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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-02
(45)【発行日】2022-03-10
(54)【発明の名称】包装体検査方法および包装体検査装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 57/02 20060101AFI20220303BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20220303BHJP
【FI】
B65B57/02 F
G06T7/00 610B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018089210
(22)【出願日】2018-05-07
(65)【公開番号】P2019196183
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000110044
【氏名又は名称】株式会社リブドゥコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【弁理士】
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】長野 徹
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-119517(JP,A)
【文献】特表2012-528766(JP,A)
【文献】特開2010-241486(JP,A)
【文献】特開2011-079564(JP,A)
【文献】特開2001-343329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 57/02
B65B 57/00
G06T 7/00
G01N 21/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装袋の内部に吸収性物品を収容して包装袋の開口部を溶着することにより左右方向に延びる帯状の封止部が形成された包装体の良否を検査する包装体検査方法であって、
封止前の前記開口部が、左右方向に平行な一対の第1辺および上下方向に平行な一対の第2辺を有する矩形状であり、
前記開口部が封止される際に、前記一対の第2辺が中央部を内側に突出させて折り畳まれ、上下方向に重なる前記一対の第1辺近傍の部位が左右方向に延びる溶着部にて溶着された後、前記溶着部から延在する延在部の一部が切除されて残りの部位が前記封止部となり、
前記包装体検査方法が、
a)前記包装体において前記封止部が配置される封止面を撮像して検査画像を取得する工程と、
b)前記検査画像上で前記包装体を示す包装体領域の左右方向の少なくとも一方側において、前記封止部の左右方向の端部から上方に延びる上折畳エッジの左右方向の位置と、前記封止部の前記端部から下方に延びる下折畳エッジの左右方向の位置とを求める工程と、
c)前記b)工程にて求められた前記上折畳エッジの左右方向の位置と前記下折畳エッジの左右方向の位置との差が所定の距離よりも大きい場合、前記包装体に封止異常が生じていると判定する工程と、
を備えることを特徴とする包装体検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載の包装体検査方法であって、
前記封止異常が、前記封止部において上下に重なる2つの部位の一方が他方に対して左右方向にずれた状態で溶着される上下シールずれを含むことを特徴とする包装体検査方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の包装体検査方法であって、
前記上折畳エッジの左右両側の領域の色が異なり、前記下折畳エッジの左右両側の領域の色が異なることを特徴とする包装体検査方法。
【請求項4】
請求項3に記載の包装体検査方法であって、
周囲の色とは異なる色を有するとともに左右方向に延びる帯状の検査用着色領域が、前記封止面において前記溶着部の上側または下側に設けられ、前記上折畳エッジまたは前記下折畳エッジと重なることを特徴とする包装体検査方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載の包装体検査方法であって、
前記a)工程と前記b)工程との間において、前記検査画像を2値化して前記上折畳エッジの左右両側の領域の画素値を異ならせ、前記下折畳エッジの左右両側の領域の画素値を異ならせる工程をさらに備えることを特徴とする包装体検査方法。
【請求項6】
包装袋の内部に吸収性物品を収容して包装袋の開口部を溶着することにより左右方向に延びる帯状の封止部が形成された包装体の良否を検査する包装体検査装置であって、
封止前の前記開口部が、左右方向に平行な一対の第1辺および上下方向に平行な一対の第2辺を有する矩形状であり、
前記開口部が封止される際に、前記一対の第2辺が中央部を内側に突出させて折り畳まれ、上下方向に重なる前記一対の第1辺近傍の部位が左右方向に延びる溶着部にて溶着された後、前記溶着部から延在する延在部の一部が切除されて残りの部位が前記封止部となり、
前記包装体検査装置が、
前記包装体において前記封止部が配置される封止面を撮像して検査画像を取得する撮像部と、
前記検査画像上で前記包装体を示す包装体領域の左右方向の少なくとも一方側において、前記溶着部の左右方向の端部から上方に延びる上折畳エッジの左右方向の位置と、前記溶着部の前記端部から下方に延びる下折畳エッジの左右方向の位置とを求める演算部と、
前記演算部により求められた前記上折畳エッジの左右方向の位置と前記下折畳エッジとの左右方向の位置との差が所定の距離よりも大きい場合、前記包装体に封止異常が生じていると判定する判定部と、
を備えることを特徴とする包装体検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋の内部に吸収性物品が収容されている包装体の良否を検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨ておむつ等の吸収性物品の製造現場において、吸収性物品を収容する包装袋の開口部を溶着して形成された封止部の検査が行われている。封止部の検査は、例えば、作業員の目視により行われる。
【0003】
また、特許文献1では、複数の吸収性物品が包装用袋体に収容されてなる包装製品の封止部の検査装置が提案されている。当該検査装置では、包装用袋体において封止部が設けられた底面部が撮像される。当該底面部には、インクで印刷された印刷領域と、インクで印刷されない非印刷領域とが存在する。上記包装製品において、複数の吸収性物品の包装用袋体への押し込み量が過大である場合、印刷領域が封止部に含まれ、インクが封止に悪影響を及ぼす。また、当該押し込み量が過小である場合、封止部の大きさが不足する。上記検査装置では、底面部の画像において、印刷領域または非印刷領域として特定される画像領域の大きさが求められ、当該画像領域の大きさが想定値よりも大きいまたは小さい場合、上述の封止異常が生じていると判断される。
【0004】
一方、レトルト包装体や食品が封入された包装袋の封止部を検査する装置として、撮像部により取得された包装体の検査画像と、正常な包装体の基準画像とを比較し、パターンマッチング等により封止部の不良を検出する装置が提案されている(特許文献2および特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6149098号公報
【文献】特開2002-74332号公報
【文献】特開2017-83403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、吸収性物品が収容された包装袋の封止では、溶着される2つのシート部がずれるシールずれや、溶着後の余剰部の切除の際に切除不良により余剰部が残るトリム残り等の様々な封止異常が生じる場合がある。特許文献1の検査装置では、複数の吸収性物品の押し込み量が正常である場合、シールずれやトリム残り等の封止異常が生じていたとしても、当該封止異常を検出することはできない。
【0007】
なお、吸収性物品が包装された包装体は比較的柔らかく、形状がある程度変化する可能性が高いため、パターンマッチング等を利用する検査では、正常範囲に含まれる形状の包装体であっても異常として検出され、検査精度が低下するおそれがある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、包装袋の内部に吸収性物品が収容されている包装体において、包装体の封止異常を精度良く検出することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、包装袋の内部に吸収性物品を収容して包装袋の開口部を溶着することにより左右方向に延びる帯状の封止部が形成された包装体の良否を検査する包装体検査方法であって、封止前の前記開口部が、左右方向に平行な一対の第1辺および上下方向に平行な一対の第2辺を有する矩形状であり、前記開口部が封止される際に、前記一対の第2辺が中央部を内側に突出させて折り畳まれ、上下方向に重なる前記一対の第1辺近傍の部位が左右方向に延びる溶着部にて溶着された後、前記溶着部から延在する延在部の一部が切除されて残りの部位が前記封止部となり、前記包装体検査方法が、a)前記包装体において前記封止部が配置される封止面を撮像して検査画像を取得する工程と、b)前記検査画像上で前記包装体を示す包装体領域の左右方向の少なくとも一方側において、前記封止部の左右方向の端部から上方に延びる上折畳エッジの左右方向の位置と、前記封止部の前記端部から下方に延びる下折畳エッジの左右方向の位置とを求める工程と、c)前記b)工程にて求められた前記上折畳エッジの左右方向の位置と前記下折畳エッジの左右方向の位置との差が所定の距離よりも大きい場合、前記包装体に封止異常が生じていると判定する工程とを備える。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の包装体検査方法であって、前記封止異常が、前記封止部において上下に重なる2つの部位の一方が他方に対して左右方向にずれた状態で溶着される上下シールずれを含む。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の包装体検査方法であって、前記上折畳エッジの左右両側の領域の色が異なり、前記下折畳エッジの左右両側の領域の色が異なる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の包装体検査方法であって、周囲の色とは異なる色を有するとともに左右方向に延びる帯状の検査用着色領域が、前記封止面において前記溶着部の上側または下側に設けられ、前記上折畳エッジまたは前記下折畳エッジと重なる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の包装体検査方法であって、前記a)工程と前記b)工程との間において、前記検査画像を2値化して前記上折畳エッジの左右両側の領域の画素値を異ならせ、前記下折畳エッジの左右両側の領域の画素値を異ならせる工程をさらに備える。
