(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-02
(45)【発行日】2022-03-10
(54)【発明の名称】ハンドリング装置及び搬送装置
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20220303BHJP
【FI】
B25J15/08 C
(21)【出願番号】P 2018016368
(22)【出願日】2018-02-01
【審査請求日】2020-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】591212408
【氏名又は名称】中洲電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇野 強
【審査官】杉田 隼一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-330205(JP,A)
【文献】実開平02-038740(JP,U)
【文献】特開2009-148846(JP,A)
【文献】特開2016-137992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに近接又は離隔することによって対象物をハンドリングするための一対の可動体と、
長手方向に沿って延在する第1面及び前記第1面の反対面である第2面を有し、双方向に回転駆動される無端ベルトと、
前記無端ベルトの前記第1面に対向配置され、基端から先端にかけて長手方向に沿って延びる第1レールと、
前記無端ベルトの前記第2面に対向配置され、基端から先端にかけて長手方向に沿って延びる第2レールと、
前記第1レールと前記無端ベルトの間に配置された第1本体部、前記第1レールを走行可能な第1走行部、及び、前記第1レールに対向する前記無端ベルトの前記第1面に前記第1本体部を連結する第1連結部を備える第1走行体と、
前記第2レールと前記無端ベルトの間に配置された第2本体部、前記第2レールを走行可能な第2走行部、及び、前記第2レールに対向する前記無端ベルトの前記第2面に前記第2本体部を連結する第2連結部を備える第2走行体と、を備え、
前記一対の可動体は、前記無端ベルトの前記第1面に連結された第1可動体と、前記無端ベルトの前記第2面に連結された第2可動体とからなり、
前記無端ベルトが一方向に所定の回転量で回転駆動すると、前記第1可動体と前記第2可動体とが長手方向に沿って近接移動し、前記無端ベルトが他方向に所定の回転量で回転駆動すると、前記第1可動体と前記第2可動体とが長手方向に沿って離隔移動
し、
前記第1可動体が前記第1走行体に支持されているとともに、前記第2可動体が前記第2走行体に支持されていることを特徴とするハンドリング装置。
【請求項2】
前記第1可動体及び前記第2可動体は、長手方向に延びるシャフトを介して前記第1走行体及び第2走行体にそれぞれ連結されることによって、前記第1及び第2レールの先端から長手方向に離隔した位置で対象物をハンドリング可能であることを特徴とする請求項
1に記載のハンドリング装置。
【請求項3】
前記第1レール及び前記第2レールには、長手方向に延びる開口部がそれぞれ形成されており、前記第1可動体及び前記第2可動体は、前記各開口部を介して前記第1走行体及び前記第2走行体にそれぞれ連結されていることを特徴とする請求項
1に記載のハンドリング装置。
【請求項4】
前記第1連結部及び第2連結部が前記無端ベルトの外面にそれぞれ圧接することによって、前記第1走行体及び前記第2走行体が前記無端ベルトにそれぞれ連結されることを特徴とする請求項
1から
3のいずれか一項に記載のハンドリング装置。
【請求項5】
前記第1及び第2レールは、長手方向に連続する複数の凹凸が形成された走行面を備え、前記第1及び第2走行部は、前記走行面の複数の凹凸に噛み合うように周方向に連続する複数の凹凸が形成された車輪からなることを特徴とする請求項
1から
4のいずれか一項に記載のハンドリング装置。
【請求項6】
初期位置において、前記第1可動体及び前記第2可動体が対象物をその間に配置可能な距離で離隔しており、前記無端ベルトの回転量を制御することにより、前記対象物の大きさに応じて前記第1可動体及び前記第2可動体の移動距離が定められることを特徴とする請求項1から
5のいずれか一項に記載のハンドリング装置。
【請求項7】
前記第1可動体及び前記第2可動体は、対象物を把持可能に長手方向に一対で対向する把持片をそれぞれ備え、前記無端ベルトを一方向に回転駆動させると、前記第1可動体と前記第2可動体とが長手方向に沿って近接移動して前記一対の把持片で対象物を把持可能であり、前記無端ベルトを他方向に回転駆動させると、前記第1可動体と前記第2可動体とが長手方向に沿って離隔移動して前記一対の把持片の間に把持された対象物を解放可能であることを特徴とする請求項1から
6のいずれか一項に記載のハンドリング装置。
【請求項8】
前記第1可動体及び前記第2可動体の少なくとも一方に切断刃が設けられ、前記無端ベルトを一方向に回転駆動させると、前記第1可動体と前記第2可動体とが長手方向に沿って近接移動して前記第1可動体及び前記第2可動体で対象物を切断可能であり、前記無端ベルトを他方向に回転駆動させると、前記第1可動体と前記第2可動体とが長手方向に沿って離隔移動して初期位置に復帰することを特徴とする請求項1から
6のいずれか一項に記載のハンドリング装置。
【請求項9】
互いに近接又は離隔することによって対象物をハンドリングするための一対の可動体と、
長手方向に沿って延在する第1面及び前記第1面の反対面である第2面を有し、双方向に回転駆動される無端ベルトと、を備え、
前記一対の可動体は、前記無端ベルトの前記第1面に連結された第1可動体と、前記無端ベルトの前記第2面に連結された第2可動体とからなり、
前記無端ベルトが一方向に所定の回転量で回転駆動すると、前記第1可動体と前記第2可動体とが長手方向に沿って近接移動し、前記無端ベルトが他方向に所定の回転量で回転駆動すると、前記第1可動体と前記第2可動体とが長手方向に沿って離隔移動し、
