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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-02
(45)【発行日】2022-03-10
(54)【発明の名称】ブラシアタッチメント
(51)【国際特許分類】
   A46B 15/00 20060101AFI20220303BHJP
   A47L 9/02 20060101ALI20220303BHJP
   A47L 9/06 20060101ALI20220303BHJP
   A47L 7/00 20060101ALI20220303BHJP
   A46B 17/06 20060101ALI20220303BHJP
   A01K 13/00 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
A46B15/00 D
A47L9/02 D
A47L9/06 A
A47L7/00 Z
A46B17/06
A01K13/00 L
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020146445
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2021-07-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】309028019
【氏名又は名称】加々美 孝雄
(74)【代理人】
【識別番号】100197996
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 武彦
(72)【発明者】
【氏名】加々美孝雄
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-096221(JP,U)
【文献】実公昭43-003371(JP,Y1)
【文献】実開昭51-004561(JP,U)
【文献】実開昭53-161073(JP,U)
【文献】特開2009-131676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 15/00
A47L 9/02
A47L 9/06
A47L 7/00
A46B 17/06
A01K 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライダ部と、スライダ部の一面に植設された複数のブラシと、スライダ部の一面側に配置され、前記複数のブラシが貫通する複数の孔とブラシが突出する一面と当該一面の中央に開口を有するベース部と、前記スライダ部及びベース部を貫通し前記スライダ部をスライド可能に保持すると共にベース部に固定され前記開口と連通する吸引管と、前記吸引管に接続される吸引装置とを備え、前記スライダ部のスライドに伴ってブラシがベース部の一面から没し、当該一面が露出する吸引ブラシ装置において、
前記吸引装置は、シート状のフィルタと、フィルタを保持する筒状のホルダと、前記ホルダの外径円筒部に同軸に摺動可能に装着される別体式刃部とを有し、前記別体式刃部の一端部にはシート材からフィルタを打ち抜くための刃先が設けられる吸引ブラシ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット等の毛を梳くグルーミング用ブラシに関するもので、抜け毛や塵埃を吸引しながらブラッシングすることができるブラシアタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
犬、猫等のペットは、時期により毛が生え替わるため、定期的なブラッシングが必要である。従来のペット用ブラシは、ブラシ本体に金属製やプラスチック製のブラシが植設されているだけで、ブラッシングの後、ブラシに絡みついた抜け毛を除去するものはなかった。
【0003】
そこで、抜け毛を回収しつつブラッシングすることができるブラシが種々提案されている。特許文献1では柔軟性を有するブラシと抜け毛や塵埃用の吸引口とが下面に設けられ、吸込口とブラシとが近接して配置されている。
【0004】
