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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-02
(45)【発行日】2022-03-10
(54)【発明の名称】生合成ヘパリン
(51)【国際特許分類】
   C12P 19/28 20060101AFI20220303BHJP
   C08B 37/10 20060101ALI20220303BHJP
   C08B 37/00 20060101ALI20220303BHJP
   C12N 9/10 20060101ALN20220303BHJP
   C12N 15/54 20060101ALN20220303BHJP
【FI】
C12P19/28
C08B37/10
C08B37/00 P
C12N9/10
C12N15/54
【請求項の数】 32
(21)【出願番号】P 2019512252
(86)(22)【出願日】2017-09-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-31
(86)【国際出願番号】 US2017050385
(87)【国際公開番号】W WO2018048973
(87)【国際公開日】2018-03-15
【審査請求日】2020-01-28
(31)【優先権主張番号】62/384,341
(32)【優先日】2016-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599161672
【氏名又は名称】レンセレイアー ポリテクニック インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】マーク ドゥエイジ
(72)【発明者】
【氏名】ナブディープ グローバー
(72)【発明者】
【氏名】パヤル ダッタ
(72)【発明者】
【氏名】エレナ パスカレバ
(72)【発明者】
【氏名】レイ リン
(72)【発明者】
【氏名】ポール ブロドフューラー
(72)【発明者】
【氏名】トレバー ジェイ.シモンズ
(72)【発明者】
【氏名】大西 章浩
(72)【発明者】
【氏名】平金 真
(72)【発明者】
【氏名】リー フー
(72)【発明者】
【氏名】ケビン リー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ジェイ.リンハルト
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン ドルディック
(72)【発明者】
【氏名】森 大輔
【審査官】福澤 洋光
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0349962(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0322114(US,A1)
【文献】特表2016-523535(JP,A)
【文献】Carbohydrate Polymers,2015年,Vol.122,pp.399-407
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 1/00-41/00
CA/MEDLINE/BIOSIS/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
N-硫酸化(NS)二糖類基を78~99%含み、15,000~19,000Daの最終ヘパリン産物を形成するために適切な平均分子量を有し、分子量が24,000Daを超えるヘパリン鎖の割合が、20%以下であり、及び分子量16,000Da~24,000Daの鎖に対する分子量8,000~16,000Daの鎖の比率が、1.0以上である、グリコサミノグリカン。
【請求項2】
81~97%のN-硫酸化(NS)二糖類基を含む、請求項1に記載のグリコサミノグリカン。
【請求項3】
83~95%のN-硫酸化(NS)二糖類基を含む、請求項1に記載のグリコサミノグリカン。
【請求項4】
85~93%のN-硫酸化(NS)二糖類基を含む、請求項1に記載のグリコサミノグリカン。
【請求項5】
NS2S基を44~80%及びNS基を13~39%含み、15,000~19,000Daの最終ヘパリン産物を形成するために適切な平均分子量を有し、分子量が24,000Daを超えるヘパリン鎖の割合が、20%以下であり、及び分子量16,000Da~24,000Daの鎖に対する分子量8,000~16,000Daの鎖の比率が、1.0以上である、グリコサミノグリカン。
【請求項6】
44~80%のNS2S基を含む、請求項5に記載のグリコサミノグリカン。
【請求項7】
50~78%のNS2S基を含む、請求項5に記載のグリコサミノグリカン。
【請求項8】
55~77%のNS2S基を含む、請求項5に記載のグリコサミノグリカン。
【請求項9】
60~76%のNS2S基を含む、請求項5に記載のグリコサミノグリカン。
【請求項10】
14~35%のNS基を含む、請求項5に記載のグリコサミノグリカン。
【請求項11】
15~30%のNS基を含む、請求項5に記載のグリコサミノグリカン。
【請求項12】
16~26%のNS基を含む、請求項5に記載のグリコサミノグリカン。
【請求項13】
NS2S6S二糖類基を36~70%、NS6S二糖類基を6~32%、NS2S基を0~27%及びNS基を1~22%含み、15,000~19,000Daの最終ヘパリン産物を形成するために適切な平均分子量を有し、分子量が24,000Daを超えるヘパリン鎖の割合が、20%以下であり、及び分子量16,000Da~24,000Daの鎖に対する分子量8,000~16,000Daの鎖の比率が、1.0以上である、グリコサミノグリカン。
【請求項14】
40~67%のNS2S6S二糖類基及び6~26%のNS6S二糖類基を含む、請求項13に記載のグリコサミノグリカン。
【請求項15】
43~64%のNS2S6S二糖類基及び6~22%のNS6S二糖類基を含む、請求項13に記載のグリコサミノグリカン。
【請求項16】
12~27%のNS2S基及び1~17%のNS基を含む、請求項13に記載のグリコサミノグリカン。
【請求項17】
3S二糖類基を含まない、請求項13~16の何れか1項に記載のグリコサミノグリカン。
【請求項18】
生合成ヘパリンを産生するための方法であって、
a. 36~70%のNS2S6S二糖類基、6~32%のNS6S二糖類基、0~27%のNS2S基及び1~22%のNS基を含むグリコサミノグリカンを得る工程;
b. 硫酸供与体の存在下で、前記グリコサミノグリカンを3-O-スルホトランスフェラーゼアイソフォーム1(3OST-1)である酵素で処理する工程、
を含む、生合成ヘパリンバッチを産生する方法。
【請求項19】
工程(b)において、十分なグルコサミン残基が、3-O-スルホグルコサミン残基に変換され、その結果、産生されたバッチが、180ユニット/mg以上の抗Xa及び抗IIa活性及び0.85~1.15の抗Xa/抗IIa比を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
0.9~1.1の抗Xa/抗IIa比を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
44~80%のNS2S基及び13~39%のNSを含む第2のグリコサミノグリカン中間体を製造する方法であって、当該方法が、
a. ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量を変換して、78~99%のN-硫酸化(NS)二糖類基を含む第1のグリコサミノグリカンを産生する工程、ここで、変換されたN-アセチルグルコサミン残基の前記総量は、第1のグリコサミノグリカン中間体中のNS基の量に相当する; 及び
b. 硫酸供与体の存在下で、前記第1のグリコサミノグリカン中間体を、C5-エピメラーゼ(C5-epi)及び2-O-スルホトランスフェラーゼ(2OST)である酵素で処理する工程、
を含む、前記第2のグリコサミノグリカン中間体を産生する、方法。
【請求項22】
前記変換が、ヘパロサンを、塩基及びスルホン化試薬と反応させることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記変換が、ヘパロサンを、N-デアセチラーゼ、N-スルホトランスフェラーゼ(NDST)と反応させることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
36~70%のNS2S6S二糖類基、6~32%のNS6S二糖類基、0~27%のNS2S基及び1~22%のNS基を含む、第3のグリコサミノグリカン中間体を製造する方法であって、当該方法が、
44~80%のNS2S基及び13~39%のNS基を含む第2のグリコサミノグリカン中間体を、6-O-スルホトランスフェラーゼアイソフォーム1及び/又は3(6OST-1/3)である酵素を用い、前記第2のグリコサミノグリカン中間体を前記第3のグリコサミノグリカン中間体に変換するために硫酸供与体の存在下で処理する工程を含む、方法。
【請求項25】
前記硫酸供与体が、PAPSを含む、請求項18~24の何れか1項に記載の方法。
【請求項26】
PAPSが、溶液である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記硫酸供与体が、PAP及びPNPSを含む、請求項18~24の何れか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記処理が、PAPS、PNPS及び触媒を含むリサイクリングシステムの存在下で行われる、請求項18~24の何れか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記触媒が、アリールスルホトランスフェラーゼIV(AST-IV)である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記酵素が、溶液中にある、請求項18~29の何れか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記酵素が、固定化される、請求項18~29の何れか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記処理が、NDST、C5-Epi、2OST、3OST-1、6OST-1又は6OST-3の一方又は両方、及びPAPSの供給源をコードする遺伝子を含む組換え微生物株内で行われる、請求項18~24の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願
本出願は、2016年9月7日に出願された米国仮特許出願番号62/384,341に対する優先権を主張し、その全体が、出典明記により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は、一般に多糖化学の分野に関連し、より具体的には、ブタUSPヘパリンと生物学的に同等であり得る、生合成ヘパリン; 生合成ヘパリンの製造方法; 製造方法において使用され得る中間体; 及び生合成ヘパリンを使用する方法に関する。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態は、生合成ヘパリンを産生するための有効量のN-硫酸化(NS)二糖類基を含むグリコサミノグリカンである。NS基二糖類基の量は、78~99%又は81~97%又は83~95%又は85~93%であり得る。
【0004】
他の実施形態は、生合成ヘパリンを産生するために有効な量のN-硫酸化、2-硫酸化(NS2S)二糖類基を含む、グリコサミノグリカンである。NS2S二糖類基の量は、44~80%又は50~78%又は55~77%又は60~76%であり得る。
【0005】
さらに別の実施形態は、N-硫酸化、2-硫酸化、6-硫酸化(NS2S6S)二糖類基及びN-硫酸化、6-硫酸化(NS6S)二糖類基の総量を含むグリコサミノグリカンであり、ここで、前記総量は、生合成ヘパリンを産生するために効果的である。NS6S基及びNS2S6S二糖類基の各量は、6~40%NS6S基及び31~73%NS2S6S基; 6~32%NS6S基及び40~67%NS2S6S基; 又は6~22%NS6S基及び43~64%NS2S6S基であり得る。
【0006】
さらに他の実施形態は、a. 31~73%のNS2S6S二糖類基、6~40%のNS6S二糖類基、0~27%のNS2S基及び1~22%のNS基を得る工程; 及びb. 硫酸供与体の存在下で、グリコサミノグリカンを3-O-スルホトランスフェラーゼアイソフォーム1(3OST-1)である酵素で処理する工程を含む、硫酸供与体の存在下で生合成ヘパリンバッチを産生する生合成ヘパリンを産生するための方法である。
【0007】
さらに別の実施形態は、44~80%のNS2S基及び13~39%のNS基を含む第2のグリコサミノグリカン中間体を製造する方法である。当該方法は、a. ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量を変換して、78~99%のN-硫酸化(NS)二糖類基を含む第1のグリコサミノグリカンを産生する工程、ここで、変換されたN-アセチルグルコサミン残基の前記総量は、最初のグリコサミノグリカン中間体中のNS基の量に相当する; 及びb. 前記第1のグリコサミノグリカン中間体を、C5-エピメラーゼ(C5-epi)及び2-O-スルホトランスフェラーゼ(2OST)である酵素で処理する工程を含み得、硫酸供与体の存在下で前記第2のグリコサミノグリカン中間体を産生する。
【0008】
さらに別の実施形態は、31~73%のNS2S6S二糖類基、6~40%のNS6S二糖類基、0~27%のNS2S基及び1~22%のNS基を含む、第3のグリコサミノグリカン中間体を製造する方法である。当該方法は、44~80%のNS2S基及び13~39%のNS基を含む第2のグリコサミノグリカン中間体を前記第2のグリコサミノグリカン中間体を6-O-スルホトランスフェラーゼアイソフォーム1及び/又は3(6OST-1/3)である酵素を用い、前記第3のグリコサミノグリカン中間体に変換するために硫酸供与体の存在下で処理する工程を含む、
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、ブタUSPヘパリンと生物学的に同等であり得るヘパロサンから生合成ヘパリン(BSH)への経路を概略的に示す。
図2図2は、ブタUSPヘパリンと生物学的に同等であり得る中間体及び生合成ヘパリンの分析方法を概略的に示す。
図3図3は、ヘパロサン、NS、NS2S、NS6S、NS2S6S中間体、ブタUSPヘパリンと生物学的に同等であり得る生合成ヘパリン、及びブタUSPヘパリンについての1D 1H-NMRスペクトルを示す。
図4図4は、ブタUSPヘパリンと同等の特性を提供し得る生合成ヘパリン中間体の構造の例示的な組成範囲を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
ヘパリンは、溶液中及び埋め込みデバイスの両方において、抗凝固剤として広く用いられる。ヘパリンの化学合成は、一般的に実行不可能であると考えられており、従って、医薬品グレードのヘパリンは、ヘパリン製造の歴史を通して様々な動物組織から得られてきた。しかし、動物供給源への依存は、品質管理及び供給のために問題となり得る。
【0011】
ヘパリンの主な供給源は、ブタの腸であるが、ウシの肺及び腸のヘパリン、及びヒツジの腸のヘパリンもまた利用可能である。製品の品質は、環境要因及び動物の亜種によって異なる可能性があり、薬物の制御にさらなる困難性をもたらす。ヒトにおけるクロイツフェルト・ヤコブ病を引き起こすウシ海綿状脳症(BSE、「狂牛病」)及びヒツジにおけるスクレイピープリオン等のプリオン病に対する深刻な懸念事項は、ヘパリンの供給源としてのウシ及びヒツジ組織の使用の減少をもたらした。
【0012】
2008年には、過硫酸化コンドロイチン硫酸(OSCS)が、中国のブタから産生されたヘパリンに導入され、100人に近いアメリカ人が死亡し、ヘパリンの供給が著しく減少した。この故意の混入は、屠殺場におけるヘパリンのための組織供給チェーン(chain)は、現在の良好な製造慣行(cGMP)の監視が欠けていたため、検出することが非常に困難であった。
【0013】
ごく最近、異なる動物種から得られたヘパリンの混合が疑われている。ウシ肺ヘパリン、ウシ腸ヘパリン、ヒツジ腸ヘパリン及びブタ腸ヘパリンは、アンチトロンビン五糖結合部位の構造的変異体のそれらの異なる分布、並びにそれらの二糖組成の相違によって互いに区別され得る。しかしながら、現在の最先端の分析方法を用いてさえも、ブタ腸ヘパリン製品中の少量のウシ腸ヘパリン又はヒツジ腸ヘパリンの存在を検出することは、非常に困難である。
【0014】
供給もまた、深刻な問題である。世界中で毎年屠殺され、年間100トンのヘパリンとなる12億匹以上のブタがいるのにもかかわらず、特に開発途上国では、商業的供給者は、世界的な需要の増加に追い付くことが出来ない可能性がある。最近の市場のシェア分析によると、粗ヘパリンの大部分は、中国から供給されており、世界の市場の約57%を占める。中国におけるブタの伝染病等の感染症に対する動物集団の感受性、過収穫、又は環境問題は、ヘパリンを産生することが出来る動物の供給を劇的に減少させる可能性がある。ヘパリンのスポット(spot)不足は、米国市場におけるウシヘパリンの再導入について深刻な影響を及ぼした。しかしながら、ウシ腸ヘパリンは、USPヘパリン規格を満たしていないため、その商業用途は制限される。ウシ腸ヘパリンの認可はまた、ブタ及びウシヘパリンの混入の危険性を増大させ、これは、検出が困難であり、最終製品の品質を変える。
【0015】
生物学的に同等なヘパリンの代替的で信頼できる供給源に対する必要性を考慮して、研究者達は、ヘパロサンからヘパリンを合成することを試みた。化学的工程と酵素的工程の組み合わせにより、ヘパリンに近い産物が得られたが、本発明者達の知る限りでは、化学酵素的に合成された生合成ヘパリンは、USP基準をまだ満たしていない。複数の試験例における鋭意検討の結果、本発明者達は、USPの全ての要件を満たし得るヘパリンを合成した。本発明者達は、そのような生物学的に同等なヘパリンを得るために必要であり得る特定の特徴を有する3つの中間体を解明した。
【0016】
定義
本出願の目的のために、以下の用語は、これらの定義を有する:
【0017】
本明細書で用いられる場合、「a」又は「an」は、1つのもを意味するように具体的に示されていない限り、1つ以上を意味する。
【0018】
「約」は、明示された値と同等であると当業者によって理解される典型的な変形を明白に包含する。数値が用いられる場合、「約」は、±20%又は±15%又は±10%又は±8%又は±7%又は±6%又は±5%又は±3%又は±2%又は±1%の表示値を包含する。
【0019】
二糖類含有量に関して%が提供されている場合、別段の定めが無い限り、典型的にモル/モルパーセントを指す。
【0020】
本明細書で用いられる場合、BSHは、生合成ヘパリン、すなわち1つ以上の化学プロセス; 酵素プロセス; 化学的及び酵素的プロセスの組合せ; 微生物及び哺乳動物細胞の培養プロセスを通して製造されたヘパリンを指す。いくつかの実施形態において、生合成ヘパリンは、ブタUSPヘパリン、すなわち、ブタヘパリンナトリウムと生物学的に同等なヘパリン、例えば「生物学的同等ヘパリン」を含み得る。