【0014】
請求項6に記載の発明は、包装袋の内部に吸収性物品を収容して包装袋の開口部を溶着することにより左右方向に延びる帯状の封止部が形成された包装体の良否を検査する包装体検査装置であって、封止前の前記開口部が、左右方向に平行な一対の第1辺および上下方向に平行な一対の第2辺を有する矩形状であり、前記開口部が封止される際に、前記一対の第2辺が中央部を内側に突出させて折り畳まれ、上下方向に重なる前記一対の第1辺近傍の部位が左右方向に延びる溶着部にて溶着された後、前記溶着部から延在する延在部の一部が切除されて残りの部位が前記封止部となり、前記包装体検査装置が、前記包装体において前記封止部が配置される封止面を撮像して検査画像を取得する撮像部と、前記検査画像上で前記包装体を示す包装体領域の左右方向の少なくとも一方側において、前記溶着部の左右方向の端部から上方に延びる上折畳エッジの左右方向の位置と、前記溶着部の前記端部から下方に延びる下折畳エッジの左右方向の位置とを求める演算部と、前記演算部により求められた前記上折畳エッジの左右方向の位置と前記下折畳エッジとの左右方向の位置との差が所定の距離よりも大きい場合、前記包装体に封止異常が生じていると判定する判定部とを備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、包装袋の内部に吸収性物品が収容されている包装体において、包装体の封止異常を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一の実施の形態に係る包装体検査装置の斜視図である。
図2】コンピュータの構成を示す図である。
図3】コンピュータにより実現される機能を示すブロック図である。
図4】包装体の製造の様子を示す斜視図である。
図5】包装体の製造の様子を示す斜視図である。
図6】包装体の製造の様子を示す斜視図である。
図7】包装体の製造の様子を示す斜視図である。
図8】検査画像を示す図である。
図9】包装体の第1の検査の流れを示す図である。
図10】検査画像を示す図である。
図11】2値化画像を示す図である。
図12】検査画像を示す図である。
図13】2値化画像を示す図である。
図14】検査画像を示す図である。
図15】2値化画像を示す図である。
図16】包装体の第2の検査の流れを示す図である。
図17】検査画像を示す図である。
図18A】2値化画像を示す図である。
図18B】2値化画像を示す図である。
図19】包装体の第3の検査の流れを示す図である。
図20】検査画像を示す図である。
図21】2値化画像を示す図である。
図22】包装体の第4の検査の流れを示す図である。
図23】検査画像を示す図である。
図24】検査画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る包装体検査装置1の構成を示す斜視図である。包装体検査装置1は、包装袋91の内部に吸収性物品92を収容して形成された包装体9の良否を検査する装置である。包装袋91は、樹脂により形成された不透明の袋状部材である。包装袋91は、例えば、白色の樹脂により形成され、外表面に有色インクにより印刷が施されている。吸収性物品92は、例えば、使い捨ておむつ等の使い捨て吸収性物品である。図1では、包装体検査装置1以外の構成も併せて図示している。
【0018】
包装体検査装置1は、撮像部2と、コンピュータ3とを備える。撮像部2は、包装体9を搬送するベルトコンベア等の搬送機構61近傍に配置される。包装体9は、底面93を側方に向けて搬送機構61上に配置される。包装体9の底面93には、搬送機構61による搬送方向に平行な方向(例えば、ベルトコンベアの移動方向であり、以下、「左右方向」と呼ぶ。)に延びる帯状の封止部94が設けられている。換言すれば、包装体9の底面93は、封止部94が配置される封止面である。封止部94は、包装袋91の開口部を溶着することにより形成される。
【0019】
包装体検査装置1では、包装体9の封止部94における封止状態の良否が検査される。包装体検査装置1により良品(すなわち、正常な状態の製品)と判断された包装体9は、搬送機構61により次の工程へと搬送される。一方、包装体検査装置1により不良品と判断された包装体9は、例えば、図示省略の払い出し機構により、搬送機構61上から押し出されて除外される。
【0020】
撮像部2は、照明部21と、カメラ22とを備える。照明部21は、搬送機構61上の包装体9の底面93に向けて照明光を照射する。カメラ22は、搬送機構61上の包装体9の底面93を撮像する。カメラ22は、例えば、搬送機構61上の包装体9と上下方向の略同じ位置に配置され、包装体9の底面93と水平方向において対向する。カメラ22の撮像軸は、例えば、包装体9の底面93に略垂直であり、底面93の略中央を通る。本実施の形態では、カメラ22による撮像が行われる際には、搬送機構61による包装体9の搬送が一時的に停止され、静止状態の包装体9の底面93の画像が取得される。これにより、撮像部2の構造を簡素化することができる。なお、包装体検査装置1では、移動中の包装体9が撮像され、底面93の画像が取得されてもよい。
【0021】
撮像部2により取得された包装体9の底面93の画像(以下、「検査画像」と呼ぶ。)は、コンピュータ3に送られる。当該検査画像は、例えば、カラー画像である。撮像部2では、複数のカメラ22が設けられてもよく、当該複数のカメラ22により取得された画像を合成して検査画像が生成されてもよい。
【0022】
図2は、コンピュータ3の構成を示す図である。コンピュータ3は、プロセッサ51と、メモリ52と、入出力部53と、バス54とを備える。バス54は、プロセッサ51、メモリ52および入出力部53を接続する信号回路である。メモリ52は、プログラムおよび各種情報を記憶する記憶部である。プロセッサ51は、メモリ52に記憶されるプログラム等に従って、メモリ52等を利用しつつ様々な処理(例えば、数値計算や画像処理)を実行する。入出力部53は、操作者からの入力を受け付けるキーボード55およびマウス56、並びに、プロセッサ51からの出力等を表示するディスプレイ57を備える。
【0023】
図3は、コンピュータ3により実現される機能を示すブロック図である。コンピュータ3は、記憶部31と、演算部32と、判定部33と、画像処理部34と、検査領域設定部35とを備える。記憶部31は、主にメモリ52により実現され、撮像部2から送られた検査画像等の各種情報を記憶する。演算部32は、主にプロセッサ51により実現され、記憶部31に格納されている検査画像から様々な情報を取得する。判定部33は、主にプロセッサ51により実現され、演算部32により取得された情報等に基づいて包装体9の良否を判定する。判定部33による判定結果は、例えば、ディスプレイ57に表示される。画像処理部34は、主にプロセッサ51により実現され、上述の検査画像に対する2値化等の画像処理を行う。検査領域設定部35は、主にプロセッサ51により実現され、上述の検査画像上において、後述する検査領域(すなわち、検査ウィンドウ)を設定する。
【0024】
図4ないし図7は、上述の包装体9の製造の様子を示す斜視図である。まず、図4に示すように、包装体9の底面93となる予定の部位(すなわち、封止前の開口部95)のみが開放された状態の包装袋91の内部に、当該開口部95から吸収性物品92が収容される。包装袋91内に収容される吸収性物品92の数は、1であっても、2以上であってもよい。本実施の形態では、複数の吸収性物品92が包装袋91の内部に収容される。開口部95は、略矩形状である。開口部95は、左右方向に略平行な一対の第1辺951と、上下方向に略平行な一対の第2辺952とを有する。
【0025】
包装袋91のうち、複数の吸収性物品92よりも図中の手前側に突出している部位96は、折り畳まれて封止されることにより包装体9の底面93となる予定の部位である。以下の説明では、当該部位96を「底面形成部96」と呼ぶ。また、底面形成部96のうち、一対の第1辺951と複数の吸収性物品92との間の2つの部位をそれぞれ「第1底面形成部961」と呼び、一対の第2辺952と複数の吸収性物品92との間の2つの部位962をそれぞれ「第2底面形成部962」と呼ぶ。一対の第1底面形成部961は、底面形成部96のうち一対の第1辺951近傍の部位である。図4中では、一対の第1底面形成部961は、包装袋91の開口部95の上側および下側に位置する。一対の第2底面形成部962は、底面形成部96のうち一対の第2辺952近傍の部位である。図4中では、一対の第2底面形成部962は、包装袋91の開口部95の左右両側に位置する。
【0026】
続いて、図5に示すように、一対の第2辺952が、上下方向の中央部を内側に(すなわち、互いに近づく方向に)突出させて折り畳まれる。これにより、包装袋91の一対の第2底面形成部962が、左右方向において互いに近づくように折り畳まれる。また、一対の第1辺951が上下方向において互いに近づき、図6に示すように、包装袋91の一対の第1底面形成部961(すなわち、一対の第1辺951近傍の部位)が上下方向に重なる。また、第2底面形成部962は、一対の第1底面形成部961と複数の吸収性物品92との間に折り込まれる。以下の説明では、折り込まれた状態の第2底面形成部962を、「ガセット折り込み部962」とも呼ぶ。ガセット折り込み部962は、一対の第1底面形成部961の左右方向の側縁から外側に露出している。
【0027】
