IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -パーソナルモビリティ 図1
  • -パーソナルモビリティ 図2
  • -パーソナルモビリティ 図3
  • -パーソナルモビリティ 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-02
(45)【発行日】2022-03-10
(54)【発明の名称】パーソナルモビリティ
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20220303BHJP
   G01K 1/14 20210101ALI20220303BHJP
   G01W 1/00 20060101ALI20220303BHJP
   B60L 3/00 20190101ALN20220303BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G01K1/14 L
G01W1/00 J
B60L3/00 N
B60L3/00 H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018228055
(22)【出願日】2018-12-05
(65)【公開番号】P2020091635
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】坂井 己博
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-191592(JP,A)
【文献】特開2007-153264(JP,A)
【文献】特開2007-137116(JP,A)
【文献】特開2007-106170(JP,A)
【文献】特開平03-089802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
G01K 1/14
G01W 1/00
B60L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の移動に用いられるパーソナルモビリティであって、
当該パーソナルモビリティの前方に赤外光を出射し、当該赤外光の反射光より障害物を検出する、障害物の検出感度を調整可能な障害物検出センサと、
前記パーソナルモビリティが走行している路面が凍結、または、湿潤の状態にあるかどうかを推定する路面状態推定手段と、
前記路面状態推定手段が、前記路面が凍結、または、湿潤の状態にあると推定している場合に、前記障害物検出センサの前記検出感度を、他の場合よりも低く設定する感度設定手段とを有することを特徴とするパーソナルモビリティ。
【請求項2】
請求項1記載のパーソナルモビリティであって、
前記パーソナルモビリティの車体下部に配置した温度センサと湿度センサとを備え、
前記路面状態推定手段は、前記温度センサで計測した温度と前記湿度センサで計測した湿度を用いて、前記路面が凍結、または、湿潤の状態にあるかどうかを推定することを特徴とするパーソナルモビリティ。
【請求項3】
請求項2記載のパーソナルモビリティであって、
前記車体下部より上方に配置された前記パーソナルモビリティの周囲の温度を計測する周囲温度センサと、前記車体下部より上方に配置された前記パーソナルモビリティの周囲の湿度を計測する周囲湿度センサとを備え、
前記路面状態推定手段は、前記温度センサで計測した温度と前記周囲温度センサで計測した温度との関係と、前記湿度センサで計測した湿度と前記周囲湿度センサで計測した湿度との関係との少なくとも一方を評価要素に含む所定の評価法に従って、前記路面が凍結、または、湿潤の状態にあるかどうかを推定することを特徴とするパーソナルモビリティ。
【請求項4】
請求項1、2または3記載のパーソナルモビリティであって、
障害物検出センサは、障害物までの距離を検出し、
当該パーソナルモビリティは、走行中のパーソナルモビリティが安全に減速して停止するまでに要する走行距離である安全停止距離を算定する安全停止距離設定手段と、
検出した距離が、算定されている安全停止距離から定まる許容距離以内である障害物を、前記障害物検出センサが検出した場合に、当該障害物との衝突の回避を支援する所定の支援動作を行う支援手段とを有し、
前記安全停止距離設定手段は、前記路面状態推定手段が前記路面が凍結、または、湿潤の状態にあると推定している場合に、前記安全停止距離を、他の場合よりも大きく算定することを特徴とするパーソナルモビリティ。
【請求項5】
請求項4記載のパーソナルモビリティであって、
前記支援手段は、前記支援動作として、警報の出力、もしくは、パーソナルモビリティの走行の停止を行うことを特徴とするパーソナルモビリティ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動カートや電動式車椅子などのパーソナルモビリティにおいて障害物を検出する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
障害物を検出する技術としては、自動車において、前方の障害物をセンサで検出し、検出した障害物と衝突しないように、自動車を自動的に制動し停止させる技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
