(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-02
(45)【発行日】2022-03-10
(54)【発明の名称】低コピー数のRI遺伝子を含む植物
(51)【国際特許分類】
A01H 1/00 20060101AFI20220303BHJP
A61K 36/41 20060101ALI20220303BHJP
A61K 36/287 20060101ALI20220303BHJP
A61K 36/28 20060101ALI20220303BHJP
A61K 36/738 20060101ALI20220303BHJP
A61K 36/81 20060101ALI20220303BHJP
A61K 36/47 20060101ALI20220303BHJP
A61K 36/898 20060101ALI20220303BHJP
A61K 36/53 20060101ALI20220303BHJP
A61K 36/534 20060101ALI20220303BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20220303BHJP
A61K 36/24 20060101ALI20220303BHJP
A61K 36/51 20060101ALI20220303BHJP
A61K 36/8967 20060101ALI20220303BHJP
A61K 36/716 20060101ALI20220303BHJP
A61K 36/74 20060101ALI20220303BHJP
A61K 36/39 20060101ALI20220303BHJP
A61K 36/79 20060101ALI20220303BHJP
A61K 36/88 20060101ALI20220303BHJP
A01H 6/32 20180101ALN20220303BHJP
A01H 6/14 20180101ALN20220303BHJP
A01H 6/74 20180101ALN20220303BHJP
A01H 6/82 20180101ALN20220303BHJP
A01H 6/62 20180101ALN20220303BHJP
A01H 6/50 20180101ALN20220303BHJP
A01H 6/60 20180101ALN20220303BHJP
A01H 6/56 20180101ALN20220303BHJP
A01H 6/72 20180101ALN20220303BHJP
A01H 6/38 20180101ALN20220303BHJP
A01H 6/08 20180101ALN20220303BHJP
A01H 6/40 20180101ALN20220303BHJP
A01H 6/76 20180101ALN20220303BHJP
A01H 6/00 20180101ALN20220303BHJP
C12N 15/31 20060101ALN20220303BHJP
C12N 15/82 20060101ALN20220303BHJP
【FI】
A01H1/00 A ZNA
A61K36/41
A61K36/287
A61K36/28
A61K36/738
A61K36/81
A61K36/47
A61K36/898
A61K36/53
A61K36/534
A61K36/185
A61K36/24
A61K36/51
A61K36/8967
A61K36/716
A61K36/74
A61K36/39
A61K36/79
A61K36/88
A01H6/32
A01H6/14
A01H6/74
A01H6/82
A01H6/62
A01H6/50
A01H6/60
A01H6/56
A01H6/72
A01H6/38
A01H6/08
A01H6/40
A01H6/76
A01H6/00
C12N15/31
C12N15/82 Z
(21)【出願番号】P 2018527015
(86)(22)【出願日】2016-08-12
(86)【国際出願番号】 EP2016069235
(87)【国際公開番号】W WO2017029214
(87)【国際公開日】2017-02-23
【審査請求日】2019-07-16
(32)【優先日】2015-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(32)【優先日】2015-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】518051916
【氏名又は名称】アクティエセルスカブ・クヌーズ・イェプセン
【氏名又は名称原語表記】A/S Knud Jepsen
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【氏名又は名称】稲井 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(72)【発明者】
【氏名】カイ・レネ・ニールセン
【審査官】原 大樹
(56)【参考文献】
【文献】Z. Naturforsch.,2010年,Vol. 65c,pp. 701-712
【文献】Plant Cell Rep,2008年07月03日,Vol. 27,pp. 1485-1495
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
A01H
A61K
JSTPlus/JMEDPuls/JST7580(JDreamII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Riプラスミドを有するA.rhizogenesでの感染によってアグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドで形質転換された植物またはかかる植物の子孫であって、該植物または子孫は、そのゲノムにおいて、rolC遺伝子を含む、1~5コピーのRiプラスミドに由来する複数の遺伝子を含み、形質転換されていない植物の25-75%の中間高さを示し、80%以上の花数を有
し、
該植物は、
(a)アグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドで野生型植物の組織を形質転換すること、
(b)形質転換された組織が毛状表現型を有する根を発達させることを可能にすること、
(c)工程(b)の毛状表現型を有する根の中から、毛状表現型が工程(b)において得られた根において観察される最大根毛長の最大半分の最大根毛長を示す根を選択すること;
(d)再生培地上で選択された根を成長させ、形質転換された根付いた小植物が該選択された根から生み出すことを可能にすること;
(e)該形質転換された根付いた小植物を対応する野生型植物のものの25-75%の高さを有する成熟な形質転換された母植物に成長させること
によって得られる、
植物または子孫。
【請求項2】
そのゲノムにおいて、1~5コピーの少なくとも1つ以上のrolA、rolB、rolCおよびrolD遺伝子を含む、請求項1に記載の植物またはその子孫。
【請求項3】
そのゲノムにおいて、1~5コピーのrolA、rolB、rolCおよびrolD遺伝子を含む、請求項2に記載の植物またはその子孫。
【請求項4】
そのゲノムにおいて、1~5コピーのRiプラスミドに存在する遺伝子を含む、請求項3に記載の植物またはその子孫。
【請求項5】
そのゲノムにおいて、1~5コピーのRiプラスミド上のT-DNA領域を含む、請求項4に記載の植物またはその子孫。
【請求項6】
コピー数が3以下である、請求項1から5のいずれかに記載の植物またはその子孫。
【請求項7】
コピー数が2以下である、請求項5に記載の植物またはその子孫。
【請求項8】
コピー数が1である、請求項6に記載の植物またはその子孫。
【請求項9】
植物が野生型アグロバクテリウムリゾゲネスでの感染によって得られる、請求項1から8のいずれかに記載の植物またはその子孫。
【請求項10】
植物または子孫が形質転換されていないコントロール植物の30-70%の中間高さを示す、請求項1に記載の植物またはその子孫。
【請求項11】
該植物または子孫が、形質転換されていないコントロール植物と比較して、4日以上開花時間遅延を有さない、請求項1から10のいずれかに記載の植物またはその子孫。
【請求項12】
該植物または子孫が、形質転換されていないコントロール植物と比較して、90%以上の花数を有する、および/または2日以上開花時間遅延を有さない、請求項11に記載の植物またはその子孫。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の植物またはその子孫であって、アグロバクテリウムリゾゲネスで形質転換された植物は以下の属のいずれかに属する:
-カランコエ;
-キク;
-シオン;
-バラ;
-ナス;
-トウダイグサ;
-コチョウラン;
-メボウキ;
-トウガラシ;
-ハッカ;
-ハイビスカス;
-マンデビラ(Mandevilla)/マンデビラ(Dipladenia);
-ユーストマ;
-ラベンダー;
-ユリ;
-クレマチス;
-タバコ;
-カンチョウジ;
-バニラ;
-サツマイモ;
-エキナセア;
-チョウセンゴミシ;
-イワベンケイ;
-フランスギク;
-ゴクラクチョウカ
属内の種間ハイブリッドも含む。
【請求項14】
植物が、カランコエ、シオン、キク、クレマチス、トウダイグサ、ハイビスカス、フランスギク、マンデビラ(Mandevilla)、タバコ、メボウキ、コチョウラン、バラおよびナス属のいずれかに属する、請求項13に記載の植物またはその子孫。
【請求項15】
観賞植物として、食物の提供または製造のための、またはヒトまたは動物必要品、例えば医薬、刺激剤または化粧品の製造のための活性成分の供給源として、請求項1から14のいずれかに記載の植物またはその子孫の使用。
【請求項16】
食物の提供または製造のための使用のための植物が農作物種である、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
食物の提供または製造のための使用のための植物がバニラ、メボウキ、トウガラシ、サツマイモ、ナス属のいずれかに属する、請求項15または16に記載の使用。
【請求項18】
医薬または刺激剤の製造のための活性成分の供給源として使用される植物がカランコエ、ナス、タバコ、イワベンケイ、エキナセア、チョウセンゴミシ、バラ、ハイビスカスおよびキク属のいずれかに属する、請求項15に記載の使用。
【請求項19】
請求項1から14のいずれかに記載の植物の製造方法であって、
(a)アグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドで野生型植物の組織を形質転換すること、
(b)形質転換された組織が毛状表現型を有する根を発達させることを可能にすること、
(c)工程(b)の毛状表現型を有する根の中から、毛状表現型が工程(b)において得られた根において観察される最大根毛長の最大半分の最大根毛長を示す根を選択すること;
(d)再生培地上で選択された根を成長させ、形質転換された根付いた小植物が該選択された根から生み出すことを可能にすること;
(e)該形質転換された根付いた小植物を対応する野生型植物のものの25-75%の高さを有する成熟な形質転換された母植物に成長させること
を含む、植物の製造方法。
【請求項20】
工程(c)が、工程(b)の毛状表現型を有する根の中から、毛状表現型が工程(b)において得られた根において観察される長さ当たりの最大枝数の最大半分である長さ当たりの枝数を示す根を選択することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
請求項1から14のいずれかに記載の植物の製造方法であって、
(a)アグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドで野生型植物の組織を形質転換すること、
(b)形質転換された組織が毛状表現型を有する根を発達させることを可能にすること、
(c)毛状根表現型を有する推定的に形質転換された根を選択すること;
(d)再生培地上で選択された根を成長させ、形質転換された根付いた小植物が該選択された根から生み出すことを可能にすること;
(e)該形質転換された根付いた小植物を成熟な形質転換された母植物に成長させること;
(f)工程(e)の成熟な形質転換された母植物と比較して増加した高さおよび工程(a)の野生型植物のものと比較して低下した高さを有する子孫について選択しながら、交配、戻し交配および自家交配によって工程(e)の成熟な形質転換された母植物の子孫を生み出すこと、
(g)子孫が工程(a)の対応する野生型植物のものの25-75%の高さを有し、80%以上の花数を有する成熟植物をもたらすまで、工程(f)を繰り返すこと
を含む、植物の製造方法。
【請求項22】
工程(e)または、存在するとき、工程(f)および/または(g)が、対応する野生型植物の30-70%の植物の高さについて選択することを含む、請求項19から21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
工程(e)または、存在するとき、工程(f)および/または(g)が、形質転換されていないコントロール植物と比較して、4日以上開花時間遅延を有さない、植物または子孫について選択することをさらに含む、請求項19から22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
工程(e)または、存在するとき、工程(f)および/または(g)が、形質転換されていないコントロール植物と比較して、90%以上の花数を有する、および/または2日以上開花時間遅延を有さない、植物または子孫について選択することをさらに含む、請求項19から23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
工程(a)が、Riプラスミドを有するA. rhizogenesを植物または植物部と共培養し、A. rhizogenesがRiプラスミドを該植物または植物部に送達することを可能にすることを含む、請求項19から24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
工程(a)が、アグロバクテリウムリゾゲネスでの感染を含む、請求項19から25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
アグロバクテリウムリゾゲネスが野生型アグロバクテリウムリゾゲネスである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
アグロバクテリウムリゾゲネスで形質転換された植物が、請求項14に定義のとおりである、請求項19から27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
選択が、アグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドに由来する1つ以上の遺伝子のコピー数をアッセイすることをさらに含む、請求項19から28のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、特に中間高さを有する、Riプラスミドを含むA.rhizogenesでの感染によってアグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドに由来する1つ以上の遺伝子で形質転換された植物またはかかる植物の子孫およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンパクトな植物構造が観賞植物の分野においてますます望まれている。鉢植え植物の産業は、環境、空間および輸送目的のためにさらにコンパクトな植物構造を好む。伸長成長挙動を示す鉢植え植物は、育種家、植物生産者および消費者の興味を失いつつある。
【0003】
現在、該産業は、植物サイズを制限するために成長抑制剤で植物を処理する。さらに、形質転換された植物の長さが形質転換されていない野生型植物の高さの20%未満である、コンパクトな植物構造を有するアグロバクテリウムリゾゲネスで形質転換された植物。かかる形質転換体は、矮性およびコンパクトな植物成長を含む多くの表現型を示す。該コンパクトな成長は、しわの寄った葉、花の形、花数の低下、開花の遅延のような望ましくない表現型と一致した。観賞植物について、アグロバクテリウムリゾゲネスのトランスフェクションの不利な点はコンパクトな成長の想定される利点よりも大きいようであった。コンパクトな成長は、しばしば、商業的価値を有するには小さすぎる植物をもたらす。植物の高さの影響を受けにくい形質転換体が時折観察されるが、かかる形質転換体は他の望ましくない表現型に苦しむ。