【0021】
本明細書で用いられる場合、「生物学的同等ヘパリン」(BEqH)は、活性レベル及び分子量分布に関して、ブタのUSPヘパリンナトリウムと同等である。いくつかの実施形態において、生物学的同等ヘパリンは、以下の表2に示されるように、ブタUSPヘパリンと同等の量で二糖類基NS、NS2S、NS6S及びNS6S2Sを含み得る。
【0022】
本明細書で用いられる場合、用語「バッチ」は、特定の限度内で、均一の特性及び品質を有することを意図し、同じ製造サイクル中の単一の製造指示に従って製造される。
【0023】
ヘパリン及びヘパロサン
ヘパロサンは、繰り返し二糖類ユニット[→4) β-D-グルクロン酸(GlcA)(1→4)N-アセチル-α-D-グルコサミン(GlcNAc) (1→]nを有する不均一長の直鎖多糖の群である。
【0024】
ヘパリンは、抗凝固特性を有する不均一群の直鎖アニオン性グリコサミノグリカンの不均一基である。ヘパリンは、独特な二糖類基に消化され得(Yang, B., Chang, Y., Weyers, A. M., Sterner, E., & Linhardt, R. J. (2012)、液体クロマトグラフィー-紫外分光法(LC-UV)により分析され得る(P. Mourier et al. Analytical Chemistry Research 3 (2015) 46-53)。LC-UV法から得られたデータは、従来から用いられている液体クロマトグラフィー-質量分析法(LC-MS)と非常によく似ている。3つのヘパリンリアーゼ混合物で消化した後、ヘパリンは、以下の二糖類を産する。
0S [ΔUA-GlcNAc]
NS: [ΔUA-GlcNS]
6S [ΔUA-GlcNAc6S]
2S [ΔUA2S-GlcNAc]
NS2S [ΔUA2S-GlcNS]
NS6S [ΔUA-GlcNS6S]
2S6S [ΔUA2S-GlcNAc6S]
TriS (NS2S6S) [ΔUA2S-GlcNS6S]
【0025】
ΔUAが、4-デオキシ-α-L-トレオ-ヘキサ-4-エノピラノシルウロン酸に相当する場合、GlcNは、D-グルコサミンに相当し、ACは、アセチルに相当し、及びSは、スルホに相当する。本明細書において、二糖類の含有量は、上記8つの二糖類の合計含有量に基づき算出され得る。
【0026】
ヘパリン及びヘパロサン及び関連物質は、複雑な分子であるため、それらは、それらの重量平均分子量(Mw)及び分子量分布に従って特徴付けられ得る。ヘパリンは、さらにその抗凝固特性によって特徴づけられる。
【0027】
米国薬局方第39版(USP39)規格、「ヘパリンナトリウム、USP」は、ヘパリンが特定の活性レベル及び分子量分布を有することを要求する。USPによると、ヘパリンは、15,000~19,000の平均重量; 24,000Da超の分子量を有するヘパリン鎖の割合が、合計の20%以下であること; 分子量16,000~24,000Daの鎖の割合に対する分子量8,000~16,000の鎖の割合の比率は、1.0以上であること; を有する。
【0028】
本発明において、分子量16,000~24,000Daの鎖の割合に対する分子量8,000~16,000の鎖の割合の比率は、1.0以上、好ましくは、1.0~2.5、1.0~2.0、1.2~1.8、1.4~1.7、1.5、又は1.6である。効力は、ミリグラム当たりのヘパリン活性のユニットに基づくUSP参照基準を用いる生物学的アッセイによって決定される。これらの仕様は、180U/mg以上のIIa因子に対するヘパリンの抗凝固活性(すなわち、抗IIa)を要求し、IIa因子に対するXa因子の活性の比率(すなわち、抗Xa/抗IIa)は、0.9~1.1の間である。
【0029】
ブタヘパリンナトリウムに関する現在のUSPモノグラフ(USP39)には、二糖類組成に関する要件はない。しかしながら、ヘパリン特性が、構造から得られるのは、当然のことである。従って、本発明者達は、ブタUSPヘパリンの特定の構造的特徴を解明した。表1は、3つのヘパリンリアーゼで処理した後のブタUSPヘパリンに由来する二糖類基の統計的範囲を示す。合計15ロットのブタUSPヘパリンが、測定された。試料の算術平均(平均)及び標準偏差(SD)が、計算された。分析誤差の標準偏差は、本発明者の蓄積データに基づいて求めた。表1の最も左の列にある以下の式を適応して、各二糖類の範囲が計算された。
【0030】
【表1】
【0031】
ヘパリンの15試料が、代表的なものであると仮定すると、3の標準偏差は、予想される変動の99.7%を含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、ブタUSPヘパリンナトリウムと生物学的に同等である生合成ヘパリン中の各二糖類の含有量は、上記表1に示され表2に提供されるように、USPヘパリンから得られる推定された平均の3の標準偏差以内である。
【0033】
【表2】
【0034】
いくつかの実施形態において、生合成ヘパリン中の各二糖類の含有量は、USPヘパリンに由来する推定平均の2.5、2.0、1.5又は1.0標準偏差内である。いくつかの実施形態において、各主要二糖類NS、NS6S、NS2S、お寄りTriSの含有量は、USPヘパリンに由来する各推定平均の3.0、2.5、2.0、1.5又は1.0標準偏差内である。
【0035】
Mulloy達が、発表した「USP compendial methods for analysis of heparin: chromatographic determination of molecular weight distributions for heparin sodium」(Anal Bioanal Chem (2014) 406:4815-4823)は、ブタUSPヘパリンナトリウムのサイズ分布を再調査した。図3に示したように、8~16kDaの種は、最大55%であり、16~24kDaの種は、25%以上であった。従って、当該試験において、18~16/16~24の比率は、2.2(すなわち、55/25)であった。
【0036】
ヘパロサンからのヘパリンの合成
ヘパロサンは、繰り返し二糖類ユニット[→4) β-D-グルクロン酸(GlcA)(1→4)N-アセチル-α-D-グルコサミン(GlcNAc) (1→]nを有する不均一長の直鎖多糖である。ヘパロサンは、大腸菌(Escherichia coli)及びパスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multicida)を含む細菌中の多糖カプセルとして生合成される(Lindahl U et al. (1998) “Regulated diversity of heparan sulfate” J Biol Chem 273(39):24979-24982.)。実験室規模の試験は、E.coli K5株から得られた重量平均分子量(Mw)10,000超を有するヘパロサンが、ブタUSPヘパリンナトリウムと生物学的に同等でないネオヘパリンと称される抗凝固性多糖に化学的に変換され得ることを示した(Lindahl et al. (2005) J Med Chem 48(2):349-352; Zhang et al. (2008) Journal of the American Chemical Society 130(39):12998-13007; U.S. Patent No. 6,162,797; US 2014/0349962.)。
【0037】
以下の参考文献は、ブタヘパリンナトリウムと生物学的に同等ではない生合成ヘパリンについて記載する。本明細書に記載の特性を有する中間体の製造については記載されず、ブタヘパリンと製造されたヘパリン生物学的同等物も記載されていない。報告によると、そのようなヘパリンの二糖類含有量は、ブタUSPヘパリンに由来する推定される平均の1、2、又は3の標準偏差の範囲内ではなく、中間体も生物学的同等ヘパリンに必要な中間体と一致しない。
【0038】
本発明と従来技術との間のさらなる相違は、とりわけ、TriSとも称される第3の中間体NS2S6Sを含む。硫酸化の化学的方法を用いる特定の従来方法は、3S二糖類を欠く中間体NS2S6Sを製造することが出来ない。特定の化学酵素的方法は、NS2S6S中間体を得るために十分な各化学酵素的工程における主要な二糖類基含有量を調節しなかった。
【0039】
Bhaskar, U.,達の報告において(Bhaskar, U., et al (2015). Carbohydrate Polymers, 122, 399-407.)、プレ-3OST中間体のNS6S、NS2S、NS2S6S等の主要な二糖組成は、それぞれ、7.8、15.7、及び67.9%(w/w)である。得られた「ヘパリン」は、ブタUSPヘパリンと生物学的に同等ではなく、当該参考文献におけるプレ-3OST中間体の二糖類組成は、生物学的に同等なヘパリンに必要とされる第3の中間体NS2S6S/TriSとは異なる。当該参考文献において調製された「ヘパリン」について報告された最も高い抗IIa活性は、151U/mgであり、これは、必要とされる180U/mgより少なく、それはブタUSPヘパリンと同等ではない。加えて、Bhaskar達によって調製された産物の分子量は、25,000Da超であった。
【0040】
Zhang, Z.,たちの報告において(Zhang, Z., et al (2008) Journal of the American Chemical Society, 130(39), 12998-13007)、第3の中間体であるNS2S6Sの対応物である「ヘパリン」は、O2、2S、6S、及び2S6Sを表すN-アセチル基を含まない。得られた「ヘパリン」は、ブタUSPヘパリンと生物学的に同等ではなく、そして当該参考文献中のプレ-3OST中間体の二糖類は、生物学的に同等なヘパリンに必要とされる第3の中間体NS2S6Sの要件を満たすことが出来ない。このヘパリンの活性は、凝結塊に基づく活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)アッセイによって、180U/mgであると決定された。このアッセイは、現在のUSPに記載されている抗IIa活性と同等ではないため、これがブタUSPヘパリンの活性使用を満たすか否かは不明である。さらに、この試験では、抗Xaアッセイは行われなかったので、この「ヘパリン」の抗Xa/抗IIa比率は、定義されていない。まとめると、N-アセチル基がなく、明確な抗IIa及び抗Xa活性がない場合、このヘパリンは、ブタUSPヘパリンと生物学的に同等ではない。
【0041】
J Med Chem 48(2): 349-352 (2005)において、約8,000の分子量; 抗Xa162; 抗IIa62; 抗Xa/抗IIa2.6を有する「ネオヘパリン」、すなわち生物学的に同等な分子が示される。ネオヘパリンと生物学的に同等なヘパリンの間の化学酵素的手順におけるポスト3OST反応の分子量と抗凝固活性の間のギャップを考慮すると、ネオヘパリンのプレ-3OST中間体は、生物学的同等ヘパリンに必要なNS2S6Sとは異なる。
【0042】
米国特許第6162797号は、エピマー化N-脱アセチル化N-硫酸化ヘパロサンの段階的化学硫酸化によって得られるヘパリン誘導体を提供する。しかしながら、この誘導体は、抗Xa500~600、抗IIa250~320、(本明細書において、抗IIaの代わりに「APTT」を使用したが、「APTT」は、抗IIaであるべき可能性が高い)、すなわち生物学的に同等である、を有する。この文献は、生物学的に同等なヘパリンに必要とされる第3の中間体NS2S6Sと同等な中間体を教示又は示唆していないことになる。この特許もまた、以下に示す第1の(NS)中間体又は第2の中間体を教示していない。
【0043】
US 2014/0349962 A1は、へパサロンの化学酵素的官能基によって得られるヘパリン誘導体である、「ミトリン(mitrin)」を示す。「ミトリン」は、USAヘパリンよりも高い抗Xa活性を有する2-O硫酸化イズロン酸基を含まない六糖である。従って、この文献は、第2の中間体(NS2S)又は第3の中間体(NS2S6S)と同等な中間体を教示又は示唆していない。
【0044】
従って、上記参考文献に記載されている「生合成ヘパリン」は、ブタUSPヘパリンといくつかの特性を共有しているが、それらはブタUSPヘパリンと化学的に同等又は生物学的に同等ではない。上記の参考文献はまた、生合成ヘパリンを製造するために、どの因子が欠けているか、どのような工程を変更するのか、又はそれらをどのように改変するのかを教示又は示唆していない。本明細書に記載の生合成ヘパリン中間体は、インビボでのヘパリン産生の中間体には見られない。特に、天然ヘパリン中間体は、プロテオグリカンリンカーに結合しており(Sugahara K, Kitagawa H. (2002) Heparin and heparan sulfate biosynthesis. IUBMB Life, 54(4): 163-75)、従って、本明細書に記載されちる仕様の遊離形態では存在しない。従って、生合成ヘパリンは、天然物ではない。
【0045】
本発明者達は、ブタUSPヘパリンと生物学的に同等であり得る生合成ヘパリンを生成した。本発明者達は、へパサロンからの化学酵素的手法により、ブタUSPヘパリンと生物学的に同等であるヘパリンの合成に必須であり得る3つの中間体を解明した。これらの中間体は、NS中間体、NS2S中間体、及びNS2S6S中間体(又はTrisS中間体)としてその主要な二糖類基に従って、以下にラベル付けされ、二糖類基等の特定範囲の修飾糖種によって特徴付けられる。それらは、分子量特性及び分布によってさらに特徴付けられ得る。これらの中間体は、アンチトロンビンを介した抗凝固作用を示さない可能性がある。
【0046】
本開示は、細菌エキソポリサッカライドヘパロサンに由来するもの等のヘパロサンからの生合成ヘパリンの合成、及び生物学的に同等なヘパリンを得るために必要であり得る重要な中間体の特性の解明に関する。いくつかの実施形態において、生合成ヘパリンは、活性についての米国薬局方(USP)要件を満たす。具体的には、IIa因子に対するヘパリンの抗凝固活性(すなわち、抗IIa)が、180U/mg以下、及びIIa因子に対するXa因子の活性の割合(すなわち、抗Xa/抗IIa)が、0.85~1.15又は0.9及び1.1又は約1.0である。生合成ヘパリンは、分子量; 平均重量15,000~19,000Da; 24,000Daを超える分子量を有するヘパリン鎖の割合は、合計の20%以下である(本明細書において、0~15%、0~10%、及び5~10%を含む); 及び分子量16,000~24,000Daの鎖に対する分子量8,000~16,000Daの間の鎖の割合が、1.0以上(本明細書において、1.0~2.5; 1.0~2.0、1.2~1.8、1.4~1.7、1.5、又は1.6)である; に関するUSPの要件も満たす可能性がある。従って、生合成ヘパリンは、ブタUSPヘパリンと生物学的に同等であり得る。
【0047】
一実施形態において、第1の中間体NSは、有効量のN-硫酸化(NS)類基を含むグリコサミノグリカン材料であり得る。例えば、N-硫酸化(NS)二糖類基は、78~99.5%又は78~99%又は81~97%又は83~95%又は84~94%又は85~93%又は84~87%又は85~86%又は87.5~94%又は90~93.5%又は90.5~93%又は90.3~91.3%又は92.2~93.2%又はこれらの範囲内の何れかの値又は部分範囲の第1の中間体NSを構成し得る。いくつかの関連した実施形態において、残存する第1の中間体NSの残りは、少量の未修飾N-アセチル化グルコサミン(NAc)(0S)二糖類基であり得る。全ての場合において、NSは、いくつかの測定可能なNAc基を含まなければならない。
【0048】
第1の中間体の分子量特性は、例えば、下記に開示される方法のうちの1つを用いて、ブタUSPヘパリンナトリウムについての分子量仕様を満たすことが出来る生合成ヘパリンを形成するために適切であり得る。
【0049】
いくつかの実施形態において、第1の中間体NSは、84.7~93.8重量%のN-硫酸化(NS)二糖類基を含むグリコサミノグリカン材料である。関連する実施形態において、残りは、少量の未修飾N-アセチル化グルコサミン(NAc)(0S)二糖類基である。
【0050】
いくつかの実施形態において、第1の中間体NSは、83.4~87.4%又は83.9~86.9%又は84.4~86.4%又は84.9~85.9%又はこれらの範囲内の何れかの値又は部分範囲のNS二糖類基を含み得る。そのような第1の中間体NSの残りは、少量の未修飾N-アセチル化グルコサミン(NAc)(0S)二糖類基であり得る。
【0051】
いくつかの実施形態において、第1の中間体NSは、87.9%~92.9%又は88.4%~92.4%又は88.9%~91.9%又は89.4%~91.4%又は89.9%~90.9%又はこれらの範囲内の何れかの値又は部分範囲のNS二糖類基を含み得る。そのような第1の中間体NSの残りは、少量の未修飾N-アセチル化グルコサミン(NAc)(0S)二糖類基であり得る。
【0052】
いくつかの実施形態において、第1の中間体NSは、88.8~94.7%又は89.3%~94.2%又は89.8~93.7%又は90.3%~93.2%又はこれらの範囲内の何れかの値又は部分範囲のNS二糖類基を含み得る。そのような第1の中間体NSの残りは、少量の未修飾N-アセチル化グルコサミン(NAc)(0S)二糖類基であり得る。
【0053】
いくつかの実施形態において、第1の中間体NSは、88.8~92.8%又は89.3~92.3%又は89.8~91.8%又は90.3~91.3%又はこれらの範囲内の何れかの値又は部分範囲のNS二糖類基を含み得る。そのような第1の中間体NSの残りは、少量の未修飾N-アセチル化グルコサミン(NAc)(0S)二糖類基であり得る。
【0054】
いくつかの実施形態において、第1の中間体NSは、90.1~94.7%又は90.6~94.2%又は91.1%~93.7%又は91.6%~93.2%又はこれらの範囲内の何れかの値又は部分範囲のNS二糖類基を含み得る。そのような第1の中間体NSの残りは、少量の未修飾N-アセチル化グルコサミン(NAc)(0S)二糖類基であり得る。
【0055】
別の実施形態は、有効量のN-硫酸化2-O-硫酸化(NS2S)二糖類基を含むグリコサミノグリカン材料であり得るグリコサミノグリカン第2の中間体NS2Sであり得る。例えば、いくつかの実施形態において、N-硫酸化2-O-硫酸化(NS2S)二糖類基は、44~80%又は45~79%又は50~78%又は50~77%又は55~78%又は55~76%又は58~77%又は59~76%又は60~75%又は58~62%又は59~61%又は65~77%又はこれらの範囲内の何れかの値又は部分範囲のグリコサミノグリカン第2の中間体NS2Sを構成し得る。
【0056】
グリコサミノグリカン第2の中間体NS2Sはまた、N-硫酸化2-O-硫酸化(NS2S)二糖類基に加えてNS二糖類基を含み得る。例えば、NS二糖類基は、12~40%又は13~39%又は15~34%又は15~29%又は16~29%又は16~26%又は17~25%又は16~18%又は19~26%又はこれらの範囲内の何れかの値又は部分範囲のグリコサミノグリカン第2の中間体NS2Sを構成し得る。NS二糖類基についての各範囲は、N-硫酸化2-O-硫酸化(NS2S)二糖類基についての上記各範囲と一緒に用いられ得る。
