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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-02
(45)【発行日】2022-03-10
(54)【発明の名称】スクリード装置及び道路舗装機械
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/48 20060101AFI20220303BHJP
【FI】
E01C19/48 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017208600
(22)【出願日】2017-10-27
(65)【公開番号】P2019082004
(43)【公開日】2019-05-30
【審査請求日】2020-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000235163
【氏名又は名称】範多機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136847
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼山 嘉成
(72)【発明者】
【氏名】角野 幸二
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0310312(US,A1)
【文献】実開昭54-046058(JP,U)
【文献】特開2012-007466(JP,A)
【文献】特表2003-519733(JP,A)
【文献】特開2016-089333(JP,A)
【文献】特開2014-012939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路舗装機械に用いられるスクリード装置であって、
スクリードプレートと、
前記スクリードプレートの上面と接触しており、前記道路舗装機械の横幅方向に配置された少なくとも二本のシーズヒータと、
板状のリブ部を有しており、前記リブ部に設けられた凹部に前記シーズヒータを入れ、前記凹部の厚み部分によって、前記少なくとも二本のシーズヒータを一緒に前記スクリードプレートに押さえつけ、それぞれが間隔を空けて配置された複数の押さえ部と、
前記複数の押さえ部の上に配置されており、前記少なくとも二本のシーズヒータには直接接触していない金属製の遮熱板によって前記シーズヒータの上方への放熱を遮断する遮熱部とを備えることを特徴とする、スクリード装置。
【請求項2】
複数の前記押さえ部は、平行に配置されていることを特徴とする、請求項に記載のスクリード装置。
【請求項3】
道路舗装機械に用いられるスクリード装置であって、
スクリードプレートと、
前記スクリードプレートを加熱するように配置されたシーズヒータと、
前記シーズヒータを前記スクリードプレートに押さえつける押さえ部と、
前記シーズヒータの上方への放熱を遮断する遮熱部と、
前記シーズヒータの周辺の水を外部に排出するための水抜き手段とを備え、
前記水抜き手段は、前記スクリードプレートと、前記スクリード装置のメインフレームとの間に配置された部材に設けられた孔であることを特徴とする、スクリード装置。
【請求項4】
前記孔が詰まるのを防止するためのカバーをさらに備えることを特徴とする、請求項3に記載のスクリード装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載のスクリード装置を備えることを特徴とする、道路舗装機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路舗装機械に用いられるスクリード装置に関し、より特定的には、電気によってスクリードプレートを加熱することができるスクリード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シーズヒータを用いて、スクリードプレートを加熱するスクリード装置が開示されている。特許文献1に記載のスクリード装置において、シーズヒータは、鋼部材にロー付けされた後、鋼部材とスクリードプレートとが、すみ肉溶接の断続溶接又はスポット溶接によって溶接されている。これにより、耐摩耗性を失うことなく加熱エネルギー伝達効率及び加熱均一性に優れたスクリード装置が提供可能であるとされている。
【0003】
シーズヒータは、電流の流れている導体に発生するジュール熱を利用して、加熱する電熱ヒータである。シーズヒータは、ニクロム線などの発熱体が、絶縁体で覆われた構成を有している。
