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特許7033591治療用オリゴヌクレオチドの捕捉および検出
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-02
(45)【発行日】2022-03-10
(54)【発明の名称】治療用オリゴヌクレオチドの捕捉および検出
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/10 20060101AFI20220303BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20220303BHJP
   C12Q 1/6844 20180101ALI20220303BHJP
   C12Q 1/6851 20180101ALI20220303BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
C12N15/10 Z ZNA
C12Q1/6869
C12Q1/6844 Z
C12Q1/6851 Z
C12N15/11 Z
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019524385
(86)(22)【出願日】2017-11-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-28
(86)【国際出願番号】 EP2017078695
(87)【国際公開番号】W WO2018087200
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-08-12
(31)【優先権主張番号】16198340.8
(32)【優先日】2016-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515129320
【氏名又は名称】ロシュ イノベーション センター コペンハーゲン エーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】イェンスン マス オーボー
(72)【発明者】
【氏名】ヨーンソン ラース
(72)【発明者】
【氏名】キールピンスキ ルカス
(72)【発明者】
【氏名】リンドウ モーデン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィケソー ヨーナス
【審査官】中野 あい
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/110272(WO,A1)
【文献】特表2015-511819(JP,A)
【文献】特表2008-545430(JP,A)
【文献】国際公開第2013/153911(WO,A1)
【文献】特表2009-509565(JP,A)
【文献】特表2003-533971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12Q 1/00- 3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの検出、定量、配列決定、増幅、またはクローニングための、T4 DNAリガーゼと組み合わせた捕捉プローブオリゴヌクレオチドの使用であって、
該捕捉プローブオリゴヌクレオチドが、5'-3'に、
(i) (a) 最も5'にあるヌクレオチドが、末端5'リン酸基を有するDNAヌクレオチドである、あらかじめ決定された配列の少なくとも3個の5'連続ヌクレオチド(1A)
(b) ユニバーサルプライマー結合部位を含む、3'領域(1C)
を含む、第1のヌクレオチドセグメント;
(ii)(a) 第1のセグメントのあらかじめ決定された配列1Aに相補的である、ヌクレオチドの連続配列(2A)、
(b) 最も3'にあるヌクレオチドが、ブロックされた3'末端基を有する末端ヌクレオチドである、少なくとも2個のヌクレオチドの領域(2B)
を含む、第2のヌクレオチドセグメント
を含み、
該領域1Cおよび該領域2Aが、ハイブリダイズしないリンカー部分(D)を介して共有結合で連結されており、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドがLNA修飾オリゴヌクレオチドであり、かつ該ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドが、該ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドにおける2個の最も3'にあるヌクレオシドの間にRpホスホロチオアートヌクレオシド間結合を含む
前記使用。
【請求項2】
前記第1のヌクレオチドセグメントが、領域1Aの3'に位置づけられた、縮重ヌクレオチドまたはあらかじめ決定されたヌクレオチドの領域(1B)を含む、請求項1に記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチドの使用。
【請求項3】
前記ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'ヌクレオシドがLNAヌクレオシドである、請求項1または2に記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチドの使用。
【請求項4】
前記ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドが、ホスホロチオアートヌクレオシド間結合を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチドの使用。
【請求項5】
前記ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドが、ャップマー(gapmer)オリゴヌクレオチドである、請求項1~4のいずれか一項に記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチドの使用。
【請求項6】
前記ギャップマーオリゴヌクレオチドが、LNAギャップマーオリゴヌクレオチドである、請求項5に記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチドの使用。
【請求項7】
前記ハイブリダイズしないリンカーが、アルキルリンカー、ポリエチレングリコールリンカー、非ヌクレオシド炭水化物リンカー、光切断性リンカー(PCスペーサー)、アルキルジスルフィドリンカー、1,2-ジデオキシリボースもしくは脱塩基フランの領域、またはハイブリダイズしない塩基の基を含むヌクレオシドの領域からなる群より選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチドの使用。
【請求項8】
領域1Aが、なくとも3個の連続DNAヌクレオチドを含み;かつ領域2Aが、領域1Aに相補的であるDNAヌクレオチドを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチドの使用。
【請求項9】
前記オリゴヌクレオチドが領域1Bを含み、領域1Bが、少なくとも3~30個の重ヌクレオチドの領域を含むか;または
前記オリゴヌクレオチドが領域1Bを含み、領域1Bが、少なくとも3~30個のらかじめ決定されたヌクレオチドの領域を含む、
請求項1~8のいずれか一項に記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチドの使用。
【請求項10】
前記少なくとも3~30個の縮重ヌクレオチドまたは前記少なくとも3~30個のあらかじめ決定されたヌクレオチドが、DNAヌクレオチドである、請求項9に記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチドの使用。
【請求項11】
領域2Bが、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'ヌクレオチドに相補的である少なくとも2個または3個のヌクレオチドの領域を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチドの使用。
【請求項12】
領域2B上の3'末端が、3'-OH基を含まないヌクレオチド修飾体たは非ヌクレオシド修飾体ある、請求項1~11のいずれか一項に記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチドの使用。
【請求項13】
前記3'-OH基を含まないヌクレオチド修飾体が、3'デオキシリボース、2',3'-ジデオキシリボース、1',3'-ジデオキシリボース、1',2',3'-トリデオキシリボース、逆位リボース、3'ホスフェート、3'アミノ、3'標識、および3'蛍光体からなる群より選択される修飾体である、請求項12に記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチドの使用。
【請求項14】
前記3'標識が3'ビオチンである、請求項13に記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチドの使用。
【請求項15】
前記非ヌクレオシド修飾体が、非リボース糖、脱塩基フラン、リンカー基、チオール修飾物質、アミノ修飾物質、グリセロール、もしくはコンジュゲート、および標識からなる群より選択される非ヌクレオシド修飾体である、請求項12~14のいずれか一項に記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチドの使用。
【請求項16】
以下の段階を含む、試料におけるヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドを検出、定量、配列決定、増幅、またはクローニングするための方法であって、該ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドがLNA修飾オリゴヌクレオチドであり、かつ該ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドが、該ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドにおける2個の最も3'にあるヌクレオシドの間にRpホスホロチオアートヌクレオシド間結合を含む、前記方法
(a) 捕捉プローブオリゴヌクレオチドと試料とを、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドに対する捕捉プローブオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを可能にする条件下で混合する段階、
(b) 捕捉プローブオリゴヌクレオチドの5'末端とヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'末端との、T4 DNAリガーゼ媒介性ライゲーションを行う段階、
(c) 捕捉プローブオリゴヌクレオチドに相補的であるユニバーサルプライマーを添加する段階、
(d) ユニバーサルプライマーの5'-3'鎖伸長を行う段階、
(e) 段階(d)において得られた鎖伸長産物を検出、定量、配列決定、増幅、またはクローニングする段階。
【請求項17】
段階(a)の前に、試料のRNアーゼ処理が行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'ヌクレオシドがLNAヌクレオシドである、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドが、ホスホロチオアートヌクレオシド間結合を含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドが、ャップマーオリゴヌクレオチドである、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記ギャップマーオリゴヌクレオチドが、LNAギャップマーオリゴヌクレオチドである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'末端を、DNAオリゴヌクレオチドの5'末端にライゲーションするためのT4DNAリガーゼの使用であって、該ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'ヌクレオシドがLNAヌクレオシドであり、かつ該ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドが、該ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドにおける2個の最も3'にあるヌクレオシドの間にRpホスホロチオアートヌクレオシド間結合を含む、前記使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、生物学的試料における治療用修飾オリゴヌクレオチドの検出、ならびに、立体限定的(stereodefined)オリゴヌクレオチドまたは糖修飾オリゴヌクレオチドの定量PCRベースの検出法および配列決定を可能にするアダプターオリゴヌクレオチド(捕捉プローブ)に関する。本発明は、治療用オリゴヌクレオチドの検出における使用のため、および好ましい治療用オリゴヌクレオチド配列のインビボでの発見のための、新規アダプタープローブを提供する。
【背景技術】
【0002】
背景
修飾オリゴヌクレオチド、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、およびアプタマーが、治療用作用物質として開発されている。細胞培養物、組織、血液、血漿、または尿などの試料におけるこれらのオリゴヌクレオチドの定性的検出および定量的検出は、それらの使用を評価するため、およびそれらの細胞内取り込み、生体内分布、代謝、ならびにインビボおよび/またはインビトロでの安定性をモニターするために不可欠である。
【0003】
治療用修飾オリゴヌクレオチドは、標的細胞および標的組織に送達された時にそれらの機能を表明する。しかし、そのような治療用オリゴヌクレオチドの送達時には、オリゴヌクレオチドの取り込みの程度が、細胞および組織において変動するため、曝露のレベルを決定することが多くの場合に困難である。結果として、治療用オリゴヌクレオチドの有効用量を正確に決定することは、挑戦的であり得る。標的細胞および標的組織におけるオリゴヌクレオチド曝露を測定するための現在の方法には、治療用オリゴヌクレオチドの開発および臨床評定において日常的に用いられている、MSベースの方法またはELISA様の方法のいずれかが含まれる。それらの方法の感受性は、オリゴヌクレオチドの検出についてnM~pM濃度の範囲であり、アッセイ開発時間は、数か月である場合がある。さらに、MS様およびELISA様の方法は、1試料あたり単一のアンチセンスオリゴヌクレオチドを測定することができるだけであると考えられる。本明細書において、本発明者らは、1)現在の方法と比較して数桁感度が高い、2)短い開発時間(数週間)を有する、かつ3)1試料あたり複数のオリゴヌクレオチドの評定を可能にすると考えられる、PCRベースの方法を提示する。さらなる利点が、本発明において開示され、実施例において例証される。
【0004】
WO99/14226(特許文献1)は、LNA T単量体を含有するDNA鋳型を配列決定するための[α32P]ddNTPおよびThermoSequenase(商標) DNAポリメラーゼの使用を開示している。
【0005】
Shiraki et al., (2003) PNAS Vol 100, 15776-15781(非特許文献1)は、cap analysis gene expression(CAGE)において用いられる二本鎖捕捉プローブを開示している。
【0006】
Zhao et al., Acta Biochim Biophys Sin (2014) 46 (9): 727-737(非特許文献2)は、T4 DNAリガーゼのライゲーション能力に対する2'-O-メチルヌクレオチドの効果を報告している。
【0007】
WO2014/110272(特許文献2)は、一本鎖核酸を、オリゴヌクレオチド捕捉のためにヘアピン構造および3'オーバーハングを含むアクセプター分子とライゲーションするための組成物および方法を開示している。
【0008】
WO2008/046645(特許文献3)は、定量PCR工程が後に続く、DNAホスホロチオアートオリゴヌクレオチド(G3139)を捕捉するために'645において用いられたLNA捕捉プローブを用いた捕捉プローブ-PCRベースの方法を開示している。この方法は、マイクロRNAなどの非修飾オリゴヌクレオチドを検出し、クローニングするための公知の方法に基づいているように見られる。しかし、WO'645は、方法が、LNA化合物またはMOE化合物などの糖修飾オリゴヌクレオチドのために用いられ得ることを主張している。
【0009】
しかし、本明細書において詳述されるように、そのような伝統的なクローニング法は、LNAまたはMOEなどの糖修飾オリゴヌクレオチドに対して有効には機能せず、これは、末端修飾ヌクレオシドからの有効な鎖伸長の欠如、および、DNAポリメラーゼに対する、修飾ヌクレオシド鋳型、特に高親和性ヌクレオシド鋳型の阻害効果のためと考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】WO99/14226
【文献】WO2014/110272
【文献】WO2008/046645
【非特許文献】
【0011】
【文献】Shiraki et al., (2003) PNAS Vol 100, 15776-15781
【文献】Zhao et al., Acta Biochim Biophys Sin (2014) 46 (9): 727-737
【発明の概要】
【0012】
発明の目的
本発明は、糖修飾オリゴヌクレオチドおよび立体限定的オリゴヌクレオチド、例えばLNA修飾オリゴヌクレオチドの検出、定量、配列決定、増幅、またはクローニングにおける使用のための、増強された捕捉プローブを提供する。本方法はまた、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドおよび立体限定的オリゴヌクレオチドを捕捉、検出、定量、増幅、およびクローニングする方法も提供する。
【0013】
本発明は、修飾オリゴヌクレオチドの検出にqPCRを適用する際の障壁を克服する。これは、鎖伸長の前のT4DNAリガーゼ工程と組み合わせた、独自に設計されたオリゴヌクレオチド捕捉プローブを使用することによって達成されている。
【0014】
発明の概要
本発明は、5'-3'に、
(i)(a) 最も5'にあるヌクレオチドが、末端5'リン酸基を有するDNAヌクレオチドである、あらかじめ決定された配列の少なくとも3個の5'連続ヌクレオチド(1A)、
(b) 任意で、領域1Aの3'に位置づけられた、縮重ヌクレオチドまたはあらかじめ決定されたヌクレオチドの領域(1B)、
(c) ユニバーサルプライマー結合部位[ヌクレオチドのあらかじめ決定された領域]を含む、3'領域(1C)
を含む、第1のヌクレオチドセグメント;
(ii)(a) 第1のセグメントのあらかじめ決定された配列1Aに相補的である、ヌクレオチドの連続配列(2A)、
(b) 最も3'にあるヌクレオチドが、ブロックされた3'末端基を有する末端ヌクレオチドである、少なくとも2個のヌクレオチドの領域(2B)
を含む、第2のヌクレオチドセグメント
を含む、捕捉プローブオリゴヌクレオチドであって、
第1および第2の領域が、ポリメラーゼブロッキングリンカー部分を介して共有結合で連結されている、前記捕捉プローブオリゴヌクレオチドを提供する。
【0015】
捕捉プローブの設計の一般的概要については、図14を参照されたい。
【0016】
捕捉プローブは、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチの検出、定量、増幅、配列決定、またはクローニングにおける使用のためであり得る。捕捉プローブは、オリゴヌクレオチド上の2個の3'末端ヌクレオシドの間にRpホスホロチオアートヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドの検出、定量、増幅、配列決定、またはクローニングにおける使用のためであり得る。
【0017】
本発明は、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの検出、定量、配列決定、増幅、またはクローニングにおける使用のための、捕捉プローブオリゴヌクレオチドの使用を提供する。
【0018】
本発明は、オリゴヌクレオチド上の2個の3'末端ヌクレオシドの間にRpホスホロチオアートヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドの検出、定量、配列決定、増幅、またはクローニングにおける使用のための、捕捉プローブオリゴヌクレオチドの使用を提供する。
【0019】
本発明は、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'末端を、DNAオリゴヌクレオチドの5'末端にライゲーションするためのT4DNAリガーゼの使用であって、該ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'ヌクレオシドがLNAヌクレオシドである、前記使用を提供する。
【0020】
本発明は、立体限定的オリゴヌクレオチドの3'末端を、DNAオリゴヌクレオチドの5'末端にライゲーションするためのT4DNAリガーゼの使用であって、該立体限定的オリゴヌクレオチドが、オリゴヌクレオチド上の2個の3'末端ヌクレオシドの間にRpホスホロチオアートヌクレオシド間結合を含む、前記使用を提供する。
【0021】
本発明の方法または使用のいくつかの態様において、修飾オリゴヌクレオチドの3'末端と、DNAオリゴヌクレオチド、例えば捕捉プローブの5'末端との間のライゲーションは、ポリエチレングリコールポリマー、例えばPEG 4000の存在下で行われる。PEGポリマー、例えばPEG 4000の濃度は、いくつかの態様において、約10%~約30%の間、例えば約12%~約25%の間、例えば約15%~約20%の間、例えば約15%または約20%である。
【0022】
本発明は、以下の段階を含む、試料におけるヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドを検出、定量、増幅、配列決定、またはクローニングするための方法を提供する;
(a) 任意で、試料のRNアーゼ処理および/またはDNAアーゼ処理を行う段階、
(b) 捕捉プローブオリゴヌクレオチドと試料とを、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドに対する捕捉プローブオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを可能にする条件下で混合する段階、
(c) 捕捉プローブオリゴヌクレオチドの5'末端とヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'末端との、T4 DNAリガーゼ媒介性ライゲーションを行う段階、
(d) 捕捉プローブオリゴヌクレオチドの一部に相補的であるユニバーサルプライマーを添加する段階、
(e) DNAポリメラーゼまたは逆転写酵素の存在下で、ユニバーサルプライマーの鎖伸長を行う段階、
(f) 段階(e)において得られた鎖伸長産物を検出、定量、配列決定、またはクローニングする段階。
【0023】
試料は、例えば、患者試料などの生物学的試料から得られた、精製された核酸画分であってもよい。
【0024】
本発明は、以下の段階を含む、試料におけるヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドを検出、定量、配列決定、またはクローニングするための方法を提供する;
(a) 任意で、試料のRNアーゼ処理および/またはDNアーゼ処理を行う段階、
(b) 本発明の捕捉プローブオリゴヌクレオチドと試料とを、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドに対する捕捉プローブオリゴヌクレオチドの領域2Bのハイブリダイゼーションを可能にする条件下で混合する段階、
(c) 捕捉プローブオリゴヌクレオチドの5'末端とヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'末端との、T4 DNAリガーゼ媒介性ライゲーションを行う段階、
(d) 捕捉プローブオリゴヌクレオチドの領域1Aに相補的であるユニバーサルプライマーを添加する段階、
(e) DNAポリメラーゼまたは逆転写酵素の存在下で、ユニバーサルプライマーの鎖伸長を行う段階、
(f) 段階(e)において得られた鎖伸長産物を検出、定量、配列決定、またはクローニングする段階。
【0025】
本発明は、以下の段階を含む、例えば、哺乳動物またはヒトにおける、標的細胞または標的組織に濃縮されているヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドを同定するための方法を提供する;
(a) 異なる核酸塩基配列を有するヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの混合物を、哺乳動物に投与する段階、
(b) 該オリゴヌクレオチドを、例えば少なくとも24~48時間の期間にわたって、哺乳動物内に分布させる段階、
(c) 哺乳動物の標的細胞または標的組織から、修飾オリゴヌクレオチドの集団を単離する段階、
(d) 以下のために修飾オリゴヌクレオチドの集団を配列決定する段階を含む、本発明による方法を行う段階、