また、自動車において外気温とタイヤ内温度とタイヤ溝部の温度より、走行中の路面の乾燥、凍結、ウエット(濡れ)などの状態を検出する技術も知られている(たとえば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10 - 16734号公報
【文献】特開2007-153264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パーソナルモビリティにおいて障害物の検出に、赤外光を出射し赤外光の反射光より障害物を検出する赤外線測距センサを用いる場合、路面その他の周囲の施設表面が凍結状態や湿潤状態にあると鏡状となって、赤外光の反射強度が過大となり、障害物までの距離を正しく検出できなくなることがある。
【0006】
そして、このような場合には、赤外線測距センサを用いて検出した障害物と衝突しないように、パーソナルモビリティの制動を制御しても、衝突を回避できかったり、不要なパーソナルモビリティ停止が発生してしまうことが生じ得る。
【0007】
そこで、本発明は、本発明は、パーソナルモビリティにおいて、周囲が凍結状態や湿潤状態にある場合にも、赤外光を使用するセンサを用いて障害物をより適正に検出することを課題とする。
【0008】
また、併せて、本発明は、路面が凍結状態や湿潤状態にある場合にも、パーソナルモビリティと、障害物との衝突の回避のための支援動作を適正に行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題達成のために、本発明は、利用者の移動に用いられるパーソナルモビリティに、当該パーソナルモビリティの前方に赤外光を出射し、当該赤外光の反射光より障害物を検出する、障害物の検出感度を調整可能な障害物検出センサと、前記パーソナルモビリティが走行している路面が凍結、または、湿潤の状態にあるかどうかを推定する路面状態推定手段と、前記路面状態推定手段が、前記路面が凍結、または、湿潤の状態にあると推定している場合に、前記障害物検出センサの前記検出感度を、他の場合よりも低く設定する感度設定手段とを備えたものである。
【0010】
このようなパーソナルモビリティによれば、路面が凍結状態や湿潤状態にあるときには障害物センサの検出感度を低下させて障害物の検出を行うので、凍結状態や湿潤状態において路面その他の周囲の施設表面が鏡面状態となって反射率が大きくなった場合でも適正に障害物を検出できる。
【0011】
ここで、このようなパーソナルモビリティでは、当該パーソナルモビリティの車体下部に配置した温度センサと湿度センサとを備え、前記路面状態推定手段において、前記温度センサで計測した温度と前記湿度センサで計測した湿度を用いて、前記路面が凍結、または、湿潤の状態にあるかどうかを推定するように構成してもよい。
また、この場合には、パーソナルモビリティに、前記車体下部より上方に配置された前記パーソナルモビリティの周囲の温度を計測する周囲温度センサと、前記車体下部より上方に配置された前記パーソナルモビリティの周囲の湿度を計測する周囲湿度センサとを設け、前記路面状態推定手段において、前記温度センサで計測した温度と前記周囲温度センサで計測した温度との関係と、前記湿度センサで計測した湿度と前記周囲湿度センサで計測した湿度との関係との少なくとも一方を評価要素に含む所定の評価法に従って、前記路面が凍結、または、湿潤の状態にあるかどうかを推定するようにしてもよい。
【0012】
このように路面に近い車体下部に配置した温度センサや湿度センサを用いることにより、より確度高くに、路面の凍結、または、湿潤の状態の有無を推定することができるようになる。
また、さらに、このような温度センサや湿度センサで検出した温度や湿度と、周囲温度や周囲湿度との関係を考慮して推定を行うことにより、路面の凍結、または、湿潤の状態の有無の推定の確度をさらに高めることができる。
【0013】
また、以上のパーソナルモビリティは、障害物検出センサを、障害物までの距離を検出するものとし、当該パーソナルモビリティに、走行中のパーソナルモビリティが安全に減速して停止するまでに要する走行距離である安全停止距離を算定する安全停止距離設定手段と、検出した距離が、算定されている安全停止距離から定まる許容距離以内である障害物を、前記障害物検出センサが検出した場合に、当該障害物との衝突の回避を支援する所定の支援動作を行う支援手段とを備え、前記安全停止距離設定手段において、前記路面状態推定手段が前記路面が凍結、または、湿潤の状態にあると推定している場合に、前記安全停止距離を、他の場合よりも大きく算定するように構成してもよい。
【0014】
また、この場合には、前記支援手段において、前記支援動作として、警報の出力、もしくは、パーソナルモビリティの走行の停止を行うようにしてよい。
このようなパーソナルモビリティによれば、路面が凍結状態や湿潤状態にあって路面との摩擦が小さくなってパーソナルモビリティの制動性能が低くなったときに、パーソナルモビリティが安全に減速して停止するまでに要する走行距離である安全停止可能距離を大きく設定して障害物との衝突の回避の支援を行うので、適切な衝突回避支援を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、パーソナルモビリティにおいて、パーソナルモビリティにおいて、周囲が凍結状態や湿潤状態にある場合にも、赤外光を使用するセンサを用いて障害物を適正に検出することができる。