【0004】
特許文献2には、スクリードプレートの上面に高周波誘導コイルを配設固定し、この高周波誘導コイルに高周波電流を流し、発生するジュール熱によりスクリードプレートを加熱する高周波誘導加熱機構を備えたスクリード装置が開示されている。このように、高周波誘導コイルに高周波電流を流し、発生するジュール熱によりプレートを誘導加熱する手段をとることで、加熱材であるプレート全面を均一に精度よく、かつ、きわめて短時間で、しかも、渦電流の表皮効果によりプレートの底面を効率的に所定の温度に加熱することができるとされている。特許文献2の段落0009では、高周波誘導コイルの上部の所定位置には、耐熱絶縁体である例えばセラミック製の押さえ部材を載設するとされている。
【0005】
特許文献3には、熱伝導式プレートを電気加熱部とスクリードプレートとの間に挿入することで、スクリードプレートを均一に加熱することができるスクリード装置が開示されている。特許文献3では、電気加熱部として、剛性の中空バーの中にコイルが巻かれているとされている(特許文献3の段落0028)。また、特許文献3の段落0028では、電気加熱部の上に絶縁層を設けて、熱が下に向かって熱伝導性プレートに流入するようにすることで、熱伝導性プレート全体に渡って、熱が比較的均一に広がるようになるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-7466号公報
【文献】特開平10-252012号公報
【文献】特表2003-519733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、シーズヒータを用いて、スクリードプレートを加熱する構造について提案されている。特許文献1には、シーズヒータの接合方法や配置形状についての言及はなされているものの、シーズヒータが発する熱を、外部に漏らすことなく、効率的にスクリードプレートに伝達するための技術については開示されていない。特許文献1に記載の構造では、シーズヒータの上側が、何ら断熱されていない。そのため、このような構造では、熱効率が低下せざるを得ない。
【0008】
特許文献2に記載のスクリード装置では、高周波誘導コイルによる加熱構造が用いられており、高周波誘導コイルの上部に耐熱絶縁体であるセラミック製の押さえ部材を用いることが開示されている。
【0009】
特許文献3に記載のスクリード装置では、コイルを用いた電気加熱部が用いられており、電気加熱部の上に絶縁層を設けることで、熱伝導性プレート全体に熱を均一に広げる構造が採用されている。
【0010】
しかし、シーズヒータを用いた場合、どのようにして、シーズヒータをスクリードプレートに固定するかが問題となる。スクリードプレートは、舗装時に、上下に振動するものであるため、振動にも耐えうる構造で、シーズヒータがスクリードプレートに固定されていなければならない。よって、耐熱絶縁体を有する特許文献2に記載のスクリード装置や、絶縁層を有する特許文献3に記載のスクリード装置のような構造は、シーズヒータで、スクリードプレートを加熱するスクリード装置には、そのまま適用することができない。
【0011】
それゆえ、本発明は、シーズヒータを用いてスクリードプレートを加熱する場合において、熱効率をできる限り上げることができる構造を有するスクリード装置及びそれを用いた道路舗装機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために本発明は、以下のような特徴を有する。本発明は、道路舗装機械に用いられるスクリード装置であって、スクリードプレートと、スクリードプレートの上面と接触しており、道路舗装機械の横幅方向に配置された少なくとも二本のシーズヒータと、板状のリブ部を有しており、リブ部に設けられた凹部にシーズヒータを入れ、凹部の厚み部分によって、少なくとも二本のシーズヒータを一緒にスクリードプレートに押さえつけ、それぞれが間隔を空けて配置された複数の押さえ部と、複数の押さえ部の上に配置されており、少なくとも二本のシーズヒータには直接接触していない金属製の遮熱板によってシーズヒータの上方への放熱を遮断する遮熱部とを備える。
【0015】
好ましくは、平行に配置された複数の押さえ部によって、シーズヒータを押さえつけられているとよい。
【0018】
また、本発明は、道路舗装機械に用いられるスクリード装置であって、スクリードプレートと、スクリードプレートを加熱するように配置されたシーズヒータと、シーズヒータをスクリードプレートに押さえつける押さえ部と、シーズヒータの上方への放熱を遮断する遮熱部と、シーズヒータの周辺の水を外部に排出するための水抜き手段とを備え、水抜き手段は、スクリードプレートと、スクリード装置のメインフレームとの間に配置された部材に設けられた孔であることを特徴とする。
