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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-02
(45)【発行日】2022-03-10
(54)【発明の名称】車両用レジスタ装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20220303BHJP
   F24F 13/15 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
B60H1/34 611A
B60H1/34 671A
F24F13/15 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018178297
(22)【出願日】2018-09-25
(65)【公開番号】P2020049986
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000100366
【氏名又は名称】しげる工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】星 和彰
(72)【発明者】
【氏名】神谷 知宏
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 遼一
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-349946(JP,A)
【文献】特開2002-103953(JP,A)
【文献】特開2008-030566(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01867507(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00-3/06
F24F 13/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通風路を有しこの通風路の上流端が空調装置に接続され下流端が車室への吹出口として提供されるレジスタ本体と、
上記通風路に第1方向に間隔をおいて配置されるとともに、上記第1方向と直交する第2方向に延びる回動軸線を中心に回動可能に、上記レジスタ本体に支持され、上記回動軸線から離間した位置にそれぞれ連動ピンを有する複数のフィンと、
上記複数のフィンの上記連動ピンに連結され、上記複数のフィンが互いに平行な姿勢をとる通常送風モードにおいて、上記複数のフィンを同じ向きに連動させる連動リンク機構と、
を備えた車両用レジスタ装置において、
上記複数のフィンは、センタフィンと、このセンタフィンの上記第1方向両側に配置されたサイドフィンを含み、
上記連動リンク機構は、上記第1方向に延びる主リンクと、互いに上記第1方向に離れて配置された一対の副リンクとを有し、上記主リンクは、その中央部に上記センタフィンの連動ピンを回動可能に連結する連結穴を有するとともに、上記第1方向両側の部位に規制溝を有し、上記一対の副リンクはそれぞれカム溝を有し、上記規制溝と上記カム溝に上記サイドフィンの連動ピンが挿入されることにより、上記主リンクと上記一対の副リンクが連結されており、
さらに、通常送風モード位置と拡散送風モード位置との間で回動可能にして上記レジスタ本体に支持され上記一対の副リンクと係合するモード切替用の操作ダイヤルを備え、
上記操作ダイヤルが上記通常送風モード位置から上記拡散送風モード位置まで回動することにより、上記一対の副リンクの一方が上記通風路の上流側へ移動し、他方が上記通風路の下流側へ移動し、この時に上記カム溝のカム作用により上記サイドフィンの連動ピンが上記第1方向において互いに逆向きに移動することにより、上記サイドフィンが吹き出し方向に向かって上記センタフィンから離れる姿勢となる拡散送風モードが実行されることを特徴とする車両用レジスタ装置。
【請求項2】
上記主リンクと上記一対の副リンクが上記レジスタ本体において上記第2方向を向く壁の内側に配置され、上記操作ダイヤルが当該壁の外側に配置され、当該壁には互いに上記第1方向に離間する一対のガイド溝が形成され、
上記一対の副リンクには、上記一対のガイド溝に挿通されて上記操作ダイヤルに係合するガイドピンがそれぞれ設けられており、
上記一対のガイド溝は、上記通常送風モードにおいて上記ガイドピンを案内する円弧形状の第1ガイド部と、第2ガイド部とをそれぞれ有し、一方のガイド溝の上記第2ガイド部は上記第1ガイド部の中間部から上流側に延び、他方のガイド溝の上記第2ガイド部は上記第1ガイド部から下流側に延び、これら第2ガイド部が上記通常送風モードから上記拡散送風モードに切り替わる際に上記ガイドピンを案内することを特徴とする請求項1に記載の車両用レジスタ装置。