【0057】
N-硫酸化2-O-硫酸化(NS2S)二糖類基及びNS二糖類基に加え、グリコサミノグリカン第2の中間体NS2Sはまた、1つ以上の少量の未修飾N-アセチル化グルコサミン(NAc)(0S)二糖類基及び2-O-硫酸化NAc(2S)二糖類基を含み得る。特定の実施形態において、N-硫酸化2-O-硫酸化(NS2S)二糖類基以外のグリコサミノグリカン第2の中間体NS2S及びN-硫酸化2-O-硫酸化(NS2S)二糖類基の唯一の成分は、少量の未修飾N-アセチル化グルコサミンNAc)(0S)二糖類基及び/又は2-O-硫酸化NAc(2S)二糖類基であり得る。いくつかの実施形態において、0S及び2S二糖類基の合計は、0.4~25%又は4~24%又は5~24%又は6~20%又は6~18%又は6~16%又は7~23%又は7~20%又は7~17%又は7~15%の第2の中間体NS2Sであり得る。
【0058】
第2の中間体の分子量特性は、例えば、以下に開示される方法のうちの1つを用いて、ブタUSPヘパリンナトリウムについて分子量の仕様を満たすことが可能な生合成ヘパリンを形成するために適切であり得る。
【0059】
いくつかの実施形態において、グリコサミノグリカン第2の中間体NS2Sは、73.8~75.3重量%のN-硫酸化2-O-硫酸化(NS2S)二糖類基、及び18.5~20.2重量%のNS二糖類基を含み得る。グリコサミノグリカン第2の中間体NS2Sの残りは、少量の未修飾N-アセチル化グルコサミン(NAc)(0S)二糖類基及び2-O-硫酸化NAc(2S)二糖類基を含み得るか、又はそれからなり得る。
【0060】
いくつかの実施形態において、グリコサミノグリカン第2の中間体NS2Sは、57.5~62.5%又は58~62%又は58.5~61.5%又は59~61%又は59.5~60.5%又はこれら範囲内の値又は部分範囲のNS2S二糖類基を含み得る。加えて、グリコサミノグリカン第2の中間体NS2Sは、23.2~27.2%又は23.7~26.7%又は24.2~26.2%又は24.7~25.7%又はこれらの範囲内の何れかの値又は部分範囲のNS二糖類基を含み得る。グリコサミノグリカン第2の中間体NS2Sの残りは、少量の未修飾N-アセチル化グルコサミン(NAc)(0S)二糖類基及び2-O-硫酸化NAc(2S)二糖類基を含み得るか、又はそれからなり得る。0S及び2S二糖類基の合計量は、13.3~16.3%又は13.8~15.8%又は14.3~15.3%の第2の中間体NS2Sを構成し得る。
【0061】
いくつかの実施形態において、グリコサミノグリカン第2の中間体NS2Sは、65.8~77.4%又は66.3~76.9%又は66.8~76.4%又は67.3~75.9%又はこれらの範囲内の値又は部分範囲のNS二糖類基を含み得る。加えて、グリコサミノグリカン第2の中間体NS2Sは、14.8~26%又は15.3~25.5%又は15.8~25%又は16.3~24.5%又はこれら範囲内の何れかの値又は部分範囲のNS二糖類基を含み得る。グリコサミノグリカン第2の中間体NS2Sの残りは、少量の未修飾N-アセチル化グルコサミン(NAc)(0S)二糖類基及び2-O-硫酸化NAc(2S)二糖類基を含み得るか、又はそれからなり得る。0S及び2S二糖類基の合計量は、5.6~10.8%又は6.1~10.3%又は6.6~9.8%の第2の中間体NS2Sを構成し得る。
【0062】
いくつかの実施形態において、グリコサミノグリカン第2の中間体NS2Sは、65.8~74.4%又は66.3~73.9%又は66.8~73.4%又は67.3~72.9%又はこれらの範囲内の値又は部分範囲のNS二糖類基を含み得る。加えて、グリコサミノグリカン第2の中間体NS2Sは、17.9~26%又は18.4~25.5%又は18.9~25%又は19.4~24.5%又はこれらの範囲内の何れかの値又は部分範囲のNS二糖類基を含み得る。グリコサミノグリカン第2の中間体NS2Sの残りは、少量の未修飾N-アセチル化グルコサミン(NAc)(0S)二糖類基及び2-O-硫酸化NAc(2S)二糖類基を含み得るか、又はそれからなり得る。0S及び2S二糖類基の合計量は、5.6~10.8%又は6.1~10.3%又は6.6~9.8%の第2の中間体NS2Sを構成し得る。
【0063】
いくつかの実施形態において、グリコサミノグリカン第2の中間体NS2Sは、73.4~77.4%又は73.9~76.9%又は74.4~76.4%又は74.9~75.9%又はこれらの範囲内の値又は部分範囲のNS二糖類基を含み得る。加えて、グリコサミノグリカン第2の中間体NS2Sは、14.8~18.8%又は15.3~18.3%又は15.8~17.8%又は16.3~17.3%又は19.4~24.5%又はこれらの範囲内の何れかの値又は部分範囲のNS二糖類基を含み得る。グリコサミノグリカン第2の中間体NS2Sの残りは、少量の未修飾N-アセチル化グルコサミン(NAc)(0S)二糖類基及び2-O-硫酸化NAc(2S)二糖類基を含み得るか、又はそれからなり得る。0S及び2S二糖類基の合計量は、5.8~9.8%又は6.3~9.3%又は6.8~8.8%の第2の中間体NS2Sを構成し得る。
【0064】
第2の中間体は、ブタUSPヘパリンと一致するサイズ及び活性要件を有するヘパリンを形成するために適切であり得る。言い換えると、第2の中間体は、ブタUSPヘパリンナトリウムと一致する細部及び活性要件を有するヘパリンが、例えば、以下に開示される方法のうち一つを用いて形成され得るようなものであり得る。例えば、第2の中間体は、ブタUSPヘパリンナトリウムと一致するサイズ及び活性要件を有する最終ヘパリン産物を形成するために適切な重要平均分子量を有し得る。第2の中間体中のN-硫酸化2-O-硫酸化(NS2S)二糖類基の有効量は、ブタUSPヘパリンナトリウムと一致するサイズ及び活性要件を有するヘパリンが、例えば、以下に開示される方法のうち1つを用いて形成され得るようなものであり得る。
【0065】
他の実施形態は、有効量のN-硫酸化2-O-硫酸化6-O-硫酸化(NS2S6S又はTrisSとして知られる)二糖類基及びN-硫酸化6-O-硫酸化(NS6S)二糖類基を含むグリコサミノグリカン材料であり得るグリコサミノグリカンの第3の中間体NS2S6Sである。例えば、NS2S6S二糖類基は、30~74%又は31~73%又は36~70%又は40~67%又は40~66%又は42~65%又は44~64%又は42~45%又は48-65%又はこれら範囲内の何れかの値又は部分範囲のグリコサミノグリカン第3の中間体NS2S6Sを構成し得る。NS6S二糖類基は、5~40%又は5~32%又は5~26%又は5~23%又は5~7%又は8~16%又は18~23%又は6~69%又は6~32%又は6~26%又は6~21%又はこれら範囲内の何れかの値又は部分範囲のグリコサミノグリカン第3の中間体NS2S6Sを構成し得る。NS6S二糖類基についての各範囲は、NS2S6S二糖類基についての上記各範囲と共に用いられ得る。
【0066】
好ましくは、グリコサミノグリカン第3の中間体NS2S6Sは、3S二糖類基を含まない。
【0067】
NS2S6S及びNS6S二糖類基に加えて、グリコサミノグリカン第3の中間体NS2S6Sはまた、N-硫酸化2-O-硫酸化(NS2S)二糖類基及び/又はNS二糖類基を含み得る。NS2S二糖類基は、1~28%又は1~27%又は4~28%又は8~28%又は10~28%又は11~28%又は12~27%又は11~22%又は19~27%又は3~23%又は5~19%又は7~16%又はこれら範囲内の何れかの値又は部分範囲のグリコサミノグリカン第3の中間体NS2S6Sを構成し得る。NS二糖類基は、0.5~23%又は0.5~20%又は0.5~19%又は0.5~18%又は0.5~17%又は1~21%又は1~19%又は1~18%又は1~17%又は1~15%又はこれら範囲内の何れかの値又は部分範囲のグリコサミノグリカン第3の中間体NS2S6Sを構成し得る。
【0068】
NS2S6S、NS6S、NS2S及びNS二糖類基に加えて、グリコサミノグリカン第3の中間体NS2S6Sは、1つ以上の0S、2S、6-O-硫酸化NAc(6S)及び2-O-硫酸化6-O-硫酸化(2S6S)二糖類基を含み得る。特定の実施形態において、グリコサミノグリカン第3の中間体NS2S6Sの唯一の成分は、(a) 0S; (b) 6S; (c) 2S; 及び/又は(d) 2S6Sであり得る。グリコサミノグリカン第3の中間体NS2S6S中の(a) 0S; (b) 6S; (c) 2S; 及び/又は(d) 2S6Sの合計量は、例えば、28%以下又は27%以下又は23%又は19%又は16%であり得る。いくつかの実施形態において、グリコサミノグリカン第3の中間体NS2S6S中の(a) 0S; (b) 6S; (c) 2S; 及び/又は(d) 2S6Sの合わせた量は、0.5~28%又は1~27%又は2~24%又は3~23%又は4~20%又は5~19%又は8~17%又は7~16%又はこれら範囲内の何れかの値又は部分範囲であり得る。
【0069】
いくつかの実施形態において、第3の中間体は、57.4~62.0重量%(53.3~59.4mol%)のN-硫酸化2-O-硫酸化6-O-硫酸化(NS2S6S又はTrisSとして知られる)二糖類基、17.7~22.2重量%(10.6~15.1mol%)のN-硫酸化6-O-硫酸化(NS6S)二糖類基、8.4~10.9重量%(12.0~13.8mol%)のN-硫酸化2-O-硫酸化(NS2S)二糖類基、及び3.1~8.1重量%(5.0~12.2mol%)のNS二糖類基を含み得る。関連する実施形態において、残りは、0S、2S、6-O-硫酸化NAc(6S)及び2-O-硫酸化6-O-硫酸化(2S6S)二糖類基を含み得るか、又はそれからなり得る。さらなる実施形態において、第3の中間体(NS2S6S)は、(a) 0S; (b) 6S; (c) 2S; 及び/又は(d) 2S6Sから選択される10重量%以下の合計微小二糖類配列を含む。好ましくは、そのような第3の中間体は、3S二糖類基を含まない。
【0070】
いくつかの実施形態において、第3の中間体は、41.5~45.5%又は42~45%又は42.5~44.5%又は43~44%のNS2S6S二糖類基、8.5~12.5%又は9~12%又は9.5~11.5%又は10~11%のNS6S二糖類基、12~15%又は12.5~14.5%又は13~14%のNS2S二糖類基、及び14.6~18.6%又は15.1~18.1%又は15.6~17.6%又は16.1~17.1%NS二糖類基を含み得る。残りは、1つ以上の0S; (b) 6S; (c) 2S; 及び(d) 2S6Sを含み得るか、又はそれからなり得る。第3の中間体中の0S、6S、2S及び/又は2S6S基の合わせた量は、14.4~17.4%又は14.9~16.9%又は15.4~16.4%の第3の中間体を構成し得る。好ましくは、そのような第3の中間体は、3S二糖類基を含まない。
【0071】
いくつかの実施形態において、第3の中間体は、51.3~60.3%又は51.8~59.8%又は52.3~59.3%又は52.8~58.8%のNS2S6S二糖類基、8.6~13.5%又は9.1~13%又は9.6~12.5%又は10.1~12%のNS6S二糖類基、10~15.8%又は10.5~15.3%又は11~14.8%又は11.5~14.3%のNS2S二糖類基、及び7.4~15.2%又は7.9~14.7%又は8.4~14.2%又は8.9~13.7%又は8.9~9.9%又は11.7~13.7%のNS二糖類基を含み得る。残りは、1つ以上の0S; (b) 6S; (c) 2S; 及び(d) 2S6Sを含み得るか、又はそれからなり得る。いくつかの実施形態において、2S6S基は、第3の中間体中に存在しなくてもよい。第3の中間体中の合わせた量の0S、6S、2S及び/又は2S6S基は、7.3~11.6%又は7.8~11.1%又は8.3~10.6%の第3の中間体を構成し得る。好ましくは、そのような第3の中間体は、3S二糖類基を含まない。
【0072】
いくつかの実施形態において、第3の中間体は、41.5~65.7%又は42~65.2%又は42.5~64.7%又は43~64.2%のNS2S6S二糖類基、4.1~23.3%又は4.6~22.8%又は5.1~22.3%又は5.6~21.8%のNS6S二糖類基、10~28.6%又は10.5~28.1%又は11~27.6%又は11.5~27.1%又は11.1~17.8%又は19~27.6%のNS2S二糖類基、及び0.4~15.9%又は0.7~15.4%又は1~14.9%又は1~14.4%又は0.4~5.5%又は10.2~14.9%のNS二糖類基を含み得る。残りは、1つ以上の0S; (b) 6S; (c) 2S; 及び(d) 2S6Sを含み得るか、又はそれからなり得る。いくつかの実施形態において、2S6S基は、第3の中間体中に存在しなくてもよい。第3の中間体中の合わせた量の0S、6S、2S及び/又は2S6S基は、5.3~9.7%又は5.8~9.2%又は6.3~8.7%の第3の中間体を構成し得る。好ましくは、そのような第3の中間体は、3S二糖類基を含まない。
【0073】
第3の中間体の分子量特性は、例えば以下に開示される方法のうちの1つを用いて、ブタUSPヘパリンについての分子量仕様を満たし得る生合成ヘパリンを形成するために適切であり得る。
【0074】
第3の中間体は、ブタUSPヘパリンと一致するサイズ及び活性要件を有するヘパリンを形成するために適切であり得る。言い換えると、第3の中間体は、ブタUSPヘパリンと一致するサイズ及び活性要件を有するヘパリンを形成され得るようなものであり得る。例えば、第3の中間体は、ブタUSPヘパリンナトリウムと一致するサイズ及び活性要件を有するヘパリンを形成するために適切な重量平均分子量を有し得る。言い換えると、第3の中間体は、ブタUSPヘパリンと一致するサイズ及び活性要件を有するヘパリンが形成され得るようなものであり得る。第3の中間体におけるNS2S6S及びNS6S二糖類基の有効量は、USPヘパリンと一致するサイズ及び活性要件を有するヘパリンが形成され得るような量であり得る。
【0075】
第1、第2及び第3の中間体の何れもが抗凝固活性を有しないことがあり得る。これらの中間体は何れも天然には存在しない可能性がある。本出願人は、上記3つの中間体を用いてブタUSPヘパリンと一致するサイズ及び活性要件を有する生物学的に同等なUSPヘパリンであり得るヘパリンを得ることが出来た。
【0076】
ブタUSPヘパリンと生物学的に同等であり得るヘパリンの製造方法もまた提供される。
【0077】
一実施形態は、第3の中間体NS2S6SからブタUSPヘパリンと生物学的に同等であり得るヘパリンを製造する方法であり得る。特定の実施形態において、当該方法は、以下の:
(a)上記で開示されたようにグリコサミノグリカン第3の中間体NS2S6Sを得る工程; 及び
(b)3’-ホスホアデノシン5’-ホスホスルフェート(PAPS)等の硫酸供与体の存在下で、第3の中間体NS2S6Sを3-O-スルホトランスフェラーゼ(3OST-1)で処理し、ブタUSPヘパリンナトリウムと生物学的に同等であり得るヘパリンを産生する工程、
を含み得る。
【0078】
いくつかの実施形態において、第3の中間体NS2S6Sの処理は、p-ニトロフェニルサルフェート(PNPS)及びPAPSを含み得るPAPSリサイクリングシステムの存在下で行われ得る。PAPSリサイクリングシステムは、アリールスルホトランスフェラーゼIV(AST-IV)等の触媒をさらに含むことができ、これは、3OST-1酵素による第3の中間体NS2S6Sのモル変換に基づく反応において十分なPNPSを有する硫酸供与体としてp-ニトロフェニルサルフェート(PNPS)を用いてPAPからPAPSへの変換を触媒するために用いられ得る。いくつかの実施形態において、当該処理は、3OST-1酵素による第3の中間体NS2S6Sのモル変換に基づいて、反応中に十分なPAPSを有するPAPSリサイクリングシステム無しで行われ得る。いくつかの実施形態において、処理は、3OST-1酵素の存在下で2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)反応緩衝液の緩衝液中で行われ得る。例えば、リン酸緩衝液等の当業者に公知の他の適切な緩衝液及び緩衝液濃度が用いられ得る。PAPS又はPAPプラスPNPS等の硫酸供与体が存在し得る。緩衝液は、約pH7.2等の7.0~7.4のpHを有し得る。処理は、30~45℃又は33~42℃又は35~40℃等の高温で実施され得る。好ましくは、治療のために新鮮な酵素、例えば3OST-1が用いられる。酵素は、固定化されていても溶液中にあってもよい。処理後、生合成ヘパリンを含有する処理産物は、反応後化合物、例えばPAP、PAPS、PNPS及び/又はPNPを除去するために精製され得る。いくつかの実施形態において、産生された生合成ヘパリンは、例えば、Qセファロース樹脂等の陰イオン交換樹脂を含み得るストロング陰イオン交換クロマトグラフィー等のクロマトグラフィー法を用いて精製され得る。生成された生合成ヘパリンは、例えばNaCl溶液であり得る塩溶液中でそのような樹脂に結合され得る。精製された生合成ヘパリンは、次に脱塩及び濃縮され得る。
【0079】
いくつかの実施形態において、所望の活性、抗凝固活性及び/又は抗IIa活性が、産生されたヘパリンにおいて達成されない場合、処理が、所望の活性を有するヘパリンを産生するために繰り返され得る。例えば、最初に産生されたヘパリンは、IIa因子に対するXa因子(すなわち、抗Xa/抗IIa)の比率が、0.6~0.9又は0.7~0.9の値等の0.9未満の範囲、又は1.1~1.5又は1.1~1.4又は1.1~1.3又は1.1~1.2の値等の1.1超の範囲を有し得、3OST-1による処理が、0.9~1.1又は約1.0のIIa因子に対するXa因子(すなわち、抗Xa/抗IIa)の活性の比率を有するヘパリンを産生するために繰り返され得る。
【0080】
例えば、いくつかの実施形態において、当該方法は、以下:
(a)以下(i)~(iv)を含む、好ましくは3S二糖類基を含まないグリコサミノグリカンを得る工程;
(i)57.4~62.0重量%のN-硫酸化2-硫酸化6-硫酸化(TriS)二糖類基;
(ii)17.7~22.2重量%のN-硫酸化6-硫酸化(NS6S)二糖類基;
(iii)8.4~10.9重量%のN-硫酸化2-硫酸化(NS2S)二糖類基; 及び
(iv)3.1~8.1重量%のN-硫酸化(NS)二糖類基; 並びに
(b)3’-ホスホアデノシン5’-ホスホスルフェート(PAPS)等の硫酸供与体の存在下で、グリコサミノグリカンを3-O-スルホトランスフェラーゼ(3OST-1)で処理し、ブタUSPヘパリンと生物学的に同等であり得る生合成ヘパリンを生成する工程、
を含み得る。工程(b)において、十分なグルコサミン残基を、3-O-スルホグルコサミン残基に変換してヘパリンを得ることができ、これは、180ユニット/mg以上又は超の抗IIa活性及び0.85~1.15又は0.9~1.1又は約1.0の抗Xa/抗IIaの比率を有し得る。
【0081】
いくつかの実施形態において、当該方法は、以下:
(a)以下(i)~(v)を含む、好ましくは3S二糖類基を含まないグリコサミノグリカンを得る工程;