【0004】
実際に、Christensen et al. (Plant Cell Rep (2008) 27, 1485-1495)は、Riプラスミドを含むA.rhizogenesでの感染によってA.rhizogenesのrol遺伝子でのKalanchoe blossfeldianaの形質転換を記載している。長さおよびコンパクトさにおいて様々な異なるRi系統が得られた。しかしながら、全ての植物は、しわの寄った葉、より小さい花サイズ、乾燥重量の減少、少なくとも50%の花数の深刻な低下および開花時間遅延に苦しんだ。サザンブロット分析によって、Ri-系統のいくつかはRiプラスミドの1(306および319系統)または2コピー(331系統)を有するように表されたが、他の系統(312および324)はサザンブロットにおいて複数のバンドを示した。しかしながら、これらのデータは信頼できず、間違っているようである。Christensenの推定が間違っているという最初の兆候は、ChristensenのRi-系統が、カランコエ(Kalanchoe)ゲノムにおいて複数のRiコピーの取り込みをもたらす、A.rhizogenesでのKalanchoe blossfeldianaのストレートな(straight)形質転換の結果であったという事実にある。数は、7から11またはそれ以上で変化するが、決して少なくない。さらに、ChristensenのRi-系統は、花序、花数および乾燥重量喪失において劇的な減少に苦しむ。本願明細書において使用されるqPCRである、コピー数を決定するための有意により信頼できる方法は、Christensenの系統331のコピー数は7であったことを実際に示した。さらに、Christensenによって観察された表現型は、疑われるコピー数と一致しないようである。例えば、葉のしわは系統306および331においてあまり顕著ではないようであるが、rol遺伝子のコピー数は系統306と比較して系統331において2倍であると言われているが、系統306と同じコピー数を有すると言われる系統319は系統331および306の両方よりもより顕著であるしわの寄った葉を有する。また、開花の遅延は、rol遺伝子の少ないコピーを含むと言われる対応物と比較して、系統331においてあまり顕著ではない。
【0005】
天然土壌細菌A. rhizogenes アグロピン型系統のRi-プラスミドは、植物細胞への移動のためにRi-プラスミド上に2つのT-DNA領域(TL-DNAおよびTR-DNA、それぞれ配列番号1および2)を有する。植物細胞の感染の後に、細菌は全T-DNA領域(TL-DNAおよびTR-DNAの両方)を移動させ、それにより植物ゲノムにrol(根遺伝子)およびaux遺伝子を移動させ、感染部位で毛状根成長を引き起こす(Tepfer (1984) Cell, 37, pp. 959-967)。A. rhizogenesは植物に自然に感染するため、rol遺伝子は、植物に自然に導入され、植物癌遺伝子として機能し、植物組織において毛状根を発達させる。
【0006】
TL-DNAは、4つのrol遺伝子rolA、rolB、rolCおよびrolD(それぞれ配列番号3-6)を含み、TR-DNAは、2つのauxin遺伝子aux1およびaux2(それぞれ配列番号7および8)を含む数個の遺伝子を含む。TL-DNAは、さらなる18のオープンリーディングフレームを含む(Veena and Taylor (2007), In Vitro Cellular & Developmental Biology - Plant, 43, 383-403)。
【発明の概要】
【0007】
用語
本願明細書において使用されるすべての技術用語は、生化学、分子生物学および農学において一般的に使用される用語であり、当業者によって理解することができる。技術用語は、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd ed., vol. 1-3, ed. Sambrook and Russell, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 2001; Current Protocols in Molecular Biology, ed. Ausubel et al., Greene Publishing Associates and Wiley-lnterscience, New York, 1988 (定期的な更新を伴う); Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, 5th ed., vol. 1-2, ed. Ausubel et al., John Wiley & Sons, Inc., 2002; Genome Analysis: A Laboratory Manual, vol. 1-2, ed. Green et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1997において見ることができる。植物生物学技術に関連する方法論が本願明細書に記載されており、Methods in Plant Molecular Biology: A Laboratory Course Manual, ed. Maliga et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1995のような学術論文において詳細に記載されている。PCRを使用する種々の技術が、Innis et al., PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications, Academic Press, San Diego, 1990 and in Dieffenbach and Dveksler, PCR Primer: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 2003に記載されている。PCR-プライマー対は、例えば目的のために意図されるコンピュータープログラム、Primer, Version 0.5, 1991, Whitehead Institute for Biomedical Research, Cambridge, MAを使用する、既知の技術によって既知の配列から得ることができる。核酸の化学合成のための方法は、例えば、Beaucage and Caruthers, 1981, Tetra. Letts. 22: 1859-1862およびMatteucci and Caruthers, 1981 J. Am. Chem. Soc. 103: 3185において議論されている。制限酵素消化、リン酸化、ライゲーションおよび形質転換は、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed. (1989), Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載されているように行われた。細菌細胞の成長および維持のために使用される全ての試薬および材料は、特記されない限り、Aldrich Chemicals (Milwaukee, Wl), DIFCO Laboratories (Detroit, Ml), Invitrogen (Gaithersburg, MD)またはSigma Chemical Company (St. Louis, MO)から得られた。
【0008】
「形質転換」は、本願明細書において、アグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドに由来する1つ以上の遺伝子を宿主植物細胞に導入するためのあらゆる方法論を示す。特に、該1つ以上の遺伝子は1つ以上のrol遺伝子を含む。重要なことには、A. rhizogenesが植物に自然に感染するため、形質転換は、植物細胞への野生型細菌由来のRiプラスミドからの野生型遺伝子、特にrol遺伝子、の自然の移動を含む。したがって、本願明細書において使用されるように、形質転換は、宿主植物細胞への移動のためのベクターへの異種遺伝子のクローニングを意味せず必要もしない。さらに、アグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドに由来する1つ以上の遺伝子、例えば1つ以上のrol遺伝子を発現する宿主植物細胞は、「形質転換された」として特徴付けられ得る。形質転換は、例えば自然感染、フローラルディップ法、浸潤法、またはパーティクルガン法を含む何らかの既知の方法によって起こり得る。細胞の形質転換は、限定はしないがノーザンブロット、サザンブロット、PCR、RT-PCR(syn. q-PCR、qRT-PCR)および/またはゲノムシーケンシングを含む何らかの既知の方法によって検出され得る。Agrobacterium tumefaciensのRiプラスミド由来の1つ以上の遺伝子を該プラスミドから取ること、およびそれを想定される植物を形質転換するためにAgrobacterium tumefaciens系の文脈外で使用することもできる。当業者は、このような方法に気付くであろう。
【0009】
「組織培養」なる用語は、しばしば植物のクローンを産生するために、滅菌条件下で増殖される植物組織を示す。植物組織培養は、多くの植物細胞が植物全体を再生する能力を有するという事実に依存する。単一細胞、細胞壁を有さない植物細胞(プロトプラスト)、葉片、または根は、しばしば、必要な栄養素および植物ホルモンを与えられた培養培地上で新規植物を生み出すために使用することができる。
【0010】
本願明細書において使用される「種間ハイブリッド」は、同じ属およびその品種の植物の2つの異なる種の交配からの子孫、ならびに同種または和合性種から両親の1つまたは同胞種または品種への後の戻し交配から生じる子孫を含む。両親の1つへのこの戻し交配は、コンパクトさ形質と所望の特性とを安定に混合することを目的として1回以上行われ得る。「種間ハイブリッド」は、その背景において種間交配でのあらゆる植物を包含する。すなわち、種間ハイブリッドは、2つの植物種間の交配の第1のおよび後の世代、ならびに種間ハイブリッドの自家交配または同じまたは異なる種の植物との種間ハイブリッドの交配のいずれかから生産される子孫を含む。
【0011】
A. rhizogenesは、アグロバクテリウムリゾゲネスおよびアグロピン株由来のそのRi-プラスミドを示す。T-DNAはTLおよびTRの2つのセグメントを含み、これらは15Kb配列によって分離されており統合されていない。TL-DNAは、4つの根座位遺伝子が存在する18オープンリーディングフレーム(ORF)を含む。TR-DNAは、aux1およびaux2を含むいくつかの遺伝子を含む。
【0012】
「毛状根表現型」は、推定形質転換植物を示す植物表現型を示す。すなわち、A. rhizogenesが植物細胞に感染して1つ以上のrol遺伝子を移動するとき、毛状根成長が感染部位で起こる。このようにして、毛状根表現型は、推定形質転換体を同定するためのマーカーフリー方法を提供する。
【0013】
「中間高さ」は、同じ種の野生型またはコントロール植物の高さと比較して植物の高さの量的低下を示すが、アグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドの1つ以上の遺伝子で形質転換された該種の植物の高さと比較して植物の高さの増加を示す。形質転換された植物がしばしばコンパクトな成長または矮性を示すため、形質転換された植物の高さは、通常、野生型の形質転換されていないコントロール植物の高さの約20%、15%または10%未満である。従って、同じ種の野生型の形質転換されていない植物、好ましくは形質転換された植物が生じる親植物の高さと比較されるとき、「中間高さ」の植物は、野生型の形質転換されていない植物の高さの25%-75%、好ましくは30-70%、さらに好ましくは40-60%の高さにより定義される。
【0014】
「中間コンパクトさ」は、同じ種の野生型またはコントロール植物と比較して、植物コンパクトさの量的増加を示す。コンパクトさは節間距離と相関する。節間が短ければ短いほど、植物はよりコンパクトである。中間コンパクトさは、本願明細書において、25-75%、好ましくは30-70%、さらに好ましくは40-60%の節間距離の低下により定義される。「中間コンパクトさ」なるフレーズは「中間長さ」と相互関係にある。Ri形質転換体、特にrol形質転換体において、長さが減少するとき、コンパクトさは増加する。
【0015】
「コントロール植物」および「野生型植物」なる用語は、形質転換体植物と同じ植物、すなわち同じ親供給源に由来するまたは同じ種または品種に属する植物を意味することを意図する。当業者は、形質転換された植物とコントロールまたは野生型植物とを比較するための方法、および、コントロール植物として使用するための植物、すなわち形質転換事象が起こったか否かを確認するための植物を即座に理解する。
【0016】
植物の「子孫」なる用語は、祖先として該植物を有するすべての子孫植物を含む。
【0017】
A.核酸配列
「遺伝子」なる用語は、RNAまたはポリペプチドの生産のために必要なコード配列を含む核酸(例えば、DNAまたはRNA)配列を示す。ポリペプチドは、完全長コード配列によって、またはいずれかのその部分によってコードされ得る。「その部分」なる用語は、遺伝子に関して使用されるとき、その遺伝子のフラグメント、特にタンパク質の少なくとも一部をコードするフラグメントを示す。フラグメントは、少数のヌクレオチドから全遺伝子配列マイナス1つのヌクレオチドまでのサイズの範囲であり得る。したがって、「遺伝子の少なくとも一部を含む核酸配列」は、遺伝子のフラグメントまたは遺伝子全体を含み得る。「遺伝子」はまた、構造遺伝子のコード領域を含み、遺伝子が完全長mRNAの長さに対応するように、いずれかの末端の約1kbの距離の5’および3’末端の両方のコード領域に隣接して位置する配列を含む。コード領域の5’に位置し、mRNAに存在する配列は、5’翻訳されない(または非翻訳)配列(5’UTR)と称される。コード領域の3’または下流に位置し、mRNAに存在する配列は、3’翻訳されない(または非翻訳)配列(3’UTR)と称される。
【0018】
本願明細書において使用される「核酸」は、直鎖状または分枝鎖状、一本鎖または二本鎖、またはそれらのハイブリッドであるRNAまたはDNAを示す。該用語はまた、RNA/DNAハイブリッドを含む。
【0019】
「コードする」および「コード」は、遺伝子が、転写および翻訳のメカニズムを介して、一連のアミノ酸が特定のアミノ酸配列に集合され、活性な酵素を生産することができる細胞に情報を提供するプロセスを示す。遺伝子コードの縮重のため、DNA配列における特定の塩基変化は、タンパク質のアミノ酸配列を変化させない。したがって、タンパク質の機能特性に実質的に影響を及ぼさない転写因子をコードするDNA配列における修飾が考慮されることが理解される。
【0020】
本願明細書において使用される「発現」なる用語は、機能的な最終産物、例えばmRNAまたはタンパク質の生産を示す。
【0021】
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」なる用語は、本願明細書において互換的に使用され、アミノ酸残基のポリマーを示す。該用語は、1つ以上のアミノ酸残基が対応する天然アミノ酸の人工化学的アナログであるアミノ酸ポリマー、ならびに天然アミノ酸ポリマーに適用される。プローブまたはプライマーは、より大きな配列のフラグメントとして、設計され、および合成され、または生み出されることができる短いオリゴヌクレオチド配列を示す。プローブまたはプライマーは、任意の長さ、例えば6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59または60ヌクレオチド長であってよい。
【0022】
例示的なrol配列は、限定はしないが、配列番号1-12のそれぞれに示されている配列、ならびに欠失された、置換された、挿入された、または付加された1つ以上の塩基を有する配列番号1-12のフラグメントまたは変異体であって、変異体はrol活性を有するポリペプチドをコードする、フラグメントまたは変異体で構成される核酸分子を含む。例えば、限定するものではないが、本願は、配列番号1、ならびに例えばrolA-Dおよびaux1-2を含むことができる配列番号1の種々のフラグメントを提供する。例えば、当業者に容易に明らかなように、rolA遺伝子は、rolA-Dおよびaux1-2を含むより大きな配列の700bp部分またはフラグメントを表すことができる。
【0023】
