(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-02
(45)【発行日】2022-03-10
(54)【発明の名称】車両阻止装置
(51)【国際特許分類】
E01F 13/04 20060101AFI20220303BHJP
【FI】
E01F13/04 A
(21)【出願番号】P 2019235422
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2020-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】510231352
【氏名又は名称】株式会社156物産
(74)【代理人】
【識別番号】100137327
【氏名又は名称】松井 勝義
(72)【発明者】
【氏名】石田 宏樹
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-094747(JP,A)
【文献】特開2011-052523(JP,A)
【文献】特開2010-048052(JP,A)
【文献】特開2009-138509(JP,A)
【文献】特開2001-073581(JP,A)
【文献】特開平10-153042(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1142003(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の通行を拒否するときは水平方向に延在して該車両の通行を阻止し、該車両の通行を許可するときは先端を上方又は該車両の進行方向に回動させて該車両の通行を許容する阻止棒と、該阻止棒を回動させる阻止機と、を有する車両阻止装置において、
該阻止棒は、気体を圧縮充填可能な充填口を有する長尺状の袋体を有し、
該阻止棒の回動により、該充填口から該袋体に該気体を充填可能な充填器が備えられており、
前記気体は空気であり、前記充填器は前記阻止機に設けられ、
該充填器は、空気入れと調圧器とを有し、
該空気入れは、両端部に空気取入口及び空気吐出口が設けられた円筒状のシリンダと、該シリンダ内において基端部にピストンが固着されるとともに先端部が該シリンダから突出するピストンロッドと、該ピストンを該空気取入口の方向に付勢するスプリングとを有し、
該ピストンは、該空気取入口の方向に移動して該空気取入口から該シリンダ内に空気を取り入れるとともに、該空気吐出口の方向に移動して該空気吐出口から空気を吐出し、
該空気吐出口と前記充填口とが該調圧器を介して空気ホースで連結され、
前記阻止棒の回動により、該阻止棒は該スプリングの付勢力に抗して該ピストンロッドを押圧することを特徴とする車両阻止装置。
【請求項2】
前記ピストンロッドの先端には、前記阻止棒の回動運動を該ピストンロッドの直線運動に変換するローラが設けられていることを特徴とする請求項
1記載の車両阻止装置。
【請求項3】
車両の通行を拒否するときは水平方向に延在して該車両の通行を阻止し、該車両の通行を許可するときは先端を上方又は該車両の進行方向に回動させて該車両の通行を許容する阻止棒と、該阻止棒を回動させる阻止機と、を有する車両阻止装置において、
該阻止棒は、気体を圧縮充填可能な充填口を有する長尺状の袋体を有し、
該阻止棒の回動により、該充填口から該袋体に該気体を充填可能な充填器が備えられており、
前記気体は空気であり、前記充填器は前記阻止棒に設けられ、
該充填器は、両端部に空気取入口及び空気吐出口が設けられた円筒状のシリンダと、該シリンダに内蔵された錘付きピストンと、該錘付きピストンを該空気取入口の方向に付勢するスプリングとを有し、
該錘付きピストンは、該空気取入口の方向に移動して該空気取入口から該シリンダ内に空気を取り入れるとともに、該空気吐出口の方向に移動して該空気吐出口から空気を吐出し、
該空気吐出口と前記充填口とが空気ホースで連結され、
該錘付きピストンは、該阻止棒の回動による遠心力により、該スプリングの付勢力に抗して該空気吐出口の方向に移動することを特徴とす
