(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-02
(45)【発行日】2022-03-10
(54)【発明の名称】栽培システム及び栽培方法
(51)【国際特許分類】
A01G 7/00 20060101AFI20220303BHJP
A01G 31/00 20180101ALI20220303BHJP
【FI】
A01G7/00 603
A01G7/00 601
A01G31/00 601A
A01G31/00 601E
(21)【出願番号】P 2018115271
(22)【出願日】2018-06-18
【審査請求日】2021-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】519145115
【氏名又は名称】ヤンマーグリーンシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松尾 圭一郎
【審査官】磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-100313(JP,A)
【文献】特開2016-171781(JP,A)
【文献】特開平07-264941(JP,A)
【文献】特開2010-178644(JP,A)
【文献】寺林 敏 ほか,トマト水耕栽培における種々の培養液条件下でのリンの昼夜間吸収,京都府立大学学術報告.農学,1990年11月,Vol. 42,pp. 1-11
【文献】MASUDA, M. et al.,Uptake of Water and Minerals during the Day and the Night in Tomato and Cucumber Plants,Journal of the Japanese Society for Horticultural Science,1990年,Vol. 58, Issue 4,pp. 951-957
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00 - 7/06
A01G 31/00 - 31/06
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物を活着させる培地部と、
栽培液を貯留する貯留槽と、
上記貯留槽から上記培地部に毛管現象により栽培液を流通する送液部と、
上記貯留槽内の栽培液の水位が一定に保たれるよう上記貯留槽に栽培液を供給する供給機構と、
夜間における上記供給機構による上記栽培液の供給量を測定する測定機構と、
上記測定機構が測定した夜間供給量を含む生育情報に基づいて上記作物の生育環境を制御する制御部と
を備え
、
記制御部が制御する生育環境が上記栽培液の組成を含む栽培システム。
【請求項2】
上記生育情報が環境温度の積算値をさらに含み、
上記制御部が、上記夜間供給量の測定値が上記環境温度の積算値に対応する上記夜間供給量の理想値よりも小さい場合には上記栽培液の肥料濃度を大きくし、上記夜間供給量の測定値が上記夜間供給量の理想値よりも大きい場合には上記栽培液の肥料濃度を小さくする請求項
1に記載の栽培システム。
【請求項3】
上記制御部が、上記夜間供給量が低下し始めた後は上記栽培液の塩分濃度を小さくする請求項
1又は請求項
2に記載の栽培システム。
【請求項4】
上記供給機構が上記貯留槽の水位を検出する水位センサーを備える請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の栽培システム。
【請求項5】
作物を活着させる培地部と、
栽培液を貯留する貯留槽と、
上記貯留槽から上記培地部に毛管現象により栽培液を流通する送液部と、
上記貯留槽内の栽培液の水位が一定に保たれるよう上記貯留槽に栽培液を供給する供給機構と
を備える栽培システムを用いた作物の栽培方法であって、
夜間における上記供給機構による上記栽培液の供給量を測定する工程と、
上記測定工程で測定される夜間供給量を含む生育情報に基づいて上記作物の生育環境を制御する工程と
を備え
、
上記生育環境が上記栽培液の組成を含む栽培方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栽培システム及び栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作物を栽培する場合、作業者は通常作物の生育具合を定期的に観察し、葉の大きさ等の樹姿を基に給水量や施肥量等を調整する。この従来の栽培方法では、作業者が自身の限られた経験や知識に基づいて給水量、施肥量等を判断している。しかしながら、この栽培方法によると、作業者が自身の経験又は知識に基づいて判断できないような場合や、作業者の熟練度が不十分な場合等には適切に対処できない場合がある。従って、この栽培方法によると、安定した収量を得られない場合がある。