「変異体」は、標準または所定の特定の遺伝子またはタンパク質のヌクレオチドまたはアミノ酸配列から逸脱したヌクレオチドまたはアミノ酸配列である。「アイソフォーム」、「アイソタイプ」および「アナログ」なる用語はまた、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列の「変異体」形態も示す。1つ以上のアミノ酸の付加、除去または置換、またはヌクレオチド配列における変化によって変更されるアミノ酸配列は、「変異体」配列と考えることができる。変異体は、置換されるアミノ酸が類似の構造的または化学的特性を有する「保存的」変化、例えばロイシンのイソロイシンでの置換を有し得る。変異体は、「非保存的」変化、例えばグリシンのトリプトファンでの置換を有し得る。類似の軽微な変異はまた、アミノ酸欠失または挿入または両方を含み得る。どのアミノ酸残基が置換、挿入または欠失され得るかを決定するための案内は、当分野でよく知られているコンピュータープログラム、例えばVector NTI Suite(InforMax、Md.)ソフトウェアを使用して見いだされ得る。「変異体」はまた、Maxygen-assigned patentsに記載されているもののような「シャッフルされた遺伝子」を示し得る。
【0024】
「変異体」配列のカテゴリーに含まれるものは、参照rol配列にハイブリダイズする配列である。例えば、2つの配列が6x SSC、0.5% SDS、5x Denhardt’s溶液および100μgの非特異的キャリアDNAのハイブリダイゼーション溶液において二本鎖複合体を形成するとき、2つの配列はハイブリダイズする。Ausubel et al., 上記, at section 2.9, supplement 27 (1994)参照。配列は、6x SSC、0.5% SDS、5x Denhardt’s溶液および100mu.gの非特異的キャリアDNAのハイブリダイゼーション溶液において60℃の温度として定義される「中ストリンジェンシー」でハイブリダイズし得る。「高ストリンジェンシー」ハイブリダイゼーションについて、温度は68℃に増加される。中ストリンジェンシーハイブリダイゼーション反応後、ヌクレオチドは、2x SSC プラス 0.05% SDSの溶液において室温で5回洗浄し、次に0.1x SSC プラス 0.1% SDSで60℃で1時間洗浄した。高ストリンジェンシーについて、洗浄温度は68℃に増加される。当業者は、ハイブリダイゼーション反応および洗浄プロセス中の温度、ハイブリダイゼーション反応および洗浄プロセス中の塩濃度などを変化させることによって、かかる条件を容易に選択することができる。本願目的のために、ハイブリダイズされたヌクレオチドは、10,000cpm/ngの特定の放射能を有する1ngの放射性標識されたプローブを使用して検出することができ、ハイブリダイズされたヌクレオチドは-70℃でせいぜい72時間X線フィルムへの暴露後にはっきりと見える。
【0025】
本願は、配列番号1-18のいずれかに記載されている核酸配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるかかる核酸分子である。好ましいものは、配列番号1-18のいずれかに示される核酸配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である核酸分子である。2つの核酸配列間の違いは、参照ヌクレオチドの5’または3’末端位置で起こり得る。
【0026】
現実問題として、特定の核酸分子が参照ヌクレオチド配列と少なくとも95%、96%、97%、98%または99%同一であるか否かを述べることは、当分野で知られているアルゴリズムを使用して2つの分子間で作られる比較に関与し、公に利用できるコンピュータープログラム、例えばBLASTNアルゴリズムを使用して慣用に決定することができる。Altschul et al., Nucleic Acids Res. 25: 3389-402 (1997)参照。
【0027】
「配列同一性」および「配列類似性」なる用語は、グローバルまたはローカルアラインメントアルゴリズムを使用する2つのペプチドまたは2つのヌクレオチド配列のアラインメントによって決定することができる。次に、配列は、それらのそれぞれの全長にわたって少なくとも70%の配列同一性を共有するとき、「実質的に同一」または「本質的に類似」と称され得る。パーセント配列同一性についての配列アラインメントおよびスコアは、コンピュータープログラム、例えばAccelrys Inc., 9685 Scranton Road, San Diego, Calif. 92121-3752 USAから利用できるGCG Wisconsin Package, Version 10.3、またはEmbossWin version 2.10.0(プログラム「needle」を使用する)を使用して決定され得る。あるいは、パーセント類似性または同一性は、FASTA、BLASTなどのようなアルゴリズムを使用してデータベースに対して検索することによって決定され得る。
【0028】
本願は機能性タンパク質をコードする核酸分子を考慮し得る。当分野で知られているとおり、かかるタンパク質がタンパク質のいずれかの機能を変更しないアミノ酸置換、付加および欠失を含むことが理解される。多くのタンパク質は遺伝子ファミリーによってコードされるため、他の遺伝子が本願のポリペプチドと類似の機能を有するタンパク質をコードすることができると予期される。これらの遺伝子は、配列比較によって同定することおよび機能的に注釈付けることができる。当業者は、慣用の方法、例えば適当なハイブリダイゼーションプローブでのcDNAライブラリーまたはゲノムライブラリーのスクリーニングを用いて機能的に関連するタンパク質配列を同定することができる。当業者は、パラロガス配列もまた、(縮重)オリゴヌクレオチドおよびPCRに基づく方法を用いて単離することができることを知っている。
【0029】
B.核酸構築物
上記で説明されているように、アグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドに由来する1つ以上の遺伝子配列は、宿主植物細胞に移動される。かかる移動は、自然な手段、例えば天然rol遺伝子を含むRiプラスミドを有するA. rhizogenesでの植物細胞の自然感染を介して起こることができる。かかる自然または天然移動は、構築物および選択マーカーの必要性を回避する。
【0030】
しかしながら、他の局面において、rol配列を含むアグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドに由来する1つ以上の遺伝子を、植物細胞への導入のために適当である核酸構築物に組み込むことができる。したがって、天然系が使用されない場合、核酸構築物を、植物細胞においてrolを発現するために使用することができる。
【0031】
典型的な核酸構築物は、mRNAおよび結果としてポリペプチドを生み出す最小の長さの塩基配列を含み得る。塩基配列の長さに理論的な上限は存在しない。かかる構築物の調製は、以下により詳細に記載されている。
【0032】
転写のための核酸配列の供給源として、適当なcDNAまたはゲノムDNAまたは合成ポリヌクレオチドが使用され得る。適当なrol配列の単離のための方法は上記されている。したがって、配列の全体または実質的に全体をコードする配列を得ることができる。このDNA配列の適当な長さは、制限酵素の手段によって使用のために切ることができる。転写のために部分的な塩基配列の供給源としてゲノムDNAを使用するとき、イントロンまたはエクソン領域のいずれか、または両方の組合せを使用することが可能である。
【0033】
組み換え核酸構築物は、標準技術を使用して作製され得る。例えば、転写のための核酸配列は、該配列を含むベクターを、適当なセグメントを切るための制限酵素で処理することによって得ることができる。転写のための核酸配列はまた、それぞれの末端に適当な制限酵素認識部位を与えるように、合成オリゴヌクレオチドをアニーリングおよびライゲートすることによって、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において合成オリゴヌクレオチドを使用することによって、生み出され得る。次に、核酸配列は、適当な調節要素、例えば上流プロモーターおよび下流ターミネーター配列を含むベクターにクローニングされる。
【0034】
別の局面は、アグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドに由来する1つ以上の遺伝子の遺伝子配列、例えばrol配列が、正常な発達または植物生理学に過度に影響を及ぼすことなく、特定の細胞型、臓器または組織においてrol配列の発現を駆動する1つ以上の調節配列に作動可能に連結されている核酸構築物に関する。
【0035】
もちろん、自然形質転換または自然感染系の文脈において、天然または内因性調節配列が、異種配列よりもむしろ、使用される。
【0036】
「プロモーター」は、転写を開始させるためのRNAポリメラーゼおよび他のタンパク質の認識および結合に関与する、転写の開始から上流のDNA領域を意味する。「構成的プロモーター」は、植物の生存期間を通して、およびほとんどの環境条件下で活性であるものである。組織特異的、組織優先、細胞型特異的および誘導プロモーターは、「非構成的プロモーター」のクラスを構成する。「作動可能に連結」は、プロモーター配列が第2の配列に対応するDNA配列の転写を開始および仲介する、プロモーターおよび第2の配列間の機能的連結を示す。一般的に、「作動可能に連結」は、連結されている核酸配列が隣接していることを意味する。
【0037】
細胞に導入される核酸配列の発現のために有用なプロモーターは、自然形質転換系のための天然または内因性プロモーター、または構成的プロモーター、例えばカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35Sプロモーター、または組織特異的、組織優先、細胞型特異的および誘導プロモーターを含み得る。例えば、脈管系特異的、木部特異的または木部優先プロモーターを使用することによって、それは、多くの組織、例えば脈管組織、とりわけ木部において特異的にrol発現を修飾することができる。構成的プロモーターの使用は、一般的に、植物の全ての部分において酵素レベルおよび機能に影響を及ぼすが、組織優先プロモーターの使用は、特定の植物部への修飾された遺伝子発現の標的化を可能にし、より制御可能な表現型をもたらす。
【0038】
ベクターはまた、mRNAの転写が終結されるように、rol配列および付加されたpolyA配列の下流に位置する終結配列を含み得る。かかる典型的なターミネーターは、天然または内因性ターミネーター配列、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35Sターミネーターまたはノパリン合成遺伝子(Tnos)ターミネーターである。発現ベクターはまた、エンハンサー、開始コドン、スプライシングシグナル配列およびターゲティング配列を含み得る。
【0039】
発現ベクターはまた、形質転換細胞を培養物において同定することができる選択マーカーを含み得る。マーカーは、異種核酸分子、すなわちプロモーターに作動可能に連結した遺伝子と関連していてもよい。本願明細書において使用される「マーカー」なる用語は、マーカーを含む植物または細胞の選択またはスクリーニングを可能にする形質または表現型をコードする遺伝子を示す。植物において、例えば、マーカー遺伝子は、抗生物質または殺草剤耐性をコードする。これは、形質転換またはトランスフェクトされていない細胞中から形質転換細胞の選択を可能にする。
【0040】
適当な選択可能なマーカーの例は、アデノシンデアミナーゼ、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、ハイグロマイシン-B-ホスホトランスフェラーゼ、チミジンキナーゼ、キサンチン-グアニンホスホ-リボシルトランスフェラーゼ、グリホサートおよびグルホシネート耐性、およびアミノグリコシド3’-O-ホスホトランスフェラーゼ(phosphotranserase)(カナマイシン、ネオマイシンおよびG418耐性)を含む。これらのマーカーは、G418、ハイグロマイシン、ブレオマイシン、カナマイシンおよびゲンタマイシンに対する耐性を含み得る。構築物はまた、グルホシネートアンモニウムのような除草性ホスフィノトリシンアナログに対する耐性を与える選択可能なマーカー遺伝子Barを含み得る。Thompson et al., EMBO J. 9: 2519-23 (1987)。他の適当な選択マーカーも同様に知られている。
【0041】
可視マーカー、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)が使用され得る。細胞分裂の制御に基づいて形質転換された植物を同定または選択するための方法もまた記載されている。WO 2000/052168およびWO 2001/059086参照。同様に、腫瘍または毛状根成長のような特徴的な表現型の存在もまた、同定および選択のために使用され得る。
【0042】
自然形質転換または自然感染系において、選択マーカーは使用されない。感染がそれ自身の独特な自然の表現型を提供するため、形質転換細胞は感染後の表現型、例えば毛状根表現型に基づいて選択することができる。
【0043】
細菌またはファージ宿主中でベクターがクローン化されることができるように、細菌またはウイルス起源の複製配列もまた含まれ得る。好ましくは、広範な宿主範囲の原核生物複製起点が使用される。所望の構築物を有する細菌細胞の選択を可能にするために、細菌に対する選択可能なマーカーが含まれ得る。適当な原核生物選択可能なマーカーはまた、カナマイシンまたはテトラサイクリンのような抗生物質に対する耐性を含む。
【0044】
当技術分野で知られているように、付加的な機能をコードする他の核酸配列もまたベクター中に存在し得る。例えば、アグロバクテリウムが宿主であるとき、植物染色体への後の移動および取り込みを容易にするために、T-DNA配列を含み得る。
【0045】
C.形質転換方法論:遺伝子の移動
上記説明のとおり、「形質転換」は、宿主植物または植物細胞にアグロバクテリウムリゾゲネスに由来する1つ以上の遺伝子を導入するためのあらゆる方法論を示す。重要なことには、A. rhizogenesは植物に自然に感染するため、形質転換は、植物細胞への野生型細菌由来のRiプラスミドからの野生型遺伝子、特にrol遺伝子および/またはaux遺伝子の移動を含む。したがって、本願明細書において使用されるとき、形質転換は、異種遺伝子を宿主植物細胞への移動のためのベクターにクローニングすることを必要とせず、細菌を遺伝子操作する必要もない。
【0046】
「形質転換された植物」は、別の生物体または種においてそれ自体で存在するか、または宿主コドン使用頻度と比較して別の生物体または種から最適化された核酸配列を含む植物を示す。単子葉および双子葉被子植物または裸子植物細胞が、当分野で公知の種々の方法において形質転換され得る。例えば、Klein et al., Biotechnology 4: 583-590 (1993); Bechtold et al. , C. R. Acad. Sci. Paris 316: 1 194-1 199 (1993); Bent et al., Mol. Gen. Genet. 204: 383-396 (1986); Paszowski et al., EMBO J. 3: 2717-2722 (1984); Sagi et al., Plant Cell Rep. 13: 262-266 (1994)参照。A. tumefaciensおよびA. rhizogenesのようなアグロバクテリウム種を、例えばNagel et al., Microbiol Lett 67: 325 (1990)にしたがって使用することができる。さらに、植物は、リゾビウム、シノリゾビウムまたはメソリゾビウム形質転換によって形質転換され得る。Broothaerts et al., Nature 433: 629-633 (2005)。
【0047】
例えば、アグロバクテリウムは、例えばエレクトロポレーションを介して植物発現ベクターで形質転換され得、その後、アグロバクテリウムが、例えば周知のリーフディスク法を介して植物細胞に導入される。これを達成するためのさらなる方法は、限定はしないが、エレクトロポレーション、パーティクル・ガン法、リン酸カルシウム沈降、およびポリエチレングリコール融合、発芽する花粉粒への移動(transfer into germinating pollen grains)、直接形質転換、Lorz et al., Mol. Genet. 199: 179-182 (1985)、および当分野で公知の他の方法を含む。カナマイシン耐性のような選択マーカーを使用するとき、どの細胞が成功裏に形質転換されているかを容易に決定させる。マーカー遺伝子は、選択後のマーカーの除去を容易にするために、creまたはflpのような特定のリコンビナーゼによって認識される組換え部位の対内に含まれ得る。米国特許出願公開第2004/0143874号参照。