ところが、これらのブラシ装置では、ブラシに抜け毛が絡むことを完全には防ぐことができず、絡んだ抜け毛の始末に手間がかかるという問題がある。そこで、特許文献2には、ブラシを回転させながらエアを供給してブラシに絡んだ抜け毛を取り除く構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-276835号公報
【文献】特開2009-142151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような従来技術には、以下のような問題が存在する。 特許文献2に記載された技術では、ブラシ装置が複雑であり操作に手間がかかる。また、ブラシに付着した粘着質の塵埃などは取り除きにくいという問題が生じる。本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、ブラシから抜け毛や塵埃を取り除き、操作に手間のかからないブラシアタッチメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、スライダ部と、スライダ部の一面に植設された複数のブラシと、スライダ部の一面側に配置され、前記複数のブラシが貫通する複数の孔とブラシが突出する一面とを有するベース部と、前記スライダ部及びベース部を貫通し前記スライダ部をスライド可能に保持すると共にベース部に固定される吸引管と、を備え、前記スライダ部のスライドに伴ってブラシがベース部の一面から没し、当該一面が露出するブラシアタッチメントである。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、簡単にブラシから抜け毛や塵埃を取り除くことができ、ブラシのメンテナンスが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明にかかる吸引ブラシ装置100を示す斜視図である。
図2】本発明にかかるブラシアタッチメント6を示す断面斜視図である。
図3】本発明にかかるブラシアタッチメント6のブラシ収納状態およびブラシ突出状態を示す断面斜視図である。
図4】本発明にかかる吸引ブラシ装置100の分解斜視図である。
図5】本発明にかかる一式のフィルタ関連部材34の断面斜視図である。
図6】本発明にかかるホルダ部の断面斜視図である。
図7】本発明にかかる吸引ブラシ装置100を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の吸引ブラシ装置100について、図面を参照しながら実施形態に基づいて説明する。なお、図面は、ブラシアタッチメント6、吸引ブラシ装置100、吸引ブラシ装置100の構成部材を模式的に表したものであり、これらの実物の寸法および寸法比は、図面上の寸法および寸法比と必ずしも一致していない。また、重複説明は適宜省略する。図1は、吸引ブラシ装置100の外観斜視図である。
【0011】
図1~3に示すように、本実施形態に係る吸引ブラシ装置100は、スライダ部3と、スライダ部3の一面に植設された複数のブラシ1と、スライダ部3の一面側に配置され、複数のブラシ1が貫通する複数の孔とブラシ1が突出する一面とを有するベース部2と、スライダ部3及びベース部2を貫通し前記スライダ部3をスライド可能に保持すると共にベース部2に固定される吸引管7と、からなるブラシアタッチメント6を主体に構成されている。
【0012】
また、本実施形態に係る吸引ブラシ装置100は、ブラシアタッチメント6の吸引管7に吸引装置4を接続して吸引ブラシ装置100として使用することもできる。また本実施形態に係る吸引ブラシ装置100には、シート状のフィルタ18と、フィルタ18を保持する筒状のホルダ19と、シート材からフィルタ18を打ち抜くための刃部を備えることもできる。
【0013】
図1,3に示すように、スライダ部3は略平板円盤形状で中央部にスライダ部貫通孔14を有する。スライダ部挿通穴14は、円盤面を厚み方向に貫通し断面円形状に形成される。スライダ部挿通穴14には、ベース部2に固定される吸引管7が挿通している。
【0014】
ここで、吸引管7に対してベース部2が設けられる側を先端側、逆側を手前側と適宜称する。スライダ部3は、往復運動のための力を与えると吸引管7の軸方向に沿って所定の範囲をストロークできる構造になっている。すなわち、スライダ部3の貫通穴14と吸引管7の外径部とは、軸線方向移動可能に嵌合している。この嵌合状態を保ったままスライダ部3は、吸引管7と同一軸上を往復運動する。