【0003】
そのため、今日では作業者個人の経験や知識に基づかないで作物を栽培することが可能な栽培方法が模索されている。例えば、特開2003-79215号公報には、土壌中のイオン濃度及び肥料溶液中の電気伝導度を測定し、塩素イオン及び硫酸イオンの寄与率を加味した土壌溶液の電気伝導度が作物の生育段階毎に設定される管理目標値の範囲内になるよう土壌に供給する肥料溶液の濃度及び液量を調節する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記公報に記載の作物の栽培方法は、作物が理想的な生育を遂げる場合に最適と思われる土壌溶液を提供するものである。しかしながら、実際の作物の生育は、個々にばらつきがあり、土壌溶液以外にも、例えば気温、湿度、日照等の影響を受ける。このため、上記公報に記載の栽培方法では、実際の作物の生育が理想的な生育に対して進み過ぎたり遅れたりしている場合には、最適な土壌溶液等の生育環境を提供することができない。
【0006】
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、作物の実際の生育状況に応じて生育環境を最適化することができる栽培システム及び栽培方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る栽培システムは、作物を活着させる培地部と、栽培液を貯留する貯留槽と、上記
貯留槽から上記培地部に毛管現象により栽培液を流通する送液部と、上記貯留槽内の栽培液の水位が一定に保たれるよう上記貯留槽に栽培液を供給する供給機構と、夜間における上記供給機構による上記栽培液の供給量を測定する測定機構と、上記測定機構が測定した夜間供給量を含む生育情報に基づいて上記作物の生育環境を制御する制御部とを備える。
【0008】
また、本発明の別の態様に係る栽培方法は、作物を活着させる培地部と、栽培液を貯留する貯留槽と、上記貯留槽から上記培地部に毛管現象により栽培液を流通する送液部と、上記貯留槽内の栽培液の水位が一定に保たれるよう上記貯留槽に栽培液を供給する供給機構とを備える栽培システムを用いた作物の栽培方法であって、夜間における上記供給機構による上記栽培液の供給量を測定する工程と、上記測定工程で測定される夜間供給量を含む生育情報に基づいて上記作物の生育環境を制御する工程とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様に係る栽培システム及び別の態様に係る栽培方法は、作物の実際の生育状況に応じて生育環境を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る栽培システムを示す模式図である。
【
図2】積算温度と夜間供給量との関係を示すグラフである。
【
図3】夜間供給量と緑視率との関係を示すグラフである。
【
図4】夜間供給量と果実の糖度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本発明の実施形態の説明]
本発明の一態様に係る栽培システムは、作物を活着させる培地部と、栽培液を貯留する貯留槽と、上記貯留槽から上記培地部に毛管現象により栽培液を流通する送液部と、上記貯留槽内の栽培液の水位が一定に保たれるよう上記貯留槽に栽培液を供給する供給機構と、夜間における上記供給機構による上記栽培液の供給量を測定する測定機構と、上記測定機構が測定した夜間供給量を含む生育情報に基づいて上記作物の生育環境を制御する制御部とを備える。
【0012】
当該栽培システムは、夜間における上記供給機構による上記栽培液の供給量を測定する測定機構を備えることによって、日照の影響を受けない夜間における作物の吸水量と比較的正確に一致する夜間供給量によって作物の実際の生育具合を把握することができる。また、当該栽培システムは、上記測定機構が測定した夜間供給量を含む生育情報に基づいて上記作物の生育環境を制御する制御部を備えることによって、作物の実際の生育状況に応じて生育環境を最適化することができる。つまり、当該栽培システムは、作物の生育速度を理想的な生育速度に近付けて収量及び品質を最適化することができる。
【0013】
当該栽培システムにおいて、上記制御部が制御する生育環境が上記栽培液の組成を含んでもよい。このように、上記制御部が制御する生育環境が上記栽培液の組成を含むことによって、容易且つ確実に作物の生育を理想に近付けることができる。
【0014】
当該栽培システムにおいて、上記生育情報が環境温度の積算値をさらに含み、上記制御部が、上記夜間供給量の測定値が上記環境温度の積算値に対応する上記夜間供給量の理想値よりも小さい場合には上記栽培液の肥料濃度を大きくし、上記夜間供給量の測定値が上記夜間供給量の理想値よりも大きい場合には上記栽培液の肥料濃度を小さくしてもよい。このように、上記生育情報が環境温度の積算値をさらに含み、上記制御部が、上述のように上記夜間供給量の測定値に応じて上記栽培液の肥料濃度を変化させることによって、より確実に作物の生育速度を理想に近付けることができる。