【0020】
好ましくは、上記孔が詰まるのを防止するためのカバーをさらに備えるとよい。
【0021】
本発明は、上記スクリード装置を備える道路舗装機械である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、シーズヒータをスクリードプレートに押さえつける押さえ部が設けられていることとなる。そのため、シーズヒータの加熱時に、シーズヒータが変形したとしても、スクリードプレートに、シーズヒータが押さえつけられることとなるので、スクリードプレートを効率的に加熱することが可能となる。
【0023】
また、本発明によれば、シーズヒータの上方への放熱を遮断する遮熱部が設けられている。そのため、シーズヒータの熱が、上方に放熱されていくことが防止されるため、スクリードプレートを効率的に加熱することが可能となる。
【0024】
押さえ部の形状としては、種々考えられるが、たとえば、シーズヒータを入れる凹部を押さえ部に設けることで、簡易な構造で、シーズヒータを効率的に、押さえつけることが可能となる。
【0025】
その際、押さえ部の底面にリブ部を設けておいて、当該リブ部に凹部を設ける構成としておけば、押さえ部の強度を維持しつつ、シーズヒータを押さえつけることが可能となる。
【0026】
複数の押さえ部を平行に配置することで、シーズヒータを均等な力で、押さえつけることが可能である。
【0027】
遮熱部としては、金属製の遮熱板を用いることで、加工がしやすいだけでなく、効果的に、放熱を遮断することができる。また、水を含むと断熱効果が低下するという問題があるが、金属製の遮熱板を使用する場合は、繊維の断熱材で生じるような水による遮熱効果の低下は、ほとんど生じないため、効果的な遮熱が実現できる。
【0028】
遮熱板を、押さえ部の上に配置することで、シーズヒータの押さえつけと、遮熱とを同時に実現することが可能となる。また、押さえ部の熱が、上方に放熱することも防止できるため、遮熱板を押さえ部の上に配置することによって、加熱効率は、向上する。
【0029】
水抜き手段を用いることで、スクリード装置に水が入った場合、水の蒸発のために、熱が奪われることを出来る限り防止することが可能となる。よって、水抜き手段を設けることによって、加熱効率が高まると言える。
【0030】
水抜き手段として、たとえば、部材に設けられた孔のように、簡易な構造で実現することができ、水抜きのための特殊な構造を採用することなく、低コストで、加熱効率を高めることができる。
【0031】
孔のカバーを設けることで、孔が異物で詰まってしまうのを防止することが可能となり、施工時の水抜き作用の維持が可能となる。
【0032】
本発明のこれら、及び他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る道路舗装機械1を左後方から斜め上から見たときの外観斜視図である。
図2図2は、道路舗装機械1を底面側から見た場合の外観斜視図である。
図3図3は、スクリード装置7に設けられている主スクリード7a、左伸縮スクリード7b、及び右伸縮スクリード7cの外観構造を示す斜視図である。
図4図4は、スクリード7aにおいて、メインフレーム10を取り除いたときの内部構造を示す斜視図である。
図5A図5Aは、スクリード7aの内部構造を示す分解斜視図である。
図5B図5Bは、スクリード7aの内部構造を示す分解斜視図である。
図5C図5Cは、押さえ部材15を底面側から見たときの斜視図である。
図6図6は、図4におけるA-A線で切断したときの断面図であって、メインフレーム10を取り付けた状態の断面図である。
図7図7は、図4におけるB-B線で切断したときの断面図であって、メインフレーム10を取り付けた状態の断面図である。
図8図8は、水抜き用の孔17aが詰まるのを防止するための構造の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、本発明の一実施形態に係る道路舗装機械1を左後方から斜め上から見たときの外観斜視図である。図2は、道路舗装機械1を底面側から見た場合の外観斜視図である。
【0035】