【0016】
また、本発明によれば、路面が凍結状態や湿潤状態にある場合にも、パーソナルモビリティと、障害物との衝突の回避のための支援動作を適正に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る衝突回避システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係るパーソナルモビリティを示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る路面状況適応処理を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態に係る自動制動処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係るパーソナルモビリティの走行システムの構成を示す。
図示するように、走行システムは、電動カートや電動式車椅子などの自走式のパーソナルモビリティの駆動輪を回転させるモータ1、パーソナルモビリティの減速、停止を行うブレーキ装置2、ユーザの運転操作を受け付けるレバーやスイッチを備えた操作パネル3、操作パネル3の操作に従ったモータ1やブレーキ装置2の動作の制御や、パーソナルモビリティの走行状態の管理を行う自走制御部4、衝突回避システム5を備えている。
【0019】
また、衝突回避システム5は、周囲温度センサ51、周囲湿度センサ52、下部温度センサ53、下部湿度センサ54、赤外光センサ55、自動制動制御部56、赤外線測距センサ57、警告装置58を備えている。
【0020】
そして、衝突回避システム5の自動制動制御部56は、自走制御部4と接続されている。
ここで、図2に示すように、衝突回避システム5の、周囲温度センサ51と周囲湿度センサ52はパーソナルモビリティの比較的上方の位置に配置され、パーソナルモビリティの周囲の環境の温度と湿度を検出する。
【0021】
また、衝突回避システム5の下部温度センサ53と下部湿度センサ54は、パーソナルモビリティの車体下に設けられ、路面近くの温度と湿度を検出する。
また、衝突回避システム5の赤外光センサ55は、パーソナルモビリティの車体下に設けられ、車体下の路面に赤外光を出射し、路面による赤外光の反射光の強度を検出する。
そして、衝突回避システム5の赤外線測距センサ57は、パーソナルモビリティの前端に設けられており、パーソナルモビリティの前方に赤外光を出射し、出射した赤外光の反射光よりパーソナルモビリティの前方の障害物までの距離を検出する。
【0022】
さて、このような構成において、衝突回避システム5の自動制動制御部56は、路面状況対応処理と、自動制動処理を行う。
まず、路面状況対応処理について説明する。
図3に、この路面状況対応処理の手順を示す。
図示するように、自動制動制御部56は、路面状況対応処理において、路面が、路面が濡れている湿潤、または、路面が凍っている凍結の状態にあるかどうかを調べる(ステップ302)。
【0023】
ここで、このステップ302では、周囲温度センサ51、周囲湿度センサ52、下部温度センサ53、下部湿度センサ54の検出値から、路面が湿潤、または、凍結の状態にあるかどうかを判定する。
【0024】
すなわち、たとえば、事前に、周囲温度センサ51、周囲湿度センサ52、下部温度センサ53、下部湿度センサ54の検出値の組み合わせと、路面の湿潤や凍結の有無との対応を、実験により求めてマップ化しておき、マップにおいて、現在の検出値の組み合わせに路面の湿潤や凍結が対応づけられているときに、路面が湿潤、または、凍結の状態にあると判定し、他の場合に、路面が湿潤、及び、凍結の状態にないと判定する。
【0025】
または、たとえば、周囲温度センサ51が検出している温度より下部温度センサ53が検出している温度が所定のしきい値以上低く、かつ、下部温度センサ53が検出している温度が所定温度T1以下である場合や、下部温度センサ53が検出している温度が所定温度T2(T1>T2)以下である場合に、路面が凍結していると識別したり、周囲湿度センサ52が検出している湿度より下部湿度センサ54が検出している湿度が所定のしきい値以上高く、かつ、下部湿度センサ54が検出している湿度が所定湿度H1以上である場合や、下部湿度センサ54が検出している湿度が所定温度H2(H2>H1)以上である場合に、路面が湿潤状態あると識別すること等により、路面が湿潤、または、凍結の状態にあるかどうかを判定するようにしてもよい
または、路面の反射率を表す赤外光センサ55で検出される赤外光の強度が所定のしきい値以上大きい場合に、路面が湿潤、または、凍結の状態にあると判定するようにしたり、赤外光センサ55で検出される赤外光の強度と、周囲温度センサ51、周囲湿度センサ52、下部温度センサ53、下部湿度センサ54の少なくともいずれか一つの検出値を併せ考慮して、路面が湿潤、または、凍結の状態にあるかどうかを判定するようにしてもよい
そして、路面が湿潤や凍結しておらず、乾燥または乾燥に近い状態であれば(ステップ302)、赤外線測距センサ57の感度を標準感度に設定する(ステップ304)。