【0015】
当該栽培システムにおいて、上記制御部が、上記夜間供給量が低下し始めた後は上記栽培液の塩分濃度を小さくしてもよい。このように、上記夜間供給量が低下し始めた後は上記栽培液の塩分濃度を小さくすることによって、茎葉等の生長が止まった後に生長する果実や塊根等の収量や品質(例えば糖度等)を向上することができる。
【0016】
当該栽培システムにおいて、上記供給機構が上記貯留槽の水位を検出する水位センサーを備えてもよい。このように、上記供給機構が上記貯留槽の水位を検出する水位センサーを備えることによって、上記貯留槽の水位をより正確に一定に保つことができる。これにより、上記測定機構によって上記夜間供給量を正確に測定し、作物の生育をより適切に制御することができる。
【0017】
また、本発明の別の態様に係る栽培方法は、作物を活着させる培地部と、栽培液を貯留する貯留槽と、上記貯留槽から上記培地部に毛管現象により栽培液を流通する送液部と、上記貯留槽内の栽培液の水位が一定に保たれるよう上記貯留槽に栽培液を供給する供給機構とを備える栽培システムを用いた作物の栽培方法であって、夜間における上記供給機構による上記栽培液の供給量を測定する工程と、上記測定工程で測定される夜間供給量を含む生育情報に基づいて上記作物の生育環境を制御する工程とを備える。
【0018】
当該栽培方法は、夜間における上記供給機構による上記栽培液の供給量を測定する工程において、日照の影響を受けない夜間における作物の吸水量と比較的正確に一致する夜間供給量を測定して作物の実際の生育具合を把握することができる。また、当該栽培システムは、上記測定機構が測定した夜間供給量を含む生育情報に基づいて上記作物の生育環境を制御する工程において、作物の実際の生育状況に応じて生育環境を最適化することができる。
【0019】
なお、本発明において、「活着」とは、苗が根付いて生育することをいう。また、「夜間」とは作物に光合成を行い得る光が当たらない時間帯を意味し、日光を用いずに電気照明を用いて栽培する場合は外部の昼夜とは一致しないことがある。また、「夜間供給量」とは夜間における単位時間当たりの栽培液の供給量を意味する。
【0020】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明に係る栽培システム及び栽培方法の実施形態について図面を参照しつつ詳説する。
【0021】
[栽培システム]
図1に、本発明の一実施形態に係る栽培システムの構成を示す。当該栽培システムは、作物Pを活着させる培地部10と、栽培液Qを貯留する貯留槽20と、貯留槽20から培地部10に毛管現象により栽培液Qを流通する送液部30と、貯留槽20内の栽培液Qの水位(液面高さ)が一定に保たれるよう貯留槽20に栽培液Qを供給する供給機構40と、夜間における供給機構40から貯留槽20への栽培液Qの供給量を測定する測定機構50と、環境温度(作物Pの栽培空間の気温)を検出する温度センサー60と、測定機構50が測定した夜間供給量及び温度センサー60が検出した環境温度を含む生育情報に基づいて作物Pの生育環境を制御する制御部70と、培地部10、貯留槽20及び送液部30を支持する架台80とを備える。
【0022】
当該栽培システムは、室内空間を用いて作物Pを栽培するよう構成されていてもよく、屋外空間を用いて作物Pを栽培するよう構成されていてもよい。当該栽培システムが室内空間を用いたものである場合、「栽培空間」とは、この作物Pを栽培するために区画された室内空間をいう。また、当該栽培システムが屋外空間を用いたものである場合、「栽培空間」とは、圃場等によって画定される作物Pを栽培するために区画された空間をいう。
【0023】
<作物>
作物Pとしては、特に限定されるものではなく、例えば果菜類、根菜類、葉菜類、イネ科植物、花菜類等が挙げられるが、生育具合と根からの吸水量との相関がはっきりしている果菜類が好ましく、中でもトマトが特に好ましい。
【0024】
<栽培液>
栽培液Qは、水に肥料を配合したものである。この肥料は、雑菌が繁殖することを抑制する観点から、化学肥料を含むことが好ましい。また、栽培液Qは、作物Pにストレスを与えて作物Pの果実等の品質を向上するために塩分を含むことができる。
【0025】
<培地部>
培地部10は、樋状の枠体11内に複数の粒子12が充填された構成を有する。培地部10は、枠体11の長手方向に複数の作物Pを活着可能に構成されてもよく、1つの作物Pのみを活着可能に構成されてもよい。枠体11は、長手方向と垂直方向の断面がU字状である。枠体11は、透水性及び防根性を有する帯状の透水シートによって構成されている。上記透水シートは、幅方向(長手方向と垂直な水平方向)の中心部を下方に弛ませた状態で幅方向の両端部が後述する架台80に保持されている。なお、枠体11は、必ずしも1枚の透水シートから構成される必要はなく、複数枚の透水シートが連続的又は断続的に配設されて構成されてもよい。
