理装置30は、記憶部32と、通信部34と、制御部37を備える。
【0059】
制御部37は、情報処理装置30の全体を制御する。制御部37は、操作受付部371と、情報取得部373と、特定部375と、受信装置制御部377と、復調制御部379と、復号制御部381と、記憶制御部383と、通信制御部385を備える。制御部37が備えるこれらの機能部は、例えば、CPU31が、記憶部32に記憶された各種のプログラムを実行することにより実現される。また、当該機能部のうちの一部又は全部は、LSIやASIC等のハードウェア機能部であってもよい。
【0060】
操作受付部371は、情報処理端末50から取得された各種の要求を、自装置に対するユーザーからの操作として受け付ける。
情報取得部373は、各受信装置20から受信装置位置情報を取得する。また、情報取得部373は、受信装置20から復調前電波情報を取得する。また、情報取得部373は、サーバー40から人工衛星位置情報を取得する。
特定部375は、1以上の受信装置20(この一例において、4つの受信装置20)それぞれの現在位置を示す受信装置位置情報と、操作受付部371が受け付けた操作に応じた人工衛星である対象人工衛星の現在位置を示す人工衛星位置情報とに基づいて、1以上の受信装置20(この一例において、4つの受信装置20)のうち予め決められた条件を満たす1以上の受信装置20(この一例において、1つの受信装置20)を対象受信装置として特定する。
【0061】
受信装置制御部377は、各受信装置20を制御する。受信装置制御部377は、例えば、特定部375が特定した対象受信装置に、情報処理装置30が受け付けた操作に応じた対象人工衛星情報を出力する。また、受信装置制御部377は、例えば、受け付けた操作に応じて、受信装置20の現在位置を示す受信装置位置情報の取得要求を1以上の受信装置20の少なくとも一部に出力する。
復調制御部379は、情報取得部373が取得した復調前電波情報が示す電波の復調を行う。
復号制御部381は、情報取得部373が取得した復調前電波情報が示す電波であって復調制御部379が復調を行った後の電波である復調後電波の復号を行う。
【0062】
記憶制御部383は、情報取得部373が取得した復調前電波情報が示す電波であって復号制御部381が復号を行った後の電波である復号後電波を示す復号後電波情報を生成する。記憶制御部383は、生成した復号後電波情報を記憶部32に記憶させる。
通信制御部385は、他の装置との通信を制御する。
【0063】
<受信装置が受信装置位置情報を情報処理装置に出力する処理>
以下、図6を参照し、受信装置20が受信装置位置情報を情報処理装置30に出力する処理について説明する。図6は、受信装置20が受信装置位置情報を情報処理装置30に出力する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0064】
第2通信制御部277は、受信装置位置情報の取得要求を情報処理装置30から取得するまで待機する(ステップS110)。受信装置位置情報の取得要求を情報処理装置30から取得したと判定した場合(ステップS110-YES)、第2通信制御部277は、位置検出部26に自装置の現在位置を検出させる(ステップS120)。位置検出部26は、検出した当該現在位置を示す位置情報を生成する。位置検出部26は、生成した位置情報を第2通信制御部277に出力する。第2通信制御部277は、位置検出部26から当該位置情報を取得する。
【0065】
次に、第2通信制御部277は、ステップS120において位置検出部26から取得した位置情報を、自装置の現在位置を示す受信装置位置情報として情報処理装置30に出力し(ステップS130)、処理を終了する。
【0066】
このように、各受信装置20は、受信装置位置情報の取得要求の情報処理装置30からの取得をトリガーとして、自装置の現在位置を検出し、検出した当該現在位置を示す受信装置位置情報を情報処理装置30に出力することができる。
【0067】
<受信装置が対象人工衛星から電波を受信する処理>
以下、図7を参照し、受信装置20が対象人工衛星から電波を受信する処理について説明する。図7は、受信装置20が受信装置位置情報を情報処理装置30に出力する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0068】