(e) 哺乳動物の標的組織に濃縮されているヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチド配列を同定する段階。
[本発明1001]
糖修飾オリゴヌクレオチドのPCRまたは配列決定における使用のための捕捉プローブオリゴヌクレオチドであって、5'-3'に、
(i)(a) 最も5'にあるヌクレオチドが、末端5'リン酸基を有するDNAヌクレオチドである、あらかじめ決定された配列の少なくとも3個の5'連続ヌクレオチド(1A)、
(b) 任意で、領域1Aの3'に位置づけられた、縮重ヌクレオチドまたはあらかじめ決定されたヌクレオチドの領域(1B)、
(c) ユニバーサルプライマー結合部位を含む、3'領域(1C)
を含む、第1のヌクレオチドセグメント;
(ii)(a) 第1のセグメントのあらかじめ決定された配列1Aに相補的である、ヌクレオチドの連続配列(2A)、
(b) 最も3'にあるヌクレオチドが、ブロックされた3'末端基を有する末端ヌクレオチドである、少なくとも2個のヌクレオチドの領域
を含む、第2のヌクレオチドセグメント
を含み、第1および第2の領域が、ハイブリダイズしないリンカー部分を介して共有結合で連結されている、前記捕捉プローブオリゴヌクレオチド。
[本発明1002]
前記ハイブリダイズしないリンカーが、アルキルリンカー、ポリエチレングリコールリンカー、非ヌクレオシド炭水化物リンカー、光切断性リンカー(PCスペーサー)、アルキルジスルフィドリンカー、1,2-ジデオキシリボースもしくは脱塩基フランの領域、またはハイブリダイズしない塩基の基を含むヌクレオシドの領域からなる群より選択される、本発明1001の捕捉プローブオリゴヌクレオチド。
[本発明1003]
領域1Aが、少なくとも2個または少なくとも3個の連続DNAヌクレオチドを含む、本発明1001または1002の捕捉プローブオリゴヌクレオチド。
[本発明1004]
領域1Bを含む捕捉プローブオリゴヌクレオチドであって、領域1Bが、少なくとも3~30個の例えばDNAヌクレオチドなどの縮重ヌクレオチドの領域を含む、本発明1001~1003のいずれかの捕捉プローブオリゴヌクレオチド。
[本発明1005]
領域1Bを含む捕捉プローブオリゴヌクレオチドであって、領域1Bが、少なくとも3~30個の例えばDNAヌクレオチドなどのあらかじめ決定されたヌクレオチドの領域を含む、本発明1001~1003のいずれかの捕捉プローブオリゴヌクレオチド。
[本発明1006]
領域2Aが、領域1Aに相補的であるDNAヌクレオチドを含む、本発明1001~1006のいずれかの捕捉プローブオリゴヌクレオチド。
[本発明1007]
領域2Bが、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'ヌクレオチドに相補的である少なくとも2個または3個のヌクレオチドの領域を含む、本発明1001~1007のいずれかの捕捉プローブオリゴヌクレオチド。
[本発明1008]
第1のヌクレオチドセグメントが、領域1Cの3'に位置づけられたさらなる領域1Dを含む(領域1Dは、短いリンカーが選択された場合に、自己塩基対形成(2A-2B)を達成するのに必要とされる内部柔軟性を有する分子を提供するために用いられ得、かつこれは、ネステッドPCR反応を設定するための外側プライマー部位として機能してもよく、かつこれは、捕捉プローブの3'端が固定化されている場合には、ライゲーション産物を固体支持体から放出するのに用いられ得る制限部位を導入するためにも用いられ得る(これは法律用語で適正に記述されるべきである))、本発明1001~1008のいずれかの捕捉プローブオリゴヌクレオチド。
[本発明1009]
領域2B上の3'末端が、3'-OH基を含まないヌクレオチド修飾体、例えば、3'デオキシリボース、2',3'-ジデオキシリボース、1',3'-ジデオキシリボース、1',2',3'-トリデオキシリボース、逆位リボース、3'ホスフェート、3'アミノ、3'標識、例えば3'ビオチン、および3'蛍光体からなる群より選択される修飾体;または非ヌクレオシド修飾体、例えば、非リボース糖、脱塩基フラン、リンカー基(例えば、本発明1002のものなど)、チオール修飾物質(例えば、C6SH、C3SH)、アミノ修飾物質、グリセロール、もしくはコンジュゲート、および標識からなる群より選択される非ヌクレオシド修飾体のいずれかである、本発明1001~1009のいずれかの捕捉プローブオリゴヌクレオチド。
[本発明1010]
ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの検出、定量、配列決定、増幅、またはクローニングにおける使用のための、本発明1001~1010のいずれかの捕捉プローブオリゴヌクレオチドの使用。
[本発明1011]
以下の段階を含む、試料におけるヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドを検出、定量、配列決定、増幅、またはクローニングするための方法:
(a) 任意で、試料のRNアーゼ処理を行う段階、
(b) 前記本発明のいずれかの捕捉プローブオリゴヌクレオチドと試料とを、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドに対する捕捉プローブオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを可能にする条件下で混合する段階、
(c) 捕捉プローブオリゴヌクレオチドの5'末端とヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'末端との、T4 DNAリガーゼ媒介性ライゲーションを行う段階、
(d) 捕捉プローブオリゴヌクレオチドに相補的であるユニバーサルプライマーを添加する段階、
(e) ユニバーサルプライマーの5'-3'鎖伸長を行う段階、
(f) 段階(e)において得られた鎖伸長産物を検出、定量、配列決定、増幅、またはクローニングする段階。
[本発明1012]
段階(b)において、捕捉プローブオリゴヌクレオチドの領域2Bが、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'領域にハイブリダイズし、かつユニバーサルプライマーが、捕捉プローブオリゴヌクレオチドの領域1Aに相補的である、本発明1011の方法。
[本発明1013]
段階(f)が、鎖伸長産物のPCR増幅、例えばqPCR増幅、ならびに任意で、伸長産物のクローニングおよび/または配列決定を含む、本発明1011または1023の方法。
[本発明1014]
以下の段階を含む、哺乳動物における標的細胞または標的組織に濃縮されているヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドを同定するための方法:
(a) 異なる核酸塩基配列を有するヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの混合物を、哺乳動物に投与する段階、
(b) 該オリゴヌクレオチドを、例えば少なくとも24~48時間の期間にわたって、哺乳動物内に分布させる段階、
(c) 哺乳動物の標的細胞または標的組織から、修飾オリゴヌクレオチドの集団を単離する段階、
(d) 以下のために修飾オリゴヌクレオチドの集団を配列決定する段階を含む、前記本発明のいずれかの方法を行う段階、
(e) 哺乳動物の標的組織に濃縮されているヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチド配列を同定する段階。
[本発明1015]
ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'末端を、DNAオリゴヌクレオチドの5'末端にライゲーションするためのT4DNAリガーゼの使用であって、該ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'ヌクレオシドがLNAヌクレオシドである、前記使用。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】2種類の異なる酵素を用いて、3種類の異なる標識捕捉プローブオリゴヌクレオチドを、3種類のLNA含有オリゴヌクレオチドのプールとライゲーションする試み。捕捉プローブオリゴヌクレオチド-酵素の組み合わせのいずれも、検出可能なライゲーション産物を生じなかった。
図2】(実施例1および2と関連性がある。)研究において用いた捕捉プローブオリゴヌクレオチドの設計。
図3】4種類の異なる酵素を用いて、オーバーハング概念を利用する4種類の異なる標識捕捉プローブオリゴヌクレオチドを、LNA含有オリゴヌクレオチドのランダム化プールとライゲーションする試み。いくつかの酵素-アダプターの組み合わせは、アダプターよりもゆっくり移動するバンドの出現によって示されるような、検出可能なライゲーション産物を生じた(T4DNAリガーゼ+a4;T7 DNAリガーゼ+a4;T4 DNAリガーゼ+a5)。
図4】成功したライゲーション反応のさらなる特徴決定。反応1‐アダプターa4濃度を低減、反応2‐参照反応、反応3‐LNAオリゴヌクレオチド濃度を増大、反応4‐熱不活性化T4 DNAリガーゼでの反応、反応5‐T4 DNAリガーゼを伴わない反応。
図5】ライゲーション産物の収量に対するアダプターの濃度の影響。「H」と標識した反応は、1μM LNAオリゴヌクレオチドを含有し、「L」と標識した反応は、0.2μM LNAオリゴヌクレオチドを含有した。文字の次の数は、最終反応におけるa4アダプターの(μMにおける)濃度を示す。
図6】ライゲーション産物の収量に対するライゲーションの時間の影響。「H」と標識した反応は、1μM LNAオリゴヌクレオチドを含有し、「L」と標識した反応は、0.2μM LNAオリゴヌクレオチドを含有した。文字の次の数は、試料が受けたライゲーションサイクルの数を示す。
図7】ライゲーション産物の収量に対するPEG 4000の濃度の影響。数は、最終反応におけるPEG 4000の濃度を示す。
図8】LNA1ライゲーション産物に対するSybr Green qPCR反応。Sybr Green qPCR反応を、O6とO6-CP1との間のライゲーションの希釈物に対して行った。ライゲーションは、T4-DNA-リガーゼの存在下または非存在下で、100μM O6および100μMのO6-CP1のインプットを用いて行った。ライゲーションミックスを、希釈して250 pM、62.5 pM、15.63 pM、3.91 pM、976 fM、244 fM、61 fMにして、技術的反復を伴い、2μlを、10μl PCR反応においてインプットとして用いた。PCR反応を、Viia7 qPCRマシン上で、Sybr Green qPCR化学を用い、O6-p1プライマーおよびCp1-p1プライマーで行った。8Aは、異なる濃度のインプット材料のqPCR曲線を示し、蛍光強度を、PCRサイクル数の関数としてY軸に示す。8Bは、O6とO6-CP1との間のライゲーションの間にT4 DNAリガーゼが存在しなかった以外は、同じ反応を示す。
図9】LNA-DNAライゲーション反応の直線性。LNA-ミックス-プール1の10×希釈曲線(MMを参照されたい)(1 nM、100 pM、10 pM、1 pM、100 fM、10 fM、1 fM)またはH2Oを、T4 DNAリガーゼの存在下または非存在下で、LNA1捕捉プローブ(10 nM)を用いたLNA-DNAライゲーション反応についてのインプットとして用いた。パネル9Aは、O6-p2およびCP1-p1を用いたライゲーションについてのSybr Green PCR曲線を示す。9Bのグラフは、測定された材料の量(2-Ct*1012)対実際のインプット量を図示する。累乗回帰傾向線を算出して、反応の直線性および効率を図示した。パネル9Cは、T4 DNAリガーゼが存在しなかったライゲーション反応についての、プライマーO6-p1およびCP1-p1を用いたライゲーションに対するSybr Green PCR曲線を示す。
図10】qLNA-PCR特異性。LNAライゲーションを、LNA-ミックス-プール1の希釈物に対してLNA特異的捕捉プローブを用いて行った。LNA-ミックス-プール1を、各個々のオリゴの1 nM、200 pM、40 pM、8 pM、1.6 pM、320 fM、64 fMへの希釈、または純粋なH2Oによって調製し、これの2μlを、20μLライゲーション反応においてインプットとした。各ライゲーション反応を、T4-DNAリガーゼの存在下または非存在下で行った。ライゲーション反応物を、9×希釈し、その後2μlを、Sybr Green qPCR反応においてインプットとして用いた。パネル10Aは、O5-CP1で行ったライゲーション反応からのqPCR反応の技術的反復を示す。qPCR反応を、T4 DNAリガーゼを伴うおよび伴わないライゲーション反応物の両方に対して、CP1-p1と組み合わせたO5-p1またはO6-p2を用いて行った。パネル10Bは、O6-Cp1で行ったライゲーション反応からのqPCR反応の技術的反復を示す。qPCR反応を、T4 DNAリガーゼを伴うおよび伴わないライゲーション反応物の両方に対して、CP1-p1と組み合わせたO5-p1またはO6-p2を用いて行った。O6 PCR+T4 DNAリガーゼにおいて、反応曲線は、期待された順序で現れ、64 fMおよびH2Oは、互いに識別不能であった。パネル10Cは、ユニバーサル1-CP1で行ったライゲーション反応からのqPCR反応の技術的反復を示す。qPCR反応を、T4 DNAリガーゼを伴うおよび伴わないライゲーション反応物の両方に対して、CP1-p1と組み合わせたO5-p1またはO6-p2を用いて行った。反応曲線は、O5 PCRおよびO6 PCRの両方について期待された順序で現れたが、8 pMよりも下の濃度は、識別不能であった。
図11】インビボqLNA-PCR:マウス脳および肝臓組織におけるO13-CP1でのO13の検出。2匹のマウス(3番および4番)に、950 nmol/kgのLNA-ミックス-プール1をIV注射し、他方、2匹の対照マウス(1番および2番)に、対照としてPBSを注射した。注射の7日後に、マウスを屠殺し、脳および肝臓組織由来の小分子RNA画分(<200 ntの長さ)を精製して、ユニバーサル1-CP1を用いたLNA-DNAライゲーションにおいてインプットとして用いた。ライゲーション物を、プライマーO13-p1およびCP1-p1でのddPCR反応においてインプットとして用いた。パネル11Aは、4匹のマウスの脳および肝臓試料由来の各液滴における未加工の蛍光強度を示す。示した閾値線を、手動で設定して、陽性液滴の数をスコア化するために用いた。パネル8Bは、陽性液滴/事象の数の棒グラフを示し、LNAオリゴヌクレオチド処置マウスと無処置マウスとの間に見られる明らかな差を示す。
図12】例えば、LNAオリゴヌクレオチドなどの糖修飾オリゴヌクレオチド、または立体限定的オリゴヌクレオチドを捕捉するための、例示的な捕捉プローブの鍵となる設計特性。A:5'端は、ライゲーションを可能にするためにリン酸化されている。B:3'端は、自己ライゲーションを回避するためにライゲーションについてブロックされている。3'アミノ修飾が示されているが、他の3'ブロッキング基が用いられてもよい。C:5'ホスフェートに対する標的LNAの位置づけを安定化させてライゲーションを増強する、細胞内ループを作製するためのヌクレオチド塩基対形成のストレッチ。6個の相補的塩基対が示され、領域1Aおよび2Aのような本明細書に記載される他の相補領域が用いられてもよい。D:内部ヘキサ-エチレングリコール-スペーサー。容易な自己塩基対形成を可能にし、かつポリメラーゼのリードスルーを阻止する柔軟性スペーサー。他のリンカー基が、本明細書に記載されるように用いられてもよい。E:LNAオリゴヌクレオチドを一時的に捕捉して結合し、二本鎖依存性ライゲーションを促進するために用いられる、塩基対形成がないオーバーハング。オーバーハングは、特異的配列を捕捉するのに特異的な配列であることができるか、または本明細書において例証されるように、オリゴヌクレオチド配列の捕捉を可能にする6個の混合型塩基対から構成されることができる。オーバーハングの長さは、本明細書に記載されるように変動することができるが、典型的には、少なくとも2個または3個のヌクレオチドである。
図13】qLNA-PCR:反応の模式的表示。
図14】本発明の一般化された捕捉プローブ(注釈を、特許請求の範囲において述べている):矢印は、5'→3'方向の向きのヌクレオシドの配列を表す。‐領域1Aは、少なくとも3個の連続ヌクレオチドを含み;5'末端ヌクレオチドは、5'リン酸基を含むDNAヌクレオチドである(A)。‐領域1Bは、あらかじめ決定された配列または縮重配列を含んでもよい、ヌクレオチドの任意の配列である。‐領域1Cは、あらかじめ決定されたプライマー結合部位(ユニバーサルプライマー部位と呼ばれる)を含む、ヌクレオチドの領域である。‐領域2Aは、領域1Aと二重鎖を形成する、領域1Aに相補的であるヌクレオチドの領域である(C)。‐領域2Bは、3'オーバーハングを形成する少なくとも2個または3個のヌクレオチドの領域であり(E)、3'末端ヌクレオシドは、3'位置でブロックされている(B)(すなわち、3'-OH基を含まない)。‐Dは、リンカー部分である。いくつかの態様において、Dは、ヌクレオチドの配列である。いくつかの態様において、リンカー部分は、DNAポリメラーゼをブロックし、例えば、非ヌクレオチドリンカーを含むリンカーである。
図15】(i)においてリンカー部分Dが欠如している以外は図14の通りの、一般化された捕捉プローブ。捕捉プローブは、そのため、((i)に示されるように)領域1Aと2Aとの間をハイブリダイズする、2本の非共有結合で連結されたオリゴヌクレオチド鎖を含んでもよい。3'端が(星印によって示されているように)ブロックされていることに注意されたい。(ii)、(iii)、および(iv)は、任意で第1鎖の存在下で、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'端にライケーションされ得る、代替的なオリゴヌクレオチド鎖を示す。第2鎖が、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'末端へのライゲーション反応において用いられる時に、領域1Aは、領域2Aに対する相補性を有する必要はなく、そのため、最も5'にあるヌクレオチドがDNAヌクレオシドである、ヌクレオチドの配列であってもよいことに注意されたい。いくつかの態様において、領域1Aは、ユニバーサルプライマー結合部位(例えば、(iv)における)を含んでもよい。あるいは、領域1Aの3'の追加的な領域が、ユニバーサルプライマー結合部位を組み込む(1C)(iii)に組み込まれてもよく、領域1Aは、例えば、ネステッドプライマー結合部位、または縮重ヌクレオチド配列を含んでもよい。あるいは、(ii)に示されるように、ネステッドプライマー結合部位または縮重ヌクレオチド配列は、領域1Bにあってもよい。
図16】(i)においてリンカー部分Dが欠如している以外は図14の通りの、一般化された捕捉プローブ。捕捉プローブは、そのため、((i)に示されるように)領域1Aと2Aとの間をハイブリダイズする、2本の非共有結合で連結されたオリゴヌクレオチド鎖を含んでもよい。3'端が(星印によって示されているように)ブロックされていることに注意されたい。(ii)、(iii)、および(iv)は、任意で第1鎖の存在下で、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'端にライケーションされ得る、代替的なオリゴヌクレオチド鎖を示す。第2鎖が、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'末端へのライゲーション反応において用いられる時に、領域1Aは、領域2Aに対する相補性を有する必要はなく、そのため、最も5'にあるヌクレオチドがDNAヌクレオシドである、ヌクレオチドの配列であってもよいことに注意されたい。いくつかの態様において、領域1Aは、ユニバーサルプライマー結合部位(例えば、(iv)における)を含んでもよい。あるいは、領域1Aの3'の追加的な領域が、ユニバーサルプライマー結合部位を組み込む(1C)(iii)に組み込まれてもよく、領域1Aは、例えば、ネステッドプライマー結合部位、または縮重ヌクレオチド配列を含んでもよい。あるいは、(ii)に示されるように、ネステッドプライマー結合部位または縮重ヌクレオチド配列は、領域1Bにあってもよい。
図17】T4 DNAリガーゼ基質としての修飾オリゴヌクレオチドのホスホロチオアート鏡像異性の効果の決定。図は、修飾オリゴヌクレオチドの2個の3'末端ヌクレオシドの間のSpホスホロチオアートヌクレオシド間結合は、T4DNAリガーゼのための効率的な基質を提供しないが、等価のRpホスホロチオアートヌクレオシド間結合は、T4DNAリガーゼのための効率的な基質であることを示す。
図18】核酸でできているリンカー部分「D」(図15を参照されたい)の文脈におけるノイズ生成の機構。PCRの間または任意の逆転写の工程の間に、LNA特異的プライマーが、捕捉プローブオーバーハング(「2B」)にハイブリダイズし、ポリメラーゼによって伸長される可能性がある。これは、「2B」領域に対する相補性を有さないLNA特異的プライマーを設計することによって潜在的に回避できるが、大抵の場合に、通常利用される短いLNA-オリゴヌクレオチド(13~20 nt)のために可能ではない。リンカー部分「D」が、DNAポリメラーゼまたは逆転写酵素の鋳型として作用することができる核酸(例えば、DNA)でできている場合、その時は伸長が、鋳型として作用している捕捉プローブの5'端まで続き、5'端にLNA特異的プライマーを有する捕捉プローブの逆相補鎖を形成することになる。そのような構築物は、それ自体上に折り返すことができ(「1A」の逆相補鎖=「1A'」は、「2A」の逆相補鎖‐「2A'」とハイブリダイズすることができる)、3'端が、伸長されて、その5'端上にLNA特異的プライマーを、および3'端上にLNA特異的プライマーの相補鎖を有するDNA産物を形成することができる。そのような産物は、フォワードプライマーおよびリバースプライマーとして同時に作用するLNA特異的プライマーでPCR増幅され、qPCR反応におけるバックグラウンドシグナル、またはゲルベースの検出における非LNAオリゴヌクレオチド由来のバンドを創り出す場合がある。
図19】本発明の捕捉プローブの例示的構造。
【発明を実施するための形態】
【0027】
定義
オリゴヌクレオチド
本明細書において用いられる「オリゴヌクレオチド」という用語は、それが、2個以上の共有結合で連結されたヌクレオシドを含む分子として当業者によって概して理解されるように定義される。そのような共有結合したヌクレオシドはまた、核酸分子またはオリゴマーと呼ばれてもよい。オリゴヌクレオチドは、一般に、固相化学合成およびその後の精製によって実験室において作製される。オリゴヌクレオチドの配列に言及する場合は、共有結合で連結されたヌクレオチドまたはヌクレオシドの、核酸塩基部分またはその修飾体の配列または順序について言及される。本発明の文脈において、オリゴヌクレオチドは、人工であり、化学合成され、かつ典型的には精製または単離されている。
【0028】
ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチド
ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドとは、修飾ヌクレオシド、典型的には糖修飾ヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドである。いくつかの態様において、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドは、少なくとも1個の糖修飾ヌクレオシドを含む。いくつかの態様において、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの3'端に少なくとも1個の修飾ヌクレオシド、例えば、LNAヌクレオシドまたは2'置換修飾ヌクレオシドを含み、例えば、オリゴヌクレオチドの少なくとも2個の3'末端ヌクレオシドは、修飾ヌクレオシド、例えば、LNAヌクレオシドまたは2'置換修飾ヌクレオシドである。いくつかの態様において、3'末端ヌクレオシドは、高親和性ヌクレオシド類似体である。いくつかの態様において、2個の3'末端ヌクレオシドは、両方とも高親和性ヌクレオシド類似体である。いくつかの態様において、2個の3'末端ヌクレオシドは、両方ともLNAヌクレオシドである。いくつかの態様において、2個の3'末端ヌクレオシドは、両方とも2'置換修飾ヌクレオシド、特に2'-O-MOEヌクレオシドである。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、5'リン酸基を含まない。
【0029】
捕捉プローブオリゴヌクレオチド
捕捉プローブとは、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドを「捕捉する」ために用いられる少なくとも1個の5'DNAヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドである。捕捉は、修飾ヌクレオシドオリゴヌクレオチドの3'修飾ヌクレオチドへの捕捉プローブの5'端のライゲーションによって起こり得る。しかし、捕捉プローブが、ライゲーション工程の前に核酸ハイブリダイゼーション(ワトソン・クリック型塩基対)を介して標的核酸配列を捕捉するために用いられる標的核酸配列に相補的である領域を含むことが、有利である。本発明は、用いられ得る(例えば、図14に示されるような)最適化された捕捉プローブを提供するが、本発明の方法および使用のために、他の捕捉プローブが用いられてもよいことが、認識されるであろう(例えば、図15および図16に示される設計を参照されたい)。
【0030】