そして、一対の第1底面形成部961が、左右方向に延びる略帯状または略線状の溶着部97にて溶着される。図6では、溶着部97に平行斜線を付す(後述する図7においても同様)。溶着部97は、例えば、上下から第1底面形成部961を挟んで加熱および押圧するヒートシール装置により形成される。図6に示す状態では、包装袋91の底面形成部96の一部が、溶着部97よりも手前側(すなわち、溶着部97を挟んで複数の吸収性物品92とは反対側)に大きく延在している。以下の説明では、底面形成部96のうち溶着部97から手前側に延在する部位を「延在部98」と呼ぶ。正常に溶着された状態の一対の第1底面形成部961では、上側の第1辺951の左右方向の端部は、下側の第1辺951の左右方向の端部と、左右方向においておよそ同じ位置に位置する。
【0028】
上述のように溶着部97が形成されると、延在部98のうち手前側の部位981(すなわち、複数の吸収性物品92から離れた自由端側の部位であり、以下、「余剰部981」と呼ぶ。)が、図7に示すように切除され、延在部98の残りの部位が、上述の封止部94となる。延在部98の部分的切除は、例えば、延在部98を上下から挟んで刃を左右方向にスライドさせて切断するスライドカッターにより行われる。なお、延在部98の部分的切除は、シャーリングカッターまたはロールカッター等により行われてもよい。包装体9では、各吸収性物品92のうち封止部94と重なる部位は、封止部94の色(例えば、白色)と異なる色(例えば、緑色、青色、紫色等)を有する。上述の包装体検査装置1では、図7に示す状態の包装体9(すなわち、封止部94形成後の包装体9)の検査が行われる。
【0029】
図8は、包装体検査装置1の撮像部2(図1参照)により取得された検査画像8の一例を示す図である。図8では、正常な状態の包装体9(すなわち、良品)の検査画像8を示す。検査画像8は、包装体9を示す包装体領域81と、包装体領域81の周囲の領域である背景領域82とを含む。包装体領域81は、詳細には、包装体9の底面93(図1参照)に対応する領域である。検査画像8および包装体領域81はそれぞれ、例えば略矩形状である。包装体領域81は、検査画像8のおよそ中央部に位置する。背景領域82は、例えば、包装体領域81を全周に亘って囲む略矩形枠状である。
【0030】
包装体領域81には、包装袋91の素材の地色である白色の領域と、包装袋91上に有色インクにて印刷が施された着色領域とが存在する。図8では、包装体領域81の着色領域には平行斜線を付し、白色領域には平行斜線を付していない。当該着色領域の色は、白色以外の様々な色(例えば、緑色、青色、紫色等)であってよい。図8では、背景領域82にも当該着色領域とは異なる平行斜線を付す。
【0031】
包装体領域81は、一対の第1底面形成部961に対応する第1底面領域83と、第1底面領域83の左右両側に位置する一対の第2底面領域84a,84bとを備える。一対の第2底面領域84a,84bは、一対の第2底面形成部962(すなわち、一対のガセット折り込み部962)に対応する。すなわち、一対の第2底面領域84a,84bは、第1底面領域83よりも奥側に位置する領域である。
【0032】
第1底面領域83は、略矩形状の領域である。一対の第2底面領域84a,84bはそれぞれ、上下方向に長い略帯状の領域である。一対の第2底面領域84a,84bはそれぞれ、第1底面領域83の上下方向の略全長に亘って延びる。図中の左側の第2底面領域84aは着色領域であり、右側の第2底面領域84bは白色領域である。
【0033】
第1底面領域83の上下方向の中央部には、左右方向に略平行に延びる封止部94に対応する封止領域85が位置する。封止領域85は、左右方向に略平行に延びる略帯状または略線状の領域である。封止領域85は、第1底面領域83の左右方向の全長に亘って延びており、第1底面領域83を上下に二分している。封止領域85は、白色領域である。
【0034】
以下の説明では、包装体領域81の左右両側の部分において、封止領域85の左右方向の端部(すなわち、封止部94の左右方向の端部)から上方に延びる第1底面領域83の側縁を、「上折畳エッジ837」と呼ぶ。また、包装体領域81の左右両側の部分において、封止領域85の左右方向の端部から下方に延びる第1底面領域83の側縁を、「下折畳エッジ838」と呼ぶ。図中の左側の上折畳エッジ837および下折畳エッジ838は、第1底面領域83と、着色領域である第2底面領域84aとの境界である。図中の右側の上折畳エッジ837および下折畳エッジ838は、第1底面領域83と、白色領域である第2底面領域84bとの境界である。
【0035】
第1底面領域83のうち、封止領域85よりも下側の領域は、第1着色領域831と、第1白色領域832とを備える。第1着色領域831は、第1底面領域83の最も下側に位置する。第1白色領域832は、第1着色領域831の上側において、第1着色領域831と封止領域85との間に位置する。第1着色領域831および第1白色領域832はそれぞれ、第1底面領域83の左右方向の略全長に亘って延びる略矩形状または略帯状の領域である。換言すれば、第1着色領域831および第1白色領域832はそれぞれ、図中の左側の下折畳エッジ838から右側の下折畳エッジ838まで延びており、左右両側の下折畳エッジ838と重なる。
【0036】
第1底面領域83のうち、封止領域85よりも上側の領域は、第2白色領域833と、第2着色領域834と、第3白色領域835とを備える。第3白色領域835は、第1底面領域83の最も上側に位置する。第2着色領域834は、第3白色領域835の下側に位置する。第2白色領域833は、第2着色領域834の下側において、第2着色領域834と封止領域85との間に位置する。また、第2着色領域834は、第3白色領域835と第2白色領域833との間に位置する。第2白色領域833、第2着色領域834および第3白色領域835はそれぞれ、第1底面領域83の左右方向の略全長に亘って延びる略矩形状または略帯状の領域である。換言すれば、第2白色領域833、第2着色領域834および第3白色領域835はそれぞれ、図中の左側の上折畳エッジ837から右側の上折畳エッジ837まで延びており、左右両側の上折畳エッジ837と重なる。第2着色領域834は、周囲の色とは異なる色を有する領域であり、後述する検査にて利用される検査用着色領域である。
【0037】
第1底面領域83では、第1着色領域831、第1白色領域832、封止領域85、第2白色領域833、第2着色領域834および第3白色領域835が、上下方向においてこの順番で隣接して(すなわち、連続して)配置される。以下の説明では、第1着色領域831と第1白色領域832との間の境界線861を「第1境界線861」と呼ぶ。また、第2白色領域833と第2着色領域834との間の境界線862を「第2境界線862」と呼び、第2着色領域834と第3白色領域835との間の境界線863を「第3境界線863」と呼ぶ。図8に示す例では、第1境界線861、第2境界線862および第3境界線863はそれぞれ、左右方向に略平行な略直線状であり、第1底面領域83の左右方向の略全長に亘って連続して延びる。
【0038】
次に、包装体検査装置1による包装体9の検査の流れについて説明する。図9は、包装体9の第1の検査の流れを示す図である。第1の検査が行われる際には、まず、図1に示す撮像部2により1つの包装体9の底面93(すなわち、封止面)が撮像され、検査画像8(図8参照)が取得される(ステップS11)。検査画像8は、撮像部2からコンピュータ3へと送られ、図3に示す記憶部31に格納される。上述のように、図8に示す検査画像8は、正常な状態の包装体9(すなわち、良品)の画像である。
【0039】
続いて、検査領域設定部35により、図10に示すように、検査画像8上に4つの第1検査領域71a~71dが設定される(ステップS12)。第1検査領域71a~71dは、包装体領域81の周囲を囲むように、検査画像8の背景領域82に配置される。第1検査領域71a~71dはそれぞれ、矩形状の領域である。包装体領域81に対する第1検査領域71a~71dの相対位置は、例えば、正常であることが判明している基準状態の包装体9を撮像部2により撮像した画像に基づいて、予め決定されている。
【0040】
第1検査領域71a~71dはそれぞれ、包装体領域81の外縁から離間している。換言すれば、第1検査領域71a~71dと包装体領域81との間には、背景領域82が存在する。第1検査領域71a~71dと包装体領域81との間のそれぞれの最短距離(すなわち、第1検査領域71a~71dと包装体領域81との間に位置する背景領域82の幅)は、例えば、5mm~20mmである。当該最短距離は5mm未満であってもよいが、最短距離が過剰に小さい場合、後述する包装体9の良否検査において、良品が不良品として誤検出される可能性がある。また、当該最短距離は20mmよりも大きくてもよいが、最短距離が過剰に大きい場合、包装体9の良否検査において、一部の不良品が検出されない可能性がある。
【0041】
第1検査領域71aは、包装体領域81の左側に配置され、第1検査領域71bは、包装体領域81の右側に配置される。第1検査領域71a,71bはそれぞれ、上下方向に略平行に延びる略帯状の領域である。第1検査領域71a,71bはそれぞれ、包装体領域81の封止領域85の側方に位置し、封止領域85よりも上側の位置から、封止領域85よりも下側の位置まで延びる。したがって、第1検査領域71aの少なくとも一部は、封止部94と上下方向の同じ位置に位置する。また、第1検査領域71bの少なくとも一部も、封止部94と上下方向の同じ位置に位置する。換言すれば、第1検査領域71a,71bは、左右方向において封止部94と重なる(すなわち、並ぶ)位置に配置される。
【0042】
第1検査領域71cは、包装体領域81の下側に配置され、第1検査領域71dは、包装体領域81の上側に配置される。第1検査領域71c,71dはそれぞれ、左右方向に略平行に延びる略帯状の領域である。
【0043】
図10に示す例では、第1検査領域71a,71bの上下方向の長さはそれぞれ、包装体領域81の上下方向の長さよりも長い。第1検査領域71a,71bの上端はそれぞれ、包装体領域81の上端よりも上側に位置し、第1検査領域71a,71bの下端はそれぞれ、包装体領域81の下端よりも下側に位置する。第1検査領域71c,71dの左右方向の長さはそれぞれ、包装体領域81の左右方向の長さよりも長い。第1検査領域71c,71dの右端はそれぞれ、包装体領域81の右端よりも右側に位置し、第1検査領域71c,71dの左端はそれぞれ、包装体領域81の左端よりも左側に位置する。なお、包装体検査装置1では、第1検査領域71a~71dの全てが設定される必要はなく、第1検査領域71a~71dのうち1つ以上の第1検査領域が設定されていればよい。