【0015】
スライダ部3の貫通部14と吸引管7の外径部との嵌合状態は、緩やかな状態となっている。このため、スライダ部3の貫通部14と吸引管7の外径部とは、嵌合しつつ摺動することが可能であり、スライダ部3と吸引管7とでガタつきを生じさせることなく、吸引ブラシ装置100の使用時における操作性を向上させている。
【0016】
スライダ部3の材質は特に限定されない。樹脂でも金属でも良いし木材を使用することもできる。スライダ部3の材質として樹脂を用いる場合は、自己潤滑性を有する樹脂が好ましい。自己潤滑性を有する樹脂を用いることにより、後述するブラシアタッチメント6操作時におけるスライダ部3のストロークが滑らかになるからである。スライダ部3の外径形状は特に限定するものではなく、四角形、円形、楕円形その他種々の形状であってもよい。
【0017】
スライダ部3の先端側端面は、平面状に形成されており複数のブラシ1が植設されている。複数のブラシ1は、スライダ部3の先端側端面に同心円状に複数列、円周方向にほぼ等間隔に配列し植設されている。ブラシ1は、スライダ部3の先端側端面から直角方向、すなわち、吸引管7の軸方向の先端側に向かって伸びる直線状に形成されている。
【0018】
スライダ部3の先端側端面に植設されたブラシ1は、所定の範囲をストロークするスライダ部3と一体となって、ブラシアタッチメント6の長手方向に延在する吸引管7の軸方向に移動する。
【0019】
なお、スライダ部3の先端側端面に植設されたブラシ1の材質は、本実施形態では、ペットのグルーミング等に使用した場合に感触を良くするため、軟質の合成樹脂を用いて形成されているが、グルーミングに適した強度その他の物性・仕様を備えたものである限りその材質も種類も規格も限定されない。
【0020】
ブラシ1の材料としては、弾性的に屈曲可能な比較的長い管状、棒状、線状の材料であればよく、木材、樹脂、合成ゴム、あるいは柔軟な材質・形状の金属を用いることができる。
また、ブラシ1の本数や密度は種々のものが採用可能であり特に限定されない。ブラシアタッチメント6の使用対象に合わせて任意のブラシ1の密度を選択でき、スライダ部3に密集して植設されていてもよいし、粗い密度で植設されていてもよい。ブラシ1とスライダ部3とは、一体的に形成されてもよいし、あるいは接着剤で接着されてもよい。また、スライダ部3を製作した後にブラシ1を植設してもよい。
【0021】
図2に示すようにベース部2は、ブラシ1が突出する一面aと、一面a上に形成された複数のブラシ1が貫通する複数の孔cと、一面aの中央に開口8を有する吸引管7とから構成される。スライダ部3を摺動自在に軸支する吸引管7は、ベース部2と一体に結合されている。ベース部2とスライダ部3とは、ほぼ同じ大きさの同じ大きさの円盤形状であり、ベース部2に連通する吸引管7の軸方向から見て重なる位置にある。
【0022】
吸引管7と連接するベース部2は、吸引管7の軸方向と直行方向に突出した円盤状のフランジ部を一体的に備えており、断面視で略T字状に形成されている。
【0023】
ベース部2は、円盤状のフランジ部13が形成されるとともに、円盤の径方向の外側部分に複数の貫通孔cが形成されている。複数の貫通孔cは、ブラシ1の外径よりわずかに大きい細穴形状に形成されている。複数の貫通孔cは、ブラシ1と軸方向に対応した位置に配置され、同心円状に複数列、円周方向にほぼ等間隔に配列し複数個設けられている。
【0024】
すなわち、スライダ部3の先端側端面に植設された複数のブラシ1は、ベース部2に設けられた、ブラシ1と軸方向に対応した位置に配置される複数の貫通孔cを貫通し突出できる構成になっている。
【0025】
図3に示すように、複数のブラシ1は、スライダ部3の先端側端面に同心円状に、且つ円周方向にほぼ等間隔に配列し植設されている。つまり、スライダ部3の先端側端面に植設されたブラシ1は、所定の範囲をストロークするスライダ部3と一体となっている。
【0026】
また、スライダ部3は、複数のブラシ1をブラシアタッチメント6の長手方向に延在する吸引管7の軸方向に連動させることができる。すなわち、先端側端面にブラシ1を植設したスライダ部3が、柱状の吸引管7の軸方向に往復運動するとともに、スライダ部3の先端側端面に植設されたブラシ1は、ベース部2の先端側の端面に配置された複数の貫通孔cの中を軸方向に往復運動する。