縮重ヌクレオチド
縮重ヌクレオチドとは、定義された位置に(核酸のIUPAC表記において用いられるような)複数の代替的な塩基を有することができる核酸配列上の位置を指す。個々の分子について、定義された位置に特異的なヌクレオチドがあるであろうが、オリゴヌクレオチド試料における分子の集団内で、定義された位置のヌクレオチドが縮重しているであろうことが認識されるべきである。事実上、縮重配列の組込みは、オリゴヌクレオチドの集団の各メンバーの間で、定義された位置でのヌクレオチド配列のランダム化を結果としてもたらす。いくつかの態様において、縮重ヌクレオチド(縮重ヌクレオチド配列)は、本発明の捕捉プローブにおいて3'オーバーハング(領域2C)を形成するために、例えば、捕捉されるオリゴヌクレオチドの配列が既知ではないか、または定義されていない事象において、用いられてもよい。あるいはまたは加えて、縮重ヌクレオチド配列は、領域1Aの下流(例えば、任意の領域1B)で用いられてもよく、ここで、例えば、特有のライゲーション産物の同定を可能にする分子「バーコード」として作用することができる。
【0031】
あらかじめ決定されたヌクレオチド
あらかじめ決定されたヌクレオチドとは、オリゴヌクレオチド内の定義された位置に定義された塩基(例えば、A、T、C、またはGのうちの1つ)を含むヌクレオチドである。あらかじめ決定された配列とは、公知の(設計された)配列を有する、あらかじめ決定されたヌクレオチドの配列である。本発明の捕捉プローブは、ユニバーサルプライマー結合部位(1C)ならびに相補領域1Aおよび2Aを形成する、ヌクレオチドのあらかじめ決定された配列を含む。領域2Bもまた任意で、例えば、ネステッドプライマー結合部位としてまたはあらかじめ決定された識別子配列としての使用のために、あらかじめ決定された配列を含んでもよい。
【0032】
ブロックされた3'末端基
ブロックされた3'末端基とは、-OH基を含まないオリゴヌクレオチドの3'末端ヌクレオシド上の3'位置を指す。ブロックされた3'基は、そのため、酵素的ライゲーション(例えば、T4DNAリガーゼ)、またはオリゴヌクレオチドの3'端からの(例えば、Taqポリメラーゼを介した)ポリメラーゼ伸長を支持しない。多数の3'ブロッキング基、例えば、3'-OH基を含まないヌクレオチド修飾体、例えば、3'デオキシリボース、2,3-ジデオキシリボース、1,3-ジデオキシリボース、1,2,3-トリデオキシリボース、および逆位リボース、3'ホスフェート、3'アミノ、3'標識、例えば3'ビオチン、もしくは3'蛍光体;または、非ヌクレオシド修飾体、例えば、非リボース糖、脱塩基フラン、リンカー基(例えば、本明細書における領域Dの下に記載されるものなど)、チオール修飾物質(例えば、C6SH、C3SH)、アミノ修飾物質、グリセロール、もしくはコンジュゲート基、例えば蛍光体(フルオレセイン、AlexaFluor色素、Atto色素、シアニン色素)、ジゴキシゲニン、アルキン、アジド、もしくはコレステロールが、当技術分野において公知である。
【0033】
いくつかの態様において、3'ブロッキング基は、3AmMO(3'アミノ修飾体)である。いくつかの態様において、3'ブロッキング基は、標識、例えば蛍光体である。いくつかの態様において、3'ブロッキング基は、蛍光体ではないか、または蛍光消光剤ではない。
【0034】
ユニバーサルプライマー/ユニバーサルプライマー結合部位
本発明の捕捉プローブにおいて、領域1Cは、ユニバーサルプライマー結合部位を含む。これは、PCR増幅の前の第1鎖合成のためのプライマー結合部位(ユニバーサルプライマー)として用いられる、あらかじめ決定された核酸塩基配列を有するヌクレオチドの領域であり:本発明の方法において、ひとたびヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドが捕捉プローブによって捕捉され、捕捉プローブの5'端が糖修飾オリゴヌクレオチドの3'端にライゲーションされると、ユニバーサルプライマーが、ユニバーサルプライマー結合部位(領域1C)にハイブリダイズされ、続いて、糖修飾オリゴヌクレオチドの長さにわたる、ユニバーサルプライマーの3'端からのDNAポリメラーゼまたは逆転写酵素媒介性の5'-3'鎖伸長のために用いられて、第1鎖、すなわちPCRのための鋳型分子を創り出す。ユニバーサルプライマー/ユニバーサルプライマー結合部位は、典型的には、少なくとも6個のヌクレオチドの長さであり(Ryu et al., Mol Biotechnol. 2000 Jan;14(1):1-3)、例えば、10~50個、または14~25個のヌクレオチドの長さであってもよい。
【0035】
いくつかの態様において、ユニバーサルプライマーは、ヌクレオチドプライマーであり、DNAプライマーまたは修飾DNAプライマーであってもよい。いくつかの態様において、ユニバーサルプライマー結合部位は、ユニバーサルプライマーに相補的であるヌクレオシドの領域であり、DNAヌクレオチドおよび/または修飾ヌクレオチドを含んでもよい。
【0036】
DNAポリメラーゼおよび逆転写酵素
第1鎖合成は、修飾オリゴヌクレオチドを読むことができるDNAポリメラーゼまたは逆転写酵素を用いて行われ得る。いくつかの態様において、第1鎖鋳型に対するPCR増幅における使用のために、熱安定性DNAポリメラーゼが用いられる。多数のDNAポリメラーゼ(本明細書においてポリメラーゼとも呼ばれる)が、当技術分野において公知であり、第1鎖合成および/またはPCRのために使用されてもよく、例えば、いくつかの態様において、DNAポリメラーゼは、熱安定性ポリメラーゼ、例えば、Taqポリメラーゼ、Hottubポリメラーゼ、Pwoポリメラーゼ、rTthポリメラーゼ、Tflポリメラーゼ、Ultimaポリメラーゼ、Volcano2Gポリメラーゼ、およびVentポリメラーゼからなる群より選択されるDNAポリメラーゼである。
【0037】
DNAポリメラーゼ/逆転写酵素の選択は、修飾オリゴヌクレオチド、例えば糖修飾オリゴヌクレオチドをリードスルーするポリメラーゼの相対的効率を評定することによって行われ得る。糖修飾オリゴヌクレオチドについて、これは、オリゴヌクレオチド中の連続した糖修飾ヌクレオシドの長さに依存し得、重度に修飾されたオリゴヌクレオチドについては、Taqポリメラーゼ以外の酵素が望ましい場合があることが認識されている。DNAポリメラーゼ/逆転写酵素の選択はまた、試料の純度にも依存すると考えられ、いくつかのポリメラーゼ酵素は、血液などの汚染物質に感受性であることが周知である(例えば、Al-Soud et al, Appl Environ Microbiol. 1998 Oct; 64(10): 3748-3753を参照されたい)。
【0038】
いくつかの態様において、DNAポリメラーゼは、Volcano2G DNAポリメラーゼである。いくつかの態様において、第1鎖合成(伸長工程)は、逆転写酵素を用いて行われる。いくつかの態様において、逆転写酵素は、M-MuLV逆転写酵素、SuperScript(商標)III RT、AMV逆転写酵素、Maxima H Minus逆転写酵素からなる群より選択されてもよい。
【0039】
DNAポリメラーゼのブロック
DNAポリメラーゼをブロックする修飾体またはリンカー部分は、リンカー部分または修飾体にわたるポリメラーゼのリードスルーを阻止し、鎖伸長の終結を結果としてもたらす。
【0040】
ポリメラーゼブロッキングリンカー部分
本発明の捕捉プローブのリンカー部分は、領域1Cおよび領域2Aを連結し、領域1Aおよび1Cの相補ヌクレオチドのハイブリダイゼーションを可能にするが、連結部分にわたるポリメラーゼ(または逆転写酵素)のリードスルーを阻止する部分である。リンカー部分は、いくつかの態様において、非ヌクレオチドポリマーなどの非ヌクレオチドリンカー、例えば、アルキルリンカー、ポリエチレングリコールリンカー、非ヌクレオシド炭水化物リンカー、光切断性リンカー(PCスペーサー)、もしくはアルキルジスルフィドリンカーからなるか、もしくはそれを含んでもよく;または、リンカー部分は、(ポリ)リボースベースの部分、例えば、1,2-デオキシリボースもしくは脱塩基フランの領域、もしくはハイブリダイズしない塩基の基を含むヌクレオシドからなるか、もしくはそれを含んでもよい。いくつかのポリメラーゼ、例えばいくつかの逆転写酵素は、いくつかのリンカーの小さな領域を飛び越えるのに十分な混乱状態を有することが認識されており、したがって、リンカーは、用いられるポリメラーゼのリードスルーを阻止するものであるべきである。例えば、HIV逆転写酵素は、すべてが低い効率であるが、脱塩基ヌクレオシドをリードスルーすることができる(Cancio et al., Biochemical Journal 2004, 383(3) 475-482)。リンカー基(D)の非限定的な例を、下記に提供する。
アルキルスペーサー、例えば、以下の構造のもの:
式中、nは、少なくとも2、例えば、2~26の間、例えば、2、3、6、12、18、24、または36である。いくつかの態様において、n=12である。
(http://www.linktech.co.uk/products/modifiers/spacer_modifiers/339_spacer-ce-phosphoramidite-c12)
いくつかの態様において、n=3のC3スペーサー(n=3)である。
http://www.linktech.co.uk/products/modifiers/spacer_modifiers/333_spacer-ce-phosphoramidite-c3
エチレングリコールベースのスペーサー、例えば、以下の構造のもの:
式中、nは、少なくとも1、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12である。いくつかの態様において、リンカーはHEG(ヘキサエチレングリコール)である。
http://www.linktech.co.uk/products/modifiers/spacer_modifiers/337_spacer-ce-phosphoramidite-18-heg
いくつかの態様において、リンカーはTEG(トリエチレングリコール)スペーサーである。
http://www.linktech.co.uk/products/modifiers/spacer_modifiers/331_spacer-ce-phosphoramidite-9-teg
(ポリ)1,2-ジデオキシリボース/脱塩基フランの領域
ここで、領域は、前記脱塩基フランの少なくとも1個、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10個のそのような脱塩基フラン単位、例えば6~50個の脱塩基フラン単位を含む。
以下の式のC6ジスルフィドリンカー
以下の式のPCリンカーホスホラミダイト:
http://www.linktech.co.uk/products/modifiers/photocleavable_modifiers/352_pc-spacer-ce-phosphoramidite
または以下の式のもの
http://www.linktech.co.uk/products/modifiers/photocleavable_modifiers/354_pc-linker-ce-phosphoramidite
【0041】
いくつかの態様において、リンカー部分は、ヌクレオチドベースの部分であるが、ポリメラーゼのリードスルーを阻止する修飾を含み、例えば、逆位ヌクレオシドを含んでもよく、または、ハイブリダイゼーションを可能にしない(ブロックする)1個もしくは複数個の修飾核酸塩基を含んでもよい。
【0042】
アンチセンスオリゴヌクレオチド
本明細書において用いられる「アンチセンスオリゴヌクレオチド」という用語は、標的核酸に、特に標的核酸上の連続配列にハイブリダイズすることによって、標的遺伝子の発現を調節することができるオリゴヌクレオチドとして定義される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、本質的に二本鎖ではなく、そのためsiRNAではない。典型的に、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、修飾ヌクレオシドを含み、7~25個のヌクレオチドの長さ、例えば7~20個のヌクレオチドの長さである。アンチセンスオリゴヌクレオチドの多数の設計が公知であり、そのうちの数種類は、LNAなどの高親和性修飾ヌクレオシドを組み入れ、例えば、ギャップマー(gapmer)オリゴヌクレオチド、ミックスマー(mixmer)オリゴヌクレオチドなどである。いくつかの態様において、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0043】
立体限定的ホスホロチオアートオリゴヌクレオチド
典型的に、オリゴヌクレオチドホスホロチオアートは、Rpホスホロチオアート結合およびSpホスホロチオアート結合のランダム混合物(ジアステレオマー混合物とも呼ばれる)として合成される。
【0044】
上記の図は、Spホスホロチオアートヌクレオシド間結合およびRpホスホロチオアートヌクレオシド間結合の立体化学を示す。R基は、ヌクレオシドである。ホスホロチオアートのプロトン化型を例証目的だけで示すことに、注意されたい。
【0045】
立体限定的ホスホロチオアートオリゴヌクレオチドとは、オリゴヌクレオチドのホスホロチオアート結合の少なくとも1つが、立体限定的であり、すなわち、オリゴヌクレオチド試料中に存在するオリゴヌクレオチド分子の少なくとも75%、例えば少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも97%、例えば少なくとも98%、例えば少なくとも99%、または(本質的に)すべてが、RpまたはSpのいずれかである、ホスホロチオアートオリゴヌクレオチドである。立体限定的オリゴヌクレオチドは、立体限定的である少なくとも1つのホスホロチオアート結合を含む。完全立体限定的オリゴヌクレオチドとは、ヌクレオシド間結合のすべてが立体限定的ホスホロチオアートヌクレオシド間結合である、オリゴヌクレオチドである。立体限定的という用語は、1つまたは複数のホスホロチオアートヌクレオシド間結合の定義された鏡像異性をRpまたはSpのいずれかとして説明するために用いられてもよく、または、そのような1つ(または複数)のホスホロチオアートヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを説明するために用いられてもよい。立体限定的オリゴヌクレオチドは、いずれかの1つの位置に少量の代替的な立体異性体を含んでもよいことが認識されており、例えば、Wanらは、2014年11月にNARにおいて報告されたギャップマーについて98%の立体選択性を報告している。
【0046】
本発明者らは、本発明の捕捉プローブおよび方法が、ホスホロチオアートオリゴヌクレオチドを検出、定量、配列決定、増幅、またはクローニングするために用いられてもよく、ここで、該ホスホロチオアートオリゴヌクレオチドの最も3'にあるヌクレオシド間結合が、Rpホスホロチオアートヌクレオシド間結合であることを発見した。
【0047】
実施例によって例証されるように、修飾オリゴヌクレオチドの2個の3'末端ヌクレオシドの間に位置づけられたSpホスホロチオアートヌクレオシド間結合よりもむしろRpホスホロチオアートヌクレオシド間結合を有するオリゴヌクレオチドをライゲーションするT4DNAリガーゼの選択能力を、Rpヌクレオシド間結合とSpヌクレオシド間結合との間を区別するために用いることができる。本発明の方法は、そのため、オリゴヌクレオチドの2個の3'末端ヌクレオシドの間に位置づけられたホスホロチオアートヌクレオシド間結合の鏡像異性を特定するために用いられてもよい。
【0048】
他のオリゴヌクレオチドの検出
本発明の方法は、必ずしもアンチセンスオリゴヌクレオチドの検出または定量に限定されず、他の治療用オリゴヌクレオチド、例えばsiRNAまたはアプタマーの検出、または定量、または配列決定、またはクローニングにおいて使用されてもよく、かつ他の核酸配列、例えばマイクロRNAおよびcDNAの検出、または定量、または配列決定、またはクローニングのために用いられてもよいことが、認識されるであろう。
【0049】
ヌクレオチド
ヌクレオチドとは、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドの基本単位であり、本発明の目的では、天然に存在するヌクレオチドおよび天然に存在しないヌクレオチドの両方を含む。天然において、ヌクレオチド、例えばDNAヌクレオチドおよびRNAヌクレオチドは、デオキシリボース/リボース糖部分、核酸塩基部分、および1個または複数個のリン酸基を含む(リン酸基が欠如している場合、ヌクレオシドと呼ばれる)。ヌクレオシドおよびヌクレオチドはまた、互換的に、「単位」または「単量体」と呼ばれてもよい。
【0050】
修飾ヌクレオシド
本明細書において用いられる「修飾ヌクレオシド」または「ヌクレオシド修飾体」という用語は、糖部分または(核酸)塩基部分の1つまたは複数の修飾の導入によって、等価のDNAヌクレオシドまたはRNAヌクレオシドと比較して修飾されたヌクレオシドを指す。好ましい態様において、修飾ヌクレオシドは、修飾糖部分を含む。修飾ヌクレオシドという用語はまた、本明細書において、「ヌクレオシド類似体」または修飾「単位」または修飾「単量体」という用語と互換的に用いられてもよい。
【0051】
修飾ヌクレオシド間結合
いくつかの態様において、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドは、ホスホジエステル以外のヌクレオシド間結合、すなわち「修飾ヌクレオシド間結合」を含む。いくつかの態様において、修飾ヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル結合と比較して、オリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を増加させる。修飾ヌクレオシド間結合は、インビボ使用のためにオリゴヌクレオチドを安定化させる際に特に有用であり、本発明のオリゴヌクレオチドにおけるDNAヌクレオシドまたはRNAヌクレオシドの領域で、例えば、ギャップマーオリゴヌクレオチドのギャップ領域内で、および修飾ヌクレオシドの領域において、ヌクレアーゼ切断から保護するように働き得る。ヌクレアーゼ耐性は、両方とも当技術分野において周知である、オリゴヌクレオチドを血清中でインキュベートすること、またはヌクレアーゼ耐性アッセイ(例えば、ヘビ毒ホスホジエステラーゼ(SVPD))を用いることによって判定されてもよい。オリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を増強することができるヌクレオシド間結合は、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオシド間結合と呼ばれる。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチド、またはその連続ヌクレオチド配列のヌクレオシド間結合のすべてが修飾される。いくつかの態様において、本発明のオリゴヌクレオチドを非ヌクレオチド官能基、例えばコンジュゲートに連結するヌクレオシドは、ホスホジエステルであってもよいことが認識されるであろう。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチド、またはその連続ヌクレオチド配列のヌクレオシド間結合のすべては、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオシド間結合である。
【0052】
いくつかの態様において、修飾ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオアートヌクレオシド間結合であってもよい。いくつかの態様において、修飾ヌクレオシド間結合は、本発明のオリゴヌクレオチドのRNアーゼH動員と適合性であり、例えばホスホロチオアートである。
【0053】
いくつかの態様において、ヌクレオシド間結合は、硫黄(S)を含み、例えばホスホロチオアートヌクレオシド間結合である。
【0054】
ホスホロチオアートヌクレオシド間結合は、ヌクレアーゼ耐性、有益な薬物動態、および製造の容易さのために特に有用である。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチド、またはその連続ヌクレオチド配列のヌクレオシド間結合のすべては、ホスホロチオアートである。
【0055】
核酸塩基
核酸塩基という用語は、核酸ハイブリダイゼーションにおいて水素結合を形成する、ヌクレオシドおよびヌクレオチド中に存在するプリン(例えば、アデニンおよびグアニン)ならびにピリミジン(例えば、ウラシル、チミン、およびシトシン)部分を含む。本発明の文脈において、核酸塩基という用語はまた、天然に存在する核酸塩基とは異なっていてもよいが、核酸ハイブリダイゼーションの間に機能的である、修飾核酸塩基も包含する。この文脈において、「核酸塩基」とは、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチン、およびヒポキサンチンなどの天然に存在する核酸塩基、ならびに天然に存在しないバリアントの両方を指す。そのようなバリアントは、例えば、Hirao et al (2012) Accounts of Chemical Research vol 45 page 2055およびBergstrom (2009) Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl. 37 1.4.1に記載されている。
【0056】
いくつかの態様において、核酸塩基部分は、プリンまたはピリミジンを、修飾プリンまたは修飾ピリミジン、例えば置換プリンまたは置換ピリミジン、例えば、イソシトシン、シュードイソシトシン、5-メチルシトシン、5-チオゾロ-シトシン、5-プロピニル-シトシン、5-プロピニル-ウラシル、5-ブロモウラシル、5-チアゾロ-ウラシル、2-チオ-ウラシル、2'チオ-チミン、イノシン、ジアミノプリン、6-アミノプリン、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリン、および2-クロロ-6-アミノプリンから選択される核酸塩基に変化させることによって修飾される。
【0057】
核酸塩基部分は、各々の対応する核酸塩基についての文字コード、例えば、A、T、G、C、またはUによって示されてもよく、各文字は、任意で、等価の機能の修飾核酸塩基を含んでもよい。例えば、例証となるオリゴヌクレオチドにおいて、核酸塩基部分は、A、T、G、C、および5-メチルシトシンから選択される。任意で、LNAギャップマーについては、5-メチルシトシンLNAヌクレオシドが用いられてもよい。
【0058】
修飾オリゴヌクレオチド
修飾オリゴヌクレオチドという用語は、1個または複数個の糖修飾ヌクレオシドおよび/または修飾ヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを説明する。いくつかの態様において、修飾ヌクレオシドは、2個の最も3'にある(3'末端の)ヌクレオシドの間に、立体限定的Rpホスホロチオアートヌクレオシド間結合を含む。いくつかの態様において、修飾オリゴヌクレオチドは、糖修飾オリゴヌクレオチドである。いくつかの態様において、糖修飾オリゴヌクレオチドは、糖修飾されている3'末端ヌクレオシド、例えば2'置換ヌクレオシド、例えば2'-O-MOE、またはLNAヌクレオシドを含む。いくつかの態様において、糖修飾オリゴヌクレオチドは、3'末端LNAヌクレオシド、例えば、β-D-オキシLNAヌクレオシドまたは(S)cETヌクレオシドを含む。
【0059】
相補性
「相補性」という用語は、ヌクレオシド/ヌクレオチドのワトソン・クリック型塩基対形成についての能力を説明する。ワトソン・クリック型塩基対とは、グアニン(G)‐シトシン(C)およびアデニン(A)‐チミン(T)/ウラシル(U)である。オリゴヌクレオチドは、修飾核酸塩基を有するヌクレオシドを含んでもよく、例えば、5-メチルシトシンが、多くの場合にシトシンの代わりに用いられ、したがって、相補性という用語は、非修飾核酸塩基と修飾核酸塩基との間のワトソン・クリック型塩基対を包含することが理解されるであろう(例えば、Hirao et al (2012) Accounts of Chemical Research vol 45 page 2055およびBergstrom (2009) Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl. 37 1.4.1を参照されたい)。
【0060】
ハイブリダイゼーション
本明細書において用いられる「ハイブリダイズすること」または「ハイブリダイズする」という用語は、2本の核酸鎖(例えば、オリゴヌクレオチドおよび標的核酸)が反対の鎖上の塩基対の間に水素結合を形成し、それによって二重鎖を形成することとして理解されるべきである。
【0061】
高親和性修飾ヌクレオシド
本明細書において高親和性ヌクレオシド類似体とも呼ばれる高親和性修飾ヌクレオシドは、オリゴヌクレオチド中に組み込まれた場合に、例えば、融解温度(Tm)によって測定されるような、オリゴヌクレオチドのその相補的標的に対する親和性を増強する、修飾ヌクレオシドである。本発明の高親和性修飾ヌクレオシドは、好ましくは、修飾ヌクレオシドあたり+0.5~+12℃の間、より好ましくは+1.5~+10℃の間、および最も好ましくは+3~+8℃の間の、融解温度の増大を結果としてもたらす。多数の高親和性修飾ヌクレオシドが、当技術分野において公知であり、例えば、多くの2'置換ヌクレオシド、およびロックド核酸(LNA)を含む(例えば、Freier & Altmann; Nucl. Acid Res., 1997, 25, 4429-4443およびUhlmann; Curr. Opinion in Drug Development, 2000, 3(2), 293-213を参照されたい)。