【請求項3】
上記操作ダイヤルには、上記第1方向に離間した一対の係合溝を有し、これら係合溝は上記第1方向に延びて上記一対の副リンクの上記ガイドピンと係合することを特徴とする請求項2に記載の車両用レジスタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両において空調装置からの空気を車室に吹き出すためのレジスタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用レジスタ装置は、通風路を有するレジスタ本体と、通風路に配置されたフィン群を備えている。フィン群は、例えば上下方向に間隔をおいて配置されるとともに互いに平行をなして左右方向に延びる複数のフィンを有する。これら複数のフィンは連動リンクにより連結されており、操作つまみの操作で中央のフィンが回動すると、連結リンクを介して他のフィンも回動し、これにより、吹き出し方向を上下に調節することができる。
【0003】
上記のように吹き出し方向を調節可能な通常送風モードのみならず、吹き出しの角度範囲を広げた拡散送風モードを実行できる車両用レジスタも種々開発されている。
特許文献1には、操作ダイヤルを用いて通常送風モードと拡散送風モードを切り替えることができるレジスタ装置が開示されている。
【0004】
特許文献1のレジスタ装置は、レジスタ本体に回動可能に支持された操作ダイヤルと、レジスタ本体に回動可能に支持されるとともに互いに噛み合う第1、第2のギア付きリンクと、連動リンクとを備えている。操作ダイヤルに第1ギア付きリンクが係合され、第1、第2ギア付きリンクに、連動リンクの両端部が係合されている。連動リンクは複数のカム溝を有しており、このカム溝に複数のフィンの連動ピンが挿入されている。
【0005】
特許文献1のレジスタ装置では、一般的なレジスタ装置と同様に、通常送風モードでは、連動リンクを介して複数のフィンが連動することにより、風向きを調節することができる。拡散送風モードに切り替える場合には、操作ダイヤルを回動する。すると、この操作ダイヤルと係合する第1ギア付きリンクが回動し、この第1ギア付きリンクと噛み合う第2ギア付きリンクが回動し、これら第1、第2ギア付きリンクと係合する連動リンクが下流側に移動する。この連動リンクの移動に伴い、カム溝のカム作用により複数のフィンが下流側に向かって互いに離れるように回動し、拡散送風が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-206091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のレジスタ装置では、第1、第2のギア付きリンクを用いるため、構造が複雑で組み付け作業も煩雑である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、通風路を有しこの通風路の上流端が空調装置に接続され下流端が車室への吹出口として提供されるレジスタ本体と、上記通風路に第1方向に間隔をおいて配置されるとともに、上記第1方向と直交する第2方向に延びる回動軸線を中心に回動可能に、上記レジスタ本体に支持され、上記回動軸線から離間した位置にそれぞれ連動ピンを有する複数のフィンと、上記複数のフィンの上記連動ピンに連結され、上記複数のフィンが互いに平行な姿勢をとる通常送風モードにおいて、上記複数のフィンを同じ向きに連動させる連動リンク機構と、を備えた車両用レジスタ装置において、
上記複数のフィンは、センタフィンと、このセンタフィンの上記第1方向両側に配置されたサイドフィンを含み、上記連動リンク機構は、上記第1方向に延びる主リンクと、互いに上記第1方向に離れて配置された一対の副リンクとを有し、上記主リンクは、その中央部に上記センタフィンの連動ピンを回動可能に連結する連結穴を有するとともに、上記第1方向両側の部位に規制溝を有し、上記一対の副リンクはそれぞれカム溝を有し、上記規制溝と上記カム溝に上記サイドフィンの連動ピンが挿入されることにより、上記主リンクと上記一対の副リンクが連結されており、さらに、通常送風モード位置と拡散送風モード位置との間で回動可能にして上記レジスタ本体に支持され上記一対の副リンクと係合するモード切替用の操作ダイヤルを備え、上記操作ダイヤルが上記通常送風モード位置から上記拡散送風モード位置まで回動することにより、上記一対の副リンクの一方が上記通風路の上流側へ移動し、他方が上記通風路の下流側へ移動し、この時に上記カム溝のカム作用により上記サイドフィンの連動ピンが上記第1方向において互いに逆向きに移動することにより、上記サイドフィンが吹き出し方向に向かって上記センタフィンから離れる姿勢となる拡散送風モードが実行されることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、風向き調節可能な通常送風モードと拡散送風モードを切り替える構造を、少ない部品点数で構築でき、フィンやレジスタ本体への組み付け作業も楽に行なえる。