【0044】
第1検査領域71a~71dの設定が終了すると、画像処理部34(図3参照)により検査画像8の画像処理が行われる。例えば、カラー画像である検査画像8が、画像処理部34によりモノクロ多値のグレースケール画像に変換される。変換後の検査画像8では、包装体領域81の白色領域(すなわち、図8に示す第1白色領域832、第2白色領域833、第3白色領域835、第2底面領域84bおよび封止領域85)は、他の領域よりも明るく、画素値も他の領域よりも大きい。また、包装体領域81の着色領域(すなわち、図8に示す第1着色領域831、第2着色領域834および第2底面領域84a)は、上述の白色領域よりも暗く、画素値も白色領域よりも小さい。背景領域82は、上述の白色領域および着色領域よりも暗く、画素値も白色領域および着色領域よりも小さい。
【0045】
続いて、グレースケールに変換後の検査画像8が、画像処理部34により、所定の閾値にて2値化される(ステップS13)。当該閾値は、上述の着色領域の画素値よりも小さく、背景領域82の画素値よりも大きい。ステップS13の2値化により、包装体領域81全体の画素値が「1(明)」となり、背景領域82全体の画素値が「0(暗)」となる。なお、ステップS13は、ステップS11とステップS12との間に行われてもよい。また、2値化による上述の画素値の明暗は反転されてもよい。
【0046】
図11は、2値化後の検査画像である2値化画像8aを示す図である。画像処理部34により生成された2値化画像8aは、記憶部31(図3参照)に格納される。図11では、画素値が「0」である領域に平行斜線を付す。以下の説明では、2値化画像8aにおいて画素値が「0」である領域を「暗領域870」と呼び、画素値が「1」である領域を「明領域871」と呼ぶ。また、図11では、包装体領域81の各領域の境界線を二点鎖線にて示す。図11に示すように、4つの第1検査領域71a~71dは全て、2値化画像8aの暗領域870に配置される。
【0047】
2値化画像8aが生成されると、演算部32(図3参照)により、第1検査領域71aに含まれる全ての画素について、各画素の画素値が確認され、画素値が「1」である画素(以下、「明画素」とも呼ぶ。)の数が求められる。そして、第1検査領域71aに含まれる明画素の数が、第1検査領域71aの全画素数により除算されることにより、第1検査領域71aにおける明画素の割合(以下、「明画素割合」とも呼ぶ。)が求められる。包装体検査装置1では、第1検査領域71b~71dのそれぞれについても、演算部32により明画素割合が求められる(ステップS14)。
【0048】
その後、判定部33(図3参照)により、ステップS14にて求められた第1検査領域71a~71dの明画素割合に基づいて、検査画像8の包装体9の良否が判定される。具体的には、第1検査領域71a~71dのうち少なくとも1つの第1検査領域において、明画素割合が所定の閾値(以下、「第1良否閾値」と呼ぶ。)よりも大きい場合、上記包装体9に封止異常が生じていると判断する。一方、第1検査領域71a~71dの全てにおいて、明画素割合が第1良否閾値以下である場合、上記包装体9には封止異常は生じておらず、正常状態(すなわち、良品)と判断する(ステップS15)。第1良否閾値は、例えば1%である。第1良否閾値は、適宜変更されてよい。
【0049】
図11に示すように、正常な状態の包装体9(すなわち、良品)の2値化画像8aでは、第1検査領域71a~71dには明画素は含まれておらず、第1検査領域71a~71dに含まれる各画素の画素値は「0」である。したがって、第1検査領域71a~71dのそれぞれの明画素割合は、0%である。このため、判定部33は、包装体9の封止状態は正常であると判断する。
【0050】
図12は、図10とは異なり、封止部94に異常が生じている包装体9を、撮像部2により撮像して得られた検査画像8である(ステップS11)。検査画像8上には、上述の第1検査領域71a~71dが設定される(ステップS12)。図12に示す包装体9では、封止部94から切除される予定の余剰部981(図7参照)が、切断不良等により封止部94と完全には切り離されず、部分的に繋がった状態で包装体9に残る異常(以下、「トリム残り」と呼ぶ。)が生じている。図12に示す例では、余剰部981は、封止部94の図中の右端部と繋がっており、封止部94の右端部から下方に垂れ下がっている。余剰部981は、第1検査領域71cを略上下方向に縦断している。
【0051】
図13は、図12に示す検査画像8が画像処理部34により2値化された2値化画像8aである(ステップS13)。2値化画像8aが生成されると、上述のように、第1検査領域71a~71dのそれぞれの明画素割合が、演算部32により求められる(ステップS14)。図13に示す例では、余剰部981に対応する明領域871aが、包装体領域81の下端から下方へと延びている。
【0052】
余剰部981に対応する明領域871aの一部は、第1検査領域71cに含まれている。演算部32では、明領域871aのうち第1検査領域71cに含まれる部分(すなわち、余剰部981の当該一部)の画素数が求められる。換言すれば、第1検査領域71cにおいて、包装体領域81から背景領域82(すなわち、暗領域870)にはみ出す包装体9の非定常部(すなわち、余剰部981)の大きさが演算部32により求められる。そして、明領域871aのうち第1検査領域71cに含まれる部分の画素数が、第1検査領域71cの全画素数により除算されることにより、第1検査領域71cの明画素割合が求められる。図13に示す例では、第1検査領域71cの明画素割合は、第1良否閾値よりも大きい。なお、第1検査領域71a,71b,71dの明画素割合は0%である。
【0053】
上述のように、第1検査領域71cの明画素割合は第1良否閾値よりも大きいため(すなわち、ステップS14にて求められた非定常部の大きさが所定の大きさよりも大きいため)、判定部33は、包装体9に封止異常(すなわち、トリム残り)が生じている、と判定する。包装体9の封止異常が検出されると、コンピュータ3のディスプレイ57(図2参照)に、封止異常が検出された旨の警告が表示され、当該包装体9が搬送機構61(図1参照)上から払い出される。
【0054】
図14は、封止部94に図12に示す異常(すなわち、トリム残り)とは異なる異常が生じている包装体9を、撮像部2により撮像した検査画像8である(ステップS11)。検査画像8上には、上述の第1検査領域71a~71dが設定される(ステップS12)。図14に示す検査画像8では、封止部94において上下に重なる2つの部位(すなわち、一対の第1底面形成部961)のうち、一方の部位が他方の部位に対して左右方向にずれる異常(以下、「上下シールずれ」と呼ぶ。)が生じている。図14に示す例では、封止部94において、上側の第1底面形成部961が、下側の第1底面形成部961に対して図中の左側に相対的にずれている。上側の第1底面形成部961は、第1検査領域71aを略左右方向に横断している。
【0055】
図15は、図14に示す検査画像8が画像処理部34により2値化された2値化画像8aである(ステップS13)。2値化画像8aが生成されると、上述のように、第1検査領域71a~71dのそれぞれの明画素割合が、演算部32により求められる(ステップS14)。図15に示す例では、封止部94の上側の第1底面形成部961に対応する明領域871bが、包装体領域81の左端から左方へと延びている。
【0056】
封止部94の上側の第1底面形成部961に対応する明領域871bの一部は、第1検査領域71aに含まれている。演算部32では、明領域871bのうち第1検査領域71aに含まれる部分(すなわち、上側の第1底面形成部961の当該一部)の画素数が求められる。換言すれば、第1検査領域71aにおいて、包装体領域81から背景領域82(すなわち、暗領域870)にはみ出す包装体9の非定常部(すなわち、上側の第1底面形成部961)の大きさが演算部32により求められる。そして、明領域871bのうち第1検査領域71aに含まれる部分の画素数が、第1検査領域71aの全画素数により除算されることにより、第1検査領域71aの明画素割合が求められる。図15に示す例では、第1検査領域71aの明画素割合は、第1良否閾値よりも大きい。なお、第1検査領域71b~71dの明画素割合は0%である。
【0057】
上述のように、第1検査領域71aの明画素割合は第1良否閾値よりも大きいため(すなわち、ステップS14にて求められた非定常部の大きさが所定の大きさよりも大きいため)、判定部33は、包装体9に封止異常(すなわち、上下シールずれ)が生じている、と判定する。包装体9の封止異常が検出されると、コンピュータ3のディスプレイ57(図2参照)に、封止異常が検出された旨の警告が表示され、当該包装体9が搬送機構61(図1参照)上から払い出される。
【0058】
以上に説明したように、上述の包装体検査方法では、左右方向に延びる帯状の封止部94を備える包装体9の良否が検査される。封止部94は、包装袋91の内部に吸収性物品92を収容して、包装袋91の開口部95を溶着することにより形成される。当該包装体検査方法は、包装体9において封止部94が配置される封止面(すなわち、底面93)を撮像して、包装体9を示す包装体領域81および包装体領域81の周囲の領域である背景領域82を含む検査画像8を取得する工程(ステップS11)と、検査画像8の背景領域82に設定された検査領域(すなわち、第1検査領域71a~71dのうち少なくとも1つ)において、包装体領域81から背景領域82にはみ出す包装体9の非定常部の大きさを求める工程(ステップS14)と、ステップS14にて求められた非定常部の大きさが所定の大きさよりも大きい場合、包装体9に封止異常が生じていると判定する工程(ステップS15)と、を備える。これにより、包装体9の封止異常を、作業員の目視等によらず自動的に、かつ、作業員の習熟度等に影響されることなく精度良く検出することができる。
【0059】
上述の包装体検査方法では、上記検査領域(すなわち、第1検査領域71a~71d)の少なくとも一部は、封止部94と上下方向の同じ位置に位置することが好ましい。これにより、包装体9の非定常部が包装体領域81から左右方向にはみ出す(すなわち、突出する)封止異常を精度良く検出することができる。
【0060】