【0062】
糖修飾
本発明のオリゴマーは、修飾糖部分、すなわち、DNAおよびRNAにおいて見出されるリボース糖部分と比較した時に糖部分の修飾を有する、1個または複数個のヌクレオシドを含んでもよい。
【0063】
リボース糖部分の修飾を有する多数のヌクレオシドが、主として、オリゴヌクレオチドのある特定の特性、例えば、親和性および/またはヌクレアーゼ耐性を改善するねらいで作製されている。
【0064】
そのような修飾には、リボース環構造が、例えば、ヘキソース環(HNA)、または、典型的にはリボース環上のC2炭素とC4炭素との間にビラジカル架橋を有する二環式環(LNA)、または、典型的にはC2炭素とC3炭素との間の結合が欠けている非連結リボース環(例えば、UNA)での置き換えによって修飾されているものが含まれる。他の糖修飾ヌクレオシドには、例えば、ビシクロヘキソース核酸(WO2011/017521)または三環式核酸(WO2013/154798)が含まれる。修飾ヌクレオシドにはまた、例えば、ペプチド核酸(PNA)、またはモルフォリノ核酸の場合の、糖部分が非糖部分で置き換えられているヌクレオシドも含まれる。
【0065】
糖修飾にはまた、リボース環上の置換基を、DNAヌクレオシドおよびRNAヌクレオシドにおいて天然に見出される水素、または2'-OH基以外の基に変更することを介して作製される修飾も含まれる。置換基は、例えば、2'、3'、4'、または5'の位置に導入されてもよい。修飾糖部分を有するヌクレオシドはまた、2'修飾ヌクレオシド、例えば2'置換ヌクレオシドも含む。実際に、2'置換ヌクレオシドを開発することに多くの集中がなされており、多数の2'置換ヌクレオシドが、オリゴヌクレオチド中に組み込まれた時に有益な特性、例えば、増強されたヌクレオシド耐性および増強された親和性を有することが見出されている。
【0066】
2'修飾ヌクレオシド
2'糖修飾ヌクレオシドとは、2'の位置にHまたは-OH以外の置換基を有する(2'置換ヌクレオシド)か、または2'連結ビラジカルを含むヌクレオシドであり、2'置換ヌクレオシドおよびLNA(2'-4'ビラジカル架橋型)ヌクレオシドを含む。例えば、2'修飾糖は、オリゴヌクレオチドに対して増強された結合親和性および/または増大したヌクレアーゼ耐性を提供し得る。2'置換修飾ヌクレオシドの例は、2'-O-アルキル-RNA、2'-O-メチル-RNA、2'-アルコキシ-RNA、2'-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2'-アミノ-DNA、2'-フルオロ-RNA、および2'-F-ANAヌクレオシドである。さらなる例については、例えば、Freier & Altmann; Nucl. Acid Res., 1997, 25, 4429-4443およびUhlmann; Curr. Opinion in Drug Development, 2000, 3(2), 293-213、ならびにDeleavey and Damha, Chemistry and Biology 2012, 19, 937を参照されたい。下記は、いくつかの2'置換修飾ヌクレオシドの例証である。
【0067】
ロックド核酸ヌクレオシド(LNA)
LNAヌクレオシドは、ヌクレオチドのリボース糖環のC2'とC4'との間にリンカー基(ビラジカルまたは架橋と呼ばれる)を含む、修飾ヌクレオシドである。これらのヌクレオシドはまた、文献において架橋型核酸または二環式核酸(BNA)とも称される。
【0068】
いくつかの態様において、本発明のオリゴマーの修飾ヌクレオシドまたはLNAヌクレオシドは、以下の式Iまたは式IIの一般構造を有する:
式中、Wは、-O-、-S-、-N(Ra)-、-C(RaRb)-から選択され、例えば、いくつかの態様において-O-であり;
Bは、核酸塩基または修飾核酸塩基部分を指し示し;
Zは、隣接ヌクレオシドに対するヌクレオシド間結合、または5'末端基を指し示し;
Z*は、隣接ヌクレオシドに対するヌクレオシド間結合、または3'末端基を指し示し;
Xは、-C(RaRb)-、-C(Ra)=C(Rb)- 、-C(Ra)=N-、-O-、-Si(Ra)2-、-S-、-SO2-、-N(Ra)-、および>C=Zからなるリストから選択される基を指し示し、
いくつかの態様において、Xは、-O-、-S-、NH-、NRaRb、-CH2-、CRaRb、-C(=CH2)-、および-C(=CRaRb)-からなる群より選択され、
いくつかの態様において、Xは、-O-であり、
Yは、-C(RaRb)-、-C(Ra)=C(Rb)-、-C(Ra)=N-、-O-、-Si(Ra)2-、-S-、-SO2-、-N(Ra)-、および>C=Zからなる群より選択される基を指し示し、
いくつかの態様において、Yは、-CH2-、-C(RaRb)-、-CH2CH2-、-C(RaRb)-C(RaRb)-、-CH2CH2CH2-、-C(RaRb)C(RaRb)C(RaRb)-、-C(Ra)=C(Rb)-、および-C(Ra)=N-からなる群より選択され、
いくつかの態様において、Yは、-CH2-、-CHRa-、-CHCH3-、CRaRb-からなる群より選択され、
または、-X-Y-は、二価リンカー基(ラジカルとも呼ばれる)を共に指し示し、-C(RaRb)-、-C(Ra)=C(Rb)-、-C(Ra)=N-、-O-、-Si(Ra)2-、-S-、-SO2-、-N(Ra)-、および>C=Zからなる群より選択される、1、2、3、もしくは4基/原子からなる二価リンカー基を共に指し示し、
いくつかの態様において、-X-Y-は、-X-CH2-、-X-CRaRb-、-X-CHRa-、-X-C(HCH3)-、-O-Y-、-O-CH2-、-S-CH2-、-NH-CH2-、-O-CHCH3-、-CH2-O-CH2、-O-CH(CH3CH3)-、-O-CH2-CH2-、OCH2-CH2-CH2-、-O-CH2OCH2-、-O-NCH2-、-C(=CH2)-CH2-、-NRa-CH2-、N-O-CH2、-S-CRaRb-、および-S-CHRa-からなる群より選択されるビラジカルを指し示し、
いくつかの態様において、-X-Y-は、-O-CH2-もしくは-O-CH(CH3)-を指し示し、
式中、Zは、-O-、-S-、および-N(Ra)-から選択され、
かつRaは、Rbが存在する場合、各々が独立して、水素、置換されてもよいC1-6-アルキル、置換されてもよいC2-6-アルケニル、置換されてもよいC2-6-アルキニル、ヒドロキシ、置換されてもよいC1-6-アルコキシ、C2-6-アルコキシアルキル、C2-6-アルケニルオキシ、カルボキシ、C1-6-アルコキシカルボニル、C1-6-アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ-カルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ-カルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、アミノ、モノ-およびジ(C1-6-アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ-およびジ(C1-6-アルキル)-アミノ-カルボニル、アミノ-C1-6-アルキル-アミノカルボニル、モノ-および ジ(C1-6-アルキル)アミノ-C1-6-アルキル-アミノカルボニル、C1-6-アルキル-カルボニルアミノ、カルバミド、C1-6-アルカノイルオキシ、スルホノ、C1-6-アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、スルファニル、C1-6-アルキルチオ、ハロゲンから選択され、ここで、アリールおよびヘテロアリールは、置換されてもよく、かつ2個のジェミナル置換基RaおよびRbは共に、置換されてもよいメチレン(=CH2)を指し示してもよく、すべてのキラル中心について、不斉基がR配向またはS配向のいずれかで見出されてもよく、
式中、R1、R2、R3、R5、およびR5*は、独立して、水素、置換されてもよいC1-6-アルキル、置換されてもよいC2-6-アルケニル、置換されてもよい C2-6-アルキニル、ヒドロキシ、C1-6-アルコキシ、C2-6-アルコキシアルキル、C2-6-アルケニルオキシ、カルボキシ、C1-6-アルコキシカルボニル、C1-6-アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ-カルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ-カルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、アミノ、モノ- およびジ(C1-6-アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ-およびジ(C1-6-アルキル)-アミノ-カルボニル、アミノ-C1-6-アルキル-アミノカルボニル、モノ-およびジ(C1-6-アルキル)アミノ-C1-6-アルキル-アミノカルボニル、C1-6-アルキル-カルボニルアミノ、カルバミド、C1-6-アルカノイルオキシ、スルホノ、C1-6-アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、スルファニル、C1-6-アルキルチオ、ハロゲンからなる群より選択され、ここで、アリールおよびヘテロアリールは、置換されてもよく、かつ2個のジェミナル置換基は共に、オキソ、チオキソ、イミノ、または置換されてもよいメチレンを指し示してもよく、
いくつかの態様において、R1、R2、R3、R5、およびR5*は、独立して、メチルなどのC1-6 アルキル、および水素から選択され、
いくつかの態様において、R1、R2、R3、R5、およびR5*は、すべてが水素であり、
いくつかの態様において、R1、R2、R3は、すべてが水素であり、かつ、R5およびR5*のいずれかもまた、水素であり、R5およびR5*のもう一方は、水素以外、例えばメチルなどのC1-6 アルキルであり、
いくつかの態様において、Raは、水素またはメチルのいずれかであり、いくつかの態様において、存在する場合、Rbは、水素またはメチルのいずれかであり、
いくつかの態様において、RaおよびRbの一方または両方は、水素であり、
いくつかの態様において、RaおよびRbの一方は水素であり、もう一方は水素以外であり、
いくつかの態様において、RaおよびRbの一方はメチルであり、もう一方は水素であり、
いくつかの態様において、RaおよびRbの両方は、メチルである。
【0069】
いくつかの態様において、ビラジカル-X-Y-は-O-CH2-であり、WはOであり、かつ、R1、R2、R3、R5、およびR5*のすべては、すべて水素である。そのようなLNAヌクレオシドは、参照により本明細書にすべてが組み入れられるWO99/014226、WO00/66604、WO98/039352、およびWO2004/046160において開示されており、β-D-オキシLNAヌクレオシドおよびα-L-オキシLNAヌクレオシドとして一般に公知であるものを含む。
【0070】
いくつかの態様において、ビラジカル-X-Y-は-S-CH2-であり、WはOであり、かつ、R1、R2、R3、R5、およびR5*のすべては、すべて水素である。そのようなチオLNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み入れられるWO99/014226およびWO2004/046160において開示されている。
【0071】
いくつかの態様において、ビラジカル-X-Y-は-NH-CH2-であり、WはOであり、かつ、R1、R2、R3、R5、およびR5*のすべては、すべて水素である。そのようなアミノLNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み入れられるWO99/014226およびWO2004/046160において開示されている。
【0072】
いくつかの態様において、ビラジカル-X-Y-は-O-CH2-CH2-または-O-CH2-CH2-CH2-であり、WはOであり、かつ、R1、R2、R3、R5、およびR5*のすべては、すべて水素である。そのようなLNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み入れられるWO00/047599およびMorita et al, Bioorganic & Med.Chem. Lett. 12 73-76において開示されており、2'-O-4'C-エチレン架橋型核酸(ENA)として一般に公知であるものを含む。
【0073】
いくつかの態様において、ビラジカル-X-Y-は-O-CH2-であり、WはOであり、かつ、R1、R2、R3のすべて、ならびにR5およびR5*の一方は水素であり、R5およびR5*のもう一方は、水素以外、例えばメチルなどのC1-6アルキルである。そのような5'置換LNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み入れられるWO2007/134181において開示されている。
【0074】
いくつかの態様において、ビラジカル-X-Y-は-O-CRaRb-であり、式中、RaおよびRbの一方または両方は、水素以外、例えばメチルであり、WはOであり、かつ、R1、R2、R3のすべて、ならびにR5およびR5*の一方は水素であり、R5およびR5*のもう一方は、水素以外、例えばメチルなどのC1-6アルキルである。そのようなビス修飾LNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み入れられるWO2010/077578において開示されている。
【0075】
いくつかの態様において、ビラジカル-X-Y-は、二価リンカー基-O-CH(CH2OCH3)-(2'O-メトキシエチル二環式核酸‐Seth at al., 2010, J. Org. Chem. Vol 75(5) pp. 1569-81)を指し示す。いくつかの態様において、ビラジカル-X-Y-は、二価リンカー基-O-CH(CH2CH3)-(2'O-エチル二環式核酸‐Seth at al., 2010, J. Org. Chem. Vol 75(5) pp. 1569-81)を指し示す。いくつかの態様において、ビラジカル-X-Y-は-O-CHRa-であり、WはOであり、かつ、R1、R2、R3、R5、およびR5*のすべては、すべて水素である。そのような6'置換LNAヌクレオシドは、参照により両方とも本明細書に組み入れられるWO10036698およびWO07090071において開示されている。
【0076】
いくつかの態様において、ビラジカル-X-Y-は-O-CH(CH2OCH3)-であり、WはOであり、かつ、R1、R2、R3、R5、およびR5*のすべては、すべて水素である。そのようなLNAヌクレオシドはまた、当技術分野においてサイクリックMOE(cMOE)としても公知であり、WO07090071において開示されている。
【0077】
いくつかの態様において、ビラジカル-X-Y-は、R配置またはS配置のいずれかの二価リンカー基-O-CH(CH3)-を指し示す。いくつかの態様において、ビラジカル-X-Y-は共に、二価リンカー基-O-CH2-O-CH2-(Seth at al., 2010, J. Org. Chem)を指し示す。いくつかの態様において、ビラジカル-X-Y-は-O-CH(CH3)-であり、WはOであり、かつ、R1、R2、R3、R5、およびR5*のすべては、すべて水素である。そのような6'メチルLNAヌクレオシドはまた、当技術分野においてcETヌクレオシドとしても公知であり、参照により両方とも本明細書に組み入れられるWO07090071(β-D)およびWO2010/036698(α-L)において開示されているように、(S)cET立体異性体または(R)cET立体異性体のいずれかであってもよい。
【0078】
いくつかの態様において、ビラジカル-X-Y-は-O-CRaRb-であり、式中、RaもRbも水素ではなく、WはOであり、かつ、R1、R2、R3、R5、およびR5*のすべては、すべて水素である。いくつかの態様において、RaおよびRbは、両方ともメチルである。そのような6'ジ置換LNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み入れられるWO 2009006478において開示されている。
【0079】
いくつかの態様において、ビラジカル-X-Y-は-S-CHRa-であり、WはOであり、かつ、R1、R2、R3、R5、およびR5*のすべては、すべて水素である。そのような6'置換チオLNAヌクレオシドは、参照により本明細書に組み入れられるWO11156202において開示されている。いくつかの6'置換チオLNAの態様において、Raはメチルである。
【0080】
いくつかの態様において、ビラジカル-X-Y-は-C(=CH2)-C(RaRb)-、例えば、-C(=CH2)-CH2-または-C(=CH2)-CH(CH3)-であり、WはOであり、かつ、R1、R2、R3、R5、およびR5*のすべては、すべて水素である。そのようなビニルカルボLNAヌクレオシドは、参照により両方とも本明細書に組み入れられるWO08154401およびWO09067647において開示されている。
【0081】
いくつかの態様において、ビラジカル-X-Y-は-N(-ORa)-であり、WはOであり、かつ、R1、R2、R3、R5、およびR5*のすべては、すべて水素である。いくつかの態様において、Raは、メチルなどのC1-6アルキルである。そのようなLNAヌクレオシドはまた、N置換LNAとしても公知であり、参照により本明細書に組み入れられるWO2008/150729において開示されている。いくつかの態様において、ビラジカル-X-Y-は共に、二価リンカー基-O-NRa-CH3-(Seth at al., 2010, J. Org. Chem)を指し示す。
【0082】
いくつかの態様において、ビラジカル-X-Y-は-N(Ra)-であり、WはOであり、かつ、R1、R2、R3、R5、およびR5*のすべては、すべて水素である。いくつかの態様において、Raは、メチルなどのC1-6アルキルである。
【0083】
いくつかの態様において、R5およびR5*の一方または両方は、水素であり、置換された場合、R5およびR5*のもう一方は、メチルなどのC1-6アルキルである。そのような態様において、R1、R2、R3は、すべてが水素であってもよく、ビラジカル-X-Y-は、-O-CH2-または-O-C(HCRa)-、例えば-O-C(HCH3)-から選択されてもよい。
【0084】
いくつかの態様において、ビラジカルは-CRaRb-O-CRaRb-、例えばCH2-O-CH2-であり、WはOであり、かつ、R1、R2、R3、R5、およびR5*のすべては、すべて水素である。いくつかの態様において、Raは、メチルなどのC1-6アルキルである。そのようなLNAヌクレオシドはまた、配座固定(conformationally restricted)ヌクレオチド(CRN)としても公知であり、参照により本明細書に組み入れられるWO2013036868において開示されている。
【0085】
いくつかの態様において、ビラジカルは-O-CRaRb-O-CRaRb-、例えばO-CH2-O-CH2-であり、WはOであり、かつ、R1、R2、R3、R5、およびR5*のすべては、すべて水素である。いくつかの態様において、Raは、メチルなどのC1-6アルキルである。そのようなLNAヌクレオシドはまた、COCヌクレオチドとしても公知であり、参照により本明細書に組み入れられるMitsuoka et al., Nucleic Acids Research 2009 37(4), 1225-1238において開示されている。
【0086】
明記されない限り、LNAヌクレオシドは、β-Dステレオアイソフォームまたはα-Lステレオアイソフォームであってもよいことが、認識されるであろう。
【0087】
LNAヌクレオシドのある特定の例を、スキーム1に提示する。
【0088】
実施例において例証されるように、本発明のいくつかの態様において、オリゴヌクレオチド中のLNAヌクレオシドは、β-D-オキシ-LNAヌクレオシドである。
【0089】
2'置換オリゴヌクレオチド
いくつかの態様において、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドは、少なくとも1個の2'置換ヌクレオシド、例えば、少なくとも1個の3'末端2'置換ヌクレオシドを含む。いくつかの態様において、2'置換オリゴヌクレオチドは、ギャップマーオリゴヌクレオチド、ミックスマーオリゴヌクレオチド、またはトータルマー(totalmer)オリゴヌクレオチドである。いくつかの態様において、2'置換は、2'メトキシエチル(2'-O-MOE)または2'O-メチルからなる群より選択される。いくつかの態様において、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'ヌクレオチドは、2'置換ヌクレオシド、例えば、2'-O-MOEまたは2'-O-メチルである。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、4個よりも多くの連続したヌクレオシド修飾ヌクレオシドを含まない。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、3個よりも多くの連続したヌクレオシド修飾ヌクレオシドヌクレオシドを含まない。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、3'末端に2個の2'-O-MOE修飾ヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオアートヌクレオシド間結合を含み、いくつかの態様において、オリゴヌクレオチド中に存在するヌクレオシド間結合の少なくとも75%は、ホスホロチオアートヌクレオシド間結合である。いくつかの態様において、修飾ヌクレオシドオリゴヌクレオチドのヌクレオシド間結合のすべては、ホスホロチオアートヌクレオシド間結合である。ホスホロチオアート結合したオリゴヌクレオチドは、それらの治療薬としての使用を含み、哺乳動物におけるインビボ適用のために広く用いられる。
【0090】
いくつかの態様において、糖修飾オリゴヌクレオチドは、7~30ヌクレオチド、例えば8~25個のヌクレオチドの長さを有する。いくつかの態様において、糖修飾オリゴヌクレオチドの長さは、10~20個のヌクレオチド、例えば12~18個のヌクレオチドである。
【0091】
ヌクレオシドオリゴヌクレオチドは、任意で、例えばGalNaCコンジュゲートとコンジュゲートされてもよい。それらがコンジュゲートされる場合、その時はコンジュゲート基がオリゴヌクレオチドの3'の位置以外に位置づけられることが好ましく、例えば、コンジュゲーションは、5'末端であってもよい。
【0092】
LNAオリゴヌクレオチド
いくつかの態様において、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドは、少なくとも1個のLNAヌクレオシド、例えば、少なくとも1個の3'末端LNAヌクレオシドを含む。いくつかの態様において、LNAオリゴヌクレオチドは、ギャップマーオリゴヌクレオチド、ミックスマーオリゴヌクレオチド、またはトータルマーオリゴヌクレオチドである。いくつかの態様において、LNAオリゴヌクレオチドは、4個よりも多くの連続したLNAヌクレオシドを含まない。いくつかの態様において、LNAオリゴヌクレオチドは、3個よりも多くの連続したLNAヌクレオシドを含まない。いくつかの態様において、LNAオリゴヌクレオチドは、3'末端に2個のLNAヌクレオチドを含む。
【0093】
ギャップマー
ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドは、いくつかの態様において、ギャップマーオリゴヌクレオチドであってもよい。
【0094】
本明細書において用いられるギャップマーという用語は、1個または複数個のヌクレオシド修飾ヌクレオチド、例えば、親和性を増強する修飾ヌクレオシドを(フランクまたはウイングに)含む隣接領域(「F」)が5'および3'に隣接しているRNアーゼH動員オリゴヌクレオチドの領域(ギャップ‐「G」)を含む、アンチセンスオリゴヌクレオチドを指す。ギャップマーは、典型的には、長さが12~26個のヌクレオチドであり、いくつかの態様において、少なくとも1個のヌクレオシド修飾ヌクレオチド、例えば、1~6個のヌクレオシド修飾ヌクレオシドを含む隣接領域Fがいずれかの側に隣接している、6~14個のDNAヌクレオシドの中心領域(G)を含む(F1-6G6-14F1-6)。ギャップ領域(例えば、DNAヌクレオシド領域)の近くに位置づけられた各フランクにおけるヌクレオシドは、ヌクレオシド修飾ヌクレオチド、例えば、LNAヌクレオシドまたは2'-O-MOEヌクレオシドである。いくつかの態様において、隣接領域におけるヌクレオシドはすべて、ヌクレオシド修飾ヌクレオシド、例えば、LNAヌクレオシドおよび/または2'-O-MOEヌクレオシドであるが、フランクは、ヌクレオシド修飾ヌクレオシドに加えてDNAヌクレオシドを含んでもよく、これは、いくつかの態様において、末端ヌクレオシドではない。
【0095】
LNAギャップマー
