(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-02
(45)【発行日】2022-03-10
(54)【発明の名称】粒子を含む(メタ)アクリル組成物、その調製方法、その使用、及びそれを含む物体
(51)【国際特許分類】
C08L 33/00 20060101AFI20220303BHJP
C08L 33/12 20060101ALI20220303BHJP
C08L 83/04 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
C08L33/00
C08L33/12
C08L83/04
(21)【出願番号】P 2019504741
(86)(22)【出願日】2017-07-27
(86)【国際出願番号】 EP2017069086
(87)【国際公開番号】W WO2018019965
(87)【国際公開日】2018-02-01
【審査請求日】2020-07-22
(32)【優先日】2016-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510288530
【氏名又は名称】トリンゼオ ヨーロッパ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キュルエル, シルヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ロワ, セドリック
【審査官】飛彈 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-269902(JP,A)
【文献】特開平11-221882(JP,A)
【文献】特開平09-197109(JP,A)
【文献】米国特許第05831774(US,A)
【文献】中国特許出願公開第1777501(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 33/00
C08L 33/12
C08L 83/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1、
c)30μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含む、ポリマー組成物であって、
粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.05質量%と2質量%の間に相当し、粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の5質量%と20質量%の間に相当することを特徴とする、ポリマー組成物。
【請求項2】
粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の6質量%と20質量%の間に相当することを特徴とする、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
前記高分子シリコーン粒子PP1が、1.30と1.45の間、好ましくは1.35と1.45の間、有利には1.36と1.44の間の屈折率を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
高分子(メタ)アクリル粒子PP2において、少なくとも50質量%のモノマーが、ポリマー粒子PP2のポリマー鎖内のアクリルモノマー及び/又はメタクリルモノマーに由来することを特徴とする、請求項1から3の何れか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
(メタ)アクリルポリマーAP1が、
少なくとも50質量%のアクリルモノマー及び/又はメタクリルモノマ
ーを含むことを特徴とする、請求項1から4の何れか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
組成物中のシリコーン粒子PP1と高分子(メタ)アクリル粒子PP2との重量比が、高分子(メタ)アクリル粒子PP2が常に過剰になるように選択されることを特徴とする、請求項1から4の何れか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
組成物中の質量%におけるポリマー組成物の高分子(メタ)アクリル粒子PP2の量が、シリコーン粒子PP1の量より最大で400倍であることを特徴とする、請求項1から4の何れか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
高分子(メタ)アクリル粒子PP2の重量平均粒径が、シリコーン粒子PP1の重量平均粒径より少なくとも5倍
長いことを特徴とする、請求項1から4の何れか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
高分子(メタ)アクリル粒子PP2の重量平均粒径が、シリコーン粒子PP1の重量平均粒径より最大で80倍、より好ましくは最大で70倍
長いことを特徴とする、請求項1から4の何れか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1、
c)30μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、かつ、
粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.05質量%と2質量%の間に相当し、粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の5質量%と20質量%の間に相当することを特徴とする、
ポリマー組成物を調製するための方法であって、
成分a)、b)及びc)をブレンドする工程を含むことを特徴とする、方法。
【請求項11】
ブレンドが
二軸スクリュー押出機で行われることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から9の何れか一項に記載のポリマー組成物を変形及び/又は加工することによる、物体を製造するための方法。
【請求項13】
加工が押出成形によって行われることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から9の何れか一項に記載のポリマー組成物を含む、又は、請求項1から9の何れか一項に記載のポリマー組成物でできている、物体。
【請求項15】
物体が発光デバイスであることを特徴とする、請求項14に記載の物体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子シリコーン粒子と高分子(メタ)アクリル粒子とを含む、高分子(メタ)アクリル組成物に関する。
【0002】
特に、本発明は、1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子と、30μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子とを含む、高分子(メタ)アクリル組成物に関する。
【0003】
本発明はまた、高分子シリコーン粒子と高分子(メタ)アクリル粒子とを含むこのような高分子(メタ)アクリル組成物の使用にも関する。
【0004】
本発明はまた、高分子シリコーン粒子と高分子(メタ)アクリル粒子とを含むこのような高分子(メタ)アクリル組成物を含む、又は該組成物でできている、物体にも関する。
【背景技術】
【0005】
熱可塑性ポリマー、とりわけ(メタ)アクリルポリマーは、ライトニング用途を含めて、幅広く用いられている。これは主に、紫外線放射及び風化に対する優れた耐性を有する透明度の高いポリマー材料としての特性によるものである。したがって、(メタ)アクリルポリマーは、例えば、ランプ、照明器具、照明カバー、ディスプレイ、照明付き棚、表面、及び照明表示などに用いられる。
【0006】
ライトニング用途には、光透過性、拡散力としての(メタ)アクリルポリマー又は該(メタ)アクリルポリマーに基づく組成物に対するさまざまな要望がある。これらの(メタ)アクリルポリマーに基づく組成物は、概して、ポリマー粒子若しくは有機又は無機粒子でもある球状粒子を、より多く又はより少なく含む。
【0007】
加えて、光透過特性と拡散特性との良好な妥協点を有するポリマー組成物を得ることにも、非常に関心が高まっている。
【0008】
本発明の目的は、ライトニング用途にとって満足のいく光学特性を有する(メタ)アクリルポリマー組成物を提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、ライトニング用途にとって良好な光学特性及び表面特性を有する(メタ)アクリルポリマー組成物を製造する方法を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、非常に優れた透過特性及び拡散特性を同時に兼ね備えている(メタ)アクリルポリマー組成物を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、少なくとも80%の高い光透過性を有し、それと同時に、光源を隠すために高い相対拡散力及び隠蔽力を有する、(メタ)アクリルポリマー組成物を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、少なくとも80%の高い光透過性を有し、それと同時に、散乱粒子の量が低減された、光源を隠すために高い相対拡散力及び隠蔽力を有する、(メタ)アクリルポリマー組成物を提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、少なくとも80%の高い光透過性を有し、それと同時に、光源を隠すために、高い相対拡散力及び隠蔽力を有する(メタ)アクリルポリマー組成物を含む、ライトニング用途のための物体を提供することである。
【0014】
先行技術
相対的な拡散力及び隠蔽力を増加させる光の拡散は、通常、散乱粒子を組成物に加えることによって増加する。
【0015】
国際公開第2004/034136号には、フラットパネルディスプレイ用のバルクディフューザーが開示されている。バルク光ディフューザー材料は、ポリカーボネート及び微粒子光拡散成分からなるシート又はフィルムでありうる。PMMA及びシリコーン粒子は、例では別々に使用されており、組み合わせては使用されていない。
【0016】
