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特許7033583ゲノム編集効率を高めるための方法、組成物及びキット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-02
(45)【発行日】2022-03-10
(54)【発明の名称】ゲノム編集効率を高めるための方法、組成物及びキット
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20220303BHJP
   C12N 15/86 20060101ALI20220303BHJP
   C12N 15/867 20060101ALI20220303BHJP
   C12N 15/861 20060101ALI20220303BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20220303BHJP
   C12N 15/869 20060101ALI20220303BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20220303BHJP
   B82Y 5/00 20110101ALI20220303BHJP
   A61K 31/506 20060101ALN20220303BHJP
【FI】
C12N15/09 100
C12N15/09 110
C12N15/86 Z ZNA
C12N15/867 Z
C12N15/861 Z
C12N15/864 100Z
C12N15/869 Z
A61K48/00
B82Y5/00
A61K31/506
【請求項の数】 77
(21)【出願番号】P 2019501575
(86)(22)【出願日】2017-07-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-25
(86)【国際出願番号】 US2017041979
(87)【国際公開番号】W WO2018013840
(87)【国際公開日】2018-01-18
【審査請求日】2020-07-13
(31)【優先権主張番号】62/361,781
(32)【優先日】2016-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/361,961
(32)【優先日】2016-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598032106
【氏名又は名称】バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】アブドゥル-マナン, ノーゼハン
(72)【発明者】
【氏名】ニューサム, デイビッド エー.
(72)【発明者】
【氏名】ズワレン, ジャック
【審査官】福山 則明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/058067(WO,A1)
【文献】特表2015-514804(JP,A)
【文献】国際公開第2016/081923(WO,A2)
【文献】特表2015-534817(JP,A)
【文献】Genome Medicine,2015年,7: 93,pp. 1-11
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 48/00
C12N 15/09
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の標的ゲノム領域を編集するための組成物であって:
前記組成物は、構造式(I)または構造式(I’)で表される化合物:
【化28】
、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶であって;式中、
Xが、N、CRA5であり;
A1が、F、C1-4アルキル、C3-5シクロアルキル、OC1-4アルキル、OC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、NH、NHC1-4アルキル、NHC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、またはC0-4アルキル-ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルが、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、またはモルホリニルから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換され;
各RA4が、独立して、HまたはHであり;
A5が、水素、F、C1-4アルキル、またはOC1-4アルキルであり、前記アルキルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子または最大3個のH原子で置換され;
B3がC(O)NHC1-4アルキルであり、前記アルキルが、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換され;各RB4が、独立して、水素、重水素、F、またはC1-4アルキルである、前記化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶を含み;そして
前記組成物は、1つ以上の標的ゲノム領域を含む1つ以上の細胞に、ゲノム編集系と組み合わせて投与されることを特徴とし、
前記1つ以上の標的ゲノム領域が編集される、組成物。
【請求項2】
1つ以上の標的ゲノム領域におけるDNA切断を相同組換え修復(HDR)経路を介して修復するための組成物であって:
前記組成物は、構造式(I)または構造式(I’)で表される化合物:
【化29】
、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶であって;式中、
Xが、N、CRA5であり;
A1が、F、C1-4アルキル、C3-5シクロアルキル、OC1-4アルキル、OC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、NH、NHC1-4アルキル、NHC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、またはC0-4アルキル-ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルが、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、またはモルホリニルから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換され;
各RA4が、独立して、HまたはHであり;
A5が、水素、F、C1-4アルキル、またはOC1-4アルキルであり、前記アルキルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子または最大3個のH原子で置換され;
B3がC(O)NHC1-4アルキルであり、前記アルキルが、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換され;各RB4が、独立して、水素、重水素、F、またはC1-4アルキルである、前記化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶を含み;そして
前記組成物は、1つ以上の標的ゲノム領域を含む1つ以上の細胞に、ゲノム編集系と組み合わせて投与されることを特徴とし、
前記ゲノム編集系が、前記標的ゲノム領域の核酸(複数可)と相互作用してDNA切断をもたらし、前記DNA切断を少なくとも部分的にHDR経路を介して修復される、組成物。
【請求項3】
1つ以上の標的ゲノム領域におけるDNA切断の非相同末端結合(NHEJ)経路を介した修復を阻害または抑制するための組成物であって:
前記組成物は、構造式(I)または構造式(I’)で表される化合物:
【化30】
、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶であって;式中、
Xが、N、CRA5であり;
A1が、F、C1-4アルキル、C3-5シクロアルキル、OC1-4アルキル、OC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、NH、NHC1-4アルキル、NHC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、またはC0-4アルキル-ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルが、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、またはモルホリニルから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換され;
各RA4が、独立して、HまたはHであり;
A5が、水素、F、C1-4アルキル、またはOC1-4アルキルであり、前記アルキルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子または最大3個のH原子で置換され;
B3がC(O)NHC1-4アルキルであり、前記アルキルが、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換され;各RB4が、独立して、水素、重水素、F、またはC1-4アルキルである、前記化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶を含み;そして
前記組成物は、1つ以上の標的ゲノム領域を含む1つ以上の細胞に、ゲノム編集系と組み合わせて投与されることを特徴とし、
前記ゲノム編集系が、前記1つ以上の標的ゲノム領域の核酸(複数可)と相互作用してDNA切断を生じ、前記DNA切断のNHEJ経路を介した修復を阻害または抑制する、組成物。
【請求項4】
1つ以上の遺伝子またはタンパク質の発現を改変するための組成物であって:
前記組成物は、構造式(I)または構造式(I’)で表される化合物:
【化31】
、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶であって;式中、
Xが、N、CRA5であり;
A1が、F、C1-4アルキル、C3-5シクロアルキル、OC1-4アルキル、OC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、NH、NHC1-4アルキル、NHC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、またはC0-4アルキル-ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルが、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、またはモルホリニルから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換され;
各RA4が、独立して、HまたはHであり;
A5が、水素、F、C1-4アルキル、またはOC1-4アルキルであり、前記アルキルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子または最大3個のH原子で置換され;
B3がC(O)NHC1-4アルキルであり、前記アルキルが、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換され;各RB4が、独立して、水素、重水素、F、またはC1-4アルキルである、前記化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶を含み;
前記組成物は、1つ以上の標的ゲノム領域を含む1つ以上の細胞に、ゲノム編集系と組み合わせて投与されることを特徴とし、
前記ゲノム編集系が、標的遺伝子(複数可)の前記1つ以上の標的ゲノム領域の核酸(複数可)と相互作用し、前記1つ以上の標的ゲノム領域の編集をもたらし、前記編集が、前記標的遺伝子(複数可)に関連する下流遺伝子(複数可)及び/またはタンパク質(複数可)の発現を改変する、組成物。
【請求項5】
前記DNA切断が、DNA二本鎖切断(DSB)を含む、請求項2または3に記載の組成物。
【請求項6】
前記共結晶が、式(I)または式(I’)の構造を有する化合物と、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、または安息香酸から選択される共結晶形成剤とを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記化合物が、構造式(II)、構造式(II’)、構造式(II’’)、または構造式(II’’’)、
【化32】
によって表され、
式中、R及びRのそれぞれが、水素または重水素である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記共結晶が、式(II)または式(II’)の構造を有する化合物;及びアジピン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸または安息香酸から選択される共結晶形成剤を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記1つ以上の細胞における前記標的ゲノム領域の編集効率が、他の点では同一であるが前記化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはそれらの共結晶の非存在下での細胞における効率に比べて高い、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記1つ以上の細胞における前記標的ゲノム領域での前記DNA切断のHDR経路を介した前記修復の効率を、他の点では同一であるが前記化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはそれらの共結晶の非存在下での細胞における効率に比べて増加させる、請求項2に記載の組成物。
【請求項11】
前記1つ以上の細胞における前記標的ゲノム領域での前記DNA切断のNHEJ経路を介した前記修復の阻害または抑制の効率を、他の点では同一であるが前記化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはそれらの共結晶の非存在下での細胞に比べて増加させる、請求項3に記載の組成物。
【請求項12】
前記効率を、他の点では同一であるが前記化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはそれらの共結晶の非存在下での細胞における効率に比べて、少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、または100倍増加させる、請求項9~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記効率を、標的ポリヌクレオチド組込みの頻度によって測定する、請求項9~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記効率を、標的突然変異誘発の頻度によって測定する、請求項9~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記標的突然変異誘発が、点突然変異、欠失、及び/または挿入を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記標的遺伝子(複数可)に関連する下流遺伝子(複数可)及び/またはタンパク質(複数可)の発現を、前記投与前の前記1つ以上の細胞におけるベースライン発現レベルに比べて増加させる、請求項4に記載の組成物。
【請求項17】
前記発現を、前記投与前の前記1つ以上の細胞におけるベースライン発現レベルに比べて、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、または10倍増加させる、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記標的遺伝子(複数可)に関連する下流遺伝子(複数可)及び/またはタンパク質(複数可)の発現を、前記投与前の前記1つ以上の細胞におけるベースライン発現レベルに比べて減少させる、請求項4に記載の組成物。
【請求項19】
前記遺伝子発現を、前記投与前の前記1つ以上の細胞におけるベースライン発現レベルに比べて、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%減少させる、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記標的遺伝子(複数可)に関連する下流遺伝子(複数可)及び/またはタンパク質(複数可)の発現を、前記1つ以上の細胞において排除する、請求項4に記載の組成物。
【請求項21】
前記細胞を、S細胞周期またはG2細胞周期の段階で同期させる、請求項1~20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはそれらの共結晶を投与または接触させる前記1つ以上の細胞の生存期間を、前記化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはそれらの共結晶を投与または接触させなかった1つ以上の細胞に比べて延長させる、請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記ゲノム編集系及び前記組成物が、前記1つ以上の細胞に同時に投与されることを特徴とする、請求項1~22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
前記ゲノム編集系及び前記組成物が、前記1つ以上の細胞に順次投与されることを特徴とする、請求項1~22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
前記ゲノム編集系が、前記組成物に先行して前記1つ以上の細胞に投与されることを特徴とする、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物が、前記ゲノム編集系に先行して前記1つ以上の細胞に投与されることを特徴とする、請求項24に記載の組成物。
【請求項27】
前記1つ以上の細胞が培養細胞である、請求項1~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記1つ以上の細胞が、生物内のin vivo細胞である、請求項1~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
前記1つ以上の細胞が、生物由来のex vivo細胞である、請求項1~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
前記生物が哺乳類である、請求項2または2に記載の組成物。
【請求項31】
前記生物がヒトである、請求項2または2に記載の組成物。
【請求項32】
前記ゲノム編集系及び前記組成物が、同じ経路を介して投与されることを特徴とする、請求項1~31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
前記ゲノム編集系及び前記組成物が、異なる経路を介して投与されることを特徴とする、請求項1~31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
前記ゲノム編集系が静脈内投与され、前記組成物が経口投与されることを特徴とする、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記ゲノム編集系が、メガヌクレアーゼベースの系、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)ベースの系、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)系、CRISPRベースの系、またはNgAgoベースの系から選択される、請求項1~34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
前記ゲノム編集系が、CRISPRベースの系である、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
前記CRISPRベースの系が、CRISPR-Cas系またはCRISPR-Cpf系である、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
前記CRISPRベースの系が、CRISPR-Cas系であり、前記CRISPR-Cas系が:(a)以下を含む少なくとも1つのガイドRNAエレメントを含み:(i)前記1つ以上の標的ゲノム領域のヌクレオチド配列に実質的に相補的なヌクレオチド配列を含むターゲッターRNA、または前記ターゲッターRNAをコードするヌクレオチド配列(複数可)を含む核酸;(ii)及び前記ターゲッターRNAとハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列を含むアクチベーターRNA、または前記アクチベーターRNAをコードするヌクレオチド配列(複数可)を含む核酸;ならびに(b)Casタンパク質を含むCasタンパク質エレメント、または前記Casタンパク質をコードするヌクレオチド配列(複数可)を有する核酸を含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記ターゲッターRNA及びアクチベーターRNAを、単一分子として融合させる、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
前記Casタンパク質がII型Cas9タンパク質である、請求項38に記載の組成物。
【請求項41】
前記Cas9タンパク質が、SaCas9、SpCas9、SpCas9n、Cas9-HF、Cas9-H840A、FokI-dCas9、もしくはD10Aニッカーゼ、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
前記CRISPRベースの系が、CRISPR-Cpf系であり、前記CRISPR-Cpf系が:(a)少なくとも1つのガイドRNAエレメント、または前記ガイドRNAエレメントをコードするヌクレオチド配列(複数可)を有する核酸を含み、前記ガイドRNAが、前記1つ以上の標的ゲノム領域のヌクレオチド配列に実質的に相補的なヌクレオチド配列を有するターゲッターRNAを含み;及び(b)Cpfタンパク質を含むCpfタンパク質エレメント、または前記Cpfタンパク質をコードするヌクレオチド配列を有する核酸を含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項43】
前記ゲノム編集系が、1つ以上のベクターによって送達される、請求項1~42のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項44】
前記1つ以上のベクターが、ウイルスベクター、プラスミド、またはssDNAから選択される、請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
前記ウイルスベクターが、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター及び単純ヘルペスウイルスベクターからなる群から選択される、請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
前記ゲノム編集系が、合成RNAまたはリボ核タンパク質の形態で送達される、請求項1~45のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項47】
前記ゲノム編集系が、ナノ製剤によって送達される、請求項1~45のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項48】
前記化合物が:
【化33】
ある、請求項1~47のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項49】
前記共結晶が:(a)化合物1または化合物2;及び(b)アジピン酸を含む、請求項1~48のいずれか一項に記載の組成物:
【化34】
【請求項50】
前記共結晶が、(a)化合物(1);及び(b)アジピン酸を含
【化35】
、アジピン酸と化合物(1)とのモル比が約2:1である、請求項1~49のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項51】
前記共結晶が、(a)化合物(2);及び(b)アジピン酸を含
【化36】
、アジピン酸と化合物(2)とのモル比が約2:1である、請求項1~49のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項52】
1つ以上の標的ゲノム領域を編集するためのキットまたは組成物であって:
ゲノム編集系;及び
構造式(I)または構造式(I’)で表される化合物:
【化37】
、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶であって;式中、
Xが、N、CRA5であり;
A1が、F、C1-4アルキル、C3-5シクロアルキル、OC1-4アルキル、OC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、NH、NHC1-4アルキル、NHC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、またはC0-4アルキル-ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルが、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、またはモルホリニルから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換され;
各RA4が、独立して、HまたはHであり;
A5が、水素、F、C1-4アルキル、またはOC1-4アルキルであり、前記アルキルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子または最大3個のH原子で置換され;
B3がC(O)NHC1-4アルキルであり、前記アルキルが、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換され;各RB4が、独立して、水素、重水素、F、またはC1-4アルキルである、前記化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶を含む、前記キットまたは組成物。
【請求項53】
前記化合物が、構造式(II)、構造式(II’)、構造式(II’’)、または構造式(II’’’):
【化38】
で表され、
式中、R及びRのそれぞれが、水素または重水素である、請求項52に記載のキットまたは組成物。
【請求項54】
前記ゲノム編集系が、メガヌクレアーゼベースの系、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)ベースの系、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)系、CRISPRベースの系、またはNgAgoベースの系である、請求項52または53に記載のキットまたは組成物。
【請求項55】
前記ゲノム編集系が、CRISPRベースの系である、請求項54に記載のキットまたは組成物。
【請求項56】
前記CRISPRベースの系が、CRISPR-Cas系またはCRISPR-Cpf系である、請求項55に記載のキットまたは組成物。
【請求項57】
前記CRISPRベースの系がCRISPR-Cas系であり、前記CRISPR-Cas系が:(a)以下を含む少なくとも1つのガイドRNAエレメントを含み:(i)前記1つ以上の標的ゲノム領域のヌクレオチド配列に実質的に相補的なヌクレオチド配列を有するターゲッターRNA、または前記ターゲッターRNAをコードするヌクレオチド配列(複数可)を有する核酸;(ii)及び前記ターゲッターRNAとハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列を有するアクチベーターRNA、または前記アクチベーターRNAをコードするヌクレオチド配列(複数可)を含む核酸;ならびに(b)Casタンパク質を含むCasタンパク質エレメント、または前記Casタンパク質をコードするヌクレオチド配列(複数可)を有する核酸を含む、請求項56に記載のキットまたは組成物。
【請求項58】
前記Casタンパク質がII型Cas9タンパク質である、請求項57に記載のキットまたは組成物。
【請求項59】
前記Cas9タンパク質が、SaCas9、SpCas9、SpCas9n、Cas9-HF、Cas9-H840A、FokI-dCas9、もしくはD10Aニッカーゼ、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項5に記載のキットまたは組成物。
【請求項60】
前記CRISPRベースの系がCRISPR-Cpf系であり、前記CRISPR-Cpf系が:(a)前記1つ以上の標的ゲノム領域のヌクレオチド配列に実質的に相補的なヌクレオチド配列を有するターゲッターRNA、または前記ターゲッターRNAをコードするヌクレオチド配列(複数可)を有する核酸;及び(b)Cpfタンパク質を含むCpfタンパク質エレメント、または前記Cpfタンパク質をコードするヌクレオチド配列(複数可)を有する核酸を含む、請求項5に記載のキットまたは組成物。
【請求項61】
前記ゲノム編集系を、1つ以上のベクターに含めるか、またはパッケージングする、請求項56~60のいずれか一項に記載のキットまたは組成物。
【請求項62】
前記1つ以上のベクターが、ウイルスベクター、プラスミド、またはssDNAから選択される、請求項61に記載のキットまたは組成物。
【請求項63】
前記ウイルスベクターが、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター及び単純ヘルペスウイルスベクターからなる群から選択される、請求項62に記載のキットまたは組成物。
【請求項64】
前記化合物が:
【化39】
ある、請求項53~63のいずれか一項に記載のキットまたは組成物。
【請求項65】
前記共結晶が、式(I)または式(II)の構造を有する化合物とアジピン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、または安息香酸から選択される共結晶形成剤とを含む、請求項53~64のいずれか一項に記載のキットまたは組成物。
【請求項66】
前記共結晶が:(a)化合物1または化合物2;及び(b)アジピン酸を含む、請求項53~64のいずれか一項に記載のキットまたは組成物:
【化40】
【請求項67】
前記共結晶が、(a)化合物(1);及び(b)アジピン酸を含
【化41】
、アジピン酸と化合物(1)とのモル比が約2:1である、請求項53~64のいずれか一項に記載のキットまたは組成物。
【請求項68】
前記共結晶が、(a)化合物(2);及び(b)アジピン酸を含
【化42】
、アジピン酸と化合物(2)とのモル比が約2:1である、請求項53~64のいずれか一項に記載のキットまたは組成物。
【請求項69】
前記化合物が、化合物3、
【化43】
ある、請求項53~64のいずれか一項に記載のキットまたは組成物。
【請求項70】
1つ以上の標的ゲノム領域を編集するためのゲノム編集系であって:
前記ゲノム編集系は、1つ以上の標的ゲノム領域を含む1つ以上の細胞に化合物と組み合わせて投与されることを特徴とし、前記化合物は、構造式(I)または構造式(I’):
【化28】
、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶で表され;式中、
Xが、N、CRA5であり;
A1が、F、C1-4アルキル、C3-5シクロアルキル、OC1-4アルキル、OC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、NH、NHC1-4アルキル、NHC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、またはC0-4アルキル-ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルが、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、またはモルホリニルから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換され;
各RA4が、独立して、HまたはHであり;
A5が、水素、F、C1-4アルキル、またはOC1-4アルキルであり、前記アルキルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子または最大3個のH原子で置換され;
B3がC(O)NHC1-4アルキルであり、前記アルキルが、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換され;各RB4が、独立して、水素、重水素、F、またはC1-4アルキルであり;そして
前記1つ以上の標的ゲノム領域が編集される、ゲノム編集系。
【請求項71】
1つ以上の標的ゲノム領域を編集するための組み合わせ物であって:
前記組み合わせ物は、ゲノム編集系及び構造式(I)または構造式(I’):
【化28】
、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶で表される化合物であって;式中、
Xが、N、CRA5であり;
A1が、F、C1-4アルキル、C3-5シクロアルキル、OC1-4アルキル、OC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、NH、NHC1-4アルキル、NHC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、またはC0-4アルキル-ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルが、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、またはモルホリニルから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換され;
各RA4が、独立して、HまたはHであり;
A5が、水素、F、C1-4アルキル、またはOC1-4アルキルであり、前記アルキルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子または最大3個のH原子で置換され;
B3がC(O)NHC1-4アルキルであり、前記アルキルが、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換され;各RB4が、独立して、水素、重水素、F、またはC1-4アルキルである、化合物を含み;そして
前記ゲノム編集系及び構造式(I)または構造式(I’)で表される化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶は、1つ以上の標的ゲノム領域を含む1つ以上の細胞に投与されることを特徴とし、
前記1つ以上の標的ゲノム領域が編集される、組み合わせ物。
【請求項72】
1つ以上の標的ゲノム領域におけるDNA切断を相同組換え修復(HDR)経路を介して修復するためのゲノム編集系であって:
前記ゲノム編集系は、1つ以上の標的ゲノム領域を含む1つ以上の細胞に化合物と組み合わせて投与されることを特徴とし、前記化合物は、構造式(I)または構造式(I’):
【化29】
、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶で表され;式中、
Xが、N、CRA5であり;
A1が、F、C1-4アルキル、C3-5シクロアルキル、OC1-4アルキル、OC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、NH、NHC1-4アルキル、NHC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、またはC0-4アルキル-ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルが、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、またはモルホリニルから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換され;
各RA4が、独立して、HまたはHであり;
A5が、水素、F、C1-4アルキル、またはOC1-4アルキルであり、前記アルキルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子または最大3個のH原子で置換され;
B3がC(O)NHC1-4アルキルであり、前記アルキルが、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換され;各RB4が、独立して、水素、重水素、F、またはC1-4アルキルであり;そして
前記ゲノム編集系が、前記標的ゲノム領域の核酸(複数可)と相互作用してDNA切断をもたらし、前記DNA切断が少なくとも部分的にHDR経路を介して修復される、ゲノム編集系。
【請求項73】
1つ以上の標的ゲノム領域におけるDNA切断を相同組換え修復(HDR)経路を介して修復するための組み合わせ物であって:
前記組み合わせ物は、ゲノム編集系及び構造式(I)または構造式(I’):
【化29】
、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶で表される化合物であって;式中、
Xが、N、CRA5であり;
A1が、F、C1-4アルキル、C3-5シクロアルキル、OC1-4アルキル、OC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、NH、NHC1-4アルキル、NHC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、またはC0-4アルキル-ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルが、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、またはモルホリニルから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換され;
各RA4が、独立して、HまたはHであり;
A5が、水素、F、C1-4アルキル、またはOC1-4アルキルであり、前記アルキルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子または最大3個のH原子で置換され;
B3がC(O)NHC1-4アルキルであり、前記アルキルが、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換され;各RB4が、独立して、水素、重水素、F、またはC1-4アルキルである、前記化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶を含み;そして
前記ゲノム編集系及び構造式(I)または構造式(I’)で表される前記化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶は、1つ以上の標的ゲノム領域を含む1つ以上の細胞に投与されることを特徴とし、
前記ゲノム編集系が、前記標的ゲノム領域の核酸(複数可)と相互作用してDNA切断をもたらし、前記DNA切断が少なくとも部分的にHDR経路を介して修復される、組み合わせ物。
【請求項74】
1つ以上の標的ゲノム領域におけるDNA切断の非相同末端結合(NHEJ)経路を介した修復を阻害または抑制するためのゲノム編集系であって:
前記ゲノム編集系は、1つ以上の標的ゲノム領域を含む1つ以上の細胞に化合物と組み合わせて投与されることを特徴とし、前記化合物は、構造式(I)または構造式(I’):
【化30】
、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶で表され;式中、
Xが、N、CRA5であり;
A1が、F、C1-4アルキル、C3-5シクロアルキル、OC1-4アルキル、OC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、NH、NHC1-4アルキル、NHC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、またはC0-4アルキル-ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルが、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、またはモルホリニルから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換され;
各RA4が、独立して、HまたはHであり;
A5が、水素、F、C1-4アルキル、またはOC1-4アルキルであり、前記アルキルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子または最大3個のH原子で置換され;
B3がC(O)NHC1-4アルキルであり、前記アルキルが、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換され;各RB4が、独立して、水素、重水素、F、またはC1-4アルキルであり;そして
前記ゲノム編集系が、前記1つ以上の標的ゲノム領域の核酸(複数可)と相互作用してDNA切断を生じ、前記DNA切断のNHEJ経路を介した修復を阻害または抑制する、ゲノム編集系。
【請求項75】
1つ以上の標的ゲノム領域におけるDNA切断の非相同末端結合(NHEJ)経路を介した修復を阻害または抑制するための組み合わせ物であって:
前記組み合わせ物は、ゲノム編集系及び構造式(I)または構造式(I’):
【化30】
、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶で表される化合物であって;式中、
Xが、N、CRA5であり;
A1が、F、C1-4アルキル、C3-5シクロアルキル、OC1-4アルキル、OC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、NH、NHC1-4アルキル、NHC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、またはC0-4アルキル-ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルが、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、またはモルホリニルから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換され;
各RA4が、独立して、HまたはHであり;
A5が、水素、F、C1-4アルキル、またはOC1-4アルキルであり、前記アルキルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子または最大3個のH原子で置換され;
B3がC(O)NHC1-4アルキルであり、前記アルキルが、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換され;各RB4が、独立して、水素、重水素、F、またはC1-4アルキルである、前記化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶を含み;そして
前記ゲノム編集系及び構造式(I)または構造式(I’)で表される前記化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶は、1つ以上の標的ゲノム領域を含む1つ以上の細胞に投与されることを特徴とし、
前記ゲノム編集系が、前記1つ以上の標的ゲノム領域の核酸(複数可)と相互作用してDNA切断を生じ、前記DNA切断のNHEJ経路を介した修復を阻害または抑制する、組み合わせ物。
【請求項76】
1つ以上の遺伝子またはタンパク質を発現するためのゲノム編集系であって:
前記ゲノム編集系は、1つ以上の標的ゲノム領域を含む1つ以上の細胞に化合物と組み合わせて投与されることを特徴とし、前記化合物は、構造式(I)または構造式(I’):
【化31】
、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶で表され;式中、
Xが、N、CRA5であり;
A1が、F、C1-4アルキル、C3-5シクロアルキル、OC1-4アルキル、OC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、NH、NHC1-4アルキル、NHC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、またはC0-4アルキル-ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルが、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、またはモルホリニルから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換され;
各RA4が、独立して、HまたはHであり;
A5が、水素、F、C1-4アルキル、またはOC1-4アルキルであり、前記アルキルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子または最大3個のH原子で置換され;
B3がC(O)NHC1-4アルキルであり、前記アルキルが、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換され;各RB4が、独立して、水素、重水素、F、またはC1-4アルキルであり;
前記ゲノム編集系が、標的遺伝子(複数可)の前記1つ以上の標的ゲノム領域の核酸(複数可)と相互作用し、前記1つ以上の標的ゲノム領域の編集をもたらし、前記編集が、前記標的遺伝子(複数可)に関連する下流遺伝子(複数可)及び/またはタンパク質(複数可)の発現を改変する、ゲノム編集系。
【請求項77】
1つ以上の遺伝子またはタンパク質を発現するための組み合わせ物であって:
前記組み合わせ物は、ゲノム編集系及び構造式(I)または構造式(I’):
【化31】
、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶で表される化合物であって;式中、
Xが、N、CRA5であり;
A1が、F、C1-4アルキル、C3-5シクロアルキル、OC1-4アルキル、OC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、NH、NHC1-4アルキル、NHC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、またはC0-4アルキル-ヘテロシクリルであり、前記ヘテロシクリルが、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、またはモルホリニルから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換され;
各RA4が、独立して、HまたはHであり;
A5が、水素、F、C1-4アルキル、またはOC1-4アルキルであり、前記アルキルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子または最大3個のH原子で置換され;
B3がC(O)NHC1-4アルキルであり、前記アルキルが、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換され;各RB4が、独立して、水素、重水素、F、またはC1-4アルキルである、前記化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶を含み;
前記ゲノム編集系及び構造式(I)または構造式(I’)で表される前記化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶は、1つ以上の標的ゲノム領域を含む1つ以上の細胞に投与されることを特徴とし、
前記ゲノム編集系が、標的遺伝子(複数可)の前記1つ以上の標的ゲノム領域の核酸(複数可)と相互作用し、前記1つ以上の標的ゲノム領域の編集をもたらし、前記編集が、前記標的遺伝子(複数可)に関連する下流遺伝子(複数可)及び/またはタンパク質(複数可)の発現を改変する、組み合わせ物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年7月13日に出願された米国特許出願第62/361,781号、及び2016年7月13日に出願された米国特許出願第62/361,961号の利益及び優先権を主張し、その各々の内容を本明細書に援用する。
【0002】
配列表の参照による援用
2017年6月29日に作成されたサイズ7KBの「VPI_16-114WO_ST25.txt」という名称のファイルの内容を、その全体を参照により本明細書に援用する。
【0003】
本発明は、一般に、DNAプロテインキナーゼ(DNAPK)阻害剤及びゲノム編集系を細胞(複数可)に投与することによってゲノム編集効率を高めるための方法、組成物及びキットに関する。
【背景技術】
【0004】
遺伝子変異のシステマティックな改変を可能にするためには、正確なゲノムターゲティング技術が必要である。ゲノム編集系、特にCRISPRエンドヌクレアーゼに基づくゲノム編集技術の使用は、過去数年間で指数関数的に成長を遂げた。II型CRISPR-Cas9細菌性自然免疫系が、ヒトゲノムの標的修飾のための効果的なゲノム編集ツールとして台頭している(Wiedenheft,B.2012;Hsu,P.D.eta.2014)。近年においては、CRISPR-Cpfゲノム編集系が示されている。CRISPRエンドヌクレアーゼに基づくゲノム編集は、部分的には、DNA二本鎖切断を修復するための非相同末端結合(NHEJ)及び相同性指向性修復(HDR)経路に依存している。細胞修復機構はHDRよりもNHEJを選好する。
【0005】
いくつかの報告においては、NHEJからの挿入または欠失(インデル)の達成は最大70%有効であるが、HDRの効率には依然として課題があり、その効率は1%未満である。
【0006】
したがって、ゲノム編集効率、特にHDR効率を高める必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本発明は、DNAPK阻害剤を使用してDNAPKなどのNHEJ酵素を抑制することによって、HDR効率を向上させることができる。
【0008】
いくつかの実施形態において、本開示は、1つ以上の標的ゲノム領域の編集方法を提供し、その方法は、1つ以上の標的ゲノム領域を有する1つ以上の細胞に、ゲノム編集系及び構造式(I)または構造式(I’)によって表される化合物:
【化1】
、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶を投与することを含む。
【0009】
XはN、CRA5である。
【0010】
A1は、F、C1-4アルキル、C3-5シクロアルキル、OC1-4アルキル、OC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、NH、NHC1-4アルキル、NHC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、またはC0-4アルキル-ヘテロシクリルであり、前記複素環式環構造は、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、またはモルホリニルから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルのそれぞれは、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換される。
【0011】
各RA4は、独立して、HまたはHである。
【0012】
A5は、水素、F、C1-4アルキル、またはOC1-4アルキルであり、前記アルキルのそれぞれは、場合により、最大3個のF原子または最大3個のH原子で置換される。
【0013】
B3は、C(O)NHC1-4アルキルであり、前記アルキルは、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換される。
【0014】
各RB4は、独立して、水素、重水素、F、またはC1-4アルキルである。
【0015】
いくつかの実施形態では、本開示はまた、1つ以上の標的ゲノム領域におけるDNA切断の相同性指向性修復(HDR)経路を介した修復方法を提供し、その方法は、1つ以上の標的ゲノム領域を有する1つ以上の細胞に、ゲノム編集系及び構造式(I)または構造式(I’)で表される化合物:
【化2】
、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶を投与することを含む。
【0016】
XはN、CRA5である。
【0017】
A1は、F、C1-4アルキル、C3-5シクロアルキル、OC1-4アルキル、OC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、NH、NHC1-4アルキル、NHC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、またはC0-4アルキル-ヘテロシクリルであり、前記複素環式環構造は、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、またはモルホリニルから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルのそれぞれは、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換される。
【0018】
各RA4は、独立して、HまたはHである。
【0019】
A5は、水素、F、C1-4アルキル、またはOC1-4アルキルであり、前記アルキルのそれぞれは、場合により、最大3個のF原子または最大3個のH原子で置換される。
【0020】
B3は、C(O)NHC1-4アルキルであり、前記アルキルは、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換される。
【0021】
各RB4は、独立して、水素、重水素、F、またはC1-4アルキルである。
【0022】
ゲノム編集系は、標的ゲノム領域の核酸(複数可)と相互作用してDNA切断をもたらし、その場合、DNA切断は少なくとも部分的にHDR経路を介して修復される。
【0023】
いくつかの実施形態では、本開示はまた、1つ以上の標的ゲノム領域におけるDNA切断のNHEJ経路を介した修復の阻害または抑制方法を提供し、その方法は、1つ以上の標的ゲノム領域を有する1つ以上の細胞に、ゲノム編集系及び構造式(I)または構造式(I’)で表される化合物:
【化3】
、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶を投与することを含む。
【0024】
XはN、CRA5であり;
A1は、F、C1-4アルキル、C3-5シクロアルキル、OC1-4アルキル、OC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、NH、NHC1-4アルキル、NHC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、またはC0-4アルキル-ヘテロシクリルであり、前記複素環式環構造は、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、またはモルホリニルから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルのそれぞれは、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換される。
【0025】
各RA4は、独立して、HまたはHであり;
A5は、水素、F、C1-4アルキル、またはOC1-4アルキルであり、前記アルキルのそれぞれは、場合により、最大3個のF原子または最大3個のH原子で置換される。
【0026】
B3は、C(O)NHC1-4アルキルであり、前記アルキルは、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換される。
【0027】
各RB4は、独立して、水素、重水素、F、またはC1-4アルキルである。
【0028】
ゲノム編集系は、1つ以上の標的ゲノム領域の核酸(複数可)と相互作用してDNA切断をもたらし、その場合、DNA切断のNHEJ経路を介した修復が阻害または抑制される。
【0029】
いくつかの実施形態では、本開示はまた、1つ以上の遺伝子またはタンパク質の発現の改変方法を提供し、その方法は、1つ以上の標的ゲノム領域を有する1つ以上の細胞に、ゲノム編集系及び構造式(I)または構造式(I’)で表される化合物:
【化4】
、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶を投与することを含む。
【0030】
XはN、CRA5である。
【0031】
A1は、F、C1-4アルキル、C3-5シクロアルキル、OC1-4アルキル、OC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、NH、NHC1-4アルキル、NHC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、またはC0-4アルキル-ヘテロシクリルであり、前記複素環式環構造は、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、またはモルホリニルから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルのそれぞれは、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換される。
【0032】
各RA4は、独立して、HまたはHである。
【0033】
A5は、水素、F、C1-4アルキル、またはOC1-4アルキルであり、前記アルキルのそれぞれは、場合により、最大3個のF原子または最大3個のH原子で置換される。
【0034】
B3は、C(O)NHC1-4アルキルであり、前記アルキルは、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換され;各RB4は、独立して、水素、重水素、F、またはC1-4アルキルである。
【0035】
ゲノム編集系は、標的遺伝子(複数可)の1つ以上の標的ゲノム領域の核酸(複数可)と相互作用して、1つ以上の標的ゲノム領域の編集をもたらし、編集は、標的遺伝子(複数可)に関連する下流の遺伝子(複数可)及び/またはタンパク質(複数可)の発現を改変する。
【0036】
いくつかの実施形態では、DNA切断はDNA二本鎖切断(DSB)を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(I)または式(I’)の構造を有する化合物と、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、安息香酸から選択される共結晶形成剤とを含む共結晶である。
【0038】
いくつかの実施形態では、化合物は、構造式(II)、構造式(II’)、構造式(II’’)、または構造式(II’’’)で表される:
【化5】
またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶であり、式中、各R及びRは、独立して、水素または重水素である。
【0039】
いくつかの実施形態では、化合物は、式(II)、式(II’)、式(II’’)または式(II’’’)の構造を有する化合物;及びアジピン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、または安息香酸から選択される共結晶形成剤を含む共結晶である。
【0040】
いくつかの実施形態では、1つ以上の細胞内の標的ゲノム領域の編集効率は、化合物を含まないことを除いては同一である1つ以上の細胞内の効率に比べて、向上する。
【0041】
いくつかの実施形態では、1つ以上の細胞内の標的ゲノム領域におけるDNA切断のHDR経路を介した修復効率は、化合物を含まないことを除いては同一である細胞内の効率に比べて、向上する。
【0042】
いくつかの実施形態では、1つ以上の細胞内の標的ゲノム領域におけるDNA切断のNHEJ経路を介した修復の阻害または抑制効率は、化合物を含まないことを除いては同一である細胞内の効率に比べて、向上する。
【0043】
いくつかの実施形態では、効率は、化合物を含まないことを除いては同一である細胞内の効率に比べて、少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、または100倍、向上する。
【0044】
いくつかの実施形態では、効率を、標的ポリヌクレオチド組込みの頻度によって測定する。いくつかの実施形態では、効率を、標的突然変異誘発の頻度によって測定する。いくつかの実施形態では、標的突然変異誘発には、点突然変異、欠失、及び/または挿入が含まれる。
【0045】
いくつかの実施形態では、標的遺伝子(複数可)に関連する下流遺伝子(複数可)及び/またはタンパク質(複数可)の発現を、投与前の1つ以上の細胞におけるベースライン発現レベルに比べて増加させる。例えば、前記発現を、投与前の1つ以上の細胞におけるベースライン発現レベルに比べて、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、または10倍増加させる。
【0046】
いくつかの実施形態では、標的遺伝子(複数可)に関連する下流遺伝子(複数可)及び/またはタンパク質(複数可)の発現を、投与前の1つ以上の細胞におけるベースライン発現レベルに比べて減少させる。例えば、遺伝子発現を、投与前の1つ以上の細胞におけるベースライン発現レベルに比べて、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%減少させる。
【0047】
いくつかの実施形態では、標的遺伝子(複数可)に関連する下流遺伝子(複数可)及び/またはタンパク質(複数可)の発現を、1つ以上の細胞において実質的に排除する。
【0048】
いくつかの実施形態では、細胞を、SまたはG2細胞周期の段階で同期させる。
【0049】
いくつかの実施形態では、前記化合物を投与または接触させた1つ以上の細胞は、前記化合物を投与または接触させなかった1つ以上の細胞に比べて生存率が高い。
【0050】
いくつかの実施形態では、ゲノム編集系及び化合物を、1つ以上の細胞に同時投与する。いくつかの実施形態では、ゲノム編集系及び化合物を、1つ以上の細胞に順次投与する。いくつかの実施形態では、ゲノム編集系を化合物より先行して1つ以上の細胞に投与する。いくつかの実施形態では、化合物をゲノム編集系より先行して1つ以上の細胞に投与する。
【0051】
いくつかの実施形態では、1つ以上の細胞は培養細胞である。いくつかの実施形態では、1つ以上の細胞は、生物内のin vivo細胞である。いくつかの実施形態では、1つ以上の細胞は、生物由来のex vivo細胞である。
【0052】
いくつかの実施形態では、生物は哺乳類である。いくつかの実施形態では、生物はヒトである。
【0053】
いくつかの実施形態では、ゲノム編集系及び化合物を、同じ経路を介して投与する。いくつかの実施形態では、ゲノム編集系及び化合物を、異なる経路を介して投与する。いくつかの実施形態では、ゲノム編集系を静脈内投与し、化合物を経口投与する。
【0054】
いくつかの実施形態では、ゲノム編集系は、メガヌクレアーゼベースの系、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)ベースの系、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)系、CRISPRベースの系、またはNgAgoベースの系から選択される。
【0055】
いくつかの実施形態では、ゲノム編集系は、CRISPRベースの系である。いくつかの実施形態では、CRISPRベースの系は、CRISPR-Cas系またはCRISPR-Cpf系である。
【0056】
いくつかの実施形態では、CRISPRベースの系はCRISPR-Cas系であり、CRISPR-Cas系は:(a)以下を含む少なくとも1つのガイドRNAエレメントを含み:(i)1つ以上の標的ゲノム領域のヌクレオチド配列に実質的に相補的なヌクレオチド配列を含むターゲッターRNA、またはそのターゲッターRNAをコードするヌクレオチド配列(複数可)を含む核酸;(ii)及びターゲッターRNAとハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列を含むアクチベーターRNA、またはそのアクチベーターRNAをコードするヌクレオチド配列(複数可)を含む核酸;ならびに(b)Casタンパク質を含むCasタンパク質エレメント、またはそのCasタンパク質をコードするヌクレオチド配列(複数可)を含む核酸を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、ターゲッターRNA及びアクチベーターRNAを単一分子として融合させる。
【0058】
いくつかの実施形態では、Casタンパク質はII型Cas9タンパク質である。いくつかの実施形態では、Cas9タンパク質は、SaCas9、SpCas9、SpCas9n、Cas9-HF、Cas9-H840A、FokI-dCas9、もしくはD10Aニッカーゼ、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0059】
いくつかの実施形態では、CRISPRベースの系はCRISPR-Cpf系であり、CRISPR-Cpf系は:(a)少なくとも1つのガイドRNAエレメント、またはそのガイドRNAエレメントをコードするヌクレオチド配列(複数可)を含む核酸を含み、ガイドRNAは、1つ以上の標的ゲノム領域のヌクレオチド配列に実質的に相補的なヌクレオチド配列を含むターゲッターRNAを含み;及び(b)Cpfタンパク質を含むCpfタンパク質エレメント、またはそのCpfタンパク質をコードするヌクレオチド配列を有する核酸を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、ゲノム編集系を、1つ以上のベクターによって送達する。
【0061】
いくつかの実施形態では、1つ以上のベクターは、ウイルスベクター、プラスミド、またはssDNAから選択される。
【0062】
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴及び単純ヘルペスウイルスベクターから選択される。
【0063】
いくつかの実施形態では、ゲノム編集系を、合成RNAによって送達する。
【0064】
いくつかの実施形態では、ゲノム編集系を、ナノ製剤によって送達する。
【0065】
いくつかの実施形態では、化合物は:
【化6】
、またはその薬学的に許容される塩である。
【0066】
いくつかの実施形態では、化合物は、以下を含む共結晶である:(a)化合物1または化合物2;及び(b)アジピン酸:
【化7】
【0067】
いくつかの実施形態では、化合物は、以下を含む共結晶である:(a)化合物(1);及び(b)アジピン酸:
【化8】
、ここで、アジピン酸と化合物(1)のモル比は約2:1である。
【0068】
いくつかの実施形態では、化合物は、以下を含む共結晶である;(a)化合物(2);及び(b)アジピン酸:
【化9】
、ここで、アジピン酸と化合物(2)のモル比は約2:1である。
【0069】
いくつかの実施形態では、1つ以上の標的ゲノム領域を編集するためのキットまたは組成物を提供する。いくつかの実施形態では、キットまたは組成物は、ゲノム編集系;及び
構造式(I)または構造式(I’)で表される化合物:
【化10】
、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶を含む。
【0070】
XはN、CRA5である。
【0071】
A1は、F、C1-4アルキル、C3-5シクロアルキル、OC1-4アルキル、OC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、NH、NHC1-4アルキル、NHC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、またはC0-4アルキル-ヘテロシクリルであり、前記複素環式環構造は、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、またはモルホリニルから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルのそれぞれは、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換される。
【0072】
各RA4は、独立して、HまたはHである。
【0073】
A5は、水素、F、C1-4アルキル、またはOC1-4アルキルであり、前記アルキルのそれぞれは、場合により、最大3個のF原子または最大3個のH原子で置換される。
【0074】
B3は、C(O)NHC1-4アルキルであり、前記アルキルは、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換され;各RB4は、独立して、水素、重水素、F、またはC1-4アルキルである。
【0075】
いくつかの実施形態では、キットまたは組成物の化合物は、構造式(II)、構造式(II’)、構造式(II’’)、または構造式(II’’’)で表される:
【化11】
またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶であり、式中、R及びRのそれぞれは、水素または重水素である。
【0076】
いくつかの実施形態では、キットまたは組成物のゲノム編集系は、メガヌクレアーゼベースの系、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)ベースの系、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)系、CRISPRベースの系、またはNgAgoベースの系である。いくつかの実施形態では、キットまたは組成物のゲノム編集系は、CRISPRベースの系である。いくつかの実施形態では、キットまたは組成物のCRISPRベースの系は、CRISPR-Cas系またはCRISPR-Cpf系である。
【0077】
いくつかの実施形態では、キットまたは組成物のCRISPRベースの系は、CRISPR-Cas系であり、CRISPR-Cas系は:(a)以下を含む少なくとも1つのガイドRNAエレメントを含み:(i)1つ以上の標的ゲノム領域のヌクレオチド配列に実質的に相補的なヌクレオチド配列を含むターゲッターRNA、またはそのターゲッターRNAをコードするヌクレオチド配列(複数可)を含む核酸;(ii)及びターゲッターRNAとハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列を含むアクチベーターRNA、またはそのアクチベーターRNAをコードするヌクレオチド配列(複数可)を含む核酸;ならびに(b)Casタンパク質を含むCasタンパク質エレメント、またはそのCasタンパク質をコードするヌクレオチド配列(複数可)を有する核酸を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、キットまたは組成物のCasタンパク質はII型Cas9タンパク質である。いくつかの実施形態では、キットまたは組成物のCas9タンパク質は、SaCas9、SpCas9、SpCas9n、Cas9-HF、Cas9-H840A、FokI-dCas9、もしくはD10Aニッカーゼ、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0079】
いくつかの実施形態では、キットまたは組成物のCRISPRベースの系はCRISPR-Cpf系であり、CRISPR-Cpf系は:(a)1つ以上の標的ゲノム領域のヌクレオチド配列に実質的に相補的なヌクレオチド配列を含むターゲッターRNA、またはそのターゲッターRNAをコードするヌクレオチド配列(複数可)を含む核酸;及び(b)Cpfタンパク質を含むCpfタンパク質エレメント、またはCpfタンパク質をコードするヌクレオチド配列(複数可)を有する核酸を含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、キットまたは組成物のゲノム編集系を、1つ以上のベクターに含ませるかパッケージ化する。いくつかの実施形態では、1つ以上のベクターは、ウイルスベクター、プラスミド、またはssDNAから選択される。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴及び単純ヘルペスウイルスベクターからなる群から選択される。
【0081】
いくつかの実施形態では、キットまたは組成物の化合物は:
【化12】
、またはその薬学的に許容される塩である。
【0082】
いくつかの実施形態では、キットまたは組成物の化合物は、式(I)または式(II)の構造を有する化合物と、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、または安息香酸から選択される共結晶形成剤とを含む共結晶である。
【0083】
いくつかの実施形態では、キットまたは組成物の化合物は、以下を含む共結晶である:(a)化合物1または化合物2;及び(b)アジピン酸:
【化13】
【0084】
いくつかの実施形態では、キットまたは組成物の化合物は、以下を含む共結晶である:(a)化合物(1);及び(b)アジピン酸:
【化14】
、ここで、アジピン酸と化合物(1)のモル比は約2:1である。
【0085】
いくつかの実施形態では、キットまたは組成物の化合物は、以下を含む共結晶である:(a)化合物(2);及び(b)アジピン酸:
【化15】
、ここでアジピン酸と化合物(2)のモル比は約2:1である。
【0086】
本発明の他の特徴、目的、及び利点は、以下の詳細な説明において明らかである。しかしながら、詳細な説明は、本発明の実施形態及び態様を示してはいるが、単に例示としてのみ与えられており、限定するものではではないことを理解されたい。この詳細な説明から、本発明の範囲内の様々な変更及び修正が当業者には明らかなものとなるであろう。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
1つ以上の標的ゲノム領域の編集方法であって:
1つ以上の標的ゲノム領域を含む1つ以上の細胞に、ゲノム編集系及び構造式(I)または構造式(I’)で表される化合物:
【化28】