アンテナ制御部271は、情報処理装置30から前述の対象人工衛星情報を取得するまで待機する(ステップS210)。情報処理装置30から対象人工衛星情報を取得したと判定した場合(ステップS210-YES)、アンテナ制御部271は、取得した対象人工衛星情報が示す対象人工衛星の現在位置を示す人工衛星位置情報をサーバー40から取得する(ステップS220)。なお、対象人工衛星情報が示す対象人工衛星が、例えば、静止衛星のように地球との相対位置が変化しない人工衛星である場合、記憶部32には、当該人工衛星の現在位置を示す人工衛星位置情報が予め記憶されていてもよい。この場合、アンテナ制御部271は、ステップS220において、記憶部32から当該人工衛星位置情報を読み出す。また、対象人工衛星情報が示す対象人工衛星が、例えば、予め決められた時刻に予め決められた位置を通過する人工衛星、すなわち、予め決められた周回軌道を周回する人工衛星である場合、記憶部32には、各時刻に対応付けられた情報であって当該人工衛星の現在位置を示す人工衛星位置情報が予め記憶されていてもよい。この場合、アンテナ制御部271は、ステップS220において、情報処理装置30が備える図示しない計時部が計時した現在時刻を示す情報を当該計時部から取得し、取得した当該情報に対応付けられた当該人工衛星位置情報を記憶部32から読み出す。
【0069】
次に、アンテナ制御部271は、ステップS220において取得した人工衛星位置情報が示す位置であって対象人工衛星の現在位置に基づいて方向変更部25(のアクチュエーター)を動作(駆動)させ、アンテナAの電波送受信方向を対象人工衛星に向かう向きに変更する(ステップS230)。ここで、人工衛星位置情報は、例えば、緯度、経度、高度によって表される。この場合、例えば、アンテナ制御部271は、当該現在位置から送信された電波の受信感度が最も高くなる方向を向くようにアンテナAの向きを変更することにより、アンテナAの電波送受信方向を対象人工衛星に向かう向きに変更する。なお、アンテナ制御部271は、ステップS230において、情報処理装置30から対象人工衛星の現在位置を示す人工衛星位置情報を取得する構成であってもよく、アンテナAにより受信された電波に基づいて方向変更部25を動作させて対象人工衛星に向かう向きにアンテナAの電波送受信方向を変化させる構成であってもよい。
【0070】
次に、第1通信制御部275は、アンテナAにより受信された電波であって復調を行う前の電波を示す復調前電波情報を情報処理装置30への出力を開始する(ステップS240)。具体的には、第1通信制御部275は、アンテナAにより受信された電波であって復調を行う前の電波をアンテナAから取得した場合、取得した当該電波を示す復調前電波情報を生成する。第1通信制御部275は、生成した復調前電波情報を情報処理装置30に出力する。第1通信制御部275は、このような復調前電波情報の生成と出力を、図7に示したフローチャートの処理が終了するまで繰り返し行う。
【0071】
次に、第1通信制御部275は、対象人工衛星から送信された電波の受信の終了要求を情報処理装置30から受信したか否かを判定する(ステップS250)。当該終了要求を情報処理装置30から受信したと判定した場合(ステップS250-YES)、第1通信制御部275は、復調前電波情報の生成と出力を停止し、処理を終了する。一方、当該終了要求を情報処理装置30から受信していないと判定した場合(ステップS250-NO)、第1通信制御部275は、アンテナ制御部271がアンテナAの電波送受信方向を変更したタイミングのうちの直近のタイミングから予め決められた時間である待機時間が経過したか否かを判定する(ステップS260)。待機時間は、例えば、1分である。なお、待機時間は、1分より短い時間であってもよく、1分より長い時間であってもよい。当該タイミングから待機時間が経過していないと判定した場合(ステップS260-NO)、第1通信制御部275は、ステップS250に遷移し、当該終了要求を情報処理装置30から受信したか否かを再び判定する。一方、当該タイミングから待機時間が経過したと第1通信制御部275が判定した場合(ステップS260-YES)、アンテナ制御部271は、ステップS210において取得した対象人工衛星情報が示す対象人工衛星の現在位置を示す人工衛星位置情報をサーバー40から取得する(ステップS270)。