【0048】
マーカー遺伝子を有さないトランスジェニック植物は、アグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドに由来する遺伝子配列、特にrol配列を含む第1のプラスミドと異なる、マーカーをコードする核酸を含む第2のプラスミドを使用して生産され得る。選択可能なマーカー遺伝子が一過性に発現されるように、第1および第2のプラスミドまたはその一部が同じ植物細胞に導入され、形質転換された植物細胞が同定され、想定される遺伝子配列、例えばrol配列がゲノムに安定に組み込まれ、選択可能なマーカー遺伝子が安定に組み込まれない形質転換された植物が得られる。米国特許出願公開第2003/0221213号参照。
【0049】
上記のアグロバクテリウム形質転換方法は、双子葉植物を形質転換するために知られている。さらに、de la Pena et al., Nature 325: 274-276 (1987)、Rhodes et al., Science 240: 204-207 (1988)、およびShimamato et al., Nature 328: 274-276 (1989)は、アグロバクテリウムを使用して穀類の単子葉植物を形質転換している。アグロバクテリウム介在形質転換のための減圧浸潤を説明するBechtold et al., C.R. Acad. Sci. Paris 316 (1994)も参照。
【0050】
植物細胞は、選択可能または可視マーカーの使用なしで核酸または核酸構築物で形質転換され得、トランスジェニック生物は、導入された配列または構築物の存在を検出することによって同定され得る。特定の細胞におけるタンパク質、ポリペプチドまたは核酸分子の存在を測定して、例えば、細胞が成功裏に形質転換されているか、またはトランスフェクトされているか否かを決定することができる。例えば、当該分野の日常的なこととして、導入された構築物の存在は、PCRまたは特定の核酸またはポリペプチド配列を検出するための他の適当な方法によって検出することができる。さらに、形質転換細胞は、同様の条件下で培養される非形質転換細胞の増殖速度または形態学的特徴と比較して、形質転換細胞の増殖速度または形態学的特徴の差を認識することによって同定され得る。WO 2004/076625参照。
【0051】
形質転換細胞または培養物から植物を再生する方法は、植物種によって異なるが、既知の方法論に基づく。例えば、カランコエ植物を再生するための方法は、当分野でよく知られており、Christensen, et al, (2008). Plant Cell Rep. 27, 1485-1495において見ることができる。
【0052】
D.A. RHIZOGENESで形質転換された植物の選択および分析
同じ種のコントロールの形質転換されていない植物と比較してアグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドに由来する1つ以上の遺伝子を含み、発現する本願の形質転換された植物であって、該遺伝子は好ましくは1つ以上のrol遺伝子を含む植物が選択される。さらに、本願の植物は、形質転換されていないコントロール植物と比較して変化した表現型を有し得る。かかる表現型は、中間高さまたは中間コンパクトさを含み得、形質転換された植物は、コントロール植物と比較して低下した高さおよび/またはコンパクトさを有する。
【0053】
本願発明者は、今回、本願発明の第1の局面において、驚くべきことに、Riプラスミドを含むA. rhizogenesでの感染によってアグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドに由来する1つ以上の遺伝子で形質転換された、上記の不利な点を有さないまたは有意な程度ではないが、想定される中間成長を示し、花数およびしわの寄った葉のような他の望ましくない表現型に影響を及ぼすことないまたは少なくとも有意に影響を及ぼすことない植物を見いだした。本願明細書において、「アグロバクテリウムリゾゲネスに由来する」なるフレーズは、特に、「アグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドに由来する」、特にそれぞれ配列番号1および2に示されるRiプラスミドのTL-およびTR-DNAに由来する、ことを意味することが意図される。この目的のため、本願発明は、Riプラスミドを含むA. rhizogenesでの感染によってアグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドに由来する1つ以上の遺伝子で形質転換された植物、またはかかる植物の子孫であって、該植物または子孫は、そのゲノムにおいて、1~5コピーのRiプラスミドに由来する該1つ以上の遺伝子を含む、植物または子孫を提供する。本願発明の植物は、Riプラスミドに由来する遺伝子がRiプラスミドの導入によって植物の細胞に導入されるように、A. rhizogenesでの感染によって得られる。これは、該遺伝子が、Riプラスミドに由来しない、任意のDNAがない、それらの天然環境中で植物細胞に導入されることを意味する。したがって、「Riプラスミドに由来する遺伝子」なる用語は、宿主がRiプラスミドで形質転換され、Riプラスミドの遺伝子が植物ゲノムに組み込まれるようになることを意味する。
【0054】
Riプラスミドを含むA. rhizogenesでの植物の感染によって、Riプラスミドが植物細胞に導入される。上記のように、この事象は、通常、植物ゲノムにおいて、Riプラスミドの多数のコピー、すなわちそこに存在する全ての遺伝子の取り込みをもたらす。しかしながら、特に感染の結果として発達させる毛状根の特徴に関して、または植物ゲノムにおいてRiプラスミドに由来する遺伝子の数を薄めるように形質転換された植物とトランスフェクトされていない植物との交配による、特定の選択技術が、Riプラスミドに由来する遺伝子の限定された数を有する植物を生じることが見いだされている。A. rhizogenes感染によってRiプラスミドで形質転換された植物の子孫であって、Riプラスミドに由来する1つ以上の遺伝子が削除され、Riプラスミドに存在する全てではないが1つ以上の遺伝子を含む子孫植物を引き起こす、子孫を得ることも可能である。
【0055】
かかる遺伝子のより高いコピー数が、矮性、および、上述したような、しわの寄った葉および花数および花序数の減少のような他の望ましくない特性をもたらすことが見出された。Riプラスミドに由来する遺伝子の限定された数のコピーのみの存在により、かかる不利な点は少なくとも部分的に克服される。
【0056】
好ましくは、植物またはその子孫は、そのゲノムにおいて、1~5コピーの少なくとも1つ以上のrolA、rolB、rolCおよびrolD遺伝子を含む。しかしながら、aux1、aux2およびRiプラスミド上で同定されるオープンリーディングフレームもまた含むことができる。実験データに基づいて、特に、rol遺伝子が上記特性において重要な役割を果たすと考えられる。したがって、本願の植物またはその子孫は、好ましくは、そのゲノムにおいて、1~5コピーのrolA、rolB、rolCおよびrolD遺伝子を含む。
【0057】
特定の態様において、本願の植物またはその子孫は、そのゲノムにおいて、Riプラスミドに存在する1~5コピーの遺伝子(すなわち上記rolおよびaux遺伝子を含む)を含む。好ましくは、植物またはその子孫は、1~5コピーのRiプラスミドを含む。しかしながら、上記のように、該植物の子孫においてRiプラスミドに由来する1つ以上の遺伝子を削除することが可能である。
【0058】
コピー数は、好ましくは3以下、または2以下またはさらには1である。しわの寄った葉のような同時の悪影響なしで想定される中間高さが、このような少数の遺伝子コピーで得られることを見いだした。
【0059】
好ましくは、植物は、Riプラスミドを含むアグロバクテリウムリゾゲネスでの感染によって得られる。しかしながら、公知の遺伝子操作技術によって植物にアグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドを導入し、植物のゲノムに組み込まれるRiプラスミド由来の1つ以上の遺伝子、またはそれらの2つ以上の組合せ、または全4つのrol遺伝子、またはRiプラスミドの全遺伝子を引き起こすこともできる。しかしながら、植物または植物細胞のアグロバクテリウムリゾゲネスでの感染は、非常に効率的であり、便利であることが証明されている。当業者は、想定される植物をアグロバクテリウムリゾゲネスでトランスフェクトする方法について適切な技術を知っている。
【0060】
アグロバクテリウムリゾゲネスは、好ましくは、野生型、例えば寄託番号ATCC43057の下にATCCで寄託されたA. rhizogenes株A4であり、野生型アグロバクテリウムリゾゲネスを使用するとき、GMO(遺伝的に修飾された生物体)ではないと見なされる形質転換体をもたらす。
【0061】
あらゆる方法論がA. rhizogenesで、特に1つ以上のrol遺伝子で形質転換された植物を生産するために使用することができるが、本願は上記属のいずれかに属する形質転換された植物を生み出すための「天然」および「非天然」方法論の両方を提供する。例えば、以下に議論されるように、出願人は、rol遺伝子を含む天然遺伝子を植物細胞に移動するために野生型A. rhizogenesを利用した。これはA. rhizogenesが天然遺伝子を植物細胞に移動する「天然」系であるが、アグロバクテリウムリゾゲネスで形質転換されたコンパクトな植物がより緊密な構造を形成するコンパクトな葉による真菌感染の危険性の増加ならびに近隣の植物からの競争力のような障害に直面するため、実際は成功裏におこる可能性が低い。
【0062】
好ましくは、記載されている植物またはその子孫は、形質転換されていないコントロール植物の25-75%、好ましくは30-70%、より好ましくは40-60%の中間高さを示す。
【0063】
好ましい態様において、形質転換された植物またはその子孫は、形質転換されていないコントロール植物と比較して、80%以上の花数を有する、および/または4日以上開花時間遅延を有さない。今回、アグロバクテリウムリゾゲネスで形質転換された植物、特にrol形質転換された植物は、驚くべきことに、形質転換されていないコントロール植物と比較して、花数の有意な減少がない、すなわち花数の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%または100%またはそれ以上(すなわち花数の増加)を有することを本願発明者によって見いだされた。開花遅延についても同様であり、形質転換されていない植物と比較して、好ましくは4日以内、さらに好ましくは2日以内である。いくつかの形質転換体において、開花は、形質転換されていないコントロール植物と比較して、さらに早くなった。
【0064】
上記を考慮して、記載されている植物またはその子孫は、好ましくは以下の属または種のいずれかに属する:
カランコエ、特に、K. blossfeldiana、K. laciniata、K. pinnata、K. marmorata、K. gastonis- bonnieri、K. dixoniana、K. humilis、K. ambolensis、K. aromatica、K. campanulata、K. citrina、K. coccinea、K. crundallii、K. daigremontiana、K. decumbens、K. faustii、K. fedtschenkoi、K. figueredoi、K. flammea、K. glaucescens、K. gracilipes、K. grandiflora、K. guignardii、K. jongmansii、K. laciniata、K.latisepela、K. laxiflora、K. lobata、K. longiflora、K. manginii、K. nyikae、K. obtuse、K. paniculata、K. porphyrocalyx、K. prittwitzii、K. pubescens、K. pumila、K. rauhii、K. rotundifolia、K. scapigera、K. schumacherii、K. spathulata、K. streptantha、K. synsepala、K. tomentosa、K. thyrsi flora、K. tubi flora、K. uniflora;
キク(Chrysantemum)、特に、Chrysantemum morifolium、Chrysantemum x morifolium (syn. C. x grandiflorum、例えば、Dendranthema ハイブリッド、またはChrysantemum morifoliumおよび他のキク種、例えばChrysanthemum indicum間のハイブリッド;
シオン(Aster)、特に、Aster novi-belgii、Aster dumosus;
バラ(Rosa)、特に、Rosa hybrida、Rosa canina、Rosa spinosissima、Rosa damascena 「trigintipetala」、Rosa centi folia;
ナス(Solanum)、特に、Solanum lycopersicum、Solanum tuberosum、Solanum nicotiana;
トウダイグサ(Euphorbia)、特に、Euphorbia pulcherrima、Euphorbia milii;
コチョウラン(Phaelanopsis)、特に、Phalaenopsis amabilis、Phalaenopsis amboinensis、Phalaenopsis aphrodite、Phalaenopsis appendiculata;
メボウキ(Ocimum)、特に、Ocimum basilicum;
トウガラシ(Capsicum)、特に、Capsicum annuum、Capsicum baccatum、Capsicum chinense、Capsicum frutescens、Capsicum pubescens;
ハッカ(Mentha)、特に、Mentha arvensis、Mentha requienii、Mentha spicata、Mentha longifolia、Mentha pulegium、Mentha suaveolens、Mentha aquatic、Mentha arvensis x spicata、Mentha aquatica x arvensis、Mentha x piperita;
ハイビスカス(Hibiscus)、特に、Hibiscus rosa-sinensis、Hibiscus schizopetalus、Hibiscus sabdariffa、Hibiscus syriacus、Hibiscus trionum、Hibiscus cannabinus;
マンデビラ(Mandevilla)/マンデビラ(Dipladenia)、特に、Mandevilla x amabilis、Mandevilla sanderi、Mandevilla splendens;
ユーストマ(Eustoma)、特に、Eustoma russellianum、Eustoma exaltatum;
ラベンダー(Lavendula)、特に、Lavandula angustifolia、Lavandula latifolia、Lavandula lanata、Lavandula dentate、Lavandula stoechas、Lavandula pedunculata、Lavandula viridis;
ユリ(Lillium)、特に、Lilium bolanderi、Lilium x burbankii、Lilium canadense、Lilium columbianum、Lilium grayi、Lilium humboldtii、Lilium kelleyanum、Lilium kelloggii、Lilium maritimum、Lilium michauxii、Lilium michiganense、Lilium occidentale、Lilium x pardaboldtii、Lilium pardalinum、Lilium parryi、Lilium parvum、Lilium philadelphicum、Lilium pitkinense、Lilium superbum、Lilium ollmeri、Lilium washingtonianum、Lilium wigginsii;