、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶であって;式中、
Xが、N、CR A5 であり;
A1 が、F、C 1-4 アルキル、C 3-5 シクロアルキル、OC 1-4 アルキル、OC 1-4 アルキル-C 3-5 シクロアルキル、NH 、NHC 1-4 アルキル、NHC 1-4 アルキル-C 3-5 シクロアルキル、またはC 0-4 アルキル-ヘテロシクリルであり、前記複素環式環構造が、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、またはモルホリニルから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子、最大3個の H原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC 1-2 アルキルで置換され;
各R A4 が、独立して、Hまたは Hであり;
A5 が、水素、F、C 1-4 アルキル、またはOC 1-4 アルキルであり、前記アルキルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子または最大3個の H原子で置換され;
B3 がC(O)NHC 1-4 アルキルであり、前記アルキルが、場合により、最大3個のF原子、最大3個の H原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC 1-2 アルキルで置換され;各R B4 が、独立して、水素、重水素、F、またはC 1-4 アルキルである、前記化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶を投与することを含み;そして
前記1つ以上の標的ゲノム領域を編集する、前記編集方法。
(項目2)
1つ以上の標的ゲノム領域におけるDNA切断の相同組換え修復(HDR)経路を介した修復方法であって:
1つ以上の標的ゲノム領域を含む1つ以上の細胞に、ゲノム編集系及び構造式(I)または構造式(I’)で表される化合物:
【化29】

、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶であって;式中、
Xが、N、CR A5 であり;
A1 が、F、C 1-4 アルキル、C 3-5 シクロアルキル、OC 1-4 アルキル、OC 1-4 アルキル-C 3-5 シクロアルキル、NH 、NHC 1-4 アルキル、NHC 1-4 アルキル-C 3-5 シクロアルキル、またはC 0-4 アルキル-ヘテロシクリルであり、前記複素環式環構造が、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、またはモルホリニルから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子、最大3個の H原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC 1-2 アルキルで置換され;
各R A4 が、独立して、Hまたは Hであり;
A5 が、水素、F、C 1-4 アルキル、またはOC 1-4 アルキルであり、前記アルキルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子または最大3個の H原子で置換され;
B3 がC(O)NHC 1-4 アルキルであり、前記アルキルが、場合により、最大3個のF原子、最大3個の H原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC 1-2 アルキルで置換され;各R B4 が、独立して、水素、重水素、F、またはC 1-4 アルキルである、前記化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶を投与することを含み;そして
前記ゲノム編集系が、前記標的ゲノム領域の核酸(複数可)と相互作用してDNA切断をもたらし、前記DNA切断を少なくとも部分的にHDR経路を介して修復する、前記修復方法。
(項目3)
1つ以上の標的ゲノム領域におけるDNA切断の非相同末端結合(NHEJ)経路を介した修復の阻害または抑制方法であって:
1つ以上の標的ゲノム領域を含む1つ以上の細胞に、ゲノム編集系及び構造式(I)または構造式(I’)で表される化合物:
【化30】

、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶であって;式中、
Xが、N、CR A5 であり;
A1 が、F、C 1-4 アルキル、C 3-5 シクロアルキル、OC 1-4 アルキル、OC 1-4 アルキル-C 3-5 シクロアルキル、NH 、NHC 1-4 アルキル、NHC 1-4 アルキル-C 3-5 シクロアルキル、またはC 0-4 アルキル-ヘテロシクリルであり、前記複素環式環構造が、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、またはモルホリニルから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子、最大3個の H原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC 1-2 アルキルで置換され;
各R A4 が、独立して、Hまたは Hであり;
A5 が、水素、F、C 1-4 アルキル、またはOC 1-4 アルキルであり、前記アルキルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子または最大3個の H原子で置換され;
B3 がC(O)NHC 1-4 アルキルであり、前記アルキルが、場合により、最大3個のF原子、最大3個の H原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC 1-2 アルキルで置換され;各R B4 が、独立して、水素、重水素、F、またはC 1-4 アルキルである、前記化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶を投与することを含み;そして
前記ゲノム編集系が、前記1つ以上の標的ゲノム領域の核酸(複数可)と相互作用してDNA切断を生じ、前記DNA切断のNHEJ経路を介した修復を阻害または抑制する、前記阻害または抑制方法。
(項目4)
1つ以上の遺伝子またはタンパク質の発現の改変方法であって:
1つ以上の標的ゲノム領域を含む1つ以上の細胞に、ゲノム編集系及び構造式(I)または構造式(I’)で表される化合物:
【化31】

、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶であって;式中、
Xが、N、CR A5 であり;
A1 が、F、C 1-4 アルキル、C 3-5 シクロアルキル、OC 1-4 アルキル、OC 1-4 アルキル-C 3-5 シクロアルキル、NH 、NHC 1-4 アルキル、NHC 1-4 アルキル-C 3-5 シクロアルキル、またはC 0-4 アルキル-ヘテロシクリルであり、前記複素環式環構造が、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、またはモルホリニルから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子、最大3個の H原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC 1-2 アルキルで置換され;
各R A4 が、独立して、Hまたは Hであり;
A5 が、水素、F、C 1-4 アルキル、またはOC 1-4 アルキルであり、前記アルキルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子または最大3個の H原子で置換され;
B3 がC(O)NHC 1-4 アルキルであり、前記アルキルが、場合により、最大3個のF原子、最大3個の H原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC 1-2 アルキルで置換され;各R B4 が、独立して、水素、重水素、F、またはC 1-4 アルキルである、前記化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶を投与することを含み;
前記ゲノム編集系が、標的遺伝子(複数可)の前記1つ以上の標的ゲノム領域の核酸(複数可)と相互作用し、前記1つ以上の標的ゲノム領域の編集をもたらし、前記編集が、前記標的遺伝子(複数可)に関連する下流遺伝子(複数可)及び/またはタンパク質(複数可)の発現を改変する、前記改変方法。
(項目5)
前記DNA切断が、DNA二本鎖切断(DSB)を含む、項目2~4のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
前記化合物が、式(I)または式(I’)の構造を有する化合物と、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、または安息香酸から選択される共結晶形成剤とを含む共結晶である、項目1~5のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
前記化合物が、構造式(II)、構造式(II’)、構造式(II’’)、または構造式(II’’’)、
【化32】

によって表されるか、
またはその薬学的に許容される塩もしくはそれらの共結晶であり、
式中、R 及びR のそれぞれが、水素または重水素である、項目1~5のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記化合物が、式(II)または式(II’)の構造を有する化合物;及びアジピン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸または安息香酸から選択される共結晶形成剤を含む共結晶である、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記1つ以上の細胞における前記標的ゲノム領域の編集効率が、他の点では同一であるが前記化合物の非存在下での細胞における効率に比べて高い、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記1つ以上の細胞における前記標的ゲノム領域での前記DNA切断のHDR経路を介した前記修復の効率を、他の点では同一であるが前記化合物の非存在下での細胞における効率に比べて増加させる、項目2に記載の方法。
(項目11)
前記1つ以上の細胞における前記標的ゲノム領域での前記DNA切断のNHEJ経路を介した前記修復の阻害または抑制の効率を、他の点では同一であるが前記化合物の非存在下での細胞に比べて増加させる、項目3に記載の方法。
(項目12)
前記効率を、他の点では同一であるが前記化合物の非存在下での細胞における効率に比べて、少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、または100倍増加させる、項目9~11のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記効率を、標的ポリヌクレオチド組込みの頻度によって測定する、項目9~12のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
前記効率を、標的突然変異誘発の頻度によって測定する、項目9~12のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
前記標的突然変異誘発が、点突然変異、欠失、及び/または挿入を含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記標的遺伝子(複数可)に関連する下流遺伝子(複数可)及び/またはタンパク質(複数可)の発現を、前記投与前の前記1つ以上の細胞におけるベースライン発現レベルに比べて増加させる、項目4に記載の方法。
(項目17)
前記発現を、前記投与前の前記1つ以上の細胞におけるベースライン発現レベルに比べて、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、または10倍増加させる、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記標的遺伝子(複数可)に関連する下流遺伝子(複数可)及び/またはタンパク質(複数可)の発現を、前記投与前の前記1つ以上の細胞におけるベースライン発現レベルに比べて減少させる、項目4に記載の方法。
(項目19)
前記遺伝子発現を、前記投与前の前記1つ以上の細胞におけるベースライン発現レベルに比べて、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%減少させる、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記標的遺伝子(複数可)に関連する下流遺伝子(複数可)及び/またはタンパク質(複数可)の発現を、前記1つ以上の細胞において実質的に排除する、項目4に記載の方法。
(項目21)
前記細胞を、S細胞周期またはG2細胞周期の段階で同期させる、項目1~20のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記化合物を投与または接触させる前記1つ以上の細胞の生存期間を、前記化合物を投与または接触させなかった1つ以上の細胞に比べて延長させる、項目1~21のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記ゲノム編集系及び前記化合物を、前記1つ以上の細胞に同時に投与する、項目1~22のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記ゲノム編集系及び前記化合物を、前記1つ以上の細胞に順次投与する、項目1~22のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記ゲノム編集系を、前記化合物に先行して前記1つ以上の細胞に投与する、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記化合物を、前記ゲノム編集系に先行して前記1つ以上の細胞に投与する、項目24に記載の方法。
(項目27)
前記1つ以上の細胞が培養細胞である、項目1~26のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
前記1つ以上の細胞が、生物内のin vivo細胞である、項目1~26のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
前記1つ以上の細胞が、生物由来のex vivo細胞である、項目1~26のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
前記生物が哺乳類である、項目27または28に記載の方法。
(項目31)
前記生物がヒトである、項目27または28に記載の方法。
(項目32)
前記ゲノム編集系及び前記化合物を、同じ経路を介して投与する、項目1~31のいずれか一項に記載の方法。
(項目33)
前記ゲノム編集系及び前記化合物を、異なる経路を介して投与する、項目1~31のいずれか一項に記載の方法。
(項目34)
前記ゲノム編集系を静脈内投与し、前記化合物を経口投与する、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記ゲノム編集系が、メガヌクレアーゼベースの系、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)ベースの系、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)系、CRISPRベースの系、またはNgAgoベースの系から選択される、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目36)
前記ゲノム編集系が、CRISPRベースの系である、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記CRISPRベースの系が、CRISPR-Cas系またはCRISPR-Cpf系である、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記CRISPRベースの系が、CRISPR-Cas系であり、前記CRISPR-Cas系が:(a)以下を含む少なくとも1つのガイドRNAエレメントを含み:(i)前記1つ以上の標的ゲノム領域のヌクレオチド配列に実質的に相補的なヌクレオチド配列を含むターゲッターRNA、または前記ターゲッターRNAをコードするヌクレオチド配列(複数可)を含む核酸;(ii)及び前記ターゲッターRNAとハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列を含むアクチベーターRNA、または前記アクチベーターRNAをコードするヌクレオチド配列(複数可)を含む核酸;ならびに(b)Casタンパク質を含むCasタンパク質エレメント、または前記Casタンパク質をコードするヌクレオチド配列(複数可)を有する核酸を含む、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記ターゲッターRNA及びアクチベーターRNAを、単一分子として融合させる、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記Casタンパク質がII型Cas9タンパク質である、項目38に記載の方法。
(項目41)
前記Cas9タンパク質が、SaCas9、SpCas9、SpCas9n、Cas9-HF、Cas9-H840A、FokI-dCas9、もしくはD10Aニッカーゼ、またはそれらの任意の組み合わせである、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記CRISPRベースの系が、CRISPR-Cpf系であり、前記CRISPR-Cpf系が:(a)少なくとも1つのガイドRNAエレメント、または前記ガイドRNAエレメントをコードするヌクレオチド配列(複数可)を有する核酸を含み、前記ガイドRNAが、前記1つ以上の標的ゲノム領域のヌクレオチド配列に実質的に相補的なヌクレオチド配列を有するターゲッターRNAを含み;及び(b)Cpfタンパク質を含むCpfタンパク質エレメント、または前記Cpfタンパク質をコードするヌクレオチド配列を有する核酸を含む、項目40に記載の方法。
(項目43)
前記ゲノム編集系を、1つ以上のベクターによって送達する、項目1~42のいずれか一項に記載の方法。
(項目44)
前記1つ以上のベクターが、ウイルスベクター、プラスミド、またはssDNAから選択される、項目43に記載の方法。
(項目45)
前記ウイルスベクターが、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター及び単純ヘルペスウイルスベクターからなる群から選択される、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記ゲノム編集系を、合成RNAによって送達する、項目1~45のいずれか一項に記載の方法。
(項目47)
前記ゲノム編集系を、ナノ製剤によって送達する、項目1~45のいずれか一項に記載の方法。
(項目48)
前記化合物が:
【化33】

、またはその薬学的に許容される塩である、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目49)
前記化合物が:(a)化合物1または化合物2;及び(b)アジピン酸を含む共結晶である、先行項目のいずれか一項に記載の方法:
【化34】


(項目50)
前記化合物が、(a)化合物(1);及び(b)アジピン酸を含む共結晶であり:
【化35】

、アジピン酸と化合物(1)とのモル比が約2:1である、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目51)
前記化合物が、(a)化合物(2);及び(b)アジピン酸を含む共結晶であり:
【化36】

、アジピン酸と化合物(2)とのモル比が約2:1である、先行項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目52)
1つ以上の標的ゲノム領域を編集するためのキットまたは組成物であって:
ゲノム編集系;及び
構造式(I)または構造式(I’)で表される化合物:
【化37】

、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶であって;式中、
Xが、N、CR A5 であり;
A1 が、F、C 1-4 アルキル、C 3-5 シクロアルキル、OC 1-4 アルキル、OC 1-4 アルキル-C 3-5 シクロアルキル、NH 、NHC 1-4 アルキル、NHC 1-4 アルキル-C 3-5 シクロアルキル、またはC 0-4 アルキル-ヘテロシクリルであり、前記複素環式環構造が、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、またはモルホリニルから選択され、前記アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子、最大3個の H原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC 1-2 アルキルで置換され;
各R A4 が、独立して、Hまたは Hであり;
A5 が、水素、F、C 1-4 アルキル、またはOC 1-4 アルキルであり、前記アルキルのそれぞれが、場合により、最大3個のF原子または最大3個の H原子で置換され;
B3 がC(O)NHC 1-4 アルキルであり、前記アルキルが、場合により、最大3個のF原子、最大3個の H原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC 1-2 アルキルで置換され;各R B4 が、独立して、水素、重水素、F、またはC 1-4 アルキルである、前記化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶を含む、前記キットまたは組成物。
(項目53)
前記化合物が、構造式(II)、構造式(II’)、構造式(II’’)、または構造式(II’’’):
【化38】

で表されるか、
またはその薬学的に許容される塩またはその共結晶であり、
式中、R 及びR のそれぞれが、水素または重水素である、項目52に記載のキットまたは組成物。
(項目54)
前記ゲノム編集系が、メガヌクレアーゼベースの系、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)ベースの系、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)系、CRISPRベースの系、またはNgAgoベースの系である、項目52または53に記載のキットまたは組成物。
(項目55)
前記ゲノム編集系が、CRISPRベースの系である、項目54に記載のキットまたは組成物。
(項目56)
前記CRISPRベースの系が、CRISPR-Cas系またはCRISPR-Cpf系である、項目55に記載のキットまたは組成物。
(項目57)
前記CRISPRベースの系がCRISPR-Cas系であり、前記CRISPR-Cas系が:(a)以下を含む少なくとも1つのガイドRNAエレメントを含み:(i)前記1つ以上の標的ゲノム領域のヌクレオチド配列に実質的に相補的なヌクレオチド配列を有するターゲッターRNA、または前記ターゲッターRNAをコードするヌクレオチド配列(複数可)を有する核酸;(ii)及び前記ターゲッターRNAとハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列を有するアクチベーターRNA、または前記アクチベーターRNAをコードするヌクレオチド配列(複数可)を含む核酸;ならびに(b)Casタンパク質を含むCasタンパク質エレメント、または前記Casタンパク質をコードするヌクレオチド配列(複数可)を有する核酸を含む、項目56に記載のキットまたは組成物。
(項目58)
前記Casタンパク質がII型Cas9タンパク質である、項目57に記載のキットまたは組成物。
(項目59)
前記Cas9タンパク質が、SaCas9、SpCas9、SpCas9n、Cas9-HF、Cas9-H840A、FokI-dCas9、もしくはD10Aニッカーゼ、またはそれらの任意の組み合わせである、項目57に記載のキットまたは組成物。
(項目60)
前記CRISPRベースの系がCRISPR-Cpf系であり、前記CRISPR-Cpf系が:(a)前記1つ以上の標的ゲノム領域のヌクレオチド配列に実質的に相補的なヌクレオチド配列を有するターゲッターRNA、または前記ターゲッターRNAをコードするヌクレオチド配列(複数可)を有する核酸;及び(b)Cpfタンパク質を含むCpfタンパク質エレメント、または前記Cpfタンパク質をコードするヌクレオチド配列(複数可)を有する核酸を含む、項目57に記載のキットまたは組成物。
(項目61)
前記ゲノム編集系を、1つ以上のベクターに含めるか、またはパッケージングする、項目56~60のいずれか一項に記載のキットまたは組成物。
(項目62)
前記1つ以上のベクターが、ウイルスベクター、プラスミド、またはssDNAから選択される、項目61に記載のキットまたは組成物。
(項目63)
前記ウイルスベクターが、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター及び単純ヘルペスウイルスベクターからなる群から選択される、項目62に記載のキットまたは組成物。
(項目64)
前記化合物が:
【化39】

、またはその薬学的に許容される塩である、項目53~63のいずれか一項に記載のキットまたは組成物。
(項目65)
前記化合物が、式(I)または式(II)の構造を有する化合物とアジピン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、または安息香酸から選択される共結晶形成剤とを含む共結晶である、項目53~64のいずれか一項に記載のキットまたは組成物。
(項目66)
前記化合物が:(a)化合物1または化合物2;及び(b)アジピン酸を含む共結晶である、項目53~64のいずれか一項に記載のキットまたは組成物:
【化40】


(項目67)
前記化合物が、(a)化合物(1);及び(b)アジピン酸を含む共結晶であり:
【化41】

、アジピン酸と化合物(1)とのモル比が約2:1である、項目53~64のいずれか一項に記載のキットまたは組成物。
(項目68)
前記化合物が、(a)化合物(2);及び(b)アジピン酸を含む共結晶であり:
【化42】

、アジピン酸と化合物(2)とのモル比が約2:1である、項目53~64のいずれか一項に記載のキットまたは組成物。
(項目69)
前記化合物が、化合物3、
【化43】