【0027】
ここで、本実施形態に係るブラシアタッチメント6が有する塵埃や抜け毛の掻き取り機能の特徴について説明する。従来のスクレーパの場合、移動部分がブラシ1の先端方向に向けて移動することにより塵埃や抜け毛の掻き取り機能を発揮する。しかし、限られた全長寸法の中でブラシ1の適正突出長さを確保しようとする場合は移動部分を厚くできない。厚みの薄いスクレーパは、倒れ、たわみが発生する恐れがあり、手指等により確実に保持することも困難である。これに対応するため従来のスクレーパは、比較的剛性の高い金属等で製作したり、別途保持部分や複雑な案内機構を併設する必要があった。
【0028】
一方、本実施形態に係るブラシアタッチメント6の場合は、移動部分であるスライダ部3が手前側に向けて移動することにより、固定部であるベース部2がブラシ1に付着した塵埃や抜け毛の掻き取り機能を発揮する。従って限られた全長寸法のい中でブラシ1の適正長さを確保しながら、移動部品を厚く製作することができる。移動部品であるスライダ部3に十分な厚みTを持たせることにより、スライダ部3に用いる材料は金属に限定されることなく、例えば樹脂等を用いることができる。特に自己潤滑性の高い樹脂を用いた場合は、スライダ部3貫通穴14と吸引管7の外径部との隙間を小さく設定することができる。例えば手指で操作してもガタつきを感知しにくい0.05~0.1mm程度の隙間であっても滑らかなスライダ操作が可能になる。
【0029】
このようにスクレーパ機能を持たせていないスライダ部3には、十分な厚みを持たせることができる。保持部分となる厚みT、すなわちスライダ部3の厚みTは、3から30mmの範囲である。この寸法は、6から26mmであることが好ましく、9から22mmであることがより好ましく、12から18mmであることがより好ましく、15mm程度であることがさらに好ましい。保持部分となる厚み方向の寸法Tが上記の範囲となるスライダ部3を用いると、手指による保持が容易になるとともに、スライダ部3を往復運動させた場合も動きが安定し、スライダ部3の操作がし易くなるからである。
【0030】
また、前述のように、本実施形態に係るブラシアタッチメント6は、固定部であるベース部2に塵埃や抜け毛の掻き取り機能を持たせていることを特徴としている。このためスクレーパー機能を有するベース部2を単純で厚みを持たせた形状とすることができる。ベース部2を厚くすることにより、ベース部2にブラシ1が貫通する複数の孔cを設けた場合であっても十分な剛性を確保することができる。また、ベース部2に十分の厚みを持たせたことにより、材料に樹脂等を用いることが可能になる。樹脂を用いた場合は樹脂成型等により、製作コストを低減することができる。
【0031】
ここで、本実施形態に係るブラシアタッチメント6のブラシ1が、ベース部2の一面aから没する機能および効果について、収容性と集塵効率について説明する。前述のように、本実施形態に係るブラシアタッチメント6は、前記スライダ部3のスライドに伴ってブラシ1がベース部2の一面aから没し、ブラシ1がベース部2から没することにより一面aが露出するブラシアタッチメント6である。
【0032】
まず、収納性については、本実施形態に係るブラシアタッチメント6は、ブラシ1をベース部2の先端側端面に形成された一面aよりも先端側に向けて、使用時のみ突出させることができる。一方、使用終了時には、スライダ部3を手前側に後退させることにより、スライダ部3に植設されたブラシ1も手前側に後退させて、ブラシアタッチメント6の全長をブラシアタッチメント6使用時のブラシ1が突出した状態よりも短くすることができる。
【0033】
全長が短くなったブラシアタッチメント6においては、スライダ部3に植設されたブラシ1は、ベース部2よりも手前側のブラシアタッチメント6内に収納される。このようにブラシ1が露出していないことによりブラシ1の保護が可能になる。またブラシアタッチメント6の梱包がコンパクトになり、省スペース、省資源につながる。
【0034】
次に集塵効率について説明する。図3(a)に示すように、ベース部2の先端側端面には、ブラシ1が突出する一面aが形成されている。このブラシ1が突出する一面aは、ベース部2の円盤状フランジ部13の外縁部から中央の開口8に連なる傾斜面から構成されている。すなわち、ブラシ1が突出する一面cは、立断面視ですり鉢状の傾斜凹部bを形成している。