【0010】
好ましくは、上記主リンクと上記一対の副リンクが上記レジスタ本体において上記第2方向を向く壁の内側に配置され、上記操作ダイヤルが当該壁の外側に配置され、当該壁には互いに上記第1方向に離間する一対のガイド溝が形成され、上記一対の副リンクには、上記一対のガイド溝に挿通されて上記操作ダイヤルに係合するガイドピンがそれぞれ設けられており、上記一対のガイド溝は、上記通常送風モードにおいて上記ガイドピンを案内する円弧形状の第1ガイド部と、第2ガイド部とをそれぞれ有し、一方のガイド溝の上記第2ガイド部は上記第1ガイド部の中間部から上流側に延び、他方のガイド溝の上記第2ガイド部は上記第1ガイド部から下流側に延び、これら第2ガイド部が上記通常送風モードから上記拡散送風モードに切り替わる際に上記ガイドピンを案内する。
上記構成によれば、レジスタ本体の壁に形成されたガイド溝により、通常送風モードでの風向き調節および通常制御モードと拡散送風モードの切り替えの際に、副リンクを安定した軌跡で移動させることができるとともに、所望位置で安定して保持することができる。
【0011】
好ましくは、上記操作ダイヤルには、上記第1方向に離間した一対の係合溝を有し、これら係合溝は上記第1方向に延びて上記一対の副リンクの上記ガイドピンと係合する。
上記構成によれば、操作タイヤルとガイドピンとを係合する構成を簡略化することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡単な構成および組み付け作業で、通常送風モードと拡散送風モードの切替構造が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用レジスタ装置を車室側から見た斜視図である。
図2】同レジスタ装置における上流側フィン群と下流側フィン群を示す斜視図である。
図3】同レジスタ装置におけるレジスタ本体の主構成体と連動リンク機構とモード切替用操作ダイヤルを示す分解斜視図である。
図4A】同レジスタ装置のレジスタ本体と下流側フィン群と連動リンク機構を示す縦断面図であり、通常送風モードで上下方向中央部に向かって送風している時の状態を示す。
図4B】通常送風モードで上向きに送風している時の状態を示す図4A相当図である。
図4C】拡散送風モードを実行している時の状態を示す図4A相当図である。
図5A】同レジスタ装置のレジスタ本体と連動リンク機構の一対の副リンクと操作ダイヤルを示す縦断面図であり、通常送風モードで上下方向中央部に向かって送風している時の状態を示す。
図5B】通常送風モードで上向きに送風している時の状態を示す図5A相当図である。
図5C】拡散送風モードを実行している時の状態を示す図5A相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態のレジスタ装置は、車両のインストルメントパネルに設置されるものであり、図1図3に示すように、車両の前後方向に延びる通風路15を有するレジスタ本体10と、通風路15の上流側に配置された上流側フィン群20と、通風路15の下流側に配置された下流側フィン群30と、連動リンク機構40と、モード切替用の操作ダイヤル50とを、主要構成要素として備えている。
【0015】
レジスタ本体10の通風路15の上流端が空調装置からのダクトに接続され、下流端が吹出口となっている。空調装置からの温度調節された空気が吹出口から車室に向かって吹き出す。
レジスタ本体10は、上記通風路15を有する筒形状の主構成体11と、支持板12と、ベゼル13とを有している。
【0016】
上記主構成体11は、上壁11aと、下壁11bと、略垂直をなす左側壁11cと、傾斜した右側壁11dとを有している。
上記支持板12は、下流側フィン群30を主構成体11に装着するに先立ち下流側フィン群30をアッセンブリ化するために用いるものであり、左側壁11bの下流側に取り付けられている。支持板12は主構成体11の左側壁11bと協働してレジスタ本体10の左側壁を構成している。
上記ベゼル13は、レジスタ本体10の下流端部を覆うとともに、下壁11bと左側壁11cを、間隔を介して覆っている。ベゼル13の左側部と下側部には窓13a,13bが形成されている。
【0017】
上流側フィン群20は、例えば5枚(複数)のフィン21を有している。フィン21は、上下方向(第1方向)に延びる細長い板形状をなし、左右方向(車幅方向;第2方向)に互いに離間して配置されている。