(i)30~74%又は31~73%又は36~70%又は40~67%又は40~66%又は42~65%又は44~64%又は42~45%又は48~65%のNS2S6S二糖類基、
(ii)5~40%又は5~32%又は5~26%又は5~23%又は5~7%又は8~16%又は18~23%又は6~39%又は6~32%又は6~26%又は6~21%のNS6S二糖類基、
(iii)1~28%又は1~27%又は4~28%又は4~27%又は8~28%又は8~27%又は10~28%又は11~28%又は12~27%又は11~22%又は19~27%のNS2S二糖類基、
(iv)0.5~23%又は0.5~20%又は0.5~19%又は0.5~18%又は0.5~17%又は1~21%又は1~19%又は1~18%又は1~17%又は1~15%のNS二糖類基、及び
(v)任意で、グリコサミノグリカンの残りを含む1つ以上の二糖類基0S、2S、6S、及び2S6S; 並びに
(b)3’-ホスホアデノシン5’-ホスホスルフェート(PAPS)等の硫酸供与体の存在下で、グリコサミノグリカンを3-O-スルホトランスフェラーゼアイソフォーム1(3OST-1)で処理し、ブタUSPヘパリンと生物学的に同等であり得る生合成ヘパリンを生成する工程、
を含み得る。工程(b)において、十分なグルコサミン残基を、3-O-スルホグルコサミン残基に変換してヘパリンを得ることができ、これは、180ユニット/mg以上又は超の抗IIa活性及び0.85~1.15又は0.9~1.1又は約1.0の抗Xa/抗IIaの比率を有し得る。
【0082】
いくつかの実施形態において、当該方法は、以下:
(a)以下(i)~(v)を含む、好ましくは3S二糖類基を含まないグリコサミノグリカンを得る工程;
(i)41.5~45.5%又は42~45%又は42.5~44.5%又は43~44%のNS2S6S二糖類基、
(ii)8.5~12.5%又は9~12%又は9.5~11.5%又は10~11%のNS6S二糖類基、
(iii)12~15%又は12.5~14.5%又は13~14%のNS2S二糖類基、
(iv)14.6~18.6%又は15.1~18.1%又は15.6~17.6%又は16.1~17.1%のNS二糖類基、及び
(v)任意で、グリコサミノグリカンの残りを含む1つ以上の二糖類基0S、2S、6S、及び2S6S; 並びに
(b)3’-ホスホアデノシン5’-ホスホスルフェート(PAPS)等の硫酸供与体の存在下で、グリコサミノグリカンを3-O-スルホトランスフェラーゼアイソフォーム1(3OST-1)で処理し、ブタUSPヘパリンと生物学的に同等であり得る生合成ヘパリンを生成する工程、
を含み得る。工程(b)において、十分なグルコサミン残基を、3-O-スルホグルコサミン残基に変換してヘパリンを得ることができ、これは、180ユニット/mg以上又は超の抗IIa活性及び0.85~1.15又は0.9~1.1又は約1.0の抗Xa/抗IIaの比率を有し得る。
【0083】
いくつかの実施形態において、当該方法は、以下:
(a)以下(i)~(v)を含む、好ましくは3S二糖類基を含まないグリコサミノグリカンを得る工程;
(i)51.3~60.3%又は51.8~59.8%又は52.3~59.3%又は52.8~58.8%のNS2S6S二糖類基、
(ii)8.6~13.5%又は9.1~13%又は9.6~12.5%又は10.1~12%のNS6S二糖類基、
(iii)10~15.8%又は10.5~15.3%又は11~14.8%又は11.5~14.3%のNS2S二糖類基、
(iv)7.4~15.2%又は7.9~14.7%又は8.4~14.2%又は8.9~13.7%又は8.9~9.9%又は11.7~13.7%のNS二糖類基、及び
(v)任意で、グリコサミノグリカンの残りを含む1つ以上の二糖類基0S、2S、6S、及び2S6S; 並びに
(b)3’-ホスホアデノシン5’-ホスホスルフェート(PAPS)等の硫酸供与体の存在下で、グリコサミノグリカンを3-O-スルホトランスフェラーゼアイソフォーム1(3OST-1)で処理し、ブタUSPヘパリンと生物学的に同等であり得る生合成ヘパリンを生成する工程、
を含み得る。工程(b)において、十分なグルコサミン残基を、3-O-スルホグルコサミン残基に変換してヘパリンを得ることができ、これは、180ユニット/mg以上又は超の抗IIa活性及び0.85~1.15又は0.9~1.1又は約1.0の抗Xa/抗IIaの比率を有し得る。
【0084】
いくつかの実施形態において、当該方法は、以下:
(a)以下(i)~(v)を含む、好ましくは3S二糖類基を含まないグリコサミノグリカンを得る工程;
(i)41.5~65.7%又は42~65.2%又は42.5~64.7%又は43~64.2%のNS2S6S二糖類基、
(ii)4.1~23.3%又は4.6~22.8%又は5.1~22.3%又は5.6~21.8%のNS6S二糖類基、
(iii)10~28.6%又は10.5~28.1%又は11~27.6%又は11.5~27.1%又は11.1~17.8%又は19~27.6%のNS2S二糖類基、
(iv)0.4~15.9%又は0.7~15.4%又は1~14.9%又は1~14.4%又は0.4~5.5%又は10.2~14.9%のNS二糖類基、及び
(v)任意で、グリコサミノグリカンの残りを含む1つ以上の二糖類基0S、2S、6S、及び2S6S; 並びに
(b)3’-ホスホアデノシン5’-ホスホスルフェート(PAPS)等の硫酸供与体の存在下で、グリコサミノグリカンを3-O-スルホトランスフェラーゼアイソフォーム1(3OST-1)で処理し、ブタUSPヘパリンと生物学的に同等であり得る生合成ヘパリンを生成する工程、
を含み得る。工程(b)において、十分なグルコサミン残基を、3-O-スルホグルコサミン残基に変換してヘパリンを得ることができ、これは、180ユニット/mg以上又は超の抗IIa活性及び0.85~1.15又は0.9~1.1又は約1.0の抗Xa/抗IIaの比率を有し得る。
【0085】
他の実施形態は、上記の通り第1の中間体NSを製造する方法であり得る。この方法は、ヘパロサンを得ること、次いで、へパサロン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量をN-スルホグルコサミン残基に変換し、第1の中間体NSを産生することを含み得る。N-アセチルグルコサミン残基の変換量は、第1の中間体NS中のN-硫酸化(NS)二糖類基の量に相当し得る。関連する実施形態において、第1の中間体NSは、第1の中間体を産するために、ヘパサロン中のN-アセチルグルコサミン残基をN-スルホに変換するための適切な条件下で、ヘパロサンを化学試薬、水酸化ナトリウム水溶液及びスルホン化試薬、例えばトリエチルアミン-三酸化イオウ錯体等と反応させることによって製造され得る。他の実施形態において、第1の中間体NSは、ヘパロサンを水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液等の塩基性水性溶液と反応させ、N-スルホトランスフェラーゼ触媒を用いてホスホアデノシルホスホスルフェート(PAPS)を用いN-スルホン化することによってヘパロサンから製造され得る。N-アセチルグルコサミン残基の変換量は、第1の中間体NS中のN-硫酸化(NS)二糖類基の量に相当し得る。他の実施形態において、ヘパロサンは、ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基にN-デアセチラーゼN-スルホトランスフェラーゼ(NDST)と反応して、第1の中間体NSを産生し得る。N-アセチルグルコサミン残基の変換量は、第1の中間体NS中のN-硫酸化(NS)二糖類基の量に相当し得る。それぞれの方法において、化学的又は酵素的N-スルホン化の後に残存する非置換アミノ基の数は、ブタUSPヘパリンナトリウムに見出される非置換アミノ基の数以下であるべきであり、鎖当たり1以下であることが好ましい(T. Toida, H. Yoshida, H. Toyoda, I. Koshiishi, T. Imanari, R.E. Hileman, J.R. Fromm, R.J. Linhardt, Biochemical Journal, 322, 499-506, 1997)。産生された第1の中間体NS基の量は、化学的又は酵素的プロセスを制御することによって制御され得る(Z. Wang, et al. (2011), Journal of Biotechnology, 156, 188-196; A. Onishi (2015), Detailed physicochemical and biological analyses of heparins from various sources, PhD dissertation, Rensselaer Polytechnic Institute, Troy, NY, USA)。
【0086】
最初に産生された中間体の分子量特性は、例えば、以下に開示される方法のうちの1つを用いて、ブタUSPヘパリンの分子量仕様を満たし得る生合成ヘパリンを形成するためにいそれらが適切であるような特性であり得る。本開示の方法で用いられるヘパサロンは、例えば大腸菌(E.coli)又はパスツレラ・ムルトシダ等の細菌を用いて産生されたヘパロサンであり得る。例えば、ヘパロサンは、E.coli K5又はE.coli Nissle 1917から産生され得る。第1の中間体の生産の前に、ヘパロサンは、例えば、Z. Wang et al.(Z. Wang et al (2011), Journal of Biotechnology)において開示されているようにN-脱アセチル化及び脱重合され得る。
【0087】
いくつかの実施形態において、当該方法は、84.7~93.8重量%のN-硫酸化(NS)二糖類基を含む第1の中間体NSを製造する方法であり得る。第1の中間体NSの残りは、少量の未修飾N-アセチル化グルコサミン(NAc)(0S)二糖類基であり得る。当該方法は、ヘパロサン中の84.7~93.8重量%のN-アセチルグルコサミン残基を変換して、N-脱アセチル化N-硫酸化ヘパロサンを産生することを含み得る。関連する実施形態において、第1の中間体NSは、ヘパロサン中の84.7~93.8重量%のN-アセチルグルコサミン残基を変換するために適切な条件下で、ヘパロサンを化学試薬、水酸化ナトリウム水溶液及びN-スルホグルコサミン残基に対するトリエチルアミン-三酸化イオウ錯体等のスルホン化試薬と反応させることによってヘパロサンから製造され得、第1の中間体NSを産する。あるいは、ヘパロサンは、N-デアセチラーゼN-スルホトランスフェラーゼ(NDST)と反応され得、ヘパロサン中の84.7~93.8重量%のN-アセチルグルコサミン残基を変換して、第1の中間体NSを産生し得る。
【0088】
いくつかの実施形態において、当該方法は、78~99.5%又は78~99%又は81~97%又は83~95%又は84~94%又は85~93%又は84~87%又は85~86%又は87.5~94%又は90~93.5%又は90.5~93%又は90.3~91.3%又は92.2~93.2%のN-硫酸化(NS)二糖類基を含む第1の中間体NSを製造する方法であり得る。第1の中間体NSの残りは、少量の未修飾N-アセチル化グルコサミン(NAc)(0S)二糖類基であり得る。当該方法は、ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の量(第1の中間体中のNS基の量に相当する量)を変換して、N-脱アセチル化N-硫酸化ヘパロサンを産生することを含み得る。関連する実施形態において、第1の中間体NSは、ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量(第1の中間体中のNS基の総量に相当する量)をN-スルホグルコサミン残基に変換するために適切な条件下で、ヘパロサンを化学試薬、水酸化ナトリウム水溶液及びN-スルホグルコサミン残基に対するトリエチルアミン-三酸化イオウ錯体等のスルホン化試薬と反応させることによってヘパロサンから製造され得、第1の中間体NSを産する。あるいは、ヘパロサンは、N-デアセチラーゼN-スルホトランスフェラーゼ(NDST)と反応され得、ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量(第1の中間体中のNS基の量に相当する量)を変換して、第1の中間体NSを産生し得る。
【0089】
いくつかの実施形態において、当該方法は、83.4~87.4%又は83.9~86.9%又は84.4~86.4%又は84.9~85.9%のN-硫酸化(NS)二糖類基を含む第1の中間体NSを製造する方法であり得る。第1の中間体NSの残りは、少量の未修飾N-アセチル化グルコサミン(NAc)(0S)二糖類基であり得る。当該方法は、ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量(第1の中間体NSのNS基の量に相当する)を変換し、脱アセチル化N-硫酸化ヘパロサンを産生することを含み得る。関連する実施形態において、第1の中間体NSは、ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量(第1の中間体中のNS基の総量に相当する量)をN-スルホグルコサミン残基に変換するために適切な条件下で、ヘパロサンを化学試薬、水酸化ナトリウム水溶液及びN-スルホグルコサミン残基に対するトリエチルアミン-三酸化イオウ錯体等のスルホン化試薬と反応させることによってヘパロサンから製造され得、第1の中間体NSを産する。あるいは、ヘパロサンは、N-デアセチラーゼN-スルホトランスフェラーゼ(NDST)と反応され得、ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量(第1の中間体中のNS基の量に相当する量)を変換して、第1の中間体NSを産生し得る。産生された第1の中間体NSは、適切な分子量特性を有するBSHを得るためにプロセスを介して変換することに十分である重量平均分子量を有し得る。
【0090】
いくつかの実施形態において、当該方法は、87.9%~92.9%又は88.4%~92.4%又は88.9%~91.9%又は89.4%~91.4%又は89.9%~90.9%のN-硫酸化(NS)二糖類基を含む第1の中間体NSを製造する方法であり得る。第1の中間体NSの残りは、少量の未修飾N-アセチル化グルコサミン(NAc)(0S)二糖類基であり得る。当該方法は、ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量(第1の中間体NSのNS基の量に相当する)を変換し、脱アセチル化N-硫酸化ヘパロサンを産生することを含み得る。関連する実施形態において、第1の中間体NSは、ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量(第1の中間体中のNS基の総量に相当する量)をN-スルホグルコサミン残基に変換するために適切な条件下で、ヘパロサンを化学試薬、水酸化ナトリウム水溶液及びN-スルホグルコサミン残基に対するトリエチルアミン-三酸化イオウ錯体等のスルホン化試薬と反応させることによってヘパロサンから製造され得、第1の中間体NSを産する。あるいは、ヘパロサンは、N-デアセチラーゼN-スルホトランスフェラーゼ(NDST)と反応され得、ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量(第1の中間体中のNS基の量に相当する量)を変換して、第1の中間体NSを産生し得る。産生された第1の中間体NSは、適切な分子量特性を有するBSHを得るためにプロセスを介して変換することに十分である重量平均分子量を有し得る。
【0091】
いくつかの実施形態において、当該方法は、88.8~94.7%又は89.3~94.2%又は89.8~93.7%又は90.3~93.2%のN-硫酸化(NS)二糖類基を含む第1の中間体NSを製造する方法であり得る。第1の中間体NSの残りは、少量の未修飾N-アセチル化グルコサミン(NAc)(0S)二糖類基であり得る。当該方法は、ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量(第1の中間体NSのNS基の量に相当する)を変換し、脱アセチル化N-硫酸化ヘパロサンを産生することを含み得る。関連する実施形態において、第1の中間体NSは、ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量(第1の中間体中のNS基の総量に相当する量)をN-スルホグルコサミン残基に変換するために適切な条件下で、ヘパロサンを化学試薬、水酸化ナトリウム水溶液及びN-スルホグルコサミン残基に対するトリエチルアミン-三酸化イオウ錯体等のスルホン化試薬と反応させることによってヘパロサンから製造され得、第1の中間体NSを産する。あるいは、ヘパロサンは、N-デアセチラーゼN-スルホトランスフェラーゼ(NDST)と反応され得、ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量(第1の中間体中のNS基の量に相当する量)を変換して、第1の中間体NSを産生し得る。
【0092】
いくつかの実施形態において、当該方法は、88.8~92.8%又は89.3~92.3%又は89.8~91.8%又は90.3~91.3%のN-硫酸化(NS)二糖類基を含む第1の中間体NSを製造する方法であり得る。第1の中間体NSの残りは、少量の未修飾N-アセチル化グルコサミン(NAc)(0S)二糖類基であり得る。当該方法は、ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量(第1の中間体NSのNS基の量に相当する)を変換し、脱アセチル化N-硫酸化ヘパロサンを産生することを含み得る。関連する実施形態において、第1の中間体NSは、ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量(第1の中間体中のNS基の総量に相当する量)をN-スルホグルコサミン残基に変換するために適切な条件下で、ヘパロサンを化学試薬、水酸化ナトリウム水溶液及びN-スルホグルコサミン残基に対するトリエチルアミン-三酸化イオウ錯体等のスルホン化試薬と反応させることによってヘパロサンから製造され得、第1の中間体NSを産する。あるいは、ヘパロサンは、N-デアセチラーゼN-スルホトランスフェラーゼ(NDST)と反応され得、ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量(第1の中間体中のNS基の量に相当する量)を変換して、第1の中間体NSを産生し得る。
【0093】
いくつかの実施形態において、ヘパロサンの第1の中間体への変換は、ヘパロサンの溶液を得ること又は調製することを含み得る。当該溶液は、0.05~12%又は0.1~10%又は0.1~5%又は0.1~3%又は0.5~2%のヘパロサン濃度を有し得る。前記溶液は、例えば、水又は水系溶媒であり得る。従って、前記溶液は水溶液であり得る。前記溶液は、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム等の塩基と反応され得る。前記反応は、例えば30~70℃又は40~65℃又は50~55℃のような高温で実施され得る。その後、例えば、HCl等の酸を反応混合物に加え、pHを約7に調製することが出来る。生成物は、N-スルホン化反応に曝すことができ、これは、例えば、三酸化イオウ又はイオウアミン錯体等の三酸化イオウ錯体であり得る1つ以上のN-スルホン化試薬を用いて行われ得る。イオウアミン錯体の非限定的な例は、例えば、イオウトリメチルアミン錯体、三酸化イオウジメチルエチルアミン錯体、及び三酸化イオウメチルジエチルアミン錯体等のイオウトリアルキルアミン錯体、並びにイオウトリオキシド-ピリジン錯体等のアリール錯体を含むイオウトリオキシドアミンを含む。次いで、N-スルホン化の産物は、所望の分子量特性を得るために分画され得る。