前記第1可動体及び前記第2可動体の少なくとも一方に切断刃が設けられ、前記無端ベルトを一方向に回転駆動させると、前記第1可動体と前記第2可動体とが長手方向に沿って近接移動して前記第1可動体及び前記第2可動体で対象物を切断可能であり、前記無端ベルトを他方向に回転駆動させると、前記第1可動体と前記第2可動体とが長手方向に沿って離隔移動して初期位置に復帰することを特徴とするハンドリング装置。
【請求項10】
所定の搬送路に沿って敷設された搬送レール上を走行するための搬送体をさらに備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のハンドリング装置。
【請求項11】
所定の搬送路に沿って敷設された搬送レールと、
前記搬送レールを走行可能に支持された請求項10に記載の1又は複数のハンドリング装置と、を備えたことを特徴とする搬送装置。
【請求項12】
前記搬送レールは空中に配設されており、前記1又は複数のハンドリング装置が前記搬送レールに懸垂支持されていることを特徴とする請求項11に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物をハンドリングするためのハンドリング装置、及び、該ハンドリング装置を備えた搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象物(例えば、ワーク材)を搬送するときに、対象物を把持や加工等のハンドリグ(処理)するために種々のハンドリング装置が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1は、各種物品を袋や箱などの各種容器に収容したり、他の機器に引き渡したり、移動させたりするのに利用できる物品把持装置を開示する。以下、当該段落において、()内に特許文献1の符号を示す。該物品把持装置は、物品把持装置は、一対の把持片(1a、1b)で物品を把持するように構成されている。物品把持装置は、一対の基体(2a、2b)と、両基体の間隔を調節する間隔調節機構(3)と、間隔調節機構(3)を駆動する駆動源(M)を備える。一対の把持片(1a、1b)のうち一方の把持片(1a)が一方の基体(2a)に、他方の把持片(1b)が他方の基体(2b)に設けられ、駆動源(M)によって間隔調節機構(3)を駆動させると、一対の基体(2a、2b)の双方又はいずれか一方が他方の基体に近づく方向又は他方の基体から離れる方向に移動して、両基体に設けられた把持片(1a、1b)の間隔を調節されるようにしたものである。間隔調節機構(3)は、固定体(19)の二枚の下向き片の(19a、19b)間に架設されたネジ軸(22)と、そのネジ軸(22)に螺合されてネジ軸(22)の軸方向に移動するナット(23)と、ネジ軸(22)に取り付けられたネジ軸側プーリー(24)と、ネジ軸側プーリー(24)に周回される伝達ベルト(25)を備えている。駆動モータ(M)を動作させると、当該駆動モータ(M)の回転力がモータ側プーリー(27)-伝達ベルト(25)-ネジ軸側プーリー(24)-ネジ軸(22)-ナット(23)の順に伝達され、ナット(23)が埋設された可動体(18)が固定体(19)に近づく方向又は固定体(19)から離れる方向に移動し、当該可動体(18)に取り付けられた基体(2b)側の平板式の把持片(1b)が、他方の把持片(1a)に近づく方向又は他方の把持片(1a)から離れる方向に移動し、両把持片(1a、1b)の間隔が調節される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のハンドリング装置は、ネジ軸を回転させることにより、一対の把持片をネジ軸に沿って移動させる機構を有している。当該機構では、駆動力を伝達する伝達ベルトに加えて、伝達ベルトと直交する方向にネジ軸を配置することが必須である。それ故、構造が複雑化し、装置をコンパクトに設計することが困難であることが課題として挙げられる。また、当該装置特有の構造的複雑性から、モータの駆動力によるネジ軸の回転をネジ軸方向の移動に変換することにより、その動作効率が比較的に低下することが考えられる。よって、本発明は、ハンドリング装置をより簡易な機構とすることを課題として設定してなされたものである。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、より簡易な構成を有するハンドリング装置、及び、該ハンドリング装置を備える搬送装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態のハンドリング装置は、互いに近接及び/又は離隔することによって対象物をハンドリングするための一対の可動体と、
長手方向に沿って延在する第1面及び前記第1面の反対面である第2面を有し、双方向に回転駆動される無端ベルトと、を備え、
前記一対の可動体は、前記無端ベルトの前記第1面に連結された第1可動体と、前記無端ベルトの前記第2面に連結された第2可動体とからなり、
前記無端ベルトが一方向に所定の回転量で回転駆動すると、前記第1可動体と前記第2可動体とが長手方向に沿って近接移動し、前記無端ベルトが他方向に所定の回転量で回転駆動すると、前記第1可動体と前記第2可動体とが長手方向に沿って離隔移動することを特徴とする。
【0008】
本発明の一形態のハンドリング装置によれば、無端ベルトの第1面に第1可動体が連結され、無端ベルトの第1面の反対側の第2面に第2可動体が連結されていることから、無端ベルトの回転に従って、第1可動体及び第2可動体が長手方向の反対方向に移動する。すなわち、本発明は、無端ベルトの第1面及び第2面の長手方向の逆方向の動きを利用して、互いに長手方向に対向する第1可動体及び第2可動体を長手方向の逆方向に駆動することによって、第1可動体及び第2可動体を所定位置に正確に移動させ、各可動体のハンドリング部位の近接又は離隔移動に伴って、対象物を効果的にハンドリング(処理)することを可能とするものである。したがって、本発明は、従来よりも簡易な構造のハンドリング装置を提供する。
【0009】
本発明のさらなる形態のハンドリング装置によれば、上記ハンドリング装置において、前記無端ベルトの前記第1面に対向配置され、基端から先端にかけて長手方向に沿って延びる第1レールと、
前記無端ベルトの前記第2面に対向配置され、基端から先端にかけて長手方向に沿って延びる第2レールと、
前記第1レールと前記無端ベルトの間に配置された第1本体部、前記第1レールを走行可能な第1走行部、及び、前記第1レールに対向する前記無端ベルトの外面に前記第1本体部を連結する第1連結部を備える第1走行体と、