LNAギャップマーという用語は、フランクにおける親和性を増強する修飾ヌクレオシドのうちの少なくとも1個がLNAヌクレオシドである、ギャップマーオリゴヌクレオチドである。いくつかの態様において、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの3'末端ヌクレオシドがLNAヌクレオシドである、LNAギャップマーである。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドの2個の最も3'にあるヌクレオシドは、LNAヌクレオシドである。いくつかの態様において、LNAギャップマーの5'フランクおよび3'フランクは両方とも、LNAヌクレオシドを含み、いくつかの態様において、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドは、LNAオリゴヌクレオチド、例えばギャップマーオリゴヌクレオチドであり、ここで、オリゴヌクレオチドのヌクレオシドはすべて、LNAヌクレオシドまたはDNAヌクレオシドのいずれかである。
【0096】
混合ウイングギャップマー
混合ウイングギャップマーまたは混合フランクギャップマーという用語は、フランク領域の少なくとも1つが、少なくとも1個のLNAヌクレオシド、および少なくとも1個の非LNA修飾ヌクレオシド、例えば、少なくとも1個の2'置換修飾ヌクレオシド、例えば、2'-O-アルキル-RNA、2'-O-メチル-RNA、2'-アルコキシ-RNA、2'-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2'-アミノ-DNA、2'-フルオロ-RNA、および2'-F-ANAヌクレオシドなどを含む、LNAギャップマーを指す。いくつかの態様において、混合ウイングギャップマーは、LNAヌクレオシドのみを含む一方のフランク(例えば、5'または3')、ならびに、2'置換修飾ヌクレオシドおよび任意でLNAヌクレオシドを含むもう一方のフランク(尊重して、3'または5')を有する。いくつかの態様において、混合ウイングギャップマーは、フランクにLNAヌクレオシドおよび2'-O-MOEヌクレオシドを含む。
【0097】
ミックスマー
ミックスマーとは、ヌクレオシド修飾ヌクレオシドおよびDNAヌクレオシドの両方を含むオリゴヌクレオチドであり、ここで、該オリゴヌクレオチドは、4個よりも多くの連続したDNAヌクレオシドを含まない。ミックスマーオリゴヌクレオチドは、多くの場合、核酸標的の非RNアーゼH媒介性調節のため、例えば、マイクロRNAの阻害のため、または、スプライススイッチング調節もしくはプレmRNAのために用いられる。
【0098】
トータルマー
トータルマーとは、オリゴヌクレオチド中に存在するヌクレオシドがすべて、修飾されたヌクレオシドである、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドである。トータルマーは、1つのタイプのヌクレオシド修飾のみを含んでもよく、例えば、完全2'-O-MOE修飾オリゴヌクレオチドもしくは完全2'-O-メチル修飾オリゴヌクレオチド、または完全LNA修飾オリゴヌクレオチドであってもよく、または異なるヌクレオシド修飾体の混合物、例えば、LNAヌクレオシドおよび2'-O-MOEヌクレオシドの混合物を含んでもよい。いくつかの態様において、トータルマーは、1個または2個の3'末端LNAヌクレオシドを含んでもよい。
【0099】
小さなもの(tiny)
小さなオリゴヌクレオチドは、長さが7~10個のヌクレオチドのオリゴヌクレオチドであり、ここで、オリゴヌクレオチド内のヌクレオシドの各々は、LNAヌクレオシドである。小さなオリゴヌクレオチドは、マイクロRNAを標的とするために特に有効な設計であることが公知である。
【0100】
発明の詳細な説明
本発明者らは、T4DNAリガーゼが、5'リン酸化DNAヌクレオシドを、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'末端にライゲーションできることを特定した。本発明は、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'末端を、DNAオリゴヌクレオチドの5'末端にライゲーションするためのT4DNAリガーゼの使用であって、該ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'ヌクレオシドが、修飾ヌクレオシド、例えばLNAヌクレオシドである、前記使用を提供する。DNAオリゴヌクレオチドは、少なくとも1個の末端DNAヌクレオシドを含み、2個または3個の連続5'DNAヌクレオシドを含んでもよい。そのようなDNAオリゴヌクレオチドの設計は、例えば、図14図15、および図16に示されるように、本明細書において開示される。
【0101】
本発明者らはまた、DNAポリメラーゼ、例えば、Taqポリメラーゼなどの熱安定性DNAポリメラーゼ、および逆転写酵素が、(例えば第1鎖)鎖合成のためにヌクレオシド修飾鋳型を有効に使用できることも特定した。本発明は、そのため、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドからの相補核酸の第1鎖合成のための、DNAポリメラーゼまたは逆転写酵素の使用を提供する。本明細書に記載されるように、この使用は、T4DNAリガーゼの使用と組み合わされてもよい。本発明は、そのため、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドから相補DNA(cDNA)分子を作製するための方法であって、DNAオリゴヌクレオチドアダプター(例えば、捕捉プローブ)をヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'端にライゲーションする段階、およびその後の、プライマーをDNAオリゴヌクレオチドアダプターにハイブリダイズさせ、次いで、プライマーからの5'-3' DNAポリメラーゼまたは逆転写酵素媒介性伸長を行って、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドに相補的である核酸塩基配列を含むcDNAを作製する段階を含む、前記方法を提供する。方法は、さらに、cDNAのPCR増幅を行うその後の段階を含んでもよい。本方法は、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの検出、定量、増幅、配列決定、またはクローニングのために用いられてもよい。いくつかの態様において、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドは、少なくとも1個の(例えば1、2、3、4、または5個の)3'末端修飾ヌクレオシド、例えば、少なくとも1個の(例えば1、2、3、4、または5個の)LNAまたは少なくとも1個の(例えば1、2、3、4、または5個の)2'置換ヌクレオシド、例えば2'O-MOEを含む。いくつかの態様において、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドは、少なくとも1個の非末端修飾ヌクレオシド、例えば、LNAまたは2'置換ヌクレオシド、例えば2'-O-MOEを含む。
【0102】
本発明者らは、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチド、例えばヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドを捕捉する、検出する、増幅する、定量する、または配列決定するために使用することができる捕捉プローブオリゴヌクレオチドを設計した。
【0103】
本発明は、5'-3'に、
(i)(a) 最も5'にあるヌクレオチドが、末端5'リン酸基を有するDNAヌクレオチドである、あらかじめ決定された配列の少なくとも3個の5'連続ヌクレオチド(1A)、
(b) 任意で、領域1Aの3'に位置づけられた、縮重ヌクレオチドまたはあらかじめ決定されたヌクレオチドの領域(1B)、
(c) ユニバーサルプライマー結合部位を含む、3'領域(1C)
を含む、第1のヌクレオチドセグメント;
(ii)(a) 第1のセグメントのあらかじめ決定された配列1Aに相補的である、ヌクレオチドの連続配列(2A)、
(b) 最も3'にあるヌクレオチドが、ブロックされた3'末端基を有する末端ヌクレオチドである、少なくとも2個のヌクレオチドの領域
を含む、第2のヌクレオチドセグメント
を含む、捕捉プローブオリゴヌクレオチドであって、
第1および第2の領域が、リンカー部分を介して共有結合で連結されている、前記捕捉プローブオリゴヌクレオチドを提供する。
【0104】
本発明の一般化された捕捉プローブの例としては、図14を参照されたい。
【0105】
領域1A
いくつかの態様において、領域1Aは、5'末端ヌクレオチドが、5'リン酸基を含むDNAヌクレオチドである、あらかじめ決定された配列の少なくとも3個の連続ヌクレオチドを含むか、またはそれからなる(A)。少なくとも3個の連続ヌクレオチドは、領域2Aに相補的であり、ハイブリダイズすることができる。いくつかの態様において、領域1Aの少なくとも3個の連続ヌクレオチドは、DNAヌクレオチドである。
【0106】
いくつかの態様において、領域1Aは、少なくとも3個の連続ヌクレオチド、例えば3~10個の連続ヌクレオチド、例えば3~10個のDNAヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。
【0107】
領域1B
領域1Bは、あらかじめ決定された配列もしくは縮重配列、またはいくつかの態様においては、あらかじめ決定された配列部分および縮重配列部分の両方を含んでもよい、領域1Aの3'に位置づけられたヌクレオチドの任意配列である。領域Bの長さは、存在する場合、用途にしたがって調節されてもよい。縮重配列が用いられる場合、それは、特定の増幅産物が特有であるかどうかの判定を可能にする、その後の配列決定工程における増幅産物の「分子バーコーディング」を可能にし得る。これにより、オリゴヌクレオチドの不均一混合物中に存在する様々なオリゴヌクレオチドの比較定量が可能になる。いくつかの態様において、領域1Bは、3~30個の縮重連続ヌクレオチド、例えば、3~30個の縮重連続DNAヌクレオチドを含む。
【0108】
いくつかの配列が、PCRの間に優先的に増幅される場合があり、したがって、縮重配列を起源とする遺伝子「バーコード配列」の出現を計数することによって、増幅前の相対量を決定できることが公知である(例えば、Kielpinski & Vinter, NAR (2014) 42 (8): e70を参照されたい)。
【0109】
いくつかの態様において、領域1Bは、バーコード配列およびあらかじめ決定された配列の両方の有益性を可能にする、半縮重(semi-degenerate)配列を導入する。追加的な有益性は、バーコード配列の品質管理である(例えば、Kielpinski et al., Methods in Enzymology (2015) vol. 558, pages 153-180を参照されたい)。半縮重配列は、各位置で、選択された半縮重核酸塩基を有する(半縮重の定義の必要に基づいて、IUPACコードR、Y、S、W、K、M、B、D、H、およびVを追加する(表3を参照されたい))。
【0110】
いくつかの態様において、領域1Bは、縮重配列およびあらかじめ決定された配列の両方を有するか、または縮重配列および半縮重配列の両方を有するか、またはあらかじめ決定された配列および半縮重配列の両方を有するか、または縮重配列およびあらかじめ決定された配列および半縮重配列を有する。
【0111】
領域Bが、あらかじめ決定された配列を含む場合、それは、例えば、ユニバーサルプライマー部位の上流に、代替的プライマー部位またはネステッドプライマー部位を提供し得、ネステッドプライマー部位の使用は、PCR増幅の間の非特異的結合を低減させるための周知のツールである。いくつかの態様において、領域1Bは、3~30個のあらかじめ決定された連続ヌクレオチド、例えば、3~30個のあらかじめ決定された連続DNAヌクレオチドを含む。
【0112】
いくつかの態様において、捕捉プローブは、領域1Bを含まない。
【0113】
領域1C
領域1Cは、あらかじめ決定されたプライマー結合部位(本明細書においてユニバーサルプライマー結合部位とも呼ばれる)を含むヌクレオチドの領域である。
【0114】
領域2A
領域2Aは、領域1Aと二重鎖を形成する、領域1Aに相補的であるヌクレオチドの領域である(図14-C)。領域2Aが、領域1Aに相補的であるRNAヌクレオシドを含まないならば有益であり、捕捉プローブの5'末端ヌクレオシド(領域1Aの5'ヌクレオシド)に相補的であり、ハイブリダイズする領域2A中に存在するヌクレオシドが、DNAヌクレオシドであることも有益である。これは、領域1Aおよび2Aがハイブリダイズする時に、DNA/DNA二重鎖の形成を結果としてもたらす。いくつかの態様において、領域2Aの2個または3個の最も3'にあるヌクレオシドは、DNAヌクレオシドである。いくつかの態様において、領域2Aのヌクレオシドのすべては、DNAヌクレオシドである。いくつかの態様において、領域2Aは、領域1Aに相補的であり、ハイブリダイズすることができる少なくとも3個の連続ヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、領域2Aの少なくとも3個の連続ヌクレオチドは、DNAヌクレオチドである。
【0115】
いくつかの態様において、領域2Aは、3~10個の連続ヌクレオチド、例えば、3~10個のDNAヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。いくつかの態様において、領域1Aおよび領域2Aのヌクレオチドは、DNAヌクレオチドである。相補配列1Aおよび2Aの長さおよび組成(例えば、G/C対A/T)が、ハイブリダイゼーションの強度を調節するために用いられてもよく、これは、捕捉プローブの最適化を可能にする。相補配列内のミスマッチの導入が、ハイブリダイゼーション強度を低下させるために用いられ得ることもまた、認識されている(例えば、WO2014110272を参照されたい)。いくつかの態様において、領域1Aおよび2Aは、連続相補配列を形成しないが、部分的相補性のために、いくつかの態様において、領域1Aおよび2Aは、試料と混合された時に二重鎖を形成する。領域1Aおよび2Aの最も3'にある塩基対は、相補塩基対であるべきであり、いくつかの態様において、領域1Aおよび2Aの2個または3個の大抵の塩基対は、相補塩基対である。いくつかの態様において、これらの3'塩基対は、DNA塩基対である。
【0116】
領域2B
領域2Bは、検出される、捕捉される、配列決定される、および/定量されるべきヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドに対して捕捉プローブオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせる目的に役立つ。
【0117】
領域2Bは、その相補配列の領域1Aおよび2Aがハイブリダイズする時に3'オーバーハング(E)を形成する、少なくとも2個または3個のヌクレオチドの領域である。領域2Bの3'末端ヌクレオシドは、3'の位置でブロックされている(図14-B)(すなわち、3'-OH基を含まない)。
【0118】
いくつかの態様において、領域2Bは、少なくとも3個のヌクレオチドの長さを有する。領域2Bの最適な長さは、捕捉されるオリゴヌクレオチドの長さに少なくとも依存し得、本発明者らは、領域2Bが、例えばRNアーゼ処理された試料を用いる場合に、2個のヌクレオチドのオーバーラップで機能でき、好ましくは少なくとも3個のヌクレオチドであることを見出した。
【0119】
いくつかの態様において、領域2Bは、オリゴヌクレオチド配列の事前知識なしでのオリゴヌクレオチドの捕捉を可能にする、縮重配列または半縮重配列を含む。それらの配列の事前知識なしでのオリゴヌクレオチドの捕捉は、様々なオリゴヌクレオチド配列のライブラリーから所望の生体内分布を有する特異的なオリゴヌクレオチドを同定する際に、または、部分的なオリゴヌクレオチド分解産物の同定のために特に有用である。本発明のプローブおよび方法はまた、アプタマーの捕捉および同定に適用されてもよい。
【0120】
いくつかの態様において、領域2Bは、公知の配列を有するヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの捕捉を可能にする、あらかじめ決定された配列を含む。あらかじめ決定された捕捉領域2Bの使用により、例えば、前臨床開発もしくは臨床開発のため、または続いて、患者由来の材料において局所組織もしくは細胞の濃度もしくは曝露を決定するための、インビボでの治療用オリゴヌクレオチドの捕捉、検出、および定量が可能になる。患者における化合物濃度の決定は、患者における治療用オリゴヌクレオチドの投薬量を最適化する際に重要であり得る。
【0121】
ハイブリダイズしないリンカー部分(D)
Dは、DNAポリメラーゼをブロックするリンカー部分、例えば、非ヌクレオチドリンカーを含むリンカーである。領域Dにより、捕捉プローブ領域1Aおよび2Aがハイブリダイズすることが可能になる。領域1Cから2AまでのDNAポリメラーゼのリードスルーを阻止する利点は、代替的な鋳型分子の形成を阻止することである。そのような代替的な鋳型分子は、捕捉プローブの5'領域上のヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドに特異的なプライマーのミスプライミングを結果としてもたらす(図18)。
【0122】
本発明のいくつかの態様において、リンカー部分Dは、領域1Aおよび2Aがハイブリダイズすることを可能にするヌクレオチドの領域であってもよい。そのようなリンカー部分は、典型的には、PCR増幅の間にDNAポリメラーゼ活性のための鋳型として作用すると考えられ、したがって、領域1Bと2Aとの間に連続ヌクレオチド配列を有する捕捉プローブの存在は、PCRサイクルの間の競合する鋳型の同時増幅を結果としてもたらす場合があり、これは、PCR反応中の最初の鋳型が低コピー数である(または、(例えば、患者)試料におけるヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドが低濃度である)時に特に問題である。そのため、領域Dがヌクレオチドの領域である場合、領域は、ポリメラーゼのリードスルー活性を阻止する修飾を含み、それによって、PCR増幅の間の競合する鋳型分子の産生を回避する。そのような修飾は、領域Dのヌクレオチド内の1個または複数個のハイブリダイズ不可能な塩基部分の使用、または逆位ヌクレオチドの使用を含んでもよい。
【0123】
いくつかの態様において、領域Dは、ポリメラーゼブロッキングリンカー、例えば、C6-32ポリエチレングリコールリンカー、例えば、C18ポリエチレングリコールリンカーまたはアルキルリンカーを含む。用いられてもよい他の非限定的な例示的リンカー基が、本明細書において開示される。
【0124】
捕捉プローブオリゴヌクレオチド設計
いくつかの態様において、領域1Aおよび2Aは、3~20個の塩基対、例えば、6~15個の塩基対、例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個の塩基対の二重鎖を形成する。いくつかの態様において、領域1Aおよび2Aは、DNA塩基対の領域を形成する。いくつかの態様において、領域1Aおよび2Aは、9個のDNA塩基対の領域を形成する。
【0125】
いくつかの態様において、領域Cは、10~30個の間のヌクレオチド、例えば、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30個のヌクレオチドである。いくつかの態様において、領域Cは、領域C内または捕捉プローブ内のいずれかの有意な自己相補性を回避するように設計される。そのような有意な自己相補性は、試料において用いられる時に捕捉プローブの望ましくない二次構造を創り出す場合がある。いくつかの態様において、領域Cは、DNAヌクレオシドからなるか、またはそれを含んでもよい。
【0126】
いくつかの態様において、存在する場合、領域1Bは、少なくとも3個の連続縮重ヌクレオシド、例えば、3、4、5、6、7、8、9、または10個の連続縮重ヌクレオシドからなるか、またはそれを含む。
【0127】
いくつかの態様において、領域2Bは、少なくとも4個の連続縮重ヌクレオシド、例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個の連続縮重ヌクレオシドからなるか、またはそれを含む。
【0128】
いくつかの態様において、領域1A、2A、2B、およびCのヌクレオシドは、存在する場合、DNAヌクレオシドである。
【0129】
捕捉プローブオリゴヌクレオチドの使用
捕捉プローブオリゴヌクレオチドは、試料におけるオリゴヌクレオチド、例えば、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチド、または、最も3'にあるヌクレオシド間結合がRpホスホロチオアートヌクレオシド間結合であるオリゴヌクレオチドを検出、定量、配列決定、増幅、またはクローニングする際に使用されてもよい。本発明の捕捉プローブは、3'末端修飾ヌクレオシド、例えば、高親和性ヌクレオシド類似体および/または2'修飾ヌクレオシド、例えばLNAヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドを検出、定量、配列決定、増幅、またはクローニングするために使用されてもよい。本発明の捕捉プローブは、オリゴヌクレオチドの2個の最も3'にあるヌクレオシドの間にRpホスホロチオアートヌクレオシド間結合をさらに含むオリゴヌクレオチドを検出、定量、配列決定、増幅、またはクローニングするために使用されてもよい。本発明の捕捉プローブは、3'末端修飾ヌクレオシド、例えば、高親和性ヌクレオシド類似体および/または2'修飾ヌクレオシド、例えばLNAヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドであって、オリゴヌクレオチドの2個の最も3'にあるヌクレオシドの間にRpホスホロチオアートヌクレオシド間結合をさらに含む、前記オリゴヌクレオチドを検出、定量、配列決定、増幅、またはクローニングするために使用されてもよい。本明細書において例証されるように、本発明の捕捉プローブは、LNAオリゴヌクレオチドを有効に捕捉して、検出、定量、配列決定、またはクローニングを可能にするために使用されてもよい。2'-O-MOEなどの2'修飾オリゴヌクレオチド、またはLNAギャップマー、ミックスマー、トータルマーが、治療用オリゴヌクレオチドとして開発されているか、または既に承認された。本発明の捕捉プローブは、ホスホロチオアート修飾ヌクレオシド間結合を検出、定量、配列決定、またはクローニングするために使用されてもよい。
【0130】
いくつかの態様において、本発明の捕捉プローブオリゴヌクレオチドの使用は、生物学的試料において、例えば、生検試料、血液試料またはその画分、例えば、血清または血漿試料において、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドを検出する、増幅する、または定量するためである。
【0131】
いくつかの態様において、本発明の捕捉プローブオリゴヌクレオチドの使用は、生物学的試料において、例えば、生検試料、血液試料またはその画分、例えば、血清または血漿試料において、オリゴヌクレオチドの2個の最も3'にあるヌクレオシドの間にRpホスホロチオアートヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを検出、増幅、クローニング、または定量するためである。
【0132】
いくつかの態様において、使用は、オリゴヌクレオチドを配列決定するか、またはクローニングするためである。長年にわたって、オリゴヌクレオチド治療薬は、標的配列からワトソン・クリック型塩基対則によって設計される薬物へと進む有望性を提供してきたが、実際には、これは達成することが非常に困難であり、最近、オリゴヌクレオチドの個々の配列が、オリゴヌクレオチドの薬理学的分布に対して重大な影響を有し得ることが明らかになった。そのため、インビトロでのその秀逸な効果に基づいて選択された化合物が、インビボで同じ秀逸な効果を有するであろうと推定することは困難であり、簡単に言うと、その生体内分布は、非標的組織における蓄積、および標的組織における低い薬理学的効果を結果としてもたらす場合がある。本発明は、望ましい組織における取り込みを結果としてもたらし、かつ非標的組織における蓄積を回避する潜在配列の同定を可能にする、ヌクレオシド修飾ヌクレオチドをクローニングおよび配列決定する方法を、最初に提供する。これは、様々な配列を有するオリゴヌクレオチドのライブラリー(例えば、縮重オリゴヌクレオチドライブラリー)を作製すること、および、哺乳動物における標的組織に濃縮されているヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチド(配列)を同定するための方法においてそれらを用いることによって達成され得、該方法は、以下の段階を含む:
(a) 異なる核酸塩基配列を有するヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの混合物を、哺乳動物に投与する段階、
(b) 該オリゴヌクレオチドを、例えば少なくとも24~48時間の期間にわたって、哺乳動物内に分布させる段階、
(c) 哺乳動物の標的組織から、修飾オリゴヌクレオチドの集団を単離する段階、
(d) 以下のために、修飾オリゴヌクレオチドの集団を配列決定する段階を含む、本発明によるオリゴヌクレオチド捕捉法を行う段階、
(e) 哺乳動物の標的組織に濃縮されているヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチド配列を同定する段階。
【0133】
あるいは、方法は、哺乳動物における非標的組織において低い蓄積を有するヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチド(配列)を同定するために用いられてもよく、該方法は、以下の段階を含む:
(a) 異なる核酸塩基配列を有するヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの混合物を、哺乳動物に投与する段階、
(b) ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドを、例えば少なくとも24~48時間の期間にわたって、哺乳動物内に分布させる段階、
(c) 哺乳動物の標的組織から、修飾オリゴヌクレオチドの集団を単離する段階、および
(d) 以下のために、修飾オリゴヌクレオチドの集団を配列決定する段階を含む、本発明によるオリゴヌクレオチド捕捉法を行う段階、
(e) 哺乳動物の非標的組織において低い蓄積を有するヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチド配列を同定する段階。
【0134】
典型的には、哺乳動物(または患者)から得られた組織または細胞の試料からのヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの単離の段階は、RNアーゼ処理であり、本発明のオリゴヌクレオチド捕捉法における使用の前に、(例えば、ゲル精製またはカラム精製を介して)さらに精製されてもよい。
【0135】
本発明は、以下の段階を含む、試料におけるヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドを検出、定量、増幅、配列決定、またはクローニングするための方法を提供する:
(a) 捕捉プローブオリゴヌクレオチドと試料とを混合する段階、
(b) 捕捉プローブオリゴヌクレオチドの5'末端とヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'末端との、T4 DNAリガーゼ媒介性ライゲーションを行う段階、
(c) 捕捉プローブオリゴヌクレオチドに相補的であるユニバーサルプライマーを添加する段階、
(d) ユニバーサルプライマーの5'-3'鎖伸長を行う段階、および
(e) 段階(d)において得られた鎖伸長産物を検出、定量、配列決定、またはクローニングする段階。
【0136】
上記の方法において、本発明の最適化された捕捉プローブが使用されてもよい。本発明は、以下の段階を含む、試料におけるヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドを検出、定量、増幅、配列決定、またはクローニングするための方法を提供する:
(a) 本発明の捕捉プローブオリゴヌクレオチドと試料とを、捕捉プローブの領域2Bのハイブリダイゼーションを可能にする条件下で混合する段階、
(b) 捕捉プローブオリゴヌクレオチドの5'末端とヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'末端との、T4 DNAリガーゼ媒介性ライゲーションを行う段階、
(c) 捕捉プローブオリゴヌクレオチドの領域1Aに相補的であるユニバーサルプライマーを添加する段階、
(d) DNAポリメラーゼまたは逆転写酵素の存在下で(すなわち介して)、ユニバーサルプライマーの5'-3'鎖伸長を行う段階、および
(e) 段階(d)において得られた鎖伸長産物を検出、定量、配列決定、またはクローニングする段階。
【0137】
Rpホスホロチオアートヌクレオシド間結合を含む立体限定的オリゴヌクレオチドを検出、定量、増幅、配列決定、またはクローニングするための方法
本発明は、試料におけるオリゴヌクレオチドを検出、定量、増幅、配列決定、またはクローニングするための方法であって、
(a) 捕捉プローブオリゴヌクレオチドと試料とを混合する段階、
(b) 捕捉プローブオリゴヌクレオチドの5'末端とヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'末端との、T4 DNAリガーゼ媒介性ライゲーションを行う段階、
(c) 捕捉プローブオリゴヌクレオチドに相補的であるユニバーサルプライマーを添加する段階、
(d) ユニバーサルプライマーの5'-3'鎖伸長を行う段階、および
(e) 段階(d)において得られた鎖伸長産物を検出、定量、配列決定、またはクローニングする段階
を含み、該オリゴヌクレオチドが、オリゴヌクレオチドの2個の最も3'にあるヌクレオシドの間にRpホスホロチオアートヌクレオシド間結合を含む、前記方法を提供する。
【0138】
本発明は、試料におけるヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドを検出、定量、増幅、配列決定、またはクローニングするための方法であって、
(a) 本発明の捕捉プローブオリゴヌクレオチドと試料とを、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドに対する捕捉プローブオリゴヌクレオチドの領域2Bのハイブリダイゼーションを可能にする条件下で混合する段階、
(b) 捕捉プローブオリゴヌクレオチドの5'末端とヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'末端との、T4 DNAリガーゼ媒介性ライゲーションを行う段階、
(c) 捕捉プローブオリゴヌクレオチドの領域1Aに相補的であるユニバーサルプライマーを添加する段階、
(d) DNAポリメラーゼまたは逆転写酵素の存在下で(すなわち介して)、ユニバーサルプライマーの5'-3'鎖伸長を行う段階、および
(e) 段階(d)において得られた鎖伸長産物を検出、定量、配列決定、またはクローニングする段階
を含み、該オリゴヌクレオチドが、オリゴヌクレオチドの2個の最も3'にあるヌクレオシドの間にRpホスホロチオアートヌクレオシド間結合を含む、前記方法を提供する。
【0139】
試料およびその調製
試料は、生物学的試料、例えば、オリゴヌクレオチドを投与されたことがある動物由来の試料であってもよい。
【0140】
本明細書において開示される方法において、生物学的試料は、オリゴヌクレオチド捕捉プローブと混合する前に、RNアーゼ処理および/またはDNアーゼ処理されてもよい。適しているように、RNアーゼ処理またはDNアーゼ処理は、RNAまたはDNAを(それぞれ)分解するが、ヌクレオシド修飾ヌクレオチドまたはヌクレオチド修飾ヌクレオチド(例えば、ホスホロチオアート)を分解しない酵素で行われる。
【0141】
本明細書において開示される方法において、生物学的試料は、オリゴヌクレオチド捕捉プローブと混合する前に、RNアーゼ処理および/またはDNアーゼ処理されてもよく、かつオリゴヌクレオチド画分が、例えばゲル精製またはカラム精製を介して精製されてもよい。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチド含有画分は、オリゴヌクレオチド捕捉プローブと混合する前に、生物学的試料から精製される。本発明の方法において言及される試料は、そのため、生物学的試料から得られたオリゴヌクレオチド濃縮画分であってもよい。
【0142】
本発明の方法において、段階(a)の前に、RNアーゼ処理および/もしくはDNアーゼ処理ならびに/または試料の精製の追加的な段階が行われてもよい。さらに、またはあるいは、段階(b)のライゲーション産物は、段階(c)の前に精製されてもよい。ゲル精製またはカラム精製が、例えば段階(b)の後に用いられてもよい。
【0143】
PCR増幅
いくつかの態様において、本発明の方法の段階(e)は、鎖伸長産物のPCR増幅を含む。PCR工程は、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドまたはその一部に相補的である領域を含むプライマーを利用してもよい。PCRは、qPCR(定量PCR)法、例えば、droplet digital PCR(ddPCR)であってもよい。
【0144】
未知の配列を有するオリゴヌクレオチドの検出、定量、配列決定、増幅、またはクローニングのために、3'アダプターライゲーション戦略を利用することが必要とされてもよく、それによって、公知の配列のヌクレオチドアダプターが、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの逆相補配列を含む最初に合成された鎖の3'端にライゲーションされる。
【0145】
いくつかの態様において、方法は、段階(d)後に行われる追加的な段階を含み、該追加的な段階は、段階(d)において得られた産物に3'アダプターをライゲーションすること、ならびに、3'アダプターに相補的であるプライマー、および捕捉プローブオリゴヌクレオチドに相補的であるプライマー、例えばユニバーサルプライマー[領域1Cに相補的なプライマー]を用いて得られた産物についてPCRを行うことを含む。
【0146】
いくつかの態様において、方法は、得られたPCR産物をクローニングする段階をさらに含む。
【0147】
いくつかの態様において、方法は、得られたPCR産物を配列決定する段階をさらに含む。
【0148】
いくつかの態様において、方法は、患者試料における治療用ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドを検出するかまたは定量するためである。
【0149】
他の適用
保安:特有の配列を有するDNAオリゴヌクレオチドが、例えば、個人的財産をマークするため、または窃盗の現場で泥棒を汚染するために開発されている。しかし、DNAオリゴヌクレオチドは、環境において本来不安定であり、したがって、特有のDNAオリゴヌクレオチドを検出する能力は、時間と共に劣化することになり、汚染除去の試みによってさらに加速され得る。修飾がオリゴヌクレオチドの安定性を大いに増強するため、保安および資産マーキングにおけるヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの使用は、非常に望ましい。本発明の捕捉プローブオリゴヌクレオチドは、保安および資産マーキングの適用において用いられるヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの検出を可能にし、PCRベースの検出法と組み合わされてもよい。
【0150】
立体限定的オリゴヌクレオチドに関するさらなる態様
本発明は、以下を提供する。
1. オリゴヌクレオチド上の2個の3'末端ヌクレオシドの間にRpホスホロチオアートヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドの捕捉、検出、増幅、または配列決定のための捕捉プローブオリゴヌクレオチドであって、5'-3'に、
(i)(a) 最も5'にあるヌクレオチドが、末端5'リン酸基を有するDNAヌクレオチドである、あらかじめ決定された配列の少なくとも3個の5'連続ヌクレオチド(1A)、
(b) 任意で、領域1Aの3'に位置づけられた、縮重ヌクレオチドまたはあらかじめ決定されたヌクレオチドの領域(1B)、
(c) ユニバーサルプライマー結合部位[ヌクレオチドのあらかじめ決定された領域]を含む、3'領域(1C)
を含む、第1のヌクレオチドセグメント;
(ii)(a) 第1のセグメントのあらかじめ決定された配列1Aに相補的である、ヌクレオチドの連続配列(2A)、
(b) 最も3'にあるヌクレオチドが、ブロックされた3'末端基を有する末端ヌクレオチドである、少なくとも2個のヌクレオチドの領域
を含む、第2のヌクレオチドセグメント
を含み、第1および第2の領域が、ハイブリダイズしないリンカー部分を介して共有結合で連結されている、前記捕捉プローブオリゴヌクレオチド。
2. 前記ハイブリダイズしないリンカーが、アルキルリンカー、ポリエチレングリコールリンカー、非ヌクレオシド炭水化物リンカー、光切断性リンカー(PCスペーサー)、アルキルジスルフィドリンカー、1,2-ジデオキシリボースもしくは脱塩基フランの領域、または、ハイブリダイズしない塩基の基を含むヌクレオシドの領域からなる群より選択される、態様1に記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチド。
3. 領域1Aが、少なくとも2個または少なくとも3個の連続DNAヌクレオチドを含む、態様1または2に記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチド。
4. 領域1Bを含む捕捉プローブオリゴヌクレオチドであって、領域1Bが、少なくとも3~30個の例えばDNAヌクレオチドなどの縮重ヌクレオチドの領域を含む、態様1~3のいずれか1つに記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチド。
5. 領域1Bを含む捕捉プローブオリゴヌクレオチドであって、領域1Bが、少なくとも3~30個の例えばDNAヌクレオチドなどのあらかじめ決定されたヌクレオチドの領域を含む、態様1~3のいずれか1つに記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチド。
6. 領域1Bを含まない、態様1~3のいずれか1つに記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチド。
7. 領域2Aが、領域1Aに相補的であるDNAヌクレオチドを含む、態様1~6のいずれか1つに記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチド。
8. 領域2Bが、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'ヌクレオチドに相補的である少なくとも2個または3個のヌクレオチドの領域を含む、態様1~7のいずれか1つに記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチド。
9. 前記第1のヌクレオチドセグメントが、領域1Cの3'に位置づけられたさらなる領域1Dを含む、態様1~8のいずれか1つに記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチド。
10. 領域2B上の3'末端が、標識からなる群より選択される、態様1~9のいずれか1つに記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチド。
11. オリゴヌクレオチド上の2個の3'末端ヌクレオシドの間にRpホスホロチオアートヌクレオシド間結合を含む立体限定的オリゴヌクレオチドの検出、定量、配列決定、増幅、またはクローニングにおける使用のための、態様1~10のいずれか1つに記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチドの使用。
12. 前記立体限定的オリゴヌクレオチドが、2'糖修飾ヌクレオシド、例えば、2'置換ヌクレオシドまたは二環式ヌクレオシドを含むヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドである、態様11に記載の使用。
13. 前記ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドが、LNAヌクレオシドを含む、態様11に記載の使用。
14. 前記ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドが、LNAギャップマーまたはLNAミックスマーである、態様13に記載の使用。
15. 前記立体限定的オリゴヌクレオチドが、完全立体限定的オリゴヌクレオチドである、態様11~14のいずれか1つに記載の使用。
16. 生物学的試料における、例えば、生検試料、血液試料またはその画分、例えば、血清または血漿における立体限定的オリゴヌクレオチドを検出するかまたは定量するためであって、該立体限定的オリゴヌクレオチドが、オリゴヌクレオチドの2個の3'末端ヌクレオシドの間にRpホスホロチオアートヌクレオシド間結合を含む、態様11~15のいずれか1つに記載の使用。
17. オリゴヌクレオチドの2個の3'末端ヌクレオシドの間にRpホスホロチオアートヌクレオシド間結合を含む立体限定的オリゴヌクレオチドを、配列決定するかまたはクローニングするためである、態様11~16のいずれか1つに記載の使用。
18. 前記立体限定的オリゴヌクレオチドが、3'末端ヌクレオシドとして、2'糖修飾ヌクレオシド、例えば、2'置換ヌクレオシドまたはLNAヌクレオシドを含む、態様11~17のいずれか1つに記載の使用。
19. 試料における立体限定的オリゴヌクレオチドを検出、定量、配列決定、増幅、またはクローニングするための方法であって、
(a) 任意で、試料のRNアーゼ処理および/またはDNアーゼ処理を行う段階、
(b) 捕捉プローブオリゴヌクレオチドと試料とを、立体限定的オリゴヌクレオチドに対する捕捉プローブオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを可能にする条件下で混合する段階、
(c) 捕捉プロープオリゴヌクレオチドの5'末端と立体限定的オリゴヌクレオチドの3'末端との、T4 DNAリガーゼ媒介性ライゲーションを行う段階、
(d) 捕捉プローブオリゴヌクレオチドのaに相補的であるユニバーサルプライマーを添加する段階、
(e) ユニバーサルプライマーの5'-3'鎖伸長を行う段階、
(f) 段階(e)において得られた鎖伸長産物を検出、定量、配列決定、増幅、またはクローニングする段階
を含み、該立体限定的オリゴヌクレオチドが、オリゴヌクレオチドの2個の3'末端ヌクレオシドの間にRpホスホロチオアートヌクレオシド間結合を含む、前記方法。
20. 前記捕捉プローブオリゴヌクレオチドが、態様1~10のいずれか1つに記載の通りであり、段階(b)において、該捕捉プローブオリゴヌクレオチドの領域2Bが、立体限定的オリゴヌクレオチドの3'領域にハイブリダイズし、かつユニバーサルプライマーが、該捕捉プローブオリゴヌクレオチドの領域1Aに相補的である、態様19に記載の方法。
21. 段階(f)が、鎖伸長産物のPCR増幅を含む、態様19または20に記載の方法。
22. 前記PCR工程が、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドまたはその一部に相補的である領域を含むプライマーを利用する、態様21に記載の方法。
23. 段階(e)の後に行われる追加的な段階を含み、該追加的な段階が、段階(2e)において得られた産物に3'アダプターをライゲーションすることを含む、態様19~22のいずれか1つに記載の方法。
24. 前記追加的な段階の後に、(i)3'アダプターに相補的であるプライマー、および態様1~10の捕捉プローブオリゴヌクレオチドに相補的であるプライマー、例えばユニバーサルプライマー[領域1Cに相補的なプライマー]を用いて、得られた産物に対してPCRが行われる、かつ/または(ii)得られた産物の配列決定が行われるかのいずれかである、態様23に記載の方法。
25. 前記PCRが、qPCRである、態様21~24のいずれか1つに記載のPCR法。
26. 得られたPCR産物をクローニングする段階をさらに含む、態様21~25に記載の方法。
27. 得られたPCR産物を配列決定する段階をさらに含む、態様21~25に記載の方法。
28. 患者試料における治療用立体限定的オリゴヌクレオチドを検出するかまたは定量するためであって、該立体限定的オリゴヌクレオチドが、オリゴヌクレオチドの2個の3'末端ヌクレオシドの間にRpホスホロチオアートヌクレオシド間結合を含む、態様19~27のいずれか1つに記載の方法。
29. 立体限定的オリゴヌクレオチドの3'末端を、DNAオリゴヌクレオチドの5'末端にライゲーションするためのT4DNAリガーゼの使用であって、該立体限定的オリゴヌクレオチドが、オリゴヌクレオチドの2個の3'末端ヌクレオシドの間にRpホスホロチオアートヌクレオシド間結合を含む、前記使用。
30. 前記立体限定的オリゴヌクレオチドの3'ヌクレオシドが、修飾ヌクレオシド、例えば、LNAヌクレオシドまたは2'置換ヌクレオシド、例えば2-O-MOEヌクレオシドである、態様29に記載の使用。
【0151】
さらなる態様
1. 糖修飾オリゴヌクレオチドのPCRまたは配列決定における使用のための捕捉プローブオリゴヌクレオチドであって、5'-3'に、
(i)(a) 最も5'にあるヌクレオチドが、末端5'リン酸基を有するDNAヌクレオチドである、あらかじめ決定された配列の少なくとも3個の5'連続ヌクレオチド(1A)、
(b) 任意で、領域1Aの3'に位置づけられた、縮重ヌクレオチドまたはあらかじめ決定されたヌクレオチドの領域(1B)、
(c) ユニバーサルプライマー結合部位を含む、3'領域(1C)
を含む、第1のヌクレオチドセグメント;
(ii)(a) 第1のセグメントのあらかじめ決定された配列1Aに相補的である、ヌクレオチドの連続配列(2A)、
(b) 最も3'にあるヌクレオチドが、ブロックされた3'末端基を有する末端ヌクレオチドである、少なくとも2個のヌクレオチドの領域
を含む、第2のヌクレオチドセグメント
を含み、第1および第2の領域が、ハイブリダイズしないリンカー部分を介して共有結合で連結されている、前記捕捉プローブオリゴヌクレオチド。
2. 前記ハイブリダイズしないリンカーが、アルキルリンカー、ポリエチレングリコールリンカー、非ヌクレオシド炭水化物リンカー、光切断性リンカー(PCスペーサー)、アルキルジスルフィドリンカー、1,2-ジデオキシリボースもしくは脱塩基フランの領域、またはハイブリダイズしない塩基の基を含むヌクレオシドの領域からなる群より選択される、態様1に記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチド。
3. 領域1Aが、少なくとも2個または少なくとも3個の連続DNAヌクレオチドを含む、態様1または2に記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチド。
4. 領域1Bを含む捕捉プローブオリゴヌクレオチドであって、領域1Bが、少なくとも3~30個の例えばDNAヌクレオチドなどの縮重ヌクレオチドの領域を含む、態様1~3のいずれか1つに記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチド。
5. 領域1Bを含む捕捉プローブオリゴヌクレオチドであって、領域1Bが、少なくとも3~30個の例えばDNAヌクレオチドなどのあらかじめ決定されたヌクレオチドの領域を含む、態様1~3のいずれか1つに記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチド。
6. 領域1Bを含まない、態様1~3のいずれか1つに記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチド。
7. 領域2Aが、領域1Aに相補的であるDNAヌクレオチドを含む、態様1~6のいずれか1つに記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチド。
8. 領域2Bが、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'ヌクレオチドに相補的である少なくとも2個または3個のヌクレオチドの領域を含む、態様1~7のいずれか1つに記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチド。
9. 第1のヌクレオチドセグメントが、領域1Cの3'に位置づけられたさらなる領域1Dを含む(領域1Dは、短いリンカーが選択された場合に、自己塩基対形成(2A-2B)を達成するのに必要とされる内部柔軟性を有する分子を提供するために用いられ得、かつこれは、ネステッドPCR反応を設定するための外側プライマー部位として機能してもよく、かつこれは、捕捉プローブの3'端が固定化されている場合には、ライゲーション産物を固体支持体から放出するのに用いられ得る制限部位を導入するためにも用いられ得る(これは法律用語で適正に記述されるべきである))、態様1~8のいずれか1つに記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチド。
10. 領域2B上の3'末端が、3'-OH基を含まないヌクレオチド修飾体、例えば、3'デオキシリボース、2',3'-ジデオキシリボース、1',3'-ジデオキシリボース、1',2',3'-トリデオキシリボース、逆位リボース、3'ホスフェート、3'アミノ、3'標識、例えば3'ビオチン、および3'蛍光体からなる群より選択される修飾体;または非ヌクレオシド修飾体、例えば、非リボース糖、脱塩基フラン、リンカー基(例えば、態様2に記載のものなど)、チオール修飾物質(例えば、C6SH、C3SH)、アミノ修飾物質、グリセロール、もしくはコンジュゲート、および標識からなる群より選択される非ヌクレオシド修飾体のいずれかである、態様1~9のいずれか1つに記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチド。
11. ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの検出、定量、配列決定、増幅、またはクローニングにおける使用のための、態様1~10のいずれか1つに記載の捕捉プローブオリゴヌクレオチドの使用。
12. 前記ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドが、2'糖修飾ヌクレオシド、例えば、2'置換ヌクレオシドまたはLNAヌクレオシドを含む、態様11に記載の使用。
13. 前記ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドが、3'末端ヌクレオシドとして、2'糖修飾ヌクレオシド、例えば、2'置換ヌクレオシドまたはLNAヌクレオシドを含む、態様12に記載の使用。
14. 前記ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドが、LNAヌクレオシドを含む、態様11~13のいずれか1つに記載の使用。