クレマチス(Clematis)、特に、Clematis addisonii、Clematis albicoma、Clematis alpine、Clematis aristata、Clematis armandii、Clematis baldwinii、Clematis bigelovii、Clematis brachiate、Clematis campaniflora、Clematis catesbyana、Clematis chinensis、Clematis chrysocoma、Clematis cirrhosa、Clematis coactilis、Clematis Columbiana、Clematis crispa、Clematis dioica、Clematis drummondii、Clematis durandii、Clematis ispahanica、Clematis fawcettii、Clematis flammula、Clematis florida、Clematis fremontii、Clematis glaucophylla、Clematis glycinoides、Clematis henryi Clematis hirsutissima、Clematis integrifolia、Clematis x jackmanii、Clematis lanuginose、Clematis lasiantha、Clematis leptophylla、Clematis ligusticifolia、Clematis macropetala、Clematis marmoraria、Clematis microphylla、Clematis montana、Clematis morefieldii、Clematis napaulensis、Clematis occidentalis、Clematis ochroleuca、Clematis orientalis、Clematis palmeri、Clematis、Clematis patens、Clematis pauciflora、Clematis pickeringii、Clematis pitcher、Clematis recta、Clematis reticulate、Clematis rhodocarpa、Clematis smilacifolia、Clematis socialis、Clematis stans、Clematis tangutica、Clematis terniflora、Clematis ternifolia、Clematis texensis、Clematis versicolor、Clematis viorna、Clematis virginiana、Clematis vitalba、Clematis viticaulis、Clematis viticella;
タバコ(Nicotiana)、特に、Nicotiana tabacum、Nicotiana sylvestris、Nicotiana x sanderrae;
カンチョウジ(Bouvardia)、特に、Bouvardia longiflora;
バニラ(Vanilla)、特に、Vanilla planifolia;
サツマイモ(Ipomoea)、特に、Ipomoea batatas;
エキナセア(Echinacea)、特に、Echinacea purpurea、Echinacea angusti folia、Echinacea pallida;
チョウセンゴミシ(Schisandra)、特に、Schisandra chinensis、Schisandra glabra、Schisandra rubriflora;
イワベンケイ(Rhodiola)、特に、Rhodiola rosea;
フランスギク(Leucanthemum)、特に、Leucanthemum maximum、Leucanthemum paludosum、Leucanthemum x superbum、Leucanthemum vulgare、Leucanthemum adustum、Leucanthemum graminifolium、Leucanthemum integrifolium、Leucanthemum lacustre、Leucanthemum monspeliense、Leucanthemum pallens、Leucanthemum praecox、Leucanthemum subglaucum、Leucanthemum sylvaticum、Leucanthemum waldsteinii;
ゴクラクチョウカ(Strelitzia)、特に、Strelitzia reginae、
属内の種間ハイブリッド、および上記属および種のいずれかの属間接ぎ木も含む。
【0065】
特定の態様において、記載されている植物は、特に観賞使用のために適当な、カランコエ、シオン、キク(Chrysanthemum)、クレマチス、トウダイグサ、ハイビスカス、フランスギク、マンデビラ(Mandevilla)、タバコ、メボウキ、テンジクアオイ(Pelagonium)、コチョウラン、バラおよびナス(Solana)属のいずれかに属する。
【0066】
他の局面において、本願発明は、観賞植物として、または食物の提供または製造のための、またはヒトまたは動物必要品、例えば医薬、刺激剤または化粧品の製造のための活性成分の供給源として、上記植物またはその子孫の使用に関する。「ヒトまたは動物必要品」なる用語は、本願明細書において、植物に由来する任意の植物部、化合物、化合物の混合物または抽出物を含む任意の産物であって、ヒトまたは動物による、特にかかる産物での該ヒトまたは動物の処置、特に医学的、美容的または刺激的処置のような身体の処置による、または動物またはヒトによる産物の消費による使用のための、任意の産物を意味することを意図する。したがって、食物もそれ自体、ヒトまたは動物必要品と見なされるべきである。
【0067】
当分野において、刺激剤(シガレット)用の活性成分のための供給源として、農作物種Cichorum intybus(Belgian endive)およびNicotiana tabacum(タバコ)を含むA. rhizogenesで形質転換された植物の視覚的評価のみを行われる。しかしながら、本願発明者は、驚くべきことに、Riプラスミドの1から5のアグロバクテリウムリゾゲネス遺伝子、特にアグロバクテリウムリゾゲネスに由来するrol遺伝子を含むかかる植物、例えば、アグロバクテリウムリゾゲネスまたはその1つ以上のrol遺伝子で形質転換された植物、またはその子孫が、かかる植物が収穫が損なわれる非常に高く成長するときに特に望ましい中間高さを有するだけでなく、より小さい細胞容量の結果としてより濃縮された内容物を有することを見いだした。あらゆる理論に拘束されることなく、かかる形質転換体のより小さいサイズは、少なくとも部分的により小さい伸長する植物細胞によって、より小さい細胞であると考えられる。これは、例えば、rol形質転換された実、例えばトウガラシ種からのコショウ、またはVanilla planifoliaからのバニラ、またはハーブ、例えばバジル(Ocimum basilicum)が、形質転換されていない対応物と比較して、増強された味を有することを宣告する。トマト、ジャガイモおよび小麦、大麦などのような単子葉植物についても当てはまる。医薬または刺激剤の製造のための活性成分のための供給源として使用される植物についても当てはまる。薬用植物のようなかかる植物は、細胞中でより濃縮された様式において活性成分を有し、それをもってその単離および抽出を容易にする。刺激剤ニコチンを含むタバコの場合、より高いニコチン内容物を有し、より濃縮された産物を引き起こす。ヒト必要品としての使用のための植物、植物部、化合物、および化合物または抽出物の混合物のより詳細な使用は、実施例に示されている。
【0068】
食物の提供または製造のための使用のための植物は、好ましくはバニラ、メボウキ、トウガラシ、サツマイモ、ナス属のいずれかに属するが、あらゆるかかる植物が本願発明によって包含される。植物それ自体は、食物、例えばニンジン、またはその実、例えばリンゴ、ナシ、ベリーなどとして使用することができる。また、抽出物、例えば茶を製造することができる。
【0069】
医薬または刺激剤の製造のための活性成分のための供給源として使用される植物は、好ましくはカランコエ、ナス、タバコ、イワベンケイ、エキナセア、チョウセンゴミシ、バラ、ハイビスカス(Hibscus)およびキク属のいずれかに属する。rol形質転換されたカランコエは、強い抗腫瘍促進活性を有するブリオフィリン(bryophillin)、例えばブリオフィリンAの上昇されたレベルを含み、興味深いことに、フラボノイド(flavonoids) ケンペロール(kaempferol)およびイソハムネイン(isohamnetin)のレベルが、本願明細書に記載されている植物、特にカランコエにおいて有意に増加され、癌処置に特に関心のあるかかる植物の抽出物を与える。rol形質転換されたチョウセンゴミシは、シザンドリン(schisandrin)、デソキシシザンドリン(desoxyschisandrin)、ゴミシン(gomisins)およびプレゴミシン(pregomisin)の上昇されたレベルを含む。rol形質転換されたエキナセアは、例えばプロパノイド(propanoid)およびエキナコシド(echinacoside)の上昇されたレベルを有する。
【0070】
したがって、本願発明はまた、医薬として使用するための本願明細書に記載されている植物またはその子孫の抽出物、特に、癌、または、抗酸化剤、特にフラボノイドの作用によって緩和することができるあらゆる他の疾患または状態、例えば酸素ラジカル誘発性疾患の処置のために医薬として使用するためのカランコエ抽出物に関する。
【0071】
また、rol形質転換されたChrystantenum morfoliumまたはHibiscus sabdariffaの葉の抽出物を茶の製造のために使用することができ、バラ種を香料などの製造のために使用することができる。
【0072】
他の局面において、本願発明は、上記植物の製造方法であって、以下の工程:
(a)アグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドで野生型植物の組織を形質転換すること、
(b)形質転換された組織が毛状表現型を有する根を発達させることを可能にすること、
(c)工程(b)の毛状表現型を有する根の中から、毛状表現型が工程(b)において得られた根において観察される最大根毛長の最大半分の最大根毛長を示す根を選択すること;
(d)再生培地上で選択された根を成長させ、形質転換された根付いた小植物が該選択された根から生み出すことを可能にすること;
(e)該形質転換された根付いた小植物を対応する野生型植物のものの25-75%の高さを有する成熟な形質転換された母植物に成長させること
を含む、植物の製造方法に関する。
【0073】
驚くべきことに、アグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドに由来する1から5の遺伝子で形質転換された植物が、上記の不利な点を有することなく、または有意に低い程度でこの方法で得ることができることが見出された。本願明細書において、「アグロバクテリウムリゾゲネスに由来する遺伝子」または「Ri遺伝子」なるフレーズは、上記定義のとおりであり、特に「アグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドに由来する遺伝子」、特にそれぞれ配列番号1および2に示されるRiプラスミドのTL-およびTR-DNAに由来する遺伝子を意味することが意図される。
【0074】
工程(a)において、野生型植物の葉片のような組織が、アグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドで形質転換され、トランスフェクトされた植物細胞のゲノムにおいてRiプラスミドに由来する1つ以上の遺伝子の取り込みを引き起こす。上記のように、当業者は、Riプラスミドに由来する1つ以上の遺伝子の形質転換された植物細胞において発現をもたらすように植物においてRiプラスミドを導入する方法を知っている。植物は、例えばアグロバクテリウムリゾゲネスの培養物を植物またはその一部の新鮮な創傷と接触させることによって、例えばアグロバクテリウムリゾゲネスでの感染によって得ることができる。しかしながら、公知の遺伝子操作技術によって、Riプラスミドを植物細胞に導入し、植物細胞によって、Riプラスミドに由来する遺伝子またはその2つ以上の組合せ、例えば1つ以上のrol遺伝子、その2つ以上の組合せ、または全4つのrol遺伝子の発現を引き起こすこともできる。しかしながら、植物または植物細胞のアグロバクテリウムリゾゲネスでの感染は、非常に効率的であり、便利であることが証明されている。当業者は、想定される植物をアグロバクテリウムリゾゲネスでトランスフェクトする方法、および形質転換された植物を生産する方法について適切な技術を知っている。
【0075】
後の工程において、かくして形質転換された組織は、根を発達させ、次にA. rhizogenes形質転換された植物組織に対してよく知られた表現型選択マーカーである毛状根表現型で1つ以上の根を選択する特定の方法を行う。しかしながら、選択が根に最も多くおよび最も長い毛を有する最も多くの毛状形質転換体について作成される当該技術と対照的に、本願発明者は、驚くべきことに、工程(c)に定義されるより少ない毛状根について選択することによって、中間高さを有する植物が矮性成長を示す植物の代わりに優先的に得られることを見いだした。驚くべきことに、本願発明のこの態様によって選択されるとき、より少ない毛状根が、Riプラスミドに由来する遺伝子のより少ないコピーを有する植物によって生産されることを見いだした。正常な形質転換事象において、形質転換体は、Riプラスミドに由来する遺伝子の10個を超えるコピーを含む。毛の長さが最大の長さを有するものの最大半分である毛状根を有する組織部を選択することによって、想定される形質転換体が見られる。最大の毛の長さを有するものは、Ri遺伝子の10個を超えるコピーを含む。
【0076】
選択後、選択されたより少ない毛状根は、形質転換された根付いた小植物がそこから生み出すことを可能にするように再生培地上で成長させ、次に成熟まで成長させることができる。かかる成熟な形質転換された母植物は、1~5コピーのRiプラスミドに由来する遺伝子を含み、対応する野生型植物、例えば同じ種のコントロール植物の25-75%の想定される中間高さを有し、上記のとおり、記載されている方法の同じ工程を実施することにより、形質転換する工程に付されることなく同じ組織材料から生み出すことを可能にする。しかしながら、同じ種の別の野生型植物もまた、正常な野生型植物の高さとして、および該高さの指標として使用することができる。
【0077】
魅力的な態様において、選択工程(c)はまた、工程(b)の毛状表現型を有する根の中から、毛状表現型が工程(b)において得られた根において観察される長さ当たりの最大枝数の最大半分である長さ当たりの枝数を示す根を選択することを含む。根毛長に加えて、分枝はまた、ほんの1~5コピーのRi遺伝子を含む形質転換体に対する選択基準であり、この選択基準は毛の長さの上記基準またはそれの代わりとなるものと共に使用することができる。好ましくは、両方の基準が考慮される。毛状根の長さ当たりの枝数が非常に分岐した根を有する形質転換体の半分であるとき、かかる形質転換体は、Ri遺伝子の想定されるより低いコピー数を含む。
【0078】
選択する間、形質転換されていない組織部から成長させるコントロール植物の根の発達を確認することが有利である。
【0079】
上記方法によって得られた発明者の知見に基づいて、別の方法を、特定の選択工程なく、得られる形質転換された母植物の交配および戻し交配によって形質転換体のゲノムのうちRi遺伝子を「薄める」ことによって発達させることができる。その場合、形質転換された母植物は、形質転換後に10コピー以上のRi遺伝子を有し、しばしば矮性成長および上述したような他の不利な点を示す。想定される中間高さが得られるまで形質転換された母植物の子孫を選択することによって、植物はゲノムにおいて1~5コピーのRi遺伝子を有する。この目的のため、上記のような植物の第2の製造方法は、以下の工程:
(a)アグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドで野生型植物の組織を形質転換すること、
(b)形質転換された組織が毛状表現型を有する根を発達させることを可能にすること、
(c)毛状根表現型を有する推定的に形質転換された根を選択すること;