【0018】
各フィン21は、その上下端に形成された回動軸21aを介して、上下方向に延びる回動軸線を中心に回動可能に、レジスタ本体10の上壁11aと下壁11bに支持されている。
5枚のフィン21は、例えばその下端部に連動ピン21bを有しており、これら連動ピン21bが、左右に延びる連結リンク(図示しない)に回動可能に連結されている。
中央のフィン21の中央部の下流側部分は切欠かれており、この切欠部の下流端には、係合ピン25が設けられている。
【0019】
下流側フィン群30は、例えば5枚(複数)のフィンを有している。これらフィンのうちセンタフィンに符号31を付し、上側の2枚のサイドフィンに符号32を付し、下側の2枚のサイドフィンに符号33を付す。
フィン31~33は、左右方向(第2方向)に延びる細長い板形状をなし、上下方向に互いに離間して配置されている。
【0020】
各フィン31~33は、その左右端に設けられた回動軸31a~33aを介して、左右方向に延びる回動軸線を中心に回動可能に、レジスタ本体10の左右の側壁11c、11dに支持されている。これら回動軸31a~33aはフィン31~33の中心より下流側に偏倚している。
【0021】
より具体的に説明すると、センタフィン31とこのセンタフィン31に隣接する上下のサイドフィン32,33の左側の回動軸31a~33aは、支持板12に形成された軸受穴12xに支持され、右側の回動軸31a~33aは、主構成体11の右側壁11dの下流端近傍に形成された軸受穴11xに支持されている。最上位のサイドフィン32と最下位のサイドフィン33は、ベゼル13の左右に形成された軸受穴(図示しない)に支持されている。
【0022】
5枚のフィン31~33は、左端部に連動ピン31b~33bを有しており、これら連動ピン31b~33bが後述するように連動リンク機構40を介して互いに連結されることにより、連動するようになっている。連動ピン31b~33bは、フィン31~33の中心から上流側に偏倚している。
【0023】
センタフィン31には、操作つまみ35が左右方向にスライド可能に装着されている。この操作つまみ35は、上流側に向かって突出する係合フォーク部(図示しない)を有しており、この係合フォーク部が、上流側フィン群20の中央フィン21に設けられた係合ピン25と係合している。
【0024】
後述する通常送風モードにおいて、操作つまみ35を手でつまんでセンタフィン31を上下に回動することにより、連結リンク機構40を介して全てのフィン31~33が同方向に回動し、これにより吹出し方向を上下に調節することができる。
また、操作つまみ35を左右にスライドすると、フォーク部35と係合ピン25の係合を介して中央のフィン21が左右に回動し、さらに図示しない連動リンクを介して他のフィン21が回動することにより、吹き出し方向を左右に調節することができる。
【0025】
図3に示すように連結リンク機構40は、上下方向に延びる板状の主リンク41と、上下に離間して配置された板状の一対の副リンク42、43とを有している。
主リンク41の上下方向中央部には、連結穴41aが形成され、その上部には上下に離れた2つの規制溝41bが形成され、その下部にも上下に離れた2つの規制溝41cが形成されている。規制溝41b、41cは、上下方向に細長い長穴(好ましくは、上記回動軸32a、33aと連動ピン32b、33bとの距離と等しい曲率半径を有する)により構成されている。
【0026】
上側の副リンク42には上下に離れた2つのカム溝42aが形成されており、下側の副リンク43にも上下に離れた2つのカム溝43aが形成されている。これらカム溝42a,43aは、下流側に向かって下方に進むように直線状をなして傾斜している。
【0027】
上記連動リンク機構40は通風路15内においてレジスタ本体10の主構成体11の左側壁11cの内側に配置されている。
図4Aに示すように、センタフィン31の連動ピン31bは、主リンク41の中央の連結穴41aに回動可能に挿入されている。
また、上側のサイドフィン32の連動ピン32bは、主リンク41の規制溝41bと副リンク42のカム溝42aに挿入され、下側のサイドフィン33の連動ピン33bは、主リンク41の規制溝41cと副リンク43のカム溝43aに挿入されており、これにより主リンク41と一対の副リンク42,43が連動ピン32b、33bを介して連結されている。
【0028】
図3に示すように、副リンク42,43には、主構成体11の左側壁11cに向かって水平に突出するガイドピン46,47がそれぞれ設けられている。ガイドピン46、47は、左側壁11cに上下に離れて形成された一対のガイド溝16,17にそれぞれ挿入され、左側壁11cの外側に突出している。