前記第2レールと前記無端ベルトの間に配置された第2本体部、前記第2レールを走行可能な第2走行部、及び、前記第2レールに対向する前記無端ベルトの外面に前記第2本体部を連結する第2連結部を備える第2走行体と、をさらに備え、
前記第1可動体が前記第1走行体に支持されているとともに、前記第2可動体が前記第2走行体に支持されていることを特徴としてもよい。
【0010】
上記ハンドリング装置において、互いに離隔して対向配置された第1レール及び第2レールの間に無端ベルトが配置され、無端ベルトの第1レールに対向する第1面に第1走行体が連結され、無端ベルトの第2レールに対向する第2面に第2走行体が連結されている。そして、無端ベルトの回転に従って、第1走行体及び第2走行体がそれぞれ第1レール及び第2レールに沿って長手方向の反対方向に走行し、その結果、第1可動体及び第2可動体が長手方向の反対方向に移動する。すなわち、第1及び第2レールが第1及び第2走行体の長手方向に沿った直線移動をガイドすることにより、第1及び第2可動体をより精密に駆動させることが可能となる。その結果、対象物をより正確にハンドリング(処理)することを可能とした。
【0011】
本発明のさらなる形態のハンドリング装置によれば、上記ハンドリング装置において、前記第1可動体及び前記第2可動体は、長手方向に延びるシャフトを介して前記第1走行体及び第2走行体にそれぞれ連結されることによって、前記第1及び第2レールの先端から長手方向に離隔した位置で対象物をハンドリング可能であることを特徴としてもよい。すなわち、第1及び第2レールの先端側に位置する空間を利用して、ハンドリングを行うことが可能となる。
【0012】
本発明のさらなる形態のハンドリング装置によれば、上記ハンドリング装置において、前記第1レール及び前記第2レールには、長手方向に延びる開口部がそれぞれ形成されており、前記第1可動体及び前記第2可動体は、前記各開口部を介して前記第1走行体及び前記第2走行体にそれぞれ連結されていることを特徴としてもよい。すなわち、第1及び第2可動体が第1及び第2レールに形成された開口部を介して第1及び第2走行体に連結されていることから、第1及び第2レールの(長手方向に直交する)側方の周囲空間を利用して、ハンドリングを行うことが可能となる。
【0013】
本発明のさらなる形態のハンドリング装置によれば、上記ハンドリング装置において、前記第1連結部及び第2連結部が前記無端ベルトの外面にそれぞれ圧接することによって、前記第1走行体及び前記第2走行体が前記無端ベルトにそれぞれ連結されることを特徴としてもよい。すなわち、当該形態において、簡易な構造で、第1連結部及び第2連結部を無端ベルト外面に連結することができる。
【0014】
本発明のさらなる形態のハンドリング装置によれば、上記ハンドリング装置において、前記第1及び第2レールは、長手方向に連続する複数の凹凸が形成された走行面を備え、前記第1及び第2走行部は、前記走行面の複数の凹凸に噛み合うように周方向に連続する複数の凹凸が形成された車輪からなることを特徴としてもよい。走行面及び走行部における凹凸の噛み合いにより、走行体を長手方向にずれないように走行させて、走行体をより精密な距離で移動させることが可能となる。
【0015】
本発明のさらなる形態のハンドリング装置によれば、上記ハンドリング装置において、初期形態において、前記第1可動体及び前記第2可動体が対象物をその間に配置可能な距離で離隔しており、前記無端ベルトの回転量を制御することにより、前記対象物の大きさに応じて前記第1可動体及び前記第2可動体の移動距離が定められることを特徴としてもよい。ハンドリングの対象物やそのハンドリング用途に応じて、無端ベルトの回転量を制御することで、一対の可動体を所望の移動量で確実に駆動させることができる。
【0016】
本発明のさらなる形態のハンドリング装置によれば、上記ハンドリング装置において、前記第1可動体及び前記第2可動体は、対象物を把持可能に長手方向に一対で対向する把持片をそれぞれ備え、前記無端ベルトを一方向に回転駆動させると、前記第1可動体と前記第2可動体とが長手方向に沿って近接移動して前記一対の把持片で対象物を把持可能であり、前記無端ベルトを他方向に回転駆動させると、前記第1可動体と前記第2可動体とが長手方向に沿って離隔移動して前記一対の把持片の間に把持された対象物を解放可能であることを特徴としてもよい。すなわち、当該形態のハンドリング装置は、簡易な機構で対象物を把持することを可能とする。
【0017】
本発明のさらなる形態のハンドリング装置によれば、上記ハンドリング装置において、前記第1可動体及び前記第2可動体の少なくとも一方に切断刃が設けられ、前記無端ベルトを一方向に回転駆動させると、前記第1可動体と前記第2可動体とが長手方向に沿って近接移動して、前記第1可動体及び前記第2可動体で対象物を切断可能であり、前記無端ベルトを他方向に回転駆動させると、前記第1可動体と前記第2可動体とが長手方向に沿って離隔移動して初期位置に復帰することを特徴としてもよい。すなわち、当該形態のハンドリング装置は、簡易な機構で対象物を切断することを可能とする。
【0018】
本発明のさらなる形態のハンドリング装置によれば、上記ハンドリング装置において、所定の搬送路に沿って敷設された搬送レール上を走行するための搬送体をさらに備えることを特徴としてもよい。すなわち、当該形態のハンドリング装置は、ハンドリング装置を搬送レールに沿って所望の搬送位置に移動させることが可能である。
【0019】
本発明の一形態の搬送装置は、所定の搬送路に沿って敷設された搬送レールと、前記搬送レールを走行可能に支持された請求項10に記載の1又は複数のハンドリング装置と、を備えたことを特徴としてもよい。すなわち、本発明は、ハンドリング装置を搬送レールに沿って搬送することが可能であり、上記ハンドリング装置の作用効果を搬送装置として発揮することが可能である。
【0020】
本発明のさらなる形態の搬送装置によれば、上記搬送装置において、前記搬送レールは空中に配設されており、前記1又は複数のハンドリング装置が前記搬送レールに懸垂支持されていることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明のハンドリング装置は、無端ベルトの回転で一対の可動体を効率的に移動させ、従来よりも簡易な機構でもって、対象物をハンドリングすることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態の搬送装置の概略斜視図。