、またはその薬学的に許容される塩である、項目53~64のいずれか一項に記載のキットまたは組成物。
【図面の簡単な説明】
【0087】
図1A】HDR効率をモニタリングするために用いるトラフィックライトレポーターアッセイの使用に関する一連の概略図である。ヒトAAVS1遺伝子座(SBI)を標的とするバイシストロン性構築物の設計を示す。
図1B】HDR効率をモニタリングするために用いるトラフィックライトレポーターアッセイの使用に関する一連の概略図及び配列である。HDR効率をモニタリングするためのトラフィックライトレポーターアッセイに用いる細胞株、及び標的ポリヌクレオチド領域を示す。
図1C】HDR効率をモニタリングするために用いるトラフィックライトレポーターアッセイの使用に関する一連の概略図である。HDR効率をモニタリングするためのトラフィックライトレポーターアッセイに用いる実験的ワークフローの概略図である。
図2A】蛍光標識細胞分取フローサイトメトリー(FACS)によって定量した場合に、DNAPK阻害剤化合物1がHEK293-EGIP細胞株におけるHDR修復経路の効率を増強したことを示す一連のグラフである。ヌクレオフェクション後のHEK293-EGIPの一連の代表的なFACSドットプロットグラフである。FACSドットプロットグラフは、以下の条件を示す:二重発現gRNA-Cas9のみのヌクレオフェクション、ドナー修復テンプレート存在下での二重発現gRNA-Cas9のヌクレオフェクション、ドナーテンプレート存在下での二重発現gRNA-Cas9のヌクレオフェクション及び小分子DNAPK阻害剤化合物1存在下での培養、ならびにドナー修復テンプレート存在下でのgRNA-Cas9によるヌクレオフェクション及び推定リガーゼIV阻害剤Scr7存在下での細胞の培養。データは、NHEJ阻害剤化合物1及びScr7存在下でのドナー修復テンプレートベクター及びgRNA-Cas9発現プラスミドの形質移入によるGFP陽性細胞の増加を示した。
図2B】蛍光標識細胞分取フローサイトメトリー(FACS)によって定量した場合に、DNAPK阻害剤化合物1がHEK293-EGIP細胞株におけるHDR修復経路の効率を増強したことを示す一連のグラフである。NHEJ阻害剤化合物1及びScr7存在下でのドナー修復テンプレートベクター及びgRNA-Cas9発現プラスミドの形質移入後のHDRの増強の定量化を示す棒グラフである。
図2C】蛍光標識細胞分取フローサイトメトリー(FACS)によって定量した場合に、DNAPK阻害剤化合物1がHEK293-EGIP細胞株におけるHDR修復経路の効率を増強したことを示す一連のグラフである。化合物非存在下でのgRNA-Cas9+ドナーテンプレートを用いた形質移入について得られた値に比べて、HDR増強において数倍の増加が示されたHDR値を示す棒グラフである。
図3】ドナーテンプレート及びCas9-sgRNAでヌクレオフェクトし、Scr7または化合物1のいずれかと接触させたHEK-293 EGIP細胞におけるHDR効率のPCRベースの定量化を示すグラフである。
図4】選択試薬のヌクレオフェクション及び特定の細胞培養条件の後でのGFP+ HEK-EGIP細胞によって示す、HDR効率を示す一連のフローサイトメトリードットプロットである。FACSドットプロットグラフは、以下の条件を示す:二重発現gRNA-Cas9のみのヌクレオフェクション、ドナー修復テンプレート存在下での二重発現gRNA-Cas9のヌクレオフェクション、ドナーテンプレート存在下での二重発現gRNA-Cas9のヌクレオフェクション及び小分子DNAPK阻害剤化合物3存在下での培養、ならびにドナー修復テンプレート存在下でのgRNA-Cas9によるヌクレオフェクション及び10μMのScr7存在下での細胞の培養、ならびにドナー修復テンプレート存在下でのgRNA-Cas9によるヌクレオフェクション及び10μMのNu7026存在下での細胞の培養。データは、NHEJ阻害剤化合物3の存在下でのドナー修復テンプレートベクター及びgRNA-Cas9発現プラスミドのトランスフェクションにおいて、gRNA-Cas9のみの条件に比べて、GFP陽性細胞がおよそ4倍増加したことを示した。
図5】ドナー修復テンプレート及びCas9タンパク質の存在下または非存在下でgRNAを用いてヌクレオフェクトしたHuh7細胞から単離した増幅SerpinA1遺伝子由来のゲルであり、ここではドナー修復テンプレートを用いてKpnエンドヌクレアーゼ部位を導入した。ヌクレオフェクトした細胞を、DNAPK阻害剤、化合物1、またはDMSOのいずれかの存在下で3日間培養した後、ゲノムDNAのPCRを行い、続いてKpn1で消化した。データは、化合物1が、DMSO条件、または対照のドナー修復テンプレートなしの条件との比較において、遺伝子編集を可能にしたことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0088】
詳細な説明
他に定義されない限り、本開示に関連して使用する科学技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。一般的に、本明細書に記載する細胞及び組織培養、分子生物学、ならびにタンパク質及びオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの化学的性質ならびにハイブリダイゼーションに関連して利用する命名法、ならびに技法は、当技術分野で一般的に使用されるものである。組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、ならびに組織培養及び形質転換(例えば、電気穿孔法、リポフェクション)に対して、標準的な技術を使用する。酵素反応及び精製技術は、製造元の仕様書に従って、または当技術分野において一般的に達成されているように、または本明細書に記載のように実施する。前述の技術及び手順は、一般的に、当技術分野において周知であり、本開示を通して引用及び検討する様々な一般的及びより具体的な参考文献に記載されているような従来の方法に従って実施する。例えば、Sambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989))参照。本明細書に記載する分析化学、合成有機化学、ならびに医薬及び製薬化学に関連して利用する命名法、ならびにそれらの実験室手順及び技法は、当技術分野において周知であり、一般的に使用されているものである。化学合成、化学分析、医薬調製、製剤化、及び送達、ならびに患者の治療に対して、標準的な技術を用いる。一般的に、化学元素は、元素周期律表、CAS版、及びHandbook of Chemistry and Physics,75th Ed.1994に準拠して同定する。さらに、有機化学の一般原理は、“Organic Chemistry,”Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999、及び“March’s Advanced Organic Chemistry,”5th Ed.,Smith,M.B.and March,J.,eds.John Wiley & Sons,New York:2001に記載されており、その全内容を参照により本明細書に援用する。本開示に従って利用する場合、本開示において定義する用語は、他に示されない限り、本明細書において定義するような意味を有するものと理解すべきである。
【0089】
いくつかの実施形態では、本開示は、例えば突然変異を修正することによって標的ゲノムを編集するための方法、組成物及びキットを提供する。そのような方法、組成物及びキットは、DNAPK阻害剤の使用によってゲノム編集効率を高めることができる。
【0090】
ゲノム編集系は、ゲノム内の所望の遺伝子座(すなわち標的ゲノム領域)でDSB(複数可)などのDNA切断(複数可)を刺激または誘導することができる。DNA切断の生成により、エラーを起こしやすいNHEJ経路またはエラーを伴わないHDR経路のいずれかを介した、細胞内酵素による切断部位の修復が促進される。NHEJでは、DNA損傷は、Ku70/80ヘテロ二量体及びDNA依存性プロテインキナーゼ(DNAPK)酵素が関与する一連の酵素プロセスにおいてDNA切断の両端を融合することによって修復される。修復機構は、2つのDNA末端の接合及びアラインメント、切除、伸長及び連結を含み(Rouet et al.;Dexheimer T.DNA repair pathways and mechanisms.In:Mathews L,Cabarcas S,Hurt E,editors.DNA repair of cancer stem cells.Dordrecht:Springer;2013.p.19-32.)、これらは切断部位に小さな挿入または欠失変異(インデル)を形成する。遺伝子のコード配列に導入されたインデルは、未成熟終止コドンまたはフレームシフト突然変異のいずれかを引き起こす可能性があり、これは機能しないトランケート型タンパク質の産生をもたらす。HDR経路のメカニズムはあまり理解されておらず、これには、塩基挿入または遺伝子置換のためのドナー修復テンプレートによる鎖侵入を刺激するRad51のような異なるセットの修復タンパク質が関与している。したがって、HDRは、外来性DNAテンプレートを導入してゲノム内において所望のDNA編集結果を得ることを可能にするとともに、翻訳疾患モデリング、及び遺伝子機能を回復するための治療的ゲノム編集のための強力な戦略であり得る。
【0091】
2つのDNA修復経路のうち、NHEJははるかに高い頻度で起こり、ニューロンにおいてさえ、70%を超える効率の報告が達成され得る(Swiech et al.,“In vivo interrogation of gene function in the mammalian brain using CRISPR-Cas9,”[Nat Biotechnol].2015 Jan;33(1):102-62014)。しかしながら、HDRによる遺伝子修正は、DNA複製が完了し、姉妹染色分体が修復鋳型として機能するために利用可能である場合に、非常に低い頻度でS期及びG2期の間に起こる(Heyer et al.,Regulation of homologous recombination in eukaryotes.Annual Review of Genetics 44:113-139,2010)。NHEJは細胞周期を通して競合し、S期及びG2期においてはHDRよりも選好されるため、HDR経路を介した標的挿入には依然として課題が残されており、継続的な研究の焦点である。
【0092】
DNAプロテインキナーゼ(DNAPK)は、様々なDNA修復プロセスにおいて役割を果たす。DNAPKは、非相同末端結合(NHEJ)経路の活性化を介してDNA二本鎖切断修復に関与する。NHEJは3つのステップを経て進行すると考えられている:DSBの認識、非連結末端または末端における他の形態の損傷を除去するためのDNAプロセシング、及び最終的なDNA末端の連結。DSBの認識は、不規則なDNA末端へのKuヘテロ二量体の結合と、それに続くDSBの隣接する側への2分子のDNA依存性プロテインキナーゼ触媒サブユニット(DNAPKcs)の動員によって行われ;これは、さらなるプロセシング酵素が補充されるまで、壊れた末端を保護するのに役立つ。最近のデータは、DNAPKcsがプロセシング酵素Artemis及び自身をリン酸化し、さらなるプロセシングのためにDNA末端を調製するという仮説を支持する。いくつかの場合では、連結ステップの前に新規末端を合成するためにDNAポリメラーゼが必要となる場合がある。DNAPKcsの自己リン酸化は、立体構造変化を誘導し、中央のDNA結合キャビティを開き、DNAPKcsをDNAから遊離させ、DNA末端の最終的な再連結を促進すると考えられている。
【0093】
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞内のCRISPRベースのHDRによる修復を含む、ゲノム編集系における、遺伝子編集を強化するための、特に、HDR経路を介したDNA切断(複数可)の修復効率、またはNHEJ経路を介したDNA切断(複数可)の修復の阻害もしくは抑制効率を高めるための方法、組成物、及びキットを提供する。特定の理論に縛られるわけではないが、細胞(複数可)に投与するゲノム編集系は、標的遺伝子の核酸(複数可)と相互作用し、結果的にDNA切断が生じるかまたはDNA切断を引き起こし;そのようなDNA切断は、いくつかの修復経路、例えばHDRによって修復され、また、細胞(複数可)に投与するDNAPK阻害剤は、NHEJ修復経路を阻害、遮断、または抑制し、そしてHDR DNA修復経路の頻度または効率を高めるか、または促進することができる。
【0094】
ゲノム編集系と標的遺伝子の核酸(複数可)との相互作用は、ゲノム編集系の少なくとも一部と標的遺伝子の核酸(複数可)とのハイブリダイゼーション、またはゲノム編集系による標的遺伝子の核酸(複数可)の他の任意の認識であり得る。いくつかの実施形態では、そのような相互作用は、タンパク質-DNA相互作用または塩基対間のハイブリダイゼーションである。
【0095】
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞(複数可)にゲノム編集系及びDNAPK阻害剤を投与することによる、細胞(複数可)内の1つ以上の標的ゲノム領域の編集方法を提供する。編集は同時にまたは順次行うことができる。1つ以上の標的ゲノム領域の編集には、任意の種類の遺伝子操作または細胞ゲノムの改変が含まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的ゲノム領域の編集には、細胞(複数可)内のゲノム領域の挿入、欠失、または置換が含まれ得る。ゲノム領域は、DNA、RNA、ポリヌクレオチド、及びオリゴヌクレオチドなどの細胞(複数可)内の遺伝物質を含む。細胞(複数可)内のゲノム領域はまた、細胞(複数可)内に含まれるミトコンドリアまたは葉緑体のゲノムも含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、挿入、欠失または置換は、コーディングもしくは非コーディングゲノム領域、イントロンもしくはエキソン領域、またはそれらの重複もしくは非重複セグメントを含むそれらの任意の組み合わせのいずれかに存在し得る。本明細書中で使用する場合、「非コード領域」とは、アミノ酸配列をコードしないゲノム領域を指す。例えば、非コード領域にはイントロンが含まれる。コード領域は、アミノ酸配列をコードするゲノム領域を指す。例えば、コード領域にはエキソンが含まれる。
【0097】
いくつかの実施形態では、1つ以上の標的ゲノム領域の編集は、細胞(複数可)のゲノム内の任意の1つ以上の標的領域で起こり得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的ゲノム領域の編集は、例えば、エキソン、イントロン、転写開始部位、プロモーター領域、エンハンサー領域、サイレンサー領域、インスレーター領域、抗リプレッサー、翻訳後調節エレメント、ポリアデニル化シグナル(例えば、最小ポリA)、保存領域、転写因子結合部位、またはそれらの任意の組み合わせにおいて起こり得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、DNAPK阻害剤及びゲノム編集系を細胞(複数可)に投与すると、DNAPK阻害剤及びゲノム編集系を細胞(複数可)に投与しない条件に比べて、標的ゲノム編集効率が向上する。いくつかの実施形態では、編集効率の向上は、DNAPK阻害剤及びゲノム編集系を細胞(複数可)に投与しない条件に比べて、または細胞(複数可)にゲノム編集系のみを投与し、DNAPK阻害剤を投与しない条件に比べて、約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、または100倍である。ゲノム編集の効率は、当技術分野において公知の任意の方法によって、例えば、標的ポリヌクレオチド組込みの頻度を確認する任意の方法によって、または標的突然変異誘発の頻度を測定することによって測定することができる。標的ポリヌクレオチド組込みはまた、ゲノム、染色体、または細胞クロマチン中の目的の領域における配列の改変または置換をもたらし得る。標的化ポリヌクレオチド組込みは、点突然変異(すなわち単一の塩基対の異なる塩基対への変換)、置換(すなわち複数の塩基対の同一の長さの異なる配列への変換)、1つ以上の塩基対の挿入、1つ以上の塩基対の欠失、及び前述の配列改変の任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない標的化突然変異をもたらし得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、細胞(複数可)内の1つ以上の標的ゲノム領域の編集方法には、細胞(複数可)にゲノム編集系及びDNAPK阻害剤を投与することが含まれる。いくつかの実施形態では、細胞(複数可)は、S細胞周期またはG2細胞周期の段階で同期している。S細胞周期またはG2細胞周期段階での細胞の同期は、当技術分野において公知の任意の方法によって達成することができる。非限定的な例として、S細胞周期またはG2細胞周期に細胞(複数可)を同期させるために使用することができる作用物質には、アフィジコリン、ジヒドロキシ尿素、ロバスタチン、ミモシン、ノコダゾール、チミジン、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる(Lin et al.“Enhanced homology-directed human genome engineering by controlled timing of CRISPR/Cas9 delivery,”[Elife].2014 Dec 15;3参照)。いくつかの実施形態では、細胞同期用の作用物質は、遺伝子編集プロセス中の任意の時点で投与することができる。いくつかの実施形態では、細胞(複数可)にゲノム編集系及び/またはDNAPK阻害剤を投与する前、最中、または後に、細胞(複数可)を細胞周期のS期またはG2期に同期させることができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、細胞(複数可)にゲノム編集系及びDNAPK阻害剤を投与することによる、細胞(複数可)内の1つ以上の標的ゲノム領域の編集方法は、ゲノム編集系及びDNAPK阻害剤を細胞(複数可)に投与しなかった条件に比べて、または遺伝子編集系のみを細胞(複数可)に接触させるか、もしくは投与し、DNAPK阻害剤を投与しない条件に比べて、細胞生存を高める。
【0101】
いくつかの実施形態では、本明細書において、1つ以上の標的ゲノム領域内のDNA切断のHDR経路を介した修復方法を提供する。細胞(複数可)にゲノム編集系及びDNAPK阻害剤を投与すると、ゲノムの標的領域のDNA切断が起こり、その後DNA切断は少なくとも部分的にHDR経路によって修復される。これらの方法は、1つ以上の標的ゲノム領域におけるHDRを介した修復(例えばHDR経路)の量の増加をもたらし、その結果、細胞(複数可)にDNAPK阻害剤及びゲノム編集系を投与しない条件に比べて、より高い効率でのHDRを介した修復をもたらす。いくつかの実施形態では、DNA切断のHDR経路を介した修復の効率は、細胞(複数可)にDNAPK阻害剤及びゲノム編集系を投与しない条件に比べて、または細胞(複数可)にゲノム編集系のみを投与し、DNAPK阻害剤を投与しない条件に比べて、約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、または100倍である。HDR経路を介した修復の効率は、当技術分野で公知の任意の方法によって、例えば、標的ポリヌクレオチド組込みの頻度を確認することによって、または標的突然変異誘発の頻度を測定することによって、測定することができる。
【0102】
いくつかの実施形態では、本明細書の方法は、HDR経路の効率を高めることによるDNA切断の修復を提供する。
【0103】
HDR経路は、「標準的」または「代替的」であり得る。「HDR」(相同性指向性修復)とは、例えば、細胞(複数可)内の二本鎖切断またはDNAニックの修復中に起こる、DNA修復の特殊な形態を指す。二本鎖切断のHDRは一般的にヌクレオチド配列相同性に基づいており、「標的」分子(例えば二本鎖切断を受けたもの)の鋳型修復に「ドナー」分子を使用し、ドナーから標的への遺伝子情報の転移をもたらし得る。二本鎖切断の標準的HDRは、通常、BRCA2及びRAD51に基づいており、一般的にはdsDNAドナー分子を使用する。非標準的な、すなわち「代替の」HDRは、BRCA2、RAD51、及び/または機能的に関連する遺伝子によって抑制されるHDRメカニズムである。代替のHDRは、ssDNAまたはニックの入ったdsDNAドナー分子を使用する場合がある。例えば、WO2014172458参照。
【0104】
いくつかの実施形態では、細胞(複数可)へのゲノム編集系及びDNAPK阻害剤の投与による、1つ以上の標的ゲノム領域のDNA切断のHDR経路を介した修復方法は、ゲノム編集系及びDNAPK阻害剤を細胞(複数可)に投与しない条件に比べて、または遺伝子編集系のみを細胞に投与し、DNAPK阻害剤を投与しない条件に比べて、細胞生存を高める。
【0105】
いくつかの実施形態では、本明細書において、細胞(複数可)内の1つ以上の標的ゲノム領域におけるDNA切断のNHEJを介した修復の阻害または抑制方法を提供する。いくつかの実施形態では、DNA切断のNHEJを介した修復の阻害または抑制を、NHEJ経路を阻害または抑制することによって行う。NHEJ経路は、古典的(「標準的」)または代替のNHEJ経路(alt-NHEJ、すなわちマイクロホモロジー媒介末端結合(MMEJ))のいずれかであり得る。細胞(複数可)にゲノム編集系及びDNAPK阻害剤を投与することにより、細胞(複数可)内のNHEJ経路またはalt-NHEJ経路を抑制する。
【0106】
古典的なNHEJ修復経路は、二本鎖切断の末端が広範な相同性なしに連結されているDNA二本鎖切断修復経路である。古典的なNHEJ修復は、KU70/80ヘテロダイマー(KU)、XRCC4、リガーゼIV、及びDNAプロテインキナーゼ触媒サブユニット(DNAPKcs)を含むいくつかの因子を使用する。Alt-NHEJは、二本鎖切断を修復するための別の経路である。Alt-NHEJは、切断末端を連結する前の切断末端の整列中に5~25塩基対のマイクロ相同配列を使用する。Alt-NHEJは、KU70/80ヘテロダイマー(KU)、XRCC4、リガーゼIV、DNAプロテインキナーゼ触媒サブユニット(DNAPKcs)、RAD52、及びERCC1にはほとんど依存しない。Bennardo et al.,“Alternative-NHEJ is a Mechanistically Distinct Pathway of Mammalian Chromosome Break Repair,”[PLOS Genetics],June 27,2008参照。
【0107】
いくつかの実施形態では、細胞(複数可)へのゲノム編集系及びDNAPK阻害剤の投与を介したNHEJ経路の阻害または抑制による、細胞(複数可)内の1つ以上の標的ゲノム領域におけるDNA切断のNHEJを介した修復の阻害または抑制方法は、ゲノム編集系及びDNAPK阻害剤を受けていない細胞(複数可)に比べて、または細胞(複数可)がゲノム編集系を受け、DNAPK阻害剤を受けていない条件に比べて、DNA切断のNHEJ経路を介した修復の阻害もしくは抑制の効率を高める。いくつかの実施形態では、細胞(複数可)にDNAPK阻害剤及びゲノム編集系を接触させることによる、DNA切断のNHEJ経路を介した修復の阻害または抑制の効率の向上は、細胞(複数可)にDNAPK阻害剤及びゲノム編集系を投与しない条件に比べて、または細胞(複数可)にゲノム編集系のみを投与し、DNAPK阻害剤を投与しない条件に比べて、約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、または100倍である。DNA切断のNHEJ経路を介した修復の阻害または抑制効率は、当技術分野で公知の任意の方法によって、例えば、標的ポリヌクレオチド組込みの頻度を確認することによって、または標的突然変異誘発の頻度を測定することによって、測定することができる。
【0108】
いくつかの実施形態では、細胞(複数可)へのゲノム編集系及びDNAPK阻害剤の投与を介したNHEJ経路の阻害または抑制による、細胞(複数可)内の1つ以上の標的ゲノム領域におけるDNA切断のNHEJを介した修復の阻害または抑制方法は、細胞(複数可)にゲノム編集系及びDNAPK阻害剤を接触させなかったか、もしくは投与しなかった条件に比べて、または細胞(複数可)に遺伝子編集系のみを接触させるか、もしくは投与し、DNAPK阻害剤を投与しない条件に比べて、細胞生存を高める。
【0109】
DNA切断は、二本鎖切断(DSB)または2つの一本鎖切断(例えば、2箇所のDNAニック)であり得る。DSBは、平滑末端であるか、または5’または3’オーバーハングのいずれかを有する場合があり、鎖がそれぞれ大きく離れて切断される場合、オーバーハングは互いにアニールしたまま、1つのDSBではなく2つのニックとして存在し続ける。
【0110】
いくつかの実施形態では、本明細書において、細胞(複数可)へのゲノム編集系及びDNAPK阻害剤の投与による、1つ以上の遺伝子(標的遺伝子(複数可))及び/または対応するもしくは下流のタンパク質の発現の改変方法を提供する。いくつかの実施形態では、ゲノム編集系は、例えば、細胞(複数可)の標的遺伝子(複数可)の標的ゲノム領域(複数可)において、挿入、欠失、置換、修飾または破壊を生じさせ、その結果、標的遺伝子(複数可)の発現を改変することができる。いくつかの実施形態では、挿入、欠失、置換、修飾または破壊は、特定のタンパク質、またはタンパク質の群、または下流のタンパク質の標的化された発現をもたらし得る。いくつかの実施形態では、ゲノム編集系は、非コード領域またはコード領域に、挿入、欠失または置換を生成することができる。いくつかの実施形態では、ゲノム編集系は、プロモーター領域、エンハンサー領域、及び/またはエキソン、イントロン、転写開始部位、サイレンサー領域、インスレーター領域、抗リプレッサー、翻訳後調節エレメント、ポリアデニル化シグナル(例えば最小ポリA)、保存領域、転写因子結合部位、またはそれらの任意の組み合わせを含む任意の他の遺伝子調節エレメントにおいて、挿入、欠失、置換、修飾または破壊を生じさせることができる。いくつかの実施形態では、ゲノム編集系は、1つより多くの標的領域において、挿入、欠失、置換、修飾または破壊を同時にまたは順次生成することができる。いくつかの実施形態では、細胞(複数可)にゲノム編集系及びDNAPK阻害剤を投与することにより、細胞(複数可)において、標的化された遺伝子発現の改変が可能になる。そのような標的化された遺伝子発現の改変により、特定のタンパク質及びその下流のタンパク質の発現を誘導することができる。
【0111】
いくつかの実施形態では、下流の遺伝子及び/またはタンパク質の発現は、細胞(複数可)にDNAPK阻害剤及びゲノム編集系を投与しない条件に比べて、または細胞(複数可)にゲノム編集系のみを投与し、DNAPK阻害剤を投与しない条件に比べて、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、1、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、または10倍増加する。
【0112】
いくつかの実施形態では、下流の遺伝子及び/またはタンパク質の遺伝子発現は、細胞(複数可)にDNAPK阻害剤及びゲノム編集系を投与しない条件に比べて、または細胞(複数可)にゲノム編集系のみを投与し、DNAPK阻害剤を投与しない条件に比べて、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%低下する。
【0113】
本明細書における方法の細胞は、任意の細胞であり得る。いくつかの実施形態では、細胞は脊椎動物細胞である。いくつかの実施形態では、脊椎動物細胞は哺乳類細胞である。いくつかの実施形態では、脊椎動物細胞はヒト細胞である。
【0114】
細胞は、任意の発生段階にある任意の種類の細胞であり得る。いくつかの実施形態では、細胞は、分化細胞、全能性幹細胞、多能性幹細胞、胚性幹細胞、胚性生殖細胞、成体幹細胞、前駆細胞、人工多能性幹細胞、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。分化細胞は、組織内で特定の機能を果たす特殊化した細胞である。全能性幹細胞は、胚、胎児または成体由来の未分化細胞であり、長期間にわたって分裂することができ、生物の3つの胚葉のいずれかの任意の細胞型に分化する能力を有する。多能性幹細胞は、胚、胎児または成体由来の未分化細胞であり、長期間にわたって分裂することができ、胚体外組織または胎盤以外の生物の任意の細胞型に分化する能力を有する。胚性幹細胞は、胚の内部細胞塊に認められる未分化幹細胞であり、3つの胚葉のいずれかの任意の細胞型に分化できる能力を有する。胚性生殖細胞は、精子細胞または卵細胞などの生殖細胞を生じさせることができる胚性細胞である。成体幹細胞は、分化した組織に認められる未分化細胞であり、自己再生することができ、それが存在する組織の細胞のいずれかに分化することができる。前駆細胞または始原細胞は部分的に分化した細胞であり、一般的には1種類の細胞(例えば単能性細胞)にしか分化することができない。人工多能性幹細胞は、多能性幹細胞の一種であり、成体の分化細胞または部分的に分化した細胞から生成される。例えば、WO/2010/017562参照。
【0115】
本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上、明らかにそうでないと示されない限り、複数への言及を含む。例えば、用語「細胞」は、それらの混合物を含む複数の細胞を包含する。例えば、「1つ以上の細胞」と「細胞(複数可)」は、本明細書中では同じ意味で使用する。同様に、「1つ以上の標的ゲノム領域」と「標的ゲノム領域(複数可)」は、本明細書中では同じ意味で使用する。
【0116】
用語「およそ」及び「約」は、本明細書中では同じ意味で使用する。1つ以上の目的の値に適用する用語「およそ」または「約」は、言及する参照値と同様の値を指す。特定の実施形態では、用語「およそ」または「約」は、特に明記しない限り、または文脈から明らかな場合を除き、記載の参考値のいずれかの方向に(超えるまたは未満)、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ未満に収まる値の範囲を指す(そのような数が、可能な値の100%を超える場合を除く)。
【0117】
用語「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」、「核酸」及び「オリゴヌクレオチド」は、同じ意味で使用する。それらは、デオキシリボヌクレオチド(DNA)もしくはリボヌクレオチド(RNA)のいずれか、またはそれらの類似体の任意の長さのポリマー形態のヌクレオチドを指す。ポリヌクレオチドは、任意の三次元構造を有してもよく、既知または未知の任意の機能を果たし得る。以下は、ポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子または遺伝子断片のコード領域または非コード領域、連鎖分析から定義される遺伝子座(loci(locus))、エキソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分枝状ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離DNA、任意の配列の単離RNA、核酸プローブ、及びプライマー。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びヌクレオチド類似体などの1つ以上の修飾ヌクレオチドを含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーの組み立ての前または後に加えてもよい。ヌクレオチドの配列に、非ヌクレオチド成分を割り込ませてもよい。ポリヌクレオチドを、標識成分と複合体化することなどにより、重合後にさらに修飾してもよい。用語「ssDNA」は、一本鎖DNA分子を意味する。用語「ssODN」は、一本鎖オリゴデオキシヌクレオチドを意味する。
【0118】
本明細書中で言及する用語「天然ヌクレオチド」には、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドが含まれる。本明細書中で言及する用語「修飾ヌクレオチド」には、修飾または置換糖基などを有するヌクレオチドが含まれる。本明細書中で言及する用語「オリゴヌクレオチド結合」には、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレロエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホラニラデート、ホスホロンミデートなどのオリゴヌクレオチド結合が含まれる。所望ならば、オリゴヌクレオチドは検出用の標識を含むことができる。
【0119】
用語「合成RNA」とは、操作された、または非天然のRNAを指す。
【0120】
本明細書中で使用する場合、用語「野生型」は、当業者に理解されている技術用語であり、変異体またはバリアント形態とは区別される、天然に存在する生物、株、遺伝子または特徴の一般的な形態を意味する。
【0121】
用語「非天然」または「操作された」は同じ意味で使用し、人の手による関与を示す。核酸分子またはポリペプチドに言及する場合のこの用語は、核酸分子またはポリペプチドが、自然界において天然に関連し、天然に見出される少なくとも1つの他の成分を少なくとも実質的に含まないことを意味する。
【0122】
「相補性」とは、伝統的なワトソン-クリックまたは他の非伝統的なタイプのいずれかによって、核酸が別の核酸と水素結合(複数可)を形成する能力を指す。相補率は、第2の核酸配列と水素結合(例えば、ワトソン-クリック塩基対合)を形成することができる核酸分子中の残基の割合を示す(例えば、10個中、5、6、7、8、9、10個であれば、50%、60%、70%、80%、90%、及び100%の相補性)。「完全に相補的」とは、核酸配列のすべての隣接残基が第2の核酸配列中の同じ数の隣接残基と水素結合することを意味する。本明細書中で使用する「実質的に相補的」とは、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50残基、またはそれ以上のヌクレオチドの領域にわたる、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、もしくは100%の相補性の程度を指すか、またはストリンジェントな条件下でハイブリダイズする2つの核酸を指す。
【0123】
本明細書中で使用する場合、「発現」とは、DNAテンプレートからポリヌクレオチドが(mRNAまたは他のRNA転写産物などに)転写されるプロセス及び/または転写されたmRNAがその後ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質に翻訳されるプロセスを指す。転写産物及びコードされたポリペプチドを、まとめて「遺伝子産物」と称する場合がある。ポリヌクレオチドがゲノムDNAに由来する場合、発現には真核細胞におけるmRNAのスプライシングが含まれる場合がある。
【0124】
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は、本明細書中では同じ意味で使用し、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指す。ポリマーは、直鎖状または分枝状であってもよく、修飾アミノ酸を含んでもよく、非アミノ酸を割り込ませてもよい。この用語はまた、修飾アミノ酸ポリマー;例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識成分との複合体化などの任意の他の操作も包含する。本明細書中で使用する場合、用語「アミノ酸」は、グリシン及びDまたはL両方の光学異性体、ならびにアミノ酸類似体及びペプチド模倣物を含む天然及び/または非天然または合成アミノ酸を含む。
【0125】
用語「薬剤」は、本明細書中では、化合物、小分子、化合物の混合物、生物学的高分子、または生物学的材料から作られた抽出物を表すために使用する。
【0126】
用語「対象」、「個体」、及び「患者」は、本明細書中では同じ意味で使用し、哺乳類、またはヒトなどの脊椎動物を指す。哺乳類には、マウス、サル、ヒト、家畜、競技用動物、及びペットが含まれるがこれらに限定されない。
【0127】
本明細書中では、「治療」または「治療すること」または「緩和」または「改善」は、同じ意味で使用する。これらの用語は、治療的利益及び/または予防的利益を含むがこれらに限定されない、有益なまたは望ましい結果を得るためのアプローチを指す。治療上の利益とは、治療中の1つ以上の疾患、病態、または症状における任意の治療上適切な改善またはそれらに対する効果を意味する。予防的利益のために、特定の疾患、病態、もしくは症状を発症するリスクを有する対象に対して、または疾患、病態、もしくは症状をまだ明らかにし得ない場合であっても、疾患の生理学的症状の1つ以上を報告する対象に対して、組成物を投与してもよい。これらの用語はまた、哺乳類、例えばヒトにおける疾患の治療を意味し、これには:(a)疾患を阻害する、すなわちその発症を停止または予防するか;(b)疾患を軽減する、すなわち疾患状態の後退を引き起こすか、または(c)疾患を治癒することが含まれる。
【0128】
用語「有効量」または「治療有効量」とは、有益なまたは所望の結果をもたらすのに十分な薬剤の量を指す。治療有効量は:治療される対象及び疾患状態、対象の体重及び年齢、疾患状態の重症度、投与方法などの1つ以上に応じて変化させてもよく、当業者であればこれを容易に決定することができる。この用語はまた、本明細書中に記載する撮像方法のうちの任意の1つによる検出のための画像を提供するであろう用量に対しても適用される。特定の用量は:選択した特定の薬剤、従うべき投与計画、他の化合物と併用して投与するかどうか、投与のタイミング、撮像する組織、及びそれを運ぶ物理的送達系のうちの1つ以上に応じて変化させてもよい。
【0129】
本明細書中で使用する場合、「投与する」とは、ゲノム編集系及び/またはDNAPK阻害剤を細胞または対象に、接触させ、注射し、分配し、送達し、または塗布することを指す。いくつかの実施形態では、投与は、ゲノム編集系及び/またはDNAPK阻害剤を細胞(複数可)と接触させることである。いくつかの実施形態では、投与とは、ゲノム編集系及び/またはDNAPK阻害剤を細胞(複数可)に送達することである。いくつかの実施形態では、投与とは、ゲノム編集系及び/またはDNAPK阻害剤を細胞(複数可)に塗布することである。いくつかの実施形態では、投与とは、ゲノム編集系及び/またはDNAPK阻害剤を細胞(複数可)に注射することである。投与は、in vivo、ex vivo、またはin vitroで行うことができる。細胞(複数可)へのゲノム編集系及びDNAPK阻害剤の投与は、同時にまたは順次行うことができる。
【0130】
本明細書中で使用する病態または疾患に関して、用語「後天性」とは、胎児期以降に発症する障害または病状を意味し;出生時に存在する先天性疾患とは対照的である。先天性疾患は後天性疾患に先行し得る。
【0131】
用語「先天性」または「遺伝性」の病態または疾患は、出生時に対象に存在する、対象のゲノムに認められる遺伝的障害である。本明細書中で使用する「ゲノム」は、核内及び細胞質内のすべての遺伝物質を含み、さらにミトコンドリアゲノム及びリボソームゲノムをも含む。先天性または遺伝性は、対象の生涯のいつでも、例えば出生時や成体期に発現し得る。
【0132】
用語「遺伝的障害」または「遺伝的疾患」には、疾患を引き起こすかまたは引き起こし得る、対象のゲノムにおける遺伝性または後天性の突然変異が含まれる。
【0133】
用語「多型」または「遺伝的変異」とは、遺伝子座における遺伝子の異なる形態を意味する。
【0134】
「ウイルスベクター」は、in vivo、ex vivoまたはin vitroのいずれかで、宿主細胞に送達するポリヌクレオチドを含む、組換えにより産生したウイルスまたはウイルス粒子として定義される。ウイルスベクターの例として、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、アデノウイルスベクター、レンチウイルスベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、及びキメラウイルスベクターなどが挙げられる。遺伝子導入がレトロウイルスベクターを介するいくつかの実施形態では、ベクター構築物は、レトロウイルスゲノムまたはその一部を含むポリヌクレオチドを指す。
【0135】
本開示のいくつかの実施形態は、1つ以上のベクターを含むベクター系、またはベクターそれ自体に関する。ベクターは原核細胞または真核細胞におけるCRISPR転写産物(例えば核酸転写産物、タンパク質、または酵素)の発現用に設計することができる。例えば、CRISPR転写産物は、Escherichia coliなどの細菌細胞、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを使用)、酵母細胞、または哺乳類細胞で発現させることができる。
【0136】
細胞は、初代細胞、人工多能性幹細胞(iPSC)、胚性幹細胞(hESC)、成体幹細胞、始原細胞または細胞株であり得る。「初代細胞」は、生組織から直接採取し、増殖のためにin vitroに置かれた細胞である。初代細胞は、ほとんど集団倍加せず、in vitroでの集団倍加に対して有限の寿命を有する。「幹細胞」、「胚性幹細胞」、及び「人工多能性幹細胞」は、自己複製することができ、特殊な機能を有する異なるタイプの細胞に分化する可能性を有する未分化(unspecialized)及び未分化(undifferentiated)細胞である。「細胞株」には、無期限に増殖可能な1つの細胞型または同じ型の細胞のセットに由来する細胞培養物が含まれる。哺乳類細胞株の非限定的な例として、CD34細胞、293細胞、HEK細胞、CHO細胞、BHK細胞、CV-1細胞、Jurkat細胞、HeLa細胞、またはそれらの任意のバリアントを挙げることができる。
【0137】
いくつかの実施形態では、ベクターは、哺乳類発現ベクターを用いて哺乳類細胞内の1つ以上の配列の発現を駆動することができる。哺乳類発現ベクターの例として、pCDM8及びpMT2PCが挙げられる。哺乳類細胞において使用する場合、発現ベクターの制御機能は、一般的には1つ以上の調節エレメントによって提供される。例えば、一般的に使用するプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス、サルウイルス40、及び本明細書に開示し、当該分野で公知の他のものに由来する。他のプロモーターとして、例えば、EF1プロモーター、またはEF1αプロモーターを挙げることができる。原核細胞及び真核細胞の両方に対する他の適切な発現系については、例えば、Sambrook,et al.,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL.2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989の第16及び17章を参照されたい。
【0138】
本明細書中で使用する場合、用語「標識」または「標識した」とは、例えば、放射性標識アミノ酸の組み込みまたは標識アビジンによって検出され得るビオチニル部分のポリペプチドへの結合による、検出可能マーカーの組み込みを指す(例えば、蛍光マーカーを含むストレプトアビジン、または光学的または比色法によって検出することができる酵素活性)。特定の状況において、標識またはマーカーはまた治療的であり得る。ポリペプチド及び糖タンパク質を標識する様々な方法が当該分野で公知であり、それらを使用してもよい。ポリペプチドの標識の例として、以下が挙げられるがこれらに限定されない:放射性同位体すなわち放射性核種(例えば、H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光標識(例えば、FITC、ローダミン、ランタニド蛍光体)、酵素標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光、ビオチニル基、二次レポーターによって認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパーペア配列、二次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)。いくつかの実施形態では、標識を様々な長さのスペーサーアームによって結合し、潜在的な立体障害を低減する。本明細書中で使用する用語「医薬品または薬物」とは、患者に適切に投与する場合に所望の治療効果を誘導することができる化合物または組成物を指す。
【0139】
本明細書中で使用する場合、「実質的に純粋な」とは、対象種が、存在する優勢な種である(すなわち、モルベースでは、組成物中の他の個々の種よりも豊富である)ことを意味する。いくつかの実施形態では、実質的な精製画分は、対象種が、存在するすべての高分子種の少なくとも約50%(モル基準で)を構成する組成物である。
【0140】