【0029】
ガイド溝16,17は、上流側に向かって凸となる円弧形状の第1ガイド部16a,17aと、直線状をなす短い第2ガイド部16b、16bとを、それぞれ有している。
第1ガイド部16a,17aは、フィン31~33の回動軸部31a~33bと連動ピン31b~33bとの間の距離に相当する曲率半径を有している。
【0030】
上側のガイド溝16では、第2ガイド部16bは第1ガイド部16aの中間部から上流側に向かって延びている。下側のガイド溝17では、第2ガイド部17bは、第1ガイド部17aの中間部から下流側に向かって延びている。
【0031】
図3に示すように、左側壁11cの外側には、モード切替用の操作ダイヤル50が配置されている。この操作ダイヤル50は、左側壁11cの外面に突出して形成された支持軸部18に、回動可能に支持されている。
【0032】
操作ダイヤル50は、円弧形状をなす操作部51と、その上下に2股をなして突設された係合突起52,53とを有している。操作部51の中央には目印の突起51aが形成されている。係合突起52,53には上下方向に直線状に延びる係合溝52a,53aが形成されており、これら係合溝52a,53aには、副リンク42,43のガイドピン46,47がそれぞれ溝幅方向の遊びをもって係合するようになっている。
【0033】
図1に示すように、操作ダイヤル50の操作部51は、ベゼル13に形成された窓13aから車室内に向かって突出しており、乗員により操作できるようになっている。
ベゼル13の別の窓13bには、通風路15内に設けたシャッタ機構(図示しない)を開閉操作するための操作ダイヤル60が配置されているが、本発明の特徴部ではないので、詳細な説明を省略する。
【0034】
上記構成をなすレジスタ装置の作用を下流側フィン群30による送風方向の調節を中心に詳述する。図1に示すように操作ダイヤル50の操作部51の目印突起51aが窓13aの中央に位置している時、操作ダイヤル50は通常送風モード位置にある。
【0035】
上記通常送風モード状態では、図5Aに示すように、副リンク42,43のガイドピン46,47は、それぞれガイド溝16,17の第1ガイド部16a,17aに位置している。操作ダイヤル50の係合突起52、53の係合溝52a,53aが、第1ガイド部16a,17aと重なるように配置されているので、係合突起52,53はガイドピン46,47の第1ガイド部16a、17aに沿う移動の支障にならない。
【0036】
上記通常送風モード状態では、図4Aに示すように、上側のサイドフィン32の連動ピン32bは、主リンク41の規制溝41bの上端部と副リンク42のカム溝42aの上端部に挿入されている。規制溝41bとカム溝42aが異なる角度で交差しているので、主リンク41と副リンク42は、連動ピン32bを介して相対移動不能に連結されている。
同様に下側のフィン33の連動ピン33bは、主リンク41の規制溝41cの下端部と副リンク43のカム溝43aの下端部に挿入されている。規制溝41cとカム溝43aが異なる角度で交差しているので、主リンク41と副リンク43は、連動ピン33bを介して相対移動不能に連結されている。
その結果、主リンク41と一対の副リンク42,43は、単一の連動リンクと同様に一体をなしており、センタフィン31と上下のサイドフィン32,33は互いに平行な姿勢を維持される。
【0037】
図4Aに示すように、操作つまみ35の操作でセンタフィン31を水平にすると、一体をなす主リンク41と副リンク42,43を介して上下のサイドフィン32,33も水平をなし、これにより、上流側から送られてきた空気は略水平に車室に向かって真正面に吹き出す。この時、副リンク42,43のガイドピン46,47はそれぞれガイド溝16,17の第1ガイド部16a,17aにおいて第2ガイド部16b、17bに対向する箇所(隣接する箇所)に位置している。
この状態で、図5Aに示すように上側の係合溝52aの下流側の側面にガイドピン46が係止されているため、連動リンク機構40のがたつきを防止することができる。
【0038】
操作つまみ35を掴んで図4Bに示すようにセンタフィン31を上向きにすると、一体をなす連動リンク機構40を介して上下のサイドフィン32,33もセンタフィン31と平行をなしたまま上向きの姿勢になる。その結果、車室に向かって上向きに送風することができる。
【0039】
上記通常送風モードでの上向き送風時には、図5Bに示すように、ガイドピン46,47がサイドフィン32,33の連動ピン32b、33bと同形状の円弧軌跡を描いて下方に移動する。すなわち、ガイドピン46,47がガイド溝16,17の円弧形状の第1ガイド部16a,17aに沿って下方に移動し、第1ガイド部16a、17aの下端部に達した時に、フィン31~33が最大傾斜角度になる。