る車両阻止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の通行を拒否するときは阻止棒を水平方向に延在して車両の通行を阻止し、車両の通行を許可するときは阻止棒の先端を上方又は車両の進行方向に回動させて車両の通行を許容する車両阻止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両阻止装置を有料道路の自動料金収受システム(以下「ETCシステム」という。)に用いた例として、特許文献1に示されたものが知られている。この車両阻止装置では、車両の通行を拒否又は許可する阻止棒(1)は、空気が充填された長尺袋体(10)を備えている。そのため、阻止棒(1)に車両が衝突した場合であっても阻止棒(1)が破損することがない上、車両に損傷を与えることがない。
しかしながら、この車両阻止装置において、気温の変化や長時間の使用により阻止棒(1)から空気が抜けてしまう場合がある。このような場合には、手動又は電動の空気入れで阻止棒(1)に空気を充填しなければならず、メインテナンスに時間がかかるだけでなく面倒でもあった。これに対し、特許文献2に示された車両阻止装置をETCシステムに採用することも考えられる。この車両阻止装置によれば、コンプレッサボックス(9)に内蔵されたコンプレッサによりアーム(6)に空気が瞬時に供給されるため、簡単で時間も短縮できると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-46972号公報
【文献】特開2019-94747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献2の車両阻止装置では、コンプレッサを用いているため、高価であるだけでなく装置全体が大型化してしまう。また、自動でコンプレッサを作動させるためには、コンプレッサ、空気圧センサ、制御回路等の追加が必要となり、さらに高価になってしまう。
【0005】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたものであり、自動で阻止棒に気体を充填することができ、コンパクトで安価、かつメインテナンスが容易な車両阻止装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る車両阻止装置の特徴は、車両の通行を拒否するときは水平方向に延在して該車両の通行を阻止し、該車両の通行を許可するときは先端を上方又は該車両の進行方向に回動させて該車両の通行を許容する阻止棒と、該阻止棒を回動させる阻止機と、を有する車両阻止装置において、該阻止棒は、気体を圧縮充填可能な充填口を有する長尺状の袋体を有し、該阻止棒の回動により、該充填口から該袋体に該気体を充填可能な充填器が備えられており、
前記気体は空気であり、前記充填器は前記阻止機に設けられ、該充填器は、空気入れと調圧器とを有し、該空気入れは、両端部に空気取入口及び空気吐出口が設けられた円筒状のシリンダと、該シリンダ内において基端部にピストンが固着されるとともに先端部が該シリンダから突出するピストンロッドと、該ピストンを該空気取入口の方向に付勢するスプリングとを有し、該ピストンは、該空気取入口の方向に移動して該空気取入口から該シリンダ内に空気を取り入れるとともに、該空気吐出口の方向に移動して該空気吐出口から空気を吐出し、該空気吐出口と前記充填口とが該調圧器を介して空気ホースで連結され、前記阻止棒の回動により、該阻止棒は該スプリングの付勢力に抗して該ピストンロッドを押圧することである。
【0008】
請求項2に係る車両阻止装置の特徴は、前記ピストンロッドの先端には、前記阻止棒の回動運動を該ピストンロッドの直線運動に変換するローラが設けられていることである。
【0009】
請求項3に係る車両阻止装置の特徴は、車両の通行を拒否するときは水平方向に延在して該車両の通行を阻止し、該車両の通行を許可するときは先端を上方又は該車両の進行方向に回動させて該車両の通行を許容する阻止棒と、該阻止棒を回動させる阻止機と、を有する車両阻止装置において、該阻止棒は、気体を圧縮充填可能な充填口を有する長尺状の袋体を有し、該阻止棒の回動により、該充填口から該袋体に該気体を充填可能な充填器が備えられており、