なお、アンテナ制御部271は、ステップS270において、情報処理装置30から対象人工衛星の現在位置を示す人工衛星位置情報を取得する構成であってもよい。また、対象人工衛星情報が示す対象人工衛星が、例えば、静止衛星のように地球との相対位置が変化しない人工衛星である場合、記憶部32には、当該人工衛星の現在位置を示す人工衛星位置情報が予め記憶されていてもよい。この場合、アンテナ制御部271は、ステップS270において、記憶部32から当該人工衛星位置情報を読み出す。また、対象人工衛星情報が示す対象人工衛星が、例えば、予め決められた時刻に予め決められた位置を通過する人工衛星、すなわち、予め決められた周回軌道を周回する人工衛星である場合、記憶部32には、各時刻に対応付けられた情報であって当該人工衛星の現在位置を示す人工衛星位置情報が予め記憶されていてもよい。この場合、アンテナ制御部271は、ステップS270において、情報処理装置30が備える図示しない計時部が計時した現在時刻を示す情報を当該計時部から取得し、取得した当該情報に対応付けられた当該人工衛星位置情報を記憶部32から読み出す。
【0072】
次に、アンテナ制御部271は、ステップS270において取得した人工衛星位置情報が示す位置であって対象人工衛星の現在位置に基づいて方向変更部25(のアクチュエーター)を動作(駆動)させ、アンテナAの電波送受信方向を対象人工衛星に向かう向きに変更する(ステップS280)。ステップS280の処理は、ステップS230の処理と同様の処理であるため、説明を省略する。なお、アンテナ制御部271は、ステップS280において、アンテナAにより受信された電波に基づいて方向変更部25を動作させて対象人工衛星に向かう向きにアンテナAの電波送受信方向を変化させる構成であってもよい。この場合、ステップS270は、省略されてもよい。ステップS280の処理が行われた後、第1通信制御部275は、ステップS250に遷移し、対象人工衛星から送信された電波の受信の終了要求を情報処理装置30から受信したか否かを再び判定する。
【0073】
このように、各受信装置20は、情報処理装置30からの要求に応じて、アンテナAの電波送受信方向を対象人工衛星に向かう向きに変更するとともに、アンテナAにより受信された電波であって復調を行う前の電波を示す復調前電波情報を情報処理装置30へ出力することができる。
【0074】
<情報処理装置が対象受信装置を特定する処理>
以下、図8を参照し、情報処理装置30が不特定多数の受信装置20の中から対象受信装置を特定する処理について説明する。図8は、情報処理装置30が不特定多数の受信装置20の中から対象受信装置を特定する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0075】
操作受付部371は、対象人工衛星から送信された電波の受信を開始させる操作を受け付けるまで待機する(ステップS310)。操作受付部371は、情報処理端末50から当該受信を開始させる要求を受け付けた場合、当該要求を当該操作として受け付ける。なお、以下では対象人工衛星を示す対象人工衛星情報が当該要求に含まれている場合について説明する。この場合、情報処理端末50は、前述の3つの人工衛星10のうちユーザーから受け付けた操作に応じた人工衛星10を対象人工衛星として特定する。情報処理端末50は、特定した対象人工衛星を示す対象人工衛星情報を生成する。そして、情報処理端末50は、ユーザーから受け付けた操作に応じて、生成した対象人工衛星情報を含む当該要求を情報処理装置30に出力する。
【0076】
対象人工衛星から送信された電波の受信を開始させる操作を受け付けたと操作受付部371が判定した場合(ステップS310-YES)、情報取得部373は、当該操作として受け付けた情報処理端末50からの要求に含まれる対象人工衛星情報が示す対象人工衛星の現在位置を示す人工衛星位置情報をサーバー40から取得する(ステップS320)。なお、対象人工衛星情報が示す対象人工衛星が、例えば、静止衛星のように地球との相対位置が変化しない人工衛星である場合、記憶部32には、当該人工衛星の現在位置を示す人工衛星位置情報が予め記憶されていてもよい。この場合、アンテナ制御部271は、ステップS320において、記憶部32から当該人工衛星位置情報を読み出す。また、対象人工衛星情報が示す対象人工衛星が、例えば、予め決められた時刻に予め決められた位置を通過する人工衛星、すなわち、予め決められた周回軌道を周回する人工衛星である場合、記憶部32には、各時刻に対応付けられた情報であって当該人工衛星の現在位置を示す人工衛星位置情報が予め記憶されていてもよい。この場合、アンテナ制御部271は、ステップS320において、情報処理装置30が備える図示しない計時部が計時した現在時刻を示す情報を当該計時部から取得し、取得した当該情報に対応付けられた当該人工衛星位置情報を記憶部32から読み出す。