一般的に、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在する全高分子種のうちの約80%を超える割合で含まれる。いくつかの実施形態では、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在する全高分子種の約85%、90%、95%、及び99%を超える割合で含まれる。いくつかの実施形態では、対象種を、本質的に均質になるまで精製し(汚染種は従来の検出方法によって組成物中に検出されない)、組成物は本質的に単一の高分子種からなる。
【0141】
遺伝子編集系
様々な種類のゲノム操作系を使用することができる。用語「ゲノム編集系」、「遺伝子編集系」などは、本明細書中では同じ意味で使用し、標的遺伝子またはその機能もしくは発現を編集する系または技術を指す。ゲノム編集系は、以下を含む:標的ゲノム領域(複数可)(または標的配列(複数可))の切断を可能にする少なくとも1つのエンドヌクレアーゼ成分;及びエンドヌクレアーゼ成分を標的ゲノム領域(複数可)にもたらすかまたは標的化する少なくとも1つのゲノム標的化エレメント。ゲノム標的化エレメントの例として、DNA結合ドメイン(例えば、ジンクフィンガーDNA結合タンパク質またはTALE DNA結合ドメイン)、ガイドRNAエレメント(例えば、CRISPRガイドRNA)、及びガイドDNAエレメント(例えば、NgAgoガイドDNA)が挙げられる。プログラム可能なゲノム標的化及びエンドヌクレアーゼエレメントは、特定のゲノム遺伝子座に二本鎖切断(DSB)などのDNA切断を導入することによって正確なゲノム編集を可能にする。DSBは、続いて、DSB部位への非相同末端結合(NHEJ)または相同性指向性修復(HDR)のいずれかのための内在性修復機構を動員し、ゲノム編集を媒介する。「エンドヌクレアーゼ成分」は、エンドヌクレアーゼ、またはそのようなエンドヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列(複数可)を有する核酸を含む。
【0142】
用語「エンドヌクレアーゼ」とは、DNAまたはRNA分子内の核酸間の結合の加水分解(切断)を触媒することができる任意の野生型、変異体、バリアント、または操作した酵素を指す。エンドヌクレアーゼは、DNAまたはRNA分子をその標的ゲノム領域で認識及び切断することができる。エンドヌクレアーゼの例として、ホーミングエンドヌクレアーゼ;FokIなどの制限酵素;操作されたジンクフィンガードメインとFokIなどの制限酵素の触媒ドメインとの融合から生じるキメラジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、Cas酵素、及びCpf酵素が挙げられる。化学的またはペプチド切断剤を、核酸のポリマーまたは特定の標的配列を認識する別のDNAのいずれかに複合体化し、それによって切断活性を特定の配列に標的化する化学エンドヌクレアーゼは、用語「エンドヌクレアーゼ」に含まれる。化学的エンドヌクレアーゼの例として、オルトフェナントロリンの複合体などの合成ヌクレアーゼ、DNA切断分子、及び三重鎖形成オリゴヌクレオチド(TFO)が挙げられる。
【0143】
「バリアント」とは、親タンパク質のアミノ酸配列中の少なくとも1つの残基を異なるアミノ酸で置換することによって得られる組換えタンパク質を意図する。
【0144】
いくつかの実施形態では、ZFN、TALEN及び/またはメガヌクレアーゼなどのエンドヌクレアーゼは、切断ドメイン及び/または切断ハーフドメインを含む。切断ドメインは、DNA結合ドメインに対して同種または異種であり得る。例えば、ジンクフィンガーDNA結合ドメイン及びヌクレアーゼ由来の切断ドメイン、またはメガヌクレアーゼDNA結合ドメイン及び異なるヌクレアーゼ由来の切断ドメインを使用することができる。異種切断ドメインは、任意のエンドヌクレアーゼまたはエキソヌクレアーゼから得ることができる。切断ドメインが由来し得る例示的なエンドヌクレアーゼとして、制限エンドヌクレアーゼ及びホーミングエンドヌクレアーゼが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、WO2013/130824参照。DNAを切断するさらなる酵素が知られている(例えば、S1ヌクレアーゼ;マングビーンヌクレアーゼ;膵臓DNaseI;小球菌ヌクレアーゼ;酵母HOエンドヌクレアーゼ;Linn et al.(eds.)Nucleases,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1993も参照されたい)。これらの酵素(またはその機能的断片)のうちの1つ以上は、切断ドメイン及び切断ハーフドメインの供給源として使用することができる。
【0145】
切断ハーフドメインは、上記のように任意のヌクレアーゼまたはその一部に由来する可能性があり、切断活性のために二量体化を必要とする。いくつかの実施形態では、融合タンパク質が切断ハーフドメインを含む場合、2つの融合タンパク質が切断に必要である。いくつかの実施形態では、2つの切断ハーフドメインを含む単一のタンパク質を使用することができる。いくつかの実施形態では、2つの切断ハーフドメインは、同じエンドヌクレアーゼ(またはその機能的断片)に由来し得る。いくつかの実施形態では、各切断ハーフドメインは、異なるエンドヌクレアーゼ(またはその機能的断片)に由来し得る。さらに、好ましくは、2つの融合タンパク質の、それらのそれぞれの標的部位への結合が、切断ハーフドメインを互いに対して空間定位に配置させ、それがハーフドメインの切断を可能にし、例えば二量体化によって機能的切断ドメインを形成するように、2つの融合タンパク質の標的部位を互いに対して配置する。したがって、特定の実施形態では、標的部位の近端は、5~50ヌクレオチド、5~8ヌクレオチドまたは15~18ヌクレオチド離れている。2つの標的部位の間に、任意の整数のヌクレオチドまたはヌクレオチド対が介在し得る(例えば、2~50ヌクレオチド対以上)。いくつかの実施形態では、切断部位は標的部位間にある。
【0146】
制限エンドヌクレアーゼ(制限酵素)は多くの種に存在し、DNAに(認識部位で)配列特異的に結合し、その結合部位またはその近傍でDNAを切断することができる。特定の制限酵素(例えばIIS型)は、認識部位から外れた部位でDNAを切断し、分離可能な結合ドメインと切断ドメインを有する。例えば、IIS型酵素FokIは、DNAの二本鎖切断を触媒する。例えば、米国特許第5,356,802号;第5,436,150号及び第5,487,994号;ならびにLi et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:4275-4279;Li et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2764-2768;Kim et al.(1994a)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:883-887;Kim et al.(1994b)J.Biol.Chem.269:31,978-31,982参照。
【0147】
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼ成分は、少なくとも1つのIIS型制限酵素由来の切断ドメイン(または切断ハーフドメイン)及び操作されたまたは操作されていない1つ以上のジンクフィンガー結合ドメインを有する融合タンパク質(複数可)を含む。切断ドメインが結合ドメインから分離可能である例示的なIIS型制限酵素は、Fok Iである。この特定の酵素は、二量体として活性である。Bitinaite et al.(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:10,570-10,575。そのような融合タンパク質に使用されるFokI酵素の部分は、切断ハーフドメインと考えられる。したがって、ジンクフィンガー-FokI融合体またはTALE-FokI融合体を使用する細胞配列の標的化二本鎖切断及び/または標的化置換のために、それぞれFokI切断ハーフドメインを含む2つの融合タンパク質を使用して、触媒活性切断ドメインを再構成することができる。あるいは、ジンクフィンガー結合ドメイン及び2つのFok I切断ハーフドメインを含む単一のポリペプチド分子もまた使用することができる。
【0148】
例示的なIIS型制限酵素は、国際出願公開WO07/014275に記載されており、その全体を本明細書に援用する。さらなる制限酵素もまた、分離可能な結合ドメイン及び切断ドメインを含み、これらは本開示で企図される。例えば、Roberts et al.(2003)Nucleic Acids Res.31:418-420参照。
【0149】
特定の実施形態では、切断ドメインは、例えば、米国特許出願公開第20050064474号及び第20060188987号及びWO2013/130824に記載されているように、ホモ二量体化を最小化または防止する1つ以上の操作された切断ハーフドメイン(二量体化ドメイン変異体とも呼ばれる)を含む。偏性ヘテロ二量体を形成するFokIの例示的な操作された切断ハーフドメインは、第1の切断ハーフドメインがFokIの490位及び538位のアミノ酸残基における突然変異を有し、第2の切断ハーフドメインが486位及び499位のアミノ酸残基に突然変異を有するペアを含む。例えば、米国特許公開第2008/0131962号及び第2011/0201055号参照。本明細書に記載の操作された切断ハーフドメインは、任意の適切な方法を用いて、例えば、米国特許公開第20050064474号及び第20080131962号に記載されるような野生型切断ハーフドメインの部位特異的突然変異誘発(FokI)によって調製することができる。
【0150】
用語「編集(edit)」、「編集(edits)」、「編集すること」などは、任意の種類の操作、変更、修飾または調節(各々の場合において、遺伝子ノックアウト、遺伝子標識、遺伝子破壊、遺伝子突然変異、遺伝子挿入、遺伝子欠失、遺伝子活性化、遺伝子サイレンシングまたは遺伝子ノックインによるものを含むがこれらに限定されない)を指す。
【0151】
本明細書中で使用する場合、「遺伝子改変」、「ゲノム編集」、「ゲノム改変」、「遺伝子改変」、及び「遺伝子編集」とは、細胞のヌクレオチドに対する、任意の遺伝子の付加、欠失、ノックアウト、ノックイン、標識、突然変異、活性化、サイレンシング、修飾、及び/または破壊を指す。本明細書中での細胞は、in vitro、in vivo、またはex vivoであり得る。
【0152】
「標的ゲノム領域」、「標的遺伝子」、「DNA標的」、「DNA標的配列」、「標的配列」、「標的ヌクレオチド配列」、「標的部位」、「標的」、「目的の部位」、「認識部位」、「ポリヌクレオチド認識部位」、「認識配列」、「切断部位」は、ゲノム編集系が認識し、切断するポリヌクレオチド配列を意図する。これらの用語は、特徴的なDNA位置、好ましくはゲノム位置を指し、その位置においてDNA切断(切断)がゲノム編集系によって誘導される。
【0153】
操作、変更、修飾及び調節を含む前述の編集は、同時にまたは順次行うことができる。当技術分野において公知の任意のゲノム編集系を使用することができる。いくつかの実施形態では、ゲノム編集系は、メガヌクレアーゼベースの系、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)ベースの系、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)系、CRISPRベースの系、またはNgAgoベースの系である。
【0154】
メガヌクレアーゼベース、ZFNベース及びTALENベースのそれぞれは、少なくとも1つのDNA結合ドメイン、またはDNA結合ドメインをコードする核酸配列(複数可)を有する核酸を含み、タンパク質-DNA相互作用を介して標的ゲノム領域(複数可)の特異的標的化または認識を達成する。CRISPRベースの系は、少なくとも1つのガイドRNAエレメントまたはガイドRNAエレメントをコードする核酸配列(複数可)を有する核酸を含み、標的ゲノム領域(複数可)のDNAとの直接的な塩基対を介して標的ゲノム領域(複数可)の特異的標的化または認識を達成する。NgAgoベースの系は、少なくとも1つのガイドDNAエレメント、またはガイドDNAエレメントをコードする核酸配列(複数可)を有する核酸を含み、標的ゲノム領域(複数可)のDNAとの直接的な塩基対を介して標的ゲノム領域(複数可)の特異的標的化または認識を達成する。
【0155】
いくつかの実施形態では、ゲノム編集系はメガヌクレアーゼベースの系である。メガヌクレアーゼベースの系は、大きな(>14bp)認識部位を有するエンドヌクレアーゼであるメガヌクレアーゼを使用し、そのDNA結合ドメインも標的配列の切断に関与する。メガヌクレアーゼのDNA結合ドメインは、12~45bpの二本鎖DNA標的配列を有し得る。いくつかの実施形態では、メガヌクレアーゼは、各メガヌクレアーゼドメインが単量体上にある二量体酵素、または単一のポリペプチド上の2つのドメインを含む単量体酵素のいずれかである。野生型メガヌクレアーゼだけでなく、様々なメガヌクレアーゼバリアントもタンパク質操作によって作製され、無数のユニークな配列の組み合わせが網羅された。いくつかの実施形態では、メガヌクレアーゼAの半分の部位及びプロテインBの半分の部位からなる認識部位を有するキメラメガヌクレアーゼもまた使用することができる。そのようなキメラメガヌクレアーゼの特定の例は、I-DmoI及びI-CreIのタンパク質ドメインを含む。メガヌクレアーゼの例として、LAGLIDADGファミリー由来のホーミングエンドヌクレアーゼが挙げられる。
【0156】
LAGLIDADGメガヌクレアーゼは、I-SceI、I-ChuI、I-CreI、I-CsmI、PI-SceI、PI-TliI、PI-MtuI、I-CeuI、I-SceII、I-SceIII、HO、PI-CivI、PI-CtrI、PI-AaeI、PI-BsuI、PI-DhaI、PI-DraI、PI-MavI、PI-MchI、PI-MfuI、PI-MflI、PI-MgaI、PI-MgoI、PI-MinI、PI-MkaI、PI-MleI、PI-MmaI、PI-MshI、PI-MsmI、PI-MthI、PI-MtuI、PI-MxeI、PI-NpuI、PI-PfuI、PI-RmaI、PI-SpbI、PI-SspI、PI-FacI、PI-MjaI、PI-PhoI、PI-TagI、PI-ThyI、PI-TkoI、PI-TspI、もしくはI-MsoI;または、ホモ二量体、ヘテロ二量体もしくは単量体であるかどうかにかかわらず、それらの機能的変異体もしくはバリアントであり得る。いくつかの実施形態では、LAGLIDADGメガヌクレアーゼはI-CreI誘導体である。いくつかの実施形態では、LAGLIDADGメガヌクレアーゼは、天然のI-CreI LAGLIDADGメガヌクレアーゼと少なくとも80%の類似性を共有する。いくつかの実施形態では、LAGLIDADGメガヌクレアーゼは天然のI-CreI LAGLIDADGメガヌクレアーゼの残基1~152と少なくとも80%の類似性を共有する。いくつかの実施形態では、LAGLIDADGメガヌクレアーゼは、天然のI-CreI LAGLIDADGメガヌクレアーゼの残基1~152と少なくとも80%の類似性を共有し、リンカーペプチドを含んでまたは含まずに一緒に連結された2つのモノマーからなり得る。
【0157】
「LAGLIDADGメガヌクレアーゼ」とは、Stoddard et al(Stoddard、2005)に定義されるようなLAGLIDADGファミリー由来のホーミングエンドヌクレアーゼ、または前記天然ホーミングエンドヌクレアーゼと、少なくとも80%、85%、90%、95%、97.5%、99%以上の同一性または類似性を共有するポリペプチドを含む操作されたバリアントを指す。そのような操作されたLAGLIDADGメガヌクレアーゼは、単量体または二量体メガヌクレアーゼに由来し得る。二量体メガヌクレアーゼに由来する場合、そのような操作されたLAGLIDADGメガヌクレアーゼは一本鎖または二量体エンドヌクレアーゼであり得る。
【0158】
「I-CreI」とは、pdbアクセッションコード1g9yの配列を有する天然の野生型I-CreIメガヌクレアーゼを意図する。
【0159】
メガヌクレアーゼのDNA認識及び切断機能は、一般的に単一ドメインに縒り合わされている。メガヌクレアーゼとは異なり、ZFNベース及びTALENベースの系のDNA結合ドメインは、切断機能に関してエンドヌクレアーゼとは異なる。ZFNベースの系は:少なくとも1つのジンクフィンガータンパク質もしくはそのバリアント、またはそのDNA結合ドメインとしてジンクフィナータンパク質もしくはそのバリアントをコードするヌクレオチド配列(複数可)を有する核酸;及びジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)またはFok1切断ドメインなどのエンドヌクレアーゼエレメントを含む。ジンクファインダータンパク質(ZFP)は、選択した標的部位に結合するようにそれが操作されているという点で非天然である。例えば、Beerli et al.(2002)Nature Biotechnol.20:135-141;Pabo et al.(2001)Ann.Rev.Biochem.70:313-340;Isalan ei al.(2001)Nature Biotechnol.19:656-660;Segal et al.(2001)Curr.Opin.Biotechnol.12:632-637;Choo et al.(2000)Curr.Opin.Struct Biol.10:411-416;米国特許第6,453,242号;第6,534,261号;第6,599,692号;第6,503,717号;第6,689,558号;第7,030,215号;第6,794,136号;第7,067,317号;第7,262,054号;第7,070,934号;第7,361,635号;第7,253,273号;及び米国特許公開第2005/0064474号;第2007/0218528号;第2005/0267061号参照。
【0160】
操作されたジンクフィンガー結合ドメインは、天然型ジンクフィンガータンパク質と比較して、新規の結合特異性を有し得る。改変方法として、合理的設計及び様々な種類の選択が挙げられるが、これらに限定されない。合理的設計には、例えば、三重鎖(または四重鎖)ヌクレオチド配列及び個々のジンクフィンガーアミノ酸配列を含むデータベースの使用が含まれ、各三重鎖または四重鎖ヌクレオチド配列は、特定の三重鎖または四重鎖配列に結合するジンクフィンガーの1つ以上のアミノ酸配列と関連する。例えば、参照によりその全体を本明細書に援用する、共有米国特許第6,453,242号及び第6,534,261号参照。
【0161】
様々な種類の選択方法を本明細書の方法と共に使用することができる。ファージディスプレイ及びツーハイブリッド系を含む例示的な選択方法は、米国特許第5,789,538号;第5,925,523号;第6,007,988号;第6,013,453号;第6,410,248号;第6,140,466号;第6,200,759号;及び第6,242,568号;ならびにWO98/37186;WO98/53057;WO00/27878;WO01/88197号及びGB2,338,237に開示されている。さらに、ジンクフィンガー結合ドメインに対する結合特異性の増強は、例えば、WO02/077227に記載されている。さらに、これら及び他の参考文献に開示されるように、ジンクフィンガードメイン及び/または多フィンガージンクフィンガータンパク質を、例えば、長さ5以上のアミノ酸のリンカーを含む、任意の適切なリンカー配列を使用して一緒に連結してもよい。長さが6以上のアミノ酸である例示的なリンカー配列については、米国特許第6,479,626号;第6,903,185号;及び第7,153,949号も参照されたい。本明細書に記載のタンパク質は、タンパク質の個々のジンクフィンガー間の適切なリンカーの任意の組み合わせを含み得る。標的サイトの選択;ZFP及び融合タンパク質(及びそれをコードするポリヌクレオチド)の設計及び構築方法は当業者に公知であり、米国特許第6,140,0815号;第789,538号;第6,453,242号;第6,534,261号;第5,925,523号;第6,007,988号;第6,013,453号;第6,200,759号;WO95/19431;WO96/06166;WO98/53057;WO98/54311;WO00/27878;WO01/60970;WO01/88197;WO02/099084;WO98/53058;WO98/53059;WO98/53060;WO02/016536及びWO03/016496に詳細に記載されている。
【0162】
さらに、これら及び他の参考文献に開示されているように、ジンクフィンガードメイン及び/またはマルチフィンガー型ジンクフィンガータンパク質を、例えば5以上の長さのアミノ酸のリンカーを含む任意の適切なリンカー配列を用いて一緒に連結してもよい。長さが6以上のアミノ酸である例示的なリンカー配列については、米国特許第6,479,626号;第6,903,185号;及び第7,153,949号も参照されたい。本明細書に記載のタンパク質は、タンパク質の個々のジンクフィンガー間の適切なリンカーの任意の組み合わせを含み得る。
【0163】
転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)系とは、1つ以上の転写活性化因子様エフェクター(TALE)-DNA結合ドメイン及びエンドヌクレアーゼエレメント、例えばFok1切断ドメインを使用するゲノム編集系を指す。TALE-DNA結合ドメインは、それぞれ長さ30~38(例えば、31、32、33、34、35、または36)のアミノ酸を有する1つ以上のTALE反復単位を含む。TALE-DNA結合ドメインは、全長TALEタンパク質もしくはその断片、またはそれらのバリアントを使用してもよい。TALE-DNA結合ドメインは、リンカーによってエンドヌクレアーゼドメインに融合または連結することができる。
【0164】
用語「CRISPRベースの系」、「CRISPRベースの遺伝子編集系」、「CRISPRゲノム編集」、「CRISPR遺伝子編集」、「CRISPRエンドヌクレアーゼベースのゲノム編集」などは、本明細書中では同じ意味で使用し、集合的に、1つ以上のガイドRNAエレメント;及び1つ以上のRNA誘導性エンドヌクレアーゼエレメントを含むゲノム編集系を指す。ガイドRNAエレメントは、1つ以上の標的ゲノム領域のヌクレオチド配列に実質的に相補的なヌクレオチド配列を有するターゲッターRNA、またはそのターゲッターRNAをコードするヌクレオチド配列(複数可)を有する核酸を含む。RNA誘導性エンドヌクレアーゼエレメントには、ガイドRNAエレメントによって標的ゲノム領域(複数可)に誘導またはもたらされるエンドヌクレアーゼ;またはそのようなエンドヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列(複数可)を有する核酸が含まれる。CRISPRベースの系を含む、そのようなCRISPRベースの遺伝子編集系の例は、CRISPR-Cas系またはCRISPR-Cpf系である。
【0165】
本明細書中で使用する場合、用語「ガイドRNAエレメント」、「ガイドRNA」、「gRNA」、「gRNA分子」、及び「合成ガイドRNA」は、同じ意味で使用し、標的核酸配列にハイブリダイズするターゲッターRNA、またはそのターゲッターRNAをコードするヌクレオチド配列(複数可)を有する核酸を含むポリヌクレオチド配列を指す。gRNAのターゲッターRNAは、標的ゲノム領域のヌクレオチド配列に実質的に相補的なヌクレオチド配列を有する標的化ドメインを含む。語句「実質的に相補的」とは、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、またはそれ以上のヌクレオチドの領域にわたって、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%である相補性の程度を意味するか、またはストリンジェントな条件下でハイブリダイズする2つの核酸を指す。
【0166】
ガイドRNAエレメントには、ターゲッターRNAとハイブリダイズすることができるアクチベーターRNA、またはアクチベーターRNAをコードするヌクレオチド配列(複数可)を有する核酸がさらに含まれ得る。アクチベーターRNAとターゲッターRNAは、別個であるか、またはリンカーループ配列を介して単一の核酸として融合し、単一のgRNA分子を形成することができる。gRNA分子は、いくつかのドメインを有してもよい。例えば、そのようなgRNAは、例えば5’から3’方向に:標的化ドメイン(これは標的核酸に相補的である);第1の相補性ドメイン;連結ドメイン;第2の相補性ドメイン(これは第1の相補性ドメインと相補的である);近位ドメイン;及び場合により、テールドメインを含む。WO2015048557参照。
【0167】
「第1の相補性ドメイン」は、第2の相補性ドメインと実質的な相補性を有し、少なくともいくつかの生理学的条件下で二重鎖領域を形成し得る。
【0168】
「連結ドメイン」は、単分子gRNAの第1の相補性ドメインと第2の相補性ドメインとを連結するのに役立つ。連結ドメインは、第1及び第2の相補性ドメインを共有結合または非共有結合で連結することができる。
【0169】
「近位ドメイン」は、3~25ヌクレオチド長、または5~20ヌクレオチド長であり得る。近位ドメインは、天然の近位ドメインと相同性を共有し得るか、またはそれに由来し得る。
【0170】
「テールドメイン」は、存在しないか、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10ヌクレオチド長であり得る。テールドメインは、互いに相補的であるとともに少なくともいくつかの生理学的条件下で二重鎖領域を形成する配列を有し得る。
【0171】
ガイドRNAエレメントを、CasエンドヌクレアーゼなどのRNAガイドエンドヌクレアーゼエレメントのエンドヌクレアーゼと複合体を形成させてもよい(「gRNA/ヌクレアーゼ複合体」)。gRNA/ヌクレアーゼ複合体の例は、CRISRベースの系に関して以下に記載するようなCRISPR複合体である。いくつかの実施形態では、CRISPR複合体には、ターゲッターRNAと複合体を形成するRNA誘導性エンドヌクレアーゼ系のエンドヌクレアーゼが含まれる。いくつかの実施形態では、CRISPR複合体には、ターゲッターRNA及びアクチベーターRNAと複合体を形成するRNA誘導性エンドヌクレアーゼ系のエンドヌクレアーゼが含まれる。
【0172】
ターゲッターRNAの標的化ドメインは、標的ヌクレオチド配列へのgRNA/ヌクレアーゼ複合体の特異的標的化またはホーミングを促進する。いくつかの実施形態では、標的化ドメインは10~30bp、例えば15~25bp、18~22bp、または20bpであり得る。
【0173】
標的ドメインの選択、設計、及び検証方法を含む、gRNAの設計方法は、当技術分野において公知である。例えば、WO2015048577、Mali et al.,2013 SCIENCE 339(6121):823-826;Hsu et al.,2013 NATBIOTECHNOL,31(9):827-32;Fu et al.,2014 NATBTOTECHNOL, doi:10.1038/nbt.2808.PubMed PMID:24463574;Heigwer et al.,2014 NAT METHODS 11 (2):122-3.doi:l 0.1038/nmeth.2812.PubMed PMID:24481216;Bae et al.,2014 BIOTNFORMATICS PubMed PMID:24463181;Xiao A et al.,2014 BIOINFORMATICS Pub Med PMID:24389662参照。
【0174】
いくつかの実施形態では、Cas酵素もしくはタンパク質(例えば、Type-II Cas 9タンパク質)またはCpf酵素もしくはタンパク質(例えば、Cpf1タンパク質)などのRNA誘導性エンドヌクレアーゼを使用することができる。いくつかの実施形態では、そのようなCasまたはCpf酵素またはタンパク質の改変型もまた、使用することができる。
【0175】
いくつかの実施形態では、CRISPRベースの系は、CRISPR-Cas系である。CRISPR-Cas系は:(a)少なくとも1つのガイドRNAエレメント、またはそのガイドRNAエレメントをコードするヌクレオチド配列(複数可)を有する核酸を含み、ガイドRNAエレメントは、1つ以上の標的ゲノム領域のヌクレオチド配列に実質的に相補的なヌクレオチド配列を有するターゲッターRNA、及びターゲッターRNAとハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列を有するアクチベーターRNAを含み;ならびに(b)Casタンパク質を含むCasタンパク質エレメント、またはCasタンパク質をコードするヌクレオチド配列を有する核酸を含む。ターゲッターRNA及びアクチベーターRNAは、別個であるか、または一緒に融合した単一のRNAであり得る。
【0176】
いくつかの実施形態では、CRISPRベースの系には、クラス1 CRISPR系及び/またはクラス2 CRISPR系が含まれる。クラス1系は、ターゲッターRNAとしてCRISPR RNA(crRNA)と共にいくつかのCasタンパク質を使用して機能的エンドヌクレアーゼを構築する。クラス2 CRISPR系は、単一のCasタンパク質、及びターゲッターRNAとしてcrRNAを使用する。II型Cas9ベースの系を含むクラス2 CRISPR系は、クラス1系によって使用されるマルチサブユニット複合体ではなく、切断を媒介するための単一のCasタンパク質を含む。CRISPRベースの系には、Cpf1タンパク質、及びターゲッターRNAとしてcrRNAを使用するクラスII、V型CRISPR系が含まれる。
【0177】
Casタンパク質は、CRISPR関連(Cas)二本鎖ヌクレアーゼである。いくつかの実施形態では、CRISPR-Cas系には、Cas9タンパク質が含まれる。いくつかの実施形態では、Cas9タンパク質は、SaCas9、SpCas9、SpCas9n、Cas9-HF、Cas9-H840A、FokI-dCas9、またはD10Aニッカーゼである。用語「Casタンパク質」、例えばCas9タンパク質などには、野生型Casタンパク質またはその機能的誘導体(ヌクレアーゼ活性を有する野生型Casタンパク質の短縮型またはバリアントなど)が含まれる。
【0178】
いくつかの実施形態では、S.pyogenes及びS.thermophiles以外の種由来のCas9タンパク質を使用することができる。本明細書において、以下を含むさらなるCas9タンパク質種を取得及び使用してもよい:Acidovorax avenae、Actinobacillus pleuropneumoniae、Actinobacillus succinogenes、Actinobacillus suis、Actinomyces種、cycliphilus denitrificans、Aminomonas paucivorans、Bacillus cereus;Bacillus smithii、Bacillus thuringiensis、Bacteroides種、Blastopirellula marina、Bradyrhizobium種、Brevibacillus laterosporus、Campylobacter coli、Campylobacter jejuni、Campylobacter lari、Candidatus Puniceispirillum、Clostridium cellulolyticum、Clostridium perfingens、Corynebacterium accolens、Corynebacterium dolichum、Corynebacterium matruchotii、Dinoroseobacter shibae、Eubacterium dolichum、gamma proteobacterium、Gluconacetobacter diazotrophicus、Haemoplzilus parainfluenzae、Haemophilus sputorum、Helicobacter canadensis、Helicohacter cinaedi、Helicobacter mustelae、llyobacter polytropus、Kingella kingae、lactobacillus crispatus、listeria ivanovii、listeria monocytogenes、listeriaceae bacterium、Methylocystis種、Methylosinus trichosporium、Mobiluncus mulieris、Neisseria bacilliformis、Neisseria cinerea、Neisseria flavescens、Neisseria lactamica、Neisseria種、Neisseria wadsworthii、Nitrosomonas種、Parvibaculum lavamentivorans、Pasteurella multocida、Phascolarctobacterium succinatutells、Ralstonia syzygii、Rhodopseudomonas palustris、Rhodovulum種、Simonsiella muelleri、Sphingomonas種、Sporolactobacillus vineae、Staphylococcus lugdunensis、Streptococcus種、Subdoligranulum種、Tistrella mobilis、Treponema種、またはVerminephrobacter eiseniae。
【0179】
いくつかの実施形態では、CRISPRベースの系の1つ以上のエレメントは、I型、II型、またはIII型CRISPR系に由来する。
【0180】
いくつかの実施形態では、CRISPRベースの系の1つ以上のエレメントは、内在性CRISPR系を有する特定の生物、例えば、Streptococcus pyogenes、Staphylococcus aureus、Francisella tularensis、Prevotella種、Acidaminococcus種、及びLachnospiraceae種などに由来する。一般的に、CRISPRベースの系は、標的ゲノム領域または標的配列の部位でのCRISPR複合体の形成を促進するエレメント(内在性CRISPR系に関してはプロトスペーサーとも呼ばれる)を特徴とする。CRISPR複合体の形成に関して、「標的配列」とは、それに対して実質的な相補性を有するようにガイド配列を設計する対象配列を指し、その場合、標的配列とガイド配列との間のハイブリダイゼーションがCRISPR複合体の形成を促進する。ハイブリダイゼーションを生じさせ、CRISPR複合体の形成を促進するのに十分な相補性がある限り、完全な相補性は必ずしも必要ではない。標的配列は、DNAまたはRNAポリヌクレオチドなどの任意のポリヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、標的配列は細胞(複数可)の核または細胞質に位置する。いくつかの実施形態では、標的配列は、真核細胞(複数可)のオルガネラ、例えばミトコンドリアまたは葉緑体内にあってもよい。
【0181】
標的配列を含む標的遺伝子座への組換えのために用い得る配列またはテンプレートは、「編集テンプレート」または「編集ポリヌクレオチド」または「編集配列」と呼ばれる。外来性テンプレートポリヌクレオチドは、編集用テンプレートまたはドナーテンプレートと呼ばれることがある。いくつかの実施形態では、組換えは相同組換えである。
【0182】
いくつかの実施形態では、CRISPRベースの系はCRISPR-Cas9系である。CRISPR-Cas9系のターゲッターRNAには、CRISPR標的化RNA(crRNA)が含まれ、CRISPR-Cas9系のアクチベーターRNAには、トランス活性化CRISPR RNA(tracRNA)が含まれる。CRISPR-Cas9系のCasタンパク質エレメントは、Cas9タンパク質を使用する。crRNA及びtracrRNAは、別々にすることも、リンカーループ配列を介して単一のRNA構築物に組み合わせることもできる。この組み合わせたRNA構築物は、一本鎖ガイドRNA(sgRNA;またはガイドRNA)と呼ばれる。
【0183】
CRISPR-Cas系、その成分、及びそのような成分の送達に関する一般的な情報(方法、材料、送達ビヒクル、ベクター、粒子、AAV、ならびに量及び製剤化に関するものを含めたそれらの製造及び使用)に関しては、以下に見出される:米国特許第8,999,641号、第8,993,233号、第8,945,839号、第8,932,814号、第8,906,616号、第8,895,308号、第8,889,418号、第8,889,356号、第8,871,445号、第8,865,406号、第8,795,965号、第8,771,945号及び8,697,359号;米国特許公開US2014-0310830、US2014-0287938A1、US2014-0273234A1、US2014-0273232A1、US2014-0273231、US2014-0256046A1、US2014-0248702A1、US2014-0242700A1、US2014-0242699A1、US2014-0242664A1、US2014-0234972A1、US2014-0227787A1、US2014-0189896A1、US2014-0186958、US2014-0186919A1、US2014-0186843A1、US2014-0179770A1、及びUS2014-0179006A1、US2014-0170753;欧州特許EP2784162B1及びEP2771468B1;欧州特許出願EP2771468(EP13818570.7)、EP2764103(EP13824232.6)、及びEP2784162(EP14170383.5);ならびにPCT特許出願公開PCT特許出願公開WO2014/093661、WO2014/093694、WO2014/093595、WO2014/093718、WO2014/093709、WO2014/093622、WO2014/093635、WO2014/093655、WO2014/093712、WO2014/093701、WO2014/018423、WO2014/204723、WO2014/204724、WO2014/204725、WO2014/204726、WO2014/204727、WO2014/204728、WO2014/204729、及びWO2016/028682。
【0184】
いくつかの実施形態では、CRISPRベースの系はCRISPR-Cpf系である。「CRISPR-Cpf系」は:(a)少なくとも1つのガイドRNAエレメント、またはそのガイドRNAエレメントをコードするヌクレオチド配列(複数可)を有する核酸を含み、ガイドRNAは、標的核酸の遺伝子座のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有するターゲッターRNAを含み;及び(b)Cpfタンパク質エレメントまたはそのCpfタンパク質エレメントをコードするヌクレオチド配列を有する核酸を含む。
【0185】
Cpfタンパク質エレメントの例として、Cpf1ヌクレアーゼ、例えば、Francisella Cpf1(FnCpf1)及びその任意のバリアントが挙げられる。例えば、Zetsche et al.,“Cpf1 is a single RNA-guided endonuclease of a class 2 CRISPR-Cas system,”[Cell],163(3):pages 759-71;及びFonfara et al.,“The CRISPR-associated DNA-cleaving enzyme Cpf1 also processes precursor CRISPR RNA,”[Nature]532(7600):pages,517-21参照。Cpf1の優先PAMは5’-TTNであり、ゲノム位置とGC含量のいずれにおいてもCas9(3’-NGG)とは異なる。CRISPR-Cpf系は、アクチベーターRNA(tracrRNA)を使用しない場合がある。Cpf1とそのガイドRNAの両方は、通常、それらのSpCas9対応物よりも小さい。Cpf1遺伝子座は、混合α/βドメイン、RuvC-I、それに続くらせん領域、RuvC-II及びジンクフィンガー様ドメインを含む。Cpf1タンパク質は、Cas9のRuvCドメインと同様のRuvC様エンドヌクレアーゼドメインを有する。さらに、Cpf1はHNHエンドヌクレアーゼドメインを有さず、Cpf1のN末端はCas9のαヘリックス認識ローブを有さない。Cpf1遺伝子座は、II型の系よりもI型及びIII型により類似したCas1、Cas2及びCas4タンパク質をコードする。Cpf1ファミリータンパク質は多くの細菌種に見出すことができる。
【0186】
特定の理論に拘泥するわけではないが、CRISPR-Cpf系は、Cas9が標的とするGリッチのPAMとは対照的に、プロトスペーサー隣接モチーフ5’-YTN-3’(式中、「Y」はピリミジンであり、「N」は任意の核酸塩基である)または5’-TTN-3を識別することによって標的DNAまたはRNAを切断するCpf1-crRNA複合体を使用する。PAMの識別後、Cpf1は、4または5ヌクレオチドのオーバーハングを有する突出末端様のDNA二本鎖切断を導入する。
【0187】
いくつかの実施形態では、ゲノム編集系は、NgAgoベースの系である。NgAgoベースの系は、少なくとも1つのガイドDNAエレメント、またはそのガイドDNAエレメントをコードする核酸配列(複数可)を有する核酸;及びDNA誘導性エンドヌクレアーゼを含む。NgAgoベースの系は、ガイドエレメントとしてDNAを用いる。その動作原理はCRISPR-Cas9技術の動作原理に類似しているが、そのガイドエレメントは、CRISPR-Cas9技術のgRNAではなくガイドDNA(dDNA)のセグメントである。DNA誘導性エンドヌクレアーゼの例は、Natronobacterium gregoryi由来のArgonauteエンドヌクレアーゼ(NgAgo)である。例えば、Feng Gao et al.“DNA-guided genome editing using the Natronobacterium gregoryi Argonaute,”Nature Biotechnology,(2016):doi:10.1038/nbt.3547参照。
【0188】
「リンカー」、「ペプチドリンカー」、「ペプチド性リンカー」または「ペプチドスペーサー」とは、融合タンパク質中の異なるモノマーを連結し、前記融合タンパク質の活性のために正しい立体構造を取れるようにし、いずれのモノマーの活性も変化させないペプチド配列を意味することを意図している。ペプチドリンカーは、非限定的な指示範囲として1、2、3、4、5、10、15、20、30、40~50アミノ酸、またはその範囲内の任意の中間値の様々なサイズであり得る。
【0189】
DNAPK阻害剤
いくつかの実施形態では、構造式(I)によって表される化合物:
【化16】
、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶を用いる。
【0190】
Xは、NまたはCRA5である。
【0191】
A1は、F、C1-4アルキル、C3-5シクロアルキル、OC1-4アルキル、OC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、NH、NHC1-4アルキル、NHC1-4アルキル-C3-5シクロアルキル、またはC0-4アルキル-ヘテロシクリルである。ある実施形態では、ヘテロシクリルは、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、またはモルホリニルから選択される。アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルは、非置換であるかまたは置換されている(例えば、ある実施形態では、アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルは、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換される)。
【0192】
各RA4は、独立して、HまたはH(Dまたは重水素)である。本明細書中で使用する場合、用語「重水素」、「H」及び「D」は同じ意味で使用する。
【0193】
A5は、水素、F、C1-4アルキル、またはOC1-4アルキルである。アルキル基は、置換または非置換である(例えば、ある実施形態では、アルキルは、場合により、最大3個のF原子または最大3個のH原子で置換される)。
【0194】
B3は、C(O)NHC1-4アルキルである。アルキルは、置換または非置換である(例えば、アルキルは、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換される)。
【0195】
各RB4は、独立して、水素、重水素、F、またはC1-4アルキルである。アルキルは置換または非置換である。
【0196】
ある実施形態では、XはNである。ある実施形態では、XはCRA5(例えば、CH)である。
【0197】