【0026】
ここで、標準感度とは、予め設定した、パーソナルモビリティの周囲が乾燥状態にあるときに、赤外線測距センサ57において正常に障害物の距離を検出できる感度である。
また、赤外線測距センサ57の感度の設定は、たとえば、赤外線測距センサ57の感度が設定する感度となるように、赤外線測距センサ57の赤外光の出射強度を調整したり、赤外光の反射光の検出信号のゲインを調整することにより行う。
【0027】
そして、次に、現用制動特性を標準制動特性に設定する(ステップ306)。ここで、制動特性とは、パーソナルモビリティの車速と、その車速で走行しているパーソナルモビリティを安全に減速して停止させるまでに要する走行距離である安全停止可能距離の関係を示すものであり、標準制動特性は、予め求めて設定した、路面が乾燥状態にあるときの制動特性となる。
【0028】
そして、ステップ302からの処理に戻る。
一方、ステップ302で、路面が湿潤または凍結していると判定された場合には、赤外線測距センサ57の感度を高反射面用感度に設定する(ステップ308)。
ここで、高反射面用感度は、予め設定した、パーソナルモビリティの周囲が湿潤または凍結状態にあるときに、赤外線測距センサ57において正常に障害物の距離を検出できる感度であり、高反射面用感度は標準感度より低い感度となる。
【0029】
また、現用制動特性を低摩擦路面用制動特性に設定する(ステップ310)。
ここで、低摩擦路面用制動特性は、予め求めて設定した、路面が凍結状態にあるときの制動特性であり、低摩擦路面用制動特性が表す安全停止可能距離は、同じ車速に対して標準制動特性が表す安全停止可能距離よりも長くなる。
【0030】
そして、ステップ302からの処理に戻る。
以上、自動制動制御部56は、路面状況対応処理について説明した。
次に、自動制動制御部56が行う自動制動処理について説明する。
図4に、この自動制動処理の手順を示す。
図示するように、自動制動制御部56は、自動制動処理において、まず、自走制御部4が管理しているパーソナルモビリティの現在の車速を取得し、取得した車速と設定されている現用制動特性からパーソナルモビリティの安全停止可能距離を算定する(ステップ402)。
【0031】
そして、安全停止可能距離に所定のマージン距離Mを加えた距離以内の障害物を赤外線測距センサ57が検出しているかどうかを調べ(ステップ404)、検出していなければ、ステップ402からの処理に戻る。ここで、このとき、赤外線測距センサ57は、現時点で設定されている感度で障害物の有無、障害物との距離を検出している。
【0032】
一方、安全停止可能距離に所定のマージン距離Mを加えた距離以内の障害物を赤外線測距センサ57が検出していれば(ステップ404)、警告装置58から自動制動を行う旨の警告音または警告メッセージを出力し(ステップ406)、自走制御部4に自動制動の開始を要求する(ステップ408)。
【0033】
ここで、自動制動の開始を要求された自走制御部4は、その時点の車速を考慮しつつ、モータ1とブレーキ装置2の動作を制御し、パーソナルモビリティを安全に減速して停止させ、その後、自動制動解除が指示されるまでパーソナルモビリティの制動を継続する。
【0034】
そして、パーソナルモビリティが停止したならば(ステップ410)、所定期間の経過を待って(ステップ412)、自走制御部4に自動制動解除を指示し(ステップ414)、ステップ402からの処理に戻る。
【0035】
以上、自動制動制御部56が行う自動制動処理について説明した。
このような本実施形態によれば、車体下部に配置した下部温度センサ53や下部湿度センサ54を用いることにより、より確度高く、路面の凍結、または、湿潤の状態の有無を推定することができる。
【0036】
そして、路面が凍結状態や湿潤状態にあるときには赤外線測距センサ57の感度を低下させて障害物の検出を行うので、凍結状態や湿潤状態において路面その他の周囲の施設表面が鏡状となって反射率が大きくなった場合でも適正に障害物を検出できる。
【0037】
また、路面との摩擦が小さくなってパーソナルモビリティの制動性能が低くなる路面が凍結状態や湿潤状態にあるときには、パーソナルモビリティを安全に減速して停止させるまでに要する走行距離である安全停止可能距離を長くとって自動制動を行うことができる。
【0038】
よって、本実施形態によれば、路面が凍結状態や湿潤状態にあるときでも障害物との衝突の回避動作を適正に行うことができる。
なお、以上の実施形態は、電動カートや電動式車椅子以外の任意のパーソナルモビリティに同様に適用することができる。
また、図4に示した自動制動処理のステップ406からステップ414は、警告装置58を用いてユーザに前方に障害物が存在することを警告する音声メッセージを出力してステップ402に戻る処理に置き換えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…モータ、2…ブレーキ装置、3…操作パネル、4…自走制御部、5…衝突回避システム、51…周囲温度センサ、52…周囲湿度センサ、53…下部温度センサ、54…下部湿度センサ、55…赤外光センサ、56…自動制動制御部、57…赤外線測距センサ、58…警告装置。
図1
図2
図3
図4