特開平11-060966号には、高い光拡散性能のための組成物が開示されている。該開示される組成物は、一方は5μm未満の平均直径を有し、他方は5μmと10μmの間の平均直径を有する、2種類の粒子を含む。該粒子は、シリコーンをベースとした粒子又はスチレンをベースとした粒子のいずれかである。しかしながら、該組成物は、透過率が低い。
【0017】
独国特許出願公開第102012216081号には、射出成形による光拡散成形部品の製造が開示されている。射出成形のための組成物は、ポリメタクリル酸メチルのマトリクスと1~24μmの粒子サイズを有する球状可塑性粒子とを含む。
【0018】
米国特許第7,897,714号には、シリコーン微粒子及び該粒子を使用する熱可塑性樹脂組成物が開示されている。シリコーン微粒子はディフューザーとして用いられ、かつ、約2.5μmから3.5μmの平均粒径を有している。
【0019】
国際公開第2004/098857号には、光拡散成形品の生産のための射出成形方法が開示されている。その成形材料は、ポリメタクリル酸メチルのマトリクス及び1から24μmの粒子サイズを有する球状可塑性粒子を含む。
【0020】
特開平10-087941号には、光拡散アクリル樹脂組成物及び光拡散成形品が開示されている。0.1から50μmの平均粒径を有するシリコンゴム粉末が用いられる。
【0021】
特開平10-087945号には、光拡散アクリル樹脂組成物及び光拡散成形体が開示されている。0.1から50μmの平均粒径を有するシリコンゴム粉末が用いられている。
【0022】
特開平11-021357号には、架橋シリコーン樹脂の球状粒子を含むメタクリル樹脂が開示されている。
【0023】
米国特許第5,831,774号には、光拡散複合材料が開示されている。該光拡散材料の光拡散物質の光拡散層は、バインダー樹脂としてのアクリル樹脂、並びに、アクリル樹脂粒子とシリコーン樹脂粒子とを含む光拡散剤を含む。該2つの粒子は、樹脂の少なくとも40重量部に相当する。
【0024】
特開平01-269902号には、透過型スクリーンのための光拡散プレートが開示されている。用いられる組成物は、架橋有機ポリマー粒子及び球状シリコーン粒子の2種類の粒子を含む。2つの粒子を含む組成物中の架橋した有機粒子の量は、樹脂の観点からみて2から6重量部であり、球状シリコーン粒子の量は、樹脂の観点からみて0.02から0.5重量部である。
【0025】
先行技術は、光透過特性と拡散特性との間に満足のいく妥協点を有しない、組成物中に1種類の粒子のみを含む組成物又は粒子の混合物を含む組成物のいずれかを開示している。
【発明の概要】
【0026】
驚くべきことに、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1、
c)30μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、
粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.05質量%と2質量%の間に相当し、粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の5質量%と20質量%の間に相当することを特徴とする、
組成物が、
光透過性と拡散力の満足のいく妥協点を有することが見出された。とりわけ、このような組成物の2mm厚のポリマーシートは、粒子を含まないシートとほぼ同一の光透過性を有する。
【0027】
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1、
c)30μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、
粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.05質量%と2質量%の間に相当し、粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の5質量%と20質量%の間に相当することを特徴とする、
物体の製造に適したポリマー組成物
の調製方法であって、
成分a)、b)及びc)をブレンドする工程を含む、
方法によって得られる組成物が、
光透過性と拡散力との間の満足のいく妥協点を有する組成物を生じることもまた見出された。とりわけ、このような組成物から調製された2mm厚のポリマーシートは、粒子を含まないシートとほぼ同一の光透過性を有する。
【0028】
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1、
c)30μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、
粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.05質量%と2質量%の間に相当し、粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の5質量%と20質量%の間に相当することを特徴とする、
組成物を含む物体が、
光透過性と拡散力との間の満足のいく妥協点を有することもまた見出された。とりわけ、このような組成物の2mm厚のポリマーシートの形態の物体は、粒子を含まないシートとほぼ同一の光透過性を有する。
【0029】
加えて、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1、