ある実施形態では、RA1はC1-4アルキルである。ある実施形態では、RA1は、置換C1-4アルキルである。ある実施形態では、RA1は、非置換C1-4アルキル(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、またはsec-ブチル)である。
【0198】
ある実施形態では、一方のRA4はHであり、他方のRA4Hである。ある実施形態では、両方のRA4はHである。ある実施形態では、両方のRA4Hである。
【0199】
ある実施形態では、各RB4は、独立して、水素、重水素、F、またはC1-4アルキルである。ある実施形態では、各RB4は水素である。
【0200】
ある実施形態では、RB3はC(O)NHC1-4アルキルであり、前記アルキルは、場合により置換されている。ある実施形態では、アルキルは、場合により、最大3個のF原子、最大3個のH原子、最大2個の非ジェミナルOH基、または最大2個のOC1-2アルキルで置換される。
【0201】
ある実施形態では、RB3はC(O)NHC1-4アルキルであり、前記アルキルは非置換(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、またはsec-ブチル)である。
【0202】
ある実施形態では、構造式(I)の化合物の薬学的に許容される塩を使用する。
【0203】
ある実施形態では、構造式(I)の化合物を含む共結晶を使用する。
【0204】
ある実施形態では、構造式(I)の化合物と共結晶形成剤(CCF)とを含む共結晶を使用する。ある実施形態では、CCFは、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、または安息香酸である。ある実施形態では、CCFはアジピン酸である。
【0205】
ある実施形態では、共結晶形成剤(CCF)と構造式(I)の化合物との比は、約2:1である。ある実施形態では、共結晶形成剤(CCF)と構造式(I)の化合物との比は、約1:2である。ある実施形態では、共結晶は、構造式(I)の化合物とCCFとを、(構造式(I)の化合物)n:(CCF)mの比で含む。ある実施形態では、nは約1であり、mは約0.4~約2.1である。ある実施形態では、nは約1であり、mは約0.9~約3.1である。ある実施形態では、nは約2であり、mは約1である。ある実施形態では、nは約1であり、mは約2である。ある実施形態では、CCFはアジピン酸である。
【0206】
ある実施形態では、構造式(II)によって表される化合物、
【化17】
、またはその薬学的に許容される塩、またはその共結晶を使用する。
【0207】
及びRのそれぞれは、独立して、水素または重水素である。
【0208】
ある実施形態では、R及びRのそれぞれは水素である。ある実施形態では、R及びRのそれぞれは重水素である。
【0209】
ある実施形態では、構造式(II)の化合物の薬学的に許容される塩を使用する。
【0210】
ある実施形態では、構造式(II)の化合物を含む共結晶を使用する。
【0211】
ある実施形態では、構造式(II)の化合物と共結晶形成剤(CCF)とを含む共結晶を使用する。ある実施形態では、CCFは、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、または安息香酸である。ある実施形態では、CCFはアジピン酸である。
【0212】
ある実施形態では、共結晶形成剤(CCF)と構造式(II)の化合物との比は、約2:1である。ある実施形態では、共結晶形成剤(CCF)と構造式(II)の化合物との比は、約1:2である。ある実施形態では、共結晶は、構造式(II)の化合物とCCFとを、(構造式(II)の化合物):(CCF)の比で含む。ある実施形態では、nは約1であり、mは約0.4~約2.1である。ある実施形態では、nは約1であり、mは約0.9~約3.1である。ある実施形態では、nは約2であり、mは約1である。ある実施形態では、nは約1であり、mは約2である。ある実施形態では、CCFはアジピン酸である。
【0213】
ある実施形態では、構造式(II’’)で表される化合物、
【化18】
、またはその薬学的に許容される塩、またはその共結晶を使用する。
【0214】
及びRのそれぞれは、独立して、水素または重水素である。
【0215】
ある実施形態では、R及びRのそれぞれは水素である。ある実施形態では、R及びRのそれぞれは重水素である。
【0216】
ある実施形態では、構造式(II’’)の化合物の薬学的に許容される塩を使用する。
【0217】
ある実施形態では、構造式(II’’)の化合物を含む共結晶を使用する。
【0218】
ある実施形態では、構造式(II’’)の化合物と共結晶形成剤(CCF)とを含む共結晶を使用する。
【0219】
ある実施形態では、以下の構造によって表される化合物、
【化19】
、またはその薬学的に許容される塩、またはその共結晶を使用する。
【0220】
ある実施形態では、化合物1の薬学的に許容される塩を使用する。
【0221】
ある実施形態では、化合物1を含む共結晶を使用する。
【0222】
ある実施形態では、化合物1と共結晶形成剤(CCF)とを含む共結晶を使用する。ある実施形態では、CCFは、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、または安息香酸である。ある実施形態では、CCFはアジピン酸である。
【0223】
ある実施形態では、共結晶形成剤(CCF)と化合物1との比は、約2:1である。ある実施形態では、共結晶形成剤(CCF)と化合物1との比は、約1:2である。ある実施形態では、共結晶は、化合物1とCCFとを、(化合物1):(CCF)の比で含む。ある実施形態では、nは約1であり、mは約0.4~約2.1である。ある実施形態では、nは約1であり、mは約0.9~約3.1である。ある実施形態では、nは約2であり、mは約1である。ある実施形態では、nは約1であり、mは約2である。ある実施形態では、CCFはアジピン酸である。
【0224】
ある実施形態では、以下の構造によって表される化合物、
【化20】
、またはその薬学的に許容される塩、またはその共結晶を使用する。
【0225】
ある実施形態では、化合物2の薬学的に許容される塩を使用する。
【0226】
ある実施形態では、化合物2を含む共結晶を使用する。
【0227】
ある実施形態では、化合物2と共結晶形成剤(CCF)とを含む共結晶を使用する。ある実施形態では、CCFは、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、または安息香酸である。ある実施形態では、CCFはアジピン酸である。
【0228】
ある実施形態では、共結晶形成剤(CCF)と化合物2との比は、約2:1である。ある実施形態では、共結晶形成剤(CCF)と化合物2との比は、約1:2である。ある実施形態では、共結晶は、化合物2とCCFとを、(化合物2):(CCF)の比で含む。ある実施形態では、nは約1であり、mは約0.4~約2.1である。ある実施形態では、nは約1であり、mは約0.9~約3.1である。ある実施形態では、nは約2であり、mは約1である。ある実施形態では、nは約1であり、mは約2である。ある実施形態では、CCFはアジピン酸である。
【0229】
いくつかの実施形態では、以下の構造によって表される化合物:
【化21】
、またはその薬学的に許容される塩、またはその共結晶を使用する。
【0230】
ある実施形態では、化合物3の薬学的に許容される塩を使用する。
【0231】
ある実施形態では、化合物3を含む共結晶を使用する。
【0232】
ある実施形態では、化合物3と共結晶形成剤(CCF)とを含む共結晶を使用する。
【0233】
ある実施形態では、本明細書に記載の化合物を含む組成物または共結晶は、対応するエナンチオマーを、少なくとも約95%、少なくとも約97%、または少なくとも約99%含まない、単一のエナンチオマーの形態で化合物を提供する。
【0234】
ある実施形態では、本明細書に記載の化合物を含む組成物または共結晶は、(+)エナンチオマーの形態の化合物を提供し、その場合、組成物または共結晶は、対応する(-)エナンチオマーを少なくとも約95%含まない。
【0235】
ある実施形態では、本明細書に記載の化合物を含む組成物または共結晶は、(+)エナンチオマーの形態の化合物を提供し、その場合、組成物または共結晶は、対応する(-)エナンチオマーを少なくとも約97%含まない。
【0236】
ある実施形態では、本明細書に記載の化合物を含む組成物または共結晶は、(+)エナンチオマーの形態の化合物を提供し、その場合、組成物または共結晶は、対応する(-)エナンチオマーを少なくとも約99%含まない。
【0237】
ある実施形態では、本明細書に記載の化合物を含む組成物または共結晶は、(-)エナンチオマーの形態の化合物を提供し、その場合、組成物または共結晶は、対応する(+)エナンチオマーを少なくとも約95%含まない。
【0238】
ある実施形態では、本明細書に記載の化合物を含む組成物または共結晶は、(-)エナンチオマーの形態の化合物を提供し、その場合、組成物または共結晶は、対応する(+)エナンチオマーを少なくとも約97%含まない。
【0239】
ある実施形態では、本明細書に記載の化合物を含む組成物または共結晶は、(-)エナンチオマーの形態の化合物を提供し、その場合、組成物または共結晶は、対応する(+)エナンチオマーを少なくとも約99%含まない。
【0240】
ある実施形態では、構造式(I’)で表される化合物、
【化22】
、またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶を使用する。ある実施形態では、各RA1、RA4、RB4、RB3、X、及びRA5は、独立して、本明細書に記載の任意の実施形態における構造式(I)についての記載と同じである。
【0241】
さらに、本明細書に記載の任意の実施形態において、構造式(I)の化合物または薬学的に許容される塩を、構造式(I’)の化合物または薬学的に許容される塩に置き換えてもよい。
【0242】
ある実施形態では、構造式(I’)の化合物の薬学的に許容される塩を使用する。
【0243】
ある実施形態では、構造式(I’)の化合物を含む共結晶を使用する。ある実施形態では、共結晶は共結晶形成剤(CCF)を含む。ある実施形態では、CCFは、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、または安息香酸である。ある実施形態では、CCFはアジピン酸である。
【0244】
ある実施形態では、共結晶形成剤(CCF)の化合物と構造式(I’)の化合物との比は、約2:1である。ある実施形態では、共結晶形成剤(CCF)の化合物と構造式(I’)の化合物との比は、約1:2である。ある実施形態では、共結晶は、構造式(I’)の化合物とCCFとを、(構造式(I’)の化合物):(CCF)の比で含む。ある実施形態では、nは約1であり、mは約0.4~約2.1である。ある実施形態では、nは約1であり、mは約0.9~約3.1である。ある実施形態では、nは約2であり、mは約1である。ある実施形態では、nは約1であり、mは約2である。ある実施形態では、CCFは、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、または安息香酸である。ある実施形態では、CCFはアジピン酸である。
【0245】
ある実施形態では、構造式(II’)によって表される構造式(I’)の化合物、
【化23】
、またはその薬学的に許容される塩、またはその共結晶を使用する。
【0246】
ある実施形態では、R及びRは、それぞれ独立して、水素または重水素である。
【0247】
ある実施形態では、RとRの両方が水素である。ある実施形態では、RとRの両方が重水素である。
【0248】
ある実施形態では、構造式(II’)の化合物または薬学的に許容される塩を使用する。
【0249】
ある実施形態では、構造式(II’)の化合物の薬学的に許容される塩を使用する。
【0250】
ある実施形態では、構造式(II’)の化合物を含む共結晶を使用する。ある実施形態では、共結晶は共結晶形成剤(CCF)を含む。ある実施形態では、CCFは、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、または安息香酸である。ある実施形態では、CCFはアジピン酸である。
【0251】
ある実施形態では、共結晶形成剤(CCF)の化合物と構造式(II’)の化合物との比は、約2:1である。ある実施形態では、共結晶形成剤(CCF)の化合物と構造式(II’)の化合物との比は、約1:2である。ある実施形態では、共結晶は、構造式(II’)の化合物とCCFとを、(構造式(II’)の化合物):(CCF)の比で含む。ある実施形態では、nは約1であり、mは約0.4~約2.1である。ある実施形態では、nは約1であり、mは約0.9~約3.1である。ある実施形態では、nは約2であり、mは約1である。ある実施形態では、nは約1であり、mは約2である。ある実施形態では、CCFは、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、または安息香酸である。ある実施形態では、CCFはアジピン酸である。
【0252】
ある実施形態では、構造式(II’’’)によって表される構造式(I’)の化合物、
【化24】
、またはその薬学的に許容される塩、またはその共結晶を使用する。
【0253】
ある実施形態では、各R及びRは、独立して水素または重水素である。
【0254】
ある実施形態では、RとRの両方が水素である。ある実施形態では、RとRの両方が重水素である。
【0255】
ある実施形態では、構造式(II’’’)の化合物または薬学的に許容される塩を使用する。
【0256】
ある実施形態では、構造式(II’’’)の化合物の薬学的に許容される塩を使用する。
【0257】
ある実施形態では、構造式(II’’’)の化合物を含む共結晶を使用する。ある実施形態では、共結晶は共結晶形成剤(CCF)を含む。ある実施形態では、CCFは、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、または安息香酸である。ある実施形態では、CCFはアジピン酸である。
【0258】
ある実施形態では、以下からなる群から選択される式によって表される化合物:
【化25】
またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶を使用する。
【0259】
ある実施形態では、各RA1、RA4、RB4、RB3、X、及びRA5は、独立して、本明細書に記載の任意の実施形態における構造式(I)についての記載と同じである。
【0260】
ある実施形態では、構造式(I)の化合物または薬学的に許容される塩は、構造式(III)または(III’)の化合物または薬学的に許容される塩に置き換えてもよい。
【0261】
ある実施形態では、構造式(III)または(III’)の化合物の薬学的に許容される塩を使用する。
【0262】
ある実施形態では、構造式(III)または(III’)の化合物を含む共結晶を使用する。ある実施形態では、共結晶は共結晶形成剤(CCF)を含む。ある実施形態では、CCFは、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、または安息香酸である。ある実施形態では、CCFはアジピン酸である。
【0263】
ある実施形態では、共結晶形成剤(CCF)の化合物と構造式(III)または(III’)の化合物との比は、約2:1である。ある実施形態では、共結晶形成剤(CCF)の化合物と構造式(III)または(III’)の化合物との比は、約1:2である。
【0264】
ある実施形態では、共結晶は、構造式(III)の化合物とCCFとを、(構造式(III)の化合物):(CCF)の比で含む。ある実施形態では、共結晶は、構造式(III’)の化合物とCCFとを(構造式(III’)の化合物):(CCF)の比で含む。ある実施形態では、nは約1であり、mは約0.4~約2.1である。ある実施形態では、nは約1であり、mは約0.9~約3.1である。ある実施形態では、nは約2であり、mは約1である。ある実施形態では、nは約1であり、mは約2である。ある実施形態では、CCFは、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、または安息香酸である。ある実施形態では、CCFはアジピン酸である。
【0265】
本明細書に記載するように、本明細書に開示する化合物を、場合により、上記で一般的に例示するような、または特定のクラス、サブクラス、及び種で例示するような、1つ以上の置換基で置換してもよい。語句「場合により置換される」とは、語句「置換または非置換の」と同じ意味で使用されることが理解されよう。一般的に、用語「置換される」とは、用語「場合により」が先行しているかどうかによらず、所与の構造中の1つ以上の水素ラジカルを特定の置換基のラジカルで置き換えることを指す。特に明記しない限り、場合により置換される基は、その基の各置換可能な位置に置換基を有していてもよい。所与の構造中の複数の位置を、特定の群から選択される複数の置換基で置換可能な場合、その置換基は、各位置において同じでも異なっていてもよい。
【0266】
化学的に実現可能または化学的に安定である場合、本明細書に記載の分子基は、非置換または置換である(すなわち、「場合により置換」される)。本明細書に記載するように、リストの手前に用語「場合により置換」がある場合、前記用語は、そのリスト中の後続のすべての置換可能な基を指す。例えば、基Xが「ハロゲン;場合により、置換アルキルまたはフェニル;」である場合、Xは、場合により置換されたアルキルまたは置換されたフェニルのいずれかであり得る。同様に、用語「場合により置換」がリストに続く場合、前記用語はまた、他に示さない限り、先のリスト中のすべての置換可能な基を指す。例えば:Xが、ハロゲン、C1-4アルキル、またはフェニルであり、Xが、場合によりJで置換される場合、C1-4アルキル及びフェニルの両方を、場合によりJで置換してもよい。当業者には明らかなように、H、ハロゲン、NO、CN、NH、OH、またはOCFなどの基は、それらが置換可能な基ではないため、含まれないであろう。また、当業者には明らかなように、NH基を含有するヘテロアリールまたは複素環式環を、場合により、水素原子を置換基で置き換えることによって置換してもよい。
【0267】
ある実施形態では、基(例えば、C1-4アルキル;C3-5シクロアルキル;ヘテロシクリル、例えば、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、またはモルホリニルなど;アリール、例えばフェニル;またはヘテロアリール)は非置換である。
【0268】
ある実施形態では、基(例えば、C1-4アルキル;C3-5シクロアルキル;ヘテロシクリル、例えば、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、またはモルホリニルなど;アリール、例えばフェニル;またはヘテロアリール)は置換されている。ある実施形態では、原子価及び化学的安定性が許す限り、基は1、2、3、4、5、または6個の置換基を含む。
【0269】
本開示において想定される置換基の組み合わせは、好ましくは、安定なまたは化学的に実現可能な化合物の形成をもたらすものである。本明細書中で使用する場合、用語「安定な」とは、それらの製造、検出、ならびに好ましくはそれらの回収、精製、及び本明細書中で開示する1つ以上の目的のための使用を可能にする条件に曝露した場合に実質的に変化しない化合物を指す。ある実施形態では、安定な化合物または化学的に実現可能な化合物とは、湿気または他の化学的に反応性の条件の非存在下で、40℃以下の温度に保った場合に、少なくとも1週間、実質的に変化しない化合物である。
【0270】
数値xに関しての用語「約」は、例えば、x±10%を意味する。
【0271】
本明細書中で使用する場合、用語「アルキル」または「アルキル基」とは、完全飽和型の直鎖(すなわち、非分枝)または分枝、置換または非置換炭化水素鎖を意味する。特に明記しない限り、アルキル基は、1~8個の炭素原子を有する(「C1-8アルキル」として表される)。ある実施形態では、アルキル基は、1~6個の炭素原子を有する(「C1-6アルキル」として表される)。ある実施形態では、アルキル基は、1~4個の炭素原子を有する(「C1-4アルキル」として表される)。ある実施形態では、「C0-4アルキル」として記載される分子実体には、共有結合(例えば、「Cアルキル」)または本明細書に記載するC1-4アルキル鎖が含まれる。アルキル基の例として、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルが挙げられる。
【0272】
本明細書中で使用する用語「アルキレン」は、飽和二価直鎖または分枝鎖炭化水素基を表し、例として、メチレン、エチレン、イソプロピレンなどが挙げられる。
【0273】
本明細書中で使用する用語「アルキリデン」は、二価の直鎖アルキル連結基を表す。
【0274】
本明細書中で使用する用語「アルケニル」は、1つ以上の炭素-炭素二重結合を含有する一価の直鎖または分枝鎖炭化水素基を表す。
【0275】
本明細書中で使用する用語「アルキニル」は、1つ以上の炭素-炭素三重結合を含有する一価の直鎖または分枝鎖炭化水素基を表す。
【0276】
本明細書中で使用する場合、用語「シクロアルキル」(または「炭素環」)とは、完全飽和し、分子の残りの部分に単一の結合点を有する単環式C-C炭化水素または二環式C-C12炭化水素を指し、前記二環式環構造中の任意の個々の環は、3~7員を有する。例示的なシクロアルキル基として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0277】
本明細書中で使用する用語「複素環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクロアルキル」、または「複素環式」とは、構造中の少なくとも1つの環が1つ以上のヘテロ原子を含む単環式、二環式または三環式環構造を指し、これは同じであっても異なっていてもよく、完全飽和であるか、または1つ以上の不飽和単位を含むが芳香族ではなく、分子の残りの部分への単一の結合点を有する。いくつかの実施形態では、「複素環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクロアルキル」、または「複素環式」基は3~14個の環員を有し、1つ以上の環員は、酸素、硫黄、窒素、またはリンから独立して選択されるヘテロ原子であり、構造内の各環は、3~8個の環員を含む。複素環式環の例として、以下の単環式化合物:2-テトラヒドロフラニル、3-テトラヒドロフラニル、2-テトラヒドロチオフェニル、3-テトラヒドロチオフェニル、2-モルホリノ、3-モルホリノ、4-モルホリノ、2-チオモルホリノ、3-チオモルホリノ、4-チオモルホリノ、1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、3-ピロリジニル、1-テトラヒドロピペラジニル、2-テトラヒドロピペラジニル、3-テトラヒドロピペラジニル、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、1-ピラゾリニル、3-ピラゾリニル、4-ピラゾリニル、5-ピラゾリニル、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-ピペリジニル、2-チアゾリジニル、3-チアゾリジニル、4チアゾリジニル、1-イミダゾリジニル、2-イミダゾリジニル、4-イミダゾリジニル、5-イミダゾリジニル;ならびに以下の二環式化合物:3-1H-ベンズイミダゾール-2-オン、3-(1-アルキル)-ベンズイミダゾール-2-オン、インドリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾチオラン、ベンゾジチアン、及び1,3-ジヒドロ-イミダゾール-2-オンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0278】
本明細書中で使用する用語「ヘテロ原子」とは、任意の酸化形態の窒素、硫黄、またはリンを含む、酸素、硫黄、窒素、またはリンのうちの1つ以上;任意の塩基性窒素の四級化形態;または複素環式環の置換可能な窒素、例えばN(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルの場合)、NH(ピロリジニルの場合)またはNR(N-置換ピロリジニルの場合)を意味する。
【0279】
本明細書中で使用する用語「不飽和」とは、ある部分が1つ以上の不飽和単位を有することを意味する。
【0280】
本明細書中で使用する用語「アルコキシ」または「チオアルキル」とは、以前に定義されたように、酸素(「アルコキシ」)または硫黄(「チオアルキル」)原子を介して主炭素鎖に結合したアルキル基を指す。
【0281】
本明細書中で使用する用語「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、及び「ハロアルコキシ」とは、場合により、1個以上のハロゲン原子で置換されたアルキル、アルケニル、またはアルコキシを意味する。用語「ハロゲン」は、F、Cl、Br、またはIを意味する。
【0282】
単独で、または「アラルキル」、「アラルコキシ」もしくは「アリールオキシアルキル」のようなより大きな部分の一部として用いられる、本明細書中で使用する用語「アリール」とは、合計6~14個の環員を有する単環式、二環式または三環式炭素環構造を指し、前記環構造は残りの分子への単一の結合点を有し、構造中の少なくとも1つの環は芳香族であり、構造中の各環は4~7個の環員を含む。用語「アリール」は、用語「アリール環」と同じ意味で使用され得る。アリール環の例として、フェニル、ナフチル、及びアントラセンが挙げられる。
【0283】
本明細書中で使用する場合、単独でまたは「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアリールアルコキシ」のようなより大きな部分の一部として使用される用語「ヘテロアリール」とは、合計5~14個の環員を有する単環式、二環式及び三環式環構造を指し、前記環構造は残りの分子への単一の結合点を有し、構造中の少なくとも1つの環は芳香族であり、構造中の少なくとも1つの環は、窒素、酸素、硫黄、またはリンから独立して選択される1つ以上のヘテロ原子を含み、構造中の各環は4~7個の環員を含む。用語「ヘテロアリール」は、用語「ヘテロアリール環」または用語「複素芳香環」と同じ意味で使用され得る。ヘテロアリール環のさらなる例として、以下の単環式化合物:2フラニル、3-フラニル、N-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、5-イミダゾリル、3-イソオキサゾリル、4イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、N-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、ピリダジニル(例えば、3-ピリダジニル)、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、テトラゾリル(例えば、5-テトラゾリル)、トリアゾリル(例えば、2-トリアゾリル及び5-トリアゾリル)、2-チエニル、3-チエニル、ピラゾリル(例えば、2-ピラゾリル)、イソチアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,3-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、ピラジニル、1,3,5-トリアジニル、ならびに以下の二環式化合物:ベンズイミダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、インドリル(例えば、2-インドリル)、プリニル、キノリニル(例えば、2-キノリニル、3-キノリニル、4-キノリニル)、及びイソキノリニル(例えば、1-イソキノリニル、3-イソキノリニル、または4-イソキノリニル)が挙げられる。
【0284】
他に示されるかまたは述べられていない限り、本明細書中に列挙する構造は、その構造のすべての異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー、及び幾何(または配座)異性体)形態;例えば、各不斉中心のR及びS配置、(Z)及び(E)二重結合異性体、ならびに(Z)及び(E)配座異性体を含み得る。したがって、本化合物の単一の立体化学異性体ならびにエナンチオマー、ジアステレオマー、及び幾何(または配座)異性体の混合物は、本開示の範囲内である。通常、斜線または太字の結合を使用することによって定義される立体化学中心で描かれる化合物は、立体化学的に純粋であるが、絶対立体化学は依然として未定義である。そのような化合物は、R配置またはS配置のいずれかを有し得る。絶対配置が決定されている場合には、キラル中心(複数可)は図中で(R)または(S)と表示されている。
【0285】
特記しない限り、本明細書中に開示する化合物のすべての互変異性型はそのような開示の範囲内である。さらに、特記しない限り、本明細書中に示す構造はまた、1つ以上の同位体濃縮原子が存在する点においてのみ異なる化合物を含むことを意味する。例えば、本構造を有するが、水素から重水素またはトリチウムへの置換、または炭素から13Cもしくは14Cリッチ炭素への置換を有する化合物は、本開示の範囲内である。そのような化合物は、例えば、分析ツール、生物学的アッセイにおけるプローブとして、または治療特性が向上したDNAPK阻害剤として有用である。
【0286】
薬学的に許容される塩
本明細書中に開示する化合物のいくつかは、遊離型で、または適切な場合にはその薬学的に許容される誘導体として存在することができることも理解されよう。薬学的に許容される誘導体として、薬学的に許容されるプロドラッグ、塩、エステル、そのようなエステルの塩、または必要とする患者に投与する際に、本明細書中に他に記載されている化合物、またはその代謝産物もしくは残渣を、直接もしくは間接的に提供できる任意の他の付加物もしくは誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0287】
本明細書中で使用する場合、用語「薬学的に許容される塩」とは、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わずに、ヒト及び下等動物の組織と接触させて使用することに適した塩を指す。
【0288】
薬学的に許容される塩は当技術分野において周知である。例えば、S.M.Berge et al.は、薬学的に許容される塩をJ.Pharmaceutical Sciences,66:1-19,1977に詳細に記載しており、前記文献は薬学的に許容される塩に関して参照により本明細書に援用する。本明細書に開示する化合物の薬学的に許容される塩には、適切な無機及び有機の酸及び塩基から誘導されるものが含まれる。薬学的に許容される無毒の酸付加塩の例は、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸などの無機酸を用いて、もしくは例えば、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸またはマロン酸などの有機酸を用いて、またはイオン交換などの当技術分野で使用される他の方法を使用することによって形成するアミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩は、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。なおさらなる例示的な塩として、アジピン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、またはコハク酸塩が挙げられる。適切な塩基から誘導される塩として、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩及びN(C1-4アルキル)塩が挙げられる。
【0289】
本開示はまた、本明細書に開示する化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化も含む。そのような四級化によって、水溶性もしくは油溶性または分散性の生成物を得てもよい。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩として、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。適切な場合には、さらなる薬学的に許容される塩として、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、C1-8スルホン酸塩及びアリールスルホン酸塩などの対イオンを用いて形成される無毒性アンモニウム、四級アンモニウム、及びアミンカチオンが挙げられる。
【0290】
共結晶
ある実施形態では、本明細書に記載の化合物(例えば、構造式(I)、(II)、または(II’’)で表される化合物)及び共結晶形成剤(CCF)を含む共結晶を使用する。
【0291】
ある実施形態では、構造式(I)、(II)、または(II’’)で表される化合物とCCFは、いずれも固体状態(例えば、結晶性)である。ある実施形態では、構造式(I)、(II)、または(II’’)で表される化合物とCCFとは、非共有結合的に(例えば、水素結合によって)結合している。
【0292】
ある実施形態では、構造式(I)または(II)によって表される化合物とCCF(例えば、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、または安息香酸)との共結晶は、室温で固体である。ある実施形態では、構造式(I)または(II)で表される化合物とCCF(例えば、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、または安息香酸)との共結晶は、非共有結合によって相互作用する。ある実施形態では、構造式(I)または(II)で表される化合物とCCF(例えば、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、または安息香酸)との間の非共有結合相互作用には、水素結合及び/またはファンデルワールス相互作用が含まれる。
【0293】
ある実施形態では、共結晶形成剤(CCF)は、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、または安息香酸である。
【0294】
ある実施形態では、共結晶は、国際公開第WO2015/058067号に記載されている共結晶であり、前記文献は参照によりその全体を本明細書に援用する。
【0295】
ある実施形態では、共結晶は、(5)-N-メチル-8-(1-((2’-メチル-[4,5’-ビピリミジン]-6-イル)アミノ)プロパン-2-イル)キノリン-4-カルボキサミドを含む。ある実施形態では、化合物は(+)エナンチオマーである。ある実施形態では、化合物は(-)エナンチオマーである。
【0296】
ある実施形態では、共結晶は、(5)-N-メチル-8-(1-((2’-メチル-4 6’-ジジュウテリオ-[4,5’-ビピリミジン]-6-イル)アミノ)プロパン-2-イル)キノリン-4-カルボキサミドを含む。ある実施形態では、化合物は(+)エナンチオマーである。ある実施形態では、化合物は(-)エナンチオマーである。
【0297】
ある実施形態では、構造式(I)または(II)で表される化合物(例えば、化合物1または化合物2)と、クエン酸をCCFとして含む共結晶を使用する。
【0298】
ある実施形態では、本発明は、構造式(I)または(II)で表される化合物(例えば、化合物1または化合物2)と、フマル酸をCCFとして含む共結晶を特徴とする。
【0299】
ある実施形態では、構造式(I)または(II)で表される化合物(例えば、化合物1または化合物2)と、マレイン酸をCCFとして含む共結晶を使用する。
【0300】
ある実施形態では、構造式(I)または(II)で表される化合物(例えば、化合物1または化合物2)と、コハク酸をCCFとして含む共結晶を使用する。
【0301】
ある実施形態では、構造式(I)または(II)で表される化合物(例えば、化合物1または化合物2)と、安息香酸をCCFとして含む共結晶を使用する。
【0302】
ある実施形態では、構造式(I)または(II)で表される化合物(例えば、化合物1または化合物2)と、アジピン酸をCCFとして含む共結晶を使用する。
【0303】
ある実施形態では、化合物1とアジピン酸とを含む共結晶を使用する。ある実施形態では、化合物1とアジピン酸とのモル比は約2:1である。ある実施形態では、化合物1とアジピン酸とのモル比は約1:2である。
【0304】
ある実施形態では、化合物2とアジピン酸とを含む共結晶を使用する。ある実施形態では、化合物2とアジピン酸とのモル比は約2:1である。ある実施形態では、化合物2とアジピン酸とのモル比は約1:2である。
【0305】
ある実施形態では、化合物1とアジピン酸とを含む共結晶は、国際公開第WO2015/058067号に記載されているように多形体Aである。ある実施形態では、化合物1とアジピン酸とを含む共結晶は、国際公開第WO2015/058067号に記載されているように多形体Bである。ある実施形態では、化合物1とアジピン酸とを含む共結晶は、国際公開第WO2015/058067号に記載されているように、多形体A及びBの混合物である。
【0306】
ある実施形態では、化合物2とアジピン酸とを含む共結晶は、国際公開第WO2015/058067号に記載されているように多形体Aである。ある実施形態では、化合物2とアジピン酸とを含む共結晶は、国際公開第WO2015/058067号に記載されているように多形体Bである。ある実施形態では、化合物2とアジピン酸とを含む共結晶は、国際公開第WO2015/058067号に記載されているように、多形体A及びBの混合物である。
【0307】
いくつかの実施形態では、共結晶を使用し、そのような共結晶は、構造式(I)または(II)で表される化合物(例えば、化合物1または化合物2)及び上記CCFを、単離された純粋な形態で、または他の物質と混合した場合は固体組成物としての混合物で、例えば、構造式(I)で表される化合物(例えば、化合物1または化合物2)の遊離型、または遊離のCCFを含む。
【0308】
いくつかの実施形態では、構造式(I)によって表される化合物(例えば、化合物1または化合物2)、第1のCCF(例えば、本明細書に記載するような)、及び第1のCCFと同じであっても異なっていてもよい1つ以上のさらなる遊離CCFの共結晶を含む薬学的に許容される組成物を使用する。いくつかの実施形態では、組成物は、構造式(I)によって表される化合物(例えば、化合物1または化合物2)、アジピン酸である第1のCCF、及びさらなるアジピン酸の共結晶を含む。いくつかの実施形態では、そのような組成物中の構造式(I)で表される化合物(例えば、化合物1または化合物2)とCCF(例えば、第1のCCF(例えば、本明細書に記載するようなCCF、及び1つ以上のさらなる遊離CCFの両方を含む全CCF)との総モル比は、約1:0.55~約1:100の範囲である。いくつかの実施形態では、そのような組成物中の構造式(I)で表される化合物(例えば、化合物1または化合物2)とCCFとの総モル比は、約1:0.55~約1:50の範囲である。いくつかの実施形態では、そのような組成物中の構造式(I)で表される化合物(例えば、化合物1または化合物2)とCCFとの総モル比は、約1:0.55~約1:10の範囲である。いくつかの実施形態では、そのような組成物中の式Iの化合物とCCFとの全重量比は、約85重量%:15重量%~約60重量%:40重量%の範囲である。いくつかの実施形態では、構造式(I)で表される化合物(例えば、化合物1または化合物2)とCCFとの全重量比は、約70重量%:30重量%~約60重量%:40重量%の範囲である。いくつかの実施形態では、構造式(I)で表される化合物(例えば、化合物1または化合物2)とCCFとの総重量比は、約65重量%:35重量%である。
【0309】
ゲノム編集効率を高めるためのDNAPK阻害剤
標的ゲノム編集効率は、本明細書に記載の1つ以上の化合物(例えば、DNAPK阻害剤)とゲノム編集系とを、共に細胞(複数可)に投与することによって高めることができる。使用に適したゲノム編集系として、例えば、メガヌクレアーゼベースの系、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)ベースの系、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)系、CRISPRベースの系、またはNgAgoベースの系が挙げられる。本開示の方法、組成物、及びキットは、ゲノム編集効率を高めるためのDNAPK阻害剤及び/またはゲノム編集系を提供する。いくつかの実施形態では、HDRゲノム編集効率は、DNAPK阻害剤と共に細胞(複数可)に投与した後に高まる。
【0310】
いくつかの実施形態では、ゲノム編集系はCRISPRベースのゲノム編集系である。CRISPRベースのゲノム編集系は、CRISPR-Cas系またはそのバリアントであり得る。CRISPR-Cas系は、Cas9エンドヌクレアーゼ及びそのバリアントなどの任意のCasエンドヌクレアーゼを使用することができる。Cas9エンドヌクレアーゼの例として、Cas9エンドヌクレアーゼまたはそのバリアント、例えばSaCas9、SpCas9、SpCas9n、Cas9-HF、Cas9-H840A、FokI-dCas9、またはCasD10Aニッカーゼが挙げられる。Casエンドヌクレアーゼは、野生型、操作型、もしくはニッカーゼ変異型、またはそれらの任意の改変体であり得る。
【0311】
いくつかの実施形態では、CRISPRベースのゲノム編集系は、CRISPR配列、トランス活性化cr(tracr)配列、ガイド配列及びCasエンドヌクレアーゼまたはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0312】
いくつかの実施形態では、CRISPRベースのゲノム編集系は、CRISPR配列を有するRNA(crRNA)、トランス活性化cr(tracr)配列を有するRNA(tracrRNA)及びCasエンドヌクレアーゼまたはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0313】
いくつかの実施形態では、CRISPRベースのゲノム編集系は、CRISPR配列配列、ガイド配列、及びCasエンドヌクレアーゼもしくはCpfエンドヌクレアーゼ、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0314】
いくつかの実施形態では、CRISPRベースのゲノム編集系はCRISPR-Cpf系である。Cpfヌクレアーゼはクラス2のCRISPR-Cas系のエンドヌクレアーゼである。Cpfは単一のRNA誘導性エンドヌクレアーゼである。Cpfヌクレアーゼは、野生型、操作型もしくはニッカーゼ変異型、またはそれらの任意の改変体であり得る。例えば、Zetsche et al.,“CPF1 is a single RNA-guided endonuclease of a Class 2 CRISPR-Cas System,”[Cell],163(3):759-71参照。いくつかの実施形態では、CpfヌクレアーゼはCpf1エンドヌクレアーゼである。
【0315】
いくつかの実施形態では、ゲノム編集系はメガヌクレアーゼベースの系である。メガヌクレアーゼベースのゲノム編集は、長いDNA標的部位(例えば、通常、約>12bp)を認識する配列特異的エンドヌクレアーゼを使用する。例えば、米国特許第9,365,964号参照。メガヌクレアーゼは、全体的なゲノムの完全性に影響を及ぼすことなく、ユニークな染色体配列を切断することができる。いくつかの実施形態では、メガヌクレアーゼはホーミングエンドヌクレアーゼであり得る。いくつかの実施形態では、メガヌクレアーゼはイントロンエンドヌクレアーゼまたはインテインエンドヌクレアーゼであり得る。ホーミングエンドヌクレアーゼはLAGLIDADGファミリーに属し得る。メガヌクレアーゼは、野生型、操作型、またはニッカーゼ変異型であり得る。
【0316】
いくつかの実施形態では、遺伝子編集系はジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)ベースの系である。ZFNは、ジングフィンガーDNA結合ドメインとDNA切断ドメインとの融合に基づいて操作された人工制限酵素である。例えば、米国特許第9,145,565号参照。
【0317】
いくつかの実施形態では、遺伝子編集系は、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)である。TALENは、TALエフェクターDNA結合ドメインとDNA切断ドメインとの融合によって作製された、操作された制限酵素である。例えば、米国特許第9,181,535号参照。
【0318】