【
図2】本発明の一実施形態のハンドリング装置(筐体部の外壁を省略)の概略斜視図。
【
図3】
図2のハンドリング装置の(a)正面図及び(b)背面図。
【
図4】
図2のハンドリング装置の(a)平面図及び(b)底面図。
【
図5】
図2のハンドリング装置(筐体部の外壁を省略)の側面図。
【
図7】
図2のハンドリング装置の走行体の(a)斜視図、(b)側面図、(c)正面図及び(d)平面図。
【
図8】
図2のハンドリング装置(筐体部の外壁を省略)において、対象物を解放した形態の概略斜視図。
【
図10】
図2のハンドリング装置の搬送体の斜視図。
【
図11】
図10の搬送体の(a)側面図、(b)平面図及び(c)底面図。
【
図12】
図11の搬送体の(a)A-A断面図及び(b)B-B断面図。
【
図13】
図1の搬送装置の搬送レールの一部を示す概略斜視図。
【
図14】
図13の搬送レールの(a)平面図及び(b)正面図。
【
図16】
図1の搬送装置において、(a)ハンドリング装置が搬送レールのコンベヤ部に走行可能に圧接している状態を示し、(b)ハンドリング装置が搬送レールのコンベヤ部に走行不能に圧接していない状態を示す概略断面図。
【
図17】本発明の別実施形態のハンドリング装置(筐体部の外壁を省略)の概略斜視図。
【
図18】
図18のハンドリング装置(筐体部の外壁を省略)において、対象物を解放した形態の概略斜視図。
【
図19】本発明の別実施形態のハンドリング装置(筐体部の外壁を省略)の概略斜視図。
【
図20】
図19のハンドリング装置(筐体部の外壁を省略)において、初期位置に復帰した形態の概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。また、上下左右方向は、相互に入れ替えて解釈されてもよい。
【0024】
本実施形態の搬送装置10は、所定の搬送路に従って対象物であるワーク材Wをハンドリング装置11とともに所定位置まで搬送するように構成されている。
図1は、本実施形態の搬送装置10の全体斜視図である。
図1に示すように、搬送装置10は、ワーク材Wを(一対の可動体112,113の近接及び/又は離隔動作に伴って)ハンドリングするための1又は複数のハンドリング装置11と、1又は複数のハンドリング装置11を走行可能に支持し、所定の搬送路に沿って敷設された搬送レール13とを備える。本実施形態では、搬送レール13は空中に配設されており、1又は複数のハンドリング装置11が搬送レール13に懸垂支持されている。そして、本実施形態の搬送装置10は、ワーク材Wに複数の工程を施すべく、第1の工程を施すための一の工程実施場所から、第2の工程を施すための他の工程実施場所へとワーク材Wを搬送路に沿って搬送する用途に用いられる。しかしながら、本発明の搬送装置及びハンドリング装置は、上記用途に限定されることなく、その技術的範囲において、あらゆる用途に適用され得る。以下、搬送装置10の構成要素であるハンドリング装置11及び搬送レール13について詳細に説明する。
【0025】
まず、本実施形態のハンドリング装置11の基本構成について説明する。
図2は、(筐体部111を仮想線で示した)ハンドリング装置11の斜視図である。
図3は、ハンドリング装置11の正面図及び背面図である。
図4は、ハンドリング装置11の平面図及び底面図である。
図5は、(筐体部111を仮想線で示した)ハンドリング装置11の側面図である。
図6は、
図5の部分拡大図である。なお、
図1乃至
図6は、ワーク材Wを把持した形態のハンドリング装置11を示している。
【0026】
ハンドリング装置11は、上下方向を長手方向として矩形状に延在する筐体部111と、ワーク材Wをハンドリングするための対向する一対の可動体112,113と、該一対の可動体112,113を上下動させるための長手方向に延びる無端ベルト114と、無端ベルト114の一方側に対向して長手方向に沿って延びる第1レール115と、無端ベルト114の他方側に対向して長手方向に沿って延びる第2レール116と、無断ベルト114に駆動されて第1レール115を走行する第1走行体117と、無断ベルト114に駆動されて第2レール116を走行する第2走行体118と、無端ベルト114を回転駆動するための駆動モータ119と、搬送レール13を走行するための搬送体120と、該ハンドリング装置11(又は搬送装置10全体)を駆動制御するための制御部(図示せず)とを備える。なお、本実施形態では、ワーク材Wは例示的に板状に表されているが、実際に任意の形状を取り得ることは云うまでもない。
【0027】
筐体部111は、対向する2枚の側板を有し、無端ベルト114、第1レール115、第2レール116、第1走行体117及び第2走行体118を内装している。また、筐体部111は、一対の可動体112,113、駆動モータ119及び搬送体120をその外部に支持している。
【0028】
筐体部111の側面視における幅方向略中央には、長手(上下)方向に延びる無端ベルト114が配置されている。無端ベルト114は、
図5に示すように、筐体部111の側板に軸支された複数のプーリ114a、及び、複数のプーリ114aに亘って取着された無端状のコンベヤベルト114bからなる。無端ベルト114は、コンベヤベルト114bの外面において、長手方向に沿って延在する第1面、及び、該第1面の反対面である第2面を有する。そして、プーリ114aの1つが駆動モータ119の出力軸に連結されていることで、無端ベルト114は双方向に回転駆動され得る。この無端ベルト114(又は駆動モータ119)の回転方向及び回転量は、制御部によって手動式又は自動式に制御される。本実施形態では、ハンドリング装置11は、ユーザからの指示入力や所定のプログラムに従って制御部を介して電子的に制御される。
【0029】
また、筐体部111の側面視における幅方向の両端には、無端ベルト114を挟んで第1レール115及び第2レール116が略等間隔で配置されている。