c)30μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、
粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.05質量%と2質量%の間に相当し、粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の5質量%と20質量%の間に相当することを特徴とする、
組成物を、光透過性と拡散力との間の満足のいく妥協点を有する成形体の製造に使用することができることが見出された。とりわけ、このような組成物の2mm厚のポリマーシートの形態の成形体は、粒子を含まないシートとほぼ同一の光透過性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
第1の態様によれば、本発明は、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1、
c)30μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、
粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.05質量%と2質量%の間に相当し、粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の5質量%と20質量%の間に相当することを特徴とする、
組成物に関する。
【0031】
第2の態様によれば、本発明は、(物体の製造に適した)ポリマー組成物の調製方法であって、該組成物が、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1、
c)30μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、
粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.05質量%と2質量%の間に相当し、粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の5質量%と20質量%の間に相当することを特徴とし、
該方法が、成分a)、b)及びc)をブレンドする工程を含むことを特徴とする、
ポリマー組成物の調製方法に関する。
【0032】
別の態様によれば、本発明は、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1、
c)30μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、
物体を製造するために、粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.05質量%と2質量%の間に相当し、粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の5質量%と20質量%の間に相当することを特徴とする、
組成物の使用に関する。
【0033】
本発明のさらに別の態様は、ポリマー組成物を含む、又はポリマー組成物でできた物体に関し、該ポリマー組成物は、
a)(メタ)アクリルポリマーAP1、
b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1、
c)30μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2
を含み、
粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.05質量%と2質量%の間に相当し、粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の5質量%と20質量%の間に相当することを特徴とする。
【0034】
用いられる「(メタ)アクリル酸アルキル」という用語は、アクリル酸アルキルとメタクリル酸アルキルの両方を意味する。
【0035】
用いられる「コポリマー」という用語は、ポリマーが少なくとも2つの異なるモノマーからなることを意味する。
【0036】
本明細書で用いられる場合、用語「部」は「重量部」を意味する。
【0037】
用いられる用語「熱可塑性ポリマー」は、加熱すると液体に変化するか、あるいは、より液体化するか又は粘性が低下し、熱及び圧力を印加すると新しい形状をとることができる、ポリマーを意味する。
【0038】
本発明で用いられる用語「PMMA」は、メタクリル酸メチル(MMA)のホモポリマー又はコポリマーを意味し、MMAのコポリマーでは、PMMA内のMMAの重量比は、少なくとも50質量%である。
【0039】
本発明において範囲がxからyの範囲と述べる場合、この範囲の上限及び下限を含むことを意味し、少なくともxから最大でyまでの値に相当する。
【0040】
本発明において範囲がxとyの間にあると述べる場合、この範囲の上限及び下限を排除することを意味し、x超y未満に相当する。
【0041】