前記気体は空気であり、前記充填器は前記阻止棒に設けられ、該充填器は、両端部に空気取入口及び空気吐出口が設けられた円筒状のシリンダと、該シリンダに内蔵された錘付きピストンと、該錘付きピストンを該空気取入口の方向に付勢するスプリングとを有し、該錘付きピストンは、該空気取入口の方向に移動して該空気取入口から該シリンダ内に空気を取り入れるとともに、該空気吐出口の方向に移動して該空気吐出口から空気を吐出し、該空気吐出口と前記充填口とが空気ホースで連結され、該錘付きピストンは、該阻止棒の回動による遠心力により、該スプリングの付勢力に抗して該空気吐出口の方向に移動することである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る車両阻止装置は、阻止棒が気体を圧縮充填可能な充填口を有する長尺状の袋体を有し、阻止棒の回動により充填口から袋体に気体を充填可能な充填器が備えられている。ここで、車両阻止装置が車両の通行を許可する場合、水平になっている阻止棒の先端を上方又は車両の進行方向に回動させて車両の通行を許容している。そして、車両が通過すると、阻止棒を回動させて水平に戻す。そのため、車両阻止装置が車両の通行を許可するごとに阻止棒が回動して自動的に袋体に気体が充填されることになり、気温の変化等により袋体から気体が抜け始めた場合であっても、阻止棒は外形を確実に保つことができメインテナンスが容易である。また、この車両阻止装置では、既存の車両阻止装置に充填器を追加するだけでよいため、コンパクトで安価なだけでなくシステム全体の構成、及び制御方法には何ら影響を与えることがない。したがって、この車両阻止装置によれば、自動で阻止棒に気体を充填することができ、コンパクトで安価、かつメインテナンスが容易である。なお、本明細書において「先端を上方又は車両の進行方向に回動させ」とは、阻止棒の先端を鉛直上方、又は車両の進行方向に水平に回動させるだけでなく、車両の進行方向斜め上方に回動させることも含まれる。
また、請求項1に係る車両阻止装置においては、袋体の充填口に空気を充填する充填器は空気入れと調圧器とを備えて阻止機に設けられている。この空気入れは、両端部に空気取入口及び空気吐出口が設けられた円筒状のシリンダと、シリンダ内において基端部にピストンが固着されるとともに先端部がシリンダから突出するピストンロッドと、ピストンを空気取入口の方向に付勢するスプリングとを有し、阻止棒の回動によりピストンロッドが押圧されるようになっている。そのため、車両阻止装置が車両の通行を許可するごとに阻止棒が回動して空気吐出口から空気が吐出され、自動的に阻止棒の袋体に空気が充填される。また、空気吐出口と充填口とが調圧器を介して空気ホースで連結されているため、頻繁に車両が通行してピストンロッドが繰り返し押圧されても、阻止棒内の空気圧は一定に保たれるようになっている。
【0013】
請求項2に係る車両阻止装置においては、ピストンロッドの先端には、阻止棒の回動運動をピストンロッドの直線運動に変換するローラが設けられているため、阻止棒の回動によりピストンロッドを確実に作動させることができる。
【0014】
請求項3に係る車両阻止装置は、阻止棒が気体を圧縮充填可能な充填口を有する長尺状の袋体を有し、阻止棒の回動により充填口から袋体に気体を充填可能な充填器が備えられている。ここで、車両阻止装置が車両の通行を許可する場合、水平になっている阻止棒の先端を上方又は車両の進行方向に回動させて車両の通行を許容している。そして、車両が通過すると、阻止棒を回動させて水平に戻す。そのため、車両阻止装置が車両の通行を許可するごとに阻止棒が回動して自動的に袋体に気体が充填されることになり、気温の変化等により袋体から気体が抜け始めた場合であっても、阻止棒は外形を確実に保つことができメインテナンスが容易である。また、この車両阻止装置では、既存の車両阻止装置に充填器を追加するだけでよいため、コンパクトで安価なだけでなくシステム全体の構成、及び制御方法には何ら影響を与えることがない。したがって、この車両阻止装置によれば、自動で阻止棒に気体を充填することができ、コンパクトで安価、かつメインテナンスが容易である。