(d)再生培地上で選択された根を成長させ、形質転換された根付いた小植物が該選択された根から生み出すことを可能にすること;
(e)該形質転換された根付いた小植物を成熟な形質転換された母植物に成長させること;
(f)工程(e)の成熟な形質転換された母植物と比較して増加した高さおよび工程(a)の野生型植物のものと比較して低下した高さを有する子孫について選択しながら、交配、戻し交配および自家交配によって工程(e)の成熟な形質転換された母植物の子孫を生み出すこと、
(g)子孫が工程(a)の対応する野生型植物のものの25-75%の高さを有する成熟植物をもたらすまで、工程(f)を繰り返すこと
を含む、方法を提供する。
【0080】
この態様において、工程(c)は、より詳細に毛の長さまたは枝数を調査する必要なしに、毛状根の存在について単に選択する。その代わりに、おそらく矮性成長習性(すなわち対応する野生型植物の20%未満の長さを有する)を示す工程(e)の成熟な形質転換された母植物が、1つ以上の交配または戻し交配または自家交配工程に付され、想定される中間高さの子孫をもたらすさらなる工程(f)が加えられる。このようなさらなる交配によって、後の世代の植物において、さらなる機能を導入することができ、または現在の機能をさらに改善または除去することができる。子孫のハイブリッドをさらに交配および選択することができ、これは想定される結果に達するために複数回繰り返すことができる。
【0081】
好ましくは、上記方法において、工程(e)または、存在するとき、工程(f)および/または(g)は、対応する野生型植物のものの30-70%、好ましくは40-60%の植物の高さについて選択することを含む。第2の方法において、想定される高さの植物が工程(e)中ですでに得られるとき、それらの植物の選択は、重要性の低いまたは余分な工程(f)および(g)を行ってもよい。工程(f)において、想定される高さの植物が得られるとき同様である。その場合、工程(g)は余分である。
【0082】
好ましくは、工程(e)または、存在するとき、工程(f)および/または(g)は、形質転換されていないコントロール植物と比較して、80%以上、好ましくは90%以上の花数を有する、および/または4日以上、好ましくは2日間以上開花時間遅延を有さない、植物または子孫について選択することをさらに含む。1~5コピーのRiプラスミドに由来する1つ以上の遺伝子を含むとき、かかる植物は生み出され、選択することができることを見いだした。
【0083】
魅力的な態様において、工程(a)は、Riプラスミドを含むA. rhizogenesを植物または植物部、例えば葉または葉部と共培養し、A. rhizogenesがRiプラスミドを該植物または植物部に送達することを可能にすることを含む。上記のように、Riプラスミドは任意の公知の形質転換技術によって植物細胞において導入することができ、例えば植物または植物部を創傷することを含む、A. rhizogenesを植物または植物部と共培養することが好ましい。
【0084】
A. rhizogenesを植物または植物部と共培養することによる記載されている方法において、アグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドに由来する1つ以上の遺伝子は、植物細胞のゲノムに組み込まれ、好ましくは特に上記のとおりrolA、rolB、rolCおよびrolDから選択される1つ以上のrol遺伝子を含む。特に、aux1、aux2およびRiプラスミド上で同定される任意のオープンリーディングフレームもまた、例えば植物ゲノムにおいてRiプラスミドの完全な組み込みの結果として、含まれる。
【0085】
好ましい態様において、工程(a)は、遺伝子操作技術を適用する必要なく天然の形質転換方法であるアグロバクテリウムリゾゲネスでの感染を含む。あらゆる方法論が植物をA. rhizogenesのRiプラスミドで形質転換するために使用することができるが、本願は、特に上記属のいずれかに属する形質転換された植物を生み出すための「天然」および「非天然」方法論の両方を提供する。例えば、以下に議論されるように、出願人は、rol遺伝子を含む天然遺伝子を植物細胞に移動するために野生型A. rhizogenesを利用した。これはA. rhizogenesが外来DNA(すなわちA. rhizogenesまたは宿主細胞のDNAに属さない)の存在なしで、天然遺伝子を植物細胞に移動する「天然」系であるが、アグロバクテリウムリゾゲネスで形質転換されたコンパクトな植物がより緊密な構造を形成するコンパクトな葉による真菌感染の危険性の増加ならびに近隣の植物からの競争力のような障害に直面するため、実際は成功裏におこる可能性が低い。これとは別に、形質転換された植物が実際はRiプラスミドの多くのコピーを含むため、これは、矮性成長だけでなく、開花の遅延ももたらし、野生型植物との他家受粉を不可能にする。
【0086】
アグロバクテリウムリゾゲネスは、好ましくは野生型、例えば株A4(ATCC43057)であり、すなわち遺伝子操作の手段によって導入されている遺伝物質を含まない。有利には、野生型アグロバクテリウムリゾゲネスを使用することは、GMO(遺伝的に修飾された生物体)ではないと見なされる形質転換体をもたらす。
【0087】
好ましくは、上記方法は、Riプラスミドのコピーまたはその1つ以上の遺伝子の数の減少を有する植物について選択することを可能にする、アグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドに由来する1つ以上の遺伝子のコピー数をアッセイすることを含む。好ましくは、このようなアッセイ後、選択は、1~5コピーのRiプラスミドまたはその1つ以上の遺伝子を有する植物について行われる。可能なアッセイは、以下の実施例において説明されるが、分子生物学の当業者は、あらゆる適当なおよび適用できるアッセイを知っている。
【0088】
非常に魅力的な局面において、本願発明は、本願明細書に記載されている植物またはその子孫に由来する植物部、抽出物、化合物またはそれらの2以上の混合物を含む産物に関する。該産物は、例えば、果実、塊茎、根、葉、食用抽出物、化粧品、医薬品、香料からなる群から選択することができる。しかしながら、かかる産物はこれらに限定されない。例えばコショウまたはトマトのような実またはジャガイモのような塊茎は、アグロバクテリウムリゾゲネスで形質転換されていない植物、例えばrol以外で形質転換された植物からより増強された味を有する。該産物は、rol遺伝子またはその部分をコードする遺伝物質の存在により同定することができる。該存在は、例えば本願明細書に例示される、例えばPCR技術によって好都合に同定することができる。
【0089】
以下の図および実施例は例示であり、本願を限定しない。もちろん、意図された精神および範囲内にとどまる限り多くの変形および修飾を行うことができることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【
図1】
図1は、例示的なアグロピン株由来のA. rhizogenes Ri-プラスミドを描写する。T-DNAはT
LおよびT
Rの2つのセグメントを含み、これらは15Kb配列によって分離されており統合されていない。T
L-DNAは、4つの根座位遺伝子が存在する18オープンリーディングフレーム(ORF)を含む。T
R-DNAは、aux1およびaux2を含むいくつかの遺伝子を含む。
【0091】
【
図2-4】
図2、3および4は、アグロバクテリウムリゾゲネスに曝露された、それぞれSolarium tuberosum、マンデビラ(Dipladenia)およびカランコエ種間ハイブリッド2006-0199(K. laciniata x K. blossfeldiana ハイブリッド)の葉片の根を示す。A:形質転換されていないコントロール、B:形質転換された毛、C:形質転換された少ない毛。
【0092】
【
図5】
図5Aは、長日条件下で(02:00から17:00まで光)栄養繁殖の開始後15週での、アグロバクテリウムリゾゲネスで形質転換された、
図4Cのより少ない毛状根から再生された、カランコエ種間ハイブリッド2006-0199野生型(左)およびカランコエ種間ハイブリッド4006-0199S2を示す。植物の挿し木後3週間は、開花誘導のため短日条件(07:00から17:00まで光)に移した。
図5Bは、長日条件下で(02:00から17:00まで光)栄養繁殖の開始後15週での、
図4Bの根から再生された、カランコエ種間ハイブリッド2006-0199野生型(左)および毛状型のアグロバクテリウムリゾゲネスで形質転換されたカランコエ種間ハイブリッド4006-0199K20.1(右側3植物)を示す。植物の挿し木後3週間は、開花誘導のため短日条件(07:00から17:00まで光)に移した。
【0093】
【
図6】
図6は、Kalanchoe pinnata AAE、rol形質転換された植物(左)およびコントロール野生型植物(右)を示す。中間高さの植物(中央、K.pinnata rol-2 Pemba)は、左のrol形質転換された植物の交配および戻し交配によって得られた。
【0094】
【
図7】
図7は、バラ、rol形質転換された植物(左および中央)およびコントロール野生型植物(右)を示す。中間高さを有する植物(中央)は少ない毛状根についての選択から生じる。
【0095】
【
図8】
図8は、シオン、rol形質転換された植物(左および中央)およびコントロール野生型植物(右)を示す。中間高さを有する植物(中央)は少ない毛状根についての選択から生じる。
【実施例】
【0096】
植物原料
Kalanchoe pinnata、カランコエ種間ハイブリッド2006-0199(Knud Jepsen A/S、Hinnerup、Denmark and AgroTech a/s、Tastrup、Denmark)インビボ植物を、日中および夜間20℃の温度、16時間日長および260μmolフォトンm-2s-1の光強度で温室において培養した。インビトロ植物を、日中25℃および夜間22℃の温度、13時間日長および75μmolフォトンm-2s-1の光強度で成長チャンバーにおいて培養した。他の種の植物は異なる供給者から購入した。
【0097】
それぞれの種/ハイブリッドに対する葉外植片をコントロール実験のために使用した。インビボ材料由来の葉を、70% EtOHで1分、次に20分1% NaOCl(VWR、Copenhagen、Denmark)および0,03%(v/v)Tween 20(Merck、La Jolla、USA)で滅菌し、滅菌水で3回洗浄し、切除まで保存した。
【0098】
細菌株
アグロバクテリウムリゾゲネス株ATCC43057(A4)(Dr. Margareta Welander、Swedish University of Agricultural Sciences、Swedenにより親切に提供された)を、毛状根の誘導のために使用した。該株を液体MYA培地(Tepfer and Cassedelbart (1987) Microbiol Sci. 4、pp. 24-28)で培養した。1mlの細菌性グリセロールストック(-80℃に保った)を50mL Falconチューブ中で10mL MYAに希釈し、27℃で8時間インキュベートし、260rpmで振とうした。溶液を250mLフラスコ中で100mL MYAでさらに希釈し、27℃で暗黒下で24時間260rpmで振とうした。OD600=0,4-0,6をNanodrop 1000(Thermo Scientific、Wilmington、DE、USA)で測定した。
【0099】
形質転換
滅菌した葉またはインビトロ植物を最小1cmx1cm断片に切除し、全ての外植片が準備できるまで滅菌水に保存した。水を外植片から捨て、A. rhizogenes-懸濁液を加え、30分間全ての外植片を覆った。30分後、A. rhizogenes-懸濁液を捨て、薄片を、表面上にA. rhizogenes懸濁液の薄い層で、選択なしで暗黒下で24時間共培養プレートに移した。外植片を暗黒下で22℃の温度で実験室で培養した。共培養後、引き裂かれた滅菌ろ紙の断片で外植片を乾燥させることによって、外植片を0-培地(選択培地)に移した。切除された葉の両側で葉表面を可能な限り乾燥させた。根まで暗黒下に置かれた外植片を、再生培地に移すのに十分に発達させた。3セッション(session)にわたって材料を形質転換した。形質転換をSolanum tuberosum(
図2参照)、マンデビラ(Dipladenia)(
図3参照)、カランコエ種間ハイブリッド2006-0199(K. laciniata x K. blossfeldianaハイブリッド)(
図4-5参照)、Kalanchoe pinnata(
図6参照)、Rosa hybrida(
図7参照)およびAster novo-belgii(
図8参照)で行った。それぞれの種において、コントロールおよび推定形質転換体を同じ日に行った。
【0100】
基本培地
使用された全ての培地のバックグラウンドとして使用された基本培地は、2,2g L-1の濃度で1/2 x MS(Sigma M0404)(MurashigeおよびSkoogマクロ及びマイクロエレメントからなる)(Murashige and Skoog、1962)、30g L-1 スクロース(table sugar)、7g L-1 bacto agarおよび0,50g L-1 2-(N-モルホリノ)-エタンスルホン酸(MES)(Duchefa)であった。pHは1M KOHによって6.3に調整され、培地は121℃および103,5kPaでオートクレーブ処理された。
【0101】
共培養培地
外植片およびA. rhizogenesの共培養のために使用された共培養培地は、30μg ml-1 アセトシリンゴン(Sigma-Aldrich、Steinheim、Germany)を有する基本培地からなった。
【0102】
選択培地
選択培地は、推定的に形質転換された外植片およびコントロールの根形成のために使用されたホルモン非含有培地であった。フィルター滅菌された抗生物質をオートクレーブ後に選択培地に基本培地に加えた。選択培地は、100mg L-1の濃度においてチメンチン(TIM)を有する基本培地1/2 x MS培地からなった。好ましくは、選択培地は、アルギニン、好ましくは0.5mMのアルギニンを含んだ。
【0103】
再生培地
ホルモンN-(2-クロロ-4-ピリジル)-N-フェニルウレア(CPPU)を含む再生培地を、推定的に形質転換された根クラスター上の根粒の再生のために使用した。フィルター滅菌されたホルモンおよび抗生物質をオートクレーブ後に再生培地に加えた。CPPU-培地は、1.5μg L-1 CPPUを100mg L-1の濃度においてTIMと共に有する基本1/2 x MS培地を含んだ。
【0104】
共培養
全ての処理において、外植片を24時間共培養した。共培養後、外植片を滅菌濾紙上に吸い取り、引き裂かれた滅菌ろ紙の断片で完全に乾燥させた。コントロールおよび推定的に形質転換された外植片を選択培地に移した。
【0105】
植物選択
共培養の24時間後に、それぞれのペトリ皿上に8つの外植片にて外植片を0-培地(選択培地)に移した。数週間後、根の数の増加および外植片の数の減少(ガラス化によって葉切片がガラス様になる、または感染のため)が処理中の特定のペトリ皿についてモニタリングされた。
【0106】
植物再生
推定的に形質転換された外植片の根が1.5-2cmの長さに発達したとき、それらをCPPU-培地に外植片の一部でクラスターにおいて移した。移された根クラスターを、環境チャンバー(Celltherm、United Kingdom)において11時間日光および20/18℃の日中/夜間温度および45-70μmol フォトンm-2s-1の強度(Philips、Amsterdam、The Netherlands)での棚状に置いた。A. rhizogenes処理された外植片を有する根クラスターのみを移した。ここで、根クラスターの数ならびに根から発達する根粒の数をモニタリングした。4つの種のいずれかについて30日後に陽性発達が観察されなかったとき、根粒発達の計測を停止した。
【0107】
コントロール植物
コントロール植物を形質転換体のように処理したが、細菌を含まない品種当たり25より少ない数の外植片を含むMYA培地において植え付けた(inoculate)。コントロール実験植物は形質転換体と並行して行った。
【0108】
植物成長条件
本願明細書に記載されている植物を、以下の表1および2に記載されている日長および温度にしたがって温室において成長させた。植物は、10.5cmまたは13cmの直径を有するポットにおいて生産された。挿し木を栄養(veg.)植物から採取し、品種、種、属およびポットサイズに依存して植栽後最初の3-8週間、成長させ、栄養維持させた。表1に記載されている植物を、植栽後4-9週間開花誘導条件に移した。植栽後13-19週の間に、品種、種 属、ポットサイズおよび時期、植物に依存して、生殖(gen.)段階に入り、開花したまたは開花しようとしている花を有する成熟であった。