いくつかの実施形態では、遺伝子編集系はアルゴノートベースの系である。アルゴノートベースの遺伝子編集系は、アルゴノート由来エンドヌクレアーゼ及び5’リン酸化ssDNAを含む。いくつかの実施形態では、リン酸化ssDNAは、長さが10~40ヌクレオチド、15~30ヌクレオチドまたは18~30ヌクレオチド(例えば、約24ヌクレオチド)であり得る。いくつかの実施形態では、アルゴノートエンドヌクレアーゼは任意のエンドヌクレアーゼであり得る。いくつかの実施形態では、アルゴノートエンドヌクレアーゼは、Thermus thermophiles(TtAgo)、Pyrococcus furiosus(PfAgo)、またはNatronobacterium gregoryi(NgAgo)由来である。いくつかの実施形態では、Natrobacterium gregoryi(NgAgo)は株2(すなわちN.gregoryi SP2)である。いくつかの実施形態では、アルゴノートエンドヌクレアーゼはNgAgoである。例えば、Gao et al.,“DNA-guided genome editing using the Natronobacterium gregoryi Argonaute,”[Nature Biotechnology],May 2016参照。
【0319】
DNAPK阻害剤は、任意のDNAPK阻害剤であり得る。DNAPK阻害剤は、DNAPKの阻害を引き起こす任意の化合物または物質であり得る。DNAPK阻害剤は、化合物、小分子、抗体、またはヌクレオチド配列であり得る。いくつかの実施形態では、DNAPK阻害剤は、構造式Iまたは構造式IIによって表される化合物である。いくつかの実施形態では、DNAPK阻害剤は、構造式I’または構造式II’で表される化合物である。いくつかの実施形態では、DNAPK阻害剤は、化合物1、化合物2または化合物3である。いくつかの実施形態では、DNAPK阻害剤は、化合物1、化合物2または化合物3、及びアジピン酸を含む共結晶である。いくつかの実施形態では、化合物1、化合物2または化合物3のいずれかに対するアジピン酸の比は、約5~0.5、またはその間の任意の比である。いくつかの実施形態では、化合物1、化合物2または化合物3のいずれかに対するアジピン酸の比は、約4~0.5、またはその間の任意の比である。いくつかの実施形態では、化合物1、化合物2または化合物3のいずれかに対するアジピン酸の比は、約3~0.5、またはその間の任意の比である。いくつかの実施形態では、化合物1、化合物2または化合物3のいずれかに対するアジピン酸の比は、約2~0.5、またはその間の任意の比である。いくつかの実施形態では、化合物1、化合物2または化合物3のいずれかに対するアジピン酸の比は、約2~1.0、またはその間の任意の比である。
【0320】
いくつかの実施形態では、DNAPK阻害剤は、化合物1、化合物2もしくは化合物3、またはそれらの組み合わせである。
【0321】
いくつかの実施形態では、任意のNHEJ阻害剤を使用してHDRゲノム編集効率を高めることができる。いくつかの実施形態では、NHEJ阻害剤は、化合物1、化合物2もしくは化合物3、またはそれらの組み合わせである。
【0322】
いくつかの実施形態では、NHEJ阻害剤は、NHEJの阻害を引き起こす任意の化合物または物質であり得る。NHEJ阻害剤の例として、DNAPK阻害剤が挙げられる。NHEJ阻害剤は、化合物、小分子、抗体、またはヌクレオチド配列であり得る。いくつかの実施形態では、NHEJ阻害剤は、構造式I、I’、II、II’、II’’、II’’’、IIIまたはIII’によって表される化合物である。いくつかの実施形態では、NHEJ阻害剤は、化合物1、化合物2もしくは化合物3、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、NHEJ阻害剤は、化合物1、化合物2、または化合物3、及びアジピン酸を含む共結晶である。いくつかの実施形態では、化合物1、化合物2または化合物3のいずれかに対するアジピン酸の比は、約5~0.5、またはその間の任意の比である。いくつかの実施形態では、化合物1、化合物2または化合物3のいずれかに対するアジピン酸の比は、約4~0.5、またはその間の任意の比である。いくつかの実施形態では、化合物1、化合物2または化合物3のいずれかに対するアジピン酸の比は、約3~0.5、またはその間の任意の比である。いくつかの実施形態では、化合物1、化合物2または化合物3のいずれかに対するアジピン酸の比は、約2~0.5、またはその間の任意の比である。いくつかの実施形態では、化合物1、化合物2または化合物3のいずれかに対するアジピン酸の比は、約2~1.0、またはその間の任意の比である。
【0323】
いくつかの実施形態では、ゲノム編集効率の向上は、細胞(複数可)にDNAPK阻害剤とゲノム編集系を投与しない条件に比べて、または細胞(複数可)にゲノム編集系のみを投与し、DNAPK阻害剤を投与しない条件に比べて、約1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、または100倍である。
【0324】
DNAPK阻害剤及びゲノム編集系、そのキット及び組成物の使用
特定のゲノム領域を正確に改変するゲノム編集は、大きな治療的可能性を有している。
【0325】
いくつかの実施形態では、1つ以上の標的ゲノム領域におけるDNA切断のHDR経路を介した修復のために、1つ以上の標的ゲノム領域におけるDNA切断のNHEJを介した修復を阻害または抑制するために、及び細胞(複数可)にゲノム編集系及びDNAPK阻害剤を投与することを介して1つ以上の遺伝子またはタンパク質の発現を改変するために、本明細書において1つ以上の標的ゲノム領域の編集方法を提供する。
【0326】
いくつかの実施形態では、本明細書において、1つ以上の標的ゲノム領域を含む1つ以上の細胞に、本明細書に記載のゲノム編集系及びDNAPK阻害剤を投与することを含む、1つ以上の遺伝子またはタンパク質の発現の改変方法を提供し、ゲノム編集系は、標的遺伝子(複数可)の1つ以上の標的ゲノム領域の核酸(複数可)と相互作用し、1つ以上の標的ゲノム領域の編集をもたらし、編集は、標的遺伝子(複数可)に関連する下流の遺伝子(複数可)及び/またはタンパク質(複数可)の発現を改変する。
【0327】
ゲノム編集系は、細胞(複数可)内の標的ゲノム領域を編集することができる任意のゲノム編集系であり得る。例示的なゲノム編集系は上記に詳細に記載されており、例えば、メガヌクレアーゼベースの系、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)ベースの系、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)系、CRISPRベースの系、またはNgAgoベースの系が挙げられ得る。
【0328】
1つ以上の標的ゲノム領域の編集には、任意の種類の遺伝子操作または細胞のゲノム操作が含まれる。1つ以上の標的ゲノム領域の編集には、1つ以上のエンドヌクレアーゼによって行われる細胞(複数可)内のゲノム領域の挿入、欠失、または置換が含まれ得る。ゲノム領域は、DNA、RNA、ポリヌクレオチド、及びオリゴヌクレオチドなどの細胞(複数可)内の遺伝物質を含む。細胞(複数可)内のゲノム領域はまた、細胞(複数可)内に含まれるミトコンドリアまたは葉緑体のゲノムも含む。
【0329】
DNAPK阻害剤は、任意のDNAPK阻害剤であり得る。DNAPK阻害剤は、DNAPKの阻害を引き起こす任意の化合物または物質であり得る。DNAPK阻害剤は、化合物、小分子、抗体、またはヌクレオチド配列であり得る。いくつかの実施形態では、DNAPK阻害剤は、構造式I、構造式II、または構造式II’’によって表される化合物である。いくつかの実施形態では、DNAPK阻害剤は、構造式I’、構造式II’、または構造式II’’’で表される化合物である。いくつかの実施形態では、DNAPK阻害剤は、化合物1、化合物2または化合物3である。いくつかの実施形態では、DNAPK阻害剤は、化合物1、化合物2または化合物3、及びアジピン酸を含む共結晶である。いくつかの実施形態では、化合物1、化合物2または化合物3のいずれかに対するアジピン酸の比は、約5~0.5、またはその間の任意の比である。いくつかの実施形態では、化合物1、化合物2または化合物3のいずれかに対するアジピン酸の比は、約4~0.5、またはその間の任意の比である。いくつかの実施形態では、化合物1、化合物2または化合物3のいずれかに対するアジピン酸の比は、約3~0.5、またはその間の任意の比である。いくつかの実施形態では、化合物1、化合物2または化合物3のいずれかに対するアジピン酸の比は、約2~0.5、またはその間の任意の比である。いくつかの実施形態では、化合物1、化合物2または化合物3のいずれかに対するアジピン酸の比は、約2~1.0、またはその間の任意の比である。いくつかの実施形態では、NHEJ阻害剤は、構造式I、I’、II、II’、II’’、II’’’、III、III’、またはそれらの任意の組み合わせによって表される化合物である。
【0330】
いくつかの実施形態では、本明細書において、1つ以上の細胞にゲノム編集系及びDNAPK阻害剤を投与することを含む、対象の細胞(複数可)内の1つ以上の標的ゲノム領域の編集を必要とする疾患または病態を有する対象の治療方法を提供する。
【0331】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供する方法を用いて、経路における遺伝子、RNA分子、タンパク質、タンパク質の群、または下流のタンパク質の発現を改変する。そのような改変を用いて、後天性もしくは遺伝性のいずれかであるか、または老化プロセスによる、疾患、機能不全、異常な生体恒常性を治療することができる。本明細書中で使用する場合、用語「改変する」または「改変すること」には、調節、増強、減少、増加、挿入、削除、ノックアウト、ノックインなどが含まれる。
【0332】
当業者は、後天性もしくは遺伝性、または獲得した疾患が、遺伝子またはタンパク質機能の関与を含む恒常性メカニズムの調節異常を伴うことを理解している。この目的のために、当業者は、本明細書において提供する方法を使用して、対象における他の遺伝子機能を調節、改変、増強、減少、または提供することができる。
【0333】
細胞(複数可)内の遺伝子の発現及びその結果としてのタンパク質の発現を改変することは、本明細書において提供する方法によって、例えば、任意のエキソン、イントロン、転写開始部位、プロモーター領域、エンハンサー領域、サイレンサー領域、インスレーター領域、抗リプレッサー、翻訳後調節エレメント、ポリアデニル化シグナル(例、最小ポリA)、保存領域、転写因子結合部位、またはそれらの任意の組み合わせにおける核酸配列を特異的に編集(例えば置換、挿入または欠失、それらの任意の組み合わせ)することによって、達成することができる。
【0334】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供する方法、キット及び組成物を使用して、がんを有する対象を治療する。がんまたはがんに関連する病態を有する対象の治療方法は、対象の細胞(複数可)にDNAPK阻害剤及びゲノム編集系を投与することを含む。DNAPK阻害剤及びゲノム編集系の投与は、in vivoまたはex vivoであり得る。
【0335】
がんは任意の種類のがんであり得る。がんには、乳房、卵巣、前立腺、肺、腎臓、胃、結腸、精巣、頭頸部、膵臓、脳、黒色腫などの固形腫瘍、及び他の臓器組織腫瘍、ならびに急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、T細胞リンパ性白血病、及びB細胞リンパ腫を含むリンパ腫及び白血病などの血球の癌が含まれる。がんには、黒色腫、白血病、星細胞腫、膠芽腫、リンパ腫、神経膠腫、ホジキンリンパ腫、慢性リンパ球性白血病及び膵臓、乳房、甲状腺、卵巣、子宮、精巣、下垂体、腎臓、胃、食道及び直腸の癌が含まれ得る。
【0336】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供する方法、キット、及び組成物を用いて、以下のがんのうちのいずれか1つ以上を有する対象を治療する:急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、エイズ関連癌、エイズ関連リンパ腫、肛門癌、虫垂癌、小児小脳または大脳星細胞腫、基底細胞癌、肝外胆管癌(胆管細胞癌参照)、膀胱癌、骨腫瘍、骨肉腫/悪性線維性組織球腫、脳幹神経膠腫、脳癌、脳腫瘍(小脳星細胞腫)、脳腫瘍(大脳星細胞腫/悪性神経膠腫)、脳腫瘍(上衣腫)、脳腫瘍(髄芽腫)、脳腫瘍(テント上原始神経外胚葉性腫瘍)、脳腫瘍(視覚経路及び視床下部神経膠腫)、乳癌、気管支腺腫/気管支カルチノイド、バーキットリンパ腫、小児カルチノイド腫瘍、消化管カルチノイド腫瘍、原発不明の癌腫、原発性中枢神経系リンパ腫、小児小脳星細胞腫、小児大脳星細胞腫/悪性神経膠腫、子宮頸癌、小児癌、軟骨肉腫、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性疾患、結腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、子宮内膜癌、上衣腫、類上皮血管内皮腫(EHE)、食道癌、ユーイング腫瘍のユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管癌、眼癌(眼球内黒色腫)、眼癌(網膜芽細胞腫)、胆嚢癌、胃(gastric)(胃(stomach))癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、頭蓋外、性腺外、または卵巣の生殖細胞腫、妊娠性絨毛腫瘍、脳幹の神経膠腫、神経膠腫(小児大脳星細胞腫)、小児視覚経路及び視床下部神経膠腫、胃カルチノイド、有毛細胞白血病、頭頸部癌、心臓癌、肝細胞(肝臓)癌、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、小児視床下部及び視覚経路神経膠腫、眼球内黒色腫、膵島細胞癌(膵内分泌部)、カポジ肉腫、腎臓癌(腎細胞癌)、喉頭癌、白血病、急性リンパ芽球性白血病(急性リンパ性白血病とも呼ばれる)、急性骨髄性白血病(急性骨髄白血病とも呼ばれる)、慢性リンパ球性白血病(慢性リンパ性白血病とも呼ばれる)、慢性骨髄性白血病(慢性骨髄白血病とも呼ばれる)、有毛細胞白血病、口唇及び口腔癌、脂肪肉腫、肝癌(原発性)、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、バーキットリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキン(ホジキン以外のすべてのリンパ腫の古い分類)リンパ腫、原発性中枢神経系ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、男性乳癌、骨の悪性線維性組織球腫/骨肉腫、髄芽腫、小児黒色腫、眼球内(眼球)黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、成人期悪性中皮腫、潜在性原発性小児転移性扁平上皮性頸部癌、口腔癌、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞新生物、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、成人急性骨髄性白血病、小児急性骨髄腫、多発性(骨髄癌)、骨髄増殖性疾患、慢性粘液腫、鼻腔及び副鼻腔癌、上咽頭癌、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、乏突起神経膠腫、口腔癌、中咽頭癌、骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫、卵巣癌、卵巣上皮癌(卵巣上皮間質性腫瘍)、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵臓癌、膵島細胞膵臓癌、副鼻腔癌及び鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、松果体星細胞腫、松果体胚細胞腫、松果体芽細胞腫、及びテント上原始神経外胚葉性腫瘍、下垂体腺腫、形質細胞新生物/多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫、原発性中枢神経系リンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌(腎臓癌)、腎盂及び尿管癌、移行上皮癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、肉腫、ユーイング腫瘍、カポジ肉腫、軟部組織肉腫、子宮肉腫、セザリー症候群、皮膚癌(非黒色腫)、皮膚癌(黒色腫)、皮膚癌(メルケル細胞癌)、小細胞肺癌、小腸癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌-皮膚癌(非黒色腫)参照、潜在性原発性転移性扁平上皮頸部癌、胃癌、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、皮膚T細胞リンパ腫(菌状息肉腫及びセザリー症候群)、精巣癌、咽頭癌、胸腺腫、胸腺腫及び胸腺癌、甲状腺癌、甲状腺癌、腎盂及び尿管の移行上皮癌、妊娠性絨毛腫瘍、成人期原発性部位不明癌、小児原発性部位不明癌、尿管及び腎盂移行上皮癌、尿道癌、子宮癌(子宮内膜癌)、子宮肉腫、膣癌、視経路及び視床下部神経膠腫、外陰癌、ワルデンシュトロームマクログロブリン血症、またはウィルムス腫瘍(腎臓癌)。
【0337】
いくつかの実施形態では、がんに関連する例示的な標的遺伝子として、ABL1、ABL2、ACSL3、AF15Q14、AF1Q、AF3p21、AF5q31、AKAP9、A T1、AKT2、ALDH2、AL、AL017、APC、ARHGEF12、ARHH、ARID1A、ARID2、ARNT、ASPSCR1、ASXL1、ATF1、ATIC、ATM、ATRX、AXIN1、BAP1、BCL10、BCL11A、BCL11B、BCL2、BCL3、BCL5、BCL6、BCL7A、BCL9、BCOR、BCR、BHD、BIRC3、BLM、BMPRIA、BRAF、BRCA1、BRCA2、BRD3、BRD4、BRIPI、BTG1、BUB1B、C12orf9、C15orf21、C15orf55、C16orf75、C2orf44、CAMTA1、CANT1、CARD11、CARS、CBFA2T1、CBFA2T3、C.BFB、CBL、CBLB、CBLC、CCDC6、CCNB1IP1、CCND1、CCND2、CCND3、CCNE1、CD273、CD274、CD74、CD79A、CD79B、CDH1、CDH11、CDK12、CDK4、CDK6、CD N2A、CD N2a(pl4)、CD N2C、CDX2、CEBPA、CEP1、CHCHD7、CHEK2、CHIC2、CHN1、CIC、Cin A、CLTC、CLTCL1、CMKOR1、CNOT3、COL1 A1、COPEB、COX6C、CREB1、CREB3L1、CREB3L2、CREBBP、CRLF2、CRTC3、CTNNB1、CYLD、D10S170、DAXX、DDB2、DDIT3、DDX10、DDX5、DDX6、DEK、D1CER1、DNM2、DNMT3A、DUX4、EBFI、ECT2L、EGFR、E1F4A2、ELF4、ELK4、ELKS、ELL、ELN、EML4、EP300、EPS 15、ERBB2、ERCC2、ERCC3、ERCC4、ERCC5、ERG、ETV1、ETV4、ETV5、ETV6、EVI1、EWSR1、EXT1、EXT2、EZH2、EZR、FACL6、FAM22A、FAM22B、FAM46C、1ANCA、EANCC、FANCD2、FANCE、FANCF、FANCG、FBXOl 1、FBXW7、FCGR2B、FEV、FGFR1、FGFRIOP、FGFR2、FGFR3、FTI、FIIIT、FIP1L1、FLU、FLJ27352、FLT3、FNBP1、FOXL2、FOXOIA、FOX03A、FOXP1、FSTL3、FUBP1、FUS、FVT1、GAS7、GATA1、GATA2、GATA3、GMPS、GNA11、GNAQ、GNAS、GOLGA5、GOPC、GPC3、GPHN、GRAF、H3F3A、IICMOGT-1、IIEAB、HERPUD1、IIEY1、IIIP1、HIST1IT3B、IIIST1II4I、IILF、HLXB9、HMGA1、HMGA2、HNRNPA2BI、HOOK3、HOXA11、HOXA13、HOXA9、HOXC11、HOXC13、HOXD11、HOXD13、HRAS、IIRPT2、HSPCA、HSPCB、IDH1、IDH2、IGH、IGK、IGL、IKZF1、IL2、TL21R、IL6ST、IL7R、IRF4、IRTA1、ITK、JAK1、JAK2、JAK3、JAZF1、JUN、KCNJ5、KDM5A、KDM5C、KDM6A、KDR、KIAA1549、KIF5B、KIT、KLF4、KLK2、KRAS、KTN1、LAF4、LASP1、LCK、LCP1、LCX、LHFP、LIFR、LMO1、LM02、LPP、LRIG3、LYL1、MADH4、MAF、MAFB、MALT1、MAML2、MAP2KL MAP2K2、ΜλΡ2Κ4、MAX、MDM2、MDM4、MDS1、MDS2、MECT1、MED12、MEN1、MET、MITF、MKL1、MLF1、MLII1、MLL、MLL2、MLL3、MLLT1、MLLT10、MLLT2、MLLT3、MLLT4、MLLT6、MLLT7、MN1、MPL、MSF、MSH2、MSH6、MSI2、MSN、MTCP1、MUC1、MUTYH、MYB、MYC、MYCL1、MYCN、MYD88、MYH11、MYH9、MYST4、NACA、NBS1、NCOA1、NCOA2、NCOA4、NDRG1、NF1、NF2、NFE2L2、NFIB、NFKB2、NIN、NKX2-1、NONO、NOTCH I、NOTCH2、NPM1、NR4A3、NRAS、NSD1、NT5C2、NTRK1、NTRK3、NUMA1、NUP214、NUP98、OLIG2、OMD、P2RY8、PAFAH1B2、PALB 2、PAX3、PAX5、PAX7、PAX8、PBRM1、PBX1、PCM1、PCSK7、PDE4DIP、PDGFB、PDGFRA、PDGFRB、PERI、PIIF6、PHOX2B、PICALM、PIK3CA、PIK3R1、PIM1、PLAG 1、PML、PMS1、PMS2、PMX1、PNUTL1、POT1、POU2AF1、POU5F1、PPARG、PPP2R1A、PRCC、PRDM1、PRDM16、PRF1、PRKAR1 A、PRO1073、PSIP2、PTCH、PTEN、PTPN11、RAB5EP、RAC1、RAD51L1、RAF1、RALGDS、RANBP17、RAPIGDSI、RARA、RBI、RBM15、RECQL4、REL、RET、RNF43、ROS1、RPL10、RPL22、RPL5、RPN1、RUNDC2A、RUNX1、RUNXBP2、SBDS、SDC4、SDH5、SDHB、SDHC、SDHD、SEPT6、SET、SETBP1、SETD2、SF3B1、SFPQ、SFRS3、SH2B3、SH3GL1、SIL、SLC34A2、SLC45A3、SMARCA4、SMARCB1、SMARCE1、SMO、SOCS1、SOX2、SRGAP3、SRSF2、SSI8、SS18L1、SSH3BP1、SSX1、SSX2、SSX4、STAT3、STK11、STL、SUFU、SIJZ12、SYK、TAF15、TALI、TAL2、TCEA1、TCF1、TCF12、TCF3、TCF7L2、TCL1A、TCL6、TERT、TET2、TFE3、TFEB、TFG、TFPT、TFRC、THRAP3、TIF1、TLX1、TLX 3、TMPRSS2、TNFAIP3、TNFRSF14、TNFRSF17、TNFRSF6、TOPI、TP53、TPM3、TPM4、TPR、TRA、TRAF7、TRB、TRD、TRIM27、TRIM33、TRIP11、TSC1、TSC2、TSHR、TTL、U2AF1、USP6、VHL、VTUA、WAS、WHSC1、WHSC1L1、WIF1、WRN、WT1、WTX、WWTR1、XPA、XPC、XPO1、YWHAE、ZNF145、ZNF198、ZNF278、ZNF331、ZNF384、ZNF521、ZNF9、ZRSR2またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0338】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供する方法を用いて、遺伝性疾患を有する対象を治療する。遺伝性の疾患もしくは病態、すなわち遺伝性疾患を有する対象の治療方法は、対象の細胞(複数可)にDNAPK阻害剤及びゲノム編集系を投与することを含む。DNAPK阻害剤及びゲノム編集系の投与は、in vivoまたはex vivoであり得る。
【0339】
遺伝性疾患は、染色体領域における突然変異または重複から(例えば、点突然変異、欠失、挿入、フレームシフト、染色体の重複または欠失から)生じ得る。遺伝性疾患は任意の遺伝性疾患であり得る。
【0340】
いくつかの実施形態では、遺伝性疾患は、22q11.2欠失症候群、アンジェルマン症候群、カナバン病、シャルコー・マリー・トゥース病、色盲、ネコ鳴き症候群、ダウン症候群、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ヘマトクロマトーシス、血友病、クラインフェルター症候群、神経線維腫症、フェニルケトン尿症、多発性嚢胞腎疾患、プラダーウィリ症候群、鎌状赤血球症、脊髄性筋萎縮症、脊髄性筋萎縮症、テイ-サックス病、ターナー症候群、異常ヘモグロビン症、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0341】
いくつかの実施形態では、遺伝性疾患は、1p36欠失症候群、18p欠失症候群、21水酸化酵素欠損症、47XXX(トリプルX症候群)、47XXY(クラインフェルター症候群)、5-ALA脱水酵素欠損性ポルフィリン症、ALA脱水酵素欠損症、5-アミノレブリン酸脱水酵素欠損性ポルフィリン症、5p欠失症候群、ネコ鳴き症候群(別名5p-症候群)、毛細血管拡張性運動失調症(別名AT)、α1アンチトリプシン欠損症(AAT)、無セルロプラスミン血症、軟骨無発生症II型(ACG2)、軟骨無形成症(ACH)、酸性βグルコシダーゼ欠損症、ゴーシェ病(任意の型、例えば、1型、2型、3型)、尖頭合指症(アペール)、アペール症候群、尖頭合指症(任意の型、例えば、1型、2型、3型、5型)、パイフェル症候群、尖頭症、急性脳ゴーシェ病、急性間欠性ポルフィリン症、(AIP)ACY2欠損症、アルツハイマー病(AD)、アデレイド型頭蓋縫合早期癒合症、ミュエンク症候群、大腸腺腫症、家族性大腸腺腫症、大腸腺腫症、家族性大腸腺腫症(ADP)、、アデニロコハク酸リアーゼ欠損症、副腎障害、副腎性器症候群、副腎白質ジストロフィー、アンドロゲン不応症(AIS)、アルカプトン尿症(AKU)、ALA脱水酵素欠損性ポルフィリン症、ALA-Dポルフィリン症、ALA脱水酵素欠損症、アラジール症候群、白皮症、アルカプトン尿症、アルカプトン尿症、アレキサンダー病、アルカプトン尿症、アルカプトン尿性オクロノーシス、アルカプトン尿症、α-1プロテイナーゼインヒビター疾患、α-1関連肺気腫、α-ガラクトシダーゼA欠損症、ファブリー病、アルストレム症候群、アレキサンダー病(ALX)、遺伝性エナメル質形成不全症、アミノレブリン酸脱水酵素欠損症、アミノアシラーゼ2欠損症、カナバン病、アンダーソン-ファブリー病、アンドロゲン不応症、遺伝性鉄芽球性貧血、X連鎖鉄芽球性脾性貧血及び/または家族性貧血、びまん性体部被角血管腫、びまん性角化血管腫、網膜血管腫症、フォン・ヒッペル-リンドウ病、ライデン型APC不応症、第V因子ライデン栓友病、アペール症候群、AR欠損症、アンドロゲン不応症、シャルコー・マリー・トゥース病(任意の型、例えば、CMT1、CMTX、CMT2、CMT4、重度早期発症CMT)、クモ指症、マルファン症候群、ARNSHL、非症候性難聴(常染色体劣性、常染色体優性、x連鎖、またはミトコンドリア)、遺伝性進行性関節眼疾患、スティックラー症候群(例えば、COL2A1、COL11A1、COL11A2、COL9A1)、先天性多発性関節弛緩症、エーラース-ダンロス症候群(例えば、関節可動亢進型、多発性関節弛緩型、古典型、血管型、後側彎型、皮膚弛緩型)、Asp欠損症、Aspa欠損症、アスパルトアシラーゼ欠損症、毛細血管拡張性運動失調症、自閉症-認知症-運動失調-目的のない手の動き症候群、レット症候群、常染色体優性若年型ALS、常染色体優性opitz G/BBB症候群、常染色体劣性若年型ALS 3型、筋萎縮性側索硬化症(任意の型;例えば、ALS1、ALS2、ALS3、ALS4、ALS5、ALS5、ALS6、ALS7、ALS8、ALS9、ALS10、ALS11、ALS12、ALS13、ALS14、ALS15、ALS16、ALS17、ALS18、ALS19、ALS20、ALS21、ALS22、FTDALS1、FTDALS2、FTDALS3、FTDALS4、FTDALS4、IBMPFD2)、常染色体劣性非症候性難聴、常染色体劣性感音難聴、ペンドレッド症候群、アレキサンダー病(AxD)、アイエルザ症候群、家族性肺動脈性肺高血圧症、ヘキソサミニダーゼGM2ガングリオシドーシスのBバリアント、サンドホフ病、BANF関連障害、神経線維腫症(任意の型、例えば、NF1、NF2、神経鞘腫症)、ベーレ-スティーブンソン脳回状頭皮症候群、良性発作性腹膜炎、ベンジャミン症候群、βサラセミア、BH4欠損症、テトラヒドロビオプテリン欠損症、両側性聴神経腫瘍、ビオチニダーゼ欠損症、膀胱癌、出血性疾患、第V因子ライデン栓友病、ブロッホ・ズルツベルガー症候群、色素失調症、ブルーム症候群、骨疾患、ブルタヴィーユ病、結節性硬化症、脳疾患、プリオン病、乳癌、バート-ホッグ-デュベ症候群、骨粗鬆症、骨形成不全症、広幅指-母趾症候群、ルビンシュタイン-テイビ症候群、青銅糖尿病、ヘモクロマトーシス、青銅硬変、球脊髄性筋萎縮症、X連鎖球脊髄性筋萎縮症、ビュルガー-グリュッツ症候群、リポタンパク質リパーゼ欠損症、家族性CADASIL症候群、CGD慢性肉芽腫性障害、屈曲肢異形成症、家族性がん症候群、遺伝性非ポリポーシス大腸癌、乳癌、膀胱癌、カルボキシラーゼ欠損症、多発性遅発性ビオチニダーゼ欠損症、ネコ鳴き症候群、ケーラー心臓面症候群、セラミドトリヘキソシダーゼ欠損症、家族性フォン・ヒッペル-リンドウ病、脳動脈障害、CADASIL症候群、脳常染色体優性動脈障害、CADASIL症候群、大脳萎縮性高アンモニア血症、レット症候群、セレブロシドリピドーシス症候群、シャルコー病、CHARGE症候群、軟骨形成異常症、軟骨形成異常症症候群、軟骨異栄養症-感音性難聴、耳脊椎巨大骨端異形成、軟骨形成不全症、舞踏病アテトーゼ自傷行為高尿酸血症症候群、レッシュ-ナイハン症候群、古典的ガラクトース血症、ガラクトース血症、口唇口蓋裂、スティックラー症候群、クローバ形頭蓋-致死性小人症、致死性骨異形成症(例えば、1型または2型)、コフィン-ローリー症候群(CLS)、コケイン症候群、コフィン-ローリー症候群、コラーゲン異常症II型及びXI型、家族性非ポリポーシス、遺伝性非ポリポーシス大腸癌、家族性大腸癌、家族性大腸腺腫症、大腸癌、完全HPRT欠損症、レッシュ-ナイハン症候群、完全ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損症、圧迫性ニューロパチー、圧迫性麻痺傾向を伴う遺伝性ニューロパチー、結合組織病、円錐動脈幹異常顔貌症候群、クーリー貧血、βサラセミア、銅蓄積症、ウィルソン病、銅輸送病、メンケス病、コプロポルフィリン症、遺伝性コプロポルフィリン症、コプロポルフィリノーゲン酸化酵素欠損症、カウデン病、CPX欠損症、頭蓋顔面関節異常、クルーゾン症候群、頭蓋顔面異骨症、クルーゾン症候群、クローン病、線維性狭窄、クルーゾン症候群、黒色表皮腫を伴うクルーゾン症候群、クルーゾン外骨格症候群、クルーゾン外骨格症候群、コケイン症候群(CS)、カウデン病、クルシュマン-バッテン-シュタイナート症候群、ベーレ-スティーブンソン脳回状頭皮症候群、ベーレ-スティーブンソン脳回状頭皮症候群、D-グリセリン酸脱水素酵素欠損症、高シュウ酸尿症、原発性まだらの骨幹端症候群、Strudwick型脊椎骨端骨幹端異形成、アルツハイマー型認知症(DAT)、遺伝性高カルシウム尿症、デント病、筋ジストロフィー(例えば、デュシェンヌ型及びベッカー型)、甲状腺腫を伴う難聴、ペンドレッド症候群、難聴色素性網膜炎症候群、アッシャー症候群、フェニルアラニン水酸化酵素欠損症、神経変性疾患、de Grouchy症候群1、De Grouchy症候群、デジェリン-ソッタス症候群、δアミノレブリン酸脱水酵素欠損性ポルフィリン症、認知症、CADASIL症候群、脱髄型白質ジストロフィー、アレキサンダー病、皮膚弛緩型エーラース-ダンロス症候群、皮膚脆弱症、遺伝性発達障害、遠位遺伝性運動ニューロパチー(dHMN)、遠位遺伝性運動ニューロパチー(例えば、DHMN-V)、DHTR欠損症、アンドロゲン不応症、びまん性グロボイド体硬化症、クラッベ病、ディジョージ症候群、ジヒドロテストステロン受容体欠損症、アンドロゲン不応症、遠位遺伝性運動ニューロパチー、筋緊張性ジストロフィー(1型または2型)、遠位型脊髄性筋萎縮症(任意の型、例えば、1型、2型、3型、4型、5型、6型を含む)、デュシェンヌ型/ベッカー型筋ジストロフィー、小人症(任意の型、例えば、軟骨形成不全型、軟骨無形成型、致死性骨異形成型)、低身長-網膜萎縮-難聴症候群、コケイン症候群、髄鞘形成不全型白質ジストロフィー、アレキサンダー病、筋強直性ジストロフィー、異栄養網膜色素性骨形成不全症候群、アッシャー症候群、早期発症型家族性アルツハイマー病(EOFAD)、アルツハイマー病(例えば、1型、2型、3型、または4型を含む)エクマン-ロブスタイン病、骨形成不全症、絞扼性ニューロパチー、圧迫性麻痺傾向を伴う遺伝性ニューロパチー、赤血球生成性プロトポルフィリン症(EPP)、赤芽球性貧血、βサラセミア、骨髄性プロトポルフィリン症、赤血球5-アミノレブリン酸シンテターゼ欠損症、X連鎖鉄芽球性貧血、眼癌、網膜芽細胞腫FA-フリードライヒ運動失調症、フリードライヒ運動失調症、FA、ファンコニー貧血、顔面損傷及び障害、第V因子ライデン栓友病、FALS、筋萎縮性側索硬化症、家族性聴神経腫瘍、家族性大腸腺腫症、家族性アルツハイマー病(FAD)、家族性筋萎縮性側索硬化症、筋萎縮性側索硬化症、家族性自律神経失調症、家族性脂肪性高トリグリセリド血症、家族性リポタンパク質リパーゼ欠損症、家族性ヘモクロマトーシス、ヘモクロマトーシス、家族性LPL欠損症、家族性リポタンパク質リパーゼ欠損症、家族性非ポリポーシス大腸癌、遺伝性非ポリポーシス大腸癌、家族性発作性多漿膜炎、家族性PCT、晩発性皮膚ポルフィリン症、家族性圧過敏性ニューロパチー、圧迫性麻痺傾向を伴う遺伝性ニューロパチー、家族性原発性肺高血圧症(FPPH)、家族性血管性白質脳症、CADASIL 症候群、FAP、家族性大腸腺腫症、FD、家族性自律神経失調症、フェロキラターゼ欠損症、フェロポーチン病、ヘモクロマトーシス(任意の型、例えば、1型、2A型、2B型、3型、4型、新生児ヘモクロマトーシス、無セルロプラスミン血症、先天性無トランスフェリン血症、gracile症候群)、周期熱症候群、家族性地中海熱(FMF)、FG症候群、FGFR3関連冠状縫合骨癒合症、星状細胞のフィブリノイド変性、アレキサンダー病、膵臓の線維嚢胞性疾患、フォリング病、fra(X)症候群、脆弱X症候群、骨脆弱症、骨形成不全症、FRAXA症候群、フリードライヒ運動失調症(FRDA)、G6PD欠損症、ガラクトキナーゼ欠損症、ガラクトース血症、ガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ欠損症、ガラクトース血症、ガラクトシルセラミダーゼ欠損症、クラッベ病、ガラクトシルセラミドリピドーシス、クラッベ病、ガラクトシルセレブロシダーゼ欠損症、ガラクトシルスフィンゴシンリピドーシス、GALC欠損症、GALT欠損症、ガラクトース血症、ゴーシェ病様蓄積症、擬似ゴーシェ病、GBA欠損症、遺伝性脳障害、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、ヘモクロマトーシス、新生児巨細胞性肝炎、新生児ヘモクロマトーシス、GLA欠損症、網膜神経膠芽腫、網膜芽細胞腫、網膜神経膠腫、網膜芽細胞腫、グロボイド細胞白質ジストロフィー(GCL、GLD)、クラッベ病、グロボイド細胞白質脳症、グルコセレブロシドシダーゼ欠損症、グルコセレブロシドーシス、グルコシルセレブロシドリピドーシス、グルコシルセラミダーゼ欠損症、グルコシルセラミドβグルコシダーゼ欠損症、グルコシルセラミドリピドーシス、グリセリン酸尿症、原発性高シュウ酸尿症、グリシン脳症、非ケトーシス型高グリシン血症、グリコール酸尿症、原発性高シュウ酸尿症、GM2ガングリオシドーシス、テイ-サックス病、甲状腺腫-難聴症候群、ペンドレッド症候群、グレーフ-アッシャー症候群、アッシャー症候群、グレンブラッド-ストランドベリー症候群、弾性線維性仮性黄色腫、ヘモクロマトーシス、ヘモクロマトーシス、ハルグレン症候群、アッシャー症候群、ハーレクイン型魚鱗癬、Hb S病、軟骨低形成症(HCH)、遺伝性コプロポルフィリン症(HCP)、頭部及び脳の奇形、聴覚障害及び難聴、小児における聴覚障害、HEF2A、HEF2B、、ヘマトポルフィリン症、ポルフィリン症、ヘム合成酵素欠損症、ヘモクロマトーシス、ヘモグロビンM病、βグロビン型メトヘモグロビン血症、ヘモグロビ
ンS病、血友病、骨髄肝性ポルフィリン症(HEP)、肝性AGT欠損症、原発性高シュウ酸血症、肝レンズ核変性症候群、ウィルソン病、遺伝性関節眼症、スティックラー症候群、遺伝性異所性リピドーシス、遺伝性ヘモクロマトーシス(HHC)、ヘモクロマトーシス、遺伝性出血性末梢血管拡張症(HHT)、遺伝性封入体ミオパチー、骨格筋再生、遺伝性鉄付加性貧血、X連鎖鉄芽球性貧血、遺伝性運動性感覚性ニューロパチー、遺伝性運動神経細胞障害V型、遠位性遺伝性運動ニューロパチー、遺伝性多発性外骨腫、遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌、遺伝性周期性発熱症候群、遺伝性大腸腺腫症、家族性大腸腺腫症、遺伝性肺気腫、活性型プロテインCに対する遺伝性抵抗性、第V因子ライデン栓友病、遺伝性感覚性自律神経性ニューロパチーIII型、家族性自律神経失調症、遺伝性痙性対麻痺、乳児期発症上行性遺伝性痙性対麻痺、遺伝性脊椎性運動失調症、フリードライヒ運動失調症、遺伝性脊髄硬化症、フリードライヒ運動失調症、ヘリック貧血症、ヘテロ接合性OSMED、ヴァイセンバッヒャー-ツヴァイミュラー症候群、ヘテロ接合性耳脊椎巨大骨端異形成、ヴァイセンバッヒャー-ツヴァイミュラー症候群、HexA欠損症、テイ-サックス病、ヘキソサミニダーゼA 欠損症、テイ-サックス病、ヘキソサミニダーゼαサブユニット欠損症(任意のバリアント、例えば、バリアントA、バリアントB)、テイ-サックス病、HFE関連ヘモクロマトーシス、ヘモクロマトーシス、HGPS、早老症、ヒッペル-リンドウ病、フォン・ヒッペル-リンドウ病、ヘモクロマトーシス(HLAH)、、遠位遺伝性運動神経障害(HMN V)、、遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)、、圧迫性麻痺傾向を伴う遺伝性ニューロパチー(HNPP)、ホモシスチン尿症、ホモゲンチジン酸酸化酵素欠損症、アルカプトン尿症、ホモゲンチジン酸尿症、アルカプトン尿症、ホモ接合性晩発性皮膚ポルフィリン症、骨髄肝性ポルフィリン症、、原発性高シュウ酸尿症(HP1)、、高シュウ酸尿症(HP2)、高フェニルアラニン血症(HPA)、HPRT-ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損症、レッシュ-ナイハン症候群、HSAN III型、家族性自律神経失調症、家族性自律神経失調症(HSAN3)、遺伝性感覚性ニューロパチー(任意の型、例えば、HSN-I、HSN-II、HSN-III)、家族性自律神経失調症、ヒト皮膚脆弱症、ハンチントン病、ハッチンソン-ギルフォード早老症候群、早老症、21水酸化酵素欠損症による非古典型アンドロゲン過剰症、高カイロミクロン血症、家族性リポタンパク質リパーゼ欠損症(家族性)、ケトアシドーシス及び白血球減少症を伴う高グリシン血症、プロピオン酸血症、I型高リポタンパク血症、リポタンパク質リパーゼ欠損症、家族性高シュウ酸尿症、原発性高フェニルアラニン血症、高フェニルアラニン血症、高フェニルアラニン血症、軟骨低形成症、軟骨低形成症、軟骨低発生症、軟骨低形成症、低色素性貧血、X連鎖鉄芽球性貧血、ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)欠損症、レッシュ-ナイハン症候群、乳児期発症上行性遺伝性痙性対麻痺(IAHSP)、ICF症候群、免疫不全、動原体不安定性及び顔面奇形症候群、特発性ヘモクロマトーシス、ヘモクロマトーシス3型、特発性新生児ヘモクロマトーシス、新生児ヘモクロマトーシス、特発性肺高血圧症、免疫系障害、X連鎖重症複合免疫不全症、色素失調症、乳児脳性ゴーシェ病、乳児ゴーシェ病、乳児期発症上行性遺伝性痙性対麻痺、不妊症、遺伝性肺気腫、遺伝性圧迫性麻痺傾向、Insley-Astley症候群、耳脊椎巨大骨端異形成、間欠性急性ポルフィリン症症候群、急性間欠性ポルフィリン症、腸ポリポーシス-皮膚色素沈着症候群、ポイツ-ジェガース症候群、、色素失調症(IP)、鉄蓄積障害、ヘモクロマトーシス、イソジセントリック15、イソジセントリック15、非症候性難聴、非症候性難聴、ジャクソン-ワイス症候群、ジュベール症候群、、若年性原発性側索硬化症(JPLS)、若年性筋萎縮性側索硬化症、若年性痛風、舞踏病アテトーゼ、精神遅滞症候群、レッシュ-ナイハン症候群、若年性高尿酸血症症候群、レッシュ-ナイハン症候群、、ジャクソン-ワイス症候群(JWS)、球脊髄性筋萎縮症、ケネディ病、球脊髄性筋萎縮症、ケネディ球脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、ケラシン組織球増殖症、ケラシンリポイドーシス、ケラシン蓄積症、ケトーシス型グリシン血症、プロピオン酸血症、ケトーシス型高グリシン血症、プロピオン酸血症、腎臓病、原発性高シュウ酸尿症、Kniest骨異形成症、クラッベ病、クーゲルベルク-ヴェランダー病、脊髄性筋萎縮症、まだら認知症、CADASIL症候群、Langer-Saldino型軟骨無発生症、Langer-Saldino型軟骨低形成症、遅発性アルツハイマー病、遅発性クラッベ病(LOKD)、クラッベ病、学習障害、学習障害、口周囲多発性黒子症候群、ポイツ-ジェガース症候群、レッシュ-ナイハン症候群、白質ジストロフィー、ローゼンタール線維を伴う白質ジストロフィー、アレキサンダー病、海綿状白質ジストロフィー、リー-フラウメニ症候群(LFS)、リー-フラウメニ症候群、リパーゼD欠損症、リポタンパク質リパーゼ欠損症、家族性LIPD欠損症、リポタンパク質リパーゼ欠損症、家族性セレブロシド蓄積症、乳児ガングリオシド蓄積症、テイ-サックス病、リポイド組織球増殖症(ケラシン型)、リポタンパク質リパーゼ欠損症、家族性肝疾患、ガラクトース血症、ルーゲーリック病、ルイ-バー症候群、毛細血管拡張性運動失調症、リンチ症候群、遺伝性非ポリポーシス大腸癌、リジルヒドロキシラーゼ欠損症、マシャド-ジョセフ病、脊髄小脳失調症(任意の型、例えば、SCA1、SCA2、SCA3、SCA18、SCA20、SCA21、SCA23、SCA26、SCA28、SCA29)、男性乳癌、乳癌、男性性器疾患、乳房の悪性新生物、乳癌、乳癌の悪性腫瘍、乳癌、膀胱の悪性腫瘍、膀胱癌、乳癌、乳癌、マルファン症候群、マーカーX症候群、脆弱X症候群、マーティン-ベル症候群、脆弱X症候群、マキューン-オルブライト症候群、マクラウド症候群、MEDNIK症候群、地中海性貧血症、βサラセミア、巨大骨端性小人症、耳脊椎巨大骨端異形成症、メンケア病、メンケス病、メンケス病、骨軟骨異常を伴う精神遅滞、コフィン-ローリー症候群、メタボリック障害、変容性小人症II型、Kniest骨異形成症、変容性小人症II型、Kniest骨異形成症、メトヘモグロビン血症(任意の型、例えば、先天性、β-グロビン型、先天性メトヘモグロビン血症II型)、メチルマロン酸血症、マルファン症候群(MFS)、MHAM、カウデン病、マイクロ症候群、小頭症、MMA、メチルマロン酸血症、メンケス病(別名MKまたはMNK)、モノソミー1p36症候群、運動ニューロン疾患、筋萎縮性側索硬化症、筋萎縮性側索硬化症、運動障害、モワット-ウィルソン症候群、ムコ多糖症(MPS I)、嚢胞性線維症、多発脳梗塞性認知症、CADASIL症候群、多発性カルボキシラーゼ欠損症、遅発性ビオチニダーゼ欠損症、多発性過誤腫症候群、カウデン病、多発性神経線維腫症、筋ジストロフィー(任意の型、例えば、デュシェンヌ型及びベッカー型を含む)、萎縮性筋緊張症、筋緊張性ジストロフィー、筋強直性ジストロフィー、Nance-Insley症候群、耳脊椎巨大骨端異形成、Nance-Sweeney軟骨異形成、耳脊椎巨大骨端異形成、NBIA1、パントテン酸キナーゼ関連神経変性、ニール-ディングウォール症候群、コケイン症候群、網膜神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、脳内鉄蓄積型1型神経変性、パントテン酸キナーゼ関連神経変性、神経疾患、神経筋障害、、遠位性遺伝性運動神経障害、ニーマンピック病、ニーマンピック病、ノアク症候群、非ケトーシス型高グリシン血症、グリシン脳症、非神経障害性ゴーシェ病、非フェニルケトン尿症型高フェニルアラニン血症、テトラヒドロビオプテリン欠損症、非症候性難聴、ヌーナン症候群、Norrbottnianゴーシェ病、オクロノーシス、アルカプトン尿症、アルカプトン尿性関節炎、アルカプトン尿症、Ogden症候群、骨形成不全症(OI)、オスラー-ウェーバー-ランデュ病、遺伝性出血性毛細血管拡張症、OSMED、耳脊椎巨大骨端異形成症、骨形成不全症、骨脆弱症、骨形成不全症、先天性骨硬化症、耳脊椎巨大骨端異形成症、耳脊椎巨大骨端異形成症、耳脊椎巨大骨端異形成症、シュウ酸症、原発性高シュウ酸尿症、原発性シュウ酸尿症、原発性高シュウ酸尿症、パントテン酸キナーゼ関連神経変性症、パトー症候群(13トリソミー)、PBGD欠損症、急性間欠性ポルフィリン症、PCC欠損症、プロピオン酸血症、、晩発性皮膚ポルフィリン症(PCT)、PDM病、ペンドレッド症候群、周期性疾患、地中海性発熱、家族性周期性腹膜炎、口周囲多発性黒子症症候群、ポイツ-ジェガース症候群、末梢神経障害、家族性自律神経障害、末梢性神経線維腫症、腓骨筋萎縮症、ペルオキシソームアラニン:グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ欠損症、高シュウ酸尿症、原発性ポイツ-ジェガース症候群、フェニルアラニン水酸化酵素欠損症、褐色細胞腫、フォン・ヒッペル-リンドウ病、胎児性軟骨異形成を伴うピエール-ロバン症候群、ヴァイセンバッハー-ツヴェイミューラー症候群、色素性硬変症、ヘモクロマトーシス、、ポイツ-ジェガース症候群(PJS)、パントテン酸キナーゼ関連神経変性(PKAN)、PKU、フェニルケトン尿症、鉛ポルフィリン症、ALA欠損ポルフィリン症、PMA、多発性嚢胞腎疾患、多骨性線維性骨異形成症、マキューン-オルブライト症候群、家族性大腸腺腫症、、過誤腫性大腸ポリポーシス、ポリープ及び色素斑症候群、ポイツ-ジェガース症候群、ポルフォビリノーゲン合成酵素欠損症、ALA欠損ポルフィリン症、ポルフィリン障害、PPOX欠損症、異型ポルフィリン症、プラダー-ラープハルト-ウィリー症候群、プラダー-ウィリー症候群、初老及び老人性認知症、原発性線毛機能不全症(PCD)、原発性ヘモクロマトーシス、ヘモクロマトーシス、原発性高尿酸血症症候群、レッシュ-ナイハン症候群、原発性老人性変性性認知症、プロコラーゲン型EDS VII、変異型、、早老症、ハッチンソンギルフォード早老症候群、早老様症候群、コケイン症候群、早老性小人症、コケイン症候群、慢性遺伝性進行性舞踏病(ハンチントン)、ハンチントン病、正常な強膜を伴う進行性変形性骨形成不全症、骨形成不全症(任意の型、例えば、I型、II型、III型、IV型、V型、VI型、VII型、VIII型)、近位筋緊張性ジストロフィー(PROMM)、プロピオン酸血症、プロピオニル-CoAカルボキシラーゼ欠損症、プロテインC欠損症、プロテインS欠損症、プロトポルフィリン症、プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ欠損症、異型ポルフィリン症、多発性筋緊張性ジストロフィー症、筋緊張性ジストロフィー症2型、近位筋緊張性ミオパチー、擬似ゴーシェ病、弾性線維性仮性黄色腫、サイコシンリピドーシス、クラッベ病、肺動脈性肺高血圧症、肺高血圧症、弾性線維性仮性黄色腫(PXE)、弾性線維性仮性黄色腫、、網膜芽細胞腫(Rb)、レックリングハウゼン病、再発性多発性漿膜炎、網膜障害、色素性網膜炎-難聴症候群、アッシャー症候群、網膜芽細胞腫、レット症候群、3型RFALS、リッカー症候群、ライリー-デイ症候群、家族性自律神経障害、ルシー-レヴィ症候群、、ルビンシュタイン-テイビ症候群(RSTS)、、レット症候群(RTS)、ルビンシュタイン-テイビ症候群、ルビンシュタイン-テイビ症候群、サック-バラバス症候群、、SADDAN病、リー及びフラウメニの肉腫症候群、リー-フラウメニ症候群、SBLA症候群(肉腫、乳房、白血病、及び副腎症候群)、リー-フラウメニ症候群、、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)、シュワン腫、両側性聴神経線維腫症II型、シュワルツ-ヤンペル症候群、X連鎖重症複合免疫不全症(SCIDX1)、先天性SED、先天性脊椎