また、請求項3に係る車両阻止装置においては、袋体の充填口に空気を充填する充填器は阻止棒に設けられている。充填器は、両端部に空気取入口及び空気吐出口が設けられた円筒状のシリンダと、シリンダに内蔵された錘付きピストンと、錘付きピストンを空気取入口の方向に付勢するスプリングと有している。そして、錘付きピストンは、阻止棒の回動による遠心力により空気吐出口から空気を吐出させるようになっている。そのため、車両阻止装置が車両の通行を許可するごとに阻止棒が回動して空気吐出口から空気が吐出され、自動的に阻止棒の袋体に空気が充填される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態1の車両阻止装置に係り、ETCシステムに組み込まれた状態を示す概要図。
【
図2】実施形態1の車両阻止装置に係り、阻止棒の分解斜視図。
【
図3】実施形態1の車両阻止装置に係り、阻止機の一部拡大斜視図。
【
図4】実施形態1の車両阻止装置に係り、充填器の正面図。
【
図5】実施形態1の車両阻止装置に係り、阻止棒が水平であるときの一部拡大正面図。
【
図6】実施形態1の車両阻止装置に係り、阻止棒が鉛直であるときの一部拡大正面図。
【
図7】実施形態2の車両阻止装置に係り、ETCシステムに組み込まれた状態を示す概要図。
【
図8】実施形態2の車両阻止装置に係り、阻止棒の回動が停止しているときの一部拡大正面図。
【
図9】実施形態2の車両阻止装置に係り、阻止棒が回動中であるときの一部拡大正面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る車両阻止装置を高速道路のETCシステムに具体化した実施形態1、2を図面に基づいて以下に説明する。
図1は、実施形態1の車両阻止装置がETCシステムに組み込まれた状態を示す概要図である。
図1に示すように、ETCレーンの両側には、料金所に進行してくる車両に向かって一対の車両阻止装置が設けられている。車両阻止装置は、阻止棒1と、阻止棒1を回動させる阻止機2とを有している。2本の阻止棒1は、車両の通行を拒否するときは水平方向に対向するように延在して車両の通行を阻止し、車両の通行を許可するときは矢印で示すように、先端を上方に回動させて車両の通行を許容する。この阻止棒1は、空気が圧縮充填された長尺状の袋体10と、袋体10を支持する支持部材15とからなっている。支持部材15は、基端部において阻止機2に設けられた後述するサーボモータ21(
図3参照)の駆動軸21aに固着されている。そのため、駆動軸21aが回動すると阻止棒1が回動するようになっている。また、阻止機2には充填器3が設けられている。この充填器3により、空気ホース8を介して阻止棒1の袋体10に空気を充填することができるようになっている。
【0018】
図2に示すように、袋体10は樹脂製のシートを中空の長尺円柱状にしたものであり、基端部には充填口10aが設けられている。この充填口10aから袋体10に空気を圧縮充填したり、抜いたりすることができる。また、支持部材15は、支持部材本体16と支持筒体17とからなっている。支持部材本体16は、長尺角柱状をなし、先端部には円筒状の支持筒体17が固定されるとともに、基端部には軸孔16aが設けられている。支持筒体17には袋体10の基端部が着脱自在に装着され、軸孔16aには駆動軸21aが摺動回動不能に嵌着される。
【0019】
図3に示すように、阻止機2は、略直方体状の筐体20と、筐体20に内蔵された制御機器、駆動回路等からなっている。本実施形態においては、この制御機器として減速機付きのサーボモータ21を採用している。このサーボモータ21は、軸孔16aが嵌着される駆動軸21aを筐体20から突出させて筐体20に取り付けられている。また、筐体20の表面には充填器3が取り付けられている。そして、充填器3は、袋体10の充填口10aと空気ホース8により接続されている。
【0020】
充填器3について、
図4を用いて詳細に説明する。
図4に示すように、充填器3は、直方体状のケース30と空気入れ31と調圧器35とを有している。ケース30は、ケース本体30aと図示しない上蓋とからなっている。
図4はケース30の上蓋を取り外した状態を示している。空気入れ31は、阻止棒1の袋体10に空気を圧縮充填するものであり、シリンダ32とピストンロッド33とスプリング34とを有している。
【0021】