【0109】
自然光が100μmol/m2/s未満であったとき、植物を70μmol フォトン m-2s-1SON-T光を補った自然光条件下で成長させた。コチョウランおよびバニラを除く全ての植物を、泥炭ベースの土壌混合物において成長させ、100万当たり200成分(ppm)窒素、200ppmカリウム、40ppmリン、200ppmカルシウム、40ppmマグネシウム、60ppm硫黄(sulphate)、1ppm鉄、0.6ppmマンガン、0.1ppm銅、0.1ppm亜鉛、0.3ppmホウ素、0.03ppmモリブデンを含む溶液を入れた(water)。コチョウランおよびバニラを除く全ての植物において、光強度が450μmol フォトン m-2s-1より高く、湿度が60-80%相対湿度間の範囲で維持されたとき、カーテンを用いた陰影が有効であった。
【0110】
コチョウランおよびバニラを、樹皮ベースの土壌混合物において成長させ、100万当たり50成分(ppm)窒素、50ppmカリウム、10ppmリン、50ppmカルシウム、10ppmマグネシウム、15ppm硫黄(sulphate)、0.2ppm鉄、0.1ppmマンガン、0.01ppm銅、0.01ppm亜鉛、0.05ppmホウ素、0.005ppmモリブデンを含む溶液を入れた(water)。
【0111】
バニラおよびコチョウラン植物を自然光条件下で成長させた。光強度が250μmol フォトン m-2s-1より高く、湿度が80-90%相対湿度間の範囲で維持されたとき、カーテンを用いた陰影が有効であった。
【0112】
【0113】
表2:バニラおよびコチョウラン植物に対する成長条件
【表2】
【0114】
分子分析
サンプル毎に6つの独立したDNA単離を、Nucleomag 96 植物 キットの溶解バッファー MC1が1% PVPで補われている修飾で、供給者の推奨にしたがって、KingFisher Flex(thermo scientific)においてNucleomag 96 植物、(http://www.mn-net.com/)で行った。
【0115】
qPCR増幅を以下のプログラムにしたがってDNAサーマルサイクラー(CFX96 Touch Real-Time PCR Detection System、Bio-Rad)において行った:2分間92℃、次に20秒92℃、20秒59℃および20秒72℃の45サイクル。rolCおよびRef1に対する反応について、供給者の指示にしたがってSALSA Polymeraseを使用することによってLCgreen+で個々にどこか標識化された、表1(BioFire Defense、http://biofiredefense.com/; MRC-Holland、www.mlpa.com)。
【0116】
【0117】
ΔC
tの使用は、2つの反応が同様の効率を有し、それらは別々のウェルで行われたため、それらは独立した方法において進むと仮定する。相対的定量化は、
【数1】
によって行われ、比は
【数2】
によって計算され、コピー数は、4倍体植物の一次形質転換体の分析された植物に基づいて計算され、そのために比を4倍してコピー数を得る。
【0118】
一次4倍体形質転換体のコピー数を決定するために、内部カランコエ参照としてRef1を有するA. rhizogenesのrolCのqPCRを、形質転換されていないコントロール植物2006-0199(親系統としてK.laciniataおよびK.blossfeldianaを有する種間ハイブリッド)、該コントロール植物の3つの独立した一次形質転換体(すなわち本願明細書に記載されているとおり根形態に基づくさらなる交配なしで形質転換体の選択によって得られる)4006-0199K20.1、4006-0119S11および4006-0199S2、ならびに上記Christensen、2008によって記載されているRi系統 331において行った。該形質転換体は、これらの成長習性、表1と異なる。予想されるように2006-0199について、rolCを検出することができず、したがって比またはコピー数を決定することができず、3つのA. rhizogenes形質転換体の場合、参照遺伝子Ref1と比較してコピー数において明らかな違いがある。中間高さを有する準コンパクトな形質転換体4006-0199S11および4006-0199S2は、Ref1と比較してrolCの1つのコピーを有し、矮性成長を示すコンパクトな形質転換体4006-0199K20.1は、11コピーのrolCを有し、Ri系統 331は中間高さを示した、表4参照。形質転換体4006-0199S11および4006-0199S2はコントロールと同様の花数を示し、葉にしわがなかったが、4006-0199K20.1およびRi系統 331の両方はコントロールと比較してしわの寄った葉および約50%減少した花数を示したことも観察された。K.pinnata AAEは、形質転換されていない野生型コントロールであり、K.pinnata AAE rolは、野生型と比較して矮性、しわの寄った葉、開花の遅延および約50%の開花数を示し、10コピーのrolCを有するrol形質転換されたK.pinnata AAEであった。K.pinnata AAE-rolを野生型AAEと戻し交配し、中間高さを有するが、葉にしわがないK.pinnata Rol-2 Pembaのようないくつかの系統を引き起こし、花数および花序は、形質転換されていないK.pinnata AAEとほぼ同じであった。K.pinnata Rol-2 PembaにおけるrolCコピー数は2であると決定された。別の実験において、K.pinnata AAEをrolで形質転換し、一次形質転換体において、選択は、本願明細書に記載されている根形態、すなわち形質転換体中で観察される最大根毛長の最大半分である選択された形質転換体の根毛長について行われた。K.pinnata K2 AAEおよびK.pinnata Pin5 A15 AAEは、このようにして得られ、K.pinnata Rol-2 Pembaと類似の表現型を有し、それぞれ2および3のrolCコピーを有した。
【0119】
同様の結果が処理された他の植物属について得られ、選択も上記のように根形態に基づいて行われた、表4参照。
【0120】
表4:コントロールと比較しての成長習性およびrolCのコピー数
【表4】
cコントロール野生型
*rol形質転換された
**rol形質転換され、根形態について選択された
***rol形質転換され、wtと戻し交配された
【0121】
統計分析
K. pinnataは形質転換の参照として機能した。同様に、コントロール外植片は5つの複製を有し、種/ハイブリッド当たり合計25で種/ハイブリッド当たり5つの外植片であった。外植片は感染のために実験から取り除かれ得るため、外植片の数は時間とともに変化した。したがって、外植片の総数をモニタリングし、外植片の数と根形成とのより良い比を得た。数が増加するため、根の数をモニタリングした。ペトリ皿当たりの生存外植片の平均およびペトリ皿当たりの根の平均を計算した。2つの平均を使用して、各ペトリ皿に対する比を計算し、外植片当たりの根の数を記載した。
【0122】
傾きを使用しておよび線形回帰でVmax(根の発達/日)をモデル化した。標準偏差(SD)およびstudent t-検定(t-検定)を各観察についてExcelにおいて計算し、個々の種/ハイブリッド内での変数を検証した。ANOVA検定をRで行った(Rは統計的計算のためのフリーソフトウェア環境である)。
【0123】
結果
実験は、異なる種およびハイブリッドおよびインビボおよびインビトロからの単純な材料について形質転換効率を試験するためにアグロバクテリウムリゾゲネスでの自然形質転換を含んだ。種Strelitzia reginae、Aster novi-belgii、Aster dumosus、Chrysantemum morifolium、Chrysantemum x morifolium (syn. C. x grandiflorum、例えばDendranthemaハイブリッド、またはChrysantemum morifoliumおよび他のキク種、例えばChrysanthemum indicum間のハイブリッド、Euphorbia pulcherrima、Euphorbia milii、Bouvardia longiflora、Hibiscus rosa-sinensis、Hibiscus schizopetalus、Hibiscus sabdariffa、Hibiscus syriacus、Hibiscus trionum、Hibiscus cannabinus、Mandevilla x amabilis、Mandevilla sanderi、Mandevilla splendens、Nicotiana tabacum、Nicotiana sylvestris、Nicotiana x sanderrae Phalaenopsis amabilis、Phalaenopsis amboinensis、Phalaenopsis aphrodite、Phalaenopsis appendiculata、Vanilla planifolia、Ocimum basilicum、Capsicum annuum、Capsicum baccatum、Capsicum chinense、Capsicum frutescens、Capsicum pubescens、Ipomoea batatas、Solanum lycopersicum、Solanum tuberosum、Solanum nicotiana、Echinacea purpurea、Echinacea angustifolia、Echinacea pallida、Rosa hybrida、Rosa canina、Rosa spinosissima、Rosa damascena 「trigintipetala」、Rosa centifolia、Schisandra chinensis、Schisandra glabra、Schisandra rubriflora、Rhodiola rosea、Kalanchoe pinnata、Kalanchoe marmorata、Kalanchoe gastonis-bonnieri、Kalanchoe dixoniana、Kalanchoe humilis、Kalanchoe laciniataに属する植物は、Christensen et al.、(2008、上記)によってK. blossfeldiana 「Molly」に最適であるか、または各種の最適化のためにわずかに変更された条件で形質転換された。K. blossfeldiana 「Molly」は、品種が形質転換系のバックグラウンドを形成したため、形質転換体内でコントロールとして使用された。
【0124】
根の誘導および成長は、各処理においてペトリ皿当たりの根の総数としてモニタリングした。いくつかの外植片が感染によって除去されたため、時間とともに、外植片の総数もモニタリングした。これは、各植物系において外植片当たりの根の数を計算するとき、より不偏の評価を得るために行われた。
【0125】
0-培地での根の発達
根形成は以下の種に起こることが見いだされた;Strelitzia reginae、Aster novi-belgii、Aster dumosus、Chrysantemum morifolium、Chrysantemum x morifolium (syn. C. x grandiflorum、例えばDendranthemaハイブリッド、またはChrysantemum morifoliumおよび他のキク種、例えばChrysanthemum indicum間のハイブリッド、Euphorbia pulcherrima、Euphorbia milii、Bouvardia longiflora、Hibiscus rosa-sinensis、Hibiscus schizopetalus、Hibiscus sabdariffa、Hibiscus syriacus、Hibiscus trionum、Hibiscus cannabinus、Mandevilla xamabilis、Mandevilla sanderi、Mandevilla splendens、Nicotiana tabacum、Nicotiana sylvestris、Nicotiana x sanderrae、Phalaenopsis amabilis、Phalaenopsis amboinensis、Phalaenopsis aphrodite、Phalaenopsis appendiculata、Vanilla planifolia、Ocimum basilicum、Capsicum annuum、Capsicum baccatum、Capsicum chinense、Capsicum frutescens、Capsicum pubescens、Ipomoea batatas、Solanum lycopersicum、Solanum tuberosum、Solanum nicotiana、Echinacea purpurea、Echinacea angustifolia、Echinacea pallida、Rosa hybrida、Rosa canina、Rosa spinosissima、Rosa damascena 「trigintipetala」、Rosa centifolia、Schisandra chinensis、Schisandra glabra、Schisandra rubriflora、Rhodiola rosea、Kalanchoe pinnata、Kalanchoe marmorata、Kalanchoe gastonis-bonnieri、Kalanchoe dixoniana、Kalanchoe humilis、Kalanchoe laciniata。根形成は、0-培地に移した後100日以内に再生培地に移した。再生培地への移動の最初のときに、Strelitzia reginae、Aster novi- belgii、Aster dumosus、Chrysantemum morifolium、Chrysantemum x morifolium(syn. C. x grandiflorum、例えばDendranthemaハイブリッド、またはChrysantemum morifoliumおよび他のキク種、例えばChrysanthemum indicum間のハイブリッド、Euphorbia pulcherrima、Euphorbia milii、Bouvardia longiflora、Hibiscus rosa-sinensis、Hibiscus schizopetalus、Hibiscus sabdariffa、Hibiscus syriacus、Hibiscus trionum、Hibiscus cannabinus、Mandevilla xamabilis、Mandevilla sanderi、Mandevilla splendens、Nicotiana tabacum、Nicotiana sylvestris、Nicotiana x sanderrae Phalaenopsis amabilis、Phalaenopsis amboinensis、Phalaenopsis aphrodite、Phalaenopsis appendiculata、Vanilla planifolia、Ocimum basilicum、Capsicum annuum、Capsicum baccatum、Capsicum chinense、Capsicum frutescens、Capsicum pubescens、Ipomoea batatas、Solanum lycopersicum、Solanum tuberosum、Solanum nicotiana、Echinacea purpurea、Echinacea angustifolia、Echinacea pallida、Rosa hybrida、Rosa canina、Rosa spinosissima、Rosa damascena 「trigintipetala」、Rosa centifolia、Schisandra chinensis、Schisandra glabra、Schisandra rubriflora、Rhodiola rosea、Kalanchoe pinnata、Kalanchoe marmorata、Kalanchoe gastonis-bonnieri、Kalanchoe dixoniana、Kalanchoe humilis、Kalanchoe laciniataからの推定形質転換体は、コントロールと有意に異なった。
【0126】
本願発明によって形質転換された植物の可能な使用
カランコエ
例:
・Kalanchoe pinnata