【0094】
いくつかの実施形態において、当該方法は、90.1~94.7%又は90.6~94.2%又は91.1~93.7%又は91.6~93.2%のN-硫酸化(NS)二糖類基を含む第1の中間体NSを製造する方法であり得る。第1の中間体NSの残りは、少量の未修飾N-アセチル化グルコサミン(NAc)(0S)二糖類基であり得る。当該方法は、ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量(第1の中間体NSのNS基の量に相当する)を変換し、脱アセチル化N-硫酸化ヘパロサンを産生することを含み得る。関連する実施形態において、第1の中間体NSは、ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量(第1の中間体中のNS基の総量に相当する量)をN-スルホグルコサミン残基に変換するために適切な条件下で、ヘパロサンを化学試薬、水酸化ナトリウム水溶液及びN-スルホグルコサミン残基に対するトリエチルアミン-三酸化イオウ錯体等のスルホン化試薬と反応させることによってヘパロサンから製造され得、第1の中間体NSを産する。あるいは、ヘパロサンは、N-デアセチラーゼN-スルホトランスフェラーゼ(NDST)と反応され得、ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量(第1の中間体中のNS基の量に相当する量)を変換して、第1の中間体NSを産生し得る。
【0095】
他の実施形態は、上記に開示したように、第2の中間体NS2Sを製造する方法であり得る。当該方法は、(a)ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量を変換して第1の中間体NSを産生する工程(N-アセチルグルコサミン残基の変換量は、第1の中間体NS中のN-硫酸化(NS)二糖類基の量に相当し得る)、次いで(b)第1の中間体NSをC5-エピメラーゼ(C5-epi)及び/又は2-O-スルホトランスフェラーゼ(2OST)等の酵素で処理する工程を含み得、第2の中間体NS2Sを産生する工程、を含み得る。いくつかの実施形態において、鎖長又は第2の中間体は、第1の中間体の鎖長とそれほど変わらない。好ましくは、前記処理は、C5-epi及び2OST酵素の両方を含む。
【0096】
ヘパロサンの第1の中間体への変換は、上記のように実施され得る。
【0097】
いくつかの実施形態において、前記処理は、p-ニトロフェニルサルフェート(PNPS)及びPAPSを含み得るPAPSリサイクリングシステムの存在下で行われ得る。PAPSリサイクリングシステムは、アリールスルホトランスフェラーゼIV(AST-IV)等の触媒をさらに含み得、これは、C5-epi及び2OST酵素による第1の中間体のモル変換に基づく反応において硫酸供与体としてPNPSを用いてPAPからPAPSへの変換を触媒するために用いられ得る。いくつかの実施形態において、前記処理は、PAPSリサイクリングシステムなしで、第1の中間体NS2S6Sのモル変換率に基づく反応において十分な量のPAPSを用いて行われ得る。いくつかの実施形態において、前記処理は、例えば、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)反応緩衝液等の緩衝液中で実施され得る。当業者に知られているような他の適切な緩衝液及び緩衝液濃度が、C5-epi及び2OST酵素の存在下で用いられ得る。PAPS又はPAPプラスPNPS等の硫酸供与体が、存在し得る。緩衝液は、約pH7.2等の7.0~7.4のpHを有し得る。前記処理は、30~45℃又は33~42℃又は35~40℃等の高温で実施され得る。好ましくは、処理のために、C5-epi及び2OST酵素等の新鮮な酵素が用いられる。酵素は固定化されていても溶液中にあってもよい。処理後、第2の中間体を含有する処理産物を精製し、PAP、PAPS、PNPS及び/又はPNP等の反応後化合物を除去することが出来る。精製された第2の中間体は、分析及び/又は第3の中間体の製造等のさらなる使用のために回収及び濃縮され得る。
【0098】
いくつかの実施形態において、処理の結果として産生されたグリコサミノグリカンにおいて、例えば、NS2Sのパーセンテージ等の所望の二糖類特性が達成されない場合、前記処理は、第2の中間体について所望のNS2Sパーセンテージ等の二糖類特性を有するグリコサミノグリカンを産生するために繰り返され得る。
【0099】
例えば、いくつかの実施形態において、当該方法は、73.8~75.3重量%のN-硫酸化2-O-硫酸化(NS2S)二糖類基、及び18.5~20.2重量%のNS二糖類基を含む第2の中間体NS2Sを製造する方法であり得る。第2の中間体NS2Sにおける残りは、少量の未修飾NAc(0S)二糖類基を含み得るか、又はそれからり得る。この方法は、(a)ヘパロサン中の84.7~93.8重量%のN-アセチルグルコサミン残基を変換し、第1の中間体NSを産生する工程; 及び(b)3'-ホスホアデノシン-5'-ホスホサルフェート(PAPS)等の硫酸供与体の存在下において、C5エピメラーゼ(C5-epi)及び2-O-スルホトランスフェラーゼ(2OST)等の酵素で第1の中間体NSを処理し、第2の中間体NS2Sを産生する工程、を含み得る。好ましくは、前記処理は、C5-epi及び2OST酵素の両方を含む。
【0100】
いくつかの実施形態において、当該方法は、44~80%又は45~79%又は50~78%又は50~77%又は55~78%又は55~76%又は58~77%又は59~76%又は60~75%又は58~62%又は59~61%又は65~77%のNS2S二糖類基及び12~40%又は13~39%又は15~34%又は15~29%又は16~29%又は17~25%又は16~26%又は16~18%又は19~26%のNS二糖類基を含む第2の中間体NS2Sの製造方法であり得る。第2の中間体NS2Sの残りは、少量の未修飾NAc(0S)二糖類基及び/又は2-O-硫酸化NAc(2S)二糖類基を含み得るか、又はそれからなり得る。この方法は、(a)ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量を変換して、78~99.5%又は78~99%又は81~97%又は83~95%又は84~94%又は85~93%又は84~87%又は85~86%又は87.5~94%又は90~93.5%又は90.5~93%又は90.3~91.3%又は92.2~93.2%のN-硫酸化(NS)二糖類基を産生する工程(N-アセチルグルコサミン残基の変換量は、第1の中間体中のNS基の量に相当し得る); 及び(b)3'-ホスホアデノシン-5'-ホスホサルフェート(PAPS)等の硫酸供与体の存在下において、C5エピメラーゼ(C5-epi)及び2-O-スルホトランスフェラーゼ(2OST)等の酵素で第1の中間体NSを処理し、第2の中間体NS2Sを産生する工程、を含み得る。好ましくは、前記処理は、C5-epi及び2OST酵素の両方を含む。
【0101】
いくつかの実施形態において、当該方法は、57.5~62.5%又は58~62%又は58.5~61.5%又は59~61%又は59.5~60.5%のNS2S二糖類基及び23.2~27.2%又は23.7~26.7%又は24.2~26.2%又は24.7~25.7%のNS二糖類基を含む第2の中間体NS2Sの製造方法であり得る。第2の中間体NS2Sの残りは、少量の未修飾NAc(0S)二糖類基及び/又は2-O-硫酸化NAc(2S)二糖類基を含み得るか、又はそれからなり得る。この方法は、(a)ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量を変換して、83.4~87.4%又は83.9~86.9%又は84.4~86.4%又は84.9~85.9%のN-硫酸化(NS)二糖類基を産生する工程(N-アセチルグルコサミン残基の変換量は、第1の中間体中のNS基の量に相当し得る); 及び(b)3'-ホスホアデノシン-5'-ホスホサルフェート(PAPS)等の硫酸供与体の存在下において、C5エピメラーゼ(C5-epi)及び2-O-スルホトランスフェラーゼ(2OST)等の酵素で第1の中間体NSを処理し、第2の中間体NS2Sを産生する工程、を含み得る。好ましくは、前記処理は、C5-epi及び2OST酵素の両方を含む。
【0102】
いくつかの実施形態において、当該方法は、65.8~77.4%又は66.3~76.9%又は66.8~76.4%又は67.3~75.9%のNS2S二糖類基及び14.8~26%又は15.3~25.5%又は15.8~25%又は16.3~24.5%のNS二糖類基を含む第2の中間体NS2Sの製造方法であり得る。第2の中間体NS2Sの残りは、少量の未修飾NAc(0S)二糖類基及び/又は2-O-硫酸化NAc(2S)二糖類基を含み得るか、又はそれからなり得る。この方法は、(a)ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量を変換して、88.8~94.7%又は89.3~94.2%又は89.8~93.7%又は90.3~93.2%のN-硫酸化(NS)二糖類基を産生する工程(N-アセチルグルコサミン残基の変換量は、第1の中間体中のNS基の量に相当し得る); 及び(b)3'-ホスホアデノシン-5'-ホスホサルフェート(PAPS)等の硫酸供与体の存在下において、C5エピメラーゼ(C5-epi)及び2-O-スルホトランスフェラーゼ(2OST)等の酵素で第1の中間体NSを処理し、第2の中間体NS2Sを産生する工程、を含み得る。好ましくは、前記処理は、C5-epi及び2OST酵素の両方を含む。
【0103】
いくつかの実施形態において、当該方法は、65.8~74.4%又は66.3~73.9%又は66.8~73.4%又は67.3~72.9%のNS2S二糖類基及び17.9~26%又は18.4~25.5%又は18.9~25%又は19.4~24.5%のNS二糖類基を含む第2の中間体NS2Sの製造方法であり得る。第2の中間体NS2Sの残りは、少量の未修飾NAc(0S)二糖類基及び/又は2-O-硫酸化NAc(2S)二糖類基を含み得るか、又はそれからなり得る。この方法は、(a)ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量を変換して、88.8~92.8%又は89.3~92.3%又は89.8~91.8%又は90.3~91.3% %のN-硫酸化(NS)二糖類基を産生する工程(N-アセチルグルコサミン残基の変換量は、第1の中間体中のNS基の量に相当し得る); 及び(b)3'-ホスホアデノシン-5'-ホスホサルフェート(PAPS)等の硫酸供与体の存在下において、C5エピメラーゼ(C5-epi)及び2-O-スルホトランスフェラーゼ(2OST)等の酵素で第1の中間体NSを処理し、第2の中間体NS2Sを産生する工程、を含み得る。好ましくは、前記処理は、C5-epi及び2OST酵素の両方を含む。
【0104】
いくつかの実施形態において、当該方法は、73.4~77.4%又は73.9~76.9%又は74.4~76.4%又は74.9~75.9%のNS2S二糖類基及び14.8~18.8%又は15.3~18.3%又は15.8~17.8%又は16.3~17.3%のNS二糖類基を含む第2の中間体NS2Sの製造方法であり得る。第2の中間体NS2Sの残りは、少量の未修飾NAc(0S)二糖類基及び/又は2-O-硫酸化NAc(2S)二糖類基を含み得るか、又はそれからなり得る。この方法は、(a)ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量を変換して、90.1~94.7%又は90.6~94.2%又は91.1~93.7%又は91.6%-93.2%のN-硫酸化(NS)二糖類基を産生する工程(N-アセチルグルコサミン残基の変換量は、第1の中間体中のNS基の量に相当し得る); 及び(b)3'-ホスホアデノシン-5'-ホスホサルフェート(PAPS)等の硫酸供与体の存在下において、C5エピメラーゼ(C5-epi)及び2-O-スルホトランスフェラーゼ(2OST)等の酵素で第1の中間体NSを処理し、第2の中間体NS2Sを産生する工程、を含み得る。好ましくは、前記処理は、C5-epi及び2OST酵素の両方を含む。
【0105】
他の実施形態は、上記開示のように第3の中間体NS2S6Sを製造する方法であり得る。当該方法は、(a)ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量を変換して第1の中間体NSを産生する工程(N-アセチルグルコサミン残基の変換量は、第1の中間体NS中のN-硫酸化(NS)二糖類基の量に相当し得る); (b)3'-ホスホアデノシン-5'-ホスホサルフェート(PAPS)等の硫酸供与体の存在下において、C5エピメラーゼ(C5-epi)及び2-O-スルホトランスフェラーゼ(2OST)等の酵素で第1の中間体NSを処理し、第2の中間体NS2Sを産生する工程; 及び(c)ホスホアデノシルホスホスルフェート(PAPS)等の硫酸供与体の存在下で、第2の中間体NS2Sを6-O-スルホトランスフェラーゼ1及び3(6OST-1,3)等の酵素で処理し、第3の中間体NS2S6Sを産生する工程、を含み得る。
【0106】
ヘパロサンを変換して第1の中間体を産生すること及び第1の中間体を処理することは、上記に示したように実施され得る。
【0107】
いくつかの実施形態において、前記処理は、p-ニトロフェニルサルフェート(PNPS)及びPAPSを含み得るPAPSリサイクリングシステムの存在下で行われ得る。PAPSリサイクリングシステムはさらに、アリールスルホトランスフェラーゼIV(AST-IV)等の触媒を含み得、これは、6-O-スルホトランスフェラーゼ1及び3(6OST-1,3)等の酵素によって第2の中間体のモル変換に基づく反応において十分な量のPNPSを有する硫酸供与体をPNPSとして用いるPAPからPAPSに変換を触媒するために用いられ得る。いくつかの実施形態において、前記処理は、PAPSリサイクリングシステムなしで、第1の中間体NS2S6Sのモル変換率に基づく反応において十分な量のPAPSを用いて行われ得る。いくつかの実施形態において、前記処理は、6OST-1及び6OST-3酵素の存在下で、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)反応緩衝液等の緩衝液中で実施され得る。PAPS又はPAPプラスPNPS等の硫酸供与体が、存在し得る。緩衝液は、pH約7.2等の7.0~7.4のpHを有し得る。前記処理は、30~45℃又は33~42℃又は35~40℃等の高温で実施され得る。好ましくは、処理のために、6OST-1及び/又は6OST-3が用いられる。酵素は固定化されていても溶液中にあってもよい。処理後、第3の中間体を含有する処理産物を精製し、PAP、PAPS、PNPS及び/又はPNP等の反応後化合物を除去することが出来る。精製された第3の中間体は、分析及び/又は生合成ヘパリンの産生等のさらなる使用のために濃縮及び回収され得る。
【0108】
いくつかの実施形態において、NS2S6S及びNS6Sのパーセンテージ等の所望の二糖類特性が、第2の中間体NSの処理の結果として産生されるグリコサミノグリカンにおいて達成されない場合、前記処理は、第3の中間体に望ましいNS2S6S及びNS6Sパーセンテージ等の二糖類特性を有するグリコサミノグリカンを産生するために繰り返され得る。
【0109】
例えば、いくつかの実施形態において、前記方法は、57.4~62.0重量%のN-硫酸化2-O-硫酸化6-O-硫酸化(NS2S6S)二糖類基、17.7~22.2重量%のN-硫酸化6-O-硫酸化(NS6S)二糖類基、8.4~10.9重量%のN-硫酸化2-O-硫酸化(NS2S)二糖類基、及び3.1~8.1重量%のNS二糖類基を含む第3の中間体NS2S6Sを製造する方法であり得る。第3の中間体NS2S6Sの残りは、0S、2S、6-O-硫酸化NAc (6S)、2-O-硫酸化6-O-硫酸化NAc (2S6S)二糖類基の1つ以上を含み得るか、又はそれからなり得る。第3の中間体は、3S二糖類基を含まないことが好ましい。この方法は、(a)ヘパロサン中の84.7~93.8重量%のN-アセチルグルコサミン残基を変換して、第1の中間体NSを製造する工程; (b)3'-ホスホアデノシン-5'-ホスホサルフェート(PAPS)等の硫酸供与体の存在下において、C5エピメラーゼ(C5-epi)及び2-O-スルホトランスフェラーゼ(2OST)等の酵素で第1の中間体NSを処理し、第2の中間体NS2Sを産生する工程; 及び(c)ホスホアデノシルホスホスルフェート(PAPS)等の硫酸供与体の存在下で、第2の中間体NS2Sを6-O-スルホトランスフェラーゼ1及び3(6OST-1,3)等の酵素で処理し、第3の中間体NS2S6Sを産生する工程、を含み得る。
【0110】
いくつかの実施形態において、当該方法は、30~74%又は31~73%又は36~70%又は40~67%又は40~66%又は42~65%又は44~64%又は42~45%又は48~65%のNS2S6S二糖類基、5~40%又は5~32%又は5~26%又は5~23%又は5~7%又は8~16%又は18~23%又は6~39%又は6~32%又は6~26%又は6~21%のNS6S二糖類基、1~28%又は1~27%又は4~28%又は4~27%又は8~28%又は8~27%又は10~28%又は11~28%又は12~27%又は11~22%又は19~27%のNS2S二糖類基; 及び0.5~23%又は0.5~20%又は0.5~19%又は0.5~18%又は0.5~17%又は1~21%又は1~19%又は1~18%又は1~17%又は1~15%のNS二糖類基を含む第3の中間体NS2S6Sを製造する方法であり得る。第3の中間体NS2S6Sの残りは、0S、2S、6-O-硫酸化NAc (6S)、2-O-硫酸化6-O-硫酸化NAc (2S6S)二糖類基の1つ以上を含み得るか、又はそれからなり得る。第3の中間体は、3S二糖類基を含まないことが好ましい。この方法は、(a)ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量を変換して、78~99.5%又は78~99%又は81~97%又は83~95%又は84~94%又は85~93%又は84~87%又は85~86%又は87.5~94%又は90~93.5%又は90.5~93%又は90.3~91.3%又は92.2-93.2%のN-硫酸化(NS)二糖類基を産生する工程(N-アセチルグルコサミン残基の変換量は、第1の中間体中のNS基の量に相当し得る); (b)3'-ホスホアデノシン-5'-ホスホサルフェート(PAPS)等の硫酸供与体の存在下において、C5エピメラーゼ(C5-epi)及び2-O-スルホトランスフェラーゼ(2OST)等の酵素で第1の中間体NSを処理し、44~80%又は45~79%又は50~78%又は50~77%又は55~78%又は55~76%又は58~77%又は59~76%又は60~75%又は58~62%又は59~61%又は65~77%のNS2S二糖類基及び12~40%又は13~39%又は15~34%又は15~29%又は16~29%又は16~26%又は17~25%又は16~18%又は19~26%のNS二糖類基を含む第2の中間体NS2Sを産生する工程; 及び(c)ホスホアデノシルホスホスルフェート(PAPS)等の硫酸供与体の存在下で、第2の中間体NS2Sを6-O-スルホトランスフェラーゼ1及び3(6OST-1,3)等の酵素で処理し、第3の中間体NS2S6Sを産生する工程、を含み得る。