シリンダ32は内部に空気室32aが形成された円筒状をなし、両端部に空気取入口32b及び空気吐出口32cが設けられている。ピストンロッド33は棒状をなし、空気室32a内において基端部33dにピストン33aが固着されるとともに、空気取入口32bを貫通して先端部33eがシリンダ33から突出している。このピストン33aは、一般的な空気入れに用いられている既知のものと同様の構成であり、空気取入口32bの方向に移動して空気取入口32bから空気室32aに空気を取り入れるとともに、空気吐出口32cの方向に移動して空気吐出口32cから空気を吐出するようになっている。また、シリンダ32から突出したピストンロッド33には、ピストン33aを空気取入口32bの方向に付勢するスプリング34が巻回されている。そのため、ピストンロッド33に負荷がかからない状態においては、
図4に示すように、スプリング34の付勢力によりピストンロッド33が上昇され、ピストン33aが引き上げられて空気取入口32bから空気室32aに空気が取り入れられる。また、スプリング34の付勢力に抗してピストンロッド33が下降されると、ピストン33aが押し下げられて空気吐出口32cから空気が吐出される。
【0022】
ピストンロッド33の先端には、阻止棒1の回動運動をピストンロッド33の直線運動に変換するローラ33cが設けられている。このローラ33cにより、阻止棒1が回動しつつ下降しても、ピストンロッド33を確実に下降させることができる。
【0023】
調圧器35は空気圧を一定に保つものであり、シリンダ32の空気吐出口32c近傍に設けられている。また、調圧器35の入力口35aとシリンダ32の空気吐出口32cとが空気ホース8により接続され、出力口35bと袋体10の充填口10aが空気ホース8により接続されている。この調圧器35により、頻繁にピストンロッド33が上下して空気吐出口32cから大量の空気が吐出されても、阻止棒1の袋体10の空気圧が必要以上に上昇することを防止することができる。
【0024】
以上の構成をした車両阻止装置の動作について、
図5及び
図6を用いて説明する。料金所に向かって進行してくる車両がない場合、
図5に示すように、阻止棒1は水平になっている。そのとき、阻止棒1に押圧されて、ローラ33cを介してピストンロッド33が下降されているため、シリンダ33は押し下げられている。そして、車両がETCレーンに進入し、ETCシステムから車両の通行が許可されると、サーボモータ21が駆動され駆動軸21aが回動する。これにより、矢印で示すように、阻止棒1は駆動軸21aを中心に先端を上方に回動する。そして、
図6に示すように、阻止棒1は鉛直になって、車両の通行が可能になる。この際、ピストンロッド33は無負荷の状態となり、スプリング34の付勢力によりピストンロッド33が上昇され、ピストン33aが引き上げられて空気取入口32bから空気室32aに空気が取り入れられる。
【0025】
そして、車両が通過すると、サーボモータ21が駆動され駆動軸21aが回動する。これにより、矢印で示すように、阻止棒1は駆動軸21aを中心に先端を下方に回動する。そして、阻止棒1は水平になって
図5に示す状態に戻り、車両の通行を阻止する。この際、スプリング34の付勢力に抗してピストンロッド33が下降され、ピストン33aが押し下げられて空気吐出口32cから空気が吐出される。吐出された空気は、調圧器35を介し、空気ホース8を通り充填口10aから袋体10に充填される。ただし、調圧器35により、出力口35b側の空気圧が所定の圧力以上にならないように調整される。このようにして、車両が料金所を通過するごとに、阻止棒1が回動して空気入れ3から袋体10に空気が充填される。
【0026】
実施形態1の車両阻止装置によれば、阻止棒1が気体を圧縮充填可能な充填口10aを有する長尺状の袋体10を有している。また、阻止棒1の回動により充填口10aから袋体10に気体を充填可能な充填器3が備えられている。ここで、車両阻止装置が車両の通行を許可する場合、水平になっている阻止棒1の先端を上方に回動させて車両の通行を許容している。そして、車両が通過すると、阻止棒1を回動させて水平に戻す。そのため、車両阻止装置が車両の通行を許可するごとに阻止棒1が回動して自動的に袋体10に気体が充填されることになり、気温の変化等により袋体10から気体が抜け始めた場合であっても、阻止棒1は外形を確実に保つことができメインテナンスが容易である。また、この車両阻止装置では、既存の車両阻止装置に充填器3を追加するだけでよいため、コンパクトで安価なだけでなくシステム全体の構成、及び制御方法には何ら影響を与えることがない。したがって、この車両阻止装置によれば、自動で阻止棒1に気体を充填することができ、コンパクトで安価、かつメインテナンスが容易である。