図5に示すように、第1レール115及び第2レール116は、無端ベルト114と平行に長手方向に沿って基端(上端)から先端(下端)にかけて延びている。第1レール115は無端ベルト114の第1面に対向配置され、第2レール116は無端ベルト114の第2面に対向配置されている。換言すると、第1レール115及び第2レール116は、無端ベルト114を隔てて互いに対向している。各レール115,116は、筐体部111の両側板にそれぞれ支持された横断面視矩形状の細長い一対のレール体からなる。一対のレール体の無端ベルト114に対向する面には、走行体117,118が走行するための走行面115a,116aが形成されている。また、一対のレール体の間には、長手方向に亘って延びる正面又は背面に開口した開口部115b,116bが形成されている。
図6に示すように、走行面115a,116aには、長手方向に連続する複数の歯(凹凸)が形成されていることが好ましい。走行面115a,116aの複数の歯は、後述する走行体117,118の走行部(車輪)117b,118bの外周に形成された溝(凹凸)と噛み合うように構成されている。すなわち、走行面115a,116a及び走行部117b、118bをラック・アンド・ピニオンの如き噛合によって駆動させることにより、走行体117,118の走行を垂直方向(長手方向)にずれないように維持し、走行体117、118をより精密な距離で移動させることが可能となる。なお、より簡素には、走行面及び走行部を互いに摺接可能な平坦面としてもよい。さらに、第1レール115及び第2レール116の長手方向両端において、筐体部111又はレール115,116自体に、走行体117,118を係止してレール115,116両端から走行体117,118が外れることを規制する規制部(図示略)が形成されてもよい。規制部は、走行体117,118に当接する当接体であり得る。
【0030】
そして、長手方向の所定の各位置において、第1走行体117が無端ベルト114及び第1レール115の間に配置され、第2走行体118が無端ベルト114及び第2レール116の間に配置されている。第1走行体117は、第1レール115と無端ベルト114の間に配置された第1本体部117a、第1レール115を走行可能な第1走行部117b、及び、無端ベルト114の第1面に第1本体部117aを連結する第1連結部117cを備える。また、第2走行体118は、第2レール116と無端ベルト114の間に配置された第2本体部118a、第2レール116を走行可能な第2走行部118b、及び、無端ベルト114の第2面に第2本体部118aを連結する第2連結部118cを備える。すなわち、第1走行体117は、無端ベルト114の回転に伴って第1レール115上を長手方向に沿って移動し、他方、第2走行体118は、無端ベルト114の回転に伴って第2レール116上を長手方向に沿って移動する。また、本実施形態では、走行体117,118の本体部117a,117bの一部がレール115,116の開口部115b,116bに挟まれるように配置されていることから、走行体117,118の直線走行が安定的にガイドされている。そして、無断ベルト114の回転駆動時に第1面が長手方向の一方(例えば上方)に移動すると、第2面が長手方向の他方(例えば下方)に移動することから、第1走行体117及び第2走行体118は互いに異なる方向に移動する。換言すると、無端ベルト114の回転駆動に従って、第1走行体117及び第2走行体118は互いに近接又は離隔する方向に走行する。なお、走行体117,118は、一般的にレール115,116又は無端ベルト114の長手方向全体に亘って走行可能であるが、無端ベルト114に対する各固定位置は、第1及び第2可動体112、113のハンドリング部位112a,113aとの位置(高さ)関係によってそれぞれ定められる。
【0031】
第1走行体117及び第2走行体118は、
図7に示すような共通の構造を有している。本体部117a,118aは、矩形状の筐体であり、内部に弾性部材117d,118dを内装している。走行部117b,118bは、4つの車輪からなり、各車輪はレール115,116の走行面115a,116aを走行可能であるように構成されている。また、各車輪の外周面には、走行面115a,116aの複数の歯に噛み合うように、周方向に連続する複数の溝(凹凸)が形成されている。そして、各連結部117c,118cは、本体部117a,118aから延びる軸部と、軸部先端で長手方向に延びる圧接板とからなる。各連結部117c,118cの圧接板は、弾性部材117d,118dによって軸部先端側に付勢されている。特には、第1走行体117及び第2走行体118が筐体部111内の所定位置に配置された状態において、弾性部材117d,118dが弾性圧縮変形することにより、連結部117c,118cの圧接板がコンベヤベルト114b外面に圧接している。この圧接に伴う摩擦力によって、連結部117c,118cが本体部117a,118aを無端ベルト114に連結している。そして、ハンドル117e,118eを操作して連結部117c,118cの圧接板を本体部117a,118a側に押し下げることにより、圧接を解除することができる。
【0032】
第1走行体117には、第1可動体112が連結支持されているとともに、第2走行体118には、第2可動体113が連結支持されている。換言すると、第1可動体112及び第2可動体113が、無端ベルト114の第1面及び第2面に第1走行体117及び第2走行体118を介してそれぞれ(間接的に)連結されている。すなわち、制御部が無端ベルト114を一方向又は他方向に回転駆動させると、第1及び第2走行体117、118の相対移動によって、第1可動体112と第2可動体113とが長手方向に沿って相対的に近接又は離隔移動する。
【0033】
第1可動体112は、ワーク材Wを把持するための下方把持片(ハンドリング部位)112a、及び、第1走行体117と下方把持片112aとを連結する長尺の第1シャフト112bを備える。他方、第2可動体113は、ワーク材Wを下方把持片112bと協働して把持するための上方把持片(ハンドリング部位)113a、及び、第2走行体118と上方把持片113aとを連結する長尺の第2シャフト113bを備える。第1シャフト112b及び第2シャフト113bは、走行体117,118の連結部117c,118cにそれぞれ一体的に連結され、長手方向に沿って筐体部111から垂直下方に延び出ている。第1シャフト112b及び第2シャフト113bは、連結部117c,118cと同様に無端ベルト114外面に当接してもよい。そして、これら第1シャフト112b及び第2シャフト113bによって、下方把持片112a及び上方把持片113aが筐体部111の外部(第1及び第2レール115,116の先端側空間)に配置されるように支持されている。すなわち、第1可動体112及び第2可動体113は、長手方向に延びるシャフト112b、113bを介して第1走行体117及び第2走行体118にそれぞれ連結されることによって、第1及び第2レール115,116の先端から長手方向に離隔した位置でワーク材Wをハンドリング可能である。