本発明に従う組成物は、(メタ)アクリルポリマーAP1、1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1、及び30μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2を含み、粒子PP1が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.05質量%と2質量%の間に相当し、粒子PP2が、成分a)、b)及びc)を含む組成物の5質量%と20質量%の間に相当することを特徴とする。成分b)及びc)の粒子の重量比は、3つの成分a)、b)及びc)の和から計算される。
【0042】
好ましくは、粒子PP2は、成分a)、b)及びc)を含む組成物の6質量%と20質量%の間、より好ましくは7質量%と20質量%の間、さらに好ましくは8質量%と20質量%の間、さらになお好ましくは9質量%と20質量%の間、有利には10質量%と20質量%の間、さらに有利には10質量%と19質量%の間、最も有利には11質量%と19質量%の間に相当する。
【0043】
好ましくは、粒子PP1は、成分a)、b)及びc)を含む組成物の0.06質量%と1.9質量%の間、より好ましくは0.07質量%と1.8質量%の間、さらに好ましくは0.08質量%と1.7質量%の間、さらになお好ましくは0.09質量%と1.6質量%の間、有利には0.09質量%と1.5質量%の間、さらに有利には0.09質量%と1.4質量%の間、最も有利には0.1質量%と1.4質量%の間に相当する。
【0044】
(メタ)アクリルポリマーAP1は、アクリルモノマー及び/又はメタクリルモノマーに由来する少なくとも50質量%のモノマーを含む高分子ポリマー鎖である。(メタ)アクリルポリマーはまた、2つ以上の(メタ)アクリルポリマーAP1とAP2の混合物、又はAP1からAPxの混合物であってもよい。
【0045】
アクリルモノマー及び/又はメタクリルモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸のエステル、メタクリル酸のエステル、アルキルアクリルモノマー、アルキルメタクリルモノマー及びそれらの混合物から選択される。
【0046】
好ましくは、モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、アルキルアクリルモノマー、アルキルメタクリルモノマー及びそれらの混合物から選択され、ここで、アルキル基は直鎖、分岐、又は環状のいずれかの1から22個の炭素を有し、好ましくは、アルキル基は、直鎖、分岐、又は環状のいずれかの1から12個の炭素を有する。
【0047】
有利には、(メタ)アクリルモノマーは、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸、アクリル酸、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル及びそれらの混合物から選択される。
【0048】
他のコモノマーは、(メタ)アクリルポリマーAP1が、そのポリマー鎖内に、アクリルモノマー及び/又はメタクリルモノマーに由来する少なくとも50質量%のモノマーを含んでいる限り、アクリルモノマー及び/又はメタクリルモノマーと共重合することができる。他のコモノマーは、スチレン又はスチレン誘導体としてのスチレンモノマー、アクリロニトリル、酢酸ビニルとしてのビニルエステルから選択されうる。これらのコモノマーの量は、0質量%から50質量%、好ましくは0質量%から40質量%、より好ましくは0質量%から30質量%、有利には0質量%から20質量%である。
【0049】
第1の好ましい実施態様では、(メタ)アクリルポリマーAP1は、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、有利には少なくとも70質量%、さらに有利には少なくとも80質量%のメタクリル酸メチルを含む、メタクリル酸メチル(MMA)のホモポリマー又はコポリマーである。
【0050】
メタクリル酸メチル(MMA)のコポリマーは、50質量%と99.9質量%の間のメタクリル酸メチル及びメタクリル酸メチルと共重合することができる少なくとも1つのエチレン性不飽和を有する、0.1と50質量%の間の少なくとも1つのモノマーを含む。
【0051】
これらのモノマーはよく知られており、特に、アルキル基が1から12個の炭素原子を有するアクリル酸及びメタクリル酸、並びに、(メタ)アクリル酸アルキルでできていてよい。例として、アクリル酸メチル、並びに、エチル、ブチル、又は2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられうる。好ましくは、コモノマーは、アルキル基が1から4個の炭素原子を有するアクリル酸アルキルである。
【0052】
第1のさらに好ましい実施態様によれば、メタクリル酸メチル(MMA)のコポリマーは、80質量%から99.8質量%、有利には90質量%から99.7質量%、さらに有利には90質量%から99.5質量%のメタクリル酸メチルと、該メタクリル酸メチルと共重合することができる少なくとも1つのエチレン性不飽和を有する、0.2質量%から20質量%、有利には0.3%質量から10質量%、さらに有利には0.5質量%から10質量%の少なくとも1つのモノマーとを含む。好ましくは、コモノマーは、アクリル酸メチル又はアクリル酸エチル若しくはそれらの混合物から選択される。
【0053】