15. 前記ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドが、LNAギャップマーまたはLNAミックスマーである、態様14に記載の使用。
16. 前記ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドが、ホスホロチオアート修飾ヌクレオシド間結合をさらに含む、態様11~15のいずれか1つに記載の使用。
17. 前記ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの2個の3'末端ヌクレオシドの間のヌクレオシド間結合が、立体限定的Rpホスホロチオアートヌクレオシド間結合である、態様11~16のいずれか1つに記載の使用。
18. 生物学的試料における、例えば、生検試料、血液試料またはその画分、例えば、血清または血漿におけるヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドを検出するかまたは定量するためである、態様11~17のいずれか1つに記載の使用。
19. ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドを配列決定、増幅、またはクローニングするためである、態様11~18のいずれか1つに記載の使用。
20. 以下の段階を含む、試料におけるヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドを検出、定量、配列決定、増幅、またはクローニングするための方法:
(a) 任意で、試料のRNアーゼ処理を行う段階、
(b) 捕捉プローブオリゴヌクレオチドと試料とを、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドに対する捕捉プローブオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを可能にする条件下で混合する段階、
(c) 捕捉プローブオリゴヌクレオチドの5'末端とヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'末端とのT4 DNAリガーゼ媒介性ライゲーションを行う段階、
(d) 捕捉プローブオリゴヌクレオチドに相補的であるユニバーサルプライマーを添加する段階、
(e) ユニバーサルプライマーの5'-3'鎖伸長を行う段階、
(f) 段階(e)において得られた鎖伸長産物を検出、定量、配列決定、増幅、またはクローニングする段階。
21. 前記捕捉プローブオリゴヌクレオチドが、態様1~10のいずれか1つに記載の通りであり、段階(b)において、該捕捉プローブオリゴヌクレオチドの領域2Bが、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'領域にハイブリダイズし、かつユニバーサルプライマーが、該捕捉プローブオリゴヌクレオチドの領域1Aに相補的である、態様20に記載の方法。
22. 段階(f)が、鎖伸長産物のPCR増幅を含む、態様21または21に記載の方法。
23. 前記PCR工程が、ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドまたはその一部に相補的である領域を含むプライマーを利用する、態様22に記載の方法。
24. 段階(e)の後に行われる追加的な段階を含み、該追加的な段階が、段階(2e)において得られた産物に3'アダプターをライゲーションすること、ならびに、(i)3'アダプターに相補的であるプライマー、および態様1~10の捕捉プローブオリゴヌクレオチドに相補的であるプライマー、例えばユニバーサルプライマー[領域1Cに相補的なプライマー]を用いた、得られた産物に対するPCR、および/または(ii)得られた産物の配列決定のいずれかを行うことを含む、態様20~23のいずれか1つに記載の方法。
25. 前記PCRが、qPCRである、態様22~24のいずれか1つに記載のPCR法。
26. 得られたPCR産物をクローニングする段階をさらに含む、態様22~25のいずれか1つに記載の方法。
27. 得られたPCR産物を配列決定する段階をさらに含む、態様22~26のいずれか1つに記載の方法。
28. 患者試料における治療用ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドを検出するかまたは定量するためである、態様20~27のいずれか1つに記載の方法。
29. 以下の段階を含む、哺乳動物における標的細胞または標的組織に濃縮されているヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドを同定するための方法:
(a) 異なる核酸塩基配列を有するヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの混合物を、哺乳動物に投与する段階、
(b) 該オリゴヌクレオチドを、例えば少なくとも24~48時間の期間にわたって、哺乳動物内に分布させる段階、
(c) 哺乳動物の標的細胞または標的組織から、修飾オリゴヌクレオチドの集団を単離する段階、
(d) 以下のために、修飾オリゴヌクレオチドの集団を配列決定する段階を含む、態様20~28のいずれか1つに記載の方法を行う段階、
(e) 哺乳動物の標的組織に濃縮されているヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチド配列を同定する段階。
30. ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'末端を、DNAオリゴヌクレオチドの5'末端にライゲーションするためのT4DNAリガーゼの使用であって、該ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドの3'ヌクレオシドがLNAヌクレオシドである、前記使用。
【実施例
【0152】
(表1)実施例において用いた捕捉プローブオリゴヌクレオチドおよびプライマー。すべての結合はホスホジエステルであり、すべてのヌクレオチドは、「m」または「r」が前につかない限りDNAヌクレオチドであり、この場合、それらは、それぞれ2'-O-メチルヌクレオチドまたはリボヌクレオチドである。「/5Phos/」は5'リン酸基を示し、「/36-FAM/」は3' FAM基を示し、/iSp18/は18原子ヘキサ-エチレングリコールスペーサーを示し、/3AmMO/は3'アミノ修飾物質を示す(https://eu.idtdna.com/site/Catalog/Modifications/Product/3299)。ヌクレオチドコードは、IUPACヌクレオチドコードの通りである(表3を参照されたい)。
【0153】
a4捕捉プローブを、図19に示す。配列表は、上記の化合物のDNA配列を指し、そのため、DNAヌクレオシドおよびRNAヌクレオシドの混合物、または、上記の化合物内の非ヌクレオチド部分の存在を反映しないことに注意されたい。
【0154】
(表2)この表におけるLNA含有オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオアート結合で合成した。大文字はLNAを示し、小文字はDNAを示す。「/5Phos/」は5'リン酸基を示す。Nは縮重ヌクレオシド単位を示す。
【0155】
【表3】
【0156】
一般的な方法論
オリゴヌクレオチド混合物
LNAオリゴヌクレオチドのミックスプール(LNA-ミックス-プール1)を用いた場合、これは、以下のLNAオリゴヌクレオチドを混合することによって調製した(O5 10μM、O6 5μM、O7 10μM、O8 10μM、O9 10μM、O10 10μM、O11 10μM、O12 10μM、O13 10μM、O14 10μM)。オリゴヌクレオチドO6は、すべての他のLNAオリゴヌクレオチドの半分のモル比で、ミックス中に存在していた。記述を容易にするために、このミックスプールは、常に、実施例において等モルミックスとして提示されることになり、濃度は、記載された濃度の半分で常に存在することになるO6以外は、すべてのLNAオリゴヌクレオチドについて正確である。
【0157】
PCRのためのLNA-DNAライゲーション
PCR反応の前のライゲーション反応はすべて(実施例7~10)、以下のように行った:2μlのLNAオリゴヌクレオチド含有試料を、2μlの捕捉プローブオリゴヌクレオチドに添加し、混合して、55℃で5分間インキュベートした。2μl T4 DNAリガーゼ(Thermo Scientific)、2μl T4-DNAリガーゼバッファー、8μl PEG 4000、および4μl H2Oを含有するミックスを、各チューブに添加して混合した。以下のプログラムを、サーマルサイクラー上で実行した。37℃で2分、30℃で3分、22℃で5分、16℃で30分、このサイクルを2回繰り返し、次いで70℃で10分おき、4℃で安定させた。
【0158】
Sybr Green qPCR:
Sybr Green qPCRを、Quantabio由来のSYBR(登録商標) Green SuperMix low Roxキットを用いて行った。すべての反応は、以下の設定で10μLにおいて行った:5μl SYBR(登録商標) Green SuperMix、100 nMフォワードプライマー、100 nMリバースプライマー、2μlインプット鋳型、および10μLまでのH2O。
SYBR Green PCRプログラム:
ホットスタート:95℃、5分
40×サイクルの:
変性:95℃、10秒
アニーリング/伸長:(変数)℃、30秒
融解曲線:
変性 95℃、15秒
アニーリング 60℃、1分
二重鎖融解の検出 60℃→95℃ 0.05℃/秒
【0159】
Droplet digital PCR(ddPCR):
qLNA-PCRを、BioRad Automatic Droplet Generator(AutoDG)をOX200 droplet digital PCRシステムと共に用いて、droplet digital PCR(エマルジョンPCR)で行った。エマルジョンPCRを、QX200(商標) ddPCR(商標) EvaGreen SupermixおよびAutomated Droplet Generation Oil for EvaGreenで行った。AutoDGのためにインプットとして用いたPCR反応は、以下のように設定した:11μl ddPCR(商標) EvaGreen Supermix、フォワードプライマー(最終濃度100 nM)、リバースプライマー(最終濃度100 nM)、試料2μL、および合計で22μLまでのH2O。
【0160】
液滴生成後に、プレートをシールして、サーマルサイクラー上でddPCRプログラムを実行した:
EvaGreen ddPCRプログラム:
ホットスタート:95℃、5分
40×サイクルの:
変性:95℃、30秒
アニーリング/伸長:(変数)℃、30秒
液滴安定化:4℃、5分
90℃、5分
ホールド:4℃、inf.
液滴を、QX200 droplet reader上で読み取り、閾値を手動で設定した。
【0161】
実施例1:様々な捕捉プローブオリゴヌクレオチドをLNA含有オリゴヌクレオチドのプールとライゲーションする試み
本実施例においては、6種類の異なるライゲーション反応を、LNA含有ホスホロチオアートオリゴヌクレオチドを捕捉プローブオリゴヌクレオチドとライゲーションする試みにおいて行った。2種類の異なる酵素、CircLigase IIおよびT4 RNAリガーゼを試験した。これらの酵素は、それぞれ、一本鎖DNA分子または一本鎖RNA分子のライゲーションを可能にすることが公知である。それらの酵素の各々を、3種類の異なる捕捉プローブオリゴヌクレオチド設計について試験した:(a1)固定された配列を有するDNAオリゴヌクレオチド、(a2)部分的にランダム化された5'端上の10個のヌクレオチドを有するDNAオリゴヌクレオチド、および(a3)3個の最も5'にあるヌクレオチド上に2'-O-メチル修飾を保有するように設計された修飾a1オリゴヌクレオチド。捕捉プローブオリゴヌクレオチドの各々を、リガーゼがライゲーションを行うのに必要である5'ホスフェート、ならびに、さもなければライゲーション反応にとって望ましくない基質として作用するであろう3'水酸基をブロックするのに必要であり、および分子の蛍光ベースの検出を可能にする3' FAMで修飾した。ライゲーション反応を、以下のように行った。
【0162】
CircLigase 2でのライゲーション:
ヌクレオシド修飾オリゴヌクレオチドo1、o2、およびo3(表2を参照されたい)のプールを、10μM濃度の各種を含有するように調製した。ライゲーションの前に、1μlのプールを、表1から選択された捕捉プローブオリゴヌクレオチド、1μlの100μM a1、または1μlの100μM a2、または1μlの100μM a3のいずれかと混合し、その後、50℃で5分間のインキュベーションを行って、氷上に置いた。
【0163】
並行して、1.5体積のH2O、2体積の50% PEG 4000、0.5体積の50 mM MnCl2、1体積のCircLigase II 10×Reaction Buffer(epicentre)、2体積の5 Mベタイン、および1体積のCircLigase II酵素(epicentre)から構成されるマスターミックスを調製した。
【0164】
8μlのマスターミックスを、2μlの調製したオリゴヌクレオチド-捕捉プローブミックスの各々に添加し、その後60℃で3時間のインキュベーション、その後80℃で10分間のインキュベーションを行って、下記のようなゲル電気泳動を用いた解析まで、4℃で保持した。
【0165】
T4 RNAリガーゼでのライゲーション:
LNAオリゴヌクレオチドo1、o2、およびo3(表2を参照されたい)のプールを、10μM濃度の各種を含有するように調製した。ライゲーションの前に、2μlのプールを、表1から選択された捕捉プローブオリゴヌクレオチド、2μlの100μM a1、または2μlの100μM a2、または2μlの100μM a3のいずれかと混合し、その後、50℃で5分間のインキュベーションを行って、氷上に置いた。
【0166】
並行して、8体積の50% PEG 4000、2体積の10×T4 RNAリガーゼバッファー(Thermo Fisher Scientific)、2体積の1 mg/ml BSA(Thermo Fisher Scientific)、2体積の10 mM ATP、および2体積の10 U/μl T4 RNAリガーゼ(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号EL0021)から構成されるマスターミックスを調製した。
【0167】
16μlのマスターミックスを、4μlの調製したオリゴヌクレオチド-捕捉プローブミックスの各々に添加し、その後4℃で5時間のインキュベーション、その後16℃で10時間のインキュベーション、その後70℃で10分のインキュベーションを行って、下記のようなゲル電気泳動を用いた解析まで、4℃で保持した。
【0168】
いずれのリガーゼも伴わない処理:
反応を、「T4 RNAリガーゼでのライゲーション」と同一であるが、10 mM ATPおよびT4 RNAリガーゼの体積のH2Oでの置き換えを伴って行った。
【0169】
ゲル電気泳動:
上述の反応物の各々に、等体積の2×Novex(登録商標) TBE-Urea Sample Buffer(Thermo Fisher Scientific)を添加し、試料を95℃で2分間、熱変性させて、氷上に置いた。10μlの調製した試料を、Novex(登録商標) TBE-Urea Gels, 15%, 15 well(Thermo Fisher Scientific)上にロードして、180 Vの定電圧で75分間、電気泳動を行った。ゲルを、Blue Tray上でChemiDoc Touch Imaging System(Bio Rad)で可視化した。
【0170】
結果(図1):
提示したアッセイにおいて、CircLigase II、T4 RNAリガーゼ、またはリガーゼ酵素なしで処理した試料由来の電気泳動後の蛍光シグナルは、類似したパターンを示し、捕捉プローブオリゴヌクレオチドのLNAオリゴヌクレオチドへのライゲーションを示す、期待されたバンドのシフトを欠いていた。これにより、利用したシステムの検出限界内で、LNAオリゴヌクレオチドと試験した捕捉プローブオリゴヌクレオチドとの間にライゲーションはなかったことが示される。
【0171】
結論として、捕捉プローブオリゴヌクレオチド-酵素の組み合わせのいずれも、検出可能なライゲーション産物を生じなかった。
【0172】
実施例2:様々な捕捉プローブオリゴヌクレオチドとLNA含有オリゴヌクレオチドのプールとのライゲーションの試み
捕捉プローブオリゴヌクレオチドのLNAオリゴヌクレオチドへのライゲーションでの困難を克服するために、捕捉プローブの新規設計を構想した(図2a4~a7)。これらの設計は、LNAオリゴヌクレオチドに付着したヌクレオチド配列に加えて、捕捉プローブオリゴヌクレオチド5'断片およびLNAオリゴヌクレオチド3'断片に部分的にハイブリダイズして、局所二本鎖構造を形成するように意図されている補助オーバーハングも含有する。
【0173】
本実施例においては、DNAのみから構成される(a4)、またはRNAから構成される4個の最も5'にあるヌクレオチドを有する(残りはDNA)(a5)、またはRNAから構成されるオーバーハングを有する(残りはDNA)(a6)、またはRNAから構成される4個の最も5'にあるヌクレオチドおよびRNAから構成されるオーバーハングを両方とも有する(残りはDNA)(a7)捕捉プローブオリゴヌクレオチド(表1に含まれる)の複数の組み合わせを試験した。これらの4種類の異なる捕捉プローブ設計を、4種類の異なるリガーゼ酵素(T4 RNAリガーゼ、T4 DNAリガーゼ、T4 RNAリガーゼ2、T7 DNAリガーゼ)でライゲーションする試みを行った。
【0174】
基質調製:
5μlおよび半μlの10μMのLNAオリゴヌクレオチドo4を、5.5μlの100μM捕捉プローブオリゴヌクレオチドa4、またはa5、またはa6、またはa7と混合し、その後、50℃で5分間のインキュベーションを行って、氷上に置いた。
【0175】
マスターミックス:
いずれの酵素も伴わない処理のために、マスターミックスを、4体積の50% PEG 4000、3体積のH2O、および1体積の10×T4 DNAリガーゼバッファー(Thermo Fisher Scientific)を混ぜ合わせることによって調製した。
【0176】
T4 RNAリガーゼでの処理のために、マスターミックスを、4体積の50% PEG 4000、1体積の10×T4 RNAリガーゼバッファー(Thermo Fisher Scientific)、1体積の1 mg/ml BSA(Thermo Fisher Scientific)、1体積の10 mM ATP、および1体積の10 U/μl T4 RNAリガーゼ(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号EL0021)を混ぜ合わせることによって調製した。
【0177】
T4 DNAリガーゼでの処理のために、マスターミックスを、4体積の50% PEG 4000, 1体積の10×T4 DNAリガーゼバッファー(Thermo Fisher Scientific)、2体積のH2O、および1体積の30 U/μl T4 DNAリガーゼHC(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号EL0021)を混ぜ合わせることによって調製した。
【0178】
T4 RNAリガーゼ2での処理のために、マスターミックスを、4体積の50% PEG 4000、1体積の10×T4 RNAリガーゼ2バッファー(New England Biolabs)、2体積のH2O、および1体積のT4 RNAリガーゼ2(New England Biolabs、カタログ番号M0239S)を混ぜ合わせることによって調製した。
【0179】
T7 DNAリガーゼでの処理のために、マスターミックスを、2体積の50% PEG 4000、5体積の2×T7 DNAリガーゼバッファー(New England Biolabs)、および1体積のT7 DNAリガーゼ(New England Biolabs、カタログ番号M0318)を混ぜ合わせることによって調製した。
【0180】
ライゲーション反応:
各マスターミックスを、各々に8μl、4本のチューブ中に分割した。2μlの調製した基質をマスターミックスの各々に添加し、合計で20種類の異なる、酵素と捕捉プローブオリゴヌクレオチドとの組み合わせを生じた。混合物を、(37℃で2分、30℃で3分、22℃で5分、16℃で80分)×2回インキュベートして、4℃で保持した。
【0181】
ゲル電気泳動:
上述の反応物の各々に、等体積の2×Novex(登録商標) TBE-Urea Sample Buffer(Thermo Fisher Scientific)を添加し、試料を95℃で2分間、熱変性させて、氷上に置いた。10μlのこのように調製した試料を、Novex(登録商標) TBE-Urea Gels, 15%, 15 well(Thermo Fisher Scientific)上にロードして、180 Vの定電圧で75分間、電気泳動を行った。ゲルを、Blue Tray上でChemiDoc Touch Imaging System(Bio Rad)で可視化した。
【0182】
結果(図3):
最も効率的なライゲーションは、T4 DNAリガーゼと捕捉プローブオリゴヌクレオチドa4との組み合わせについて観察された。検出可能なライゲーションシグナルはまた、T7 DNAリガーゼの捕捉プローブオリゴヌクレオチドa4との反応、およびT4 DNAリガーゼのa5捕捉プローブオリゴヌクレオチドとの反応についても得られた。他の反応はいずれも、いかなる検出可能なシグナルももたらさず、任意の反応性の欠如、または反応の非常に低い効率のいずれかが示された。結果は、任意のリガーゼ添加を欠いている対照反応と比較した。
【0183】
実施例3:ライゲーション条件の探索
観察されたバンドが、実際に、FAM標識された捕捉プローブオリゴヌクレオチドとLNAオリゴヌクレオチドとのライゲーションの産物であることを確認するために、様々なパラメータを変動させて、一連の反応を行った。
【0184】
基質調製:
反応「1」のために、2μlの10μMのLNAオリゴヌクレオチドo4を、2μlの10μM捕捉プローブオリゴヌクレオチドa4と混合した;反応「2」、「4」、および「5」のためには、2μlの10μMのLNAオリゴヌクレオチドo4を、2μlの100μM捕捉プローブオリゴヌクレオチドa4と混合した;反応「3」のためには、2μlの100μMのLNAオリゴヌクレオチドo4を、2μlの100μM捕捉プローブオリゴヌクレオチドa4と混合した。LNAオリゴヌクレオチドと捕捉プローブオリゴヌクレオチドとの混合の後に、50℃で5分間のインキュベーションを行って、氷上に置いた。
【0185】
マスターミックス:
反応「1」、「2」、および「3」のためのマスターミックスは、4体積の50% PEG 4000、1体積の10×T4 DNAリガーゼバッファー(Thermo Fisher Scientific)、2体積のH2O、および1体積の30 U/μl T4 DNAリガーゼHC(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号EL0021)を混ぜ合わせることによって調製した。
【0186】
反応「4」のためには、マスターミックスを、反応「1」、「2」、および「3」のためと同一のように調製したが、酵素を不活性化するために、70℃で10分間インキュベートすることによって熱処理した。
【0187】
反応「5」のためには、マスターミックスを、反応「1」、「2」、および「3」のためと同一のように調製したが、T4 DNAリガーゼHCを添加せず、その体積をH2Oで置き換えた。
【0188】
ライゲーション反応:
ライゲーション反応を、16μlの適切なマスターミックスを調製した基質に移すこと、および4℃で5時間、16℃で10時間、70℃で10分間インキュベートすることによって開始し、4℃で保存した。
【0189】
ゲル電気泳動:
上述の反応物の各々に、等体積の2×Novex(登録商標) TBE-Urea Sample Buffer(Thermo Fisher Scientific)を添加し、試料を95℃で2分間、熱変性させて、氷上に置いた。7μlのこのように調製した試料を、Novex(登録商標) TBE-Urea Gels, 15%, 15 well(Thermo Fisher Scientific)上にロードして、180 Vの定電圧で75分間、電気泳動を行った。ゲルを、Blue Tray上でChemiDoc Touch Imaging System(Bio Rad)で可視化した。
【0190】
結果(図4):
反応「1」において、捕捉プローブオリゴヌクレオチドの量は、10倍低減し、ライゲーションされていない捕捉プローブについてのシグナル(下のバンド)の劇的な減少およびライゲーション産物についてのシグナル(上のバンド)のわずかな減少を生じた。反応「3」において、LNAオリゴヌクレオチドの量は、10倍増加し、ライゲーション産物についてのシグナルの劇的な増加およびライゲーションされていない捕捉プローブオリゴヌクレオチドについてのわずかな減少を生じた。反応「4」および「5」は、ライゲーション産物の出現がT4 DNAリガーゼ依存的であるかどうかを調査するために設計され、ライゲーション産物が、酵素の非存在下でも熱不活性化酵素の存在下でも出現しなかったため、これが確認される。
【0191】
実施例4:5'ホスフェート縮重LNAオリゴヌクレオチド(O15)と捕捉プローブオリゴヌクレオチドa4とのライゲーション