【0077】
次に、受信装置制御部377は、情報処理装置30と通信可能な全ての受信装置20に対して、受信装置20の現在位置を示す受信装置位置情報の取得要求を出力する。情報取得部373は、受信装置制御部377が出力した当該取得要求に対する応答として、各受信装置20から受信装置位置情報を取得する(ステップS330)。この際、情報取得部373は、当該全ての受信装置20のうち当該取得要求に対する応答として受信装置位置情報を送信してこない受信装置20を無視してもよい。
【0078】
次に、特定部375は、ステップS320において情報取得部373が取得した対象人工衛星位置情報と、ステップS330において情報取得部373が取得した全ての受信装置位置情報とに基づいて、全ての受信装置20の中から予め決められた条件を満たす受信装置20を対象受信装置として特定する(ステップS340)。当該条件は、例えば、対象人工衛星から送信された電波を受信可能な1以上の受信装置20のうち、アンテナAの電波送受信方向を対象人工衛星に向かう向きに変更した場合において最も受信感度が高いと推定される受信装置20であることである。すなわち、特定部375は、当該対象人工衛星位置情報が示す現在位置であって対象人工衛星の現在位置と、当該全ての受信装置位置情報のそれぞれが示す現在位置であって受信装置20の現在位置とに基づいて、当該全ての受信装置20のそれぞれについて、アンテナAの電波送受信方向を対象人工衛星に向かう向きに変更した場合における受信感度(すなわち、当該受信感度の推定値)を算出する。特定部375は、算出した受信感度に基づいて、当該全ての受信装置20の中から当該条件を満たす受信装置20を特定する。なお、当該条件は、対象人工衛星から送信された電波を受信可能な1以上の受信装置20のうち、アンテナAの電波送受信方向を対象人工衛星に向かう向きに変更した場合において最も搬送波/ノイズ電力比が高いと推定される受信装置20であることであってもよい。この場合、この場合、特定部375は、ステップS340において、各受信装置20について、搬送波/ノイズ電力比を算出する。また、当該条件は、対象人工衛星から送信された電波を受信可能な1以上の受信装置20のうち、アンテナAの電波送受信方向を対象人工衛星に向かう向きに変更した場合において最も信号/ノイズ電力比が高いと推定される受信装置20であることであってもよい。この場合、この場合、特定部375は、ステップS340において、各受信装置20について、信号/ノイズ電力比を算出する。
【0079】
ここで、特定部375は、ステップS340において、ステップS320において情報取得部373が取得した対象人工衛星位置情報と、ステップS330において情報取得部373が取得した全ての受信装置位置情報とに基づいて、全ての受信装置20の中から予め決められた条件を満たす複数の受信装置20を対象受信装置として特定する構成であってもよい。この場合、当該条件は、例えば、対象人工衛星から送信された電波を受信可能な1以上の受信装置20のうち、アンテナAの電波送受信方向を対象人工衛星に向かう向きに変更した場合において受信感度が高いと推定される受信装置20であることである。受信感度が高いと推定される受信装置20は、すなわち、予め決められた閾値以上の受信感度を有する受信装置20のことである。なお、当該場合、当該条件は、対象人工衛星から送信された電波を受信可能な1以上の受信装置20のうち、アンテナAの電波送受信方向を対象人工衛星に向かう向きに変更した場合において搬送波/ノイズ電力比が高いと推定される受信装置20であることであってもよい。搬送波/ノイズ電力比が高いと推定される受信装置20は、すなわち、予め決められた閾値以上の搬送波/ノイズ電力比を有する受信装置20のことである。また、当該場合、当該条件は、対象人工衛星から送信された電波を受信可能な1以上の受信装置20のうち、アンテナAの電波送受信方向を対象人工衛星に向かう向きに変更した場合において信号/ノイズ電力比が高いと推定される受信装置20であることであってもよい。信号/ノイズ電力比が高いと推定される受信装置20は、すなわち、予め決められた閾値以上の信号/ノイズ電力比を有する受信装置20のことである。