【0027】
また、この車両阻止装置においては、袋体10の充填口10aに空気を充填する充填器3は空気入れ31と調圧器35とを備えて阻止機2に設けられている。この空気入れ31は、両端部に空気取入口32b及び空気吐出口32cが設けられた円筒状のシリンダ32と、シリンダ32内において基端部33dにピストン33aが固着されるとともに先端部33eがシリンダ32から突出するピストンロッド33と、ピストン33aを空気取入口32bの方向に付勢するスプリング34とを有し、阻止棒1の回動によりピストンロッド33が押圧されるようになっている。そのため、車両阻止装置が車両の通行を許可するごとに阻止棒1が回動して空気吐出口32cから空気が吐出され、自動的に阻止棒1の袋体10に空気が充填される。また、空気吐出口32cと充填口10aとが調圧器35を介して空気ホース8で連結されているため、頻繁に車両が通行してピストンロッド33が繰り返し押圧されても、阻止棒1内の空気圧は一定に保たれるようになっている。
【0028】
さらに、この車両措置装置においては、ピストンロッド33の先端には、阻止棒1の回動運動をピストンロッド33の直線運動に変換するローラ33cが設けられているため、阻止棒1の回動によりピストンロッド33を確実に作動させることができる。なお、本実施形態1においては、充填器3は阻止機2の筐体20の外側に設けられているが、筐体20内において駆動軸21aにカムを取り付けて、充填器3を筐体20の内側に設けることもできる。
【0029】
次に、実施形態2の車両阻止装置について、
図7から
図9を用いて説明する。実施形態2の車両阻止装置も、実施形態1と同様、ETCシステムに組み込まれて用いられる。また、実施形態1と同様の構成については同一の符号を用いることとし、その説明を省略する。
図7は、実施形態2の車両阻止装置がETCシステムに組み込まれた状態を示す概要図である。
図7に示すように、充填器4は阻止棒1の支持部材15に設けられ、充填器4と阻止棒1の袋体10とが空気ホース8により接続されている。その他の構成及び動作は実施形態1と同様である。
【0030】
図8(1)、(2)は、阻止棒1の回動が停止しているときの一部拡大正面図である。
図8(1)は阻止棒1が水平になっている場合であり、
図8(2)は阻止棒1が鉛直になっている場合である。
図8(1)、(2)に示すように、充填器4は、阻止棒1の袋体10に空気を圧縮充填するものであり、シリンダ40と錘付きピストン41とスプリング42とを有している。シリンダ40は内部に空気室40aが形成された円筒状をなし、両端部に空気取入口40b及び空気吐出口40cが設けられている。錘付きピストン41は空気室40aに摺動可能に収納され、空気取入口40bの方向に移動して空気取入口40bから空気室40aに空気を取り入れるとともに、空気吐出口40cの方向に移動して空気吐出口40cから空気を吐出するようになっている。スプリング42は空気室40aの空気吐出口40c側と錘付きピストン41との間に設けられ、錘付きピストン41を空気取入口40bの方向に付勢している。そのため、錘付きピストン41に遠心力が加わらない状態においては、スプリング42の付勢力により錘付きピストン41が空気取入口40bの方向に押圧されて、空気取入口40bから空気室40aに空気が取り入れられる。なお、空気吐出口40cと袋体10の充填口10aとが空気ホース8で連結されている。
【0031】
図9は、阻止棒1が回動中であるときの一部拡大正面図である。阻止棒1が回動中である場合、阻止棒1の回動による遠心力がスプリング42の付勢力より強いと、
図9に示すように、錘付きピストン41は空気吐出口40cの方向に押圧されて空気吐出口40cから空気が吐出される。また、阻止棒1の回動が止まると、スプリング42の付勢力により錘付きピストン41が空気取入口40bの方向に押圧されて、空気取入口40bから空気室40aに空気が取り入れられる。