このすり鉢状の傾斜凹部bの中央の開口8以外の部分に、複数の貫通孔cが吸引管7の軸方向に沿って形成されている。
【0035】
すり鉢状の傾斜凹部bの中央の開口8以外の部分に設けられた複数の貫通孔cからは、ベース部2に連通する吸引管7の軸方向に沿って、スライダ部3の先端側端面に植設された複数のブラシ1が貫通し、突出するように設定されている。
【0036】
前述のようにスライダ部3は、往復運動のための力を与えると吸引管7の軸方向に沿って、所定の範囲Sをストロークできる構造になっている。スライダ部3の先端側端面に植設されたブラシ1も、所定の範囲をストロークするスライダ部3と一体となって、ブラシアタッチメント6の長手方向に延在する吸引管7の軸方向に移動することができる。スライダ部3すなわちブラシ1をブラシアタッチメント6の手前側に後退させると、ブラシ1突出時にはブラシ1の根元に位置していた複数の孔cによりブラシ1に付着した塵埃や抜け毛を掻き出すことができる。掻き出された塵埃や抜け毛は、ブラシ1による凸状障害物のない面上を容易に移動して吸引管7と連通する開口8に集塵される。
【0037】
特に、本実施形態に係る吸引ブラシ装置100は、前述のようにブラシ1が突出する一面aを立断面視ですり鉢状の傾斜凹部bに形成している。このため、すり鉢状に窪んで傾斜する内面によって、掻き出された塵埃や抜け毛を底面の集塵穴の機能を有する開口8に向けて誘導するための集塵効率を向上させている。すり鉢状に窪んで傾斜する内面上を通過して、ベース部2の中央部に位置する開口8へと誘導された塵埃や抜け毛は、さらに開口8から吸引管7の貫通穴9へと移動していく。
【0038】
なおブラシ1は、複数の孔cを微小な隙間を維持しながら摺動する。ブラシ1とベース部2に設けられた複数の孔cとの隙間は微小であるため、塵埃や抜け毛の侵入を困難にしながらブラシ1の滑らかな摺動を可能にしている。
【0039】
なお、本実施形態に係る吸引ブラシ装置100は、前述のようにブラシ1が突出する一面aを立断面視ですり鉢状の傾斜凹部bに形成しているが、形状はこれに限定されない。ブラシ1が突出する一面aは、凹面ではなく単なる平面状に形成されていてもよい。平面状に形成されることにより、ブラシ1の先端とブラシ1が突出する一面aとを同一高さにできるため、ブラシ1が突出する一面aに凹凸がなくなり平面状態となる。また、ブラシ1が突出する一面aが単純な平面からなることによりベース部2の製作も容易になる。
【0040】
吸引管7は、先端に設けられた大径フランジ形状のベース部2に連なる柱状部分と、フィルタ用筒体5と接続する接続部10と、吸引管手前端部に設けられたエンドストッパ11とを備えている。
【0041】
ベース部2の手前側には、スライダ部3を軸支する吸引管7が、両端開口の中空筒状に形成され、ベース部2と一体的に固定されている。
【0042】
吸引管7の手前側の開口39部は、先端側の開口8から吸引した塵埃や抜け毛を送り出すとともに、接続部10は一式のフィルタ関連部材34と接続する接続部10として機能する。手前側の開口部39は、エンドストッパー11から手前側へ延在するパイプ状部材であり、径方向断面が円形状となっている。
【0043】
吸引管7の先端側の開口8と、吸引管7の手前側の開口39とは、吸引管内部に形成されたスライダ部3及びベース部2を貫通する貫通穴9を介して連通される。すなわちベース部2に連なる柱状の吸引管7の外径部は、スライダ部3を吸引管7の軸方向にスライドさせるすべり案内軸の役割を担っていると同時に、吸引管7の内径部である貫通孔は、開口8より吸引した塵埃や抜け毛を吸入気流によって搬送する搬送通路としても機能している。
【0044】
ベース部2に手前側に配置され、さらに手前側に外部機器の接続を行なう接続部10は、市販の電気掃除機の接続ホースと連結することが可能な規格に準じた統一された形状をしている。また接続部10は、後述する一式のフィルタ関連部材34を接続して、さらにその手前側に電源部29等を内蔵した吸引装置4を接続することもできる。接続部10は規格に準じた統一された形状をしているため、自由に市販の吸引機と接続して使用することができる。
【0045】