より好ましくは、ステップS15にて検出される当該封止異常は、封止部94において上下に重なる2つの部位(すなわち、一対の第1底面形成部961)の一方が他方に対して左右方向にずれた状態で溶着される上下シールずれを含む。これにより、包装体9における上下シールずれを自動的にかつ精度良く検出することができる。
【0061】
また、ステップS15にて検出される当該封止異常は、上述の上下シールずれ以外に、例えば、包装袋91に所定個数よりも多い吸収性物品92が封入されて包装体9が膨らむ異常(以下、「過剰封入」と呼ぶ。)、あるいは、包装袋91に吸収性物品92以外の異物が封入されて包装体9が膨らむ異常(以下、「異物封入」と呼ぶ。)等も含むことが好ましい。これにより、包装体9における過剰封入または異物封入も自動的にかつ精度良く検出することができる。
【0062】
上述の包装体検査方法では、上記検査領域(すなわち、第1検査領域71a~71d)の少なくとも一部は、包装体領域81の上側または下側に位置することが好ましい。これにより、包装体9の非定常部が包装体領域81から上方または下方にはみ出す(すなわち、突出する)封止異常を精度良く検出することができる。例えば、当該検査領域が包装体領域81の下側に位置する場合、上述の余剰部981が封止部94に残る封止異常であるトリム残りの検出に適している。また、当該検査領域が包装体領域81の上側に位置する場合、上述の過剰封入および異物封入の検出に適している。
【0063】
上述のように、検査領域(すなわち、第1検査領域71a~71d)は、包装体領域81から離間している。これにより、包装体9の基準状態からの僅かな変形(すなわち、基準状態の包装体領域81からの僅かなずれ)を封止異常として検出することなく、正常状態として許容することができる。包装体9は比較的柔軟で変形しやすいため、上述のように、僅かな変形を許容することにより、正常状態である包装体9を封止異常として誤検出することを防止することができる。その結果、封止異常の検出精度を向上することができる。
【0064】
上述の包装体検査方法では、検査画像8の取得(ステップS11)と包装体9の非定常部の大きさの取得(ステップS14)との間において、検査画像8を2値化する工程(ステップS13)をさらに備えることが好ましい。これにより、背景領域82にはみ出している包装体9の非定常部を容易に抽出することができる。その結果、ステップS14における検査領域の明画素割合の算出を容易とすることができ、包装体9の検査に要する時間を短縮することができる。
【0065】
上述のように、包装体検査装置1は、撮像部2と、演算部32と、判定部33とを備える。撮像部2は、包装体9において封止部94が配置される封止面(すなわち、底面93)を撮像して、包装体9を示す包装体領域81および包装体領域81の周囲の領域である背景領域82を含む検査画像8を取得する。演算部32は、検査画像8の背景領域82に設定された検査領域(すなわち、第1検査領域71a~71dのうち少なくとも1つ)において、包装体領域81から背景領域82にはみ出す包装体9の非定常部の大きさを求める。判定部33は、演算部32により求められた非定常部の大きさが所定の大きさよりも大きい場合、包装体9に封止異常が生じていると判定する。包装体検査装置1によれば、包装体9の封止異常を、作業員の目視等によらず自動的に、かつ、作業員の習熟度等に影響されることなく精度良く検出することができる。
【0066】
図16は、包装体9の第2の検査の流れを示す図である。第2の検査が行われる際には、まず、図1に示す撮像部2により包装体9の底面93(すなわち、封止面)が撮像され、図17に示す検査画像8が取得される(ステップS21)。図17に示す検査画像8では、封止部94において上下に重なる2つの部位(すなわち、一対の第1底面形成部961)のうち、一方の部位が他方の部位に対して左右方向にずれる異常(すなわち、上下シールずれ)が生じている。図17に示す例では、封止部94において、上側の第1底面形成部961が、下側の第1底面形成部961に対して図中の左側に相対的にずれている。
【0067】
続いて、検査領域設定部35により、検査画像8上に4つの第2検査領域72a~72dが設定される(ステップS22)。第2検査領域72a~72dは、包装体領域81の左端部および右端部において、上折畳エッジ837および下折畳エッジ838が配置される予定の位置に、第1底面領域83と第2底面領域84a,84bとに跨がって配置される。第2検査領域72a~72dはそれぞれ、略矩形状の領域である。第2検査領域72a~72dの左右方向の長さおよび上下方向の長さは、包装体領域81の左右方向の長さおよび上下方向の長さよりも小さい。第2検査領域72a~72dの上下方向の長さは、例えば、第2着色領域834の上下方向の長さとおよそ同じである。包装体領域81に対する第2検査領域72a~72dの相対位置は、例えば、正常であることが判明している基準状態の包装体9を撮像部2により撮像した画像に基づいて、予め決定されている。
【0068】
第2検査領域72aは、包装体領域81の左端部において、正常な状態の左側の上折畳エッジ837が通る位置を左右に跨いで配置される。第2検査領域72bは、包装体領域81の右端部において、正常な状態の右側の上折畳エッジ837が通る位置を左右に跨いで配置される。第2検査領域72cは、包装体領域81の左端部において、正常な状態の左側の下折畳エッジ838が通る位置を左右に跨いで配置される。第2検査領域72dは、包装体領域81の右端部において、正常な状態の右側の下折畳エッジ838が通る位置を左右に跨いで配置される。
【0069】
図17に示す例では、第2検査領域72aは、第2白色領域833と左側の第2底面領域84aとに跨がっている。第2検査領域72aでは、上折畳エッジ837の左右両側の領域の色が異なる。また、第2検査領域72cは、第1白色領域832と左側の第2底面領域84aとに跨がっている。第2検査領域72cでは、下折畳エッジ838の左右両側の領域の色が異なる。第2検査領域72aと封止領域85との間の上下方向の距離は、第2検査領域72cと封止領域85との間の上下方向の距離とおよそ同じである。
【0070】
第2検査領域72bは、第2着色領域834と右側の第2底面領域84bとに跨がっている。第2検査領域72bでは、上折畳エッジ837の左右両側の領域の色が異なる。また、第2検査領域72dは、第1着色領域831と右側の第2底面領域84bとに跨がっている。第2検査領域72dでは、下折畳エッジ838の左右両側の領域の色が異なる。第2検査領域72bと封止領域85との間の上下方向の距離は、第2検査領域72dと封止領域85との間の上下方向の距離とおよそ同じである。
【0071】
なお、包装体検査装置1では、第2検査領域72a~72dの全てが設定される必要はなく、第2検査領域72a~72dのうち、上下方向に並ぶ2つの第2検査領域が設定されていればよい。具体的には、第2検査領域72a,72cが設定される場合、第2検査領域72b,72dは省略されてもよく、第2検査領域72b,72dが設定される場合、第2検査領域72a,72cは省略されてもよい。
【0072】
第2検査領域72a~72dの設定が終了すると、画像処理部34により検査画像8の画像処理が行われる。例えば、カラー画像である検査画像8が、画像処理部34によりモノクロ多値のグレースケール画像に変換される。変換後の検査画像8では、包装体領域81の白色領域(すなわち、第1白色領域832、第2白色領域833、第3白色領域835、第2底面領域84bおよび封止領域85)は、他の領域よりも明るく、画素値も他の領域よりも大きい。また、包装体領域81の着色領域(すなわち、第1着色領域831、第2着色領域834および第2底面領域84a)は、上述の白色領域よりも暗く、画素値も白色領域よりも小さい。背景領域82は、上述の白色領域および着色領域よりも暗く、画素値も白色領域および着色領域よりも小さい。
【0073】
続いて、グレースケールに変換後の検査画像8が、画像処理部34により、所定の閾値にて2値化される(ステップS23)。当該閾値は、上述の白色領域の画素値よりも小さく、着色領域の画素値よりも大きい。ステップS23の2値化により、包装体領域81の白色領域の画素値が「1(明)」となり、包装体領域81の着色領域および背景領域82全体の画素値が「0(暗)」となる。なお、ステップS23は、ステップS21とステップS22との間に行われてもよい。また、2値化による上述の画素値の明暗は反転されてもよい。
【0074】
図18Aは、2値化後の検査画像である2値化画像8aを示す図である。画像処理部34により生成された2値化画像8aは、記憶部31(図3参照)に格納される。図18Aでは、画素値が「0」である領域に平行斜線を付す。以下の説明では、2値化画像8aにおいて画素値が「0」である領域を「暗領域870」と呼び、画素値が「1」である領域を「明領域871」と呼ぶ。また、図18Aでは、包装体領域81の輪郭および境界線の一部を二点鎖線にて示す。図18Aに示すように、第2検査領域72a~72dはそれぞれ、2値化画像8aの明領域871と暗領域870とを左右方向に跨いで配置される。換言すれば、ステップS23の2値化は、第2検査領域72a~72dのそれぞれにおいて、上折畳エッジ837または下折畳エッジ838の左右両側の領域の画素値を異ならせる。
【0075】
2値化画像8aでは、第2検査領域72a,72cが設定される画像の左側領域と、第2検査領域72b,72dが設定される画像の右側領域とで、明領域871および暗領域870が反転して設定されてもよい。例えば、図18Bに示すように、第2検査領域72b,72dが設定される画像の右側領域において、第1着色領域831および第2着色領域834(図17参照)に対応する領域が明領域871とされ、その他の領域が暗領域870とされてもよい。この場合であっても、第2検査領域72b,72dはそれぞれ、2値化画像8aの明領域871と暗領域870とを左右方向に跨いで配置される。
【0076】
2値化画像8aが生成されると、演算部32(図3参照)により、第2検査領域72aにおける明領域871と暗領域870との境界の左右方向の位置が、包装体領域81の左側の上折畳エッジ837の左右方向の位置として求められる。具体的には、例えば、第2検査領域72aにおいて左右方向に1列に並ぶ複数の画素(以下、「横画素列」と呼ぶ。)において、画素値が1から0に変化する位置(以下、「画素値変化位置」と呼ぶ。)を求める。そして、第2検査領域72a中において上下方向に並ぶ複数の横画素列における画素値変化位置をそれぞれ求め、これら複数の画素値変化位置の平均値を、上述の上折畳エッジ837の左右方向の位置とする。なお、演算部32では、例えば、第2検査領域72aの上下方向の中央に位置する1つの横画素列における画素値変化位置が、上折畳エッジ837の左右方向の位置として求められてもよい。