【0111】
いくつかの実施形態において、当該方法は、41.5~45.5%又は42~45%又は42.5~44.5%又は43~44%のNS2S6S二糖類基、8.5~12.5%又は9~12%又は9.5~11.5%又は10~11%のNS6S二糖類、12~15%又は12.5~14.5%又は13~14%のNS2S二糖類基及び14.6~18.6%又は15.1~18.1%又は15.6~17.6%又は16.1~17.1%のNS二糖類基を含む第3の中間体NS2S6Sを製造する方法であり得る。第3の中間体NS2S6Sの残りは、0S、2S、6-O-硫酸化NAc (6S)、2-O-硫酸化6-O-硫酸化NAc (2S6S)二糖類基の1つ以上を含み得るか、又はそれからなり得る。第3の中間体は、3S二糖類基を含まないことが好ましい。この方法は、(a)ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量を変換して、83.4~87.4%又は83.9~86.9%又は84.4~86.4%又は84.9~85.9%のN-硫酸化(NS)二糖類基を産生する工程(N-アセチルグルコサミン残基の変換量は、第1の中間体中のNS基の量に相当し得る); (b)3'-ホスホアデノシン-5'-ホスホサルフェート(PAPS)等の硫酸供与体の存在下において、C5エピメラーゼ(C5-epi)及び2-O-スルホトランスフェラーゼ(2OST)等の酵素で第1の中間体NSを処理し、57.5~62.5%又は58~62%又は58.5~61.5%又は59~61%又は59.5~60.5%のNS2S二糖類基及び23.2~27.2%又は23.7~26.7%又は24.2~26.2%又は24.7~25.7%のNS二糖類基を含む第2の中間体NS2Sを産生する工程; 及び(c)ホスホアデノシルホスホスルフェート(PAPS)等の硫酸供与体の存在下で、第2の中間体NS2Sを6-O-スルホトランスフェラーゼ1及び3(6OST-1,3)等の酵素で処理し、第3の中間体NS2S6Sを産生する工程、を含み得る。
【0112】
いくつかの実施形態において、当該方法は、51.3~60.3%又は51.8~59.8%又は52.3~59.3%又は52.8~58.8%のNS2S6S二糖類基、8.6~13.5%又は9.1~13%又は9.6~12.5%又は10.1~12%のNS6S二糖類基、10~15.8%又は10.5~15.3%又は11~14.8%又は11.5~14.3%のNS2S二糖類基及び7.4~15.2%又は7.9~14.7%又は8.4~14.2%又は8.9~13.7%又は8.9~9.9%又は11.7~13.7%のNS二糖類基を含む第3の中間体NS2S6Sを製造する方法であり得る。第3の中間体NS2S6Sの残りは、0S、2S、6-O-硫酸化NAc (6S)、2-O-硫酸化6-O-硫酸化NAc (2S6S)二糖類基の1つ以上を含み得るか、又はそれからなり得る。第3の中間体は、3S二糖類基を含まないことが好ましい。この方法は、(a)ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量を変換して、88.8~94.7%又は89.3%~94.2%又は89.8~93.7%又は90.3~93.2%のN-硫酸化(NS)二糖類基を産生する工程(N-アセチルグルコサミン残基の変換量は、第1の中間体中のNS基の量に相当し得る); (b)3'-ホスホアデノシン-5'-ホスホサルフェート(PAPS)等の硫酸供与体の存在下において、C5エピメラーゼ(C5-epi)及び2-O-スルホトランスフェラーゼ(2OST)等の酵素で第1の中間体NSを処理し、65.8~74.4%又は66.3~73.9%又は66.8~73.4%又は67.3~72.9%のNS2S二糖類基及び17.9~26%又は18.4~25.5%又は18.9~25%又は19.4~24.5%のNS二糖類基を含む第2の中間体NS2Sを産生する工程; 及び(c)ホスホアデノシルホスホスルフェート(PAPS)等の硫酸供与体の存在下で、第2の中間体NS2Sを6-O-スルホトランスフェラーゼ1及び3(6OST-1,3)等の酵素で処理し、第3の中間体NS2S6Sを産生する工程、を含み得る。
【0113】
いくつかの実施形態において、当該方法は、41.5~65.7%又は42~65.2%又は42.5%~64.7%又は43~64.2%のNS2S6S二糖類基、4.1~23.3%又は4.6~22.8%又は5.1~22.3%又は5.6~21.8%のNS6S二糖類基、10~28.6%又は10.5~28.1%又は11~27.6%又は11.5~27.1%又は11.1~17.8%又は19~27.6%のNS2S二糖類基及び0.4~15.9%又は0.7~15.4%又は1~14.9%又は1~14.4%又は0.4~5.5%又は10.2~14.9%のNS二糖類基を含む第3の中間体NS2S6Sを製造する方法であり得る。第3の中間体NS2S6Sの残りは、0S、2S、6-O-硫酸化NAc (6S)、2-O-硫酸化6-O-硫酸化NAc (2S6S)二糖類基の1つ以上を含み得るか、又はそれからなり得る。第3の中間体は、3S二糖類基を含まないことが好ましい。この方法は、(a)ヘパロサン中のN-アセチルグルコサミン残基の総量を変換して、90.1~94.7%又は90.6~94.2%又は91.1~93.7%又は91.6~93.2%のN-硫酸化(NS)二糖類基を産生する工程(N-アセチルグルコサミン残基の変換量は、第1の中間体中のNS基の量に相当し得る); (b)3'-ホスホアデノシン-5'-ホスホサルフェート(PAPS)等の硫酸供与体の存在下において、C5エピメラーゼ(C5-epi)及び2-O-スルホトランスフェラーゼ(2OST)等の酵素で第1の中間体NSを処理し、65.8~77.4%又は66.3~76.9%又は66.8~76.4%又は67.3~75.9%のNS2S二糖類基及び14.8~26%又は15.3~25.5%又は15.8~25%又は16.3~24.5%のNS二糖類基を含む第2の中間体NS2Sを産生する工程; 及び(c)ホスホアデノシルホスホスルフェート(PAPS)等の硫酸供与体の存在下で、第2の中間体NS2Sを6-O-スルホトランスフェラーゼ1及び3(6OST-1,3)等の酵素で処理し、第3の中間体NS2S6Sを産生する工程、を含み得る。
【0114】
他の実施形態は、PAPS等の硫酸供与体の存在下で、3-O-スルホトランスフェラーゼアイソフォーム1(3OST-1)等の酵素で上記第3の中間体NS2S6Sを処理する工程を含み、グルコサミン残基の3-ヒドロキシル基を3-O-スルホグルコサミン残基に変換し、それによって、ブタUSPヘパリンナトリウムと生物学的に同等であり得るヘパリンを産生する工程を含む、UPSヘパリンと生物学的に同等であり得るヘパリンの製造方法であり得る。
【0115】
上記2OST、3OST-1、6OST-1又は6OST-2の一方又は両方とのスルホトランスフェラーゼ反応において、酵素は、硫酸供与体(典型的にはPAPS)及び、再生システムを必要とし得る。2OST、3OST-1、6OST-1又は6OST-2の一方又は両方、及びPAPS等の硫酸供与体等の1つ以上の酵素は、溶液であり得る。酵素は、固定化されていてもよい。いくつかの実施形態において、反応は、インビトロで行われる。他の実施形態において、1つ以上の工程がNDST、C5-Epi、2OST、3OST-1、6OST-1又は6OST-3の1つ、及びPAPSの供給源のための遺伝子をコードする微生物宿主の中で生じる。
【0116】
上記の開示された方法は、ブタUSPヘパリンと生物学的に同等であるヘパリンを産生し得るが、産生されたヘパリンは、ブタUSPヘパリンと1つ以上の生物学的同等性の要件を満たさないものであり得る。
【0117】
いくつかの実施形態において、産生されたヘパリンバッチは、分子量及び抗凝固活性についてのブタUSPヘパリンの要件を満たし得るが、抗IIa活性についてのブタUSPヘパリンの要件を満たさない可能性がある。例えば、産生されたヘパリンバッチは、分子量及び抗凝固活性についてブタUSPヘパリンの要件を満たす一方で、因子IIaに対する因子Xaの活性の比率(すなわち、抗Xa/抗IIa)が、0.9未満、例えば、0.5~0.9又は0.6~0.9又は0.7~0.9の範囲の値、又は1.1超、例えば、1.1~1.5又は1.1~1.4又は1.1~1.3又は1.1~1.2の範囲の値を有する。そのようなバッチは、例えばPAPS等の硫酸供与体の存在下で行われ得る3-O-スルホトランスフェラーゼアイソフォーム1(3OST-1)での処理等の追加の酵素処理で、ブタUSPヘパリンと生物学的に同等であり得るヘパリンバッチに変換され得る。
【0118】
いくつかの実施形態において、産生されたヘパリンバッチは、抗凝固活性についてブタUSPヘパリンの要件を満たし得るが、抗IIa活性及び分子量についてのブタUSPヘパリンの要件を満たさない。例えば、産生されたバッチは、9未満、例えば、0.5~0.9又は0.6~0.9又は0.7~0.9の範囲の値、又は1.1超、例えば、1.1~1.5又は1.1~1.4又は1.1~1.3又は1.1~1.2の範囲の値の因子IIaに対する因子Xaの活性の比率(すなわち、抗Xa/抗IIa)を有し得、例えばPAPS等の硫酸供与体の存在下で行われ得る3-O-スルホトランスフェラーゼアイソフォーム1(3OST-1)での処理等の追加の酵素処理工程を有し得、抗IIa活性に対するブタUSPヘパリンの要件を満たすIIa因子に対するXa因子の活性の比率を提供する。
【0119】
産生されたヘパリンは、ブタUSPヘパリンと生物学的に同等であり得るが、いくつかの実施形態において、産生されたヘパリンは、依然としてブタUSPヘパリンと生物学的に同等であるウシ又はブタUSPヘパリン等の天然に産生されたヘパリンに対して物理的に異なり得る。例えば、当該方法は、ブタUSPヘパリンと生物学的に同等で有り得るヘパリンバッチの産生を可能にし得、その結果、産生されたバッチは、1つ以上のa)化学組成、b)例えば、重量平均分子量等の分子量、及びc)例えばウシ腸由来のヘパリンバッチ等の天然に産生されたヘパリンバッチと比較した分子量分布においてそれら自身の間でより一貫性があるか、又は均質性がある。
【0120】
当該方法は、少なくとも50mg又は少なくとも80mg又は少なくとも100mg又は少なくとも200mg又は少なくとも1g又は少なくとも2gのヘパリンバッチを産生し得る。
【0121】
産生されたバッチは、分子量、二糖類組成及び生物学的活性においてそれら自身の間で一貫する可能性がある。上記の規模で産生されたバッチは、分子量、二糖類組成及び生物学的活性等のブタUSPヘパリンに対する要件を満たし得る。一貫したバッチの量は、少なくとも2又は少なくとも3又は少なくとも5又は少なくとも7又は少なくとも10又は少なくとも12又は少なくとも15又は少なくとも20であり得る。
【0122】
本開示はまた、上記方法を用いて産生された生物学的に同等なヘパリンを含む医薬組成物を提供する。医薬組成物はまた、1つ以上の薬学的に許容される担体又は賦形剤を含み得る。いくつかの実施形態において、ヘパリンは、例えば、水中又は等張生理食塩水又はグルコースで製剤化され得る。いくつかの実施形態において、ヘパリン組成物は、ベンジルアルコール等の亜硫酸水素塩又は抗菌剤などの1つ以上の防腐剤を含み得る。
【0123】
いくつかの実施形態において、本開示に従って産生された生物学的に同等なヘパリンは、例えばナトリウム塩又はカリウム塩であり得る薬学的に許容される塩の形態で用いられ得る。薬学的に許容される塩の非限定的な例はリチウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、カリウム、マグネシウム、及びアンモニウムが含まれる。
【0124】
いくつかの実施形態において、上記の本開示に従って産生された生物学的に同等なヘパリンは、低分子量ヘパリンの調製のための出発材料として使用され得る。これは、例えば、ブタ腸内ヘパリンを本開示に従って産生された生物学的に同等なヘパリンと単純に置き換え、次いで低分子量ヘパリンを合成するための既知の方法の1つを用いることによって行われ得る。一実施形態において、本開示に従って産生された生物学的に同等なヘパリンの塩、例えばナトリウム塩又はカリウム塩は、ベンゼトニウム塩に変換され得、次いでベンジル化され得、そして水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムなどの塩基で処理され、部分的に脱重合する。得られる低分子量ヘパリン産物は、ナトリウム塩又はカリウム塩等の塩に変換され得、精製され得る。このプロセスは、低分子量ヘパリン、エノキサパリンを産し得る。他のプロセスは、本開示に従って製造された生物学的に同等なヘパリンを、例えば、ダルタパリン又はチンザパリン等の他の低分子量ヘパリンに変換するために用いられ得る。
【0125】
本開示はまた、上記の開示の方法の1つを用いて生物学的に同等なヘパリンを産生すること、及び産生した生物学的に同等なヘパリンを対象に投与することを含む、ヒト等の対象の血液を薄める方法を含む。
【0126】
本開示はまた、上記の開示の方法の1つを用いて生物学的に同等なヘパリンを産生すること、及び有効量の産生された生物学的に同等なヘパリンをヒト等の対象に投与することを含む、ヘパリンに感受性の疾患又は状態を治療及び/又は予防する方法を含む。そのような疾患又は状態の非限定的な例は、深部静脈、血栓症、肺塞栓症、動脈血栓塞栓症を含む。
【0127】
生物学的に同等なヘパリンはまた、腎不全の患者に対する腎透析を含む体外治療において、又は直視下心臓手術において心肺バイパス術を受ける患者に対する血液酸素化において使用され得る。
【0128】
生物学的に同等なヘパリンの有効量は、ヘパリンの影響を受けやすい所望する効果(例えば、濃度の薄い血液又は疾患治療又は状態等)を産するために十分であり得る量を意味し得る。
【0129】
生物学的に同等なヘパリンの投与量は、ブタやウシのヘパリン等のように天然に産生されるUSPヘパリンに用いられる投与量と同じであり得る。
【0130】
生物学的に同等なヘパリンは、いくつかの投与方式を用いて投与され得る。いくつかの実施形態において、生物学的に同等なヘパリンは、非経口で投与され得る。例えば、生物学的に同等なヘパリンは、静脈内、皮下又は筋肉内に注射され得る。
【0131】
本開示はまた、上記の開示のような第1の中間体NSを含む組成物を提供する。そのような組成物は、少なくとも50%又は少なくとも60%又は少なくとも70%又は少なくとも80%又は少なくとも90%又は少なくとも95%又は少なくとも96%又は少なくとも97%又は少なくとも98%又は少なくとも99%又は少なくとも99.5%の第1の中間体NSを含み得る。前記組成物は、第1の中間体NS以外の何れかの多糖を含まないか、又は実質的に含まないようなものであり得る。用語「実質的に含まない」は、何れか他の多糖類が、測定可能な量で検出され得ないことを意味し得る。検出方法は、核磁気共鳴(NMR)分光法、又はヘパリン又はヘパリン中間体を透析又はサイズ排除クロマトグラフィーによって除去することが出来る二糖類に分解する3つのヘパリンリアーゼによる処理を含む。他の非ヘパリン又は非ヘパリン中間体は、ヘパリンリアーゼ処理に耐性があり、NMR分光法等の従来の方法を用いて回収及び検出され得る。
【0132】
本開示はまた、上記に開示されたような第2の中間体NS2Sを含む組成物を提供する。そのような組成物は、少なくとも50%又は少なくとも60%又は少なくとも70%又は少なくとも80%又は少なくとも90%又は少なくとも95%又は少なくとも96%又は少なくとも97%又は少なくとも98%又は少なくとも99%又は少なくとも99.5%の第2の中間体NS2Sを含み得る。キット又は組成物は、第2の中間体NS2S以外の何れかの多糖を含まないか、又は実質的に含まないようなものであり得る。
【0133】
本開示はまた、上記に開示されたような第3の中間体NS2S6Sを含む組成物を提供する。そのようなキット又は組成物は、少なくとも50%又は少なくとも60%又は少なくとも70%又は少なくとも80%又は少なくとも90%又は少なくとも95%又は少なくとも96%又は少なくとも97%又は少なくとも98%又は少なくとも99%又は少なくとも99.5%の第3の中間体NS2S6Sを含み得る。前記キット又は組成物は、第3の中間体NS2S6S以外の何れかの多糖を含まないか、又は実質的に含まないようなものであり得る。例えば、いくつかの実施形態において、前記キット又は組成物は、ヘパリンを含まないか、又は実質的に含まなくてもよい。
【0134】
本明細書に記載される実施形態は、限定されないが、以下の実施例によってさらに説明される。
【実施例
【0135】
実施例1: ヘパロサンの産生