【0080】
なお、ステップS340における予め決められた条件は、対象人工衛星の現在位置と、各受信装置20の現在位置とに応じた他の条件であってもよい。ステップS340の処理が行われた後、特定部375は、処理を終了する。
【0081】
このように、情報処理装置30は、対象人工衛星の現在位置と、各受信装置20の現在位置とに基づいて、対象受信装置を容易に特定することができる。なお、情報処理装置30は、ステップS330において、情報処理装置30と通信可能な全ての受信装置20のうちの一部に対して、受信装置20の現在位置を示す受信装置位置情報の取得要求を出力する構成であってもよい。例えば、情報処理装置30は、他の受信装置20に比べて受信感度が低くなると考えられる外的な要因(例えば、地形的な要因等)が明らかである受信装置20が存在する場合、当該受信装置20を当該全ての受信装置20から除き、残った全ての受信装置20に当該取得要求を出力する。これにより、情報処理装置30は、対象受信装置の特定に要する時間を短縮することができる。
【0082】
<情報処理装置が対象受信装置から復調前電波情報を取得する処理>
以下、図9を参照し、情報処理装置30が対象受信装置から復調前電波情報を取得する処理について説明する。図9は、情報処理装置30が対象受信装置から復調前電波情報を取得する処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図9に示したフローチャートの処理は、図8に示したフローチャートの処理によって情報処理装置30が対象受信装置を特定した後のタイミングにおいて実行される処理である。
【0083】
操作受付部371は、図8に示したステップS310において情報処理端末50から取得した要求に含まれる対象人工衛星情報を、図8に示したステップS340において特定部375が特定した対象受信装置に出力する(ステップS410)。これにより、対象受信装置は、図7に示したフローチャートの処理により、復調前電波情報を情報処理装置30に出力し始める。
【0084】
次に、情報取得部373は、図8に示したステップS340において特定部375が特定した対象受信装置から復調前電波情報が取得されるまで待機する(ステップS420)。当該対象受信装置から復調前電波情報が取得されたと判定した場合(ステップS420-YES)、復調制御部379、復号制御部381、記憶制御部383のそれぞれは、復調前電波情報が受信されるたびに(すなわち、情報処理装置30が受信した復調前電波情報毎に)、受信した復調前電波情報を対象復調前電波情報としてステップS440~ステップS470の処理を繰り返し行う(ステップS430)。
【0085】
復調制御部379は、対象復調前電波情報が示す電波の復調を行う復調処理を実行する(ステップS440)。当該復調処理は、対象復調前電波情報が示す電波の変調方式に応じた復調方式に基づく処理である。すなわち、復調制御部379は、各種の電波の変調方式に応じた復調方式に基づく復調処理をステップS440において行う。情報処理装置30がこのような復調処理を行うため、各受信装置20は、各種の電波の変調方式に応じた復調方式に基づく復調処理を行えるように設計される必要がない。不特定多数の受信装置20が複数の電波の変調方式に応じた復調方式に基づく復調処理を行う場合、対象人工衛星から送信される電波の変調方式が流出してしまう虞がある。これは、情報処理システム1における情報セキュリティの低下を意味する。しかし、情報処理システム1では、各受信装置20は、各種の電波の変調方式に応じた復調方式に基づく復調処理を行わないため、このような情報セキュリティの低下を抑制することができる。また、情報処理システム1では、各受信装置20に、各種の電波の変調方式に応じた復調方式に基づく復調処理を行わせるための機能部を備えさせる必要がないため、コストの増大を抑制するとともに、小型化、省電力化を図ることができる。
【0086】