図3に示すように、吸引管7の手前側にはスライダ部3の吸引管7の軸方向での動きを規制するエンドストッパー11が設けられている。エンドストッパー11は吸引管7の軸方向と直行方向に円盤状に突出している。スライダ部3は吸引管7の軸方向に沿ってベース部2―エンドストッパー11間をストロークできる構造になっているため、ベース部2とエンドストッパー11との距離により、スライダ部3の左右の最大ストローク範囲Sが規定される。
【0046】
吸引管7のストローク範囲Sの両端部分には、半径方向外側へ突出する係合突起12を円環状に形成してもよい。係止突起12の最大外径は、スライダ部3のスライダ部挿通穴14の内径よりも大きく設定されている。係合突起12は、スライダ部3の挿通穴14に係合して、スライダ部3と一体に形成されたブラシ1の動きを、ベース部2からの最大突出位置と最低突出位置とで固定することができる。
【0047】
吸引管7の材料は、特に限定されない。本実施形態に係る吸引ブラシ装置100では樹脂材料を用いているが、樹脂材料の他金属や木材を使用することもできる。
【0048】
図4に示すように吸引装置4は、電源部29と、電源部29に接続され回転駆動するモータ30と、モータ30の回転によりエアを送出するブロワー31とを備えている。
【0049】
フィルター18の手前側には、吸引装置4としてブロワー31が隣接して配置されている。ブロワー31は、電源部29に接続されたモータ30により作動して手前側にエアを送出することにより、集塵室33を吸引するものである。ブロワー31により送出されたエアは、フィルタ用筒体5の手前側に設けられた排気口32を経て排気される。
【0050】
図4、5に示すように、吸引装置4とブラシアタッチメント6との間には、一式のフィルタ関連部材34が備えられている。
【0051】
図5に示す一式のフィルタ関連部材34は、フィルタ関連部材29を収容し、ブラシアタッチメント6および吸引装置4と接続するフィルタ用筒体5と、塵埃や抜け毛を除去する平面状のフィルタ18と、フィルタ用筒体5の内径部と内接しフィルタ18を保持する筒状のホルダ19と、塵埃の逆流を防止する逆流防止弁20とから構成されている。
【0052】
塵埃や抜け毛を除去する平面状のフィルタ18の外縁部は、内径部に段差部を形成するフィルタ用筒体5のフィルタ固定部36に、フィルタ18を保持する筒状のホルダ19により押圧固定されている。
【0053】
ブロワー31よりも先端側に配置されるフィルタ18は、ブロワー31部への塵埃や抜け毛の侵入による絡まり等の不具合を防止する。これにより、本実施形態に係る吸引ブラシ装置100のメンテナンスが容易になる。フィルタ素材は限定されず、例えば、布、不織布、濾紙、樹脂ネット、天然繊維、樹脂繊維などを用いることができる。
【0054】
また、フィルタ用筒体5のフィルタ18より先端側には、内径部の段差部により形成される逆流防止弁固定部38に、塵埃や抜け毛の先端方向への逆流を防止する逆流防止弁20が吸引管7の接続部10により押圧固定されている。
【0055】
逆流防止弁20は吸引した塵埃や抜け毛の先端方向への逆流を防止して吸引ブラシ装置100の操作性、メンテナンス性を向上させることができる。本実施形態に係る吸引ブラシ装置100に吸引された塵埃や抜け毛は、フィルタ18、ホルダ19の内径部、逆流防止弁20からなる集塵室21に貯留できる。つまり、塵埃を再循環させることなく捕捉することができる。
【0056】
図6に示すように、フィルタ18を押圧保持する筒状のホルダ19は、ホルダ端面の外周側に外径円筒面の軸方向延長上に鋭角なエッジ刃先23を有する刃部22を形成している。また、ホルダ端面の内周側には一定の面積の、軸方向に対して略直角方向に延在する押圧面25を形成している。エッジ刃先23を有する刃部22は、フィルタ18を打ち抜くため、ホルダ19の外径形状に沿った形状であることが好ましい。ホルダ19の備えられた刃部22でフィルタ18を形成したとき、なるべき大きくカットすることができ、フィルタ18の保持が安定するからである。また、ホルダ19の外径の断面形状がそのままフィルタ18の形状になるため製作上の形状・寸法管理が容易になるからである。
【0057】