(メタ)アクリルポリマーAP1は、0.1g/10分と20g/10分の間のISO1133(230℃/3.8kg)に従うメルトフロ一インデックス(MFI)を有する。好ましくは、メルトフロ一インデックスは、0.2g/10分と18g/10分の間、より好ましくは0.3g/10分と16g/10分の間、有利には0.4g/10分と13g/10分の間である。
【0054】
(メタ)アクリルポリマーAP1は、1.46と1.52の間、好ましくは1.47と1.52の間、より好ましくは1.48と1.52の間の屈折率を有する。
【0055】
(メタ)アクリルポリマーAP1は、ASTM D-1003(3mm厚のシート)によれば、少なくとも85%、好ましくは86%、より好ましくは87%の光透過率を有する。
【0056】
(メタ)アクリルポリマーAP1は、少なくとも90℃のビカット軟化温度を有する。ビカット軟化温度は、ISO306:2013(B50法)に従って測定される。
【0057】
本発明に従う組成物は、(メタ)アクリルポリマーAP1の他に、(メタ)アクリルポリマーAP2も含みうる。(メタ)アクリルポリマーAP1及び(メタ)アクリルポリマーAP2は、混合物又はブレンドを形成する。この混合物又はブレンドは、少なくとも1つのホモポリマーとMMAの少なくとも1つのコポリマー、若しくは、少なくとも2つのホモポリマー又はMMAの異なる平均分子量を有する2つのコポリマーの混合物、若しくは、異なるモノマー組成物を有するMMAの少なくとも2つのコポリマーの混合物からなる。
【0058】
高分子シリコーン粒子PP1は、1μmと10μmの間の重量平均粒径を有しており、該粒子は、無機シリコーン-酸素主鎖を有するポリシロキサン鎖を含む。
【0059】
高分子シリコーン粒子PP1は、1.30と1.45の間、好ましくは1.35と1.45の間、有利には1.36と1.44の間の屈折率を有する。
【0060】
高分子シリコーン粒子PP1の重量平均粒径は、好ましくは1μmと9μmの間、より好ましくは1μmと8μmの間、さらにより好ましくは1μmと7μmの間、さらにより好ましくは1μmと6μmの間、有利には1μmと5μmの間、さらに有利には1μmと4μmの間である。
【0061】
高分子シリコーン粒子PP1の粉末のバルク密度は、0.1g/mlと0.5g/mlの間、好ましくは0.15g/mlと0.45g/mlの間である。
【0062】
高分子シリコーン粒子PP1は、例えば、米国特許出願公開第2008/124549号に従って調製することができる。
【0063】
高分子シリコーン粒子は、全てのシリコーン粒子が前述の特性を有する限り、2つ以上の異なるシリコーン粒子PP1a、PP1b…のブレンドでもあってもよい。
【0064】
30μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2は、ポリマー粒子PP2のポリマー鎖中のアクリルモノマー及び/又はメタクリルモノマーに由来する、少なくとも50質量%のモノマーを含む。
【0065】
第1の好ましい実施態様では、高分子(メタ)アクリル粒子PP2は、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、有利には少なくとも65質量%、さらに有利には少なくとも70質量%のメタクリル酸メチルを含む、メタクリル酸メチル(MMA)のホモポリマー又はコポリマーである。
【0066】
高分子(メタ)アクリル粒子PP2の重量平均粒径は、好ましくは35μmと90μmの間、より好ましくは35μmと60μmの間、さらにより好ましくは40μmと60μmの間、有利には45μmと60μmの間、最も有利には48μmと60μmの間である。
【0067】
好ましくは高分子(メタ)アクリル粒子PP2は架橋される。(メタ)アクリル粒子PP2中の架橋剤の重量比は、5質量%未満である。架橋剤は、好ましくは、アクリル又はメタクリル官能のうちの少なくとも1つと、同様に重合することができる第2の二重結合とを有する有機化合物から選択される。
【0068】
高分子(メタ)アクリル粒子PP2は、1.49と1.56の間、好ましくは1.50と1.55の間の屈折率を有する。
【0069】
高分子(メタ)アクリル粒子PP2は、懸濁重合によって調製することができる。
【0070】
高分子(メタ)アクリル粒子は、全てのシリコーン粒子が前述の特性を有する限り、2つ以上の異なる(メタ)アクリル粒子PP2a、PP2b…のブレンドであってもよい。
【0071】
本発明に従うポリマー組成物の調製方法は、成分a)、b)及びc)をブレンドする工程を含む。
【0072】
好ましくは、該方法は、コンパウンディングによって行われる。
【0073】
前記方法はまた、該組成物を有する物体の製造に適したポリマー組成物を調製することもできる。
【0074】
好ましくは、成形物体の製造に適したポリマー組成物の調製方法はまた、次の工程:
- a)(メタ)アクリルポリマーAP1をb)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1と混合する工程;
- a)(メタ)アクリルポリマーAP1及びb)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1を含む組成物を、c)30μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2と混合する工程;