【0040】
上記とは逆にセンタフィン31を下向きにすると、一体をなす連動リンク機構40を介して上下のサイドフィン32,33もセンタフィン31と平行をなしたまま下向きの姿勢になる。その結果、車室に向かって下向きに送風することができる。
この通常送風モードでの下向き送風時には、ガイドピン46,47がガイド溝16,17の第1ガイド部16a,17aに沿って上方に移動し、第1ガイド部16a、17aの上端部に達した時に、フィン31~33が最大傾斜角度になる。
【0041】
上記通常送風モードから拡散送風モードに切り替える場合には、その準備段階としてフィン31~33を図4Aに示す水平姿勢にする。これにより、図5Aに示すようにガイドピン46,47はガイド溝16,17の第1ガイド部16a,17aにおいて、第2ガイド部16b、17bに隣接した位置になる。
【0042】
次に、操作ダイヤル50を図5Cに示すように反時計回り方向に回す。すると、操作ダイヤル50の上側の係止溝52aの下流側の側面が、ガイドピン46を上流側に向かって押すため、ガイドピン46はガイド溝16の第2ガイド部16bに入り込み、第2ガイド部16bに沿って上流側に移動する。図4Cに示すように、このガイドピン46の移動に伴って上側の副リンク42が上流側に移動するため、上側のサイドフィン32の連動ピン32bは、カム溝42aのカム作用および規制溝41bの規制を受けて下方に移動する。その結果、上側のサイドフィン32は車室に向かって上向きとなる。
【0043】
他方、図5Cに示すように、上記操作ダイヤル50の回動操作に伴い、操作ダイヤル50の下側の係止溝53aの上流側の側面がガイドピン47を下流側に向かって押すため、ガイドピン47はガイド溝17の第2ガイド部17bに入り込み、第2ガイド部17bに沿って下流側に移動する。図4Cに示すように、このガイドピン47の移動に伴って下側の副リンク43が下流側に移動するため、下側のフィン33の連動ピン33bは、カム溝43aのカム作用および規制溝41cの規制を受けて上方に移動する。その結果、下側のフィン33は車室に向かって下向きとなる。
【0044】
上述したように、センタフィン31が水平のまま上側の2枚のサイドフィン32が上向きになり、下側の2枚のフィン33が下向きになるので、上下方向に広い角度で拡散送風を行なうことができる。
【0045】
上記拡散送風モードから通常送風モードに切り替える場合には、操作ダイヤル50を時計回りに回動させる。これにより、上側の係合溝52aの上流側の側面がガイドピン46を下流側に向かって押し、下側の係合溝53aの下流側の側面がガイドピン47を上流側に向かって押すことにより、図4A図5Aに示す通常送風モードに戻る。
【0046】
上記構成では、連動リンク機構40を3つの部品すなわち主リンク41と一対の副リンク42、43で構成し、これに操作ダイヤル50を加えただけの簡単な構成で、通常送風モードと拡散送風モードの切り替えを行なうことができる。しかも、ギアを用いないのでフィン31~33およびレジスタ本体10への組み付け作業も楽である。
【0047】
また、副リンク42,43のガイドピン46,47をガイド溝16,17で案内することにより、通常送風モードでの風向き調節の際および通常制御モードと拡散送風モードの切り替えの際に、副リンク42,43を安定した軌跡で移動させることができるとともに、所望位置で安定して保持することができる。
【0048】
本発明は上記実施形態に制約されず、さらに種々の態様が可能である。
サイドフィンも枚数はセンタフィンの両側にそれぞれ1枚ずつ配置してもよいし、3枚以上配置してもよい。
フィンの回動軸線を上流側に配置し連動ピンを下流側に配置してもよい。
上流側フィン群で通常送風モードと拡散送風モードを選択できるようにしてもよい。
左右方向に送風調節可能なフィン群に本発明を適用してもよい。
上記実施形態では、上流側と下流側にフィン群を備えているが、1セットのフィン群を備えたレジスタ装置に本発明を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、車両の空調のためのレジスタ装置に適用できる。
【符号の説明】
【0050】
10 レジスタ本体
15 通風路
16,17 ガイド溝
16a,17a 第1ガイド部
16b,17b 第2ガイド部
31 センタフィン
32,33 サイドフィン
31a~33a 回動軸
31b~33b 連動ピン
40 連結リンク機構
41 主リンク
41a 連結穴
41b、41c 規制溝
42、43 副リンク
42a,43a カム溝
46,47 ガイドピン
50 モード切替用操作ダイヤル
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C