骨端異形成症、Strudwick型SED、Strudwick型脊椎骨端骨幹端異形成症、、先天性脊椎骨端異形成症(SEDc)、脊椎骨端骨幹端異形成症(SEMD)、Strudwick型SEMD、老人性認知症、発達遅滞及び黒色表皮腫を伴う重度の軟骨無形成症、SADDAN病、シュプリンツェン症候群、PHF8遺伝子の突然変異によって引き起こされるSiderius X連鎖精神遅滞症候群、軟骨無形成症(skeleton-skin-brain症候群)、皮膚色素沈着症、脊髄性筋萎縮症(SMA)、脊椎骨幹端骨端異形成症(SMED)(任意の型、例えば、Studwick型、1型)、スミス-レムリ-オピッツ症候群、スミス-マゲニス症候群、南アフリカ遺伝性ポルフィリン症、乳児期発症上行性痙性対麻痺、乳児期発症上行性遺伝性痙性対麻痺、発話及び言語障害、スフィンゴリピドーシス、テイ-サックス病、テイ-サックス病、球脊髄性筋萎縮症、脊髄性筋萎縮症、遠位V型脊髄性筋萎縮症、遠位遺伝性運動性神経障害、上肢優位を伴う遠位脊髄性筋萎縮症、遠位遺伝性運動性神経障害、脊髄小脳失調症、先天性脊椎骨端異形成症、脊椎骨端異形成症、コラーゲン異常症(任意の型、例えば、II型及びXI型)、脊椎骨端骨幹端異形成症、脊椎骨幹端異形成症(SMD)、脊椎骨端骨幹端異形成症、中枢神経系の海綿状変性、脳の海綿状変性、乳児期の白質の海綿状変性、散発性原発性肺高血圧症、SSB症候群、剛毛症候群、メンケス病、スタイナート病、筋緊張性ジストロフィー、スタイナート筋緊張性ジストロフィー症候群、筋緊張性ジストロフィー、スティックラー症候群、脳卒中、CADASIL症候群、Strudwick症候群、亜急性神経障害性ゴーシェ病、スウェーデン遺伝性ポルフィリン症、急性間欠性ポルフィリン症、急性間欠性ポルフィリン症、スイスチーズ軟骨異形成症、Kniest骨異形成症、テイ-サックス病、TD-致死性小人症、致死性異形成症、真っ直ぐな大腿骨とクローバ葉頭蓋を伴うTD、2型致死性小人症、小脳眼皮膚毛細血管拡張症、毛細血管拡張性運動失調症、精巣性女性化症候群、アンドロゲン不応症、テトラヒドロビオプテリン欠損症、精巣性女性化症候群(TFM)、アンドロゲン不応症、中間型サラセミア、βサラセミア、重症型サラセミア、βサラセミア、致死性骨異形成症、活性化プロテインC補因子欠損によるライデン型栓友病、第V因子ライデン栓友病、甲状腺疾患、ソーセージ様ニューロパチー、圧迫性麻痺傾向を伴う遺伝性ニューロパチー、全HPRT欠損症、レッシュ-ナイハン症候群、全ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損症、レッシュ-ナイハン症候群、トレハーコリンズ症候群、三徴候骨脆弱症、トリプルX症候群、トリプロX症候群、トリソミー21トリソミーX、トロアジュ-ハノット-シャウファード症候群、ヘモクロマトーシス、テイ-サックス病(TSD)、結節性硬化症(TSC)、結節性硬化症、ターナー様症候群、ヌーナン症候群、UDP-ガラクトース-4-エピメラーゼ欠損症、ガラクトース血症、UDPグルコース4-エピメラーゼ欠損症、ガラクトース血症、UDPグルコースヘキソース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ欠損症、ガラクトース血症、未分化型難聴、無症候性難聴、UPS欠損症、急性間欠性ポルフィリン症、膀胱癌、膀胱癌、UROD欠損症、ウロポルフィリノーゲンデカルボキシラーゼ欠損症、ウロポルフィリノーゲン合成酵素欠損症、急性間欠性ポルフィリン症、アッシャー症候群、UTPヘキソース-1-リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ欠損症、ガラクトース血症、Van Bogaert-Bertrand症候群、ファン・デル・ヘーヴェ症候群、口蓋心臓顔面症候群、VHL症候群、フォン・ヒッペル-リンドウ病、視覚障害及び盲目、アルストレム症候群、Von Bogaert-Bertrand病、フォン・ヒッペル-リンドウ病、Von Recklenhausen-Applebaum病、ヘモクロマトーシス、フォン・レックリングハウゼン病、神経線維腫症I型、フロリク病、骨形成不全症、ワールデンブルグ症候群、ウォーバーグSjo Fledelius症候群、マイクロ症候群、、ウィルソン病(WD)、ヴァイセンバッハー-ツヴェイミューラー症候群、ウェルドニッヒ-ホフマン病、脊髄性筋萎縮症、ウィリアムズ症候群、ウィルソン病、ウィルソン病、ウィルソン病、ウォルフ-ヒルシュホーン症候群、ウォルフ周期病、ヴァイセンバッハー-ツヴェイミューラー症候群(WZS)、色素性乾皮症、X連鎖性精神遅滞及び巨精巣症、脆弱X症候群、X連鎖原発性高尿酸血症、レッシュ-ナイハン症候群、X連鎖重症複合型免疫不全症、X連鎖鉄芽球性貧血、X連鎖球脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、X連鎖尿酸尿酵素欠損症、レッシュ-ナイハン症候群、X-SCID、X連鎖重症複合免疫不全症、X連鎖鉄芽球性貧血(XLSA)、X-SCID、X連鎖重症複合免疫不全症、X連鎖鉄芽球性貧血(XLSA)、XSCID、X連鎖重症複合免疫不全症、XXX症候群、トリプルX症候群、XXXX症候群、XXXXX症候群、XXXXX、XXY症候群、XXYトリソミー、クラインフェルター症候群、XYY症候群、トリプレットリピート障害、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0342】
ある実施形態では、特定の転写後制御モジュレーターは、DNAPK阻害剤及びゲノム編集系を投与することによって、活性の調節、修飾、増強または低下を標的とする。例えば、転写後制御モジュレーターとして、PARN、PAN、CPSF、CstF、PAP、PABP、PAB2、CFI、CFII、RNAトリホスファターゼ、RNAグルタニルトランスフェラーゼ、RNAメチルトランスフェラーゼ、SAMシンターゼ、ユビキチン複合体化酵素E2R、SRタンパク質SFRS1~SFR11、hnRNPタンパク質(例えばHNRNPA0、HNRNPA1、HNRNPA1L1、HNRNPA1L2、HNRNPA2、HNRNPA2B1、HNRNPAB、HNRNPB1、HNRNPC、HNRNPCL1、HNRNPD、HNRPDL、HNRNPF、HNRNHP1、HNRNPH2、HNRNPH3、HNRNPK、HNRNPL、HNRNPLL、HNRNPM、HNRNPR、HNRNPU、HNRNPUL1、HNRNPUL2、HNRNPUL3、ADAR、Mex 67、Mtr2、Nab2、Deadボックスヘリカーゼ、elF4A、elF4B、elF4E、elF4G、GEF、GCN2、PKR、HRI、PERK、eEF1、eEF2、GCN、eRF3、ARE特異的結合タンパク質、EXRN1、DCP1、DCP2、RCK/p54、CPEB、eIF4E、マイクロRNAS及びsiRNA、DICER、Agoタンパク質、ナンセンス媒介mRNA分解タンパク質、UPF3A、UPF3BeIF4A3、MLN51、Y14/MAGOH、MG-1、SMG-5、SMG-6、SMG-7、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0343】
いくつかの実施形態では、DNAPK阻害剤及びゲノム編集系を投与することによって、細胞周期に関連する遺伝子経路の活性を、調節、増強または低下させる。細胞周期に関連する例示的な経路及び遺伝子として、ATM、PMS2、FAS-L、MRE11、MLH1、FasR、NBS1、MSH6、Trail-L、RAD50、MSH2、Trail-R、53BP1、RFC、TNF-Ct、P53、PCNA、TNF-R1、CHKE、MSH3、FADD、E2F1、MutSホモログ、TRADD、PML、MutLホモログ、R1P1、FANCD2、エキソヌクレアーゼ、MyD88、SMC1、DNAポリメラーゼδ、IRAK、BLM1、(POLD1、POLD2、POLD3、NIL、BRCA1、及び、POLD4、-遺伝子、IKK、H2AX、コード、サブユニット)、NFΚβ、ATR、トポイソメラーゼ1、ΙκΒα、RPA、トポイソメラーゼ2、IAP、ATRIP、RNAseH1、カスパーゼ3、RAD9、リガーゼ1、カスパーゼ6、RAD1、DNA、ポリメラーゼ1、カスパーゼ7、HUS、DNAポリメラーゼ3、カスパーゼ8、RAD17、プライマーゼ、カスパーゼ10、RFC、ヘリカーゼ、HDAC1、CHK1、一本鎖結合、HDAC2、TLK1タンパク質、チトクロームC、CDC25、Bxl-xL、STAT3、STAT5、DFF45、Vcl-2、ENDO-G、PI3K、Akt、カルパイン、Bad、Bax、ユビキチン媒介タンパク質分解、低酸素症、細胞増殖、HIF-loc、MAPK、E1、HERC1、TRAF6、HIF-Ιβ、MAPKK、E2、UBE2Q、MEKK1、Ref1、MAPKKK、E3、UBE2R、COP!、HSP90、c-Met、UBLE1A、UBE2S、PIFH2、VEGF、HGF、UBLE1B、UBE2U、cIAP、PAS、ER、S1/2、UBLEIC、UBE2W、PIAS、ARNT、ATK、UBE2A、UBE2Z、SYVN、VHL、PKC、UBE2B、AFC、LLC、N、NHLRC1、HLF、パキシリン、UBE2C、UBE1、AIRE、EPF、FAK、UBE2A、E6AP、MGRN1、VDU2、アデュシン、UBE2E、UBE3B、BRCA1、SUMORESUME、PYK1、UBE2F、Smurf、FANCL、SENP1、RB、UBE2G1、Itch、MIDI、カルシニューリンA、RBI、UBE2G2、HERC2、Cdc20、RACK1、Raf-1、UBE2I、HERC3、Cdhl、PTB、A-Raf、UBE2J1、HERC4、Apc1、Hur、B-raf、UBE2J2、UBE4A、Apc2、PHD2、MEK1/2、UBE2L3、UBE4B、Apc3、SSAT2、ERK1/2、UBE2L6、CHIP、Apc4、SSAT1、Ets、UBE2M、CYC4、Apc5、GSK3、Elk1、UBE2N、PPR19、Apc6、CBP、SAP1、UBE20、UIP5、Apc7、FOX04、cPLA2、WWPI、Mdm2、Apc8、FlH-1、WWP2、Parkin、Apc9、TRIP12、Trim32、Ape10、NEED4、Trim37、Ape11、ARF-BP1、SIAH-1、Ape12、EDD1、PML、細胞生存、細胞周期停止、SMADI、P21、SMAD5、BAX、SAMD8、MDR、LEF1、DRAIL、IGFBP3、TCF3、GADD45、TCF4、P300、HAT1、PI3、Akt、GF1、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0344】
いくつかの実施形態では、細胞(複数可)にDNAPK阻害剤及びゲノム編集系を投与することによって、血管新生に関連する遺伝子の活性を、調節、増強または低下させる。血管新生に関連する例示的な遺伝子及び遺伝子経路、ならびに血管新生に関連する病態として、VEGF、VEGFR2、SHC、E2F7、VEGFB、VEGFR3、PI3、VEGFC、Nrp1、PIP3、EGFDIP3、DAG、GRB2、SOS、Akt、PB、PKC、Ras、RAF1、DAG、eNOS、NO、ERK1、ER2、cPLA2、ME1、MEK2、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0345】
いくつかの実施形態では、細胞(複数可)にDNAPK阻害剤及びゲノム編集系を投与することによって、ミトコンドリア機能に関連する遺伝子経路及び/または遺伝子の活性を、調節、増強または低下させる。ミトコンドリア機能に関連する例示的な遺伝子及び遺伝子経路として、リンゴ酸デヒドロゲナーゼアミノトランスフェラーゼ、ヒドラターゼ、デアシラーゼ、デヒドロゲナーゼ、カルボキシラーゼ、ムターゼ、脂肪酸酸化ロイシン酸化イソロイシン障害(酵素経路酸化経路不全)アミノトランスフェラーゼアミノトランスフェラーゼ、OCTN2分枝鎖分枝鎖、FATP1-6アミノトランスフェラーゼ2、アミノトランスフェラーゼ2、CPT-1ミトコンドリアミトコンドリア、CACTイソブチル-CoA2-メチルブチル-CoA、CPT-IIデヒドロゲナーゼデヒドロゲナーゼ、SCAD(分枝鎖(分枝鎖、MCADケト酸ケト酸、VLCADデヒドロガーゼデヒドロゲナーゼ、ETF-DH複合体)複合体)、α-ETFヒドラターゼヒドラターゼ、β-ETF HMG-CoAリアーゼ2-メチル-3-OH-SCHADブチリル-CoA、LCHADデヒドロゲナーゼ、MTP3-オキソチオラーゼ、LKAT、DECR1、HMGCS2、HMGCL、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0346】
いくつかの実施形態では、DNA損傷またはゲノム不安定性に関連する遺伝子経路及び/または遺伝子の活性を、調節、増強または低下させる。DNA損傷及びゲノム不安定性に関連する経路及び/または遺伝子に関連する例示的な遺伝子及び遺伝子経路として、53BP1、BLM、MBD2、DNAリガーゼ4、MDC1、H2AX、XLF、SMC1、53BP1、Rad50、P53、P53、Artemis、Rad27、TdT、APE1、PMS2、APE2、UvrA、RecA、MLH1、NEIL1、UvrB、SSB、MSH6、NEIL2、UvrC、Mrel1、MSH2、NEIL3、XPC、Rad50、RFC、XRCC1、Rad23B、Nbs1、PCNA、PNKP、PNKP、CEN2、CtIP、MSH3、Tdp1、DDB1、RPA、MutS、APTX、XPE、Rad51、MutL、DNAポリメラーゼβCSA、Rad52、DNAポリメラーゼδ、CSB、Rad54、トポイソメラーゼ1、DNA、TFT1H、BRCA1、トポイソメラーゼ2、PCNA、XPB、BRCA2、RNAseH1、FEN1、XPD、Exo1、リガーゼ1、RFC、XPA、BLM、DNA、ポリメラーゼ1、PAR1、RPA、Topllla、DNA、Lig1、XPG、GEN1、プライマーゼ、Lig3、ERCC1 Yen1ヘリカーゼ、UNG、XPF、Slx1、SSB、MUTY DNAポリメラーゼδ、Slx4、SMUG DNAポリメラーゼε、Mus8、MBD4、Eme1、Dss1、ASH1L、SETD4、DQT1L、SETD5、EHMT1、SETD6、EHMT2、SETD7、EZH1、SETD8、EZH2、SETD9、MLL、SETDB1、MLL2、SETDB2、MLL3、SETMAR、MLL4、SMYD、1、MLL5、SMYD2、NSD、1、SMYD3、PRDM2、SMYD4、SET、SMYD5、SETBP1、SUV39H1、SETD1A、SUV39H2、SETD1B、SUV420H1、SETD2、SUV420H2、SETD3、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0347】
いくつかの実施形態では、哺乳類転写因子をコードする遺伝子を、調節、増強、低下させるか、または細胞に提供する。例示的なヒト転写因子として、AFF4、AFF3、AFF2、AFF1、AR、TFAP2B、TFAP2D、TFAP2C、TFAP2E、TFAP2A、JARID2、KDM5D、ARID4A、ARID4B、KDM5A、ARID3A、KDM5B、KDM5C、ARID5B、ARID3B、ARID2、ARID5A、ARID3C、ARID1A、ARID1B、HIF1A、NPAS1、NPAS3、NPAS4、MLXIPL、ARNTL2、MXD1、AHRR、TFE3、HES2、MNT、TCF3、SREBF1、TFAP4、TCFL5、LYL1、USF2、TFEC、AHR、MLX、MYF6、MYF5、SIM1、TFEB、HAND1、HES1、ID2、MYCL1、ID3、TCF21、MXI1、SOHLH2、MYOG、TWIST1、NEUROG3、BHLHE41、NEUROD4、MXD4、BHLHE23、TCF15、MAX、ID1、MYOD1、ARNTL、BHLHE40、MYCN、CLOCK、HEY2、MYC、ASCL1、TCF12、ARNT、HES6、FERD3L、MSGN1、USF1、TAL1、NEUROD1、TCF23、HEYL、HAND2、NEUROD6、HEY1、SOHLH1、MESP1、PTF1A、ATOH8、NPAS2、NEUROD2、NHLH1、ID4、ATOH1、ARNT2、HES3、MLXIP、ASCL3、KIAA2018、OLIG3、NHLH2、NEUROG2、MSC、HES7、ATOH7、BHLHA15、BHLHE22、NEUROG1、FIGLA、ASCL2、OLIG1、TAL2、MITF、SCXB、HELT、ASCL4、MESP2、HES4、SCXA、TCF4、HES5、SREBF2、BHLHA9、OLIG2、MXD3、TWIST2、LOC388553、C13orf38-SOHLH2、CEBPE、XBP1、BATF3、CREB5、CEBPG、ATF3、ATF7、CEBPB、CEBPD、CEBPA、CBFB、CAMTA2、CAMTA1、EBF4、EBF3、EBF1、EBF2、NR2F6、NR2F1、NR2F2、GRHL2、TFCP2L1、GRHL1、TFCP2、UBP1、GRHL3、YBX2、CSDE1、CSDA、YBX1、LIN28A、CARHSP1、CSDC2、LIN28B、NFIX、NFIC、NFIB、NFIA、CUX2、ONECUT2、CUX1、ONECUT1、SATB1、ONECUT3、SATB2、DMRT3、DMRT1、DMRTC2、DMRTA2、DMRTB1、DMRT2、DMRTA1、E2F2、E2F1、E2F3、TFDP2、E2F8、E2F5、E2F7、E2F6、TFDP3、TFDP1、E2F4、NR1H3、NR1H2、ETV1、ETV7、SPI1、ELF4、ETV2、ERF、ELF2、ELK3、ETV3、ELF1、SPDEF、ELK1、ETS1、EHF、ELF5、ETV6、SPIB、FLI1、GABPA、ERG、ETS2、ELK4、ELF3、FEV、SPIC、ETV4、ETV5、FOXN3、FOXC1、FOXJ2、FOXF1、FOXN1、FOXM1、FOXP1、FOXO3、FOXA2、FOXP2、FOXJ1、FOXP4、FOXF2、FOXN4、FOXK2、FOXO1、FOXH1、FOXQ1、FOXK1、FOXI1、FOXD4、FOXA3、FOXN2、FOXB1、FOXG1、FOXR1、FOXL1、FOXC2、FOXE1、FOXS1、FOXL2、FOXO4、FOXD4L1、FOXD4L4、FOXD2、FOXI2、FOXE3、FOXD3、FOXD4L3、FOXR2、FOXJ3、FOXO6、FOXB2、FOXD4L5、FOXD4L6、FOXD4L2、KIAA0415、FOXA1、FOXP3、GCM2、GCM1、NR3C1、GTF2IRD1、GTF2I、GTF2IRD2B、GTF2IRD2、SOX8、SOX30、PMS1、CIC、TCF7、TOX4、SOX10、HMGXB4、HBP1、TFAM、UBTF、WHSC1、SOX6、HMGXB3、BBX、TOX2、SOX4、SOX21、SOX9、SOX15、SOX5、SOX3、LEF1、HMG20A、SOX13、TCF7L2、SSRP1、TCF7L1、SOX17、SOX14、PINX1、SOX7、SOX11、SOX12、SOX2、SOX1、SRY、SOX18、UBTFL1、UBTFL2、TOX、HMGB1、HMGB2、PBRM1、TOX3、SMARCE1、HMG20B、HMGB3、HMGA2、HMGA1、ARX、HOXA11、MEOX1、DLX6、ISL1、HOXC8、BARX2、ALX4、GSC2、DLX3、PITX1、HOXA9、HOXA10、LHX5、LASS4、ZFHX4、SIX4、VSX1、ADNP、RHOXF1、MEIS3、PBX4、DLX5、HOXA1、HOXA2、HOXA3、HOXA5、HOXA6、HOXA13、EVX1、NOBOX、MEOX2、LHX2、LHX6、LHX3、TLX1、PITX3、HOXB6、HNF1B、DLX4、SEBOX、VTN、PHOX2B、NKX3-2、DBX1、NANOG、IRX4、CDX1、TLX2、DLX2、VAX2、PRRX1、TGIF2、VSX2、NKX2-3、HOXB8、HOXB5、HOXB7、HOXB3、HOXB1、MSX2、LHX4、HOXA7、HOXC13、HOXC11、HOXC12、ESX1、BARHL1、NKX2-4、NKX2-2、SIX1、HOXD1、HOXD3、HOXD9、HOXD10、HOXD11、HOXD13、MNX1、CDX4、BARX1、RHOXF2、LHX1、GSC、MEIS2、RAX、EMX1、NKX2-8、NKX2-1、HLX、LMX1B、SIX3、LBX1、PDX1、LASS5、ZFHX3、BARHL2、LHX9、LASS2、MEIS1、DLX1、HMBOX1、ZEB1、VAX1、NKX6-2、VENTX、HHEX、TGIF2LX、LASS3、ALX3、HOXB13、IRX6、ISL2、PKNOX1、LHX8、LMX1A、EN1、MSX1、NKX6-1、HESX1、PITX2、TLX3、EN2、UNCX、GBX1、NKX6-3、ZHX1、HDX、PHOX2A、PKNOX2、CDX2、DRGX、NKX3-1、PBX3、PRRX2、GBX2、SHOX2、GSX1、HOXD4、HOXD12、EMX2、IRX1、IRX2、SIX2、HOXB9、HOPX、OTP、LASS6、HOXC5、HOXB2、RAX2、EVX2、ZHX3、PROP1、ISX、HOXD8、TGIF2LY、IRX5、SIX5、TGIF1、IRX3、ZHX2、LBX2、NKX2-6、ALX1、GSX2、HOXC9、HOXC10、HOXB4、NKX2-5、SIX6、MIXL1、DBX2、PBX1、SHOX、ARGFX、HMX3、HMX2、BSX、HOXA4、DMBX1、HOXC6、HOXC4、RHOXF2B、PBX2、DUXA、DPRX、LEUTX、、NOTO、HOMEZ、HMX1、DUX4L5、DUX4L2、DUX4L3、DUX4L6、NKX1-1、HNF1A、HSF4、HSFY2、HSFX1、HSFX2、HSFY1、HSF1、LCORL、LCOR、IRF6、IRF1、IRF3、IRF5、IRF4、IRF8、IRF2、IRF7、IRF9、MBD3、BAZ2B、MBD4、SETDB2、MBD1、MECP2、SETDB1、MBD2、BAZ2A、SMAD7、SMAD5、SMAD9、SMAD6、SMAD4、SMAD3、SMAD1、SMAD2、ZZZ3、RCOR1、CDC5L、MYBL2、DNAJC2、TADA2A、RCOR3、MYB、TERF2、DMTF1、DNAJC1、NCOR1、TERF1、MIER3、MYSM1、SNAPC4、RCOR2、TADA2B、MYBL1、TERF1P2、NCOR2、CCDC79、SMARCC1、SMARCC2、TTF1、C11orf9、NFYA、NFYC、NFYB、NRF1、NR4A3、NR4A1、NR4A2、ESR1、NR0B2、NR0B1、PREB、EAF2、SPZ1、TP63、TP73、TP53、PAX6、PAX7、PAX2、PAX4、PAX8、PAX1、PAX3、PAX5、PAX9、SUB1、POU2F2、POU1F1、POU4F3、POU6F2、POU2F3、POU2F1、POU4F2、POU4F1、POU6F1、POU3F2、POU3F1、POU3F4、POU3F3、POU5F1、POU5F1B、PPARD、PPARG、PPARA、PGR、PROX1、PROX2、NR2E1、NR5A2、NR2C1、NR5A1、NR6A1、ESRRA、NR2C2、RFX3、RFX2、RFX4、RFX1、RFX5、RFX7、RFX6、RFX8、NFATC3、NFKB2、NFATC4、NFATC2、NFAT5、RELB、NFKB1、NFATC1、REL、RELA、RORA、RORC、NR1D2、RORB、RUNX3、RUNX1、SP100、SP140、GMEB2、SP110、AIRE、GMEB1、DEAF1、SP140L、LOC729991-MEF2B、MEF2A、SRF、MEF2D、MEF2B、STAT1、STAT5A、STAT4、STAT6、STAT3、STAT2、STAT5B、TBX21、TBX5、TBX15、TBX18、TBX2、TBX4、TBX22、TBX3、TBR1、TBX19、TBX6、EOMES、T、TBX20、TBX10、MGA、TBX1、TEAD3、TEAD2、TEAD1、TEAD4、CREBL2、NFE2L3、CREB3L3、FOSL2、NFE2L1、CREM、DBP、CREB3、HLF、BACH2、ATF2、NFE2L2、ATF6、CREB1、ATF1、NFE2、FOSB、ATF4、NRL、JUND、JDP2、CREB3L4、BATF、BACH1、CREB3L1、NFIL3、TEF、BATF2、ATF5、FOS、JUNB、DDIT3、FOSL1、JUN、MAF、CREB3L2、MAFA、MAFF、MAFG、MAFK、MAFB、ATF6B、CRX、OTX1、OTX2、THAP3、THAP10、THAP1、PRKRIR、THAP8、THAP9、THAP11、THAP2、THAP6、THAP4、THAP5、THAP7、NR1H4、NR2E3、RARB、HNF4A、VDR、ESRRB、THRA、NR1D1、RARA、ESR2、NR1I3、NR1I2、THRB、NR3C2、HNF4G、RARG、RXRA、ESRRG、RXRB、TSC22D1、TSC22D3、TSC22D4、TSC22D2、TULP3、TULP2、TULP1、TULP4、TUB、ZBTB33、ZBTB32、ZBTB11、MYNN、ZBTB25、PATZ1、ZBTB16、ZBTB24、BCL6、ZBTB47、ZBTB17、ZBTB45、GZF1、ZBTB1、ZBTB46、ZBTB8A、ZBTB7B、BCL6B、ZBTB49、ZBTB43、HIC2、ZBTB26、ZNF131、ZNF295、ZBTB4、ZBTB34、ZBTB38、HIC1、ZBTB41、ZBTB7A、ZNF238、ZBTB42、ZBTB2、ZBTB20、ZBTB40、ZBTB7C、ZBTB37、ZBTB3、ZBTB6、ZBTB44、ZFP161、ZBTB12、ZBTB48、ZBTB10、ZBED4、ZBED3、ZBED2、C11orf95、ZBED1、IKZF5、ZNF821、ZNF451、ZNF195、ZFX、ZNF263、ZNF200、HIVEP2、WIZ、ZNF582、SNAI2、ZFP64、IKZF2、ZIC2、ZNF800、PRDM1、PRDM6、ZFP112、ZNF275、ZNF76、Z
FAT、KLF6、ZFY、ZXDC、GLI2、ZNF532、ZNF37A、ZNF510、ZNF506、ZNF324、ZNF671、ZNF416、ZNF586、ZNF446、ZNF8、ZNF264、REST、MECOM、ZNF213、ZNF343、ZNF302、ZNF268、ZNF10、HIVEP1、ZNF184、MZF1、SALL4、ZNF516、KLF8、KLF5、ZNF629、ZNF423、CTCF、ZNF500、ZNF174、SALL1、MAZ、ZNF419、OVOL3、ZNF175、ZNF14、ZNF574、ZNF85、SP4、ZKSCAN1、GLI3、GLIS3、KLF3、PRDM4、GLI1、PRDM13、ZNF142、PRDM2、ZNF684、ZNF541、KLF7、PLAGL1、ZNF430、KLF12、KLF9、ZNF410、BCL11A、EGR1、ZFP30、TSHZ3、ZNF549、ZSCAN18、ZNF211、ZNF639、ZSCAN20、GTF3A、ZNF205、ZNF644、EGR2、IKZF4、CTCFL、ZNF831、SNAI1、ZNF576、ZNF45、TRERF1、ZNF391、RREB1、ZNF133、OVOL2、ZNF436、PLAGL2、GLIS2、ZNF384、ZNF484、HIVEP3、BCL11B、KLF2、ZNF780B、FEZF1、KLF16、ZSCAN10、ZNF557、ZNF337、PRDM12、ZNF317、ZNF426、ZNF331、ZNF236、ZNF341、ZNF227、ZNF141、ZNF304、ZSCAN5A、ZNF132、ZNF20、EGR4、ZNF670、VEZF1、KLF4、ZFP37、ZNF189、ZNF193、ZNF280D、PRDM5、ZNF740、ZIC5、ZSCAN29、ZNF710、ZNF434、ZNF287、ZIM3、PRDM15、ZFP14、ZNF787、ZNF473、ZNF614、PRDM16、ZNF697、ZNF687、OSR1、ZNF514、ZNF660、ZNF300、RBAK、ZNF92、ZNF157、ZNF182、ZNF41、ZNF711、PRDM14、ZNF7、ZNF214、ZNF215、SALL3、ZNF827、ZNF547、ZNF773、ZNF776、ZNF256、ZSCAN1、ZNF837、PRDM8、ZNF117、ZIC1、FEZF2、ZNF599、ZNF18、KLF10、ZKSCAN2、ZNF689、ZIC3、ZNF19、ZSCAN12、ZNF276、ZNF283、ZNF221、ZNF225、ZNF230、ZNF222、ZNF234、ZNF233、ZNF235、ZNF362、ZNF208、ZNF714、ZNF394、ZNF333、ZNF382、IKZF3、ZNF577、ZNF653、ZNF75A、GFI1、ZNF281、ZNF496、ZNF2、ZNF513、ZNF148、KLF15、ZNF691、ZNF589、PRDM9、ZNF12、SP8、OSR2、ZNF367、ZNF22、GFI1B、ZNF219、SALL2、ZNF319、ZNF202、ZNF143、ZNF3、ZSCAN21、ZNF606、SP2、ZNF91、ZNF23、ZNF226、ZNF229、ZNF180、ZNF668、ZNF646、ZNF641、ZNF610、ZNF528、ZNF701、ZNF526、ZNF146、ZNF444、ZNF83、ZNF558、ZNF232、E4F1、ZNF597、INSM2、ZNF30、ZNF507、ZNF354A、ZEB2、ZNF32、KLF13、ZFPM2、ZNF764、ZNF768、ZNF35、ZNF778、ZNF212、ZNF282、PRDM10、SP7、SCRT1、ZNF16、ZNF296、ZNF160、ZNF415、ZNF672、ZNF692、ZNF439、ZNF440、ZNF581、ZNF524、ZNF562、ZNF561、ZNF584、ZNF274、ZIK1、ZNF540、ZNF570、KLF17、ZNF217、ZNF57、ZNF556、ZNF554、KLF11、HINFP、ZNF24、ZNF596、OVOL1、SP3、ZNF621、ZNF680、BNC2、ZNF483、ZNF449、INSM1、ZNF417、ZNF791、ZNF80、GLIS1、ZNF497、KLF14、ZNF266、ZIC4、ZNF408、ZNF519、ZNF25、ZNF77、ZNF169、ZNF613、ZNF683、ZNF135、ZSCAN2、ZNF575、ZNF491、ZNF620、ZNF619、ZNF354C、ZNF114、ZNF366、ZNF454、ZNF543、ZNF354B、ZNF223、ZNF713、ZNF852、ZNF552、ZFP42、ZNF664、EGR3、ZFPM1、ZNF784、ZNF648、FIZ1、ZNF771、TSHZ1、ZNF48、ZNF816、ZNF571、ZSCAN4、ZNF594、ZFP3、ZNF443、ZNF792、ZNF572、ZNF707、ZNF746、ZNF322A、ZNF467、ZNF678、ZFP41、HKR1、PLAG1、ZNF329、ZNF101、ZNF716、ZNF708、ZSCAN22、ZNF662、ZNF320、ZNF623、ZNF530、ZNF285、ZFP1、WT1、ZFP90、ZNF479、ZNF445、ZNF74、SP1、SNAI3、ZNF696、IKZF1、ZNF267、ZNF566、ZNF224、ZNF529、ZNF284、ZNF749、ZNF17、ZNF555、ZNF75D、ZNF501、ZNF197、ZNF396、ZFP91、ZNF732、ZNF397、ZSCAN30、ZNF546、ZNF286A、ZKSCAN4、ZNF70、ZNF643、ZNF642、ZSCAN23、ZNF490、ZNF626、ZNF793、ZNF383、ZNF669、ZNF559、ZNF177、ZNF548、MTF1、ZNF322B、ZNF563、ZNF292、ZNF567、SP6、ZNF573、ZNF527、ZNF33A、ZNF600、ZKSCAN3、ZNF676、ZNF699、ZNF250、ZNF79、ZNF681、ZNF766、ZNF107、ZNF471、ZNF836、ZNF493、ZNF167、ZNF565、ZNF34、ZNF781、ZNF140、ZNF774、ZNF658、ZNF765、ZNF124、ZNF569、ZNF777、ZNF775、ZNF799、ZNF782、ZNF846、ZNF136、ZKSCAN5、ZNF502、ZFP62、ZNF33B、ZNF512B、ZNF431、ZNF418、ZNF700、ZNF239、ZSCAN16、ZFP28、ZNF705A、ZNF585A、ZNF138、ZNF429、ZNF470、ZNF100、ZNF398、ZNF498、ZNF441、ZNF420、ZNF763、ZNF679、ZNF682、ZNF772、ZNF257、ZNF785、ZSCAN5B、ZNF165、ZNF655、ZNF98、ZNF786、ZNF517、ZNF675、ZNF860、ZNF628、ZNF665、ZNF624、ZNF841、ZNF615、ZNF350、ZNF432、ZNF433、ZNF460、ZNF81、ZNF780A、ZNF461、ZNF181、LOC100287841、ZNF44、ZNF790、ZNF677、ZNF823、ZNF311、ZNF347、ZNF71、ZNF121、ZNF335、ZNF560、ZNF273、ZNF84、ZNF667、ZNF649、ZNF248、ZNF544、ZNF770、ZNF737、ZNF251、ZNF607、ZNF334、ZXDA、ZNF485、ZIM2、PEG3、ZNF192、ZNF442、ZNF813、ZNF26、ZNF69、ZNF583、ZNF568、ZXDB、ZNF480、ZNF587、ZNF808、ZNF43、ZNF28、ZNF627、ZNF789、ZNF536、ZNF534、ZNF652、ZNF521、ZNF358、ZFP2、SP5、ZNF814、ZNF551、ZNF805、ZSCAN5C、ZNF468、ZNF616、ZFP57、ZNF155、ZNF783、ZNF425、ZNF580、ZNF611、ZNF254、ZNF625、ZNF134、ZNF845、ZNF99、ZNF253、ZNF90、ZNF93、ZNF486、REPIN1、LOC100131539、ZNF705D、LOC100132396、ZNF705G、SCRT2、ZNF407、SP9、ZNF579、ZNF880、ZNF630、ZNF844、ZNF469、ZNF717、ZNF865、ZNF492、ZNF688、YY2、ZNF878、ZNF879、ZNF736、ZNF323、ZNF709、ZNF512、ZNF585B、ZNF154、ZNF324B、ZNF564、ZFP82、GLI4、ZNF674、ZNF345、ZNF550、KLF1、YY1、MYST2、ST18、L3MBTL4、MYT1L、MYT1、L3MBTL1、MTA3、GATA1、TRPS1、GATA3、GATA5、GATA4、GATA6、GATAD2B、GATAD1、GATA2、MTA1、ZGLP1、MTA2、RERE、C16orf5、LITAF、PIAS1、PIAS2、PIAS4、ZMIZ1、ZMIZ2、PIAS3、RNF138、NFX1、NFXL1、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0348】
いくつかの実施形態では、細胞を、ある細胞型から別の細胞型へ操作する(例えば、変換するか、または分化させる)。いくつかの実施形態では、膵臓細胞をβ脾島細胞へ操作する。いくつかの実施形態では、線維芽細胞をiPS細胞へ操作する。いくつかの実施形態では、前脂肪細胞を褐色脂肪細胞へ操作する。他の例示的な細胞として、例えば、筋肉細胞、神経細胞、白血球、及びリンパ球が挙げられる。
【0349】
いくつかの実施形態では、細胞は、疾患細胞または変異体保有細胞である。そのような細胞を操作して疾患を治療し、例えば、突然変異を修正するか、または細胞の表現型を変化させ、例えばがん細胞の増殖を阻害することができる。例えば、細胞は、本明細書に記載の1つ以上の疾患または病態に関連している。
【0350】
いくつかの実施形態では、操作対象の細胞は正常細胞である。
【0351】
いくつかの実施形態では、操作対象の細胞は、幹細胞または前駆細胞(例えば、iPS、胚、造血、脂肪、生殖、肺、または神経の幹細胞または前駆細胞)である。いくつかの実施形態では、操作する細胞は、3つの胚葉のいずれか由来の細胞であり得る(すなわち、中胚葉、内胚葉または外胚葉。いくつかの実施形態では、操作する細胞は、胚外組織由来、例えば胎盤由来であり得る。
【0352】
いくつかの実施形態では、操作対象の細胞は、線維芽細胞、単球前駆細胞、B細胞、外分泌細胞、膵臓前駆細胞、内分泌前駆細胞、肝芽細胞、筋芽細胞、または前脂肪細胞から選択される。いくつかの実施形態では、細胞を、筋肉細胞、赤血球-巨核球細胞、好酸球、iPS細胞、マクロファージ、T細胞、膵島β細胞、ニューロン、心筋細胞、血球、内分泌前駆細胞、外分泌前駆細胞、乳管細胞、腺房細胞、α細胞、β細胞、δ細胞、PP細胞、肝細胞、胆管細胞、血管芽細胞、中胚葉性血管芽細胞または褐色脂肪細胞へ操作する(例えば変換するか、または分化させる)。
【0353】
いくつかの実施形態では、細胞は、筋肉細胞、赤血球-巨核球細胞、好酸球、iPS細胞、マクロファージ、T細胞、膵島β細胞、ニューロン、心筋細胞、血球、内分泌前駆細胞、外分泌前駆細胞、乳管細胞、腺房細胞、α細胞、β細胞、δ細胞、PP細胞、肝細胞、胆管細胞、または白色もしくは褐色脂肪細胞である。
【0354】
いくつかの実施形態では、細胞は、前駆細胞、多能性細胞、全能性細胞、成体幹細胞、内部細胞塊細胞、胚性幹細胞、またはiPS細胞である。
【0355】
いくつかの実施形態では、操作対象の細胞はがん細胞である。いくつかの実施形態では、がん細胞は、肺癌細胞、乳癌細胞、皮膚癌細胞、脳癌細胞、膵臓癌細胞、造血系癌細胞、肝癌細胞、腎癌細胞、卵巣癌細胞、前立腺癌細胞、皮膚癌細胞であり得る。いくつかの実施形態では、細胞は、筋肉細胞、赤血球-巨核球細胞、好酸球、iPS細胞、マクロファージ、T細胞、膵島β細胞、ニューロン、心筋細胞、血球、内分泌前駆細胞、外分泌前駆細胞、乳管細胞、腺房細胞、α細胞、β細胞、δ細胞、PP細胞、肝細胞、胆管細胞、または白色もしくは褐色脂肪細胞である。
【0356】
細胞(複数可)へのDNAPK阻害剤及び遺伝子編集系の投与
細胞(複数可)へのゲノム編集系及びDNAPK阻害剤の投与は、当技術分野で公知の任意の方法によって行うことができる。投与は、in vitro、ex vivoまたはin vivoであり得る。細胞(複数可)へのゲノム編集系及びDNAPK阻害剤の投与は、同時にまたは順次行うことができる。いくつかの実施形態では、投与により、DNAPK阻害剤及びゲノム編集系の成分を細胞膜に進入させる。いくつかの実施形態では、投与により、DNAPK阻害剤及びゲノム編集系の成分を細胞核に進入させる。いくつかの実施形態では、投与は、DNAPK阻害剤及びゲノム編集系の存在下で細胞をインキュベートすることを含む。
【0357】
遺伝子編集系は、当技術分野で公知の任意の方法によって細胞(複数可)に投与することができる。例えば、当技術分野で公知の任意の核酸またはタンパク質送達方法を使用することができる。遺伝子編集系は、遺伝子編集系の成分をコードする核酸として細胞に投与(例えば送達)される。遺伝子編集系は、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターのいずれによっても細胞に投与することができる。いくつかの実施形態では、ウイルスベクターを使用する。ウイルスベクターは、レトロウイルス(例えば、マウス白血病、HIV、またはレンチウイルス)またはDNAウイルス(例えば、アデノウイルス、単純ヘルペス、及びアデノ随伴)であり得る。いくつかの実施形態では、形質移入法(例えば、非ウイルス型送達方法)を使用してゲノム編集系を細胞に導入する。形質移入法は、細胞をDEAE-デキストラン、リン酸カルシウム、リポソームと接触させるか、またはプラスミドを細胞に電気穿孔することを含む。非ウイルス送達のさらなる方法として、電気穿孔、リポフェクション、マイクロインジェクション、微粒子銃、ビロソーム、リポソーム、イムノリポソーム、ポリカチオンまたは脂質:核酸複合体、裸のDNA、裸のRNA、人工ビリオン、及び薬剤によるDNA取込みの増強が挙げられる。例えばSonitron2000系(Rich-Mar)を用いたソノポレーション法も核酸の送達に使用することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の核酸をmRNAとして送達する。いくつかの実施形態では、キャップ形成mRNAを使用して、翻訳効率及び/またはmRNA安定性を高める。いくつかの実施形態では、ARCA(アンチリバースキャップアナログ)キャップまたはそのバリアントを使用する。米国特許US7074596及びUS8153773参照。
【0358】
ある実施形態では、エンドヌクレアーゼ(例えば、Cas、Cpf1など)及びgRNAを、DNAから転写する。
【0359】
ある実施形態では、エンドヌクレアーゼ(例えば、Cas、Cpf1など)をDNAから転写し、gRNAをRNAとして提供する。
【0360】
ある実施形態では、エンドヌクレアーゼ(例えば、Cas、Cpf1など)及びgRNAを、RNAとして提供する。
【0361】
ある実施形態では、エンドヌクレアーゼ(例えば、Cas、Cpf1など)をタンパク質として提供し、gRNAをDNAとして提供する。