【0034】
下方把持片112a及び上方把持片113aは、共に平面視コ字形状を有する。そして、下方把持片112aがワーク材Wを下から支え、上方把持片113aがワーク材Wを上から抑えるようにして、両把持片112a,113aでワーク材Wを挟持又は把持するように構成されている。また、下方把持片112a及び上方把持片113aの一方又は両方にセンサが設けられもよい。つまり、センサによって下方把持片112a及び上方把持片113aがワーク材Wを把持したことを検知して、無端ベルト114の回転を停止させるように制御してもよい。センサとして、感圧式センサや光学式センサなどが任意に選択され得る。
【0035】
図8及び
図9は、ワーク材Wを解放した状態のハンドリング装置11を示している。初期位置において、第1可動体112(把持片112a)及び第2可動体113(113a)が対象物をその間に配置可能な距離で離隔している。
図5の把持形態から、無端ベルト114が
図5,9の側面視で時計回りに所定の回転量で回転して、第1走行体117とともに第1可動体112が下方に移動し、第2走行体118とともに第2可動体113が上方に移動することにより、下方把持片112a及び上方把持片113aが離隔してワーク材Wを解放する。他方、
図9の解放形態から
図5の把持形態に移行するには、無端ベルト114が
図5,9の側面視で反時計回りに所定の回転量で回転して、第1走行体117とともに第1可動体112が上方に移動し、第2走行体118とともに第2可動体113が下方に移動することにより、下方把持片112a及び上方把持片113aが近接してワーク材Wを把持することができる。そして、ワーク材Wの大きさ等に応じて第1可動体112及び第2可動体113の移動距離が定められ、無端ベルト114の回転量が制御される。当該移動距離は、ワーク材Wの大きさを制御部に入力することによって定められてもよく、あるいは、センサによって(ハンドリング時又は事前搬送時に)ワーク材Wの大きさを検知することによって定められてもよい。
【0036】
搬送体120は、上述した筐体部111及び各部品を支持して搬送レール13(
図13参照)を走行するように構成されている。
図10乃至
図12を参照して、当該ハンドリング装置11の搬送体120を説明する。
図10は、搬送体120の斜視図である。
図11(a)~(c)は、搬送体120の側面図、平面図及び底面図である。
図12は、圧接形態の搬送体120のA-A縦断面図及びB-B横断面図である。
【0037】
図10乃至
図12に示すように、搬送体120は、ブロック状の搬送体本体121と、搬送体本体121下面に固定されて筐体部111を支持するための支持部122と、搬送体本体121が搬送レール13のレール部131を走行するための走行部123と、搬送体本体121に支持され、搬送レール13のコンベヤ部135に圧接可能に構成された圧接体125と、該圧接体125のコンベヤ部135への圧接を解除操作するための解除操作部126と、を備える。
【0038】
図12に示すように、搬送体本体121は、複数の矩形状のブロックが積み重なって連結されたものである。該搬送体本体121は、平面視において搬送レール13の長手方向(搬送方向)に長辺を有する。該搬送体本体121には、該搬送体本体121を高さ方向に貫通する複数(本実施形態では2つ)の貫通孔121aが穿設されている。各貫通孔121aは、圧接体125の軸部125aが軸方向に移動可能に、該軸部125aの径よりも大きい所定の径で構成されている。また、搬送体本体121の上面には、支持部122が固定されている。支持部122は、支持軸122aとその先端に形成された支持ブロック122bとからなる。そして、支持ブロック112bの両側面に筐体部111の両側板がネジでそれぞれ固定されることにより、支持部122が筐体部111等を支持する。そして、走行部123は、搬送体本体121の側部に回転可能に軸支された複数の車輪からなる。
【0039】
該搬送体120の圧接体125は、搬送体本体121に支持され、搬送レール13のコンベヤ部135に圧接して搬送体本体121をコンベヤ部135に連結するように機能する。該圧接体125は、
図12に示すように、搬送体本体121の高さ方向に延びる複数(本実施形態では2つ)の軸部125aと、各軸部125aの上端に固定された板状の圧接板(圧接部)125bとを備える。各軸部125aは、搬送体本体121の各貫通孔121a内に上下動可能に挿通(遊挿)されている。各軸部125aには、コイルバネ状の弾性体124が外挿されている。該弾性体124の下端が搬送体本体121の貫通孔121aの小径部に当接し、且つ、該弾性体124の上端が圧接板125bの下面に当接している。そして、弾性体124は、搬送体本体121及び圧接体125bの間に圧縮された状態で配置されており、搬送体本体121及び圧接体125bを互いに離隔する方向に付勢している。つまり、弾性体124の弾性復帰力によって圧接体124がコンベヤ部135に対して付勢される。また、圧接板125bは、(搬送レール13に沿った)長手方向に延在し、その上面がコンベヤ部135に圧接するように構成されている。該搬送体120の解除操作部126は、圧接体125のコンベヤ部135への圧接を解除操作するように機能する。すなわち、解除操作部126は、圧接体125を搬送体本体121の高さ方向に変位させるように機能する。該解除操作部126は、圧接体125の軸部125a下端に連結され、ハンドル126aを介してユーザが圧接体125を下方に牽引することが可能に構成されている。ハンドル126aは、搬送レール13の長手方向に回動可能であり、且つ、上端のベアリングを介して搬送体本体121下面に当接している。すなわち、ハンドル126aは、搬送体本体121に対して滑らかに傾動可能である。
【0040】