図1及び図2において、道路舗装機械1は、車体2と、ホッパ3と、前輪4と、コンベア5と、スクリュー6と、スクリード装置7と、レベリングアーム8と、後輪9とを備える。道路舗装機械1において、ホッパ3側が、前方進行方向となる。ホッパ3は、図示しないダンプカーなどから供給されるアスファルト合材を収容する。ホッパ3内のアスファルト合材は、車体2の内部に設けられたコンベア5によって、スクリード7の前に搬送される。スクリュー6は、搬送されたアスファルト合材を進行方向左右に敷き伸ばす。スクリュー6によって敷き伸ばされたアスファルト合材は、スクリード装置7によって、敷き均される。レベリングアーム8は、スクリード装置7の高さを調整して、アスファルト合材をなめらかに敷き均す。
【0036】
スクリード装置7は、主スクリード7aと、左右に伸縮可能な左伸縮スクリード7bと、同じく左右に伸縮可能な右伸縮スクリード7cとを備えるものとしている。なお、伸縮スクリード7b,7cを伸縮させるための構造としては、周知のあらゆる構造を使用することができる。
【0037】
なお、ここでは、主スクリード7a、左伸縮スクリード7b、及び右伸縮スクリード7cを用いるスクリード装置7を例示しているが、これは、一例に過ぎない。本発明は、伸縮スクリードを備えないスクリード装置に対しても適用可能であり、伸縮スクリードの有無は、本発明を限定するものではない。
【0038】
図3は、スクリード装置7に設けられている主スクリード7a、左伸縮スクリード7b、及び右伸縮スクリード7cの外観構造を示す斜視図である。なお、構造を述べる上で、主スクリード7a、左伸縮スクリード7b、及び右伸縮スクリード7cの大きさの違いについては、考慮する必要はないため、図3ないし図6を用いて、代表的に、構造を説明するものとする。また、主スクリード7a、左伸縮スクリード7b、及び右伸縮スクリード7cにおいて、本発明に関する部分は、同様の構造を有するため、以下、代表して、スクリード7aと記載して、説明する。
【0039】
図4は、スクリード7aにおいて、メインフレーム10を取り除いたときの内部構造を示す斜視図である。図5A及び図5Bは、スクリード7aの内部構造を示す分解斜視図である。図5Cは、押さえ部材15を底面側から見たときの斜視図である。図6は、図4におけるA-A線で切断したときの断面図であって、メインフレーム10を取り付けた状態の断面図である。図7は、図4におけるB-B線で切断したときの断面図であって、メインフレーム10を取り付けた状態の断面図である。
【0040】
スクリード7aは、メインフレーム10と、スクリードプレート11と、シーズヒータ12と、先端部材13と、取付部材14と、押さえ部材15と、遮熱部材16と、取付部材17とを備える。
【0041】
スクリード7aは、底面に、スクリードプレート11を有している。スクリードプレート11には、スタッドボルトなど、円柱状に突出した複数の締結要素が設けられている。締結要素は、溶接等で固定されている。スクリードプレート11は、前方側の取付部材14と、後方側の取付部材17とを介して、メインフレーム10の下部に、取り付けられる。なお、締結要素に固定されるナット等については、図示を省略している。なお、取付部材14及び取付部材17は、スクリードプレート11を、メインフレーム10に取り付けるために設けられていると考える以外に、単に、スクリードプレート11とメインフレーム10との間に配置されたスペーサとしての部材であるとも言える。そのため、取付部材14及び取付部材17については、「取付部材」との表現に拘泥されることなく、単に、スクリードプレート11とメインフレーム10との間に配置された部材と理解することができる。
【0042】
スクリードプレート11の上面に、一以上のシーズヒータ12が配置される。シーズヒータ12の配置位置や本数、形状等は、特に限定されるものではなく、適宜、設計されるものである。シーズヒータ12の配置位置や本数、形状等を工夫することで、加熱が難しい箇所の加熱も可能となる。スクリードプレート11に配置されたシーズヒータ12は、押さえ部材15によって、動かないように押えられている。
【0043】
なお、シーズヒータ12の断面形状は、円形に限らず、三角形や四角形、その他の多角形などであってもよく、その形状は、本発明を限定するものではない。
【0044】
押さえ部材15は、シーズヒータ12を、スクリードプレート11に押さえつけるための部材である。押さえ部材15には、締結要素に対応した箇所に孔が設けられている。さらに、押さえ部材15は、底面側にリブ部15bを有しており、リブ部15bには、シーズヒータ12の断面形状に合わせた一以上の凹部15aが形成されている。凹部15aに、シーズヒータ12を入れることで、シーズヒータ12がスクリードプレート11に押さえつけられることとなる。
【0045】
複数個の押さえ部材15が平行に配置されている。これにより、シーズヒータを均一な力で押さえつけることができる。