ホルダ19端面の内周側に形成される押圧面25は、フィルタ18を押圧および保持する機能を有する。また、押圧面25から軸方向に切り立つ刃側面24は、フィルタ18を側面から保持する機能を有する。押圧面25と刃側面24により、ホルダ19とフィルタ18とを一体化することができる。またエッジ刃先23は、ホルダ19の外径円筒面と同一形状をしている。ホルダ19の外径円筒部は、フィルタ用筒体5の内部空間35の内径部と同一形状をしている。すなわち、ホルダ19およびホルダ19に打ち抜かれたフィルタ18は、打ち抜かれた後も一体状態を維持しユニット化されそのまま同一寸法のフィルタ用筒体5の内部空間35に装着することができる。ホルダ端部の押圧面は、ホルダ19の軸方向に対して略直角方向に延在する平面であることが好ましい。また、この押圧面のホルダ横断面積に占める割合は、50%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。フィルタ18を安定的に保持できるからである。
【0058】
また図6(a)に示すように本実施形態に係る吸引ブラシ装置100では、ホルダ19と刃部22を一体としているが、図6(a)に示すように刃部を円筒状の別部品とすることもできる。この場合別体式刃部27は、別体式ホルダ26の外径円筒部に同軸に摺動可能に装着される。別体式刃部27と別体式ホルダ26とは別部品で構成されているため、別体式刃部27は軸方向の別体式ホルダ26との突出量を自由に設定することができる。このため、図6(a)のように、刃部22の突出量が固定されている、刃部22およびホルダ一体式のホルダ19と異なり、厚さの異なるフィルタ素材を打ち抜くことができるシート状のフィルタ素材の選択肢が広がる。また、別体式刃部27は別体式ホルダ26と別部品であるため、別体式刃部27のみを交換することもできる。継続使用によりエッジ部が摩耗した場合は、別体式刃部27だけ交換できるため経済的である。
【0059】
また、別体式刃部27と別体式ホルダ26とを別部品として構成しているため、互いに異なる材料で製作することもできる。例えば、別体式刃部27は金属で製作し、別体式ホルダ26は樹脂で製作することも可能である。この場合は、別体式刃部27を金属で製作することにより切れ等の耐久性を増すことができる。一方、別体式ホルダ26を樹脂で製作することにより樹脂成型等の製作方法を採用できるため、安価に製作できコストダウンにつながる。さらに別体式ホルダ26を樹脂で製作する事により別体式ホルダ26に自己潤滑性を持たせることができる。このため、別体式刃部27はフィルタ18の打ち抜き時において、材料であるシート状のフィルタを押圧する別体式ホルダ26の外径円筒部を、自己潤滑性により滑らかにスライドすることができるため、フィルタ打ち抜き時の操作性が良好になる。
【0060】
また、図1に示すように、本実施形態に係る吸引ブラシ装置100は長手方向にストレートな形状をしているが、図7のようにブラシアタッチメント6を、吸引装置4に対して傾けて設置してもよい。ブラシアタッチメント6を傾けることにより多様なブラッシング用途に対応することができる。
【符号の説明】
【0061】
100 ブラシ装置
1 ブラシ
2 ベース部
3 スライダ部
4 吸引装置
5 フィルタ用筒体
6 ブラシアタッチメント
7 吸引管
8 開口部
9 貫通穴
10 接続部
11 エンドストッパー
12 係合突起部
13 円盤状フランジ部
14 スライダ部貫通穴
18 フィルタ
19 ホルダ
20 逆流防止弁
21 集塵室
22 刃部
23 エッジ刃先
24 刃側面
25 押圧面
26 別体式ホルダ
27 別体式刃部
29 電源部
30 モータ
31 ブロワー
32 排気口
34 一式のフィルタ関連部材
35 内部空間
36 フィルタ固定部
38 逆流防止弁固定部
39 開口
S スライダ部ストローク
T スライダ部厚さ
a ベース部2の一面
b 傾斜凹部
c 孔
【要約】
【課題】ブラシに付着した毛や塵埃を簡単、確実に取り除くことができ、メンテナンスが容易になるブラシを提供する。
【解決手段】スライダ部3と、スライダ部3の一面に植設された複数のブラシ1と、スライダ部3の一面側に配置され、複数のブラシ1が貫通する複数の孔cとブラシが突出する一面とを有するベース部2と、スライダ部3及びベース部2を貫通しスライダ部3をスライド可能に保持すると共にベース部2に固定される吸引管7とを有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7