次に、
図13乃至
図15を参照して、当該搬送装置10の搬送レール13を説明する。
図13は、搬送レール13の斜視図である。
図14(a)、(b)は、搬送レール13の平面図及び正面図である。
図15は、搬送レール13のC-C縦断面図である。
【0041】
図13乃至
図15に示すとおり、搬送レール13は、搬送方向に沿って長手状に延びる底壁部132と、該底壁部132の幅(短手)方向の両端縁から上方に立設した一対の側壁部133と、該一対の側壁部133の間で開口した開口部134とを備える。各側壁部133の開口端には、内側に張り出したレール部131がそれぞれ形成されている。この長手方向(搬送方向)に延びる一対のレール部131間の間隔は、搬送体本体121の幅よりも大きく、且つ、走行部123の車輪の位置に対応している。そして、搬送レール13は、複数の吊下げ棒137によって空中に吊下げ保持される。
【0042】
他方、搬送レール13の開口部134の反対側には、コンベヤ部135が設けられている。該コンベヤ部135は、レール部131に併設されており、搬送体120をレール部131上で走行させるように駆動する。コンベヤ部135は、両側壁部133間に回転可能に軸支された複数のプーリ135aと、該複数のプーリ135aに掛架されたコンベヤベルト135bを備える。コンベヤ部135は、搬送モータ136によって駆動軸135cを介して回転駆動される。コンベヤ部135の回転方向及び回転量は、制御部によって手動式又は自動式に制御され得る。
【0043】
図16(a)は、ハンドリング装置11が搬送体120を介してコンベヤ部135に搬送駆動される状態の搬送装置10の断面図である。
図16(a)に示すとおり、搬送体120の圧接体125が弾性体124によってコンベヤ部135側に付勢されることにより、圧接板125b上面がコンベヤベルト135b下面に圧接している。この圧接により、圧接板125b上面とコンベヤベルト135b下面との間に強い摩擦力が生じ、これらが搬送方向にずれることなく、搬送体120が搬送レール13のコンベヤ部135に一体的に連結されている。この圧接による連結状態で、コンベヤベルト135bが順方向に回転することにより、コンベヤベルト135bとともにハンドリング装置11が搬送路に沿って移動する。このとき、走行部123がレール部131の上面に当接して回転することで、搬送体120が搬送レール13に沿って滑らかに走行する。この形態のまま、該搬送体120は、例えば一の工程実施場所から他の工程実施場所へとワーク材Wとともにハンドリング装置11を搬送可能である。そして、作業者がハンドル126aを下方に牽引することにより、
図16(b)に示すように、圧接体125とコンベヤ部135との係合が解除され、搬送体120とコンベヤ部135との連動が切断される。
【0044】
図16(b)は、搬送体120の圧接体125とコンベヤ部135との連結(圧接)を解除して、コンベヤ部135の回転に拘わらず、搬送体120を停止可能とした状態の搬送装置10の断面図である。
図16(b)に示すとおり、解除操作部126のハンドル部126cが弾性体124の付勢力に抗して引き下げられた結果、圧接板125bとコンベヤベルト135bとが離隔している。この状態では、搬送体120の走行部123のみが搬送レール13に当接している。つまり、搬送体120は、コンベヤ部135と関係なく、レール部131の所定位置で停止可能である。あるいは、コンベヤ部135を停止させることなく、搬送体120をレール部131に沿って人力で前後に自由にスライドさせることができる。例えば、作業者が、コンベヤ部135によって流れてきたハンドリング装置11に対して、解除操作部126を操作することで任意の工程実施場所でハンドリング装置11を停止させることができる。なお、
図16(b)の状態から、作業者がハンドル126cを解放することにより、
図16(a)に示したように、弾性体124の弾性復帰力で圧接体125がコンベヤ部135に再び係合し、搬送体120が搬送路に沿って発進する。
【0045】
以下、本発明の一実施形態のハンドリング装置11(及び搬送装置10)の作用効果について説明する。
【0046】
本実施形態のハンドリング装置11(及び搬送装置10)によれば、無端ベルト114の第1面に第1可動体112が連結され、無端ベルト114の第2面に第2可動体113が連結されていることから、無端ベルト114の回転に従って、第1可動体112及び第2可動体113が長手方向の反対方向に移動する。すなわち、本実施形態のハンドリング装置11は、無端ベルト114の第1面及び第2面の長手方向の逆方向の動きを利用して、互いに対向するハンドリング部位を有する第1可動体112及び第2可動体113を長手方向の逆方向に駆動することによって、対象物を効果的にハンドリングするものである。さらに、上記ハンドリング装置11において、互いに離隔して対向配置された第1レール115及び第2レール116の間に無端ベルト114が配置され、無端ベルト114の第1レール115に対向する第1面に第1走行体117が連結され、無端ベルト114の第2レール116に対向する第2面に第2走行体118が連結されている。そして、無端ベルト114の回転に従って、第1走行体117及び第2走行体118がそれぞれ第1レール114及び第2レール115に沿って長手方向の反対方向に走行し、その結果、第1可動体112及び第2可動体113が長手方向の反対方向に移動する。すなわち、第1及び第2レール115,116が、第1及び第2走行体117,118の長手方向に沿った直線移動をガイドすることにより、第1及び第2可動体112,113をより精密な移動量で近接方向及び離隔方向に駆動させることが可能となる。したがって、本実施形態のハンドリング装置11は、従来よりも簡易な構造で、対象物を正確にハンドリング(処理)することを可能にしたものである。
【0047】
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の技術的範囲の下で、種々の実施形態や変形例を取り得る。なお、各実施形態、変形例において、三桁で示される構成要素において下二桁が共通する構成要素は、特別な説明がない限り、同一又は類似の特徴を有し、その説明を一部省略する。
【0048】
(1)上記実施形態は、第1及び第2可動体112,113のハンドリング部位(112a、113a)が筐体部111の底面から延び出るように構成されたが、本発明はこれに限定されない。