【0077】
包装体検査装置1では、演算部32により、第2検査領域72b~72dについても、第2検査領域72aと同様の処理が行われ、包装体領域81の右側の上折畳エッジ837、包装体領域81の左側の下折畳エッジ838、および、包装体領域81の右側の下折畳エッジ838のそれぞれについて、左右方向の位置が求められる(ステップS24)。
【0078】
その後、判定部33により、ステップS24にて求められた上折畳エッジ837の位置と下折畳エッジ838の位置とに基づいて、検査画像8の包装体9の良否が判定される。具体的には、第2検査領域72aにおける上折畳エッジ837の左右方向の位置と、第2検査領域72cにおける下折畳エッジ838の左右方向の位置との差(すなわち、上折畳エッジ837と下折畳エッジ838との左右方向の位置ずれ)が求められ、当該差が所定の距離(以下、「第2良否閾値」と呼ぶ。)よりも大きい場合、上記包装体9に封止異常が生じていると判断する。また、第2検査領域72bにおける上折畳エッジ837の左右方向の位置と、第2検査領域72dにおける下折畳エッジ838の左右方向の位置との差が第2良否閾値よりも大きい場合も、上記包装体9に封止異常が生じていると判断する。一方、包装体領域81の左側および右側の双方において、上折畳エッジ837の左右方向の位置と下折畳エッジ838の左右方向の位置との差が第2良否閾値以下である場合、上記包装体9には封止異常は生じておらず、正常状態(すなわち、良品)と判断する(ステップS25)。第2良否閾値は、例えば30mmである。第2良否閾値は、包装体9のサイズ等に合わせて適宜変更されてよい。
【0079】
図18Aに示す例では、包装体領域81の左側および右側の双方において、上折畳エッジ837の左右方向の位置と下折畳エッジ838の左右方向の位置との差が第2良否閾値よりも大きい。したがって、判定部33は、包装体9に封止異常(すなわち、上述の上下シールずれ)が生じている、と判定する。包装体9の封止異常が検出されると、コンピュータ3のディスプレイ57(図2参照)に、封止異常が検出された旨の警告が表示され、当該包装体9が搬送機構61(図1参照)上から払い出される。
【0080】
以上に説明したように、上述の包装体検査方法では、左右方向に延びる帯状の封止部94を備える包装体9の良否が検査される。封止部94は、包装袋91の内部に吸収性物品92を収容して、包装袋91の開口部95を溶着することにより形成される。封止前の開口部95は、左右方向に平行な一対の第1辺951、および、上下方向に平行な一対の第2辺952を有する矩形状である。開口部95が封止される際には、一対の第2辺952が中央部を内側に突出させて折り畳まれ、上下方向に重なる一対の第1辺951近傍の部位が、左右方向に延びる溶着部97にて溶着される。その後、溶着部97から延在する延在部98の一部が切除されて、残りの部位が封止部94となる。
【0081】
当該包装体検査方法は、包装体9において封止部94が配置される封止面(すなわち、底面93)を撮像して検査画像8を取得する工程(ステップS21)と、検査画像8上で包装体9を示す包装体領域81の左右方向の少なくとも一方側において、封止部94の左右方向の端部から上方に延びる上折畳エッジ837の左右方向の位置と、封止部94の当該端部から下方に延びる下折畳エッジ838の左右方向の位置とを求める工程(ステップS24)と、ステップS24にて求められた上折畳エッジ837の左右方向の位置と下折畳エッジ838の左右方向の位置との差が、所定の距離よりも大きい場合、包装体9に封止異常が生じていると判定する工程(ステップS25)と、を備える。これにより、包装体9の封止異常を、作業員の目視等によらず自動的に、かつ、作業員の習熟度等に影響されることなく精度良く検出することができる。
【0082】
上述の包装体検査方法では、好ましくは、ステップS25にて検出される当該封止異常は、封止部94において上下に重なる2つの部位(すなわち、一対の第1底面形成部961)の一方が他方に対して左右方向にずれた状態で溶着される上下シールずれを含む。これにより、包装体9における上下シールずれを自動的にかつ精度良く検出することができる。
【0083】
また、ステップS25にて検出される当該封止異常は、上述の上下シールずれ以外に、例えば、過剰封入または異物封入等も含むことが好ましい。これにより、包装体9における過剰封入または異物封入も自動的にかつ精度良く検出することができる。
【0084】
上述の包装体検査方法では、好ましくは、上折畳エッジ837の左右両側の領域の色が異なり、下折畳エッジ838の左右両側の領域の色が異なる。これにより、ステップS24において、上折畳エッジ837および下折畳エッジ838を容易に抽出することができ、上折畳エッジ837および下折畳エッジ838の左右方向の位置を容易に求めることができる。
【0085】
より好ましくは、周囲の色とは異なる色を有するとともに左右方向に延びる帯状の検査用着色領域(すなわち、第2着色領域834)が、底面93において溶着部97の上側または下側に設けられ、上折畳エッジ837または下折畳エッジ838と重なる。このように、包装体9の検査に使用するための専用の着色領域を設けることにより、当該検査用着色領域の配置を、包装袋91の装飾や各種表示に係る着色領域から独立して比較的自由に決定することができる。このため、検査用着色領域を適切な位置に配置して、上折畳エッジ837または下折畳エッジ838の左右方向の位置を好適に求めることができる。その結果、上折畳エッジ837と下折畳エッジ838との左右方向の位置ずれを精度良く求めることができ、包装体9における封止異常をさらに精度良く検出することができる。
【0086】
上述の包装体検査方法では、検査画像8の取得(ステップS21)と上折畳エッジ837および下折畳エッジ838の位置取得(ステップS24)との間において、検査画像8を2値化する工程(ステップS23)をさらに備えることが好ましい。ステップS23では、上折畳エッジ837の左右両側の領域の画素値を異ならせ、下折畳エッジ838の左右両側の領域の画素値を異ならせる。これにより、上折畳エッジ837および下折畳エッジ838をさらに容易に抽出することができ、上折畳エッジ837および下折畳エッジ838の左右方向の位置をさらに容易に求めることができる。その結果、包装体9の検査に要する時間を短縮することができる。
【0087】
上述のように、包装体検査装置1は、撮像部2と、演算部32と、判定部33とを備える。撮像部2は、包装体9において封止部94が配置される封止面(すなわち、底面93)を撮像して検査画像8を取得する。演算部32は、検査画像8上で包装体9を示す包装体領域81の左右方向の少なくとも一方側において、封止部94の左右方向の端部から上方に延びる上折畳エッジ837の左右方向の位置と、封止部94の当該端部から下方に延びる下折畳エッジ838の左右方向の位置とを求める。判定部33は、演算部32により求められた上折畳エッジ837の左右方向の位置と下折畳エッジ838の左右方向の位置との差が、所定の距離よりも大きい場合、包装体9に封止異常が生じていると判定する。包装体検査装置1によれば、包装体9の封止異常を、作業員の目視等によらず自動的に、かつ、作業員の習熟度等に影響されることなく精度良く検出することができる。
【0088】
図19は、包装体9の第3の検査の流れを示す図である。第3の検査が行われる際には、まず、図1に示す撮像部2により1つの包装体9の底面93(すなわち、封止面)が撮像され、図20に示す検査画像8が取得される(ステップS31)。図20に示す検査画像8では、封止部94の左右方向の一部において、溶着部97(図7参照)のシール不良が生じている。シール不良が生じている部位では、封止部94の上下に重なる2つの部位(すなわち、一対の第1底面形成部961)が上下に離間して不良開口941を形成している。図20に示す例では、不良開口941は、封止部94の左右方向の中央部よりも左側に位置している。
【0089】
当該シール不良は、例えば、溶着工程における溶着力の不足、吸収性物品92の包装袋91(図7参照)に対する押し込み不足、または、上述の過剰封入もしくは異物封入等により、一対の第1底面形成部961が溶着後に、あるいは、溶着されることなく離間することにより生じる。当該シール不良は、吸収性物品92の一部が一対の第1底面形成部961の間に位置した状態(すなわち、吸収性物品92を噛み込んだ状態)で溶着が行われ、吸収性物品92を噛み込んだ部位において、一対の第1底面形成部961が溶着されていないことによっても生じる。また、当該シール不良は、余剰部981(図7参照)が切除される際に、誤って溶着部97の一部または全部が切除されることによっても生じる。
【0090】
不良開口941からは包装袋91内の吸収性物品92が露出している。図20では、吸収性物品92のうち不良開口941から見える露出部に対応する領域(以下、「露出領域942」と呼ぶ。)に平行斜線を付す。上述のように、各吸収性物品92のうち封止部94と重なる部位は、封止部94の色(本実施の形態では、白色)と異なる色を有しており、不良開口941から吸収性物品92の当該色が見える。吸収性物品92のうち封止部94と重なる部位の色は、例えば、包装袋91の第1着色領域831および第2着色領域834の色よりも濃くてもよい。なお、不良開口941は、封止部94の左右方向の略全体に亘って形成される場合もある。あるいは、封止部94において、左右方向に離間しつつ並ぶ複数の不良開口941が形成される場合もある。
【0091】
続いて、検査領域設定部35により、検査画像8上に1つの第3検査領域73が設定される(ステップS32)。第3検査領域73は、包装体領域81の上下方向の中央部に配置される。第3検査領域73は、封止部94を示す封止領域85の左右方向の略全長に亘って延びる略帯状の領域である。図20に示す例では、第3検査領域73の上下方向の長さは、封止領域85の上下方向の長さよりも大きく、第3検査領域73は封止領域85の略全体を含む。包装体領域81に対する第3検査領域73の相対位置は、例えば、正常であることが判明している基準状態の包装体9を撮像部2により撮像した画像に基づいて、予め決定されている。第3検査領域73の上下方向の長さが封止領域85の上下方向の長さよりも大きく設定されることにより、包装体9の正常範囲における形状変化によって封止領域85の位置が上下方向に多少ずれた場合であっても、封止領域85を第3検査領域73に含めることができる。第3検査領域73の上下方向の長さは、第1境界線861と第2境界線862との間の上下方向の距離以下であることが好ましい。