Escherichia coli K5 (Serovar O10:K5:H4; ATCC #23506)又はEscherichia coli Nissle 1917 (Serovar O6:K5:H1)が、ヘパロサン産生のために用いられた(Cress, B. F., Toparlak, O. D., Guleria, S., Lebovich, M., Stieglitz, J. T., Englaender, J. A., Jones, J. A., Linhardt, R. J., and Koffas, M. A. G. (2015) CRISPathBrick: Modular Combinatorial Assembly of Type II-A CRISPR Arrays for dCas9-Mediated Multiplex Transcriptional Repression in E. coli. ACS Synthetic Biology. 4, 987-1000; Wang, Z., Ly, M., Zhang, F., Zhong, W., Suen, A., Hickey, A. M., Dordick, J. S., and Linhardt, R. J. (2010) E. coli K5 fermentation and the preparation of heparosan, a bioengineered heparin precursor. Biotechnology and Bioengineering. 107, 964-973; Wang, Z., Dordick, J. S., and Linhardt, R. J. (2011) Escherichia coli K5 heparosan fermentation and improvement by genetic engineering. Bioengineered bugs. 2, 63-67)。高細胞密度流加発酵は、それぞれ、Eppendorf BioFlo 320又はBiostat発酵槽を用いて、5L又は45~90Lで行われた。細胞を、グルコース(典型的に20g/L)、一塩基性リン酸カリウム(典型的に13.5g/L)、リン酸アンモニウム(典型的に4.0g/L)、硫酸マグネシウム七水和物(典型的に1.4g/L)、クエン酸(典型的に1.7g/L)、及び微量金属溶液(典型的に10.0ml/L)を含むグルコース限定培地(pH 6.8 ± 0.01)中で増殖させた。5M HCl中の微量金属溶液は、FeSO4・7H2O(15g)、CaCl2(3.0g)、ZnSO4.7H2O(3.3g)、MnSO4.H2O(568mg)、CuSO4.5H2O(1.5g)、(NH4)6Mo7O24.4H2O(0.15g)、及びNa2B4O7.10H2O(0.03 g)から構成される。グルコース限定培地(pH 6.8 ± 0.01)を含有するシードフラスコ(シードI)にグリセロールストックを接種し、そして200~250RPMの回転振盪機上で、37℃で8~16時間インキュベートした。次に、グルコース限定培地(pH 6.8 ± 0.01)を含有するシードフラスコ(シードII)を、シードIから10%播種密度で接種し、そして200~250RPMの回転振盪機上で、37℃で8~16時間インキュベートした。次に、シードII由来の細胞を、滅菌グルコース限定培地(pH 6.8 ± 0.01)を含有する発酵槽中に5~10%の播種密度で接種した。細胞を、30%溶存酸素、37℃で増殖させ、2N HCl/5M NH4OHを用いてpHを6.8±0.01に維持した。溶存酸素レベル、pH及び細胞増殖(光学密度、OD600nmで測定)が、発酵の間モニターされた。細胞は、指数関数的に供給され、供給物の供給速度は、一塩基性リン酸カリウム(47g/L)、硫酸マグネシウム七水和物(20g/L)、チアミン(0.4g/L)及び微量金属溶液(20ml/L)を添加したグルコース(700g/L)を含む濃縮滅菌供給物を用いて、培養物中のグルコース濃度及び溶存酸素レベルを維持するように制御された。OD600が、135~200(典型的に140)に達した際に発酵を停止させた。上清(ヘパロサン含有)を遠心分離により4℃で採取した。培養上清からヘパロサンの精製プロセスは、1.2(%、w/w)の次亜塩素酸ナトリウムでの漂白、及び典型的には60%飽和で硫酸アンモニウム沈殿を含んでいた。沈殿物を水に溶解し、透析してヘパロサンを得た(Bhaskar, U. Chemoenzymatic Synthesis of Heparin for a Safer Bioengineered Alternative. PhD dissertation, Rensselaer Polytechnic Institute, Troy, NY, USA (2014))。
【0136】
実施例2: 中間体#1(NS)の産生
実施例1から得られたヘパロサンは、以前に報告されたように化学的にN-脱アセチル化され、脱重合された(Z. Wang, J. Li, S. Cheong, U. Bhaskar, A. Onishi, F. Zhang, J. S. Dordick, R. J. Linhardt (2011), Response surface optimization of the heparosan N-deacetylation in producing bioengineered heparin, Journal of Biotechnology, 156, 188-196)。1%濃度のヘパロサンを、50~55℃で18~28時間、1M水酸化ナトリウムと反応させた。次いで、反応混合物は、HClでpH7に調整され、続いて過剰量の三酸化イオウトリメチルアミン錯体で48時間、化学的にN-スルホン化された。次いで、エタノール沈殿が、所望の分子量特性を有する第1の中間体NSを分画するために用いられた(A. Onishi (2015), Detailed physicochemical and biological analyses of heparins from various sources, PhD dissertation, Rensselaer Polytechnic Institute, Troy, NY, USA)。第1の中間体NSのNS二糖類含有量は、78.3~99.3モル%であった。分子量は、15,100~18,100Daであり、分子量が24,000を超えるヘパリン多糖鎖のパーセンテージは、7.0~17.4であった。分子量16,000~24,000Daの範囲の差のパーセンテージは、1.1~2.3であった。
【0137】
実施例3: 二糖類分析、分子量分析、及び活性分析
二糖類分析全般
二糖類分析が、ブタUSPヘパリン又は生物工学によって作製されたヘパリン中間体の二糖類組成を測定するために用いられた。試料は、へパリナーゼI、II、及びIIIで処理することによって8つの構成二糖に消化する。生成された二糖類は、次に分離され、次いで高圧液体クロマトグラフィー-紫外線(HPLC-UV)分光分析により測定される。NS(第1の中間体)については、1H-核磁気共鳴(NMR)分光法がまた、2つの構成的二糖類(すなわち、0S及びNS)を定量するために用いられ得る。本発明の二糖類組成物は、モル%として記載されているが、それらはまた、曲線下面積(AUC)%として、重量%として、又は本発明の範囲内の他の公知の用語によって記載され得ることは当該技術分野において周知である。
【0138】
本発明において、二糖類AUC%は、二糖類モル%に等しく、8つの二糖類全てが232nmで同じモル吸光係数を有すると仮定しているが、これは、いくつかの理由から適切な仮定であると考えられる。第1に、8つの二糖類のそれぞれが、構造中に正確に1つのΔ-4-5不飽和ウロン酸(ΔUA)を有することがよく知られている。第2に、ヘパリン二糖類分析に関する最近の論文は、二糖類の定量が、Δ-4-5不飽和オリゴ糖の232nmでのモル吸光係数が一定であるというデータ主導の仮定に一致に基づいていることを示した(P. Mourier et al. Quantitative compositional analysis of heparin using exhaustive heparinase digestion and strong anion exchange chromatography. Anal. Chem. Res. 3, 46-53 (2015))。第3に、5つの異なるヘパリン由来のオリゴ糖の間で、232nmでモル吸光係数の一貫性がある(5063+/-10%、5331+/-0.6%、5066+/-3.7%、5657+/-1.4%及び5275+/-%、M-1cm-1) (K.G. Rice and R.J. Linhardt. Study of structurally defined oligosaccharide substrates of heparin and heparan monosulfate lyases. Carbohydr. Res. 190, 219-233 (1989))。最後に、現在のブタUSPヘパリンにおいて、ほとんど同じ仮定が実際に用いられている; ブタUSPヘパリンにおける分析方法は、そのような8つの二糖類の全てが、234nmの非常に近い波長で同じモル吸光係数を有すると仮定している(USP40 Chemical Tests, <207> Test for 1,6-Anhydro Derivative for Enoxaparin Sodium, pp 261-266. (United States Pharmacopoeial Convention, Rockville, MD, USA, 2017))。1H-NMRにおいて、相対AU%は、モル%に相当する。
【0139】
1H-NMRによる中間体分析
1D 1H-NMRは、以下の条件で行われた: 温度298K、少なくとも2秒のリサイクル遅延時間、少なくとも0.75秒の取得時間、少なくとも16のスキャン数、溶媒はD2Oであった。精製ヘパロサン、各中間体、生合成ヘパリン及びUSPブタヘパリンの1D 1H-NMRスペクトルを図3に示した。前駆体ヘパロサンから最終産物までの4段階の化学酵素的修飾により、得られた生合成ヘパリンは、USPブタヘパリンと比較して非常に類似した化学構造を有していた。
【0140】
1H-NMRによる第1の中間体の二糖類分析に関し、グルコサミン残基のH-1プロトンのピーク面積が定量に用いられた。N-アセチルグルコサミン(0S二糖類)のH-1プロトンは、約5.31ppmに現れたが、N-スルホグルコサミン(NS二糖類)のH-1プロトンは、約5.55ppmに現れた。二糖類組成は、モル%として表される。AUC%は、モル%に相当する。
【0141】
HPLC-UVによる二糖類分析
簡単に説明すると、分析試料は、へパリナーゼによって消化され、次いで生成された二糖類は、分離され、そして、強アニオン交換(SAX)-HPLC-UVによって測定される。代表的な分析条件は、以下の通りである。へパリナーゼ消化反応の直線的縮小/拡大、最大50℃までのSAXカラムの温度変化等の二糖類組成に影響を及ぼさない非本質的な軽微な改変が適応され得ることに留意すべきである。
【0142】
分析試料(100μg)が、濃縮消化緩衝液(最終濃度は、50 mM NH4OAc、2 mM CaCl2である)、Flavobacterium heparinum由来のへパリナーゼI、II、及びIII(以下の文献に記載されるように我々の研究室で調製された100mlU超の各ヘパリナーゼ (Zhang, F., et al. Structural characterization of heparins from different commercial sources. Anal. Bioanal. Chem. 401, 2793-2803 (2011)., Zhang Z, X.J., Liu H, Liu J, Linhardt RJ. Quantification of Heparan Sulfate Disaccharides Using Ion-Pairing Reversed-Phase Microflow High-Performance Liquid Chromatography with Electrospray Ionization Trap Mass Spectrometry. Anal. Chem. 81, 4349-4355 (2009))、及び全容量が200μLになる容量の水と混合された。混合物は、35℃で2時間インキュベートされた。インキュベーションの後、(a)3kDa分子量カットオフスピンカラム(Amicon Ultra-0.5 Centrifugal Filter Unit with Ultracel-3 membrane, EMD Millipore, Billerica, MA, USA)による限外濾過、又は(b)95℃で少なくとも5分間のインキュベーション、次いで遠心分離の何れかを用いることによって、生成された二糖類が、ヘパリナーゼから分離された。第2の中間体NS2S、第3の中間体NS2S6S及びUSPヘパリンを用いることによる直接比較試験は、(a)と(b)の間の差が多くても2.6w/w%であることを示した。
【0143】
20μLの生成された二糖類は、SAXクロマトグラフィーカラムに注入された(Spherisorb-SAX chromatography column, 4.0 × 250 mm, 5μm, Waters, France)。カラム温度は、40℃であった。移動相Aは、リン酸でpH3.0に調整された1.8mM NaH2PO4であり、移動相Bは、1 M NaClO4でpH3.0に調整された1.8mM NaH2PO4であった。移動相Bの直線勾配(0分、3% B; 20分、35% B; 50分、100% B; 60分、3% B; 80分、3% B)は、0.45mL/minの流速で適応された。各二糖類の不飽和ウロン酸(ΔUA)は、この波長でUV吸光度を有するため、232nmでUV検出が行われた。232nmで各二糖類に属するピークを同定するために、二糖類標準を、Iduron(英国、マンチェスター)から購入した。分析の正確性及び精密性を確実にするために、市販のヘパリンナトリウム活性医薬成分(Celsus, Cincinnati, OH, USA)もまた、消化され、核分析において分析された。HPLCピーク面積の直線性を確実にするために、各分析において二糖類標準の一連の希釈物を分析した。二糖類組成は、w/w%及び/又はモル%の何れかで表された。w/w%値は、一連の市販の標準による標準曲線に基づいて計算された。モル%値は、以下の式により計算された:
【数1】
(式中、
Aiが、二糖類iの232nmでのピーク面積である。Axがピーク面積であり; 合計が、仕様の定義に表される8つの全ての二糖類に関連する。)
また、本発明において、二糖類のAUC%は、8つ全ての二糖類が、232nmで同じモル吸光係数を有するという過程を有する二糖類のモル%と等しい。
【0144】
HPLC-MSによる二糖類分析
分析は、論文に記載されているように行われた(Bhaskar, U. Chemoenzymatic Synthesis of Heparin for a Safer Bioengineered Alternative. PhD dissertation, Rensselaer Polytechnic Institute, Troy, NY (2014))。詳細には、25μLの水中の10μgの分析試料を、5μL中の濃縮緩衝液中のFlavobacterium heparinum由来のヘパリナーゼI、II、及びIII(10mL超の各ヘパリナーゼ)と混合した。混合物は、35℃で10時間インキュベートされた。インキュベーションの後、生成された二糖類は、10kDa分子量カットオフスピンカラム(YM-10 micro-concentrator, EMD Millipore, Billerica, MA, USA)を用いた遠心濾過により回収された。液体クロマトグラフィー(LC)-質量分析(MS)分析のために、フロースルーを水に溶解し、50~100ng/2μLの濃度に調製した。
【0145】
LC-MS分析は、6300イオントラップ及びバイナリーポンプとそれに続くUV検出器を備えたAgilent 1200 LC/MSD装置(Agilent Technologies, Inc. Wilmington, DE, USA)で行われた。使用したカラムは、Poroshell 120 C18カラム(2.1 × 100 mm, 2.7 μm, Agilent, USA)であった。溶離液Aは、水/アセトニトリル(85:15)v/vであり、溶離液Bは、水/アセトニトリル(35:65)v/vであった。両方の溶離液は、12mMトリブチルアミン及び38mM酢酸アンモニウムを含有し、pHは、酢酸で6.5に調整された。5分間の溶液Aの勾配、続いて5~15分の直線勾配(0~40%溶液B)が、150μL/分の流速で用いられた。
【0146】
分子量及び濃度の決定
分子量は、USP37ヘパリンモノグラフ法に従って、本質的ではない小さな変更を加えたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により決定された。ガードカラムTSK SWXL 6-mm ×4-cm、7-μm直径が、2つの分析カラムと直列で用いられた: TSK G3000 SWXL 7.8-mm×30-cm、5-μm と直列でTSK G4000 SWXL 7.8 -mm×30 cm、8-μm(東ソー株式会社、港区、東京、日本)。これらのカラムを、島津LC-20ADポンプ、島津CBM-20Aコントローラー、島津SIL-20AHTオートサンプラー、島津CTO-20ACカラムオーブン、及び島津RID-20A屈折率検出器(島津、京都、日本)からなるHPLCシステムに接続した。カラム及びRID検出器は、30℃に維持された。移動相は、0.02重量%アジ化ナトリウムを含む、0.1M酢酸アンモニウムであり、流速は、0.6mL/分であった。注入試料量は、20μLであった。GPCクロマトグラムは、LC溶液バージョン5.73ソフトウェア(島津、京都、日本)を用いて記録され、「GPC Postrun」機能を用いて分析された。分子量決定のために、USPヘパリンナトリウム分子量較正剤RS(参照標準)を較正剤として用い、USPヘパリンナトリウム同定RS(USP、MD、US)を用いてシステムの適合性を確認した。また、いくつかの濃度として調製されたUSPヘパリンナトリウム同定RSを、標準曲線を得るために注入し、曲線下面積(AUC)を用いて反応試料の濃度を計算した。USPモノグラフに記載されているように、全てのデータが、システム適合性要件を満たした。計算には、三次多項式が用いられた。分子量パラメータの定義は以下の通りである。
【0147】
重量平均分子量(MW)は、以下の式を用いて計算される:
【数2】
ここで、Niは、分子量Miの分子数である。M24000は、24,000Daを超える分子量を有するヘパリン鎖のパーセンテージである。M8000-16000/M16000-24000は、8,000~16,000Daの範囲の分子量を有するヘパリンのパーセンテージと16,000~24,000Daの範囲の分子量を有するヘパリンのパーセンテージとの比率である。
【0148】
インビトロ抗凝固活性測定
ヘパリンの抗Xa及び抗IIa活性は、BIOPHENヘパリン抗Xa(2段階)及び抗IIa(2段階)キット(Aniara、ウェストチェスター、オハイオ)を用いて決定された。80μLのR1緩衝液(0.1重量%ポリエチレングリコール及び0.02重量%アジ化ナトリウムを含む、0.05Mトリス、0.175M NaCl、0.0075M EDTA、pH 8.40)中の40mUヒトATIIIが、抗Xaアッセイに用いられた。異なる量のヘパリン(0、5、10、15、及び20ngの範囲)と混合された80μLのR2緩衝液(0.2重量%ウシ血清アルブミン及び0.02重量%アジ化ナトリウムを含む、0.05Mトリス、0.175M NaCl、0.0075M EDTA、pH 8.40)中のヒトATIII 10mUが、37℃で2分間インキュベートされた。次いで、Xa因子に特異的な発色基質(CS-01(65)、1.2mM、40μL)又はトロンビンに特異的な発色基質(CS-01(38)、1.25 mM、40μL)を加える前に、37℃でプレインキューベーションされた精製ウシXa因子(40μLのR1緩衝液中320ng)又は精製ヒトトロンビン(40μLのR2緩衝液中960mU)を加え、2分間インキュベートした。反応混合物は、抗Xaアッセイのために37℃で2分間そして抗IIaアッセイのために1分間インキュベートされ、次いでクエン酸(20mg/mL、80μL)で停止された。吸光度は、405nmで測定された。抗Xa及び抗IIa活性は、異なる濃度のヘパリン(0~1U/mL)の検量線を用いて計算された。
【0149】
実施例4: 酵素の産生(C5-エピメラーゼ、2OST、6OST-1、6OST-3、3OST-1、AST-IV)