次に、復号制御部381は、対象復調前電波情報が示す電波であってステップS440において復調制御部379が復調を行った後の電波である復調後電波の復号を行う復号処理を実行する(ステップS450)。当該復号処理は、対象復調前電波情報が示す電波の暗号化方式に応じた復号方式に基づく処理である。すなわち、復号制御部381は、各種の電波の暗号化方式に応じた復号方式に基づく復号処理をステップS450において行う。情報処理装置30がこのような復号処理を行うため、各受信装置20は、各種の電波の暗号化方式に応じた復号方式に基づく復号処理を行えるように設計される必要がない。不特定多数の受信装置20が複数の電波の暗号化方式に応じた復号方式に基づく復号処理を行う場合、対象人工衛星から送信される電波の暗号化方式が流出してしまう虞がある。これは、情報処理システム1における情報セキュリティの低下を意味する。しかし、情報処理システム1では、各受信装置20は、各種の電波の暗号化方式に応じた復号方式に基づく復号処理を行わないため、このような情報セキュリティの低下を抑制することができる。また、情報処理システム1では、各受信装置20に、各種の電波の暗号化方式に応じた復号方式に基づく復号処理を行わせるための機能部を備えさせる必要がないため、コストの増大を抑制するとともに、小型化、省電力化を図ることができる。なお、対象復調前電波情報が示す電波が暗号化されていない場合、ステップS450の処理は、省略されてもよい。
【0087】
次に、記憶制御部383は、対象復調前電波情報が示す電波であってステップS450において復号制御部381が復号を行った後の電波である復号後電波を示す情報を記憶部32に記憶させる(ステップS460)。
【0088】
次に、復調制御部379は、復調前電波情報の取得を終了させる操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS470)。復調制御部379は、当該取得を終了させる要求を情報処理端末50から取得した場合、当該操作を受け付けたと判定する。当該操作を受け付けていないと判定した場合(ステップS470-NO)、復調制御部379は、ステップS430に遷移し、次の対象復調前電波情報を選択する。一方、当該操作を受け付けていないと復調制御部379が判定した場合(ステップS470-YES)、受信装置制御部377は、対象人工衛星から送信された電波の受信の終了要求を対象受信装置に出力する。そして、通信制御部273は、ステップS460において繰り返し記憶部32に記憶された情報であって復号後電波を示す情報に基づいて、当該情報を全て含む情報である復調後電波情報を生成する(ステップS480)。
【0089】
次に、通信制御部273は、ステップS480において生成した復調後電波情報を情報処理端末50に出力し(ステップS490)、処理を終了する。
【0090】
このように、情報処理装置30は、対象受信装置から対象人工衛星から送信された電波の復調、復号を行うことができるとともに、当該復調、当該復号が行われた後の当該電波を示す復調後電波情報を情報処理端末50に出力することができる。
【0091】
なお、情報処理装置30は、図9に示したフローチャートの処理を実行している間において、予め決められた時間が経過する毎に、図8に示したフローチャートの処理を繰り返し実行する構成であってもよい。この場合、情報処理装置30は、図8に示したフローチャートの処理が実行される毎に対象受信装置を更新する。これにより、情報処理システム1は、外的要因によって1つの受信装置20によってでは対象人工衛星から送信された電波を所定期間内において受信し続けることができない場合であっても、複数の受信装置20を用いることによって対象人工衛星から送信された電波を所定期間内において受信し続けることができる。また、これにより、情報処理システム1は、受信装置20-4のように、自動車Cの移動とともに現在位置が変化してしまう受信装置20であっても、対象受信装置として利用することができる。その結果、情報処理システム1は、これまでは設置することが困難であった海上、上空等において対象人工衛星から送信された電波を受信することができる。ここで、当該時間は、例えば、1分である。なお、当該時間は、1分より短い時間であってもよく、1分より長い時間であってもよい。また、所定期間は、例えば、1日である。なお、所定期間は、1日より短い期間であってもよく、1日より長い期間であってもよい。
【0092】