【0092】
第3検査領域73の設定が終了すると、画像処理部34により検査画像8の画像処理が行われる。例えば、カラー画像である検査画像8が、画像処理部34によりモノクロ多値のグレースケール画像に変換される。変換後の検査画像8では、包装体領域81の白色領域(すなわち、第1白色領域832、第2白色領域833、第3白色領域835、第2底面領域84bおよび封止領域85)は、他の領域よりも明るく、画素値も他の領域よりも大きい。また、包装体領域81の着色領域(すなわち、第1着色領域831、第2着色領域834および第2底面領域84a)は、上述の白色領域よりも暗く、画素値も白色領域よりも小さい。露出領域942は、上述の白色領域および着色領域よりも暗く、画素値も白色領域および着色領域よりも小さい。背景領域82は、上述の白色領域、着色領域および露出領域942よりも暗く、画素値も白色領域、着色領域および露出領域942よりも小さい。
【0093】
続いて、グレースケールに変換後の検査画像8が、画像処理部34により、所定の閾値にて2値化される(ステップS33)。当該閾値は、上述の着色領域の画素値よりも小さく、露出領域942の画素値よりも大きい。ステップS33の2値化により、包装体領域81の白色領域および着色領域の画素値が「1(明)」となり、包装体領域81の露出領域942および背景領域82全体の画素値が「0(暗)」となる。
【0094】
なお、ステップS33は、ステップS31とステップS32との間に行われてもよい。また、上述の閾値は、白色領域の画素値よりも小さく、着色領域および露出領域942の画素値よりも大きくてもよい。この場合、包装体領域81の白色領域の画素値が「1(明)」となり、包装体領域81の着色領域、露出領域942および背景領域82全体の画素値が「0(暗)」となる。ステップS33では、2値化による上述の画素値の明暗は反転されてもよい。
【0095】
図21は、2値化後の検査画像である2値化画像8aを示す図である。画像処理部34により生成された2値化画像8aは、記憶部31(図3参照)に格納される。図21では、画素値が「0」である領域に平行斜線を付す。以下の説明では、2値化画像8aにおいて画素値が「0」である領域を「暗領域870」と呼び、画素値が「1」である領域を「明領域871」と呼ぶ。また、図21では、包装体領域81の各領域の境界線を二点鎖線にて示す。
【0096】
2値化画像8aが生成されると、演算部32(図3参照)により、第3検査領域73中の暗領域870の有無が取得される。具体的には、第3検査領域73に含まれる全ての画素について、各画素の画素値が確認され、画素値が「0」である画素(以下、「暗画素」とも呼ぶ。)の数が求められる。そして、第3検査領域73に含まれる暗画素の数が、第3検査領域73の全画素数により除算されることにより、第3検査領域73における暗画素の割合(以下、「暗画素割合」とも呼ぶ。)が求められる(ステップS34)。
【0097】
その後、判定部33により、ステップS34にて求められた第3検査領域73の暗画素割合に基づいて、検査画像8の包装体9の良否が判定される。具体的には第3検査領域73において、暗画素割合が所定の閾値(以下、「第3良否閾値」と呼ぶ。)よりも大きい場合、封止領域85において封止部94と異なる色を有する露出領域942が存在すると判断する。すなわち、包装体9にシール不良の封止異常が生じており、封止部94に不良開口941が存在すると判断する。一方、第3検査領域73において、暗画素割合が第3良否閾値以下である場合、上記包装体9には封止異常は生じておらず、正常状態(すなわち、良品)と判断する(ステップS35)。第3良否閾値は、例えば1%である。第3良否閾値は、適宜変更されてよい。
【0098】
図21に示す例では、第3検査領域73の暗画素割合は、第3良否閾値よりも大きい。したがって、判定部33は、封止領域85において、封止部94と異なる色を有する領域が存在し、包装体9に封止異常(すなわち、シール不良)が生じている、と判定する。包装体9の封止異常が検出されると、コンピュータ3のディスプレイ57(図2参照)に、封止異常が検出された旨の警告が表示され、当該包装体9が搬送機構61(図1参照)上から払い出される。
【0099】
以上に説明したように、上述の包装体検査方法では、左右方向に延びる帯状の封止部94を備える包装体9の良否が検査される。封止部94は、包装袋91の内部に吸収性物品92を収容して、包装袋91の開口部95を溶着することにより形成される。当該包装体検査方法は、包装体9において封止部94が配置される封止面(すなわち、底面93)を撮像して検査画像8を取得する工程(ステップS31)と、検査画像8上で封止部94を示す領域(すなわち、封止領域85)において、封止部94と異なる色を有する領域を検出した場合、包装体9に封止異常が生じていると判定する工程(ステップS35)と、を備える。これにより、包装体9の封止異常を、作業員の目視等によらず自動的に、かつ、作業員の習熟度等に影響されることなく精度良く検出することができる。
【0100】
上述の包装体検査方法では、吸収性物品92のうち封止部94と重なる部位は、封止部94の色と異なる色を有し、ステップS35にて検出される当該封止異常は、封止部94における不良開口941の発生を含むことが好ましい。これにより、包装体9におけるシール不良を自動的にかつ精度良く検出することができる。
【0101】
上述の包装体検査方法では、検査画像8の取得(ステップS31)と封止異常の検出(ステップS35)との間において、検査画像8を2値化する工程(ステップS33)をさらに備えることが好ましい。ステップS33の2値化は、検査画像8上の封止部94の色に対応する画素値と、吸収性物品92のうち封止部94と重なる部位の色に対応する画素値との間の画素値を閾値(すなわち、第3良否閾値)として行われる。これにより、封止領域85において、露出領域942を容易に抽出することができる。その結果、包装体9の検査に要する時間を短縮することができる。
【0102】
上述のように、包装体検査装置1は、撮像部2と、判定部33とを備える。撮像部2は、包装体9において封止部94が配置される封止面(すなわち、底面93)を撮像して検査画像8を取得する。判定部33は、検査画像8上で封止部94を示す領域(すなわち、封止領域85)において、封止部94と異なる色を有する領域を検出した場合、包装体9に封止異常が生じていると判定する。包装体検査装置1によれば、包装体9の封止異常を、作業員の目視等によらず自動的に、かつ、作業員の習熟度等に影響されることなく精度良く検出することができる。
【0103】
図22は、包装体9の第4の検査の流れを示す図である。第4の検査が行われる際には、まず、図1に示す撮像部2により1つの包装体9の底面93(すなわち、封止面)が撮像され、図23に示す検査画像8が取得される(ステップS41)。図23に示す検査画像8では、余剰部981が封止部94から完全には切り離されず、部分的に繋がった状態で包装体9に残るトリム残りが生じている。図23に示す例では、余剰部981は、封止部94の左端部から上方に巻き上がっている。余剰部981は、第2着色領域834を略上下方向に縦断している。
【0104】
続いて、検査領域設定部35により、検査画像8上に1つの第4検査領域74が設定される(ステップS42)。第4検査領域74は、包装体領域81の封止領域85よりも上側または下側に配置される。第4検査領域74は、左右方向に延びる略帯状の領域である。図23に示す例では、第4検査領域74は、第2着色領域834の下縁(すなわち、第2着色領域834と第2白色領域833との間の境界線)である第2境界線862を含む。第4検査領域74は、左右方向に略直線状に延びる第2境界線862の略全体を含むことが好ましい。なお、第4検査領域74は、第2境界線862の左右方向の一部のみを含んでいてもよい。包装体領域81に対する第4検査領域74の相対位置は、例えば、正常であることが判明している基準状態の包装体9を撮像部2により撮像した画像に基づいて、予め決定されている。
【0105】
第4検査領域74の設定が終了すると、演算部32により第2境界線862の形状、および、上下方向の位置が求められる(ステップS43)。具体的には、例えば、第4検査領域74において上下方向に1列に並ぶ複数の画素(以下、「縦画素列」と呼ぶ。)において、画素の色が白色と有色との間で変化する位置(すなわち、画素値がステップ状に大きく変化する位置であり、以下、「画素値変化位置」と呼ぶ。)を求める。そして、第4検査領域74中において左右方向に並ぶ複数の縦画素列における画素値変化位置の画素をそれぞれ特定し、左右方向に並ぶこれら複数の画素の位置を、第2境界線862の形状および位置として取得する。
【0106】
その後、判定部33により、ステップS43にて求められた第2境界線862の形状および位置と、所定の正常範囲(すなわち、正常状態の包装体9において許容される第2境界線862の形状および位置の範囲)とが比較される。そして、ステップS43にて求められた第2境界線862の形状および位置が、上記正常範囲から逸脱している場合、上記包装体9に封止異常が生じていると判断する。具体的には、正常範囲内に位置する第2境界線862を示す画素の数が、正常な状態の包装体9における第2境界線862に対応する画素の数の99%未満である場合、包装体9に封止異常が生じていると判断される。例えば、当該正常範囲は、第4検査領域74と同じ大きさおよび位置であってもよい。一方、ステップS43にて求められた第2境界線862の形状および位置が、上記正常範囲内に収まっている場合、上記包装体9には封止異常は生じておらず、正常状態(すなわち、良品)と判断する(ステップS44)。
【0107】
図23に示す例では、第2境界線862の一部が余剰部981により覆われて検出できない。すなわち、第2境界線862に欠落が生じており、第2境界線862の形状が正常範囲から逸脱している。したがって、判定部33は、包装体9に封止異常(すなわち、トリム残り)が生じている、と判定する。包装体9の封止異常が検出されると、コンピュータ3のディスプレイ57(図2参照)に、封止異常が検出された旨の警告が表示され、当該包装体9が搬送機構61上から払い出される。