MBP標識酵素(C5-epi、2OST、6OST-1、及び6OST-3)の細胞ペレット(湿重量10g)を、プロテアーゼ阻害剤(Sigma、USA)及び8000kU/L DNAseI(Sigma、USA)を含む50mLの精製緩衝液(25 mM トリス-HCl (BioRad、USA)、500 mM NaCl (Sigma、USA)、pH 7.5)に分散させた。得られた細胞懸濁液は、細胞溶解のために15000psiでマイクロフルイダイザー(Microfluidics LM20、USA)に通された。細胞片は、4℃で30分間、13000gで遠心分離することにより除去された。製造業者の説明書に従って、10mLのアミロース樹脂(NEB、USA)を用いて可溶性酵素が精製された。
【0150】
His6標識酵素(3OST-1及びAST-IV)の細胞ペレット(湿重量10g)を、プロテアーゼ阻害剤(Sigma、USA)及び8000kU/L DNAseI(Sigma、USA)を含む50mLの精製緩衝液(25 mM トリス-HCl、500mM NaCl、30mM イミダゾール、pH 7.5)に分散させた。細胞溶解を前述のように実施し、可溶性酵素を、製造業者のプロトコルに従って、10mLのNi-NTAセファロース(GEヘルスケア、スウェーデン)を用いて精製された。精製された酵素は、SDS-PAGEゲル(BioRad、USA)分析により分析された。
【0151】
実施例5: 固定化酵素触媒の調製及び活性の特徴付け
His6標識酵素(3OST-1及びAST-IV)は、Ni-NTAセファロースビーズから500mM NaCl及び500mMイミダゾールを含む25mM トリス-HCl(pH7.5)緩衝液で溶出され、及びMBP標識酵素(C5-epi、2OST、6OST-1、及び6OST-3)は、500mM NaCl及び40mMマルトースを含む25mM トリス-HCl(pH7.5)緩衝液を用いてアミロース樹脂から溶出された。溶出された酵素の緩衝液は、10kDaの遠心分離フィルター(Millipore、USA)を用いてカップリング緩衝液(リン酸ナトリウム緩衝液(Alfa Aesar、USA))と置換された。酵素の共有結合固定化のために、30~40mgの市販のビーズ、例えば、CNBrセファロース(GEヘルスケア、スウェーデン)、Azlactone based Ultralink Biosupport(ThermoFisher、USA)、及びNHS-アガロース(ThermoFisher、USA)等を、1~2mgの酵素と別々に1時間室温で穏やかにはじきながら(製造業者の説明書に従って)インキュベートした。共有結合固定化の後、それぞれのビーズをカップリング緩衝液で洗浄し、ビーズ上に残った官能基を、クエンチング緩衝液(100mM トリス-HCl及び1 M NaCl、pH 8.0)を用いて、クエンチした(製造業者の説明書に従って)。それぞれのびーす上の酵素のカップリング効率は、上清、洗浄液及びクエンチング溶液中に最初に加えられた酵素及び未結合の酵素を測定することによって計算された。酵素の量は、ImageLabソフトウェア(BioRad、USA)及びBCA(Thermo Fisher、USA)アッセイを用いて計算された。ウシ血清アルブミン(BSA)(Thermo Fisher、USA)が、結合効率計算のための標準として用いられた。
【0152】
実施例6: 中間体#2(NS2S)の産生
この硫酸化工程は、PNPS、PAPS及び固定化AST-IVを含むPAPSリサイクリングシステムを用いて又は用いずに実施され得る。第1の中間体NSは、固定化2OST及びC5-epiで処理された。詳細な酵素反応条件は、MES反応緩衝液(50mM、pH7.2)中で以下の通りである: 1mg/mL NS、0.25mg/mL C5 epi、0.5mg/mL 2OST、10 mM p-ニトロフェニルサルフェート(PNPS)及び1mM PAP(リサイクリングシステムが適用された場合のみ)、反応温度37°C及び反応時間24時間。非サイクル反応については、PAP、PNPS及びAST-IVが存在しない場合を除いて、上記と同じ条件を用いた。1.2mM過剰のPAPS濃度は、標的NS2S変換率に依存した。実施例4及び5に記載のように、新鮮な酵素を調製し、反応前に固定化した。精製のために、5kDa MWCO限外濾過を用いて、PAP及びPAPS(リサイクリングが適用される場合はPNP及びPNPS)等の反応後化合物を除去した。保持液を濃縮し、二糖類分析のために回収した。NS2S%が目標を達しなかった場合、この工程を繰り返すことが出来る。
【0153】
実施例7: 中間体#3(NS2S6S及びNS6S)の産生
中間体#3を産生するための反応工程は、NS2Sが、NSを置き換え、固定化6OST-1及び6OST-3(両方とも0.5mg/mL)が、C5-epi及び2OSTを置き換えることを除いて、中間体#2について用いた方法に従う。NS2S6S(TriS)%が、標的に達しなかった場合、この反応を繰り返すことが出来る。
【0154】
実施例8: 生合成ヘパリンの産生
実施例5と同様に、固定化組換え酵素3OST-1が、調製された。酵素は、固定化3OST-1で置き換えたことを除いて、第2及び第3の中間体について用いた同じ条件下で反応が行われた。最終生合成ヘパリンは、Qセファロース樹脂を用いた強アニオン交換(SAX)クロマトグラフィーを用いて精製された。簡単に説明すると、生合成ヘパリンは、40mM NaCl溶液中で樹脂に結合され、次いで400mMNaCl溶液で洗浄された。精製された生合成ヘパリンは、4M NaCl溶液を用いて溶出され、次いで脱塩及び濃縮された。精製された生合成ヘパリンは、実施例3に示されるように、さらなる二糖類組成分析、分子量分析及びインビトロ抗凝固活性アッセイのために回収された。抗凝固活性が、USP仕様に達していない場合、この工程を繰り返すことが出来る。
【0155】
実施例9: ブタUSPヘパリンの仕様を満たす活性及び分子量を有する2つの生合成ヘパリン(BSH)及びブタUSPヘパリンの活性及び分子量仕様を満たさない2つの生合成ヘパリン(BSH)の生合成のための正確な方法
【0156】
生合成ヘパリンバッチhの産生
合計40mgのNS(85.4%のNS含有量)が、実施例6に記載の条件下で、2OST及びC5-epiで処理された。反応条件は、MES反応緩衝液(50mM pH7.2)中で以下の通りであった: 1mg/mL NS、0.25mg/mL C5 epi、0.5mg/mL 2OST、及び1.45mM PAPS。反応物は、ローラー上で37℃、24時間インキュベートされた。酵素ビーズは、溶液から除去され、3カラム容量(CV)の50mM MES緩衝液(pH7.2)で洗浄し、多糖類を回収した。反応溶液及び3CVの洗浄緩衝液は混合され、反応後化合物を濃縮及び除去するために5kDaのMWCO膜スピンカラムにロードされた。実施例3に記載したように、保持液は、実施例3に記載した二糖類分析のために、回収及び試料化された。得られたNS2S中間体の二糖類組成は、表3に示す通りである。
【0157】
【表3】
【0158】
第2の酵素工程において、60%のNS2S含有量の3mgの得られたNS2S中間体は、固定化された6OST-1及び6OST-3で処理され、NS2S6S中間体を生成する。固定化方法は、実施例5に記載の通りであった。硫酸化反応条件は、実施例7と同じであった。反応終了後、NS2S産生についての上記記載のように、多糖類は回収され、精製及び分析された。1回目の6OST処理後のこのNS2S6S中間体の二糖類組成は、表3に示す通りであった。TriS%を40%以上まで増加させるために、6OST処理が、同じ方法を用いて再度繰り返された。結果として得られたNS2S6S中間体の2回目の処理後は、43.5%のNS2S6S二糖類及び10.5%のNS6S二糖類を得た。
【0159】
2回目の6OST処理後のこのNS2S6S中間体(85.4~60.0~43.5)は、さらに固定化3OST-1で処理され、生合成ヘパリンバッチhを生成する。3OST-1の固定化は、実施例5に記載されているように実施された。生合成ヘパリンバッチhの硫酸化反応条件及び精製方法は、実施例8に記載したものと同じであり、続いて実施例3に記載したように分子量、二糖類決定及びインビトロ活性アッセイが行われた。生合成ヘパリンバッチhは、1回目の3OST-1処理後、160U/mgの抗IIa活性に達したのみであり、これは、ブタUSPヘパリン180U/mg仕様よりも低い(表3)。従って、中間体は、再度3OST-1で処理され、続いて上記と同じ精製及び分析に供された。2回目の3OST-1処理後の生合成ヘパリンバッチhは、17,500Daの重量平均分子量、16.8のMwが24,000を超える画分のパーセンテージ、及び1.3の8,000~16,000のMwと16,000~24,000のMwのフラクションの比率を備えた396U/mgの抗IIa、365U/mgの抗Xa及び0.92の抗Xa/抗IIaを有した。生合成ヘパリンバッチhの抗凝固活性及び分子量特性は、両方ともブタUSPヘパリンの仕様の範囲内であった。
【0160】
生合成ヘパリンバッチwの産生
合計25mgのNS(92.7%のNS含有量)が、実施例6に記載の条件下で、2OST及びC5-epiで処理された。簡単に説明すると、反応条件は、以下の通りであった: 50mM MES緩衝液(pH7.2)中、1mg/mL(2.23mM) NS、0.25mg/mL C5 epi、0.5mg/mL 2OST、0.5mg/mL AST-IV、10mM PNPS及び1.61mMPAPS。反応物は、ローラー上で37℃、24時間インキュベートされた。酵素ビーズは、溶液から除去され、3カラム容量(CV)の50mM MES緩衝液(pH7.2)で洗浄し、多糖類を回収した。反応溶液及び3CVの洗浄緩衝液は混合され、反応後化合物を濃縮及び除去するために5kDaのMWCO膜スピンカラムにロードされた。実施例3に記載したように、保持液は、実施例3に記載した二糖類分析のために、回収及び試料化された。得られたNS2S中間体の二糖類組成は、表4に示す通りである。1回目の2OST/C5-epi処理後のこの基質は、68.9%のNS2S%に達したのみであった。従って、同じ方法を用いて、2OST-1/C5反応は、2回繰り返され、NS2S%を75%に増加させた(表4)。
【0161】
75.4%のNS2S二糖類基を有する合計3mgの得られた中間体は、固定化6OST-1及び6OST-3でさらに処理され、NS2S6S中間体を生成した。固定化方法は、実施例5に記載の通りであった。硫酸化反応条件は、PAPSリサイクリングシステムを用いて実施例7に記載したものと同じであった。反応終了後、多糖類は、NS2S製造工程について上述したように、回収され、精製され、分析された。6OST-1&3処理後のこのNS2S6S中間体の二糖類組成は、表4に示され、及び54.5%のNS2S6S(TriS)二糖類及び14.3%のNS6S二糖類を含有する。
【0162】
このNS2S6S中間体は、さらに固定化3OST-1で処理され、生合成ヘパリンバッチwを生成した。3OST-1固定化は、実施例5に記載の通りであった。生合成ヘパリンバッチwの硫酸化反応条件は、PAPSリサイクリングを用いた実施例8と同じであり、その後、実施例3に記載の分子量、二糖類決定及びインビトロ活性アッセイに供された。
3OST-1処理後の生合成ヘパリンバッチwは、15,500Daの重量平均分子量、6.6のMwが24,000を超える画分のパーセンテージ、及び1.7の8,000~16,000のMwと16,000~24,000のMwのフラクションの比率を備えた343U/mgの抗IIa、393U/mgの抗Xa及び1.10の抗Xa/抗IIaを有した。生合成ヘパリンバッチhの抗凝固活性及び分子量特性は、両方ともブタUSPヘパリンの仕様の範囲内であった。
【0163】
【表4】
【0164】
生合成ヘパリンバッチのいくつかの例において、それぞれ、第2及び第3の中間体のための単一の酵素処理は、ブタUSPヘパリンの仕様を満たす。
【0165】
ブタUSPヘパリン活性及び分子量仕様を満たさない生合成ヘパリンバッチ1の産生
合計140mgのNS(92.7%のNS含有量)が、実施例6に記載の条件下で、2OST及びC5-epiで処理された。簡単に説明すると、反応条件は、以下の通りであった: 50mM MES緩衝液(pH7.2)中、1mg/mL(2.23mM) NS、0.25mg/mL C5 epi、0.5mg/mL 2OST、0.5mg/mL AST-IV、10mM PNPS及び1.61mMPAPS。反応物は、ローラー上で37℃、24時間インキュベートされた。酵素ビーズは、溶液から除去され、3カラム容量(CV)の50mM MES緩衝液(pH7.2)で洗浄し、多糖類を回収した。反応溶液及び3CVの洗浄緩衝液は混合され、反応後化合物を濃縮及び除去するために5kDaのMWCO膜スピンカラムにロードされた。実施例3に記載したように、保持液は、実施例3に記載した二糖類分析のために、回収及び試料化された。二糖類分析よると、第2の中間体NS2Sは、72.4%のNS2S二糖類に達した(表5)。
【0166】
72.4%のNS2S二糖類含有量を有する10mgの得られたNS2S中間体は、固定化6OST-1及び6OST-3でさらに処理され、NS2S6S中間体を生成する。固定化方法は、実施例5に記載の通りであった。硫酸化反応条件は、実施例7と同じであった。反応終了後、NS2S硫酸化工程において、上記のように多糖類が回収され、精製され、及び分析された。6OST-1及び3処理後のこのNS2S6S中間体の二糖類組成は、表5に示され、41.0%のNS2S6S(TriS)二糖類及び3.7%のNS6S二糖類からなる。
【0167】
このNS2S6S中間体は、固定化3OST-1でさらに処理された。3OST-1固定化は、実施例5に記載の通りであった。硫酸化反応条件及び精製方法は、実施例8と同じであり、そして実施例3に記載のように重量平均分子量、二糖類組成及びインビトロ活性アッセイに供された。この3OST-1処理後のバッチは、112U/mgの抗IIa活性、93U/mgの抗Xa活性及び0.80の抗Xa/抗IIaの活性のみを達成した。抗IIa活性を増加させてUSP仕様を満たすために、この非同等なバッチ1が、実施例8に記載の方法と同じ方法を用いて、固定化3OST-1で再度処理された。しかしながら、抗IIa活性は、依然として低いままであり(114U/mg)、ブタUSPヘパリンの仕様に従って必要な180U/mgを達成しなかった。
【0168】
【表5】
【0169】
ブタUSPヘパリン活性及び分子量仕様を満たさない生合成ヘパリンバッチ2の産生
合計40mgのNS(92.7%のNS含有量)が、実施例6に記載の条件下で、2OST及びC5-epiで処理された。簡単に説明すると、反応条件は、以下の通りであった: 50mM MES緩衝液(pH7.2)中、1mg/mL(2.23mM) NS、0.25mg/mL C5 epi、0.5mg/mL 2OST、0.5mg/mL AST-IV、10mM PNPS及び1.61mMPAPS。反応物は、ローラー上で37℃、24時間インキュベートされた。酵素ビーズは、溶液から除去され、3カラム容量(CV)の50mM MES緩衝液(pH7.2)で洗浄し、多糖類を回収した。反応溶液及び3CVの洗浄緩衝液は混合され、反応後化合物を濃縮及び除去するために5kDaのMWCO膜スピンカラムにロードされた。実施例3に記載したように、保持液は、実施例3に記載した二糖類分析のために、回収及び試料化された。二糖類分析よると、第2の中間体NS2Sは、81.4%のNS2S二糖類に達した(表5)。
【0170】
81.4%のNS2S二糖類含有量を有する3mgの得られたNS2S中間体は、固定化6OST-1及び6OST-3でさらに処理され、NS2S6S中間体を生成する。固定化方法は、実施例5に記載の通りであった。硫酸化反応条件は、実施例7と同じであった。反応終了後、NS2S硫酸化工程において、上記のように多糖類が回収され、精製され、及び分析された。6OST-1及び3処理後のこのNS2S6S中間体の二糖類組成は、表6に示され、61.0%のNS2S6S(TriS)二糖類及び2.5%のNS6S二糖類からなる。
【0171】
このNS2S6S中間体は、固定化3OST-1でさらに処理された。3OST-1固定化は、実施例5に記載の通りであった。硫酸化反応条件及び精製方法は、実施例8と同じであり、そして実施例3に記載のように重量平均分子量、二糖類組成及びインビトロ活性アッセイに供された。この3OST-1処理後のバッチは、49U/mgの抗IIa活性のみを達成し、これは、USPの仕様である180U/mgからかけ離れていた。この非同等バッチ2は、ブタUSPヘパリンと非同等であることが証明された。
【0172】
【表6】
【0173】
3つの中間体を介した生合成ヘパリンの生成
概要
下記の記載は、生物学的活性について及び測定された場合の分子量についてのUSP要件を満たした複数バッチの生合成ヘパリンである。生合成ヘパリンはまた、ブタUSPヘパリンと同等の二糖類含有量を示した。これらの実験は、硫酸化の程度及び性質を定量的に確かめるために、高速液体クロマトグラフィー及び核磁気共鳴分光法と並行して行われた。
【0174】
生合成ヘパリンの生成は、プロセスの各工程で生成される中間体が、特定の二糖類含有量からなることを必要とする。以下に具体的な情報を記載する: (a)第1の中間体NSのNS二糖類基含有量(全二糖類組成物の%に関する全ての含有量); (b)第2の中間体NS2SのNS2S及びNS二糖類基含有量; (c)生物学的に同等なヘパリンの合成における第3の中間体NS2S6S/TriSのNS2S6S、NS6S、NS2S、及びNS二糖類基含有量。第1の中間体NSは、UPS仕様内での生合成ヘパリンを得るために適切な分子量の第2及び第3の中間体を得るために適切な重量平均分子量(Mw)及び分子量分布であった。
【0175】
ブタUSPヘパリン仕様に適合するバッチの概要
a、b、c、及びdのバッチは、米国仮特許出願62/384,341号に開示された。このセクションの表中の二糖類データは、モル%である。示されたモル%値は、米国仮特許出願62/384,341号にに見られるように、w/w%として表され得る。
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【表27】
【表28】
【表29】
【表30】
【表31】
【表32】
【0176】
要約情報
【表33】
【表34】
【表35】
【表36】
【0177】
まとめると、特定の第2及び第3の中間体を首尾よく得るために、上記の特定のNS基含有量、Mw及び分子量分布を有する第1の中間体NSを用いることが重要であり得、そして、最終的にUSPヘパリン基準を満たすBSHを得ることが重要であり得る。
【表37】
【0178】
当業者は、二糖類データが、モル%(本明細書で用いられる場合)又は重量%(仮出願で用いられる場合)の何れかで表され得ることを理解し得る。
【0179】
米国仮特許出願第62/384,341号に表され及びブタUSPヘパリン活性及び分子量仕様を満たさない生合成ヘパリンバッチ
【0180】
仮出願は、ブタUSPヘパリン活性及び分子量仕様を満たさない2つのバッチを含んだ。以下の表12及び13は、データの要約である。二糖類の値は、w/w%及びモル%の両方で表される。
【表38】
【表39】
【0181】
上記は特定の好ましい実施形態に言及しているが、本発明はそのように限定されないことが理解され得る。開示された実施形態に対して様々な改変がされてもよく、そのような改変が、本発明の範囲内であることが意図されることは、当業者は想到し得る。
本発明書において引用された全ての刊行物、特許出願、及び特許は、その全体が、出典明記により本明細書に組み入れられる。
図1
図2
図3
図4