- a)(メタ)アクリルポリマーAP1、b)1μmと10μmの間の重量平均粒径を有する高分子シリコーン粒子PP1、及びc)30μmと100μmの間の重量平均粒径を有する高分子(メタ)アクリル粒子PP2を含む組成物を、追加量の(メタ)アクリルポリマーAP1又は(メタ)アクリルポリマーAP2と混合する工程
のうちの少なくとも1つも含む。
【0075】
該方法における(メタ)アクリルポリマーAP1、高分子シリコーン粒子PP1、及び高分子(メタ)アクリル粒子PP2は、上記のものと同一である。
【0076】
組成物中のシリコーン粒子PP1と高分子(メタ)アクリル粒子PP2との重量比は、高分子(メタ)アクリル粒子PP2が常に過剰になるように選択される。
【0077】
好ましくは、高分子(メタ)アクリル粒子PP2のシリコーン粒子PP1に対する重量比は、少なくとも2/1、さらに好ましくは5/2、さらになお好ましくは少なくとも10/1、有利には少なくとも20/1、最も有利には少なくとも25/1である。
【0078】
本発明によれば、組成物中のシリコーン粒子PP1の重量比は、高分子(メタ)アクリル粒子PP2の重量比と比べて重要ではない。ポリマー組成物において、シリコーン粒子PP1の絶対重量は、高分子(メタ)アクリル粒子PP2の観点からみて少量である。
【0079】
本発明によれば、組成物中の高分子(メタ)アクリル粒子PP2の重量比は、シリコーン粒子PP1の重量比よりも重要である。ポリマー組成物において、高分子(メタ)アクリル粒子PP2の絶対重量は、シリコーン粒子PP1の観点からみて過剰である。
【0080】
本発明に従う組成物の高分子(メタ)アクリル粒子PP2は、組成物中に、質量%で、シリコーン粒子PP1の量の少なくとも2倍の過剰量を有する。本発明に従う組成物の高分子(メタ)アクリル粒子PP2は、組成物中に、質量%で、シリコーン粒子PP1の量の最大で400倍の過剰量を有する。
【0081】
組成物中の高分子(メタ)アクリル粒子PP2の重量平均粒径は、シリコーン粒子PP1の重量平均粒径よりも重要である。本発明に従う組成物の高分子(メタ)アクリル粒子PP2は、シリコーン粒子PP1の重量平均粒径よりも少なくとも3倍重要である、重量平均粒径を有する。
【0082】
好ましくは、高分子(メタ)アクリル粒子PP2の重量平均粒径は、シリコーン粒子PP1の重量平均粒径より少なくとも5倍重要、より好ましくは少なくとも7倍重要、さらにより好ましくは少なくとも10倍重要である。
【0083】
本発明に従う組成物の高分子(メタ)アクリル粒子PP2は、シリコーン粒子PP1の重量平均粒径より最大で100倍重要である、重量平均粒径を有する。好ましくは、高分子(メタ)アクリル粒子PP2の重量平均粒径は、シリコーン粒子PP1の重量平均粒径より最大で80倍重要、より好ましくは最大で70倍重要、さらにより好ましくは最大で50倍重要である。
【0084】
シリコーン粒子PP1の屈折率は、本発明に従う組成物の(メタ)アクリルポリマーAP1の屈折率より重要ではない。好ましくは、(メタ)アクリルポリマーAP1とシリコーン粒子PP1の屈折率の差異は、少なくとも0.01、より好ましくは少なくとも0.02、さらにより好ましくは0.03である。
【0085】
高分子(メタ)アクリル粒子PP2の屈折率は、本発明に従う組成物の(メタ)アクリルポリマーAP1の屈折率よりも重要である。好ましくは、高分子(メタ)アクリル粒子PP2と(メタ)アクリルポリマーAP1の屈折率の差異は、少なくとも0.005、より好ましくは少なくとも0.01、さらにより好ましくは0.015である。
【0086】
好ましくは、本発明に従う組成物において、シリコーン粒子PP1の屈折率は、(メタ)アクリルポリマーAP1の屈折率より重要ではなく、高分子(メタ)アクリル粒子PP2の屈折率は、(メタ)アクリルポリマーAP1の屈折率よりも重要である。
【0087】
さらなる態様によれば、本発明は、本発明に従うポリマー組成物を変形及び/又は加工することによる物体の製造方法に関係する。
【0088】
変形は、射出成形、押出成形、共押出成形又は押出成形/ブロー成形によって行うことができる。好ましくは、変形は射出成形によって行われる。
【0089】
物体の製造方法の第1の好ましい実施態様は、射出成形によって行われる。成形体が得られる。
【0090】
本発明に従う成形体の製造方法は、
- (メタ)アクリルポリマーAP1、シリコーン粒子PP1、及び高分子(メタ)アクリル粒子PP2を含む組成物を溶融する工程、
- 溶融組成物を金型に注入する工程、
- 少なくとも金型が溶融組成物で完全に満たされるまで、金型に圧力を印加する工程
を含む。
【0091】
最も有利には、物体の製造方法のこの第1の好ましい実施態様における(メタ)アクリルポリマーAP1のメルトフロ一インデックスは、1.5g/10分と13g/10分の間である。
【0092】
物体の製造方法の第2の好ましい実施態様では、変形プロセスは、押出成形によって行われる。
【0093】
本発明に従うこの物体の製造方法は、
- (メタ)アクリルポリマーAP1、シリコーン粒子PP1、及び高分子(メタ)アクリル粒子PP2を含むポリマー組成物を、押出機内に供給する工程、
- (メタ)アクリルコポリマーを含む組成物を、押出機内で溶融させる工程、