本実施例においては、LNA含有オリゴヌクレオチド「o15」を捕捉プローブオリゴヌクレオチド「a4」に、o15およびa4の濃度を両方とも変動させてライゲーションした。
【0192】
基質調製:
1μlの2μM(「L」)または10μM(「H」)のLNAオリゴヌクレオチドo15を、1μlの1、5、10、20、30、60、または100μMいずれかの捕捉プローブオリゴヌクレオチドa4、および2μl H2Oと混合して、14種類の異なる組み合わせを生じた。
【0193】
LNAオリゴヌクレオチドと捕捉プローブオリゴヌクレオチドとの混合の後、50℃で5分間のインキュベーションを行って、氷上に置いた。
【0194】
マスターミックス:
マスターミックスを、4体積の50% PEG 4000、1体積の10×T4 DNAリガーゼバッファー(Thermo Fisher Scientific)、および1体積の30 U/μl T4 DNAリガーゼHC(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号EL0021)を混ぜ合わせることによって調製した。
【0195】
ライゲーション反応:
ライゲーション反応を、6μlの適切なマスターミックスを調製した基質に移すこと、および(37℃で2分、30℃で3分、22℃で5分、16℃で80分)×2回、インキュベートすることによって開始し、4℃で保存した。
【0196】
ゲル電気泳動:
上述の反応物の各々に、等体積の2×Novex(登録商標) TBE-Urea Sample Buffer(Thermo Fisher Scientific)を添加し、試料を95℃で2分間、熱変性させて、氷上に置いた。7μlのこのように調製した試料を、Novex(登録商標) TBE-Urea Gels, 15%, 15 well(Thermo Fisher Scientific)上にロードして、180 Vの定電圧で75分間、電気泳動を行った。ゲルを、Blue Tray上でChemiDoc Touch Imaging System(Bio Rad)で可視化した。
【0197】
結果(図5):
ライゲーション産物を有するバンドの定量により、o15の2種類の試験した濃度(1μMおよび0.2μMの最終濃度)についての最も効率的なライゲーションは、2μM以上のa4の最終濃度で起こったことが判明した。
【0198】
実施例5:ライゲーション時間の探索
本実験は、a4捕捉プローブオリゴヌクレオチドのLNAオリゴヌクレオチド(o15)のランダムプールへの効率的なライゲーションに必要とされる最小時間を決定するために設計した。o15の2種類の異なる濃度の試料を、各々20分、0から6サイクルまでにわたってライゲーションした。
【0199】
基質調製:
7.7μlの2μM(「L」)または10μM(「H」)のオリゴヌクレオチドo15を、7.7μlの20μM捕捉プローブオリゴヌクレオチドa4、および15.4μl H2Oと混合した。
【0200】
LNAオリゴヌクレオチドと捕捉プローブオリゴヌクレオチドとの混合の後、50℃で5分間のインキュベーションを行って、氷上に置いた。
【0201】
4μlのミックスを取り出し、10μlの2×Novex(登録商標) TBE-Urea Sample Buffer(Thermo Fisher Scientific)と混ぜ合わせて、試料L0およびH0とした。
【0202】
マスターミックス:
マスターミックスを、4体積の50% PEG 4000、1体積の10×T4 DNAリガーゼバッファー(Thermo Fisher Scientific)、および1体積の30 U/μl T4 DNAリガーゼHC(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号EL0021)を混ぜ合わせることによって調製した。
【0203】
ライゲーション反応:
ライゲーション反応を、40.2μlの適切なマスターミックスを調製した基質に移すこと、および6サイクルにわたって(37℃で2分、30℃で3分、22℃で5分、16℃で10分)でインキュベートすること、サイクル1、2、3、4、5、または6の後に10μlを取り出すこと、および、反応を停止させるために10μlの2×Novex(登録商標) TBE-Urea Sample Buffer(Thermo Fisher Scientific)と混ぜ合わせることによって開始した。
【0204】
既に10μlの2×Novex(登録商標) TBE-Urea Sample Buffer(Thermo Fisher Scientific)を含有していたL0およびH0の試料を、6μlのマスターミックスと混ぜ合わせた。
【0205】
ゲル電気泳動:
上述の反応物の各々に、等体積の2×Novex(登録商標) TBE-Urea Sample Buffer(Thermo Fisher Scientific)を添加し、試料を95℃で2分間、熱変性させて、氷上に置いた。7μlのこのように調製した試料を、Novex(登録商標) TBE-Urea Gels, 15%, 15 well(Thermo Fisher Scientific)上にロードして、180 Vの定電圧で75分間、電気泳動を行った。ゲルを、Blue Tray上でChemiDoc Touch Imaging System(Bio Rad)で可視化した。
【0206】
結果(図6):
ライゲーションされた試料の電気泳動解析が示すように、ライゲーションの大部分は、最初のサイクル内で起こり、その後のサイクルにおいてはささやかな改善があるだけである。
【0207】
実施例6:最適なPEG 4000濃度の探索
本実験は、捕捉プローブオリゴヌクレオチドライゲーション反応における最適なPEG 4000濃度を決定するために設計した。
【0208】
材料および方法
基質調製:
5.5μlの2μM(「L」)または10μM(「H」)のLNAオリゴヌクレオチドo15を、5.5μlの20μM捕捉プローブオリゴヌクレオチドa4、および11μl H2Oと混合した。
【0209】
LNAオリゴヌクレオチドと捕捉プローブオリゴヌクレオチドオリゴヌクレオチドとの混合の後、50℃で5分間のインキュベーションを行って、氷上に置いた。混合物を、各々に4μl、5本のチューブ中に分割した。
【0210】
マスターミックス調製:
マスターミックスを、4体積の0%または10%または20%または30%または40%または50% PEG 4000、1体積の10×T4 DNAリガーゼバッファー(Thermo Fisher Scientific)、および1体積の30 U/μl T4 DNAリガーゼHC(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号EL0021)を混ぜ合わせることによって調製した。
【0211】
ライゲーション反応:
ライゲーション反応を、6μlのマスターミックスの各々を調製した基質に移すこと、および4サイクルにわたって(37℃で2分、30℃で3分、22℃で5分、16℃で10分)でインキュベートすることによって開始し、その後、反応を停止させるために10μlのNovex(登録商標) TBE-Urea Sample Buffer(Thermo Fisher Scientific)を添加した。
【0212】
既に10μlの2×Novex(登録商標)TBE-Urea Sample Buffer(Thermo Fisher Scientific)を含有していたL0およびH0の試料を、6μlのマスターミックスと混ぜ合わせた。
【0213】
ゲル電気泳動:
上述の反応物の各々に、等体積の2×Novex(登録商標) TBE-Urea Sample Buffer(Thermo Fisher Scientific)を添加し、試料を95℃で2分間、熱変性させて、氷上に置いた。7μlのこのように調製した試料を、Novex(登録商標) TBE-Urea Gels, 15%, 15 well(Thermo Fisher Scientific)上にロードして、180 Vの定電圧で75分間、電気泳動を行った。ゲルを、Blue Tray上でChemiDoc Touch Imaging System(Bio Rad)で可視化した。
【0214】
結果(図7):
電気泳動図におけるバンドの定量により、最も効率的なライゲーションは、15%の最終PEG 4000濃度で起き、すぐ次に20%が続いたことが示される。
【0215】
実施例7:LNAと捕捉プローブとの間のライゲーションの産物に対するPCR反応の実施
LNAオリゴヌクレオチドと捕捉プローブとの間のライゲーションの産物に対してPCR反応を行えることを例証するために、LNAオリゴヌクレオチド6(O6)およびO6-捕捉プローブ1(O6-CP1)を用いたライゲーション反応を設定した。この反応は、等モル比の高濃度である100μM O6および100μM O6-CP1で行った。ライゲーションを、材料および方法の節「PCRのためのLNA-DNAライゲーション」に記載されているように行い、T4-DNAリガーゼの非存在下および存在下の両方で設定した。ライゲーションミックスの希釈系列(250 pM、62.5 pM、15.6 pM、3.9 pM、1 pM、244 fM、61 fM)を作製し、(材料および方法の節「Sybr Green qPCR」に記載されているように)修飾Taq DNAポリメラーゼを利用するQuantabio由来のPerfeCTa SYBR(登録商標) Green SuperMixキットを用いたSybr Green PCR反応においてインプットとして用いた。ライゲーション産物は、O6-p1およびCP1-p1からなるプライマーセットを用いて(表1を参照されたい)、60℃のアニーリング温度で検出された。図8Aは、T4 DNAリガーゼの存在下でのライゲーション産物の希釈系列についてのリアルタイムPCR曲線を示す。様々なPCR産物が、期待された順序で現れ、250 pMインプット反応が最初に出現する。図8Bは、T4-DNAリガーゼがライゲーションの間に存在しなかった以外は、同じ反応を示す。本発明者らは、LNAオリゴヌクレオチドを、LNAを含有する捕捉プローブオリゴヌクレオチドとライゲーションすることが可能であること、および、修飾Taqポリメラーゼは、このライゲーションされた鋳型分子から記載されたプライマーを用いてPCR産物を生成することができたことを結論づける。
【0216】
実施例8:PCR増幅を用いたLNA修飾オリゴヌクレオチドの定量
この新たな技法を定量的LNA検出法として用いるためには、ライゲーションにおけるLNAオリゴヌクレオチドのインプットとPCRにおいて測定されたアウトプットとの間に直線関係を有さなければならない。本発明者らは、図9に図示される実験を設定することによって、この反応が線形であることを示した。手短に言うと、10種類の異なるLNAオリゴヌクレオチドから構成されるプール(LNA-プール-1、材料および方法の節を参照されたい)を創り出した。このLNA-プール-1の10×連続希釈物(1 nM、100 pM、10 pM、1 pM、100 fM、10 fM、1 fM、H20)を作製し、捕捉プローブオリゴヌクレオチドO6-CP1とのライゲーション反応におけるインプット材料として用いた。このライゲーション反応を、T4-DNAリガーゼの非存在下または存在下で設定した。すべてのライゲーション反応物を9×希釈し、その後、2μLを、プライマーO6-p2およびCP1-p1を用い、52℃のアニーリング温度を用いた10μl Sybr Green PCR反応(材料および方法の節を参照されたい)においてインプットとして用いた。図9Aは、T4-DNAリガーゼを含有するライゲーション反応物由来のリアルタイムPCR曲線を示す。PCR曲線は、LNAオリゴヌクレオチドインプットのすべてについて期待された順序で現れたが、水試料もまた、10 fM反応のCt値と1 fM反応のCt値との間のCt値を有する産物を産生し、非特異的反応がこの試料において起きたことを示した。図9Bは、測定されたCt値(2-Ct *1012)を、ライゲーション反応におけるLNAオリゴヌクレオチドインプット量の濃度に対してプロットした、図を示す。これにより、ライゲーション反応およびPCR反応は、見事な直線相関に従うこと(R2=0.9954)、およびPCR反応の効率は100%に近いこと(y=8.85x1.0684 ⇒ 106.84%の有効性)が示される。図9Cは、T4-DNAリガーゼが添加されなかったライゲーション反応についてのPCR反応を図示する。これにより、PCR産物は、ライゲーション産物が起源であることが示されるが、PCR副産物が、LNA-DNAライゲーション産物の存在とは独立して起こることもまた示される。
【0217】
本発明者らは、このPCRベースのLNAオリゴヌクレオチド検出法が、線形であり、そのため、LNAオリゴヌクレオチド濃度を測定するための定量法として用いられ得ることを結論づける。以下において、LNA-DNAライゲーションおよびその後の定量PCR反応の組み合わされた方法を、定量LNA-PCR(qLNA-PCR)と称する。
【0218】
実施例9:qLNA-PCRの特異性
qLNA-PCR法の特異性を検討するために、捕捉プローブオリゴヌクレオチドのLNAオリゴヌクレオチドへのライゲーションが配列特異的であることを示す実験を設定した。手短に言うと、LNA-プール-1の5×連続希釈物(1 nM、200 pM、40 pM、8 pM、1.6 pM、320 fM、64 fM、H20)を作製し、それを、T4 DNAリガーゼの存在を伴っておよび伴わずにすべて行った、プライマーO5-CP1、O6-CP1、またはユニバーサル1-CP1でのライゲーション反応においてインプット材料として用いた。ライゲーション反応物の9×希釈の後に、すべてのライゲーションの産物2μLを、2種類のSybr Green PCR反応のためのインプットとして用いた。プライマーO5-p1およびCP1-p1を用いた53℃のアニーリング温度でのPCR(O5 PCR)、ならびにプライマーO6-p2およびCP1-p1を用いた50℃のアニーリング温度でのPCR(O6 PCR)を実施した。
【0219】
図10Aは、ライゲーションの間にT4 DNAリガーゼの存在を伴うおよび伴わない、O5 PCRおよびO6 PCRの両方についてのO5-CP1ライゲーション物に対するPCR反応を示す。これにより、O5 PCR反応のみが起こったことが示され、これは、O5-Cp1がO6 LNAオリゴヌクレオチドにライゲーションしなかったことを意味する。O5 PCR+T4 DNAリガーゼにおいて、反応曲線は、期待された順序で現れ、320 fM、64 fM、およびH2Oは、互いに識別不能であって、非特異的なPCR反応が起こったことを示し、これはまた、T4 DNAリガーゼが存在しなかったライゲーション反応由来の産物に対するO5 PCRからも明らかである。
【0220】
図10Bは、ライゲーションの間にT4 DNAリガーゼの存在を伴うおよび伴わない、O5 PCRおよびO6 PCRの両方についてのO6-CP1ライゲーション物由来のPCR反応を示す。これにより、O6 PCR反応のみが起こることが示され、これは、O6-Cp1がO5 LNAオリゴヌクレオチドにライゲーションしなかったことを意味する。まとめると、これにより、これらのqLNA-PCR反応は、LNAオリゴヌクレオチドと捕捉プローブオリゴヌクレオチド中のDNAヌクレオシドの配列特異的ライゲーションのために特異的であったことが示された。O6 PCR+T4 DNAリガーゼにおいて、反応曲線は、期待された順序で現れ、64 fMおよびH2Oは、互いに識別不能であって、再び、非特異的なPCR産物が生成されたことを示した。
【0221】
図10Cは、捕捉プローブオリゴヌクレオチドのオーバーハング伸長が、縮重配列(NNNNNN)によって置き換えられた時に、捕捉プローブが、O5およびO6両方のLNAオリゴヌクレオチドを捕捉することができ、したがって、産物に対して特異的なPCR反応が起こり得る限り、ユニバーサル1-CP1を、任意のLNAオリゴヌクレオチド配列を検出および定量するために使用できることを示す。
まとめると、本発明者らは、qLNA-PCRは非常に特異的であることができ、LNA特異的プライマーが用いられる場合、特異性はライゲーション工程およびPCR工程の両方を起源とすることを結論づけた。
【0222】
実施例10:LNAオリゴヌクレオチドのインビボ検出
LNAオリゴヌクレオチドを検出および定量するためのインビボ設定においてqLNA-PCRを使用できることを示すために、インビボマウス実験を設定した。
【0223】
LNA-ミックス-プール1を、合計で950 nmol/kgのLNAオリゴヌクレオチド(100 nmol/kgの各LNAオリゴヌクレオチド、および50 nmol/kgのオリゴヌクレオチドO6)で、2匹の成体メスC57 blackに静脈内注射した。2匹の対照マウスには、PBSを注射した。注射の7日後に、マウスを屠殺して、脳および肝臓組織を単離し、ドライアイスで急速凍結した。200 bpよりも小さい小分子RNA画分を、Qiagen由来のmiRNeasyキットを用い、そこで提案される「より大きいRNA(>200)から分離されるmiRNA濃縮画分の調製」プロトコールを用いて、各マウス由来の50 mgの脳組織および25 mgの肝臓組織から単離した。凍結組織を、QIAzol溶解試薬中に置き、18μlの最終体積においてホモゲナイズした。2μlの試料を、2μl(1μM)ユニバーサル1-CP1捕捉プローブオリゴヌクレオチドとのライゲーション反応において用いた。ライゲーション後に、ライゲーションミックスをH2Oにおいて希釈し(脳50×、肝臓5000×)、この希釈物の2μlを、プライマーO13-p1およびCP1-p1、56.6℃での(材料および方法の節に記載されているような)EvaGreen ddPCR反応においてインプットとして用いた。図11は、本実験からの結果を示す。図11Aは、8種類の試料(脳および肝臓の両方の組織における、2匹の対照マウス、2匹のLNAオリゴヌクレオチド処置マウス)から生成された各液滴における蛍光シグナルを示す。示されるように、LNAオリゴヌクレオチド処置マウスを起源とするPCR反応において陽性液滴が、明らかに見えた。対照マウスのPCRにおいては非常に少しの陽性液滴しか見られず、これは、限定されたバックグラウンドノイズPCRのみが起こったことを示した。肝臓(5000×希釈)におけるLNAオリゴヌクレオチドO13の濃度は、期待されたように、脳(50×希釈)におけるものよりもずっと高かったことが見られた。図11Bは、事象/陽性液滴の数の棒グラフを示す。肝臓試料は最初に、50×希釈でも実行したが、すべての液滴が陽性となり(データは示されていない)、そのため、試料を5000×希釈した。まとめると、本発明者らは、マウスの肝臓および脳の両方においてLNAオリゴヌクレオチドO13を検出し、より高い濃度が肝臓において観察された(5000×よりも高い)ことを結論づける。2匹の対照マウスの脳試料において、およそ1%のバックグラウンドノイズが見られ、対照肝臓試料においては、いかなるバックグラウンドも見られなかった。
【0224】
材料および方法:
LNAオリゴ:用いたLNAオリゴを、表1に示す。LNAのミックスプール(LNA-ミックス-プール1)を、以下のLNAオリゴを混合することによって調製した(O5 10μM、O6 5μM、O7 10μM、O8 10μM、O9 10μM、O10 10μM、O11 10μM、O12 10μM、O13 10μM、O14 10μM)。オリゴ6(O6)は、すべての他のLNAの半分のモル比で、ミックス中に存在する。記述を容易にするために、このミックスプールは、常に、実施例において等モルミックスとして提示されることになり、濃度は、記載された濃度の半分で常に存在することになるO6以外は、すべてについて正確である。
【0225】
PCRのためのLNA-DNAライゲーション:PCR反応の前のライゲーション反応はすべて、以下のように行った:2μlの試料を、2μlの捕捉プローブオリゴヌクレオチドに添加し、混合して、55℃で5分間インキュベートした。2μl T4 DNAリガーゼ(Thermo Scientific)、2μl T4-DNAリガーゼバッファー、8μl PEG、および4μl H2Oを含有するミックスを、各チューブに添加して混合した。以下のプログラムを、サーマルサイクラー上で実行した。37℃で2分、30℃で3分、22℃で5分、16℃で30分、このサイクルを2回繰り返し、次いで70℃で10分おき、4℃で安定させた。
【0226】
Sybr Green qPCR:Sybr Green qPCRを、Quantabio由来のSYBR(登録商標) Green SuperMix low Roxキットを用いて行った。すべての反応は、以下の設定で10μLで行った:5μl SYBR(登録商標) Green SuperMix、100 nMフォワードプライマー、100 nMリバースプライマー、2μlインプット鋳型、および10μLまでのH2O。
SYBR Green PCRプログラム:
ホットスタート:95℃、5分
40×サイクルの:
変性:95℃、10秒
アニーリング/伸長:(変数)℃、30秒
融解曲線:
変性 95℃、15秒
アニーリング 60℃、1分
二重鎖融解の検出 60℃→95℃ 0.05℃/秒
【0227】
ddPCR:qLNA-PCRを、BioRad Automatic Droplet Generator(AutoDG)をOX200 droplet digital PCRシステムと共に用いて、droplet digital PCR(エマルジョンPCR)で行った。エマルジョンPCRを、QX200(商標) ddPCR(商標) EvaGreen SupermixおよびAutomated Droplet Generation Oil for EvaGreenで行った。AutoDGのためにインプットとして用いたPCR反応は、以下のように設定した:11μl ddPCR(商標) EvaGreen Supermix、フォワードプライマー(最終濃度100 nM)、リバースプライマー(最終濃度100 nM)、試料2μL、および合計で22μLまでのH2O。
【0228】
液滴生成後に、プレートをシールして、サーマルサイクラー上でddPCRプログラムを実行した:
EvaGreen ddPCRプログラム:
ホットスタート:95℃、5分
40×サイクルの:
変性:95℃、30秒
アニーリング/伸長:(変数)℃、30秒
液滴安定化:4℃、5分
90℃、5分
ホールド:4℃、inf.
液滴を、QX200 droplet reader上で読み取り、閾値を手動で設定した。
【0229】
インビボqLNA-PCR研究:LNA-ミックス-プール1を、合計で950 nmol/kg(100 nmol/kgの各オリゴおよび50 nmol/kgのO6)で、2匹の成体マウスにIV注射した。2匹のマウスに、対照として純粋なPBSを注射した。注射の7日後に、マウスを屠殺し、種々の組織を採取して、ドライアイスで急速凍結した。小分子RNAを、Qiagen由来のmiRNeasyキットを用い、そこで提案される「より大きなRNA(>200)から分離されるmiRNA濃縮画分の調製」プロトコールを用いて、50 mg組織または25 mg(肝臓組織)から精製した。凍結組織を、QIAzol溶解試薬中に置き、ホモゲナイズした。
【0230】
実施例11:T4 DNAリガーゼ基質としての修飾オリゴヌクレオチドのホスホロチオアート鏡像異性の効果の判定
材料および方法
基質調製:
1μlの10μMのオリゴO16、O17、O18、O19、O20、O21、O22、O8、またはH2Oを、1μlの100μM O8-CP1と混合した。LNAオリゴヌクレオチドと捕捉プローブとの混合の後、50℃で5分間のインキュベーションを行って、氷上に置いた。
【0231】
マスターミックスの調製:
マスターミックスを、3体積の50% PEG 4000、3体積のH2O、1体積の10×T4 DNAリガーゼバッファー(Thermo Fisher Scientific)、および1体積の30 U/μl T4 DNAリガーゼHC(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号EL0021)を混ぜ合わせることによって調製した。
【0232】
ライゲーション反応の実施:
ライゲーション反応を、8μlの適切なマスターミックスを調製した基質に移すこと、および(37℃で2分、30℃で3分、22℃で5分、16℃で30分)×3回、インキュベートすることによって開始し、4℃で保存した。
【0233】
上述の反応物の各々に、等体積の2×Novex(登録商標) TBE-Urea Sample Buffer(Thermo Fisher Scientific)を添加し、試料を95℃で2分間、熱変性させて、氷上に置いた。10μlのこのように調製した試料を、Novex(登録商標) TBE-Urea Gels, 15%, 15 well(Thermo Fisher Scientific)上にロードして、180 Vの定電圧で75分間、電気泳動を行った。ゲルを、Blue Tray上でChemiDoc Touch Imaging System(Bio Rad)で可視化した。
【0234】
結果(図17):
本実験は、LNAオリゴとDNA捕捉プローブとをライゲーションして合わせるT4 DNAリガーゼの能力に関して、ホスホロチオアートバックボーンの鏡像異性の重要性を評定するために設計した。O8の完全立体限定的化合物を、基質として用いる。3'端の最後の3個のホスホロチオアート結合の鏡像異性を、図に示す。ライゲーション産物のバンドは、捕捉プローブの強いバンドのすぐ上に出現する(図17を参照されたい)。最も3'にあるホスホロチオアート結合のRpコンフォメーションを有するLNAオリゴヌクレオチドのみが、捕捉プローブに効率的にライゲーションできたことが見られた。さらに、ライゲーションの効果にとって重要であるのは、最後の結合の鏡像異性のみであることが見られる。
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【配列表】
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