【0026】
枠体11の素材としては、特に限定されるものではなく、例えば紙、織布、不織布等が挙げられる。
【0027】
枠体11の平均厚さの下限としては、0.1mmが好ましく、0.2mmがより好ましい。一方、枠体11の平均厚さの上限としては、5.0mmが好ましく、3.0mmがより好ましい。枠体11の平均厚さが上記下限より小さいと、防根性が不十分となるおそれがある。逆に、枠体11の平均厚さが上記上限を超えると、上記透水シートのコストが高くなり過ぎるおそれがある。なお、「平均厚さ」とは、任意の10点の厚さの平均値をいう。
【0028】
複数の粒子12は、枠体11内に充填されて粒子層を構成する。粒子12としては、枠体11内に充填されて毛管現象を発現するものであれば特に限定されないが、例えば土壌、パミスサンド等の微粒軽石、多孔性の火山岩の粉砕粒、粒状のロックウール、コーラルサンド、サンゴ、木炭等が挙げられる。これらは2種以上を混合して用いてもよい。中でも、良好な毛管現象が確保され、また不要になった場合に自然土に返せる観点から、土壌が好ましい。
【0029】
上記土壌としては、例えば市販の園芸用の培土、バーミキュライト、ベントナイト、ゼオライト、砂、鹿沼土、赤玉土、真砂土等が挙げられる。これらの中でも、作物Pの根病を発生し難い点から、一般的な培土に比べて有機物含量が低く微生物生息数も少ない砂が好ましい。
【0030】
粒子12の粒子径の下限としては、0.10mmが好ましく、0.15mmがより好ましい。一方、粒子12の粒子径の上限としては、1.0mmが好ましく、0.6mmがより好ましい。粒子12の粒子径が上記下限に満たないと、栽培液Qを作物Pの根部に供給する領域の空隙部分が少なくなり過ぎて湿度過剰となり、雑菌が繁殖し易くなるおそれがある。逆に、粒子12の粒子径が上記上限を超えると、栽培液Qを作物Pの根部に供給する領域の空隙が大きくなり過ぎて毛管現象が弱くなり、所望される量の栽培液Qを作物Pの根部に供給できなくなるおそれがある。なお、「粒子径」とは、JIS-Z8801-1:2006に規定される篩を用い、目開きの大きい篩から順に粒子をかけて篩上の粒子数と各篩の目開きとから算出される粒子の平均径である。
【0031】
<貯留槽>
貯留槽20は、後述の用水槽41から供給される栽培液Qを一時貯留する。貯留槽20は枠体11の下方に配設されている。貯留槽20は樋状に形成されている。貯留槽20の長手方向と枠体11の長手方向とは平行である。貯留槽20は、上端に帯状の開口を有する上部21と、この上部21の下端から下方に連続して設けられ、栽培液Qを貯留する下部22とを有する。下部22は上部21よりも内部平均幅が小さい。
【0032】
貯留槽20の主構成材料としては、例えば金属、セラミック、樹脂等が挙げられ、軽量な点で樹脂が好ましい。また、上記樹脂としては、例えばABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0033】
<送液部>
送液部30はシート体である。送液部30の具体的な平面形状は特に限定されないが、例えば矩形状、好ましくは長方形状である。送液部30は、一端、好ましくは短手方向の一端、が貯留槽20に貯留される栽培液Q中に浸漬している。また、送液部30は、他端側(栽培液Q中に浸漬される側と反対側)の一部が枠体11の底部と当接している。これにより、貯留槽20に貯留される栽培液Qを毛管現象により揚水し、枠体11の底部に供給可能に構成されている。
【0034】
送液部30の材質としては、毛管現象により栽培液Qを揚水し、この栽培液Qを枠体11の底部に供給できるものであれば特に限定されないが、例えば不織布、ロックウール、フェルト、ポリウレタン等の合成樹脂などが挙げられる。中でも、適度な毛管現象の発現及び適切な吸水率を発揮できる点から不織布が好ましい。
【0035】
送液部30の透水率の下限としては、0.01%が好ましく、1.00%がより好ましい。一方、送液部30の透水率の上限としては、40%が好ましく、30%がより好ましい。上記透水率が上記下限に満たないと、枠体11の底部に供給される栽培液Qの量が不十分となるおそれがある。逆に、上記透水率が上記上限を超えると、送液部30に要するコストが不要に高くなるおそれがある。なお、「透水率」とは、平面状の送液部の表面から水を散布した際に送液部の裏面へ通過した水の比率を意味する。
【0036】