- 溶融組成物を押出成形する工程
を含む。
【0094】
押出成形によって得られる物体は、ある特定の表面粗さを有する。
【0095】
最も有利には、物体の製造方法のこの第2の好ましい実施態様における(メタ)アクリルポリマーAP1のメルトフロ一インデックスは、0.5g/10分と13g/10分の間である。
【0096】
なおさらなる態様によれば、本発明は、物体又は成形体を製造するための組成物の使用に関する。
【0097】
本発明に従う組成物は、物体又は成形体又は物品を製造するために使用することができ、あるいは、物品の部品に使用することができる。
【0098】
本発明に従う方法によって得られる組成物は、直接、物品又は物体へと変形するために用いることができ、あるいは、物品又は物体の部品であってもよい。
【0099】
なおさらなる態様によれば、本発明は、本発明に従うポリマー組成物でできた物体又は成形体に関する。
【0100】
本発明の物体又は成形体は、シート、ブロック、フィルム、管、又は輪郭形成された素子の形態でありうる。好ましくは、成形体は、平面であるか、あるいはわずかに屈曲又は湾曲したシートである。
【0101】
物体又は成形体又は物品の例は、発光デバイスのための覆い又はプレートである。
【0102】
一実施態様では、成形体は、光源用の覆いである。覆いは、概して、0.001cmと15cmの間、好ましくは0.01cmと10cmの間、より好ましくは0.05cmと7cmの間、より好ましくは0.1cmと5cmの間、さらにより好ましくは0.2cmと4cmの間の厚さを有する。
【0103】
加えて、本発明の別の態様によれば、本発明に従う組成物は、点光源のための覆いとして使用することができる。光源にカバーをプラスすることにより、発光デバイスが形成される。覆いは単層であってもよく、あるいは、多層構造であってもよい。覆いは、0.11cmと50cmの間、好ましくは1cmと40cmの間、好ましくは2cmと20cmの間、さらになお好ましくは3cmと20cmの間の距離だけ、光源から離間される。
【0104】
本発明に従う発光デバイスは、例えば、以下のようなさまざまな用途を有する:
- 内部照明(居間用ランプ、オフィス用ランプ等);
- 広告ディスプレイ;
- 照明表示(この場合、覆いは、とりわけ、文字、数字、記号、又はその他の表示の形態を有しうる);
- 工業用ライトニング;
- 屋外用ライトニング;及び
- 自動車用照明(例えば、発光デバイスは、ヘッドランプ、デイライト、方向指示器、停止灯、フォグランプ、後退灯などでありうる)。
【0105】
[方法]
ポリマーの光学特性は、以下の方法に従って測定される:光透過率及びヘイズは、成形試料の2mm厚のシートについて、ASTM規格D1003に従って測定される。BYK-Gardner製のヘイズガードプラス装置を使用する。
【0106】
屈折率は、屈折計で測定される。
【0107】
粒子サイズは、コールターカウンターを用いたレーザー回折によって測定される。
【実施例】
【0108】
シリコーン粒子PP1は、Dow Corning社製の添加剤30-424である。その重量平均粒径は、1μmと3μmの間である。
【0109】
実施例における高分子(メタ)アクリル粒子PP2として、概して35μmと60μmの間の重量平均粒径を有するALTUGLAS BS110から市販される製品、及び50μmの重量平均粒径を有するバッチを使用した。
【0110】
ポリマー粒子PP3は、光沢を減少させ、乳白光を増加させるためにデータシートに従って用いられる、Roehm and Haas社の光学調整剤Paraloid EXL 5137である。重量平均粒径は5μmと10μmの間である。
【0111】
実施例:
8g/10分のメルトフロ一インデックスを有するメタクリル酸メチルのコポリマーを(メタ)アクリルポリマーAP1として使用し、シリコーン粒子PP1及び高分子(メタ)アクリル粒子PP2を(メタ)アクリルポリマーAP1とブレンドする。ブレンドは、二軸スクリュー押出機を用いてコンパウンディングすることによって行う。
【0112】
比較例:
組成物は、実施例と同じ(メタ)アクリルポリマーAP1を用いて調製される。しかしながら、比較例は、特許請求の範囲外の粒子サイズを有する1種類の粒子のみ又は2種類の粒子を含む。
【0113】
実施例及び比較例のすべての組成が表1にまとめられている。
【0114】
それぞれの試料の組成物を、2mmの厚さを有するシートへと変形する。
【0115】
シリコーン粒子PP1及び高分子(メタ)アクリル粒子PP2を含む試料は、100%に近いヘイズ、90%に近い又はそれより大きい透過率T0、及び良好な相対拡散力という、すべての特徴間の良好な妥協点を有する。実施例2及び3のように、10質量%未満の高分子(メタ)アクリル粒子PP2を0.2質量%のシリコーン粒子PP1と組み合わせて使用すると、0.70を超えるRDP2が得られるのに対し、比較例5及び6に示されるように、このレベルを達成するためには、はるかに多量の粒子が必要である。
【0116】
表1の組成物の幾つかは、押出成形によってシートへと変形される。
【0117】
シリコーン粒子PP1及び高分子(メタ)アクリル粒子PP2を含む押出成形された試料は、100%のヘイズ、85%に近い透過率T0、良好な相対拡散力及び非常に低い光沢という、すべての特徴間の良好な妥協点を有する。