また、情報処理装置30が複数の受信装置20の中から複数の対象受信装置を特定する場合、情報処理装置30は、図9に示したフローチャートにおいて、当該複数の対象受信装置を連携させる何らかの方法によって当該複数の対象受信装置から復調前電波情報を取得する。当該方法は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。
【0093】
以上のように、情報処理システム1は、人工衛星(この一例において、人工衛星10)から送信された電波を受信可能であり、自装置の位置を変更可能な1以上の受信装置(この一例において、受信装置20)と、1以上の受信装置それぞれの現在位置を示す受信装置位置情報と、受け付けた操作に応じた人工衛星である対象人工衛星の現在位置を示す人工衛星位置情報とに基づいて、1以上の受信装置のうち予め決められた条件を満たす1以上の受信装置を対象受信装置として特定する特定部(この一例において、特定部375)を備える情報処理装置(この一例において、情報処理装置30)と、を備える。これにより、情報処理システム1は、所望の人工衛星から送信された電波を受信可能な受信装置を容易に特定することができる。
【0094】
また、情報処理システム1では、受信装置が、電波を受信するアンテナ(この一例において、アンテナA)と、アンテナの電波送受信方向を変更可能な方向変更部(この一例において、方向変更部25)と、方向変更部を動作させ、電波を受信する対象となる対象人工衛星を示す対象人工衛星情報を取得した場合にアンテナの電波送受信方向を対象人工衛星に向かう向きに変更するアンテナ制御部(この一例において、アンテナ制御部271)と、を備え、情報処理装置が、受け付けた操作に応じて、特定部が特定した対象受信装置に対象人工衛星情報を出力する受信装置制御部(この一例において、受信装置制御部377)、を備える。これにより、情報処理システム1は、特定した対象受信装置に、より確実に対象人工衛星から送信された電波を受信させることができる。
【0095】
また、情報処理システム1では、アンテナ制御部は、対象人工衛星情報を取得した場合、取得した対象人工衛星情報が示す対象人工衛星の現在位置を示す人工衛星位置情報を他の装置から取得し、取得した人工衛星位置情報に基づいて方向変更部を動作させ、アンテナの電波送受信方向を変更する。これにより、情報処理システム1は、ユーザーが対象人工衛星の現在位置を予め知らない場合であっても、特定した対象受信装置に対象人工衛星から送信された電波を受信させることができる。
【0096】
また、情報処理システム1では、受信装置制御部は、受け付けた操作に応じて、受信装置の現在位置を示す受信装置位置情報の取得要求を1以上の受信装置の少なくとも一部に出力し、受信装置は、当該取得要求を情報処理装置から取得した場合、当該取得要求に対する応答として自装置の現在位置を示す受信装置位置情報を情報処理装置に出力する第2通信制御部を備える。これにより、情報処理システム1は、予め各受信装置の現在位置を特定していない場合であっても、対象受信装置を容易に特定することができる。
【0097】
また、情報処理システム1では、予め決められた条件は、対象人工衛星から送信された電波を受信可能な1以上の受信装置のうち、アンテナの電波送受信方向を対象人工衛星に向かう向きに変更した場合において受信感度が高いと推定される受信装置であることである。これにより、情報処理システム1は、所望の人工衛星から送信された電波を、最も受信感度の高い状態で受信可能な受信装置を容易に特定することができる。
【0098】
また、情報処理システム1では、予め決められた条件は、対象人工衛星から送信された電波を受信可能な1以上の受信装置のうち、アンテナの電波送受信方向を対象人工衛星に向かう向きに変更した場合において最も受信感度が高いと推定される受信装置であることである。これにより、情報処理システム1は、所望の人工衛星から送信された電波を、搬送波/ノイズ電力比の高い状態で受信可能な受信装置を容易に特定することができる。
【0099】
また、情報処理システム1では、予め決められた条件は、対象人工衛星から送信された電波を受信可能な1以上の受信装置のうち、アンテナの電波送受信方向を対象人工衛星に向かう向きに変更した場合において信号/ノイズ電力比が高いと推定される受信装置であることである。これにより、情報処理システム1は、所望の人工衛星から送信された電波を、最も受信感度の高い状態で受信可能な受信装置を容易に特定することができる。
【0100】