【0108】
また、図24に示す例では、過剰封入または異物封入等により第2着色領域834の一部が上側に湾曲しており、第2境界線862も第4検査領域74から部分的に上側にずれている。すなわち、第2境界線862の形状および位置が、正常範囲から逸脱している。したがって、判定部33は、包装体9に封止異常(すなわち、過剰封入または異物封入)が生じている、と判定する。第2着色領域834の全体が上側に湾曲している場合、および、第2着色領域834の一部または全体が下側に湾曲している場合も、上記と同様に、包装体9に封止異常(すなわち、過剰封入または異物封入)が生じている、と判定部33により判定される。
【0109】
さらに、包装体検査装置1では、包装袋91が欠落して吸収性物品92がむき出しになる封止異常(以下、「袋欠落」とも呼ぶ。)が生じている場合、第4検査領域74において第2境界線862が検出されない。したがって、判定部33により、第2境界線862の形状および位置が正常範囲から逸脱していると判断され、包装体9に封止異常(すなわち、袋欠落)が生じている、と判定される。
【0110】
以上に説明したように、上述の包装体検査方法では、左右方向に延びる帯状の封止部94を備える包装体9の良否が検査される。封止部94は、包装袋91の内部に吸収性物品92を収容して、包装袋91の開口部95を溶着することにより形成される。包装体9において封止部94が配置される封止面(すなわち、底面93)の封止部94よりも上側または下側には、上下方向に隣接する色が異なる2つの領域(すなわち、第2着色領域834および第2白色領域833)が設けられる。当該2つの領域の境界線(すなわち、第2境界線862)は、左右方向に延びる。当該包装体検査方法は、包装体9において封止部94が配置される底面93を撮像して検査画像8を取得する工程(ステップS41)と、検査画像8中の第2境界線862の形状および位置を求める工程(ステップS43)と、ステップS43にて求められた第2境界線862の形状または位置が所定の正常範囲から逸脱している場合、包装体9に封止異常が生じていると判定する工程(ステップS44)と、を備える。これにより、包装体9の封止異常を、作業員の目視等によらず自動的に、かつ、作業員の習熟度等に影響されることなく精度良く検出することができる。
【0111】
上述の包装体検査方法では、好ましくは、ステップS44において、上記正常範囲内に位置する第2境界線862を示す画素の数が、正常な第2境界線862に対応する画素の数の99%未満である場合、包装体9に封止異常が生じていると判定する。これにより、第2境界線862の異常を精度良く検出することができる。その結果、包装体9の封止異常をさらに精度良く検出することができる。
【0112】
上述の包装体検査方法では、好ましくは、周囲の色とは異なる色を有するとともに左右方向に延びる帯状の検査用着色領域(すなわち、第2着色領域834)が底面93に設けられ、上述の第2境界線862は、当該検査用着色領域の下縁である。このように、包装体9の検査に使用するための専用の着色領域を設けることにより、当該検査用着色領域の配置を、包装袋91の装飾や各種表示に係る着色領域から独立して比較的自由に決定することができる。このため、検査用着色領域を適切な位置に配置して、第2境界線862の形状および位置を精度良く求めることができる。その結果、包装体9における封止異常をさらに精度良く検出することができる。
【0113】
上述の包装体検査方法では、第4検査領域74は、第2着色領域834の上縁(すなわち、第2着色領域834と第3白色領域835との間の境界線)である第3境界線863を含む位置に設定されてもよい。この場合、ステップS43において、第3境界線863の形状または位置が求められる。また、ステップS44において、第3境界線863の形状または位置が所定の正常範囲から逸脱している場合、包装体9に封止異常が生じていると判断される。すなわち、上述の検査用の境界線は、好ましくは、検査用着色領域の上縁または下縁である。いずれの場合であっても、上述のように、包装体9における封止異常をさらに精度良く検出することができる。
【0114】
上述のように、包装体検査装置1は、撮像部2と、演算部32と、判定部33とを備える。撮像部2は、包装体9において封止部94が配置される封止面(すなわち、底面93)を撮像して検査画像8を取得する。演算部32は、検査画像8中の第2境界線862(または第3境界線863)の形状および位置を求める。判定部33は、演算部32により求められた第2境界線862(もしくは第3境界線863)の形状または位置が所定の正常範囲から逸脱している場合、包装体9に封止異常が生じていると判定する。包装体検査装置1によれば、包装体9の封止異常を、作業員の目視等によらず自動的に、かつ、作業員の習熟度等に影響されることなく精度良く検出することができる。
【0115】
上述の包装体検査方法および包装体検査装置1では、様々な変更が可能である。
【0116】
例えば、上述の第1~第3の検査では、検査画像8の2値化は必ずしも行われなくてもよい。また、第4の検査では、ステップS41とステップS43との間において、検査画像8の2値化が行われ、ステップS43は、2値化後の検査画像(すなわち、2値化画像8a)に対して行われてもよい。
【0117】
第1の検査では、第1検査領域71aは、必ずしも包装体領域81から離間している必要はなく、包装体領域81に接していてもよい。また、第1検査領域71aは、少なくとも一部が検査画像8の背景領域82に設定されるのであれば、他の一部が包装体領域81上に設定されてもよい。すなわち、第1検査領域71aは、少なくとも背景領域82を含んで設定されていればよい。第1検査領域71b~71dにおいても同様である。
【0118】
第2の検査では、上折畳エッジ837の左右両側の領域の色が同じであってもよい。この場合、上折畳エッジ837の左右方向の位置は、例えば、検査画像8上における上折畳エッジ837の左右両側の領域の濃度差に基づいて求められる。当該濃度差は、例えば、上折畳エッジ837の左右両側の領域と、撮像部2のカメラ22との間のそれぞれの距離の差に基づいて生じる。当該濃度差を強調するために、例えば、撮像部2の照明部21からの光を、包装体9の底面93の左側または右側から底面93に向けて斜めに照射することも好ましい。下折畳エッジ838の左右両側の色が同じである場合についても同様である。
【0119】
第3の検査では、封止領域85における封止部94と異なる色を有する領域は、必ずしも不良開口941から露出する吸収性物品92である必要はなく、例えば、封止部94の形成時に封止部94に噛み込まれた、封止部94とは色が異なる異物(すなわち、吸収性物品92以外の異物)等であってもよい。この場合、封止部94に対する異物の噛み込みを封止異常として検出することができる。
【0120】
第4の検査では、第4検査領域74は、第1着色領域831の上縁(すなわち、第1着色領域831と第1白色領域832との間の境界線)である第1境界線861を含む位置に設定されてもよい。この場合、ステップS43において、第1境界線861の形状または位置が求められる。また、ステップS44において、第1境界線861の形状または位置が所定の正常範囲から逸脱している場合、包装体9に封止異常が生じていると判断される。この場合であっても、包装体9における封止異常を自動的にかつ精度良く検出することができる。また、第4の検査では、複数の第4検査領域74が検査画像8上に設定されてもよい。
【0121】
包装体9の底面93における各領域の形状、配置および色等は様々に変更されてよい。例えば、第1底面領域83の左右両端部以外の部位において、検査用着色領域である第2着色領域834が2つに分割され、2つに分割された第2着色領域834の間に、バーコード等が印刷されていてもよい。この場合、上述の第4の検査では、第2境界線862または第3境界線863の形状および位置は、分割された第2着色領域834の2つの部位の下縁または上縁の形状および位置である。また、検査用着色領域である第2着色領域834は、封止部94よりも下側に配置されてもよく、封止部94の上側および下側にそれぞれ配置されてもよい。
【0122】
包装袋91の素材の地色は、白色以外であってもよい。この場合、包装袋91の外表面への印刷に使用されるインクの色は、当該地色以外の色(白色を含む。)である。また、包装袋91は、不透明には限定されず、半透明であってもよい。
【0123】
包装体検査装置1では、包装体9に対して、上述の第1~第4の検査のうち、全ての検査が行われてもよく、一部の検査のみが行われてもよい。また、上述の第1~第4の検査以外の様々な検査が行われてもよい。
【0124】
撮像部2により取得される検査画像8は、カラー画像には限定されず、グレースケール画像(すなわち、モノクロの多値画像)であってもよく、2値画像であってもよい。
【0125】
上述の実施の形態では、包装体9の底面93が、包装体検査装置1により検査される封止面として説明したが、包装体9の底面93以外の面が封止面として包装体検査装置1により検査されてもよい。
【0126】
吸収性物品92は、使い捨ておむつ以外の様々な吸収性物品であってもよい。
【0127】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0128】
1 包装体検査装置
2 撮像部
8 検査画像
9 包装体
32 演算部
33 判定部
71a~71d 第1検査領域
81 包装体領域
82 背景領域
83 第1底面領域
84a,84b 第2底面領域
85 封止領域
91 包装袋
92 吸収性物品
93 底面
94 封止部
95 開口部
97 溶着部
98 延在部
831 第1着色領域
832 第1白色領域
833 第2白色領域
834 第2着色領域
835 第3白色領域
837 上折畳エッジ
838 下折畳エッジ
861 第1境界線
862 第2境界線
863 第3境界線
941 不良開口
951 第1辺
952 第2辺
981 余剰部
S11~S15,S21~S25,S31~S35,S41~S44 ステップ
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