送液部30の厚さの下限としては、0.5mmが好ましく、0.7mmがより好ましい。一方、送液部30の厚さの上限としては、2.0mmが好ましく、1.5mmがより好ましい。送液部30の厚さが上記下限より小さいと、送液部30の強度が不十分となり破断するおそれがある。逆に、送液部30の厚さが上記上限を超えると、送液部30に要するコストが不要に高くなるおそれがある。
【0037】
送液部30の揚水高さの下限としては、3cmが好ましく、10cmがより好ましく、20cmがさらに好ましい。一方、送液部30の揚水高さの上限としては、300cmが好ましく、200cmがより好ましく、40cmがさらに好ましい。送液部30の揚水高さが上記下限より小さいと、枠体11の底部に供給される栽培液Qの量が不十分となるおそれがある。逆に、送液部30の揚水高さが上記上限を超えると、送液部30に要するコストが不要に高くなるおそれがある。なお、「揚水高さ」とは、以下の手法により測定される値をいう。まず、送液部を幅4cm、長さ120cmに切断したシートを平均厚さ0.03mmのポリエチレンフィルムで被覆(熱圧着で袋状としたフィルムにシートを挿入して周りを被覆)したものを測定サンプルとし、鉛直に測定サンプルを吊り下げられるようにした架台にセットする。このとき、上部及び下部を5cm開放して液面に接しておくようにする。そして、24時間で液面から揚水した高さを5回測定し、これらの平均値を揚水高さとする。
【0038】
<供給機構>
供給機構40は、栽培用水を貯留する用水槽41と、用水槽41に貯留される栽培用水を貯留槽20に圧送する給水ポンプ42と、液体肥料(肥料溶液)を貯留する液肥槽43と、液肥槽43に貯留される液体肥料を貯留槽20に圧送する液肥ポンプ44と、塩水を貯留する塩水槽45と、塩水槽45に貯留される塩水を貯留槽20に圧送する塩水ポンプ46と、貯留槽20の水位を検出する水位センサー47と、水位センサー47の検出信号に基づいて貯留槽20内の栽培液Qの水位を一定に保たれるよう給水ポンプ42、液肥ポンプ44及び塩水ポンプ46を駆動する給液制御部48とを有する。
【0039】
貯留槽20に貯留される栽培液Qは、用水槽41に貯留される栽培用水と、液肥槽43に貯留される液体肥料と、塩水槽45に貯留される塩水とを混合して形成される。
【0040】
水位センサー47の種類としては、貯留槽20の水位を検出することができる限り特に限定されるものではなく、光学式、フロート式、静電容量式、超音波式、電極式等のレベルスイッチ又はレベルセンサを用いることができる。
【0041】
水位センサー47としてレベルスイッチを用いる場合には、水位センサー47の応差はできるだけ小さい(感度が高い)ことが好ましい。水位センサー47の応差が小さいほど、貯留槽20の水位変動を高感度に検出することができるので、作物Pの根からの吸水に対する供給機構40からの栽培液Qの供給の時間的遅れが小さくなる。これにより、測定機構50が測定する夜間供給量と、作物Pの夜間における吸水量とをより正確に一致させることができ、夜間供給量に基づいてよりリアルタイムに近い作物Pの吸水量を把握することができ、時間を細分化した詳しい吸水の解析が可能になる。
【0042】
ここで、貯留槽20に貯留されている栽培液Qの液量の変化量は、栽培液Qの液面の表面積と栽培液Qの水位の変化量との積として表される。このため、測定機構50で作物Pの吸水量により正確に一致する夜間供給量を測定するためには、できるだけ応差が小さい水位センサー47を用いると共に、貯留槽20の平面視での面積を小さくすることがより好ましい。貯留槽20は、複数の作物Pの列の下に連続して延在するよう配設される。従って、貯留槽20の面積を小さくするためには、複数の作物Pの列に垂直な方向の貯留槽20の幅を小さくすることが有効である。
【0043】
例として、複数の作物Pを一列に並んで活着させる栽培システムを想定すると、一般的なトマトを栽培する場合、培地部10には、15cm間隔で作物(トマト)Pが活着される。つまり、貯留槽20のトマト1株当たりの長さは15cmである。また、1株のトマトの夜間吸水量は、生育初期で1mL/h程度、生育後期で10mL/h程度である。このため、1時間当たりの吸水量に相当する貯留槽20における栽培液Qの水位低下は、貯留槽20の幅が10cmである場合には0.067mm~0.67mmとなり、貯留槽20の幅が2cmである場合には0.33mm~3.3mmとなる。
【0044】
従って、当該栽培システムで一般的なトマトを栽培するとき、測定機構50による夜間供給量の最小測定間隔を1時間以下にするためには、貯留槽20の幅が10cmである場合には水位センサー47の応差を0.067mm以下とし、貯留槽20の幅が2cmである場合には水位センサー47の応差を0.33mm以下とすることが要求される。このため、水位センサー47の応差の上限としては、0.3mmが好ましく、0.06mmがより好ましい。逆に言うと、水位センサー47として比較的安価な市販の汎用レベルスイッチを用いるためには、貯留槽20の幅を小さくすることが望ましい。なお、上記の要求される応差の下限は、単なる例示であって、例えば作物Pの種類、活着間隔等によっても異なることは言うまでもない。