【0046】
前方の取付部材14には、押さえ部材15の形状に合わせて、凹部14aが設けられている。
【0047】
遮熱部材16は、押さえ部材15の上に配置される。遮熱部材16には、締結要素に対応した箇所に孔が設けられている。図5Bでは、締結要素、押さえ部材15の孔、及び遮熱部材16の孔の締結対応を、一点鎖線で示している。
【0048】
遮熱部材16は、スクリードプレート11の締結要素に固定される。これによって、遮熱部材16及び押さえ部材15によって、シーズヒータ12がスクリードプレート11に押さえつけられることとなる。押さえ部材15に設けられた凹部15aによって、シーズヒータがずれることが防止されている。
【0049】
シーズヒータ12は、加熱温度に応じて、伸縮したり、その形状が変化したりする。そのため、特許文献1に記載のように、スクリードプレート11や鋼板に、ロー付けや溶接等で、シーズヒータ12を取り付けただけでは、接合していない部分のシーズヒータが変形して、スクリードプレート11と密着しない状態になる可能性があり、加熱効率が落ちることとなる。
【0050】
しかし、押さえ部材15を用いれば、シーズヒータが変形したとしても、シーズヒータ12を全体的に、スクリードプレート11に押しつけることができるので、加熱効率が落ちるのを防止することができる。
【0051】
なお、シーズヒータ12が、直接又は鋼板を介して、スクリードプレート11に固定されていたとしても、押さえ部材15による抑えつけ作用は生じるのであるから、本発明において、シーズヒータ12が、スクリードプレート11に、ロー付け等で直接固定されることや、鋼板にロー付け等で固定された後、鋼板がスクリードプレート11に溶接等で固定されることが排除されるものではない。
【0052】
遮熱部材16は、遮熱効果を有する金属製の遮熱板(たとえば、SPHC(熱間圧延鋼板)など)を加工したものである。たとえば、遮熱部材16としては、SPHCの厚さ1.6mmなどが考えられるが、遮熱効果を有する部材であれば、これに限定されるものではない。遮熱部材16を用いることで、上方への放熱を遮断し、抑制することができるので、加熱効率が高まる。なお、金属製の遮熱板を遮熱部材として用いるのが好ましいが、遮熱部材16として、繊維が織り込まれた断熱材が用いられてもよい。ただし、断熱材を遮熱部材16として用いる場合、水分を含むと、金属製の遮熱板に比べて、加熱効率が落ちる可能性はある。その他、セラミック製の遮熱板を遮熱部材16に用いてもよい。
【0053】
このように、シーズヒータ12を押さえ部材15で上から押さえつけることで、シーズヒータ12が加熱で変形したとしても、シーズヒータ12がスクリードプレート11に押さえつけられることとなるので、スクリードプレート11の加熱が効率的に行われることとなる。
【0054】
また、押さえ部材15の上に、遮熱部材16を配置することで、上方への放熱を遮断し、抑制することができるため、さらに、スクリードプレート11の加熱が効率的に行われることとなる。
【0055】
そして、遮熱部材16として、金属製の遮熱板を使用すれば、さらに、加熱効率が向上する。
【0056】
本発明の実施形態によれば、シーズヒータを用いながらも、加熱効率が高いスクリード装置を提供することが可能となっている。
【0057】
スクリード7aには、構造上、水が入ることがある。たとえば、雨水などが入ったりする。また、整備の洗車時に、水が入る場合もある。スクリード7aに水が入った場合、水が蒸発するまで、熱が奪われてしまい加熱効率が低下してしまう。ガスバーナーで加熱する場合は、水の蒸発は早いので、スクリードに水が入った場合の加熱効率について、考慮することは、ほとんど必要ではなかったが、電気エネルギーで、スクリードプレートを加熱する場合は、水の影響を無視することができない。
【0058】
そのため、電気加熱を使用するスクリード7aにおいては、水を出来る限り早く外部に排出することが必要となる。
【0059】
そこで、本発明の実施形態では、後方の取付部材17に、水抜き用の孔17aを一以上設けておくこととする。孔17aによって、シーズヒータ12の回りに存在する水が、外部に出ていくこととなり、水が蒸発するまでに、熱が奪われてしまうということを、出来る限り防止することができる。ただし、本発明において、水抜き用の孔17aは、加熱効率をさらに向上させるための機構に過ぎず、必須の構成ではない。
【0060】
なお、ここでは、孔17aは、半円柱状の形状のものとしているが、四角柱状や三角柱状など、その形状は、特に限定されるものではない。