【0032】
以上の構成をした車両阻止装置の動作について、
図7から
図9を用いて説明する。料金所に向かって進行してくる車両がない場合、
図8(1)に示すように、阻止棒1は水平になっている。そのとき、錘付きピストン41はスプリング42の付勢力により空気取入口40bの方向に押圧されていて、空気室40a内には空気が満たされている。そして、車両がETCレーンに進入し、ETCシステムから車両の通行が許可されると、サーボモータ21が駆動され駆動軸21aが回動する。これにより、
図7の矢印で示すように、阻止棒1は駆動軸21aを中心に先端を上方に回動する。阻止棒1が回動すると、
図9に示すように、錘付きピストン41は、阻止棒1の回動による遠心力により、スプリング42の付勢力に抗して空気吐出口40cの方向に押圧され、空気吐出口40cから空気が吐出される。吐出された空気は、空気ホース8を通り充填口10aから袋体10に充填される。
【0033】
そして、
図8(2)に示すように、阻止棒1は鉛直になって、車両の通行が可能になる。この際、阻止棒1の回動が停止して錘付きピストン41には遠心力が加わらなくなるため、錘付きピストン41はスプリング42の付勢力により空気取入口40bの方向に押圧され、空気取入口40bから空気室40aに空気が取り入れられる。
【0034】
車両が通過すると、サーボモータ21が駆動され駆動軸21aが回動する。これにより、阻止棒1は駆動軸21aを中心に先端を下方に回動する。阻止棒1が回動すると、
図9に示すように、錘付きピストン41は、阻止棒1の回動による遠心力により、スプリング42の付勢力に抗して空気吐出口40cの方向に押圧され、空気吐出口40cから空気が吐出される。吐出された空気は、空気ホース8を通り充填口10aから袋体10に充填される。
【0035】
そして、阻止棒1は水平になって
図8(1)に示す状態に戻り、車両の通行を阻止する。この際、阻止棒1の回動が停止して錘付きピストン41には遠心力が加わらなくなるため、錘付きピストン41はスプリング42の付勢力により空気取入口40bの方向に押圧され、空気取入口40bから空気室40aに空気が取り入れられる。このようにして、車両が料金所を通過するごとに、阻止棒1が回動して充填器4から袋体10に空気が充填される。なお、袋体10に空気が充填されるのは、空気吐出口40cから吐出される空気の空気圧が袋体10内の空気圧より高い場合であり、そうでない場合には袋体10に空気が充填されることはない。そのため、錘付きピストン41の錘の重量と、スプリング42のばね定数とを調整することにより、空気吐出口40cから吐出される空気の空気圧が所定の圧力以上にならないように調整することができる。ただし、充填器4と袋体10の充填口10aとの間に調圧器を接続してもよい。
【0036】
実施形態2の車両阻止装置においては、袋体10の充填口10aに空気を充填する充填器4は阻止棒1に設けられ、錘付きピストン41は、阻止棒1の回動による遠心力により空気吐出口40cから空気を吐出させるようになっている。そのため、車両阻止装置が車両の通行を許可するごとに阻止棒1が回動して空気吐出口40cから空気が吐出され、自動的に阻止棒1の袋体10に空気が充填される。その他の作用、効果は実施形態1と同様である。
【0037】
以上、本発明の阻止装置を実施形態1、2に即して説明したが、本発明はこれらに制限されるものではなく、本発明の技術的思想に反しない限り、適宜変更して適用できることはいうまでもない。例えば、阻止装置を駐車場のゲートに使用したり、片側交互通行の交通規制に使用することもできる。また、実施形態1、2においては、制御機器として減速機付きのサーボモータ21を採用しているが、これ以外の制御機器、例えばシリンダを採用してもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…阻止棒、2…阻止機、3、4…充填器、8…空気ホース、10…袋体、10a…充填口、31…空気入れ、32、40…シリンダ、32b、40b…空気取入口、32c、40c…空気吐出口、33…ピストンロッド、33a…ピストン、33c…ローラ、33d…基端部、33e…先端部、3334、42…スプリング、35…調圧器、41…錘付きピストン。