【0045】
給液制御部48の構成としては、貯留槽20の水位を一定に保持できるものであればよいが、例えば、一定の時間間隔で水位センサー47の出力を確認し、水位センサー47が検出した水位が予め設定された水位以上であるときは給水ポンプ42、液肥ポンプ44及び塩水ポンプ46を停止し、水位センサー47が検出した水位が予め設定された水位未満であるときは給水ポンプ42、液肥ポンプ44及び塩水ポンプ46を駆動するよう構成することができる。
【0046】
供給機構40は、栽培液Qの肥料濃度及び塩分濃度を調節するために、液肥ポンプ44及び塩水ポンプ46による給液量を後述する制御部70が調節できるよう構成される。具体的には、液肥ポンプ44及び塩水ポンプ46として例えばインバーター、減速機等の速度調節機構を有するものを用いる構成や、液肥ポンプ44及び塩水ポンプ46としてパルスモーターによって駆動されるものを用い、給液制御部48が制御部70から指示される頻度の駆動パルスを出力する構成とすることができる。この給液制御部48は、制御部70と一体に構成されてもよい。
【0047】
<測定機構>
測定機構50は、給水ポンプ42、液肥ポンプ44及び塩水ポンプ46から吐出される栽培用水、液体肥料及び塩水の合計流量を測定する流量計51と、夜間における流量計51の出力信号から算出される夜間供給量を制御部70に信号出力する演算部52とを有する構成とすることができる。演算部52は、給液制御部48や制御部70と一体に構成されてもよい。
【0048】
演算部52が流量計51の出力信号を積算する「夜間」は、日照の影響を受けない時間のうちで任意に設定することができる。ただし、日没直後は日照の影響で作物Pの温度が上昇している可能性があるため、日没から一定の時間を空けて栽培液Qの流量の測定を開始することが好ましい。この測定時間帯は、日の出及び日没の時刻に合わせて変動してもよいが、夏至においても日照の影響を受けない時間帯に固定してもよい。また、人工の照明が存在する場合には、消灯時間内に設定することが好ましい。測定機構50は、光センサーを有し、暗くなったことを検出してから供給機構40による栽培液Qの供給量を検出するよう構成されてもよい。
【0049】
演算部52が算出する「夜間供給量」は、単位時間当たりの栽培液Qの貯留槽20への供給量であり、作物Pの生育具合を把握するための生育情報の一つである。この夜間供給量は、一夜に複数回算出してもよいが、測定時間帯を固定する場合は一夜の合計供給量を夜間供給量としてもよい。また、夜間供給量は、一定のばらつきを有するため、例えば移動平均を算出する等の手法により測定値を平滑化して作物Pの生育具合の指標とすることが好ましい。
【0050】
<温度センサー>
温度センサー60は、環境温度を測定する。環境温度の平均値に日数を乗じた積算温度(積算日平均気温)は、作物Pの生育具合を把握するための生育情報の一つである。
【0051】
<制御部>
制御部70は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えるコンピューター装置から形成することができる。また、制御部70は、RAM又はハードディスクドライブ等の記憶装置に作物Pの理想的な生育における夜間供給量、積算温度等の生育情報の関係を記憶していることが好ましい。
【0052】
このような制御部70は、夜間供給量を含む生育情報に基づいて、給水ポンプ42が吐出する栽培用水の流量に対して、液肥ポンプ44が吐出する液体肥料の流量及び塩水ポンプ46が吐出する塩水の流量を調整することにより、作物Pの生育環境の一つである栽培液Qの組成を調節する。このように栽培液Qの組成を調節することによって、作物Pの生育状況に応じて生育環境を最適化することができる。
【0053】
具体的に説明すると、夜間供給量は、作物Pが夜間に根から吸い上げる水の量に略一致し、作物Pの生育具合を比較的正確に示す。また、作物Pの生育は、一般に積算温度に依存する。このため、制御部70の記憶装置に、予め積算温度と作物Pが理想的な生育をした場合の理想的な夜間供給量との関係を記憶しておき、測定機構50が測定した実際の夜間供給量と比較することによって、実際の作物Pの生育が理想的なモデルよりも進んでいるか遅れているかを判定することができる。
【0054】