【0061】
なお、作業中に、孔17aに異物が入ってしまうと、水の排出ができなくなる。そのため、メインフレーム10の形状を工夫して、孔17aに異物が入らないようにしておくとよい。たとえば、メインフレーム10で、孔17aを塞ぎつつ、メインフレーム10の隙間から水が外部に排出可能な構造としておくとよい。
【0062】
図8は、水抜き用の孔17aが詰まるのを防止するための構造の一例を示す断面図である。図8に示すように、カバー18を、メインフレーム10に、脱着可能に取り付けて、孔17aに、アスファルト合材や砂利などの異物が詰まらないようにする。カバー18とスクリードプレート11との間に隙間18aを設けておくことで、水は、隙間18aから、流れていくこととなる。アスファルト合材の油分がカバー18とスクリードプレート11との間の隙間18aの油分の付着は、カバー18を、取り外すことで、清掃可能である。
【0063】
なお、カバー18とスクリードプレート11との間に隙間を設けずに、カバー18と取付部材17との間に隙間を設けて、カバー18に、適宜、孔や凹部を設けるようにして、水抜き手段を確保してもよい。
【0064】
なお、上記実施形態では、押さえ部材15と遮熱部材16は、別部材であるとしたが、遮熱部材の底面にリブを設けておいて、当該リブに、シーズヒータ12を入れるための凹部を設けておくことで、遮熱部材を押さえ部材として兼用させることが可能である。したがって、本発明では、押さえ部材と遮熱部材とは、一体となっていてもよい。その場合、機能的には、シーズヒータを押さえるための押さえ部と、上方への放熱を遮断する遮熱部とが、スクリード装置内に設けられていると言える。
【0065】
上記実施形態では、遮熱部材16は、一枚の板状部材であったが、複数枚の板状部材によって、遮熱部が構成されていてもよい。
【0066】
上記実施形態では、押さえ部材15は、複数の部材によって構成されていることとしたが、一枚の板状部材の底面に平行に配置された複数のリブを設けておき、当該リブに、シーズヒータの形状に合わせた凹部を設けておくことで、一枚の板状部材を押さえ部材として使用することも可能である。この場合、一枚の板状部材が、押さえ部として機能としてると捉えることもできるし、また、各リブ及び凹部が、それぞれ押さえ部として機能すると捉えることもできる。
【0067】
このように、本発明においては、シーズヒータをスクリードプレートに押さえる押さえ部と、シーズヒータの熱を遮断する遮熱部とが設けられているとよい。
【0068】
上記実施形態では、スクリードプレート11にメインフレーム10を取り付けるための取付部材17は、一本の部材であるとしたが、複数の部材に分かれていてもよい。すなわち、複数本の取付部材を介して、メインフレーム10がスクリードプレート11に取り付けられてもよい。その場合も、各取付部材に、水抜き用の孔が形成されているとよい。
【0069】
なお、スクリードプレート11にメインフレーム10を取り付けるための取付部として、上記実施形態では、取付部材17を用いることとしているが、メインフレーム10を直接スクリードプレート11に取り付けることができる構造の場合、メインフレーム10に水抜き用の孔が形成されているとよい。
【0070】
すなわち、本実施形態のスクリード装置には、シーズヒータの周辺の水を外部に排出するための水抜き手段が設けられていると言える。図示した例であれば、水抜き手段は、取付部材17に設けられた孔17aということになる。また、メインフレーム10に水抜き用の孔を設けることで、水抜きを実現するのであれば、メインフレーム10に設けられた孔が、水抜き手段ということとなる。その他、シーズヒータの周辺の水を外部に排出するための手段であれば、本発明の水抜き手段に該当する。
【0071】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、スクリード装置に関し、産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 道路舗装機械
2 車体
3 ホッパ
4 前輪
5 コンベア
6 スクリュー
7 スクリード装置
7a 主スクリード
7b 左伸縮スクリード
7c 右伸縮スクリード
8 レベリングアーム
9 後輪
10 メインフレーム
11 スクリードプレート
12 シーズヒータ
13 先端部材
14 取付部材
14a 凹部
15 押さえ部材
15a 凹部
15b リブ
16 遮熱部材
17 取付部材
17a 孔(水抜き手段)
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8