また、情報処理システム1では、特定部は、予め決められた時間が経過する毎に対象受信装置の特定を繰り返し行う。これにより、情報処理システム1は、複数の受信装置によって対象人工衛星から送信された電波を受信することができる。
【0101】
また、情報処理システム1では、受信装置は、受信した電波であって復調を行う前の電波を示す復調前電波情報を情報処理装置に出力する第1通信制御部(この一例において、第1通信制御部275)を備え、情報処理装置は、特定部により特定された対象受信装置から復調前電波情報を取得する情報取得部(この一例において、情報取得部373)を備える。これにより、情報処理システム1は、受信装置から復調方式に関する情報が流出してしまうことを抑制することができ、その結果、情報セキュリティの低下を抑制することができる。
【0102】
また、情報処理システム1では、情報処理装置は、情報取得部が取得した復調前電波情報が示す電波の復調を行う復調制御部(この一例において、復調制御部379)を備える。これにより、情報処理システム1は、情報処理装置が電波の復調を行うことにより、情報セキュリティの低下を抑制することができる。
【0103】
また、情報処理システム1では、情報処理装置は、情報取得部が取得した復調前電波情報が示す電波であって復調制御部により復調された後の電波の復号を行う復号制御部(この一例において、復号制御部381)を備える。これにより、情報処理システム1は、情報処理装置が電波の復号を行うことにより、情報セキュリティの低下を抑制することができる。
【0104】
また、情報処理システム1では、特定部は、対象人工衛星の現在位置を示す人工衛星位置情報を他の装置から取得する。これにより、情報処理システム1は、ユーザーが対象人工衛星の現在位置を予め知らない場合であっても、対象受信装置を容易に特定することができる。
【0105】
また、情報処理システム1では、1以上の前記受信装置には、移動体に設置された受信装置が含まれる。これにより、情報処理システム1は、移動体の移動とともに現在位置が変化する受信装置を、対象受信装置として特定することができる。
【0106】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【0107】
また、以上に説明した装置(例えば、受信装置20、情報処理装置30)における任意の構成部の機能を実現するためのプログラムを、コンピューターが読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピューターシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューターが読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD(Compact Disk)-ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューターが読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリー(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0108】
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピューターシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピューターシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0109】
1…情報処理システム、10、10-1、10-2、10-3…人工衛星、20、20-1、20-2、20-3、20-4…受信装置、30…情報処理装置、40…サーバー、50…情報処理端末、21、31…CPU、22、32…記憶部、24、34…通信部、25…方向変更部、26…位置検出部、27、37…制御部、271…アンテナ制御部、273…通信制御部、275…第1通信制御部、277…第2通信制御部、371…操作受付部、373…情報取得部、375…特定部、377…受信装置制御部、379…復調制御部、381…復号制御部、383…記憶制御部、385…通信制御部、A…アンテナ、B1、B2…システムバス、C…自動車
図1
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