図2に、当該栽培システムを用い、制御部70によらず経験に基づいて肥料の濃度を調節して、作物Pとしてトマトを栽培した例における、積算温度と夜間供給量との関係を示す。なお、栽培システムの枠体11、貯留槽20及び送液部30として住友電気工業社の「ニューサンドポニックスY型」を使用し、粒子12としてルナサンド社の「ルナサンドH」を400cc使用し、貯留槽内20内の栽培液Qの水位を7cmに保持した。また、液体肥料としては、OAT社の「SA処方」を用いた。肥料の濃度は、積算温度600℃から1000℃までの間が培地部10内の栽培液Qの導電率が1.0S/cmになるよう調節し、積算温度1000℃から2100℃までの間は培地部10内の栽培液Qの導電率が1.2S/cmになるよう調節し、積算温度2100℃から栽培終了までの間が培地部10内の栽培液Qの導電率が1.0S/cmとなるよう肥料濃度を調節した。また、夜間供給量は、0時から6時まで及び18時から24時までの合計12時間における栽培液Qの合計供給量を測定時間(12時間)で除した値をその日の夜間供給量とした。
【0055】
図2に示すように、積算温度約1800℃までの作物Pの生長期(茎葉が増大する時期)における夜間供給率は積算温度に対して正の比例関係にあり、積算温度約1800℃以降の作物Pの収穫期(果実が増大する時期)における夜間供給率は積算温度に対して負の比例関係にあることが分かる。
【0056】
また、
図3に、上記栽培における夜間供給量と作物Pの生育具合を示す緑視率との関係を示す。ここで、「緑視率」とは、作物全体を定点カメラで撮影し、画像中に作物が占める面積を緑色の画素の割合として算出した値である。図示するように、夜間供給量と作物Pの生育具合とは、略比例しているということができる。
【0057】
ここで、作物Pの生育具合は、栽培液Qの肥料濃度によって調節可能である。具体的には、栽培液Qの肥料濃度を大きくすることで作物Pの生育速度を大きくすることができ、栽培液Qの肥料濃度を小さくすることで作物Pの生育速度を小さくすることができる。作物Pの生育速度は、大きいほどよいというものではなく、最適な速度で生育させることで果実等の品質を向上することができる。
【0058】
このため、当該栽培システムにおいて、制御部70は、測定機構50による夜間供給量の測定値が積算温度に対応する夜間供給量の理想値よりも小さい場合には、栽培液Qの肥料濃度を大きくするよう液肥ポンプ44の吐出量を大きくし、測定機構50による夜間供給量の測定値が積算温度に対応する夜間供給量の理想値よりも大きい場合には栽培液Qの肥料濃度を小さくするよう液肥ポンプ44の吐出量を小さくするよう構成されることが好ましい。
【0059】
さらに、
図4に、上記栽培の収穫期における夜間供給量と収穫した果実の糖度との関係を示す。このように、夜間供給量の低下に伴って、果実の糖度も低下することが確認された。つまり、夜間供給量の低下を抑制できれば、糖度の低下を抑制して高品質な果実を収穫できると考えられる。
【0060】
特にトマト等の栽培においては、土壌に塩分を含有させることによって、果実の糖度を向上できることが知られている。つまり、当該栽培システムでは、貯留部20内に貯留され、送液部30を介して培地部10に供給される栽培液Qに塩分を含有させることで果実の糖度を大きくすることができる。
【0061】
一方、本発明者らは、栽培液Qの塩分濃度を小さくすることによって、収穫期における夜間供給量の低下率を小さくできることを確認した。これは、収穫期では、作物Pの根や茎葉の生長が止まっており、塩分のストレスにより作物Pの根等の寿命が短くなることで生成できる糖が減少することによるものと思われる。
【0062】
このため、当該栽培システムにおいて、夜間供給量が増大している生長期の間は栽培液Qの塩分濃度を大きくし、夜間供給量が低下し始めた後の収穫期には栽培液Qの塩分濃度を小さくすることによって、収穫される果実全体の平均糖度を大きくすることができる。
【0063】
従って、当該栽培システムにおいて、作物Pの品質を向上するために、制御部70は、夜間供給量が増大している間は、栽培液Qの塩分濃度を大きくするよう塩水ポンプ46の吐出量を大きくし、夜間供給量が低下し始めた後は栽培液Qの塩分濃度を小さくするよう塩水ポンプ46の吐出量を小さくするよう構成されることが好ましい。
【0064】
また、当該栽培システムにおいて、制御部70が、上述の肥料濃度及び塩分濃度のような栽培液Qの組成意外にも、他の生育環境を調整するよう構成されてもよい。他の生育環境の具体例としては、環境温度、作物Pに当たる風、日照時間又は照明点灯時間、栽培液Qの温度等を挙げることができる。このため、当該栽培システムは、これらの生育環境を調節する機構を備えてもよい。
【0065】
<架台>
架台80は、枠体11の幅方向両側にこの枠体11の長手方向に沿って立設される複数対の支柱81と、枠体11の幅方向に延在し、各対の支柱81にそれぞれ連結される上側桟材82及び下側桟材83と、枠体11の長手方向に延在し、複数の上側桟材82に連結される互いに平行な一対の上側桁材84と、枠体11の長手方向に延在し、複数の下側桟材83に連結される互いに平行な一対の下側桁材85とを含む。
【0066】