・Kalanchoe marmorata
・Kalanchoe gastonis-bonnieri種間ハイブリッド「Tropical Parfait」
・Kalanchoe dixoniana
・Kalanchoe humilis
・Kalanchoe laciniata種間ハイブリッド「Amazing Pink」
【0127】
現在の使用は、主に観賞植物としてである。植物の高さの低下および分枝の増加が、形質転換されていない植物と比較して観察された。強い抗腫瘍促進活性を示す二次代謝産物、例えばブリオフィリン(bryophillin)Aの含有量も、この属/種を薬用植物として興味深いものにさせる。カランコエ、特にK pinnataもまた、クマル酸、フェルラ酸、シリング酸、カフェ酸、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、P-ヒドロキシ安息香酸、ケルセチンとしてのフラボノイド、ケンペロール、ケルセチン-3-ジアラビノシド、ケンペロール(kaempferol)-3-グルコシド、ケルセチン-3-L-ラムノシド(rhamnosido)-L-アラビノフラノシド、η-ヘントリアコンタン(hentricontane)、η-トリトリアコンタン、シトステロールを含む。試験は、これらの化合物のいくつかがrol形質転換された植物においてより高い濃度を示したことを示した。
【0128】
これらの化合物のいずれかは、カランコエから単離され、ヒトまたは動物必要品としてまたはヒトまたは動物必要品において、例えば医薬として使用することができる。rol遺伝子を含むA.rhizogenesのRiプラスミドで形質転換された植物は、コントロールと比較してより高い濃度を示した。
【0129】
バラ
例:
・Rosa hybrida
・Rosa canina
・Rosa spinosissima
・Rosa damascena 「Trigintipetala」
・Rosa centifolia
【0130】
現在の使用は、主に観賞植物としてである。植物の高さの低下および分枝の増加が、形質転換されていないコントロールと比較して観察され、ポット当たりのより少ない挿し木から十分な分枝を有することができる。バラは、香料産業においても重要な使用を有する。ヨーロッパにおいてRosa damascena 「Trigintipetala」、世界の他の地域においてRosa centifoliaが特に使用される。主成分は、芳香性アルコールゲラニオールおよびl-シトロネロールおよびローズカンファーである。β-ダマスケノンも香りの重要な一因である。rol遺伝子を含むA.rhizogenesのRiプラスミドで形質転換された植物は、コントロールと比較してより高い濃度を示した。
【0131】
ゴクラクチョウカ
例:
・Strelitzia reginae
【0132】
そのサイズのために切り花として主に使用される。植物の高さの有意な低下および生産時間(開花までの時間)においても有意な低下が、Riプラスミドを含むアグロバクテリウムリゾゲネスで形質転換された植物において観察される。
【0133】
シオン
例:
・Aster novi-belgii
・Aster dumosus
【0134】
鉢植え植物および切り花として主に使用される。植物の高さの有意な低下および分枝の増加が、形質転換されていないコントロールと比較して観察され、ポット当たりのより少ない挿し木から十分な分枝を有することができる。
【0135】
キク
例:
・Chrysanthemum morifolium
・Chrysanthemum indicum
・Chrysanthemum x morifolium(Dendranthemaハイブリッド)
【0136】
鉢植え植物および切り花として主に使用されるが、キク茶(Chrysanthemum indicum)における成分としても使用される。植物の高さの低下および分枝の増加が、形質転換体において観察され、鉢植え植物として該植物をしようするときポット当たりのより少ない挿し木から十分な分枝を有することができる。Ri形質転換されたChrysanthemum indicumおよびChrysanthemum morifoliumから作製された茶抽出物の風味は、形質転換されていない対応物よりもより増強されたようであった。
【0137】
トウダイグサ
例:
・Euphorbia milii
・Euphorbia pulcherrima(Poinsettia)
【0138】
観賞植物として主に使用される。植物の高さの低下および分枝の増加が、形質転換されていない植物と比較して観察され、ポット当たりのより少ない挿し木から摘心なく十分な分枝を有することができる。
【0139】
ハイビスカス
例
・Hibiscus rosa-sinensis
・Hibiscus schizopetalus
・Hibiscus sabdariffa
・Hibiscus syriacus
・Hibiscus trionum
・Hibiscus cannabinus
【0140】
温帯地域(Hibiscus syriacus)および熱帯/亜熱帯(全ての種)において鉢植え植物または観賞用園芸植物として主に使用される。植物の高さの低下および分枝の増加が、形質転換体において観察され、ポット当たりのより少ない挿し木から摘心なく十分な分枝を有することができる。ハイビスカス花はアントシアニンを含み、rol遺伝子を含むA.rhizogenesのRiプラスミドで形質転換された植物は、コントロールと比較してより高い濃度を示した。
【0141】
マンデビラ(Dipladenia)/マンデビラ(Mandevilla)
例:
・Mandevilla xamabilis
・Mandevilla sanderi
・Mandevilla splendens
【0142】
熱帯/亜熱帯において鉢植え植物または観賞用園芸植物として主に使用される。形質転換体において、植物の高さの低下および分枝の増加が観察され、ポット当たりのより少ない挿し木から摘心なく十分な分枝を有することができる。物理的な固定物に植物を付着させる高価な作業を、rol形質転換体において必要としない。
【0143】
タバコ
例:
Nicotiana tabacum
【0144】
タバコの生産のための作物として主に使用される。タバコの葉は、通常、2~8%のニコチンを含み、rol遺伝子を含むA.rhizogenesのRiプラスミドで形質転換された植物は、コントロールと比較してより高い濃度を示した。
【0145】
・Nicotiana sylvestris
・Nicotiana x sanderrae
【0146】
観賞/寝具植物として主に使用される。植物の高さの低下および分枝の増加が観察され、ポット当たりのより少ない挿し木から摘心なく十分な分枝を有することができる。
【0147】
カンチョウジ
例:
・Bouvardia longiflora
【0148】
鉢植え植物および切り花として主に使用される。形質転換された植物において、植物の高さの低下および分枝の増加が観察され、必要とされる化学的成長制御が少なく、ポット当たりのより少ない挿し木から十分な分枝を有することができる。
【0149】
コチョウラン
例:
・Phalaenopsis amabilis
・Phalaenopsis amboinensis
・Phalaenopsis Aphrodite
・Phalaenopsis appendiculata
【0150】
鉢植え植物および切り花として使用され、ヨーロッパにおいて最も大きな鉢植え植物産物(生産数と売上高)である。形質転換された植物において、植物の高さの低下および分枝の増加が観察され、市場で予想されるより高い価格で、必要とされる化学的成長制御が少なく、植物当たりのより多くの穂を有することができる。
【0151】
Vanilla planifolia
バニラは、その高いバニリン含有量(4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド)によってバニラ香味料のための一次供給源の1つであり、rol遺伝子を含むアグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドで形質転換された植物は、コントロールと比較してより高い濃度を示した。
【0152】
バジル(Basil)
例:
・Ocimum basilicum
【0153】
食用植物として使用される。葉は、メチルカビコール(metylchavicol)、キネオールおよびリナロールの含有量によって、強い辛味、しばしば甘い香りで、若干アニスのような味がし得る。rol遺伝子を含むアグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドで形質転換された植物は、コントロールと比較してより高い濃度を示した。
【0154】
トウガラシ
例:
・Capsicum annuum、
・Capsicum baccatum、
・Capsicum chinense、
・Capsicum frutescens、
・Capsicum pubescens。
【0155】
スパイスおよび野菜として主に使用されるが、カプサイシン(メチルバニリルノネンアミド)を含むトウガラシはまた、血液循環を刺激するか、または疼痛を軽減するための医薬における使用が見いだされている。rol遺伝子を含むアグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドで形質転換された植物は、コントロールと比較してより高い濃度を示した。
【0156】
サツマイモ
例:
・Ipomoea batatas
【0157】
サツマイモとして知られている。その大きな澱粉質の甘い味の塊根は根菜である。デンプンに加えて、サツマイモは複合炭水化物、食物繊維およびベータ-カロテン(プロビタミンAカロテノイド)が豊富であるが、ビタミンB5、ビタミンB6、マンガンおよびカリウムを含む他の微量栄養素の適度な含有量を有する。rol遺伝子を含むアグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドで形質転換された植物は、コントロールと比較してより高い濃度を示した。
【0158】
トマト
例:
・Solanum lycopersicum
【0159】
トマトは、食用の、しばしば赤色/橙色/黄色/緑色の実/小果実である。強力な抗酸化物質であるリコピンを含む実は、大腸、胃、肺、前立腺および膵臓癌のリスクの低下と関連している。本願発明者は、植物の高さの低下および分枝の増加を観察し、食用実を有する室内用鉢植え植物としても、または限定された利用できる空間を有する庭においても植物を使用することができる。さらに、本願発明者は、リコピン含有がrol遺伝子を含むアグロバクテリウムリゾゲネスのRiプラスミドで形質転換された植物の実において増加したことに気付いた。
【0160】
ジャガイモ(Potato)
例
・Solanum tuberosum
【0161】
ジャガイモは、ビタミンおよびミネラルならびに様々な植物化学物質、例えばカロテノイドおよび天然フェノールを含む食用植物である。
【0162】
植物の高さの低下および分枝の増加が観察され、限定された利用できる空間を有する庭において食用塊茎を有する庭園植物としても植物を使用することができる。さらに、ビタミンおよびミネラルの含有がrol形質転換されたジャガイモ植物の塊茎において増加したことに気付いた。また、より増強された味が観察された。
【0163】
Solanum nicotianum
Solanum nicotianumは、Solanum tabacum L.およびSolanum laciniatumの属間移植キメラであり(Kaddoura、R.L. and Mantell、S.H.、(1991) Ann Bot 68 (6): 547-556、観賞植物として使用される。形質転換されていないコントロールと比較して植物の高さの低下および分枝の増加が観察され、ポット当たりのより少ない挿し木から十分な分枝を有することができる。
【0164】
エキナセア
例:
・Echinacea purpurea
・Echinacea angustifolia、
・Echinacea pallida
【0165】
エキナセアは、フェニルプロパノイド、エキナコシド(echinacoside)を含む植物薬のために主に使用される。エキナセアの主な成分は、様々な(variable)効果および効力の多種多様の化学物質からなる複合体である。活性な物質の範囲は、免疫系の種々の部分に対する効果を刺激または調節する抗菌剤を有する。全ての種はフェノールを含み、フェニルプロパノイド成分、例えばシコリン酸およびカフタル酸はE. purpureaに存在し、他のフェノールはエキナコシドを含む。エキナセア健康効果において重要であり得る他の化学成分は、アルキルアミドおよび多糖類を含む。エキナセア調製物の免疫調節効果は、脂溶性アルキルアミド(アルカミド)によって引き起こされる可能性が高く、アルキルアミドは、CB2受容体でのTHCと同様の効力を有し、THCは約1.5倍強い(~40nm 対 ~60nm アフィニティー)。しかしながら、効力は、精神活性CB1受容体でのTHCより劇的に低い(~40nm 対 ~>1500nm アフィニティー)。rol遺伝子を含むA.rhizogenesのRiプラスミドで形質転換された植物の一部において、化学物質含有の濃度範囲が増加したことが今回観察された。さらに、植物の高さの低下および分枝の増加が観察され、観賞価値を有する観葉/庭園植物としても植物を使用することができる。
【0166】
チョウセンゴミシ
例:
・Schisandra chinensis
・Schisandra glabra
・Schisandra rubriflora(観賞使用)
【0167】
チョウセンゴミシの小果実は、従来の漢方薬において使用される。化学成分は、実の種において見いだされるリグナン シザンドリン、デオキシシザンドリン、ゴミシンおよびプレゴミシンを含む。化学物質含有の濃度範囲がrol遺伝子を含むA.rhizogenesのRiプラスミドで形質転換された植物の植物部において増加したことが観察された。さらに、植物の高さの低下および分枝の増加が観察され、観賞価値を有する観葉/庭園植物としても植物を使用することができる。
【0168】
イワベンケイ
例:
・Rhodiola rosea
【0169】
イワベンケイは、寒いシベリアの天気により良く対処するために、中国、ロシアおよびスカンジナビアにおいて植物薬において使用されている。空気中の一部は、世界のいくつかの地域において食物として消費され、ときどきサラダに加えられる。根および他の植物部は、ロサビン(rosavin)、ロサリン(rosarin)、ロジン(rosin)およびサリドロシド(salidroside)(および、ときどきp-チロソール(tyrosol)、ロジオニシド(rhodioniside)、ロジオリン(rhodiolin)およびロシリジン(rosiridin)を含む。化学物質含有の濃度範囲がrol形質転換された植物の植物部において増加したことが観察された。植物は非常に遅い成長であり、植物の観賞価値は限定される。
【0170】
カランコエにおけるフラボノイドレベルの上昇
野生型Kalanchoe pinnataおよび表4に記載されている5つのRi遺伝子コピーを有する形質転換された対応物(すなわち、一次Ri形質転換されたK.pinnataと野生型形質転換されていないK.pinnataを戻し交配によって得られた)を取り、水分喪失85w/w%まで50gの葉を凍結乾燥することによって抽出物を調製し、次に5℃の暗所で一晩メタノール(乾燥葉部分重量当たり5重量部メタノール)中でインキュベートした。上清を回収し、加圧下で蒸発させて完全に乾燥させた。抽出物サンプルを100mg/mlメタノールの濃度で調製し、濾過した(Sartorius、0.20μm)。HPLC-MS/MS分析(高速液体クロマトグラフィー(HPLC)と質量分析(MS)との組合せ、MS/MSは1つの質量分析装置における2つの質量分析器の組合せである)を使用して、脱プロトン化された分子イオンのそれらの特徴的な質量にしたがってフラボノイドの種々の誘導体を同定した。[M-H]-を質量対電荷比に基づいて同定のために使用した(m/z;ケルセチン=301;イソラムネチン=315;ケンペロール=285)。HPLC-MS/MSを、Tsimogiannis et al. (Molecules (2007) 12, 593-606にしたがって行った。
【0171】
野生型K.pinnataにおいて、ケンペロールおよびイソラムネチンのレベルは、植物原料1g当たりそれぞれ2,12および4,74μgであったが、K.pinnataにおいて、5コピーのRi遺伝子を有すると決定され、該レベルは植物原料1g当たりそれぞれ2,41および6,03μgであったことを見いだした。
【配列表】