図17及び
図18のハンドリング装置21は、第1可動体212及び第2可動体213が筐体部211の正面側に延び出るように構成されたものである。上記実施形態のハンドリング装置11と、本実施形態のハンドリング装置21とは、可動体112,113の構成を除いて共通している。ただし、説明の便宜上、駆動モータの描写を省略した。すなわち、本実施形態のハンドリング装置21では、第1レール215及び第2レール216には、長手方向に延びる開口部215b、216bがそれぞれ形成されており、第1可動体212及び第2可動体213は、各開口部215b、216bに貫通配置されたシャフトを介して第1走行体217及び第2走行体218にそれぞれ連結されている。具体的には、第1可動体212は、第1走行体217に連結され、第1レール215の開口部215bから筐体部211の背面側に延び出る第1シャフト(図示せず)と、該第1シャフトに連結され、筐体211の外周を包囲する枠体212cと、該枠体212cの外面から筐体部211の正面に延び出る上方把持片212aと、ワーク材Wを把持したことを検出するセンサ212dとを備える。他方、第2可動体213は、第2走行体218に連結され、第2レール216の開口部216bから筐体部211の正面側に延び出る第2シャフト(図示せず)と、該第2シャフトに連結され、筐体部211の正面に延び出る下方把持片213aとを備える。なお、シャフトを省略して、走行体217,218の本体部217a,218aに直接的に第1可動体212及び第2可動体213を結合してもよい。
図17及び
図18に示すように、上記実施形態のハンドリング装置11と同様に、制御部がハンドリング装置21の動作を制御することにより、ワーク材Wをハンドリングすることが可能である。
【0049】
(2)上記実施形態では、ハンドリング装置が対象物を把持及び解放することについて説明したが、本発明の「ハンドリング」は、対象物を処理する種々の工程を含む概念であり、上記実施形態の「把持」に限定されない。例えば、
図19及び
図20のハンドリング装置31は、対象物を切断するように構成されたものである。上記実施形態のハンドリング装置11と、本実施形態のハンドリング装置31とは、可動体112,113のハンドリング部位の構成を除いて共通している。すなわち、第1可動体312の第1シャフト312bの先端に切断台座312aが設けられ、第2可動体313の第2シャフト313bの先端に切断刃313aが設けられている。そして、制御部が無端ベルト314を一方向に回転駆動させると、第1可動体312と第2可動体313とが長手方向に沿って近接移動し、切断台座312a及び切断刃313aで対象物を挟み込んで切断可能である(
図19の形態)。他方、制御部が無端ベルト314を他方向に回転駆動させると、切断台座312a及び切断刃313aが長手方向に沿って離隔移動し、初期位置(
図20の形態)に復帰する。
【0050】
(3)本発明において、ハンドリング装置は、圧着処理、熱処理、刻印処理、貼着処理等の種々の工程を実施するように構成されてもよい。また、本発明のハンドリング装置は、レーザを正確な距離まで近接させて照射する等の用途にも応用可能である。さらに、本発明のハンドリング装置は、第1及び第2可動体によって、対象物の上面及び下面を同時に処理するように構成されてもよい。さらには、第1及び第2可動体は、互いに離隔するときに、対象物を2つに分割させる等のハンドリング処理を行うように構成されてもよい。いずれの場合においても、第1及び第2可動体のハンドリング部位を適宜変更することによって、各種用途に対応可能である。
【0051】
(4)本発明のハンドリング装置において、第1及び第2レール並びに第1及び第2走行体が省略されてもよい。この場合、第1及び第2可動体が無端ベルトの第1及び第2面に直接的に結合される。
【0052】
(5)本発明のハンドリング装置において、搬送体が省略されてもよい。つまり、ハンドリング装置は、所定の位置又は装置に固定的に配置されたロボットアームとして使用され得る。
【0053】
(6)本発明のハンドリング装置において、駆動モータで無端ベルトを回転制御する代わりに、無端ベルトに回転駆動用のハンドル等を設けることによって、無端ベルトを人力(手動)で回転駆動して、その回転方向及び回転量を手動式に制御してもよい。
【0054】
(7)本発明の搬送装置は、所定の搬送路に沿って、対象物(ワーク材)を搬送せずにハンドリング装置のみを搬送するように構成されてもよい。すなわち、搬送装置において、のハンドリング装置が、複数のワーク材に所定の工程を施すべく、一の工程実施場所に配置された第1のワーク材で処理(ハンドリング)を施し、次いで、二の工程実施場所へと搬送され、二の工程実施場所に配置された第2のワーク材に同様の処理を施すように連続的に複数のワーク材をハンドリングしてもよい。
【0055】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。
【符号の説明】
【0056】
10 搬送装置
11 ハンドリング装置
111 筐体部
112 第1可動体
112a 下方把持片(ハンドリング部位)
112b 第1シャフト
113 第2可動体
113a 上方把持片(ハンドリング部位)
113b 第2シャフト
114 無端ベルト
114a プーリ
114b コンベヤベルト
115 第1レール
115a 走行面
115b 開口部
116 第2レール
116a 走行面
116b 開口部
117 第1走行体
117a 第1本体部
117b 第1走行部
117c 第1連結部
117d 弾性部材
118 第2走行体
118a 第2本体部
118b 第2走行部
118c 第2連結部
118d 弾性部材
119 駆動モータ
120 搬送体
121 搬送体本体
121a 貫通孔
122 支持部
122a 連結軸
122b 連結ブロック
123 走行部
124 弾性体
125 圧接体
125a 軸部
125b 圧接板
126 解除操作部
126a ハンドル
13 搬送レール
131 レール部
132 底壁部
133 側壁部
134 開口部
135 コンベヤ部
135a プーリ
135b コンベヤベルト
135c 駆動軸
136 搬送モータ
137 吊下げ棒
W ワーク材(対象物)