【0362】
ある実施形態では、エンドヌクレアーゼ(例えば、Cas、Cpf1など)をタンパク質として提供し、gRNAをRNAとして提供する。
【0363】
さらなる核酸送達系として、Amaxa Biosystems(Cologne,Germany)、Maxcyte,Inc.(Rockville,Maryland)、BTX Molecular Delivery Systems(Holliston,MA)及びCopernicus Therapeutics Incによって提供されるものが挙げられる(例えばUS6008336参照)。リポフェクションは、例えば、米国特許第5,049,386号;第4,946,787号;及び第4,897,355号)に記載されており、リポフェクション試薬は市販されている(例えば、Transfectam(商標)及びLipofectin(商標)及びLipofectamine(商標)RNAiMAX)。ポリヌクレオチドの効率的な受容体認識リポフェクションに適したカチオン性及び中性脂質として、Feigner、WO91/17424、WO91/16024のものが挙げられる。送達は、細胞(ex vivo投与)または標的組織(in vivo投与)に対して行うことができる。
【0364】
免疫脂質複合体などの標的化リポソームを含む脂質:核酸複合体の調製は、当業者に周知である(例えば、Crystal,Science 270:404-410(1995);Blaese et al.,Cancer Gene Ther.2:291-297(1995);Behr et al.,Bioconjugate Chem.5:382-389(1994);Remy et al.,Bioconjugate Chem.5:647-654(1994);Gao et al.,Gene Therapy 2:710-722(1995);参照。
【0365】
さらなる送達方法として、送達する核酸のEnGeneIC送達ビヒクル(EDV)へのパッケージングの使用が挙げられる。これらのEDVを、二重特異性抗体を用いて標的組織に特異的に送達し、その場合、その抗体の一方のアームは標的組織に対して特異性を有し、他方はEDVに対して特異性を有する。抗体はEDVを標的細胞表面に輸送し、次にEDVをエンドサイトーシスによって細胞内に輸送する。細胞内に入ると、内容物が放出される(MacDiarmid et al(2009)Nature Biotechnology 27(7):643)Ahmad et al.,Cancer Res.52:4817-4820(1992);米国特許第4,186,183号、第4,217,344号、第4,235,871号、第4,261,975号、第4,485,054号、第4,501,728号、第4,774,085号、第4,837,028号、及び第4,946,787号参照)。
【0366】
いくつかの実施形態では、形質移入は一過性にすることができ、その場合、プラスミドを含有する形質移入したゲノム編集系は核に入るが、複製中に細胞のゲノムに組み込まれることはない。形質移入は安定的にすることができ、その場合、形質移入したプラスミドは細胞のゲノム領域に組み込まれるようになる。
【0367】
一過性発現を使用するいくつかの実施形態では、アデノウイルスベースの系を使用することができる。アデノウイルスベースのベクターは、多くの細胞型において非常に高い形質導入効率を可能とし、細胞分裂を必要としない。そのようなベクターを用いて、高力価及び高レベルの発現が得られてきた。このベクターは比較的シンプルな系で大量に生産することができる。アデノ随伴ウイルス(「AAV」)ベクターもまた、例えば核酸及びペプチドのin vitro生産において標的核酸で細胞を形質導入するために、ならびにin vivo及びex vivoでの遺伝子治療手順のために、使用される(例えば、West et al.,Virology 160:38-47(1987);米国特許第4,797,368号;WO93/24641;Kotin,Human Gene Therapy 5:793-801(1994);Muzyczka,J..Clin.Invest.94:1351(1994)参照。組換えAAVベクターの構築は、米国特許第5,173,414号;Tratschin et al.,Mol.Cell.Biol.5:3251-3260(1985);Tratschin,et al.,Mol Cell.Biol.4:2072-2081(1984);Hermonat & Muzyczka,PNAS 81:6466-6470(1984);及びSamulski et al.,J.Virol 63:03822-3828(1989)を含む多くの刊行物に記載されている。
【0368】
いくつかの実施形態では、細胞(複数可)へのDNAPK阻害剤の投与は、DNAPK阻害剤、ならびに細胞膜及び/または細胞核へのDNAPK阻害剤の進入を可能にする任意の適切な培地の存在下で単離細胞(複数可)を培養することによって行う。
【0369】
いくつかの実施形態では、DNAPK阻害剤を、in vitro、in vivoまたはex vivoで細胞(複数可)に投与する。いくつかの実施形態では、DNAPK阻害剤を細胞(複数可)に、約5時間、10時間、15時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、25時間、30時間、35時間、40時間、45時間、50時間、55時間、60時間、65時間、70時間、85時間、90時間、100時間、125時間、150時間、200時間、またはその間の任意の期間にわたって接触させる。いくつかの実施形態では、DNAPK阻害剤を細胞(複数可)に、約1.5週間、2.0週間、2.5週間、3.0週間、3.5週間、4週間、またはその間の任意の期間にわたって接触させる。DNAPK阻害剤は、細胞培養培地の交換に伴って再投与してもよい。DNAPK阻害剤は、ゲノム編集系成分の導入前、導入中または導入後に、細胞と接触させることができる。
【0370】
いくつかの実施形態では、DNAPK阻害剤を細胞(複数可)に、約0.1μM、0.25μM、0.5μM、0.75μM、1.0μM、1.25μM、1.50μM、1.75μM、2.0μM、2.5μM、3.0μM、3.5μM、4.0μM、4.5μM、5.0μM、5.5μM、6.0μM、6.5μM、7.0μM、7.5μM、8.0μM、8.5μM、9.0μM、9.5μM、10μM、10.5μM、11.0μM、11.5μM、12μMの濃度で、またはその間の任意の濃度で投与する。DNAPK阻害剤濃度は、投与の過程で変更することができる。
【0371】
いくつかの実施形態では、遺伝子編集成分を細胞(複数可)に、1つ以上のベクターによって、もしくはRNA、mRNAの形態で、またはエンドヌクレアーゼ成分の場合には精製タンパク質もしくはmRNA(例えばCas9タンパク質)として送達する。1つ以上のベクターには、ウイルスベクター、プラスミドまたはssDNAが含まれ得る。ウイルスベクターには、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、及び単純ヘルペスウイルスベクター、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。いくつかの実施形態では、遺伝子編集成分を、RNAまたは合成RNAを介して送達する。
【0372】
いくつかの実施形態では、遺伝子編集系と共にDNAPK阻害剤を細胞に投与すると、細胞にDNAPK阻害剤を投与しないベースライン条件に比べて、相同指向性修復による遺伝子編集の結果が増加する。いくつかの実施形態では、遺伝子編集系と共にDNAPK阻害剤を細胞(複数可)に投与すると、標的上または標的外のいずれかにおけるインデル(NHEJ由来)の抑制がもたらされる。いくつかの実施形態では、遺伝子編集系と共にDNAPK阻害剤を細胞(複数可)に投与すると、目的の遺伝子の発現が増加または減少する。遺伝子編集系と共にDNAPK阻害剤を細胞(複数可)に投与すると、細胞にとって内在性ではない遺伝子を発現させることができる。いくつかの実施形態では、遺伝子編集系と共にDNAPK阻害剤を細胞(複数可)に投与すると、細胞(複数可)からの遺伝子の完全もしくは部分的除去、または改変がもたらされる。いくつかの実施形態では、遺伝子編集系と共にDNAPK阻害剤を細胞(複数可)に投与すると、細胞(複数可)内のイントロン及び/またはエキソンの完全もしくは部分的除去、または改変がもたらされる。いくつかの実施形態では、遺伝子編集系と共にDNAPK阻害剤を細胞(複数可)に投与すると、細胞内の非コード領域の完全もしくは部分的除去、または改変がもたらされる。いくつかの実施形態では、遺伝子編集系と共にDNAPK阻害剤を細胞(複数可)に投与すると、細胞(複数可)内の同時もしくは順次、完全もしくは部分的除去、またはコード及び/または非コード遺伝子領域の改変がもたらされる。いくつかの実施形態では、遺伝子編集系と共にDNAPK阻害剤を細胞(複数可)に投与すると、細胞(複数可)内の同時及び/または順次、完全もしくは部分的除去、または染色体外DNAもしくはRNAを含むコード及び/または非コード遺伝子領域の改変がもたらされる。染色体外DNAは、ミトコンドリアDNA、葉緑体DNA、染色体外環状DNA、またはウイルス染色体外DNAであり得る。
【0373】
いくつかの実施形態では、ゲノム編集系と共にDNAPK阻害剤を細胞に投与すると、目的の遺伝子の発現が増加または減少する。いくつかの実施形態では、目的の遺伝子の発現の増加または減少は、細胞にDNAPK阻害剤を投与しないベースライン条件に比べて、約2.5%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%であるか、またはそれらの間であり得る。いくつかの実施形態では、目的の遺伝子の増加または減少は、細胞にDNAPK阻害剤を投与しないベースライン発現レベルに比べて、約0.5倍、1.0倍、1.5倍、2.0倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍もしくは10倍であるか、またはそれらの間であり得る。
【0374】
いくつかの実施形態では、ゲノム編集系と共にDNAPK阻害剤を細胞に投与すると、ゲノム編集が増加する。いくつかの実施形態では、ゲノム編集の増加は、細胞にDNAPK阻害剤を投与しないベースライン条件に比べて、約2.5%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%であるか、またはそれらの間であり得る。いくつかの実施形態では、ゲノム編集の増加は、目的の遺伝子の増加または減少は、細胞にDNAPK阻害剤を投与しないベースライン発現レベルに比べて、約0.5倍、1.0倍、1.5倍、2.0倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍もしくは10倍であるか、またはそれらの間であり得る。
【0375】
いくつかの実施形態では、細胞集団にDNAPK阻害剤及び遺伝子編集系を投与すると、細胞集団に遺伝子編集系のみを投与し、DNAPK阻害剤を投与しないベースライン条件に比べて、より大きな細胞生存がもたらされる。いくつかの実施形態では、より大きな細胞生存をもたらすDNAPK阻害剤は、構造式I、構造式II、または構造式II’’の化合物である。
【0376】
いくつかの実施形態では、DNAPK阻害剤の投与前、投与後または投与中のいずれかにおいて、細胞をS細胞周期またはG2細胞周期に同期させる。いくつかの実施形態では、遺伝子編集成分の導入前、導入後または導入中のいずれかにおいて、細胞をS細胞周期またはG2細胞周期に同期させる。S細胞周期またはG2細胞周期での細胞の同期は、当該分野で公知の任意の方法によって達成することができる。非限定的な例として、S細胞周期またはG2細胞周期に細胞を同期させるために使用することができる薬剤として、アフィジコリン、ジロキシ尿素、ロバスタチン、ミモシン、ノコダゾール、チミジン、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる(Lin et al.Elife.2014 Dec 15;32014参照)。いくつかの実施形態では、細胞同期化剤は、遺伝子編集プロセスの間の任意の時点で投与することができる。
【0377】
いくつかの実施形態では、DNAPK阻害剤及び/またはゲノム編集系は、使用説明書と共に、容器、パック、またはディスペンサーに含めることができる。いくつかの実施形態では、使用説明書と共に、容器、パックまたはディスペンサーに含めるDNAPK阻害剤及び/またはゲノム編集系は、キットである。
【0378】
いくつかの実施形態では、DNAPK阻害剤及び/またはゲノム編集系を、使用説明書とともにキットに含める。キットには、任意のゲノム編集系、及び/またはDNAPK阻害剤及び使用説明書が含まれ得る。いくつかの実施形態では、DNAPK阻害剤は、構造式I、I’、II、II’、II’’、II’’’、III、III’、またはそれらの任意の組み合わせによって表される化合物のうちのいずれかである。いくつかの実施形態では、ゲノム編集系は、メガヌクレアーゼベースの系、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)ベースの系、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)系、CRISPRベースの系、またはNgAgoベースの系から選択される。ゲノム編集系は、キット内に、任意の形態、例えばプラスミド、ベクター、DNA、またはRNA構築物として提供することができる。
【0379】
いくつかの実施形態では、DNAPK阻害剤及び/またはゲノム編集系をin vivoで投与する。DNAPK阻害剤及び遺伝子編集系は、その意図する投与経路に適合するように製剤化する。投与経路の例として、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下など、経口(例えば吸入)、経皮(すなわち局所)、経粘膜、及び直腸投与が挙げられる。非経口、皮内、または皮下への塗布に使用する溶液または懸濁液は、以下の成分を含むことができる:滅菌希釈剤、例えば注射用水、食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;抗菌剤、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA);緩衝剤、例えば、酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩;及び等張化剤、例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調整することができる。非経口製剤は、ガラス製またはプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器または複数回投与用バイアルに封入することができる。
【0380】
注射用途の場合、適切な担体として、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液、及び滅菌注射用溶液または分散液の即時調製用の滅菌粉末が挙げられる。静脈内(IV)投与の場合、適切な担体として、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF,Parsippany,N.J.)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)が挙げられる。そのような注射可能及びIV投与において、組成物は滅菌されており、容易に注射可能な程度に流動性である。それらは製造及び貯蔵の条件下で安定であり、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用に対して保護される。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、及びそれらの適切な混合物を含む溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えばレシチンなどのコーティングの使用により、分散液の場合には必要な粒径の維持により、及び界面活性剤の使用により、維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成することができる。いくつかの実施形態では、等張化剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えば、マンニトール、ソルビトールなど、塩化ナトリウムを、組成物に含ませる。注射用組成物の長期吸収は、吸収を遅らせる物質、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物中に含めることによってもたらすことができる。
【0381】
滅菌注射用溶液は、必要に応じて上記に列挙した成分の1つまたは組み合わせと共に適切な溶媒中に必要量の活性薬剤を組み入れ、続いて濾過滅菌することによって調製することができる。一般的に、分散液は、活性薬剤を、塩基性分散媒及び上に列挙したものに由来する必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。滅菌注射用溶液を調製するための滅菌粉末の場合、調製方法は真空乾燥及び凍結乾燥であり、事前に滅菌濾過した溶液から活性成分及び任意のさらなる所望の成分の粉末を得る。
【0382】
経口組成物は一般的に、不活性希釈剤または可食担体を含む。それらはゼラチンカプセルに封入するかまたは錠剤に圧縮することができる。経口治療投与の目的の場合、活性化合物を賦形剤と混合し、錠剤、トローチ剤、またはカプセル剤の形態で使用することができる。経口組成物はまた、うがい薬として使用するための流体担体を使用して調製することができ、その場合、流体担体中の化合物を経口的に投与し、クチュクチュして吐き出させるか、または飲み込ませる。薬学的に適合性のある結合剤、及び/またはアジュバント物質を組成物の一部として含めることができる。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、以下の成分のいずれか、または類似の性質の化合物を含有することができる:微結晶セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチンなどの結合剤;デンプンまたはラクトースなどの賦形剤;アルギン酸、プリモゲル、またはコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはステロートなどの潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;スクロース、サッカリンなどの甘味料;ペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジ香味料などの香味料。
【0383】
吸入による投与の場合、薬剤を、適切な高圧ガス、例えば二酸化炭素などのガスを含有する加圧容器もしくはディスペンサー、またはネブライザーからのエアロゾルスプレーの形態で送達する。
【0384】
全身投与はまた、経粘膜的または経皮的手段によるものであり得る。経粘膜または経皮投与の場合、浸透させる障壁に適した浸透剤を製剤に使用する。そのような浸透剤は、当技術分野において一般的に知られており、例えば、経粘膜投与用として、洗剤、胆汁酸塩、及びフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、鼻腔用スプレーまたは坐剤の使用によって達成することができる。経皮投与の場合、活性化合物は、当技術分野において一般に公知であるように、軟膏、膏薬、ゲルまたはクリームに製剤化する。
【0385】
薬剤はまた、坐剤(例えば、ココアバター及び他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含む)または直腸送達用の停留浣腸剤の形態で調製することもできる。
【0386】
いくつかの実施形態では、薬剤を、インプラント及びマイクロカプセル化送達系を含む持続放出/制御放出製剤など、身体からの急速な排泄から化合物を保護する担体と共に調製する。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸などの生分解性、生体適合性ポリマーを使用することができる。そのような製剤の調製方法は、当業者には明らかであろう。
【0387】
コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、及びナノカプセル)において、またはマクロエマルジョンにおいて、例えば、活性剤を、例えば、コアセルベーション技術により、または界面重合により調製するマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン-マイクロカプセル及びポリ-(メタクリル酸メチル)マイクロカプセル中に閉じ込めることができる。
【0388】
徐放性製剤を調製することができる。徐放性製剤の適切な例として、薬剤を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、このマトリックスは造形品、例えばフィルムまたはマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリックスの例として、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸とγ-エチル-L-グルタミン酸との共重合体、非分解性エチレン-酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸共重合体及び酢酸ロイプロリドからなる注射用ミクロスフェア)などの分解性乳酸-グリコール酸共重合体、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。エチレン-酢酸ビニル及び乳酸-グリコール酸などのポリマーは、100日を超える期間にわたって分子を放出することができるが、特定のヒドロゲルは、より短期間にタンパク質を放出する。
【0389】
いくつかの実施形態では、治療する特定の適応症に対して必要に応じて、1種類より多くの活性化合物、例えば、互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有する化合物を製剤に含ませることができる。あるいは、またはさらに、組成物に、その機能を高める薬剤、例えば、細胞傷害剤、サイトカイン、化学療法剤、または増殖阻害剤を含ませることができる。そのような分子を、意図する目的に対して有効な量で組み合わせて適切に存在させる。
【0390】
いくつかの実施形態では、DNAPK阻害剤及び/またはゲノム編集系を、併用療法で投与する、すなわち、病態または障害、例えば、様々な形態のがん及び炎症性疾患を治療するのに有用な他の薬剤、例えば治療薬と併用して投与する。この文脈での用語「併用して」とは、薬剤を、実質的に同時期に、同時にまたは順次与えることを意味する。順次与える場合、第2の化合物の投与の開始時に、2つの化合物のうちの第1の化合物は、治療部位において依然として有効濃度で検出可能であることが好ましい。
【0391】
ゲノム編集スクリーニング法
当技術分野で公知の任意の方法を使用して、NHEJ及び/またはHDRの効率を含むゲノム編集効率に関して、細胞をスクリーニングすることができる。例えば、スクリーニング方法には、ゲノム編集を確認するためのPCRに基づく標的領域の増幅、それに続く増幅領域の配列決定またはディープシークエンシングが含まれ得る。PCRによる遺伝子型判定により、HDR刺激における化合物の定量化及びランク判定が可能になる。他のスクリーニング方法として、次世代シークエンシングが挙げられ得る。例えば、Bell et al.,“A high-throughput screening strategy for detecting CRISPR-Cas9 induced mutations using next-generation sequencing,”[BMC Genomics],15:1002(2014)参照。
【0392】
未改変及び改変遺伝子領域の両方を選択的に増幅し、その結果、遺伝子改変状態に応じて異なる長さのアンプリコンが得られるように、PCRプライマーを改変することができる。次にアンプリコンをゲル上で分離し、Bio-Imagerを使用してデンシトメトリーによってHDR効率を推定することができる。あるいは、新規PCR技術である高速デジタルドロップレット(rapid digital droplet PCR(DDPCR))を用いて、ゲノム編集試料中のHDR及びNHEJ事象を同時に測定することができる。例えば、Miyaoka et al.,“Systematic quantification of HDR and NHEJ reveals effectrs of locus, nuclease,and cell type on genome-editin,”[Scientific Reports],6,2016参照。ゲノム改変のための細胞のスクリーニングに対し、サンガー配列決定法、ディープシークエンシング法、及びRT-PCRを含む他の方法を使用することができる。
【0393】
いくつかの実施形態では、細胞をスクリーニングするためにトラフィックライトレポーター(TLR)構築物を使用する。TLRスクリーニングには、標的ゲノム編集時に蛍光マーカーを発現するように改変したレポーター細胞が含まれる。適切な標的化の後、細胞が蛍光マーカーを発現する。適切に標的化された細胞の定量化は、当技術分野において公知の任意の方法、例えばフローサイトメトリー分析によって実施することができる。例えば、Certo et al.2011,“Tracking genome engineering outcome at individual DNA breakpoints,”[Nature Methods],8,pages 671-676(2011)参照。
【0394】
本明細書に引用するすべての刊行物及び特許文書の関連部分は、あたかもそのような各刊行物または文書を具体的かつ個別に参照により本明細書に援用することを示すかのように、参照により本明細書に援用される。刊行物及び特許文書の引用は、それらが関連のある先行技術であることを承認することを意図するものではなく、またその内容または日付に関していかなる承認も構成するものではない。本開示を書面による説明として記載してきたが、当業者であれば、様々な実施形態を実施できること、前述の説明及び以下の実施例が単に例示を目的としたものに過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではないことを認識するであろう。
【実施例
【0395】
実施する実験及び達成される結果を含む以下の実施例は、単に例示を目的として提供するものに過ぎず、本開示を限定するものとして解釈すべきではない。
【0396】
実施例1:材料及び方法
トラフィックライトレポーター(TLR)アッセイ:HEK293-EGIP(Enhanced Green Fluorescent inhibited Protein)安定細胞株をSystem Biosciences(SBI)から購入した。HEK293-EGIP細胞株は、終止コドン及びAAVS1遺伝子座由来の53bpのゲノム断片を有する破壊されたGFPコード配列を有する。細胞を、10%熱不活化FBS(ウシ胎仔血清、Expression Systems Inc.)、Glutamax及びペニシリン+ストレプトマイシンを補充した高グルコース(Life Technologies、カタログ番号10313-039)を含むDMEM(Life Technologies、カタログ番号10313-039)中で維持し、37℃及び5%CO下で培養した。
【0397】
細胞形質移入及びNHEJ阻害剤処理:HEK293-EGIP安定細胞に、一体型gRNA/CRISPR-Cas9二重プラスミドベクター、プラスミド修復ドナー(いずれのプラスミドもSystem Biosciencesより)を形質移入した。製造元のプロトコールに従って、Amaxaヌクレオフェクター系(Lonza)を用いて形質移入を行った。16時間後、細胞を、1μM、2.5μM、5μM及び10μMの化合物を含む、様々な濃度の化合物1及びScr7(Excess Bioscience;番号M60082-2s)で処理した。Scr7の構造は以下の通りである:
【化26】
。さらに24時間インキュベートした後、培地を交換した。形質移入の5日後にFACS分析を行い;次いで、ゲノムDNA単離及びPCR遺伝子型判定のために細胞を集めた。
【0398】
セルソーティング及びフローサイトメトリー:フローサイトメトリー分析のために、HEK293細胞をトリプシン処理し、PBS/1%BSA FACS緩衝液に再懸濁し、Fortessaフローサイトメーター(Becton Dickinson)を用いて分析した。細胞の一部を遠心分離し、ゲノムDNAの単離のために使用した。
【0399】
化合物処理時の細胞生死判別アッセイ:Scr7の潜在的な毒性を評価するために、異なる濃度の化合物にさらした後に、細胞生存率を評価した。HEK293-EGIPの細胞生存率を、CellTiter Glo(Promega)キットにより測定した。プラスミドドナーで形質移入した細胞を、化合物(1μM、2.5μM、5μM及び10μM)の存在下で、24、48または72時間増殖させ、CellTiter Gloアッセイに供した。各実験を三連で、3回の独立のタイミングで繰り返した。HDRに必要なS/G2期に入ることができる健康な細胞を維持するために、細胞を2.5μMの濃度の化合物で処理した。
【0400】
ゲノムDNA単離、PCR遺伝子型判定、及びゲル定量化:特別に設計したPCRプライマー対は、機能的eGFP陽性細胞を得るための、HDRを介したゲノム編集を評価するための別の手段を提供した。遺伝子型判定用PCRプライマー対を以下に示し、これは配列番号6及び7に対応する。219bpのPCR産物は未改変細胞に対応し、163bpのヌクレオチドはHDRによる改変に対応する。>2.5%ゲル上のこれらのバンドの強度をもとに、Bio-Imagerを用いたデンシトメトリーによってHDRを推定することができる。この技術により、阻害剤によるHDRの向上について、相対的なランク判定が可能になる。各レーンについて測定した強度を、「挿入あり」を「全体」(挿入あり及び未改変)で割ったものに対応する、PCRバンドの比率を計算することによって正規化した。化合物存在下及び化合物非存在下での挿入ありの比率を比較することによって倍率変化を計算した。
【0401】
実施例2:HDR効率モニタリング用アッセイ
HEK293-EGIP細胞におけるHDR効率を確かめるためにアッセイを行った。この目的のために、ヒトAAVS1遺伝子座を標的とするバイシストロン性構築物を使用した(図1A)。バイシストロン性ベクター系は、EF1プロモーターによって駆動されるヒトコドン最適化Cas9、ならびにH1プロモーターによって駆動されるキメラcrRNA-tracrRNA転写産物からなるカスタムガイドRNA(gRNA)を同時発現する。hspCas9は、N末端及びC末端に2つの核局在化シグナル(NLS)を有し、これにより、hspCas9タンパク質を核へ効率的に移入することができる。hspCas9オープンリーディングフレーム(ORF)の後に、WPRE(ウッドチャックウイルス転写後調節エレメント)と呼ばれる調節エレメントが続き、遺伝子発現を増強し、mRNA転写産物を安定化させる。
【0402】
操作されたヒト細胞株EGIP HEK293を使用し、上記及び図1Aに記載のバイシストロン性構築物を用いてHDR効率をモニタリングした。EGIP HEK293レポーター細胞株はSBIから購入した。HEK293-EGIP細胞株は、終止コドン及びAAVS1遺伝子座由来の53bpのゲノム断片を有する破壊されたGFPコード配列を有する。安定株は、eGFPの発現を駆動するためのEF1αプロモーターを有する293T細胞にレンチウイルスを感染させ、その後、ピューロマイシンで選択することにより生成した。eGFP配列を、ヒトAAVS1セーフハーバー部位由来の56ヌクレオチドのインサート(大文字)が挿入されるように改変した。この配列は、eGFP翻訳配列中のアミノ酸T109の後に終止コドン(赤色のTAA)を含む。標的とするガイド配列は太字である。ガイド及びドナーによる形質移入の際に、破壊されたeGFP内のAAVS1部位が切断され、ドナー構築物が相同配列を提供して終止コドン及びAAVS1インサートを除去することによってeGFPが修復された。HDRドナーによる修復を受けた編集後の細胞は、GFP陽性細胞を生成する。したがって、Cas9、AAVS1を標的とするgRNA、及びAAVS1/EGFPレスキュードナーを同時形質移入すると、HDRによって配列が復元し、GFP+細胞が得られた。
【0403】
GFP陽性細胞の細胞数は、相同性指向性修復の効率と正比例していた(図1B)。
【0404】
これらのアッセイのために、Amaxaヌクレオフェクター(Lonza)を用いる電気穿孔法により、一体型Cas9-sgRNA及びeGFPドナーテンプレートベクターをHEK293 EGIP細胞に導入して、Cas9-sgRNA及びeGFPドナーテンプレートの合成を誘導した。形質移入の16時間後に化合物を添加し、続いて48時間後に培地を交換した。次いで、細胞をさらに72時間増殖させた後、FACS分析を行った。
【0405】
HDRドナーテンプレート配列は、266ヌクレオチドの5’相同性アーム(太字、黒色及び下線付き)及び378ヌクレオチドの3’相同性アーム(斜体及び下線付き)を有していた(下記の配列番号1参照)。ガイドRNA及びドナーテンプレートを用いた形質移入の際に、破壊されたeGFP内のAAVS1部位が切断され、ドナー構築物が終止コドン及びAAVS1インサートを除去する相同配列を提供してeGFPが修復された。
【0406】
トラフィックライトレポーターアッセイで使用するHDRテンプレート配列を以下に示す(配列番号1):
【化27-1】
【化27-2】
【0407】
本明細書に記載のアッセイに使用するプライマー部位を以下に示す。これらのプライマー部位はドナー配列内に位置している。ゲノムテンプレート上でのPCR反応は、700ヌクレオチドの産物を生成し、これはNHEJにおいて長さが約300ヌクレオチド及び400ヌクレオチドの断片を生成すると予想される。供給されたドナーテンプレートを使用する場合、HDR事象の後に予想されるPCR産物は644ヌクレオチドである。アッセイに使用するプライマー部位は以下の配列を有する。
【0408】
ガイドRNA_1:GTCCCCTCCACCCCACAGTG(配列番号2)
【0409】
ガイドRNA_2:GGGGCCACTAGGGACAGGAT(配列番号3)
【0410】
判定用フォワードプライマー:GCGACGTAAACGGCCACAAG(配列番号4)
【0411】
判定用リバースプライマー:GTCCATGCCGAGAGTGATCC(配列番号5)
【0412】
HDRプライマー_1:ACTTCTTCAAGTCCGCCATGCCC(配列番号6)
【0413】
HDRプライマー_2:ATGTTGCCGTCCTCCTTGAAGTCG(配列番号7)
【0414】
実施例3:DNAPK阻害剤はCRISPRゲノム編集HDRの有効性を高める
HEK293-EGIP細胞を以下の構築物でヌクレオフェクトし、記載されているように培養した:二重発現gRNA-Cas9のみ、二重発現gRNA-Cas9及びドナー修復テンプレート、二重発現gRNA-Cas9及びドナーテンプレートならびに2.5μMの化合物1存在下での細胞の培養、ならびに二重発現gRNA-Cas9及びドナー修復テンプレートならびに2.5μMの推定リガーゼIV阻害剤Scr7存在下での細胞の培養。細胞は、化合物1またはScr7と24時間接触させた。
【0415】
これらのアッセイから得られたデータを図2A~2C及び下記の表1に示す。図2Aは、培地へのScr7の添加により、gRNA-Cas9及びドナーテンプレートのみの条件に比べて、CRISPRゲノム編集されたHEK-EGIP細胞の量がおよそ30%増加したことを示す。図2Aはさらに、gRNA-Cas9及びドナーテンプレートでヌクレオフェクトしたHEK293-EGIP細胞の培地に対して化合物1を添加した結果、gRNA-Cas9及びドナーテンプレートのみの条件に比べて、CRISPRゲノム編集されたHEK-EGIP細胞の量がおよそ83%増加したことを示す。
【0416】
表1は、HDR増強において同様の倍率増加を示した3つの独立した実験のうちの1つからの、3つの技術的反復についてのHDR定量化を示す。表1及び図2Cに示すデータは、HEK293-EGIP細胞にScr7を接触させた条件においてCRISPRゲノム編集された細胞の量がおよそ2.3倍増加したのに対し、細胞培地に化合物1を添加した結果、CRISPRゲノム編集された細胞の量がおよそ4.5倍増加したことを示す。
【表1】
【0417】
まとめると、これらのデータは、細胞を化合物1と接触させることが、細胞をScr7と接触させることに比べて、またはgRNA、Cas9、及びドナーテンプレートのみをヌクレオフェクトした細胞に比べて、CRISPRベースのゲノム編集の量を増加させたことを示す。
【0418】
化合物3の性能もまた、TLR系を用いて評価し、HEK EGIP細胞株を用いてHDR効率をモニタリングした。さらに、推定上のDNAリガーゼIV阻害剤及びDNAPK阻害剤であるScr7及びNu7026に対する化合物3の性能をそれぞれ、ロバストな「トラフィックライトレポーター」(TLR)アッセイを用いた並行実験で比較した。TLR系において、HEK293-EGIP細胞株を操作し、非機能的eGFPを安定的に発現させた。機能的eGFPの発現は、Cas9、gRNA及びDNA修復テンプレートを形質移入することによって相同指向性修復(HDR)プロセスを介して回復させることができる。図1A~1C参照。ドナー修復テンプレート存在下でのCRISPR-Cas9系を用いたDNA修復プロセスの増強における倍率増加を、蛍光励起セルソーター(FACS)によって定量した。
【0419】
電気穿孔法による形質移入の48時間後、eGFP陽性細胞が出現し始めた。形質移入の10日後のフローサイトメトリー分析では、10μMの化合物3の存在下で4%のGFP陽性細胞が生じていた。対照的に、化合物非存在下の細胞では約0.2%のeGFP陽性細胞が生じ、市販のDNAPK阻害剤SCR7で処理した細胞では約0.5%の増強が示された(図4)。三連で行った実験からのデータは、市販の化合物SCR7存在下での形質移入に比べて、HDRの増強が約8倍の増加で一致していた。
【0420】
まとめ
【0421】
DNAPK阻害剤化合物1の性能を、エラーを起こしやすいNHEJ DNA修復経路を抑制することによってCRISPRベースのHDR修復プロセスを刺激するその能力に関して評価した。さらに、並行実験において、化合物1の性能を、推定DNAリガーゼIV阻害剤であるScr7(図2A、2B及び3)と比較した。ロバストな「トラフィックライトレポーター」(TLR)アッセイを使用して(図1B)、CRISPR-Cas9系におけるHDRを介したDNA修復プロセスの増強における倍率増加を定量した。TLR系において、「壊れた」緑色蛍光タンパク質eGFPを発現するHEK293-EGIP安定細胞株は、DNAドナーテンプレートの存在下でHDRを介した修復に依存して機能的eGFPを生成する(図1B及び1C参照)。図1Cの実験的ワークフローに示すように、HDR経路を介して機能的GFP陽性細胞が出現し、そこでは56塩基の挿入が正しいDNA配列に置換された。電気穿孔法による形質移入の48時間後に、GFP陽性細胞が出現した。フローサイトメトリー分析では、GFP陽性細胞によって示されるように、この実験条件下では1%未満の細胞(図2A及び2B)においてHDR事象が起こることが示された。三連で行った2つの別々の実験に基づいて、データから、化合物1の添加が、化合物の非存在下での形質移入に比べて4.5倍のHDRの増強を、及びScr7存在下での形質移入に比べて2倍優れたHDR増強をもたらすことが示された(図2B及び2C)。
【0422】
化合物3の性能を評価したアッセイでは、化合物3がHDR遺伝子の編集効率を増強することが示された。これらの実験からのデータは、FACS分析によって示されるように、Cas9+gRNAのみの条件に比べて、化合物3の存在下では、HDR効率がおよそ4倍増強されることを示している。図4参照。
【0423】
実施例4:HDRによるゲノム編集を増加させるための小分子NHEJ阻害剤の比較
HEK293-EGIP細胞株を利用してさらなる実験を行い、DNAPK阻害剤またはNHEJ阻害剤との接触後のHDR効率を確認した。
【0424】
別の一連の実験は、DNAPK阻害剤であるScr7または化合物1のいずれかとの接触後のHDR効率の増加を比較した。これらの実験のために、HEK293-EGIP細胞を、ドナーテンプレートのみ、またはドナーテンプレートとCas9-sgRNAでヌクレオフェクトした。Scr7及び化合物1がHDR編集を増強する能力を試験するために、ドナーテンプレートのみ、またはドナーテンプレートとCas9-sgRNA、のいずれかを用いてヌクレオフェクトした細胞にScr7または化合物1を投与した。これらの実験のデータを、図3及び表2に示す。
【0425】
HDRによる組換え状態は、伝統的な「エンドポイント」PCRプライマー遺伝子型判定及びアガロースバンド強度に基づく定量化によって確認した。プライマーは異なるアンプリコンを生成した:未改変細胞に対応する219bpのヌクレオチドバンド、及びHDR事象に対応する163bpのヌクレオチド産物。>2.5%ゲル上のこれらのバンドの強度から、Bio-Imagerを用いたデンシトメトリーによってHDRを推定することができる。この技術により、NHEJ阻害剤によってHDRを向上させるための条件の相対的ランク判定を行うことができる。これらのアッセイのための遺伝子型判定用PCRプライマー対を以下に示す。
【0426】
HDRプライマー1 ACTTCTTCAAGTCCGCCATGCCC(配列番号6)
【0427】
HDRプライマー2 ATGTTGCCGTCCTCCTTGAAGTCG(配列番号7)
【0428】
これらのアッセイからのデータは、Scr7を投与した細胞に比べて、化合物1を投与したヌクレオフェクト細胞において、HDR編集効率がより高いことを示す(図3及び表2)。
【表2】
【0429】
Cas9タンパク質及びsgRNAは、SBIから購入したベクター系の代わりに合成RNAの形態で送達することができる。HDR効率を高めることに加えて、内部でのゲノム編集実験では、リボ核タンパク質タンパク質(RNP)形質移入後において、DNA形質移入に比べてより高い細胞生存率が示された。さらに、S/G2期の細胞同期もHDRを刺激することができる(Lin S et al.Elife.2014 Dec 15;3,2014)。これらの新規戦略と、デジタルドロップレットPCRや次世代シークエンシングなどのゲノム編集の強力な検出法は、治療目的と研究目的の両方においてゲノム編集を能率化するであろう。
【0430】
実施例5:DNAPK阻害化合物1の投与は遺伝子編集を増加させた
標的遺伝子の編集を可能にするDNAPK阻害剤の能力を確かめるためにアッセイを行った。これらのアッセイのために、SerpinA1遺伝子のM型からZ型への編集を評価した。この目的のために、Huh7肝細胞癌細胞を、KpnI部位を導入したドナー修復テンプレートの存在下または非存在下で、gRNA及びCas9タンパク質を用いてヌクレオフェクトした。次いで、ヌクレオフェクトした細胞をDMSOまたは2.5μMの化合物1の存在下で3日間培養し、その後、ゲノムDNAを増幅し、Kpn部位の導入について評価した。
【0431】
アッセイは以下のように機能する:SerpinA1遺伝子が編集される場合、Kpnエンドヌクレアーゼは遺伝子断片を消化することができ、その結果、SerpinA1遺伝子が編集される場合にのみゲル上に消化されたバンドが出現する。逆に、SerpinA1が編集されない場合、Kpnエンドヌクレアーゼは遺伝子断片を切断することができず、したがってゲル上に消化された新規バンドの出現はないであろう。
【0432】
これらのアッセイからのデータからは、化合物1の存在下でヌクレオフェクトした細胞をインキュベーションした結果、SerpinA1遺伝子の遺伝子編集が生じ、目的のDNA断片、本実施例ではKpnI部位が導入されることが示された(図5)。これらのデータから、化合物1のようなDNAPK阻害剤を使用して、遺伝子編集が可能になるか、または増強することができることが示された。
【0433】
均等物
本開示をその好ましい実施形態を参照して具体的に示し、説明してきたが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲により定義される本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細について様々な変更を行い得ることは理解されよう。当業者であれば、日常的な実験のみを用いて、本明細書に具体的に記載する本開示の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識するかまたは確認することができるであろう。そのような均等物は、特許請求の範囲に包含されることを意図している。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
【配列表】
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