一対の上側桁材84は、枠体11の幅方向の両端部をこの枠体11の長手方向に沿って固定している。具体的には、一対の上側桁材84は、枠体11の幅方向の両端部をC字状の固定部材(不図示)との間に挟み込むことで枠体11を固定している。一対の下側桁材85は、送液部30を介在させた状態で枠体11を下方から支持している。各下側桟材83は、貯留槽20の上部21を幅方向に貫通しており、これにより貯留槽20に連結されている。
【0067】
[栽培方法]
次に、本発明に係る栽培方法の一実施形態の栽培方法について説明する。当該栽培方法は、
図1の栽培システムを用いて好適に実施することができる。そのため、以下では
図1の栽培システムを用いる場合について説明する。
【0068】
当該栽培方法は、作物Pを活着させる培地部10と、栽培液Qを貯留する貯留槽20と、貯留槽20から培地部10に毛管現象により栽培液Qを流通する送液部30と、貯留槽20内の栽培液Qの水位が一定に保たれるよう貯留槽20に栽培液Qを供給する供給機構40とを備える栽培システムを用いた栽培方法であって、夜間における供給機構40による栽培液Qの供給量を測定する工程<測定工程>と、この測定工程で測定される夜間供給量を含む生育情報に基づいて作物の生育環境を制御する工程<制御工程>とを備える。
【0069】
<測定工程>
測定工程では、上述のように、測定機構50によって、作物Pの生育具合の指標となる夜間供給量を測定する。
【0070】
<制御工程>
制御工程では、測定工程で測定した夜間供給量を用いて作物の生育環境を制御する。具体例としては、上述のように、もう一つの生育情報である積算温度に対応する夜間供給量の理想値と夜間供給量の実測値との比較結果に応じて栽培液Qの肥料濃度を調節したり、測定された夜間供給量が低下し始めたと判断される場合に栽培液Qの塩分濃度を低下させたりすることができる。
【0071】
<利点>
当該栽培システム及び当該栽培方法は、日照の影響を受けない夜間における作物Pの吸水量と比較的正確に一致する夜間供給量を測定することによって作物Pの実際の生育具合を比較的正確に把握することができる。また、当該栽培システム及び当該栽培方法は、夜間供給量を含む生育情報に基づいて作物Pの生育環境を制御することによって、作物Pの実際の生育状況に応じて生育環境を最適化することができる。つまり、当該栽培システム及び当該栽培方法は、作物Pの生育速度を理想的な生育速度に近付けて収量及び品質を最適化することができる。
【0072】
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0073】
当該栽培システムにおいて、例えば培地部、貯留槽、送液部、供給機構、測定機構、制御部、架台等、当該栽培システムの具体的構造は上記実施形態に記載の構成に限定されるものではない。
【0074】
例として、当該栽培システムにおける測定機構は、例えば給水ポンプ、液肥ポンプ及び塩水ポンプが定量ポンプである場合にこれらのポンプの駆動時間又は駆動パルス数をカウントするものであってもよい。また、肥料や塩水の固形分濃度が大きい場合には、これらの供給量を無視してもよい。
【0075】
当該栽培システムにおける供給機構は、水位センサーを用いずに貯留槽に栽培液を供給するものであってもよい。具体的には、供給機構は、例えばボールタップ、サイフォン等を用いて貯留槽内の栽培液の水位が一定に保たれるよう貯留槽に栽培液を供給するものであってもよい。
【0076】
当該栽培方法は、測定機構又は制御部を備えていない栽培システムを用い、人が介在して夜間供給量の測定及び生育環境の制御を行ってもよい。具体的には、夜間供給量の測定は、栽培用水槽等の貯水量の減少量を目視によって確認することで行ってもよい。また、生育環境の制御については、例として栽培液の組成を調節する場合、ポンプの吐出量をマニュアル調整することにより調節してもよく、予め肥料及び塩分を混合した栽培液を貯留する単一の水槽とこの水槽から貯留槽に栽培液を供給するポンプとを有する供給機構を用い、水槽中の栽培液の組成をマニュアルで調節してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の実施形態に係る栽培システム及び栽培方法は、多様な植物の栽培に利用することができ、中でも果菜類、特にトマトの栽培に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0078】
10 培地部
11 枠体
12 粒子
20 貯留槽
21 上部
22 下部
30 送液部
40 供給機構
41 用水槽
42 給水ポンプ
43 液肥槽
44 液肥ポンプ
45 塩水槽
46 塩水ポンプ
47 水位センサー
48 給液制御部
50 測定機構
51 流量計
52 演算部
60 温度センサー
70 制御部
80 架台
81 支柱
82 上側桟材
83 下側桟材
84 上側桁材
85 下側桁材
P 作物
Q 栽培液